タイトル: | 公開特許公報(A)_アミンオキサイドの製造方法 |
出願番号: | 2013062297 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07C 291/04,C11D 1/75 |
川久保 秀樹 伊藤 誠 伊藤 茂樹 JP 2014185122 公開特許公報(A) 20141002 2013062297 20130325 アミンオキサイドの製造方法 松本油脂製薬株式会社 000188951 川久保 秀樹 伊藤 誠 伊藤 茂樹 C07C 291/04 20060101AFI20140905BHJP C11D 1/75 20060101ALN20140905BHJP JPC07C291/04C11D1/75 6 OL 11 4H003 4H006 4H003AC16 4H003EB13 4H003EE04 4H006AA02 4H006AC59 4H006BB31 4H006BC10 4H006BC31 4H006BD21 4H006BE32 本発明はアミンオキサイドの製造方法に関する。 ラウリルジメチルアミンオキサイドに代表されるアミンオキサイドは、洗浄剤、柔軟剤、湿潤剤、帯電防止剤等に汎用されている。アミンオキサイドおよびアニオン性界面活性剤を含有する洗浄剤では、増粘性や増泡性が得られ、使用感に優れる。また、洗浄力の向上も報告されている。 アミンオキサイドは、一般には、3級アミンと水との混合物に過酸化水素水の水溶液を添加し、40℃から100℃で反応させることにより、それの水溶液として得ることができる。しかし、未反応3級アミンが多量に存在すると、色相、臭気、皮膚等に悪影響を及ぼす恐れがある。一方、未反応3級アミンを残さないよう過酸化水素水を過剰に反応させると、未反応の過酸化水素水が多量に残存し、皮膚刺激等の安全性に悪影響を及ぼす恐れがある。たとえば、特許文献1によると、得られるアミンオキサイドの収率は99%以上、残存する過酸化水素は0.1%以下であると、安全性の観点から好ましいとされている。これらの問題を解決するため、アミンオキサイドの製造について様々な方法が提案されている。 特許文献1では、アミンオキサイド反応後過剰の過酸化水素水を活性白土や合成ゼオライト等の吸着剤を用いて処理を行うことによって過酸化水素水を低減する方法が提案されている。しかしこの方法では、吸着剤を濾過等で分離させなくてはならない操作が必要となり、かつ、吸着剤に生成物が吸着するため生成物濃度が低下するという問題が生じる。 また、特許文献2では、アミンオキサイド反応後に残存する過剰の過酸化水素水を過酸化水素分解酵素で処理して、過酸化水素水を低減する方法が提案されている。しかし、この方法でも、過酸化水素分解酵素を除去する操作が必要となり、かつ、大量の過酸化水素を使用するため、原料の無駄が多いという問題がある。 特許文献3では、特定のカルボン酸またはその塩、アルカリ等の添加物の存在下で、3級アミンと過酸化水素を高温で反応させることによって、反応速度が速く、色相が良好な高品質のアミンオキサイドが短時間に高収率で得られる方法が提案されている。しかしこの方法では、添加物を加えて反応をするので、得られるアミンオキサイドに添加剤が不純物として混入し除去が難しい。 アミンオキサイドの製造において不純物として多く含まれるものは、原料であるアミンや過酸化水素である。高品位なアミンオキサイドを製造するためには、原料であるアミンの転化率を高め、過酸化水素を残存させないように製造することが重要である。このような観点からは、従来の特許文献1〜3記載の技術は、過剰に原料を使用したり、添加剤を使用することから、意図的に不純物を増やしているとも捉えられる。 また、特許文献4では、過酸化水素を3級アミン1モルに対して1.00〜1.50モル反応させた後、反応液における過酸化水素の残量が0.05〜0.50質量%となった時点で、残存する過酸化水素量の40〜90モル%に相当する量の3級アミンを新たに添加する方法が提案されている。この方法では未反応過酸化水素の残量が極めて少ないと特許文献4には記載されている。しかし、この方法では製造効率がよくないという問題がある。特開平10−182589号公報特開平11−92443号公報特開2010−64964号公報特開2003−81932号公報 本発明の目的は、色相がよいアミンオキサイドを簡便に反応効率よく製造する方法を提供することである。 上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、アミンに対して過酸化水素水溶液を添加する工程を2つに分け、前者の工程で用いるアミンおよび過酸化水素のモル比を特定範囲に限定することによって、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。 