生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_人工多能性幹細胞製造用組成物、及び人工多能性幹細胞の製造方法
出願番号:2013100311
年次:2014
IPC分類:C12N 15/09,C12N 5/10


特許情報キャッシュ

伊関 大敬 岡崎 康司 奥田 晶彦 JP 2014217344 公開特許公報(A) 20141120 2013100311 20130510 人工多能性幹細胞製造用組成物、及び人工多能性幹細胞の製造方法 学校法人 埼玉医科大学 504013775 廣田 浩一 100107515 流 良広 100107733 松田 奈緒子 100115347 伊関 大敬 岡崎 康司 奥田 晶彦 C12N 15/09 20060101AFI20141024BHJP C12N 5/10 20060101ALI20141024BHJP JPC12N15/00 AC12N5/00 102 5 OL 23 (出願人による申告)平成20年度から平成25年度、独立行政法人科学技術振興機構、戦略的創造研究事業「iPS細胞の安全性向上の為の基盤的研究」委託研究、産業技術強化法第19条の適用を受ける特許出願 4B024 4B065 4B024AA01 4B024BA80 4B024CA01 4B024DA02 4B024EA02 4B024GA11 4B024HA08 4B024HA17 4B024HA20 4B065AA90X 4B065AA90Y 4B065AB01 4B065AC20 4B065BA02 4B065CA44 本発明は、人工多能性幹細胞製造用組成物、及び人工多能性幹細胞の製造方法に関する。 人工多能性幹細胞(以下、「iPS(induced pluripotent stem)細胞」、又は「誘導多能性幹細胞」と称することがある)は、多能性、自己複製、及び高い増殖能といった性質を有しており、分化を誘導することにより、心筋細胞、血液細胞、網膜色素上皮細胞、神経細胞などに分化できることが知られている。そのため、例えば、細胞移植治療などの再生医療、薬剤スクリーニング、疾患の原因解明のためのツールなどとして用いることが期待されている。 前記人工多能性幹細胞の製造方法としては、例えば、Oct3/4遺伝子、Sox2遺伝子、Klf4遺伝子、及びc−Myc遺伝子を体細胞に導入することにより製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記提案の方法によれば、人工多能性幹細胞を製造することができるものの、(1)製造効率が低い、(2)製造期間が長い、(3)ヒト人工多能性幹細胞では、LIF(leukemia inhibitory factor)依存性を有するナイーブ型の人工多能性幹細胞が得られず、品質面で不十分である、という大きな問題がある。 したがって、製造効率に優れ、短期間で製造することができ、品質面にも優れた人工多能性幹細胞の製造方法の速やかな開発が強く求められているのが現状である。特許第4183742号公報 本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、製造効率に優れ、短期間で製造することができ、品質面にも優れた人工多能性幹細胞の製造方法、及び人工多能性幹細胞製造用組成物を提供することを目的とする。 前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、 <1> Oct3/4遺伝子乃至その遺伝子産物、Sox2遺伝子乃至その遺伝子産物、Klf4遺伝子乃至その遺伝子産物、c−Myc遺伝子乃至その遺伝子産物、Prdm14(PR domain containing 14)遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb(Estrogen−related receptor beta)遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a(Sal−like 4、transcript variant a)遺伝子乃至その遺伝子産物を体細胞に導入する工程を含むことを特徴とする人工多能性幹細胞の製造方法である。 <2> 人工多能性幹細胞が、ナイーブ型である前記<1>に記載の人工多能性幹細胞の製造方法である。 <3> 人工多能性幹細胞が、ヒト人工多能性幹細胞である前記<1>から<2>のいずれかに記載の人工多能性幹細胞の製造方法である。 <4> Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物を含むことを特徴とする人工多能性幹細胞製造用組成物である。 <5> 更に、Oct3/4遺伝子乃至その遺伝子産物、Sox2遺伝子乃至その遺伝子産物、Klf4遺伝子乃至その遺伝子産物、及びc−Myc遺伝子乃至その遺伝子産物を含む前記<4>に記載の人工多能性幹細胞製造用組成物である。 本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、製造効率に優れ、短期間で製造することができ、品質面にも優れた人工多能性幹細胞の製造方法、及び人工多能性幹細胞製造用組成物を提供することができる。図1−1は、試験例1−1の結果を示すグラフである。図1−2は、試験例1−2の結果を示すグラフである。図1−3は、試験例1−3の結果を示すグラフである。図2は、試験例2の結果を示すグラフである。図3Aは、試験例3における(1)のウイルス液を用いた場合の結果の一例を示す写真である。図3Bは、試験例3における(1)のウイルス液を用いた場合の結果の他の一例を示す写真である。図3Cは、試験例3における(2)のウイルス液を用いた場合の結果の一例を示す写真である。図3Dは、試験例3における(2)のウイルス液を用いた場合の結果の他の一例を示す写真である。(人工多能性幹細胞の製造方法) 本発明の人工多能性幹細胞の製造方法は、Oct3/4遺伝子乃至その遺伝子産物、Sox2遺伝子乃至その遺伝子産物、Klf4遺伝子乃至その遺伝子産物、c−Myc遺伝子乃至その遺伝子産物、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物を体細胞に導入する工程(以下、「遺伝子乃至その遺伝子産物導入工程」と称することがある)を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。<遺伝子乃至その遺伝子産物導入工程> 前記遺伝子乃至その遺伝子産物導入工程は、少なくともOct3/4遺伝子乃至その遺伝子産物、Sox2遺伝子乃至その遺伝子産物、Klf4遺伝子乃至その遺伝子産物、c−Myc遺伝子乃至その遺伝子産物、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物を体細胞に導入する工程である。 前記各遺伝子乃至その遺伝子産物を体細胞に導入することにより、体細胞から人工多能性幹細胞を製造することができる。 前記遺伝子産物とは、遺伝子から転写されるmRNA、前記mRNAから翻訳されるタンパク質をいう。−Oct3/4遺伝子− 前記Oct3/4遺伝子の由来としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、などが挙げられる。 前記Oct3/4遺伝子の配列情報は、公知のデータベースから得ることができ、例えば、NCBIでは、アクセッション番号NM_002701(ヒト)、NM_013633(マウス)で入手することができる。−Sox2遺伝子− 前記Sox2遺伝子の由来としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、などが挙げられる。 前記Sox2遺伝子の配列情報は、公知のデータベースから得ることができ、例えば、NCBIでは、アクセッション番号NM_003106(ヒト)、NM_011443(マウス)で入手することができる。