タイトル: | 公開特許公報(A)_低酸素または虚血に伴う眼疾患用組成物 |
出願番号: | 2013116132 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07D 277/20,C07D 277/46,A61K 31/426,A61P 43/00,A61P 9/10,A61P 27/02,A61P 7/02,A61P 3/00,A61P 9/00 |
真島 行彦 黒野 直美 吉川 奈美 JP 2013163701 公開特許公報(A) 20130822 2013116132 20130531 低酸素または虚血に伴う眼疾患用組成物 株式会社アールテック・ウエノ 592060271 高島 一 100080791 土井 京子 100125070 鎌田 光宜 100136629 田村 弥栄子 100121212 山本 健二 100122688 村田 美由紀 100117743 真島 行彦 黒野 直美 吉川 奈美 JP 2007166989 20070625 C07D 277/20 20060101AFI20130726BHJP C07D 277/46 20060101ALI20130726BHJP A61K 31/426 20060101ALI20130726BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130726BHJP A61P 9/10 20060101ALI20130726BHJP A61P 27/02 20060101ALI20130726BHJP A61P 7/02 20060101ALI20130726BHJP A61P 3/00 20060101ALI20130726BHJP A61P 9/00 20060101ALI20130726BHJP JPC07D277/46A61K31/426A61P43/00 111A61P9/10A61P27/02A61P7/02A61P3/00A61P9/00 3 2009520615 20080625 OL 24 4C033 4C086 4C033AD15 4C033AD17 4C033AD20 4C086AA01 4C086AA02 4C086AA03 4C086BC82 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA33 4C086ZA36 4C086ZA54 4C086ZC20 4C086ZC21 本発明は、低酸素または虚血に伴う眼疾患用組成物および血管新生抑制剤に関する。 血管接着タンパク質−1(vascular adhesion protein−1)(以下、VAP−1と略記する)は、ヒト血漿中に豊富に存在するアミンオキシダーゼ(セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ、SSAO)であり、炎症部位の血管内皮および血管平滑筋中で、その発現が顕著な増加を示す。VAP−1の生理的な役割は最近まで解明されていないが、VAP−1遺伝子が1998年にクローン化され、また、VAP−1は、炎症性サイトカインの発現の制御下で、接着分子としてリンパ球及びNK細胞のローリングおよびマイグレーションを制御する膜タンパク質であることが報告されている。基質となるアミンは未知であるが、生体内の任意の部位で生成したメチルアミンであると考えられる。分子中のアミンオキシダーゼ活性に起因して生じる過酸化水素およびアルデヒドが接着活性の重要な因子であることもまた知られている。 またVAP−1阻害剤である特定の構造を有するチアゾール誘導体が、黄斑浮腫や血管透過性亢進疾患などのVAP−1関連疾患の予防または治療に使用されることが記載されている(特許文献1〜4)。 VAP−1阻害剤がVAP−1関連疾患に有用であることは知られているが、低酸素または虚血に伴う眼疾患に有用であることは知られていない。国際公開第2004/067521号パンフレット国際公開第2004/087138号パンフレット国際公開第2006/011631号パンフレット国際公開第2006/028269号パンフレット 本発明は、VAP−1阻害剤の新たな用途を提供するものであり、たとえば、低酸素あるいは虚血に伴う眼疾患に有効な組成物および血管新生抑制に有効な組成物を提供することを目的とする。さらには、低酸素あるいは虚血に伴う眼疾患の治療方法、血管新生抑制方法などを提供することを目的とする。 本発明者らは、鋭意検討した結果、VAP−1阻害剤が低酸素あるいは虚血に伴う眼疾患の治療および血管新生抑制に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は以下の通りである。[1]VAP−1阻害剤を有効成分として含む、低酸素または虚血に伴う眼疾患用組成物。[2]前記VAP−1阻害剤が、以下の式(I):[式中、R1は、アシル;Xは、置換されていてもよいチアゾールから誘導された二価の残基;Yは式:Y1−Y2−Y3{式中、Y1は結合、低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、−(CH2)n−O−、−(CH2)n−NH−、−(CH2)n−CO−、または−(CH2)n−SO2−(各式中、nは0から6の整数を示す。);Y2は結合、−O−、−NH−、−CO−、または−SO2−;Y3は結合、低級アルキレン、低級アルケニレン、または低級アルキニレンである。ただし、Y1が−(CH2)n−O−の場合、Y2は−O−、−NH−および−SO2−ではなく、Y1が−(CH2)n−NH−の場合、Y2は−O−および−NH−ではなく、Y1が−(CH2)n−CO−の場合、Y2は−CO−ではなく、Y1が−(CH2)n−SO2−の場合、Y2は−O−および−SO2−ではない(各式中、nは上記と同義を示す。)。};Zは、式:(式中、R2は、式:−A−B−D−E(式中、Aは、結合、低級アルキレン、−NR2a−または−SO2−(式中、R2aは水素、低級アルキル、またはアシルを示す);Bは、結合、低級アルキレン、−CO−または−O−;Dは、結合、低級アルキレン、−NR2b−または−CH2NH−(式中、R2bは水素、低級アルキル、アルコキシカルボニルまたはアシルを示す);Eは、置換されていてもよいアミノ、−N=CH2、(式中、Qは、−S−または−NH−;R3は、水素、低級アルキル、低級アルキルチオまたは−NH−R4(式中、R4は、水素、−NH2または低級アルキルを示す)を示す)である)である)である]で示される化合物もしくはその誘導体、またはそれらの医薬上許容され得る塩である[1]記載の組成物。[3]式(I)において、Zは式(II):(式中、R2は式:(ここで、Gは、結合、−NHCOCH2−または低級アルキレン;R4は、水素、−NH2または低級アルキルを示す);−NH2;−CH2NH2;−CH2ONH2;−CH2ON=CH2;である)である[2]記載の組成物。[4]式(II)において、R2は式:(ここで、Gは、結合、−NHCOCH2−または低級アルキレンであり、そしてR4は、水素、−NH2または低級アルキルを示す);−NH2;−CH2NH2;−CH2ONH2;−CH2ON=CH2;である[3]記載の組成物。[5]式(I)において、R2は以下の式(III):J−L−M (III)(式中、Jは−NR2a−、−NR2a−CO−、−(CH2)n−、または−(CH2)nCO−(式中、R2aは水素、低級アルキル、またはアシル;nは0から6の整数を示す。);Lは−NR2b−(式中、R2bは水素、低級アルキル、アルコキシカルボニルまたはアシルを示す。);Mは置換されていてもよいアミノを示す。)