生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_エポキシ樹脂含有材料の硬化度推定方法
出願番号:2013096216
年次:2014
IPC分類:C08G 59/18,G01N 25/20


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吉崎 信樹 浜辺 雄輔 福田 将人 JP 2014218536 公開特許公報(A) 20141120 2013096216 20130501 エポキシ樹脂含有材料の硬化度推定方法 新日鐵住金株式会社 000006655 日鉄住金防蝕株式会社 000227261 大槻 冨有彦 100132953 椎名 彊 100074790 松本 悦一 100097995 吉崎 信樹 浜辺 雄輔 福田 将人 C08G 59/18 20060101AFI20141024BHJP G01N 25/20 20060101ALI20141024BHJP JPC08G59/18G01N25/20 B 3 5 OL 8 2G040 4J036 2G040AB14 2G040BA02 2G040BA24 2G040CA02 2G040CA05 2G040HA01 4J036AA01 4J036DA01 4J036DC06 4J036DC09 4J036HA00 4J036JA01 4J036JA06 4J036JA08本発明は、エポキシ樹脂塗料を代表とするエポキシ樹脂含有材料の硬化度推定方法に関する。エポキシ樹脂は、高分子内に残存したエポキシ基が架橋結合することで硬化する熱硬化性樹脂であり、接着剤の他、防食塗料、積層材料、含浸材料、成形材料など広範囲の用途に利用されている。近年、橋梁などに代表される鋼構造物の長寿命化が求められており、重防食塗装の適用が広がりつつある。重防食塗装は、鋼材を腐食から護る防食機能と、色彩による美観機能を長期間保持する耐久性を有しており、塗装系は一般的に防食下地、下塗塗料、中塗塗料、上塗塗料で構成されている。下塗塗料や中塗塗料にはエポキシ樹脂を含有する塗料が用いられるが、塗装後、硬化する前に上塗りをすると、上塗りとの密着性が低下して塗装不良となり、重防食塗装としての機能を果たせない。従って、エポキシ樹脂含有材料の性能が発揮される硬化度に至るまでの必要な時間を正確に見積もることは非常に重要である。さらに、鋼構造物の重防食塗装の多くは屋外で塗装されるため、硬化時の温度を一定に保つことが困難である。エポキシ樹脂含有材料は硬化時の雰囲気温度によって硬化時間が異なることから、エポキシ樹脂の性能が発揮される硬化度になるまでに必要な時間がどの温度でも容易に見積もることが望まれる。従来、エポキシ樹脂含有材料の硬化度を評価する方法として、DSC(示差走査熱量計)を用いて測定した発熱量から評価する方法、IR(赤外分光)のエポキシ基のピークから評価する方法(特許文献2参照)、ラマン分析のエポキシ基のピークと芳香環のピークとのラマン強度比に基づいて硬化度を評価する方法が知られている(特許文献1、特許文献3参照)。しかしながら、いずれもエポキシ樹脂含有材料の硬化度を測定したものであって、所望の硬化度に達するまでに必要な温度、時間を予測できるものではない。特開2000−178522号公報特開2007−248431号公報特開2011−69653号公報本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、DSCを用い、エポキシ樹脂含有材料の硬化度を容易に推定する方法を提供することを目的とするものである。 本発明のエポキシ樹脂含有材料の硬化度推定方法は、エポキシ樹脂含有材料が硬化する温度と時間を推定する方法であって、硬化度を推定すべきエポキシ樹脂含有材料をDSC測定に供して融解曲線を作成し(図1)、上記融解曲線からエポキシ樹脂含有材料の−ΔHと対数で表した保持時間との関係について対数関数を求め(図2)、当該対数関数における−ΔHが0となる切片を当該材料の硬化時間とし、更に前記所定温度と異なる温度について同様に、当該材料の保持時間を求め、求められた複数のデータから、温度の逆数と対数で表した保持時間との関係について指数関数を求め(図3)、当該指数関数を当該材料における温度と保持時間(硬化時間)との関係とし、この関数曲線を元に種々の温度におけるエポキシ樹脂含有材料の硬化度の推定を容易にすることを特徴としたものである。本発明によれば、いかなる季節(温度)においてもエポキシ樹脂含有材料の品質が発揮される硬化度に達するために必要な時間の推定ができ、塗装の効率化が可能となる。さらに、当該材料において、硬化途中で温度が変化した場合の所望の硬化度を得るための硬化度と保持時間との関係を求めることが可能である。