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タイトル:公開特許公報(A)_MALDI質量分析方法
出願番号:2013118806
年次:2014
IPC分類:G01N 27/64,G01N 27/62


特許情報キャッシュ

関谷 禎規 JP 2014235149 公開特許公報(A) 20141215 2013118806 20130605 MALDI質量分析方法 株式会社島津製作所 000001993 特許業務法人京都国際特許事務所 110001069 関谷 禎規 G01N 27/64 20060101AFI20141118BHJP G01N 27/62 20060101ALI20141118BHJP JPG01N27/64 BG01N27/62 V 3 3 OL 9 2G041 2G041CA01 2G041DA04 2G041FA10 2G041JA07 2G041JA08 本発明は、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI=Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)法によるイオン源を搭載した質量分析装置を用いた質量分析方法に関する。 質量分析装置のイオン化法の一つとしてMALDI法がよく知られている。MALDI法は、レーザ光を吸収しにくい物質や、タンパク質などレーザ光で損傷を受けやすい物質を分析するために、レーザ光を吸収し易く且つイオン化し易い物質をイオン化補助剤(マトリクス)として測定対象物質に予め混合したサンプルを調製しておき、このサンプルにレーザ光を照射することで測定対象物質をイオン化する手法である。 MALDI法によるイオン化は一般にソフトなイオン化であると言われ、イオン化に際してイオンの解離を生じにくいが、例えばレーザ光強度を高める等、イオン化の際のエネルギを高めることで、測定対象物質由来のイオンの解離が促進されることが知られている。このようなイオン化と同時に又はイオン化の直後にイオンを解離させる手法を、インソース分解(In-Source Decay=ISD)という。衝突誘起解離と同様にインソース分解では、元のイオンから様々な態様で解離したイオン(フラグメントイオン)が生成されるため、そうしたイオンを質量分析してその構造を調べることで、元のイオンの構造の推定が可能となる。こうした手法は、タンパク質やペプチド、糖鎖、核酸などの生体由来の高分子化合物の同定や構造解析に特に有用である。 なお、以下の説明では、MALDIイオン源におけるインソース分解を利用した質量分析方法を「MALDI−ISD分析」と称す。 上述したようにMALDI−ISD分析では、インソース分解によって生じた各種イオンの質量分析を行うことから、インソース分解におけるイオン解離効率ができるだけ高いことが望ましい。タンパク質やペプチドを対象としたMALDIイオン源におけるインソース分解では、マトリクスに、ピコリン酸や硫酸アンモニウムなどの添加剤を加えることによって、インソース分解による解離が促進されることが報告されている(非特許文献2〜4参照)。非特許文献1で報告されているように、MALDI−ISD分析では、レーザ光の照射によってマトリクスから発生した水素ラジカルによりペプチド主鎖のN-Cα結合の開裂が誘起され、主としてc系列イオン及びこれと対になるz系列イオンが生成する。上記のようにマトリクスに添加剤を加えると、マトリクスからの水素ラジカルの発生が盛んになり、その結果、インソース分解が促進されると考えられる。 しかしながら、MALDI−ISD分析においてインソース分解を促進させる上記従来の手法はその対象がタンパク質、ペプチドなどに限られ、糖鎖などの糖関連物質にはあまり有効ではない。こうしたことから、糖関連物質についても、簡便な作業で且つできるだけ低廉なコストで、インソース分解におけるイオン解離効率の向上を図ることができる手法の開発が要望されている。