生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ゼータ電位が制御された薬液含浸シートおよびフェイスマスク
出願番号:2013082174
年次:2014
IPC分類:A61K 8/02,A45D 44/22,A61K 8/73,A61Q 19/00,A61K 8/40


特許情報キャッシュ

吉田 暁 小野 博文 池永 秀雄 中村 寿美 JP 2014201588 公開特許公報(A) 20141027 2013082174 20130410 ゼータ電位が制御された薬液含浸シートおよびフェイスマスク 旭化成せんい株式会社 303046303 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 古賀 哲次 100087413 中村 和広 100108903 齋藤 都子 100142387 三間 俊介 100135895 吉田 暁 小野 博文 池永 秀雄 中村 寿美 A61K 8/02 20060101AFI20140930BHJP A45D 44/22 20060101ALI20140930BHJP A61K 8/73 20060101ALI20140930BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20140930BHJP A61K 8/40 20060101ALI20140930BHJP JPA61K8/02A45D44/22 CA61K8/73A61Q19/00A61K8/40 5 OL 10 4C083 4C083AC691 4C083AC692 4C083AD131 4C083AD132 4C083AD261 4C083AD262 4C083CC02 4C083CC07 4C083DD12 4C083EE11 本発明はゼータ電位が制御された薬液含浸シート及びそれを用いたフェイスマスクに関する。詳しくはゼータ電位が適性値に制御されていることにより、人体への装着時の皮膚密着性が格別に高く、薬液の保液性に優れていることを特徴とする、薬液含浸シート及びそれを用いたフェイスマスクに関するものである。 近年、薬液を含浸したシートおよびフェイスマスクが、健康や美容意識の高まりとともに、特に多忙な現代女性のアンチエイジング商品として拡大している。これらのシートおよびフェイスマスクに使用する素材は、キュプラ長繊維やコットン、レーヨンに代表されるセルロース系の繊維であり、その不織布がその代表例である。セルロース系繊維不織布が好適に用いられる理由としては、合成繊維系不織布に比べ親水性が大きい為、薬液の保液性能が高く装着時の液持ちが良く、装着時の湿潤状態を維持できる時間が長く、薬液を肌に浸透させやすいことが挙げられる。 セルロース系繊維不織布の中でもキュプラ長繊維不織布(旭化成せんい(株)製 ベンリーゼTM)は、セルロース系繊維の中では結晶化度が小さいため、薬液の保液性が高く、湿潤時の柔軟性が高く、装着時の追従性や密着感(肌への張り付き性)に優れている。又連続長繊維からなる不織布であり、断面形状が丸断面であるため、装着時に肌あたりの優しい素材として特に好適な素材として用いられている。 しかし、フェイスマスクや美容用シートの薬液含浸シートとして近年、装着時の顔の曲面や凹凸に追随して密着性を発現するシートが求められている。特に着用初期から取り外すまでの間の移動や会話や表情の変化に対しても、剥がれることのない高い密着性が求められる様になってきた。 そこで高密着性を得るための美容シートの改良としては、単繊維直径が1〜500nmの熱可塑性樹脂からなるナノファイバーより構成された不織布層を貼付面として使用するフェイスパックが提案されている(下記特許文献1参照)。しかし、特許文献1に記載のナノファイバーは、熱可塑性樹脂から構成されている為、湿潤時の柔軟性に劣り、密着性の観点からは、十分満足できるレベルには至っていないのが実情であった。 又、下記特許文献2には、親水性繊維を50質量%以上含む親水性繊維層の一方又は両方の表面に、繊度0.5dtex以下である極細繊維を10質量%以上含む極細繊維層が位置し、極細繊維層を皮膚との接触面とする化粧料含浸用皮膚被覆シート及び液体化粧料が含浸されたフェイスマスクが提案されている。しかし、特許文献2には、親水性繊維としてレーヨンやパルプ等のセルロース系繊維が開示されているが、実施例で具体的に用いられている繊維は、繊度0.5dtex以下の極細繊維として熱可塑性樹脂からなる分割型複合繊維である為、特許文献1と同様に湿潤時の柔軟性に劣り、密着性の観点からは充分満足できるレベルには至っていない。