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タイトル:公開特許公報(A)_卵殻膜含有微粉末、錠剤、卵殻膜含有微粉末の製造方法および錠剤の製造方法
出願番号:2013048943
年次:2013
IPC分類:A61K 35/54,A61K 8/98,A61K 33/06,A61K 9/20,A61P 17/00,A61Q 19/00,A61Q 19/08,A61P 17/14,A61Q 7/00,A61K 9/28,A61K 8/02,A61K 8/19,A23L 1/32,A23L 1/00


特許情報キャッシュ

長谷部 由紀夫 JP 2013216652 公開特許公報(A) 20131024 2013048943 20130312 卵殻膜含有微粉末、錠剤、卵殻膜含有微粉末の製造方法および錠剤の製造方法 長谷部 由紀夫 502451878 アイアット国際特許業務法人 110000121 長谷部 由紀夫 JP 2012057842 20120314 A61K 35/54 20060101AFI20130927BHJP A61K 8/98 20060101ALI20130927BHJP A61K 33/06 20060101ALI20130927BHJP A61K 9/20 20060101ALI20130927BHJP A61P 17/00 20060101ALI20130927BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20130927BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20130927BHJP A61P 17/14 20060101ALI20130927BHJP A61Q 7/00 20060101ALI20130927BHJP A61K 9/28 20060101ALI20130927BHJP A61K 8/02 20060101ALI20130927BHJP A61K 8/19 20060101ALI20130927BHJP A23L 1/32 20060101ALI20130927BHJP A23L 1/00 20060101ALI20130927BHJP JPA61K35/54A61K8/98A61K33/06A61K9/20A61P17/00A61Q19/00A61Q19/08A61P17/14A61Q7/00A61K9/28A61K8/02A61K8/19A23L1/32 ZA23L1/00 AA23L1/00 F 17 OL 16 4B035 4B042 4C076 4C083 4C086 4C087 4B035LC16 4B035LE01 4B035LG43 4B035LK14 4B035LP26 4B035LP59 4B042AC04 4B042AC10 4B042AD40 4B042AE01 4B042AG06 4B042AH09 4B042AP20 4C076AA36 4C076AA44 4C076BB01 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皮膚における(I)型コラーゲンと(III)型コラーゲンの割合は定常的ではなく、加齢に伴って変化する。(III)型コラーゲンは胎児型コラーゲンとも呼ばれるように皮膚の老化と密接な関係があり、胎児のときに最も多く、10代から減り始め、その後は減少の一途をたどる。例えば、15週の胎児の皮膚では(III)型コラーゲンの方が(I)型コラーゲンよりも多いが、成人では、(I)型コラーゲン/(III)型コラーゲンの比率が約3になっているといわれている。 皮膚における(III)型コラーゲンの割合を増すことができれば、加齢による皮膚の老化を止め、肌荒れを防止し、皮膚を滑らかで、柔らかく、シットリとした状態に保つことができる。かかる点から、コラーゲン、特に(III)型コラーゲンの生成を促進することのできる化粧料や栄養剤(ビタミン剤など)の開発が色々試みられ、実用化されている。 卵殻膜は、鶏卵などの鳥類の卵の卵殻の内側にある膜で、内外2枚からなり、外卵殻膜は卵殻内面に密着し、内卵殻膜は卵白を包んでいる。卵殻膜は、強靭な繊維性のタンパク質よりなりなり、オポケラチンとオポムシンを主成分とする。卵殻膜は、昔から相撲部屋で擦り傷などの手当にも使われていたように、皮膚の再生を促進する働きを有することが知られており、最近になって、特に胎児性コラーゲンとも称される(III)型コラーゲンの生成を促進させる作用を有することが報告されている。 このような卵殻膜を用いた技術としては、たとえば、本願出願人により、粉末状に粉砕した卵殻膜を含む錠剤や菓子類などが提案されている(特許文献1、2)。たとえば、特許文献1記載の錠剤には、キューピー株式会社が市販する卵殻膜粉末が用いられている。この卵殻膜粉末は70メッシュで90%以上通過した粒度を有するものである(非特許文献1)。なお、70メッシュは、メッシュの規格にもよるが目開きで約213μm前後に相当する。また、特許文献2記載の菓子類では、150メッシュ(目開き104μm)の標準篩を通過する粒子の含有割合が70質量%以上である卵殻膜粉末が用いられている。特許第3862600号特開2009−165421号公報キューピー株式会社、EMパウダー300の製品カタログhttp://www.kewpie.co.jp/finechemical/products/pdf/01d/em300/em300_pamph.pdf#search='EMパウダー300' 一方、卵殻膜は、繊維状の蛋白質を主成分とし、網目状の構造を有している。そして、この蛋白質は酸、アルカリ、プロテアーゼに対し比較的安定で水に不溶である(非特許文献1)。すなわち、卵殻膜を構成する材料自体は上述したように網目構造の繊維質を主成分として構成され、水等に溶解し難いため、本来的に、人体に消化吸収され難い。このため、更なる消化吸収効率の改善が求められている。 