タイトル: | 公開特許公報(A)_インクジェットインク組成物、及び、インクジェット記録方法 |
出願番号: | 2013123410 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C09D 11/00,C07C 233/20,B41M 5/00,B41J 2/01 |
望月 喬平 JP 2014240464 公開特許公報(A) 20141225 2013123410 20130612 インクジェットインク組成物、及び、インクジェット記録方法 富士フイルム株式会社 306037311 野口 恭弘 100101719 深海 明子 100142295 望月 喬平 C09D 11/00 20140101AFI20141128BHJP C07C 233/20 20060101ALI20141128BHJP B41M 5/00 20060101ALI20141128BHJP B41J 2/01 20060101ALI20141128BHJP JPC09D11/00C07C233/20B41M5/00 EB41M5/00 AB41J3/04 101Y 10 OL 53 2C056 2H186 4H006 4J039 2C056EA13 2C056EE17 2C056EE18 2C056FC02 2C056HA44 2H186AA18 2H186AB11 2H186AB23 2H186BA08 2H186DA12 2H186FB04 2H186FB15 2H186FB34 2H186FB36 2H186FB38 2H186FB44 2H186FB46 2H186FB48 2H186FB55 2H186FB58 4H006AA03 4H006AB76 4H006BP10 4H006BV34 4J039AD20 4J039AD21 4J039AE04 4J039AE06 4J039BA04 4J039BA13 4J039BC05 4J039BC07 4J039BC12 4J039BC16 4J039BC19 4J039BC20 4J039BC30 4J039BC33 4J039BC48 4J039BC51 4J039BC55 4J039BC56 4J039BC58 4J039BC59 4J039BE01 4J039BE12 4J039BE22 4J039BE27 4J039CA02 4J039EA05 4J039EA47 4J039EA48 4J039GA24 本発明は、インクジェットインク組成物、及び、インクジェット記録方法に関する。 近年、画像データ信号に基づき、記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、インクジェット記録方法が注目されている。インクジェット記録方法は、騒音が少なく、非常に微小な液滴を打滴することにより、高精彩な画像を低いランニングコストで記録できるといった利点を有するものである。 中でも、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェット記録用インク組成物(放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物)は、紫外線などの放射線の照射によりインク組成物の成分の大部分が硬化するため、溶剤系インク組成物と比べて乾燥性に優れ、また、画像が滲みにくいことから、種々の記録媒体に印字できる点で優れた方式である。 従来のインク組成物としては、特許文献1又は2が挙げられる。国際公開第2013/008626号特開2011−207960号公報 本発明の目的は、得られる画像の耐折り曲げ性に優れ、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量(マイグレーション)が少なく、得られる画像のべたつき及び臭気が少ないインクジェットインク組成物、並びに、上記インクジェットインク組成物を使用したインクジェット記録方法を提供することである。 本発明の上記課題は下記の<1>又は<10>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<9>と共に以下に記載する。 <1>(成分A)式(1)で表される化合物、(成分B)分子量400以上2,000以下の光重合開始剤、及び、(成分C)成分A以外の多官能重合性化合物、を含有し、成分A及び成分Cの総含有量が、インク組成物中の重合性化合物の全質量に対し、80質量%以上であることを特徴とするインクジェットインク組成物、(式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、L1はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基を表し、また、L1において、L1の両端に結合する酸素原子と窒素原子とがL1の同一の炭素原子に結合した構造をとることはなく、L2はそれぞれ独立に、2価の連結基を表し、kはそれぞれ独立に、2又は3を表し、x、y及びzはそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、x+y+zは0〜18を満たす。) <2>成分Cが、ドデカンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及び、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含む、上記<1>に記載のインクジェットインク組成物、 <3>ドデカンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及び、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートの総含有量が、インク組成物中の成分Cの全質量に対し、80質量%以上である、上記<2>に記載のインクジェットインク組成物、 <4>成分Aの含有量が、インク組成物の全質量に対し、1〜20質量%である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、 <5>成分A及び成分Cの総含有量が、インク組成物の全質量に対し、50質量%以上である、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、 <6>成分A及び成分Cの総含有量が、インク組成物の全質量に対し、70質量%以上である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、 <7>単官能重合性化合物を含有しないか、又は、単官能重合性化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、10質量%以下である、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、 <8>成分Bが、α−ヒドロキシケトン化合物である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、 <9>食品パッケージ印刷用インクジェットインク組成物である、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、 <10>(a1)記録媒体上に、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、上記インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。 本発明によれば、得られる画像の耐折り曲げ性に優れ、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量(マイグレーション)が少なく、得られる画像のべたつき及び臭気が少ないインクジェットインク組成物、並びに、上記インクジェットインク組成物を使用したインクジェット記録方法を提供することができる。本発明に好適に用いられるインクジェット記録装置の一例を示す概略模式図である。本発明に好適に使用されるインクジェットヘッドの一例を示す拡大模式図である。本発明に好適に使用されるインクジェットヘッドの他の一例を示す拡大模式図である。本発明に好適に使用されるインクジェット記録装置の他の一例の外観斜視図である。図4に示すインクジェット記録装置における記録媒体搬送路を模式的に示す説明図である。図4に示すインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドと仮硬化光源及び本硬化光源の配置を示す平面透視図である。 以下、本発明について詳細に説明する。 なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。また、「(成分A)式(1)で表される化合物」等を単に「成分A」等ともいう。 「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等と同義であり、以下同様とする。 また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。 以下、本発明を詳細に説明する。(インクジェットインク組成物) 本発明のインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、(成分A)式(1)で表される化合物、(成分B)分子量400以上2,000以下の光重合開始剤、及び、(成分C)成分A以外の多官能重合性化合物、を含有し、成分A及び成分Cの総含有量が、インク組成物中の重合性化合物の全質量に対し、80質量%以上であることを特徴とする。(式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、L1はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基を表し、また、L1において、L1の両端に結合する酸素原子と窒素原子とがL1の同一の炭素原子に結合した構造をとることはなく、L2はそれぞれ独立に、2価の連結基を表し、kはそれぞれ独立に、2又は3を表し、x、y及びzはそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、x+y+zは0〜18を満たす。) 本発明のインク組成物は、活性放射線により硬化可能なインク組成物である。「活性放射線」とは、その照射によりインク組成物中に開始種を発生させるエネルギーを付与できる放射線であり、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。 また、本発明のインク組成物は、活性放射線硬化型のインク組成物であり、油性インク組成物であることが好ましい。本発明のインク組成物は、水及び揮発性溶剤をできるだけ含有しないことが好ましく、含有していたとしても、インク組成物の全質量に対し、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。 更に、本発明のインク組成物は、食品パッケージ印刷用インクジェットインク組成物として好適に用いることができる。 インクジェット印刷は、版を必要としないため、版を必要とするグラビア印刷と比べて、小ロットに対応することが可能である。しかしながら、インクジェット印刷は、グラビア印刷と比べ、生産性が低いため高生産化が求められている。 食品パッケージへの印刷を意図した場合、基材はポリプロピレン(PP)などの非吸収性の基材がメインである。このため、インクジェット用水系インク組成物を使用した場合、乾燥時間の増加・着弾干渉による画質悪化・基材からのはがれなどの膜質悪化に問題が生じる場合があり、高生産化が実現できない。 また、インクジェット用溶剤インクにおいても乾燥に時間がかかるため、高生産化が難しい。 本発明のインクジェットインク組成物のような活性放射線硬化型のインクジェットインク組成物は、ヘッドから吐出されたインクが着弾した直後に露光され光硬化する。このため高生産化が可能であるが、重合性化合物と光重合開始剤との使用が必須となる。 従来の活性放射線硬化型のインクジェットインク組成物を使用した場合、光硬化後、重合性化合物や光重合開始剤が一部残存することに起因する臭気が生じる場合があった。食品パッケージ用途としては、臭気に加え、低分子化合物が抽出・溶出しない(マイグレーション適性)ことも求められている。 食品パッケージ用印刷に対応した処方設計が、本発明者が詳細な検討を行ったところ、成分A〜成分Cを含有し、更に多官能重合性化合物の多い処方とすることにより、得られる画像の耐折り曲げ性に優れ、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量(マイグレーション)が少なく、得られる画像のべたつき及び臭気が少ないインクジェットインク組成物が得られることを見いだした。 以下、本発明のインクジェットインク組成物について、詳細に説明する。(成分A)式(1)で表される化合物 本発明のインクジェットインク組成物は、(成分A)式(1)で表される化合物を含有する。(式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、L1はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基を表し、また、L1において、L1の両端に結合する酸素原子と窒素原子とがL1の同一の炭素原子に結合した構造をとることはなく、L2はそれぞれ独立に、2価の連結基を表し、kはそれぞれ独立に、2又は3を表し、x、y及びzはそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、x+y+zは0〜18を満たす。) 本発明で使用する成分Aは、分子内に重合性基として4つの(メタ)アクリルアミド基を有し、高い重合性能及び硬化能を備える。また、成分Aを含有することにより、得られる画像の耐折り曲げ性に優れ、得られる画像のべたつきが少ないインクジェットインク組成物が得られる。 R1はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。複数のR1は互いに同じでも異なっていてもよい。R1は、水素原子であることが好ましい。また、R1は全て同じ基であることが好ましい。 L1はそれぞれ独立に、炭素数2〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。複数のL1は互いに同じでも異なっていてもよい。L1のアルキレン基の炭素数は、3又は4が好ましく、3がより好ましい。また、L1は、炭素数3の直鎖のアルキレン基であることが特に好ましい。L1のアルキレン基は更に置換基を有していてもよく、上記置換基としてはアリール基、アルコキシ基等が挙げられる。 ただし、L1において、L1の両端に結合する酸素原子と窒素原子とがL1の同一の炭素原子に結合した構造をとることはない。L1は酸素原子と(メタ)アクリルアミド基の窒素原子とを連結する直鎖又は分岐のアルキレン基であり、上記アルキレン基が分岐構造をとる場合、両端の酸素原子と(メタ)アクリルアミド基の窒素原子とがアルキレン基中の同一の炭素原子に結合した、−O−C−N−構造(ヘミアミナール構造)をとることも考えられる。しかし、本発明で用いる式(1)で表される化合物は、このような構造の化合物は含まれない。分子内に−O−C−N−構造を有すると、該炭素原子の位置で分解が起こりやすい。特に、このような化合物は、保存中に分解されやすく、また水、水分の存在下で分解が促進され、硬化組成物の保存安定性を低下させる。 また、L1は全て同じ基であることが好ましい。 L2における2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、又は、これらを2以上組み合わせた基よりなる群から選ばれた基等が挙げられ、アルキレン基であることが好ましい。なお、2価の連結基がアルキレン基を含む場合、このアルキレン基中には更に−O−、−S−及び−N(Ra)−よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基が含まれていてもよい。ここで、Raは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。 なお、アルキレン基中に−O−を含むとは、例えば、−アルキレン−O−アルキレン−のように、連結基の連結鎖のアルキレン基が上記ヘテロ原子を介して連結したものである。 −O−が含まれるアルキレン基の具体例としては、−C2H4−O−C2H4−、−C3H6−O−C3H6−等が挙げられる。 L2がアルキレン基を含む場合、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基等が挙げられる。L2のアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜3が更に好ましく、1が特に好ましい。また、このアルキレン基は更に置換基を有していてもよく、置換基の例としてはアリール基、アルコキシ基等が挙げられる。 L2がアリーレン基を含む場合、アリーレン基としては、フェニレン、ナフチレン等が挙げられる。アリーレン基の炭素数は、6〜14が好ましく、6〜10が更に好ましく、6が特に好ましい。このアリーレン基は更に置換基を有していてもよく、上記置換基としてはアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。 L2が2価の複素環基を含む場合、この複素環は、5員環又は6員環が好ましく、縮環していてもよい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。2価の複素環基の複素環は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。中でも、芳香族複素環が好ましく、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが好ましい。 2価の複素環基の複素環の2つの結合手の位置は、特に限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能で、2つの結合手はいずれの位置でも構わない。 また、2価の複素環基の複素環は、更に置換基を有してもよく、上記置換基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。 また、L2は全て同じ基であることが好ましい。 kはそれぞれ独立に、2又は3を表すが、複数のkは互いに同じでも異なっていてもよい。また、CkH2kは直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。 x、y及びzはそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましい。x+y+zは0〜18を満たし、0〜15が好ましく、0〜9がより好ましい。 