タイトル: | 特許公報(B1)_経皮吸収用医薬組成物 |
出願番号: | 2013042068 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 31/381,A61K 47/10,A61K 47/14,A61K 9/06,A61P 25/24,A61P 25/04,A61P 25/06,A61P 29/00,A61K 9/70 |
小幡 誉子 高山 幸三 JP 5376481 特許公報(B1) 20131004 2013042068 20130304 経皮吸収用医薬組成物 日本臓器製薬株式会社 000231796 藤井 郁郎 100125427 小幡 誉子 高山 幸三 20131225 A61K 31/381 20060101AFI20131205BHJP A61K 47/10 20060101ALI20131205BHJP A61K 47/14 20060101ALI20131205BHJP A61K 9/06 20060101ALI20131205BHJP A61P 25/24 20060101ALI20131205BHJP A61P 25/04 20060101ALI20131205BHJP A61P 25/06 20060101ALI20131205BHJP A61P 29/00 20060101ALI20131205BHJP A61K 9/70 20060101ALI20131205BHJP JPA61K31/381A61K47/10A61K47/14A61K9/06A61P25/24A61P25/04A61P25/06A61P29/00A61K9/70 401 A61K 31/381 A61K 9/06 A61K 9/70 A61K 47/10 A61K 47/14 A61P 25/04 A61P 25/06 A61P 25/24 A61P 29/00 CAplus/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 国際公開第2010/016219(WO,A1) 特表2007−522249(JP,A) 特開2012−193176(JP,A) 国際公開第2000/029021(WO,A1) 国際公開第2012/077651(WO,A1) 花岡一雄ら,ペインクリニック,2012年 1月,Vol.33, No.1,p.99-102 12 9 20130607 高橋 樹理 本発明は、デュロキセチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する経皮吸収用医薬組成物又はこの組成物を含有する医薬に関する。 うつ病は、気分障害の一種であり、抑うつ気分(不安、焦燥など)、意欲の低下(無気力、億劫など)、精神活動の低下(考えがまとまらないなど)、各種の身体症状(不眠、易疲労感、頭重・頭痛、食欲不振など)を呈する精神疾患である。うつ病は、近年罹患者数が増大しており、重症化すると日常生活に支障をきたし、自殺企図など生命に係ることもあることから、社会的にも重要な疾患である。そこで、その発症機序の解明が望まれているが、うつ病の発症には精神的な要因と脳神経科学的な要因が複雑に絡んでいると考えられ、十分な解明には至っていない。うつ病の治療は、軽症のものについては心理学的なケアを行うことが大切であるとされているが、中等症・重症例では抗うつ剤による薬物療法が推奨されている。抗うつ剤としては、イミプラミンやアミトリプチリンなどの三環系抗うつ剤(第1世代)が先ず開発され使用されてきた。しかし、三環系抗うつ剤は、シナプス後部のヒスタミンH1受容体、アセチルコリン性ムスカリンM1受容体、アドレナリン性α1受容体なども遮断するため、抗コリン作用による便秘や排尿障害などの副作用が多かった。また、大量服用では致死的になるという問題があった。そこで、より副作用の少ない四環系抗うつ剤(第2世代)が開発されたが、抗うつ効果に物足りなさがあり、抗コリン作用もまだ残っていた。1980年代に、さらに抗コリン作用による副作用の少ないセロトニン選択的再取り込み阻害剤(SSRI)(第3世代)が開発された。SSRIは画期的な抗うつ剤であるが、脳内や腸管のセロトニン受容体に対する刺激作用による吐気や嘔吐、服薬中断による離脱症候群などの新たな副作用を生じさせる問題があった。