−Klf4遺伝子− 前記Klf4遺伝子の由来としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、などが挙げられる。 前記Klf4遺伝子の配列情報は、公知のデータベースから得ることができ、例えば、NCBIでは、アクセッション番号NM_004235(ヒト)、NM_010637(マウス)で入手することができる。−c−Myc遺伝子− 前記c−Myc遺伝子の由来としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、などが挙げられる。 前記c−Myc遺伝子の配列情報は、公知のデータベースから得ることができ、例えば、NCBIでは、アクセッション番号NM_002467(ヒト)、NM_010849(マウス)で入手することができる。−Prdm14遺伝子− 前記Prdm14遺伝子の由来としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、などが挙げられる。 前記Prdm14遺伝子の配列情報は、公知のデータベースから得ることができ、例えば、NCBIでは、アクセッション番号NM_024504(ヒト)、NM_001081209(マウス、配列番号7参照)で入手することができる。−Esrrb遺伝子− 前記Esrrb遺伝子の由来としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、などが挙げられる。 前記Esrrb遺伝子の配列情報は、公知のデータベースから得ることができ、例えば、NCBIでは、アクセッション番号NM_004452(ヒト)、NM_011934(マウス、配列番号8参照)で入手することができる。−Sall4a遺伝子− 前記Sall4a遺伝子の由来としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、などが挙げられる。 前記Sall4a遺伝子の配列情報は、公知のデータベースから得ることができ、例えば、NCBIでは、アクセッション番号NM_020436(ヒト)、NM_175303(マウス、配列番号9参照)で入手することができる。 前記Oct3/4遺伝子乃至その遺伝子産物、Sox2遺伝子乃至その遺伝子産物、Klf4遺伝子乃至その遺伝子産物、c−Myc遺伝子乃至その遺伝子産物、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物の配列は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、前記各遺伝子の配列のうち、タンパク質に翻訳される部分のみであってもよいし、それ以外の部分を含んでもよい。また、前記各遺伝子乃至その遺伝子産物の配列は、変異が含まれていてもよい。 前記変異としては、例えば、前記各遺伝子のタンパク質のアミノ酸配列に影響を与えない変異、前記各遺伝子のタンパク質のアミノ酸配列において、1個又は数個(2個〜5個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加される変異、などが挙げられる。 前記各遺伝子乃至その遺伝子産物が変異を有する場合の野生型との相同性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、タンパク質に翻訳される部分の塩基配列において、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。−体細胞− 前記体細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、胎児期の体細胞、成熟した体細胞、などが挙げられる。 前記成熟した体細胞の具体例としては、脂肪組織由来間質(幹)細胞、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、精子幹細胞等の組織幹細胞(体性幹細胞);組織前駆細胞;リンパ球、上皮細胞、筋肉細胞、線維芽細胞等の既に分化した細胞、などが挙げられる。 前記体細胞は、人工多能性幹細胞の選択を容易にするために、組み換えたものであってもよい。 前記組換え体細胞の具体例としては、分化多能性細胞において特異的に高発現する遺伝子の遺伝子座に、レポーター遺伝子、及び薬剤耐性遺伝子の少なくともいずれかを組み込んだ組換え体細胞が挙げられる。 前記分化多能性細胞において特異的に高発現する遺伝子としては、例えば、Fbx15遺伝子、Nanog遺伝子、Oct3/4遺伝子、などが挙げられる。 前記レポーター遺伝子としては、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、などが挙げられる。 前記薬剤耐性遺伝子としては、ピューロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、などが挙げられる。 前記体細胞を採取する個体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、得られる人工多能性幹細胞を再生医療用途に用いる場合には、拒絶反応の観点から、個体自身、又はMHCの型が同一若しくは実質的に同一の他個体が好ましい。 ここで、前記MHCの型が実質的に同一とは、免疫抑制剤などの使用により、前記体細胞由来の人工多能性幹細胞から分化誘導して得られた細胞を個体に移植した場合に移植細胞が生着可能な程度にMHCの型が一致していることをいう。 前記体細胞の培養条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、培養温度は約37℃、CO2濃度は約2%〜5%、などが挙げられる。 前記体細胞の培養に用いる培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5質量%〜20質量%の血清を含む、最小必須培地(MEM)、ダルベッコ改変培地(DMEM)、RPMI1640培地、199培地、F12培地、などが挙げられる。−導入方法− 前記各遺伝子乃至その遺伝子産物を体細胞に導入方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベクターを用いる方法、合成したmRNA(メッセンジャーRNA)を用いる方法、組換えタンパク質を用いる方法、などが挙げられる。−−ベクター−− 前記ベクターとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウイルスベクター、人工染色体ベクター、プラスミドベクター、エピソーマルベクター、などが挙げられる。 前記ウイルスベクターの具体例としては、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)ベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ポリオウイルスベクター、シルビスウイルスベクター、ラブドウイルスベクター、パラミクソウイルスベクター、オルソミクソウイルスベクター、などが挙げられる。 前記人工染色体ベクターの具体例としては、YAC(Yeast artificial chromosome)ベクター、BAC(Bacterial artificial chromosome)ベクター、PAC(P1−derived artificial chromosome)ベクター、などが挙げられる。 前記ベクターを前記体細胞に導入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リポフェクション法、マイクロインジェクション法、DEAEデキストラン法、遺伝子銃法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、などが挙げられる。 