タイトル: | 公開特許公報(A)_蒸留酒の製造方法 |
出願番号: | 2013075983 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12G 3/12,C12G 3/02,C12G 3/04 |
松田 豊 石原 武雄 新開 哲朗 JP 2014200176 公開特許公報(A) 20141027 2013075983 20130401 蒸留酒の製造方法 サッポロビール株式会社 303040183 長谷川 芳樹 100088155 清水 義憲 100128381 木元 克輔 100126653 松田 豊 石原 武雄 新開 哲朗 C12G 3/12 20060101AFI20140930BHJP C12G 3/02 20060101ALI20140930BHJP C12G 3/04 20060101ALI20140930BHJP JPC12G3/12C12G3/02C12G3/04 6 OL 14 4B015 4B015LG01 4B015LH12 4B015LP02 4B015NB02 4B015NG03 4B015NP03 本発明は、蒸留酒の製造方法に関する。 蒸留酒は、原料である醸造酒等のアルコール含有物を蒸留することによって製造されている。上記蒸留の方法としては、常圧下でアルコール含有物を加熱して蒸留する方法、減圧下でアルコール含有物を加熱して蒸留する方法等が知られている。特開昭61−5773号公報 しかしながら、減圧下でアルコール含有物を加熱して蒸留することによって製造される蒸留酒には、原料であるアルコール含有物に比べて美味しさを担保する香味成分が少なくなる傾向があることを本発明者らは見出した。さらに、減圧蒸留時の加熱によって、原料本来の好ましい香味成分が失われる傾向があることも本発明者らは見出した。 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた香味を有する蒸留酒及びその製造方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、アルコール含有物を減圧かつ非加熱の条件下で蒸留することで、好ましい香味成分を蒸留酒中に維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、麦を原料の一部に用いたアルコール含有物を、減圧かつ非加熱の条件下で蒸留する工程を含む、蒸留酒の製造方法を提供する。上記アルコール含有物を減圧かつ非加熱の条件下で蒸留することによって、優れた香味を有する蒸留酒を製造することが可能になる。 上記減圧条件は45mmHg未満とすることが好ましい。 蒸留時の温度は38℃以下であることが好ましい。 本発明は、上記製造方法によって製造される蒸留酒を提供する。 本発明は、麦を原料の一部に用いたアルコール含有物を蒸留した蒸留酒であって、オクタン酸及び2−フランメタノールを含み、蒸留酒を固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析法によって分析したときのオクタン酸に対する2−フランメタノールのピーク面積比(2−フランメタノール/オクタン酸)が500〜10000である、蒸留酒を提供する。 本発明は、上記蒸留酒と、麦芽又は/及び麦を原料の一部に用いた発泡性アルコール飲料と、を含むアルコール飲料を提供する。 本発明によれば、優れた香味を有する蒸留酒の製造方法を提供することが可能になる。 以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。 本実施形態に係る蒸留酒の製造方法は、麦を原料の一部に用いたアルコール含有物を、減圧かつ非加熱の条件下で蒸留する工程を含む。 本実施形態において、「蒸留酒」とは、原料である醸造酒等のアルコール含有物を蒸留することによって製造される酒である。上記蒸留酒としては、例えば、日本の酒税法上の酒類の分類の蒸留酒類に属するものが挙げられる。より具体的には、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ等が挙げられる。 本実施形態において、「麦を原料の一部に用いたアルコール含有物」とは、後述する麦を原料の一部に用いて発酵させたアルコール含有物を意味する。