タイトル: | 公開特許公報(A)_スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法およびその処理装置 |
出願番号: | 2013024946 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 1/28,G02B 21/34 |
徳田 泰代 JP 2014153282 公開特許公報(A) 20140825 2013024946 20130212 スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法およびその処理装置 株式会社常光 000146445 北山 康彦 503052911 徳田 泰代 5442883 20140312 G01N 1/28 20060101AFI20140730BHJP G02B 21/34 20060101ALI20140730BHJP JPG01N1/28 UG02B21/34 2 1 OL 19 2G052 2H052 2G052DA07 2G052EB11 2G052FC06 2G052JA07 2H052AE01 2H052AE06 本発明は、病理組織標本などに使用したスライドガラスとカバーガラスを分離して再度病理標本作製に再利用するための処理方法および処理装置に関する。 病理組織標本(細胞診検体、血液細胞など、病理組織以外の検体の標本を含む)は、通常、スライドガラスとカバーガラスとを用いて作製されている(非特許文献1〜5および特許文献1〜3)。病理組織標本は、通常は半永久的に保存し、病理学の研究や教育、統計等に役立てられるが、保管場所の関係で再診断の必要がほぼないと判断された場合には処分されることがある。このような場合、スライドガラスおよびカバーガラスは、作製した病理組織標本に関しては通常永久的に保存することが前提とされているので、廃棄せずに洗って再使用することは考慮しないし、また、再利用するにしてもスライドガラスとカバーガラスとは封入剤などにより強固に付着されているので、これらを分離することが困難である。スライドガラスと、カバーガラスとを分離する処理も知られてはいるが、破損したカバーガラスを修理したり、同一検体で別の染色法を用いて染色したりするなど、手間と費用がかかっても行う必要があるときに特別に適用される方法であり、具体的には、以下の様な方法が適用される。(1)キシレンに浸漬して自然にはがれるまで放置する(常温2〜3日、60〜70℃1晩)(非特許文献6)。(2)62〜65℃のキシレンに40分以上浸漬し、ガムテープで引き剥がす。(非特許文献7)。(3)炎で炙ってからヘラで引き剥がす(非特許文献8)。 なお、キシレンが多用されているのは、組織の透徹や封入剤の溶剤としてキシレンが用いられることが多いためである。病理組織標本のためのスライドガラスには、その一端に、患者情報や標本番号を記載できるよう、フロスト加工されているものがある。フロスト加工とは、ガラスを削って粗面化する加工である。フロスト加工部は、標本作製に用いる溶剤に浸漬したとき透明化して見にくくなることがあるため、病理組織標本では、ウレタン印刷などでカラーフロスト処理を施したスライドガラスを使用することが一般的である。このフロスト部分に、施設名の印刷された紙ラベルや、検査システムとリンクした印字装置で作製した紙や樹脂のラベルを貼りつけることもある。標本は永久保存が原則であるため、はがすことは考慮されていない。紙ラベルは標本作製に用いる溶剤に一晩から数日間程度浸漬すれば比較的簡単に除去可能となるが、糊が強力な樹脂ラベルは溶剤浸漬後手ではがす必要がある。ただし、ウレタン印刷は、先端が鋭利なもので引っかいたり、ウレタンを傷める薬品で扱ったりすると、はげてしまうことがあるため、手間のかかる作業であった。 図10に、従来使用されているスライドガラスとカバーガラスの分離・再生方法のフローチャートを示す。処理は、工程700から開始し、工程701でスライドガラスおよびカバーガラスを分離する固定を適用する。この工程は、溶剤および洗剤を含む槽に病理組織標本を浸漬し、スライドガラスと、カバーガラスとが自然に分離するまで待つ工程であり、通常では、2〜3日を要する。工程701においてスライドガラスとカバーガラスとが分離されると、工程702〜工程707でスライドガラスが、また工程708〜工程712でカバーガラスがそれぞれ処理され、工程713で処理が終了した後、再利用可能なスライドガラスと、カバーガラスとが回収される。 図10に示す工程では、全処理時間が、概ね数日必要となり、再生利用の効率や工程数が現実的なものではなく、商業的な意味で病理組織標本からのスライドガラスおよびカバーガラス再生のための現実的な処理ということはできなかった。 以上の通り、再利用するには手間とコストがかかるため、不要なスライドガラスおよびカバーガラスは、通常は感染性廃棄物として廃棄されていた。この際、感染性廃棄物は、原則として、医療関係機関などの施設内で焼却、溶融、消毒しなければならない(非特許文献9)。このための処理には、例えば無臭・無煙のもとに滅菌・減量し、更に廃棄処理物の自動梱包を可能にする処理装置も開発されている(特許文献6)。しかしながら、この処理装置は、投入物(廃棄物)を破砕して減量することを目的とするので、スライドガラスやカバーガラスを再利用することを目的とすることができない。