本発明のアミンオキサイドの製造方法は、アミンを過酸化水素水溶液に添加して反応させる工程1と、別に用意した過酸化水素水溶液を前記工程1で得られる反応混合物にさらに添加し、反応させる工程2とを含み、前記工程1において、前記過酸化水素水溶液に含まれる過酸化水素のモル数をxモルとし、前記アミンのモル数をyモルとしたときに、0.80≦y/x<1.00である製造方法である。 反応温度が40〜100℃であると好ましい。 前記アミンを分割して添加すると好ましく、連続的に添加しても好ましい。 前記工程2において、前記別に用意した過酸化水素水溶液に含まれる過酸化水素のモル数をpモルとし、前記工程1で得られた反応混合物中のアミンのモル数をqモルとしたときに、1.02≦p/q≦1.10であると好ましい。 前記アミンが下記一般式(1)で示されるアミンおよび/または一般式(2)で示されるアミンであると好ましい。 R1R2R3N (1)(但し、R1、R2およびR3は、アルキル基、アルケニル基、官能基が結合したアルキル基、または、官能基が結合したアルケニル基である。官能基は、エステル基、エーテル基またはアミド基である。R1、R2およびR3は、直鎖または分岐鎖のいずれでもよく、また、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。)(但し、R4は、アルキル基、アルケニル基、官能基が結合したアルキル基、または、官能基が結合したアルケニル基である。前記官能基は、エステル基、エーテル基またはアミド基である。A1OおよびA2Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、1種または2種以上から構成されていてもよく、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。mおよびnはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜10であり、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。) 本発明の製造方法により、色相がよいアミンオキサイドを簡便に反応効率よく製造することができる。なお、本発明でアミンオキサイドを反応効率よく製造することとは、アミンオキサイドの原料であるアミンの転化率が高いことを意味する。 本発明の製造方法は、工程1および工程2を含む製造方法である。〔工程1〕 工程1は、アミンを過酸化水素水溶液に添加して反応させる工程である。 本発明で用いるアミンについて特に限定はないが、たとえば、下記一般式(1)で示されるアミン(以下では、アミンAということがある。)等を挙げることができる。 R1R2R3N (1)(但し、R1、R2およびR3は、アルキル基、アルケニル基、官能基が結合したアルキル基、または、官能基が結合したアルケニル基である。官能基は、エステル基、エーテル基またはアミド基である。R1、R2およびR3は、直鎖または分岐鎖のいずれでもよく、また、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。) R1、R2およびR3の炭素数については特に限定はないが、好ましくは1〜36;さらに好ましくはR1、R2およびR3のうちの2つの基が1〜36で、残りの1つの基が1〜4であり;特に好ましくはR1、R2およびR3のうちの2つの基が1〜24で、残りの1つの基が1〜4であり;最も好ましくはR1、R2およびR3のうちの1つの基が6〜24で、残りの2つの基が1〜4である。この炭素数が36より大きいと、アミンオキサイドとしての十分な界面活性能力が得られない。 R1、R2およびR3としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、2−ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、4−ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、オレイル基、リノール基等のアルケニル基;これらのアルキル基の混合物であるヤシ油アルキル基、牛脂アルキル基、硬化牛脂アルキル基;エステル基、エーテル基またはアミド基等の官能基が結合したアルキル基;エステル基、エーテル基またはアミド基等の官能基が結合したアルケニル基等を挙げることができる。