タイトル: | 公開特許公報(A)_卵殻膜成分を含むサーチュイン遺伝子活性化剤ならびにそれを用いた組成物 |
出願番号: | 2013112270 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 35/54,A61P 43/00,A61P 17/00,A61P 17/16,A61K 8/98,A61Q 19/08,A23L 1/30,C07K 14/465,A23J 1/08 |
跡見 順子 清水 美穂 長谷部 由紀夫 JP 2014231487 公開特許公報(A) 20141211 2013112270 20130528 卵殻膜成分を含むサーチュイン遺伝子活性化剤ならびにそれを用いた組成物 国立大学法人 東京大学 504137912 株式会社 アルマード 501303046 アイアット国際特許業務法人 110000121 跡見 順子 清水 美穂 長谷部 由紀夫 A61K 35/54 20060101AFI20141114BHJP A61P 43/00 20060101ALI20141114BHJP A61P 17/00 20060101ALI20141114BHJP A61P 17/16 20060101ALI20141114BHJP A61K 8/98 20060101ALI20141114BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20141114BHJP A23L 1/30 20060101ALI20141114BHJP C07K 14/465 20060101ALN20141114BHJP A23J 1/08 20060101ALN20141114BHJP JPA61K35/54A61P43/00 111A61P17/00A61P17/16A61K8/98A61Q19/08A23L1/30 AC07K14/465A23J1/08 10 OL 38 特許法第30条第2項適用申請有り 1.電気通信回線を通じて発表 (1)掲載年月日:平成24年11月29日 (2)掲載アドレス:http://www2.convention.co.jp/mbsj2012/index.html (3)公開者:特定非営利活動法人 日本分子生物学会 2.学術団体の研究集会において文書をもって公開 (1)研究集会名:第35回日本分子生物学会年会 英語名:ISNFF(The International Society for Nutraceuticals & Functional Foods)2012 Annual Conference and Exhibition (2)開催者:特定非営利活動法人 日本分子生物学会 英語名:The International Society for Nutraceuticals and Functional Foods (3)開催日:平成24年12月11日〜14日 (4)公開日:平成24年12月14日にポスター発表とポスター掲示をした。 3.学術団体の研究集会において文書をもって公開 (1)研究集会名:米国細胞生物学会の2012年の年次会議 英語名:2012 Annual Meeting of The American Society for Cell Biology (2)開催者:米国細胞生物学会 英語名:The American Society for Cell Biology (3)開催日:平成24年12月15日〜19日 (4)公開日:平成24年12月16日にポスター発表とポスター掲示をした。 4B018 4C083 4C087 4H045 4B018LB01 4B018LB10 4B018MD72 4B018ME14 4B018MF11 4C083AA032 4C083AA071 4C083AA072 4C083AA112 4C083AB192 4C083AC022 4C083AC112 4C083AC122 4C083AC132 4C083AC172 4C083AC432 4C083AC442 4C083AD042 4C083AD092 4C083AD212 4C083AD332 4C083AD352 4C083AD432 4C083AD492 4C083AD571 4C083CC02 4C083CC04 4C083CC05 4C083DD22 4C083DD23 4C083DD27 4C083DD31 4C083EE12 4C083EE13 4C087AA01 4C087AA02 4C087BB61 4C087MA43 4C087MA52 4C087MA63 4C087NA10 4C087NA14 4C087ZA89 4C087ZC19 4H045AA30 4H045CA40 4H045EA20 4H045FA16 4H045FA70 本発明は、卵殻膜成分、たとえば可溶性卵殻膜成分(卵殻膜加水分解物等)または卵殻膜含有粉末もしくは微粉末を含有するサーチュイン遺伝子活性化剤およびその応用に関する。 卵殻膜(以下「ESM」ということがある)は、鶏卵などの鳥類の卵の卵殻の内側にある膜で、抗菌性および抗微生物活性を有し、発生中の胚を感染から保護している。卵殻膜は、I型、V型およびX型コラーゲン、グルコサミン、デスモシンおよびヒアルロン酸を主成分とした強靭な繊維性のタンパク質等よりなる網目状の構造を有している。これらのタンパク質は、システインを含むものが多く、酸、アルカリ、プロテアーゼに対し比較的安定で、水に不溶である。そのため、鶏卵卵殻膜は、食品産業における副産物としてほとんどが利用されずに廃棄されていたが、皮膚の再生を促進する働きや、特に胎児性コラーゲンとも称されるIII型コラーゲンの生成を促進させる作用を有することが知られており、生体に対する有効性が注目され始めている。 皮膚のコラーゲンは、加齢により減少することが知られている。本発明者らは、人工ポリマーに結合したアルカリ加水分解卵殻膜(以下「ASESM」ということがある)上に培養したヒト皮膚線維芽細胞では、真皮に近い状態の条件(細胞がまばらに存在する条件)で、III型コラーゲン(type III collagen)、デコリン(decorin)、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(matrixmetalloproteinase-2;以下「MMP2」)が、同条件のコラーゲンコートおよび細胞培養ディッシュ上で培養した場合に比較して、有意に高いことを報告した(非特許文献1:Ohto-Fujita et al, 2011)。 サーチュイン(Sirtuin)は、代謝、加齢、各種の疾患との関連において重要な分子として注目されている。ヒト・マウスではサーチュイン1〜7まであり、サーチュイン1は核と細胞質、サーチュイン2は細胞質のみ、サーチュイン3、4、5はミトコンドリア、サーチュイン6は核のみ、サーチュイン7は核小体など、細胞内の特定のコンパートメントに存在し、決まったターゲットタンパク質に対して主に脱アセチル化活性を有する。サーチュインタンパク質は、酵素活性を発揮する際、NAD+を消費することを特徴とするため、脱アセチル化と代謝の中心的パスウェイが直接的に結びつく。サーチュイン1と3が癌の促進と抑制の両方に働くことが報告されているように、サーチュインは、病気の進行に対して正と負の両面性をもつ。そのため、サーチュインの発現量が適度に調節されていることが非常に重要であり、そのような場合においてのみ、成体の健康寿命の伸展が期待できる(非特許文献2:Feldman, J. et al, 2012)。また、最近、皮膚の光損傷からの回復にも老化の鍵分子であるサーチュインが関与していることが報告された(非特許文献3:Benavente et al, 2012)。 しかし、サーチュインと皮膚の健康との関連についてはほとんど研究されていない。また、卵殻膜成分の作用メカニズムやサーチュインの効率的な作用増強方法は十分にわかっていなかった。また、複数のサーチュイン遺伝子を、皮膚を含む全身の複数の組織で同時に発現制御して身心の健康に寄与する物質は、これまでに知られていない。Ohto-Fujita et al, Cell Tissue Res. 2011July; 345(1): 177-190Feldman, J. et al, 2012: J Biol Chem,276, 42419-42427Benavente et al, PLoS One 7: e42276, 2012 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、安全性が高く、日常的に簡便な方法で利用でき、細胞に働きかけるサーチュイン遺伝子活性化剤、特に複数のサーチュイン遺伝子の同時活性化剤、およびこれを用いた、単一素材で複合的な効果をもち生体を良好な状態に維持および/または改善することのできる医薬および/または化粧品組成物、食品(サプリメント)、食品添加物などの応用を提供することを課題とする。 本発明者らは、卵殻膜成分が全身の各種の細胞、特に皮膚の細胞に働きかけて各種サーチュイン遺伝子を活性化することを見出し、さらに卵殻膜成分が保湿作用を有し、皮膚の水分量および弾力性(機械的・物理的・化学的特性)を改善することを明らかにし、本発明を完成した。なお、ここでいう皮膚には、表皮(角層、顆粒層、有し層、基底層)、真皮、皮下脂肪、皮筋に含まれるすべての細胞、および附属器(毛包、脂腺、汗腺)、アポクリン腺、毛細血管、動脈等を含む。 