前記ウイルスベクターを用いる場合には、パッケージング細胞を用いて得られたウイルス粒子を用いてもよい。 前記パッケージング細胞は、ウイルスの構造タンパク質をコードする遺伝子を導入した細胞であり、該細胞に目的遺伝子を組み込んだ組換えウイルスベクターを導入すると、該目的遺伝子を組み込んだ組換えウイルス粒子を産生する。 前記パッケージング細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト腎臓由来のHEK293細胞やマウス繊維芽細胞由来のNIH3T3細胞をベースとしたパッケージング細胞、Ecotropic virus由来エンベロープ糖タンパク質を発現するよう設計されているPLAT−E細胞、Amphotropic virus由来エンベロープ糖タンパク質を発現するよう設計されているPLAT−A細胞、水疱性口内炎ウイルス由来エンベロープ糖タンパク質を発現するよう設計されているPLAT−GP細胞、などが挙げられる。これらの中でも、ヒト体細胞に対して組換えウイルスベクターを導入する場合にはPLAT−A細胞、PLAT−GP細胞が、宿主指向性の点で、好ましい。 前記パッケージング細胞へのウイルスベクターの導入方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、などが挙げられる。 前記得られたウイルス粒子を前記体細胞へ感染させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリブレン法が挙げられる。 前記ベクターは、前記各遺伝子の導入を確認するためのマーカー遺伝子を含んでいてもよい。 前記マーカー遺伝子とは、該マーカー遺伝子を細胞に導入することにより、細胞の選別や選択を可能とするような遺伝子をいう。前記マーカー遺伝子の具体例としては、薬剤耐性遺伝子、蛍光タンパク質遺伝子、発光酵素遺伝子、発色酵素遺伝子、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。 前記薬剤耐性遺伝子の具体例としては、ネオマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、などが挙げられる。 前記蛍光タンパク質遺伝子の具体例としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子、黄色蛍光タンパク質(YFP)遺伝子、赤色蛍光タンパク質(RFP)遺伝子、などが挙げられる。 前記発光酵素遺伝子の具体例としては、ルシフェラーゼ遺伝子、などが挙げられる。 前記発色酵素遺伝子の具体例としては、βガラクトシターゼ遺伝子、βグルクロニダーゼ遺伝子、アルカリフォスファターゼ遺伝子、などが挙げられる。 前記ベクターを用いて前記各遺伝子を体細胞に導入する方法では、1つのベクターに1つの遺伝子を組み込んでもよいし、2つ以上の遺伝子を組み込んでもよい。前記1つのベクターに2つ以上の遺伝子を組み込むことにより、該2つ以上の遺伝子を同時に発現(以下、「共発現」と称することがある)させることができる。 前記1つのベクターに2つ以上の遺伝子を組み込む方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記2つ以上の遺伝子を、連結配列を通じて組み込むことが好ましい。 前記連結配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、口蹄疫ウイルス(Picornaviridae Aphthovirus)由来2Aペプチドをコードする遺伝子配列、IRES(internal ribosome entry sites)、などが挙げられる。 前記mRNA(メッセンジャーRNA)を前記体細胞に導入する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択して用いることができる。 前記組換えタンパク質を前記体細胞に導入する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択して用いることができる。 前記各遺伝子乃至その遺伝子産物の体細胞への導入回数は、1回であってもよいし、2回以上であってもよい。 前記各遺伝子乃至その遺伝子産物の体細胞への導入時期としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記各遺伝子乃至その遺伝子産物の全てを同時期に導入してもよいし、異なる時期に導入してもよい。 前記遺伝子乃至その遺伝子産物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、遺伝子のみを用いる態様であってもよいし、遺伝子産物のみを用いる態様であってもよいし、前記各遺伝子のうち、ある遺伝子は遺伝子産物を用い、他の遺伝子は遺伝子を用いる態様であってもよい。 前記各遺伝子乃至その遺伝子産物の体細胞への導入量としては、全ての遺伝子乃至その遺伝子産物を等量ずつ導入してもよいし、異なる量で導入してもよい。前記各遺伝子乃至その遺伝子産物として、遺伝子を用いる場合の例としては、Oct3/4遺伝子がSox2遺伝子、Klf4遺伝子、又はc−Myc遺伝子に対して多量、例えば約3倍量、導入するのが(PNAS 106(31):12759−12764.2009、J.Biol.Chem.287(43):36273−36282.2012)好ましい。 前記遺伝子乃至その遺伝子産物導入工程では、本発明の効果を損なわない限り、前記各遺伝子乃至その遺伝子産物以外の遺伝子乃至その遺伝子産物を導入してもよい。 前記各遺伝子乃至その遺伝子産物以外の遺伝子乃至その遺伝子産物としては、例えば、Octファミリー(Oct1A、及びOct6)遺伝子乃至その遺伝子産物、Klfファミリー(Klf1、Klf2、Klf4、及びKlf5)遺伝子乃至その遺伝子産物、Mycファミリー(N−Myc、及びL−Myc)遺伝子乃至その遺伝子産物、Soxファミリー(Sox1、Sox3、Sox7、Sox15、Sox17、及びSox18)遺伝子乃至その遺伝子産物、TERT遺伝子乃至その遺伝子産物、SV40 Large T antigen遺伝子乃至その遺伝子産物、HPV16 E6遺伝子乃至その遺伝子産物、HPV16 E7遺伝子乃至その遺伝子産物、Bmil遺伝子乃至その遺伝子産物、Fbx15遺伝子乃至その遺伝子産物、Nanog遺伝子乃至その遺伝子産物、ERas遺伝子乃至その遺伝子産物、ECAT15−2遺伝子乃至その遺伝子産物、Tcl1遺伝子乃至その遺伝子産物、β−catenin遺伝子乃至その遺伝子産物、ECAT1遺伝子乃至その遺伝子産物、Esg1遺伝子乃至その遺伝子産物、Dnmt3L遺伝子乃至その遺伝子産物、ECAT8遺伝子乃至その遺伝子産物、Gdf3遺伝子乃至その遺伝子産物、ECAT15−1遺伝子乃至その遺伝子産物、Fthl17遺伝子乃至その遺伝子産物、Rex1遺伝子乃至その遺伝子産物、UTF1遺伝子乃至その遺伝子産物、Stella遺伝子乃至その遺伝子産物、Stat3遺伝子乃至その遺伝子産物、Grb2遺伝子乃至その遺伝子産物(特開2011−188860号公報参照);GLIS1遺伝子乃至その遺伝子産物(Nature 474(7350):225−229.2011);Tbx3遺伝子乃至その遺伝子産物(Nature 463(7284):1096−100.2010);TET(Ten−eleven translocation)ファミリー(TET1、TET2、及びTET3)遺伝子乃至その遺伝子産物(Nature 488(7413):652−655.2012、Nature 495(7441):370−374.2013);Parp1遺伝子乃至その遺伝子産物(Nature 488(7413):652−655.2012);Kdm2a遺伝子乃至その遺伝子産物、Kdm2b遺伝子乃至その遺伝子産物(Cell Stem Cell 9(6):575−587.2011、Nat.Cell Biol.14(5):457−466.2012);Nr5a2遺伝子乃至その遺伝子産物、Rarファミリー遺伝子乃至その遺伝子産物(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 108(45):18283−18288.2011);Utx遺伝子乃至その遺伝子産物、Mdm2遺伝子乃至その遺伝子産物、Ring1b遺伝子乃至その遺伝子産物、Wdr5遺伝子乃至その遺伝子産物、などが挙げられる。 