高山光男、「各種質量分析分解法におけるインソース分解の特徴−Hydrogen-Attachment Dissociation(HAD)」、日本質量分析学会誌、第50巻、第6号、2002年、pp.337-349ケビン・デムール(Kevin Demeure)、ほか3名、「レイショナル・セレクション・オブ・ジ・オプティマム・マルディ・マトリクス・フォー・トップ-ダウン・プロテオミクス・バイ・イン-ソース・ディケイ(Rational Selection of the Optimum MALDI Matrix for Top-Down Proteomics by In-Source Decay)」、アナリティカル・ケミストリ(Analytical Chemistry)、79巻、第22号、2007年、pp.8678-8685リサ・エー・マルズィルリ(Lisa A. Marzilli)、ほか3名、「ペプタイド。シーケンス・インフォメーション・デライブド・バイ・プロナーゼ・ディジェスション・アンド・アンモニウム・サルフェイト・イン-ソース・ディケイ・マトリクス-アシステッド・レーザ・デソープション/イオナイゼイション・タイム-オブ-フライト・マス・スペクトロメトリ(Peptide Sequence Information Derived by Pronase Digestion and Ammonium Sulfate In-Source Decay Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization Time-of-Flight Mass Spectrometry)」、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ソサイエティ・フォー・マス・スペクトロメトリ(Journal of the American Society for Mass Spectrometry)、11巻、第11号、2000年、pp.1000-1008アリス・デルボルブ(Alice Delvolve)、ほか1名、「アンモニウム・サルフェイト・アンド・マルディ・イン-ソース・ディケイ:ア・ウィニング・コンビネーション・フォー・シーケンシング・ペプタイド(Ammonium Sulfate and MALDI In-Source Decay: A Winning Combination for Sequencing Peptide)」、アナリティカル・ケミストリ(Analytical Chemistry)、81巻、第23号、2009年、pp.9858-9589 本発明はこうした点に鑑みて成されたものであり、その主な目的は、糖関連物質に対するインソース分解におけるイオン解離効率を向上させることで、そうした物質の構造解析や同定の正確性を高めることができるMALDI質量分析方法を提供することにある。 上記課題を解決するために成された本発明は、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)イオン源を有する質量分析装置を用い、糖関連物質に対する質量分析を行う質量分析方法であって、 糖関連物質である測定対象物質、マトリクス、及び、炭素系物質が混合したサンプルを調製し、該サンプルに対し前記MALDIイオン源においてレーザ光を照射し、前記測定対象物質をイオン化するとともにインソース分解によりイオンの解離を促進させ、少なくともそれにより生成されたフラグメントイオンを質量分析することを特徴としている。 ここで、糖関連物質とは、糖鎖、ラベル化糖鎖、糖ペプチド、糖脂質などを含む。 また、マトリクスとしては、MALDIイオン源において糖関連物質をイオン化するために通常使用される種類の固体マトリクス又は液体マトリクスを用いることができる。 また、炭素系物質としては、炭素からなる、様々な結晶構造の物質を用いることができ、具体的には、フラーレン、グラファイト、カーボンナノチューブなどを含む。 本発明に係るMALDI質量分析方法においては例えば、質量分析に供されるサンプルを調製するために、測定対象物質と液体状である上記マトリクスとの混合物をサンプルプレート上に滴下し、その液滴の乾燥前に、飽和状態までフラーレン等の炭素系物質を溶解させた溶液をその液滴に重層して乾燥させる手順を採るものとすることができる。 本願発明者が行った各種実験によると、フラーレン等の炭素系物質を加えてサンプルを調製することにより、少なくとも糖関連物質に特異的に、インソース分解におけるイオン解離効率が向上し、様々なフラグメントイオンが十分な強度で観測される。 したがって、本発明に係るMALDI質量分析方法によれば、糖関連物質に対するMALDI−ISD分析で得られたISDマススペクトルから、元の糖関連物質の部分的な構造情報を得ることができ、それによって元の糖関連物質の化学構造の推定精度や該物質の同定精度を向上させることができる。 