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タイトル:公開特許公報(A)_還元鉄の金属化率迅速測定方法
出願番号:2013122489
年次:2014
IPC分類:G01N 33/24


特許情報キャッシュ

市川 和平 廣森 幸徳 松田 荘市 物部 浩司 JP 2014240759 公開特許公報(A) 20141225 2013122489 20130611 還元鉄の金属化率迅速測定方法 JFEスチール株式会社 000001258 特許業務法人銀座マロニエ特許事務所 110001542 市川 和平 廣森 幸徳 松田 荘市 物部 浩司 G01N 33/24 20060101AFI20141128BHJP JPG01N33/24 A 5 OL 8 本発明は、製鉄所の高炉に用いるコークスや微粉炭の原単位削減のために使用する予備還元後の還元鉄鉱石の金属化率を迅速に測定する方法に関するものである。 近年、製鉄原料価格高騰により、高炉に用いるコークスや微粉炭の原単位削減が求められる。高炉に用いるコークスや微粉炭の原単位削減法として、非特許文献1に記載の鉄鉱石の予備還元プロセスが上げられる。非特許文献1によれば、予備還元鉱石の焼結鉱代替使用によりコークスや微粉炭の原単位削減が可能となることが示される。ここで、このような操業をおこなうに当たっては予備還元後の還元鉄鉱石の金属化率を正確に測定し、コークスや微粉炭の原単位を決定する必要がある。 一般的に金属化率の評価は、全鉄量および金属鉄量を測定すれば可能であり、JISに従って測定されることが多い。全鉄量はJIS M8212(鉄鉱石―全鉄定量方法)、金属鉄量はJIS M8213(鉄鉱石―酸可溶性鉄(II)定量方法)中のV.によるものであり、試料を酸と塩化スズに溶解して鉄を還元し、滴定により定量する必要がある。還元と滴定には多くの作業手順と溶液調整が発生し、JIS法に従うと正確に金属化率の測定が可能であるが、分析の結果が出るまでに、1週間を要する場合もある。 JIS法によらない還元鉄鉱石の金属化率測定方法として、特許文献1に記載の、ガス分析によるものが上げられる。特許文献1の方法は、分析されたガス中の酸素量を測定し、排出ガス中の酸素と投入ガス中酸素の差を、鉄鉱石の還元反応により除去された酸素とみなし、酸素量収支より還元鉄の金属化率を測定するものである。 また、電気を利用したものとして特許文献2および特許文献3に記載の方法が挙げられる。特許文献2の方法は、試料を充填した容器にコイルを設置し、そのコイルに誘導電流を流すことで電圧値および試料層の重量より還元鉄鉱石の金属化率を推定するものである。また特許文献3の方法は、粉砕した還元鉄鉱石とコークスの混合物のうち還元鉄鉱石の金属化率を、粉砕サンプルに電圧を印加した際の電気抵抗を測定することで推定するものである。特開昭52−020896号公報特開2002−088417号公報特開2011−246584号公報「鉄と鋼」、第52巻、第3号、313−316頁、1966年 ところで、高炉におけるコークスおよび微粉炭の原単位削減には、鉄鉱石の予備還元が有効な手段であるが、このような操業を行うには、予備還元後の鉄鉱石の金属化率の正確な測定が不可欠となる。 鉄鉱石の金属化率の評価は、全鉄量および金属鉄量を測定すれば可能であり、上述したようにJIS法に従って測定されることが多いが、試料を酸と塩化スズに溶解して鉄を還元し、滴定により定量する必要がある。還元と滴定には多くの作業手順と溶液調整が発生し、JIS法に従うと正確に金属化率の測定が可能であるが、分析の結果が出るまでに、1週間を要する場合もある。そのような場合、測定結果を直ちに操業に反映することができず、鉄鉱石の金属化率を反映した正確なコークスおよび微粉炭の原単位設計ができない。 特許文献1に記載の方法では、予備還元時のガスを分析し還元鉄鉱石の金属化率を推定するものであるから、予備還元後直ちに金属化率の推定が可能となる。しかし、得られる金属化率は予備還元を行ったサンプルの平均値となり、試料充填層中の予備還元率分布の測定は不可能であり、予備還元以降のプロセスに不適な金属化率を有するサンプルを取り除くことは不可能である。 特許文献2に記載の方法では、コイルの利用が挙げられるが、ペレットの利用に限定されている。形状の不均一な焼結鉱などの高炉原料では、形が不定形であることに起因する装入質量差により測定精度に誤差がでると考えられる。また粒子内の金属化率分布に起因して試料充填時に測定セル内に誘電率の分布が形成されることからも、測定誤差が増加すると考えられる。 特許文献3に記載の方法では、粉砕した還元鉄鉱石とコークスの混合物のうちの還元鉄鉱石の金属化率を、粉砕サンプルに電圧を印加した際の電気抵抗を測定することで推定するものであり、本手法でも還元鉄鉱石の金属化率が迅速に測定できるものと考えられる。