生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_過労又は慢性疲労に伴う疾患の治療及び/又は予防剤
出願番号:2013084478
年次:2013
IPC分類:A61K 31/195,A61P 3/00,A61P 3/02,A61P 43/00


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杉山 大二朗 JP 2013237666 公開特許公報(A) 20131128 2013084478 20130415 過労又は慢性疲労に伴う疾患の治療及び/又は予防剤 第一三共ヘルスケア株式会社 306014736 竹元 利泰 100161160 石橋 公樹 100146581 児玉 博宣 100164460 杉山 大二朗 JP 2012092886 20120416 A61K 31/195 20060101AFI20131101BHJP A61P 3/00 20060101ALI20131101BHJP A61P 3/02 20060101ALI20131101BHJP A61P 43/00 20060101ALI20131101BHJP JPA61K31/195A61P3/00A61P3/02A61P43/00 105 2 OL 6 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA44 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZB21 4C206ZC21 本発明は、トラネキサム酸を含有する、過労又は慢性疲労に伴う疾患の治療及び/又は予防剤に関する。 過労は疲労の蓄積や睡眠不足、慢性的なストレス負荷などの複合的な要因により引き起こされ、循環器障害、免疫・炎症応答の障害、精神障害などの様々な障害を引き起こす。過労を放置すると過労死や過労自殺などの究極の転帰に至り得る。生体が各種の過労ストレスに抗して恒常性を維持していくには、神経・内分泌・免疫の3つの系の連携がうまく保たれる必要がある。 過労は現代社会特有の疾患とも言え、このような疲労感・過労感を感じるのは脳であることから、脳内に疲労を認識する領域があり、そこに何らかの変化が起こり、同時に各種臓器等にも様々な悪影響が現れる。様々な悪影響としては、これまでの過労のモデル動物試験の結果から、例えば、レム睡眠の消失とノンレム睡眠の半減、胸腺や脾臓の著しい萎縮、下垂体細胞の崩壊、感染防御システムの低下等が明らかになってきた(以上、例えば、非特許文献1参照)。 抗プラスミン剤であるトラネキサム酸は、(1)抗出血作用、(2)抗アレルギー作用、(3)抗炎症作用が知られている医薬品である(例えば、非特許文献2参照)。また、トラネキサム酸は消炎剤として化粧品や歯磨きにも配合されており、内服のトラネキサム酸含有組成物は、しみ(肝斑に限る)に対する効能を有する一般用医薬品として供されてきている(例えば、非特許文献3参照)。 しかし、トラネキサム酸の抗疲労作用は知られておらず、また通常の疲労と過労とは病態生理的にも明らかに異なることから、トラネキサム酸の抗過労作用については全く未知であった。自律神経 Vol.47( No.4)2010,p.287-2922009年版 医療用医薬品集 JAPIC 2008日本医薬品集 一般薬2010−11 じほう 2009 本発明は、過労又は慢性疲労に対する有用な新規薬剤を提供することを課題とする。 本発明者は、上記課題を解決するために長年にわたり研究を重ねた結果、トラネキサム酸を含有する医薬組成物が、過労又は慢性疲労に対して有効な改善(治療)及び/又は予防剤となることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は以下の(1)、(2)に関するものである。(1)トラネキサム酸を含有する、過労又は慢性疲労に伴う疾患の治療及び/又は予防剤。(2)過労又は慢性疲労に伴う疾患が、過労死又は慢性疲労症候群である、(1)に記載の治療及び/又は予防剤。 本発明の、トラネキサム酸を含有する医薬組成物は、過労や慢性疲労に伴う疾患、更には過労死や慢性疲労症候群をも改善(治療)及び/又は予防することができ、しかも、安全である。これまで、過労や慢性疲労の根本的な治療薬が存在しない中、本発明の治療及び/又は予防剤は有用である。トラネキサム酸投与による、血中のα−MSH濃度上昇抑制作用を示すグラフである。トラネキサム酸投与による、脳下垂体中のα−MSH濃度上昇抑制作用を示すグラフである。 本発明における慢性疲労症候群とは、明白な筋肉の衰弱を伴わない,長期にわたる,重度で,活動が困難となる疲労を意味する。慢性疲労症候群の診断基準としては、次の(1)〜(11)に挙げる症状の少なくとも4項目が6カ月以上継続するものをいう:(1)職業,教育,社会,個人それぞれの活動をかなり低減させるほど重度で短期の記憶障害(自己申告);(2)咽喉痛;(3)微熱;(4)頸部または腋窩のリンパ節が触知できるほど腫脹し圧痛がある;(5)筋肉痛;(6)腹痛;(7)関節部腫脹または圧痛を伴わない関節の疼痛(関節痛);(8)類型,出現パターン,重症度において未経験の頭痛;(9)睡眠で疲労が取れない;(10)労作後の倦怠感が24時間以上継続;(11)認知障害(特に集中および睡眠を伴う)(以上、メルクマニュアル 第18版 日本語版参照)。 