具体的には、ビール、発泡酒、雑酒、低アルコール麦芽発酵飲料(例えばアルコール分1%未満の麦芽発酵飲料)等のビールテイスト飲料をあげることができる。上記ビールテイスト飲料を水で希釈したものを「麦を原料の一部としたアルコール含有物」として用いてもよい。 「麦」とは、通常のビールや発泡酒の原料として用いられる麦又は麦由来の加工品のことをいい、例えば、麦芽、大麦、精白大麦、大麦エキス、大麦フレーク、小麦、ハト麦、ライ麦、エン麦等をあげることができる。そのなかでも、特に、麦芽を好適に用いることができる。 アルコール含有物の麦以外の原料としては、ホップ及び水に加えて、例えば、米、トウモロコシ、コウリャン、バレイショ、デンプン、糖類、苦味料及び着色料等が挙げられる。 麦を原料の一部に用いたアルコール含有物は、上記原料を用いて公知の方法で製造することができる。 本実施形態において、蒸留は減圧条件下で行われる。減圧条件は大気圧よりも低い圧力条件であれば特に制限されないが、45mmHg未満であることが好ましく、15〜30mmHgであることがより好ましく、21〜27mmHgであることが更により好ましい。 本実施形態において、蒸留は非加熱条件下で行われる。蒸留時の温度は、蒸留が可能であるならば特に制限はないが、38℃以下であることが好ましく、5〜37℃であることがより好ましく、10〜36℃であることが更により好ましい。蒸留時の温度は、蒸留が行われる場所の室温であってもよい。 本実施形態に係る蒸留酒は、オクタン酸及び2−フランメタノールを含む。上記蒸留酒は、1−(2−フラニル)−エタノン、3−メチル−ブタン酸又は2−メチル−ブタン酸を含んでもよい。さらに、上記蒸留酒は、オクタン酸エチル、デカン酸エチル及びドデカン酸エチルを含まない。 本実施形態において、上記蒸留酒を固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析法(SPME−GC−MS法)によって分析したときのオクタン酸に対する2−フランメタノールのピーク面積比(2−フランメタノール/オクタン酸)は500〜10000であることが好ましく、1000〜7000であることがより好ましい。ピーク面積比が上記範囲内にあることによって、上記蒸留酒が優れた香味を有することになる。 上記SPME−GC−MS法の具体的な方法としては、例えば、実施例に記載の方法が挙げられる。 本実施形態に係る蒸留酒は、そのまま飲用に用いてもよいし、他の酒と混ぜて混成酒としてもよい。上記混成酒としては、例えば、本実施形態に係る蒸留酒と、麦芽又は/及び麦を原料の一部に用いた発泡性アルコール飲料と、を含むアルコール飲料が挙げられる。 以下、本発明について、実施例を挙げて更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。試験1:非加熱蒸留(実施例)と加熱蒸留(先行技術、比較例)との比較(官能検査及び分析値) 日本の酒税法の酒類の分類上(平成18年5月1日改正)「リキュール(発泡性)1」に該当する、麦を原料の一部に用いた市販の製品Aに消泡剤を最終濃度が0.005%となるように加え、減圧蒸留し、蒸留後の元液及び留液を各々分析し、上記元液と上記留液に共通して検出された物質について解析を行った。蒸留の条件を表1にまとめる。分析方法 比較例1〜3及び実施例1の元液及び留液について、アルコール度数の測定を行った。また、蒸留後の元液及び留液を各々分析し、上記元液と上記留液に共通して検出された物質について解析を行った。アルコール度数の測定 蒸留後の元液及び留液を、従来から用いられているガスクロマトグラフ法(ガスクロ法)にてアルコール度数を測定した。GC−MS法による分析 留液1μlをGCに注入し分析を行った。また、分析データはAgilent社製のソフトウエア(MSD Chemistaiton)を用いて解析した。GC−MS分析条件カラム:Agilent社製 商品名:HP−1MS(30m×0.25mm 膜厚1.0μm)移動相:He(流速:1.0ml/分 定流量)留液の注入量:1μl,スプリット注入(比率20:1)温度:注入口270℃,トランスファーライン320℃,オーブン40℃,3分→5℃/分→200℃→10℃/分→320℃SPME−GC−MS法による分析 元液及び留液の香気成分を固相マイクロ抽出法(SPME)により抽出した。