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タイトル:公開特許公報(A)_スチリルピリジン誘導体化合物
出願番号:2013097738
年次:2014
IPC分類:C07D 401/10,A61K 31/4439,A61P 25/28,A61K 49/00


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奥村 侑紀 正山 祥生 眞矢 啓史 JP 2014218454 公開特許公報(A) 20141120 2013097738 20130507 スチリルピリジン誘導体化合物 日本メジフィジックス株式会社 000230250 大塚 章宏 100131613 黒崎 文枝 100168848 奥村 侑紀 正山 祥生 眞矢 啓史 C07D 401/10 20060101AFI20141024BHJP A61K 31/4439 20060101ALI20141024BHJP A61P 25/28 20060101ALI20141024BHJP A61K 49/00 20060101ALI20141024BHJP JPC07D401/10A61K31/4439A61P25/28A61K49/00 A 6 OL 15 4C063 4C085 4C086 4C063AA01 4C063BB06 4C063CC42 4C063DD12 4C063EE01 4C063EE05 4C085HH01 4C085KA26 4C085KB56 4C085LL13 4C086AA01 4C086AA02 4C086AA03 4C086AA04 4C086BC17 4C086BC60 4C086GA07 4C086GA08 4C086MA01 4C086MA05 4C086NA14 4C086ZA15 4C086ZA16 本発明は、スチリルピリジン誘導体化合物に関する。 近年、アミロイドに高い親和性を有する化合物をマーカーとして用い、脳内アミロイドをインビボで検出する試みがなされている。 このようなアミロイド親和性化合物として、特許文献1に記載されるチオフラビン誘導体、特許文献2に記載されるスチルベン誘導体、特許文献3〜5に記載されるイミダゾピリジン誘導体、特許文献6に記載されるDDNP誘導体(2‐(1,1‐ジシアノプロペン‐2‐イル)‐6‐ジメチルアミノナフタレン)が知られている。 また、[18F]フロルベタベン([18F]florbetaben)や[18F]フロベタピル([18F]flobetapir)は、陽電子放出断層撮影法(PET)用の脳アミロイドイメージングのトレーサーとしての有用性が期待されている(非特許文献1、2)。特表2004−506723号公報特表2005−504055号公報特表2005−504055号公報国際公開2007/063946パンフレット国際公開2010/128595パンフレット特表2002−523383号公報Rowe C,et al.,The Lancet Neurology,7(2),129−135,2008Choi,SR,et al.,J.Nucl.Med,50(11),1887−1894,2009 しかしながら、アミロイド集積の定量評価を精度よく行うためには、アミロイドへの絶対的集積量をよりいっそう高めた化合物の開発が期待される。 上記事情に鑑み、本発明者らは、アミロイドへの絶対的集積量を向上させた化合物を新たに見出した。 本発明の一側面によれば、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩が提供される。〔式中、nが1又は2の整数であり、X1がフッ素原子である。〕 また、本発明の別の側面によれば、上記の化合物又はその塩を含む、医薬組成物が提供される。 また、本発明の別の側面によれば、上記の化合物又はその塩を含み、アミロイドを画像化するために用いられる、アミロイド画像化剤が提供される。 また、本発明の別の側面によれば、下記一般式(2)で表される化合物又はその塩が提供される。〔式中、nが1又は2の整数であり、R1が、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水素がハロゲンで置換されていてもよい炭素数10以下のアルキルスルホン酸エステル基、又は、置換基を有してもよい芳香族スルホン酸エステル基である。〕 また、本発明の別の側面によれば、上記一般式(2)で表される化合物又はその塩に、フッ化物イオンを反応させて、上記一般式(1)に記載の化合物又はその塩を製造する方法が提供される。 本発明によれば、アミロイドへの絶対的集積量が向上した化合物が提供される。(E)‐1‐(2‐(6‐(2‐(2‐フルオロエトキシ)エトキシ)ピリジン‐3‐イル)ビニル)‐フェニル‐1H‐1,2,3‐トリアゾールの合成スキームを示す図である。アルツハイマー患者脳切片を示す図である。