消化吸収効率を改善するためには、たとえば、(1)卵殻膜を酸、アルカリ等により加水分解処理したり、あるいは、(2)より細かく粉砕して卵殻膜粒子の単位体積当たりの表面積を大きくすることで、単位時間当たりの卵殻膜の成分を溶解・溶出させる効率を上げる方法なども挙げられる。しかしながら、加水分解処理では、化学反応を利用するため、加水分解の過程において卵殻膜中に含まれる各種の有効成分が劣化・変性するというデメリットも生じやすい。この点を考慮すると、卵殻膜を機械的に粉砕する方が有利であると考えられる。 一方、卵殻膜をより細かく粉砕した場合の効果を調査すべく、本願出願人は、卵殻膜の消化吸収効率を向上させるために、70メッシュで分級処理して得られた卵殻膜と、150メッシュで分級処理して得られた卵殻膜とについて比較調査した。しかしながら、両者の間には有意な差異は全く見られなかった。すなわち、卵殻膜の消化吸収効率は、粒径に対して単純に比例して増加しない。このため、特許文献1,2に例示されたレベルで、粒径を変化させて卵殻膜を粉砕しても、更なる消化吸収効率の向上は望めない。 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも更に消化吸収効率が改善された卵殻膜含有微粉末およびこれを用いた錠剤、ならびに、当該卵殻膜含有微粉末の製造方法およびこれを用いた錠剤の製造方法を提供することを課題とする。 上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、 本発明の卵殻膜含有微粉末は、体積平均粒子径が6μm以下であることを特徴とする。 本発明の卵殻膜含有微粉末の一実施形態は、体積最大粒子径が20μm以下であることが好ましい。 本発明の卵殻膜含有微粉末の他の実施形態は、卵殻膜成分のみを含むことが好ましい。 本発明の卵殻膜含有微粉末の他の実施形態は、卵殻膜成分と卵殻カルシウム成分とのみを含むことを卵殻膜含有微粉末。 本発明の卵殻膜含有微粉末の他の実施形態は、経口剤用および食品添加用から選択される少なくともいずれか1つの用途で利用されることが好ましい。 本発明の錠剤は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の卵殻膜含有微粉末を含有することを特徴とする。 本発明の錠剤の一実施形態は、賦形剤を含有することが好ましい。 本発明の錠剤の他の実施形態は、卵殻膜成分を10〜40質量%の割合で含有することが好ましい。 本発明の錠剤の他の実施形態は、皮膚の老化、肌荒れ、皮膚疾病から選択される少なくとも1種の症状の予防剤あるいは治療剤であることが好ましい。 本発明の錠剤の他の実施形態は、育毛、発毛促進および脱毛防止から選択される少なくとも1種の剤であることが好ましい。 第一の本発明の卵殻膜含有微粉末の製造方法は、卵殻の内面から剥離して取り出された卵殻膜を少なくとも含む卵殻膜含有原料をガス中で相互に衝突させて微粉砕する微粉砕工程を、少なくとも経て作製されることを特徴とする。 第二の本発明の卵殻膜含有微粉末の製造方法は、卵殻の内面に卵殻膜が付着した状態の卵殻および卵殻膜を少なくとも含む卵殻膜含有原料をガス中で相互に衝突させて微粉砕する微粉砕工程を、少なくとも経て作製されることを特徴とする。 第一および第二の本発明の卵殻膜含有微粉末の製造方法の一実施形態は、微粉砕工程を経た後に、目開き20μm以下の篩で分級して粗大粒子を除去する分級工程を実施することが好ましい。 第一および第二の本発明の卵殻膜含有微粉末の製造方法の他の実施形態は、微粉砕工程が、第一の微粉砕処理と、第二の微粉砕処理とを含み、第一の微粉砕処理を終えた後の原料粉末を高圧蒸気で滅菌処理した後、第二の微粉砕処理を行うことが好ましい。 本発明の錠剤の製造方法は、本発明の卵殻膜含有微粉末を少なくとも含む打錠用原料を用いて、打錠することで裸錠を形成する裸錠形成工程を少なくとも経て錠剤を製造することが好ましい。 本発明の錠剤の製造方法の一実施形態は、裸錠に対して保護コーティング処理を行う保護コーティング工程をさらに実施することが好ましい。 本発明の錠剤の製造方法の一実施形態は、打錠用原料が、卵殻膜含有微粉末と、賦形剤とを含むことが好ましい。 本発明によれば、従来よりも更に消化吸収効率が改善された卵殻膜含有微粉末およびこれを用いた錠剤、ならびに、当該卵殻膜含有微粉末の製造方法およびこれを用いた錠剤の製造方法を提供することができる。(卵殻膜含有微粉末) 第一の本実施形態の卵殻膜含有微粉末は、体積平均粒子径が6μm以下であることを特徴とする。また、第二の本実施形態の卵殻膜含有微粉末は、体積最大粒子径が20μm以下であることを特徴とする。なお、本願明細書において、卵殻膜含有微粉末の「体積平均粒子径」および「体積最大粒子径」は、レーザー回折式粒度分布測定機(LMS−30、株式会社セイシン企業製)を用いて測定した値を意味する。ここで、「体積平均粒子径」は、粒度分布における小粒径側からの累積値が50%における粒子径を意味する。また、卵殻膜含有微粉末の粒子径の測定に際しては、卵殻膜含有微粉末を界面活性剤を用いて水に分散させた測定試料を用いた。 卵殻膜含有微粉末の体積平均粒子径が6μm以下、または、体積最大粒子径が20μm以下となるように、卵殻膜含有微粉末の粒度分布を制御することにより、70メッシュあるいは150メッシュで分級処理して得られた従来の卵殻膜粉末(最大粒子径で100〜200μmの卵殻膜粉末)よりも更に消化吸収効率を改善することができる。 このような効果が得られる理由は定かではないが、本発明者は以下のように推定している。すなわち、最大粒子径で100〜200μm前後、平均粒子径で数十〜百数十μmオーダの従来の卵殻膜粉末では、これらの粒径域レベルで最大粒子径あるいは平均粒子径を変化させて、より細かく粉砕しても消化吸収効率は殆ど改善しない。この理由は、卵殻膜は、繊維状の蛋白質を主成分とした強固な網目状の構造を有しており、これらの粒径域レベルで粉砕された卵殻膜粒子においては、未だに強固な網目構造が維持されているためであると考えられる。