したがって、上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤は、卵殻膜成分、特に卵殻膜含有粉末または可溶性卵殻膜成分(たとえば卵殻膜の加水分解物)を含有することを特徴とする。 本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤の一実施形態は、使用される卵殻膜含有粉末が微粉末であって、卵殻膜含有微粉末の体積平均粒子径が6μm以下であること、および/または体積最大粒子径が20μm以下であることが好ましい。 本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤の一実施形態は、サーチュイン1、サーチュイン2、サーチュイン3、サーチュイン4、サーチュイン5、サーチュイン6およびサーチュイン7からなる群から選択される1以上の遺伝子の発現調節剤である。 本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤の一実施形態は、経口組成物用、外用組成物用、食品(サプリメント)、食品添加物用、再生医療用(幹細胞、iPS細胞など)、基盤材料用から選択される少なくともいずれか1つの用途で利用されることが好ましい。 本発明の医薬または化粧品組成物などの身体に対して使用する組成物は、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤とともに賦形剤を含有することが好ましい。その場合、皮膚弾力性および水分量などの皮膚の機械的・物理的・化学的特性の向上用の外用組成物または皮膚弾力性および水分量などの機械的・物理的・化学的特性の向上用の経口組成物とするのが好ましい。卵殻膜成分は、外用組成物においては可溶性卵殻膜成分、経口用組成物においては卵殻膜含有粉末であることが好ましい。本発明の医薬組成物の一実施形態としては、錠剤が好ましい。 本発明の経口用組成物の他の実施形態は、卵殻膜成分を5〜40%の割合で含有することが好ましい。外用組成物の実施形態では、可溶性卵殻膜成分を1〜80%の割合で含有することができ、1〜40%の割合で含有することが好ましい。 本発明の食品添加物は、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤からなる、またはそれを含有することを特徴とする。また、本発明の食品は、この食品添加物が添加されることを特徴とする。 本発明によれば、可溶性卵殻膜または卵殻膜含有粉末等の卵殻膜成分を含有するサーチュイン遺伝子活性化剤、およびその応用を提供することができる。本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤によれば、サーチュイン遺伝子発現を調節し適度に活性化するための、副作用の危険性がないまたは非常に低い、極めて安全な手段が提供される。本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤は、通常は廃棄されている鶏卵卵殻膜を有効に利用し、煩雑な工程を必要とせずに製造することができるため、高い収率で簡便に製造することができ、経済的および環境保護の観点からも有利である。 また、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤は、適用対象や目的に応じて適当な組成物とすることにより、機能性食品、予防薬・治療薬等の医薬品などとして広く応用されることができる。これらの態様の組成物は、塗布または摂取等の方法で日常的に容易に利用することができ、簡便に安全に皮膚の水分量・弾力性などの機械的・物理的・化学的特性を向上させることができる。サーチュイン3については、心肥大抑制効果(J Clin Invest. 2009 September 1; 119(9): 2758-2771)、脳に対する効果(PLoS One. 2012; 7(11): e48225, CNS SIRT3 Expression Is Altered byReactive Oxygen Species and in Alzheimer’s Disease)も報告されているので、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤は、サーチュイン1〜7、特にサーチュイン3を増大させることにより、これらの効果をもたらすと期待される。特に、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤は、複数のサーチュイン遺伝子を、皮膚を含む全身で同時に活性化ないし制御することができるので、(1)適度なサーチュイン遺伝子発現促進に基づく、全身の活性化による健康維持・改善、(2)「なんとなく不調」というようなホメオスタシス範囲からのわずかな逸脱の改善、(3)ターゲット細胞/組織の疾病の直接的な改善、(4)コンディショニング効果を利用した医療現場での各種治療との併用による疾病の早期回復、抗がん剤等の薬物の副作用予防、(5)複数の身体的な不備を同時に改善するバッファー機能、(6)スポーツなどによる身体疲労による怪我の予防および回復促進等の効果を奏することができる。さらに、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤は、刺激性がなく、様々な形態で種々の成分と併用することができるので、さらなる全身効果を得るために他の栄養(食品)、美容成分と併用したり、特定の効果に特化した組成物に応用したりすることができる。図1-A〜1-Mは、へアレスマウス背部での各種遺伝子発現を表す図である。へアレスマウスの背部に0%または10%ASESM溶液を10日間適用した後の遺伝子発現量をmRNA量(GAPDHの発現量を1とした相対量)として測定した。各数値は1群9匹の平均±SDで示され、*はP<0.05、**はP<0.01、***はP<0.001の有意差があることを表す。図1-Aは、I型コラーゲンの発現量の結果を表す。図1-Bは、III型コラーゲンの発現量の結果を表す。図1-Cは、IV型コラーゲンの発現量の結果を表す。図1-Dは、MMP2の発現量の結果を表す。図1-Eは、MMP3の発現量の結果を表す。図1-Fは、Hsp47の発現量の結果を表す。図1-Gは、エラスチンの発現量の結果を表す。図1-Hは、デコリンの発現量の結果を表す。図1-Iは、Has2の発現量の結果を表す。図1-Jは、TGF−β1の発現量の結果を表す。図1-Kは、TGF−β3の発現量の結果を表す。図1-Lは、サーチュイン1の発現量の結果を表す。図1-Mは、サーチュイン3の発現量の結果を表す。図1−Nは、経時的なへアレスマウス背部でのサーチュイン遺伝子発現を表す図である。へアレスマウスの背部に1%ASESM溶液を3、5、10日間適用した後の表皮における遺伝子発現量をmRNA量(0%ASESM溶液を適用した場合の各遺伝子の発現量をGAPDHで補正後に1とした相対量)として測定した。図1−Oは、へアレスマウス背部での表皮水分関連遺伝子発現を表す図である。へアレスマウスの背部に0%または10%ASESM溶液を5日間適用した後の遺伝子発現量をmRNA量(GAPDHの発現量を1とした相対量)として測定した。図2−Aは、女性の腕の皮膚における水分量に対するASESMの効果を表す図である。「SEM(+)」=1%(W/V)ASESMを含有する外用剤、「SEM(−)」=ASESMを含有しない外用剤をそれぞれ用いた結果である。白いバーは実験前、黒いバーは4週間後であり、***はP<0.001の有意差を表す。図2−Bは、女性の左腕の皮膚における弾力性に対するASESMの効果を表す図である。「OU」=外上腕、「IU」=内上腕、「OF」=外前腕、「IF」=内前腕をそれぞれ表す。の皮膚の弾力性を、ASESMを含まない(0% ASESM)ローションおよびクリーム(対照群、n=7)および1% ASESM含有ローションおよびクリーム(n=7)を用いた12週間の処理の前後で測定した。*はp<0.05、**はp<0.01、***はp<0.001の有意差を表す。図2−Cは、女性の右腕の皮膚における弾力性に対するASESMの効果を表す図である。*はp<0.05、**はp<0.01、***はp<0.001の有意差を表す。図3−A〜Dは、ラマン分光光度計によるEpi−modelでのASESMの浸透を表す図である。n=3、平均±SD、*はp<0.05、**はp<0.01で表す。図3−Aはローション(後述)中10%(W/V)ASESM溶液を用いた結果を表す。図3−Bは、ローション中30%(W/V)ASESM溶液を用いた結果を表す。図3−Cは、水中10%(W/V)ASESM溶液を用いた結果を表す。図3−Dは、水中30%(W/V)ASESM溶液を用いた結果を表す。図4−Aおよび4−Bは、ラマン分光光度計によるヒト皮膚でのASESMの浸透を表す図である。n=3、平均±SD、*はp<0.05、**はp<0.01で表す。パネル図4−Aは適用2分後の結果を表す。図4−Bは、適用10分後の結果を表す。図5は、マウスにおいて経口投与されたトリチウム標識卵殻膜含有粉末消化吸収産物の血中放射能濃度を時間経過にしたがって示す図である。図6は、マウスにおいて経口投与されたトリチウム標識卵殻膜含有粉末消化吸収産物の、投与後2、6および12時間後の各組織における放射能濃度を示す図である。(サーチュイン遺伝子活性化剤) 本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤は、卵殻膜成分を有効成分とする。