(a)が(E)‐1‐(2‐(6‐(2‐(2‐[18F]フルオロエトキシ)エトキシ)ピリジン‐3‐イル)ビニル)‐フェニル‐1H‐1,2,3‐トリアゾールを投与した脳切片のオートラジオグラフィーであり、(b)が[18F]フロベタビル([18F]florbetapir)を投与した脳切片のオートラジオグラフィーであり、(c)が[18F]フロルベタベン([18F]florbetaben)を投与した脳切片のオートラジオグラフィーであり、(d)が抗アミロイド抗体を用いた脳切片の免疫染色である。(スチリルピリジン誘導体化合物) 本発明に係る化合物は、具体的には、以下の化合物が挙げられる。・(E)‐1‐(2‐(6‐(2‐(2‐フルオロエトキシ)エトキシ)ピリジン‐3‐イル)ビニル)‐フェニル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール((E)‐2‐(2‐(2‐フルオロエトキシ)エトキシ)‐9‐(1H‐1,2,3,‐トリアゾール‐1‐イル)スチリルピリジン)〔上記一般式(1)中、X1がフッ素原子であり、nが2の整数の化合物である。以下、「ABC126」と略記することもある。〕。・(E)‐1‐(2‐(6‐(2‐フルオロエトキシ)ピリジン‐3‐イル)ビニル)‐フェニル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール〔上記一般式(1)中、X1がフッ素原子であり、nが1の整数の化合物である。〕。 これら本発明に係る化合物は、塩を形成していてもよく、かかる塩が製薬学的に許容される塩において本発明に包含される。 本発明において「塩」には、無機若しくは有機の酸、又は、無機若しくは有機の塩基から誘導されるものが挙げられる。具体的には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸、硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p‐トルエンスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、マロン酸塩、ナフタレン‐2‐スルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アミン塩及びアンモニウム塩等が挙げられるが、これらに限定はされない。 前述のとおり、上記一般式(1)中、nは1又は2の整数であるが、好ましくは、nは2の整数である。 本発明のスチリルピリジン誘導体化合物は、例えば、下記スキーム1に示す合成経路により合成することができる。 2‐ハロゲン化ニコチンアルデヒド(化合物a)、及び、エチレングリコール(スキーム1中、nが1の整数、R2が水素原子を示す場合)、ジエチレングリコール(スキーム1中、nが2の整数、R2が水素原子を示す場合)、又はこれらの化合物のヒドロキシ基の一つを保護した化合物(スキーム1中、nが1又は2の整数であり、R2がヒドロキシ基の保護基を示す場合)を混合し、炭酸カリウム等の塩基存在下に加熱することにより、化合物aのピリジン環の2位にエチレングリコール又はジエチレングリコールを導入し、化合物bを得る。ここで、スキーム1中、化合物aのX2は塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が好ましいが、塩素原子又は臭素原子がより好ましい。ヒドロキシ基の保護基としては、例えば、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,p.17−245(Wiley−Interscience;4版)に記載の適当な保護基を用いることができる。 次いで、テトラヒドロフランなどの有機溶媒中、水素化ナトリウムなどの塩基存在下、化合物bのアルデヒド基に4‐アジドベンジルホスホン酸ジエチルを作用させるウィティッヒ反応により、スチリルピリジン骨格を形成する(化合物c)。ここで、4‐アジドベンジルホスホン酸ジエチルは、例えば、4‐アミノベンジルホスホン酸ジエチルを溶媒中、塩酸及び亜硝酸カリウムによりジアゾ化し、更にアジ化ナトリウムを作用させることで合成することができる。 次いで、銅触媒下、化合物cのアジド基にトリメチルシリルアセチレンを反応させて、トリアゾール環を形成する。その後、テトラブチルアンモニウムフルオリドによりトリメチルシリル基を除去する。 その後、スキーム1中R2としてヒドロキシ基の保護基が導入されている場合はこれを除去して、化合物dを得た後、化合物dのヒドロキシ基をスルホン酸エステル化し、上記一般式(2)で表される化合物(スキーム1中、化合物e)を得る。前述のとおり一般式(2)中R1は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水素がハロゲンで置換されていてもよい炭素数10以下のアルキルスルホン酸エステル基、又は、置換基を有してもよい芳香族スルホン酸エステル基であるが、好ましくは、水素がハロゲンで置換されていてもよい炭素数10以下のアルキルスルホン酸エステル基、又は、置換基を有してもよい芳香族スルホン酸エステル基であり、より好ましくは、置換基を有してもよい芳香族スルホン酸エステル基である。 