すなわち、強固な網目構造が維持されているため、卵殻膜が経口摂取された場合でも胃液や唾液等の各種の消化液によって分解・溶解が促進され難いためであると考えられる。 また、一般的に、粒径が小さくなるほど、粒子の単位体積当たりの表面積はより大きくなる。このため、粒子が消化液に対して可溶性または易溶性の物質のみから構成されるのであれば、粒径が小さくなるに従い消化吸収効率が改善されるものと期待される。しかしながら、上述した粒径域においては、粒径が変化しても消化吸収効率は殆ど改善されない。このことからは、卵殻膜が粉砕される過程で生成した破断面・粉砕面などの一部分が消化液に対して溶解し易くなったに過ぎず、強固な網目構造を維持した状態の卵殻膜粒子の本体部は相変わらず消化液に対して不溶状態または難溶状態を維持しているものと推測される。 一方、本実施形態の卵殻膜含有微粉末では、従来の卵殻膜粉末と比べて、大幅に消化吸収効率が改善する。このような消化吸収効率の改善は、単純に粒径が小さくなったことに起因するものでは無く、卵殻膜を微粉化する過程において、卵殻膜微粒子全体において、卵殻膜が本来有する繊維状の強固な網目状の構造が破壊され、卵殻膜微粒子全体が消化液に対してより溶解し易くなったためであると推測される。 なお、消化吸収効率をより一層改善する観点からは、卵殻膜含有微粉末の体積平均粒子径が6μm以下、かつ、体積最大粒子径が20μm以下であることがより好ましい。 本実施形態の卵殻膜含有微粉末には、微粉化された卵殻膜成分が少なくとも含まれるが、この他に微粉化された卵殻カルシウム成分が含まれていてもよい。この場合、本実施形態の卵殻膜含有微粉末は、卵殻膜成分のみを含む形態(第一形態)、あるいは、卵殻膜成分および卵殻カルシウムのみを含む形態(第二形態)のいずれかであることが特に好ましい。第一形態の卵殻膜含有微粉末の場合は、純粋に卵殻膜成分のみを含むため、錠剤、食品、化粧品等、各種の用途に幅広く本実施形態の卵殻膜含有微粉末を利用することができる。なお、第一形態の卵殻膜含有微粉末および第二形態の卵殻膜含有微粉末のいずれにおいても、製造過程等において混入する不純物成分が含まれることは許容される。 一方、卵殻膜は、卵殻の内側にある膜であり、卵殻膜は、卵殻カルシウムから構成される卵殻から隔離されて取り出される。また、卵殻膜成分を含有する錠剤を製造する場合、錠剤の硬度向上剤として卵殻カルシウムが利用できる。これに加えて、卵殻カルシウムは、人が摂取するカルシウム源としても好適である。これらの点を考慮すると、錠剤等の最終製品が、卵殻膜成分と卵殻カルシウム成分とを同時に含む場合、当該最終製品の製造には、第二形態の卵殻膜含有微粉末を用いることが特に好ましい。この場合、一連の製造過程において、卵殻膜を、卵殻カルシウムから隔離するプロセスを省くことができるため、製造工程の簡略化および低コスト化が図れる。 本実施形態の卵殻膜含有微粉末を構成する卵殻膜は、鳥類の卵の卵殻の内側にある膜(外卵殻膜および/または内卵殻膜)であればいずれも使用できる。そのうちでも、鶏卵の卵殻膜が、入手の容易性、コストなどの点から好ましく用いられる。本実施形態の卵殻膜含有微粉末を製造する場合、市販の卵殻膜粉末、または、市販の卵殻膜粉末および卵殻カルシウムを利用し、これを、体積平均粒子径が6μm以下、および/または、体積最大粒子径が20μm以下まで微粉砕すればよい。あるいは、卵殻に卵殻膜が付着した状態の原料を用いたり、当該原料と卵殻膜粉末とを併用することもできる。なお、卵殻膜粉末としては、たとえば、EMパウダー300(キューピー株式会社製)が利用できる。また、本実施形態の卵殻膜含有微粉末の製造方法の詳細については後述する。 本実施形態の卵殻膜含有微粉末の用途としては特に限定されないが、経口摂取される用途、すなわち、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤などの経口剤用、あるいは、菓子類、健康食品、保存食品、加工食品などの食品添加用などに利用することが好ましい。また、必要に応じて、皮膚への塗布用、毛髪への塗布用、睫毛への塗布用および眉毛への塗布用などにも利用してもよい。 しかしながら、卵殻膜を高濃度で均一に含有し、保存時、流通時、服用時などに変形・崩壊が生じず、取扱い性に優れ、かつ、経口で簡単に服用できる観点からは、本実施形態の卵殻膜含有微粉末は、錠剤に用いられることが特に好ましい。(錠剤) 以下に、本実施形態の卵殻膜含有微粉末を用いた錠剤について説明する。本実施形態の錠剤は、本実施形態の卵殻膜含有微粉末と、賦形剤とを含有する。 本実施形態の錠剤に含まれる微粉末状の卵殻膜成分の含有量は特に制限されない。しかしながら、粒子への造粒および打錠が円滑に行われ、錠剤を経口で摂取(服用)した際のコラーゲン、特に(III)型コラーゲンの生成促進作用が高くなって皮膚の老化や肌荒れ防止効果や皮膚疾病の予防および/または治療効果がより優れたものになり、育毛、発毛促進、脱毛防止効果が高くなり、生体内で生成した活性酸素の低減または消去能が高くなるなどの観点から、錠剤の全質量に対して、卵殻膜成分を10〜40質量%の割合で含有することが好ましく5〜25質量%の割合で含有することがより好ましい。 卵殻膜成分の含有量を10質量%以上とすることにより、コラーゲンの生成促進効果、育毛、発毛促進、脱毛防止効果、活性酸素の低減または消去能を得るために、多量の錠剤を摂取する必要がなくなる。一方、錠剤における卵殻膜の含有量が40質量%以下とすることにより、粒子への造粒および打錠が容易となり、錠剤を製造しやすくなる。 本実施形態の錠剤には、錠剤を形成するために各種の添加剤として、たとえば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を適宜添加できる。 賦形剤は、有効成分が少ない場合に取扱うのに適当な量となるように添加される添加剤である。賦形剤としては、公知の賦形剤が適宜利用できるが、化工澱粉および乳糖の少なくとも1種が用いられることが好ましい。