卵殻膜成分としては、卵殻膜そのもの、卵殻膜の加工物、抽出物等のいずれであってもよく、たとえば卵殻膜含有粉末または可溶性卵殻膜成分(加水分解物等)を利用することができる。 本発明に使用される卵殻膜成分を構成する卵殻膜は、陸生の卵生動物すべての卵、特に鳥類の卵の卵殻の内側にある膜(外卵殻膜および/または内卵殻膜および/または限界膜)であればいずれも使用できる。そのうちでも、特に、鶏卵の卵殻膜が、入手の容易性、コストなどの点から好ましく用いられる。(本発明において使用される可溶性卵殻膜成分) 本発明に使用される卵殻膜成分は、卵殻膜の可溶性成分、たとえば卵殻膜の分解または抽出物であることができる。卵殻膜加水分解物は、公知の方法、たとえば卵殻膜をアルカリ性含水有機溶媒中で分解後、得られた分解液を中和、濾過することを特徴とする可溶化卵殻膜の製法(特公平6−21047号公報)、卵殻膜をタンパク分解酵素で処理することを特徴とする水溶性卵殻膜の製造法(特公平7−110210号公報)、アルカリ性含水有機溶媒中で加水分解後に陰イオン交換樹脂で処理する方法(特許第5179847号公報)、米国特許第8211477号公報(発明の名称:Solubilized protein composition obtained from eggshell membrane)に記載のアルカリ加水分解法およびそれらの改変法にしたがって製造することができる。 アルカリ加水分解以外の方法として、可溶性卵殻膜は、たとえば、ピクリン酸−ペプシン処理法(TakahashiK, Shirai K, Kitamura M, Hattori M. Soluble egg shell membrane protein as aregulating material for collagen matrix reconstruction. Biosci BiotechnolBiochem. 1996 Aug;60(8):1299-302))、酸−ペプシン加水分解による方法(F.Yi, J. Yu, Z. X. Guo, L. X. Zhang, and Q. Li, “Naturalbioactive material: a preparation of soluble eggshell membrane protein,” MacromolecularBioscience, vol. 3, no. 5, pp. 234-237, 2003; F. Yi, Z. X. Guo, L. X. Zhang, J.Yu, and Q. Li, “Soluble eggshell membrane protein:preparation, characterization and biocompatibility,”Biomaterials, vol. 25, no. 19, pp. 4591-4599, 2004; Jun Jia, Geng Liu, Jian Yu,and Yuanyuan Duan. 2012. Preparation and characterization of soluble eggshellmembrane protein/PLGA electrospun nanofibers for guided tissue regenerationmembrane. J. Nanomaterials 2012, Article 25 (January 2012), 1 pages.DOI=10.1155/2012/282736 http://dx.doi.org/10.1155/2012/282736))、S−S結合の還元およびトリプシン処理による方法(Kodali VK, Gannon SA, Paramasivam S, Raje S, Polenova T, Thorpe C. Anovel disulfide-rich protein motif from avian eggshell membranes. PLoS One.2011 Mar 30;6(3):e18187. doi: 10.1371/journal.pone.0018187)などに基づいて製造することができる。 卵殻膜の代わりに、後述する卵殻膜含有粉末を用いてこれらの方法により可溶性卵殻膜成分を製造してもよい。 卵殻膜分解物は、市販のものを利用することができる。たとえば、キューピー(KewpieCorporation, Tokyo, Japan)の卵殻膜加水分解物、商品名「EM PROTEIN‐P」を使用することができる。(本発明において使用される卵殻膜含有粉末) 本発明において使用される卵殻膜含有粉末は、少なくとも卵殻膜を含む粉末であれば特に制限はないが、卵殻膜含有微粉末であって、体積平均粒子径が6μm以下であることが好ましい。また、本発明において使用される卵殻膜含有微粉末は、体積最大粒子径が20μm以下であることが好ましい。なお、本願明細書において、粉末または微粉末の「体積平均粒子径」および「体積最大粒子径」は、レーザー回折式粒度分布測定機(LMS−30、株式会社セイシン企業製)を用いて測定した値を意味する。ここで、「体積平均粒子径」は、粒度分布における小粒径側からの累積値が50%における粒子径を意味する。また、卵殻膜含有粉末または微粉末の粒子径の測定に際しては、卵殻膜含有粉末または微粉末を、界面活性剤を用いて水に分散させた測定試料を用いる。なお、「粉末」は粒子のサイズにかかわらずあらゆる粉体を指し、「微粉末」は粉末のうち最大粒子径および/または平均粒子径が概ね100μmより小さいものを指すが、厳密な区別を意図するものではない。 卵殻膜含有微粉末の体積平均粒子径が6μm以下、または、体積最大粒子径が20μm以下となるように、卵殻膜含有微粉末の粒度分布を制御することにより、70メッシュあるいは150メッシュで分級処理して得られた従来の卵殻膜粉末(最大粒子径で100〜200μmの卵殻膜粉末)よりも更に消化吸収効率およびサーチュイン遺伝子活性化の効率を向上させることができる。 このような効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推定される。一般的に、粒径が小さくなるほど、粒子の単位体積当たりの表面積はより大きくなる。このため、粒子が消化液に対して可溶性または易溶性の物質のみから構成されるのであれば、粒径が小さくなるに従い消化吸収効率が改善され、その結果、サーチュイン遺伝子活性化の効率が向上するものと期待される。 しかし、最大粒子径で100〜200μm前後、平均粒子径で数十〜百数十μmオーダの従来の卵殻膜粉末では、これらの粒径域レベルで最大粒子径あるいは平均粒子径を変化させて、より細かく粉砕しても消化吸収効率およびサーチュイン遺伝子活性化効率は殆ど改善しない。この理由は、卵殻膜は、繊維状のタンパク質を主成分とした強固な網目状の構造を有しており、これらの粒径域レベルで粉砕された卵殻膜粒子においては、未だに強固な網目構造が維持されているためであると考えられる。 一方、体積平均粒子径が6μm以下または体積最大粒子径が20μm以下の卵殻膜含有微粉末では、従来の卵殻膜粉末と比べて、消化吸収の効率、サーチュイン遺伝子活性化の効率がそれぞれ大幅に向上する。このような消化吸収効率およびサーチュイン遺伝子活性化の効率の向上は、単純に粒径が小さくなったことに起因するものでは無く、卵殻膜を微粉化する過程において、卵殻膜微粒子全体において、卵殻膜が本来有する繊維状の強固な網目状の構造が破壊され、卵殻膜微粒子全体が消化液に対してより溶解し易くなったためであると推測される。 したがって、本発明において卵殻膜成分として使用する粉末は、体積最大粒子径が20μmを超えるようにしたり、体積平均粒子径が6μmを超えるようにしたり、体積最大粒子径が20μmを超えかつ体積平均粒子径が6μmを超えるようにしたりしてもよいが、消化吸収効率およびサーチュイン遺伝子活性化の効率をより一層改善する観点からは、体積平均粒子径が6μm以下および/または体積最大粒子径が20μm以下の、卵殻膜含有微粉末であることがより好ましい。 本実施形態の卵殻膜含有粉末を含むサーチュイン遺伝子活性化剤には、少なくとも、粉末化または微粉化された卵殻膜成分が含まれるが、この他に、粉末化または微粉化された卵殻カルシウム成分が含まれていてもよい。この場合、本実施形態の卵殻膜含有粉末は、卵殻膜成分のみを含む形態(第一形態)、あるいは、卵殻膜成分および卵殻カルシウムのみを含む形態(第二形態)のいずれかであることが特に好ましい。第一形態の卵殻膜含有粉末を含有するサーチュイン遺伝子活性化剤の場合は、純粋に卵殻膜成分のみを含むため、医薬組成物、特に錠剤などの固体剤型の医薬組成物、食品添加物等、各種の用途に幅広く利用することができる。なお、第一形態の卵殻膜含有粉末および第二形態の卵殻膜含有粉末のいずれにおいても、製造過程等において混入する不純物成分が含まれることは許容される。また、本実施形態の卵殻膜含有粉末を含むサーチュイン遺伝子活性化剤には、卵殻膜成分と卵殻カルシウム成分の他に、その他の栄養素などが含まれてもよい。(本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤に使用される卵殻膜含有粉末または微粉末の製造方法) 本発明に使用される卵殻膜含有粉末の製造には、剥離された卵殻膜または卵殻に卵殻膜が付着した状態の原料を使用してもよく、当該原料と卵殻膜粉末とを併用することもできる。このような原料を粉末化する方法は公知のいずれのものでもよい。