である[4]記載の組成物。[6]式(III)において、J−L−Mが−CO−NH−NH2、−CH2−CO−NH−NH2、−CH2−CO−NH−NH−CH3、−CH2−CO−N(CH3)−NH2、−CH2−CO−NH−NH−C2H5、−CH2−CO−NH−N(CH3)2、−(CH2)2−CO−NH−NH2、−NH−CO−NH−NH2、−NH−NH2、−CH2−NH−NH2、−(CH2)2−NH−NH2または−(CH2)3−NH−NH2である[5]記載の組成物。[7]式(I)において、R1がアルキルカルボニル、およびXがメチルスルホニルベンジルにより置換されていてもよいチアゾールから誘導される二価の残基である、[2]〜[6]のいずれかに記載の組成物。[8]前記VAP−1阻害剤が、N−{4−[2−(4−ヒドラジノカルボニルメチルフェニル)エチル]−1,3−チアゾール−2−イル}アセトアミド;もしくはその誘導体;または、それらの医薬上許容可能な塩である[1]記載の組成物。[9]前記VAP−1阻害剤が、N−(4−{2−[4−(2−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}エチル)フェニル]エチル}−1,3−チアゾール−2−イル)アセトアミド;もしくはその誘導体;または、それらの医薬上許容可能な塩である[1]記載の組成物。[10]前記眼疾患が虚血性網膜症または虚血性視神経症である[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。[11]前記眼疾患が未熟児網膜症、増殖型糖尿病網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、コーツ病、家族性滲出性硝子体網膜症、脈なし病(高安病)、イールズ病、抗リン脂質抗体症候群、白血病網膜症、血液粘稠亢進症候群、マクログロブリン血症、インターフェロン網膜症、高血圧性網膜症、放射線網膜症または角膜上皮幹細胞欠乏症である[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。[12]前記眼疾患が未熟児網膜症である[11]記載の組成物。[13]低酸素または虚血に伴う眼疾患の治療のための医薬を製造するためのVAP−1阻害剤の使用。[14]低酸素または虚血に伴う眼疾患を治療する方法であって、該方法は、治療の必要な被験体に、該疾患について該被験体を治療するのに十分な量のVAP−1阻害剤を投与する工程を含む、方法。[15][1]〜[12]のいずれかに記載の組成物、および当該組成物を低酸素または虚血に伴う眼疾患の治療のために使用し得るかまたは使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージ。[16]VAP−1阻害剤を有効成分として含む、血管新生抑制剤組成物。[17]前記VAP−1阻害剤が、以下の式(I):[式中、R1は、アシル;Xは、置換されていてもよいチアゾールから誘導された二価の残基;Yは式:Y1−Y2−Y3{式中、Y1は結合、低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、−(CH2)n−O−、−(CH2)n−NH−、−(CH2)n−CO−、または−(CH2)n−SO2−(各式中、nは0から6の整数を示す。);Y2は結合、−O−、−NH−、−CO−、または−SO2−;Y3は結合、低級アルキレン、低級アルケニレン、または低級アルキニレンである。ただし、Y1が−(CH2)n−O−の場合、Y2は−O−、−NH−および−SO2−ではなく、Y1が−(CH2)n−NH−の場合、Y2は−O−および−NH−ではなく、Y1が−(CH2)n−CO−の場合、Y2は−CO−ではなく、Y1が−(CH2)n−SO2−の場合、Y2は−O−および−SO2−ではない(各式中、nは上記と同義を示す。)。};Zは、式:(式中、R2は、式:−A−B−D−E(式中、Aは、結合、低級アルキレン、−NR2a−または−SO2−(式中、R2aは水素、低級アルキル、またはアシルを示す);Bは、結合、低級アルキレン、−CO−または−O−;Dは、結合、低級アルキレン、−NR2b−または−CH2NH−(式中、R2bは水素、低級アルキル、アルコキシカルボニルまたはアシルを示す);Eは、置換されていてもよいアミノ、−N=CH2、(式中、Qは、−S−または−NH−;R3は、水素、低級アルキル、低級アルキルチオまたは−NH−R4(式中、R4は、水素、−NH2または低級アルキルを示す)を示す)である)である)である]で示される化合物もしくはその誘導体、またはそれらの医薬上許容され得る塩である[16]記載の組成物。[18]式(I)において、Zは式(II):(式中、R2は式:(ここで、Gは、結合、−NHCOCH2−または低級アルキレン;R4は、水素、−NH2または低級アルキルを示す);−NH2;−CH2NH2;−CH2ONH2;−CH2ON=CH2;である)である[17]記載の組成物。[19]式(II)において、R2は式:(ここで、Gは、結合、−NHCOCH2−または低級アルキレンであり、そしてR4は、水素、−NH2または低級アルキルを示す);−NH2;−CH2NH2;−CH2ONH2;−CH2ON=CH2;である[18]記載の組成物。[20]式(I)において、R2は以下の式(III):J−L−M (III)(式中、Jは−NR2a−、−NR2a−CO−、−(CH2)n−、または−(CH2)nCO−(式中、R2aは水素、低級アルキル、またはアシル;nは0から6の整数を示す。);Lは−NR2b−(式中、R2bは水素、低級アルキル、アルコキシカルボニルまたはアシルを示す。);Mは置換されていてもよいアミノを示す。)である[19]記載の組成物。[21]式(III)において、J−L−Mが−CO−NH−NH2、−CH2−CO−NH−NH2、−CH2−CO−NH−NH−CH3、−CH2−CO−N(CH3)−NH2、−CH2−CO−NH−NH−C2H5、−CH2−CO−NH−N(CH3)2、−(CH2)2−CO−NH−NH2、−NH−CO−NH−NH2、−NH−NH2、−CH2−NH−NH2、−(CH2)2−NH−NH2または−(CH2)3−NH−NH2である[20]記載の組成物。[22]式(I)において、R1がアルキルカルボニル、およびXがメチルスルホニルベンジルにより置換されていてもよいチアゾールから誘導される二価の残基である、[17]〜[21]のいずれかに記載の組成物。[23]前記VAP−1阻害剤が、N−{4−[2−(4−ヒドラジノカルボニルメチルフェニル)エチル]−1,3−チアゾール−2−イル}アセトアミド;もしくはその誘導体;または、それらの医薬上許容可能な塩である[16]記載の組成物。[24]前記VAP−1阻害剤が、N−(4−{2−[4−(2−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}エチル)フェニル]エチル}−1,3−チアゾール−2−イル)アセトアミド;もしくはその誘導体;または、それらの医薬上許容可能な塩である[16]記載の組成物。[25]血管が眼血管である[16]〜[24]のいずれかに記載の組成物。[26]血管新生を抑制するための医薬を製造するためのVAP−1阻害剤の使用。[27]血管新生を抑制するための方法であって、該方法は、治療の必要な被験体に、該被験体の血管新生を抑制するのに十分な量のVAP−1阻害剤を投与する工程を含む、方法。