その後、1990年代になって、選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)が開発され、胃腸症状はなお残るものの、抗コリン作用がなく、SSRIでは治療が不十分であった患者にも効果のある薬剤として、広く臨床現場で使用されている。 デュロキセチン〔化学名:(+)−(S)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン〕は、近年開発されたSNRIの一つである。脳内神経接合部においてセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害することにより抗うつ作用を発揮することが知られている。日本を含め各国で販売されているカプセル製剤の有効成分はデュロキセチン塩酸塩である。本願においては、特に断らない限り、デュロキセチン塩酸塩を含めて単にデュロキセチンと呼ぶことがある。 デュロキセチンは、三環系や四環系抗うつ剤のように神経伝達物質の受容体に結合しないことから抗コリン作用による副作用がなく、また、第3世代の抗うつ剤であるSSRIのように脳内や腸管でセロトニン受容体を刺激することによる吐気や嘔吐の副作用も少ない。効果的にも、セロトニンに加えてノルアドレナリンの再取り込みも阻害することから、セロトニンの再取り込みを選択的に阻害するSSRIでは改善しない、ノルアドレナリンの低下による意欲の低下や興味の喪失にも効果を有するとされる。また、デュロキセチンは、抗うつ作用のみならず疼痛にも有効であり、糖尿病性神経障害に伴う疼痛をはじめとする神経障害性疼痛、線維筋痛症、変形性関節症に伴う痛み、慢性腰痛等に対する治療効果が報告されている。日本においてデュロキセチンは、抗うつ剤の中で唯一、適応症に糖尿病性神経障害に伴う疼痛を有している。 デュロキセチンは、酸性条件で不安定である。そのため、デュロキセチン塩酸塩を腸溶性コーティングした顆粒を詰めた経口用硬カプセル剤として各国で販売されている。デュロキセチンのカプセル製剤化に関する技術は特許文献1に開示されている。しかしながら、デュロキセチンを有効成分とする経皮吸収用医薬組成物については、これまで報告がされていない。うつ病の薬物療法においても、血中の薬物濃度を有効濃度で一定に維持することが、副作用を低減して患者への治療効果を最大限もたらすために重要であることは変わらない。しかし、うつ病の治療では、抗うつ剤の効果が現れるまでに時間がかかること、服薬が年単位の長期にわたること、うつ症状が寛解・増悪を繰り返すといった特殊性がある。そのため、うつ病の治療に一般的に使用されている経口剤を患者がコンプライアンス(医師から処方された薬剤を患者が指示通りに使用すること)よく服薬することがしばしば困難で、飲み忘れによる症状の悪化や改善の遅れ、あるいは胃腸障害の副作用を起こすことがあった。また、既存のデュロキセチン製剤の剤型は上記のように硬カプセル剤のみであるが、カプセル剤は通常の錠剤に比してサイズが大きいため、成人でも嚥下し難い場合があり、特に嚥下能力が低下した年配者には適さない面があった。このような硬カプセル剤等の経口剤に対し、薬剤を経皮吸収させて投与する経皮剤は、薬剤が持続的に徐々に皮膚から吸収されるため、経口剤に比べて、有効血中濃度を持続的に維持することが可能である。加えて、経皮剤の場合、胃腸障害を回避できるほか、最高血中濃度が一気に上昇することがないことから、副作用を回避し易くなる。また、経皮投与は、肝臓での薬剤の代謝による初回通過効果を回避できることから、経口投与より少量の薬剤で血中有効用量を維持できる可能性があり、胃を経由しないことからデュロキセチンが胃酸で不活化されることも回避できる。さらに、薬剤を支持基材に塗布して貼付剤とした場合には、患者が薬剤を使用していることを患者のみならず、医師や看護師、家族などが容易に確認できる。その他、貼付剤は、副作用発生時にも剥すことによって以降の薬剤吸収を中止できるメリットがある。従って、経皮剤は患者のコンプライアンス及びクオリティー・オブ・ライフ(QOL)の改善、安全性等の面から非常に有用である。しかし、薬剤の種類によっては経皮吸収され難いものもあり、適切な経皮吸収製剤になり得る処方を見出すことが困難な場合も多い。特開平8−40895号公報 本発明の目的は、有効成分であるデュロキセチン又はその薬学的に許容される塩の優れた皮膚透過性と少ない皮膚刺激性を特徴とする、新規な経皮吸収用医薬組成物又はこれを含有する医薬を提供することにある。 これまでに薬物の皮膚透過促進剤として多くの化合物が検討されている。