このような処理が施設内で処理できない場合、法に定める委託基準に基づき事前に委託契約を締結し、外部委託することになる(非特許文献9)。以上説明したように、病理組織標本に使用したスライドガラスやカバーガラスを再生利用するための効率的な処理方法はこれまで知られておらず、また廃棄のためのコストも高くなっていた。 以上説明したように、病理組織標本においては、まだ使用できそうな「きれいなガラス」が廃棄されており、省資源上の観点および省エネルギー的な観点からもったいないという問題があった。また、廃棄するにしても、感染性廃棄物の場合には、廃棄に多額の手間と費用がかるという問題点もあった。 さらに再利用するにしてもスライドガラスと、カバーガラスとを分離するには、時間や手間がかかり、手技の習熟が必要だった。可燃物を火であぶる方法は、やけどや火災を招く危険がある上、割ったり煤がついたりすると分離したカバーガラスの再利用ができなくなるという問題も発生し、また検体の除去、マーカー消去/除去、ラベル紙除去などの問題があり、スライドガラスと、カバーガラスとを分離するための再利用性と、処理効率を併せ持つ現実的な方法がなかった。特開2009−121906号公報特開2008−286694号公報特開平07−027682号公報特開2004−026989号公報特開2010−115223号公報特開平08−131531号公報篠田宏ほか「病理組織標本作製法I」Medical Technology 14巻 33−38頁,1986年篠田宏ほか「病理組織標本作製法II」Medical Technology 14巻 135−140頁,1986年篠田宏ほか「病理組織標本作製法III」Medical Technology 14巻 319−325頁,1986年鈴木悦ほか「凍結標本の作り方と各種染色方法」Medical Technology 18巻,379−384頁,1990年田中昇ほか分担執筆「細胞診教本−その基礎と実際−」宇宙堂八木書店,1983年,81−97頁細胞検査士会愛知県支部細胞診検査技術資料「細胞診標本での免疫染色の方法」(http://act.umin.ne.jp/imuno.pdf)原田英一、三浦克敏、堤寛「カバーガラスの迅速剥離法」病理と臨床 21巻 1306−1307,2003年引野利明「固定してとれないカバーグラスを素早くとりはがす方法」Medical Technology 20巻 359頁,1992年環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」2009年 本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、病理組織標本に使用したスライドガラスおよびカバーガラスを分離し、再利用可能とするための処理方法および処理装置を提供することを目的とする。 本発明によれば、 スライドガラスと、カバーガラスとが付着した顕微鏡標本を、加熱部で加熱処理する工程と、前記顕微鏡標本の外形に合わせて加工した剥離具中に差込む工程と、前記顕微鏡標本を剥離具に作用させてカバーガラスをスライドガラスとの接着面からみて垂直方向に分離せしめる工程と を含む、スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法が提供される。 本発明の前記顕微鏡標本は、ラベルを含む病理組織標本、ラベルを含まない病理組織標本のどちらともすることができる。前記加熱部は、140℃〜1500℃、好ましくは250℃〜300℃を実現する加熱装置であれば、ホットプレート、電気炉、マイクロウェーブ発生装置、ガスコンロ、石油ストーブ、アルコールランプ、ガスバーナーなど、とくに制限はない。我々の実験によれば、病理組織標本は140℃以上30分の加熱でカバーガラスがずれて動かすことができるようになり、180℃以上1分の加熱でカバーガラスを分離することが可能となった。250℃以上では数秒の加熱で、ほとんど力を入れることなく簡単にカバーガラスを分離することができた。1500℃の炎で炙るように加熱しても分離可能だったが、300℃を超えるとラベルが焦げて変色したり、キシレン浸漬時にガラスが割れやすくなったりするなどの問題が生じることがわかっている。 なお、カバーガラス分離に際しては、とくに200℃以下では、封入剤が十分に軟化せず、カバーガラスをスライドガラスとの接着面からみて垂直方向にまっすぐ相当な力によってずらすように移動させて分離しないと、カバーガラスが割れて再利用できなくなることがわかっている。200℃を超えると、十分に封入剤が軟化するため、垂直方向にまっすぐでなくとも、分離可能となる。また、紙ラベル、パスラベル共に、160℃以上で簡単に(ラベルをピンセットでつまんで、またはラベルをピンセットや指でずらすように動かして)剥離することができる。前記剥離具は、たとえば図1の形状とすることができる。すなわち、顕微鏡標本をはめ込むための切り欠きであって、スライドガラスの短辺の幅(図1、10a)と厚み(10b)の切り欠きを有する平板である剥離具10とすることができる。切り欠きはへこみでもよい。10aは、スライドガラス短辺ではなく長辺の長さでもよい。図2および図3に、顕微鏡標本80に剥離具10を作用させて、スライドガラス81よりカバーガラス82を剥離する方法を示した。