タイトル: | 公開特許公報(A)_ゼラチン類を含有する経口組成物 |
出願番号: | 2013074144 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A23L 1/305,A61K 9/48,A61K 47/42,A61K 47/46,A23L 1/30 |
立木 賢輔 JP 2014197993 公開特許公報(A) 20141023 2013074144 20130329 ゼラチン類を含有する経口組成物 小林製薬株式会社 000186588 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 立木 賢輔 A23L 1/305 20060101AFI20140926BHJP A61K 9/48 20060101ALI20140926BHJP A61K 47/42 20060101ALI20140926BHJP A61K 47/46 20060101ALI20140926BHJP A23L 1/30 20060101ALI20140926BHJP JPA23L1/305A61K9/48A61K47/42A61K47/46A23L1/30 B 5 OL 12 4B018 4C076 4B018MD20 4B018MD22 4B018MD61 4B018ME14 4B018MF06 4B018MF07 4C076AA53 4C076BB01 4C076EE42A 4C076EE58T 4C076FF52 本発明は、ゼラチン類を含有する経口組成物に関する。 コラーゲンを熱変性して得られるゼラチンや、ゼラチンをさらに加水分解して得られるコラーゲンペプチド等のゼラチン分解物(総称して、「ゼラチン類」という。)が、食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品等として使用される経口組成物への配合成分として、広く利用されている。 例えば、粉末又は油状の有効成分を内容物とし、それを外皮で覆ったカプセル剤において、外皮の構成成分(カプセル基材)としてゼラチンが使用されている例等が挙げられる。また、美容目的でコラーゲンペプチドを有効成分として配合する例も挙げられる。 しかしながら、多くのゼラチン類はコラーゲン由来であることに起因する特有の味及び臭いを有しており、このためゼラチン類を配合した経口組成物を摂取する際に不快感が生じることがあった。 そこで、例えば、カプセル剤の外皮としてゼラチンを使用する代わりにプルランを使用したソフトカプセル剤が知られている(特許文献1)。このカプセル剤であれば、特有の臭いは発生しないが、ゼラチンを使用しないため、カプセルのシール性が劣ってしまうという問題があった。 また、ゼラチンに、デンプン分解物等を添加した外皮(特許文献2)や、甘酒、酒粕、日本酒などを添加した外皮(特許文献3)を有するカプセル剤が知られている。しかし、いずれも味・臭いの抑制効果の点で満足のいくものではなく、また、添加成分の関係から、変色等の経時変化が生じやすいという問題もあった。特開2003−313120号公報特開2010−90062号公報特開2006−197857号公報 本発明の主な目的は、ゼラチン類特有の味及び臭いが抑制されており、かつ経時変化による変色が生じにくいゼラチン類含有経口組成物を提供することである。 本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねていたところ、ゼラチン類を含有する経口組成物において、特定品種の生姜から得られた加工物を配合することにより、ゼラチン類特有の味及び臭いを抑制でき、かつ経時変化による変色が生じにくくなることを見出した。 本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を提供するものである。 項1.ゼラチン及びゼラチン分解物からなる群より選択される少なくとも1種のゼラチン類、並びに黄金生姜加工物を含有する経口組成物。 項2.前記ゼラチン類の総量100重量部に対して、黄金生姜加工物を0.01重量部以上含有する、項1に記載の経口組成物。 項3.カプセル剤であって、内容物が黄金生姜加工物を含有し、かつ外皮が前記ゼラチン類を含有する、項1又は2に記載の経口組成物。 項4.前記ゼラチン類の総量100重量部に対して、黄金生姜加工物を1重量部以上含有する、項3に記載の経口組成物。 項5.前記ゼラチン類が、ゼラチンである、項3又は4に記載の経口組成物。 