タイトル: | 特許公報(B1)_枠練り透明石鹸 |
出願番号: | 2013041410 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C11D 9/30,A61K 8/36,A61K 8/73,A61Q 19/10 |
小牧 大士 清水 教永 JP 5317252 特許公報(B1) 20130719 2013041410 20130304 枠練り透明石鹸 小牧 大士 713002690 小牧 大士 清水 教永 20131016 C11D 9/30 20060101AFI20130926BHJP A61K 8/36 20060101ALI20130926BHJP A61K 8/73 20060101ALI20130926BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20130926BHJP JPC11D9/30A61K8/36A61K8/73A61Q19/10 C11D 9/30 A61K 8/36 A61K 8/73 A61Q 19/10 特開2008−291094(JP,A) 特開平09−194893(JP,A) 特開平10−060497(JP,A) 特開2006−271351(JP,A) 特開2012−012390(JP,A) 登録実用新案第3098119(JP,U) 特開2013−001860(JP,A) 特開2010−090040(JP,A) 4 7 20130306 松元 麻紀子 本発明は、低分子ヒアルロン酸を含有させた枠練り透明石鹸に関する。 一般的に、透明石鹸の製造は、特許文献1に示すが如く、脂肪酸石鹸に透明化剤を配合し、エチルアルコール等の低級アルコールと水との混合溶媒に加熱溶解した後、型枠に流し込んで冷却固化し、次いで型抜きした後、さらに2ヶ月もの長期間をかけて徐々に溶媒を蒸発乾燥させ熟成させる所謂枠練り法によって製造される。 特に、高級脂肪酸のナトリウム塩を主剤にした脂肪酸石鹸の中には、グリセリン、ソルビトール、ショ糖等の透明化剤を配合することで、石鹸の結晶化を抑制して微細結晶化させ、透明な外観とした透明石鹸が知られている。かかる固形石鹸は透明であることから、一般の石鹸よりも高級品というイメージ感が高揚する。 また、特許文献2に示すが如く黒糖や、更に特許文献3に示すが如く植物成分を固形石鹸中に含有させ、薬理効果を求めるものが知られている。 更に、特許文献4示すが如く、ヒアルロン酸は保湿効果を付与する目的で化粧品等に用いられてきた。通常使用されるヒアルロン酸は分子量が約100万のため、粘性が高く、透明石鹸に配合しても配合量が非常に少ないか、透明性を示すことはできなかった。特開昭57−30798号公報特開2011−236393号公報特開2011−236393号公報特開平5−170641号公報従来の枠練り透明石鹸では、泡立ちや洗浄力は優れ、高級感が感じられるものの、透明感を保持するために植物エキスやその他の成分を配合することが困難であった。また、石鹸は界面活性剤の配合が高いため、洗浄力に優れていても、肌の乾燥、使用感の悪さに問題がある。そこで、本発明では、保湿剤として汎用されているヒアルロン酸及び/又はその塩を配合した枠練り透明石鹸を提供することを目的とする。本発明は、低分子ヒアルロン酸及び/又はその塩を含有し、低分子ヒアルロン酸及び/又はその塩の分子量が1,000〜5,000であることを特徴とし、低分子ヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量が、0.1〜1.0%であることを特徴とする枠練り透明石鹸。更に、本発明は、枠練り透明石鹸を構成する脂肪酸の炭素数が12〜18であることを特徴とする請求項1〜3に記載の枠練り透明石鹸。また、本発明は、キラヤ抽出物、ムクロジ抽出物、甘草抽出物、甘草抽出物より精製したグリチルリチン酸及びその塩類から選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を含有することを特徴とする請求項1〜2に記載の枠練り透明石鹸。また、本発明は、カチオン性高分子を含有することを特徴とする請求項1〜2に記載の枠練り透明石鹸。(1)請求項1により、本発明の枠練り透明石鹸は、分子量が1,000〜5,000の低分子ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合することが出来、透明感を保持する石鹸を提供できる。また、本発明の枠練り透明石鹸は、保湿効果及び美肌効果にも優れ、使用感もよく、特に洗顔用の洗浄料として有効に使用することができる。(2)請求項2により、本発明の枠練透明石鹸は、炭素数12〜18の脂肪酸を使用することが出来、泡立ちや泡の持ち、泡のまろやかさを良くし、本発明の枠練り透明石鹸は、洗浄料として有効に使用することができる。(3)請求項3により、本発明の枠練透明石鹸は、植物エキスを配合することが出来、肌の潤い感やつっぱり感を改良することができる。また、本発明の枠練り透明石鹸は、保湿効果及び美肌効果にも優れ、使用感もよく、特に洗顔用の洗浄料として有効に使用することができる。(4)請求項4により、本発明の枠練透明石鹸は、カチオン性高分子を配合することが出来、石鹸の泡立ちや粘度の調整を容易にし、洗浄後の肌の感触を向上させることができる。