カバーガラス82を上に向けた状態で病理組織標本80を加熱部83に設置し、同じく加熱部83に設置した剥離具10の下を矢印に従ってくぐらせると、剥離具10にてカバーガラス82を引っかけ、剥離することができる。なお、剥離具10はかならずしも加熱部83の上に設置する必要はなく、病理組織標本80が処理温度を保つことができるのであれば、別の場所に設置してもよいし、同様に加熱部を設置する方向はどちらでもよい。ラベルは、加熱によって容易に剥離することができる。 さらに、本発明では、 スライドガラスと、カバーガラスとが付着した顕微鏡標本を分離するための処理装置であって、前記処理装置は、 前記顕微鏡標本および該顕微鏡標本を加熱処理する加熱部と、前記顕微鏡標本の外形に合わせて加工した剥離具と、を備えた処理装置が提供される。前記剥離具は、既に述べた剥離具10および20のような平板のほか、図6に示したようなブロック状の剥離具30を用いることができる。また、図9のように、剥離具の下端を切り落とせば、間隙31の上部から顕微鏡標本80を差し入れ、カバーガラス82を剥離すると同時に、カバーガラス82を剥離具30より排出し、剥離具30の下に設置した回収槽84にて回収することもできる。 本発明は、熱を利用してスライドガラスと、カバーガラスとを固着していた封入剤を軟化させることにより効率的に剥離することができ、同時に熱処理によってフロスト部分に貼付されたラベルを除去でき、処理時間を短縮でき、また歩留まりも高い処理方法および処理装置を提供することができる。また、本発明の処理装置は、熱をスライドガラスやカバーガラスの再生処理のために効率的に適用するように構成した剥離具や処理装置、回収槽を用いて各工程を自動化することができるので、再生処理が確実に行え、また再生のための労力を軽減することができる。剥離具10の平面図および側面図。剥離具10を用いた処理方法の概略図。剥離具10と顕微鏡標本80の関係図。剥離具20の平面図および側面図。剥離具20と顕微鏡標本80の関係図。実施例3で使用する剥離具30の平面図。剥離具30の断面図(側面から見た図)。横の一部を切り落とした剥離具の正面図。下部を切り落とした剥離具の断面図(側面から見た図)。従来使用されているスライドガラスとカバーガラスの分離・再生方法のフローチャート。 以下、本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。本実施形態の処理方法に用いる剥離具は、既に述べたように、たとえば図1の形状とすることができる。すなわち、顕微鏡標本80をはめ込むための切り欠きであって、スライドガラスの短辺の幅(図1、10a)と厚み(10b)の切り欠きを有する平板である剥離具10とすることができる。切り欠きはへこみでもよい。10aは、スライドガラス短辺ではなく長辺の長さでもよい。図2および図3に、顕微鏡標本80に剥離具10を作用させて、スライドガラス81よりカバーガラス82を剥離する方法を示した。カバーガラス82を上に向けた状態で病理組織標本80を加熱部83に設置し、同じく加熱部83に設置した剥離具10の下を矢印に従ってくぐらせると、カバーガラス82に引っかり、剥離することができる。なお、剥離具10はかならずしも加熱部83の上に設置する必要はなく、病理組織標本80が処理温度を保つことができるのであれば、別の場所に設置してもよいし、同様に加熱は、の方向はどちらでもよい。ラベルは、加熱によって容易に剥離することができる。剥離具10は切り欠きを有するが、間隙21を有する平板である剥離具20を用いることができる(図4)。この場合は、カバーガラス82を加熱部83に接触するように設置すると、スライドガラス81は、カバーガラス82の厚み20cの分だけ加熱部より浮いた状態になる。間隙21の位置20cをカバーガラス81の厚みと同じにすれば、また高さ20bをスライドガラス81の厚みと同じにすれば、顕微鏡標本80を間隙21に容易に挿入することができる上、カバーガラス81を平板20に引っ掛けることができ、容易に剥離することができる(図5)。前記剥離具の材質は、いずれの形態であってもアルミやステンレスなどの金属、ガラス、樹脂など、前記加熱処理温度および処理にかかる力で変形、変質しないものであればなんでもよい。図6に示したようなブロック状の剥離具30を用いることもできる。図7は、剥離具30の側面図で、内部構造がわかるように図6のaで切断した状態を示している。間隙31の上部より顕微鏡標本80を差し入れ、作用点32にカバーガラス82を引っ掛けて剥離することができる。なお、ブロックの外形は、直方体でなくとも、球体でも筒状でもよく、とくに制限はない。作用点の形状は、カバーガラス82を確実に保持し、かつカバーガラス82を傷つけない形状であれば、直線、曲線、波型、台形、突起など、制限はない。前記剥離具の材質は、アルミやステンレスなどの金属、ガラス、樹脂など、前記加熱処理温度および処理にかかる力で変形、変質しないものであれば制限はない。さらに、図8のように、剥離具の横の一部を切り落とし、間隙31の上部からだけでなく横からも顕微鏡標本80を差し入れるようにすることもできる。図9のように、剥離具の下端を切り落とせば、間隙31の上部から顕微鏡標本80を差し入れ、カバーガラス82を剥離すると同時に、カバーガラス82を剥離具30より排出し、剥離具30の下に設置した回収槽84にて回収することもできる。