これらのうちでも、得られるアミンオキサイドの界面活性が高くなることから、アルキル基等が好ましく、直鎖または分岐鎖のアルキル基等がさらに好ましい。 アミンAの具体例としては、たとえば、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルテトラデシルアミン、ジメチルヘキサデシルアミン、ジメチルオクタデシルアミン、ジメチルヤシ油アルキルアミン、ジメチル硬化牛脂アルキルアミン、ジメチルオレイルアミン、ジエチルドデシルアミン、ジオクチルメチルアミン、ジデシルメチルアミン、ジドデシルメチルアミン、ジテトラデシルメチルアミン、ジヘキサデシルメチルアミン、ジオクタデシルメチルアミン、2−エチルヘキシルジメチルアミン、2−ブチルオクチルジメチルアミン、2−ヘキシルデシルジメチルアミン等のアルキルアミン;N,N−ジメチルアミノプロピルドデシルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルテトラデシルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルヘキサデシルアミド等のアミドアミン:ジメチルアミノエチルドデシルエステル、ジメチルアミノエチルテトラデシルエステル、ジメチルアミノエチルヘキサデシルエステル等のエステルアミン等を挙げることができる。これらのうちでも、得られるアミンオキサイドの界面活性が高くなることから、アルキルアミンが好ましく、具体的にはジメチルデシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルテトラデシルアミン等がよい。 アミンは、下記一般式(2)で示されるアミン(以下では、アミンBということがある。)等でもよい。(但し、R4は、アルキル基、アルケニル基、官能基が結合したアルキル基、または、官能基が結合したアルケニル基である。前記官能基は、エステル基、エーテル基またはアミド基である。A1OおよびA2Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、1種または2種以上から構成されていてもよく、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。mおよびnはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜10であり、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。) R4の炭素数やR4の具体例の説明は、上記のR1、R2およびR3の炭素数やR4の具体例の説明と同じであり、その説明をそのまま援用することする。 A1OおよびA2Oを構成する炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等が、得られるアミンオキサイドの界面活性が高くなるために好ましい。 mおよびnはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4である。平均付加モル数が11を超えると、得られるアミンオキサイドの界面活性が低下することがある。 アミンBの具体例としては、たとえば、オクチルビス(ヒドロキシエチル)アミン、デシルビス(ヒドロキシエチル)アミン、ドデシルビス(ヒドロキシエチル)アミン、テトラデシルビス(ヒドロキシエチル)アミン、オクタデシルビス(ヒドロキシエチル)アミン、を挙げることができる。これらのうちでも、デシルビス(ヒドロキシエチル)アミン、ドデシルビス(ヒドロキシエチル)アミン、テトラデシルビス(ヒドロキシエチル)アミン等であると、得られるアミンオキサイドの界面活性が高くなるために好ましい。 アミンは、アミンAおよび/またはアミンBであると、得られるアミンオキサイドの界面活性が高くなるために好ましいが、アミンAやアミンB以外で示されるアミンを含むものでもよく、アミンがアミンAやアミンB以外のアミンのみから構成されていてもよい。 本発明で用いる過酸化水素水溶液については、過酸化水素を含む水溶液であれば特に限定はない。過酸化水素水溶液中の過酸化水素の濃度についても、特に限定はないが、20〜90重量%の水溶液が工業的に入手可能であり、必要に応じて希釈して使用することができるのでよい。過酸化水素水溶液は、一般的には30〜65重量%程度の濃度のものが入手し易いために好ましく、特に取扱い易さの観点からは、30〜40重量%程度のものを使用することが望ましい。 