しかし、実際に製剤に使用するにあたっては、吸収促進効果のみならず生体への安全性も必要であるため、研究において使用された化合物(成分)の多くは、臨床に適用されるにはいたっていない。そこで、本発明者らは、実際に医薬品や化粧品等に配合されている成分を中心に、鋭意デュロキセチンの皮膚透過性と皮膚刺激性について検討を行った。その結果、メントール、イソプロピルアルコール及びミリスチン酸イソプロピルを用いた場合、デュロキセチンの経皮吸収性が顕著に亢進され、且つ、皮膚刺激性の少ないことを見出した。特に、それら成分をどのような量と比率で配合するのが最適であるかを見出し、本発明を完成した。 本発明医薬組成物は、デュロキセチン又はその薬学的に許容される塩を経皮吸収により安全に効果を発揮させることができるものである。従って、本発明医薬組成物を含有する医薬は、外用剤として有用である。特に貼付剤とした場合、コンプライアンスよく長期間使用可能な経皮吸収型の抗うつ薬又は鎮痛薬として非常に有用性が高いものである。図1は、実施例1のインビトロ皮膚透過性試験において、各処方のデュロキセチンの皮膚透過速度を示したグラフである。図2は、実施例1のインビトロ皮膚透過性試験において、各処方のデュロキセチンの遅延時間を示したグラフである。図3は、実施例1のインビトロ皮膚刺激性試験において、各処方の生細胞率を示したグラフである。 本発明は、デュロキセチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分とし、添加剤としてメントール、イソプロピルアルコール及びミリスチン酸イソプロピルを含有する新規な経皮吸収用医薬組成物又はこれを含有する医薬に関する。 本発明医薬組成物又は医薬の有効成分は、デュロキセチン又はその薬学的に許容される塩である。塩としては、薬学的に許容される酸付加塩であれば特に制限なく使用でき、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩や酢酸、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、フマール酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩を挙げることができる。好ましくは、市販され広く臨床的に用いられているデュロキセチン塩酸塩が挙げられる。また、本願においては、デュロキセチンの水和物や溶媒和物も本発明の有効成分であるデュロキセチンに包含される。 本発明医薬組成物又は医薬において有効成分として含有されるデュロキセチン又はその薬学的に許容される塩の量は、0.5乃至10重量%、好ましくは1乃至5重量%、より好ましくは2乃至4重量%とすることができる。 本発明医薬組成物で使用されるメントールは、その光学異性体であるl−メントール、dl−メントールを包含する。また、メントールを主成分とするハッカ油やハッカ水も本発明のメントールに包含される。メントールとしては、特に、l−メントールが好ましい。使用されるメントールの量は、後述する剤形などによって異なるが、1乃至5重量%、好ましくは2.3乃至2.9重量%、より好ましくは2.5乃至2.7重量%とすることができる。 本発明医薬組成物又は医薬において使用されるイソプロピルアルコールの量は、10乃至20重量%、好ましくは13.5乃至16.5重量%、より好ましくは14.5乃至15.5重量%とすることができる。 本発明医薬組成物又は医薬において使用されるミリスチン酸イソプロピルの量は、5乃至15重量%、好ましくは9.0乃至11.0重量%、より好ましくは9.5乃至10.5重量%とすることができる。 上記イソプロピルアルコールとミリスチン酸イソプロピルの重量%の比率は、1:1乃至4:1、好ましくは1:1乃至2:1、より好ましくは1.2:1乃至1.8:1とすることができる。 本発明に係る経皮吸収用医薬組成物を含有する医薬の具体的な剤形としては特に制限はなく、例えば、液剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤、スプレー剤、貼付剤、テープ剤等の外用剤として製剤化できる。製剤化に際しては、各剤形に適した添加剤や基剤を適宜使用し、日本薬局方の製剤総則などに記載される通常の方法に従って製造することができる。処方にあたっては、デュロキセチンと共に他の医薬活性成分との配合剤としてもよい。 貼付剤の例としては、ヒドロゲルの形態の貼付剤(パップ剤)に製剤化することが挙げられる。