生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ビタミン類を含有するニキビの予防又は治療用組成物
出願番号:2013014627
年次:2014
IPC分類:A61Q 19/00,A61K 8/67


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辻 恵子 飯塚 泰貴 JP 2014144929 公開特許公報(A) 20140814 2013014627 20130129 ビタミン類を含有するニキビの予防又は治療用組成物 第一三共ヘルスケア株式会社 306014736 竹元 利泰 100161160 石橋 公樹 100146581 今村 真有 100153039 児玉 博宣 100164460 辻 恵子 飯塚 泰貴 A61Q 19/00 20060101AFI20140718BHJP A61K 8/67 20060101ALI20140718BHJP JPA61Q19/00A61K8/67 3 OL 11 4C083 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC122 4C083AC352 4C083AC422 4C083AD092 4C083AD621 4C083AD622 4C083AD641 4C083AD642 4C083AD651 4C083AD652 4C083AD661 4C083AD662 4C083CC04 4C083CC05 4C083DD27 4C083DD31 4C083EE14 本発明は、高いニキビ予防又は治療効果を有する皮膚外用組成物等に関する。 ニキビ(尋常性ざ瘡)は、毛包に皮脂が詰まり、炎症をおこすことによって発症する皮膚の炎症性疾患である。主に思春期に発症し、顔面胸背部などに毛孔に一致して皮疹が認められる。ニキビの発症メカニズムは、面皰形成と炎症惹起の2つの段階があり、面皰形成には皮脂分泌の亢進、毛包漏斗部の角化異常、及び毛包内細菌[特にニキビ桿菌(Propionibacterium acnes)]の増加が関与するといわれており、炎症惹起過程では、ニキビ桿菌由来の細胞外炎症誘発物質の関与が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。これらのニキビの予防や治療には、洗顔や生活習慣の改善のほか、イオウ含有製剤、レチノイド様作用を有するナフトエ酸誘導体を有効成分とする外用薬のアダパレン(商品名:ディフェリン(登録商標)ゲル0.1%)(例えば、非特許文献2参照)、抗菌剤等が用いられている。 ビタミンAの代謝物であるレチノイン酸(ビタミンA酸)は、ビタミンAの生理活性物質の一つであり、表皮細胞や線維芽細胞の増殖促進作用(例えば、非特許文献3参照)、ヒアルロン酸産生促進作用(例えば、非特許文献3参照)、角化改善作用(例えば、非特許文献4参照)、抗ニキビ作用(非特許文献5参照)等の多様な生理作用が知られている。しかし、レチノイン酸は刺激性が強いという欠点があり、更に、化粧品には配合できない成分である。一方、レチノイン酸より薬理活性が弱いが、刺激性のないレチノールは、アクネ(ニキビ)の治療に用いられている(例えば、特許文献1参照)。 ビタミンA類以外のビタミンでは、ビタミンEはその抗酸化作用から、ニキビの発症因子のひとつである過酸化脂質の産生抑制作用を有し、ニキビに対する補助療法として用いられている(例えば、非特許文献6参照)。また、アスコルビン酸(例えば、特許文献2参照)や、アスコルビン酸のエーテル誘導体又はエステル誘導体が抗ニキビ作用を有すること(例えば、特許文献3参照)、ビタミンDが面皰溶解作用(例えば、非特許文献7参照)を有することが知られている。 さらにビタミン類の配合剤としては、ビタミンC、カロチン及びビタミンEを含有し、レチノイン酸を含有しない外用組成物が、ニキビの治療に効果があることが知られている(例えば、特許文献4参照)。また、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEを有効成分として含有する皮膚老化防止用の外用組成物も知られている(例えば、特許文献5参照)。 しかしながら、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEを有効成分として含有する皮膚外用組成物が、ニキビに効果があることについては知られていない。特開平7−165567号公報特開平9−110628号公報特開平11−79930号公報特表2006−525945号公報特開2011−12055号公報MB Derma.No.170,6〜7,2010.医薬品添付文書 ディフェリン(登録商標)ゲル0.1%J.Invest.Dermatol.Symp.Proc.Vol.3,57‐60,1998.Arch.Dermatol.Res.Vol.291,346−353,1999.J.Am.Acad.Dermatol.Vol.17,251−254,1987.