前記遺伝子乃至その遺伝子産物導入工程では、本発明の効果を損なわない限り、低分子化合物を投与してもよい。 前記低分子化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、GSK−3阻害剤、アデニル酸シクラーゼ活性化剤、などが挙げられる。 前記GSK−3阻害剤の具体例としては、CHIR99021などが挙げられる。 前記アデニル酸シクラーゼ活性化剤の具体例としては、Folskolinなどが挙げられる。 前記低分子化合物の投与量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。<その他の工程> 前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記各遺伝子乃至その遺伝子産物が導入された体細胞を培養する遺伝子乃至その遺伝子産物導入細胞培養工程、などが挙げられる。−遺伝子乃至その遺伝子産物導入細胞培養工程− 前記遺伝子乃至その遺伝子産物導入細胞培養工程は、前記各遺伝子乃至その遺伝子産物が導入された体細胞を培養する工程である。 前記遺伝子乃至その遺伝子産物導入細胞の培養条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、培養温度は約37℃、CO2濃度は約2%〜5%、などが挙げられる。 前記遺伝子乃至その遺伝子産物導入細胞の培養に用いる培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Leukemia inhibitory factor(以下、「LIF」と称することがある)、20% Knockout Serum Replacement(以下、「KSR」と称することがある)、1×NEAA、2−メルカプトエタノール、GlutaMaxを含むDMEM培地、などが挙げられる。 前記遺伝子乃至その遺伝子産物導入細胞培養工程の期間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。<人工多能性幹細胞> 前記人工多能性幹細胞の製造方法により製造される人工多能性幹細胞は、分化多能性、及び自己複製能を有する。前記分化多能性とは、三胚葉系列すべてに分化できることを意味する。また、前記自己複製能とは、未分化状態を保持したまま増殖できる能力を意味する。 前記人工多能性幹細胞の製造方法により製造された細胞が人工多能性幹細胞であるか否かを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。 例えば、前記体細胞として、分化多能性細胞において特異的に高発現する遺伝子の遺伝子座に、レポーター遺伝子、及び薬剤耐性遺伝子の少なくともいずれかを組み込んだ組換え体細胞を用いた場合には、前記レポーター遺伝子、及び薬剤耐性遺伝子を利用して確認することができる。具体的には、前記レポーター遺伝子として、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を用いた場合には、例えば、フローサイトメーターによりGFP陽性の細胞を確認する方法が挙げられる、また、前記薬剤耐性遺伝子として、ピューロマイシン耐性遺伝子を用いた場合には、細胞にピューロマイシンを投与することにより確認することができる。 前記人工多能性幹細胞の型としては、プライム型であってもよいし、ナイーブ型であってもよいが、品質に優れる点で、ナイーブ型が好ましい。 前記人工多能性幹細胞がナイーブ型であるか否かを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コロニーの形態、bFGFを含まないLIF添加培地で増殖できるか否か、2i添加培地(MEK阻害剤とGSK阻害剤とを添加した培地)で増殖できるか否か、単一細胞に分散して継代することができるか否かを指標とすることにより確認することができる。具体的には、コロニーの形態がドーム状であり、bFGFを含まないLIF添加培地で増殖することができ、2i添加培地で増殖することができ、単一細胞に分散して継代することができる細胞である場合には、ナイーブ型であると判断することができる。 前記人工多能性幹細胞の種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヒトが好ましい。(人工多能性幹細胞製造用組成物) 本発明の人工多能性幹細胞製造用組成物は、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。<Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物> 前記Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物は、前記人工多能性幹細胞の製造方法で記載したものと同様である。また、前記各遺伝子乃至その遺伝子産物は、前記人工多能性幹細胞の製造方法で記載したものと同様の変異が含まれていてもよい。 前記人工多能性幹細胞製造用組成物における前記Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、遺伝子がベクターに組み込まれている態様、合成mRNAの態様、組換えタンパク質の態様、などが挙げられる。 前記ベクターとしては、前記人工多能性幹細胞の製造方法で記載したものと同様のものが挙げられる。 前記合成mRNA、前記組換えタンパク質は、公知の方法により製造することができる。<その他の構成> 前記その他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、Oct3/4遺伝子乃至その遺伝子産物、Sox2遺伝子乃至その遺伝子産物、Klf4遺伝子乃至その遺伝子産物、及びc−Myc遺伝子乃至その遺伝子産物を含むことが好ましい。 前記Oct3/4遺伝子乃至その遺伝子産物、Sox2遺伝子乃至その遺伝子産物、Klf4遺伝子乃至その遺伝子産物、及びc−Myc遺伝子乃至その遺伝子産物は、前記人工多能性幹細胞の製造方法で記載したものと同様のものである。また、前記各遺伝子乃至その遺伝子産物は、前記人工多能性幹細胞の製造方法で記載したものと同様の変異が含まれていてもよい。 前記人工多能性幹細胞製造用組成物における前記Oct3/4遺伝子乃至その遺伝子産物、Sox2遺伝子乃至その遺伝子産物、Klf4遺伝子乃至その遺伝子産物、及びc−Myc遺伝子乃至その遺伝子産物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、遺伝子がベクターに組み込まれている態様、合成mRNAの態様、組換えタンパク質の態様、などが挙げられる。 前記ベクターとしては、前記人工多能性幹細胞の製造方法で記載したものと同様のものが挙げられる。 前記合成mRNA、前記組換えタンパク質は、公知の方法により製造することができる。 前記人工多能性幹細胞製造用組成物は、前記各遺伝子乃至その遺伝子産物が、個別の容器に分けられているものであってもよいし、1つの容器にまとめられているものであってもよいし、任意の数ごとに容器にまとめられているものであってもよい。 