本発明におけるトラネキサム酸は、第15改正日本薬局方に収載されている。 本発明の剤形は特に限定されないが、錠剤、カプセル剤、液剤等、経口投与剤形が望ましい。 本発明の組成物が内服剤の場合、トラネキサム酸の含有量は、好ましくは1〜5000mg、より好ましくは10〜2000mgを1日1〜3回に分けて服用できるように設定すればよい。また、本発明の組成物が1日1〜3回、1日量として100mL服用する液剤であれば、その液剤におけるトラネキサム酸の含有量は、好ましく1〜5000mg/100mLであり、より好ましくは10〜2000mg/100mLである。 本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない限り、トラネキサム酸に加えて、他の薬効成分であるビタミン剤、アミノ酸類、生薬エキスなどを配合することができる。また、製剤用の成分として基剤、香料、防腐剤、保存剤、保湿剤、界面活性剤、潤沢剤、賦形剤、pH調節剤、矯味剤、香料等、一般に許容されている医薬添加剤成分を併せて配合することができる。 本発明の組成物は、公知の方法で製造することができる。例えば、15改正日本薬局方製剤総則に記載の方法や、通常用いられている公知の製造方法に準じて製造することができる。 以下、本発明について実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(製剤例1)液剤 トラネキサム酸(15g)、果糖ブドウ糖液糖(100g)、保存剤、pH調整剤適量を混合し、精製水で全量1000gの液剤を製造した。(製剤例2)錠剤 トラネキサム酸(15g)、乳糖(350g)、結晶セルロース 適量を投入・混合し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロースを噴霧し造粒顆粒を調製した。造粒顆粒(49.5g)にステアリン酸マグネシウム(0.5g)を混合・打錠して裸錠を製造した。(製剤例3)散剤 トラネキサム酸(15g)、乳糖(350g)、結晶セルロース適量を投入・混合し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロースを噴霧し散剤を製造した。(試験例)(1)過労(慢性疲労)モデル これまでの研究から、過労が生体に及ぼす様々な影響が分子レベルで明らかになり、特に、内分泌系の重要な器官である下垂体に大きな変化が観察されている。下垂体中間葉は過労負荷をかけている間、α−MSH(α-Melanocyte Stimulating Hormone)の分泌・合成が異常に活性化し、下垂体細胞の過労死が起こる(日本疲労学会誌 Vol.5 No.2 2010 p.25-29)。α−MSHは一晩の徹夜のような急性期の疲労では上昇せず、慢性的な疲労により上昇する。従って、α−MSHは慢性疲労(過労)のバイオマーカになり得ることが判っている(非特許文献1)。(2)被験物質 トラネキサム酸は第一ファインケミカル(株)製のものを使用した。トラネキサム酸(750mg)を蒸留水(10mL)に溶解したものを被験物質として使用した。対照は、溶媒(蒸留水10mL)のみとした。(3)動物 DBA/2N雄性マウスを日本チャールズリバー(株)から購入し、1群4匹を5日間予備飼育した後、肉眼で動物の健康状態を観察し良好なものを実験に使用した。(4)被検物質の投与 マウス体重10g当り、被験物質(対照群は蒸留水のみ投与)0.1mLを週5回、2週間経口投与した。(5)試験方法 過労のバイオマーカとして上記のα−MSHを採用した。また、α−MSHを上昇させる手段として、マウスにUVB(光源;UV-M57、ケニス社製)を週5回、2週間照射する方法を採用した。なお、照射量は90mJ/cm2/回とし、紫外線量はUV計測器(UVM-03、オーク社製)にて測定した値を用いた。 紫外線照射を終了し、麻酔下でマウスの血液および脳下垂体を採取した。血液は遠心後、血漿を採取した。採取した血漿および脳下垂体中のα−MSH濃度はMSH,Alpha-EIA kit(Phoenix pharmaceutical社製)を用いて測定した。(6)試験結果 図1に示したように、血中のα−MSH濃度は、UV照射により上昇した。血中のα−MSH濃度の上昇は、トラネキサム酸の投与により、顕著に抑制されることが認められた。同様に、図2に示したように、脳下垂体中のα−MSH濃度もUV照射により上昇し、トラネキサム酸の投与により、α−MSH濃度の上昇が、UV非照射時程度まで抑制されることがわかった。 本発明の医薬組成物は、過労や慢性疲労の治療及び/又は予防薬として利用できる。 トラネキサム酸を含有する、過労又は慢性疲労に伴う疾患の治療及び/又は予防剤。 過労又は慢性疲労に伴う疾患が、過労死、慢性疲労症候群である、請求項1に記載の治療及び/又は予防剤。 【課題】本発明の課題は、過労又は慢性疲労に対する新規な治療及び/又は予防薬を提供することである。【解決手段】トラネキサム酸を含有する、過労又は慢性疲労に伴う疾患の治療及び/又は予防剤。【選択図】なし


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