にきび最前線 宮地良樹 編 メディカルレビュー社 115頁British J.of Dermatol.Vol.155, 895−901,2006. ビタミンAの代謝物であるレチノイン酸やレチノイド様作用を有するナフトエ酸誘導体であるアダパレンは、ニキビに対して優れた治療効果を有するものの、刺激性等の副作用が強い。一方、レチノールは、刺激性が少なく、比較的安全性が高いが、単独では治療効果が満足できるものではなかった。かかる状況から、本発明の課題は、レチノールを含み、優れたニキビの予防又は治療効果を有する皮膚外用組成物を見出すことである。 本発明者らは、鋭意研究の結果、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、及び、ビタミンEを含有する皮膚外用組成物が、ニキビの予防又は治療剤として優れた効果を有することを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は下記の(1)〜(3)を提供する。(1)ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、及び、ビタミンEを有効成分として含有することを特徴とする、ニキビの予防又は治療のための皮膚外用組成物。(2)ビタミンCが脂溶性ビタミンCである、(1)に記載の皮膚外用組成物。(3)ビタミンAがパルミチン酸レチノールであり、ビタミンCがテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルであり、ビタミンDがコレカルシフェロールであり、ビタミンEが酢酸トコフェロールである、(1)に記載の皮膚外用組成物。 本発明により、副作用の少ない有効性に優れたニキビの予防又は治療のための皮膚外用組成物が提供できる。レチノイド外用剤の副作用が主にRARγを介した作用と考えられていることから、各被験物質のヒト表皮角化細胞におけるレチノイン酸受容体γ(RARγ)mRNAの発現量を無処置群の発現量を1としたときの相対評価として比較した図である。 本発明における「ビタミンA」としては、レチノール、レチノール脂肪酸エステル類、レチノール有機酸エステル類、レチノール無機酸ジエステル複合体等を意味し、具体的には、レチノール;レチノール脂肪酸エステル類としては、レチノールパルミチン酸エステル、レチノールステアリン酸エステル、レチノール酢酸エステル;レチノール有機酸エステル類としては、レチノール乳酸エステル、レチノールグリコール酸エステル;レチノール無機酸ジエステル複合体としては、レチノールリン酸ジエステル複合体、レチノールピロリン酸ジエステル複合体、レチノール硫酸ジエステル複合体等を挙げることができる。本発明における「ビタミンA」としては、all-transレチノール及びその異性体、all−transレチナール及びその異性体、all−transレチノイン酸及びその異性体、それらの3−デヒドロ体、3,4−ジデヒドロ体、さらには、広く市販されており、安定性が比較的良好なパルミチン酸レチノールが好ましく;パルミチン酸レチノールが特に好ましい。これらのビタミンAは、化学合成品であっても、天然抽出物より得られたものであっても、天然抽出物を精製したものであっても良い。 本発明における「ビタミンC」としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、及びテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル等を意味する。本発明における「ビタミンC」としては、「脂溶性ビタミンC」が、角質浸透性ひいてはニキビの予防や治療といった効果の面から好ましい。本発明に用いられる「脂溶性ビタミンC」は、脂溶性のビタミンCであれば特に限定されないが、例えば、パルミチン酸アスコルビル、及びテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル等が好ましい。これらのビタミンCは、化学合成品であっても、天然抽出物より得られたものであっても、天然抽出物を精製したものであっても良い。 本発明における「ビタミンD」としては、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール等を意味し、コレカルシフェロールが好ましい。かかるビタミンDは、市販されており、容易に入手することができる。 本発明における「ビタミンE」としては、トコフェロール、コハク酸トコフェロール、及び酢酸トコフェロール等を意味し、酢酸トコフェロールが好ましい。かかるビタミンEは、市販されており、容易に入手することができる。 本発明の皮膚外用組成物に配合されるビタミンAの配合量は、通常、製剤全体の0.00001〜10重量%であり、0.0005〜5重量%が好ましく、0.0001〜1重量%がより好ましい。 