特許第4816312号公報特許第3944526号公報 本発明の目的は、かかる状況に鑑み、装着したときの密着性が従来の不織布では達成できなかった高密着性の薬液含浸シート及びそれを用いたフェイスマスクを提供することにある。更には薬液の保液性能および有効成分の徐放性に優れた薬液含浸シートおよびそれを用いたフェイスマスクを提供することにある。 本発明者らは、薬液含浸シート、とりわけ美容シート及びフェイスマスクに求められる密着性、保液性および成分徐放性を具有する性能の発現には、繊維径を細繊化するのみでは不十分であり、皮膚が電位を有し又、電位が皮膚に作用することを活用することが必要と考え、鋭意検討した結果、本発明に至った。 即ち、本発明は下記の発明を提供する。 (1)少なくとも片面の表面ゼータ電位の絶対値が35mV以上250mV以下の範囲にあることを特徴とする薬液含浸シート。 (2)繊維からなる構造体から構成され、少なくとも表面ゼータ電位が前記範囲にある面の平均繊維径が0.01μm以上50μm以下であり、かつ空隙率が50%から90%であることを特徴とする上記1項に記載の薬液含浸シート。 (3)前記構造体がセルロース系繊維の不織布を含むことを特徴とする上記2項に記載の薬液含浸シート。 (4)シート100重量部に対して100〜2000重量部の薬液が含浸されていることを特徴とする上記1〜3項のいずれか一項に記載の薬液含浸シート。 (5)上記1〜4項のいずれか一項に記載の薬液含浸シートからなることを特徴とするフェイスマスク。 本発明は、ゼータ電位が適性値に制御された薬液含浸シート及びそれを用いたフェイスマスクであり、従来品に比べ装着時の密着性が格別に高く、且つ薬液の保液性と皮膚への薬液浸透が優れた製品設計を可能にする。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明は、表面ゼータ電位の絶対値が35mV以上250mV以下の範囲にあることを特徴とする薬液含浸シートである。より好ましくは40mV以上200mV以下の範囲である。この範囲に制御すると、皮膚と接触させた際の密着性や、皮膚への薬液の浸透性をコントロールすることが可能となる。 例えば、健康な皮膚の表面は−40mV程度のゼータ電位を示すとされる。これに対し、カチオン性の置換基をもった化合物、例えば4級アンモニウム基等を保有する化合物を、物理吸着や表面反応により本発明のシート表面に導入すると、皮膚と本発明の表面とが静電的な相互作用を介して、密着性が増大するため好ましいものとなる。 一方、表面反応により、強いアニオン性の置換基をもった化合物、例えばスルホン基を有するp−ベンゼンスルホン酸基やアルキルスルホン酸基を保有する化合物を適量導入するとマイナスの大きな表面ゼータ電位に制御することができる。皮膚に接触する表面と皮膚の間に大きな表面電位差を設けると皮膚の表面に電場を印荷したのと同様の効果が発現する。特開2002−291909号公報によると皮膚の表面に500mV程度の負の直流電場を与えると皮膚のバリアー機能回復に顕著な効果が発現するとされる。本発明の薬液含浸シートの皮膚接触面に例えば絶対値として100mV程度のゼータ電位を付与すると同様の効果を発現させることができる。 さらに、薬液含浸シートに含浸されている薬液中に、電荷を保有するイオン性の化合物が含まれている場合には、シートと皮膚との間に電位差(電場)を設けることにより、該化合物そのもの、あるいは該化合物と相互作用する化合物を併せて皮膚へ送り込む、すなわち電場勾配によるポンプ作用を付与することができ、皮膚への薬液浸透性を高めることができ、有効である場合もある。すなわち、ゼータ電位を所定の範囲に制御することにより、本発明で規定される皮膚への密着性の高いシートの機能に加え、含浸している薬液の皮膚への浸透促進など、従来品に見られなかった複数の効果を付与することが可能となる。該効果は薬液含浸シートに求められるニーズに合わせて適宜選定し、求められる効果に適したゼータ電位を設定すればよく、上記に記載の化合物、置換基に特に限定されるものではない。 なお、本発明の薬液含浸シートにおいて、上記表面ゼータ電位を有する面は両面である必要性はなく、少なくとも片面であればよい。片面の場合は、人体に装着した場合に、上記表面ゼータ電位を有する面を皮膚に接触する側になるように製品設計すればよい。 