前記人工多能性幹細胞製造用組成物における前記各遺伝子乃至その遺伝子産物の量としては、特に制限はなく、全ての遺伝子乃至その遺伝子産物を等量としてもよいし、異なる量としてもよい。 前記人工多能性幹細胞製造用組成物は、前記各遺伝子乃至その遺伝子産物以外の遺伝子乃至その遺伝子産物を含んでいてもよく、また、前記ウイルスベクターを用いる場合には、例えば、パッケージング細胞を含んでいてもよい。 前記各遺伝子乃至その遺伝子産物以外の遺伝子乃至その遺伝子産物、前記パッケージング細胞としては、前記人工多能性幹細胞の製造方法で記載したものと同様のものが挙げられる。 以下、製造例、試験例を挙げて、本発明を説明するが、本発明は、以下の製造例、試験例に何ら限定されるものではない。(製造例1−1:Oct3/4遺伝子含有ウイルスベクター) マウス由来野生型Oct3/4タンパク質の全長をコードする遺伝子がpMXs−gwのマルチクローニングサイトに組み込まれている、Oct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを使用した(国立大学法人京都大学iPS細胞研究所より入手、Cell 126(4):663−676.2006)。(製造例1−2:Sox2遺伝子含有ウイルスベクター) マウス由来野生型Sox2タンパク質の全長をコードする遺伝子がpMXs−gwのマルチクローニングサイトに組み込まれている、Sox2遺伝子含有ウイルスベクターを使用した(国立大学法人京都大学iPS細胞研究所より入手、Cell 126(4):663−676.2006)。(製造例1−3:Klf4遺伝子含有ウイルスベクター) マウス由来野生型Klf4タンパク質の全長をコードする遺伝子がpMXs−gwのマルチクローニングサイトに組み込まれている、Klf4遺伝子含有ウイルスベクターを使用した(国立大学法人京都大学iPS細胞研究所より入手、Cell 126(4):663−676.2006)。(製造例1−4:c−Myc遺伝子含有ウイルスベクター) マウス由来野生型c−Mycタンパク質の全長をコードする遺伝子がpMXs−gwのマルチクローニングサイトに組み込まれている、c−Myc遺伝子含有ウイルスベクターを使用した(国立大学法人京都大学iPS細胞研究所より入手、Cell 126(4):663−676.2006)。(製造例1−5:Prdm14遺伝子含有ウイルスベクター) B6マウス由来胚性幹細胞(以下、「ESC」と称することがある、国立大学法人筑波大学生命科学動物資源センターより入手)よりRNAを抽出し、cDNAを合成後、下記配列番号1及び2で表されるプライマーを用い、PCR法にてPrdm14遺伝子(Prdm14タンパク質の全長をコードする遺伝子(配列番号7参照)を増幅、回収し、pMXsベクター(国立大学法人東京大学医科学研究所より入手)のマルチクローニングサイトに組み込み、Prdm14遺伝子含有ウイルスベクターを得た。<プライマー>(1)5’→3’:AGTTAATTAAGGATCCACCATGGCCTTACCGCCCTCTG(配列番号1)(2)5’→3’:TTATTTTATCGTCGACCTAGCAGGTTTTATGAAGCCTC(配列番号2)(製造例1−6:Esrrb遺伝子含有ウイルスベクター) B6マウス由来胚性幹細胞(以下、「ESC」と称することがある、国立大学法人筑波大学生命科学動物資源センターより入手)よりRNAを抽出し、cDNAを合成後、下記配列番号3及び4で表されるプライマーを用い、PCR法にてEsrrb遺伝子(Esrrbタンパク質の全長をコードする遺伝子(配列番号8参照)を増幅、回収し、pMXsベクター(国立大学法人東京大学医科学研究所より入手)のマルチクローニングサイトに組み込み、Esrrb遺伝子含有ウイルスベクターを得た。<プライマー>(1)5’→3’:AGTTAATTAAGGATCCACCATGGACGTGTCCGAACTCTG(配列番号3)(2)5’→3’:TTATTTTATCGTCGACTCACACCTTGGCCTCCAGCA(配列番号4)(製造例1−7:Sall4a遺伝子含有ウイルスベクター) B6マウス由来胚性幹細胞(以下、「ESC」と称することがある、国立大学法人筑波大学生命科学動物資源センターより入手)よりRNAを抽出し、cDNAを合成後、下記配列番号5及び6で表されるプライマーを用い、PCR法にてSall4a遺伝子(Sall4aタンパク質の全長をコードする遺伝子(配列番号9参照)を増幅、回収し、pMXsベクター(国立大学法人東京大学医科学研究所より入手)のマルチクローニングサイトに組み込み、Sall4a遺伝子含有ウイルスベクターを得た。<プライマー>(1)5’→3’:AGTTAATTAAGGATCCACCATGTCGAGGCGCAAGCAGG(配列番号5)(2)5’→3’:TTATTTTATCGTCGACTAGCTGACAGCAATCTTATTTTC(配列番号6)(製造例2−1:Oct3/4遺伝子含有ウイルス−1) トランスフェクション前日にパッケージング細胞PLAT−E(国立大学法人東京大学医科学研究所より入手、以下、「PLAT−E細胞」と称することがある)を10cmのゼラチンコートディッシュ1枚あたり3.6×106個播種した。なお、培地としては、10%血清を含むダルベッコ改変培地(DMEM)を用い、培養温度37℃、CO2濃度5%で培養した。 前記PLAT−E細胞に、FuGene 6(プロメガ社製)を用いて前記製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターをトランスフェクションした。 前記トランスフェクション翌日に前記PLAT−E細胞の培地を交換し、前記培地を交換した翌日に、前記PLAT−E細胞の培養上清を回収し、次いで、0.45μmフィルターを用いて濾過し、Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1とした。(製造例2−2:Sox2遺伝子含有ウイルス−1) 前記製造例2−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−2で得られたSox2遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例2−1と同様にして、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1を得た。(製造例2−3:Klf4遺伝子含有ウイルス−1) 前記製造例2−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−3で得られたKlf4遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例2−1と同様にして、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1を得た。(製造例2−4:c−Myc遺伝子含有ウイルス−1) 前記製造例2−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−4で得られたc−Myc遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例2−1と同様にして、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1を得た。(製造例2−5:Prdm14遺伝子含有ウイルス−1) 前記製造例2−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−5で得られたPrdm14遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例2−1と同様にして、Prdm14遺伝子含有ウイルス液−1を得た。