式(1)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。 式(1)で表される化合物は、例えば、下記スキーム1又はスキーム2にしたがって好適に製造することができる。スキーム1(第一工程)アクリロニトリルとトリスヒドロキシメチルアミノメタンとの反応によりポリシアノ化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜60℃で、2〜8時間行うことが好ましい。(第二工程)ポリシアノ化合物を、ラネーニッケル(Raney Ni)等の触媒存在下で水素と反応させ、還元反応によりポリアミン化合物を得る工程。この工程の反応は、20〜60℃で、5〜16時間行うことが好ましい。(第三工程)ポリアミン化合物とアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとのアシル化反応により多官能アクリルアミド化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、1〜5時間行うことが好ましい。なお、アシル化剤は、酸クロリドに換えてジアクリル酸無水物又はジメタクリル酸無水物を用いてもよい。なお、アシル化工程で、アクリル酸クロリドとメタクリル酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内にアクリルアミド基とメタクリルアミド基とを有する化合物を得ることができる。スキーム2(第一工程)アミノアルコールの窒素原子に、ベンジル基(上記スキームのBz)、ベンジルオキシカルボニル基等による保護基導入反応により窒素保護アミノアルコール化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、3〜5時間行うことが好ましい。(第二工程)窒素保護アミノアルコール化合物のOH基に、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の脱離基を導入し、スルホニル化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、2〜5時間行うことが好ましい。なお、MsClは、メタンスルホニルクロライドを表す。(第三工程)スルホニル化合物とトリスヒドロキシメチルニトロメタンとのSN2反応により、アミノアルコール付加化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜70℃で、5〜10時間行うことが好ましい。(第四工程)アミノアルコール付加化合物を、パラジウム炭素(Pd/C)等の触媒存在下で水素と反応させ、水素添加反応によりポリアミン化合物を得る工程。この工程の反応は、20〜60℃で、5〜16時間行うことが好ましい。(第五工程)ポリアミン化合物とアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとのアシル化反応により多官能アクリルアミド化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、1〜5時間行うことが好ましい。なお、アシル化剤は、酸クロリドに換えてジアクリル酸無水物又はジメタクリル酸無水物を用いてもよい。なお、アシル化工程で、アクリル酸クロリドとメタクリル酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内にアクリルアミド基とメタクリルアミド基とを有する化合物を得ることができる。 上記工程により得られた化合物は、反応生成液から常法により精製できる。例えば、有機溶媒を用いた分液抽出、貧溶媒を用いた晶析、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーなどによって精製できる。 本発明のインク組成物には、式(1)で表される化合物を2種以上組み合わせて用いてもよい。 本発明で使用する式(1)で表される化合物は、4つの(メタ)アクリルアミド基を備え、高い重合能を有しており、硬化組成物に優れた硬化性を付与することができる。そのため、本発明のインク組成物は、形成された画像が速やかに硬化して定着する。その結果、印刷時の裏写り等を防止し、印刷スピードの向上を図ることができる。 また、本発明で使用する式(1)で表される化合物は、原料ポリオールの水酸基由来の3つの酸素原子と(メタ)アクリルアミド基とが同一の炭素原子に結合する−O−C−N−構造をとらないため(すなわち、メチレン基を介して酸素原子と(メタ)アクリルアミド基とが連結されることはないため)、化合物の加水分解を抑制できる。この結果、本発明のインク組成物の保存安定性が向上したものと考えられる。 成分Aの分子量は、1,500未満であることが好ましく、1,000未満であることがより好ましい。 成分Aの含有量は、インク組成物の全質量に対し、0.1〜45質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、2〜15質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量(マイグレーション)がより少なく、得られる画像のべたつき及び臭気がより少ないインク組成物が得られる。(成分B)分子量400以上2,000以下の光重合開始剤 本発明のインクジェットインク組成物は、(成分B)分子量400以上2,000以下の光重合開始剤を含有する。成分Bを含有することにより、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量(マイグレーション)が少なく、得られる画像の臭気が少ないインクジェットインク組成物が得られる。 成分Bは、分子量500以上2,000以下の光重合開始剤を少なくとも含むことが好ましく、分子量600以上2,000以下の光重合開始剤を少なくとも含むことがより好ましい。上記態様であると、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量がより少なく、得られる画像の臭気がより少ないインクジェットインク組成物が得られる。 成分Bとしては、分子量400以上2,000以下であれば、公知の光重合開始剤を使用することができる。 また、成分Bは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。 成分Bは、光重合開始剤であり、活性放射線(光)を吸収して重合開始種を生成する化合物である。活性放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。 また、本発明のインクジェットインク組成物は、成分Bを少なくとも含有していればよく、分子量400未満の光重合開始剤や分子量2,000を超える光重合開始剤を更に含有していてもよい。 本発明に用いることができる光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。 本発明に用いることができる光ラジカル重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び、(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらの光ラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。また、例えば、(a)の中から複数の種類を併用することもできる。 中でも、成分Bとしては、α−ヒドロキシケトン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、チオキサントン化合物、α−アミノケトン化合物よりなる群から選ばれた化合物であることが好ましく、α−ヒドロキシケトン化合物であることがより好ましく、2つ以上のα−ヒドロキシケトン構造を有する化合物であることが更に好ましい。上記態様であると、特に表面硬化性に優れ、活性線照射によって、重合性化合物の転化率を高めるとともに、硬化膜中の硬化物の分子量を向上させるため、膜中成分の外部への溶出量がより少なく、印刷物の臭気がより抑制され、耐ブロッキング性に優れるインクジェットインク組成物が得られる。 2つ以上のα−ヒドロキシケトン構造を有する化合物におけるα−ヒドロキシケトン構造の数は、2つ以上であればよいが、2〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましく、2〜5であることが特に好ましい。 また、2つ以上のα−ヒドロキシケトン構造を有する化合物におけるα−ヒドロキシケトン構造は、α−ヒドロキシアセトフェノン構造であることが好ましく、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン構造であることが特に好ましい。 2つ以上のα−ヒドロキシケトン構造を有する化合物の具体例としては、以下のHK−1が好ましく挙げられる。(式中、nは2以上の整数を表し、Rは末端基を表す。) nは、2〜10の整数であることが好ましく、2〜7の整数であることがより好ましく、2〜5の整数であることが更に好ましい。 Rは、特に制限はないが、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、及び、ハロゲン原子等が挙げられる。 また、成分Bとしては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(ランブソン社製「SPEEDCURE BCIM」)、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}(lamberti社製「ESACURE KIP150」、上記HK−1に該当する。)、1,3−ジ({α−2−(フェニルカルボニル)ベンゾイルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]}オキシ)−2,2−ビス({α−2−(フェニルカルボニル)ベンゾイルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]}オキシメチル)プロパン(ランブソン社製「SPEEDCURE 7005」に含まれる。)、{α−2−(フェニルカルボニル)ベンゾイルポリ(オキシエチレン)−ポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]−ポリ(オキシエチレン)}2−(フェニルカルボニル)ベンゾエート(ランブソン社製「SPEEDCURE 7005」に含まれる。)、1,3−ジ({α−[1−クロロ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イル]オキシ}アセチルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)])オキシ)−2,2−ビス({α−[1−クロロ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イル]オキシ}アセチルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)])オキシメチルプロパン(ランブソン社製「SPEEDCURE 7010」)、1,3−ジ({α−4−(ジメチルアミノ)ベンゾイルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]}オキシ)−2,2−ビス({α−4−(ジメチルアミノ)ベンゾイルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]}オキシメチル)プロパン(ランブソン社製「SPEEDCURE 7040」に含まれる。)、及び、{α−4−(ジメチルアミノ)ベンゾイルポリ(オキシエチレン)−ポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]−ポリ(オキシエチレン)}4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(ランブソン社製「SPEEDCURE 7040」に含まれる。)よりなる群から選択された少なくとも1種の光重合開始剤を含むことが好ましい。上記態様であると、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量(マイグレーション)がより少なく、得られる画像の臭気がより少ないインクジェットインク組成物が得られる。 また、上記に加え、以下に本発明に用いることができる成分B及び成分B以外の光重合開始剤を例示する。 (a)芳香族ケトン類、及び、(e)チオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J. P. FOUASSIER J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、及び、(e)チオ化合物の好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。 ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン(MW(分子量):182.2)、4−フェニルベンゾフェノン(MW:258)、イソフタロフェノン(MW:286)、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン(MW:342)、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド(MW:304)等が例示できる。また、チオキサントン化合物としては、2,4−ジエチルチオキサントン(MW:268)、2−イソプロピルチオキサントン(MW:254)、2−クロロチオキサントン(MW:248)等が例示できる。 また、(a)芳香族ケトン類としては、α−ヒドロキシケトン化合物(α−ヒドロキシアルキルフェノン化合物を含む)、α−アミノケトン化合物(α−アミノアルキルフェノン化合物を含む)、ケタール化合物が好ましい。具体的には、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(MW340.4)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(MW279.4)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(MW366.5)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(MW256.3)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE 2959、MW:224.3)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCURE1173、MW:164)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(MW:204)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタンが例示できる。 また、(b)アシルホスフィン化合物としては、アシルホスフィンオキサイド化合物が好ましい。 アシルホスフィンオキサイド化合物としては、モノアシルホスフィンオキサイド化合物及びビスアシルホスフィンオキサイド化合物等を使用することができ、モノアシルホスフィンオキサイド化合物としては、公知のモノアシルホスフィンオキサイド化合物を使用することができる。例えば、特公昭60−8047号公報、特公昭63−40799号公報に記載のモノアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。 具体例としては、イソブチリルメチルホスフィン酸メチルエステル(MW:164.1)、イソブチリルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:226.2)、ピバロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:240.2)、2−エチルヘキサノイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:270.3)、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル(MW:268.3)、p−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:274.3)、o−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:274.3)、2,4−ジメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:288.3)、p−t−ブチルベンゾイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル(MW:344.4)、アクリロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:210.2)、イソブチリルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:272.3)、2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:328.4)、o−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:320.3)、p−t−ブチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:350.4)、3−ピリジルカルボニルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:307.3)、アクリロイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(MW:256.2)、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:306.3)、ピバロイルフェニルホスフィン酸ビニルエステル(MW:236.3)、アジポイルビスジフェニルホスフィンオキサイド(MW:514.5)、ピバロイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:286.3)、p−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:320.3)、4−(t−ブチル)ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:362.4)、テレフタロイルビスジフェニルホスフィンオキサイド(MW:534.5)、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:320.3)、2−メチル−2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:342.4)、1−メチル−シクロヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:326.4)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:348.4)等が挙げられる。 