本発明を利用することにより、ゼラチン類含有経口組成物において、ゼラチン類特有の味及び臭いを抑制することができるとともに、経時変化による変色を生じにくくすることができる。 本発明の経口組成物は、ゼラチン及びゼラチン分解物からなる群より選択される少なくとも1種のゼラチン類、並びに黄金生姜加工物を必須成分として含有する。またその他の成分をさらに含有していてもよい。 以下、これらの各成分について説明する。 1.ゼラチン類 1.1 ゼラチン 本発明で用いるゼラチンは、コラーゲンを熱変性して得られるものすべてを含む。本発明で用いるゼラチンは、特有の味及び臭いを有するものであり、好ましくは動物性のコラーゲンを熱変性して得られるものである。動物性のコラーゲンとしては、具体的には、動物の骨、皮、靱帯又は腱等を、酸処理又はアルカリ処理して得られるコラーゲンを用いることができる。 本発明で用いるゼラチンは、可食性であればよく、好ましくは、食用ゼラチン、日本薬局方ゼラチン、及びその規格に準ずるものである。 特に限定されないが、本発明で用いるゼラチンの具体例として、ゼラチン、酸性ゼラチン、アルカリ性ゼラチン及びゼラチン誘導体等が挙げられる。 本発明で用いるゼラチンは、所望の透明度及び/又は保型性が求められる場合、必要に応じて、所定のゼリー強度を有するものとして適宜選択されたものであってもよい。 本発明の経口組成物は、ゼラチンとして、上述したものから任意に選ばれる1種を単独で含有していてもよいし、上述したものから任意に選ばれる2種以上の組合せを含有していてもよい。 1.2 ゼラチン分解物 本発明で用いるゼラチン分解物は、前記ゼラチンをさらに分解して得られるものすべてを含む。本発明で用いるゼラチン分解物は、特有の味及び臭いを有するものであり、好ましくは動物性のコラーゲンを熱変性して得られる前記ゼラチンをさらに分解して得られるものである。 本発明で用いるゼラチン分解物としては、前記ゼラチンをさらに加水分解して得られるコラーゲンペプチド等が挙げられる。 本発明で用いるゼラチン分解物は、可食性であればよく、好ましくは、食用コラーゲンペプチド、加水分解ゼラチン末及びそれらの規格に準ずるものである。 本発明で用いるゼラチン分解物は、ゼラチン分解物の誘導体を含む。 本発明の経口組成物は、ゼラチン分解物として、上述したものから任意に選ばれる1種を単独で含有していてもよいし、上述したものから任意に選ばれる2種以上の組合せを含有していてもよい。 本発明の経口組成物は、2種以上のゼラチン類を含有している場合、それらすべてのゼラチン類が、ゼラチン及びゼラチン分解物のいずれか1種のみに属するものであってもよいし、2種にそれぞれ属するものであってもよい。 2.黄金生姜加工物 本発明で用いる黄金生姜は、特徴として、一般の生姜(青果物として最も多く市場に流通している品種)と比較して、黄色味が強く、味及び香りに秀でているという特徴を有する。 本発明で用いる黄金生姜は、より詳細には、以下の特性を有する。草勢がかなり強く、塊茎の大きさがかなり大きく、塊茎の肉色がかなり黄の品種である。本発明で用いる黄金生姜は、より好ましくは、草勢はかなり強く;草丈はやや高く;葉数は多く、葉の大きさは大きく、葉の色はかなり濃緑であり;茎の数は少なく、茎の太さはかなり太く、茎の長さはやや長く、茎の色は濃緑である。さらに、芽の数及び色素発生は中程度であり、塊茎片の数及び塊茎の分岐数は少なく、塊茎の大きさはかなり大きく、塊茎片の大きさは大きく、塊茎の節間長はやや短かく、塊茎外皮の色は黄白であり、塊茎表面の凹凸は少なく、塊茎重は大きく、塊茎の肉色はかなり黄色であり、肉の硬さは軟かく、肉のち密性はやや粗であり、乾物歩合はやや低く、繊維は少なく、かつ、辛味は強い。また、早晩性は晩、発芽温度は高く、低温成長性及び貯蔵性は低く、開花性はかなり易である。本発明で用いる黄金生姜は、「大ショウガ」と比較すると、草勢が強いこと、塊茎外皮の色が黄白であること、塊茎の肉色がかなり黄であること及び塊茎の辛味が強いこと等で区別することができる。 本発明で用いる黄金生姜は、高知県土佐市の虚空蔵山の麓で栽培されている黄金生姜を含む。本発明で用いる黄金生姜は、より詳細には、高知県土佐市のほ場において栽培中の「大ショウガ」の中から平成3年に発見された、塊茎の肉色が黄金色の変異個体が元になっている品種を含む。本発明で用いる黄金生姜は、具体的には、この変異個体を増殖しつつ特性検定を行い、平成6年に特性が安定していることを確認して育成を完了し、平成8年に「黄金虚空蔵」(オウゴンコクゾウ)として農林水産省に品種登録(農林水産省登録番号第5250号)された品種を含む。 