生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_油成分の定量分析方法
出願番号:2013073203
年次:2014
IPC分類:G01N 33/28,G01N 31/00


特許情報キャッシュ

川崎 宏 田巻 匡基 JP 2014196970 公開特許公報(A) 20141016 2013073203 20130329 油成分の定量分析方法 出光興産株式会社 000183646 特許業務法人樹之下知的財産事務所 110000637 川崎 宏 田巻 匡基 G01N 33/28 20060101AFI20140919BHJP G01N 31/00 20060101ALI20140919BHJP JPG01N33/28G01N31/00 YG01N31/00 D 4 1 OL 7 2G042 2G042AA01 2G042BD10 2G042CA10 2G042CB04 2G042DA10 2G042EA03 2G042FA01 2G042FB02 本発明は、水性加工液または水性洗浄液に混入した油成分の定量分析方法に関する。金属加工に用いられる金属加工液およびその後工程の洗浄に用いる洗浄液には油性と水性があるが、冷却性や浸潤性に優れ、火災の危険がない水性が多用されている。一般に水性加工液(切削用、研削用)および水性洗浄液は、原液を水で5〜100倍程度に希釈して使用される。 使用中の水性加工液や水性洗浄液の残存寿命および健全性を確認するためには、分析的手法により所期の性能を有しているか否かの評価が必要となる。 水性加工液や水性洗浄液の残存寿命が短くなったり健全性が損なわれたりする原因としては、水性加工液への設備用潤滑油(設備油)の混入や、前工程における加工液(水性、油性)の水性洗浄液への混入が挙げられる。これらの混入量を正確かつ簡便に把握することで、水性加工液や水性洗浄液の寿命を管理しようとする試みがなされている。 例えば、設備油や前工程で使用された加工液に含まれる典型的な油成分であるカルボン酸誘導体を塩酸、硫酸で分解してカルボン酸とし、これを定量する酸分解法が知られている(JIS K 0102、特許文献1参照)。しかしながら、このような方法では、酸分解によりセバシン酸やドデカン二酸などの二塩基酸が生成した場合、これらの二塩基酸は抽出液であるヘキサンや四塩化炭素に溶解せずに析出してしまい、分析が困難になることが多い。また、四塩化炭素は、毒性が強いので使いにくいという問題がある。 そこで、上記のような問題を解決し、かつ混入油成分の濃度を精度よく求める方法として、塩酸分解後にカルボン酸をエステル化する方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法によれば、比較的簡便かつ精度よく油成分の定量分析を行うことが可能となる。特開平02−35337号公報特開2011−179843号公報 しかしながら、特許文献2に記載された方法では、1サンプルあたりの測定時間が1〜2時間と長く、必ずしも簡便な手法とはいえない。 本発明は、水性加工液または水性洗浄液に混入した油成分を簡便かつ精度よく定量分析する方法を提供することを目的とする。 前記課題を解決すべく、本発明は、以下に示すような油成分の定量分析方法を提供するものである。〔1〕水性液体に混入した油成分の定量分析方法であって、前記水性液体は、水性加工液または水性洗浄液であり、前記油成分は、前工程における潤滑油に由来するものであり、前記潤滑油は、水性加工液、油性加工液および設備油のいずれかであり、予め、未使用の前記潤滑油と、未使用の前記水性液体とを所定の割合で混合してなる混合液の全有機炭素(TOC)濃度と、下記分析工程(A)〜(C)により求めた油成分濃度とから回帰線を作成し、前記油成分が混入した前記水性液体について全有機炭素(TOC)を測定した後、前記回帰線より前記油成分を定量することを特徴とする油成分の定量分析方法。(A)前記未使用の潤滑油と前記未使用の水性液体とを、前記所定の割合で混合した後に酸を添加して酸性液とし、前記油成分に含まれるカルボン酸誘導体を遊離のカルボン酸とする酸分解工程(B)前記酸性液にアルコールを混合し、前記遊離のカルボン酸をエステル化するエステル化工程(C)前記エステル化工程で得られたエステルを水に不溶な有機溶媒により抽出する抽出工程〔2〕上述の〔1〕に記載の油成分の定量分析方法において、前記カルボン酸誘導体は、脂肪族系誘導体、芳香族系誘導体、多塩基酸誘導体、およびオキシカルボン酸誘導体の少なくともいずれかであることを特徴とする油成分の定量分析方法。