(製造例2−6:Esrrb遺伝子含有ウイルス−1) 前記製造例2−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−6で得られたEsrrb遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例2−1と同様にして、Esrrb遺伝子含有ウイルス液−1を得た。(製造例2−7:Sall4a遺伝子含有ウイルス−1) 前記製造例2−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−7で得られたSall4a遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例2−1と同様にして、Sall4a遺伝子含有ウイルス液−1を得た。(比較製造例2−1:外来遺伝子不含有ウイルス−1) 前記製造例2−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記pMXsベクターのみに代えた以外は、製造例2−1と同様にして、外来遺伝子不含有ウイルス液−1を得た。(製造例3−1:Oct3/4遺伝子含有ウイルス−2) トランスフェクション前日にパッケージング細胞PLAT−GP(国立大学法人東京大学医科学研究所より入手、以下、「PLAT−GP細胞」と称することがある)を10cmのゼラチンコートディッシュ1枚あたり3.6×106個播種した。なお、培地としては、10%血清を含むダルベッコ改変培地(DMEM)を用い、培養温度37℃、CO2濃度5%で培養した。 前記PLAT−GP細胞に、FuGene 6(プロメガ社製)を用いて前記製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを、VSV−G発現ベクター(GIBCO社製)と共にトランスフェクションした。 前記トランスフェクション翌日に前記PLAT−GP細胞の培地を交換し、前記培地を交換した翌日に、前記PLAT−GP細胞の培養上清を回収し、次いで、0.45μmフィルターを用いて濾過し、Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−2とした。(製造例3−2:Sox2遺伝子含有ウイルス−2) 前記製造例3−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−2で得られたSox2遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例3−1と同様にして、Sox2遺伝子含有ウイルス液−2を得た。(製造例3−3:Klf4遺伝子含有ウイルス−2) 前記製造例3−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−3で得られたKlf4遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例3−1と同様にして、Klf4遺伝子含有ウイルス液−2を得た。(製造例3−4:c−Myc遺伝子含有ウイルス−2) 前記製造例3−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−4で得られたc−Myc遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例3−1と同様にして、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−2を得た。(製造例3−5:Prdm14遺伝子含有ウイルス−2) 前記製造例3−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−5で得られたPrdm14遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例3−1と同様にして、Prdm14遺伝子含有ウイルス液−2を得た。(製造例3−6:Esrrb遺伝子含有ウイルス−2) 前記製造例3−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−6で得られたEsrrb遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例3−1と同様にして、Esrrb遺伝子含有ウイルス液−2を得た。(製造例3−7:Sall4a遺伝子含有ウイルス−2) 前記製造例3−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記製造例1−7で得られたSall4a遺伝子含有ウイルスベクターに代えた以外は、製造例3−1と同様にして、Sall4a遺伝子含有ウイルス液−2を得た。(比較製造例3−1:外来遺伝子不含有ウイルス−2) 前記製造例3−1において、製造例1−1で得られたOct3/4遺伝子含有ウイルスベクターを用いていた点を、前記pMXsベクターのみに代えた以外は、製造例3−1と同様にして、外来遺伝子不含有ウイルス液−2を得た。(試験例1−1:製造効率試験−1)−細胞− 細胞として、Nanog遺伝子プロモーター依存的にenhanced green fluorescence protein(以下、「EGFP」と称することがある)及びピューロマイシン耐性遺伝子を発現するマウス胎仔線維芽細胞(以下、「NG−MEF」と称することがある、理化学研究所バイオリソースセンターに寄託されているトランスジェニックマウスSTOCK Tg(Nanog−GFP,Puro)1Yam(No.RBRC02290)を入手、交配し、13.5日胚からトリプシンを用いて単離、調製した)を用いた。前記NG−MEFの培養には、10%血清を含むダルベッコ改変培地(DMEM)を用い、培養温度37℃、CO2濃度5%で培養した。−ウイルス感染− 下記(1)から(8)のそれぞれのウイルス液に、最終濃度4μg/mLのポリブレンを加えて調製したウイルス液を、それぞれ前記NG−MEFに感染させた。 前記感染の翌日に、上清をLeukemia inhibitory factor(以下、「LIF」と称することがある、LIFタンパク質を発現するベクターpCAGGS−LIF(理科学研究所 発生・再生科学より入手)をCos−7細胞にリン酸カルシウム法により導入し、その培養上清を用いた)、20% Knockout Serum Replacement(以下、「KSR」と称することがある、GIBCO社製)、1×NEAA(GIBCO社製)、2−メルカプトエタノール(GIBCO社製)、GlutaMax(GIBCO社製)を含むDMEM培地に置き換え、その後は、1日おきに培地交換を行った。〔ウイルス液〕(1)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及び外来遺伝子不含有ウイルス液−1 600μL(2)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Prdm14遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及び外来遺伝子不含有ウイルス液−1 400μL(3)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Esrrb遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及び外来遺伝子不含有ウイルス液−1 400μL(4)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sall4a遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及び外来遺伝子不含有ウイルス液−1 