次いで、抽出された香気成分を、ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(GC/MS)で測定した。また、分析データはAgilent社製のソフトウエア(MSD Chemistaiton)を用いて解析した。GC−MS分析条件カラム:Agilent社製 商品名:HP−1MS(30m×0.25mm 膜厚1.0μm)移動相:He(流速:1.0ml/分 定流量)注入方法:スプリットレス注入パージオフ時間:3分パージ流量:40ml/分温度:注入口270℃,トランスファーライン320℃,オーブン40℃,3分→5℃/分→200℃→10℃/分→320℃ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ−質量分析法(HS−GC−MS法)による分析 低沸点の成分は、SPME−GC−MS法による分析が難しいため、留液及び元液のヘッドスペースをガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(GC/MS)で測定するHS−GC−MS法による分析を行った。また、分析データはAgilent社製のソフトウエア(MSD Chemistaiton)を用いて解析した。GC−MS分析条件カラム:Agilent社製、商品名:DB−WAX(30m×0.25mm、膜厚0.25μm)移動相:He(流速:1.0ml/分 定流量)スプリットレス注入パージオフ時間:3分パージ流量:40ml/分温度:注入口250℃,トランスファーライン250℃,オーブン40℃→5℃/分→250℃分析結果アルコール度数の測定 アルコール度数の測定結果を表2に示す。 留液のアルコール度数を測定した結果、加熱蒸留を行った比較例1−R、比較例2−R及び比較例3−Rのアルコール度数は約30%であった。一方、非加熱蒸留を行った実施例1−Rは約2.5%であった。元液のアルコール度数を測定した結果、比較例1−M、比較例2−M、比較例3−M、実施例1−Mのアルコール度数は約2.5〜5%であった。GC−MS法による分析結果 GC−MS法によって検出された物質を表3にまとめる。表3中のサンプル情報の数値値は、実施例1−Rで検出されたピーク面積を1として換算した相対値である。R.T.は保持時間を表す。 GC−MS法で分析した結果、加熱蒸留によって得られた比較例1−R、比較例2−R及び比較例3−Rの留液と、非加熱蒸留によって得られた実施例1−Rの留液との間で差がある成分として複数の物質が検出された。検出された物質の全てにおいて、加熱蒸留によって得られた留液の方が非加熱蒸留によって得られた留液よりもピーク面積が大きかった。SPME−GC−MS法による分析結果 SPME−GC−MS法によって検出された物質を表4にまとめる。表4中のサンプル情報の数値は、比較例1−R、比較例2−R及び比較例3−Rのピーク面積を希釈前の大きさに換算し、換算によって得られた値を、実施例1−Rのピーク面積を1として換算した相対値である。ただし、実施例1−Rで検出できなかった物質については、比較例3−Rのピーク面積を1として換算した。 SPME−GC−MS法で蒸留後の留液(比較例1−R、比較例2−R、比較例3−R及び、実施例1−R)を分析した。蒸留温度によって差があると考えられた成分のうち、蒸留後の元液(比較例1−M、比較例2−M、比較例3−M及び、実施例1−M)において検出された成分のみを選抜し、選抜した成分のピーク面積値を比較した(表4)。その結果、加熱蒸留によって得られた留液(比較例1−R、比較例2−R、比較例3−R)には検出されないが、非加熱蒸留によって得られた留液(実施例1−R)において検出された物質として、オクタン酸等の脂肪酸、1−(2−フラニル)−エタノン、2−フランメタノールが確認された。HS−GC−MS法による分析結果 HS−GC−MS法によって検出された物質を表5にまとめる。試料のアルコール度数を揃えるため比較例1−R、比較例2−R、比較例3−Rについては希釈後分析を実施した。表5中のサンプル情報の数値は、比較例1−R、比較例2−R、比較例3−Rのピーク面積を希釈前の大きさに換算し、その値を実施例1−Rのピーク面積を1として換算した相対値である。 