[28][16]〜[25]のいずれかに記載の組成物、および当該組成物を血管新生を抑制する必要のある疾患の治療のために使用し得るかまたは使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージ。[29]以下の式(I):[式中、R1は、アシル;Xは、置換されていてもよいチアゾール;Yは、低級アルキレン;Zは、式:(式中、R2は、式:−A−B−D−E(式中、Aは、低級アルキレン;Bは、−CO−;Dは、−NR2b−(式中、R2bは水素、低級アルキル、アルコキシカルボニルまたはアシルを示す);Eは、置換されていてもよいアミノである)である)である]で示される化合物もしくはその誘導体、またはそれらの医薬上許容され得る塩。[30]式(I)において、R1がアルキルカルボニル、およびXがメチルスルホニルベンジルにより置換されていてもよいチアゾールである、[29]に記載の化合物もしくはその誘導体、またはそれらの医薬上許容され得る塩。[31]式(I)で示される化合物が、N−{4−[2−(4−ヒドラジノカルボニルメチルフェニル)エチル]−1,3−チアゾール−2−イル}アセトアミドである、[29]に記載の化合物もしくはその誘導体、またはそれらの医薬上許容され得る塩。 本発明におけるVAP−1阻害剤を有効成分として含む組成物は、低酸素または虚血に伴う眼疾患の予防または治療に用いることができる。本発明におけるVAP−1阻害剤を有効成分として含む血管新生抑制剤組成物は病的な血管新生を抑制することができる。 本発明は、VAP−1(血管接着タンパク質−1)阻害剤を有効成分として含む、低酸素または虚血に伴う眼疾患用組成物を提供する。 本発明において低酸素とは生体組織中の酸素が欠乏している状態をいい、虚血とはたとえば、血管内腔の狭窄によるか、または完全閉塞により血液が供給されなくなった状態をいう。 本発明における低酸素または虚血に伴う眼疾患としては、虚血性網膜症、虚血性視神経症等が挙げられる。 また本発明における低酸素または虚血に伴う眼疾患としては、未熟児網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、コーツ病、家族性滲出性硝子体網膜症、脈なし病(高安病)、イールズ病、抗リン脂質抗体症候群、白血病網膜症、血液粘稠亢進症候群、マクログロブリン血症、インターフェロン網膜症、高血圧性網膜症、放射線網膜症または角膜上皮幹細胞欠乏症等が挙げられる。好ましくは、未熟児網膜症である。 なお、糖尿病網膜症は非増殖型糖尿病網膜症と増殖型糖尿病網膜症に分類され、非増殖型と増殖型では発現機序が異なることが知られている。新生血管が見られない非増殖型は代謝障害、炎症によりおこり、網膜内出血、白斑、黄斑浮腫などが見られる。一方、増殖型は虚血が原因であり、新生血管、硝子体出血などが見られる。従って、増殖型糖尿病網膜症も本発明における低酸素または虚血に伴う眼疾患として挙げられる。 また、本発明は血管新生抑制剤組成物を提供する。本発明の血管新生抑制剤組成物は、VAP−1阻害剤を有効成分として含む。血管新生は成長、発育、卵胞形成、創傷治癒、妊娠等の生理現象として起こる一方、炎症、固形腫瘍の増殖、糖尿病性網膜症等の病的状態の際にも認められる現象である。本発明の血管新生抑制剤組成物は、病的状態の血管新生を抑制する。具体的には、低酸素または虚血状態におこる血管新生を抑制する。本発明の血管新生抑制剤組成物は、眼血管、好ましくは網膜血管の新生を抑制する。 本発明の組成物の有効成分であるVAP−1阻害剤としては、以下の式(I)で表わされる化合物もしくはその誘導体、またはそれらの医薬上許容され得る塩が挙げられる。式(I):[式中、R1は、アシルであり;Xは、置換されていてもよいチアゾールから誘導された二価の残基であり;Yは、式:Y1−Y2−Y3{式中、Y1は結合、低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、−(CH2)n−O−、−(CH2)n−NH−、−(CH2)n−CO−、または−(CH2)n−SO2−(各式中、nは0から6の整数を示す。);Y2は結合、−O−、−NH−、−CO−、または−SO2−;Y3は結合、低級アルキレン、低級アルケニレン、または低級アルキニレンである。ただし、Y1が−(CH2)n−O−の場合、Y2は−O−、−NH−および−SO2−ではなく、Y1が−(CH2)n−NH−の場合、Y2は−O−および−NH−ではなく、Y1が−(CH2)n−CO−の場合、Y2は−CO−ではなく、Y1が−(CH2)n−SO2−の場合、Y2は−O−および−SO2−ではない(各式中、nは上記と同義を示す。)。};Zは、式:(式中、R2は、式:−A−B−D−E(式中、Aは、結合、低級アルキレン、−NR2a−または−SO2−(式中、R2aは水素、低級アルキル、またはアシルを示す);Bは、結合、低級アルキレン、−CO−または−O−;Dは、結合、低級アルキレン、−NR2b−または−CH2NH−(式中、R2bは水素、低級アルキル、アルコキシカルボニルまたはアシルを示す);Eは、置換されていてもよいアミノ、−N=CH2、(式中、Qは、−S−または−NH−;R3は、水素、低級アルキル、低級アルキルチオまたは−NH−R4(式中、R4は、水素、−NH2または低級アルキルを示す)を示す)である)である)である。] 本明細書の上記及び以下の記載において、本発明について用いられる用語を、以下に詳細に説明する。 用語「低級」は、他に定めない限り、1〜6個の、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する基を意図するのに用いられる。 「低級アルキル」としては、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチルおよびヘキシル)などが挙げられ、なかでもより好ましいものはC1−C4アルキルである。 「低級アルキレン」としては、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキレン(例、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、プロピレン、エチリデンおよびプロピリデン)などが挙げられ、なかでもより好ましいものはC1−C4アルキレンである。 「低級アルケニレン」としては、2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルケニレン(例、ビニレン、1−プロペニレン、2−プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、3−ブテニレン、1,3−ブタジエニレン、1−メチル−1−プロペニレン、2−メチル−1−プロペニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン、3−ペンテニレン、4−ペンテニレン、1,3−ペンタジエニレン、2−ペンテン−4−イニレン、3,3−ジメチル−1−プロペニレン、2−エチル−1−プロペニレン、1−ヘキセニレン、2−ヘキセニレン、3−ヘキセニレン、4−へキセニレン、5−へキセニレン、1,3−ヘキサジエニレン、1,4−ヘキサジエニレン、1,3,5−ヘキサトリエニレン)などが挙げられ、なかでもより好ましいものはC2−C4アルケニレンである。 上記低級アルケニレンは、それぞれE体またはZ体であってもよい。本発明の化合物が低級アルケニレン部分を有する場合は、本発明の化合物は該低級アルケニレン部分がE−構造およびZ−構造である全ての立体異性体を含む。 