ヒドロゲルの作製は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等の粘稠剤を用い、水で膨潤させて基剤とするという、通常行われている方法を利用でき、主薬であるデュロキセチンや上記添加剤を製剤中に均一に混合させるために、イソプロパノールやエタノール等の適当な溶剤を用いて製剤化することができる。 本発明の経皮吸収用医薬組成物及び医薬は、うつ病又は慢性疼痛等で従来経口用デュロキセチンを投与されていた患者に用いることができる。鎮痛剤としては、慢性腰痛等の慢性疼痛の他、或いはこれに含まれるものとして、糖尿病性神経障害に伴う疼痛等の神経因性疼痛、頭痛、偏頭痛、緊張性頭痛、慢性骨盤痛、筋肉痛、関節痛、腰痛、線維筋痛症等の種々の痛みの治療に用いられ得る。また、他にも例えば、デュロキセチンの効果が報告されている全般性不安障害や腹圧性尿失禁等の疾患の治療にも用いられ得る。 以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1.最適処方の検討(1)デュロキセチン含有ヒドロゲルの作製 ボックス−ベンケン計画(Box−Behnken Design)に基づき、表1のようにl−メントール、イソプロピルアルコール及びミリスチン酸イソプロピルの濃度を割り当てて27種類の処方をデザインし、デュロキセチン含有ヒドロゲルを以下の方法で作製した。なお、以下の本実施例においては、デュロキセチンの塩酸塩を用い、各組成成分の表示重量%は最終の総量(100重量%)に対するものである。 ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースをそれぞれ1重量%となるように水に添加し、12時間放置して基剤を膨潤させた。その後、デュロキセチン、l−メントール、イソプロピルアルコール及びミリスチン酸イソプロピルを表1の割合で添加し、マグネチックスターラーで12時間撹拌して均一なヒドロゲルとした。なお、成分の配合量の増減に伴って使用する水の量を加減し、総量が100重量%となるようにした。(2)インビトロ(in vitro)皮膚透過性試験 7週齢の雄性Hos:HR−1系ヘアレスマウス摘出皮膚(登録商標:ラボスキン、株式会社星野実験動物飼育所)を縦型拡散セル(有効拡散面積:2.01cm2、レシーバーセル体積16.0 mL)に皮膚角質層がドナー側、皮膚基底膜がレシーバー側となるように装着した。レシーバーセルにpH 7.4のリン酸緩衝生理食塩液(PBS)を16mL満たして32℃の温浴下で加温し、加温開始30分後に上記のヒドロゲル1.0gをドナーセル内に適用した。レシーバーセルから1時間ごとに20μLの溶液を分取して、デュロキセチンを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で定量した。また、分取後直ちに、20μLのPBSをレシーバーセルに補充した。HPLCは、移動相がアセトニトリル:リン酸二水素カリウム緩衝液=40:60、カラムがYCM−Pack ODS−A(150mm×4.6mmI.D.)、波長が229nm、流速1.0mL/分、カラム温度が室温、注入量が20μLの条件にて実施した。なお、試験は各々3回行い、平均値±標準偏差を求めた。各処方における単位面積当たりのデュロキセチンの累積皮膚透過量を経時的に測定した結果(累積透過量−時間曲線のグラフ)からデュロキセチンの皮膚透過速度(μg/cm2/時間)〔皮膚透過速度は累積透過量−時間曲線のプロットを直線回帰して得られた回帰直線の傾きである〕を算出した結果を図1に示した。さらに、この回帰直線より求めた遅延時間〔皮膚透過速度が定常状態に達するまでの時間〕を図2に示した。(3)インビトロ(in vitro)皮膚刺激性試験 ヒト三次元培養皮膚に上記ヒドロゲルを適用し、生細胞率の算出により皮膚刺激性を評価した結果を図2に示した。ヒト三次元培養皮膚は、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J−TEC)製のヒト三次元培養表皮キット(登録商標:LabCyte EPI−MODEL24)を使用し、キットに添付された取扱説明書に従って皮膚刺激性を評価した。(4)最適処方の解析 最適処方は、アズビル株式会社(Azbil Corporation)製の解析ソフト(登録商標:dataNESIA)を使用して解析した。