また、測定する糖関連物質の量自体を減らしても、インソース分解における解離で生成された各種イオンを観測することが可能となるので、微量しか用意できない試料や高価な試料に対する解析を行うときにも有益である。本発明に係るMALDI質量分析方法におけるサンプル調製の手順を示すフローチャート。実験に用いた、糖鎖(A2-Glycan)、アミノピリジン標識糖鎖(PA-023)、及びヒトトランスフェリン由来糖ペプチド(Tf-GP1)の化学構造を示す図。DHBマトリクスを用いた糖鎖(A2-Glycan)のISDマススペクトル(フラーレン/グラファイト非添加及びフラーレン添加)の一例を示す図。DHBマトリクスを用いた糖鎖(A2-Glycan)のISDマススペクトル(グラファイト添加)の一例を示す図。DHBマトリクスを用いたアミノピリジン標識糖鎖(PA-023)のISDマススペクトル(フラーレン非添加及びフラーレン添加)の一例を示す図。DHBマトリクスを用いた糖ペプチド(Tf-GP1)のISDマススペクトル(フラーレン非添加及びフラーレン添加)の一例を示す図。DHBマトリクスを用いたペプチド(ACTH18-39)のISDマススペクトル(フラーレン非添加及びフラーレン添加)の一例を示す図。CHCAマトリクスを用いたペプチド(ACTH18-39)のISDマススペクトル(フラーレン非添加及びフラーレン添加)の一例を示す図。 本発明に係るMALDI質量分析方法の一実施例について、添付図面を参照して説明する。 [1]サンプルの調製手順 サンプルプレートに形成されたウェル上で、糖鎖などの糖関連物質である測定対象物質、マトリクス、及び、フラーレン等の炭素系物質が混合したサンプルを調製できさえすれば、その調製手法や手段は特に問わない。ここで「混合」とは、測定対象物質、マトリクス、及び、炭素系物質が均一に混合した状態に限らず、サンプルウェル上の一部において、測定対象物質、マトリクス、及び炭素系物質が混合した状態も含まれる。 一例として、以下の重層法によりサンプルを調製することができる。図1は重層法によるサンプル調製手順の一例を示すフローチャートである。以下、炭素系物質として、フラーレンを例に挙げて説明を行うが、炭素系物質はこれに限定されず、上述の通り、炭素からなる、様々な結晶構造の物質に代えることができる。 まず、1乃至複数の測定対象物質を含む試料溶液とマトリクス溶液とを混合し、これをサンプルプレート上に形成されているウェルに滴下する(ステップS1)。測定対象物質は、糖鎖、ラベル化糖鎖、糖ペプチド、糖脂質など糖関連物質全般である。また、試料溶液及びマトリクス溶液の溶媒としては、一般に使用される溶媒を用いればよく、例えば、アセトニトリル−TFA(トリフルオロ酢酸)水溶液、アセトニトリル水溶液、TFA水溶液などを用いることができる。 通常はウェルに滴下された混合液を乾化させることでサンプルを調製する。それに対し、ここでは、サンプルプレート上の混合液が乾燥する前に、その液滴上にフラーレンの飽和溶液を滴下又は吹き掛けることで該溶液を重層する(ステップS2)。フラーレンとしては、一般にフラーレンと呼ばれるC60のほか、C70、C74、C76、C78などの高次フラーレン(炭素5員環及び6員環からなるクラスタ)でもよい。また、フラーレンの飽和溶液の溶媒としてはフラーレンを溶解することができる有機溶媒であればよく、例えばトルエンなどを用いることができる。 上記のようにフラーレン飽和溶液を重層した後、例えば適度な温度を加える又は乾燥した空気流を当てることで、液滴を乾化させる(ステップS3)。 フラーレンは試料溶液及びマトリクス溶液には難溶解であるものの、上記のような重層法を採ることによって、測定対象物質、マトリクス、及びフラーレンが適度に混合したサンプルを簡便に且つ効率良く調製することができる。 また、ここで、フラーレン飽和溶液の代わりにフラーレンの懸濁液を用いることもできる。この場合、溶媒はフラーレン難溶性であってもよく、ウェルへの滴下前にボルテックスミキサー等を用いて懸濁操作を行い、懸濁状態を保ったまま滴下を行うようにすればよい。 上記重層法以外にも、様々な方法でサンプルの調製が可能である。 例えば、1乃至複数の測定対象物質を含む試料溶液とマトリクス溶液とを混合した溶液に、適量のフラーレンを添加する。