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タイトル:公開特許公報(A)_エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、表示素子
出願番号:2013030324
年次:2014
IPC分類:C07F 9/38,G02F 1/15,C07D 401/14


特許情報キャッシュ

平野 成伸 岡田 崇 匂坂 俊也 八代 徹 藤村 浩 高橋 裕幸 内城 禎久 岡田 吉智 辻 和明 金 碩燦 JP 2014159385 公開特許公報(A) 20140904 2013030324 20130219 エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、表示素子 株式会社リコー 000006747 岡本 利郎 100116481 平野 成伸 岡田 崇 匂坂 俊也 八代 徹 藤村 浩 高橋 裕幸 内城 禎久 岡田 吉智 辻 和明 金 碩燦 C07F 9/38 20060101AFI20140808BHJP G02F 1/15 20060101ALI20140808BHJP C07D 401/14 20060101ALN20140808BHJP JPC07F9/38 EG02F1/15C07D401/14 5 OL 19 2K101 4C063 4H050 2K101AA22 2K101DA01 2K101DB04 2K101DB06 2K101DB34 2K101DC02 2K101DC13 2K101DC42 2K101DC52 2K101EA11 2K101EJ15 4C063AA03 4C063BB01 4C063CC14 4C063DD12 4C063EE05 4H050AA01 4H050AA03 4H050AB91 4H050AB92 本発明は、発色時にイエローに発色するエレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、及びこれらを用いた表示素子に関するものである。 近年、紙に替わる電子媒体として、電子ペーパーの開発が盛んに行われている。 電子ペーパーは、表示装置が紙のように用いられるところに特徴があるため、CRTや液晶ディスプレイといった従来の表示装置とは異なった特性が要求される。例えば反射型表示装置であり、かつ高い白反射率・高いコントラスト比を有すること、高精細な表示ができること、表示にメモリ効果があること、低電圧でも駆動できること、薄くて軽いこと、安価であること、などの特性が要求される。このうち特に表示の品質に関わる特性として、紙と同等な白反射率・コントラスト比、更にカラー表示についての要求度が高い。 これまで、電子ペーパー用途の表示装置として、反射型液晶を用いる方式、電気泳動を用いる方式、トナー泳動を用いる方式、などが提案されている。しかしながら、いずれの方式も白反射率・コントラスト比を確保しながら多色表示を行うことは大変困難である。一般に多色カラー表示を行うためにはカラーフィルタを設けるが、種々の問題がある。 そこで、カラーフィルタを設けず、反射型の表示装置を実現するための有望な技術として、エレクトロクロミック現象を用いる方式がある。電圧を印加すると、その極性に応じて可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。この現象を引き起こすエレクトロクロミック化合物の発色/消色(以下、発消色)を利用した表示装置が、エレクトロクロミック表示装置である。この表示装置は、反射型の表示装置であること、メモリ効果があること、低電圧で駆動できることから、電子ペーパー用途の表示装置技術の有力な候補として、材料開発からデバイス設計に至るまで幅広く研究開発が行われている。 またエレクトロクロミック表示装置は、表示材料に用いるエレクトロクロミック化合物の構造によって様々な色を発色できるため、多色カラー表示装置として期待されている。 このエレクトロクロミック表示装置を利用した多色表示装置の例としては、特許文献1〜6が挙げられる。しかし、特許文献1〜3で使用されるビオロゲン系有機エレクトロクロミック化合物は、青色、緑色を発色するものであり、フルカラー化に必要なイエロー、マゼンタ、シアンの3原色を発色するものではない。また、特許文献4〜6で使用されるスチリル系色素は、良好なイエロー、マゼンタ、シアン発色をするが、発消色の安定性や繰り返し耐久性に問題がある。 また、特許文献7に示されたエレクトロクロミック化合物は、発色状態において450nm付近に大きな吸収帯がありイエローに発色するが、550〜700nmにおいても僅かに吸収帯があるため、少しグリーン寄りのイエローであった。 本発明は、発色時に450nm付近に大きな吸収帯を有し且つ550nm以上の吸収帯がほとんどない、鮮やかなイエローに発色するエレクトロクロミック化合物の提供を目的とする。 上記課題は、次の1)の発明により解決される。 1) 下記構造式(1)で表されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。 構造式(1) [式中、X1〜X13は各々独立に水素原子又は一価の基を表し、これらの一価の基は置換基を有していてもよい。R1、R2は各々独立に一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、これらの基は官能基や置換基を有していてもよい。A−、B−はそれぞれ1価のアニオンを表す。] 