「炭素数10以下のアルキルスルホン酸エステル基」としては、メタンスルホン酸エステル基などが挙げられる。「水素がハロゲンで置換されていてもよい炭素数10以下のアルキルスルホン酸エステル基」としては、トリフルオロメタンスルホン酸エステル基などが挙げられる。「芳香族スルホン酸エステル基」としては、ベンゼンスルホン酸エステル基、4‐メチルベンゼンスルホン酸エステル基、又は、4‐ニトロベンゼンスルホン酸エステル基が挙げられる。中でも、4‐メチルベンゼンスルホン酸エステル基が好ましい。 最後に、アセトニトリルなどの非プロトン性溶媒中、塩基存在下に、化合物eにフッ化物イオンを反応させて、上記一般式(1)で表される、本発明のスチリルピリジン誘導体化合物(スキーム1中、化合物f)を得る。また、化合物dのヒドロキシ基に三フッ化N,N‐ジエチルアミノ硫黄(DAST)などのフッ素化試薬を反応させて、本発明に係る化合物fを合成することもできる。(放射性フッ素標識スチリルピリジン誘導体化合物) 上記一般式(1)中、X1はフッ素原子であるが、好ましい態様において、X1は放射性フッ素原子であり、具体的には、18Fであることがより好ましい。18Fで標識された化合物を投与することで、ポジトロン断層法(PET)により、非侵襲的に生体の脳内アミロイドを検出することができる。 より具体的には、本発明の放射性フッ素標識化合物は、以下に示す放射性フッ素標識化合物であることが好ましい。・(E)‐1‐(2‐(6‐(2‐(2‐[18F]フルオロエトキシ)エトキシ)ピリジン‐3‐イル)ビニル)‐フェニル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール((E)‐2‐{2‐[2‐(2‐[18F]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐9‐(1H‐1,2,3,‐トリアゾール‐1‐イル)スチリルピリジン)〔上記一般式(1)中、X1が18Fであり、nが2の整数の化合物である。以下、「[18F]ABC126」と略記することもある。〕。・(E)‐1‐(2‐(6‐(2‐[18F]フルオロエトキシ)ピリジン‐3‐イル)ビニル)‐フェニル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール〔上記一般式(1)中、X1が18Fであり、nが1の整数の化合物である。〕。 本発明に係る化合物として、上記一般式(1)中、X1が放射性フッ素原子である放射性化合物を採用する場合は、上記説明した一般式(2)で表される化合物(スキーム1中の化合物e)又はその塩を標識前駆体として用いることができる。塩としては、上記例示した塩を採用することができる。一般式(2)中、R1としては前述のもの(スキーム1中の化合物eのR1として使用できるもの)を採用することができる。または、一般式(2)中、nは2の整数が好ましい。(放射性フッ素標識スチリルピリジン誘導体化合物の製造) 本発明に係る放射性フッ素標識スチリルピリジン誘導体化合物は、その標識前駆体である、一般式(2)で表される化合物又はその塩に対し、放射性フッ化物イオンを反応させることで、合成することができる。放射性フッ化物イオンとしては[18F]フッ化物イオンが好ましい。[18F]フッ化物イオンは、[18O]水にサイクロトロンで加速した陽子を照射して18O(p,n)18Fの核反応を発生させることにより、製造することができる。製造した[18F]フッ化物イオンは、[18F]フッ化物イオンを含むターゲット水を陰イオン交換樹脂に吸着させ、炭酸カリウム水溶液で[18F]フッ化物イオン樹脂から溶離することによって[18F]フッ素カリウムとして調製されることが好ましい。また、一般式(2)で表される化合物又はその塩の放射性フッ素標識反応は、上記調製した[18F]フッ素カリウムを用い、クリプトフィックス222(商品名)などの相間移動触媒、及び、炭酸カリウムなどの塩基存在下で実行することが好ましい。(医薬組成物) 本発明において、「医薬組成物」とは、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を生体内への投与に適した形態で含む処方物と定義することができる。この医薬組成物には、本発明に係る化合物を有効成分とし、薬理学的に許容される担体、希釈剤、エマルジョン、賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、着色剤、安定化剤等の追加成分を含んでいても良い。本発明の医薬組成物は、経口投与又は非経口投与の投与方法に使用することができる。 本発明において「放射性医薬組成物」とは、上記定義される「医薬組成物」のうち、上記一般式(1)中Xが18Fである化合物又はその塩を有効成分として含有するものと定義することができる。この放射性医薬組成物の剤形は、非経口投与の投与方法に使用できるものが好ましく、静脈内投与、動脈内投与、局所投与、腹腔又は胸腔への投与、皮下投与、筋肉内投与、舌下投与、経皮投与又は直腸内投与等に使用できる注射剤がより好ましい。