タイトル: | 公開特許公報(A)_胎盤幹細胞集団 |
出願番号: | 2013002575 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C12N 5/10,C12N 5/0735,A61K 35/50,A61P 7/00 |
ジャメス ダブリュー.エディンゲル ロベルト ジェイ.ハリリ ジア‐ルン ワング キアン イエ JP 2013099343 公開特許公報(A) 20130523 2013002575 20130110 胎盤幹細胞集団 アントフロゲネシス コーポレーション 508000076 石川 徹 100097456 ジャメス ダブリュー.エディンゲル ロベルト ジェイ.ハリリ ジア‐ルン ワング キアン イエ US 60/754,968 20051229 US 60/846,641 20060922 C12N 5/10 20060101AFI20130502BHJP C12N 5/0735 20100101ALI20130502BHJP A61K 35/50 20060101ALI20130502BHJP A61P 7/00 20060101ALI20130502BHJP JPC12N5/00 102C12N5/00 202CA61K35/50A61P7/00 1 1 2008548745 20061228 OL 84 4B065 4C087 4B065AA93X 4B065AB01 4B065AC20 4B065BA01 4B065BB34 4B065BC46 4B065CA44 4C087AA01 4C087AA03 4C087BB58 4C087MA66 4C087NA14 4C087ZA51 本出願は、2005年12月29日付で出願された米国特許仮出願番号第60/754,968号及び2006年9月22日付で出願された米国特許仮出願番号第60/846,641号の利益を請求する。(1.発明の分野) 本発明は、単離された胎盤幹細胞、胎盤幹細胞の集団、該幹細胞を含む組成物、及び該幹細胞を得る方法を提供するものである。(2.発明の背景) ヒト幹細胞は、多様な成熟したヒト細胞系統を生成することのできる、全能性又は多能性前駆細胞である。幹細胞を、全部ではないが、多くの組織を再増殖して、生理学的かつ解剖学的な機能性を回復するために採用することができることを示す証拠が存在している。 数多くの異なる型の哺乳類の幹細胞が、特徴付けられている。例えば、Caplanらの米国特許第5,486,359号(ヒト間葉系幹細胞);Boyseらの米国特許第5,004,681号(胎児と新生児の造血幹細胞及び前駆細胞);Boyseらの米国特許第5,192,553号(胎児と新生児の造血幹細胞及び前駆細胞);Cell 114(6):第763〜766頁(2003)に掲載された、Beltramiらの論文(心臓幹細胞);J.Pathol.197(4):第510〜518頁(2002)に掲載された、Forbesらの論文(肝幹細胞)を参照。臍帯血及び、臍帯血由来の全体の有核細胞は、切除治療を受けた患者に対して、造血機能を部分的に或いは全体的に回復させるために、移植されて用いられてきた。(3.発明の概要) 本発明は、単離された胎盤幹細胞、胎盤幹細胞の集団、該幹細胞を含む組成物、及び該幹細胞を得る方法を提供する。 本発明は、まず、単離された幹細胞、そのような幹細胞を含む細胞集団を提供し、ここで、該幹細胞は、胎盤組織(例えば、羊膜、絨毛膜、胎盤葉等)から単離することのできる状態にある。該胎盤幹細胞は、幹細胞の1つ以上の特徴を示し(例えば、幹細胞に関する標識を示し、分化されていない状態の培養状態で、少なくとも10〜20回で複製し、3つの胚葉を表する成体細胞に分化する等)、そして、組織培養基材(例えば、組織培養皿やマルチウェルプレートの表面のような組織培養プラスチック)に付着することができる。 一実施態様において、本発明は、CQ200+又はHLA-G+である、単離された胎盤幹細胞を提供する。具体的な実施態様において、前記細胞は、CD200+とHLA-G+である。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、胎盤幹細胞を含む単離された胎盤細胞の一集団から、前記集団が、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する。 他の実施態様において、本発明は、例えば、CD200+、HLA-G+幹細胞に富む、単離された胎盤細胞の集団を提供する。多様な実施態様において、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%、又はそれ以上の前記単離された胎盤細胞は、CD200+、HLA-G+幹細胞である。上記集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記集団は、例えば、少なくとも1回、少なくとも3回、少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも15回、又は少なくとも20回の継代で、拡大されてきた。他の具体的な実施態様において、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、前記集団は、1個以上の胚様体様組織体を形成する。 他の実施態様において、本発明は、単離された幹細胞である、CD73+、CD105+及びCD200+を提供する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、HLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。さらに他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。さらに具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-及びHLA-G+である。他の具体的な実施態様において、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記集団が培養されるとき、前記幹細胞は、該幹細胞を含む単離された胎盤細胞の集団由来の1個以上の胚様体様組織体の成長を促進する。 他の実施態様において、本発明は、例えばCD73+、CD105+、CD200+幹細胞に富む、単離された胎盤細胞の集団を提供する。多様な実施態様において、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の前記単離された胎盤細胞は、CD73+、CD105+、CD200+幹細胞である。上記集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、HLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。さらに具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-及びHLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記集団は、例えば、少なくとも1回、少なくとも3回、少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも15回、又は少なくとも20回の継代で、拡大されてきた。他の具体的な実施態様において、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、前記集団は、1個以上の胚様体様組織体を形成する。 また、本発明は、CD200+及びOCT-4+である、単離された幹細胞を提供する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、HLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+及びHLA-G+である。他の具体的な実施態様において、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記集団が培養されるとき、前記幹細胞は、胎盤幹細胞を含む単離された胎盤細胞の集団由来の、1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する。 他の実施態様において、本発明は、例えば、CD200+、OCT-4+幹細胞に富む、単離された細胞の集団を提供する。多様な実施態様において、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の前記単離された胎盤細胞は、CD200+、OCT-4+幹細胞である。上記集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、HLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+及びHLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記集団は、例えば少なくとも1回、少なくとも3回、少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも15回、又は少なくとも20回の継代で、拡大されてきた。他の具体的な実施態様において、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、前記集団は、1個以上の胚様体様組織体を形成する。 他の実施態様において、本発明は、CD73+及びCD105+である、単離された幹細胞を提供し、該単離された幹細胞は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記集団が培養されるとき、前記幹細胞を含む単離された胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT4+である。さらに具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT4+、CD34-、CD38-及びCD45-である。 さらに、本発明は、例えば、CD73+、CD105+幹細胞に富む、単離された胎盤細胞の集団を提供し、ここで、前記集団は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において、1個以上の胚様体様組織体を形成する。多様な実施態様において、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の前記単離された胎盤細胞は、CD73+、CD105+幹細胞である。上記集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記集団は、例えば、少なくとも1回、少なくとも3回、少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも15回、又は少なくとも20回の継代で、拡大されてきた。 さらに、本発明は、CD73+、CD105+及びHLA-G+である、単離された幹細胞を提供する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+である。さらに具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+及びCD200+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養される間、胎盤幹細胞を含む単離された胎盤細胞の集団由来の1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する。 さらに、本発明は、CD73+、CD105+及びHLA-G+幹細胞に富む、単離された胎盤細胞の集団を提供する。多様な実施態様において、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の前記単離された胎盤細胞は、CD73+、CD105+及びHLA-G+幹細胞である。上記集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+及びCD200+である。他の具体的な実施態様において、前記集団は、例えば、少なくとも1回、少なくとも3回、少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも15回、又は少なくとも20回の継代で、拡大されてきた。他の具体的な実施態様において、前記集団は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、胚様体様組織体を形成する。 さらに、本発明は、OCT-4+である単離された幹細胞を提供し、これは、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、前記幹細胞を含む、単離された胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+、CD105+、CD200+、CD34-、CD38-及びCD45-である。 また、本発明は、例えば、OCT-4+胎盤幹細胞に富む、単離した細胞の集団を提供し、ここで、前記集団は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、1個以上の胚様体様組織体を形成する。多様な実施態様において、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の前記単離された胎盤細胞は、OCT-4+胎盤幹細胞である。上記集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+である。さらに具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+、CD105+、CD200+、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記集団は、例えば、少なくとも1回、少なくとも3回、少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも15回、又は少なくとも20回の継代で、拡大されてきた。 さらに、本発明は、以下の方法で作成された、本明細書に記載の胎盤幹細胞の単離された集団を提供する。該方法は、臍帯血が除去され、潅流されて、残留血液を除去した哺乳類の胎盤を潅流させることと、前記胎盤を潅流液と共に潅流させることと、前記潅流液を回収することと、ここで、潅流後の潅流液は、胎盤幹細胞を含む細胞の集団を含み、さらに、多数の前記胎盤幹細胞を細胞の集団から単離すること、を含む。具体的な実施態様において、該潅流液は、胎盤から染み出た後に、臍帯静脈と臍帯動脈を共に通過して、回収される。他の具体的な実施態様において、該潅流液は、臍帯静脈を通過して臍帯動脈から回収されるか、或いは、臍帯動脈を通過して臍帯静脈から回収される。 さらに、本発明は、以下の方法で作成された、本明細書に記載の胎盤幹細胞の単離された集団を提供する。該方法は、胎盤組織を、組織を分解する酵素とともに消化させて胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団を得ることと、多数の胎盤幹細胞を、前記胎盤細胞の残留物から単離すること、を含む。具体的な実施態様において、前記胎盤組織は、胎盤全体、羊膜、絨毛膜、羊膜と絨毛膜の組み合わせ、又は前述したもののいずれかの組み合わせである。他の具体的な実施態様において、該組織を分解する酵素は、トリプシン又はコラゲナーゼである。 さらに具体的な実施態様において、本発明は、上記単離された幹細胞のいずれかを提供し、ここで前記幹細胞は、骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して検出可能なより高い水準で、1個以上の遺伝子を発現する。ここで、前記1個以上の遺伝子は、ACTG2、ADARBl、AMIGO2、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、C1Iorf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、 HLA-G、ICAMl、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAKl、PCDH7、PDLIM3、PJP2、RTNl、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN及びZC3H12Aからなる群より選択される。また、ここで、前記骨髄由来の幹細胞は、培養において、前記胎盤幹細胞が経た継代の回数と同等である、多くの継代を経る。このような遺伝子に対応する配列は、Affymetrix GENECHIP(登録商標)配列で発見される。さらに、このような遺伝子は、2006年12月、現在、遺伝子バンクアクセス番号NM_001615(ACTG2)、BC065545(ADARBl)、(NM_181847(AMIGO2)、AY358590(ARTS-1)、BC074884(B4GALT6)、BC008396(BCHE)、BC020196(C11orf9)、BC031103(CD200)、NM_001845(COL4A1)、NM_001846(COL4A2)、BC052289(CPA4)、BC094758(DMD)、AF293359(DSC3)、NM_001943(DSG2)、AF338241(ELOVL2)、AY336105(F2RL1)、NM_018215(FLJl0781)、AY416799(GATA6)、BC075798(GPR126)、NM_016235(GPRC5B)、AF340038(ICAMl)、BC000844(IER3)、BC066339(IGFBP7)、BC013142(IL1A)、BT019749(IL6)、BC007461(ILl8)、(BC072017)KRT18、BC075839(KRT8)、BC060825(LIPG)、BC065240(LRAP)、BCO10444(MATN2)、BCOl1908(MEST)、BC068455(NFE2L3)、NM_014840(NUAKl)、AB006755(PCDH7)、NM_014476(PDLIM3)、BC126199(PKP-2)、BC090862(RTNl)、BC002538(SERPINB9)、BC023312(ST3GAL6)、BC001201(ST6GALNAC5)、BC126160又はBC065328(SLC12A8)、BC025697(TCF21)、BC096235(TGFB2)、BC005046(VTN)、及びBC005001(ZC3H12A)で発見することができる。 さらに具体的な実施態様において、前記幹細胞は、骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して検出可能なより高い水準で、ACTG2、ADARBl、AMIG02、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、Cllorf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPRl26、GPRC5B、HLA-G、ICAMl、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、IL18、KRTl8、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAKl、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTNl、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、及びZC3H12Aを発現する。 より具体的な実施態様において、本発明は、また、上記単離された幹細胞の集団のうちのいずれかを提供する。ここで、前記幹細胞は、 骨髄由来の間葉系幹細胞の集団と比較して検出可能なより高い水準で、1個以上の遺伝子を発現し、ここで、前記1個以上の遺伝子は、ACTG2、ADARBl、AMIG02、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、C1lorf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、HLA-G、ICAMl、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、ILl8、KRTl8、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAKl、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTNl、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、及びZC3H12Aからなる群より選択される。ここで、前記骨髄由来の幹細胞の集団は、培養において、前記胎盤幹細胞が経た継代の回数と同等である、多くの継代を経る。そして、前記骨髄由来の間葉系幹細胞の集団は、前記単離された幹細胞の集団と同等である、多数の細胞を有する。さらに具体的な実施態様において、該単離された幹細胞の集団は、単離された骨髄由来の間葉系幹細胞の前記集団と比較して検出可能なより高い水準で、ACTG2、ADARBl、AMIGO2、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、Cllorf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、HLA-G、ICAMl、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAKl、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTNl、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、及びZC3H12Aを発現する。 