しかし、本手法は電流値を測定するものであり、粉砕圧密試料中の予備還元鉱石が均一に分散し、その中を電流が流れる必要があることから、均一な粉砕圧密試料を装入する必要がある。そのためには粉砕圧密試料の性状、とりわけ空隙率が同程度となる試料を作製する必要がある。 本発明は前述の課題を有利に解決し、還元鉄の金属化率を迅速に測定する方法を提供することを目的とする。 前記目的を達成する本発明の還元鉄の金属化率迅速測定方法は、(1)還元鉄鉱石の金属化率を測定するに際し、試料を充填する円筒容器の外周にコイルを設け、前記試料を充填する円筒容器内に還元鉄鉱石の試料を充填した状態で、前記コイルに誘導電圧を付加したときの下記の(1)式より表されるそのコイルのインダクタンスLを測定し、還元鉄鉱石中の金属鉄と酸化鉄の透磁率μの違いに起因するインダクタンスLの違いを検知することで、還元鉄鉱石の金属化率の相関式より還元鉄鉱石の金属化率を測定することを特徴としている。 ここで、K:長岡係数[-]、μ:透磁率[H/m]、r:コイル半径 [m]、N:コイルの巻き数、l:コイル長さ[m]をそれぞれ表す。 なお、この発明の還元鉄の金属化率迅速測定方法においては、以下のようにすることが望ましい。(2)試料の金属化率として33〜100%の範囲を対象とする。(3)試料を充填する円筒容器に試料を充填するに際し、試料層の空隙率を一定に保つように試料層の粒径と圧密時の荷重とを調整する。(4)試料を充填する円筒容器に試料を充填するに際し、圧密荷重を20Mpa以上として圧密成型する。(5)試料を充填する円筒容器に試料を充填するに際し、試料粒径をセル直径の0.1倍未満に粉砕する。 この発明の還元鉄の金属化率迅速測定方法によれば、試料の前処理として粉砕を行うのみで還元鉄の金属化率を迅速に測定することができ、これにより予備還元プロセス後の操業設計に測定結果を反映することができる。本発明の還元鉄の金属化率迅速測定方法の一実施形態を用いた金属化率測定装置の構成例を示す略線図である。上記金属化率測定装置で金属化率100%の還元鉄鉱石を測定したときのインダクタンスと空隙率との関係を示す関係線図である。金属化率100%かつ、粒径100μm以下に整粒した還元鉄鉱石の充填層空隙率と圧密成形時の荷重との関係を示す関係線図である。金属化率100%かつ、圧密荷重20MPaで成形した還元鉄鉱石の充填層空隙率と粉砕した試料の算術平均粒径との関係を示す関係線図である。圧密荷重20MPaで成形し、試料粒径をセル直径の0.1倍未満に粉砕した還元鉄鉱石について測定したインダクタンスと化学分析により求めた金属化率との関係を示す関係線図である。図5で得た回帰線から推定した金属化率と、同一サンプルの化学分析により得た金属化率との関係を示す関係線図である。 以下、この発明の実施の形態を図面に基づく実施例によって詳細に説明する。ここに、図1は、本発明の還元鉄の金属化率迅速測定方法の一実施形態を用いた金属化率測定装置の構成例を示す略線図であり、図示のようにこの金属化率測定装置は、試料を充填する円筒容器である塩化ビニール製の高さ95mmで内径10mmの円筒状の測定セル1の下端部に樹脂を充填し、その測定セル1の上下端部に互いに60mmの間隔を空けて塩化ビニール製の環状のエンドグリップ2を嵌着し、それらのエンドグリップ2の間にて測定セル1の外周に直径0.2mmのエナメル線を100重巻きに巻着してコイル3を形成し、そのコイル3の両端部からの引き出し線を図示しない市販の通常のLCRメーターに接続して、コイル3のインダクタンスを測定可能としたものである。 かかる金属化率測定装置を用いて実施するこの実施形態の還元鉄の金属化率迅速測定方法では、酸化鉄および金属鉄の少なくとも一方を主成分とし、他は鉱石由来の不純物からなる還元鉄鉱石の金属化率を測定する際、その還元鉄からなる試料Sを上端まで充填した測定セル1を囲繞するコイル3のインダクタンスをLCRメーターで測定することにより、上記還元鉄の金属化率を測定する。ここで、試料Sの金属化率としては、33〜100%の範囲を対象とし、測定セル1に試料Sを充填するに際しては、試料Sを圧密荷重20MPa以上で圧密成型し、試料Sを測定セル1の直径の0.1倍未満の粒径に粉砕する。 すなわち、本発明の金属化率迅速測定方法は、金属鉄と酸化鉄との透磁率μの違いに起因するインダクタンスLの違いを検知するものであるところ、33%未満の低還元率の試料というのは、ほとんど金属鉄を有しないことから測定困難となる。それゆえこの実施形態では、金属化率として33〜100%の範囲を測定対象としている。 図2は、試料Sとして金属化率100%の還元鉄鉱石を用いたときのコイル3のインダクタンスと測定セル1内の試料Sの充填層空隙率との関係をあらわすグラフである。