本解析ソフトは、重調和スプライン補間により実験データから応答局面を作成し、最適値を探索することができる(Savemation Review 2003年 Vol.21 32−39項:http://www.azbil.com/jp/library/review/pdf/2003_8_05.pdf)。l−メントール、イソプロピルアルコール及びミリスチン酸イソプロピルの濃度を要因とし、上記のインビトロ皮膚透過性試験により得られたデュロキセチンの皮膚透過速度及び遅延時間並びに上記のインビトロ皮膚刺激性試験で得られた生細胞率を特性値として本解析ソフトにより応答局面を作成した。製剤の大きさを25cm2として、既存のデュロキセチン製剤のインタビューフォームに記載されている最高血中濃度を目標値として設定し、生細胞数を80%と設定して、前述の応答局面から皮膚透過速度が高く、遅延時間が短くなる最適処方を探索した。その結果、l−メントールが約2.6重量%(最適解2.5667%)、イソプロピルアルコールが約15重量%(同14.764%)及びミリスチン酸イソプロピルが約10重量%(同10.049%)のとき、吸収速度が約3000μg/cm2/時間、遅延時間が約4時間及び細胞生存率が約80%と計算された。なお、本願において「約」を付けた記載量については、その±10%の範囲が好ましい量として許容される(第16改正日本薬局方の通則35参照)。 上記薬理試験の結果から明らかなように、メントール、イソプロピルアルコール及びミリスチン酸イソプロピルを含有させることにより、デュロキセチンの経皮吸収性を促進し、顕著な薬理効果を発現させることが可能となった。さらに、デュロキセチンの経皮吸収性が顕著に亢進され、且つ、皮膚刺激性の少ない最適処方を見出した。本発明医薬組成物を含有する医薬は、うつ病治療薬として広く臨床で使用され、また鎮痛剤としての有用性も認められているデュロキセチンを有効成分とするものであり、経皮吸収性に優れ、コンプライアンスよく長期間使用可能な経皮吸収型の抗うつ剤及び鎮痛剤として非常に有用性が高いものである。 デュロキセチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する経皮吸収用の医薬組成物であって、当該医薬組成物100重量%に対してデュロキセチン又はその薬学的に許容される塩を1乃至5重量%、メントールを2.3乃至2.9重量%、イソプロピルアルコールを13.5乃至16.5重量%及びミリスチン酸イソプロピルを9.0乃至11.0重量%含有する経皮吸収用医薬組成物。 デュロキセチン又はその薬学的に許容される塩がデュロキセチン塩酸塩である請求項1に記載の経皮吸収用医薬組成物。 メントールがl−メントールである請求項1又は2に記載の経皮吸収用医薬組成物。 ヒドロゲルの形態である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の経皮吸収用医薬組成物。 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物を含有する医薬。 抗うつ剤である請求項5に記載の医薬。 鎮痛剤である請求項5に記載の医薬。 鎮痛剤が慢性疼痛、神経因性疼痛、頭痛、偏頭痛、緊張性頭痛、慢性骨盤痛、筋肉痛、関節痛、腰痛又は線維筋痛症の治療又は予防剤である請求項7に記載の医薬。 鎮痛剤が慢性疼痛、神経因性疼痛又は線維筋痛症の治療又は予防剤である請求項7に記載の医薬。 鎮痛剤が神経因性疼痛又は線維筋痛症の治療又は予防剤である請求項7に記載の医薬。 鎮痛剤が糖尿病性神経障害に伴う疼痛の治療又は予防剤である請求項7に記載の医薬。 貼付剤の形態である請求項5乃至11のいずれか一項に記載の医薬。【課題】デュロキセチン又はその薬学的に許容される塩の皮膚透過性を亢進させ、優れた薬理効果を発揮させるとともに、皮膚刺激性が少ないという特徴を有する、新規な経皮吸収用医薬組成物及びこれを含有する医薬を提供する。【解決手段】本発明は、デュロキセチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分とし、メントール、イソプロピルアルコール及びミリスチン酸イソプロピルを含有する新規な経皮吸収用医薬組成物及びこれを含有する医薬に関する。本発明組成物及び医薬は、うつ病の治療薬として広く臨床で使用され、慢性疼痛等用の鎮痛剤としての有用性も認められているデュロキセチンを有効成分として含有するものであり、有効性と安全性に優れ、コンプライアンスよく長期間使用可能な経皮吸収型の抗うつ剤及び鎮痛剤として非常に有用性が高いものである。【選択図】図1