細胞集団を選択する方法のより具体的な実施態様において、本発明は、また、上記細胞集団のうちの1つを選択する方法を提供し、該方法は、 骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して検出可能なより高い水準で、1個以上の遺伝子を発現する細胞を選択することを含み、ここで、前記1個以上の遺伝子は、ACTG2、ADARBl、AMIGO2、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、Cllorf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、HLA-G、ICAMl、IER3、IGFBP7、ILlA、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAKl、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTNl、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLCl2A8、TCF21、TGFB2、VTN、及びZC3H12Aからなる群より選択される。また、ここで前記骨髄由来の幹細胞は、培養において、前記胎盤幹細胞が経た継代の回数と同等である、多くの継代を経る。より具体的な実施態様において、前記選択は、骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して検出可能なより高い水準で、ACTG2、ADARBl、AMIGO2、ARTS-l、B4GALT6、BCHE、Cllorf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、HLA-G、ICAMl、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、ILl8、KRTl8、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAKl、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTNl、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLCl2A8、TCF21、TGFB2、VTN、及びZC3H12Aを発現する細胞を選択することを含む。 本発明は、さらに、1個以上の本発明の幹細胞を含む組成物を提供し、ここで、該幹細胞は、胎盤から単離されている。したがって、本発明は、幹細胞を含む組成物をさらに提供し、ここで、前記幹細胞は、CD200+及びHLA-G+である。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+、CD200+及びHLA-G+である。 他の実施態様において、本発明は、幹細胞を含む組成物を提供し、ここで前記幹細胞は、CD73+、CD105+及びCD200+である。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、HLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-及びHLA-G+である。 他の実施態様において、本発明は、幹細胞を含む組成物を提供し、ここで、前記幹細胞は、CD200+及びOCT-4+である。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、HLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+、及びHLA-G+である。 他の実施態様において、本発明は、CD73+及びCD105+である幹細胞を含む組成物を提供し、ここで、前記幹細胞は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において、前記幹細胞を含む単離された胎盤細胞の集団において、胚様体様組織体の形成を促進する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+、CD200+、CD34-、CD38-及びCD45-である。 さらに他の実施態様において、本発明は、CD73+、CD105+及びHLA-G+である幹細胞を含む組成物を提供する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+、CD200+、CD34-、CD38-及びCD45-である。 他の実施態様において、本発明は、OCT-4+である幹細胞を含む組成物を提供し、ここで、前記幹細胞は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において、前記幹細胞を含む単離された胎盤細胞の集団内で、胚様体様組織体の形成を促進する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+である。さらに他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+、CD105+、CD200+、CD34-、CD38-及びCD45-である。 上記組成物のより具体的な実施態様において、前記幹細胞は、骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して検出可能なより高い水準で、1個以上の遺伝子を発現し、ここで、1個以上の遺伝子は、ACTG2、ADARBl、AMIGO2、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、Cllorf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJl0781、GATA6、GPRl26、GPRC5B、HLA-G、ICAMl、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、ILl8、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAKl、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTNl、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、及びZC3H12Aからなる群より選択される。また、ここで、前記骨髄由来の幹細胞は、培養において、前記胎盤幹細胞が経た継代の回数と同等である、多くの継代を経る。上記組成物のより具体的な実施態様において、前記幹細胞は、骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して検出可能なより高い水準で、ACTG2、ADARBl、AMIGO2、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、Cllorf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、HLA-G、ICAMl、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAKl、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTNl、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、及びZC3H12Aを発現し、このとき、幹細胞の前記集団及び骨髄由来の間葉細胞の前記集団は、同数の細胞を有する。 他の具体的な実施態様において、前記組成物のいずれも、細胞間マトリックスを含む。より具体的な実施態様において、前記細胞間マトリックスは、3次元的骨格である。他のより具体的な実施態様において、前記細胞間マトリックスは、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、フィブロネクチン、ペクチン、オルニチン、又はビトロネクチンを含む。他のより具体的な実施態様において、前記細胞間マトリックスは、羊膜、又は羊膜由来の生体材料である。他のより具体的な実施態様において、前記細胞間マトリックスは、細胞外膜タンパク質を含む。他のより具体的な実施態様において、前記細胞間マトリックスは、合成化合物を含む。他のより具体的な実施態様において、前記細胞間マトリックスは、生物活性化合物を含む。他のより具体的な実施態様において、前記生物活性化合物は、成長因子、サイトカイン、抗体、又は、5000ダルトン未満の有機分子である。 他の実施態様において、本発明は、前述した幹細胞のうちのいずれ、又は前述した幹細胞集団のうちのいずれかによってならされた培地を含む組成物を提供する。具体的な実施態様において、そのような組成物のいずれも、胎盤から得られない幹細胞を含む。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、胚性幹細胞である。他のより具体的な実施態様において、前記幹細胞は、間葉系幹細胞である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、骨髄由来の幹細胞である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、造血前駆細胞である。他のより具体的な実施態様において、前記幹細胞は、体性幹細胞である。さらにより具体的な実施態様において、前記体性幹細胞は、神経幹細胞、肝幹細胞、膵臓幹細胞、内皮幹細胞、心臓幹細胞、又は筋幹細胞である。 本発明は、また、哺乳類の胎盤由来の幹細胞の集団を作成する方法を提供する。一実施態様において、例えば、本発明は、(a)基材に付着され、(b)CD200とHLA-Gを発現する細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離し、細胞集団を形成すること;を含む、細胞集団の作成方法を提供する。他の実施態様において、本発明は、細胞集団の作成方法を提供するが、該方法は、(a)基材に付着され、(b)CD73、CD105及びCD200を発現する細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離し、細胞集団を形成すること;を含む。他の実施態様において、本発明は、細胞集団の作成方法を提供するが、該方法は、(a)基材に付着され、(b)CD200及びOCT-4を発現する細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離し、細胞集団を形成すること;を含む。さらに他の実施態様において、本発明は、細胞集団の作成方法を提供するが、該方法は、(a)基材に付着され、(b)CD73及びCD105を発現し、(c)胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において胎盤細胞の集団とともに培養されるとき、1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離し、細胞集団を形成すること;を含む。他の実施態様において、本発明は、細胞集団の作成方法を提供するが、該方法は、(a)基材に付着され、(b)CD73、CD105及びHLA-Gを発現する細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離し、細胞集団を形成すること;を含む。本発明は、また、細胞集団の作成方法を提供するが、該方法は、(a)基材に付着され、(b)OCT-4を発現し、(c)胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において胎盤細胞の集団とともに培養されるとき、1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離し、細胞集団を形成すること;を含む。前述した方法のうちのいずれかの具体的な実施態様において、前記基材は、フィブロネクチンを含む。他の具体的な実施態様において、該方法は、ABC-pを発現する細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、該方法は、間葉系幹細胞に特異的な、少なくとも1つの特徴を示す細胞を選択することを含む。より具体的な実施態様において、間葉系幹細胞に特異的な前記特性は、CD29の発現、CD44の発現、CD90の発現、又はこれらの組み合わせの発現である。該方法の他の具体的な実施態様において、前記選択は、抗体を使用することにより達成される。他の具体的な実施態様において、前記選択は、フローサイトメトリーを使用することにより達成される。さらに他の具体的な実施態様において、前記選択は、磁性ビーズを使用することにより達成される。他の具体的な実施態様において、前記選択は、蛍光活性化細胞分類を利用することにより達成される。上記方法の具体的な実施態様において、前記細胞集団は、拡大される。 さらに、本発明は、幹細胞株を生成する方法を提供し、該方法は、成長促進タンパク質をコードするDNA配列で幹細胞を形質転換させること;及び、前記幹細胞を、前記成長促進タンパク質の生成を促進する条件に露出させること;を含む。具体的な実施態様において、前記成長促進タンパク質は、v-myc、N-myc、c-myc、p53、SV40ラージT抗原、ポリオーマラージT抗原、EIaアデノウイルス、又はヒトパピローマウイルスE7タンパク質である。より具体的な実施態様において、前記DNA配列は、調節可能である。他の具体的な実施態様において、前記DNA配列は、テトラサイクリンによって調節可能である。他の具体的な実施態様において、前記成長促進タンパク質は、調節可能な活性を有する。他の具体的な実施態様において、前記成長促進タンパク質は、温度感受性突然変異体である。 本発明は、さらに、凍結保存された幹細胞集団を提供する。例えば、本発明は、CD200+、HLA-G+幹細胞の集団を提供し、ここで、前記細胞は、凍結保存されており、前記集団は、容器内に収容されている。本発明は、また、CD73+、CD105+、CD200+幹細胞の集団を提供し、ここで、前記細胞は、凍結保存されており、前記集団は、容器内に収容されている。本発明は、また、CD200+、OCT-4+幹細胞の集団を提供し、ここで、前記細胞は、凍結保存されており、前記集団は、容器内に収容されている。本発明は、また、CD73+、CD105+幹細胞の集団を提供し、ここで、前記細胞は、凍結保存されており、前記集団は、容器内に収容され、前記幹細胞は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において胎盤細胞の集団とともに培養されるとき、1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する。本発明は、さらに、CD73+、CD105+、HLA-G+幹細胞の集団を提供し、ここで、前記細胞は、凍結保存されており、前記集団は、容器内に収容されている。本発明は、また、OCT-4+幹細胞の集団を提供し、ここで、前記細胞は、凍結保存されており、前記集団は、容器内に収容され、前記幹細胞は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において胎盤細胞の集団とともに培養されるとき、1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する。前記の凍結保存された集団のうちのいすれかの具体的な実施態様において、前記容器は、バッグである。多様な具体的実施態様において、前記集団は、約、少なくとも、或いは多くても、1×106個の前記幹細胞、5×106個の前記幹細胞、1×107個の前記幹細胞、5×107個の前記幹細胞、1×108個の前記幹細胞、5×108個の前記幹細胞、1×109個の前記幹細胞、5×109個の前記幹細胞、又は、1×1010個の前記幹細胞を含む。前記の凍結保存された集団のうちのいずれかの他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、約、少なくとも、或いは、5回以下、10回以下、15回以下、又は20回以下、継代された。前記の凍結保存された集団のうちのいずれかの他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、前記容器内で増殖されてきた。(3.1 定義) 本明細書において使用する用語「SH2」とは、遺伝標識のCD105上に、エピトープに結合されている抗体を意味する。したがって、SH2+と称される細胞は、CD105+である。 本明細書において使用する用語「SH3」及び「SH4」とは、遺伝標識のCD73上に、エピトープに結合されている抗体を意味する。したがって、SH3+及び/又はSH4+と称される細胞は、CD73+である。 本明細書において使用する用語「単離された幹細胞」とは、他のもの、すなわち幹細胞が由来する、例えば、胎盤などの組織の非幹細胞から実質的に分離された幹細胞を意味する。例えば、幹細胞を回収及び/又は培養する間に、幹細胞が自然的に関連の非幹細胞、或いは異なる遺伝標識プロファイルを表示する幹細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は少なくとも99%が前記幹細胞から除去された場合、幹細胞は「単離される」。 本明細書において使用する用語「単離された細胞の集団」とは、細胞の集団が由来する、例えば、胎盤などの組織の他の細胞から実質的に分離されている細胞の集団を意味する。例えば、該幹細胞を回収及び/又は培養する間に、細胞の集団が由来する細胞又は細胞の集団が自然的に関連の細胞、すなわち、異なる遺伝標識プロファイルを表示する幹細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は少なくとも99%が該幹細胞から除去されるた場合、幹細胞は「単離される」。 本明細書において使用する用語「胎盤幹細胞」は、形態学、細胞表面の遺伝標識、又は初代培養後の継代の回数に関係なく、哺乳類の胎盤由来の幹細胞や前駆細胞を意味する。しかし、本明細書において使用する用語「胎盤幹細胞」は、トロホブラストを意味しない。若し、細胞が、少なくとも1つの幹細胞の特徴を保有していれば、細胞は「幹細胞「として見なされるが、幹細胞の特徴としては、例えば、1個以上の幹細胞型と関連の遺伝標識又は遺伝子発現プロファイル;培養中に、少なくとも10〜40回複製する能力、すべての三つの遺伝子層の細胞に分化される能力;成体(すなわち、分化された)細胞特徴の不足などである。用語「胎盤幹細胞」及び「胎盤由来の幹細胞」は、交換的に用いられることがある。 この明細書において使用されているように、バックグラウンドの上で遺伝標識を検出することができる場合、幹細胞は、特定の遺伝標識に対して「陽性」である。例えば、胎盤幹細胞は、例えばCD73に対して陽性である。なぜなら、CD73は、胎盤幹細胞の上でバックグラウンド(例えば、アイソタイプ対照と比較して)よりも検出可能なほど、多量に検出することができるからである。遺伝標識を使用して、細胞を少なくとも1つの他の細胞型と区別することができる場合、又は細胞によって発現されるか、示される場合に、遺伝標識を使用して細胞を選択するか単離することができる場合、細胞は、また、前記遺伝標識に対して陽性である。例えば、抗体の媒介による検出面からみる場合、特定の細胞表面の遺伝標識が存在する兆候として、「陽性」は、抗体、例えば、前記遺伝標識に対して特異的である、蛍光性で識別される抗体を使用して前記遺伝標識を検出することができることを意味する;「陽性」は、また、細胞が、信号を生成する量でその遺伝標識を表することを意味する。例えば、サイトメトリーで、それは、バックグラウンドの上で検出することができる。例えば、1つの細胞は、「CD200+」であり、ここで、該細胞は、CD200に特異的な抗体で検出することができるように標識される。そして、抗体からの該信号は、対照(例えば、バックグラウンド)と比較して、検出することができるようにより高い。逆に、同じ側面からして「陰性」は、バックグラウンドと比較して前記遺伝標識に対して特異的な抗体を使用して、細胞表面の遺伝標識を検出することができないことを意味する。例えば、ある細胞が「CD34-」であり、ここで、該細胞は、CD34に対して特異的な抗体で検出することができるように標識されていない。ここで別に言及がない限り、分化(「CD」)遺伝標識のクラスターは、抗体を使用して検出される。OCT-4が存在するものと決定され、OCT-4が、RT-PCRを利用して検出することができる場合は、細胞は、「OCT-4+」である。(5. 発明の詳細な説明)(5.1 胎盤幹細胞及び胎盤幹細胞集団) 胎盤幹細胞は、胎盤又はその一部から得られる幹細胞であり、これは、組織培養基材に付着されて、非胎盤細胞型に分化する能力を有する。胎盤幹細胞は、由来において胎児又は母親であってもよい(すなわち、それぞれ胎児又は母親の遺伝子型を有することができる)。好ましくは、本発明の胎盤幹細胞及び胎盤幹細胞集団は、由来において胎児系である。胎盤幹細胞の集団又は胎盤幹細胞を含む細胞の集団は、由来において単独で胎児又は母親である胎盤幹細胞を含むか、又は胎児と母親由来の両方共の胎盤幹細胞が混合された集団を含むことができる。胎盤幹細胞及び胎盤幹細胞を含む細胞の集団は、以下において説明される形態学的、遺伝標識及び培養特性によって選択され、確認することができる。(5.1.1 物理的及び形態学的特性) 本発明の胎盤幹細胞は、初代培養中に又は細胞培養中に培養されるとき、組織培養基材、例えば、組織培養容器の表面(例えば、組織培養プラスチック)に付着される。培養において胎盤幹細胞は、一般に、中心細胞本体から拡張される多くの細胞質の突起とともに、星型のような外観の、線維芽細胞型と推定される。しかし、胎盤幹細胞が線維芽細胞よりも非常に多い数のそのような突起を示すように、胎盤幹細胞は、同一の条件下において培養される線維芽細胞から形態学的に区別することができる。形態学的に、胎盤幹細胞は、さらに造血幹細胞から分化することができ、この際、一般に、培養状態で、より丸いか又は敷石形態と推定される。(5.1.2 細胞表面、分子及び遺伝的標識) 本発明の胎盤幹細胞及び胎盤幹細胞の集団は、幹細胞を含む細胞の集団又は幹細胞を同定及び/又は単離するために使用することができる、多数の標識を発現する。本発明の胎盤幹細胞及び幹細胞集団(すなわち、2つ以上の胎盤幹細胞)は、胎盤又はその任意の部位(すなわち、羊膜、絨毛膜、胎盤葉など)から直接得られる、幹細胞及び幹細胞を含む細胞集団を含む。