このような注射剤は、本発明に係る放射性スチリルピリジン誘導体化合物を水、生理食塩液、又は、リンゲル液等に溶解させることで調製することができる。 本発明の放射性医薬組成物中の放射性スチリルピリジン誘導体化合物の濃度は、放射性分解に対する安定性を確保できる濃度であればよい。 本発明の放射性フッ素標識スチリルピリジン誘導体化合物又はその塩、及びこれを含む放射性医薬組成物は、ヒトを始めとする哺乳類動物に投与し、PET装置を用いて撮像することで、生体の脳内アミロイド(脳内アミロイドβタンパク、Aβ)を非侵襲的に検出し、画像化するための画像化剤として使用することができる。この本発明の画像化剤は、アミロイドへの絶対的集積量を向上させた化合物を含むため、アルツハイマー病の診断及び予防に有用である。 以下、実施例を記載して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、以下の実施例に記載した化合物の合成例において、各ステップは、必要に応じて複数回繰り返し行い、他の合成において中間体等として用いる際に必要な量を確保した。 実施例で使用する装置は、以下のものを使用した。 NMR装置:JNM−ECP−500(日本電子株式会社製)。1H−NMRの測定条件は、共鳴周波数500MHzとした。 バイオイメージングアナライザー:BAS−2500、富士写真フィルム株式会社製 シングルチャネルアナライザー:SP−20、応用光研工業株式会社製 また、実施例の統計処理に関しては、データを平均値±標準偏差で表した。 実施例で使用する略語は、断りの無い限り以下のとおり定義した。PBS:リン酸緩衝食塩水BSA:ウシ血清アルブミン[18F]AV1:[18F]フロルベタベン([18F]florbetaben、trans‐4‐(N‐メチルアミノ)‐4’‐(2‐(2‐(2‐[18F]フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ)スチルベン)[18F]AV45:[18F]フロベタピル([18F]flobetapir、(E)‐4‐(2‐(6‐(2‐(2‐(2‐[18F]フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ)ピリジン‐3‐イル)ビニル)‐N‐メチルベンゼンアミン)(実施例1)(E)‐1‐(2‐(6‐(2‐(2‐フルオロエトキシ)エトキシ)ピリジン‐3‐イル)ビニル)‐フェニル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール(以下、「ABC126」)の合成 図1に示すスキームに従って、ABC126を合成した。[ステップ1]2‐[2‐(2‐ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ニコチンアルデヒド(化合物1)の合成 2‐ブロモニコチンアルデヒド(化合物1、1000mg、5.38mmol)にジエチレングリコール(5.12mL)、炭酸カリウム(2.23g、16.1mmol)を加え100℃に加熱した。3時間加熱した後、飽和塩化アンモニウム水溶液と水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層は水で1回,飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1体積比)にて精製を行い、化合物1(403mg、1.91mmol、収率35%)を得た。 化合物1の1H‐NMR(溶媒:重クロロホルム):9.96(s,1H),8.61(d,J=2.3Hz,1H),8.08(dd,J=2.3,8.7Hz,1H),6.89(d,J=8.7Hz,1H),4.61(t,J=4.6Hz,2H),3.89(t,J=4.6Hz,2H),3.78−3.75(m,2H),3.67(m,4H),3.60(t,J=4.6Hz,2H),2.06(t,J=6.2Hz,1H)。[ステップ2](E)‐4‐(2‐(2‐(2‐ヒドロキシエトキシ)エトキシピリジン‐3‐イル)ビニル)フェニルアザイド(化合物3)の合成(1)4‐アミノベンジルホスホン酸ジエチル(1.0g、4.11mmol)をアセトニトリル(12.5mL)に溶解したのち、氷冷下、6mol/Lの塩酸(5mL)を加え、5分間撹拌した。反応液に、亜硝酸カリウム(392mg、4.60mmol)を水(10mL)に溶解して加え、30分撹拌したのち、アジ化ナトリウム(2.14g、32.9mmol)を加えた。30分撹拌したのち、室温に昇温してさらに1時間撹拌した。反応終了後、水(約30mL)を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層は水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1体積比)にて精製を行い、4‐アジドベンジルホスホン酸ジエチル(化合物2)(1.0g、3.80mmol、収率92%)を得た。 