賦形剤の含有量は、賦形性の観点から卵殻膜成分の質量に対して0.5〜3質量倍であることが好ましく、1〜2.5質量倍であることがより好ましい。化工澱粉としては、焙焼デキストリン(白色デキストリン、黄色デキストリンなど)などのデキストリン類、酸化澱粉(次亜塩素酸酸化澱粉など)、低粘性変性澱粉(酸浸漬澱粉、酵素処理澱粉など)などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、化工澱粉としては、デキストリンが好ましく用いられ、具体例としては、日食株式会社製の「ワキシa」、松谷化学株式会社製の「パインファイバー」などを挙げることができる。化工澱粉として、「ワキシa」と「パインファイバー」を併用することが、打錠がより円滑に行われる点からより好ましい。「ワキシa」と「パインファイバー」を併用する場合は、両者を、1:4〜4:1の質量比で用いることが好ましい。 また、賦形剤として、化工澱粉(特に「ワキシa」および「パインファイバー」)と乳糖を併用する場合は、化工澱粉:乳糖の使用割合(質量比)が、1:5〜5:1であることが好ましく、1:3〜3:1であることがより好ましい。 結合剤は、錠剤原料を構成する粉体同士を結着させる目的で用いられる添加剤である。結合剤としては、公知の結合剤が適宜利用できるが、たとえば、デンプン糊、アラビアゴム糊、ヒドロキシプロピルセルロースなどを挙げることができる。 崩壊剤は、唾液などの水分を吸収することで膨張するなどして錠剤を崩壊させることで、卵殻膜成分等の有効成分の放出を容易にするために添加される添加剤である。崩壊剤としては、公知の崩壊剤が適宜利用できるが、たとえば、セルロース類などを用いることができる。なお、デンプンは崩壊剤としての機能も有する。 滑沢剤は、錠剤原料を構成する粉体の流動性を高めて、打錠時の圧縮成形を容易とする目的で用いられる添加剤である。滑沢剤としては、公知の滑沢剤が適宜利用できるが、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステルなどのワックス類やタルク、ビタミンCなどを挙げることができる。 さらに、本実施形態の錠剤は、錠剤の硬度を高くし、錠剤の変形や傷つきを防止して、包装時、保存時、流通時などにおける錠剤の取り扱い性を向上し、摂取性を良好なものにするために、硬度向上剤として卵殻カルシウムを含有することが特に好ましい。錠剤が卵殻カルシウムを含む場合、錠剤の製造に用いる原料としては、第一形態の卵殻膜含有微粉末および卵殻カルシウムを少なくとも用いるか、あるいは、第二形態の卵殻膜含有微粉末を少なくとも用いることができる。 卵殻カルシウムは、鶏卵などの鳥類の卵の殻を粉砕・乾燥してなる微粉末であり、人が摂取可能な卵殻カルシウムであればいずれも使用できる。卵殻カルシウムとしては、例えば、従来から市販されているキューピー株式会社製「カルホープ」、太陽化学株式会社製の卵殻カルシウムなどをそのまま用いることができる。なお、第二態様の卵殻膜含有微粉末を用いて錠剤を製造する場合、これらの卵殻カルシウムの使用を省略してもよい。錠剤中に含まれる卵殻カルシウムの含有量は、錠剤の全質量に対して、5〜20質量%であることが好ましく、8〜15質量%であることがより好ましい。 本実施形態の錠剤は、卵殻膜の体内での吸収を速め、皮膚におけるコラーゲンの生成、特に(III)型コラーゲンの生成を促進させて、皮膚の老化や肌荒れをより効果的に防止して皮膚を滑らかで、柔らかく、シットリとした状態にするために、湿疹、炎症、ヤケドなどの皮膚疾患の予防および/または治癒効果をより高めるために、また育毛、発毛促進、脱毛防止効果をより優れたものにするために、さらに生体内に生成した活性酸素の低減または消去能をより高くするために、卵殻膜成分と共に、β−カロチン、ビタミン類およびローヤルゼリーのうちの少なくも1種を含有することが好ましく、β−カロチン、ビタミン類およびローヤルゼリーの3者を含有することがより好ましい。 本実施形態の錠剤中に含有させるビタミンの種類は特に制限されず、人が摂取可能なビタミンであればいずれでもよく、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンKなどの脂溶性ビタミン類、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンH、ビタミンLなどの水溶性ビタミン類などを挙げることができ、これらのビタミン類の1種または2種以上を含有することができる。β−カロチンおよびビタミン類の含有量は、ヒトが摂取するのに適するそれぞれのビタミンの量に応じて適宜決めることができる。 また、ローヤルゼリーの含有量は、本実施形態の錠剤の上記した作用効果を十分に発揮させ得る点、コストなどの点から、卵殻膜成分の全質量に対して0.1〜1.5質量倍であることが好ましく、0.2〜1質量倍であることがより好ましく、0.5〜0.8質量倍であることが更に好ましい。 本実施形態の錠剤は、錠剤中に含まれる成分の変質や分解を防止し、また錠剤表面の耐傷つき性の向上などの目的で、コーティング皮膜で覆われていることが好ましい。コーティング皮膜は、錠剤のコーティング皮膜として従来から用いられているのと同様の皮膜形成材料から形成することができる。皮膜形成材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、岐阜セラック株式会社製の「セラック」(トラック30)などが利用できる。 また、本実施形態の錠剤は、経口での摂取をし易くするために、糖衣で覆われていることが好ましい。その際の糖衣としては、錠剤に従来から用いられている糖衣であればいずれでもよい。本実施形態の錠剤は、商品価値を高めるために、必要に応じて、適当な色に着色してあってもよい。また、着色後に、艶だし処理を行ってもよい。 本実施形態の錠剤の大きさは特に制限されず、適宜決めることができるが、一般には、直径が約7〜10mm程度の円形や楕円形の錠剤とするのが、取り扱い性、服用のし易さなどの点から好ましい。 