HS−GC−MS法で蒸留後の留液(比較例1−R、比較例2−R、比較例3−R及び、実施例1−R)を分析した結果、加熱蒸留によって得られた留液(比較例1−R、比較例2−R、比較例3−R)と非加熱蒸留によって得られた留液(実施例1−R)との間に差がある成分として、表5に示した2成分が確認された。2成分ともに蒸留後の元液(比較例1−M、比較例2−M、比較例3−M及び、実施例1−M)からも認められたが、加熱蒸留によって得られた留液の方が、非加熱蒸留によって得られた留液よりもピーク面積が大きかった。非加熱蒸留によって得られた留液の方が、ピーク面積が大きな物質は認められなかった。官能検査 アルコール濃度を実施例1−Rに合わせて希釈した(アルコール度数2.47%(v/v))サンプル(比較例1−R、比較例2−R、比較例3−R及び、実施例1−R)を用いて香りの官能検査を実施した。8名の官能検査員が各サンプルの官能検査を行い、表6に記載の項目について、0〜4の5段階で評価した。結果を表6にまとめる。 汗臭さ、アルコール臭については、実施例1−Rの方が、比較例1−R、比較例2−R及び比較例3−Rよりも低い評価であった。一方、焙煎香、華やかさ及び芳醇さについては、実施例1−Rの方が、比較例1−R、比較例2−R及び比較例3−Rよりも高い評価であった。総合評価としては、実施例1−Rの方が、比較例1−R、比較例2−R及び比較例3−Rよりも高い評価となった。すなわち、非加熱蒸留によって得られた留液(実施例1−R)は、いずれの評価項目においても、加熱蒸留によって得られた留液(比較例1−R、比較例2−R及び比較例3−R)と比較して優れていた。 SPME−GC−MS法による2−フランメタノール及びオクタン酸の分析結果を表7にまとめる。表7中、項目に記載の物質が検出されたときA評価とし、検出されなかったときB評価とした。 2−フランメタノールは、焼き芋及び芋焼酎からも検出され、香ばしい香りを奏することが知られている。一方、オクタン酸は、汗の臭い(汗臭さ)を奏することが知られている。本実施例においては、上記2つの化合物が組み合わさった場合に、上述した官能検査の結果(表6)のように、汗臭さが抑えられ、優れた香りを奏することが示された。一方、汗臭さは、オクタン酸を有さない、加熱蒸留によって得られた留液(比較例1−R、比較例2−R及び比較例3−R)の方が、評価が高い結果になった試験2:再現性の確認 試験1の分析結果の再現性を確認するため、製品Aの非加熱蒸留によって得られた留液の香りの成分(香気成分)の分析を行った。供与試料 蒸留の条件は表8の通りで、製品Aに消泡剤を最終濃度が0.005%となるように加え、非加熱による減圧蒸留を行った。分析方法アルコール度数の分析 上記蒸留によって得られた元液(実施例2−M及び実施例3−M)、並びに、得られた留液(実施例2−R及び実施例3−R)のアルコール度数が不明であるため、アルコール度数の測定を行った。従来の方法に従って、ガスクロ法によってアルコール度数を測定した。SPME−GC−MS法による分析 上記蒸留によって得られた元液(実施例2−M及び実施例3−M)8mlをあらかじめ3gのNaClを入れたSPME用バイアルに入れ、密栓した。上記蒸留によって得られた留液(実施例2−R及び実施例3−R)はアルコール度数が1.2%になるように超純水で希釈した。その後、得られた希釈溶液1mlをあらかじめ0.5gのNaClを入れたSPME用バイアルに入れ、密栓した。その後、密栓したバイアルを40℃で15分間振盪し、SPME用ファイバー(ポリジメチルシロキサン/ジビニルベンゼン 65μm:スペルコ社製)をバイアル中のヘッドスペースに露出させた。蒸留前の試料は15分間、蒸留後の試料は60分間、各々40℃にて揮発性成分をファイバーに吸着させた。その後、吸着させた揮発性成分を注入口で3分間脱着させ、GC/MSによって分析を行った。GC−MS分析の条件は、以下の通りである。GC−MS分析条件カラム Agilent社製、商品名:HP−1MS(30m×0.25mm、膜厚1.0μm)移動相:He(流速1.0ml/分、定流量)スプリットレス注入パージオフ時間:3分パージ流量:40ml/分温度:注入口270℃,トランスファーライン320℃,オーブン40℃,3分→5℃/分→200℃→10℃/分→320℃,0分MSスキャン:m/z 29〜280分析結果アルコール度数の測定 アルコール度数の測定結果を表9に示す。 