工程1では、過酸化水素水溶液に含まれる過酸化水素のモル数をxモルとし、アミンのモル数をyモルとしたときに、通常0.80≦y/x<1.00、好ましくは0.83≦y/x≦0.98、さらに好ましくは0.86≦y/x≦0.96、特に好ましくは0.91≦y/x<0.95である。y/xが0.80未満であると、未反応の過酸化水素が反応生成物であるアミンオキサイド中に多量に残存する。一方、y/xが1.00以上であると、未反応のアミンが反応生成物であるアミンオキサイド中に残存して、反応効率が低下し、色相が低下する。 アミンの添加方法については、特に限定はないが、たとえば、(1)過酸化水素溶液にアミンを分割して加える方法(以下では、添加方法(1)ということがある。)や、(2)過酸化水素溶液にアミンを連続的に加える方法(以下では、添加方法(2)ということがある。)等を挙げることができる。添加方法(1)や添加方法(2)を行うことによって、反応途中での反応混合物の粘度上昇を抑えることができ、製造上好都合である。また、その結果として、色相がよいアミンオキサイドを、簡便に反応効率よく製造することができる。 添加方法(1)は、アミンを複数の部分(好ましくは2〜4の部分)に分割して添加する方法である。添加方法(1)でアミンを複数の部分に分割する際、それぞれの部分は等量であってもよく、それぞれが異なる量であってもよい。アミンの部分を添加する時間間隔については、特に限定はないが、先にアミンの部分を添加することによって反応混合物に白濁が生じる場合は、その白濁が解消し反応液が透明になってから添加すると、反応途中で反応混合物の粘度上昇を抑えることができるため好ましい。 添加方法(2)は、少量ずつ時間をかけてアミンを連続的に加える添加方法である。ここで、添加方法(2)でアミンの添加に要する時間(連続添加所要時間)については、特に限定はなく、好ましくは0.5〜4時間、さらに好ましくは1〜3時間である。連続添加所要時間は0.5時間より短いと、反応途中で反応混合物の粘度上昇を抑えることができなくなるため、局部加熱による品質の低下や、反応熱の除去ができず反応温度の急激な上昇等の問題が生じることがある。一方、連続添加所要時間は4時間より長いと、反応時間が長くなり好ましくないことがある。 本発明の製造方法は、水を必須とする溶媒中で行われる。溶媒は、水以外にも、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の親水性溶媒を併用してもよい。 本発明の製造方法で用いる反応容器について、特に限定はないが、たとえば、攪拌翼を備えた槽型反応容器やマイクロリアクター等を挙げることができる。攪拌翼としては、特に限定はないが、マックスブレンド翼、トルネード翼、フルゾーン翼、パドル多段翼、タービン翼等を挙げることができる。〔工程2〕 工程2は、工程1で用いた過酸化水素水溶液とは別に用意した過酸化水素水溶液を、工程1で得られる反応混合物にさらに添加し、反応させる工程である。 過酸化水素は一般に酸素と水に分解することがあり、この分解反応は塩基性条件下や、高温下では促進されることが知られている。アミンは塩基性であるから、工程1では、アミンおよび過酸化水素を反応させてアミンオキサイドが生成する主反応以外にも、過酸化水素が酸素および水に分解する副反応も無視できず、実際に、工程1でアミンおよび過酸化水素水溶液を準備した際に過酸化水素が過剰にあっても、工程1で得られた反応混合物中には、アミンが残存して、反応効率が低下することになる。この残存したアミンを反応させて、反応を完結することが、以下で詳しく説明する工程2の目的である。 工程2では、別に用意した過酸化水素水溶液に含まれる過酸化水素のモル数をpモルとし、工程1で得られた反応混合物中のアミンのモル数をqモルとしたときに、好ましくは1.02≦p/q≦1.10、さらに好ましくは1.03≦p/q≦1.08、特に好ましくは1.04≦p/q≦1.06であるとよい。p/qが1.02より小さいと、未反応のアミンが反応生成物であるアミンオキサイド中に残存して、反応効率が低下し、色相が低下することがある。一方、p/qが1.10より大きいと、未反応の過酸化水素が反応生成物であるアミンオキサイド中に多量に残存することがある。 本発明の製造方法における反応温度については、特に限定はないが、好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは50〜100℃、特に好ましくは60〜90℃である。反応温度が40℃より低いと、反応の進行が遅くなり、反応時間が長くなることがある。