市販の卵殻膜粉末を卵殻膜含有粉末として用いてもよく、市販の卵殻膜粉末としては、たとえば、商品名「EMパウダー300」(キューピー株式会社製)を利用することができる。卵殻膜含有微粉末を製造する場合、市販の卵殻膜粉末、または、市販の卵殻膜粉末および卵殻カルシウムを利用して、これをさらに体積平均粒子径が6μm以下、および/または、体積最大粒子径が20μm以下まで微粉砕してもよい。 本発明において使用される卵殻膜含有微粉末は、少なくとも、卵殻膜含有原料をガス中で相互に衝突させて微粉砕する微粉砕工程を経て、製造することができる。このような微粉砕工程では、いわゆるジェットミルが用いられる。このような粉砕方法は、従来の回転刃などの硬質の破砕部材を原料と衝突させて粉砕する粉砕方法と比べて、粉砕時に、破砕部材と原料との接触・衝突などに起因する摩擦熱が殆ど発生しないため、卵殻膜中に含まれるアミノ酸やタンパク質などの、熱により変性・劣化・分解しやすい成分へのダメージが少ない。すなわち、製造過程で、卵殻膜中の有効成分が失われにくくなる。これに加えて、原料を粉砕するために、破砕部材ではなく高圧ガスを使うため、粉砕装置由来の不純物が卵殻膜含有微粉末に混入することも無いので、有利である。 微粉砕工程では、ジェットミルにより、卵殻膜含有原料の体積平均粒子径が40μm以下となるまで粉砕することが好ましく、20μm以下となるまで粉砕することがより好ましく、10μm以下となるまで粉砕することがさらに好ましい。また、この場合、体積最大粒子径は20μm以下となるまで粉砕することが好ましい。一方、ジェットミルにより粉砕された卵殻膜含有原料の体積平均粒子径の下限は特に限定されないが、生産性等の実用上の観点からは4μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。 ジェットミルにより粉砕された後の卵殻膜含有原料は、体積最大粒子径が20μm以下、および/または、体積平均粒子径が6μm以下であれば、これをそのまま本発明の卵殻膜含有微粉末を含むサーチュイン遺伝子活性化剤として利用できる。一方、粒度分布において粒径20μmを超える粗大粒子を含む場合、微粉砕工程を経た後に、目開き20μm以下の篩で分級して粗大粒子を除去する分級工程をさらに実施してもよい。 また、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤に使用される卵殻膜含有微粉末の製造方法では、必要に応じてその他の工程・プロセスを実施してもよい。たとえば、微粉砕工程が、第一の微粉砕処理と、第二の微粉砕処理とを含み、第一の微粉砕処理を終えた後の原料粉末を高圧蒸気で滅菌処理した後、第二の微粉砕処理を行ってもよい。卵殻膜含有原料がジェットミルにより粉砕されて微細化される過程においては、卵殻膜の抗菌性が低下しやすくなるが、上述したように滅菌処理を行うことで本実施形態の卵殻膜含有微粉末にカビや細菌の繁殖を防ぐのが容易となる。(サーチュイン遺伝子活性化剤を含む組成物) 本発明の組成物は、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤とともに、少なくとも一種の賦形剤を含有する。本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤は刺激性がないため、医薬または化粧品等の組成物とする場合、そのような組成物は、剤型に特に制限はなく、経口用または外用のあらゆる組成物とすることができる。点眼薬、点鼻薬、点耳薬、口腔薬(含嗽剤、噴霧剤)、坐薬(坐剤、軟膏剤、浣腸)等の外用組成物は、通常用いられる公知の成分を配合することによって、液剤、固形剤、半固形剤等のその使用目的に応じた各種剤型に調製することができる。好ましい組成物としては、たとえば、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、スプレー剤、貼付剤、粉末等を挙げることができる。経口投与または摂取される用途では、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤などの経口用組成物とすることが好ましい。経口用組成物は、舌下薬(錠剤だけでなく、オブラートのようなシート、ペースト)やゼリー、微粉末を懸濁させたドリンク剤でもよい。口腔粘膜からの吸収は、活性成分が毛細血管から内頸静脈を経て直接心臓へ入るため、消化管腔内での分解、代謝、肝での代謝による初回通過効果を回避でき、全身に一気にまわるので好都合である。上記で例示したものを含む種々の剤型の医薬または化粧品等の組成物を製造するための各種成分および製造法は、医薬および化粧品等の製造にかかる分野で公知であり、当業者は必要に応じて適宜選択することができる。なお、ここで「医薬組成物」は、ヒト用に限定されず、ペットや家畜として飼育されている犬や猫などの哺乳動物用の医薬組成物を含む。また、「化粧品組成物」は、化粧品のみでなく、薬事法上の各種医薬部外品、薬用化粧品等を含む。 なお、本明細書および特許請求の範囲においては、特に断らない限り、「%」は組成物全体の重量または容量を100%とした百分率であり、目的の成分が固体(粉末等)の場合は(W/V)または(W/W)、液体の場合は(V/V)であることを基本とする。 本発明のサーチュイン遺伝子活性化用の医薬組成物の有効投与量は、治療もしくは予防すべき疾患または症状の種類や程度、投与対象の状態(年齢、性別、身体の状態等を含む)、剤型などによって異なる。 このような医薬組成物のヒト(体重60kgの成人)に対する経口投与量は、卵殻膜成分の量に換算して、好ましくは1日当たり1mg〜100,000mgである。具体的には、たとえば本発明の経口医薬組成物の有効投与量は、1日当たり卵殻膜成分を合計で18〜48,000mgとすることができ、さらに好ましい値として、35mg〜3,500mgとすることができる。 また、外用組成物の場合、適用する皮膚の面積や部位等によっても異なるが、卵殻膜成分の量に換算して1〜400mg/ml(0.1〜40%)程度の卵殻膜成分を含有する外用剤を、1日1〜数回塗布することができる。適用方法は塗布に制限されず、たとえば組成物が液体の形状であれば噴霧でもよく、フィルム状の形状であれば貼付といったように適宜選択することができる。 本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤は極めて安全性が高く副作用の心配がないので、他の成分を適切に選択して組成物とする限りにおいて、摂取量または適用量が上記の範囲を超えても問題はない。(外用組成物) 局所適用剤とするには、その使用目的に応じて、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤を通常用いられる公知の成分に配合することによって、液剤、固形剤、半固形剤等の各種剤形に調製することが可能である。本発明の外用組成物には、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤および賦形剤に加え、たとえば、美容上または医薬的な有効成分、芳香成分(香料など)、着色剤などを使用することができる。他の有効成分の例としては、たとえば、消炎剤、抗炎症剤、メラニン産生抑制剤、メラニン還元剤、脱色剤、メラニン排水促進剤、細胞賦活剤、抗酸化剤、酸化防止剤、角質溶解・剥離剤、皮脂抑制剤、保湿剤、エモリエント剤、皮脂分泌抑制・促進剤、紫外線吸収剤、制汗剤、血行促進剤、角質除去・柔軟剤、美白剤、抗アレルギー剤、ステロイドホルモン、免疫抑制剤、抗生物質などが挙げられる。 たとえば、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤を、炭化水素(ワセリン等)、高級脂肪酸低級アルキルエステル(ステアリルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル等)、動物性油脂(ラノリン等)、多価アルコール(グリセリン等)、界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、無機塩、ロウ、樹脂、水、保存料(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸ブチル等)、ペプチド類(アセチルヘキサペプチド−3、パルミトイルペンタペプチド−4 (Matrixyl)等)、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、カプリリルグリコール等の1以上の成分と混合することによって、皮膚水分量および/または弾力性向上用または全身状態改善用の医薬組成物または化粧品を製造することができる。 本発明の外用組成物は、水性組成物とする場合は、保湿成分および/または増粘成分を含んでいることが好ましい。基剤保湿成分としては、たとえばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1−3ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ポリグルタミン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ポリ乳酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、糖類、メチルグルコシドなどが挙げられる。