「低級アルキニレン」には、三重結合を1〜3個有する炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖のアルキニレン(例、エチニレン、1−プロピニレン、2−プロピニレン、1−ブチニレン、2−ブチニレン、3−ブチニレン、1−ペンチニレン、2−ペンチニレン、3−ペンチニレン、4−ペンチニレン、2−ペンチン−4−イニレン、1−ヘキシニレン、2−ヘキシニレン、3−ヘキシニレン、4−ヘキシニレン、5−ヘキシニレン、3−エチル−1−プロピニレン、3,3−ジエチル−1−プロピニレン)が挙げられ、なかでもより好ましいのはC2−C4アルキニレンである。 「低級アルキルチオ」は、アルキル部分が1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の上記低級アルキル基に硫黄原子が結合してなる基であり、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、tert−ペンチルチオおよびヘキシルチオなどが挙げられる。 「アルキルカルボニル」には、アルキル部分が1〜6個の炭素原子を有する[すなわち、アルキル部分が上記「低級アルキル」のC1−C6アルキルである]アルキルカルボニル(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイルおよびヘプタノイル)などが挙げられる。 「アリール」には、C6−C10アリール(例、フェニルおよびナフチル)などが挙げられ、当該「アリール」は1〜3個の置換基で置換されていてもよく、置換位置は特に限定されない。置換基としては、例えばハロゲン、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、低級アルコキシ、低級アシル等が挙げられる。 「アラルキル」には、アリール部分が6〜10個の炭素原子を有し[すなわち、アリール部分が上記「アリール」のC6−C10アリールである]、かつアルキル部分が1〜6個の炭素原子を有する[すなわち、アルキル部分が上記「低級アルキル」のC1−C6アルキルである]アラルキル(例、ベンジル、フェネチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチルおよび5−フェニルペンチル)などが挙げられる。 「置換されていてもよいアミノ」の「アミノ」は1または2の置換基で置換されていてもよく、該置換基は保護基であってもよい。すなわち、「置換されていてもよいアミノ」は、式−NR5aR5bで表される。 R5aおよびR5bは、それぞれ水素、非置換または置換されていてもよい、低級アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、アリール、アラルキル、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルコキシカルボニル、スルフリル、スルフィニル、ホスホリル、複素環の基などが挙げられる。当該低級アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、アリール、アラルキルは、上記および下記の定義の通りである。当該シクロ(低級)アルキルには炭素数3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル)が挙げられる。当該シクロ(低級)アルコキシカルボニルにはシクロアルキル部分が炭素数3〜6個の炭素原子を有するシクロアルコキシカルボニル(例、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロブチルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)が挙げられる。また、他にも”Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Edition”(JohnWiley and Sons発行、1999年)に記載の方法などに従って保護されていてもよい。R5a、R5bは、同一でも、異なっていてもよい。 「複素環」には、「芳香族複素環」および「非芳香族複素環」が挙げられる。「芳香族複素環」には、炭素原子に加えて窒素、酸素および硫黄原子から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族複素環などが挙げられ、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンなどが挙げられる。「非芳香族複素環」には、炭素原子に加えて窒素、酸素および硫黄原子から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜10員の非芳香族複素環などが挙げられ、例えば、ピロリジン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキソラン、オキサゾリジン、チアゾリジン、トリアゾリジンなどが挙げられる。 「アシル」には、アルキルカルボニル、アリールカルボニルなどが含まれる。 「アルキルカルボニル」には、アルキル部分が1〜6個の炭素原子を有する[すなわち、アルキル部分が上記「低級アルキル」のC1−C6アルキルである]アルキルカルボニル(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイルおよびヘプタノイル)などが挙げられる。 「アリールカルボニル」には、アリール部分が6〜10個の炭素原子を有する[すなわち、アリール部分が上記「アリール」のC6−C10アリールである]アリールカルボニル(例、ベンゾイルおよびナフトイル)などが挙げられる。 「アルコキシカルボニル」には、アルキルオキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニルなどが含まれる。 「アルキルオキシカルボニル」にはアルキル部分が1〜10個の炭素原子を有するアルキルオキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、tert−ペンチルオキシカルボニルおよびヘキシルオキシカルボニルなど)などが挙げられる。 「アラルキルオキシカルボニル」には、アリール部分が6〜10個の炭素原子を有し[すなわち、アリール部分が上記「アリール」のC6−C10アリールである]、かつアルキル部分が1〜6個の炭素原子を有する[すなわち、アルキル部分が上記「低級アルキル」のC1−C6アルキルである]アラルキルオキシカルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル、1−ナフチルメチルオキシカルボニル、2−ナフチルメチルオキシカルボニル、3−フェニルプロピルオキシカルボニル、4−フェニルブチルオキシカルボニルおよび5−フェニルペンチルオキシカルボニルなど)などが挙げられる。 「置換されていてもよいチアゾールから誘導された二価の残基」には、が挙げられる。 「チアゾール」は置換基を有していてもよく、置換位置は特に限定されない。上記「置換されていてもよいチアゾール」の「置換基」には、例えば、以下(1)〜(12)に記載の基などが挙げられる。