いずれの剥離具も、設置の方向に制限はなく、各面や差し入れ口は上下、左右、奥と手前のどこに設置してもよく、斜め方向でもよい。 本発明の前記加熱部は、140℃〜1500℃、好ましくは250℃〜300℃を実現する加熱装置であれば、ホットプレート、電気炉、マイクロウェーブ発生装置、ガスコンロ、石油ストーブ、アルコールランプ、ガスバーナーなどなんでもよい。また、剥離具の一部に接触させて加熱しても、剥離具を加熱装置内部に設置して加熱してもよい。なお、ラベルは、加熱によって容易に剥離することができる。 顕微鏡標本80は、スライドガラス81に印刷された樹脂製フロストに、紙ラベルまたは樹脂製の病理用パスラベルを貼付した病理組織標本を用いているが、ラベルがない場合や、フロストを持たないスライドガラス、ガラス自体をフロスト加工したスライドガラスであっても同様の結果が得られる。そのため、図では省略してある。(実施例1)顕微鏡標本80を、カバーガラス82を上に向けた状態で、80℃、120℃、160℃、180℃、200℃、250℃、300℃、1500℃に保温した加温部83にて加温し、封入剤を軟化させた後、加温部83上に設置した剥離具10の下を図2のように適用し、カバーガラス82を分離した。140℃では30分の加熱で、180℃、200℃では1分の加熱で、250℃、300℃では、数秒でカバーガラス82を分離することが可能となった。ただし、200℃以下では、加熱時間を延長しても封入剤が十分に軟化せず、相当な力が必要だった。250℃以上では数秒の加熱で、ほとんど力を入れることなく簡単にカバーガラス82を分離することができた。いずれの温度でも、ピンセットより容易に、カバーガラスを傷つけることなく処理できた。紙ラベル、パスラベル共に、160℃以上でラベルをピンセットでつまんで、またはラベルをピンセットや指でずらすように動かして剥離することができた。(実施例2)実施例1と同様に、剥離具20を適用させたところ、カバーガラスの封入剤塗布面がホットプレートに接触しないため、カバーガラスがホットプレートに貼りつかず、剥離具10より容易に処理できた。(実施例3) 図6および図7に示すブロック型剥離具30を、間隙31の開口部が横に、作用部32が間隙31の上になるように電気炉内に設置し、あらかじめ300℃に保温しておき、顕微鏡標本80を、カバーガラス82を上に向けた状態で、剥離具に接触させながらカバーガラス82が作用部32より奥になるよう間隙31に挿入し、次に顕微鏡標本80が間隙31の上部に接触するようにして引き出すと、作用部32がカバーガラス82を剥離するため、差し込んで引き抜くだけでスライドガラス81のみを取り出すことができた。(実施例4) 剥離具30について、間隙31の開口部と反対側の一端を切り落し、元の開口部の反対側にも開口部を設け、回収槽84ともに電気炉内にて300℃に保温した(図9)。作用部32の側の開口部より間隙31に顕微鏡標本80を差し入れ、作用部32によってカバーガラス82を剥離すると同時に、カバーガラス82を剥離具30より排出し、剥離具30の下に設置した回収槽84にて回収した。差し込んで引き抜くだけでスライドガラス81のみを取り出すと同時に、カバーガラス82も面倒な操作をすることなく回収することができた。(比較例) 60〜70℃のキシレンに浸漬したところ、24時間以上経過しないとカバーガラスは分離しなかった。また、キシレンに40分以上浸漬し、ガムテープで引き剥がそうとしたところ、2時間浸漬してもスライドガラスとカバーガラスは分離せず、ラベルも除去できなかった。 以上説明したように、本発明によれば、病理組織標本に使用したスライドガラスおよびカバーガラスを分離し、再利用可能とするための処理方法および処理装置を提供することが可能となり、省資源および省エネルギーで病理組織標本に使用した材料を再生することができ、医療・診断におけるコストを削減することが可能となる。 10 剥離具(実施例1) 20 剥離具(実施例2) 21 間隙 30 剥離具(実施例3、4) 31 間隙 32 剥離作用部 80 顕微鏡標本 81 顕微鏡標本のスライドガラス 82 顕微鏡標本のカバーガラス 83 加熱部 84 カバーガラス回収槽スライドガラスと、カバーガラスとが付着した顕微鏡標本を、加熱部で140℃〜1500℃に加熱処理する工程と、前記顕微鏡標本に剥離具を作用させてカバーガラスをスライドガラスとを分離せしめる工程とを含む、スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法。 前記顕微鏡標本は、ラベル、マーカーペン書込みを含む病理組織標本である、請求項1に記載の処理方法。 前記剥離具は、顕微鏡標本をはめ込むための切り欠きであって、スライドガラスの一辺の幅と厚みの切り欠きを有する平板である、請求項1または2に記載の処理方法。 前記剥離具は、顕微鏡標本をはめ込むための間隙であって、スライドガラスの一辺の幅と厚みの間隙を有する平板である、請求項1または2に記載の処理方法。 前記剥離具は、顕微鏡標本をはめ込むための間隙であって、スライドガラスの一辺の幅と厚みの間隙を有しカバーガラスを保持する作用点を持つ、請求項1または2に記載の処理方法。 前記加熱処理の温度は、250℃〜300℃である、請求項1または2に記載の処理方法であって、前記剥離具は請求項3〜5のいずれか一項である処理方法。