400μL(5)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Prdm14遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sall4a遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及び外来遺伝子不含有ウイルス液−1 200μL(6)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Prdm14遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Esrrb遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及び外来遺伝子不含有ウイルス液−1 200μL(7)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sall4a遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Esrrb遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及び外来遺伝子不含有ウイルス液−1 200μL(8)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Prdm14遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sall4a遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及びEsrrb遺伝子含有ウイルス液−1 200μL−人工多能性幹細胞のコロニー数の計測− 前記ウイルス感染後8日目から12日目までピューロマイシン(最終濃度1.5μg/mL)に曝露し、ウイルス感染後12日目に蛍光顕微鏡下でGFP陽性コロニー数を計測した。結果を図1−1に示した。 図1−1中、(1)から(8)は、それぞれ前記(1)から(8)のウイルス液を用いた場合の結果を示す。 図1−1の結果から、前記(8)の場合には、人工多能性幹細胞のコロニー数(「iPSコロニー数」と称することもある)が、前記(1)から(7)の場合よりも高く、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Sall4a遺伝子乃至その遺伝子産物、及びEsrrb遺伝子乃至その遺伝子産物を用いることにより、人工多能性幹細胞の製造効率を高めることができることが示された。(試験例1−2:製造効率試験−2)−細胞− 細胞は、前記試験例1−1と同様に、NG−MEFを用いた。−ウイルス感染− 前記試験例1−1において、ウイルス液を下記(1)及び(2)のいずれかのウイルス液に代えた以外は、前記試験例1−1と同様にして、前記NG−MEFにウイルスを感染させた。〔ウイルス液〕(1)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及び外来遺伝子不含有ウイルス液−1 600μL(2)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Prdm14遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sall4a遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及びEsrrb遺伝子含有ウイルス液−1 200μL−人工多能性幹細胞の割合− 前記ウイルス感染後8日目に、前記NG−MEFをトリプシンで剥離し、フローサイトメーター(BD FACSCalibur(登録商標)、日本ベクトン・ディッキンソン社製)で10万個あたりのGFP陽性細胞数を計測した。結果を図1−2に示した。 図1−2中、(1)及び(2)は、それぞれ前記(1)及び(2)のウイルス液を用いた場合の結果を示す。 図1−2の結果から、前記(2)の場合には、全細胞に対する人工多能性幹細胞の割合が、前記(1)の場合よりも高く、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Sall4a遺伝子乃至その遺伝子産物、及びEsrrb遺伝子乃至その遺伝子産物を用いることにより、人工多能性幹細胞の製造効率を高めることができることが示された。(試験例1−3:製造効率試験−3)−細胞− 細胞として、ヒト皮膚線維芽細胞(以下、「HDF」と称することがある、東洋紡株式会社製)を用いた。前記HDFの培養には、ヒト皮膚線維芽細胞基本培地(東洋紡株式会社製)を用い、培養温度37℃、CO2濃度5%で培養した。−ウイルス感染− 前記試験例1−1において、細胞をNG−MEFから前記HDFに代え、ウイルス液を下記(1)及び(2)のいずれかのウイルス液に代えた以外は、前記試験例1−1と同様にして、前記HDFにウイルスを感染させた。〔ウイルス液〕(1)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、及び外来遺伝子不含有ウイルス液−2 600μL(2)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、Prdm14遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、Sall4a遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、及びEsrrb遺伝子含有ウイルス液−2 200μL−人工多能性幹細胞のコロニー数の計測− 前記ウイルス感染後15日目にAlexa Fluor 488標識されたTRA−1−60抗体(BD Biosciences社)を用いて染色し、蛍光顕微鏡下で陽性コロニー数を計測した。結果を図1−3に示した。 図1−3中、(1)及び(2)は、それぞれ前記(1)及び(2)のウイルス液を用いた場合の結果を示す。 図1−3の結果から、前記(2)の場合には、TRA−1−60陽性コロニー数が、前記(1)の場合よりも多く、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Sall4a遺伝子乃至その遺伝子産物、及びEsrrb遺伝子乃至その遺伝子産物を用いることにより、人工多能性幹細胞の製造効率を高めることができることが示された。(試験例2:製造期間試験)−細胞− 細胞は、前記試験例1−1と同様に、NG−MEFを用いた。−ウイルス感染− 前記試験例1−1において、ウイルス液を下記(1)及び(2)のいずれかのウイルス液に代えた以外は、前記試験例1−1と同様にして、前記NG−MEFにウイルスを感染させた。〔ウイルス液〕(1)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及びc−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及び外来遺伝子不含有ウイルス液−1 600μL(2)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Prdm14遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Sall4a遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、及びEsrrb遺伝子含有ウイルス液−1 200μL−人工多能性幹細胞のコロニー数の計測− 前記ウイルス感染後1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、又は6日目から12日目までピューロマイシン(最終濃度1.5μg/mL)に曝露し、ウイルス感染後12日目に蛍光顕微鏡下でGFP陽性コロニー数を計測した。