一方、反応温度が100℃より高いと、反応生成物であるアミンオキサイドの色相が低下するとともに、反応中の過酸化水素の分解が著しくなって、未反応のアミンが反応生成物であるアミンオキサイド中に残存して、反応効率が低下することがある。 工程1および工程2の反応温度は、一定温度としてもよく、工程1から工程2に変わる時に変更してもかまわない。反応温度の変更は、低温から高温に上げてもよく、高温から低温に下げてもよい。 本発明の製造方法では、反応生成物であるアミンオキサイドは、一般にはアミンオキサイドを含む水溶液として得られる。得られるアミンオキサイドの濃度については、特に限定はないが、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜50重量%、特に好ましくは20〜45重量%、最も好ましくは25〜40重量%である。アミンオキサイドの濃度はアミンオキサイドの安定性やハンドリング性の観点等から適宜決定される。 本発明の製造方法では、原料であるアミンの転化率を99%以上とすることが可能になり、過酸化水素を残存させないように、アミンオキサイドを製造することが可能になる。 以下に、本発明の実施例を、その比較例とともに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 以下の実施例および比較例において、アミンの定量、および転化率と過酸化水素の定量は以下に示す方法で行った。〔アミンの定量〕 試料1gをビーカーに正確に秤量し、イソプロピルアルコール50mlを加えて完全に溶解させ、0.1N塩酸で滴定した(電位差滴定法)。別に、空試験として試料1gをビーカーに正確に秤量し、イソプロピルアルコール50mlを加えて完全に溶解させ、ヨウ化メチル2mlをさらに加え、20℃で1時間放置した後、0.1N塩酸で滴定した(電位差滴定法)。試料中のアミン濃度(重量%)を下記の計算式にしたがって定量した。試料中のアミン濃度(重量%)=0.01×(A×F×M/Wa−B×F×M/Wb) A:空試験での0.1N塩酸の使用量(ml) B:本試験での0.1N塩酸の使用量(ml) F:0.1N塩酸の力価 M:アミンの分子量 Wa:空試験での試料の採取量(g) Wb:本試験での試料の採取量(g)〔アミンの転化率〕 反応仕込時のアミンをaモルとし、反応終了時のアミンをbモルとすると、アミンの転化率(%)は下記の計算式で計算される。 アミンの転化率(%)=100×(a−b)/a〔残存過酸化水素の定量〕 試料5gを三角フラスコに正確に秤量し、クロロホルム12mlを加えて完全に溶解させた。次に氷酢酸18mlを加えてよく振り混ぜた後、希硫酸2滴を加える。次いで、得られた混合物に飽和ヨウ化カリウム水溶液0.5mlを正しく加え、時々振り混ぜながら1分間放置後蒸留水30mlを加えた。その後、得られた蒸留水の希釈液に、直ちに1%デンプン水溶液0.5mlを加え、0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した。同時に同様にして、空試験を行った。試料中の残存過酸化水素濃度(重量%)を下記の計算式にしたがって定量した。試料中の残存過酸化水素濃度(重量%)=0.1701×(B−A)×F/(W×1000)×100 A:空試験での0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液の使用量(ml) B:本試験での0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液の使用量(ml) F:0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液の力価 W:試料の採取量(g)〔実施例1〕(工程1;分割添加) 温度計、冷却管および攪拌機を取り付けた容量2リットルの四つ口フラスコに、イオン交換水1000gおよび濃度35重量%の過酸化水素水溶液275g(x=2.83モル)を入れ、撹拌しながら60℃まで加熱した。なお、攪拌は工程1および次に説明する工程2を通じて行った。 これとは別に、ラウリルジメチルアミン564g(y=2.64モル)を3等分し、3等分されたそれぞれラウリルジメチルアミン(188g;0.88モル)を、四つ口フラスコに添加する順番に、アミン1、アミン2、アミン3とそれぞれ名づけて準備した。 アミン1を四つ口フラスコに添加した。その後、アミン1の添加から45分間を経過し、反応液が透明になった時点で、アミン2を四つ口フラスコにさらに添加した。その後、アミン2の添加から45分間を経過し、反応液が透明になった。その時点で、アミン3を四つ口フラスコにさらに添加し、反応温度60℃で3時間反応させて、工程1を終えた。 