また、胎盤幹細胞の集団は、培養状態で(すなわち、2つ以上の)胎盤幹細胞の集団と、例えばバッグのような容器内で集団を含む。しかし、胎盤幹細胞は、トロホブラストではない。 本発明の胎盤幹細胞は、一般に、標識、CD73、CD105、CD200、HLA-G、及び/又はOCT-4を発現し、CD34、CD38、又はCD45を発現しない。胎盤幹細胞は、さらに、HLA-ABC(MHC-I)及びHLA-DRを発現することができる。このような標識は、胎盤幹細胞を同定して、胎盤幹細胞を他の幹細胞型から区分するために用いることができる。胎盤幹細胞は、CD73及びCD105を発現することができるため、それらは、間葉系幹細胞のような特徴を有することができる。しかし、胎盤幹細胞は、胎児-特異性標識である、CD200及びHLA-Gを発現することができるため、それらは、CD200もHLA-Gも発現することができない、例えば、骨髄由来の間葉系幹細胞のような間葉系幹細胞から区分することができる。同様に、CD34、CD38及び/又はCD45の発現不足は、胎盤幹細胞を非造血幹細胞として同定する。 従って、一実施態様において、本発明は、CD200+又はHLA-G+である、単離された幹細胞を提供する。具体的な実施態様において、該幹細胞は、胎盤幹細胞である。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+及びHLA-G+である。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記CD200+又はHLA-G+幹細胞は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において、該幹細胞を含む胎盤細胞の集団内で胚様体様組織体の形成を促進する。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、このような標識を提示しない胎盤幹細胞以外から単離されている。 他の具体的な実施態様において、本発明は、さらに多数の胎盤細胞から胎盤幹細胞を選択する方法を提供するが、該方法は、CD200+又はHLA-G+胎盤細胞を選択することを含み、ここで、前記細胞は、胎盤幹細胞である。具体的な実施態様において、前記選択は、CD200+及びHLA-G+の両方である胎盤細胞を選択することを含む。具体的な実施態様において、前記選択は、また、CD73+及びCD105+である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、さらに、CD34-、CD38-又はCD45-である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、CD34-、CD38-及びCD45-である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+及びCD105+である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において、該幹細胞を含む胎盤細胞の集団内で胚様体様組織体の形成をさらに促進する胎盤細胞を選択することを含む。 他の実施態様において、本発明は、例えば、CD200+、HLA-G+幹細胞に富む、細胞の単離された集団を提供する。具体的な実施態様において、前記集団は、胎盤細胞の集団である。多様な実施態様において、前記細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、CD200+、HLA-G+幹細胞である。好ましくは、前記細胞の少なくとも約70%は、CD200+、HLA-G+幹細胞である。より好ましくは、前記細胞の少なくとも約90%、95%、又は99%は、CD200+、HLA-G+幹細胞である。該単離された集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、またCD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、またCD34-、CD38-、又はCD45-である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、またCD34-、CD38-、CD45-、CD73+及びCD105+である。他の実施態様において、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、前記単離された集団は、1個以上の胚様体様組織体を生成する。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、これらの標識を提示しない胎盤幹細胞以外から単離されている。 他の実施態様において、本発明は、さらに、多数の胎盤細胞から胎盤幹細胞集団を選択する方法を提供するが、該方法は、前記細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%がCD200+、HLA-G+幹細胞である胎盤細胞の集団を選択することを含む。具体的な実施態様において、前記選択は、またCD73+及びCD105+である幹細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またCD34-、CD38-、又はCD45-である幹細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またCD34-、CD38-、CD45-、CD73+及びCD105+である幹細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、また胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、1個以上の胚様体様組織体を形成する胎盤幹細胞の集団を選択することを含む。 他の実施態様において、本発明は、CD73+、CD105+及びCD200+である、単離された幹細胞を提供する。具体的な実施態様において、前記単離された幹細胞は、単離された胎盤幹細胞である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、HLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、及びHLA-G+である。他の具体的な実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+及びCD200+幹細胞は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記集団が培養されるとき、幹細胞を含む胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、これらの標識を提示しない胎盤幹細胞以外から単離されている。 他の実施態様において、本発明は、さらに、多数の胎盤細胞から胎盤幹細胞を選択する方法を提供するが、該方法は、CD73+、CD105+及びCD200+胎盤細胞を選択することを含み、ここで、前記細胞は、胎盤幹細胞である。具体的な実施態様において、前記選択は、またHLA-G+である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またCD34-、CD38-、又はCD45-である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またCD34-、CD38-及びCD45-である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またCD34-、CD38-、CD45-及びHLA-G+である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、さらに、胚様体様組織体の形成を促進する条件下において該集団が培養されるとき、前記幹細胞を含む胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する、CD73+、CD105+及びCD200+幹細胞を選択することを含む。 他の実施態様において、本発明は、例えば、CD73+、CD105+、CD200+幹細胞を豊富に含む、細胞の単離された集団を提供する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、胎盤幹細胞である。多様な実施態様において、前記細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、CD73+、CD105+、CD200+幹細胞である。他の実施態様において、前記細胞の集団において前記細胞の少なくとも約70%は、CD73+、CD105+、CD200+幹細胞である。他の実施態様において、前記細胞の集団において前記細胞の少なくとも約90%、95%又は99%は、CD73+、CD105+、CD200+幹細胞である。上記集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、HLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、またCD34-、CD38-及びCD45-である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、及びHLA-G+である。他の具体的な実施態様において、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、前記細胞の集団は、1個以上の胚様体様組織体を生成する。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。 他の実施態様において、本発明は、また多数の胎盤細胞から胎盤幹細胞集団を選択する方法を提供するが、該方法は、胎盤細胞の集団を選択することを含み、ここで、前記細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%は、CD73+、CD105+、CD200+幹細胞である。具体的な実施態様において、前記選択は、またHLA-G+である幹細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またCD34-、CD38-、又はCD45-である幹細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またCD34-、CD38-及びCD45-である幹細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またCD34-、CD38-、CD45-、及びHLA-G+である幹細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、また、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において該集団が培養されるとき、1個以上の胚様体様組織体を生成する胎盤細胞の集団を選択することをさらに含む。 本発明は、また、CD200+及びOCT-4+である、単離された幹細胞を提供する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、胎盤幹細胞である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、HLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+及びHLA-G+である。他の具体的な実施態様において、該幹細胞は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において該集団が培養されるとき、該幹細胞を含む胎盤細胞の集団により、1個以上の胚様体様組織体の生成を促進する。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、これらの標識を提示しない胎盤幹細胞以外から単離されている。 他の実施態様において、本発明は、また多数の胎盤細胞から胎盤幹細胞を選択する方法を提供するが、該方法は、CD200+及びOCT-4+胎盤細胞を選択することを含み、ここで、前記細胞は、胎盤幹細胞である。具体的な実施態様において、前記選択は、またHLA-G+である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、CD34-、CD38-又はCD45-である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、CD34-、CD38-及びCD45-である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+及びHLA-G+である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において該集団が培養されるとき、該幹細胞を含む胎盤細胞の集団により、また1個以上の胚様体様組織体の生成を促進する胎盤幹細胞を選択することを含む。 本発明は、また、例えばCD200+、OCT-4+を豊富に含む、細胞の単離された集団を提供する。多様な実施態様において、前記細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、CD200+、OCT-4+幹細胞である。他の実施態様において、前記細胞の集団において前記細胞の少なくとも約70%は、CD200+、OCT-4+幹細胞である。他の実施態様において、前記細胞の集団において前記細胞の少なくとも約90%、95%又は99%は、CD200+、OCT-4+幹細胞である。該単離された集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、HLA-G+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、またCD34-、CD38-及びCD45-である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+及びHLA-G+である。他の具体的な実施態様において、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、該集団は、1個以上の胚様体様組織体を生成する。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。 他の実施態様において、本発明は、また多数の胎盤細胞から胎盤幹細胞集団を選択する方法を提供するが、該方法は、胎盤細胞の集団を選択することを含み、ここで、前記細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%は、CD200+、OCT-4+幹細胞である。具体的な実施態様において、前記選択は、またCD73+及びCD105+である幹細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またHLA-G+である幹細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またCD34-、CD38-及びCD45-である幹細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、またCD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+及びHLA-G+である。 本発明は、また、CD73+、CD105+及びHLA-G+である、単離された幹細胞を提供する。具体的な実施態様において、該幹細胞は、胎盤幹細胞である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+及びCD200+である。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記集団が培養されるとき、該幹細胞を含む胎盤細胞の集団において胚様体様組織体の形成を促進する。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、このような特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。 他の実施態様において、本発明は、また多数の胎盤細胞から胎盤幹細胞を選択する方法を提供するが、該方法は、CD73+、CD105+及びHLA-G+胎盤細胞を選択することを含み、ここで、前記細胞は、胎盤幹細胞である。具体的な実施態様において、前記選択は、CD34-、CD38-又はCD45-である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、CD34-、CD38-及びCD45-である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またOCT-4+である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またCD200+である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、またCD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+及びCD200+である胎盤細胞を選択することを含む。他の具体的な実施態様において、前記選択は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記集団が培養されるとき、前記幹細胞を含む胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成をさらに促進する胎盤細胞を選択することを含む。 本発明は、また、例えば、CD73+、CD105+及びHLA-G+幹細胞を豊富に含む、細胞の単離された集団を提供する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、胎盤幹細胞である。多様な実施態様において、前記細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、CD73+、CD105+及びHLA-G+幹細胞である。他の実施態様において、前記細胞の集団において前記細胞の少なくとも約70%は、CD73+、CD105+及びHLA-G+幹細胞である。他の実施態様において、前記細胞の集団において前記細胞の少なくとも約90%、95%又は99%は、CD73+、CD105+及びHLA-G+幹細胞である。上記集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、またCD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+及びCD200+である。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。さらに他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。 他の実施態様において、本発明は、また多数の胎盤細胞から胎盤幹細胞集団を選択する方法を提供するが、該方法は、胎盤細胞の集団を選択することを含み、ここで、前記細胞の大多数は、CD73+、CD105+及びHLA-G+である。具体的な実施態様において、前記細胞の大多数は、CD34-、CD38-及び/又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記細胞の大多数は、またCD200+である。他の具体的な実施態様において、前記細胞の大多数は、またCD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+及びCD200+である。 他の実施態様において、本発明は、CD73+及びCD105+である、単離された幹細胞を提供し、ここで、この幹細胞は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記集団が培養されるとき、前記幹細胞を含む単離された幹細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。 本発明は、また、例えば、CD73+、CD105+幹細胞に富む、単離された胎盤細胞の集団を提供し、ここで、前記集団は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において、1個以上の胚様体様組織体を形成する。多様な実施態様において、前記単離された胎盤細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%は、CD73+、CD105+幹細胞である。上記集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、OCT-4+、CD34-、CD38-及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記集団は、例えば、少なくとも1回、少なくとも3回、少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも15回、又は少なくとも20回の継代で、拡大されてきた。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。さらに他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。 本発明は、また、OCT-4+である、単離された幹細胞を提供し、これは、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、前記幹細胞を含む単離された胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する。具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+、CD105+、CD200+、CD34-、CD38-、及びCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。 