スライドガラスと、カバーガラスとが付着した顕微鏡標本を再生するための処理装置であって、前記処理装置は、前記顕微鏡標本を140℃〜1500℃に加熱処理する加熱部と、前記顕微鏡標本を作用させてカバーガラスをスライドガラスとを分離せしめる剥離具とを含む、スライドガラスおよびカバーガラスの処理装置であって、前記剥離具は、請求項3〜5のいずれか一項である処理装置。 前記処理装置は、カバーガラス回収槽を含む、請求項7に記載の処理装置。 前記顕微鏡標本は、ラベル、マーカーペン書込みを含む病理組織標本である、請求項8または請求項9に記載の処理装置。 【課題】病理組織標本などに使用したスライドガラスおよびカバーガラスから検体、封入剤などを除去して再度病理標本作製に再利用するための処理方法および処理装置を提供すること。【解決手段】顕微鏡標本を140℃〜1500℃に加熱処理する加熱部と、前記顕微鏡標本を作用させてカバーガラスをスライドガラスとを分離せしめる剥離具とを含む、スライドガラスおよびカバーガラスを再利用するための処理装置を提供することによる。【選択図】 図120131120A16330全文3 本発明は、病理組織標本などに使用したスライドガラスとカバーガラスを分離して再度病理標本作製に再利用するための処理方法および処理装置に関する。 病理組織標本(細胞診検体、血液細胞など、病理組織以外の検体の標本を含む)は、通常、スライドガラスとカバーガラスとを用いて作製されている(非特許文献1〜5および特許文献1〜3)。病理組織標本は、通常は半永久的に保存し、病理学の研究や教育、統計等に役立てられるが、保管場所の関係で再診断の必要がほぼないと判断された場合には処分されることがある。このような場合、スライドガラスおよびカバーガラスは、作製した病理組織標本に関しては通常永久的に保存することが前提とされているので、廃棄せずに洗って再使用することは考慮しないし、また、再利用するにしてもスライドガラスとカバーガラスとは封入剤などにより強固に付着されているので、これらを分離することが困難である。スライドガラスと、カバーガラスとを分離する処理も知られてはいるが、破損したカバーガラスを修理したり、同一検体で別の染色法を用いて染色したりするなど、手間と費用がかかっても行う必要があるときに特別に適用される方法であり、具体的には、以下の様な方法が適用される。(1)キシレンに浸漬して自然にはがれるまで放置する(常温2〜3日、60〜70℃1晩)(非特許文献6)。(2)62〜65℃のキシレンに40分以上浸漬し、ガムテープで引き剥がす。(非特許文献7)。(3)炎で炙ってからヘラで引き剥がす(非特許文献8)。 なお、キシレンが多用されているのは、組織の透徹や封入剤の溶剤としてキシレンが用いられることが多いためである。病理組織標本のためのスライドガラスには、その一端に、患者情報や標本番号を記載できるよう、フロスト加工されているものがある。フロスト加工とは、ガラスを削って粗面化する加工である。フロスト加工部は、標本作製に用いる溶剤に浸漬したとき透明化して見にくくなることがあるため、病理組織標本では、ウレタン印刷などでカラーフロスト処理を施したスライドガラスを使用することが一般的である。このフロスト部分に、施設名の印刷された紙ラベルや、検査システムとリンクした印字装置で作製した紙や樹脂のラベルを貼りつけることもある。標本は永久保存が原則であるため、はがすことは考慮されていない。紙ラベルは標本作製に用いる溶剤に一晩から数日間程度浸漬すれば比較的簡単に除去可能となるが、糊が強力な樹脂ラベルは溶剤浸漬後手ではがす必要がある。ただし、ウレタン印刷は、先端が鋭利なもので引っかいたり、ウレタンを傷める薬品で扱ったりすると、はげてしまうことがあるため、手間のかかる作業であった。 図10に、従来使用されているスライドガラスとカバーガラスの分離・再生方法のフローチャートを示す。処理は、工程700から開始し、工程701でスライドガラスおよびカバーガラスを分離する固定を適用する。この工程は、溶剤および洗剤を含む槽に病理組織標本を浸漬し、スライドガラスと、カバーガラスとが自然に分離するまで待つ工程であり、通常では、2〜3日を要する。工程701においてスライドガラスとカバーガラスとが分離されると、工程702〜工程707でスライドガラスが、また工程708〜工程712でカバーガラスがそれぞれ処理され、工程713で処理が終了した後、再利用可能なスライドガラスと、カバーガラスとが回収される。 図10に示す工程では、全処理時間が、概ね数日必要となり、再生利用の効率や工程数が現実的なものではなく、商業的な意味で病理組織標本からのスライドガラスおよびカバーガラス再生のための現実的な処理ということはできなかった。 以上の通り、再利用するには手間とコストがかかるため、不要なスライドガラスおよびカバーガラスは、通常は感染性廃棄物として廃棄されていた。この際、感染性廃棄物は、原則として、医療関係機関などの施設内で焼却、溶融、消毒しなければならない(非特許文献9)。このための処理には、例えば無臭・無煙のもとに滅菌・減量し、更に廃棄処理物の自動梱包を可能にする処理装置も開発されている(特許文献6)。しかしながら、この処理装置は、投入物(廃棄物)を破砕して減量することを目的とするので、スライドガラスやカバーガラスを再利用することを目的とすることができない。