本発明で用いる黄金生姜は、さらに、前記「黄金虚空蔵」をさらに改良した品種を含む。そのような改良品種としては、「黄金虚空蔵II」(オウゴンコクゾウII)として品種登録(農林水産省登録番号第13644号)されている品種も含まれるが、特にこれに限定されない。 本発明の経口組成物は、前記黄金生姜の加工物(「黄金生姜加工物」という。)を含有する。 本発明で用いる黄金生姜加工物は、黄金生姜の根茎、芽、茎及び偽茎等いずれの部位を加工したものであってもよいが、好ましくは黄金生姜の根茎部を加工したものである。 本発明で用いる黄金生姜加工物は、前記黄金生姜のすべて又は特定の部位を生の状態で適切な形状に加工したものであってもよい。黄金生姜のすべて又は特定の部位を適切な形状に加工する手段は、特に限定されないが、例えば、細切及び粉砕等が挙げられる。また、黄金生姜を摩り下ろしたものであってもよい。黄金生姜を摩り下ろした未乾燥の黄金生姜加工物は、ゼラチン特有の味及び臭いのマスキング効果に優れ、及びより鮮やかな黄色を経口組成物に配色することができるという点で優れている。 上記において、黄金生姜を細切又は粉砕する方法は、特に限定されず、食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品の材料の加工に一般に用いられる方法により細切又は粉砕することができる。特に限定されないが、細切又は粉砕の具体的な方法として、例えば、乾式粉砕、湿式粉砕、及び低温粉砕等が挙げられ、具体的には、ハンマーミル、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ローラミル、及び高速回転ミル等を用いることができる。 本発明で用いる黄金生姜加工物は、黄金生姜のすべて又は特定の部位の乾燥物(以下、「黄金生姜乾燥物」という。)であってもよい。特に限定されないが、例えば、生の黄金生姜のすべて又は特定の部位をそのまま乾燥させたものであってもよいし、生の黄金生姜のすべて又は特定の部位をいったん蒸してから乾燥させたものであってもよい。 黄金生姜乾燥物は、黄金生姜のすべて又は特定の部位をそのままの形状で乾燥させたものを細切又は粉砕したものであってもよい。あるいは、黄金生姜乾燥物は、細切又は粉砕した生の黄金生姜のすべて又は特定の部位を乾燥させたものであってもよく、これら乾燥物をさらに細切又は粉砕したものであってもよい。 上記において、細切又は粉砕する方法は、特に限定されず、食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品の材料の加工に一般に用いられる方法により細切又は粉砕することができる。特に限定されないが、細切又は粉砕の具体的な方法として、例えば、乾式粉砕、湿式粉砕、及び低温粉砕等が挙げられ、具体的には、ハンマーミル、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ローラミル、及び高速回転ミル等を用いることができる。 乾燥方法としては、特に限定されないが、食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品の材料の加工に一般に用いられる方法により乾燥することができる。特に限定されないが、乾燥方法として具体的には、熱風乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、マイクロ波加熱乾燥、天日乾燥、及び自然乾燥(風乾)等が挙げられる。 3.経口組成物 本発明の経口組成物は、有効成分であるか非有効成分であるかを問わず、ゼラチン類を含有するものであればよい。ゼラチン類を有効成分として含有する例として、コラーゲンペプチドを美容目的等で配合した経口組成物等が挙げられる。また、ゼラチン類を非有効成分として含有する例として、ゼラチンを外皮の構成成分(カプセル基材)として配合したカプセル剤等が挙げられる。 本発明の経口組成物におけるゼラチン類の配合割合は、特に限定されないが、本発明の経口組成物の具体的な用途及び剤形等に応じて、通常選択される範囲内とすることができる。 本発明の経口組成物は、さらに黄金生姜加工物を含有していることにより、ゼラチン類特有の味及び臭いが抑制(マスキング)されている。また、本発明の経口組成物は、黄金生姜加工物を含有していることにより、配合成分の経時変化に起因する変色が抑制されている。 