本発明は、例えば、OCT-4+幹細胞を豊富に含む、単離された細胞の集団を提供し、ここで、前記集団は、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において培養されるとき、1個以上の胚様体様組織体を形成する。多様な実施態様において、前記単離された胎盤細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%は、OCT-4+幹細胞である。上記集団の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+及びCD105+である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD200+である。より具体的な実施態様において、前記幹細胞は、CD73+、CD105+、CD200+、CD34-、CD38-、及びCD45-である。さらに他の具体的な実施態様において、前記集団は、例えば、少なくとも1回、少なくとも3回、少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも15回、又は少なくとも20回の継代で、拡大されてきた。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。 他の実施態様において、本発明は、CD10+、CD34-、CD105+及びCD200+である、単離された胎盤幹細胞を提供する。本発明は、また、胎盤幹細胞の単離された集団を提供し、ここで、前記胎盤幹細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、CD10+、CD34-、CD105+及びCD200+である。上記の実施態様の具体的な実施態様において、前記幹細胞は、追加的にCD90+及びCD45-である。具体的な実施態様において、前記幹細胞又は胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞又は前記胎盤幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記単離された胎盤幹細胞は、由来において非母系である。さらに他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の単離された集団において前記細胞の少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、由来において非母系である。 他の実施態様において、本発明は、HLA-A,B,C-、CD45-、CD133-及びCD34-である、単離された胎盤幹細胞を提供する。本発明は、さらに、胎盤幹細胞の単離された集団を提供し、ここで、前記胎盤幹細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、HLA-A,B,C-、CD45-、CD133-及びCD34-である。具体的な実施態様において、前記幹細胞又は胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。さらに他の具体的な実施態様において、前記単離された胎盤幹細胞は、由来において非母系である。他の具体的な実施態様において、胎盤幹細胞の前記単離された集団において前記細胞の少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、由来において非母系である。他の具体的な実施態様において、本発明は、 HLA-A,B,C-、CD45-、CD133-及びCD34-である胎盤幹細胞を得る方法を提供し、これは、胎盤潅流液から前記細胞を単離することを含む。 他の実施態様において、本発明は、CD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-及びCD133-である、単離された胎盤幹細胞を提供する。本発明は、また、胎盤幹細胞の単離された集団を提供し、ここで、前記胎盤幹細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約99%は、CD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-及びCD133-である。具体的な実施態様において、前記幹細胞又は前記胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記単離された胎盤幹細胞は、由来において非母系である。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の単離された集団において前記細胞の少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約99%は、由来において非母系である。さらに他の具体的な実施態様において、前記幹細胞又は前記胎盤幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。他の実施態様において、本発明は、CD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-及びCD133-である胎盤幹細胞を得る方法を提供するが、該方法は、胎盤潅流液から前記細胞を単離することを含む。 他の実施態様において、本発明は、CD10-、CD33-、CD44+、CD45-及びCD117-である、単離された胎盤幹細胞を提供する。本発明は、また、胎盤幹細胞の単離された集団を提供し、ここで、前記胎盤幹細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、CD10-、CD33-、CD44+、CD45-及びCD117-である。具体的な実施態様において、前記幹細胞又は前記胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記単離された胎盤幹細胞は、由来において非母系である。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の単離された集団において前記細胞の少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約99%は、由来において非母系である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞又は前記胎盤幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。他の実施態様において、本発明は、CD10-、CD33-、CD44+、CD45-、CD117-である胎盤幹細胞を得る方法を提供し、これは、胎盤潅流液から前記細胞を単離することを含む。 他の実施態様において、本発明は、CD10-、CD13-、CD33-、CD45-及びCD117-である、単離された胎盤幹細胞を提供する。本発明は、また、胎盤幹細胞の単離された集団を提供し、ここで、前記胎盤幹細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%少なくとも約95%又は少なくとも約99%は、CD10-、CD13-、CD33-、CD45-及びCD117-である。具体的な実施態様において、前記幹細胞又は前記胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。他の具体的な実施態様において、前記単離された胎盤幹細胞は、由来において非母系である。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の単離された集団において前記細胞の少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約99%は、由来において非母系である。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団又は前記幹細胞は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。さらに他の実施態様において、本発明は、CD10-、CD13-、CD33-、CD45-及びCD117+である胎盤幹細胞を得る方法を提供するが、該方法は、胎盤潅流液から前記細胞を単離することを含む。 他の実施態様において、本発明は、HLA A,B,C-、CD45-、CD34-、CD133-であり、CD10、CD13、CD38、CD44、CD90、CD105、CD200及び/又はHLA-Gに対して陽性であって、及び/又はCD117に対して陰性である、単離された胎盤幹細胞を提供する。さらに、本発明は、単離された胎盤幹細胞の集団を提供するが、ここで、前記幹細胞は、HLA A,B,C-、CD45-、CD34-、CD133-であり、該集団において該幹細胞の少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は約99%が、CD10、CD13、CD38、CD44、CD90、CD105、CD200及び/又はHLA-Gに対して陽性であり、及び/又はCD117に対して陰性である。具体的な実施態様において、前記幹細胞又は前記胎盤幹細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞以外から単離されている。具体的な実施態様において、前記単離された胎盤幹細胞は、由来において非母系である。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の単離された集団において前記細胞の少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、由来において非母系である。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞又は前記胎盤幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤幹細胞以外から単離されている。さらに他の実施態様において、本発明は、HLA A,B,C-、CD45-、CD34-、CD133-であり、CD10、CD13、CD38、CD44、CD90、CD105、CD200及び/又はHLA-Gに対して陽性であって、及び/又はCDl17に対して陰性である胎盤幹細胞を得る方法を提供するが、該方法は、胎盤潅流液から前記細胞を単離することを含む。 他の実施態様において、本発明は、抗体結合によって決定されるものとしてCD200+及びCD10+であり、抗体結合とRT-PCRの両方によって決定されるものとしてCD117-である、胎盤幹細胞を提供する。他の実施態様において、本発明は、CD10+、CD29-、CD54+、CD200+、HLA-G+、HLA classI-及びβ-2-マイクログロブリン−である、胎盤幹細胞を提供する。さらに他の実施態様において、本発明は、胎盤幹細胞を提供するが、ここで、少なくとも1つの標識の発現は、間葉系幹細胞(例えば、骨髄由来の間葉系幹細胞)と比較して、少なくとも2倍以上高い。他の具体的な実施態様において、前記単離された胎盤幹細胞は、由来において非母系である。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の単離された集団において前記細胞の少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、由来において非母系である。 他の実施態様において、本発明は、胎盤幹細胞の単離された集団を提供するが、ここで、多数の前記胎盤幹細胞は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性分析で評価されたように、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)に対して陽性である。そのような分析は、当該技術分野で周知である(例えば、Bostian and Bertsの文献,Biochem.J.,173、787、(1978))を参照)。具体的な実施態様において、前記ALDH分析は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性のマーカーとして、ALDEFLUOR(登録商標)(Aldagen社、Ashland,Oregon)を使用する。具体的な実施態様において、前記多数は、前記細胞の集団において細胞の約3%〜約25%の間にある。他の実施態様において、本発明は、臍帯幹細胞の集団を提供するが、ここで、多数の前記臍帯幹細胞は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の指標としてALDEFLUOR(登録商標)を用いたアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性分析によって評価されるように、アルデヒドデヒドロゲナーゼに対して陽性である。具体的な実施態様において、前記多数は、前記細胞の集団において細胞の約3%〜約25%の間にある。他の実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団又は前記臍帯幹細胞は、同一の条件下で培養されて、同一の細胞数を有する、骨髄由来の間葉系幹細胞の集団と比較するとき、少なくとも3倍又は少なくとも5倍、より高いALDH活性を示す。 本発明は、前記胎盤幹細胞の集団、又は前記胎盤幹細胞のいずれか提供するが、ここで、該幹細胞又は該胎盤幹細胞の集団は、少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18又は20回、或いは、それ以上継代されたり、又は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38又は40の集団倍加、或いは、それ以上の間、拡大される。 前記胎盤細胞又は前記細胞集団のいずれかの具体的な実施態様において、細胞の核型、又は前記集団において前記細胞の少なくとも約95%又は約99%は、正常である。前記胎盤細胞又は前記細胞集団のいずれかにかかる他の具体的な実施態様において、該細胞又は該細胞集団の細胞は、由来において非母系である。 標識の上記組み合わせのいずれかを有する、単離された胎盤幹細胞、又は胎盤幹細胞の単離された集団は、ある割合で結合することができる。本発明は、また、単離のために、又は富化のために、いずれか2つ以上の前記胎盤幹細胞の集団を提供して、胎盤幹細胞集団を形成する。例えば、本発明は、胎盤幹細胞の単離された集団を提供するが、これは、上記の標識の組み合わせの1つによって規定される胎盤幹細胞の第1の集団と、上記の標識の組み合わせの他の1つによって規定される胎盤幹細胞の第2の集団を含み、ここで、上記第1及び第2の集団は、約1:99、2:98、3:97、4:96、5:95、10:90、20:80、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、又は約99:1の割合で結合される。同じ方法で、いずれか3個、4個、5個又はそれ以上の上述された胎盤幹細胞又は胎盤幹細胞集団は、結合することができる。 本発明は、また培養(5.2.3節を参照)や潅流(5.2.4節を参照)に続く、酵素による消化と一緒に又はそれ無しに、胎盤組織の崩壊によって得られる胎盤幹細胞をさらに提供する。例えば、本発明は、下記の方法によって作成された胎盤幹細胞の単離された集団を提供するが、該方法は、臍帯血が除去され、潅流されて、残留血液を除去された哺乳類の胎盤を潅流させることと、前記胎盤を潅流液と共に潅流させることと、前記潅流液を回収することと、ここで、潅流後の前記潅流液は、胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団を含み、及び、前記細胞の集団から多数の前記胎盤幹細胞を単離すること、を含む。具体的な実施態様において、潅流液は、胎盤から染み出た後に、臍帯静脈及び臍帯動脈の両方ともに通過して、回収される。該方法で作成された胎盤幹細胞の集団は、典型的に、胎児と母親の細胞の混合物を含む。他の具体的な実施態様において、潅流液は、臍帯静脈を通過して、臍帯動脈から回収されるか、或いは、臍帯動脈を通過して、臍帯静脈から回収される。該方法で作成された胎盤幹細胞の集団は、典型的に、由来において実質的に単独に胎児系である。すなわち、該集団において該胎盤幹細胞の90%、95%、99%、又は99.5%より多くが、由来において胎児系である。 多様な実施態様において、胎盤の潅流から得られた細胞の集団の内に含まれている胎盤幹細胞は、胎盤細胞の前記集団の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%又は少なくとも99.5%である。他の具体的な実施態様において、潅流により回収された該胎盤幹細胞は、胎児及び母親の細胞を含む。さらに他の具体的な実施態様において、潅流により回収された前記胎盤幹細胞は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%又は少なくとも99.5%胎児細胞である。 他の具体的な実施態様において、本発明は、潅流により回収した、単離された胎盤幹細胞の集団を含む組成物を提供するが、ここで、前記組成物は、少なくとも、前記胎盤幹細胞を回収するために使用される潅流液の一部分を含む。 さらに、本発明は、本明細書に記述された、下記の方法で作成された胎盤幹細胞の単離された集団を提供するが、該方法は、組織崩壊酵素で胎盤組織を消化させて、胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団を得ること、及び前記胎盤細胞の残りから多数の胎盤幹細胞を単離することを含む。該胎盤の全体、又はある部分は、胎盤幹細胞を獲得するために消化されることができる。具体的な実施態様において、例えば、前記胎盤組織は、全体胎盤、羊膜、絨毛膜、羊膜と絨毛膜の組み合わせ、又はこれらのうちのいずれかの組み合わせであることができる。他の具体的な実施態様において、前記組織崩壊酵素は、トリプシンやコラゲナーゼである。多様な実施態様において、胎盤を消化させて得られる細胞の集団の内に収容された該胎盤幹細胞は、前記胎盤細胞の集団の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%又は少なくとも99.5%である。 遺伝子プロファイリングは、単離された胎盤幹細胞、及び単離された胎盤幹細胞の集団が、他の細胞、例えば、間葉系幹細胞や骨髄由来の幹細胞等と区別可能であることを確認する。本明細書中に記述された該胎盤幹細胞は、1個以上の遺伝子の発現に基づいて間葉系幹細胞と区別することができ、この発現は、骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して、胎盤幹細胞や臍帯幹細胞に特異的である。とりわけ、胎盤幹細胞は、1個以上の遺伝子の発現に基づいて間葉系幹細胞と区別することができ、この発現は、間葉系幹細胞よりも胎盤幹細胞内において有意により高く(すなわち、少なくとも、2倍高い)、ここで、該1個以上の遺伝子は、ACTG2、ADARBl、AMIGO2、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、C1lorf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、HLA-G、ICAMl、IER3、IGFBP7、ILIA、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAKl、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTNl、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、ZC3H12A、又はこれらのいずれかの組み合わせであって、ここで、均等の条件下において幹細胞が成長させられる場合、骨髄由来の幹細胞よりも胎盤幹細胞や臍帯幹細胞内において、このような遺伝子の発現がより高い。具体的な実施態様において、該胎盤幹細胞に特異的な、又は臍帯幹細胞に特異的な遺伝子は、CD200である。 このような遺伝子の発現レベルは、少なくとも多数の胎盤幹細胞等を含むことにより、胎盤細胞の集団の正体を同定するか、細胞の集団を同定することに使用することができる。正体が同定された胎盤幹細胞の集団は、クローン化することができる。例えば、拡大された胎盤幹細胞の集団は、単一の胎盤幹細胞、又は幹細胞の混合された集団を形成し、ここで、混合された集団の例としては、複合胎盤幹細胞から増殖された胎盤幹細胞を単独に含む細胞の集団、又は胎盤幹細胞と少なくとも1個の他の型の細胞とを含む細胞の集団が挙げられる。 このような遺伝子の発現のレベルは、胎盤幹細胞の集団を選択することに使用することができる。例えば、若し1個以上の遺伝子の発現が、間葉系幹細胞の同一の集団よりも細胞の集団からの標本において有意により高い場合、細胞の集団、例えば、クローン的に拡大された細胞の集団が選択される。そのような選択は、多数の胎盤幹細胞集団から、正体の知られていない多数の細胞集団からの集団になり得る。 胎盤幹細胞は、1個以上のそのような遺伝子の発現レベルに基づいて、間葉系幹細胞対照において、前記1個以上の遺伝子における発現のレベルに比較して、選択することができる。一実施態様において、同等の数の間葉系幹細胞を含む試料において、前記1個以上の遺伝子の発現レベルは、対照として使用される。他の実施態様において、特定の条件下において試験された胎盤幹細胞に対する該対照は、前記条件下において、間葉系幹細胞における前記1個以上の遺伝子の発現レベルを表示する、数値である。 60%DMEM-LG(Gibco社)、40%MCDB-201(Sigma社)、2%ウシ胎仔血清(FCS)(Hyclone Laboratories)、1xインスリン-トランスフェリン-セレニウム(ITS社)、1xリノレン酸ウシ血清アルブミン(LA-BSA)、10-9Mデキサメタゾン (Sigma社)、10-4Mアスコルビン酸2-リン酸塩(Sigma社)、上皮細胞成長因子(EGF)10ng/ml(R&D Systems社)、血小板由来の成長因子(PDGF-BB)10ng/ml(R&D Systems社)、及び100Uペニシリン/1000Uストレプトマイシンを含む培地中において、本発明の胎盤幹細胞は、初代培養、又は分芽の間に、上記の特徴(例えば、細胞表面標識の組み合わせ及び/又は遺伝子発現プロファイル)を表示する。 