このことから、当該材料を塗装した重防食塗装の品質を低下させることなく塗装効率を向上させることが可能である。さらに、所望の硬化度を得るための温度と保持時間との関係も推定可能である。また計算式により推定する方法であるために、従来法のように、標準データとして予備測定を数多く行う必要がないばかりでなく、処理温度と硬化時間とが同時に推定可能となる。DSCの融解曲線と−ΔHの求め方−ΔHと保持時間の関係−ΔH=0となる温度と保持時間との関係曲線所定の硬化度を得るための推定曲線異なる温度における保持時間の推定方法異なる温度における保持時間の推定方法(実施例)以下、本発明に係る硬化度の推定方法を具体化した実施の形態について説明する。本実施の形態は、エポキシ樹脂含有材料の硬化度を推定する場合に、本発明に係る硬化度測定方法を適用したものである。ただし、好ましくは上記エポキシ樹脂含有材料のDSC曲線には溶剤由来のピークが含まれていないものとする。エポキシ樹脂含有材料は、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤とを必須成分とすることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物である。前記エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤を混合し、直後に所定の温度で保持させる。次に所定の時間保持した後、当該試料をDSC測定に供する。 得られたDSCの結果を図1に示す。上に凸となるピーク面積から−ΔHを求める。更に、前記所定温度において前記所定時間とは異なる時間で1回以上前記−ΔHを求め、前記求められた複数のデータから、−ΔHと対数で表した保持時間との関係を求める。当該温度における−ΔHと保持時間との指数関係を求めた結果を図2に示す。この指数関数は次式(1)で表わされる。−ΔH =B・ln t + C …(1)ここでBはエポキシ樹脂含有材料固有の傾きを表し、Cはエポキシ樹脂含有材料の固有の切片を示すものである。上記(1)式に−ΔH=0を代入したときに得られる時間tがエポキシ樹脂含有材の硬化反応が終わる時間である。 更に前記所定温度と異なる温度について同様に当該材料の硬化時間を求め、当該求められた複数のデータから、温度の逆数と対数で表わした保持時間との関係は次式(2)の直線で示される。ln t= ln A + Ea/RT …(2)上記(2)式はアレニウスの反応式に基づく関数であり、Aは頻度因子、Eaは活性化エネルギー、Rは気体定数を示すものである。 図2から得られた関係式から、保持時間と処理温度の逆数との関係をプロットしたのが図3である。−ΔHが0mJ/mgになる関係は精度の良い直線性が得られた(図3の1)。 よって前記指数関数から、エポキシ樹脂含有材料の固有のAとEaを求めることで−ΔH=0になるまでに必要な保持時間tを推定することができる。前記指数関数から得られたEaはエポキシ樹脂含有材料固有の値である。つまり、異なる硬化度であっても、前記任意の温度の逆数と対数表示した時間とのグラフでは傾きが同じである。図3の1の指数関数は完全な硬化度に至るまでに必要な時間と温度であるが、現実にはそこまで硬化する前に実用的な性能が得られる。そこで、当該材では完全な硬化度に至るまでに必要な時間は4.6時間であるが、現実的に必要な硬化度が得られるまでの保持時間を測定した結果、40℃で2.2時間であった。次に図3において、前記温度の逆数と指数表示した時間とのグラフに40℃で2.2時間をプロットし、当該プロットを通り、且つ、前記−ΔHが0mJ/mgになる指数関数1と同じ傾きの指数関数(2の推定式)を描く(図4の40℃の■を通る直線2)。実際に所定の硬化度を得るための温度と保持時間を測定した実測値(図4の5℃、10℃、20℃、50℃の●)は図4の推定式の直線2によく一致する。以上のことから、処理温度を決めた場合に、必要な硬化度を得るための硬化時間を推定することができる。その方法を次に示す。 エポキシ樹脂含有材料を異なる温度で硬化させた時の推定方法を図5に示す。前記エポキシ樹脂含有材料を20℃で保持した場合、―ΔHが0mj/mgとなるまでに必要な保持時間は19時間である。一方、40℃で1時間保持した時の硬化度は前記指数関数の傾きより、20℃で4.2時間硬化した時の硬化度と同等である。このことから40℃で1時間硬化した後、20℃で14.8時間(=19時間−4.2時間)硬化することで−ΔHが0mJ/mgになると推定できる。 エポキシ樹脂含有材料として、日塗化学(株)製 NBコート NSW−1500を使用した。次に当該材料の組成を示す。 