本発明によれば、発色時に450nm付近に大きな吸収帯を有し且つ550nm以上の吸収帯がほとんどない、鮮やかなイエローに発色するエレクトロクロミック化合物を提供できる。本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す概略図。本発明のエレクトロクロミック組成物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す概略図。実施例1で作製したエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極の消色状態及び発色状態における吸収スペクトルを示す図。実施例1と比較例1のエレクトロクロミック表示層の消色状態での吸収スペクトルを示す図。実施例1と比較例1のエレクトロクロミック表示素子の色彩値を示す図。 以下、上記本発明1)について詳しく説明するが、本発明の実施の形態には、次の2)〜5)も含まれるので、これらについても併せて説明する。 2) 前記R1、R2の少なくとも一方が、水酸基に対して直接的又は間接的に結合可能な官能基を有することを特徴とする1)に記載のエレクトロクロミック化合物。 3) 前記官能基が、ホスホン酸基、リン酸基、シリル基及びシラノール基から選択される基であることを特徴とする2)に記載のエレクトロクロミック化合物。 4) 1)〜3)のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物と、導電性又は半導体性ナノ構造体が結合又は吸着されたことを特徴とするエレクトロクロミック組成物。 5) 表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の対向電極側の表面に、少なくとも1)〜3)のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物又は該エレクトロクロミック化合物と導電性又は半導体性ナノ構造体が結合又は吸着されたエレクトロクロミック組成物を含む表示層を有することを特徴とする表示素子。 前記構造式(1)で表されるエレクトロクロミック化合物は発色時にシャープな光吸収スペクトル特性を示し、イエロー発色を呈し、更に消色時の色づきが少ないものである。 構造式(1)中のX1〜X13で表される一価の基としては、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、スルホニル基、スルホンアミド基、アミノスルホニル基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及び複素環基から選択される一価の基が挙げられ、これらの一価の基は置換基を有していてもよい。 前記カルボニル基としては、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等が、前記アミノカルボニル基としては、モノアルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、モノアリールアミノカルボニル基、ジアリールアミノカルボニル基等が、前記スルホニル基としては、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が、前記アミノスルホニル基としては、モノアルキルアミノスルホニル基、ジアルキルアミノスルホニル基、モノアリールアミノスルホニル基、ジアリールアミノスルホニル基等が、前記アミノ基としては、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等が、それぞれ挙げられる。 X1〜X13の一価の基により、エレクトロクロミック化合物に溶媒に対する溶解性を付与することができるので素子作製プロセスが容易になる。また、発色スペクトル(カラー)の調整が可能になる。一方、これらの基により、耐熱性・耐光性などの安定性が低下しやすいので、好ましくは水素原子、ハロゲン、炭素数6以下の置換基がよい。 前記構造式(1)中のR1、R2で表される基としては、各々独立に一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基が挙げられ、これらの基は官能基や置換基を有していてもよい。前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。 また、R1、R2のうち少なくとも一方が水酸基に対して直接的又は間接的に結合可能な官能基を有することが好ましい。このような官能基としては、水酸基に対して水素結合、吸着あるいは化学反応により直接的又は間接的に結合可能な官能基であればよく、特に限定されない。その好ましい例としては、ホスホン酸基、リン酸基、トリクロロシリル基、トリアルコキシシリル基、モノクロロシリル基、モノアルコキシシリル基等のシリル基(又はシラノール基)、カルボキシル基が挙げられる。トリアルコキシシリル基としては、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基等が好ましい。中でも、導電性又は半導体性ナノ構造体への結合力が高いホスホン酸基又はシリル基(トリアルコキシシリル基、あるいはトリヒドキシシリル基)が特に好ましい。 前記構造式(1)中のA−、B−は、それぞれ1価のアニオンを表し、カチオン部と安定に対を成すものであれば特に限定されないが、Brイオン(Br−)、Clイオン(Cl−)、ClO4イオン(ClO4−)、PF6イオン(PF6−)、BF4イオン(BF4−)等が好ましい。 