ビスアシルホスフィンオキサイド化合物としては公知のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が使用できる。例えば特開平3−101686号公報、特開平5−345790号公報、特開平6−298818号公報に記載のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。 具体例としては、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(MW:472.1)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:500.1)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド(MW:516.1)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド(MW:514.2)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド(MW:522.2)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド(MW:522.2)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−クロロフェニルホスフィンオキサイド(MW:506.5)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド(MW:532.1)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)デシルホスフィンオキサイド(MW:536.3)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:584.3)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(MW:418.5)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:446.5)、ビス(2,6−ジクロロ3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:632.3)、ビス(2,6−ジクロロ−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド(MW:696.3)、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:490.5)、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド(MW:506.5)、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド(MW:512.5)、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド(MW:504.6)、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:490.5)、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド(MW:506.5)、ビス(2−クロロ−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:531.4)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド(MW:426.5)等が挙げられる。 これらの中でも、本発明において、アシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE 819:チバスペシャルティーケミカルズ社製、MW:418.5)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:426.5)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Darocur TPO:チバスペシャルティーケミカルズ社製、Lucirin TPO:BASF社製、MW:348.4)などが好ましい。 (c)芳香族オニウム塩化合物としては、周期律表の15、16及び17族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、又はIの芳香族オニウム塩が含まれる。例えば、欧州特許第104143号明細書、米国特許第4837124号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−96514号公報に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許第370693号、同233567号、同297443号、同297442号、同279210号、及び、同422570号の各明細書、米国特許第3902144号、同4933377号、同4760013号、同4734444号、及び、同2833827号の各明細書に記載されるジアゾニウム塩類(置換基を有してもよいベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、N−アルコキシピリジニウム塩類等(例えば、米国特許第4,743,528号明細書、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、及び、特公昭46−42363号の各公報等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウムテトラフルオロボレート等)、さらには特公昭52−147277号、同52−14278号、及び同52−14279号の各公報記載の化合物が好適に使用される。活性種としてラジカルや酸を生成する。 (d)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(MW:646.7)、3,3’,4,4’−テトラ(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(MW:702.8)、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(MW:758.9)、3,3’,4,4’−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(MW:823.1)、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(MW:895.0)、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(MW:1063.3)、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート(MW:310.3)などの過酸化エステル系の化合物が好ましい。 (f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、例えば、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(MW:748.5)、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(MW:732.5)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール(MW:779.7)、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(MW:728.5)、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(MW:648.7)、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(MW:618.8)等が挙げられる。 (g)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン(MW:205.2)、3−アセトキシイミノブタン−2−オン(MW:143.1)、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン(MW:157.2)、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン(MW:157.2)、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン(MW:205.2)、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン(MW:267.3)、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン(MW:255.3)、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン(MW:235.2)等が挙げられる。 (h)ボレート化合物の例としては、米国特許第3,567,453号、同4,343,891号、欧州特許第109,772号、同109,773号の各明細書に記載されている化合物が挙げられる。 (i)アジニウム化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号、及び特公昭46−42363号の各公報記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。 (j)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号記載のチタノセン化合物、及び、特開平1−304453号、特開平1−152109号の各公報記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。 上記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド(MW:249.0)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル(MW:332.3)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル(MW:512.2)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル(MW:476.2)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル(MW:440.2)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル(MW:404.2)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル(MW:404.2)、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル(MW:534.2)、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル(MW:498.2)、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル(MW:426.2)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム(MW:534.4)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン(MW:614.5)等を挙げることができる。 (k)活性エステル化合物の例としては、欧州特許第0290750号、同046083号、同156153号、同271851号、及び同0388343号の各明細書、米国特許第3901710号、及び同4181531号の各明細書、特開昭60−198538号、及び、特開昭53−133022号の各公報に記載されるニトロベンズルエステル化合物、欧州特許第0199672号、同84515号、同199672号、同044115号、及び、同0101122号の各明細書、米国特許第4618564号、同4371605号、及び同4431774号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、及び、特開平4−365048号の各公報記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号、及び、特開昭59−174831号の各公報に記載される化合物等が挙げられる。 (l)炭素ハロゲン結合を有する化合物の好ましい例としては、例えば、若林ら著、Bull. Chem. Soc. Japan、42、2924(1969)記載の化合物、英国特許第1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許第3337024号明細書記載の化合物等を挙げることができる。 また、F. C. Schaefer等によるJ. Org. Chem.、29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物等を挙げることができる。独国特許第2641100号明細書に記載されているような化合物、独国特許第3333450号明細書に記載されている化合物、独国特許第3021590号明細書に記載の化合物群、又は、独国特許第3021599号明細書に記載の化合物群、等を挙げることができる。 成分Bの含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることが更に好ましい。上記態様であると、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量がより少なく、得られる画像の臭気がより少ないインクジェットインク組成物が得られる。 また、成分B以外の光重合開始剤の含有量は、質量比で、成分Bの含有量未満であることが好ましく、成分Bの含有量の1/2未満であることがより好ましい。上記態様であると、得られる画像の耐折り曲げ性により優れ、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量がより少なく、得られる画像のべたつき及び臭気がより少ないインクジェットインク組成物が得られる。 本発明のインク組成物は、光重合開始剤として、特定の活性放射線を吸収して重合開始剤の分解を促進させるため、増感剤として機能する化合物(以下、単に「増感剤」ともいう。)を含有してもよい。 増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより成分Bを含む光重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸又は塩基等の重合開始種を生成する。 本発明に用いることができる増感剤としては、増感色素が好ましい。 好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。 多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、チオキサントン類(例えば、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)。 これらの中でも、チオキサントン類が好ましい。 また、増感色素としては、特開2011−32348号公報の段落0091〜0104に記載されたものが例示できる。 増感剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。 本発明のインク組成物中における増感剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク組成物の全質量に対し、0.05〜4質量%であることが好ましい。(成分C)成分A以外の多官能重合性化合物 本発明のインクジェットインク組成物は、(成分C)成分A以外の多官能重合性化合物を含有し、成分A及び成分Cの総含有量が、インク組成物中の重合性化合物の全質量に対し、80質量%以上である。上記態様であると、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量が少なく、得られる画像の臭気が少ないインクジェットインク組成物が得られる。 成分A及び成分Cの総含有量は、インク組成物中の重合性化合物の全質量に対し、80質量%以上であり、90質量%以上であることが好ましく、95質量%であることがより好ましく、98質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。上記態様であると、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量がより少なく、得られる画像の臭気がより少ないインクジェットインク組成物が得られる。 成分Cとしては、成分A以外の多官能重合性化合物であれば、特に制限はないが、2〜4官能の重合性化合物であることが好ましく、2又は3官能の重合性化合物であることがより好ましい。上記態様であると、得られる画像の耐折り曲げ性により優れ、得られる画像のべたつきがより少ないインクジェットインク組成物が得られる。 成分Cは、多官能ラジカル重合性化合物であることが好ましく、多官能エチレン性不飽和化合物であることがより好ましく、多官能(メタ)アクリレート化合物であることが更に好ましく、多官能アクリレート化合物であることが特に好ましい。上記態様であると、得られる画像の耐折り曲げ性により優れ、得られる画像のべたつきがより少ないインクジェットインク組成物が得られる。 なお、本明細書において「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。 2官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。 