具体的には、経時変化に起因して、例えば、配合成分自体が変色するほか、剤形として液剤(一部に液剤を含む剤形、例えば内容物が溶液状であるカプセル剤等を含む)を採用する場合は、液剤中における配合成分の凝縮又は沈殿等による変色等が生じうる。このような経時変化に起因する変色は、高温等の過酷環境下等ではより進行しやすくなる傾向がある。本発明の経口組成物には、黄金生姜加工物に起因する鮮やかな黄色が付与されており、しかもこの黄色は経時変化を受けにくい。本発明の経口組成物は、この鮮やかな黄色により上記の変色が長期間に渡り目立ちにくくなっており(マスキングされており)、結果的に変色が抑制され、審美性を長期間に渡り維持できる。 本発明の経口組成物における、黄金生姜加工物の配合割合は、マスキングしようとする味及び臭いの原因であるゼラチン類の総量に応じて、本発明の効果が得られる範囲内で、適宜設定することができる。また、黄金生姜加工物の配合割合は、本発明の経口組成物の剤形、及びゼラチン類との配置関係等により、必要に応じて適宜調整することもできる。 本発明の経口組成物は、味及び臭いに対するマスキング効果、並びに経時変化による変色抑制効果の点で、ゼラチン類の総量100重量部に対して、黄金生姜加工物を、0.01重量部以上含有することが好ましく、0.05重量部以上含有することがより好ましく、0.1重量部以上含有することがさらに好ましく、0.5重量部以上含有することが最も好ましい。 なお、黄金生姜加工物を過剰に配合しすぎると味及び臭い、並びに外観を損ねる場合があるため、この点では、本発明の経口組成物は、ゼラチン類の総量100重量部に対して、黄金生姜加工物を、50重量部以下含有することが好ましく、20重量部以下含有することがより好ましく、10重量部以下含有することがさらに好ましい。 また、本発明の経口組成物における黄金生姜加工物の配合割合は、味及び臭いに対するマスキング効果、並びに経時変化による変色抑制効果の点で、0.01重量%以上であり、0.05重量%以上であることが好ましく、0.05〜50重量%程度であることがより好ましい。 本発明の経口組成物は、ゼラチン類及び黄金生姜加工物にさらに加えて、本発明の効果を妨げない限り、さらに他の植物加工物、機能性成分、又は薬効成分等を配合することができる。なお、これらの成分は、一種単独で上記成分と組み合わせて使用してもよいし、また二種以上を任意に組み合わせて、上記成分と併用することもできる。 本発明の経口組成物は、食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品等に好適に用いることができる。 本発明の経口組成物は、上記各成分の配合物をそのまま経口組成物として調製してもよい。本発明の経口組成物は、また必要に応じて、錠剤、丸剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤及びハードカプセル剤)、散剤(粉末剤)並びに顆粒剤(ドライシロップを含む)等の各種の固形製剤として調製してもよい。本発明の経口組成物は、内服用液剤(液剤、懸濁剤及びシロップ剤を含む)等の液状製剤として調製してもよい。 製剤化は、食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品等の分野で採用されている通常の製剤化手法を適用することができる。例えば、錠剤は、各成分を処方に従って添加配合し、粉砕、造粒、乾燥、整粒及び混合を行い、得られた調製混合物を打錠することによって調製することができる。 さらに、必要に応じて、製剤化のための添加物として、例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤、分散剤、湿潤剤、防腐剤、粘稠剤、pH調整剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤及び溶解補助剤等を配合することができ、また、必要に応じてコーティング剤をさらに用いてコーティング錠剤にすることもできる。また、ペースト状の膠剤とすることもできる。 3.1 カプセル剤 本発明の経口組成物は、内容物及びそれを覆う外皮を含有するカプセル剤であってもよい。カプセル剤は、ソフトカプセル剤であってもよいし、ハードカプセル剤であってもよい。 本発明のカプセル剤である経口組成物は、外皮がゼラチン類を含有するものであれば好ましい。特に、ゼラチンは、カプセル剤における外皮の構成成分(カプセル基材)として好ましく用いられる。