この図から明らかなように、充填層空隙率とインダクタンスには相関があるため、正確な測定を実施するには測定セル1内の試料Sの充填層空隙率をほぼ一定に保つ必要がある。 図3は、試料Sとして金属化率100%かつ、粒径を100μm以下に整粒した還元鉄鉱石を用いたときの測定セル1内の試料Sの充填層空隙率と試料Sの圧密成型時の荷重との関係を表すグラフである。この結果から明らかなように、圧密荷重20MPa以上のときに空隙率が概ね一定となった。よって圧密荷重は20MPa以上とすることが望ましい。 図4は、試料Sとして金属化率100%かつ、圧密荷重20MPaで圧密成型した還元鉄鉱石を用いたときの測定セル1内の試料Sの充填層空隙率と粉砕した試料Sの算術平均粒径との関係を表すグラフである。この結果から、試料粒径をセル直径の0.1倍未満に粉砕することで概ね空隙率を一定とすることができることがわかる。 図5は、試料Sとして圧密荷重20MPaで圧密成型し、粒径をセル直径の0.1倍未満に粉砕した還元鉄鉱石を用いて測定したコイル3のインダクタンスと、その試料Sの化学分析より求めた金属化率との関係をあらわす図である。この図から明らかなように、インダクタンスと化学分析より求めた金属化率とは良い相関を示した。 そして図6は、図5で得た回帰線によりインダクタンスから推定した金属化率と、そのインダクタンスから金属化率を推定した試料Sと同一サンプルの化学分析より得た金属化率とを比較して示す図である。インダクタンスと金属化率との関係より推定した金属化率は、化学分析より得た金属化率と比較して最大誤差が2%程度にとどまった。従って、この実施形態の方法を用いることで、還元鉄鉱石の精度のよい金属化率の推定が可能であると考えられる。 以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限られるものでなく、所要に応じて特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば、測定セル1やコイル2等の寸法、形状は、上記図示例のものから適宜変更することができる。 かくしてこの発明の還元鉄の金属化率迅速測定方法によれば、試料の前処理として粉砕を行うのみで還元鉄の金属化率を迅速に測定することができ、これにより予備還元プロセス後の操業設計に測定結果を反映することができる。 1 測定セル 2 エンドグリップ 3 コイル S 試料 還元鉄鉱石の金属化率を測定するに際し、 試料を充填する円筒容器の外周にコイルを設け、 前記試料を充填する円筒容器内に還元鉄鉱石の試料を充填した状態で、前記コイルに誘導電圧を付加したときの(1)式より表されるそのコイルのインダクタンスLを測定し、 還元鉄鉱石中の金属鉄と酸化鉄の透磁率μの違いに起因するインダクタンスLの違いを検知することで、還元鉄鉱石の金属化率の相関式より還元鉄鉱石の金属化率を測定することを特徴とする還元鉄の金属化率迅速測定方法。 ここで、K:長岡係数[-]、μ:透磁率[H/m]、r:コイル半径 [m]、N:コイルの巻き数、l:コイル長さ[m]をそれぞれ表す。 前記試料の金属化率として33〜100%の範囲を対象とすることを特徴とする、請求項1記載の還元鉄の金属化率迅速測定方法。 前記試料を充填する円筒容器に前記試料を充填するに際し、試料層の空隙率を一定に保つように試料層の粒径と圧密時の荷重とを調整することを特徴とする、請求項1または2記載の還元鉄の金属化率迅速測定方法。 前記試料を充填する円筒容器に前記試料を充填するに際し、圧密荷重を20Mpa以上として圧密成型することを特徴とする、請求項1から3までの何れか1項記載の還元鉄の金属化率迅速測定方法。 前記試料を充填する円筒容器に前記試料を充填するに際し、試料粒径をセル直径の0.1倍未満に粉砕することを特徴とする、請求項1から4までの何れか1項記載の還元鉄の金属化率迅速測定方法。 【課題】試料の前処理として粉砕を行うのみで還元鉄の金属化率を迅速に測定し得るようにして、予備還元プロセス後の操業設計に測定結果を反映できる測定方法を提供する。【解決手段】還元鉄鉱石の金属化率を測定するに際し、試料を充填する円筒容器の外周にコイルを設け、前記試料を充填する円筒容器内に還元鉄鉱石の試料を充填した状態で、前記コイルに誘導電圧を付加したときの(1)式より表されるそのコイルのインダクタンスLを測定し、還元鉄鉱石中の金属鉄と酸化鉄の透磁率μの違いに起因するインダクタンスLの違いを検知することで、還元鉄鉱石の金属化率の相関式より還元鉄鉱石の金属化率を測定することを特徴とする還元鉄の金属化率迅速測定方法。ここで、K:長岡係数[-]、μ:透磁率[H/m]、r:コイル半径[m]、N:コイルの巻き数、l:コイル長さ[m]をそれぞれ表す。【選択図】なし


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