(1)ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素);(2)上記で定義したアルコキシカルボニル(例、エトキシカルボニル);(3)置換されていてもよいアリール(当該アリールは、上記で定義した通りであり、当該アリールは、−SO2−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)などで置換されていてもよく、置換位置は特に限定されない)(例、フェニルおよび4−(メチルスルホニル)フェニル);(4)式:−CONRaRb(式中、Raは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、Rbは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、ここで、当該低級アルキル、アリールおよびアラルキルは、上記で定義した通りである)の基(例、N−メチルアミノカルボニル、N−フェニルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニルおよびN−ベンジルアミノカルボニル);(5)式:−CONH−(CH2)k−アリール[式中、kは、0〜6の整数であり;当該アリールは、上記で定義した通りであり、−NO2、−SO2−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)、−CF3および−O−アリール(式中、当該アリールは、上記で定義した通りである)からなる群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよく、置換位置は特に限定されない]の基;(6)式:−CONH−(CH2)m−複素環(式中、mは、0〜6の整数であり;当該複素環は、上記で定義した通り(例、ピリジン)である)の基;(7)式:−CO−複素環[式中、当該複素環は上記で定義した通り(例、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、チオモルホリン)であり、当該複素環は、−CO−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)、−CO−O−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)、−SO2−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)、オキソ(すなわち、=O)および式:−CONRcRd(式中、Rcは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、Rdは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、当該低級アルキル、アリールおよびアラルキルは、上記で定義した通りである)の基からなる群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよく、置換位置は特に限定されない]の基;(8)式:−(CH2)t−アリール[式中、tは、1〜6の整数であり;当該アリールは、上記で定義した通りであり、−S−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)、−SO2−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)、−SO2−NRvRw(式中、Rvは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、Rwは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、当該低級アルキル、アリールおよびアラルキルは、上記で定義した通りである)、−CO2−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)、−NHCO−O−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)および式:−CONReRf(式中、Reは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、Rfは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、当該低級アルキル、アリールおよびアラルキルは、上記で定義した通りである)の基からなる群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよく、置換位置は特に限定されない]の基;(9)式:−(CH2)o−複素環[式中、oは、0〜6の整数であり;当該複素環は、上記で定義した通り(例、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン)であり、オキソ(すなわち、=O);−CO−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである);−CO−O−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである);−SO2−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである);−CO−(複素環)(式中、当該複素環は、上記で定義した通り(例、ピロリジン、ピペラジンおよびモルホリン)であり、低級アルキル(当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)およびハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素)からなる群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよく、置換位置は特に限定されない);および式:−CONRgRh(式中、Rgは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、Rhは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、当該低級アルキル、アリールおよびアラルキルは、上記で定義した通りである)の基からなる群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよく、置換位置は特に限定されない]の基;(10)式:−(CH2)p−NRiRj[式中、pは、0〜6の整数であり;Riは、水素、アシル、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、Rjは、水素、アシル、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、当該アシル、低級アルキル、アリールおよびアラルキルは、上記で定義した通りであり、当該低級アルキルは、式:−CONRkRl(式中、Rkは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、Rlは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、当該低級アルキル、アリールおよびアラルキルは、上記で定義した通りである)の基からなる群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよく、置換位置は特に限定されない]の基;(11)式:−CON(Hまたは低級アルキル)−(CHRm)q−T[式中、qは、0〜6の整数であり;当該低級アルキルは、上記で定義した通りであり;Rmは、水素、上記で定義したアラルキルまたは上記で定義したアルキル(特に低級アルキル)であり、これらは−OHおよび−CONH2 からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、置換位置は特に限定されない;Tは、水素;式:−CONRnRo(式中、Rnは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、Roは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、当該低級アルキル、アリールおよびアラルキルは、上記で定義した通りである)の基;−NH−CO−Rp(式中、Rpは、上記で定義した低級アルキルまたは上記で定義したアラルキルである)の基;−NH−SO2−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)の基;−SO2−(低級アルキル)(式中、当該低級アルキルは、上記で定義した通りである)の基;−複素環(式中、当該複素環は、上記で定義した通り(例、ピリジン、ピロリジンおよびモルホリン)であり、1〜3個の置換基(例、オキソ(すなわち、=O))を有していてもよく、置換位置は特に限定されない)の基;または−CO−(複素環)(式中、当該複素環は、上記で定義した通り(例、ピペリジンおよびモルホリン)である)の基である]の基;ならびに(12)式:−(CH2)r−CO−NRtRu(式中、rは、1〜6の整数であり;Rtは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、Ruは、水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルであり、当該低級アルキル、アリールおよびアラルキルは、上記で定義した通りである)の基。 アリールまたは複素環上の置換位置は、その任意の位置であってよく、特に限定されない。上記「置換されていてもよいチアゾール」の好ましい「置換基」は、メチルスルホニルベンジル、スルファモイルベンジル(例、4−スルファモイルベンジル)などである。メチルスルホニル基、スルファモイル基などの置換位置は、特に限定されない。 好ましいR1の例としては、アルキルカルボニル(当該アルキルカルボニルは、上記で定義した通りである)が挙げられ、さらに好ましくはアセチルである。 Xで示される「置換されていてもよいチアゾールから誘導された二価の残基」の「チアゾールから誘導された二価の残基」部分としては、が好ましい。「置換されていてもよいチアゾールから誘導された二価の残基」の「置換基」としては、メチルスルホニルベンジル、スルファモイルベンジル(例、4−スルファモイルベンジル)などが好ましい。 式(I)においてYで示される式:Y1−Y2−Y3のY1およびY3で示される低級アルキレン、低級アルケニレンおよび低級アルキニレンとしては、上記で定義したものなどが挙げられる。 式(I)においてYで示される式:Y1−Y2−Y3の具体的な例としては、−(CH2)n’−(n’は1〜6の整数)、−(CH2)n−NH−(CH2)n−、−(CH2)n−O−(CH2)n−、−(CH2)n−CO−O−(CH2)n−、−(CH2)n−O−CO−(CH2)n−、−(CH2)n−CO−NH−(CH2)n−、−(CH2)n−NH−CO−(CH2)n−、−(CH2)n−SO2−NH−(CH2)n−または−(CH2)n−NH−SO2−(CH2)n−(各式中、nは0から6の整数である。)などが挙げられる。これらのうち、−(CH2)n’−、−(CH2)n−NH−(CH2)n−、−(CH2)n−CO−O−(CH2)n−、−(CH2)n−CO−NH−(CH2)n−が好ましく、−(CH2)n−が特に好ましい。具体的には、−(CH2)2−、−CH2−CO−、−CH2−NH−、−CO−O−、−CO−NH−などが挙げられる。 好ましいZの例としては、以下の式(II):ここで、R2は以下の式の基:(ここで、Gは、結合、−NHCOCH2−または低級アルキレン(上記と同義)であり、そしてR4は、水素、−NH2または低級アルキル(上記と同義)である);−NH2;−CH2NH2;−CH2ONH2;−CH2ON=CH2;が好ましい。 更に好ましくは、R2が以下の式の基:(ここで、Gは、結合、−NHCOCH2−または低級アルキレン(上記と同義)であり、そしてR4は、水素、−NH2または低級アルキル(上記と同義)である);−NH2;−CH2NH2;−CH2ONH2;−CH2ON=CH2;である。 また好ましいR2の例としては、以下の式(III):J−L−M (III)[式中、Jは−NR2a−、−NR2a−CO−、−(CH2)n−、または−(CH2)nCO−(各式中、R2aは水素、低級アルキル(上記と同義)、またはアシル(上記と同義);nは0から6の整数を示す。);Lは−NR2b−(式中、R2bは水素、低級アルキル(上記と同義)、アルコキシカルボニル(上記と同義)またはアシル(上記と同義)を示す。);Mは置換されていてもよいアミノを示す。]が挙げられる。 さらにJ−L−M部分(分子末端)の好ましい例としては、Jが結合、−NH−CO−、または−(CH2)nCO−(式中、nが0から2の整数である。);Lが、−NH−または−N(CH3)−;および、Mが置換されていてもよいアミノである基である。 具体的には、J−L−M部分としては、−CO−NH−NH2、−CH2−CO−NH−NH2、−CH2−CO−NH−NH−CH3、−CH2−CO−N(CH3)−NH2、−CH2−CO−NH−NH−C2H5、−CH2−CO−NH−N(CH3)2、−(CH2)2−CO−NH−NH2、−NH−CO−NH−NH2、−NH−NH2、−CH2−NH−NH2、−(CH2)2−NH−NH2、−(CH2)3−NH−NH2などが挙げられる。 本発明における式(I)においては、R1が、アルキルカルボニル、およびXが、メチルスルホニルベンジルにより置換されていてもよいチアゾールから誘導される二価の残基であることが好ましい。 また本発明における式(I)で示される化合物としては、N−{4−[2−(4−ヒドラジノカルボニルメチルフェニル)エチル]−1,3−チアゾール−2−イル}アセトアミドまたはN−(4−{2−[4−(2−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}エチル)フェニル]エチル}−1,3−チアゾール−2−イル)アセトアミドなどが好ましい。 本発明の式(I)で示される化合物が構造中に不斉炭素原子を有する場合、発明は全てのエナンチオマーおよびジアステレオマーを包含する。また、本発明においては、式(I)で示される化合物の誘導体を用いることもできる。かかる誘導体としては、本発明における作用を発揮し得るものであれば、特に限定されない。 本発明におけるVAP−1阻害剤およびその誘導体は、医薬上許容され得る塩とすることもできる。本発明における医薬上許容され得る塩は、医薬上許容され得る通常の塩であり、非毒性であれば特に限定されず、無機または有機塩基との塩、酸付加塩などが挙げられる。