このため、外皮がゼラチンを含有するものであればなお好ましい。 本発明のカプセル剤である経口組成物において、内容物が黄金生姜加工物を含有していることが好ましい。このような構成を有するカプセル剤とすることによって、外皮に含まれるゼラチン類に起因する味及び臭いが抑制(マスキング)されるだけでなく、さらに、内容物だけに止まらずカプセル剤全体に対しても鮮やかな黄色味を与えることができ、カプセル剤の審美性を向上できる。しかも、このような構成を備えるカプセル剤とすることによって、内容物の経時的な変色を目立ちにくく(マスキング)することができ、その結果、カプセル剤が変色したように見えてしまうのを防ぐことができる。内容物の経時的な変色には、内容物の配合成分自体の変色のほか、凝縮又は沈殿等による変色等も含まれる。 本発明のカプセル剤である経口組成物においては、黄金生姜加工物を外皮及び内容物のいずれに配合するかにかかわらず、味及び臭いに対するマスキング効果、並びに経時変化による変色抑制効果の点で、ゼラチン類の総量100重量部に対して、黄金生姜加工物を1重量部以上含有していることが好ましい。 特に、黄金生姜加工物を内容物に配合する場合は、味及び臭いに対するマスキング効果、並びに経時変化による変色抑制効果の点で、ゼラチン類の総量100重量部に対して、黄金生姜加工物を10重量部以上含有していることが好ましく、黄金生姜加工物を25重量部以上含有していることがより好ましい。 なお、黄金生姜加工物を過剰に配合しすぎると味及び臭い、並びに外観を損ねる場合があるため、この点では、本発明のカプセル剤は、ゼラチン類の総量100重量部に対して、黄金生姜加工物を、300重量部以下含有することが好ましく、150重量部以下含有することがより好ましい。 また、本発明のカプセル剤である経口組成物における黄金生姜加工物の配合割合は、味及び臭いに対するマスキング効果、並びに経時変化による変色抑制効果の点で、0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、2〜50重量%程度であることがさらに好ましい。 本発明のカプセル剤である経口組成物において、内容物には、さらに種々の成分を配合することができる。配合される成分の種類は、特に制限されることはないが、好ましくは可食性物であり、例えば可食性油脂や該油脂を含む食品、ビタミン、ミネラル、鉱油等を含む栄養補強剤、医薬品などの組成物を挙げることができる。より具体的には、ビタミンA類及び誘導体、ビタミンD類、ビタミンE類及び誘導体、ビタミンK類、γ−オリザノール、リノレン酸、カロチン類などの脂溶性成分;中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油、小麦胚芽油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、落花生油、ナタネ油、ヒマワリ油、パセリ油等の可食性油脂;その他、食品フレーバー、香料等を例示することができる。なお、これらの成分中にはその成分の清澄性及び透明性を損なわない範囲で、甘味料などの呈味料、色素や顔料等の着色料、安定剤、保存剤等の各種添加剤を配合することができる。 本発明のカプセル剤である経口組成物において、内容物は、液状、半固体状、固体状(例えば、粉末状、顆粒状)又はゲル状等の任意の形態を採ることができる。 3.1.1 ソフトカプセル剤 本発明のソフトカプセル剤である経口組成物において、好ましくは、外皮は、ゼラチン、可塑剤及び水を含む外皮溶液から調製される。この外皮においては、通常、ゼラチンが主成分として用いられ、可塑剤の割合としては、ゼラチン100重量%に対して10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲を挙げることができる。 本発明のソフトカプセル剤である経口組成物の外皮に含まれる可塑剤としては、通常のソフトカプセル剤の外皮に用いられるものであり、特に限定されないが、例えば、グリセリン;プロピレングルコールやポリエチレングリコール等のグリコール類;コーンシロップ、スクロース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール等の液状糖類;結晶セルロース、デンプン類、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースなどの水不溶性セルロース等を挙げることができる。