3官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等が挙げられる。 4官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。 5官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。 6官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。 更に具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、(株)シーエムシー出版);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品又は業界で公知の多官能重合性化合物を用いることができる。 本発明のインクジェットインク組成物は、成分Cとして、ドデカンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及び、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。上記態様であると、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量がより少なく、得られる画像の臭気がより少ないインクジェットインク組成物が得られる。 また、本発明のインクジェットインク組成物は、ドデカンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及び、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートの総含有量が、インク組成物中の成分Cの全質量に対し、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。上記態様であると、得られる画像の耐折り曲げ性により優れ、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量がより少なく、得られる画像の臭気がより少ないインクジェットインク組成物が得られる。 成分Cは、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。 成分Cの含有量は、硬化性の観点から、インク組成物の全質量に対し、50〜95質量%が好ましく、55〜92質量%がより好ましく、65〜92質量%であることが更に好ましく、75〜92質量%であることが特に好ましい。上記態様であると、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量がより少なく、得られる画像のべとつき及び臭気がより少ないインクジェットインク組成物が得られる。<単官能重合性化合物> 本発明のインク組成物は、単官能重合性化合物を含有してもよい。 本発明のインク組成物は、単官能重合性化合物を含有しないか、又は、単官能重合性化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、15質量%以下であることが好ましく、単官能重合性化合物を含有しないか、又は、単官能重合性化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、10質量%以下であることがより好ましく、単官能重合性化合物を含有しないか、又は、単官能重合性化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、5質量%以下であることが更に好ましく、単官能重合性化合物を含有しないことが特に好ましい。上記態様であると、得られる画像の耐折り曲げ性により優れ、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量がより少なく、得られる画像の臭気がより少ないインクジェットインク組成物が得られる。 また、単官能重合性化合物は、単官能ラジカル重合性化合物であることが好ましく、単官能エチレン性不飽和化合物であることがより好ましく、単官能(メタ)アクリレート化合物であることが更に好ましい。 単官能重合性化合物は、使用しなくともよいし、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。 単官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニルメチル)(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレートが挙げられる。 単官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリンが挙げられる。 単官能芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。 更に、単官能重合性化合物としては、例えば、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど)、アリルエステル類(酢酸アリルなど)、ハロゲン含有単量体(塩化ビニリデン、塩化ビニルなど)、ビニルエーテル(メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテルなど)、シアン化ビニル((メタ)アクリロニトリルなど)、オレフィン類(エチレン、プロピレンなど)、N−ビニルラクタム類(N−ビニルカプロラクタムなど)などが挙げられる。<重合禁止剤> 本発明のインク組成物は、重合禁止剤を含有することが好ましい。 重合禁止剤としては、公知の重合禁止剤を用いることができ、フェノール類、キノン類、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、アミン類、及び、スルフィド類などが例示できる。 また、重合禁止剤としては、ラジカル重合禁止剤が好ましい。 重合禁止剤としては、ハイドロキノンモノメチルエーテル、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル 1−オキシル)、OH−TEMPO(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル)、クペロンAl(トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アルミニウム塩)が好ましく挙げられる。 また、上記以外の重合禁止剤としては、ハイドロキノン、モノ−tert−ブチルヒドロキノン、カテコール、p−tert−ブチルカテコール、p−メトキシフェノール、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−m−クレゾール、ピロガロール、β−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール等のフェノール類、ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、p−トルキノン、p−キシロキノンなどのキノン類;ニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、2−メチル−2−ニトロソプロパン、α−フェニル−tert−ブチルニトロン、5,5−ジメチル−1−ピロリン−1−オキシドなどのニトロ化合物又はニトロソ化合物;クロラニルアミン、ジフェニルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジン、フェノール−α−ナフチルアミン、ピリジン、フェノチアジンなどのアミン類;ジチオベンゾイルスルフィド、ジベンジルテトラスルフィドなどのスルフィド類等のラジカル重合禁止剤が挙げられる。また、ヒンダートアミン系化合物も例示できる。 これらの中でも、重合禁止剤としては、TEMPO、又は、OH−TEMPOが好ましく、OH−TEMPOが特に好ましい。上記態様であると、インクパック中にインクジェットインク組成物を保存した場合においても保存安定性により優れる。 重合禁止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。 本発明のインク組成物における重合禁止剤の含有量は、インク組成物の全質量に対し、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.01〜0.5質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、表面硬化性、密着性、画質及び耐ブロッキング性に優れる。<オリゴマー> 上記インク組成物は、オリゴマーを含有することが好ましい。 この「オリゴマー」とは、一般に有限個(一般的には5〜100個)のモノマーに基づく構成単位を有する重合体である。オリゴマーの重量平均分子量は1,500〜10,000が好ましく、1,500〜5,000がより好ましい。 なお、本発明における化合物の重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)法を用いて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて求めることが好ましい。本発明におけるゲル浸透クロマトグラフィ法による測定は、HLC-8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super HZ M-H、TSK gel Super HZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いることが好ましい。 また、本発明における(成分C)成分A以外の多官能重合性化合物には、重量平均分子量1,500以上のオリゴマーを含めないものとし、また、本発明における「多官能重合性化合物」にも、重量平均分子量1,500以上のオリゴマーを含めないものとする。 オリゴマーとしては、官能基として、重合性基を有しているものが好ましく、エチレン性不飽和基を有しているものがより好ましく、(メタ)アクリロイル基を有するものが特に好ましい。 オリゴマーに含まれる官能基数は、柔軟性と硬化性のバランスの観点から、1分子あたり1〜15が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましく、2が特に好ましい。 本発明におけるオリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート系、オレフィン系(エチレンオリゴマー、プロピレンオリゴマー、ブテンオリゴマー等)、ビニル系(スチレンオリゴマー、ビニルアルコールオリゴマー、ビニルピロリドンオリゴマー、(メタ)アクリレートオリゴマー等)、ジエン系(ブタジエンオリゴマー、クロロプレンゴム、ペンタジエンオリゴマー等)、開環重合系(ジ−,トリ−,テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチルイミン等)、重付加系(オリゴエステル(メタ)アクリレート、ポリアミドオリゴマー、ポリイソシアネートオリゴマー)、付加縮合オリゴマー(フェノール樹脂、アミノ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂等)、アミン変性ポリエステルオリゴマー等を挙げることができる。この中でもウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートが更に好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートが、硬化性、密着性に優れたインク組成物が得られることから特に好ましい。オリゴマーは、1種単独で用いる以外に、複数種を併用してもよい。 ウレタン(メタ)アクリレートとしては、脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族系ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。詳しくは、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、(株)化学工業日報社)を参照することができる。 ウレタン(メタ)アクリレートとしては、新中村化学工業(株)製のU−2PPA、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、U−15HA、U−324A、UA−122P、UA5201、UA−512等;サートマー・ジャパン(株)製のCN964A85、CN964、CN959、CN962、CN963J85、CN965、CN982B88、CN981、CN983、CN996、CN9002、CN9007、CN9009、CN9010、CN9011、CN9178、CN9788、CN9893、ダイセル・サイテック(株)製のEB204、EB230、EB244、EB245、EB270、EB284、EB285、EB810、EB4830、EB4835、EB4858、EB1290、EB210、EB215、EB4827、EB4830、EB4849、EB6700、EB204、EB8402、EB8804、EB8800−20R等が挙げられる。 アミン変性ポリエステルオリゴマーとして、ダイセル・サイテック(株)製のEB524、EB80、EB81、サートマー・ジャパン(株)製のCN550、CN501、CN551、Rahn A.G.社製のGENOMER5275が挙げられる。 オリゴマーの含有量は、硬化性と密着性の両立という観点から、インク組成物の全質量に対して、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜7質量%が更に好ましい。<着色剤> 本発明のインク組成物は、必要に応じて、着色剤を含有することができる。 着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用できる。着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点から、重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。 顔料は、インク組成物の着色剤として機能するが、本発明においては、後述するような粒径の微細な上記顔料が、インク組成物中に均一、且つ安定に分散される結果、本発明のインク組成物は発色性に優れ、鮮鋭かつ耐候性に優れる画像が形成可能となる。 上記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の有機顔料及び無機顔料などが挙げられ、また、染料で染色した樹脂粒子、市販の顔料分散体や表面処理された顔料(例えば、顔料を分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等)も挙げられる。なお、上記顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載のものなどもが挙げられる。 上記有機顔料及び無機顔料としては、例えば、イエロー顔料、マゼンタ顔料、青、シアン顔料、緑色顔料、オレンジ顔料、茶色顔料、バイオレット顔料、黒色顔料、白色顔料、などが挙げられるが、イエロー顔料、マゼンタ顔料、青、シアン顔料、緑色顔料、オレンジ顔料、茶色顔料、バイオレット顔料、黒色顔料であることが好ましい。 また、着色剤は、有機顔料であることが好ましい。 有機顔料としては、アゾ顔料、多環顔料、レーキ顔料等が挙げられる。 上記イエロー顔料は、イエロー色を呈する顔料であり、例えば、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74等のモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエロー等)、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー219等のジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180等の非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)等のアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエロー等)、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー166等の縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)等の塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー24(フラバントロンイエロー等)等のアントラキノン顔料、C.I.ピグメントイエロー110(キノフタロンイエロー等)等のキノフタロン顔料、C.I.ピグメントイエロー139(イソインドリンイエロー等)等のイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー60(ピラゾロンイエロー等)等のピラゾロン顔料、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー167、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー194等のアセトロン顔料、C.I.ピグメントイエロー150等の金属錯塩顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)等のニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)等の金属錯塩アゾメチン顔料、C.I.ピグメントイエローなどが挙げられる。 上記マゼンタ顔料は、赤あるいはマゼンタ色を呈する顔料であり、例えば、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)等のモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド6等のB−ナフトール顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)等のジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B等)、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド48(B−オキシナフト酸レーキ等)のアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド242(縮合アゾレッド等)等の縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)、C.I.