蒸留後に得られた元液(実施例2−M及び実施例3−M)のアルコール度数は、ともに4.2〜4.3%であった。一方、蒸留後に得られた留液のアルコール度数については、実施例2−Rが2.8%であり、実施例3−Rが17.4%であった。吸引圧力が高い(吸引条件の設定圧力が低い)実施例2−Rの方が、吸引圧力が低い実施例3−Rよりもアルコール度数が低く、上記試験1の結果と同様の傾向が認められた。SPME−GC−MS法による分析結果 SPME−GC−MS法による分析結果を表10にまとめる。表10中のサンプル情報の数値は実施例3−Rのピーク面積を希釈前の大きさに換算し、換算した実施例3−Rのピーク面積を100として換算した相対値である。 SPME−GC−MS法で蒸留後に得られた留液(実施例2−R及び実施例3−R)を分析した結果、試験1の場合と同様、加熱蒸留によって得られた留液には認められないが非加熱蒸留によって得られた留液から検出されたオクタン酸等の脂肪酸、1−(2−フラニル)−エタノン及び2−フランメタノールが、実施例2−R及び実施例3−Rから共通して認められた(表10)。非加熱蒸留によって得られた留液に特徴的な成分として推察されたオクタン酸等の脂肪酸、1−(2−フラニル)−エタノン及び2−フランメタノールは、蒸留後に得られた元液(実施例2−M及び実施例3−M)からも検出された。試験3:非加熱蒸留の減圧条件及び蒸留温度を振った試験 製品Aに消泡剤を最終濃度が0.005%となるように添加し、ロータリーエバポレーターで減圧蒸留を行った。このとき、減圧蒸留に供した量は、100mlであった。1時間の蒸留時間で、非加熱蒸留のみ実施した。蒸留の条件(蒸留温度、吸引時間)を変化させ、アルコール度数が異なる留液を得た。吸引条件及び冷却温度は23mmHg及び−8℃とし、実施例4〜7で統一した。実施例5は製品A350mlに対し原料用アルコールを58ml添加し、アルコール度数を15%にしたものを用いた。本試験において、共洗いとしての蒸留を1分間行った。アルコール度数の測定 蒸留後の留液のアルコール度数をガスクロ法にて測定した。留液1μlをGCに注入し分析を行った。分析はスプリット注入(比率20:1)で行った。分析の条件は、上記試験1と同様の条件で行った。結果を表11にまとめる。 蒸留後に得られた留液のアルコール度数については、6〜32%であった。SPME−GC−MS法による2−フランメタノール及びオクタン酸の分析 試料の調整方法及びSPME−GC−MS法の分析条件は、上記試験1と同様の方法及び条件を用いて分析を行った。分析結果を表12にまとめる。表12中、項目に記載の物質が検出されたときA評価とした。 いずれの留液においても、オクタン酸及び2−フランメタノールの検出を確認した。試験1と同様の官能検査を行った結果、実施例4−R、実施例5−R、実施例6−R及び実施例7−Rのサンプルは、実施例1−Rと同等の香りを有していることを確認した。 麦を原料の一部に用いたアルコール含有物を、減圧かつ非加熱の条件下で蒸留する工程を含む、蒸留酒の製造方法。 減圧条件が45mmHg未満である、請求項1に記載の製造方法。 蒸留時の温度が38℃以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法によって製造される蒸留酒。 麦を原料の一部に用いたアルコール含有物を蒸留した蒸留酒であって、 オクタン酸及び2−フランメタノールを含み、 蒸留酒を固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析法によって分析したときのオクタン酸に対する2−フランメタノールのピーク面積比(2−フランメタノール/オクタン酸)が500〜10000である、蒸留酒。 請求項4又は5に記載の蒸留酒と、 麦芽又は/及び麦を原料の一部に用いた発泡性アルコール飲料と、を含むアルコール飲料。 【課題】優れた香味を有する蒸留酒及びその製造方法を提供すること。【解決手段】麦を原料の一部に用いたアルコール含有物を、減圧かつ非加熱の条件下で蒸留することで、優れた香味を有する蒸留酒が得られる。【選択図】なし