上記胎盤幹細胞の単離された集団、及び一般的に胎盤幹細胞の集団は、約、少なくとも、又は1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011以下又はそれ以上、胎盤幹細胞を含むことができる。(5.1.3 培養における成長) 本明細書に記述された胎盤幹細胞の成長は、部分的に、任意の哺乳類細胞に関する限り、成長のために選択された特殊な培地に依存している。最適の条件下において、胎盤幹細胞は、典型的に、3〜5日で数値的には2倍となる。培養の間に、本発明の胎盤幹細胞は、培養基内の基材、例えば、組織培養容器の表面(例えば、組織培養皿プラスチック、フィブロネクチンがコーティングされたプラスチックなど)に付着して、単分子層を形成する。 本発明の胎盤幹細胞を含む単離された胎盤細胞の集団は、適切な条件下において培養されるとき、胚様体様組織体を形成する。すなわち、細胞の3次元的なクラスターが、付着した幹細胞レイヤの上に成長する。胚様体様組織体の内の細胞は、非常に初期の幹細胞、例えば、OCT-4、Nanog、SSEA3及びSSEA4と関連した標識を発現する。本明細書に記述された胎盤幹細胞は、付着力はあるが、該胚様体様組織体の内の細胞は、典型的に培養基材に対する付着力がない。しかし、培養の間、付着された細胞に付着した状態のままである。胚様体様組織体は、付着した幹細胞がなければ形成されないように、胚様体様組織体の細胞は、生存能力に対して、付着された胎盤幹細胞に依存的である。付着された胎盤幹細胞は、従って、該付着された胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団において、1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する。理論に縛られることなく、該胚様体様組織体の細胞は、胚性幹細胞が細胞のフィーダー層上で生育するように、多くの該付着された胎盤幹細胞の上に生育するものと考えられる。間葉系幹細胞、例えば、骨髄由来の間葉系幹細胞は、培養状態で胚様体様組織体を発達させることがない。(5.2 胎盤幹細胞を得る方法)(5.2.1 幹細胞回収した組成物) 本発明は、さらに、胎盤幹細胞を回収して、単離する方法を提供する。一般的に、幹細胞は、生理的に許容し得る溶液、例えば、幹細胞回収した組成物を使用して、哺乳類の胎盤から得られる。幹細胞回収した組成物は、2005年12月29日付で出願された、「胎盤幹細胞を回収して器官臓器を保護するための改善された培地」と題された米国仮出願第60/754,969号に詳しく説明されている。 幹細胞回収した組成物は、幹細胞の回収及び/又は培養に適した、どのような生理的に許容し得る溶液でも含むことができる。例えば、食塩水(例えば、リン酸緩衝生理食塩水、クレブス溶液、又は改質されたクレブス溶液、イーグル溶液(0.9%NaClなど)、培養培地(例えば、DMEM、H.DMEMなど)のようなものが挙げられる。 幹細胞回収した組成物は、回収時点から培養時点まで胎盤幹細胞を保護しようとする傾向がある、すなわち、細胞死から胎盤幹細胞を保護したり、或いは胎盤幹細胞の死を遅延させたり、死ぬ細胞の集団において胎盤幹細胞の数を減少したりする、1個以上の成分を含むことができる。そのような組成物は、例えば、アポトーシス抑制剤(例えば、カスパーゼ阻害剤又はJNK阻害剤);血管拡張剤(例えば、硫酸マグネシウム、抗高血圧薬、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、ニトロプルシドナトリウム、ヒドララジン、アデノシン三リン酸、アデノシン、インドメタシン又は硫酸マグネシウム、ホスホジエステラーゼ阻害剤など);壊死阻害剤例えば、2−(1H−インドール−3−イル)−3−ペンチルアミノ−マレイミド、ピロリジンジチオカルバメート、又はクロナゼパム);TNF−α阻害剤;及び/又は酸素運搬ペルフルオロカーボン(例えば、ペルフルオロオクチルブロマイド、ペルフルオロデシルブロマイドなど)がある。 幹細胞回収した組成物は、1個以上の組織分解酵素を含むことができ、このようなものの例として、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、リボヌクレアーゼ、又はデオキシリボヌクレアーゼ等がある。そのような酵素は、コラゲナーゼ(例えば、コラゲナーゼI、II、III又はIV、ヒストリチクム菌由来のコラゲナーゼ等)、ディスパーゼ、サーモリシン、エラスターゼ、トリプシン、リベラーゼ、ヒアルロニダーゼ等を含むが、これに限定されるものではない。 幹細胞回収した組成物は、細菌を殺すか、細菌の発育を阻止するのに効果的な量の抗生剤を含むことができる。特定の制限のない実施態様において、抗生剤は、マクロライド(例えば、トブラマイシン)、セファロスポリン(例えば、セファレキシン、セフラジン、セフロキシム、セフプロジル、セファクロール、セフィキシム又はセファドロキシル)、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン(例えば、ペニシリンV)又はキノロン(例えば、オフロキサシン、シプロフロキサシン又はノルフロキサシン)、テトラサイクリン、ストレプトマイシン等である。具体的な実施態様において、グラム(+)及び/又はグラム(−)バクテリア、例えば、緑膿菌、黄色ブドウ球菌等に対して有効である。 幹細胞回収した組成物は、また、1個以上の下記化合物を含むことができる:アデノシン(約1mM〜約50mM);D-グルコース(約20mM〜約100mM);マグネシウムイオン(約1mM〜約50mM);一実施態様において、内皮保全と細胞の生存能力を維持するために十分な量の分子量が20,000ダルトンよりも大きい巨大分子(例えば、合成又は自然発生的なコロイド、約25g/l〜約100g/l又は約40g/l〜約60g/lの、デキストラン又はポリエチレングリコールなどの多糖類;酸化防止剤(例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グルタチオン、約25μM〜約100μMのビタミンC又はビタミンE);還元剤(例えば、約0.1mM〜約5mMのN−アセチルシステイン);細胞内へのカルシウムの侵入を防止する薬剤(例えば、約2μM〜約25μMのベラパミル);ニトログリセリン(例えば、約0.05g/L〜約0.2g/ L );一実施態様において、現在残留血液の凝固を防止するのに十分な量の抗凝血剤(例えば、約1000 units/l〜約100,000 units/lの濃度のヘパリンやヒルジン);又は、化合物を含むアミロライド(例えば、約1.0μM〜約5μMのアミロライド、エチルイソプロピルアミロライド、ヘキサメチレンアミロライド、ジメチルアミロライド又はイソブチルアミロライド)。(5.2.2 胎盤の処理及び回収) 一般に、ヒトの胎盤は、誕生後の胎盤の放出後に直ぐ回収される。好ましい例では、胎盤と関連した患者の全病歴を記録した後、そして患者からのインフォームドコンセントを得た後に、胎盤は、患者から回収される。好ましくは、このような病歴は放出後にも続く。その病歴は、採取された胎盤や幹細胞の後続的使用を調整することに用いることができる。例えば、ヒト胎盤幹細胞は、その病歴を踏まえて、該胎盤と関連した幼児のための、親や兄弟姉妹、又は幼児の他の血縁者のための個体用薬として使用することができる。 胎盤幹細胞の回収前に、臍帯血及び胎盤血液は除去される。具体的な実施態様において、分娩後に、胎盤にある臍帯血は回収される。胎盤は、従来の臍帯血の回収過程で処理することができる。典型的に針又はカニューレは、重力の補助で胎盤の放血をするために利用される(例えば、Andersonの米国特許第5,372,581号;Hesselらの米国特許第5,415,665号を参照)。針又はカニューレは、通常、臍帯静脈内に位置して、胎盤から臍帯血を排出するために、胎盤は、穏やかにマッサージすることができる。そのような臍帯血の回収は、商業的に実施され得る。例えば、LifeBank USA、Cedar Knolls、N.J.,ViaCord、Cord Blood Registry and Cryocellがある。好ましくは、胎盤は、臍帯血を回収する間、組織崩壊を最小化するために、これ以上の操作無しに重力排出される。 典型的に、胎盤は、分娩室(the delivery and birthing room)から別の位置、例えば実験室まで、臍帯血の回収のために、及び、例えば潅流や組織解離による幹細胞の回収のために輸送される。胎盤は、好ましくは、無菌の熱的に遮蔽された(20-28℃の間に胎盤の温度を維持する)輸送装置内、例えば、臍帯あたりをクランプで締めた状態で、無菌のジップロックビニールバッグの中に入れて、その後、遮蔽された容器内に胎盤を置いて、輸送される。他の実施態様において、胎盤は、係属中の米国特許第7,147,626号で説明されているように、実質的に臍帯血の回収キット内で輸送される。好ましくは、胎盤は、分娩後、実験室へ4〜24時間内に移送される。ある実施態様において、臍帯近傍の部分は、好ましくは、臍帯血の回収前に胎盤本体の中に、好ましくは4〜5cmの範囲で挿入され、クランプで締められる。他の実施態様において、臍帯近傍の部分は、臍帯血の回収後に、しかし、胎盤のさらなる処理の以前にクランプで締められる。 幹細胞の回収前に、胎盤は、無菌条件下、かつ室温又は5〜25℃(摂氏)で保存することができる。胎盤は、ある残留臍帯血を除去するために胎盤を潅流する前に、4時間から24時間、48時間まで、又は48時間よりも長い時間保存されることもある。一実施態様において、胎盤は、放出の後、約0時間〜約2時間後に回収される。胎盤は、好ましくは、5〜25℃の温度で、抗凝血剤溶液中に保存される。適当な抗凝血剤溶液は、当分野において周知である。例えば、ヘパリンやワルファリンナトリウム溶液を使用することができる。好ましい実施態様において、抗凝血剤薬は、ヘパリン溶液(例えば、1:1000溶液中で1%w/w)を含む。血液を抜かれた胎盤は、胎盤幹細胞が回収される前に、好ましくは36時間を超えない程度の時間保存される。 一般的に上記のように調製されて一度回収された哺乳類の胎盤又はその一部は、いずれかの当業者における周知の方法で処理することができ、例えば、潅流させ、又は崩壊させることができ、例えば、幹細胞を得るために、1つ以上の組織崩壊酵素で消化させることができる。(5.2.3 胎盤組織の物理的崩壊及び酵素による消化) 一実施態様において、幹細胞は、器官全体部分の物理的な崩壊により哺乳類の胎盤から回収される。例えば、胎盤又はその一部は、例えば、圧搾されたり、せん断されたり、細かく切り刻まれたり、さいの目状にに切られたり、刻んだり、液体に浸して柔らかくなるようにしたりすることができる。組織は、その後培養されて、幹細胞の集団が得られる。典型的に、胎盤組織は、例えば、幹細胞回収した組成物(5.2.1節と以下を参照)を用いて崩壊される。 胎盤は、物理的な崩壊及び/又は酵素による消化と幹細胞の回収前に、構成成分に解剖されることができる。胎盤幹細胞は、全体胎盤から得ることのできる、羊膜、絨毛膜、臍帯、胎盤葉の一部分又は全体、或いは、これらのいずれかの組み合わせから、得ることができる。好ましくは、胎盤幹細胞は、羊膜と絨毛膜とを含む胎盤組織から得ることができる。典型的に、胎盤幹細胞は、胎盤組織の小さなブロック、例えば、体積で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900又は約1000立方ミリメートルの胎盤組織のブロックの崩壊から得ることができる。物理的崩壊の方法は、任意の方法を使用することができる。但し、崩壊方法は、例えば、トリパンブルー排除によって決定されるように、前記生存可能な器官内の該細胞の多数を、より好ましくは大部分を、また、さらに好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%残す。 幹細胞は、一般的に、排除の後、約最初の3日間以内の任意の時点で、好ましくは、排除後の約8〜18時間に胎盤やその一部分から回収することができる。 具体的な実施態様において、崩壊された組織は、胎盤幹細胞の分芽に好適である組織培養培地中において培養される(例えば、以下の、胎盤幹細胞の培養について説明する5.3節を参照)。 他の具体的な実施態様において、幹細胞は、胎盤組織の物理的な崩壊により回収されて、ここで、物理的崩壊は、酵素による消化を含み、1個以上の組織消化酵素を用いて達成することができる。胎盤又はその一部は、物理的に崩壊され、1個以上の酵素で消化されることができる。そして、その結果として生ずる物質は、幹細胞回収した組成物の中に沈降したり、その中に混合されることができる。 好ましい幹細胞回収した組成物は、1個以上の組織崩壊酵素を含む。酵素による消化は、好ましくは、酵素の組み合わせ、例えば、マトリックスメタロプロテアーゼ及び神経プロテアーゼの組み合わせ、例えば、コラゲナーゼとディスパーゼの組み合わせを用いることができる。一実施態様において、胎盤組織の酵素による消化は、ヒアルロン酸の消化のために、マトリックスメタロプロテアーゼ、神経プロテアーゼ及び粘液質溶解剤酵素の組み合わせ、例えば、コラゲナーゼ、ディスパーゼ及びヒアルロニダーゼの組み合わせ又はリベラーゼ(Boehringer Mannheim社、Indianapolis社)とヒアルロニダーゼの組み合わせを使用する。胎盤組織を崩壊させるために使用される他の酵素は、パパイン、デオキシリボヌクレアーゼ、セリンプロテアーゼ、例えば、トリプシン、チモトリブシン、又はエラスターゼを含む。セリンプロテアーゼは、血清中にあるα2マイクログロブリンによって阻止されることもでき、これにより、消化に使用される培地は、一般に、血清のないものである。EDTAとDNaseは、細胞の回収効果を増加させるために、通常、酵素消化過程において使用される。粘性の消化物内に幹細胞がトラップされることを避けるために、消化性物質は、好ましくは希釈される。 組織消化酵素のいずれの組み合わせであっても使用することができる。組織消化酵素の典型的な濃度は、コラゲナーゼIとコラゲナーゼIVに対して50〜200U/mL、ディスパーゼに対して1〜10U/mL、さらに、エラスターゼに対して10〜100U/mLを含む。プロテアーゼは、組み合わせて使用することができる。すなわち、2つ以上のプロテアーゼが、幹細胞を抽出するために、同じ消化反応において順次使用することができる。例えば、一実施態様において、胎盤又はその一部分は、最初にコラゲナーゼIの適当な量によって約1〜約2mg/mlで、例えば30分間消化され、その後、約0.25%の濃度のトリプシンで、例えば37℃の温度で10分間消化される。セリンプロテアーゼは、好ましくは、他の酵素の使用後に連続的に使用することができる。 他の実施態様において、幹細胞回収した組成物で幹細胞を単離する前に、例えば、エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N'N'−テトラ酢酸(EGTA)又はエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などのキレート剤を、幹細胞を含む幹細胞回収した組成物に又は組織が崩壊及び/又は消化された溶液に添加することにより、組織は、さらに崩壊することができる 一実施態様において、消化は、以下のように進行することができる。約1gの胎盤組織が採取されて、細かく切り刻まれる。約100RPMの振盪機の中にある約1mg/mLのコラゲナーゼIAと、約0.25%トリプシンを含む10mlの溶液中において、組織は37℃の温度で消化する。消化性物質は、培養培地とともに3回洗浄され、洗浄された細胞は、2T-75フラスコ内に播かれる。次いで、細胞は差次付着により単離されて、例えば、生存能力、細胞表面標識、分化などで特徴付けされる。 胎盤全体又は胎盤の一部が胎児係と母親細胞の両方を含む箇所に(例えば、胎盤の一部が絨毛膜又は子葉を含む箇所に)、回収された胎盤幹細胞は、胎児係と母親との両方共由来の胎盤幹細胞の混合を含むようになることが理解されるだろう。胎盤の一部分が母親細胞(例えば、羊膜)を含まないか、ごくわずかの母親細胞の数を含む所に、回収された胎盤幹細胞は、ほぼ独占的に胎児係幹細胞を含むことになる。 幹細胞は、分化されたトリプシン処理(以下の5.2.5節を参照)によって崩壊された組織から単離することができ、その後に、新しい増殖培地における1個以上の新しい培養容器中で培養し、その後、選択的に、第2の分化トリプシン処理ステップを伴う。(5.2.4 胎盤潅流) さらに、胎盤幹細胞は、哺乳類の胎盤の潅流によって得ることができる。幹細胞を得るために哺乳類の胎盤を潅流させる方法は、例えば、2005年12月29日付で出願された、「胎盤幹細胞を回収して器官を保護する改善した培地」と題された、Haririの米国仮出願第60/754,969号と、米国出願公開第2002/0123141号に開示されている。 胎盤幹細胞は、例えば潅流溶液として幹細胞回収した組成物を使用して、例えば胎盤血管系を通じて、潅流により回収することができる。一実施態様において、哺乳類の胎盤は、臍帯動脈と臍帯静脈の両方ともに又はそのうちの1つを通じた潅流溶液の通過により潅流される。胎盤を通じた潅流溶液の流れは、例えば、胎盤の中への重力流れを用いて達成することができる。好ましくは、潅流溶液は、胎盤を通じて、ポンプ、例えば蠕動ポンプの使用により、流れることになる。臍帯静脈に、例えば、無菌チューブなどの無菌の接続装置に接続されるテプロン(登録商標)又はプラスチックカニューレなどの、カニューレを挿入することができる。無菌の接続装置は、潅流多岐連絡管に接続される。 潅流に関する調製において、胎盤は、好ましくは、臍帯動脈と臍帯静脈が胎盤の最も高い位置に位置されるような方法で向けられる(例えば、ぶら下げられる)。胎盤は、胎盤血管系及び周囲組織を通じた潅流流体の通過により潅流することができる。胎盤は、また、臍帯静脈内への潅流流体の通過と臍帯動脈からの回収により、又は臍帯動脈内への潅流流体の通過と臍帯静脈からの回収により、潅流することができる。 一実施態様において、例えば、臍帯動脈と臍帯静脈は、例えば、可撓性の接続具を介して潅流液の貯留槽に接続されたピペットに同時に接続される。潅流液は、臍帯静脈及び動脈の中を通過する。潅流液は、胎盤を取り囲む組織の中へ血管壁から染み出て、及び/又は血管壁を通じて通過し、姙娠期間の間に母の子宮に付着されていた胎盤表面から適した開放血管中で回収される。潅流液は、また、臍帯を開放して導入することができ、妊婦の子宮壁と境界を成す胎盤壁内の開口部の外に流れるか、潅流することを可能にできる。「パン」方法として呼ばれることがあるこの方法で回収された胎盤細胞は、典型的に、母親細胞と胎児細胞との混合物である。 他の実施態様において、潅流液は、臍帯静脈を通過して臍帯動脈から回収されるか、臍帯動脈を通過して臍帯静脈から回収される。「閉鎖回路」方法と呼ばれることがあるこの方法で回収された胎盤細胞は、典型的にほ、ほぼ例外なく胎児係である。 潅流液が胎盤の母親側から染み出た後に回収されるパン方法を用いた潅流は、胎児係と母親細胞との混合をもたらすことが理解されるだろう。その結果として、該方法で回収された細胞は、胎児係と母親由来の両方の胎盤幹細胞が混合された集団を含む。逆に、潅流流体が1つ又は2つの胎盤血管を通過し、胎盤血管系を通じて単独に回収される、閉鎖回路方法による胎盤血管系を通じた単独潅流は、ほぼ独占的に胎児係由来の胎盤幹細胞の集団の回収をもたらす。 閉鎖回路潅流方法は、一実施態様において、以下のように達成することができる。分娩後の胎盤は、出生後約48時間以内に得られる。臍帯は、クランプで締められ、クランプより上部を切り出される。臍帯は、廃棄されるか、又は、例えば臍帯幹細胞を回収して、及び/又は生体材料の生成のために臍帯膜を処理に供するために処理することができる。羊膜は、潅流の間に維持され得るか、又は、例えば、鈍的切開にて絨毛膜から分離することができる。もし、羊膜が潅流の前に絨毛膜から分離されると、羊膜は、廃棄されるか又は処理されて、例えば、酵素による消化によって幹細胞を得るか、又は、例えば、羊膜生体材料を生成するが、生体材料は、例えば、米国出願公開番号2004/0048796に開示されている。目に見える全ての血餅及び残留血液の胎盤を、例えば、無菌のガーゼを用いてクリーニングした後、臍帯管は露出され、例えば、臍帯膜を部分的に切って、血管の断面を露出させる。血管は、例えば、それぞれの血管の切られた端を通じて、閉鎖されたワニ口クランプを進むことにより、確認されて、開かれる。潅流装置、例えば蠕動ポンプに接続されたプラスチックチューブは、それぞれの胎盤動脈の中に挿入される。ポンプは、目的に叶う場合、いずれのものでもよく、その例として、蠕動ポンプが挙げられる。その後、無菌の回収貯留槽、例えば、250mLの回収バッグのような血液バッグに接続されるプラスチックチューブは、胎盤静脈の中に挿入される。或いは、ポンプに接続されたチューブは、胎盤静脈の中に挿入され、回収貯留槽に接続されたチューブは、1つ又は2つの胎盤動脈の中に挿入される。それから、胎盤は、一定の体積の潅流液、例えば、約750mLの潅流液と共に潅流される。潅流液中の細胞は、その後、例えば、遠心分離により回収される。 一実施態様において、臍帯近傍は、潅流の間にクランプで締められ、より好ましくは、胎盤本体の中に臍帯挿入の4〜5cmの範囲内をクランプで締められる。 放血過程の間、哺乳類の胎盤からの潅流流体の第一の回収物は、一般的に、臍帯血及び/又は胎盤血液の残りの赤い血液細胞に染色される。潅流が進行して、残りの臍帯血細胞が胎盤の外に洗い流されることで、潅流流体は、より一層無色に変わる。一般に、30〜100ml(ミリリットル)の潅流流体が、胎盤を初期に放血するために好適であるが、それ以上又はそれ以下の潅流流体は、観察結果によって使用することができる。 胎盤幹細胞を回収することに使用される潅流液体の体積は、回収された幹細胞の個数、胎盤の大きさ、1つの胎盤からなされる回収の回数などに応じて変わることがある。多様な実施態様において、潅流液体の体積は、50mL〜5000mL、50mL〜4000mL、50mL〜3000mL、100mL〜2000mL、250mL〜2000mL、500mL〜2000mL、又は750mL〜2000mLであってもよい。典型的に、胎盤は、放血後、700〜800mLの潅流液体で潅流される。 胎盤は、数時間又は数日間の過程の間に複数回潅流することができる。