ピグメントレッド172(エリスロシンレーキ等)等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)等の塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)等のチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)等のペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド123等のペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209等のキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)等のイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)等のアリザリンレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド208等のナフトロン顔料、C.I.ピグメントレッド247等のナフトールAS系レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド256、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269等のナフトールAS顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272等のジケトピロロピロール顔料などが挙げられる。 上記シアン顔料は、青あるいはシアン色を呈する顔料であり、例えば、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)等のジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16(フタロシアニンブルー等)等のフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)等の塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)等のアルカリブルー顔料などが挙げられる。 上記緑色顔料は、緑色を呈する顔料であり、例えば、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)等のフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8、C.I.ピグメントグリーン10等のアゾ金属錯体顔料などが挙げられる。 上記オレンジ顔料は、オレンジ色を呈する顔料であり、例えば、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ2、C.I.ピグメントオレンジ3、C.I.ピグメントオレンジ5等のΒ−ナフトール顔料、C.I.ピグメントオレンジ4、C.I.ピグメントオレンジ22、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ74等のナフトールAS顔料、C.I.ピグメントオレンジ61等のイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等のペリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ15、C.I.ピグメントオレンジ16等のジスアゾ顔料、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49等のキナクリドン顔料、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ62、C.I.ピグメントオレンジ60、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ72等のアセトロン顔料、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34等のピラゾロン顔料などが挙げられる。 上記茶色顔料は、茶色を呈する顔料であり、例えば、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン32等のナフトロン顔料などが挙げられる。 上記バイオレット顔料は、紫色を呈する顔料であり、例えば、C.I.ピグメントバイオレット32等のナフトロン顔料、C.I.ピグメントバイオレット29等のペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット13、C.I.ピグメントバイオレット17、C.I.ピグメントバイオレット50等のナフトールAS顔料、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37等のジオキサジン顔料などが挙げられる。 上記黒色顔料は、黒色を呈する顔料であり、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、C.I.ピグメントブラック1(アニリンブラック)等のインダジン顔料、C.I.ピグメントブラック31、C.I.ピグメントブラック32などのペリレン顔料などが挙げられる。 上記白色顔料としては、例えば、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)、などが挙げられる。白色顔料に使用される無機粒子は単体でもよいし、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の酸化物や有機金属化合物、有機化合物との複合粒子であってもよい。 中でも、上記酸化チタンは、他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れていることから、好適に使用される。なお、上記酸化チタンに加えて他の白色顔料(上述した白色顔料以外のものであってもよい。)を併用してもよい。 上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、などの分散装置を好適に使用することができる。 本発明においては、上記顔料の分散を行う際に、後述する分散剤を添加することが特に好ましい。 また、上記顔料の分散の際に、必要に応じて、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを添加してもよい。上記分散助剤の上記インク組成物における含有量としては、上記顔料100質量部に対し、1〜50質量部が好ましい。 上記顔料を上記インク組成物に分散させる際に使用する分散媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、低分子量である上記重合性化合物を該分散媒としてもよいし、溶剤を該分散媒としてもよい。ただし、本発明のインク組成物は、放射線硬化型のインクであり、インクを被記録媒体上に適用後、硬化させるため、上記溶剤を含まず無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このため、上記分散媒として、上記重合性化合物を用い、その中でも、最も粘度が低い重合性化合物を選択することが、分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の点で好ましい。 上記顔料の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、微細なほど発色性に優れるため、0.01〜0.4μm程度が好ましく、0.02〜0.2μmがより好ましい。また、上記顔料の最大粒径としては、3μmが好ましく、1μmがより好ましい。上記顔料の粒径は、上記顔料、分散剤、分散媒体の選択、分散条件、ろ過条件の設定などにより調整することができ、上記顔料の粒径を制御することにより、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。 なお、上記顔料の上記インク組成物における粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。 インク組成物中における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.01〜30質量%であることが好ましい。<分散剤> 本発明のインク組成物は、分散剤を含有することが好ましい。特に顔料を使用する場合において、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。 高分子分散剤としては、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−111、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−182(BYKケミー社製);EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA745、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(エフカアディティブ社製);ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製);ソルスパース(SOLSPERSE)3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、22000、24000、26000、28000、32000、36000、39000、41000、71000などの各種ソルスパース分散剤(Noveon社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123((株)ADEKA製)、イオネットS−20(三洋化成工業(株)製);ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)(楠本化成(株)製)が挙げられる。 インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.05〜15質量%であることが好ましい。<界面活性剤> 本発明のインク組成物には、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を添加してもよい。 界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。また、上記界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(例えば、有機フルオロ化合物等)やシリコーン系界面活性剤(例えば、ポリシロキサン化合物等)を用いてもよい。上記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。上記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。上記ポリシロキサン化合物としては、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に有機基を導入した変性ポリシロキサン化合物であることが好ましい。変性の例として、ポリエーテル変性、メチルスチレン変性、アルコール変性、アルキル変性、アラルキル変性、脂肪酸エステル変性、エポキシ変性、アミン変性、アミノ変性、メルカプト変性などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの変性の方法は組み合わせて用いられてもかまわない。また、中でもポリエーテル変性ポリシロキサン化合物がインクジェットにおける吐出安定性改良の観点で好ましい。ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物の例としては、例えば、SILWET L−7604、SILWET L−7607N、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2161(日本ユニカー(株)製)、BYK306、BYK307、BYK331、BYK333、BYK347、BYK348等(BYK Chemie社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(信越化学工業(株)製)が挙げられる。 これらの中でも、シリコーン系界面活性剤が好ましく挙げられる。 本発明のインク組成物中における界面活性剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.0001〜1質量%であることが好ましい。<溶剤> 本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、溶剤を添加することも有効である。 溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、トリプロリレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、γ−ブチロラクトンのような環状エステル系溶剤、2−メチルピロリドン、2−ピロリドンのようなアミド系溶剤などが挙げられる。 この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、溶剤の量はインク組成物の全質量に対し、0.1〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。 インク組成物において顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶剤で、重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、本発明のインク組成物は、活性エネルギー線硬化型のインク組成物であり、インク組成物を記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、重合性化合物を用い、中でも、最も粘度が低い重合性化合物を選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。 本発明のインク組成物には、更に目的に応じて種々の添加剤を併用することができる。例えば、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。また、インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。 また、本発明のインク組成物は、上記した成分以外にも種々の公知の添加剤を含んでいてもよい。 上記以外の添加剤として、具体的には、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤、吐出物性の制御を目的としたチオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類、膜物性の調整を目的とした高分子化合物等が挙げられる。 本発明のインク組成物には、膜物性を調整する目的で、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。 また、この他にも、必要に応じて、例えば、塩基性化合物、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやポリエチレンテレフタレート(PET)等の記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤー(粘着付与剤)などを含有させることができる。 本発明のインク組成物は、インクジェットノズルからの吐出性を考慮し、吐出時の温度でのインク組成物の粘度が0.5〜30mPa・sであることが好ましく、0.5〜20mPa・sであることがより好ましく、1〜15mPa・sであることが最も好ましい。この範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが好ましい。 なお、25℃(室温)でのインク組成物の粘度は、1mPa・s以上200mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上50mPa・s以下であることがより好ましく、2.5mPa・s以上30mPa・s以下であることが更に好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な記録媒体を用いた場合でも、記録媒体中へのインク組成物の浸透を防ぎ、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となり、更にインク液滴着弾時のドット滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善される。また、25℃でのインク組成物の粘度が200mPa・s以下であると、インク組成物の装置内におけるインクジェットヘッド等へのデリバリーが容易である。 本発明のインク組成物の表面張力は、20〜40mN/mであることが好ましく、23〜35mN/mであることがより好ましい。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の観点から35mN/m以下が好ましい。 このようにして調製された本発明のインク組成物は、インク組成物をインクジェットプリンターにより記録媒体に印字し、その後、印字されたインク組成物に活性線を照射して硬化して記録を好適に行うことができる。 本発明のインク組成物により得られた印刷物は、画像部の強度に優れるため、インク組成物による画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用し得る。(インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び印刷物) 本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用として記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性エネルギー線を照射し、インクジェットインク組成物を硬化して画像を形成する方法である。 より具体的には、本発明のインクジェット記録方法は、(a1)記録媒体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性線を照射して上記インク組成物を硬化する工程、を含むことが好ましい。 本発明のインクジェット記録方法は、上記(a1)及び(b1)工程を含むことにより、記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。 