化合物2の1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):7.29−7.26(m,2H),6.98−6.96(m,2H),4.06−3.98(m,4H),3.13−3.09(m,2H),1.24(t,J=7.1Hz,6H)。(2)水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散、和光純薬社製)(71.3mg、1.78mmol)をテトラヒドロフラン(4mL)に懸濁し、氷冷下、化合物2(160mg、0.594mmol相当)と化合物1(125mg、0.594mmol)のテトラヒドロフラン溶液(4mL)を滴下した。アルゴンガス雰囲気下、室温で2時間したのち、飽和塩化アンモニウム水溶液(約10mL)を加え、酢酸エチルで3回抽出した.合わせた酢酸エチル層は飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1体積比)にて精製を行い、化合物3(189mg、0.579mmol、収率98%)を得た。[ステップ3](E)‐1‐(2‐(6‐(2‐(2‐ヒドロキシエトキシ)エトキシ)ピリジン‐3‐イル)ビニル)‐フェニル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール(化合物4) 化合物3(189mg、0.579mmol)をジメチルホルムアミド(3.0mL)に溶解し、トリメチルシリルアセチレン(0.160mL、1.16mmol)を加えた後、硫酸銅5水和物(28.9mg、0.116mmol)を加え、80℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、水(5mL)を加え、ジクロロメタンで3回抽出した.合わせたジクロロメタン層は水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して粗結晶(271mg)を得た。この粗結晶(271mg)をテトラヒドロフラン(5.0mL)に懸濁し、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1.0mol/Lテトラヒドロフラン溶液(640μL)を加えた。加熱還流下で2時間攪拌したのち、反応液を室温まで冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液を約10mL加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層は水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=95/5体積比)にて精製を行い、化合物4(136mg、0.357mmol、収率53%)を得た。化合物4の1H‐NMR(溶媒:重クロロホルム):8.23(d,J=2.3Hz,1H),8.00(d,J=1.2Hz,1H),7.86(d,J=1.2Hz,1H),7.83(dd,J=2.3,8.7Hz,1H),7.75(d,J=8.5Hz,2H),7.64(d,J=8.7Hz,2H),7.10(d,J=16.5Hz,1H),7.02(d,J=16.5Hz,1H),6.84(d,J=8.5Hz,1H),4.53(t,J=4.8Hz,2H),3.89(t,J=4.8Hz,2H),3.78−3.75(m,2H),3.68(t,J=4.6Hz,2H),2.44(t,J=6.2Hz,2H)。[ステップ4](E)‐1‐(2‐(6‐(2‐(2‐(p‐トルエンスルホニルオキシ)エトキシ)エトキシ)ピリジン‐3‐イル)ビニル)‐フェニル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール(化合物5)の合成 化合物4(136mg、0.357mmol)をジクロロメタン(4.0mL)に溶解し、1,4‐ジアザビシクロオクタン(130mg、1.16mmpol),p‐トルエンスルホニルクロリド(110mg、0.579mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応終了後、塩飽和塩化アンモニウム水溶液と水を加え、酢酸エチルで3回抽出を行った。合わせた酢酸エチル層を、水及び飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1体積比)にて精製を行い化合物5(153mg、0.302mmol、収率78%)を得た。化合物5の1H‐NMR(溶媒:重クロロホルム):8.22(d,J=2.5Hz,1H),8.01(d,J=1.4Hz,1H),7.86(d,J=1.4Hz,1H),7.83(dd,J=2.5,8.7Hz,1H),7.80(d,J=7.9Hz,2H),7.75(d,J=8.7Hz,2H),7.65(d,J=8.7Hz,2H),7.31(d,J=7.9Hz,1H),7.10(d,J=16.5Hz,1H),7.02(d,J=16.5Hz,1H),6.80(d,J=8.7Hz,1H),4.40(t,J=4.8Hz,2H),4.20(t,J=4.8Hz,2H),3.80(t,J=4.8Hz,2H),3.76(t,J=4.8Hz,2H),2.43(s,3H)。