また、本発明の枠練り透明石鹸は、泡立ちや泡の持ち、泡のまろやかさを良くし、特に洗顔用の洗浄料として有効に使用することができる。 以下、本発明の実施の形態について説明する。 本発明の枠練り透明石鹸は、通常製造される枠練り石鹸に低分子ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合したものである。本枠練り透明石鹸は、界面活性剤、油性成分、糖類、脂肪酸、無機塩、キレート剤、植物エキス、カチオン性高分子、抗菌剤、香料、顔料、染料、低刺激化剤、水等を含有することもできる。界面活性剤としては、ベタイン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤等が挙げられる。これらの活性剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。油性成分は、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、ペトロラタム、ポリブテン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素類、ひまわり油、綿実油、マカダミアナッツ油、シアバター等の油脂類、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル 等のエステル類等が挙げられる。分岐脂肪酸として、イソ分岐脂肪酸を用いるとより好ましい。具体的には、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソミリスチン酸、イソアラキン酸、ネオデカン酸、2−エチルヘキサン酸などが挙げられ、イソステアリン酸が好ましい。脂肪酸は、直鎖脂肪酸、分岐鎖脂肪酸のいずれでもよく、直鎖脂肪酸の具体例としては、牛脂、羊油等の動物油脂、ヤシ油、パーム核油、大豆油、オリ−ブ油、綿実油、ヤシ油、ヒマシ油、ナタネ油、ヒマワリ油等の植物油脂等などを常法により高圧分解してえられた脂肪酸混合物、これらを分離精製して得られるラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等を挙げることができる。ポリオール類としては、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ショ糖、グルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらのポリオール類は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリオール類は石鹸の強度を高める点から2〜20質量%含むことができる。 無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの無機塩は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。無機塩は、石鹸の固化速度を速める点から0.9〜3質量%含むことができる。 キレート剤としては、エチドロン酸、エチレンジアミン四酢酸等を挙げることができる。 また、水としては、水道水、硬水、軟水、イオン交換水、精製水等を用いることができる。 植物エキスとしては、キラヤエキス、ムクロジエキス、甘草エキス、甘草エキスより精製したグリチルリチン酸及びその塩類などが挙げられる。これらの植物エキスは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。グリチルリチン酸の塩類として、グリチルリチン酸物アンモニウム塩、グリチルリチン酸2カリウム塩等が挙げられる。 カチオン性高分子としては、例えば、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル四級アンモニウム塩のホモポリマー、ジアリル四級アンモニウム塩/ アクリルアミド共重合物、四級化ポリビニルピロリドン誘導体、ポリグリコールポリアミン縮合物、ヒドロキシエチルセルロース/ ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/ 四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ビニルピロリドン/ アルキルアミノアクリレート共重合体、ビニルピロリドン/ アルキルアミノアクリレート/ ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/ アクリレート/ アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体( 米国サンドス社製「カルタレチン」)/塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(マーコート) 等が挙げられ、特にカチオン化セルロース誘導体、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル四級アンモニウム塩/ アクリルアミド共重合物、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体が好ましい。また、本発明で示す低分子ヒアルロン酸とは、分子量が1,000〜5,000であることを特徴とする。この低分子ヒアルロン酸の配合量は、0.05〜2.