なお、本発明のエレクトロクロミック化合物は、前記構造式(1)が対称的な構造となるようなX1〜X13及びR1、R2であることが、その合成の容易さ、及び安定性向上の面から望ましい。また、本発明のエレクトロクロミック化合物はイエローの発色を呈するが、前述のように置換基の効果により、マゼンタやシアンの発色も可能である。 本発明のエレクトロクロミック化合物の具体例を下記構造式(2)〜(23)に示すが、これらに限定されるものではない。 構造式(2) 構造式(3) 構造式(4) 構造式(5) 構造式(6) 構造式(7) 構造式(8) 構造式(9) 構造式(10) 構造式(11) 構造式(12) 構造式(13) 構造式(14) 構造式(15) 構造式(16) 構造式(17) 構造式(18) 構造式(19) 構造式(20) 構造式(21) 構造式(22) 構造式(23) また、本発明に係るエレクトロクロミック組成物は、本発明のエレクトロクロミック化合物に導電性又は半導体性ナノ構造体が結合されたものである。 本発明のエレクトロクロミック組成物は、エレクトロクロミック表示素子に用いたときイエロー発色を呈し、更に画像のメモリ性、即ち発色画像保持特性に優れたものとなる。なお、導電性又は半導体性ナノ構造体とは、ナノ粒子、ナノポーラス構造体など、ナノスケールの凹凸を有する構造体を意味する。 前述のようにR1、R2のうち少なくとも一方が水酸基に対して直接的又は間接的に結合可能な官能基を有し、結合又は吸着構造としてスルホン酸基、リン酸基又はカルボキシル基を有するとき、該エレクトロクロミック化合物は容易に前記ナノ構造体と複合化し、発色画像保持性に優れたエレクトロクロミック組成物となる。上記スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基はエレクトロクロミック化合物中に複数有していてもよい。 また、本発明のエレクトロクロミック化合物が、結合又は吸着構造としてシリル基又はシラノール基を有するとき、シロキサン結合を介して前記ナノ構造体と結合されて結合が強固なものとなり、やはり安定なエレクトロクロミック組成物が得られる。なお、ここで言うシロキサン結合とは、ケイ素原子及び酸素原子を介した化学結合である。また、該エレクトロクロミック組成物は、前記エレクトロクロミック化合物とナノ構造体がシロキサン結合を介して結合した構造をしていればよく、その結合方法・形態は限定されない。 前記導電性又は半導体性ナノ構造体を構成する材質としては、透明性や導電性の面から金属酸化物が好ましい。このような金属酸化物の例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム(略、アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ケイ素(略、シリカ)、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物が挙げられる。また、これらの金属酸化物は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。 電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステン等の金属酸化物から選ばれる一種、又はそれらの混合物を用いると、発消色の応答速度に優れた多色表示が可能である。とりわけ、酸化チタンを用いると、より発消色の応答速度に優れた多色カラー表示が可能である。 前記金属酸化物の形状としては、平均一次粒子径が30nm以下の金属酸化物微粒子であることが好ましい。粒子径が小さいほど金属酸化物に対する光の透過率が向上し、単位体積当たりの表面積(以下、「比表面積」という)が大きくなる。大きな比表面積を有することにより、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比に優れた多色カラー表示が可能である。ナノ構造の比表面積は特に限定されないが、例えば、100m2/g以上とすることができる。 次に、本発明に係る表示素子について説明する。 本発明の表示素子は、表示電極、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極、及び両電極間に配置された電解質を備え、該表示電極の対向電極側の表面に、前記構造式(1)で表されるエレクトロクロミック化合物を含む表示層を有する。 図1に、本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す。表示素子10は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けられた対向電極2と、両電極(表示電極1と対向電極2)間に配置され、少なくとも本発明のエレクトロクロミック化合物(有機エレクトロクロミック化合物)4を溶解させた電解質3とを備える。この表示素子では、エレクトロクロミック化合物は電極表面でのみ酸化還元反応により発消色する。 図2に、本発明のエレクトロクロミック組成物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す。表示素子20は、表示電極1、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極2、及び両電極(表示電極1と対向電極2)間に配置された電解質3を備え、該表示電極1の対向電極2側の表面に、少なくとも本発明のエレクトロクロミック組成物4aを含む表示層5を有する。