主剤:エポキシ樹脂、顔料、添加剤 硬化剤:変性脂肪族ポリアミン、変性脂環式ポリアミン、顔料、添加剤 この材料を、150mm×70mm×0.8mmの鋼板に600μm厚みにバーコーターで塗装し、20℃で1時間保持して硬化させた塗装鋼板から、塗装を10mg削り取りこれをサンプルとする。このサンプルをDSCによって昇温速度20℃/分で分析し―ΔHを求める(図1)。次に、保持時間を変更してさらにその時間での―ΔHを求めてプロットし−ΔHが0となる切片を求める。この作業を40℃、50℃でも行い、表1の結果が得られた。 次に、表1から得られた値より−ΔHが0mJ/mgとなる指数関数(3)を求めた(図3)。t (hr) = 3.41×10-9×exp(6.58×10-3/(273+T(℃))・・・(3) 式(3)は完全硬化に必要な保持時間を表し、40℃では−ΔHが0mJ/mgとなる時間は4.2時間であるが、所定の硬化度(ショアD硬度 60)に達する適切な40℃での保持時間は2.2時間であった。そこで、当該値(プロット)を通り式(3)と同じ傾きの式(4)を導いた。t (hr) = 6.65×10-10×exp(6.58×10-3/(273+T(℃))・・・(4)実際に所定の硬化度(ショアD硬度 60)を考慮した温度と保持時間は、式(4)と良く一致している。結果を表2に示す。この結果、当該推定方法の正しい事が立証された。式(4)を元に、塗装工場において40℃で1時間 加熱促進養生を行った場合の、その後の20℃での必要養生時間を算出した。算出結果は3.7時間であったが(図6)、実際に塗装工場で養生しデュロメーター硬さ試験を行った結果はショアD硬度 60となり良く一致した。 この事から、塗装工場において予め加熱促進を含めた養生条件の設定を行うことができ、品質と能率の両立を図ることが可能となった。エポキシ樹脂含有材料の硬化度を推定する方法であって、前記材料を所定の温度で所定時間保持し、その後、DSC(示差走査熱量計)を用いて、所定の昇温速度で昇温し、昇温中のエンタルピー(−ΔH)を求め、更に前記所定温度で前記所定時間と異なる時間で1回以上前記−ΔHを求め、前記求められた複数のデータから、−ΔHと対数で表した保持時間との関係について対数近似式を求め、当該対数近似式における−ΔHが0となる切片を当該材料の硬化時間とし、更に前記所定温度と異なる温度について同様に当該材料の硬化時間を求め、当該求められた複数のデータから、温度の逆数と対数で表した保持時間との関係について指数関数を求め、当該指数関数を当該材料における温度と硬化時間との関係とすることを特徴とするエポキシ樹脂含有材料の硬化度推定方法。前記材料において所望の硬化度を得るための温度と保持時間との関係を求める方法であって、前記所望の硬化度を得られる任意の温度と保持時間を測定し、前記任意の温度と前記時間とを前記温度の逆数と対数表示した時間とのグラフにプロットし、当該プロットを通り、且つ、請求項1記載の指数関数と同じ傾きの指数関数を求め、当該指数関数を当該材料における所望の硬度を得るための温度と時間との関係とすることを特徴とするエポキシ樹脂含有材料の硬化度推定方法。当該材料において、硬化途中で温度が変化した場合の所望の硬化度を得るための温度と保持時間との関係を求める方法であって、変化前温度と変化するまでの時間を前記温度の逆数と対数表示した時間とのグラフにプロットし、当該プロットを通り、且つ、請求項1記載の指数関数と同じ傾きの指数関数を求め、当該指数関数上の変化後の温度の位置における保持時間を当該変化後の温度における温度変化時の硬化度を得るまでの保持時間とみなし、変化後の温度における所望の硬化度となるまでの保持時間を所望の硬化度となるまでの残りの必要時間とすることを特徴とするエポキシ樹脂含有材料の硬化度推定方法。 【課題】鋼構造物の重防食塗装は屋外で塗装されることが多いため、硬化養生時の温度を一定に保つことが困難である。しかしながらエポキシ樹脂含有材料は温度によって硬化時間が異なることから、エポキシ樹脂の性能が発揮される硬化度になるまでの時間をいかなる温度でも容易に見積もることが必要とされる。【解決手段】硬化度を推定すべきエポキシ樹脂含有材料をDSC測定に供して融解曲線を作成し、上記融解曲線からエポキシ樹脂含有材料の−ΔHと対数で表した保持時間との関係から、温度の逆数と対数で表した保持時間との指数関数を求め、当該指数関数を当該材料における温度と保持時間(硬化時間)との関係とし、この関数曲線を元に種々の温度におけるエポキシ樹脂含有材料の硬化度の推定を容易にすることを特徴としたものである。 【選択図】 図5


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