無機または有機塩基との塩には、アルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩など)、アンモニウム塩、およびアミン塩(例、トリエチルアミン塩、N−ベンジル−N−メチルアミン塩など)などが挙げられ、酸付加塩には、鉱酸(例、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸)から誘導される塩、および有機酸(例、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸およびアリールスルホン酸(例、p−トルエンスルホン酸))から誘導される塩などが挙げられる。 本発明の式(I)で示される化合物およびその誘導体、それらの医薬上許容され得る塩は、プロドラッグとして医薬などに用いることができる。用語「プロドラッグ」は、投与後、体内でVAP−1阻害剤に変換する全ての化合物を包含することを意図する。当該プロドラッグは、本発明の低酸素または虚血に伴う眼疾患用及び血管新生抑制剤組成物の任意の医薬上許容され得るプロドラッグであってもよい。 以下の説明において、特に言及しない限り、「低酸素または虚血に伴う眼疾患用組成物」及び「血管新生抑制剤組成物」の両者を総称して「本発明の組成物」という。 本発明の組成物は、任意の経路により投与することができる。投与経路としては、全身投与(例、経口投与または注射投与)、局所投与(例、点眼、眼軟膏)、眼周囲投与(例、テノン嚢下投与)、結膜投与、眼内投与、網膜下投与、脈絡膜上投与(suprachoroidal)および眼球後投与などが挙げられる。本発明の組成物が投与される経路は、低酸素あるいは虚血に伴う眼疾患への適用が予防目的または治療目的であるかなどに応じて適宜決定すればよい。好ましい投与経路は眼局所投与である。 本発明の組成物は、好ましくは、哺乳動物、特にヒトのような投与対象が、低酸素あるいは虚血に伴う眼疾患や、病的な血管新生のリスクを有すると判断された後、発症前に速やかに投与される(予防的治療)。あるいは当該投与対象が低酸素あるいは虚血に伴う眼疾患や病的な血管新生を発症し始めた後に速やかに投与される(療法的治療)。治療計画は、用いられる活性成分の種類、投与量、投与経路、原因、および必要に応じて低酸素あるいは虚血に伴う眼疾患の自覚の程度などに応じて適宜決定すればよい。 本発明の組成物の投与方法としては、一般の医薬における自体公知の方法を用いることができる。投与経路は、効果的な経路を適宜選択すればよく、また、1または2以上の経路を用いることができる。従って、上記の投与経路は単なる例示であり、これらに限定されるものではない。 ヒトを含む動物、特にヒトのような投与対象における本発明の組成物の用量(投与量)は、合理的な期間にわたって投与対象に所望の反応を及ぼすのに十分な量とすればよい。用量は、用いられる活性成分の強度、投与対象の年齢、種、症状または疾患の状態および体重ならびに疾患の程度を含む種々の要因、投与経路、タイミングおよび回数などに応じて適宜決定すればよい。用量はまた、投与経路、タイミングおよび回数などに応じて適宜調整すればよい。症状または疾患の状態によっては、複数回の投与を必要とする長期の治療を必要とし得る場合もある。 用量および投与計画は、当業者に公知の通常の範囲で見出される技術により決定することができる。一般的には、治療または予防は、化合物の最適用量よりも少ない用量から開始する。その後、この状況下で最適な効果が得られるまで、用量を少しずつ増加させる。本発明の組成物において、活性成分としてのVAP−1阻害剤の1日の用量は、通常約0.03ng/kg体重/日〜約300mg/kg体重/日、好ましくは、約0.003μg/kg体重/日〜約10mg/kg体重/日である。1日当たり単回投与もしくは2〜4回の投与で食前、食間、食後を問わない。また持続的に投与することができる。 本発明の組成物は、好ましくは、「医薬上許容され得る担体」、および活性成分として、低酸素あるいは虚血に伴う眼疾患を予防的または治療的に処置するのに十分な量あるいは血管新生抑制的に処理するに十分な量のVAP−1阻害剤を含む。担体は、医薬として通常用いられる任意のものであってよく、これは物理化学的な検討事項(例、溶解度、および当該化合物に対する反応性の欠如)および投与経路によって限定される場合を除き、特に限定されない。 本発明の組成物におけるVAP−1阻害剤の量は、組成物の処方によって変化し得るが、組成物全体に対して、通常0.00001〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量%、さらに好ましくは0.001〜1重量%である。 本発明の組成物の投与形態(剤型)は特に限定されず、所望のVAP−1阻害作用を達成するために種々の形態で投与することができる。本発明の組成物は、本発明の組成物を単独でまたは医薬上許容され得る担体または希釈剤などの添加剤と組み合わせて製剤化し、経口または非経口投与製剤とすることができる。製剤の特性および性質は、用いる活性成分の溶解度および化学的特性、選択された投与経路および標準的な薬学的プラクティスによって決定される。経口投与に用いる製剤としては、固体剤型(例、カプセル、錠剤、散剤)または液体形態(例、溶液または懸濁液)などが挙げられる。非経口投与に用いる製剤としては、無菌溶液または懸濁液の形態である注射、点滴、点眼剤、眼軟膏などが挙げられる。固体経口製剤は、通常の賦形剤(例、ラクトース、スクロース、ステアリン酸マグネシウム、樹脂、および同類の材料)などを含み得る。液体経口製剤は、種々の芳香剤、着色剤、保存剤、安定化剤、可溶化剤または懸濁剤などを含み得る。非経口製剤は、例えば、無菌の水性または非水性の溶液または懸濁液であり、特定の種々の保存剤、安定化剤、緩衝化剤、可溶化剤または懸濁化剤などを含み得る。必要に応じて、生理食塩水またはグルコースのような添加剤を添加して、溶液を等張性にしてもよい。 本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない限り、他の薬学的に活性な化合物を含んでいてもよい。 本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない限り、該組成物と他の薬学的に活性な化合物を同時に投与することができる。「同時投与」は、他の薬学的に活性な化合物を、同一または異なる投与経路で、本発明の組成物の投与前に、同時に(例えば、同一の製剤中または別の製剤中で)または投与後に投与することを意味する。他の薬学的に活性な化合物としては、例えば、コルチコステロイド、プレドニゾン、メチルプレドニゾン、デキサメタゾンもしくはトリアムシノロンアセトニドまたは非コルチコステロイド抗炎症性化合物(例、イブプロフェンまたはフルルビプロフェン)が挙げられる。同様に、ビタミンおよびミネラル(例、亜鉛、抗酸化剤(例、カロテノイド(例、キサントフィルカロテノイド様ゼアキサンチンまたはルテイン)))ならびに微量栄養などが挙げられる。 本発明においては、低酸素または虚血に伴う眼疾患の治療のための医薬または血管新生を抑制するための医薬を製造するためのVAP−1阻害剤の使用を提供する。 また本発明においては、低酸素あるいは虚血に伴う眼疾患を治療する方法または血管新生を抑制するための方法であって、該方法は、治療の必要な被験体に、該疾患について該被験体を治療あるいは病的な血管新生を抑制するのに十分な量のVAP−1阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。 さらに、VAP−1阻害剤を活性成分として含む、低酸素あるいは虚血に伴う眼疾患用組成物、および当該組成物を低酸素または虚血に伴う眼疾患の治療のために使用し得るかまたは使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージを提供する。 