そして、この測定対象物質、マトリクス、フラーレンを含む混合液に対し懸濁操作を行った後、フラーレンの懸濁状態を保ったままウェルへの滴下を行い、乾化させる。これにより、上記重層法と同様のサンプルを得ることができる。 また、重層法における上記ステップS1の作業の後、ウェルに滴下された混合液を乾化する前に、粉体噴霧器具を用いてフラーレンを測定対象物質/マトリクス混合液の液滴上に粉体のまま吹き掛ける。その後に、液滴を乾化させる。これによっても、上記重層法と同様のサンプルを得ることができる。 [2]実験例 本実施例のMALDI質量分析方法の効果を実証するために実施した実験の条件は以下のとおりである。 (1)試料(測定対象物質): (A) 糖鎖(A2-Glycan) (B) アミノピリジン標識糖鎖(PA-023) (C) 糖ペプチド(Tf-GP1:ヒトトランスフェリン由来) (D) ペプチド:副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)のフラグメント(ACTH18-39) (2)マトリクス: (A) 10mg/mL DHBマトリクス(50% アセトニトリル/0.1% TFA溶液(体積基準)で調製) (B) 10mg/mL CHCAマトリクス(50% アセトニトリル/0.1% TFA溶液(体積基準)で調製) (3)炭素系物質: (A) フラーレンC60飽和溶液(100%トルエンで調製) (B) グラファイト懸濁溶液(100%トルエンで調製) (4)サンプルプレート:ステンレス製2[mm]厚プレート (5)測定装置:島津製作所製「AXIMA(登録商標)-Performance」MALDI飛行時間型質量分析計 ・MALDIイオン源のレーザ光源:紫外レーザ波長:337[nm] ・質量分析条件:リニアモード/正イオンモード ここで用いた、糖鎖(A2-Glycan)、アミノピリジン標識糖鎖(PA-023)、及びヒトトランスフェリン由来糖ペプチド(Tf-GP1)の化学構造を図2に示す。これら物質はいずれも同様の構造の糖を含むことが分かる。 上述したように、糖関連物質として、糖鎖、ピリジルアミノ(PA)化糖鎖、糖ペプチドの3種類について測定を行うとともに、評価対象の物質として糖関連物質ではないペプチドについて測定を行った。マトリクスとして、糖鎖等を質量分析する際に一般的に使用されているDHBを用い、照射するレーザ光のパワーは、通常の(つまりはインソース分解を行わない場合の)マススペクトル取得に最適なレーザパワーよりも高くし、インソース分解によるフラグメントイオンの信号強度ができるだけ高くなるように最適なレーザパワーに適宜設定した。こうして得られたマススペクトル(主としてインソース分解によるフラグメントイオン由来のピークが現れているので「ISDマススペクトル」という)の一例を、図3〜図6に示す。 図3及び図4はDHBマトリクスを用いた糖鎖(A2-Glycan)のISDマススペクトルの一例であり、図5はDHBマトリクスを用いたアミノピリジン標識糖鎖(PA-023)のISDマススペクトルの一例であり、図6はDHBマトリクスを用いた糖ペプチド(Tf-GP1)のISDマススペクトルの一例である。 図3(a)に示したフラーレン/グラファイトを添加しない状態(従来の一般的な状態)における糖鎖(A2-Glycan)のISDマススペクトルでは、インソース分解による解離を生じていないインタクトイオンであるナトリウム付加イオン([M+Na]+など)が優位に検出され、インタクトイオンに対するフラグメントイオンの生成量はかなり少ないことが分かる。これに対し、図3(b)に示したフラーレンを添加した状態のISDマススペクトルでは、インタクトイオンは殆ど検出されず、代わりに多数のフラグメントイオンが検出されていることが分かる。 一方、図4に示したグラファイトを添加した状態におけるISDマススペクトルでも、フラーレン添加時ほどではないものの、フラーレン/グラファイト非添加時に比べればフラグメントイオンの生成量が増加していることが確認できる。これら結果から、マトリクスにフラーレンやグラファイトなどの炭素系物質を添加すると、その程度には差があるものの、ISD分解によるイオンの解離が促進されることが分かる。 