なお、これらの可塑剤は1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはグリセリンであり、とりわけ濃グリセリンが好ましい。 本発明のソフトカプセル剤である経口組成物の外皮には、本発明の効果を損なわないことを限度に、上記成分以外に、必要に応じて色素や顔料等の着色剤、防腐剤、崩壊剤、界面活性剤、矯味剤、矯臭剤、甘味料、香料、クエン酸やリンゴ酸等の有機酸等を配合することができる。 本発明のソフトカプセル剤である経口組成物は、従来公知のソフトカプセル剤の製造法、例えば平板法またはロータリーダイ法に準じて調製することができる。 本発明のソフトカプセル剤である経口組成物の形状は、特に制限されずオーバール(フットボール)型、オブロング(長楕円)型、及びラウンド(球状)型等の一般的な形状のほか、涙型、三角形などの変形(異形)型を採用することもできる。カプセルの大きさも特に制限されないが、直径30mm以下であると服用しやすく、食感も好ましい。具体的には直径1〜10mmの範囲のものを挙げることができる。 3.1.2 ハードカプセル剤 本発明のハードカプセル剤である経口組成物において、好ましくは、外皮は、ゼラチン及び乳化剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等)等から調製される。また、外皮には、本発明の効果を損なわないことを限度に、必要に応じて、可塑剤、着色剤、防腐剤、崩壊剤、界面活性剤、矯味剤、矯臭剤、甘味料、香料、有機酸等を配合することができる。 本発明のハードカプセル剤である経口組成物は、ゼラチンを含むカプセル(外皮)に上記内容物を充填することで製造することができる。 本発明のハードカプセル剤である経口組成物に使用されるカプセル(外皮)は、内容量0.1〜1ml、全長10〜30mmの範囲のものを挙げることができる。本発明においては、市販のハードカプセル、例えば、小林カプセル株式会社製「日本薬局方カプセル」「健康食品用カプセル」などを使用することができる。 以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例等になんら限定されるものではない。 1. 経口組成物1 ゼラチンを含有する経口組成物に、各種の生姜をそれぞれ別個に配合し、ゼラチン特有の味及び臭いの抑制の程度、並びに経口組成物の外観の経時変化に対する影響を評価した。 生姜としては、下記を用いた。(1)黄金生姜(黄金虚空蔵II)(2)一般生姜(大生姜)(3)金時生姜 ゼラチンとしては、「BCN200S」(新田ゼラチン社製)を用いた。<生姜加工物の調製方法> 各種の生姜をスライスし、温風乾燥機にて40℃で9〜10時間乾燥させた。得られた乾燥物を、さらに粉砕機(協立理工株式会社「SK−M10」)にて微粒粉砕し、粉末を得た。<経口組成物の調製方法> ゼラチン3gに水15mlを加えて、70℃〜80℃で溶解させた。表1〜3に示す割合に応じて、得られたゼラチン溶解液に各種生姜(黄金生姜:実施例1〜9、一般生姜:比較例1〜9、金時生姜:比較例10〜18)を添加した。これを50mlのバイアルビンに注いでから固化させ、温風乾燥機により40℃で30分間乾燥させ、経口組成物(経時変化前)を調製した。<評価方法> 得られた経口組成物について、40℃で2日間の経時変化試験を行い、以下のとおり、ゼラチン特有の味及び臭いの抑制の程度(マスキング効果)、並びに経口組成物の外観の経時変化(変色抑制効果)を確認した。(味・臭いマスキング効果) 経時変化試験の前後において得られた試験サンプル(ゼラチン及び各種生姜を含有する経口組成物)の味と臭いをモニター者(10名)に確認してもらい、ゼラチン特有の味と臭いを感じるものを「10」、ゼラチン特有の味と臭いを全く感じないものを「1」とする、Visual Analogue Scale(以下、VASと記載する)によるアンケート記入により評価した。評価結果を平均し、小数点第一位を四捨五入した。結果を表1に示す。(変色抑制効果) ゼラチンの変色の有無をモニター者(10名)に確認してもらった。具体的には、経時変化前後の経口組成物を観察し、異なる色であると感じた人数を数え、以下の基準に従い評価した。結果を表1〜3に示す。◎:10名中0〜1人○:10名中2〜3人△:10名中4〜5人×:10名中6名以上 健康食品に一般的に使用される一般生姜(大生姜)を配合すると、ゼラチン特有の臭いと味をマスキングできることが判った。