本発明の薬液含浸シートは、繊維からなる構造体であることが好ましく、皮膚に接触する面の平均繊維径が0.01μm以上50μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.02μm以上30μm以下である。50μm以上となると、表面積が小さいものとなりゼータ電位を付与することが困難となり、もはや密着性を向上させることが出来なくなる。一方、0.01μm以下は極めて微細であるため生産が困難であり、経済性から好ましいとは言い難く、現実的ではない。 また本発明の薬液含浸シートの空隙率は50%から90%である必要があることが好ましく、より好ましくは60%から85%である。50%を下回ると薬液や化粧液の保液性が悪く、またシートが剛直なものとなるため、皮膚に接触した際、追従性が損なわれる為、好ましくない。一方、90%を上回ると薬液は大量に含浸できるが、柔らかすぎる為、ハンドリングに難が生じてしまう。 本発明において、繊維からなる構造体はセルロース系繊維を含む不織布であることが、薬液保持性、徐放性の観点から見て適している。セルロース系繊維の割合は、好ましくは30wt%から100wt%であり、より好ましくは50wt%から100wt%である。30wt%を下回ると薬液の保持性が不十分となり、所望の薬液を一定時間皮膚上に保持することが困難となる。 本発明のセルロース系繊維の素材は、セルロースからなる針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、コットン由来パルプ、麻由来パルプ、ケナフ由来パルプ、竹由来パルプ、バガス由来パルプ、バクテリアセルロース、レーヨン、キュプラ、リヨセル等の純粋なセルロース繊維の他に、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、カルボキシルメチルセルロース、カルボキシルエチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロースのようなセルロース誘導体繊維から選定される。これらの繊維径は、特に限定されるものではなく、又繊維長も何ら限定されるものではなく短繊維(繊維長2mm〜100mm)や長繊維を用いることができるが、このうちキュプラ、リヨセル等の再生セルロースからなる長繊維は結晶化度が小さいため、薬液の保液性が高いことや湿潤時の柔軟性が高く、装着時の追従性に優れるという効果があるため、特に好ましい。 薬液含浸漬が阻害されることが無い範囲で、他の繊維を混合しても良い。例えば強度を向上させるために、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリケトン繊維、ポリエステル繊維などの繊維を含んだものでも良い。 本発明の薬液含浸シートの皮膚面の素材は特に限定されないが、セルロース繊維を含むと電荷をもった置換基を導入しやすく、ゼータ電位を制御するのに都合がよい。電荷をもった置換基の導入方法として、物理吸着と表面反応の2種類の方法を挙げることができる。物理吸着法の場合、セルロース繊維表面が通常−30mV程度のゼータ電位を保有することを利用し、該表面にカチオン性の置換基を有する化合物を物理吸着させ、固定化させる。吸着の原動力には電荷間の相互作用以外に、水素結合による引力的相互作用も働くため、強カチオン性の化合物をうまく吸着させれば本手法により+100mV程度までのプラスの電荷を導入することが可能である。さらにこうしてプラスに荷電している表面上に今度はマイナスの電荷をもつ化合物を同じように物理吸着させることによりマイナスの表面電位を付与させることが可能である。このような交互吸着の技術を駆使することにより、微細セルロース繊維の表面を−150mV以上+150mV以下のゼータ電位の範囲に制御することが可能である。 このような物理吸着法では微細セルロース繊維の表面にカチオン性またはアニオン性の化合物を吸着固定化させるが、具体的には、アミン塩基や4級アンモニウム塩基、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、リン酸塩基、硝酸塩基などを分子中に有するイオン性の化合物、更に具体的には、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウムなどのカチオン界面活性剤やカチオン化ポリビニルアルコールやアニオン化ポリビニルアルコールに代表されるようなイオン性の水溶性高分子を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。 