このような処理が施設内で処理できない場合、法に定める委託基準に基づき事前に委託契約を締結し、外部委託することになる(非特許文献9)。以上説明したように、病理組織標本に使用したスライドガラスやカバーガラスを再生利用するための効率的な処理方法はこれまで知られておらず、また廃棄のためのコストも高くなっていた。 以上説明したように、病理組織標本においては、まだ使用できそうな「きれいなガラス」が廃棄されており、省資源上の観点および省エネルギー的な観点からもったいないという問題があった。また、廃棄するにしても、感染性廃棄物の場合には、廃棄に多額の手間と費用がかるという問題点もあった。 さらに再利用するにしてもスライドガラスと、カバーガラスとを分離するには、時間や手間がかかり、手技の習熟が必要だった。可燃物を火であぶる方法は、やけどや火災を招く危険がある上、割ったり煤がついたりすると分離したカバーガラスの再利用ができなくなるという問題も発生し、また検体の除去、マーカー消去/除去、ラベル紙除去などの問題があり、スライドガラスと、カバーガラスとを分離するための再利用性と、処理効率を併せ持つ現実的な方法がなかった。特開2009−121906号公報特開2008−286694号公報特開平07−027682号公報特開2004−026989号公報特開2010−115223号公報特開平08−131531号公報篠田宏ほか「病理組織標本作製法I」Medical Technology 14巻 33−38頁,1986年篠田宏ほか「病理組織標本作製法II」Medical Technology 14巻 135−140頁,1986年篠田宏ほか「病理組織標本作製法III」Medical Technology 14巻 319−325頁,1986年鈴木悦ほか「凍結標本の作り方と各種染色方法」Medical Technology 18巻,379−384頁,1990年田中昇ほか分担執筆「細胞診教本−その基礎と実際−」宇宙堂八木書店,1983年,81−97頁細胞検査士会愛知県支部細胞診検査技術資料「細胞診標本での免疫染色の方法」(http://act.umin.ne.jp/imuno.pdf)原田英一、三浦克敏、堤寛「カバーガラスの迅速剥離法」病理と臨床 21巻 1306−1307,2003年引野利明「固定してとれないカバーグラスを素早くとりはがす方法」Medical Technology 20巻 359頁,1992年環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」2009年 本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、病理組織標本に使用したスライドガラスおよびカバーガラスを分離し、再利用可能とするための処理方法および処理装置を提供することを目的とする。 本発明によれば、 スライドガラスと、カバーガラスとが付着した病理組織標本を、加熱部で加熱処理する工程と、前記病理組織標本の外形に合わせて加工した剥離具中に差込む工程と、前記病理組織標本を剥離具に作用させてカバーガラスをスライドガラスとの接着面からみて垂直方向に分離せしめる工程と を含む、スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法が提供される。 本発明の前記病理組織標本は、ラベルを含む病理組織標本、ラベルを含まない病理組織標本のどちらともすることができる。前記加熱部は、140℃〜1500℃、好ましくは250℃〜300℃を実現する加熱装置であれば、ホットプレート、電気炉、マイクロウェーブ発生装置、ガスコンロ、石油ストーブ、アルコールランプ、ガスバーナーなど、とくに制限はない。我々の実験によれば、病理組織標本は140℃以上30分の加熱でカバーガラスがずれて動かすことができるようになり、180℃以上1分の加熱でカバーガラスを分離することが可能となった。250℃以上では数秒の加熱で、ほとんど力を入れることなく簡単にカバーガラスを分離することができた。1500℃の炎で炙るように加熱しても分離可能だったが、300℃を超えるとラベルが焦げて変色したり、キシレン浸漬時にガラスが割れやすくなったりするなどの問題が生じることがわかっている。 なお、カバーガラス分離に際しては、とくに200℃以下では、封入剤が十分に軟化せず、カバーガラスをスライドガラスとの接着面からみて垂直方向にまっすぐ相当な力によってずらすように移動させて分離しないと、カバーガラスが割れて再利用できなくなることがわかっている。200℃を超えると、十分に封入剤が軟化するため、垂直方向にまっすぐでなくとも、分離可能となる。また、紙ラベル、パスラベル共に、160℃以上で簡単に(ラベルをピンセットでつまんで、またはラベルをピンセットや指でずらすように動かして)剥離することができる。前記剥離具は、たとえば図1の形状とすることができる。すなわち、病理組織標本をはめ込むための切り欠きであって、スライドガラスの短辺の幅(図1、10a)と厚み(10b)の切り欠きを有する平板である剥離具10とすることができる。切り欠きはへこみでもよい。10aは、スライドガラス短辺ではなく長辺の長さでもよい。図2および図3に、病理組織標本80に剥離具10を作用させて、スライドガラス81よりカバーガラス82を剥離する方法を示した。