増粘成分としては、たとえばヒアルロン酸ナトリウム、デルマタン硫酸ナトリウム、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、コーンスターチ、トラカントゴム、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キシラン、マンナン、ガラクタン、ペクチン、エクステンシン、アラビアゴム、プルラン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、粘土鉱物類などが挙げられる。また、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマーは、線維芽細胞に皮膚と近い環境を与えることができるので、好ましい。(経口用組成物) 本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤は、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤などの経口用組成物とすることできる。種々の剤型の経口用組成物を製造するための各種成分および製造法は、医薬および化粧品等の製造にかかる分野で公知であり、当業者は必要に応じて適宜選択することができる。 本実施形態の経口用組成物は、賦形剤に加え、(1)健康増進剤(たとえばビタミン類、β-カロチン、ローヤルゼリーなど)、(2)併用することのできる各種の医療用成分(たとえば抗炎症剤など)、のうちの少なくも1種を含有することが好ましい。 本実施形態の経口用組成物中に含有させるビタミンの種類は特に制限されず、ヒトまたは哺乳動物が摂取可能なビタミンであればいずれでもよい。たとえば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンKなどの脂溶性ビタミン類、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンH、ビタミンLなどの水溶性ビタミン類などを挙げることができ、本実施形態の錠剤は、これらのビタミン類の1種または2種以上を含有することができる。β−カロチンおよびビタミン類の含有量は、ヒトなどの対象が摂取するのに適するそれぞれのビタミンの量に応じて適宜決めることができる。 本発明の経口用組成物は、卵殻膜を高濃度で均一に含有し、保存時、流通時、服用時などに変形・崩壊が生じず、取扱い性に優れ、かつ、経口で簡単に服用できる観点からは、錠剤とすることが特に好ましい。以下に、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤を用いた医薬組成物の例として、錠剤について説明する。 本実施形態の錠剤に含まれる微粉末状の卵殻膜成分の含有量は特に制限されない。しかし、粒子への造粒および打錠が円滑に行われ、錠剤を経口で摂取(服用)した際のサーチュイン遺伝子活性化効果がより優れたものになり、生体内で生成した活性酸素の低減または消去能が高くなるなどの観点から、錠剤の全質量に対して、卵殻膜成分を5〜40質量%の割合で含有することが好ましく10〜25質量%の割合で含有することがより好ましい。 卵殻膜成分の含有量を5質量%以上とすることにより、多量の錠剤を摂取する必要がなくなる。一方、錠剤における卵殻膜の含有量が40質量%以下とすることにより、粒子への造粒および打錠が容易となり、錠剤を製造しやすくなる。 本実施形態の錠剤には、錠剤を形成するために各種の添加剤として、賦形剤に加えて、たとえば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、その他の栄養素等を適宜添加することができる。 錠剤用の賦形剤としては、化工澱粉および乳糖の少なくとも1種が用いられることが好ましい。賦形剤の含有量は、賦形性の観点から卵殻膜成分の質量に対して0.5〜3質量倍であることが好ましく、1〜2.5質量倍であることがより好ましい。化工澱粉としては、焙焼デキストリン(白色デキストリン、黄色デキストリンなど)などのデキストリン類、酸化澱粉(次亜塩素酸酸化澱粉など)、低粘性変性澱粉(酸浸漬澱粉、酵素処理澱粉など)などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。賦形剤として、化工澱粉(特に「ワキシa」および「パインファイバー」)と乳糖を併用する場合は、化工澱粉:乳糖の使用割合(質量比)が、1:5〜5:1であることが好ましく、1:3〜3:1であることがより好ましい。 結合剤としては、公知の結合剤が適宜利用できるが、たとえば、デンプン糊、アラビアゴム糊、ヒドロキシプロピルセルロースなどを挙げることができる。 崩壊剤としては、公知の崩壊剤が適宜利用できるが、たとえば、セルロース類などを用いることができる。なお、デンプンは崩壊剤としての機能も有する。 滑沢剤としては、公知の滑沢剤が適宜利用できるが、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステルなどのワックス類やタルク、ビタミンCなどを挙げることができる。 さらに、本実施形態の錠剤は、錠剤の硬度を高くし、錠剤の変形や傷つきを防止して、包装時、保存時、流通時などにおける錠剤の取り扱い性を向上し、摂取性を良好なものにするために、硬度向上剤として卵殻カルシウムを含有することが特に好ましい。卵殻カルシウムは、鶏卵などの鳥類の卵の殻を粉砕・乾燥してなる微粉末であり、本実施形態の錠剤においては、人が摂取可能な卵殻カルシウムであればいずれも使用できる。卵殻カルシウムとしては、たとえば、従来から市販されているキューピー株式会社製の商品名「カルホープ」、太陽化学株式会社製の卵殻カルシウムなどをそのまま用いることができる。錠剤中に含まれる卵殻カルシウムの含有量は、錠剤の全質量に対して、5〜20質量%であることが好ましく、8〜15質量%であることがより好ましい 本実施形態の錠剤は、錠剤中に含まれる成分の変質や分解を防止し、また錠剤表面の耐傷つき性の向上などの目的で、コーティング皮膜で覆われていることが好ましい。コーティング皮膜は、錠剤のコーティング皮膜として従来から用いられているのと同様の皮膜形成材料から形成することができる。皮膜形成材料としては、特に限定されるものではないが、たとえば岐阜セラック株式会社製の商品名「セラック」(トラック30)などを利用することができる。 また、本実施形態の錠剤は、経口での摂取をし易くするために、糖衣で覆われていることが好ましく、また、必要に応じて、着色してあってもよく、着色後に、艶だし処理を施してもよい。 本実施形態の錠剤の大きさは特に制限されず、適宜決めることができるが、一般には、直径が約7〜10mm程度の円形や楕円形の錠剤とするのが、取り扱い性、服用のし易さなどの点から好ましい。 さらに、本実施形態の錠剤は、たとえば、錠剤1個の重さが約350〜600mg程度であることが好ましく、錠剤1個中に卵殻膜成分が約18〜240mgの量で含まれることが好ましく、35〜150mgがより好ましい。たとえば、本実施形態の錠剤1個当たり、卵殻膜成分が約18〜240mgの割合で含有されると仮定する。この場合、成人では、当該錠剤を1日当たり1〜200個(1日当たり卵殻膜成分を合計で18〜48,000mg)摂取または投与することができる。 本実施形態の錠剤は、本実施形態の卵殻膜含有微粉末を少なくとも含む打錠用原料を用いて、公知の錠剤製造方法を適宜利用して製造することができる。具体的には、打錠用原料を用いて、打錠することで裸錠を形成する裸錠形成工程(打錠工程)を少なくとも経て本実施形態の錠剤を製造することができる。裸錠形成工程に加えて、造粒工程、保護コーティング工程、糖衣コーティング工程等の工程を行ってもよく、さらに着色、艶だし等を施してもよい。これにより得られる本実施形態の錠剤は、選別、計量、包装などを行うことによって出荷される。(食品添加物) 本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤を、単独で、または他の食品添加物などの生理的に許容される各種成分と組み合わせて、菓子類、健康食品、保存食品、加工食品などの食品に添加するための食品添加物とすることができる。本発明の食品添加物は、サーチュイン遺伝子活性化を目的として、当該技術分野で公知の方法により各種食品に添加して使用することができる。たとえば、卵殻膜の食品への適用については、粉末状に粉砕した卵殻膜を含む錠剤や菓子類などが提案されている(特許第3862600号、特開2009−165421号公報)。これらに記載された錠剤や菓子類において使用されている卵殻膜粉末として、本発明のサーチュイン遺伝子活性化剤を含有する食品添加物を使用することができる。 なお、ここで、「食品」は、ヒト用に限定されず、ペットや家畜として飼育されている犬や猫などの哺乳動物用の餌料を含む。また、「食品」の概念には、通常の食品の他、飲料やいわゆるサプリメントや健康食品、経腸栄養食品、特別用途食品、栄養機能食品、特定保健用食品などが包含される。 以下に、本発明を、実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。1. 卵殻膜加水分解物を含む外用剤の製造 アルカリ加水分解卵殻膜(以下「ASESM」という)としては、キューピー(KewpieCorporation, Tokyo, Japan)から入手した商品名「EM PROTEIN‐P」を使用した。