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。本発明の枠練り透明石鹸は、固形石鹸の製造方法のうち、通常透明石鹸に使用される枠練り法によって製造される。 以下、製造例及び試験例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。製造例1 枠練り透明石鹸の製造方法下記に示す処方により枠練り透明石鹸を製造した。具体的には、原料を混合し、ケン化させ、石鹸ベースを作る。この石鹸ベースを成型し固化させ、裁断し、裁断面を整える。次に1週間乾燥させ、20〜21℃の恒温恒湿室で約2ヶ月間熟成さ、枠練り透明石鹸を得る。<表1> 処方(数値は重量%) 対照例 実施例1 実施例2 実施例3脂肪酸 ○ ○ ○ ○ 水酸化ナトリウム ○ ○ ○ ○ グリセリン ○ ○ ○ ○ 水 ○ ○ ○ ○ キラヤエキス − − − − ムクロジエキス − − − − グリチルリチン酸 − − − − ‐2カリウム分子量1,000のヒアルロン酸 − 0.1 0.5 1.0 分子量10,000のヒアルロン酸 − − − − 実施例4 実施例5 実施例6 実施例7 実施例8 実施例9脂肪酸 ○ ○ ○ ○ ○ ○水酸化ナトリウム ○ ○ ○ ○ ○ ○グリセリン ○ ○ ○ ○ ○ ○水 ○ ○ ○ ○ ○ ○キラヤエキス 0.024 − − 0.024 0.024 −ムクロジエキス − 0.015 − 0.015 − 0.015グリチルリチン酸 − − 0.009 − 0.009 0.009‐2カリウム分子量1,000のヒアルロン酸 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5分子量10,000のヒアルロン酸 − − − − − − 実施例10 比較例1 比較例2脂肪酸 ○ ○ ○水酸化ナトリウム ○ ○ ○グリセリン ○ ○ ○水 ○ ○ ○キラヤエキス 0.024 − −ムクロジエキス 0.015 − −グリチルリチン酸 0.009 − −‐2カリウム分子量1,000のヒアルロン酸 0.5 2.0 −分子量10,000のヒアルロン酸 − − 0.001<結果>上記の結果、実施例1〜10は透明石鹸として製造できたが、比較例1、2は透明感が得られなかった。試験例1 使用感試験女性5名での使用試験を行った。使用した枠練り石鹸は、上記対照例、実施例1、2、3、比較例1、2を使用した。評価は下記5段階とした。<評価基準>1:そう思わない2:どちらかというとそうは思わない3:どちらでもない4:どちらかというとそう思う5:そう思う。<結果>結果を下記表2に示す。<表2> 使用試験結果項目 対照例 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4泡立ち 3.0 4.2 4.4 4.4 4.4泡持ち 3.0 4.0 4.2 4.2 4.2泡のまろやかさ 3.0 4.0 4.4 4.2 4.2肌の潤い感 3.0 4.2 4.2 4.2 4.2肌のつっぱり感 3.0 2.8 2.4 2.4 2.4項目 実施例5 実施例6 実施例7 実施例8 実施例9泡立ち 4.4 4.4 4.4 4.4 4.4泡持ち 4.2 4.2 4.4 4.2 4.2泡のまろやかさ 4.2 4.2 4.4 4.4 4.4肌の潤い感 4.2 4.2 4.2 4.2 4.2肌のつっぱり感 2.4 2.4 2.4 2.2 2.2項目 実施例10 比較例1 比較例2泡立ち 4.4 3.0 2.8泡持ち 4.4 3.6 2.6泡のまろやかさ 4.6 3.8 2.2肌の潤い感 4.4 4.0 3.2肌のつっぱり感 2.2 2.8 2.8 本発明の低分子ヒアルロン酸を含有させた枠練り透明石鹸は、使用後の肌にしっとりとした感触を付与することができ、使用感、保湿効果、美肌効果及び透明度に優れた枠練り透明石鹸を提供することが出来る。低分子ヒアルロン酸及び/又はその塩を含有し、低分子ヒアルロン酸及び/又はその塩の分子量が1,000〜5,000であることを特徴とし、低分子ヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量が、0.1〜1.0重量%であることを特徴とする枠練り透明石鹸。前記、枠練り透明石鹸を構成する脂肪酸の炭素数が12〜18であることを特徴とする請求項1に記載の枠練り透明石鹸。キラヤ抽出物、ムクロジ抽出物、甘草抽出物、甘草抽出物より精製したグリチルリチン酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の枠練り透明石鹸。カチオン性高分子を含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の枠練り透明石鹸。【課題】従来の枠練り透明石鹸では、泡立ちや洗浄力は優れ、高級感が感じられるものの、透明感を保持するために植物エキスやその他の成分を配合することが困難であった。【解決手段】本発明は、低分子ヒアルロン酸及び/又はその塩を含有し、低分子ヒアルロン酸及び/又はその塩の分子量が1,000〜5,000であることを特徴とし、低分子ヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量が、0.1〜1.0%であることを特徴とする枠練り透明石鹸である。【選択図】なし