〔3〕上述の〔1〕または〔2〕に記載の油成分の定量分析方法において、前記有機溶媒の沸点が1気圧下で、150℃以下であることを特徴とする油成分の定量分析方法。〔4〕上述の〔1〕から〔3〕までのいずれか1つに記載の油成分の定量分析方法において、前記油成分が混入した前記水性液体に、前記酸と前記有機溶媒と前記アルコールとを混合して、同一容器内で前記酸分解工程と前記エステル化工程とを行わせることを特徴とする油成分の定量分析方法。 本発明によれば、水性加工液、油性加工液あるいは設備油に起因する混入油成分について、簡便かつ精度よく定量分析を行うことが可能となる。全有機炭素(TOC)濃度と油成分濃度の関係を示す図(検量線)。 本発明は、水性液体に混入した油成分の定量分析方法である。ここで、水性液体とは、いわゆる後工程における水性加工液または水性洗浄液であり、油成分は、前工程における潤滑油に由来するものである。この潤滑油は、水性加工液、油性加工液または設備油である。設備油としては、ギア油、チェーン油、摺動面油、および油圧作動油等が挙げられる。 油成分としては、例えば、鉱油、合成油、界面活性剤などであり、カルボン酸金属塩などのカルボン酸誘導体を含んでいるものが挙げられる。ここで、カルボン酸誘導体には、脂肪族系と芳香族系があるが、本発明は、いずれのカルボン酸誘導体へも適用できる。脂肪族系のカルボン酸誘導体としては、一塩基酸誘導体、多塩基酸誘導体、およびオキシカルボン酸誘導体が挙げられる。脂肪族系の一塩基酸誘導体としては、例えば、オレイン酸誘導体などが挙げられる。一方、脂肪族系の多塩基酸誘導体としては、例えば、セバシン酸誘導体、ドデカン二酸誘導体などが挙げられる。その他、脂肪族系のオキシカルボン酸誘導体としては、例えばグリコール酸誘導体やクエン酸誘導体などが挙げられる。芳香族系のカルボン酸誘導体としては、一塩基酸誘導体、多塩基酸誘導体、オキシカルボン酸誘導体が挙げられる。芳香族系の一塩基酸誘導体としては、例えば安息香酸誘導体などが挙げられる。また、芳香族系の多塩基酸誘導体としては、例えば、フタル酸誘導体、ヘミメリット酸誘導体などが挙げられる。その他、芳香族系のオキシカルボン酸誘導体としては、例えば、サリチル酸誘導体などが挙げられる。 後工程における水性加工液や水性洗浄液には、前工程における金属加工の際に金属部品に付着した加工液(水性、油性)の上記油成分が不純物として混入している。 本発明では、予め、未使用の前記潤滑油と、未使用の前記水性液体とを所定の割合で混合してなる混合液の全有機炭素(TOC)濃度と、下記分析工程(A)〜(C)により求めた油成分濃度とから回帰線(検量線)を作成する。 前記したTOC濃度は、従来知られた方法で測定すればよい。例えば、紫外線で分解する紫外線酸化分解導電率方式や湿式酸化非分散赤外線吸収方式が知られているが、特に、燃焼酸化非分散赤外線吸収方式による測定が精度の点で好ましい。この方式による全有機炭素(TOC)濃度計としては、例えば、東レエンジニアリング製 TOC−150が挙げられる。 以下に、回収した水性洗浄液を例として分析工程(A)〜(C)を説明する。〔分析工程(A):酸分解工程〕 酸分解工程では、回収した水性洗浄液を容器にいれ、次いで、酸、水に不溶な有機溶媒(以下、「有機溶媒」と略記する場合がある。)、アルコールを混合して、2層からなる酸性液を調製する。ここで、上層は、主として有機溶媒を含む有機層であり、下層は主として水性洗浄液、アルコールを含む酸性の水層である。 酸としては、水性洗浄液に含まれるカルボン酸誘導体当量より過剰に用いられる強酸であり、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられるが、エマルジョンが生成しにくいので、塩酸が好ましい。 また、有機溶媒の沸点は、1気圧下で150℃以下であることが好ましい。有機溶媒の沸点が1気圧下で150℃以下であるので、定量分析の際、有機溶媒を容易に留去できる。