このASESMについてサイズ排除クロマトグラフィ(ゲルろ過)により測定した相対分子量は、主要な部分が約12〜14kDaであることが見出された(Ohto-Fujita et al, Cell Tissue Res. 2011 July; 345(1): 177-190)。 7%(V/V)ブチレングリコール、1%(V/V)ペンチレングリコール、4%(V/V)グリセリン、0.2%(V/V)フェノキシエタノール水溶液を基剤として使用し、10%(W/V)ASESMを含有する溶液(ローション剤)を製造した。2. へアレスマウス背部におけるサーチュインおよび細胞外マトリックス(ECM)関連遺伝子発現に対するASESM外用剤の効果 動物は、ヘアレスマウス(Hos:HR−1、6週齢、雄)を用いた(コントロール群:n=9、ASESM処理群:n=9)。ASESM処理群には、前記で製造した10%(W/V)ASESM溶液を、外用で(局所的に)背部皮膚に、10日間(毎日40μl/回×2)または14日間(1〜2日目は20μl/回×1、3〜9日目は40μl/回×2、10〜14日目は40μl/回×1)適用した。コントロール群には、ASESMを含まない上記基剤溶液を同様に適用した。 定量的リアルタイムPCR(quantitative real-time polymerase chainreaction)解析は、以下のように行った。各マウスから皮膚サンプルを採取し、液体窒素中で粉砕した。全皮膚組織のホモジナイズ後、商品名「TRIzol(登録商標) Reagent」を用いて総RNAを単離した。総RNA(200ng)を、商品名「Takara PrimeScript RTR reagent kit」を用いたcDNA合成に適用した。リアルタイムPCR法は、商品名「SYBRR Premix Ex TaqTM II (Takara) on Thermal Cycler Dice Real TimeSystem」(Takara)を用いて行った。プライマーとして、I型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、MMP2、マトリックスメタロプロテイナーゼ3(Matrix metalloproteinase 3;MMP3)、ヒートショックタンパク47(Hsp47)、エラスチン(Elastin)、デコリン、ヒアルロン酸シンセターゼ2(Hyaluronansynthetase 2;Has2)、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF−β1)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β3)、サーチュイン1(SIRT1)、サーチュイン2(SIRT2)、サーチュイン3(SIRT3)、サーチュイン4(SIRT4)、サーチュイン5(SIRT5)、サーチュイン6(SIRT6)、サーチュイン7(SIRT7)をコードする遺伝子を増幅するよう設計されたプライマーを用いた。内部標準として、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)mRNAを同様に増幅した。PCRサイクルは以下のとおりとした:最初の変性を、95℃で30秒で行った後、40サイクルの増幅(95℃で5秒の変性、および60℃で1分のアニーリングおよび伸長反応)。使用したプライマーを以下の表にまとめて示す。 各遺伝子発現量を、GAPDHの発現量に対する比として算出した。結果を図1−A〜図1−Mおよび表2に示す。 上記と基本的に同様にして、へアレスマウス(6週齢、雄、Hos:HR−11)の背部皮膚に1%(W/V)ASESM溶液を3日、5日、10日間塗布し、表皮におけるサーチュイン遺伝子の発現を調べた。結果を、0% ASESM溶液を用いた対照群の値に対する比として、図1−Nに示す。 さらに、ヘアレスマウス(雌、Kud:HR−)の背部皮膚に、10%(W/V)ASESM溶液または0%ASESM溶液を、1cm2あたり20μl、5日間塗布し、上記と基本的に同様にして表皮に発現するSMPD1、アクアポリン(AQP−3)、MMP3、Has1、sptlc−1遺伝子の発現を調べた。結果を、図1−Oに示す。SMPD−1遺伝子発現は有意に増大し、アクアポリン−3も増大した。一方、MMP3、Has1、sptlc−1は変化しなかった。SMPD−1はスフィンゴミエリナーゼでセラミド合成に関わる酵素である。この酵素の増大により、セラミド合成系が刺激されていると推定できる。アクアポリンは皮膚だけでなく、腎臓においては糖尿病をはじめ細胞内の水分を調節することが知られている水チャンネルであるため、卵殻膜を摂取した場合には、糖尿病などの生活習慣病の改善に効果があることが期待できる。 以上から、ASESM処理群の背部皮膚においては、細胞にASESMが働きかけた結果、種々のサーチュイン遺伝子(Sirtuins)の発現が調節され、1%ASESMを10日間塗布した場合ではSIRT1とSIRT3が、10%ASESMを10日間塗布した場合では特にSIRT3のmRNAが有意に増大した。また、10%ASESMを5日間塗布した場合ではSMPD1 mRNA、10%ASESMでは主要な細胞外マトリックス(ECM)であるIII型コラーゲンおよびデコリン、ならびにMMP2のmRNAの有意な増大が観察された。10%ASESMを14日間塗布した場合は、SIRT1〜SIRT7のmRNA発現がさらに顕著に増大し、SIRT2およびSIRT4のmRNAについて発現増大が観察された。3. 女性の皮膚の水分に対するASESM外用剤の効果 ASESM外用剤の効果を評価するために、プラセボを対照とした二重盲検実験を行った。同一個人内で、左右の腕をランダムに(片方の腕を)未塗布とした。30人の女性志願者(20〜65歳、平均年齢:36.9±13.2歳)を被験者として、15人の対照群(平均年齢:35.4±12.7歳)と15人のASESM群(平均年齢:38.3±14.0歳)とに無作為に分けて、ASESM群には1%(W/V)ASESMを含有するモイスチャライジングローションおよびクリームの両方を、所定の方法で1日2回、前腕および上腕に適用した。対照群には、ASESMを含まないこと以外は同一のローションおよびクリームを同様に適用した.実験前、実験開始後2週間、4週間後に各被験者の皮膚の水分を、皮膚水分測定器「Corneometer(登録商標) CM825, Courage+Khazaka」を用いて上腕の内側と外側、前腕の内側と外側で測定した。信頼できる測定値を得るために、被験者は実験の前に調整された室内(22±2℃, 50±10% RH)に15分間気候順化された。水分の測定結果には、左右腕の差がみられなかったので、ASESM入り、ナシで個人の初期値に対する変化に対して有意差検定を行った。 ローションおよびクリームの組成および製造法は以下のとおりであった。 実験開始前および4週間後の結果の比較を図2−Aに示す。4週間後の測定で、上腕内側において有意(***p<0.001)に肌の水分が上昇した。4. 女性の皮膚の弾力性に対するASESM外用剤の効果−1《左腕》 ASESM外用剤の効果を評価するために、プラセボを対照とした二重盲検実験を行った。被検者は、水分測定を行った被検者と同じであり、同一個人内で、左右の腕をランダムに(片方の腕を)未塗布とした。水分への効果と異なり、弾力性は、ASESMの含有の有無で左右差がみられたため、左右別に統計処理を行った。左腕群について述べる。14人の女性志願者(22〜54歳、平均年齢:37.1±12.6歳)を被験者として、対照群(平均年齢:37.4±13.5歳)とASESM群(平均年齢:36.7±12.8歳)とに無作為に分けて、12週間の間、ASESM群には上記3.と同じ1%(W/V)ASESMを含有するモイスチャライジングローションおよびクリームの両方を、所定の方法で1日2回、前腕および上腕に適用した。対照群には、ASESMを含まないこと以外は同一のローションおよびクリームを同様に適用した。 12週間後に、各被験者の皮膚の弾力性を、皮膚粘弾性測定器「CutometerR MPA 580,Courage+Khazaka)」を用いて測定した。測定領域は、前腕および上腕とした。信頼できる測定値を得るために、被験者は実験の前に調整された室内(22±2℃, 50±10% RH)に15分間気候順化された。 以下の条件で、キュートメーターによる弾力性特性の測定を行った:タイム/ストレインモード(time/strain mode)、300mbarの定常的陰圧(constant negative pressure)の3秒の適用、続いて3秒の弛緩期(relaxationperiod)。