しかしながら、一般生姜を使用した場合、ゼラチン含有経口組成物を調製した時点で既に茶色がかってしまい、外観が損なわれることが判った。さらに経時変化により茶色が濃くなる等、外観がますます損なわれることが判った。 金時生姜は、黄色の色が強い品種として知られる。金時生姜を使用した場合、ゼラチン含有経口組成物の調製時における外観(色)が改善され、経時変化によってもゼラチン含有経口組成物は変色しにくく、外観が好ましく維持されることが判った。しかしながら、金時生姜ではゼラチン特有の味と臭いの十分なマスキングができないことが判った。 これらの結果に対し、黄金生姜を使用した場合、ゼラチンの味と臭いを効果的にマスキングできることが判った。さらに、黄金生姜を使用した場合、ゼラチン含有経口組成物の外観が、調製時において良好であり、かつ経時変化によっても良好な外観が維持されたままであることが判った。また、実施例1〜9において、ゼラチンに代えてコラーゲンペプチドを使用した場合でも、味・臭い、変色について同様の結果が得られた。 さらに、摩り下ろした生姜末(未乾燥)を使用すると、ゼラチンのマスキング効果が高まり、より鮮やかな黄色をゼラチンに配色することができた。 2. 経口組成物2(ソフトカプセル剤) 表4の処方に基づいて、黄金生姜及びセサミン(実施例10〜15)又はセサミン(比較例19)をサフラワー油に分散させたものを内容物とし、常法に従って、ゼラチンを外皮とするソフトカプセル剤を調製した。ここで、黄金生姜は、実施例1〜9で使用したものと同じく、微粒粉砕した加工物を使用した。 得られた各ソフトカプセル剤について、経口組成物1についてしたのと同じ評価を行った。結果を表4に示す。 黄金生姜を内容物に配合することにより、外皮のゼラチンに由来する味と臭いをマスキングできることが確認された。 さらに、本ソフトカプセル剤は、カプセル内で析出する成分(セサミン)を内容物に含んでおり、通常であれば、カプセル剤の外観が悪化(色や析出物)する傾向が強いものである。しかしながら、黄金生姜を配合することにより、この外観変化を見えにくくする(外観変化のマスキング)こともできることが判った。とくに、黄金生姜を配合した内容物をゼラチンの外皮で覆うことにより、黄金生姜自身の変色も抑えることができ、より外観変化のマスキング効果に優れたカプセル剤とすることができた。 3. 経口組成物3(ハードカプセル剤) 表5の処方に基づいて、黄金生姜、ローヤルゼリー及びデキストリン(実施例16〜19)、黄金生姜及びローヤルゼリー(実施例20)ならびにローヤルゼリー及びデキストリン(比較例20)を混合したものをゼラチンからなる「健康食品用カプセル#0」(小林カプセル株式会社)50mgに充填し、ハードカプセル剤を調製した。ここで、黄金生姜は、実施例1〜9で使用したものと同じく、微粒粉砕した加工物を使用した。 得られた各ハードカプセル剤について、経口組成物1についてしたのと同様の評価を行った。結果を表5に示す。 ソフトカプセル剤におけるのと同様、黄金生姜を内容物に配合することにより、外皮に存在するゼラチンに由来する味と臭いをマスキングできることが確認された。 さらに、本ハードカプセル剤も、色の安定性の悪い成分(ローヤルゼリー)を内容物に含んでおり、通常であれば、カプセル剤の外観が悪化(色や析出物)する傾向が強いものである。しかしながら、ソフトカプセル剤におけるのと同様、黄金生姜を配合することにより、この外観変化のマスキングもできることが判った。とくに、黄金生姜を配合した内容物をゼラチンの外皮で覆うことにより、黄金生姜自身の変色も抑えることができ、より外観変化のマスキング効果に優れたカプセル剤とすることができた。ゼラチン及びゼラチン分解物からなる群より選択される少なくとも1種のゼラチン類、並びに黄金生姜加工物を含有する経口組成物。前記ゼラチン類の総量100重量部に対して、黄金生姜加工物を0.01重量部以上含有する、請求項1に記載の経口組成物。カプセル剤であって、内容物が黄金生姜加工物を含有し、かつ外皮が前記ゼラチン類を含有する、請求項1又は2に記載の経口組成物。前記ゼラチン類の総量100重量部に対して、黄金生姜加工物を1重量部以上含有する、請求項3に記載の経口組成物。前記ゼラチン類が、ゼラチンである、請求項3又は4に記載の経口組成物。 【課題】ゼラチン類特有の味及び臭いが抑制されており、かつ経時変化による変色が生じにくいゼラチン類含有経口組成物を提供する。【解決手段】ゼラチン及びゼラチン分解物からなる群より選択される少なくとも1種のゼラチン類、並びに黄金生姜加工物を含有する経口組成物。【選択図】なし