常温での取り扱い易さから、有機溶媒の沸点は、1気圧下で50℃以上、120℃以下であることがさらに好ましい。 有機溶媒としては、水と容易に層分離できるものであり、非環状脂肪族系炭化水素溶媒、ナフテン系炭化水素溶媒、芳香族系炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒などが挙げられる。 非環状脂肪族系炭化水素溶媒(1気圧下での沸点)としては、例えば、n−ヘキサン(69℃)、n−ペンタン(36℃)、n−ヘプタン(98℃)、イソオクタン(99℃)、出光IP1016(製品名(73℃以上140℃以下))などが挙げられ、ナフテン系炭化水素溶媒としてはシクロヘキサン(81℃)などが挙げられる。また、芳香族系炭化水素溶媒(1気圧下での沸点)としてはトルエン(111℃)などが挙げられ、エーテル系溶媒としてはジエチルエーテル(35℃)などが挙げられ、エステル系溶媒としては酢酸エチル(77℃)、酢酸ブチル(124℃)などが挙げられる。 酸分解工程で混合されるアルコールとしては、炭素数が3以下の水溶性アルコールであることが好ましく、炭素数が3以下で1価の水溶性アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが挙げられる。ここで、カルボン酸をエステル化した際、分子量の増加が小さい、すなわち、油成分の質量があまり増加しないのでメタノールが好ましい。 酸分解工程では、過剰の酸を加えて混合することにより、酸分解反応が非常に速く完結する。すなわち、カルボン酸誘導体が酸により分解されて、迅速に遊離のカルボン酸になる。ここで、遊離のカルボン酸が二塩基酸であると、有機層にも水層にも溶解することなく析出しやすくなり、懸濁溶液となる。〔分析工程(B):エステル化工程〕 エステル化工程は、同一容器内で酸分解工程と同時に行われ、酸分解工程で分解された遊離のカルボン酸をエステル化する。 エステル化反応は、反応速度が遅く、しかも平衡反応なので、3時間以上加熱することが好ましい。ここで、水層の反応転化率を上げるために、有機溶媒を共存させておくことが好ましい。 このエステル化工程では、遊離のカルボン酸をアルコールと反応させてカルボン酸エステルとするので、カルボン酸の析出がなくなり、また、エマルジョンの生成も防止できる。〔分析工程(C):抽出工程〕 抽出工程では、エステル化工程で生成したカルボン酸エステルや鉱油などを有機溶媒で抽出する。これらカルボン酸エステルなどは、有機溶媒に対する溶解性が高いので容易に抽出できる。なお、抽出効率が低い場合は、適宜酸性液を加温してもよい。 そして、上記工程により得られたカルボン酸エステルの質量を測定する。すなわち、酸性液から水層を除去し、さらに有機層に含まれる水分を除去した後、加熱および減圧下にて有機溶媒を留去する。そして、残存物(カルボン酸エステル)の質量を測定することにより、不純物として含まれる油成分の濃度が求められる。 なお、上記した分析工程では、水性洗浄液に含まれる油成分の定量分析方法を説明したが、水性加工液に含まれる油成分も同様にして測定できる。 また、上記した酸分解工程では、有機溶媒を混合する構成を示したが、エステル化工程、および抽出工程のうちの少なくともいずれかの工程において有機溶媒を混合してもよい。 上記した方法で回帰線(検量線)を作成しておくことにより、水性洗浄液等に混入した油成分を迅速に測定することが可能となる。例えば、水性加工液の場合、設備油に由来する混入油成分の濃度を迅速に把握できる。また、水性洗浄剤の場合、前工程の水性加工液および油性加工液に由来する混入油成分の濃度を迅速に把握できる。 本発明により、簡便かつ精度よく油成分の混入濃度を求めることができるので、水性加工液および水性洗浄液の健全性を保つことができ寿命管理も可能となる。 次に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。具体的には、以下の方法で油成分の定量分析方法の簡便性および精度を評価した。〔回帰線(検量線)の作成〕 所定の割合で水性洗浄液Aと水性加工液B(水性切削液)を混合して14種類の標準液を調製した。・水性洗浄液A:出光興産製 ダフニーWクリーナーCM (液濃度:水で希釈して3質量%とした。)