本発明の皮膚外用組成物に配合されるビタミンCの配合量は、通常、製剤全体の0.00001〜50重量%であり、0.0001〜10重量%が好ましく、0.0005〜5重量%がより好ましい。 本発明の皮膚外用組成物に配合されるビタミンDの配合量は、通常、製剤全体の0.00001〜10重量%であり、0.0001〜1重量%が好ましく、0.0001〜0.1重量%がより好ましい。 本発明の皮膚外用組成物に配合されるビタミンEの配合量は、通常、製剤全体の0.0001〜10重量%であり、0.001〜5重量%が好ましく、0.005〜2重量%がより好ましい。 本発明の皮膚外用組成物は、上記ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEの他にも、ニキビの予防又は治療に有効な成分や、ニキビの予防又は治療に有効な成分を増強させる成分を、本発明の効果(有効性と安全性)を損なわない範囲で配合することができる。例えば、ビタミンB2、ビタミンB6等のビタミン類;グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸、アラントイン、イブプロフェンピコノール等の抗炎症剤;サリチル酸、過酸化ベンゾイル、イオウ等の角質剥離剤;ナジフロキサシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、安息香酸等の殺菌剤・抗生物質等を挙げることができる。 本発明の皮膚外用組成物は、ニキビ(尋常性ざ瘡、アクネ)の予防又は治療のために使用され、特に面皰形成を顕著に抑制する。 本発明の皮膚外用組成物は、皮膚に塗布して用いられる組成物であれば特に限定はないが、例えば、医療用の皮膚外用組成物又は化粧料組成物である。本組成物には、ビタミンA;ビタミンC;ビタミンD及びビタミンE等の有効成分以外に、通常、医薬品、医薬部外品、化粧品等の皮膚外用医療用組成物に用いられる成分、例えば、水性成分、油性成分、粉末成分、アルコール類、保湿剤、増粘剤、紫外線吸収剤、美白剤、防腐剤、酸化防止剤、界面活性剤、香料、色素などを適宜必要に応じて配合することができる。そのような配合の方法は、日局製剤総則に記載の方法に従って行うことができる。 本発明の皮膚外用組成物の「剤型」としては、皮膚に適用できる剤型であれば特に限定されないが、クリーム剤、軟膏剤、液剤、ゲル剤、ローション剤などの塗布剤、パップ剤、テープ剤、パッチ剤などの貼付剤が好ましく、クリーム剤がより好ましい。また、本発明の皮膚外用組成物は、医薬品、医薬部外品、化粧品等として利用することができ、該皮膚外用組成物が塗布剤の場合、その使用方法としては、適量を手に取り、1日1回〜数回皮膚に塗布すればよい。 本発明の実施例を以下に記載するが、これらに限定されるものではない。1.(試験例1)尋常性ざ瘡モデルマウスを用いた有効性の検討1−1.試験方法 尋常性ざ瘡モデルマウスであるライノマウスを用いて試験を実施した。ライノマウスは、ざ瘡の処置に使用する種々の薬物の、表皮肥厚作用及び面皰抑制作用を評価するためのモデルである。ライノマウスは皮膚に濾胞を有し、その開口部は角のある材で広げることができ、その構造はヒトの微小面皰に似ており、小嚢又は擬面皰と称される。 すなわち、今回の試験では尋常性ざ瘡モデルとして使用されている雌雄のマウス (RHJ/LeJ) を用い、被験物質を21日間経皮投与後、処置期間終了時に皮膚の組織学的評価を行い、面皰抑制作用をマウス表層の面皰状態の目視評価を指標として5段階(表1)で評価した。1−2.被験物質 実施例1、比較例1、比較例2は表2に示した成分を用いて試験用組成物を調製した。調製方法は、A群及びB群をそれぞれ80℃に加温し、B群を撹拌しながらA群を添加して乳化した。その後、得られた組成物を35℃まで冷却した。また、アダパレン及びall-transレチノイン酸は顕著な活性を示すことがわかっているので、ライノマウスにおける正の対照として用いた。比較例3、比較例4については、all-transレチノイン酸(入手先:ナカライテスク(株))の最終濃度がそれぞれ0.01%、0.0001%となるようにトリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(入手先:日光ケミカル株式会社 )で溶解・希釈し、調製した。比較例5は市販の製剤[ディフェリン(登録商標)ゲル(0.1%アダパレンを含むゲル。入手先:塩野義製薬(株))をそのまま用いた。1−3.被験動物 被験動物は、ライノマウス(RHJ/LeJ、雄6〜11週齢、雌8〜11週齢、入手先:The Jackson Laboratory)を用いた。ライノマウス雌雄各12匹を1群4匹ずつ、計6群に群分けし、馴化後に試験に使用した。1−4.試験結果 結果を表3に示す。 本試験の結果、ビタミンACDE配合群では、マウス表層の面皰状態の目視評価において、対照としたアダパレン群と比較して高い面皰抑制効果を示した。 