キュートメーターパラメータ(粘弾性指標)は以下のとおりである:Ue=急速な伸展(immediatedistention);Uv=遅延伸展(delayeddistention);Uf=最終伸展(final distention)(皮膚伸展性) (skin distensibility);Ur=急速な退縮(immediate retraction);Ua=最終退縮(finalretraction);Ua/Uf=粘性変形を含む全体の弾力(gross-elasticity of theskin, including viscous deformation);Ur/Ue=粘性変形を含まない皮膚の正味の弾性(neto-elasticity of the skin without viscous deformation);Ur/Uf=生物学的な粘弾性(全体弾力に対する急激な退縮の割合)(biological elasticity, i.e., the ratio of immediate retraction tototal distension);Uv/Ue=弾性伸展に対する粘弾性伸展の割合(the ratio ofviscoelastic to elastic distension);R8=粘性部分(変形曲線の吸引部分以下の面積)(viscopart, i.e., the area under the suction part of the deformationcurve;R=測定の最終サイクルでの変形残余(弾性伸展)(residual deformation atthe end of measuring cycle(resilient distension); 弾力性インデックス1. R0=Uf=Ue+Uv(波形振幅最大値)(First max.amplitude)2. R1= Uf−Ua(再変形能力)(First min.amplitude)3. R2= Ua/Uf (全体の弾力)(Gross-elasticityof the skin, including viscous deformation)4. R3= lastmax amplitude (最終波形最大値)(Last max. amplitude)5. R4= last min amplitude (最終波形振幅最小値)(Last min. amplitude)6. R5= Ur/Ue(弾力)(neto-elasticity ofthe skin without viscous deformation)7. R6= Uv/Ue(塑性域割合)(the ratio ofviscoelastic to elastic distension)8. R7= Ur/Uf(弾力性)(Bio- logicalelasticity)9. R8= Ua of the first curve (最初波形Ua値)(Ua of the first curve)10. R9=R3−R0(連続吸引後皮膚疲労)11. F0=(積分値)(surface area )12. F1=(積分値)(surface area ) 結果を、図2−Bに示す。外上腕(OU)、内上腕(IU)、外前腕(OF)、内前腕(IF)の皮膚の弾力性を、ASESMを含まない(0%(W/V)ASESM)組成物(対照群、n=7)および1%(W/V)ASESM含有組成物(n=7)を用いた12週間の処理の前後で測定した。ASESMを含まない組成物を用いた対照群では、左前腕および上腕の弾力性の12個のインデックスの有意な変化は観察されなかった。一方、ASESM群では、OU、IU、OF、IFでR7(8.6%上昇)およびR5として弾力性の有意な増大が得られた(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。OFのみにおいて、他のいくつかのインデックス(R0、R3、R8およびF1)が12週間後に有意に増大したP<0.05)。なお、R0、R1、R3、R4、R8、R9の各値は、算出された長さ(mm)であり、R2、R5、R6、R7、F0、F1の各値は任意の単位である。4. 女性の皮膚の弾力性に対するASESM外用剤の効果−2《右腕》 右腕群について述べる。29人の女性志願者(22〜54歳、平均年齢:37.1±12.6歳)を被験者として、対照群(平均年齢:37.4±13.5歳)とASESM群(平均年齢:36.7±12.8歳)とに無作為に分けて、ASESM群には上記と同じ1%(W/V)ASESMを含有するモイスチャライジングローションおよびクリームの両方を、所定の方法で1日2回、前腕および上腕に12週間、適用した。対照群には、ASESMを含まないこと以外は同一のローションおよびクリームを同様に適用した。 実験前、実験開始後2週間、4週間後、8週間後、12週間後に各被験者の右腕の皮膚の弾力性を、皮膚粘弾性測定器「CutometerR MPA 580, Courage+Khazaka)」を用いて測定した。測定領域は、前腕および上腕とした。信頼できる測定値を得るために、被験者は実験の前に調整された室内(22±2℃, 50±10% RH)に15分間気候順化された。 その結果を図2−Cおよび表5に示す。12週間後に右腕の弾力性が有意に上昇した。なお、左腕と異なり、右腕では対照群の弾力性も上昇したインデックスがわずかにあったが12週間後の変化率は、ASESM塗布群で数倍高かった。この左右の腕の応答の違いについては、日常活動動作において利き手である右腕の運動特性と使用頻度が高いからであると考えられ、マッサージや運動など、機械的な刺激を皮膚に入れることとASESM塗布と同時に施せば、相乗効果が期待できる。5. ラマン分光装置(Raman spectrometer)を用いて測定したASESMのヒト皮膚および再構成されたヒト三次元培養上皮モデルLabCyteTM EPI−MODELへの浸透 外用剤からのASESMの浸透を、ヒト三次元培養上皮モデル(商品名「ラボサイト エピ・モデル(LabCyte EPI−MODEL)(登録商標)」、J‐TEC社)およびヒト皮膚について調べた。 エピ・モデルについては、水(ミリQ)中またはローション(7%(V/V)ブチレングリコール、1%(V/V)ペンチレングリコール、4%(V/V)グリセリン、0.2%(V/V)フェノキシエタノールを含む水溶液)中の10%(W/V)または30%(W/V)ASESM含有溶液を、再構成されたヒト上皮モデル(LabCyte EPI−MODEL)に添加し、この溶液を吸引除去した。室温で30分間インキュベートした後、インビボラマン分光装置を用いて測定した(n=3)。コントロールサンプルとして、0%(W/V)ASESMの同じ溶液(水またはローション)で処理したこと以外は同じサンプルを用いた。 ヒト皮膚については、上記ローション中30%(W/V)ASESM溶液(20μl)を40歳の女性の前腕に塗布した。60分間風乾した後、インビボラマン分光装置を用いて測定した(n=3)。コントロールサンプルとして、0%(W/V)ASESMの上記ローションで処理したこと以外は同じサンプルを用いた。 ラマンスペクトルの浸透プロファイルを、「River Diagnostics SkinComposition Analyzer Model 3510」を用いて皮膚表面から内部に向かって2μm間隔で測定した。20μlのASESMを、前腕の掌側上の2cm×2cm角の領域に種々の時点で適用し、次に、ASESMローションの浸透プロファイルの変化を、適用後2分および10分に測定した。 エピ・モデルについての結果を図3に、ヒト皮膚についての結果を図4に示す。これらの結果から、ASESMが皮膚に確かに浸透していることがわかった。 本発明において、ASESMのインビボ効果としては、III型コラーゲン、デコリン、およびMMP2等のECM遺伝子の組み合わせに加えて、各種のサーチュイン遺伝子、特にミトコンドリアのサーチュイン3(SIRT3)もまた活性化されることが見出された。皮膚の水分・弾力性の低減は、見えない老化の徴候の一つであるが、水分・弾力性両者の改善に関して先行技術は発見されていない。本発明においては、卵殻膜成分が皮膚の細胞に働きかけて細胞なタンパク質のターンオーバー、細胞の幼若化を促進すること、サーチュイン遺伝子の適度な活性化が皮膚の健康において大きな可能性を有することが示され、このような作用により皮膚の水分・弾力性が改善されたことが示唆された。6. 卵殻膜含有微粉末の製造 卵殻膜含有粉末サンプルとして、キューピー株式会社の商品名「EMパウダー300」をジェットミルで粉砕したものを用いた。ジェットミルとしてはシングルトラックジェットミル(株式会社セイシン企業製、FS−4)を用いて、風量:1.2m3/min、動力:11kwにて、体積最大粒子径が800メッシュ(目開きで約20μm)程度となるまで粉砕を実施した。レーザー回折式粒度分布測定機(株式会社セイシン企業製、LMS−30)を用いて粉砕後の粒径を測定したところ、体積最大粒子径は19.6μm、体積平均粒子径は5.8μmであった。7. マウスにおけるサーチュイン遺伝子発現に対する卵殻膜含有粉末摂取の効果 6〜7週齢の雄C57BL6/Jマウスを前日より絶食させたのち、卵殻膜微粉末と卵殻カルシウムのみを有効成分として含有する実験用サプリメント(「8φCR 200mg」、上記で製造した卵殻膜含有微粉末(800メッシュ) 37.50%(75.0mg); 卵殻カルシウム(キューピー株式会社) 11.75%(23.5mg); 乳糖(グランビアフーズ社) 43.75%(87.5mg); トウモロコシ蛋白(小林香料株式会社) 5.00%(10.0mg); 菜種硬化油(川研ファインケミカルズ株式会社) 2.00%(4.0mg))0.5mg、1.0mg、または対照として賦型剤のみを含むコントロール錠剤(「9φCR 250mg」、乳糖 93.00%(232.5mg); トウモロコシ蛋白 5.00%(12.5mg); 菜種硬化油 2.00%(5.0mg)) 1mg(いずれの錠剤も乳鉢で粉にしたもの)を、動物用薬物投与ゼリー(商品名MediGel Sucralose、日本エスエルシー株式会社)100μLに懸濁し、軽くエーテル麻酔したマウスにゾンデを使って胃に直接全量投与した(n=各1)。