カバーガラス82を上に向けた状態で病理組織標本80を加熱部83に設置し、同じく加熱部83に設置した剥離具10の下を矢印に従ってくぐらせると、剥離具10にてカバーガラス82を引っかけ、剥離することができる。なお、剥離具10はかならずしも加熱部83の上に設置する必要はなく、病理組織標本80が処理温度を保つことができるのであれば、別の場所に設置してもよいし、同様に加熱部を設置する方向はどちらでもよい。ラベルは、加熱によって容易に剥離することができる。 さらに、本発明では、 スライドガラスと、カバーガラスとが付着した病理組織標本を分離するための処理装置であって、前記処理装置は、 前記病理組織標本および該病理組織標本を加熱処理する加熱部と、前記病理組織標本の外形に合わせて加工した剥離具と、を備えた処理装置が提供される。前記剥離具は、既に述べた剥離具10および20のような平板のほか、図6に示したようなブロック状の剥離具30を用いることができる。また、図9のように、剥離具の下端を切り落とせば、間隙31の上部から病理組織標本80を差し入れ、カバーガラス82を剥離すると同時に、カバーガラス82を剥離具30より排出し、剥離具30の下に設置した回収槽84にて回収することもできる。 本発明は、熱を利用してスライドガラスと、カバーガラスとを固着していた封入剤を軟化させることにより効率的に剥離することができ、同時に熱処理によってフロスト部分に貼付されたラベルを除去でき、処理時間を短縮でき、また歩留まりも高い処理方法および処理装置を提供することができる。また、本発明の処理装置は、熱をスライドガラスやカバーガラスの再生処理のために効率的に適用するように構成した剥離具や処理装置、回収槽を用いて各工程を自動化することができるので、再生処理が確実に行え、また再生のための労力を軽減することができる。剥離具10の平面図および側面図。剥離具10を用いた処理方法の概略図。剥離具10と病理組織標本80の関係図。剥離具20の平面図および側面図。剥離具20と病理組織標本80の関係図。実施例3で使用する剥離具30の平面図。剥離具30の断面図(側面から見た図)。横の一部を切り落とした剥離具の正面図。下部を切り落とした剥離具の断面図(側面から見た図)。従来使用されているスライドガラスとカバーガラスの分離・再生方法のフローチャート。 以下、本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。本実施形態の処理方法に用いる剥離具は、既に述べたように、たとえば図1の形状とすることができる。すなわち、病理組織標本80をはめ込むための切り欠きであって、スライドガラスの短辺の幅(図1、10a)と厚み(10b)の切り欠きを有する平板である剥離具10とすることができる。切り欠きはへこみでもよい。10aは、スライドガラス短辺ではなく長辺の長さでもよい。図2および図3に、病理組織標本80に剥離具10を作用させて、スライドガラス81よりカバーガラス82を剥離する方法を示した。カバーガラス82を上に向けた状態で病理組織標本80を加熱部83に設置し、同じく加熱部83に設置した剥離具10の下を矢印に従ってくぐらせると、カバーガラス82に引っかり、剥離することができる。なお、剥離具10はかならずしも加熱部83の上に設置する必要はなく、病理組織標本80が処理温度を保つことができるのであれば、別の場所に設置してもよいし、同様に加熱は、の方向はどちらでもよい。ラベルは、加熱によって容易に剥離することができる。剥離具10は切り欠きを有するが、間隙21を有する平板である剥離具20を用いることができる(図4)。この場合は、カバーガラス82を加熱部83に接触するように設置すると、スライドガラス81は、カバーガラス82の厚み20cの分だけ加熱部より浮いた状態になる。間隙21の位置20cをカバーガラス81の厚みと同じにすれば、また高さ20bをスライドガラス81の厚みと同じにすれば、病理組織標本80を間隙21に容易に挿入することができる上、カバーガラス81を平板20に引っ掛けることができ、容易に剥離することができる(図5)。前記剥離具の材質は、いずれの形態であってもアルミやステンレスなどの金属、ガラス、樹脂など、前記加熱処理温度および処理にかかる力で変形、変質しないものであればなんでもよい。図6に示したようなブロック状の剥離具30を用いることもできる。図7は、剥離具30の側面図で、内部構造がわかるように図6のaで切断した状態を示している。間隙31の上部より病理組織標本80を差し入れ、作用点32にカバーガラス82を引っ掛けて剥離することができる。なお、ブロックの外形は、直方体でなくとも、球体でも筒状でもよく、とくに制限はない。作用点の形状は、カバーガラス82を確実に保持し、かつカバーガラス82を傷つけない形状であれば、直線、曲線、波型、台形、突起など、制限はない。前記剥離具の材質は、アルミやステンレスなどの金属、ガラス、樹脂など、前記加熱処理温度および処理にかかる力で変形、変質しないものであれば制限はない。さらに、図8のように、剥離具の横の一部を切り落とし、間隙31の上部からだけでなく横からも病理組織標本80を差し入れるようにすることもできる。図9のように、剥離具の下端を切り落とせば、間隙31の上部から病理組織標本80を差し入れ、カバーガラス82を剥離すると同時に、カバーガラス82を剥離具30より排出し、剥離具30の下に設置した回収槽84にて回収することもできる。