また、対向電極2の表示電極1側に、白色粒子からなる白色反射層6を有する。 本発明のエレクトロクロミック組成物中のエレクトロクロミック化合物は、分子構造中に水酸基に対して直接的又は間接的に結合可能な官能基(吸着基)、いわゆる結合基を有しているものを用いることができるので、前記結合基が導電性又は半導体性ナノ構造体に結合して、エレクトロクロミック組成物を構成することができる。そして、該エレクトロクロミック組成物が表示電極1上に層状に設けられて、表示層5が形成されている。 以下、本発明の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示素子10、20に用いられる構成材料について説明する。 表示電極1を構成する材料としては、透明導電基板を用いることが望ましい。透明導電基板としてはガラス、又はプラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが望ましい。透明導電薄膜材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明かつ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、発色させる色の視認性をより高めることができる。 透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(略:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(略:FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(略:ATO)等の無機材料を用いることができるが、特にインジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)、亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)の何れかを含む無機材料が好ましい。In酸化物、Sn酸化物及びZn酸化物は、スパッタ法で容易に成膜できると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In2O3、ZnOである。 表示電極1を設ける表示基板(符号は不表示)を構成する材料としては、ガラスやプラスチックが挙げられる。表示基板として、プラスチックフィルムを用いれば軽量でフレキシブルな表示素子を作製することができる。 対向電極2としては、ITO、FTO、酸化亜鉛等の透明導電膜、あるいは亜鉛、白金等の導電性金属膜、更にはカーボンなどが用いられる。対向電極2も一般的には対向基板上に形成する。対向電極基板もガラスやプラスチックフィルムが望ましい。対向電極2として、亜鉛等の金属板が用いられる場合、対向電極2が基板を兼ねる。 更に、対向電極2を構成する材料が、表示層のエレクトロクロミック組成物が起こす酸化還元反応と逆の反応を起こす材料を含む場合、安定した発消色が可能である。即ち、エレクトロクロミック組成物が酸化により発色する場合は還元反応を起こし、エレクトロクロミック組成物が還元により発色する場合は酸化反応を起こす材料を対向電極2として用いると、エレクトロクロミック組成物を含む表示層5における発消色の反応がより安定となる。 電解質3を構成する材料としては、一般的に支持塩を溶媒に溶解させたものが用いられる。支持塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体例としては、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、CF3SO3Li、CF3COOLi、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2等が挙げられる。 また、溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、が用いられる。 その他、支持塩を溶媒に溶解させた液体状の電解質も特に限定されず、ゲル状の電解質や、ポリマー電解質等の固体電解質も用いられる。例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子膜などの固体系などがある。溶液系はイオン伝導度が高いという利点があり、固体系は劣化がなく高耐久性の素子を作製することに適している。 また、本発明の表示素子を反射型表示素子として用いる場合、図2に示すように、表示電極1と対向電極2の間に白色反射層6を設けることが望ましい。白色反射層6としては、白色顔料粒子を樹脂に分散させ対向電極2上に塗布することが最も簡便な作製方法である。白色顔料微粒子としては、一般的な金属酸化物からなる粒子が適用でき、具体的には酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウムなどが挙げられる。また、ポリマー電解質に白色顔料粒子を混合することによって、白色反射層を兼ねることもできる。 表示素子10、20の駆動方法は、任意の電圧、電流を印加することができれば特に限定されない。パッシブ駆動方法を用いれば安価な表示素子を作製することができる。また、アクティブ駆動方法を用いれば高精細、かつ高速な表示を行うことができる。対向基板上にアクティブ駆動素子を設けることにより、容易にアクティブ駆動ができる。 