また、本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体上の同一部分において、上記(a1)及び(b1)工程を2回以上行うこと、すなわち、同一部分を重ね打ちにより印刷するマルチパスモードで行うことが好ましい。本発明のインク組成物を用いることにより、マルチパスモードで印刷を行った場合、光沢性により優れた画像が得られる。 また、本発明の印刷物は、本発明のインク組成物により記録された印刷物であり、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物であることが好ましい。 また、本発明のインク組成物は、パッケージ印刷用に好適であり、特に、食品包装用のパッケージ印刷に好適である。その場合には、以下の工程をこの順で含むインクジェット記録方法であることが好ましい。 (工程a)インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出し、膜厚150μm以下のパッケージ用支持体上に印刷する工程、及び、 (工程b)上記吐出されたインクジェットインク組成物に活性線を照射する工程 本発明のインクジェット記録方法における(a1)工程及び(a)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置を用いることができる。<インクジェット記録装置> 本発明のインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a1)工程及び(a)工程における記録媒体へのインク組成物の吐出を実施することができる。 本発明で用いることができるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性エネルギー線源を含む装置が挙げられる。 インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、更に好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。 上述したように、本発明のインク組成物は、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが好ましいことから、インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。 温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。 本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インク組成物で使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インク組成物の温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。 次に、(b1)工程及び(b)工程について説明する。 記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性エネルギー線(活性線)を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性エネルギー線の照射により分解して、ラジカルなどの重合開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性エネルギー線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。 ここで、使用される活性エネルギー線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性エネルギー線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、320〜420nmであることが更に好ましく、活性エネルギー線が、ピーク波長が340〜400nmの範囲の紫外線であることが特に好ましい。 また、本発明のインク組成物の、重合開始系は、低出力の活性エネルギー線であっても十分な感度を有するものである。したがって、露光面照度が、好ましくは10〜4,000mW/cm2、より好ましくは20〜2,500mW/cm2で硬化させることが適当である。 活性エネルギー線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。 また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性エネルギー線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性エネルギー線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性エネルギー線源はUV−LEDであり、特に好ましくは340〜400nmにピーク波長を有するUV−LEDである。 なお、LEDの記録媒体上での最高照度は、10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。 本発明のインク組成物は、このような活性エネルギー線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。 活性エネルギー線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性エネルギー線の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。 更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。 上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインク組成物のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインク組成物から順に重ねることにより、下部のインク組成物まで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。 このようにして、本発明のインク組成物は、活性エネルギー線の照射により高感度で硬化することで、記録媒体表面に画像を形成することができる。 本発明のインク組成物は、複数のインクジェット記録用インクからなるインクセットとして使用することが好ましい。 本発明のインクジェット記録方法において、吐出する各着色インク組成物の順番は、特に限定されるわけではないが、明度の高い着色インク組成物から記録媒体に付与することが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを使用する場合には、イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えて使用する場合にはホワイト→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。更に、本発明はこれに限定されず、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトのインク組成物との計7色が少なくとも含まれる本発明のインクセットを好ましく使用することもでき、その場合には、ホワイト→ライトシアン→ライトマゼンタ→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。 図1は、本発明で好ましく使用されるインクジェット記録装置の模式図である。支持体の搬送手段である、支持体巻き取りロール5、5’に張架された支持体6は、矢印方向に搬送され、各色のインク組成物を吐出する打滴ヘッドが配備されたインクジェットヘッドユニット7にて、各色のインク組成物(K:ブラック、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、W:ホワイト)が吐出される。 図1に示すように、LED光源ユニット1は、不活性ガスブランケット2に囲まれており、不活性ガス配管3を介して不活性ガス発生装置4に接続している。不活性ガスブランケット2内の雰囲気を貧酸素雰囲気とする手段である不活性ガス発生装置4は、不活性ガス配管3を介して不活性ガスブランケット2の内部に不活性ガスを供給するもので、初期状態では不活性ガスブランケット2内雰囲気は空気であるが、不活性ガス発生装置4を稼働させると、不活性ガスブランケット2内の空気は不活性ガスに置換される。不活性ガスは、既述の通り、N2などを利用することができる。 本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができるインクジェット記録装置は、活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを吐出するノズルが第1の方向に所定のピッチPで配置されたノズル列であることが好ましい。また、インクジェット記録装置は、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクをそれぞれ吐出するN個(N≧4)の色毎のノズル列を有することが好ましい。更に、上記各ノズル列は、上記第1の方向について、ノズルがP/Nずつずらして配置されているインクジェットヘッドを備えていることが好ましい。 上記第1の方向は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)であることが好ましい。 上記インクジェットヘッドは、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクをそれぞれ吐出するN個(N≧4)の色毎のノズル列を有しており、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクと、少なくとも1色の淡インクとをそれぞれ吐出するN個(N≧5)の色毎のノズル列を有していることが好ましく、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン及びライトマゼンタの6色のインクをそれぞれ吐出するN個(N≧6)の色毎のノズル列を有していることがより好ましい。 上記インクジェットヘッドの各ノズル列は、活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを吐出するノズルが第1の方向に所定のピッチPで配置されたノズル列である。 ピッチPは、特に制限はなく、所望のピッチであればよいが、50dpi以上(約508μm以下)600dpi以下(約42μm以上)であることが好ましい。 また、上記インクジェットヘッドの各ノズル列は、上記第1の方向においてノズルがずらして配置されており、上記第1の方向において、ノズルがP/Nずつずらして配置されていることが好ましい。 上記各ノズル列のずらし方は、各ノズル列が少なくともずらされていれば特に制限はなく、階段状に各ノズルをずらしてもよいし、隣接するノズル列のずれがP/Nであっても、P/Nの整数倍であっても、任意のずれの大きさであってもよい。例えば、4色のノズル列の場合は、図2又は図3に示すようなずらし方が挙げられる。中でも、ノズルがP/Nずつずらして配置されている場合に、隣接するノズル列のずれができるだけP/Nでないようなずらし方が好ましく、5色以上のノズル列の場合は、隣接するノズル列のずれがいずれも(2×P/N)以上であるずらし方が特に好ましい。 上記インクジェットヘッドの各ノズル列は、第1の方向において、インクジェットヘッドに対する記録媒体の相対移動最上流側から、4色の場合、ブラックインク用ノズル列、イエローインク用ノズル列、シアンインク用ノズル列、マゼンタインク用ノズル列の順でずらして配置されていることが好ましい。また、4色並びにライトシアン及びライトマゼンタの計6色の場合、ブラックインク用ノズル列、イエローインク用ノズル列、ライトマゼンタインク用ノズル列、シアンインク用ノズル列、ライトシアンインク用ノズル列、マゼンタインク用ノズル列の順でずらして配置されていることが好ましい。 また、上記インクジェットヘッドの各ノズル列は、第1の方向において、インクジェットヘッドに対する記録媒体の相対移動最上流側に最も硬化感度の低いインクのノズルが配置されていることが好ましく、硬化感度の低いインクから順に、ノズルインクジェットヘッドに対する記録媒体の相対移動上流から下流にかけて配置されていることがより好ましい。上記態様であると、記録媒体の相対移動の上流側に配置されたノズルのインクほど記録媒体の記録面に近い層に配置して記録媒体の記録面に画像を形成させるようにしたので、最も硬化感度の低いインクを最も記録面に近い層に配置して表面層の状態を常に一定にすることができ、光沢ムラを低減することができる。 上記4色のインクのうち、最も硬化感度の低いインクは、ブラックインクである場合が多く、2番目に硬化感度の低いインクはイエローインクである場合が多い。 また、上記インクジェットヘッドは、淡インクとしてライトシアン及びライトマゼンタのインクをそれぞれ吐出するノズル列を有し、インクジェットヘッドの各ノズル列は、第1の方向にノズルがP/6ずつずらして配置され、かつシアンのノズルとマゼンタのノズルとの間、マゼンタのノズルとイエローのノズルとの間、又は、イエローのノズルとシアンのノズルとの間に、ライトシアン又はライトマゼンタのノズルが配置されていることが好ましい。 また、上記インクジェットヘッドは、ホワイトインク用ノズル列、及び/又は、クリアインク用ノズル列を有していてもよい。なお、ホワイトインク及びクリアインクは、画像の光沢ムラへの影響が少ないため、ホワイトインク用ノズル列、及び/又は、クリアインク用ノズル列は、他の各ノズル列とともに、上記第1の方向について、ノズルがずらして配置されていてもよいし、いなくともよい。 また、ホワイトインク用ノズル列、及び/又は、クリアインク用ノズル列は、上記シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック(好ましくは、更にライトシアン及び/又はライトマゼンタ)の各色のインクをそれぞれ吐出するN個の色毎のノズル列の第2の方向における両側にそれぞれ1種ずつ配置されていることが好ましい。具体的には、例えば、後述する図6に示す配置などが挙げられる。 本発明のインクジェット記録方法は、クリアインクを着色インクと同様に使用しても、下塗り層やオーバーコート層の形成に使用してもよい。 上記インクジェットにおけるノズル列の所定のピッチPで配置されたノズルの数は、2以上であれば特に制限はないが、4以上1,024以下であることが好ましく、8以上512以下であることがより好ましい。 本発明のインクジェット記録方法において使用されるインクジェットヘッドは、非撥液処理ノズルプレートを有するインクジェットヘッドであることが好ましい。 ピッチPで配置されたノズル列を有するノズルプレートとしては、公知のものを用いることができるが、例えば、米国特許第7,011,396号明細書、米国特許出願公開第2009/0290000号明細書等に記載されたインクジェットヘッドを好ましく用いることができる。このようなノズルプレートは、例えば、FUJIFILM Dimatix社製のピエゾ駆動方式によるオンデマンド・インクジェットヘッドに搭載されている。その具体例として、S−class、Q−class Sapphireが挙げられる。 上記ノズルプレートは、少なくとも記録媒体に対向する側の面の一部が非撥液処理(親インク処理)されたものであることがより好ましい。非撥液処理方法としては、公知の方法を用いることができ、限定されないが、例えば(1)シリコン製のノズルプレートの表面を熱酸化して酸化ケイ素膜を形成する方法、(2)シリコンやシリコン以外の酸化膜を酸化的に形成する方法、若しくは、スパッタリングにより形成する方法、(3)金属膜を形成する方法、が挙げられる。これらの方法の詳細については、米国特許出願公開第2010/0141709号明細書を参照することができる。 図4は、本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができる他のインクジェット記録装置の外観斜視図である。このインクジェット記録装置10は、紫外線硬化型インク(UV硬化インク)を用いて記録媒体12上にカラー画像を形成するワイドフォーマットプリンターである。ワイドフォーマットプリンターとは、大型ポスターや商業用壁面広告など、広い描画範囲を記録するのに好適な装置である。ここでは、A3ノビ以上に対応するものを「ワイドフォーマット」と呼ぶ。 インクジェット記録装置10は、装置本体20と、この装置本体20を支持する支持脚22とを備えている。装置本体20には、記録媒体(メディア)12に向けてインクを吐出するドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド24と、記録媒体12を支持するプラテン26と、ヘッド移動手段としてのガイド機構28及びキャリッジ30(走査手段の一例)が設けられている。 ガイド機構28は、プラテン26の上方において、記録媒体12の搬送方向(X方向、第1の方向)に直交し、かつプラテン26の媒体支持面と平行な走査方向(Y方向、第2の方向)に沿って延在するように配置されている。キャリッジ30は、ガイド機構28に沿ってY方向に往復移動可能に支持されている。キャリッジ30には、インクジェットヘッド24が搭載されるとともに、記録媒体12上のインクに紫外線を照射する仮硬化光源32A、32Bと、本硬化光源34A、34Bとが搭載されている。 仮硬化光源32A、32Bは、インクジェットヘッド24から吐出されたインク滴が記録媒体12に着弾した後に、隣接液滴同士が合一化しない程度にインクを仮硬化(半硬化)させるための紫外線を照射する光源である。本硬化光源34A、34Bは、仮硬化後に追加露光を行い、最終的にインクを完全に硬化(本硬化)させるための紫外線を照射する光源である。 なお、本発明における「半硬化」とは、インク組成物が硬化を開始してから完全硬化に至るまでの間の状態をいう。 また、本発明における「完全硬化」とは、インク組成物の内部及び表面が完全に硬化した状態をいう。具体的には、普通紙などの浸透媒体を押し当てて、浸透媒体にインク組成物が転写したかどうかによって判断することができる。すなわち、全く転写しない場合を完全に硬化した状態という。 キャリッジ30上に配置されたインクジェットヘッド24、仮硬化光源32A、32B及び本硬化光源34A、34Bは、ガイド機構28に沿ってキャリッジ30と共に一体的に(一緒に)移動する。 記録媒体12は、後述にても説明するが、紙、不織布、塩化ビニル、合成化学繊維、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ターポリンなど、材質を問わず、また、浸透性媒体、非浸透性媒体を問わず、様々な媒体を用いることができる。記録媒体12は、装置の背面側からロール紙状態(図5参照)で給紙され、印字後は装置正面側の巻き取りローラ(図4中不図示、図5の符号44)で巻き取られる(移動手段の一例)。