・水性加工液B:出光興産製 ダフニーアルファクールEW−HS (液濃度:水で希釈して5質量%とした。) 次に、これらの標準液について、実施形態における分析工程(A)〜(C)を実施して油成分濃度を求めるとともに、全有機炭素(TOC)濃度計(東レエンジニアリング製 TOC−150)により全有機炭素(TOC)濃度を測定した。結果を表1に示す。 表1に基づき油成分濃度と全有機炭素(TOC)濃度とをプロットして検量線(図1)を作成したところ非常に高い相関関係を示した(相関係数0.98)。〔実施例1〜5〕 水性洗浄液Aと水性加工液Bの混合比率が不明な5種類のサンプル(実施例1〜5)を準備した。次に、TOC濃度を測定して上記検量線より油成分濃度を推算した。併せて上記分析工程(A)〜(C)を実施して上記各サンプルについて油成分濃度を測定した(実測値)。これらの結果を表2に示す。 油成分濃度の実測値と検量線に基づく推算値の誤差は±4%以内であり、測定精度に優れることがわかる。また、TOC濃度は、サンプルを測定装置にかけるだけでよいので、測定時間は、1サンプルあたり5〜10分間とごく短時間であった。 本発明の定量分析方法では、一度検量線を作成しておけば、サンプルの希釈およびTOC測定装置による測定操作のみであり、作業者の熟練は全く不要である。また、従来(特許文献2参照)、1サンプルあたりの測定に1〜2時間程度かかっていたことと比較して、作業手順が大幅に簡略化されている。 水性液体に混入した油成分の定量分析方法であって、 前記水性液体は、水性加工液または水性洗浄液であり、 前記油成分は、前工程における潤滑油に由来するものであり、 前記潤滑油は、水性加工液、油性加工液および設備油のいずれかであり、 予め、未使用の前記潤滑油と、未使用の前記水性液体とを所定の割合で混合してなる混合液の全有機炭素(TOC)濃度と、 下記分析工程(A)〜(C)により求めた油成分濃度とから回帰線を作成し、 前記油成分が混入した前記水性液体について全有機炭素(TOC)を測定した後、前記回帰線より前記油成分を定量する ことを特徴とする油成分の定量分析方法。(A)前記未使用の潤滑油と前記未使用の水性液体とを、前記所定の割合で混合した後に酸を添加して酸性液とし、前記油成分に含まれるカルボン酸誘導体を遊離のカルボン酸とする酸分解工程(B)前記酸性液にアルコールを混合し、前記遊離のカルボン酸をエステル化するエステル化工程(C)前記エステル化工程で得られたエステルを水に不溶な有機溶媒により抽出する抽出工程 請求項1に記載の油成分の定量分析方法において、 前記カルボン酸誘導体は、脂肪族系誘導体、芳香族系誘導体、多塩基酸誘導体、およびオキシカルボン酸誘導体の少なくともいずれかである ことを特徴とする油成分の定量分析方法。 請求項1または請求項2に記載の油成分の定量分析方法において、 前記有機溶媒の沸点が1気圧下で、150℃以下である ことを特徴とする油成分の定量分析方法。 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の油成分の定量分析方法において、 前記油成分が混入した前記水性液体に、前記酸と前記有機溶媒と前記アルコールとを混合して、同一容器内で前記酸分解工程と前記エステル化工程とを行わせる ことを特徴とする油成分の定量分析方法。 【課題】水性加工液または水性洗浄液に混入した油成分を簡便かつ精度よく定量分析する方法を提供する。【解決手段】予め、未使用の潤滑油と、未使用の水性液体とを所定の割合で混合してなる混合液の全有機炭素(TOC)濃度と、下記分析工程(A)〜(C)により求めた油成分濃度とから回帰線を作成し、前記油成分が混入した前記水性液体について全有機炭素(TOC)を測定した後、前記回帰線より前記油成分を定量する方法。(A)前記未使用の潤滑油と前記未使用の水性液体とを、前記所定の割合で混合した後に酸を添加して酸性液とし、前記油成分に含まれるカルボン酸誘導体を遊離のカルボン酸とする酸分解工程。(B)前記酸性液にアルコールを混合し、前記遊離のカルボン酸をエステル化するエステル化工程。(C)前記エステル化工程で得られたエステルを水に不溶な有機溶媒により抽出する抽出工程。【選択図】図1


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