以下、実施例にて本発明のエレクトロクロミック化合物及びエレクトロクロミック組成物、またそれらを用いた表示素子について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。[実施例1]<エレクトロクロミック化合物[構造式(23)]の合成>〈a〉中間体(23−1)の合成 100mL三つ口フラスコに、4,8−ジクロロキノリン0.594g(3.00mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン1.72g(8.4mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.055g(0.060mmol)、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート0.053g(0.144mmol)を加え、アルゴンガス置換した後、アルゴンガスで脱気した1,4−ジオキサン11mL及び1.27M−リン酸三カリウム水溶液8mLを順次加え、100℃で4時間還流した後、反応溶液を室温に戻してから、クロロホルム及び飽和食塩水加えた。次いで、この溶液を分液漏斗に移し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、この有機層に乾燥剤として硫酸マグネシウムを加え室温で1時間撹拌して脱水した。更に、パラジウムスカベンジャーシリカゲル(アルドリッチ社製)を1g加えて室温で1時間撹拌し、有機層中の残留パラジウムを除去した。次いで、乾燥剤及びシリカゲルを濾別した後、溶媒を減圧留去した。この粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/アセトン=1/2)により精製し目的物を得た。 収量0.68g、収率80%。〈b〉エレクトロクロミック化合物[構造式(23)]の合成 25mL三つ口フラスコに、4,8−ビス(4−ピリジル)−キノリン0.113g(0.40mmol)、4−ブロモメチルベンジルホスホン酸0.358g(1.35mmol)、ジメチルホルムアミド3.0mLを加え、90℃で2時間反応させた。室温に戻した後、この溶液を2−プロパノール中に排出し、次いで、得られた固形分を2−プロパノール中に分散させた後、回収し、100℃で2日間減圧乾燥して目的物を得た。 収量0.29g、収率90%。<エレクトロクロミック表示素子の作製> 以下のようにして、図2の構成に準ずる(白色反射層は除く)エレクトロクロミック表示素子を作製した。(a)表示電極の形成 25mm×30mmのFTO導電膜付きガラス基板(AGCファブリテック社製)を準備し、その上面の19mm×15mmの領域に、酸化チタンナノ粒子分散液(昭和タイタニウム社製:SP210)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行って、酸化チタン粒子膜を形成した。(b)エレクトロクロミック表示層の形成 この酸化チタン粒子膜に構造式(23)で示される化合物の1wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液を塗布液としてスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行って、酸化チタン粒子表面にエレクトロクロミック化合物を吸着させた表示層5を形成した。(c)対向電極の形成 前記ガラス基板とは別に、25mm×30mmのITO導電膜付きガラス基板(ジオマテック社製)を準備し、対向基板とした。(d)エレクトロクロミック表示素子の作製 前記表示基板と対向基板を75μmのスペーサを介して貼り合わせ、セルを作製した。次に、ジメチルスルホキシドに過塩素酸テトラブチルアンモニウムを20wt%溶解させた溶液に、一次粒径300nmの酸化チタン粒子(石原産業社製 CR50)を35wt%分散させて電解質溶液を調製し、セル内に封入してエレクトロクロミック表示素子を作製した。[比較例1] 特許文献11に記載されている下記構造式(24)で表されるエレクトロクロミック化合物を用いた点以外は、実施例1の(a)〜(d)と同様にして、エレクトロクロミック表示素子を作製した。 構造式(24)<エレクトロクロミック表示素子の評価> 上記実施例1及び比較例1の表示素子について、以下のようにして評価を行った。〔発消色比較試験〕 実施例1で作製したエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極を石英セルに入れ、対極として白金電極、参照電極としてAg/Ag+電極(ビー・エー・エス社製RE−7)を用い、過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに0.1M溶解させた電解液でセル内を満たした。この石英セルに重水素タングステンハロゲン光(オーシャンオプティクス社製DH−2000)を照射し、透過した光をスペクトロメータ(オーシャンオプティクス社製USB4000)で検出し、吸収スペクトルを測定した。 消色状態及び発色状態における吸収スペクトルを図3に示すが、電圧印加前の消色状態では400〜700nmの可視域全体で吸収がなく透明であった。しかし、ポテンショスタット(ビー・エー・エス社製ALS−660C)を用いて−1.5Vの電圧を印加したところ、極大吸収波長が430nmになり、鮮やかなイエローを発色した。 