プラテン26上に搬送された記録媒体12に対して、インクジェットヘッド24からインク滴が吐出され、記録媒体12上に付着したインク滴に対して仮硬化光源32A、32B、本硬化光源34A、34Bから紫外線が照射される。 図4において、装置本体20の正面に向かって左側の前面に、インクカートリッジ36の取り付け部38が設けられている。インクカートリッジ36は、紫外線硬化型インクを貯留する交換自在なインク供給源(インクタンク)である。インクカートリッジ36は、本例のインクジェット記録装置10で使用される各色インクに対応して設けられている。色別の各インクカートリッジ36は、それぞれ独立に形成された不図示のインク供給経路によってインクジェットヘッド24に接続される。各色のインク残量が少なくなった場合にインクカートリッジ36の交換が行われる。 また、図示を省略するが、装置本体20の正面に向かって右側には、インクジェットヘッド24のメンテナンス部が設けられている。該メンテナンス部には、非印字時におけるインクジェットヘッド24を保湿するためのキャップと、インクジェットヘッド24のノズル面(インク吐出面)を清掃するための払拭部材(ブレード、ウエブ等)が設けられている。インクジェットヘッド24のノズル面をキャッピングするキャップには、メンテナンスのためにノズルから吐出されたインク滴を受けるためのインク受けが設けられている。〔記録媒体搬送路の説明〕 図5は、インクジェット記録装置10における記録媒体搬送路を模式的に示す説明図である。図5に示すように、プラテン26は逆樋状に形成され、その上面が記録媒体12の支持面(「媒体支持面」という。)となる。プラテン26の近傍における記録媒体搬送方向(X方向)の上流側には、記録媒体12を間欠搬送するための記録媒体搬送手段である一対のニップローラ40が配設される。このニップローラ40は記録媒体12をプラテン26上でX方向へ移動させる。 ロール・ツー・ロール方式の媒体搬送手段を構成する供給側のロール(「送り出し供給ロール」という。)42から送り出された記録媒体12は、印字部の入り口(プラテン26の記録媒体搬送方向の上流側)に設けられた一対のニップローラ40によって、X方向に間欠搬送される。インクジェットヘッド24の直下の印字部に到達した記録媒体12は、インクジェットヘッド24により印字が実行され、印字後に巻き取りローラ44に巻き取られる。印字部の記録媒体搬送方向の下流側には、記録媒体12のガイド46が設けられている。 印字部においてインクジェットヘッド24と対向する位置にあるプラテン26の裏面(記録媒体12を支持する面と反対側の面)には、印字中の記録媒体12の温度を調整するための温調部50が設けられている。印字時の記録媒体12が所定の温度となるように調整されると、記録媒体12に着弾したインク液滴の粘度や、表面張力等の物性値が所望の値になり、所望のドット径を得ることが可能となる。なお、必要に応じて、温調部50の上流側にプレ温調部52を設けてもよいし、温調部50の下流側にアフター温調部54を設けてもよい。〔インクジェットヘッドの説明〕 図6は、キャリッジ30上に配置されるインクジェットヘッド24と仮硬化光源32A、32B及び本硬化光源34A、34Bの配置形態の例を示す平面透視図である。 インクジェットヘッド24には、CL(クリア)、W(ホワイト)、LM、K、C、M、Y、LCの各色のインク毎に、それぞれインクを吐出するためのノズル列61CL、61W、61LM、61K、61C、61M、61Y、61LC、61CL、61Wが設けられている。図6では、ノズル列を点線により図示し、簡略化して記載しており、各ノズル列のずれ及びノズルの個別の図示は省略されている。また、以下の説明では、ノズル列61CL、61W、61LM、61K、61C、61M、61Y、61LC、61CL、61Wを総称して、符号61を付してノズル列を表すことがある。 インク色の種類(色数)や色の組合せについては、図6に示す態様に限定されない。例えば、LC、LMのノズル列を省略する形態、CLやWのノズル列を省略する形態、特別色のインクを吐出するノズル列を追加する形態などが可能である。また、色別のノズル列のY方向の配置順序も特に限定はない。 色別のノズル列61毎にヘッドモジュールを構成し、これらを並べることによって、カラー描画が可能なインクジェットヘッド24を構成することができる。例えば、ノズル列61CL、61W、61LM、61K、61C、61M、61Y、61LCをそれぞれ有する各ヘッドモジュール24CL、24W、24LM、24K、24C、24M、24Y、24LCを、キャリッジ30のY方向に並ぶように等間隔に配置する態様も可能である。 色別のヘッドモジュール24CL、24W、24LM、24K、24C、24M、24Y、24LCを、それぞれ「インクジェットヘッド」と解釈することも可能である。あるいはまた、1つのインクジェットヘッド24の内部で色別にインク流路を分けて形成し、1ヘッドで複数色のインクを吐出するノズル列を備える構成も可能である。 各ノズル列61は、複数個のノズルが一定の間隔でX方向に沿って1列に(直線的に)並んだものとなっている。本例のインクジェットヘッド24は、各ノズル列61を構成するノズルの配置ピッチ(ノズルピッチ)が254μm(100dpi)、1列のノズル列61を構成するノズルの数は256ノズル、ノズル列61の全長Lw(「ノズル列の長さ」に相当、「ノズル列幅」という場合がある。)は約65mm(254μm×255=64.8mm)である。 また、ノズル列61LM、61K、61C、61M、61Y、61LCは、各ノズルがX方向にそれぞれずらして配置されており(不図示)、メディア搬送方向上流側から最も硬化感度の低いKインクを吐出するノズル列61K、2番目に硬化感度の低いYインクを吐出するノズル列61Y、の順に並んでいる。また、濃インクであるYインク、Cインク、Mインクのノズルの間に淡インクであるLMインク、LCインクのノズルが配置されている(不図示)。なお、硬化感度の低い濃インクほどメディア搬送方向上流側に配置してもよい。 また、吐出周波数は15kHzであり、駆動波形の変更によって10pl、20pl、30plの3種類の吐出液滴量を打ち分けることができる。すなわち、小ドット、中ドット、大ドットの3種類の大きさのドットを形成することができる。 インクジェットヘッド24のインク吐出方式としては、圧電素子(ピエゾアクチュエータ)の変形によってインク滴を飛ばす方式(ピエゾジェット方式)が採用されている。吐出エネルギー発生素子として、静電アクチュエータを用いる形態(静電アクチュエータ方式)の他、ヒータなどの発熱体(加熱素子)を用いてインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばす形態(サーマルジェット方式)を採用することも可能である。〔紫外線照射装置の配置について〕 図6に示したように、インクジェットヘッド24の走査方向(Y方向)の左右両脇に、仮硬化光源32A、32Bが配置される。更に、インクジェットヘッド24の記録媒体搬送方向(X方向)の下流側に本硬化光源34A、34Bが配置されている。 インクジェットヘッド24のノズルから吐出されて記録媒体12上に着弾したインク滴には、その直後にその上を通過する仮硬化光源32A(又は32B)によって仮硬化のための紫外線が照射される。また、記録媒体12の間欠搬送に伴ってインクジェットヘッド24の印字領域を通過した記録媒体12上のインク滴には、本硬化光源34A、34Bにより本硬化のための紫外線が照射される。 なお、仮硬化光源32A、32B、本硬化光源34A、34Bは、インクジェット記録装置10の印刷動作中は常時点灯していてもよいし、必要に応じて適宜点灯と消灯を制御してもよい。〔仮硬化光源の構成例について〕 図6に示したように、仮硬化光源32A、32Bは、それぞれ複数個のUV−LED素子33が並べられた構造を有している。2つの仮硬化光源32A、32Bは、共通の構成である。本例では、仮硬化光源32A、32Bとして、X方向に沿って6個のUV−LED素子33が1列に並べたLED素子配列を例示したが、LED素子数及びその配列形態はこの例に限定されない。例えば、複数個のLED素子をX/Y方向にマトリクス状に配置した構成も可能である。 この6個のUV−LED素子33は、インクジェットヘッド24のノズル列幅Lwと同じ幅の領域に対して一度にUV照射を行うことができるように並べられている。〔本硬化光源の構成例について〕 図6に示したように、本硬化光源34A、34Bは、それぞれ複数個のUV−LED素子35が並べられた構造を有している。2つの本硬化光源34A、34Bは、共通の構成である。図6の例では、本硬化光源34A、34Bとして、Y方向に6個、X方向に2個のUV−LED素子35がマトリクス状に配置されたLED素子配列(6×2)を例示している。 UV−LED素子35のX方向の配置は、後述するスワス幅と関連し、キャリッジ30の一度の走査において、ノズル列幅Lwのn分の1(nは正の整数)に対応する幅の領域に対して一度にUV照射を行うことができるように決められる。図6の例では、ノズル列幅Lwの1/2(n=2)の幅の領域を一度に照射可能にUV−LED素子35が配置されている。 なお、本硬化光源のLED素子数及びその配列形態は、図6の例に限定されない。また、仮硬化光源32A、32B、本硬化光源34A、34Bの発光源としては、UV−LED素子33、35に限らず、UVランプなどを用いることも可能である。〔作画モードについて〕 上記のごとく構成されたインクジェット記録装置10は、マルチパス方式の描画制御が適用され、印字パス数の変更によって印字解像度を変更することが可能である。例えば、高生産モード、標準モード、高画質モードの3種類の作画モードが用意され、各モードでそれぞれ印字解像度が異なる。印刷目的や用途に応じて作画モードを選択することができる。 高生産モードでは、600dpi(主走査方向)×400dpi(副走査方向)の解像度で印字が実行される。高生産モードの場合、主走査方向は2パス(2回の走査)によって600dpiの解像度が実現される。まず、1回目の走査(キャリッジ30の往路)では300dpiの解像度でドットが形成される。2回目の走査(復路)では、1回目の走査(往路)で形成されたドットの中間を300dpiで補間するようにドットが形成され、主走査方向について600dpiの解像度が得られる。 一方、副走査方向については、ノズルピッチが100dpiであり、1回の主走査(1パス)により副走査方向に100dpiの解像度でドットが形成される。したがって、4パス印字(4回の走査)により補間印字を行うことで400dpiの解像度が実現される。 なお、本明細書では、主走査方向のパス数と副走査方向のパス数との積を、その作画モードにおけるパス数と呼ぶ。したがって、高生産モードのパス数は、主走査2パス印字×副走査4パス印字=8パスとなる。 標準モードでは、600dpi×800dpiの解像度で印字が実行される。この解像度は、主走査方向は2パス印字、副走査方向は8パス印字とすることにより得られる。すなわち、標準モードのパス数は、主走査2パス印字×副走査8パス印字=16パスとなる。 また、高画質モードでは、1,200×1,200dpiの解像度で印字が実行され、主走査方向は4パス、副走査方向は12パスによりこの解像度を得ている。すなわち、高画質モードのパス数は、主走査4パス印字×副走査12パス印字=48パスとなる。 以上のように構成されたインクジェット記録装置10によれば、各色インクのヘッドをノズルピッチ内でそれぞれ記録媒体搬送方向にずらし、低感度のインクのヘッドほど記録媒体搬送方向上流側に配置し、低感度のインクほど下層に配置して記録することで、表面層の状態を常に一定にして光沢ムラを低減することができる。 上記の実施形態では、UV硬化インクを用いて画像を形成する例を用いて説明しているが、活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを用いた場合に適用することができる。例えば、X線、分子線、又はイオンビーム等により硬化するインクを用いることができる。<記録媒体> 本発明のインク組成物を適用し得る記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができる。 各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、OPS(二軸延伸ポリスチレン)フィルム、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルム、ONy(二軸延伸ナイロン)フィルム、PVC(ポリ塩化ビニル)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、TAC(セルローストリアセテート)フィルム等が挙げられる。 その他、記録媒体材料として用いることができるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリアセタール、PVA(ポリビニルアルコール)、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も記録媒体として使用可能である。 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。<化合物Aの合成> スターラーバーを備えた1L容の三口フラスコに、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(東京化成工業(株)製)121g(1モル当量)、50%水酸化カリウム水溶液84ml、トルエン423mlを加えて撹拌し、水浴下、反応系中を20〜25℃で維持し、アクリロニトリル397.5g(7.5モル当量)を2時間かけて滴下した。滴下後、1.5時間撹拌した後、トルエン540mlを反応系中に追加し、その反応混合物を分液漏斗へ移し水層を除いた。残った有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、セライト濾過を行い、減圧下溶媒留去することにより中間体(B):アクリロニトリル付加体を得た。得られた物質の1H−NMR、MSによる分析結果は既知物と良い一致を示したため、更に精製することなく次の還元反応に用いた。 1L容オートクレーブに先に得られた中間体(B)を24g、Ni触媒48g(ラネーニッケル2400、W.R.Grace&Co.社製)、25%アンモニア水:メタノール=1:1溶液600mlを入れ懸濁させ反応容器を密閉した。反応容器に10MPaの水素を導入し、反応温度を25℃で16時間反応させた。 原料の消失を1H−NMRにて確認し、反応混合物をセライト濾過し、セライトをメタノールで数回洗浄した。濾液を減圧下溶媒留去することにより中間体(C):アミン体を得た。得られた物質は更に精製することなく次の還元反応に用いた。 撹拌機を備えた2L容の三口フラスコに先に得られた中間体(C)30g、NaHCO3 120g(14モル当量)、ジクロロメタン1L、水50mlを加えて、氷浴下、アクリル酸クロリド92.8g(10モル当量)を3時間かけて滴下し、その後、室温(25℃)で3時間撹拌した。原料の消失を1H−NMRにて確認した後、反応混合物を減圧下溶媒留去し、硫酸マグネシウムで反応混合物を乾燥させ、セライト濾過を行い、減圧下溶媒留去した。最後に、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=4:1)にて精製することで、常温(25℃)で黄色の液体である化合物A(収率40%)を得た。得られた黄色の液体を、下記の測定条件にて、1H−NMR、13C−NMR、IR、MSにより同定した。1H−NMR 溶媒:重クロロホルム、内部標準:TMS(テトラメチルシラン)13C−NMR 溶媒:重クロロホルム、内部標準:TMS IR 銅箔上に塗布して反射スペクトルを測定し、吸光度に変換した。 MS 溶媒:メタノール/水=9/1、10mM CH3COONH4 化合物Aの構造を以下に示す。(各ミルベースの調製)<イエローミルベースの調製> ・イエロー顔料:NOVOPERM YELLOW H2G(クラリアント社製):30質量部・SR9003(プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート(ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、SARTOMER社製):30質量部・BYK168(分散剤、BYK Chemie社製):40質量部 上記の成分を撹拌し、イエローミルベースを得た。なお、顔料ミルベースの調製は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散することにより行った。<マゼンタミルベースの調製>・マゼンタ顔料:CINQUASIA MAGENTA RT−355D(チバ・ジャパン社製):30質量部・SR9003:30質量部・BYK168:40質量部 上記の成分を、イエローミルベースの調製と同様の分散条件で撹拌し、マゼンタミルベースを得た。<シアンミルベースの調製>・シアン顔料:IRGALITE BLUE GLVO(チバ・ジャパン社製):30質量部・SR9003:30質量部・BYK168:40質量部 上記の成分を、イエローミルベースの調製と同様の分散条件で撹拌し、シアンミルベースを得た。<ブラックミルベースの調製>・ブラック顔料:SPECIAL BLACK 250(チバ・ジャパン社製):30質量部・SR9003:30質量部・BYK168:40質量部 上記の成分を、イエローミルベースの調製と同様の分散条件で撹拌し、ブラックミルベースを得た。(実施例1〜29、及び、比較例1〜7)<インク組成物の作製方法> 表1に記載された各インク成分をミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて15分撹拌し、シアンのインク組成物1を得た。以下同様にして、表1〜表4に記載された組成の実施例2〜29、及び、比較例1〜7のインク組成物を得た。<インクジェット記録方法>−装置構成− 図2に示すように各色のノズル列がずらして配置されたインクジェットヘッドを備えた装置を使用した。また、各部の詳細は、以下の通りである。 イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色ヘッドはそれぞれ、ピエゾ型インクジェットヘッドQ−class Sapphire QS−256/10(FUJIFILM DIMATIX社製、ノズル数256個(100npi(nozzle per inch)、最小液滴量10pL、30kHz)を使用した。 光源は、仮硬化光源として図6(ただし、インクジェットヘッドにおける各色のノズル配置は図2に示すものとした。)に示されるように発光ダイオード(UV−LED、日亜化学工業(株)製NC4U134、波長385nm)を配置した光源を2個具備し、照度780mW/cm2であるものを使用し、本硬化光源として発光ダイオード(UV−LED、日亜化学工業(株)製NC4U134、波長385nm)を10個配置した光源を2個具備し、照度1,500mW/cm2であるものを使用した。 