胎盤が複数回潅流されるところで、容器や他の適した管内で、無菌条件下で維持されたり培養されることができ、抗凝血剤(例えば、ヘパリン、ワルファリンナトリウム、クマリン、ビスヒドロキシクマリン)、及び/又は抗菌剤(例えば、β-メルカプトエタノール(0.1mM);ストレプトマイシン(例えば、40〜100g/ml)、ペニシリン(例えば、40U/ml)、アンフォテリシンB(例えば、0.5g/ml)などの抗生剤)の有無に係わらず、幹細胞回収した組成物又は標準的な潅流液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの一般食塩水)と共に潅流することができる。一実施態様において、単離された胎盤は、潅流液を回収することなく、一定の時間に維持され、培養される。すなわち、潅流及び潅流液の回収前に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24時間、或いは2又は3日間以上の間に、該胎盤は維持され、又は培養される。潅流された胎盤は、1以上の追加的な時間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間以上の時間、維持されることができ、例えば、700〜800mLの潅流流体とともに第2回目潅流されることができる。胎盤は、1、2、3、4、5回以上の回数で、例えば、1、2、3、4、5又は6時間毎に一回潅流することができる。好ましい実施態様において、胎盤の潅流及び潅流液、例えば、幹細胞回収した組成物の回収は、回収された有核細胞の数が100 細胞/ml未満に下がるまで繰り返される。他の時点における潅流液の各々は、さらに処理されて、時間依存的な細胞の集団、例えば、幹細胞を回収することができる。他の時点の潅流液は、また、プールすることができる。好ましい実施態様において、幹細胞は、排除後、約8〜約18時間の間に1回又は数回回収される。 理論に縛られることなく、放血後、かつ胎盤を充分に潅流した後に、胎盤幹細胞は、放血されて、潅流された該胎盤の微小循環系内に移動するものと考えられ、この微小循環系は、本発明の方法に従って、好ましくは潅流によって回収管内に洗浄されることで、幹細胞が回収される箇所である。単離された胎盤を潅流させることは、残りの臍帯血を除去することだけではなく、さらに、胎盤に、酸素を含め、適切な栄養物質を提供することである。胎盤は、また、好ましくは、抗凝血剤を添加することなく、残りの臍帯血細胞を除去するために使用される類似の溶液と共に、培養して、潅流することができる。 本発明の方法にかかる潅流は、前記溶液で潅流されていない、そして幹細胞を得るために他の方法(例えば、組織崩壊や酵素による消化)で未処理の哺乳類の胎盤から得ることができる数よりも、有意により多くの胎盤幹細胞の回収をもたらす。この文脈において「有意により多く」は、少なくとも10%よりも多いことを意味する。本発明の方法にかかる潅流は、例えば、胎盤又はその一部が培養された培養培地から得ることができる胎盤幹細胞の数と比較して、有意により多くの胎盤幹細胞を算出する。 幹細胞は、胎盤から潅流によって1個以上のプロテアーゼや他の組織崩壊酵素を含む溶液と共に単離することができる。具体的な実施態様において、胎盤又はその一部(例えば、羊膜、羊膜及び絨毛膜、胎盤小葉若しくは子葉、臍帯血、又はそれらのいずれかの組み合わせ)は、25〜37℃に達し、そして1個以上の組織崩壊酵素とともに、200mLの培養培地中において30分間培養される。潅流液の細胞は回収され、4℃にして、また5mM EDTA、2mM ジチオスレイトール及び2mM β-メルカプトエタノールを含む低温の阻害剤混合物とともに洗浄される。幹細胞は、数分後に、冷たい(例えば、4℃)幹細胞回収した組成物とともに洗浄される。(5.2.5 胎盤幹細胞の単離、分類及び特徴付け) 潅流や酵素による消化によって得られた、哺乳類の胎盤から採取した幹細胞は、Ficoll勾配遠心分離により、初期に他の細胞から精製(すなわち、単離)することができる。そのような遠心分離は、遠心分離速度等に対する任意の標準的なプロトコルに従うことができる。一実施態様において、例えば、胎盤から回収された細胞は、15分間、室温、5000 × gで遠心分離により潅流液から回収され、この遠心分離は、細胞を例えば、汚染された組織片と血小板から分離する。他の実施態様において、胎盤潅流液は、約200mlに濃縮され、Ficoll上で穏やかに層を形成し、そして、22℃で、20分間、1100 × gで遠心分離をし、該細胞の低密度の界面層は、さらに処理に供するために回収される。 新しい幹細胞回収した組成物又は幹細胞の維持に適した培地、例えば、2U/mlのヘパリンと2mM EDTA(GibcoBRL社、NY)を含むIMDM無血清培地において、細胞のペレットは、再懸濁することができる。全体の単核細胞画分は、例えば、製造者の推奨の手順に従って、Lymphoprep(Nycomed Pharma社,オスロ,ノルウェー)を用いて単離することができる。 本明細書で使用されているように、胎盤幹細胞を「単離すること」は、無傷の哺乳類の胎盤において、幹細胞が正常に関連する細胞の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%を除去することを意味する。幹細胞が、無傷の器官において、幹細胞が正常に関連する細胞の50%未満を含む細胞の集団に存在するとき、器官の幹細胞は、「単離されている」。 潅流や消化によって得られた胎盤細胞は、例えば、0.2%EDTA(Sigma社、セントルイス、ミズーリ州)と共に0.05%のトリプシン溶液を用いて、分化トリプシン処理により、例えば、さらに、又は初期に単離することができる。胎盤幹細胞は、典型的に、約5分間でプラスチックの表面から落ちるため、分化トリプシン処理が可能である。一方、他の付着性のある集団は、典型的に20〜30分以上の培養を必要とする。落ちた該胎盤幹細胞は、トリプシン処理と、例えばトリプシン中和溶液(TNS、Cambrex社)を用いるトリプシン中和を経て収穫され得る。付着性細胞の単離の一実施態様において、例えば、約5〜10×106細胞の一定分量が、それぞれいくつのT−75フラスコ、好ましくは、フィブロネクチンがコーティングされたT−75フラスコの中に置かれる。そのような実施態様において、該細胞は、市販の間葉系幹細胞成長培地(MSCGM)(Cambrex社)で培養され、組織培養インキュベーター(37℃、5%CO2)内に置かれる。10〜15日後に、非付着性細胞は、PBSで洗浄され、フラスコから除去される。該PBSは、その後、MSCGMに代替される。フラスコは、多様な付着性細胞型の存在について、そして特に、線維芽細胞様細胞のクラスターの確認及び増殖のために、好ましくは毎日調査される。 哺乳類の胎盤から回収された細胞の型と数は、モニタリングすることができ、例えば、フローサイトメトリー、細胞分類、免疫細胞化学(例えば、組織に特異的なか又は細胞標識に特異的な抗体とで染色)、蛍光活性化細胞分類(FACS)、磁気活性細胞分類(MACS)などの標準的な細胞検出技術を利用して、形態学的に及び細胞表面標識における変化を測定することにより、光又は共焦点顕微鏡法を利用して細胞の形態を調査することにより、及び/又は、PCRと遺伝子発現プロファイリングなどの当業者における周知の技術を利用して、遺伝子発現の変化を測定することにより、モニタリングを行うことができる。このような技術は、同様に、1個以上の特定の標識に対して陽性である細胞を同定するために使用することができる。例えば、CD34に対する抗体を用いて、上記技術を使用し、細胞が、CD34を検出することができるほどの量で含むかどうかが分かる;若しそうである場合、該細胞は、CD34+である。同様に、若し細胞がRT−PCRで検出されるのに十分なOCT-4 RNAを生成する場合、又は、成体細胞よりも有意により多くのOCT-4 RNAを生成すれば、該細胞は、OCT-4+である。細胞表面標識(例えば、CD34のようなCD標識)に対する抗体とOCT-4のように幹細胞に特異的な遺伝子のシーケンスは、当分野において周知である。 胎盤細胞、特に、Ficoll分離によって単離された細胞、分化された付着、又はこれらの組み合わせは、蛍光活性化細胞分離装置(FACS)を用いて分類することができる。蛍光活性化細胞分類(FACS)は、粒子の蛍光特性に基づいた、細胞を含む粒子を分離する周知の方法である(Kamarchの文献、1987、Methods Enzymol、151:150-165)。個別の粒子における蛍光部分のレーザ刺激は、小さな電気的変化を誘発して、混合物から陽性粒子と陰性粒子の電気−磁場分離が発生する。一実施態様において、細胞表面標識に特異的な抗体又はリガンドは、明らかな蛍光ラベルでラベリングされる。細胞は、細胞分離装置を通じて処理され、それらの使用された抗体に対する結合能力に基づいて細胞の分離が可能となる。FACSで分類された粒子は、直接に96-ウェル、又は384-ウェルプレートのそれぞれのウェル内に置かれ、分離とクローニングを促進することができる。 1つの分類スキームにおいて、胎盤から採取した幹細胞は、標識CD34、CD38、CD44、CD45、CD73、CD105、OCT-4及び/又はHLA-Gの発現に基づいて分類される。これは、培養状態においてそれらの付着特性に基づき、幹細胞を選択する過程に関連して達成することができる。例えば、標識の発現に基づいて、例えば、分類の前又は後に、付着選択ステムは達成することができる。一実施態様において、細胞は、最初は、CD34の発現に基づいて分類される;CD34-細胞は保有され、そして、CD200+、HLA-G+である細胞は、すべての他のCD34-細胞から分離される。他の実施態様において、胎盤からの細胞は、CD200及び/又はHLA-Gのそれら標識の発現に基づいている;例えば、このような標識のうちのいずれかを表示する細胞が、追加の使用のために単離される。例えば、CD200及び/又はHLA-Gを発現する細胞は、具体的な実施態様において、CD73及び/又はCD105の発現、又は抗体SH2、SH3又はSH4によって認識されるエピトープ、或いはCD34、CD38又はCD45の発現がないことに基づいてさらに分類されることができる。例えば、一実施態様において、胎盤細胞は、CD200、HLA-G、CD73、CDl05、CD34、CD38及びCD45の発現やそれらの不足によって分類され、CD200+、HLA-G+、CD73+、CD105+、CD34-、CD38-及びCD45-である胎盤細胞は、追加の使用のために、他の胎盤細胞から単離される。 抗体媒介の検出及び胎盤幹細胞の分類について、特定の標識に対する特異的な任意の抗体が、細胞の検出と分類に適した任意の蛍光物質又は他のラベルと組み合わせて使用することができる(例えば、蛍光活性化細胞分類)。具体的な標識に対する抗体/蛍光物質の組み合わせは、以下のようなものを含むが、これらに限定されるものではない:HLA-G(Serotec社より販売、ローリー、ノースカロライナ州)、CD10(BD Immunocytometry System社より販売、サンノゼ、カリフォルニア州)、CD44(BD Biosciences Pharmingenより販売、サンノゼ、カリフォルニア州)、及びCD105(R&D Systems社より販売、ミネアポリス、ミネソタ州)に対してフルオレセインイソチオシアネート(FITC)が結合したモノクローナル抗体;CD44、CD200、CD117、及びCD13(BD Biosciences Pharmingen)に対してフィコエリトリン(phycoerythrin)(PE)が結合されたモノクローナル抗体;CD33及びCD10(BD Biosciences Pharmingen)に対してフィコエリトリン−Cy7(PECy7)が結合されたモノクローナル抗体;CD38(BD Biosciences Pharmingen)に対してアロフィコシアニン(APC)が結合されたストレプトアビジン及びモノクローナル抗体;及び、ビオチン化CD90(BD Biosciences Pharmingen)。使用することのできる他の抗体は、以下のようなものを含むが、これに限定されるものではない:CDl33−APC(Miltenyi社)、KDR-Biotin(CD309、Abcam社)、CytokeratinK-Fitc(Sigma社 又は Dako社)、HLA ABC-Fitc(BD)、HLA DRDQDP−PE(BD)、β-2-マイクログロブリン-PE(BD)、CD80-PE(BD)及びCD86-APC(BD)。 使用することのできる他の抗体/ラベルの組み合わせは、以下のようなものを含むが、これに限定されるものではない:CD45-PerCP(peridin chlorophyll protein);CD44-PE;CD19-PE;CDlO-F(fluorescein);HLA-G-F及び7-アミノ-アクチノマイシン-D(7-AAD);HLA-ABC−F;など。 胎盤幹細胞は、CD117又はCD133に対して、例えば、CD117とCD133に対してフィコエリトリン−Cy5(PE Cy5)が結合されたストレプトアビジン及びビオチンが結合されたモノクローナル抗体を使用して検査することができる;しかし、このシステムを用いると、相対的に高いバックグラウンドのために、細胞は、CD117又はCD133に対してそれぞれ陽性として現われることができる。 胎盤幹細胞は、単一標識に対する抗体とともにラベリングされて、検出され、及び/又は分類されることができる。胎盤幹細胞は、また、同時に、他の標識に対する複合抗体とともにラベリングすることができる。 他の実施態様において、磁性ビーズは細胞を分離することに使用することができる。細胞は、それらの磁性ビーズ(直径0.5〜100μm)を結合する能力に基づいて粒子を分離する方法である、磁性活性化細胞分類(MACS)技術を用いて分離することができる。特定の細胞表面分子又はハプテンを特別に認識する抗体に共有結合の添加を含む、多様で有用な修正が、磁性 マイクロスフェア上で行うことができる。ビーズは、その後、細胞と混合されて、結合される。細胞は、次いで、磁場を通過して、特定の細胞表面標識を有する細胞を分離する。一実施態様において、このような細胞は、その後に分離され、追加的な細胞表面標識に対する抗体とカップリングされた磁性ビーズと、再び混合されることができる。細胞は、また、磁場を通過して、両方の抗体と結合した細胞を分離する。そのような細胞は、その後、クローン単離のためのマイクロタイター皿のような分離皿内に希釈されることができる。 胎盤幹細胞は、また、細胞形状及び成長特徴に基づいて特徴付けされ、及び/又は分類されることができる。例えば、胎盤幹細胞は、例えば、培養状態で線維芽細胞のような外観を有することで特徴付けされることができ、及び/又はそのような外観に基づいて選択されることができる。胎盤幹細胞は、例えば、胚様体様組織体を形成するそれらの能力に基づいて、それを有することで特徴付けされ、及び/又は選択されることができる。一実施態様において、例えば、形態において線維芽細胞状であり、CD73及びCD105を発現し、培養状態で1個以上の胚様体様組織体を生成する胎盤細胞は、他の胎盤細胞から単離される。他の実施態様において、かつ培養状態で1個以上の胚様体様組織体を生成するOCT-4+胎盤細胞は、他の胎盤細胞から単離される。 他の実施態様において、胎盤幹細胞は、コロニー形成単位アッセイによって同定されて、特徴付けされることができる。コロニー形成単位アッセイは、通常、当分野においてMESEN CULT(商標) medium(Stem Cell Technologies社、バンクーバー、ブリティッシュコロンビア州)のように周知である。 胎盤幹細胞は、当分野において周知である、トリパンブルー排除アッセイ、フルオレセインジアセテート取込みアッセイ、ヨウ化プロピジウム取込みアッセイ(生存能力を評価するために);及び、チミジン取込みアッセイ、MTT細胞増殖アッセイ(増殖を評価するために)などの標準技術を用いて、生存能力、増殖能力、および寿命について評価することができる。寿命は、増量した培養状態において集団倍加の最大数を決定するなどの、当分野において周知の方法により、測定することができる。 胎盤幹細胞は、当分野において周知の以下のような方法で他の胎盤細胞から分離することができる:所望の細胞の選択的成長(陽性選択)、不要な細胞の選択的破壊(陽性選択);例えば、ダイズ凝集素のように、混合された集団における分化された細胞凝集力に基づいた分離;冷凍−解凍過程;ろ過;従来のゾーン遠心分離;遠心洗浄(向流遠心分離);単位重力分離;向流分配;電気泳動法;など。(5.3 胎盤幹細胞の培養)(5.3.1 培養培地) 単離された胎盤幹細胞、又は胎盤幹細胞の集団、又は細胞若しくは胎盤幹細胞が成長した胎盤組織は、細胞培養を開始するか、播種するために使用することができる。細胞は、一般的に、ラミニン、コラーゲン(例えば、自己由来又は変性された)、ゼラチン、フィブロネクチン、オルニチン、ビトロネクチン及び細胞外膜タンパク質(例えば、MATRIGEL(登録商標、BD Discovery Labware社、ベッドフォード、マサチューセッツ州))などの細胞外マトリックス又はリガンドでコーティングされているか或いはコーティングされていない無菌の組織培養管に移送される。 胎盤幹細胞は、幹細胞の培養に適したものとして当業者に認識されている任意の条件下で、かつ任意の培地中で培養することができる。好ましくは、培養培地は、血清を含む。胎盤幹細胞は、例えば、以下のような培地中で培養することができる:ITS(インスリン−トランスフェリン−セレニウム)、LA+BSA(リノール酸−ウシ血清アルブミン)、デキストロース、L-アスコルビン酸、PDGF、EGF、IGF−I、及びペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM-LG(Dulbeccoの変性必須培地、低グルコース)/MCDB201(ニワトリ線維芽細胞基礎培地;10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むDMEM-HG(高グルコース);15%FBSを含むDMEM-HG;10%FBS、10%ウマ血清、及びハイドロコルチゾンを含むIMDM(Iscove's modified Dulbecco's medium);10%FBS、EGF、及びヘパリンを含むM199;10%FBS、GLUTAMAX(商標)及びゲンタマイシンを含むα-MEM(最小必須培地);10%FBS、GLUTAMAX(商標)及びゲンタマイシンを含むDMEM、など。好ましい培地は、2%FBS、ITS、LA+BSA、デキストロース、L-アスコルビン酸、PDGF、EGF、及びペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM-LG/MCDB-201である。 胎盤幹細胞の培養に使用可能な他の培地は、DMEM(高又は低グルコース)、Eagle's基礎培地、Ham's F10培地(F10)、Ham's F-12培地(F12)、Iscove's modified Dulbeccoの培地、間葉系幹細胞成長培地(MSCGM)、LiebovitzのL-15培地、MCDB、DMEM/F12、RPMI 1640、高度DMEM(Gibco社)、DMEM/MCDB201(Sigma社)、及びCELL-GRO FREEである。 培養培地は、例えば、以下を含む1個以上の成分で補充されていてもよい:血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、好ましくは、約2-15%(v/v);ウマ血清(ES);ヒト血清(HS));β-メルカプトエタノール(BME)、好ましくは、約0.001%(v/v);1個以上の成長因子、例えば、血小板由来の成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、インスリン様成長因子-1(IGF−1)、白血病抑制因子(LIF)、血管上皮成長因子(VEGF)、及びエリスロポエチン(EPO);L-バリンを含むアミノ酸;および、微生物汚染を制御する、例えば、ペニシリンG、ストレプトマイシンスルフェート、アムフォテリシンB、ゲンタマイシン、及びニスタチン、これらを単独で或いは組み合わせて用いる、1個以上の抗生剤及び/又は抗真菌剤。 胎盤幹細胞は、例えば、組織培養皿やマルチウェルプレートなどの標準的な組織培養条件で培養することができる。胎盤幹細胞は、また、懸滴方法を用いて培養することができる。該方法では、胎盤幹細胞は、約5mLの培地の中にmL当たり約1×104細胞で懸濁されて、培地の1個以上の滴は、例えば、100mLペトリ皿などの組織培養容器の蓋の内側に位置される。滴は、例えば、単一滴、又は多チャンネルピペットからの多数の滴であってもよい。蓋は、注意しながらひっくり返して、皿の雰囲気内で水蒸気含量を維持するのに十分な、例えば無菌のPBSなどの液体の容積を含むように、皿底の上部に置き、かつ該幹細胞を培養する。 一実施態様において、胎盤幹細胞において未分化の表現型を維持するような役割をする化合物の存在下で、胎盤幹細胞を培養する。具体的な実施態様において、化合物は、置換3,4-ジヒドロピリジモル[4,5-d]ピリミジンである。より具体的な実施態様において、化合物は、以下の化学構造を有する化合物である: 該化合物は、胎盤幹細胞又は胎盤幹細胞の集団と、例えば、約1μM〜約10μMの濃度で接触することができる。(5.3.2胎盤幹細胞の増殖と分芽) 一度単離された胎盤幹細胞、又は幹細胞の単離された集団(例えば、幹細胞又は幹細胞の集団が、生体内で正常に関連する胎盤細胞の少なくとも50%から単離された幹細胞の集団又は幹細胞)が得られる場合、該幹細胞又は幹細胞の集団は、生体外で、分芽されて、増殖することができる。例えば、胎盤幹細胞の集団は、例えば、皿、フラスコ、マルチウェルプレート又はその他のものなどの組織培養容器の中で、該幹細胞が70〜90%密集度に分芽するのに十分な時間培養されることができ、それは、該幹細胞及びそれらの子孫が、組織培養容器の培養表面エリアの70〜90%を占有するまでである。 胎盤幹細胞は、培養管内で細胞成長可能な密度で、例えば、細胞は、低密度(約1000〜約5000細胞/cm2)から高密度(例えば、約50,000又はそれ以上の細胞/cm2)まで播かれることができる。好ましい実施態様において、細胞は、空気中の二酸化炭素体積で約0〜約5%の状態で培養される。一部の好ましい実施態様において、細胞は、空気中に酸素が約2〜約25%存在するか、好ましくは、空気中に酸素が約5〜20%存在するときに、培養される。細胞は、好ましくは、約25℃〜約40℃で、好ましくは37℃で培養される。