さらに、本実施形態の錠剤は、例えば、錠剤1個の重さが約350〜400mg程度であることが好ましく、このような錠剤1個中に卵殻膜成分が約35〜40mgの量で含まれることが好ましい。 例えば、本実施形態の錠剤1個当たり、卵殻膜成分が約35〜40mgの割合で含有されると仮定する。この場合、成人では、当該錠剤を1日当たり1〜2個摂取すると(1日当たり卵殻膜成分を合計で35〜70mg摂取すると)、皮膚におけるコラーゲン、特に(III)型コラーゲンの生成が促進されて、皮膚の老化や肌荒れが防止され、皮膚を滑らかで、柔らかく、シットリとした状態にすることができ、湿疹、炎症、サケドなどの皮膚疾患の予防や治癒が促進され、育毛、発毛促進、脱毛の防止、白髪の減少などがなされ、生体内に生成した活性酸素が消去または低減されて種々の疾病の予防や回復を促進することができる。(卵殻膜含有微粉末の製造方法)本実施形態の卵殻膜含有微粉末は、卵殻膜含有原料をガス中で相互に衝突させて微粉砕する微粉砕工程を、少なくとも経て作製される。このような微粉砕工程では、ノズルから噴射される高圧の空気あるいは蒸気等のガスを超高速ジェットとして粒子に衝突させ、粒子どうしの衝撃によって数ミクロンのレベルの微粒子にまで粉砕する粉砕装置、いわゆるジェットミルが用いられる。このような粉砕方法は、従来の回転刃などの硬質の破砕部材を原料と衝突させて粉砕する粉砕方法と比べて、粉砕時に、破砕部材と原料との接触・衝突などに起因する摩擦熱が殆ど発生しない。このため、卵殻膜中に含まれるアミノ酸や蛋白質などの熱により変性・劣化・分解しやすい成分へのダメージが少ない。すなわち、製造過程で、卵殻膜中の有効成分が失われにくくなる。これに加えて、原料を粉砕するために、破砕部材ではなく高圧ガスを使うため、粉砕装置由来の不純物が卵殻膜含有微粉末に混入することも無い。 一方、破砕部材を原料と衝突させて粉砕する粉砕方法では、30μmレベルよりも小さく粉砕することは困難である。このような粉砕方法で原料を粉砕した場合の粉砕限界粒径は、たとえば、カッターミルでは500μm前後、解砕機では150μm前後、アトマイザーでは50μm前後、インペラーミルでは70μm前後、コントラプレックスミル、ボールミルおよびACMパルペライザーミルでは30μm前後である。このため、仮に、目開き20μm程度の篩を用いて分級処理しても、本実施形態の卵殻膜含有微粉末を殆ど得ることができず、収率も極めて低い。また、上述した粉砕方法では、粉砕時に加熱された粉末が、粉砕後に冷却される段階で、空気中の水分を吸湿しやすくなる。その結果、雑菌・カビが繁殖しやすくなり易いというデメリットもある。 なお、微粉砕工程に用いる卵殻膜含有原料としては、(1)卵殻の内面から剥離して取り出された卵殻膜を少なくとも含む原料(第一形態の卵殻膜含有原料)、および/または、(2)卵殻の内面に卵殻膜が付着した状態の卵殻および卵殻膜を少なくとも含む原料(第二形態の卵殻膜含有原料)のいずれかを用いることができる。ここで、卵殻の内面から剥離して取り出された卵殻膜を少なくとも含む卵殻膜含有原料としては、たとえば、EMパウダー300(キューピー株式会社製)を用いることができる。また、後述する錠剤の製造等のように、後工程において、卵殻カルシウムと卵殻膜とを同時に使用する場合、生産性の観点から、第二形態の卵殻膜含有原料を用いることが好ましい。 微粉砕工程では、ジェットミルにより、卵殻膜含有原料の体積平均粒子径が40μm以下となるまで粉砕することが好ましく、20μm以下となるまで粉砕することがより好ましく、10μm以下となるまで粉砕することがさらに好ましい。また、この場合、体積最大粒子径は20μm以下となるまで粉砕することが好ましい。一方、ジェットミルにより粉砕された卵殻膜含有原料の体積平均粒子径の下限は特に限定されないが、生産性等の実用上の観点からは4μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。 ジェットミルにより粉砕された後の卵殻膜含有原料については、体積最大粒子径が20μm以下、および/または、体積平均粒子径が6μm以下であれば、これをそのまま本実施形態の卵殻膜含有微粉末として利用できる。一方、粒度分布において粒径20μmを超える粗大粒子を含む場合、微粉砕工程を経た後に、目開き20μm以下の篩で分級して粗大粒子を除去する分級工程をさらに実施してもよい。 また、本実施形態の卵殻膜含有微粉末の製造方法では、必要に応じてその他の工程・プロセスを実施してもよい。たとえば、微粉砕工程が、第一の微粉砕処理と、第二の微粉砕処理とを含み、第一の微粉砕処理を終えた後の原料粉末を高圧蒸気で滅菌処理した後、第二の微粉砕処理を行ってもよい。卵殻膜含有原料がジェットミルにより粉砕されて微細化される過程においては、卵殻膜の抗菌性が低下しやすくなるが、上述したように滅菌処理を行うことで本実施形態の卵殻膜含有微粉末にカビや細菌の繁殖を防ぐのが容易となる。 以上に説明したプロセスを経て作製された本実施形態の卵殻膜含有微粉末は、後述する経口用の錠剤・散剤・顆粒剤・液剤の製造、各種の加工食品の製造、疾病予防・治療・美容等の目的で皮膚に塗布するための液剤・乳液・クリームの製造、マスカラやトリートメント液などのように毛髪・眉毛・睫毛等に塗布するための液剤・乳液・クリームの製造に用いることができる。(錠剤の製造方法) 本実施形態の錠剤は、本実施形態の卵殻膜含有微粉末を少なくとも含む打錠用原料を用いて、公知の錠剤製造方法を適宜利用して製造することができる。具体的には、打錠用原料を用いて、打錠することで裸錠を形成する裸錠形成工程(打錠工程)を少なくとも経て本実施形態の錠剤を製造することができる。 なお、打錠用原料には、本実施形態の卵殻膜含有微粉末の他に、卵殻膜成分以外の有効成分、たとえば、β−カロチン、ビタミン類およびローヤルゼリーが含まれていてもよい。これに加えて、通常、賦形剤、結合剤、崩壊剤等から選択される少なくとも1種の添加剤が含まれるが、賦形剤が少なくとも含まれることが好ましい。