工程1では、y/x=0.93であった。また、工程1で得られた反応混合物を分析すると、過酸化水素は無く、残存するラウリルジメチルアミンの濃度は0.8重量%であり、その量(q)は0.07モルであった。また、ラウリルジメチルアミンの転化率は97.4%であった。(工程2) 工程1で得られた反応混合物に対して、濃度35重量%の過酸化水素水溶液6.90g(p=0.07モル)を添加し、反応温度を80℃に上げて反応を2.5時間行って、工程2を終えた。 工程2では、p/q=1.03であった。得られた反応生成物であるラウリルジメチルアミンオキサイドを分析すると、過酸化水素は無く、色相APHAは5であった。また、ラウリルジメチルアミンの転化率は99.8%であった。〔実施例2〜5、実施例7、8および比較例1〜2〕 実施例2〜5、実施例7、8および比較例1〜2では、実施例1を表1に示すようにそれぞれ変更する以外は実施例1と同様にして、反応生成物であるアミンオキサイドを得た。その結果も表1に示す。 実施例5の工程1での変更を補足すると、実施例1ではアミンを3等分したが、実施例5ではラウリルジメチルアミン570g(y=2.67モル)を2等分し、2等分されたそれぞれラウリルジメチルアミン(285g;1.34モル)を、四つ口フラスコに添加する順番に、アミン1、アミン2とそれぞれ名づけて準備した。そして、それぞれ順番に四つ口フラスコに添加した。この変更を含めて、実施例1から変更した点を表1に示す。 実施例7および8の工程1での変更を補足すると、実施例1ではアミンを3等分したが、実施例7および8では、アミンを3つには分割したが、3等分ではなく、それぞれが異なる量に分割して、四つ口フラスコに順番に添加した。この変更を含めて、実施例1から変更した点を表1に示す。 比較例2の工程2での変更を補足すると、比較例2の工程1を終えた時点で、反応混合物中に過酸化水素が多量に残っていたため、工程2を実施せずに、その代わりに反応温度を75℃に上げて8時間反応させて、ラウリルジメチルアミンオキサイドを得た。この変更を含めて、実施例1から変更した点を表1に示す。 以上に示した実施例1〜5、実施例7、8および比較例1〜2は、工程1でアミンを分割して添加したが、次に示す実施例6は、工程1でアミンを連続して添加した実施例である。〔実施例6〕(工程1;連続添加) 実施例1と同様にして、過酸化水素水溶液を四つ口フラスコに仕込み、撹拌した。攪拌は工程1および次に説明する工程2を通じて行った。 次に、四つ口フラスコ内の温度を60℃に保ちながら、ラウリルジメチルアミン564g(y=2.64モル)を1.5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、反応温度60℃で3時間反応させて、工程1を終えた。 工程1では、y/x=0.93であった。工程1で得られた反応混合物を分析すると、過酸化水素はなく、残存するラウリルジメチルアミンの濃度は0.8重量%であり、その量(q)は0.069モルであった。また、ラウリルジメチルアミンの転化率は97.4%であった。(工程2) 工程2では、実施例1の工程2を表1に示すように変更する以外は、実施例1の工程2と同様にして工程2を行い、反応生成物であるアミンオキサイドを得た。その結果も表1に示す。〔比較例3〕(アミンへ過酸化水素を連続添加) 温度計、冷却管および攪拌機を取り付けた容量2リットルの四つ口フラスコに、イオン交換水1000gおよびラウリルジメチルアミン564g(y=2.64モル)を入れ、撹拌しながら60℃まで加熱した。なお、攪拌は以下で説明する操作を通じて行った。 次に四つ口フラスコ内の温度を60℃に保ちながら濃度35重量%の過酸化水素水溶液290g(x=2.98モル)を1時間30分かけて連続的に滴下した(y/x=0.89)。滴下終了後、反応温度60℃で6時間反応させて工程を終えた。 得られた反応生成物であるラウリルジメチルアミンオキサイドを分析すると、過酸化水素は無く、色相APHAは60であった。また、ラウリルジメチルアミンの濃度は0.7重量%であり、転化率は97.7%であった。 実施例1で使用した過酸化水素の総量より多くの過酸化水素を使用したにも関わらず、アミンの転化率が低い結果となった。〔比較例4〕(アミンへ過酸化水素を分割添加) 温度計、冷却管および攪拌機を取り付けた容量2リットルの四つ口フラスコに、イオン交換水1000gおよびラウリルジメチルアミン564g(y=2.64モル)を入れ、撹拌しながら60℃まで加熱した。なお、攪拌は以下で説明する操作を通じて行った。 