細胞は、好ましくは、インキュベーター内で培養される。細胞培地は、静止したり、例えば、生体反応器を利用して撹拌することができる。胎盤幹細胞は、好ましくは、低い酸化ストレス(例えば、グルタチオン、アスコルビン酸、カタラーゼ、トコフェロール、N-アセチルシステイン、等の添加と共に)下で成長させられる。 一度70〜90%密集度が得られると、細胞は、継代される。例えば、細胞は、それらを組織培養表面から分離するために、当業者に公知の技術を用いて、酵素によって処理すること、例えば、トリプシン化されることができる。細胞をピペットで移動させて、計数して細胞を除去した後、約20,000〜100,000の幹細胞、好ましくは、約50,000の幹細胞が、新しい培養培地を含む新しい培養容器に継代される。典型的に、該新しい培地は、幹細胞が除去された培地と同じ種類である。本発明は、少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、又は20回以上継代された胎盤幹細胞の集団を抱合する。(5.3.3 胎盤幹細胞集団) 本発明は、胎盤幹細胞の集団を提供する。胎盤幹細胞の集団は、1個以上の胎盤から直接単離することができる;すなわち、胎盤幹細胞の集団は、潅流液から得られるか、潅流液中に含まれた、又は崩壊された胎盤組織、例えば、胎盤組織消化物(すなわち、胎盤やその一部の酵素による消化によって得られる細胞の回収)から得られるか、その中に含まれた胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団であってもよい。本発明の単離された胎盤幹細胞は、さらに、培養されて、増殖され、胎盤幹細胞集団を作成することができる。胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団は、また、培養されて、増殖され、胎盤幹細胞集団を作成することができる。 本発明の胎盤幹細胞の集団は、胎盤幹細胞、例えば、本明細書に記載の胎盤幹細胞を含む。多様な実施態様において、単離された胎盤幹細胞集団の中の細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%は、胎盤幹細胞である。すなわち、胎盤幹細胞の集団は、例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%程度の非幹細胞を含むことができる。 本発明は、例えば、酵素による消化や潅流液に由来して、特定の標識及び/又は特定の培養又は形態学的な特徴を発現する胎盤幹細胞を選択することにより、単離された胎盤幹細胞の集団を作成する方法を提供する。一実施態様において、例えば、本発明は、細胞集団を作成する方法を含み、ここで、該方法は、(a)基材に付着されて、(b)CD200及びHLA-Gを発現する胎盤細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。他の実施態様において、本発明は、細胞集団を作成する方法を提供するが、該方法は、CD200及びHLA-Gを発現する細胞集団を同定すること、及び前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。他の実施態様において、細胞集団を作成する方法は、(a)基材に付着されて、(b)CD73、CD105及びCD200を発現する胎盤細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。他の実施態様において、本発明は、細胞集団を作成する方法を提供するが、該方法は、CD73、CD105及びCD200を発現する胎盤細胞を同定すること、及び前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。他の実施態様において、細胞集団を作成する方法は、(a)基材に付着されて、(b)CD200及びOCT-4を発現する胎盤細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。他の実施態様において、本発明は、細胞集団を作成する方法を提供するが、該方法は、CD200及びOCT-4を発現する胎盤細胞を同定すること、及び前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。他の実施態様において、細胞集団を作成する方法は、(a)基材に付着されて、(b)CD73及びCD105を発現し、(c)胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記集団が培養されるとき、前記幹細胞を含む胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する胎盤細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。他の実施態様において、本発明は、細胞集団を作成する方法を提供するが、該方法は、CD73及びCD105を発現して、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記集団が培養されるとき、前記幹細胞を含む胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する胎盤細胞を同定すること、及び前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。他の実施態様において、細胞集団を作成する方法は、(a)基材に付着されて、(b)CD73、CD105及びHLA-Gを発現する胎盤細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。他の実施態様において、本発明は、細胞集団を作成する方法を提供するが、該方法は、CD73、CD105及びHLA-Gを発現する胎盤細胞を同定すること、及び前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。他の実施態様において、細胞集団を作成する方法は、(a)基材に付着されて、(b)OCT-4を発現して、(c)胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記集団が培養されるとき、前記幹細胞を含む胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する胎盤細胞を選択すること;及び、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。他の実施態様において、本発明は、細胞集団を作成する方法を提供するが、該方法は、OCT-4を発現して、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記集団が培養されるとき、前記幹細胞を含む胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する胎盤細胞を同定すること、及び前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成することを含む。 そのような細胞集団は、以下に挙げられた疾患や条件のうちのいずれかを治療するために使用することができる。そのような細胞集団は、また、例えば、品質制御方法の一部分として、胎盤幹細胞の集団を検査することに使用することができる。 上記の実施態様のいずれかにおいて、該方法は、さらに、ABC-p(胎盤に特異的なABC運搬タンパク質;例えば、Allikmetsらの文献,Cancer Res.58(23):5337-9(1998)を参照)を発現する胎盤細胞を選択することを含むことができる。該方法は、また、例えば、間葉系幹細胞に特異的な、少なくとも1つの特徴、例えば、CD29の発現、CD44の発現、CD90の発現、又はこれらの組み合わせの発現を示す細胞を選択することを含むことができる。 上記実施態様において、基材は、細胞、例えば、胎盤幹細胞の培養及び/又は選択が行われる任意の表面であってもよい。典型的に、基材は、プラスチック、例えば、組織培養皿又はマルチウェルプレートプラスチックである。組織培養プラスチックは、例えば、ラミニンやフィブロネクチンのような生体分子でコーティングすることができる。 細胞、例えば胎盤幹細胞は、胎盤幹細胞の集団のために、細胞選択の分野において公知の任意の方法で選択することができる。例えば、細胞は、1個以上の細胞表面標識に対する抗体又は抗体を使用して、例えば、フローサイトメトリー又はFACSにおいて選択することができる。選択は、磁性ビーズと結合された抗体を用いて達成することができる。特定の幹細胞と関連の標識に特異的な抗体は、当分野において周知である。例えば、OCT-4(Abcam社、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)、CD200(Abcam社)、HLA-G(Abcam社)、CD73(BD Biosciences Pharmingen、サンディエゴ、カリフォルニア州)、CD105(Abcam社;Bio Design International、ソーコ、メイン州)などに対する抗体がある。他の標識に対する抗体も市販されており、例えば、CD34、CD38及びCD45が、例えば、StemCell Technologies又はBio Design Internationalから入手可能である。 単離された胎盤幹細胞の集団は、さらに、幹細胞ではない胎盤細胞又は胎盤細胞ではない細胞を含むことができる。 単離された胎盤幹細胞の集団は、1個以上の非幹細胞又は非胎盤細胞の集団、例えば、胎盤幹細胞の単離された集団は、血液(例えば、胎盤血液又は臍帯血)、血液由来の幹細胞(例えば、胎盤血液又は臍帯血由来の幹細胞)、臍帯幹細胞、血液由来の核細胞の集団、骨髄由来の間葉系幹細胞、骨由来の幹細胞集団、生骨髄(crude bone marrow)、成体(体性)幹細胞、組織内に含まれた幹細胞の集団、培養された幹細胞、完全に分化された細胞の集団(例えば、軟骨細胞、線維芽細胞、羊膜細胞、骨芽細胞、筋細胞、心臓細胞等)などと結合することができる。具体的な実施態様において、本発明は、胎盤幹細胞と臍帯幹細胞を含む幹細胞の集団を提供する。単離された胎盤幹細胞集団における細胞は、それぞれの集団において全有核細胞の数を比較して、約100,000,000:1、50,000,000:1、20,000,000:1、10,000,000:1、5,000,000:1、2,000,000:1、1,000,000:1、500,000:1、200,000:1、100,000:1、50,000:1、20,000:1、10,000:1、5,000:1、2,000:1、1,000:1、500:1、200:1、100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1:1;1:2;1:5;1:10;1:100;1:200;1:500;1:1,000;1:2,000;1:5,000;1:10,000;1:20,000;1:50,000;1:100,000;1:500,000;1:1,000,000;1:2,000,000;1:5,000,000;1:10,000,000;1:20,000,000;1:50,000,000;又は約1:100,000,000の割合で、他の種類の多数の細胞と結合することができる。単離された胎盤幹細胞集団内における細胞は、また、多数の細胞型の多数の細胞と結合することができる。 一つにおいて、胎盤幹細胞の単離された集団は、多数の造血幹細胞と結合される。そのような造血幹細胞は、胎盤血液、臍帯血又は周辺血液からの全有核細胞内に;胎盤血液、臍帯血又は周辺血液からのCD34+細胞の単離された集団内に;未処理の骨髄内に;骨髄からの全有核細胞内に;骨髄からのCD34+細胞の単離された集団内に、など、例えば、未処理の胎盤、臍帯血又は周辺血液内に収容されることができる。(5.4 胎盤幹細胞バンクの作成) 分娩後の胎盤から採取した幹細胞は、多くの異なる方式で培養されて、例えば、それぞれを管理できる用量のセット、胎盤幹細胞のセットのようなロット(lot)のセットを作成することができる。そのようなロットは、例えば、胎盤潅流液からの、又は酵素で消化された胎盤組織からの幹細胞から得ることができる。多数の胎盤から得られる胎盤幹細胞のロットのセットは、例えば、長期間の保存に備えて、胎盤幹細胞のバンクの中に配置されることがある。一般的に、付着性幹細胞は、胎盤物質の初代培養から得られ、シード培養を形成し、制御された条件下において増殖されて、約同等の数の倍加から細胞の集団を形成する。ロットは、好ましくは、単一の胎盤組織由来であるが、多数の胎盤組織由来であることもできる。 一実施態様において、幹細胞ロットは、以下のように得られる。胎盤組織は、先ず崩壊されて、例えば細かく切り刻まれ、例えばコラゲナーゼ(上記5.2.3節を参照)などの適当な酵素により消化される。胎盤組織は、好ましくは、単一胎盤からの全体羊膜、全体絨毛膜、又はそれらを両方共含むが、羊膜又は絨毛膜の一部のみを含むことができる。消化された組織は、例えば、1〜3週間、好ましくは、約2週間培養される。非付着性細胞を除去した後、形成された高密度のコロニーは、例えば、トリプシン処理によって回収される。このような細胞は、回収されて、使い易い体積の培養培地中で再懸濁されて、継代0細胞として定義される。 継代0細胞は、その後に、増殖培養を播種するために使用される。増殖培養は、例えば、NUNC(商標)によるセルファクトリなどの独立した細胞培養装置の任意の配列であることができる。継代0培養中の細胞は、例えば、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、1×104、1×104、2×104、3×104、4×104、5×104、6×104、7×104、8×104、9×104、又は10×104幹細胞とともに、増殖培養を播種するように、ある程度までさらに分割される。好ましくは、約2×104から約3×104までの継代0細胞は、それぞれの増殖培養を播種するために使用される。増殖培養の数は、継代0細胞の数に依存的であり、幹細胞が得られる特定の胎盤に応じた数においてより大きいか、より小さくてもよい。 増殖培養は、培養状態にある細胞の密度が、特定の数値、例えば、1x105細胞/cm2に到逹するまで続けられる。細胞は、また、回収されて、この時点で凍結保存されるか、先に記述したように、新たな増殖培養の中に継代されることができる。細胞は、例えば、使用に先立って、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20回継代されることができる。集団倍加の累積数の記録は、好ましくは、増殖培養の間に維持される。継代0培養からの細胞は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38又は40倍加、或いは60倍加までの間に増殖されることができる。しかし、好ましくは、集団倍加の数は、それぞれの用量に細胞の集団を分割する前に、約15から約30の範囲内、好ましくは、約20倍加である。細胞は、増殖過程を経て培養し続けることができ、或いは、増殖の間、1個以上の時点で冷凍されることもできる。 それぞれの用量にて使用される細胞は、冷凍されるべき数、例えば、後続使用のために凍結保存することができる。それぞれの量は、例えば、ml当たり、約100万から1億個の細胞を含むことができ、全体として約106から約109までの細胞を含むことができる。 本方法にかかる具体的な実施態様において、継代0細胞は、倍加の第1の数、例えば、約4倍加の間培養されて、第1の細胞バンク内で冷凍される。第1の細胞バンクからの細胞は、冷凍され、かつ第2の細胞バンクを播種するために使用されて、該細胞は、倍加の第2の数、例えば、さらに約8倍加の間増殖される。このステップにおける細胞は、回収されて、冷凍され、細胞倍加の累積数を約20に到達させる、例えば、約8の追加の倍加などの倍加の第3の数の間に続行できるようにする、新しい増殖培養を播種するために使用される。継代において中間段階の細胞は、後続の増殖培養において使用するために、ml当たり約100,000〜約1千万細胞、好ましくは、約100万細胞の単位で冷凍されることができる。約20倍加における細胞は、幹細胞を含む組成物を作成することに使用するために又は運営のために、ml当たり約100万〜約1億個の範囲内の細胞のそれぞれの用量で冷凍されることができる。 従って、一実施態様において、本発明は、胎盤幹細胞バンクを作成する方法を提供するが、該方法は、:第1の多数の集団倍加をするために、ヒトの分娩後の胎盤から初代培養胎盤の幹細胞を増殖すること;前記胎盤幹細胞を凍結保存してマスタセルバンクを形成すること;前記マスタセルバンクからの多数の胎盤幹細胞を、第2の多数の集団倍加をするために増殖すること;前記胎盤幹細胞を凍結保存して、ワーキングセルバンクを形成すること;前記ワーキングセルバンクからの多数の胎盤幹細胞を、第3の多数の集団倍加をするために増殖すること;及び前記胎盤幹細胞をそれぞれの量で凍結保存すること、を含み、ここで、前記それぞれの用量は、集合的に胎盤幹細胞バンクを構成する。具体的な実施態様において、集団倍加の総数は、約20である。他の具体的な実施態様において、前記第1の多数の集団倍加は、約4の集団倍加であり;前記第2の多数の集団倍加は、約8の集団倍加であり;前記第3の多数の集団倍加は、約8の集団倍加である。さらに他の具体的な実施態様において、前記初代培養胎盤幹細胞は、胎盤潅流液からの胎盤幹細胞を含む。他の具体的な実施態様において、前記初代培養胎盤幹細胞は、消化された胎盤組織からの胎盤幹細胞を含む。他の具体的な実施態様において、前記初代培養胎盤幹細胞は、胎盤潅流液及び消化された胎盤組織からの胎盤幹細胞を含む。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の初代培養状態における前記胎盤組織細胞のすべては、同一の胎盤から採取されるものである。他の具体的な実施態様において、方法は、さらに、前記ワーキングセルバンクからの前記多数の前記胎盤幹細胞からCD200+又はHLA-G+胎盤幹細胞を選択して、それぞれの用量を形成することを含む。さらに他の具体的な実施態様において、前記それぞれの用量は、約104〜105の胎盤幹細胞を含む。他の具体的な実施態様において、前記それぞれの用量は、約105〜106の胎盤幹細胞を含む。他の具体的な実施態様において、前記それぞれの用量は、約106〜107の胎盤幹細胞を含む。他の具体的な実施態様において、前記それぞれの用量は、約107〜108の胎盤幹細胞を含む。 好ましい実施態様において、胎盤が得られるドナー(例えば、母親)は、少なくとも1つの病原体に対して検査される。若し、母親が、検査された病原体に対して陽性である場合、胎盤からの全ロットが廃棄される。そのような検査は、胎盤幹細胞ロットの生成の間、継代0細胞の成立の前後、又は増殖培養の間を含め、何時でも行うことができる。存在に対して検査が行われる病原体には、制限なく、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(類型IとII)、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスなどが含まれる。(5.5 胎盤幹細胞の分化)(5.5.1 神経又は神経原性細胞への分化誘導) 胎盤幹細胞のニューロン分化は、例えば、胎盤幹細胞を、ニューロンへの分化を誘導する細胞培養条件下に置くことにより達成することができる。方法の一例において、神経性培地は、DMEM/20%FBSと1mM β-メルカプトエタノールを含み;そのような培地は、培養後の約24時間は、DMEMと1-10mM β-メルカプトエタノールを含む培地と取りかえることができる。他の実施態様において、細胞は、DMEM/2% DMSO/200μMブチル化ヒドロキシアニソールと接触する。具体的な実施態様において、分化培地は、無血清DMEMIF-12、ブチル化ヒドロキシアニソール、塩化カリウム、インスリン、ホルスコリン、バルプロ酸、及びハイドロコルチゾンを含む。他の具体的な実施態様において、ニューロン分化は、B27補充及びL-グルタミンを含み、選択的にbFGF及び/又はEGFで補充された神経細胞培養用基礎培地(Neurobasal-A medium)(Invitrogen社、カールズバッド、カリフォルニア州)において、ラミニンがコーティングされたプレート上に胎盤幹細胞を平板培養することにより達成される。胎盤幹細胞は、さらに、神経細胞とともに共同培養によって、又はニューロン調節された培地内での培養によってニューロン分化を誘導することができる。 ニューロン分化は、例えば、ニューロンの様な形態(例えば、拡大された工程を含む両極細胞)を探知することにより;例えば、神経成長因子レセプタ及びニューロフィラメント重鎖遺伝子の発現をRT-PCRで探知することにより;又は、電気的活動を、例えばパッチクランプで探知することにより、検査することができる。細胞が1個以上のこのような特徴を示すとき、胎盤幹細胞は、ニューロン細胞に分化したものと考えられる。(5.2.2 脂肪細胞への分化誘導) 胎盤幹細胞の脂肪細胞分化は、例えば、胎盤幹細胞を、脂肪細胞への分化を誘導する細胞培養条件下に置くことにより達成することができる。好ましい脂質生成培地は、MSCGM(Cambrex社)又は15%臍帯血清で補充されたDMEMを含む。一実施態様において、胎盤幹細胞は、脂肪組織生成誘導培地(Cambrex社)に供給されて、3日間(37℃、5%二酸化炭素)培養されて、脂肪組織生成維持培地(Cambrex社)の中で1〜3日間培養される。誘導/維持の完全な3サイクル後に、脂肪組織生成維持培地の中で、2〜3日おきに培地を交換しながら、細胞は、さらに7日間培養される。 他の実施態様において、胎盤幹細胞は、1μMデキサメタゾン、0.2mMインドメタシン、0.01mg/mlインスリン、0.5mMIBMX、DMEM-高グルコース、FBS、及び抗生剤を含む培地の中で培養される。さらに、胎盤幹細胞は、1個以上のグルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン、インドメタソン、ハイドロコルチゾン、コルチゾン)、インスリン、cAMPの細胞内レベルを上昇させる化合物(例えば、ジブチリル-cAMP;8-CPT-cAMP(8-(4)クロルフェニルチオ)-アデノシン、3',5'サイクリック一リン酸塩);8-ブロモ-cAMP;ジオクタノイル-cAMP;ホルスコリン)、及び/又はcAMPの低下を抑制する化合物(例えば、イソブチルメチルキサンチン(IBMX)、メチルイソブチルキサンチン、テオフィリン、カフェイン、インドメタシンなどのホスホジエステラーゼ阻害剤)を含む培地内で培養することにより、脂肪組織生成へ誘導することができる。 