次に、電荷をもった置換基の第二の導入方法としての表面反応法について説明する。本発明の薬液含浸シートに含まれるセルロース繊維には表面に多数の水酸基が含まれるため、該水酸基の反応性を利用して化学反応により電荷をもった化合物を導入する。この際の化学反応としては、水酸基への反応、すなわちエステル化、エーテル化、シリケート化、ウレタン化、TEMPO酸化によるカルボキシル化等に代表されるすべての化学反応を利用することが可能である。本法では、化合物の構造を自由に設計できるため、例えば強イオン性の置換基を反応部位とやや離れた位置に設計した化合物(例として、パラ−ベンゼンスルホン酸塩イソシアネート)と表面反応させることにより、絶対値として大きな表面電位を導入することが可能であり、本発明の薬液含浸シートの皮膚との接触面の表面ゼータ電位が−250mV以上+250mV以下の範囲に制御することが可能となる。こうした表面反応法により、カチオン基として、アミン塩基や4級アンモニウム塩基、アニオン基として、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、リン酸塩基、硝酸塩基を導入することができる。 本発明の薬液含浸シートにおいては、目付の総和が10g/m2以上以200g/m2以下のものが好適に用いられる。10g/m2未満であると、機械的強度が得られず肌面に装着するときの取り扱い性が悪くなる。200g/m2を超えると、湿潤時の柔軟性が劣るため高い密着感が得られない。好ましくは、15g/m2以上150g/m2以下で、より好ましくは、20g/m2以上120g/m2以下である。 本発明の薬液含浸シートに使用するシートの膜厚は、20μm以上800μm以下であることが好ましい。膜厚が20μm未満であると、機械的強度が小さく取り扱い性の悪いものとなってしまう。800μmを超えると追従性が悪くなり、密着性能を損ねてしまう。好適に使用するために、好ましくは30μm以上600μm以下、より好ましくは50μm以上500μm以下である。 本発明の薬液含浸シートにおいては、薬液含浸シートの使用目的にもよるが、シート100重量部に対して100〜2000重量部の薬液が含浸されていることが好ましい。本発明が対象とする薬液には化粧用薬液および医用薬液が含まれる。即ち、本発明において薬液含浸シートとは、フェイスマスクのような美容目的の薬液含浸シート、創傷被覆材や薬剤徐放性の貼布材のような医用目的の薬液含浸シートの総称を意味する。 以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。尚、物性の主な測定値は以下の方法で測定した。 (1)ゼータ電位評価方法 シート表面の表面ゼータ電位はスペクトリス社製のゼータサイザーナノZSTMを用いて測定した。測定条件として、測定セルには平板セルZEN1020、測定溶媒には塩化カリウム0.01mol/L水溶液を1〜1.5ml、トレーサー粒子には負電荷に帯電したラテックス粒子または正電荷に帯電した酸化チタン粒子を用いた。測定は25℃で行った。 (2)平均繊維径 シート表面に関して、無作為に3箇所、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を1000倍から10000倍相当の倍率で行う。得られたSEM画像に対し、画面に対し水平方向と垂直方向にラインを引き、ラインに交差する繊維の繊維径を拡大画像から実測し、交差する繊維の個数と各繊維の繊維径を数える。こうして一つの画像につき縦横2系列の測定結果を用いて数平均繊維径を算出する。さらに抽出した他の2つのSEM画像についても同じように数平均繊維径を算出し、合計3画像分の結果を平均化し、対象とする試料の平均繊維径とする。 (3)目付 目付の評価は、JIS P 8124に準じて、算出した。 (4)厚み測定方法 室温20℃、湿度65%RHの雰囲気下で、調湿した不織布構造体をハイブリッジ製作所製のオートマティックマイクロメーターにて測定した。 (5)フェイスマスク着用感評価方法 一定の顔型に打ち抜いたシート100重量部に対して、保湿液(カネボウコスミリオン(株)製 うるり)を1000重量部含浸させたフェイスマスクを作製し、40歳代の女性パネラー10人に着用させ、装着時の密着感、取り扱い性、さらには着用後の3時間経過後の保湿性を官能評価した。