[ステップ5]ABC126の合成 化合物5(20mg、0.040mmol)をアセトニトリル(1.0mL)に溶解し、クリプトフィックス222(商品名、メルク社製)(22.3mg、0.059mmol)、フッ化カリウム(2.9mg、0.049mmol)、炭酸カリウム(1.1mg、0.008mmol)を加え、加熱還流下で2時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却したのち、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1体積比)にて精製を行い、ABC126(5.0mg、0.014mmol、収率36%)を得た。ABC126の1H‐NMR(溶媒:重クロロホルム):8.23(s,1H),8.01(s,1H),7.86(s,1H),7.84(dd,J=2.3,8.7Hz,1H),7.75(d,J=8.7Hz,2H),7.64(d,J=8.7Hz,2H),7.10(d,J=16.5Hz,1H),7.02(d,J=16.5Hz,1H),6.83(d,J=8.7Hz,1H),4.60(dt,J=47.7,4.1Hz,2H),4.54(t,J=4.8Hz,2H),3.91(t,J=4.6Hz,2H),3.82(dt,J=29.3,4.1Hz,2H)。(実施例2)(E)‐1‐(2‐(6‐(2‐(2‐[18F]フルオロエトキシ)エトキシ)ピリジン‐3‐イル)ビニル)‐フェニル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール(以下、「[18F]ABC126」)の合成 [18F]フッ化物イオン含有[18O]水(1440MBq、合成開始時補正値)を、Sep−Pak Light QMA(商品名、日本ウォーターズ株式会社製)に通液し、[18F]フッ化物イオンを吸着捕集した。次いで、該カラムに炭酸カリウム水溶液(42.4μmol/L、0.3mL)及びクリプトフィックス222(商品名、メルク社製)(14mg、37.2μmol)のアセトニトリル(0.7mL)溶液を通液して、[18F]フッ化物イオンを溶出した。これをアルゴンガスの通気下110℃に加熱して水を蒸発させた後、アセトニトリル(0.3mL×2)を加えて共沸させ乾固させた。ここに実施例1で合成した化合物5(5mg、14.1μmol)を溶解したアセトニトリル溶液(0.3mL)を加え、110℃で10分加熱した。反応終了後、1mol/L塩酸(1.0mL)を加え、下記の条件のHPLCに付してABC126と保持時間が同じ画分を分取した。<HPLC条件> カラム:CAPCELL PAK(商品名、資生堂社製、サイズ:10mmφ×250mm) 移動相:0.1体積%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル(体積比)=20/80から0/100へ20分かけてグラジエント 流速:3.0mL/分 検出器:紫外可視吸光光度計(検出波:260nm) 当該画分に水(10mL)を添加した液を逆相カラム(商品名:Sep−Pak C18 Light,Waters社製)に通液し、[18F]ABC126を当該カラムに吸着捕集した。このカラムを水(1mL)で洗浄した後、あらかじめ1質量%アスコルビン酸水溶液1mLを加えたバイアルに、ジエチルエーテル(1mL)を通液して[18F]ABC126を溶出させた後、ジエチルエーテルを留去することで、[18F]ABC126の1質量%アスコルビン酸水溶液を得た。得られた放射能は327MBq(合成開始後103分)であった。また、下記の条件によるTLC分析を行ったところ、その放射化学的純度は100%であった。<TLC分析条件>TLCプレート:Silica Gel 60 F254(製品名、メルク社製)展開相:酢酸エチル/メタノール/ジエチルアミン=100:4:1RI検出器:Rita Star、raytest社製(実施例3)脳内移行性及びクリアランスの評価 [18F]ABC126のラットにおける脳内移行性及びクリアランスについて評価した。 実施例2で合成した[18F]ABC126、及び、非特許文献2記載の方法で合成した[18F]AV45を0.5質量%のアスコルビン酸と10vol%のエタノールを含む生理食塩液に溶解した液をそれぞれ調製し、試料溶液とした(放射能濃度共に92.5MBq/mL)。この試料溶液を、無麻酔下で尾静脈より雄性のWistar系ラット(8週齢)に投与した(投与量:0.2mL、投与した放射能:18.5MBq相当)。投与後2分(n=5)、60分(n=3)に無麻酔下で断頭し、臓器の摘出、臓器重量及び臓器放射能量の測定を行った。放射能測定はシングルチャネルアナライザーを用いて実施した。