いずれの剥離具も、設置の方向に制限はなく、各面や差し入れ口は上下、左右、奥と手前のどこに設置してもよく、斜め方向でもよい。 本発明の前記加熱部は、140℃〜1500℃、好ましくは250℃〜300℃を実現する加熱装置であれば、ホットプレート、電気炉、マイクロウェーブ発生装置、ガスコンロ、石油ストーブ、アルコールランプ、ガスバーナーなどなんでもよい。また、剥離具の一部に接触させて加熱しても、剥離具を加熱装置内部に設置して加熱してもよい。なお、ラベルは、加熱によって容易に剥離することができる。 病理組織標本80は、スライドガラス81に印刷された樹脂製フロストに、紙ラベルまたは樹脂製の病理用パスラベルを貼付した病理組織標本を用いているが、ラベルがない場合や、フロストを持たないスライドガラス、ガラス自体をフロスト加工したスライドガラスであっても同様の結果が得られる。そのため、図では省略してある。(実施例1)病理組織標本80を、カバーガラス82を上に向けた状態で、80℃、120℃、160℃、180℃、200℃、250℃、300℃、1500℃に保温した加温部83にて加温し、封入剤を軟化させた後、加温部83上に設置した剥離具10の下を図2のように適用し、カバーガラス82を分離した。140℃では30分の加熱で、180℃、200℃では1分の加熱で、250℃、300℃では、数秒でカバーガラス82を分離することが可能となった。ただし、200℃以下では、加熱時間を延長しても封入剤が十分に軟化せず、相当な力が必要だった。250℃以上では数秒の加熱で、ほとんど力を入れることなく簡単にカバーガラス82を分離することができた。いずれの温度でも、ピンセットより容易に、カバーガラスを傷つけることなく処理できた。紙ラベル、パスラベル共に、160℃以上でラベルをピンセットでつまんで、またはラベルをピンセットや指でずらすように動かして剥離することができた。(実施例2)実施例1と同様に、剥離具20を適用させたところ、カバーガラスの封入剤塗布面がホットプレートに接触しないため、カバーガラスがホットプレートに貼りつかず、剥離具10より容易に処理できた。(実施例3) 図6および図7に示すブロック型剥離具30を、間隙31の開口部が横に、作用部32が間隙31の上になるように電気炉内に設置し、あらかじめ300℃に保温しておき、病理組織標本80を、カバーガラス82を上に向けた状態で、剥離具に接触させながらカバーガラス82が作用部32より奥になるよう間隙31に挿入し、次に病理組織標本80が間隙31の上部に接触するようにして引き出すと、作用部32がカバーガラス82を剥離するため、差し込んで引き抜くだけでスライドガラス81のみを取り出すことができた。(実施例4) 剥離具30について、間隙31の開口部と反対側の一端を切り落し、元の開口部の反対側にも開口部を設け、回収槽84ともに電気炉内にて300℃に保温した(図9)。作用部32の側の開口部より間隙31に顕微鏡標本80を差し入れ、作用部32によってカバーガラス82を剥離すると同時に、カバーガラス82を剥離具30より排出し、剥離具30の下に設置した回収槽84にて回収した。差し込んで引き抜くだけでスライドガラス81のみを取り出すと同時に、カバーガラス82も面倒な操作をすることなく回収することができた。(比較例) 60〜70℃のキシレンに浸漬したところ、24時間以上経過しないとカバーガラスは分離しなかった。また、キシレンに40分以上浸漬し、ガムテープで引き剥がそうとしたところ、2時間浸漬してもスライドガラスとカバーガラスは分離せず、ラベルも除去できなかった。 以上説明したように、本発明によれば、病理組織標本に使用したスライドガラスおよびカバーガラスを分離し、再利用可能とするための処理方法および処理装置を提供することが可能となり、省資源および省エネルギーで病理組織標本に使用した材料を再生することができ、医療・診断におけるコストを削減することが可能となる。 10 剥離具(実施例1) 20 剥離具(実施例2) 21 間隙 30 剥離具(実施例3、4) 31 間隙 32 剥離作用部 80 病理組織標本 81 病理組織標本のスライドガラス 82 病理組織標本のカバーガラス 83 加熱部 84 カバーガラス回収槽A16333全文3 スライドガラスと、カバーガラスとが付着した病理組織標本を、加熱部で140℃〜300℃に加熱処理する工程と、前記病理組織標本に剥離具を作用させてカバーガラスをスライドガラスとを分離せしめる工程とを含む、スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法において、前記剥離具は、病理組織標本をはめ込むための切り欠きであって、スライドガラスの一辺の幅と厚みの切り欠きを有する平板である処理方法。 スライドガラスと、カバーガラスとが付着した病理組織標本を、加熱部で140℃〜300℃に加熱処理する工程と、前記病理組織標本に剥離具を作用させてカバーガラスをスライドガラスとを分離せしめる工程とを含む、スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法において、前記剥離具は、病理組織標本をはめ込むための間隙であって、スライドガラスの一辺の幅と厚みの間隙を有する平板である処理方法。