結果を図2に示した。 図2中、D1からD6は、それぞれピューロマイシンの曝露開始日(ウイルス感染後1日目から6日目)を示し、「◆」は、前記(1)のウイルス液を用いた場合の結果を示し、「■」は、前記(2)のウイルス液を用いた場合の結果を示す。 図2に示すように、前記(2)の場合には、ウイルス感染後2日目にピューロマイシンを曝露した場合でも3回の実験で安定的に人工多能性幹細胞が確認された(人工多能性幹細胞のコロニー数:平均9個)のに対し、前記(1)の場合には、ウイルス感染後6日目にピューロマイシンを曝露した場合に初めて3回の実験で安定的に人工多能性幹細胞が確認された(人工多能性幹細胞のコロニー数:平均8個)。 したがって、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物を用いることにより、人工多能性幹細胞を短期間で製造することができることが示された。(試験例3:品質試験)−細胞− 細胞として、ヒト皮膚線維芽細胞(以下、「HDF」と称することがある、東洋紡株式会社製)を用いた。前記HDFの培養には、ヒト皮膚線維芽細胞基本培地(東洋紡株式会社製)を用い、培養温度37℃、CO2濃度5%で培養した。−ウイルス感染− 下記(1)及び(2)のそれぞれのウイルス液に、最終濃度4μg/mLのポリブレンを加えて調製したウイルス液を、それぞれ前記HDFに感染させた。 前記感染の翌日に、上清をLeukemia inhibitory factor(以下、「LIF」と称することがある、LIFタンパク質を発現するベクターpCAGGS−LIF(理科学研究所 発生・再生科学より入手)をCos−7細胞にリン酸カルシウム法により導入し、その培養上清を用いた)、20% Knockout Serum Replacement(以下、「KSR」と称することがある、GIBCO社製)、1×NEAA(GIBCO社製)、2−メルカプトエタノール(GIBCO社製)、GlutaMax(GIBCO社製)を含むDMEM培地に置き換え、その後は、1日おきに培地交換を行った。〔ウイルス液〕(1)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、及び外来遺伝子不含有ウイルス液−2 600μL(2)Oct3/4遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、Sox2遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、Klf4遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、c−Myc遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、Prdm14遺伝子含有ウイルス液−1 200μL、Esrrb遺伝子含有ウイルス液−2 200μL、及びSall4a遺伝子含有ウイルス液−2 200μL−人工多能性幹細胞− 前記ウイルス感染後18日目の細胞、及びクローン化した細胞を倒立顕微鏡(Zeiss Axiovert 200M)で撮影した結果を図3Aから3Dに示した。 図3A及び3Bは、前記(1)のウイルス液を用いた場合の写真の一例であり、図3C及び3Dは、前記(2)のウイルス液を用いた場合の写真の一例である。図3Aから3C中、スケールバーは、200μmを表す。 前記(1)のウイルス液を用いて得られた人工多能性幹細胞は、コロニーの形態が扁平状であり、bFGF(basic fibroblast growth factor)添加培地で増殖することができ、2i添加培地(MEK阻害剤とGSK阻害剤とを添加した培地)では増殖できず、単一細胞に分散すると死んでしまう細胞であり、プライム型人工多能性幹細胞であることがわかった。 一方、前記(2)のウイルス液を用いて得られた人工多能性幹細胞は、コロニーの形態がドーム状であり、bFGFを含まないLIF添加培地で増殖することができ、2i添加培地で増殖することができ、単一細胞に分散して継代することができる細胞であり、ナイーブ型人工多能性幹細胞であることがわかった。 したがって、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物を用いることにより、高品質の人工多能性幹細胞を製造することができることが示された。 本発明の人工多能性幹細胞の製造方法によれば、人工多能性幹細胞を高効率で製造することができるので、少数の体細胞からの人工多能性幹細胞の樹立が可能となり、また、希少な細胞や組織の採取量を軽減することができると考えられる。更に、非人工多能性幹細胞の増殖を抑え、人工多能性幹細胞を選択的に増やすことが可能であるため、人工多能性幹細胞クローンの樹立が容易になると考えられる。 また、本発明の人工多能性幹細胞の製造方法によれば、人工多能性幹細胞を短期間で製造することができるので、早期に細胞移植が必要な脊髄損傷などの疾患への自己由来の人工多能性幹細胞の利用を可能とし、また、長期間の人工多能性幹細胞誘導過程によるゲノム損傷リスクを軽減したり、一過性の遺伝子導入による人工多能性幹細胞の作製方法を容易にしたりするなど、安全な人工多能性幹細胞の作製が可能となると考えられる。 更に、本発明の人工多能性幹細胞の製造方法によれば、人工多能性幹細胞を効率良く短期間で製造することができるので、従来の方法と比べてコストを軽減することができる。 また、本発明の人工多能性幹細胞の製造方法によれば、ヒト細胞の場合でもナイーブ型の人工多能性幹細胞を製造することができるので、人工多能性幹細胞の取扱いを簡便化することができ、分化誘導効率を向上させることができると考えられる。 本発明の人工多能性幹細胞の製造方法によれば、製造効率に優れ、短期間で製造することができ、品質面にも優れた人工多能性幹細胞を製造することができるので、細胞移植治療などの再生医療、薬剤スクリーニング、疾患の原因解明のためのツールなどとして用いる人工多能性幹細胞の製造方法に好適に利用可能である。 Oct3/4遺伝子乃至その遺伝子産物、Sox2遺伝子乃至その遺伝子産物、Klf4遺伝子乃至その遺伝子産物、c−Myc遺伝子乃至その遺伝子産物、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物を体細胞に導入する工程を含むことを特徴とする人工多能性幹細胞の製造方法。 人工多能性幹細胞が、ナイーブ型である請求項1に記載の人工多能性幹細胞の製造方法。 人工多能性幹細胞が、ヒト人工多能性幹細胞である請求項1から2のいずれかに記載の人工多能性幹細胞の製造方法。 Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物を含むことを特徴とする人工多能性幹細胞製造用組成物。 更に、Oct3/4遺伝子乃至その遺伝子産物、Sox2遺伝子乃至その遺伝子産物、Klf4遺伝子乃至その遺伝子産物、及びc−Myc遺伝子乃至その遺伝子産物を含む請求項4に記載の人工多能性幹細胞製造用組成物。 【課題】製造効率に優れ、短期間で製造することができ、品質面にも優れた人工多能性幹細胞の製造方法、及び人工多能性幹細胞製造用組成物の提供。【解決手段】Oct3/4遺伝子乃至その遺伝子産物、Sox2遺伝子乃至その遺伝子産物、Klf4遺伝子乃至その遺伝子産物、c−Myc遺伝子乃至その遺伝子産物、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物を体細胞に導入する工程を含む人工多能性幹細胞の製造方法、Prdm14遺伝子乃至その遺伝子産物、Esrrb遺伝子乃至その遺伝子産物、及びSall4a遺伝子乃至その遺伝子産物を含む人工多能性幹細胞製造用組成物である。【選択図】なし配列表


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る