インク供給系は、インクパック、供給配管、脱気フィルターSEPAREL EF−G2(DIC(株)製)、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、脱気フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなり、脱気フィルター部分では0.5気圧まで減圧した。−画像形成− 上記構成の装置を用い、画像形成を実施した。なお、インク組成物の吐出に当たっては、吐出温度を調節して、吐出時の粘度の最適化を行った。また、吐出波形の最適化も実施した。その結果、いずれのインク組成物も良好に吐出できることを確認した。 描画条件は、以下の条件で行った。 インクジェットヘッドのスキャンスピード:1m/s 基材:UVグロスコート157(157g/cm2、UVGC760、グロス紙、桜井(株)製、厚さ150μm) 描画モード:1,200dpi×1,200dpi、12パス 画像:4カラー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)にて300%の網パーセントのグレー 各色のヘッド位置の相対関係:図2に示す各色ヘッドのノズル配置(なお、本実施例において、当該態様を「ノズルずらし実施」ともいう。)<臭気評価> フォトショップ(アドビシステムズ社製)にてC(シアン)=100、M(マゼンタ)=100、Y(イエロー)=100、K(ブラック)=100の4GCの画像データを作成し、この画像を実機プリンターで10cm×10cmのサイズで出力した。印刷条件は、600×500dpi、10パス、双方向印刷モードで、コート紙(UVグロスコート157、桜井(株)製)に対して出力した。印刷物はA4サイズにカットし、チャックつきビニール袋に入れ10分間放置後、チャックを開けた際の臭気を5段階評価した。なお、評価は10人の平均を採用した。平均値の小数点以下は四捨五入するものとする。 5:印刷物の臭気を感じない。 4:印刷物の臭気をごく僅か感じるが、ほとんど気にならない。 3:印刷物の臭気をわずかに感じるが、不快なレベルでない。 2:印刷物の臭気を感じる。 1:印刷物の臭気を強く感じる。<マイグレーション評価> フォトショップにてC=100、M=100、Y=100、K=100の4GCの画像データを作成し、この画像を実機プリンターで10cm×10cmのサイズで出力した。印刷条件は、600×500dpi、10パス、双方向印刷モードで、PET(Viewful TP85)に対して出力した。印刷物を水/メタノールの1/1溶液(ボリューム)に30分浸漬し、液体クロマトグラフィー(展開溶媒:水/メタノール=1/1、示差屈折率(RI)ディテクター)により測定を行った。その際、10ppm(パラオキシ安息香酸エステル)のスタンダードを添加し測定を行った。 5:検出される全ピーク面積が、内部標準のピーク面積に対し5%以下で問題ないレベル 4:検出される全ピーク面積が、内部標準のピーク面積に対し10%以下で問題ないレベル 3:検出される全ピーク面積が、内部標準のピーク面積に対し15%以下で問題ないレベル 2:検出される全ピーク面積が、内部標準のピーク面積に対し20%以下で実用上やや問題となるレベル 1:検出される全ピーク面積が、内部標準のピーク面積に対し20%以上で実用上問題となるレベル<画像のべたつき評価> フォトショップにてC=100、M=100、Y=100、K=100の4GCの画像データを作成し、この画像を実機プリンターで10cm×10cmのサイズで出力した。印刷条件は、600×500dpi、10パス、双方向印刷モードで、コート紙(UVグロスコート157、桜井(株)製)に対して出力した。印刷物を触診してべたつきの評価を行った。 5:印刷面にべたつきをまったく感じない 4:印刷面に極わずかにべたつきを感じるが、実用上問題とならない 3:印刷面にわずかにべたつきを感じるが、実用上問題とならない 2:印刷面にややべたつきを感じ、実用上やや問題となるレベル 1:印刷面にべたつきを感じ、実用上問題となるレベル<耐折り曲げ性評価> フォトショップにてC=100、M=100、Y=100、K=100の4GCの画像データを作成し、この画像を実機プリンターで10cm×10cmのサイズで出力した。印刷条件は、600×500dpi、10パス、双方向印刷モードで、ポリプロピレンシートに対して出力した。印刷物を両手の親指を1cm離した状態でつかみ、1秒あたり1回もむことで画像が割れはじめる回数で評価を行った。 5:10回もんでも画像は剥がれなかった。 4:8〜9回で画像が剥がれた。 3:5〜7回で画像が剥がれた。 2:2〜4回で画像が剥がれた。 1:1回で画像が剥がれた。 実施例1〜29、及び、比較例1〜7における評価結果を、表1〜表4にまとめて示す。 表1〜表4における、「単官能比率(インク組成物に対して)」の欄の数値は、インク組成物の全質量に対する単官能重合性化合物の総含有量を表し、「多官能比率(重合性化合物に対して)」は、インク組成物中に含まれる重合性化合物の全質量に対する多官能重合性化合物(成分A及び成分C)の総含有量を表し、「多官能比率(インク組成物に対して)」の欄の数値は、インク組成物の全質量に対する多官能重合性化合物(成分A及び成分C)の総含有量を表し、「好ましい多官能比率」の欄の数値は、インク組成物中に含まれる重合性化合物の全質量に対するドデカンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及び、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートの総含有量を表す。 また、実施例29においては、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のインク組成物をインクセットとして使用して上記と同様な方法によりフルカラー画像を形成し、評価を行った。 なお、前述した以外の表1〜表4に記載の略号等は、下記に示す通りである。<重合性化合物(モノマー)>・PEA:2−フェノキシエチルアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製SR339・CTFA:サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート(SR531、サートマー・ジャパン(株)製)・IBOA:イソボニルアクリレート(IBXA、大阪有機化学工業(株)製)・3−メチルペンタンジオールジアクリレート:3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製SR341・DDDA:1,12−ドデカンジオールジアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製CD262・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製SR351S・EOTMPTA:エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(トリメチロールプロパンエチレンオキサイド3モル付加物をトリアクリレート化した化合物)、サートマー・ジャパン(株)製SR454 D NS・DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製SR508・HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製SR238・SR−833:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製・NPGPODA:プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート(ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、サートマー・ジャパン(株)製SR9003・テトラメチロールメタンテトラアクリレート:ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学工業(株)製A−TMMT・ジメチルアミノプロピルアクリルアミド:3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、(株)興人製・ヒドロキシエチルアクリルアミド:2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、シグマアルドリッチジャパン(株)製・化合物A:上記で合成した化合物<光重合開始剤>・ESACURE KIP150:下記化合物、Lamberti社製・SPEEDCURE BCIM:2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、ランブソン社製、分子量660・SPEEDCURE 7005:1,3−ジ({α−2−(フェニルカルボニル)ベンゾイルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]}オキシ)−2,2−ビス({α−2−(フェニルカルボニル)ベンゾイルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]}オキシメチル)プロパンと{α−2−(フェニルカルボニル)ベンゾイルポリ(オキシエチレン)−ポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]−ポリ(オキシエチレン)}2−(フェニルカルボニル)ベンゾエートとの混合物、ランブソン社製、分子量1,196・SPEEDCURE 7010:1,3−ジ({α−[1−クロロ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イル]オキシ}アセチルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)])オキシ)−2,2−ビス({α−[1−クロロ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イル]オキシ}アセチルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)])オキシメチルプロパン、ランブソン社製、分子量1,899・SPEEDCURE 7040:1,3−ジ({α−4−(ジメチルアミノ)ベンゾイルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]}オキシ)−2,2−ビス({α−4−(ジメチルアミノ)ベンゾイルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]}オキシメチル)プロパンと{α−4−(ジメチルアミノ)ベンゾイルポリ(オキシエチレン)−ポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]−ポリ(オキシエチレン)}4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートとの混合物、ランブソン社製、分子量1,066・IRGACURE 184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、分子量204、BASFジャパン(株)製・DAROCUR TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、分子量348.4、BASFジャパン(株)製・IRGACURE 819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、分子量:418.46、BASFジャパン(株)製・ITX:イソプロピルチオキサントン、分子量212、ランブソン社製SPEEDCURE ITX<重合禁止剤>・FIRSTCURE ST−1:トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アルミニウム塩、Chem First社製)・MEHQ:ハイドロキノンモノメチルエーテル、東京化成工業(株)製・TEMPO:2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル 1−オキシル、東京化成工業(株)製・OH−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル、Evonik社製4−HYDROXY TEMPO<オリゴマー>・CN964 A85:ウレタンアクリレートオリゴマー、平均官能基数2、サートマー・ジャパン(株)製、重量平均分子量1,600〜1,800(式中、nは2以上の整数を表し、Rは末端基を表す。)(実施例30〜33) 実施例17〜20のインクジェットインク組成物をそれぞれ使用し、以下に示す評価方法により、インクパック保存安定性を評価した。なお、インクパックは、インク組成物50ccを最内層がポリオレフィンであるアルミ蒸着多層構造容器(パック)に、気体が封入されないように充填し作製した。評価結果を表5に示す。<インクパック保存安定性評価> インク組成物作製直後の粘度、顔料粒径を初期物性(基準)とし、インクパック作製後60℃で4週間経過した後のインク組成物の物性を経時後物性とした。 インク物性変化率={(経時後物性)/(初期物性)}×100として以下の評価でインクパック保存安定性を判断した。 粘度はE型粘度計を用いて25℃の条件にて測定した。なお、60℃で4週間経過後のインク組成物については、25℃に冷却して測定した。顔料粒径は、FPAR−1000(大塚電子(株)製)を用いて、希釈溶媒にメチルエチルケトンを使用し、適切な濃度に希釈して測定を行った。 5:粘度及び顔料粒径のいずれも、変化率が共に3%以内 4:粘度及び顔料粒径のいずれも、変化率が共に5%以内 3:粘度及び顔料粒径のいずれも、変化率が共に10%以内 2:粘度及び顔料粒径のいずれも、変化率が共に15%以内 1:粘度及び顔料粒径の変化率のいずれか又は両方が15%を超える 1:LED光源ユニット、2:不活性ガスブランケット、3:不活性ガス配管、4:不活性ガス発生装置、5,5’:支持体巻き取りロール、6:支持体、7:インクジェットヘッドユニット、10:インクジェット記録装置、12:記録媒体、20:装置本体、22:支持脚、24:インクジェットヘッド、26:プラテン、28:ガイド機構、30:キャリッジ、32A,32B:仮硬化光源、33,35:UV−LED素子、34A,34B:本硬化光源、36:インクカートリッジ、38:取り付け部、40:ニップローラ、42:送り出し供給ロール、44:巻き取りローラ、46:ガイド、50:温調部、52:プレ温調部、54:アフター温調部、61:ノズル列、110:インクジェットヘッド、112:ヘッド、114:ノズル (成分A)式(1)で表される化合物、 (成分B)分子量400以上2,000以下の光重合開始剤、及び、 (成分C)成分A以外の多官能重合性化合物、を含有し、 成分A及び成分Cの総含有量が、インク組成物中の重合性化合物の全質量に対し、80質量%以上であることを特徴とする インクジェットインク組成物。(式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、L1はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基を表し、また、L1において、L1の両端に結合する酸素原子と窒素原子とがL1の同一の炭素原子に結合した構造をとることはなく、L2はそれぞれ独立に、2価の連結基を表し、kはそれぞれ独立に、2又は3を表し、x、y及びzはそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、x+y+zは0〜18を満たす。) 成分Cが、ドデカンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及び、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含む、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。 ドデカンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及び、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートの総含有量が、インク組成物中の成分Cの全質量に対し、80質量%以上である、請求項2に記載のインクジェットインク組成物。 成分Aの含有量が、インク組成物の全質量に対し、1〜20質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。 成分A及び成分Cの総含有量が、インク組成物の全質量に対し、50質量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。 成分A及び成分Cの総含有量が、インク組成物の全質量に対し、70質量%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。 単官能重合性化合物を含有しないか、又は、単官能重合性化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、10質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。 成分Bが、α−ヒドロキシケトン化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。 食品パッケージ印刷用インクジェットインク組成物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。 (a1)記録媒体上に、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出する工程、及び、 (b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする インクジェット記録方法。 【課題】得られる画像の耐折り曲げ性に優れ、硬化後のインク膜中成分の外部への溶出量(マイグレーション)が少なく、得られる画像のべたつき及び臭気が少ないインクジェットインク組成物、並びに、前記インクジェットインク組成物を使用したインクジェット記録方法を提供すること。【解決手段】(成分A)式(1)で表される化合物、(成分B)分子量400以上2,000以下の光重合開始剤、及び、(成分C)成分A以外の多官能重合性化合物、を含有し、成分A及び成分Cの総含有量が、インク組成物中の重合性化合物の全質量に対し、80質量%以上であることを特徴とするインクジェットインク組成物。【選択図】なし