16時間後にマウスを解剖し、腎臓、肝臓、ヒラメ筋、腓腹筋、海馬、褐色脂肪(BAT)、白色脂肪(WAT)組織中の細胞でのSirt1〜4遺伝子発現を、上記と同様にして定量的リアルタイムPCRで評価した。 結果を表6に示す。腎臓におけるSirt3、肝臓・腓腹筋・海馬におけるSirt1、BATにおけるSirt1および3、WATにおけるSirt1〜4すべての発現が上昇する傾向が見られた。8. 卵殻膜成分の体内動態 タンパク質などの含窒素化合物を炭酸リチウムと混合し中性子照射すると、Li6 (n,α)3H反応で生成したトリチウムにより標識される。これを利用して、トリチウム標識された卵殻膜含有粉末をマウスに経口投与した場合の体内動態を以下のようにして調べた。<卵殻膜の標識> 卵殻膜含有粉末0.32g(「EMパウダー)、キューピー)と炭酸リチウム0.65gを十分に混合し石英管に減圧封入後、日本原子力研究機構原子力科学研究所(JRR4原子炉)で20分間中性子照射した。照射試料を石英管から取り出し、水と混合して未反応の炭酸リチウムを溶解した。卵殻膜粉末は水に不溶であるので濾過して回収し、卵殻膜に未結合のトリチウムを除去するため、濾液の放射能が十分に減少するまで水で洗浄した。<実験動物> オリエンタル酵母より6週齢で購入したC57BL/6Jマウスを1週間程度の予備飼育(温度23±2℃、相対湿度55±10%、12時間明暗サイクルの環境下)後、7週齢時に実験を行った。マウスをスギヤマゲンの代謝ケージ(メタボリカMM)(86.5cm2×14.5cm、スペース約2000cm3)内で1匹ずつ飼育し、固形飼料(MF、オリエンタル酵母)と水道水を自由摂取させた。<投与方法> 投与前16時間絶食させたマウスに水で懸濁した標識卵殻膜含有粉末を、プラスチック製ディスポーザブルゾンデを用いて胃内に単回強制経口投与した。投与放射能は、約4.5MBq/kg(122mCi/kg)体重とし、投与量は250mg/kg体重とした。<放射能の測定> 放射能の測定は、調製された放射能測定試料にシンチレーターを加え、液体シンチレーションカウンター(Packard,2200CA)により行った。クエンチングの補正は外部標準線源比法により行った。<血液中放射能濃度測定> 標識卵殻膜含有粉末投与後0.25、0.5、1、2、4、6、9、12、24時間ならびに2、3、4、5、6日に尾静脈より血液5mlを採取した。この試料に組織可溶化剤(Soluene−350(Perkin Elmer)/イソプロピルアルコール(1:1)) 1mlを加え、50℃で3時間加温振盪した後、30%過酸化水素水500mlを加えた。この試料にシンチレーター(Hionic fluor, Perkin Elmer)10mlを加え、放射能を測定した。<尿・糞中への放射能排泄> 標識化合物投与後、マウスを代謝ケージ(メタボリカMM、スギヤマゲン)に入れ、投与後1日ごとに6日間、尿・糞を分離して採取した。採取した糞の一部を精秤し、これに組織溶解剤2mlを加え、3〜4時間、50℃で加温し、その後イソプロパノール1mlを加え、50℃で2時間加温した。この試料に30%過酸化水素水を0.5ml加え、シンチレーター(Hionic Fluor, Perkin Elmer)を10ml加え、放射能を測定した。尿は、各画分の1mlにシンチレーター(ウルチマゴールドLLT)5mlを加え、放射能を測定した。 マウスへの卵殻膜経口投与後の血液中放射能濃度の結果を図5に示す。トリチウム標識した卵殻膜投与後の血中放射能濃度を時間経過に従って示した。投与後24時間以内で血中の放射能濃度が最大になり、その後、3〜4日で元の放射能レベルに低下した。 糞・尿中放射能濃度の結果を表7に示す。糞・尿中の放射能は投与後3日後までで投与量全体の61.5%であった。<全身の組織への放射能の移行> 前記と同様にしてゾンデを用いて胃内に、5,568,000dpmのトリチウム標識卵殻膜を3個体のマウスに投与した。投与後、2時間、6時間および12時間後に、各個体から組織の一部または全部を摘出し、重量を測定した。各組織に2mlの可溶化剤(Soluene-350)を添加し、60℃で3時間インキュベートした。この試料に30%過酸化水素水を0.5ml加え、シンチレーター(Hionic Fluor)を10ml加えて室温で1時間インキュベートした後、液体シンチレーションカウンターにより放射能を測定した。結果を、表8および図6に示す。 卵殻膜成分は、全身の各種組織、特に皮膚、腎臓、肝臓、精巣(雌では卵巣)、脳(たとえば海馬)に多く分布することが明らかになった。これらの組織はSIRT1とSIRT3が高発現している部位とよく一致する。9. 医薬組成物(錠剤)の製造(1)打錠用の顆粒の製造 上記で製造した卵殻膜含有微粉末(800メッシュ):20.0 質量部、日食株式会社製「ワキシa」:10.0質量部、松谷化学株式会社製「パインファイバー」:20.0質量部、乳糖(メグレ社製):25.9質量部、卵殻カルシウム(キューピー株式会社製「カルホープ」):10質量部、β−カロチン:5.0質量部、ビタミンB:20.05質量部、ビタミンE:0.05質量部およびナイアシン:2.0質量部を、V型混合機を用いて混合することにより、原料混合物を調製した。次いで、この原料混合物93.0質量部に対して、エチルアルコール15質量部を混合し、これにより得られた混合物を、湿式造粒装置を用いて造粒し、次いで温度50℃で約16時間乾燥して、打錠用の顆粒を製造した。(2)打錠 次に、打錠用の顆粒100質量部に対して、ビタミンCを9質量部およびショ糖脂肪酸エステルを1質量部の割合で混合し、それにより得られた混合物を、打錠装置を使用して、1粒が200mgの裸錠を製造した。(3)保護コーティング 次に、裸錠の表面に、コーティング装置を使用して、岐阜セラック株式会社製「セラック」の水溶液を塗布し、温度40℃ で2時間乾燥して、保護コーティングされた錠剤(保護コーティング錠)を得た。(4)糖衣被覆 十分に乾燥させた保護コーティング錠の表面に、糖衣被覆装置を使用して、糖衣用ペーストA(グラニュー糖70質量部、アラビアガム3質量部、ゼラチン4質量部、卵殻カルシウム3質量部および水65質量部を混合したペースト)を被覆した後、温度約40℃で約4時間乾燥した。その後、糖衣用ペーストAに水を加えて希釈した糖衣用ペーストBを調製した。さらに、糖衣用ペーストAでコーティング処理および乾燥処理された錠剤の表面に、糖衣被覆装置を使用して、糖衣用ペーストBを、被覆した後、温度約40℃で約4時間乾燥した。これにより糖衣用ペーストでコーティングされた錠剤(糖衣コーティング錠)を得た。(5)色付け 糖衣コーティング錠の表面に、三栄源社製「SRレッドK3」を含む着色液を塗布した後、40〜50℃で4時間乾燥して、赤色に着色した錠剤(着色錠)を製造した。(6)艶だし 着色錠の表面に、カルナウバロウを用いて、艶だしを行った。これにより得られた錠剤1個の質量は400mgであり、錠剤1個当たり卵殻膜成分を約40mgの割合で含有していた。(7)選別−計量−包装 艶出し処理を行った錠剤を選別して不良品を除き、製品検査後に計量し、乾燥剤を同封した二重袋で包装した。なお、錠剤は、十分な硬度および形状保持性を有しており、選別、検査、包装時に変形したり、崩壊したりすることがなく、取り扱い性に優れていた。 卵殻膜成分を含有することを特徴とするサーチュイン遺伝子活性化剤。 請求項1記載のサーチュイン遺伝子活性化剤において、前記卵殻膜成分が、可溶性卵殻膜成分または卵殻膜含有粉末であることを特徴とする、サーチュイン遺伝子活性化剤。 請求項1または2記載のサーチュイン遺伝子活性化剤において、サーチュイン1、サーチュイン2、サーチュイン3、サーチュイン4、サーチュイン5、サーチュイン6およびサーチュイン7からなる群から選択される1以上の遺伝子の発現を増強することを特徴とする、サーチュイン遺伝子活性化剤。 請求項3記載のサーチュイン遺伝子活性化剤において、サーチュイン1、サーチュイン2、サーチュイン3、サーチュイン4、サーチュイン5、サーチュイン6およびサーチュイン7からなる群から選択される2以上の遺伝子の発現を増強することを特徴とする、サーチュイン遺伝子活性化剤。 請求項1〜4のいずれか1に記載のサーチュイン遺伝子活性化剤および賦形剤を含有する、皮膚水分量および/または弾力性向上用または全身状態改善用の外用組成物。 請求項5記載の外用組成物において、前記卵殻膜成分が可溶性卵殻膜成分であることを特徴とする、外用組成物。 請求項1〜4のいずれか1に記載のサーチュイン遺伝子活性化剤および賦形剤を含有する、皮膚水分量および/または弾力性向上用または全身状態改善用の経口用組成物。 請求項7記載の経口用組成物において、前記卵殻膜成分が卵殻膜含有粉末であることを特徴とする、経口用組成物。 請求項1〜4のいずれか1に記載のサーチュイン遺伝子活性化剤を含有する食品添加物。 請求項9に記載の食品添加物が添加された食品。 【課題】代謝、加齢、各種の疾患との関連において重要な生体内分子であるサーチュインの遺伝子活性化剤、およびその応用を提供すること。【解決手段】卵殻膜成分を含有するサーチュイン遺伝子活性化剤。該サーチュイン遺伝子活性化剤は、サーチュイン1、サーチュイン2、サーチュイン3、サーチュイン4、サーチュイン5、サーチュイン6およびサーチュイン7からなる群から選択される1以上の遺伝子の発現を増強するものであること好ましい。該サーチュイン遺伝子活性化剤を含有する組成物は、粉末であり、皮膚水分量および/または弾力性向上または全身状態改善のための、外用組成物、経口用組成物、または食品添加物として有用である。【選択図】なし