レチノイン酸においては、レチノイン酸0.01%群では顕著な効果が認められたものの、マウス4個体中3個体において皮膚損傷が激しく判定が出来ない状態であり、より低濃度のレチノイン酸0.0001%群では面皰抑制効果が不十分であった。 また、アダパレン群においてはマウス4個体中1個体が皮膚損傷により判定不能であったのに対し、ビタミンACDE配合群では皮膚損傷が認められた個体はなく、4個体すべてにおいて面皰抑制効果を発揮した。 現在市販されている局所面皰溶解剤であるアダパレンは、乾燥症状や皮膚刺激を伴うため、毎日使い続けるものとしては不適切である。今回我々が開発したビタミンA、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEを含有する組成物は、皮膚刺激を伴わず、保湿効果もあり、毎日使い続けることで高いニキビ予防、治療作用を示すことが明らかになった。2.(試験例2)ヒト表皮角化細胞を用いた安全性試験2−1.試験方法 ヒト表皮角化細胞を被験物質に添加し、レチノイン酸受容体γ(RARγ)mRNAの発現量を無処置群と比較した。レチノイド外用剤の副作用として皮膚炎症状(落屑、紅斑、irritation)が知られているが、これは主にRARγを介した作用と考えられている。 96穴プレートに正常ヒト表皮角化細胞(クラボウ)をHuMedia KG-2培地(クラボウ)にて10,000cells/wellの密度で播種した。1日後、パルミチン酸レチノール(ビタミンA)のみ、ビタミンC+ビタミンD+ビタミンE(VC+VD+VE)、ビタミンA+ビタミンC+ビタミンD+ビタミンE(VA+VC+VD+VE)、all-transレチノイン酸、及びアダパレンを表4に記載の濃度(高濃度)、及びそれらの10倍希釈液(低濃度)を添加したHuMedia KB-2培地(クラボウ)と交換しその後2日間培養した。なお、無処置群はHuMedia KB-2培地に交換した。 試験は、TaqMan(登録商標)Fast Cells-to-CT(登録商標)Kit(Applied Biosystems)、TaqMan(登録商標)Probe(Assay ID Hs01559234_m1)及びTaqMan(登録商標)Probe(Human GAPDH)を用いてリアルタイムRT-PCR法を実施した。RARγmRNAの発現量は下記の(式1)を用いて、ΔΔCt法(算出法は、「原理からよくわかるリアルタイムPCR実験ガイド」(編集:北條浩彦、発行所:(株)羊土社)34頁〜38頁参照)により無処置群を1とした場合の相対的発現量を算出した。図1に結果(n=2の平均値)を示した。2−2.試験結果 図1のグラフより、ビタミンA+ビタミンC+ビタミンD+ビタミンEは、高濃度群も低濃度群も、それぞれ無処置群とほぼ同じ発現量だが、all-transレチノイン酸、アダパレンでは発現量が高かった。今回、ビタミンA(パルミチン酸レチノール)の濃度、all-transレチノイン酸及びアダパレンの濃度は、それぞれ1μM(高濃度群)及び0.1μM(低濃度群)に揃えて試験を行った。 以上の結果から、all-transレチノイン酸やアダパレンよりも、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEの組み合わせの方が、安全性が高いことが分かった。3.製剤例(製剤例1)美容液 表5に記載の成分を常法により混合し、美容液を製造した。(製剤例2)美容液 表6に記載の成分を、常法により混合し、美容液を製造した。(製剤例3)乳液 表7に記載の成分を、常法により混合し、乳液を製造した。(製剤例4)乳液 表8に記載の成分を、常法により混合し、乳液を製造した。 本発明の組成物は、ニキビの予防又は治療用として優れた有効性と高い安全性を兼ね備えたものである。従って、かかる皮膚外用組成物は、ニキビの予防又は治療用皮膚外用組成物として有用である。 ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、及び、ビタミンEを有効成分として含有することを特徴とする、ニキビの予防又は治療のための皮膚外用組成物。 ビタミンCが脂溶性ビタミンCである、請求項1に記載の皮膚外用組成物。 ビタミンAがパルミチン酸レチノールであり、ビタミンCがテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルであり、ビタミンDがコレカルシフェロールであり、ビタミンEが酢酸トコフェロールである、請求項1に記載の皮膚外用組成物。 【課題】レチノールを含み、優れたニキビの予防又は治療効果を有する皮膚外用組成物を見出すことが課題である。【解決手段】ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、及び、ビタミンEを有効成分として含有することを特徴とする、ニキビの予防又は治療のための皮膚外用組成物。【選択図】なし


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