投与放射能量に対する各臓器の放射能分布率を計算し求め、[18F]ABC126の体内放射能分布を求めた。 表1に、投与後2分、60の脳への放射能取り込みを%投与量/g(%ID/g)で示す。また、クリアランス比は、投与後2分における脳への放射能取り込み(%ID/g)と投与後60分における脳への放射能取り込み(%ID/g)との比(2分/60分)を示す。 表1に示すように、[18F]ABC126は、投与後2分点において、高い放射能集積が認められ、60分後には、脳から排出されることが確認された。(実施例4)オートラジオグラフィーによるアルツハイマー患者脳切片への化合物結合性評価 本発明に係る化合物がアルツハイマー患者脳内のアミロイドを描出し得るかを評価するため、下記の実験を行った。 Analytical Biological Services社(米国)より市販されているAD患者脳組織(Frontal lobe)を5μmに薄切することで本実験に使用するAD患者脳切片を作製し、使用時まで−20℃下で保存した。脳切片を−20℃から室温へ戻し、10分間乾燥させた後、PBSに15分間、5分間、5分間ずつ浸漬し、次に1質量%BSA含有PBSに30分間浸漬することで親水化を行った。実施例2で合成した[18F]ABC126、非特許文献1記載の方法で合成した[18F]AV1又は非特許文献2記載の方法で合成した[18F]AV45を含む1質量%BSA含有PBS(放射能濃度30kBq/mL)をそれぞれ調製し、親水化した脳切片を室温下で30分間浸漬した。その後、1質量%BSA含有PBS、PBS、PBSの各溶液について5分間ずつ浸漬し、脳切片の洗浄を行った。洗浄後の脳切片を十分に乾燥した後、イメージングプレート上で16時間露光させ、バイオイメージングアナライザーを用いてオートラジオグラム画像解析を行った。隣接切片を用いて抗アミロイド抗体によるアミロイド沈着部位の免疫染色を行った。抗アミロイド抗体にAnti−Human Amyloidβ(N)(82E1)Mouse IgG MoAb(株式会社免疫生物研究所)を用い、二次抗体にはAnti−Mouse IgG(H+L)Goat IgG Fab’―HRP(株式会社免疫生物研究所)を用いた。二次抗体に結合するHRPに対してDAB+(3、3’−ジアミノベンジジンテトラヒドロクロライド)・基質キット(Dako)を適用することで、アミロイド沈着部位を検出した。 脳切片のオートラジオグラムを図2(a)〜(c)に示す。図2(a)が[18F]ABC126を使用したものであり、図2(b)が[18F]AV45を使用したものであり、図2(c)が[18F]AV1を使用したものである。また、図2(d)には、本実験で使用した脳切片の免疫染色の結果を示す。図2で示すように、本実験に使用したアルツハイマー患者脳凍結切片の灰白質部分には、免疫染色によってアミロイドの沈着が確認でき、いずれのオートラジオグラム上でも、免疫染色によって確認したアミロイド沈着部位への化合物の結合が確認できた。 図2(a)〜(c)で示すオートグラムの灰白質における、[18F]ABC126、[18F]AV45及び[18F]AV1のそれぞれの絶対的集積量を表1に示す。表2には、各脳切片の灰白質について関心領域を4か所とり、1平方ミリメートルあたりの光輝尽発光(photostimulated luminescence:PSL)値の平均値±標準偏差を示した。 表1で示すように、[18F]ABC126は、[18F]AV1よりも灰白質への絶対的集積量が向上した。また、[18F]AV45に対しても、わずかに絶対的集積量の向上が認められた。 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩。〔式中、nが1又は2の整数であり、X1がフッ素原子である。〕 前記一般式(1)中、X1が放射性フッ素原子である、請求項1に記載の化合物又はその塩。 請求項1又は2記載の化合物又はその塩を含む、医薬組成物。 請求項1又は2記載の化合物又はその塩を含み、アミロイドを画像化するために用いられる、アミロイド画像化剤。 下記一般式(2)で表される化合物又はその塩。〔式中、nが1又は2の整数であり、R1が、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水素がハロゲンで置換されていてもよい炭素数10以下のアルキルスルホン酸エステル基、又は、置換基を有してもよい芳香族スルホン酸エステル基である。〕 請求項5記載の化合物又はその塩に、フッ化物イオンを反応させて、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩を製造する方法。 【課題】アミロイドへの絶対的集積量が向上した化合物を提供する。【解決手段】本発明は、所定の一般式で表されるスチリルピリジン誘導体化合物又はその塩、及び、これらを含む医薬組成物である。【選択図】なし


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