尚、それぞれの評価は5点満点で評価し、10名の平均値(小数点以下は四捨五入)を算出した。 5点:密着感、取扱い性、保湿性が抜群に優れる。 4点:密着感、取扱い性、保湿性が良好である。 3点:密着感、取扱い性、保湿性に問題はない。 2点:密着感、取扱い性、保湿性がやや劣る。 1点:密着感、取扱い性、保湿性が悪い。 (実施例1) 4級アンモニウム塩を含む水溶性ポリマーであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDADMAC、ニットーボー・メディカル社製、PAS−H−10L、平均分子量200,000)の0.5wt%水溶液を調整し、キュプラレーヨン不織布(旭化成せんい製、商品名:ベンリーゼTM SE603、目付60g/m2、膜厚400μm、密度0.15g/cm3、平均繊維径13μm)を30cm角サイズにカットしたものをステンレスパッド中にて20分浸漬した。次いで純水にて1時間洗浄した後、130℃条件のドラムドライヤー装置で乾燥を行った。乾燥後の重量を秤量したところ、PDADMACの吸着による0.9wt%の重量増が認められた。 得られた不織布シートの表面ゼータ電位を測定したところ、+41mVであった。 このシートを一定の顔型に打ち抜き、シート100重量部に対して、保湿液(カネボウコスミリオン(株)製 うるり)を1000重量部相当を含浸させた物を用いて、パネラーによる官能評価に供したところ、装着時の密着感、取り扱い性、および着用後の保湿性は、表1に示す結果になった。密着感が大きく改善し、着用後の保湿性も継続的に保たれる良好なフェイスマスクであった。 (実施例2) 4級アンモニウム塩を含む水溶性ポリマーであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDADMAC、ニットーボー・メディカル社製、PAS−H−10L、平均分子量200,000)の3.0wt%水溶液を調整した後は、実施例1と同様の操作をおこなった。PDADMACの吸着による2.3wt%の重量増が認められた。 得られた不織布シートの表面ゼータ電位を測定したところ+58mVであり、これを官能評価に供したところ、装着時の密着感、取り扱い性および着用後の保湿性は、表1に示す結果になった。密着感、着用後の保湿性が継続的に保たれる良好なフェイスマスクであった。 (比較例1) キュプラレーヨン不織布(旭化成せんい製、商品名:ベンリーゼTM SE603、目付60g/m2、膜厚400μm、密度0.15g/cm3、平均繊維径13μm)を単独で、表面ゼータ電位を測定したところ、−30mVであった。 このシートを一定の顔型に打ち抜き、実施例1と同様にパネラーによる官能評価に供したところ、装着時の密着感、取り扱い性、さらには着用後の保湿性は、表1に示す結果にになった。密着感が不足し、また保湿性が保持されていない、すなわち薬効性分が皮膚へ浸透し難いフェイスマスクであることが判明した。 本発明により、装着時の密着性が格段に高く、且つ化粧料の保液性と皮膚への薬液浸透に優れた薬液含浸シート及びそれを用いたフェイスマスクを提供することが可能となる。 少なくとも片面の表面ゼータ電位の絶対値が35mV以上250mV以下の範囲にあることを特徴とする薬液含浸シート。 繊維からなる構造体から構成され、少なくとも表面ゼータ電位が前記範囲にある面の平均繊維径が0.01μm以上50μm以下であり、かつ空隙率が50%から90%であることを特徴とする請求項1に記載の薬液含浸シート。 前記構造体がセルロース系繊維の不織布を含むことを特徴とする請求項2に記載の薬液含浸シート。 シート100重量部に対して100〜2000重量部の薬液が含浸されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬液含浸シート。 請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬液含浸シートからなることを特徴とするフェイスマスク。 【課題】高密着性の薬液含浸シート及びそれを用いたフェイスマスクを提供すること。【解決手段】少なくとも片面の表面ゼータ電位の絶対値が35mV以上250mV以下の範囲にあることを特徴とする薬液含浸シートおよびそれを用いたフェイスマスク。【選択図】なし


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