また、硬度向上剤として、卵殻カルシウムがさらに含まれていてもよい。 裸錠形成工程では、公知の打錠法が利用でき、たとえば、所定の原料を秤量・混合して得られた打錠用原料をそのまま打錠する直接打錠法で実施してもよく、打錠用原料を顆粒に造粒する造粒工程を経てから打錠する顆粒打錠法で実施してもよい。 造粒工程では、たとえば、以下の手順で、打錠用原料を顆粒化することができる。まず、打錠用原料100質量部に対してアルコール(エタノール)を約10質量部〜20質量部の割合で添加してアルコール含有混合物を作製する。次に、このアルコール含有混合物を用いて従来既知の造粒法、例えば、撹拌造粒法、転動造粒法、噴霧造粒法などの造粒方法を採用して造粒を行う。そして、得られた粒子を、たとえば、40℃〜70℃程度の温度で加熱する乾燥工程を行うことで打錠用の顆粒を得ることができる。なお、得られた打錠用の顆粒は、篩を用いて分級して粒度を揃えてから打錠することが好ましい。 裸錠形成工程で用いる打錠装置は、医薬などの分野で錠剤を製造するのに従来から用いられているのと同様の打錠装置を採用して行うことができる。なお、打錠に際して造粒工程および乾燥工程を経て得られた打錠用の顆粒にビタミンCおよびショ糖脂肪酸エステルなどの滑沢剤を添加して打錠を行うことが好ましい。この場合、粒子の流動性および滑艶性が高まり、打錠をより円滑に行うことができる。ここで、滑沢剤としてビタミンCおよびショ糖脂肪酸エステルを用いる場合、その添加量は以下の通りとすることが好ましい。すなわち、打錠時におけるビタミンCの添加量は、乾燥状態の打錠用の顆粒100質量部に対して8〜10質量部であることが好ましい。また、ショ糖脂肪酸エステルの添加量は、乾燥状態の打錠用の顆粒100質量部に対して0.1〜3.0質量部であることが好ましい。 裸錠形成工程を経て得られた裸錠は、これをそのまま本実施形態の錠剤としてもよいが、裸錠に対して保護コーティング処理を行う保護コーティング工程をさらに実施してもよい。保護コーティング工程に用いるコーティング剤の種類は、上記したように特に制限されず、例えば岐阜セラック株式会社製の「セラック」などが用いられる。保護コーティング層のコーティング量は特に制限されないが、一般に、錠剤1個に対し、1〜5mg程度であることが好ましい。 なお、保護コーティングされた錠剤は、そのままで製品として流通、販売してもよいが、錠剤を服用し易くするために糖衣を施すことが好ましい。糖衣を施す糖衣コーティング工程は、1段で行ってもよいが、表面の仕上がりを綺麗にするためには、錠剤を粘度の高い糖分含有ペースト状物で被覆した後、乾燥し、さらに粘度の低い糖分含有ペースト状物や糖分含有液で再度被覆する多段による方法が好ましく採用される。 糖衣材料の種類は特に制限されず、錠剤への糖衣処理に従来から用いられている糖衣材料などのいずれもが使用でき、例えば、グラニュー糖、アラビアガムやゼラチンなどの増粘剤、卵殻カルシウム、焼成牛骨粉などを含有する糖衣材料を用いることができる。 糖衣を施した錠剤は、そのまま流通、販売してもよいが、さらに着色を施すことにより、より綺麗で商品価値の高いものとすることができる。その際の着色方法は特に制限されず、錠剤の表面に着色を施す従来既知の方法と同様にして行うことができる。また、着色後に艶だし処理を行うことによって、錠剤の外観を一層良好なものにすることができる。艶だしは、例えばカルナウバロウなどのような艶だし剤を用いて行うことができる。これにより得られる本実施形態の錠剤は、選別、計量、包装などを行うことによって出荷される。 以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。<<消化実験>>(1)卵殻膜含有粉末サンプルAの準備 卵殻膜含有粉末サンプルAとして、キューピー株式会社のEMパウダー300を用いた。このサンプルは、70メッシュ(目開きで約213μm前後)で90%以上通過した粒度を有するものである。なお、粒径を測定したところ体積最大粒子径は213μm、体積平均粒子径は35μmであった。(2)卵殻膜含有粉末サンプルBの準備 卵殻膜含有粉末サンプルBとして、EMパウダー300をジェットミルで粉砕したものを用いた。なお、ジェットミルとしてはシングルトラックジェットミル(株式会社セイシン企業製、FS−4)を用いて、風量:1.2m3/min、動力:11kwにて、体積最大粒子径が325メッシュ(目開きで約45μm)程度となるまで粉砕を実施した。(3)卵殻膜含有粉末サンプルCの準備 卵殻膜含有粉末サンプルCを以下として、EMパウダー300をジェットミルで粉砕したものを用いた。なお、ジェットミルとしてはシングルトラックジェットミル(株式会社セイシン企業製、FS−4)を用いて、風量:1.2m3/min、動力:11kwにて、体積最大粒子径が800メッシュ(目開きで約20μm)程度となるまで粉砕を実施した。なお、粉砕後の粒径を測定したところ体積最大粒子径は19.6μm、体積平均粒子径は5.8μmであった。(4)消化テスト 200倍に希釈した卵殻膜含有粉末サンプルAの懸濁液0.8mlを入れた試験管4本を準備した。次に、各々の試験管に消化酵素(豚膵臓由来のパクレアチン)を加えて37℃でそれぞれ0分、30分、60分および180分加温した。その後、100℃で5分間加熱し、反応停止後、1500rpmで10分間遠心分離処理を行った後、上澄の可溶性タンパク質をBradford法により測定した。測定結果は、牛血清アルブミンを標準にして換算した。なお、ブランクとして、懸濁液の代わりに0.1Mのリン酸緩衝液を用いた。また、同様のテストを、卵殻膜含有粉末サンプルB、Cについても実施した。(5)評価結果 各卵殻膜含有粉末サンプルの懸濁液に消化酵素を加えて37℃で加温した際に、検出された可溶性タンパク質を加温時間に対して整理した結果を表1に示す。表1から明らかなように卵殻膜含有粉末サンプルCを分散させた懸濁液に消化酵素を加えた場合、卵殻膜含有粉末サンプルA,Bを分散させた懸濁液に消化酵素を加えた場合と比べて、約20%前後も可溶性タンパク質の検出量が大きいことが分かった。