これとは別に、濃度35重量%の過酸化水素水溶液275.1g(x=2.83モル)を3等分し、等分された濃度35重量%の過酸化水素水溶液(91.7g;0.94モル)を、四つ口フラスコに添加する順番に、過酸化水素1、過酸化水素2、過酸化水素3とそれぞれ名づけて準備した。 過酸化水素1を四つ口フラスコに添加した。その後、過酸化水素1の添加から45分間を経過した時点で、過酸化水素2を四つ口フラスコにさらに添加した。その後、過酸化水素2の添加から45分間を経過し、その時点で、過酸化水素3を四つ口フラスコにさらに添加し、反応温度60℃で3時間反応させた。 ここでy/x=0.93であった。また、ここまでで得られた反応混合物を分析すると、過酸化水素は無く、残存するラウリルジメチルアミンの濃度は1.2重量%であり、その量(q)は0.10モルであった。また、ラウリルジメチルアミンの転化率は96.1%であった。 上記で得られた反応混合物に対して、濃度35重量%の過酸化水素水溶液6.90g(p=0.07モル)を添加し、反応温度を80℃に上げて反応を2.5時間行った。 ここではp/q=0.69であった。得られた反応生成物であるラウリルジメチルアミンオキサイドを分析すると、過酸化水素は無く、色相APHAは10であった。また、ラウリルジメチルアミンの転化率は98.3%であった。 表1の脚注は以下のとおり。 LDM:ラウリルジメチルアミン MDM:ミリスチルジメチルアミン LBHE:ラウリルビス(ヒドロキシエチル)アミン ※1:濃度35重量% ※21:過酸化水素水溶液へアミンを分割して添加 ※22:過酸化水素水溶液へアミンを連続的に添加 ※23:アミンを含む分散液へ過酸化水素水溶液を連続的に添加 ※24:アミンを含む分散液へ過酸化水素水溶液を3等分割して順番に添加 アミンを過酸化水素水溶液に添加して反応させる工程1と、 別に用意した過酸化水素水溶液を前記工程1で得られる反応混合物にさらに添加し、反応させる工程2とを含み、 前記工程1において、前記過酸化水素水溶液に含まれる過酸化水素のモル数をxモルとし、前記アミンのモル数をyモルとしたときに、0.80≦y/x<1.00である、アミンオキサイドの製造方法。 反応温度が40〜100℃である、請求項1に記載のアミンオキサイドの製造方法。 前記アミンを分割して添加する、請求項1または2に記載のアミンオキサイドの製造方法。 前記アミンを連続的に添加する、請求項1または2に記載のアミンオキサイドの製造方法。 前記工程2において、前記別に用意した過酸化水素水溶液に含まれる過酸化水素のモル数をpモルとし、前記工程1で得られた反応混合物中のアミンのモル数をqモルとしたときに、1.02≦p/q≦1.10である、請求項1〜4のいずれかに記載のアミンオキサイドの製造方法。 前記アミンが下記一般式(1)で示されるアミンおよび/または一般式(2)で示されるアミンである、請求項1〜5のいずれかに記載のアミンオキサイドの製造方法。 R1R2R3N (1)(但し、R1、R2およびR3は、アルキル基、アルケニル基、官能基が結合したアルキル基、または、官能基が結合したアルケニル基である。官能基は、エステル基、エーテル基またはアミド基である。R1、R2およびR3は、直鎖または分岐鎖のいずれでもよく、また、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。)(但し、R4は、アルキル基、アルケニル基、官能基が結合したアルキル基、または、官能基が結合したアルケニル基である。前記官能基は、エステル基、エーテル基またはアミド基である。A1OおよびA2Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、1種または2種以上から構成されていてもよく、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。mおよびnはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜10であり、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。) 【課題】 色相がよいアミンオキサイドを簡便に反応効率よく製造する方法を提供することである。【解決手段】 アミンオキサイドの製造方法は、アミンを過酸化水素溶液に添加して反応させる工程1と、別に用意した過酸化水素水溶液を前記工程1で得られる反応混合物にさらに添加し、反応させる工程2とを含み、前記工程1において、前記過酸化水素溶液に含まれる過酸化水素のモル数をxモルとし、前記アミンのモル数をyモルとしたときに、0.80≦y/x<1.00である。【選択図】 なし