また図5及び図6に示したアミノピリジン標識糖鎖(PA-023)及び糖ペプチド(Tf-GP1)に対するISDマススペクトルにおいても、フラーレンを添加することでインタクトイオンに対するフラグメントイオンの生成量が大幅に増加することが確認される。即ち、単純な糖鎖のみならず、PA化糖鎖や糖ペプチドでも、ISD分解によるイオンの解離促進という同様の効果があることが分かる。これら物質についてグラファイトを用いた実験は行っていないものの、糖鎖に対する結果と同様の結果になると容易に推測し得る。 これに対し、測定対象物質として糖関連物質ではないペプチドを用い、マトリクスにはペプチドの質量分析に一般的に用いられているDHBを用いてISDマススペクトルを取得したところ、図7に示す結果となった。また、同じ測定対象物質についてマトリクスとしてCHCAを用いてISDマススペクトルを取得したところ、図8に示す結果となった。図7、図8から明らかなように、ペプチドに対してはフラーレンを添加したことによるインソース分解のイオン解離促進効果は特に見られない。このことから、フラーレンやグラファイトなどの炭素系物質を添加したことによるインソース分解のイオン解離促進効果は糖関連物質に対して特有であるということができる。 以上の実験結果から、糖関連物質に対しMALDI−ISD分析を行う際に、マトリクスにフラーレンやグラファイトなどの炭素系物質を添加することによって、インソース分解のイオン解離が促進され、炭素系物質を添加しない場合に比べて多数のフラグメントイオンが生成されることが確認できる。これらフラグメントイオンは解離前のイオンの構造情報を有しているから、フラグメントイオンの種類と量とが増えることで、元のイオンに関するより多くの構造情報が得られることになり、それら情報に基づいて元のイオンの構造の推定が容易になる。 なお、上述したように、フラーレンを添加した場合、インタクトイオンは殆ど観測されなくなるため、インタクトイオンの情報自体はISDマススペクトルから得られなくなる可能性がある。そこで、実際の分析においては、同一の測定対象物質について、マトリクスにフラーレンを添加したサンプルとフラーレンを添加しないサンプルとを用意し、それら両方のサンプルについて質量分析(MALDI−ISD分析)を実行してデータを収集し、それらデータをともに利用して解析を行うとよい。 なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜、変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。 マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)イオン源を有する質量分析装置を用い、糖関連物質に対する質量分析を行う質量分析方法であって、 糖関連物質である測定対象物質、マトリクス、及び、炭素系物質が混合したサンプルを調製し、該サンプルに対し前記MALDIイオン源においてレーザ光を照射し、前記測定対象物質をイオン化するとともにインソース分解によりイオンの解離を促進させ、少なくともそれにより生成されたフラグメントイオンを質量分析することを特徴とするMALDI質量分析方法。 請求項1に記載のMALDI質量分析方法であって、 前記炭素系物質はフラーレンであることを特徴とするMALDI質量分析方法。 請求項1に記載のMALDI質量分析方法であって、 前記炭素系物質はグラファイトであることを特徴とするMALDI質量分析方法。 【課題】糖鎖等の糖関連物質に対しインソース分解におけるイオン解離効率を向上させて構造解析の精度を改善する。【解決手段】糖関連物質を質量分析する際にマトリクスとして一般に使用されるDHBにフラーレン等の炭素系物質を添加したマトリクスを用いてサンプルを調製し、このサンプルに対しパワーを上げたレーザ光を照射してMALDI−ISD分析を実施する。フラーレンを添加しない場合には解離しないインタクトイオンが高い強度で観測され、それに比べてフラグメントイオンは殆ど観測されない。これに対し、フラーレンを添加することで、インタクトイオンは殆ど観測されなくなり、その代わりに様々なフラグメントイオンが十分な強度で観測されるようになる。このようなISDマススペクトルを取得することで、元の物質の部分構造の情報が十分に得られ、元の物質の構造推定が容易になる。【選択図】図3


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