これに対して、卵殻膜含有粉末サンプルAを分散させた懸濁液に消化酵素を加えた場合と、卵殻膜含有粉末サンプルBを分散させた懸濁液に消化酵素を加えた場合とでは、可溶性タンパク質の検出量に差異は見られなかった。<<錠剤の作製>>(1)打錠用の顆粒の製造: 卵殻膜含有粉末サンプルC:20.0質量部、日食株式会社製「ワキシa 」:10.0質量部、松谷化学株式会社製「パインファイバー」:20.0質量部、乳糖(メグレ社製):25.9質量部、卵殻カルシウム(キューピー株式会社製「カルホープ」):10質量部、β− カロチン:5.0質量部、ビタミンB:20.05質量部、ビタミンE:0.05質量部およびナイアシン:2.0質量部をV型混合機を用いて混合して原料混合物を調製した。次いで、その原料混合物93.0質量部に対して、エチルアルコール15質量部を混合し、これにより得られた混合物を、湿式造粒装置を用いて造粒し、次いで温度50℃で約16時間乾燥して、打錠用の顆粒を製造した。(2)打錠: 次に、打錠用の顆粒100質量部に対して、ビタミンCを9質量部およびショ糖脂肪酸エステルを1質量部の割合で混合し、それにより得られた混合物を、打錠装置を使用して、1粒が200mgの裸錠を製造した。(3)保護コーティング: 次に、裸錠の表面に、コーティング装置を使用して、岐阜セラック株式会社製「セラック」の水溶液を塗布し、温度40℃で2時間乾燥して、保護コーティングされた錠剤(保護コーティング錠)を得た。(4)糖衣被覆: 十分に乾燥させた保護コーティング錠の表面に、糖衣被覆装置を使用して、糖衣用ペーストA(グラニュー糖70質量部、アラビアガム3質量部、ゼラチン4質量部、卵殻カルシウム3質量部および水65質量部を混合したペースト)を被覆した後、温度約40℃で約4時間乾燥した。その後、糖衣用ペーストAに水を加えて希釈した糖衣用ペーストBを調製した。さらに、糖衣用ペーストAでコーティング処理および乾燥処理された錠剤の表面に、糖衣被覆装置を使用して、糖衣用ペーストBを、被覆した後、温度約40℃で約4時間乾燥した。これにより糖衣用ペーストでコーティングされた錠剤(糖衣コーティング錠)を得た。(5)色付け: 糖衣コーティング錠の表面に、三栄源社製「SRレッドK3」を含む着色液を塗布した後、40〜50℃で4時間乾燥して、赤色に着色した錠剤(着色錠)を製造した。(6)艶だし: 着色錠の表面に、カルナウバロウを用いて、艶だしを行った。これにより得られた錠剤1個の質量は400mgであり、錠剤1個当たり卵殻膜成分を約40mgの割合で含有していた。(7)選別−計量−包装: 艶出し処理を行った錠剤を選別して不良品を除き、製品検査後に計量し、乾燥剤を同封した二重袋で包装した。なお、錠剤は、十分な硬度および形状保持性を有しており、選別、検査、包装時に変形したり、崩壊したりすることがなく、取り扱い性に優れていた。<<卵殻膜粉末の摂取による肝障害に対する効果>>(1)実験目的鶏卵卵殻膜は、食品産業における副産物としてほとんどが廃棄されており、その有効利用が望まれている。この実験以前に、正常ラット肝臓におけるトランスクリプトーム(transcriptome)解析において、卵殻膜摂取が肝線維化に関わる遺伝子の発現に影響を与えることを見いだした。そこで、今回は、四塩化炭素誘発性肝障害ラットを用い、卵殻膜成分の長期摂取が肝障害の進行に対して効果があるかどうかを、他の研究者と共に検討した。(2)実験方法3週齢Wistar系雄性ラットを1週間予備飼育後、無作為に3群(N=6)に分け、標準食(A、B群)および卵殻膜粉末1%添加食(C群)で13週間飼育した。B、C群には50%四塩化炭素を1kgにつき1ミリリットル(=1ml/kg)の割合で、その体重に合わせ、週2回連続皮下投与し、肝障害を誘導した。A群にはオリーブ油(1ml/kg)をその体重に合わせ、同様に投与した。実験終了時に12時間絶食後、頸動脈から採血し、肝臓等を摘出した。肝機能や脂質代謝に関わる血漿指標を測定した。肝臓から抽出したRNAを実験群毎にプールした後、DNAマイクロアレイ解析(Rat Genome 230 v2.0, Affymetrix)に供し、炎症、線維化、酸化ストレス、脂質代謝関連の遺伝子の発現に注目して解析を行った。(3)結果C群では、四塩化炭素投与により生じた、a.体重減少、b.肝臓および腎臓の腫大、c.上昇したアスパラギン酸アミノトランスファーゼ(aspartate aminotransferase(AST))や上昇したアラニンアミノトランスファーゼ(alanine aminotransferase(ALT))の各活性、のそれぞれについて改善効果が認められた。同様に血漿中脂質、血漿Fischer ratioおよび肝臓中脂質のいずれも回復傾向を示した。一方、B群と比べ、C群に79個の遺伝子が発現増加し、33個の遺伝子が発現減少していた。これらの遺伝子に対してネットワーク解析を行った結果、卵殻膜摂取による肝臓への脂質蓄積抑制は、SREBP-1c調節シグナルの調節因子であるSHPを介した経路等複数の経路が関わっていることが示唆された。さらに、C群では、抗炎症、抗酸化酵素のHeme Oxygenase- 1、その上流の調節遺伝子AP−1、JUNの発現が上昇している事が明らかとなった。これは四塩化炭素により誘発された酸化ストレスから生体を保護するための応答であることが推察された。<<800メッシュの卵殻膜微粉末の摂取効果>>(1)実験目的これまでに、ラットにおいて鶏卵卵殻膜成分の長期摂取が四塩化炭素誘発性肝障害を改善することが報告されている。また、トランスクリプトーム解析によりその作用には酸化ストレス低減が関与している可能性が示されている。そこで、今回は、そのメカニズムを更に明瞭にするため、長期および短期の卵殻膜の摂取が生体内過酸化脂質生成に影響を及ぼすかを、他の研究者と共に検討した。(2)実験方法3週齢Wistar系雄性ラットを1週間予備飼育後、無作為に3群(N=6)に分け、標準食(A、B群)および卵殻膜微粉末添加食(C群)を長期(13週間)および短期(7週間)の間、給餌した。