またさらに、VAP−1阻害剤を有効成分として含む血管新生抑制剤組成物、および当該組成物を血管新生を抑制する必要のある疾患の治療のために使用し得るかまたは使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージを提供する。 以下、本発明を実施例(製造例及び試験例)により、さらに詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。 下記製造例に用いられる原料化合物は公知の方法(国際公開第2004/067521号、国際公開第2006/011631号、国際公開第2006/028269号)などにより製造することができる。 本発明で使用されるVAP−1阻害剤の製造例を以下に示す。製造例 N−{4−[2−(4−ヒドラジノカルボニルメチルフェニル)エチル]−1,3−チアゾール−2−イル}アセトアミドの合成 2−(4−{2−[2−(アセチルアミノ)−1,3−チアゾール−4−イル]エチル}フェニル)酢酸(913.1mg、3.00mmol)の無水ジメチルホルムアミド(7.5ml)溶液に1,1’−カルボニルジイミダゾール(729.7mg、4.50mmol)を加え、50℃で1時間撹拌した。室温まで冷却後、ヒドラジン一水和物(0.73ml、15mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。水(25ml)を加えて撹拌し、生成した固体を濾取した。固体を水で3回、酢酸エチルで3回、テトラヒドロフランで2回洗浄した。減圧乾燥し、白色固体として表題化合物(538.1mg、1.69mmol、収率56.3%)を得た。 融点 200〜202℃1H−NMR(200MHz,DMSO−d6):δ(ppm):12.08(1H,brs)、9.18(1H,brs)、7.20−7.04(4H,m)、6.74(1H,s)、4.21(2H,brs)、3.40−3.25(2H,m)、3.00−2.80(4H,m)、2.11(3H,s) 13C−NMR(50MHz,DMSO−d6):δ(ppm):169.8,168.4,157.6,150.5,139.6,133.9,129.0,128.2,107.5,40.3,34.3,33.0,22.7 試験例1 被験物質1:N−{4−[2−(4−ヒドラジノカルボニルメチルフェニル)エチル]−1,3−チアゾール−2−イル}アセトアミド(製造例記載の化合物) 媒体:1%ポリソルベート80、2.4%グリセリン 被験液1:媒体1mLに被験物質1 0.01mgを溶解する。 被験動物:C57BL/6Nマウス 10腹 低酸素あるいは虚血に伴う眼疾患である未熟児網膜症のモデル実験としては酸素誘発網膜症モデルマウスによる定量的な分析方法に基づいておこなった(Experimental Eye Research 84(2007) 529−536)。モデル動物作製方法 マウスの出産日を出生0日目とした。出生7日目で母マウスと共に高酸素濃度飼育装置に入れ、出生12日目まで高酸素条件下(酸素濃度75±5%)にて飼育した。出生12日目で高酸素濃度飼育を終了した後、直ちに通常飼育に戻し、媒体あるいは被験液1を1日2回、7日間腹腔内投与した。出生19日目に4腹分の産仔について網膜フラットマウントを作製した。網膜フラットマウント作成方法 マウスにネンブタール(1/10倍希釈、5mg/mL)0.1mL/匹を腹腔内投与し、麻酔した。胸腔を開き、心臓からフルオレセインイソチオシアネート−デキストラン(FITC−dextran20mg/mL、FD2000S−1G、SIGMA社製)1mLを灌流した。灌流後、直ちに眼球を摘出し、4%パラホルムアルデヒドで3〜4時間固定した。眼球を解剖して網膜を摘出し、スライドガラス上に展開してフラットマウントを作製した。蛍光顕微鏡(ECLIPSE 80i、Nikon製)下にて網膜全体面積、無血管領域および異常血管新生領域をタッチペン(CTE−640/S1、WACOM FVO)で囲み解析ソフト(WinROOF ver.5.7.0、MITAMI Cor.)で測定し、正常血管領域及び異常血管新生領域を算出、比較した。 正常血管領域(%):[{(網膜全体面積)−(無血管領域面積)}/(網膜全体面積)]×100 異常血管新生領域(%):{(異常血管新生領域)/(網膜全体面積)}×100 表1にマウス網膜における正常血管領域と異常血管新生領域の割合を示した。 試験例2 被験物質2:N−(4−{2−[4−(2−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}エチル)フェニル]エチル}−1,3−チアゾール−2−イル)アセトアミド(国際公開第2006/011631号 製造例25記載の化合物) 媒体:1%ポリソルベート80、2.4%グリセリン 被験液2:媒体1mLに被験物質2 0.01mgを溶解する。 被験動物:C57BL/6Nマウス 4腹 被験液2の投与が1日1回投与であること以外は、試験例1と同様の方法で被験液2をモデルマウスに7日間腹腔内投与し、その正常血管領域と異常血管新生領域を測定した。 表2にマウス網膜における正常血管領域と異常血管新生領域の割合を示した。 表1および表2の結果より、被験物質1および2には無血管領域の減少と異常血管新生の抑制効果が認められた。このことから被験物質1および2には低酸素あるいは虚血に伴う疾患への処置に効果があることが明らかになった。また被験物質群は、異常血管新生領域が媒体群に比べて有意に下がっていることから、血管新生抑制効果があることを示している。 本発明によれば、新規な低酸素または虚血に伴う眼疾患用組成物および血管新生抑制剤組成物を提供することができる。 以上、本発明の具体的な態様のいくつかを詳細に説明したが、当業者であれば示された特定の態様には、本発明の教示と利点から実質的に逸脱しない範囲で様々な修正と変更をなすことは可能である。従って、そのような修正および変更も、すべて後記の請求の範囲で請求される本発明の精神と範囲内に含まれるものである。 本出願は日本で出願された特願2007−166989(出願日:2007年6月25日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。 以下の式(I):[式中、R1は、アシル;Xは、置換されていてもよいチアゾール;Yは、低級アルキレン;Zは、式:(式中、R2は、式:−A−B−D−E(式中、Aは、低級アルキレン;Bは、−CO−;Dは、−NR2b−(式中、R2bは水素、低級アルキル、アルコキシカルボニルまたはアシルを示す);Eは、置換されていてもよいアミノである)である)である]で示される化合物もしくはその誘導体、またはそれらの医薬上許容され得る塩。 式(I)において、R1がアルキルカルボニル、およびXがメチルスルホニルベンジルにより置換されていてもよいチアゾールである、請求項1に記載の化合物もしくはその誘導体、またはそれらの医薬上許容され得る塩。 式(I)で示される化合物が、N−{4−[2−(4−ヒドラジノカルボニルメチルフェニル)エチル]−1,3−チアゾール−2−イル}アセトアミドである、請求項1に記載の化合物もしくはその誘導体、またはそれらの医薬上許容され得る塩。 【課題】低酸素または虚血に伴う眼疾患に有効な組成物、または、低酸素または虚血に伴う病的な血管新生を抑制する血管新生抑制剤組成物を提供する。【解決手段】VAP−1阻害剤を有効成分として含む組成物。【選択図】なし