実施例1及び比較例1のエレクトロクロミック表示層の発色状態での吸収スペクトルを図4に示す。図4から分かるように、比較例1では550nmより長波長側にも吸収帯が存在し、実施例1のエレクトロクロミック化合物に比べて、やや緑が混在したイエローであった。 実施例1及び比較例1で作製した各エレクトロクロミック表示素子について、発消色の比較評価を実施した。評価は、大塚電子社製分光測色装置MCPD7700を用いて拡散光を照射することにより行った。 電圧印加前の消色状態において、いずれのエレクトロクロミック表示素子も色づきがなく白色であった。 各エレクトロクロミック表示素子の、表示電極1に負極を、対向電極2に正極を繋ぎ、3.0Vの電圧を2秒印加したところ、実施例1では鮮やかなイエローを発色したが、比較例1ではわずかに緑が混ざったイエローを発色した。測定した色彩値を図5に示す。 色彩値はCIE L*a*b*の色空間で評価し、a*vsb*をプロットした。a*vsb*プロットにおいて、鮮やかなイエローはa*がゼロに近く、b*が100に近い値で表される。実施例1と比較例1のエレクトロクロミック表示素子を比較すると実施例1の方がより鮮やかなイエローを発色していることが分かる。[実施例2] 実施例1で合成した中間体(23−1)に二当量の臭化エチル反応させることにより、エレクトロクロミック化合物[前記構造式(2)の化合物]を合成した。 次いで、2,2,3,3−テトラフロロプロパノールに、上記化合物を1wt%、及び電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム5wt%を溶解させたエレクトロクロミック化合物溶液を調製した。この化合物溶液を用いた点以外は実施例1と同様にしてエレクトロクロミック表示素子を作製した。 作製した表示素子に3Vの電圧を2秒印加したところ、表示素子はイエロー発色した。更に逆電圧−2Vを1秒印加したところ消色し、透明に戻った。即ち、上記エレクトロクロミック化合物は、発色時にイエローに発色し、しかも消色時の色づきがないことが確認された。 上記のように、本発明のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を表示層に有する表示素子は、電界印加により良好な発消色(イエロー発色又は消色)の応答性を示し、画像保持性(メモリー性の維持)にも優れている。 即ち、本発明のエレクトロクロミック化合物は、フルカラー化に必要な3原色の一つとして有用であり、これを用いた表示素子は、例えば、書き換えが可能なペーパーライクな装置技術として重要である。 1 表示電極 2 対向電極 3 電解質 4 エレクトロクロミック化合物(有機エレクトロクロミック化合物) 4a エレクトロクロミック組成物 5 表示層 6 白色反射層 10 表示素子特開2003−121883号公報特開2006−106669号公報特開2003−270671号公報特開2004−151265号公報特開2008−122578号公報特開2011−102382号公報 下記構造式(1)で表されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。 構造式(1) [式中、X1〜X13は各々独立に水素原子又は一価の基を表し、これらの一価の基は置換基を有していてもよい。R1、R2は各々独立に一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、これらの基は官能基や置換基を有していてもよい。A−、B−はそれぞれ1価のアニオンを表す。] 前記R1、R2の少なくとも一方が、水酸基に対して直接的又は間接的に結合可能な官能基を有することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック化合物。 前記官能基が、ホスホン酸基、リン酸基、シリル基及びシラノール基から選択される基であることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロクロミック化合物。 請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物と、導電性又は半導体性ナノ構造体が結合又は吸着されたことを特徴とするエレクトロクロミック組成物。 表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の対向電極側の表面に、少なくとも請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物又は該エレクトロクロミック化合物と導電性又は半導体性ナノ構造体が結合又は吸着されたエレクトロクロミック組成物を含む表示層を有することを特徴とする表示素子。 【課題】発色時に450nm付近に大きな吸収帯を有し且つ550nm以上の吸収帯がほとんどない、鮮やかなイエローに発色するエレクトロクロミック化合物の提供。【解決手段】下記構造式(1)で表されるエレクトロクロミック化合物。 構造式(1) 式中、X1〜X13は各々独立に水素原子又は一価の基を表し、これらの一価の基は置換基を有していてもよい。R1、R2は各々独立に一価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、これらの基は官能基や置換基を有していてもよい。A−、B−はそれぞれ1価のアニオンを表す。【選択図】なし


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