B、C群には、オリーブ油に溶解した50%四塩化炭素(1ml/kg)をその体重に合わせ、週2回連続皮下投与し、酸化ストレスおよび肝障害を誘導した。A群にはオリーブ油(1ml/kg)をその体重に合わせ、同様に投与した。なお、長期の摂取実験では、C群に、70メッシュ卵殻膜微粉末1%を含む食餌で13週間飼育した。70メッシュ卵殻膜微粉末とは、EMパウダー300をジェットミルで粉砕し、70メッシュ(目開きで約213μm前後)で90%以上通過した粒度を有するものであり、体積最大粒子径は213μm(ミクロン)、体積平均粒子径は35μmのものである。短期の摂取実験では、C群に、より微少な800メッシュの卵殻膜微粉末2%を含む食餌で7週間飼育した。800メッシュの卵殻膜微粉末とは、EMパウダー300をジェットミルで粉砕し、体積最大粒子径が800メッシュ(目開きで約20μm)程度となるまで粉砕を実施したもので、粉砕後の体積最大粒子径は19.6μm、体積平均粒子径は5.8μmのものである。そして、実験終了時に12時間絶食後、頸動脈から採血し、肝臓等を摘出した。肝機能指標や体内抗酸化酵素、およびチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)値をそれぞれ測定した。(3)結果いずれの飼育期間においても、C群では、四塩化炭素投与により生じた、a.体重減少、b.肝臓および腎臓の腫大、c.上昇したアスパラギン酸アミノトランスファーゼ(aspartate aminotransferase(AST))や上昇したアラニンアミノトランスファーゼ(alanine aminotransferase(ALT))の各活性、のそれぞれについて改善効果が認められた。一方、血漿中のスーパーオキサイドジスムターゼ(superoxide dismutase)やカタラーゼ(catalase)など抗酸化酵素の濃度は変化しなかったが、血漿および肝臓中のチオバルビツール酸反応性物質(TBARS(Thiobarbituric acid reactive substances))の濃度が、卵殻膜長期摂取と卵殻膜短期摂取の各実験では、それぞれ約15から25%低下した。以上の結果から、卵殻膜は、四塩化炭素により誘発した過酸化脂質の生成を抑えることで、結果的に肝臓の炎症拡大、さらには、進行する肝障害を抑制している可能性が推察された。また、粒子径は小さい方、特に上述の800メッシュの卵殻膜微粉末、が効果的であることが明らかになった。すなわち、体積平均粒子径が6μm以下または/および体積最大粒子径が20μm以下の卵殻膜含有微粉末は、酸化ストレス抑制作用が大きく、肝臓の炎症、障害を大きく抑制する。 体積平均粒子径が6μm以下であることを特徴とする卵殻膜含有微粉末。 体積最大粒子径が20μm以下であることを特徴とする卵殻膜含有微粉末。 請求項1または2に記載の卵殻膜含有微粉末において、 卵殻膜成分のみを含むことを特徴とする卵殻膜含有微粉末。 請求項1または2に記載の卵殻膜含有微粉末において、 卵殻膜成分と卵殻カルシウム成分とのみを含むことを卵殻膜含有微粉末。 請求項1〜4のいずれか1に記載の卵殻膜含有微粉末において、 経口剤用および食品添加用から選択される少なくともいずれか1つの用途で利用されることを特徴とする卵殻膜含有微粉末。 請求項1〜4のいずれか1つに記載の卵殻膜含有微粉末を含有することを特徴とする錠剤。 請求項6に記載の錠剤において、 賦形剤を含有することを特徴とする錠剤。 請求項6または7に記載の錠剤において、 前記卵殻膜成分を10〜40質量%の割合で含有することを特徴とする錠剤。 請求項6〜8のいずれか1つに記載の錠剤において、 皮膚の老化、肌荒れ、皮膚疾病から選択される少なくとも1種の症状の予防剤あるいは治療剤であることを特徴とする錠剤。 請求項6〜9のいずれか1つに記載の錠剤において、 育毛、発毛促進および脱毛防止から選択される少なくとも1種の剤であることを特徴とする錠剤。 卵殻の内面から剥離して取り出された卵殻膜を少なくとも含む卵殻膜含有原料をガス中で相互に衝突させて微粉砕する微粉砕工程を、少なくとも経て作製されたことを特徴とする卵殻膜含有微粉末の製造方法。 卵殻の内面に卵殻膜が付着した状態の卵殻および卵殻膜を少なくとも含む卵殻膜含有原料をガス中で相互に衝突させて微粉砕する微粉砕工程を、少なくとも経て作製されたことを特徴とする卵殻膜含有微粉末の製造方法。 請求項11または12に記載の卵殻膜含有微粉末の製造方法において、 前記微粉砕工程を経た後に、目開き20μm以下の篩で分級して粗大粒子を除去する分級工程を実施することを特徴とする卵殻膜含有微粉末の製造方法。 請求項11〜13のいずれか1つに記載の卵殻膜含有微粉末の製造方法において、 前記微粉砕工程が、第一の微粉砕処理と、第二の微粉砕処理とを含み、前記第一の微粉砕処理を終えた後の原料粉末を高圧蒸気で滅菌処理した後、前記第二の微粉砕処理を行うことを特徴とする卵殻膜含有微粉末の製造方法。 請求項11〜14のいずれか1つに記載の卵殻膜含有微粉末を少なくとも含む打錠用原料を用いて、打錠することで裸錠を形成する裸錠形成工程を少なくとも経て錠剤を製造することを特徴とする錠剤の製造方法。 請求項15に記載の錠剤の製造方法において、 前記裸錠に対して保護コーティング処理を行う保護コーティング工程をさらに実施することを特徴とする錠剤の製造方法。 請求項15または16に記載の錠剤の製造方法において、 前記打錠用原料が、前記卵殻膜含有微粉末と、賦形剤とを含むことを特徴とする錠剤の製造方法。 【課題】従来よりも更に卵殻膜成分の消化吸収効率を改善すること。【解決手段】体積平均粒子径が6μm以下、および/または、体積最大粒子径が20μm以下であることを特徴とする卵殻膜含有微粉末およびこれを用いた錠剤、ならびに、卵殻膜含有微粉末の製造方法およびこれを用いた錠剤の製造方法。【選択図】なし


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