脂肪組織生成の特質は、多数の細胞質内の脂質小胞の発達であり、これは、親油性ステインオイルレッドOを使用して容易に観察することができる。タンパク質遺伝子に結合したリパーゼ及び/又は脂肪酸の発現は、脂肪細胞に分化し始めた胎盤幹細胞において、RT/PCRにより確認される。胎盤幹細胞は、細胞が1個以上のこのような特徴を示すとき、脂肪細胞に分化したものと考えられる。(5.5.3 軟骨細胞への分化誘導) 胎盤幹細胞の軟骨形成分化は、例えば、胎盤幹細胞を、軟骨細胞への分化を誘導する細胞培地条件下に置くことにより達成することができる。好ましい軟骨形成培地は、MSCGM(Cambrex社)又は15%臍帯血清が補充されたDMEMを含む。一実施態様において、胎盤幹細胞は、無菌のポリプロピレンチューブ内に等分されて、遠心分離を行い(例えば、5分間150×gで)、さらに不完全軟骨形成培地(Cambrex社)の中で2回洗浄される。細胞は、0.01μg/mlのTGF-β-3を、約1-20×105細胞/mlの濃度で含む完全軟骨形成培地(Cambrex社)中で再懸濁される。他の実施態様において、胎盤幹細胞は、アスコルビン酸塩の有無に関係なく、外因性成長因子、例えば、GDF-5又は形質転換成長因子β3(TGF-beta3)と接触される。軟骨形成培地は、プロリンとグルタミン、ピルビン酸ナトリウム、デキサメタゾン、アスコルビン酸、及びインスリン/トランスペリン/セルレニウムを含むアミノ酸で補充することができる。軟骨形成培地は、水酸化ナトリウム及び/又はコラーゲンで補充することができる。胎盤幹細胞は、高密度又は低密度で培養されていてもよい。細胞は、好ましくは、血清の存在下で培養される。 軟骨形成は、例えば、ヘマトキシリン/エオシン染色、細胞の形態の評価、及び/又はコラーゲン2とコラーゲン9遺伝子の発現のRT/PCRによる確認;グリコサミノグリカン(glycosaminoglycan)発現に対するサフラニン-O染色、好酸性グラウンド物質の生成の観察により、評価することができる。また、軟骨形成は、例えば、懸濁液内において細胞を(例えば、約5分間で約800gを)穏やかに遠心分離することで形成された、ペレット内で幹細胞を成長させることによって観察することができる。約1〜28日間後に、幹細胞のペレットはタフな細胞間マトリックスを形成し始め、そして、誘導されていない、又は非軟骨形成の細胞株において、刺激されたときに別々に離れる傾向にあるペレットにおいて発見されない構造的強度を示す。例えば、そのような細胞のペレットにおいて、例えばシリアスレッドのようなコラーゲンを染色する染料で、及び/又は、例えばアルシアンブルーなどのグリコサミノグリカンを染色する染料で染色することにより、軟骨形成を、また示すことができる。(5.5.4 骨細胞への分化誘導) 胎盤幹細胞の骨形成分化は、例えば、胎盤幹細胞を、骨細胞への分化を誘導する細胞培養条件下に置くことにより達成することができる。好ましい骨形成培地は、MSCGM(Cambrex社)又は15%臍帯血清が補充されたDMEMを含み、0.1μMデキサメタゾン、0.05mMアスコルビン酸-2-リン酸塩、10mMベータグリセロリン酸塩を含む骨形成誘導培地(Cambrex社)が続けられる。他の実施態様において、胎盤幹細胞は、約10-7〜約10-9Mデキサメタゾン、約10-50μMアスコルビン酸塩リン酸塩(例えば、アスコルビン酸塩-2-リン酸塩)及び約10nM〜約10mM β-グリセロリン酸塩を含む培地(例えば、DMEM-低グルコース)の中で培養される。骨形成培地は、また、血清、1個以上の抗生剤/抗真菌剤、形質転換成長因子-ベータ(例えば、TGF-β1)及び/又は骨形態形成タンパク質(例えば、BMP-2、BMP-4、又はそれらの組み合わせ)を含むことができる。 分化は、カルシウムに特異的な染料、例えば、von Kossa染色、及び、例えば、アルカリ性ホスファターゼ、オステオカルシン、骨シアロタンパク質及び/又はオステオポンチン遺伝子発現のRT/PCRによる探知を使用して評価することができる。(5.5.5 膵臓細胞への分化誘導) 胎盤幹細胞のインスリン生成膵臓細胞への分化は、例えば、胎盤幹細胞を、膵臓細胞への分化を誘導する細胞培養条件下に置くことにより達成することができる。 膵臓細胞を形成する培地の一例は、塩基性線維芽細胞成長因子、10ng/ml;及び、形質転換成長因子β-1、2ng/mlで補充されたDMEM/20%CBSを含む。この培地は、50/50v/vでネスチン陽性のニューロン細胞培養からのならし倍地と結合される。ノックアウト血清代替は、CBSの代わりに使用することができる。細胞は、14〜28日間、3〜4日おきに供給しながら培養される。 分化は、例えば、インスリンタンパク質生成、又はRT/PCRによるインスリン遺伝子の発現に対して評価することにより確認することができる。胎盤幹細胞は、細胞がこのような特徴を1個以上示すとき、膵臓細胞に分化したものと考えられる。(5.5.6 心臓細胞への分化誘導) 胎盤幹細胞の筋肉組織で発生する(心原性)分化は、例えば、胎盤幹細胞を、心筋細胞に分化を誘導する細胞培養条件下に置くことにより達成することができる。好ましい心臓細胞培地は、レチノイン酸で補充されたDMEM/20%CBS、1μM;塩基性線維芽細胞成長因子、10ng/ml;及び、形質転換成長因子ベータ-1、2ng/ml;及び、内皮成長因子、100ng/mlを含む。ノックアウト血清代替(Invitrogen社、カールズバッド、カリフォルニア州)は、CBSの代わりに使用することができる。あるいは、胎盤幹細胞は、50ng/mlカルディオトロピン-1で補充されたDMEM/20%CBSの中で、24時間培養することができる。他の実施態様において、胎盤幹細胞は、10〜14日間培養することができる。タンパク質の無い培地中において5〜7日間、その後、例えば、1%臍帯血清で補充される1%HEPES緩衝液内においてヒトの心筋を均質化することで生成される、ヒト心筋抽出物で刺激される。 分化は、例えば、RT/PCRにより、又は細胞の目に見える拍動により心臓アクチン遺伝子の発現を示すことで確認することができる。胎盤幹細胞は、細胞がこのような特徴を1個以上示すとき、心臓細胞に分化したものと考えられる。(5.6 胎盤幹細胞の保存) 胎盤幹細胞は、保存することができる。すなわち、長期間の保存が可能となる条件、又は、例えばアポトーシス若しくは壊死などの細胞死を抑制する条件下に置くことができる。 胎盤幹細胞は、例えば、2005年12月25日付で出願された「胎盤幹細胞を回収して器官を保護する改良培地」と題された米国仮出願第60/754,969号に記述されたように、アポトーシス阻害剤、壊死阻害剤及び/又は酸素運搬ペルフルオロカーボンを含む組成物を使用して保存することができる。一実施態様において、本発明は、幹細胞の集団を保全する方法を提供するが、該方法は、アポトーシス阻害剤及び酸素運搬ペルフルオロカーボンを含む幹細胞回収した組成物と前記幹細胞の集団とを接触させることを含み、ここで前記アポトーシス阻害剤は、アポトーシス阻害剤と接触しない幹細胞の集団と比較して、幹細胞の集団においてアポトーシスを低減させるか、防止するのに十分な時間、かつ十分な量で存在する。具体的な実施態様において、前記アポトーシス阻害剤は、カスパーゼ阻害剤である。他の具体的な実施態様において、前記アポトーシス阻害剤は、JNK阻害剤である。より具体的な実施態様において、前記JNK阻害剤は、前記幹細胞の分化又は分芽を調節しない。他の実施態様において、前記幹細胞回収した組成物は、分離された相で前記アポトーシス阻害剤及び前記酸素運搬ペルフルオロカーボンを含む。他の実施態様において、幹細胞回収した該組成物は、前記アポトーシス阻害剤及び前記酸素運搬ペルフルオロカーボンをエマルジョン状で含む。他の実施態様において、該幹細胞回収した組成物は、追加に、レシチンなどの乳化剤を含む。他の実施態様において、前記アポトーシス阻害剤及び前記ペルフルオロカーボンは、幹細胞と接触するとき、約0℃〜約25℃の間にある。他のより具体的な実施態様において、前記アポトーシス阻害剤及び前記ペルフルオロカーボンは、幹細胞と接触するとき、約2℃〜約10℃の間、又は約2℃〜約5℃の間にある。他のより具体的な実施態様において、前記接触は、前記幹細胞の集団を運搬する間に達成される。他のより具体的な実施態様において、前記接触は、前記幹細胞の集団を冷凍及び解凍する間に達成される。 他の実施態様において、本発明は、胎盤幹細胞の集団を保存する方法を提供するが、該方法は、前記幹細胞の集団を、アポトーシス阻害剤及び器官保存化合物と接触させることを含み、ここで前記アポトーシス阻害剤は、アポトーシス阻害剤と接触しない幹細胞の集団と比較して、幹細胞の集団においてアポトーシスを低減するか防止させるのに十分な時間、かつ十分な量で存在する。具体的な実施態様において、該器官保存化合物は、UW溶液(米国特許第4,798,824号に記述されて;またViaSpanとして知られ;Southardらの文献,Transplantation 49(2):251-257(1990)を参照)又はSternらの米国特許第5,552,267号に記述された溶液である。他の実施態様において、該器官保存化合物は、ヒドロキシエチルスターチ、ラクトビオン酸、ラフィノース、又はこれらの組み合わせである。他の実施態様において、幹細胞回収した該組成物は、さらに、酸素運搬ペルフルオロカーボンを、2相で或いはエマルジョンとして含む。 本発明の他の実施態様において、潅流する間に、胎盤幹細胞は、アポトーシス阻害剤及び酸素運搬ペルフルオロカーボン、器官保存化合物、又はこれらの組み合わせを含む幹細胞回収した組成物と接触する。他の実施態様において、前記幹細胞は、例えば、酵素による消化などの組織崩壊過程の間に接触する。他の実施態様において、潅流による回収の後、又は酵素による消化などの組織崩壊による回収の後に、胎盤幹細胞は、前記幹細胞回収化合物と接触する。 典型的に、胎盤細胞回収、濃縮及び単離の間、酸素欠乏又は機械的ストレスによる細胞ストレスを最小化するか、除去することが好ましい。本方法の他の実施態様において、したがって、幹細胞又は幹細胞の集団は、前記保存するうちに、6時間未満で、回収、濃縮及び単離の間に酸素欠乏状態に曝露され、ここで酸素欠乏状態とは、酸素の濃度が、正常血液酸素濃度よりも低いことを意味する。より具体的な実施態様において、前記幹細胞の集団は、前記保存するうちに、2時間未満で、酸素欠乏状態に曝露される。他のより具体的な実施態様において、前記幹細胞の集団は、回収、濃縮又は単離の間に1時間未満又は30分未満で酸素欠乏状態に曝露されるか、或いは酸素欠乏状態に曝露されない。他の具体的な実施態様において、前記幹細胞の集団は、回収、濃縮又は単離の間にせん断応力に曝露されない。 本発明の胎盤幹細胞は、例えば、アンプルなどの小さな容器の凍結保存培地内において、凍結保存する。好ましい凍結保存培地は、例えば、成長培地を含む培養培地、或いは、例えば市販のC2695、C2639又はC6039(Sigma社)などの細胞冷凍培地を含むが、これに限定されるものではない。凍結保存培地は、好ましくは、DMSO(ジメチルスルホキシド)を、例えば約10%(v/v)の濃度で含む。凍結保存培地は、追加的な試薬、例えば、メチルセルロース及び/又はグリセロールを含む。凍結保存する間、胎盤幹細胞は、好ましくは約1℃/分で冷却される。好ましい凍結保存温度は、約-80℃〜約-180℃、より好ましくは、約-125℃〜約-14O℃である。凍結保存した細胞は、使用のために解凍する前に、液体窒素に運搬することができる。一部の実施態様において、例えば、アンプルが約-90℃に到逹すれば、それらは、液体窒素保存領域に運搬される。また、凍結保存は、コントロールドレートフリーザー(controlled-rate freezer)を使用して行うことができる。凍結保存した細胞は、好ましくは、約25℃〜約40℃の温度で、より好ましくは約37℃の温度で解凍される。(5.7 胎盤幹細胞の使用)(5.7.1 胎盤幹細胞集団) 胎盤幹細胞の集団は、幹細胞集団の投与で治療を受けることが可能な任意の疾患、障害又は状態を治療することに使用される。本明細書において使用されているような「治療」とは、病気、障害又は状態、或るいはそれらの症侯やどのようなパラメーターに対する、治療、矯正、改善、痛症の節減、又は経時変化の低減をを含む。 胎盤幹細胞、及び胎盤幹細胞の集団は、幹細胞又は幹細胞から分化された細胞を必要とする固体への投与に備えて、生体内で又は生体外で、特定の細胞型に分化するように誘導することができる。例えば、胎盤幹細胞は、生体内で器官組織の新生と損傷の回復のために、損傷された器官内に注入することができる。そのような損傷は、そのような健康状態及び障害に起因することがあり、そのような障害や健康状態は以下を含むが、これらに限定されるものではない:心筋梗塞、発作性疾患、多発性硬化症、卒中発作、低血圧、心拍停止、虚血、炎症、甲状腺炎、年齢にかかる認知機能の損失、放射線損傷、脳性麻痺、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、レイ疾病、後天性エイズ認知症、記憶喪失、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、虚血性腎疾患、頭脳又は脊髄損傷、人工心肺バイパス、緑内障、網膜虚血、又は網膜外傷である。 胎盤幹細胞は、若年性糖尿病、ループス、筋ジストロフィー、リウマチ性関節炎などの自己免疫状態を治療するために使用することができる。 胎盤幹細胞の単離された集団は、具体的な実施態様において、特異的な疾患や健康状態を治療するために自己又は異種酵素代替治療に使用することができ、特異的な疾患や健康状態は、テイサックス病、ニーマンピック病、ファブリー病、ゴーシェ病(例えば、グルコセルブロシダーゼ欠損症)、ハンター及びハーラー症候群、マロトーラミー症候群、フコシドーシス(フコシダーゼ欠損症))、バッテン病(CLN3)などのリソソーム蓄積症だけではなく、ガングリオシドーシス、ムコ多糖症、及び糖原病を含むが、これらに限定されるものではない。 胎盤幹細胞の単離された集団は、遺伝子治療において、自己又は異種トランス遺伝子運搬体として、以下に挙げる疾患を直すために、又は癌(例えば、血液学的悪性腫瘍)、腫瘍又は他の病理学的な状態を治療するために単独で、或いは幹細胞集団又は前駆細胞集団と結合して使用することができる: 先天性代謝異常、嚢胞性線維症、副腎白質ジストロフィー(例えば、co-Aリガーゼ欠損症)、異染性白質萎縮症(アリールスルファターゼA欠損症)(例えば、症候性、又は発症前の幼児期後期や青少年期の形態)、球様細胞白質萎縮症(Krabbe病;ガラクトセルブロシダーゼ欠損症)、酸性リパーゼ欠損症(ウォルマン病)、グリコーゲン蓄積症、甲状腺機能低下症、貧血症(例えば、再生不良性貧血症、鎌状赤血球貧血、など)、ピアソン症侯群、ポンペ病、フェニールケトン尿症(PKU)、ポルフィリン症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ムコポリサッカライドノシス、慢性肉芽腫性疾患及びチロシン血症及びテイサックス病。胎盤幹細胞は、骨格形成異常を治療するために使用することができる。一実施態様において、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)を発現するために形質転換された胎盤幹細胞は、血栓を治療するために個体に投与される。 他の実施態様において、胎盤幹細胞の単離された集団は、自己若しくは異種の組織再生又は代替治療又はプロトコルにおいて、角膜上皮欠損の治療、骨形成不全症の治療、軟骨修復、顔面皮膚剥離(擦傷)、粘膜、鼓膜、腸の内層、神経構造(例えば、網膜、基底膜中の聴覚神経細胞、嗅上皮内の嗅覚ニューロン)、肌の外傷性負傷に対する熱傷や創傷の治癒、又は他の損傷した又は病気の器官や組織の再建のために使用することができるが、これらに限定されるものではない。 好ましい実施態様において、胎盤幹細胞の単離された集団は、造血幹細胞の部分的な又は全体的な消失を経験した個体に、例えば、(産業分野、医学的又は軍隊でも)致命的な又は致死量に近い放射線に露出した個体に;例えば、癌治療又はそのようなことの一部として骨髄節制を受けた個体に、例えば、血液癌の治療において、造血の再構成に使用される。胎盤幹細胞は、貧血症(例えば、再生不良性貧血症、鎌状赤血球貧血、など)を有する個体において造血の再構成に使用することができる。好ましくは、胎盤幹細胞は、造血幹細胞の集団と共にそのような個体に投与される。胎盤由来の幹細胞の単離された集団は、骨髄又は骨髄由来の幹細胞集団の代わりをするか、補充して使用することができる。典型的に、骨髄移植術において生着のために患者体重のkg当たり約1×108から2×108の骨髄単核細胞が注入される(すなわち、約70kgのドナーに対して約70mlの骨髄)。70mlを収得するためには、供血過程においてドナー血液の集中的な供血と重要な喪失を必要とする。造血再構成に対する胎盤幹細胞の単離された集団は、多様な実施態様において、約、少なくとも、又は1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011以下或いはそれ以上の胎盤幹細胞を含むことができる。 したがって、一実施態様において胎盤幹細胞は、リンパ種、白血病(慢性又は重度骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、ホジキン病など)、骨髄異形成症、骨髄異形成症候群等などの血液癌を起こしている患者を治療するのに使用することができる。他の実施態様において、疾患、障害又は状態は、慢性肉芽腫性疾患である。 造血再構成が貧血症の治療において使用できることから、本発明は、さらに、本発明の幹細胞の組み合わせを用いた個体の治療を包含する。ここで、該個体は、貧血症又は血液ヘモグロビン障害を起こしている。貧血症や障害は、自然的(例えば、遺伝的や疾患により発生する)であるか、又は人為的に誘導される(例えば、事故や重度中毒、化学療法等により)。他の実施態様において、疾患や障害は、骨髄不全症候群(例えば、再生不良性貧血症、コストマン症候群、ダイヤモンドブラックファン貧血症、無巨核球性血小板減少症など)、骨髄障害又は造血関連疾患若しくは障害である。 また、胎盤幹細胞は重度の兔疫不全疾患を治療するために使用することができ、重度の複合免疫不全疾患には、免疫不全疾患(例えば、ウィスコットアルドリッチ症候群、重度ディジョージ症候群など)が含まれるが、これらに限定されない。 本発明の胎盤幹細胞は、単独で或いは他の幹細胞又は前駆細胞の集団と結合して、組織や器官を生体内で作成することに使用することができる。本発明の方法は、胎盤から採取した細胞、例えば、細胞間マトリックスを播種して、該細胞がマトリックスを分化し、集団化することを可能とする適切な条件下において培養される幹細胞又は前駆細胞を使用することを含む。本発明の方法で得られた組織と器官は、研究及び治療の目的を含む多様な目的のために使用することができる。 本発明の好ましい実施態様において、胎盤幹細胞と胎盤幹細胞の集団は、マッチングされているかマッチングされていないHLA型造血移植を含んで、自己移植及び同種移植のために使用することができる。胎盤幹細胞を同種造血移植として使用する一実施態様において、宿主は、ドナー細胞の免疫学的拒絶を緩和するために、又は免疫寛容を与えるために処理される(例えば、米国特許第5,800,539号及び同5,806,529号を参照)。他の実施態様において、宿主は、免疫学的拒絶を緩和させるために、又は免疫寛容を与えるために処理されない。 胎盤幹細胞は、単独で又は1個以上の他の幹細胞集団と結合して、例えば、以下の幹細胞や前駆細胞を増強するか或いは取り替えるために、治療移植プロトコルにおいて使用することができる: 肝臓、膵臓、腎臓、肺、神経系、筋肉系、骨、骨髄、胸腺、脾臓、粘膜組織、生殖腺、又は体毛。また、胎盤幹細胞は、前駆細胞が典型的に使用される治療又は研究プロトコルにおいて、前駆細胞の特定の分類(例えば、軟骨細胞、肝細胞、造血細胞、膵臓実質細胞、神経芽細胞、筋肉前駆細胞、など)の代わりに使用することができる。 一実施態様において、本発明は、胎盤幹細胞の使用のために、特にCD200+胎盤幹細胞を体毛代替療法の付属物として使用することができる。例えば、一実施態様において、胎盤幹細胞、例えば、CD200+胎盤幹細胞は、皮下又は皮内で体毛成長又は再成長が求められる部位に注入される。また、より大きいかより小さい体積のより多いか少ない細胞が使用可能であるが、注入される幹細胞の数は、例えば、約0.1〜約1.0μLの体積で、注入当たり約100〜約10,000の間であってもよい。体毛再成長を促進する胎盤幹細胞の投与は、例えば、規則的又は不規則的なパターンで、体毛再成長が求められる領域において、単一注入又は多数の注入を含むことができる。公知の体毛再成長療法は、胎盤幹細胞と結合して使用することができ、その例として、局所ミノキシジルがある。胎盤幹細胞を利用して処理することのできる毛髪脱落は、自然的に発生するか(例えば男性型はげ頭症)又は誘導することができる(有毒化学物質への曝露に起因する)。 本発明の胎盤幹細胞と胎盤幹細胞の集団は、軟骨、腱又は靭帯の増加、修復又は置換のために使用することができる。例えば、特定の実施態様において、人工補綴(例えば、人工股関節)が、本発明の胎盤幹細胞から育つ代替軟骨組織構成体でコーティングされることができる。他の実施態様において、関節(例えば、膝)は、胎盤幹細胞から育つ軟骨組織構成体で再建することができる。軟骨組織構成体は、また、関節の他の種類に対する主要な再建術に使用することができる(Resnick及びNiwayama編、1988、「骨関節疾患の診断」第2版、W.B.Saunders社を参照)。 本発明の胎盤幹細胞は、例えば、外傷、物質代謝異常又は疾患に起因する組織や器官の損傷を治療するために使用することができる。外傷は、例えば、手術、例えば成形手術からの外傷であることがある。そのような実施態様において、患者に胎盤幹細胞が、単独で或いは他の幹細胞集団や前駆細胞集団と結合して投与されて、疾患の結果として損傷された器官や組織を再生したり再建することができる。(5.7.2 胎盤幹細胞を含む組成物) 本発明は、胎盤幹細胞を含む組成物又はそれからの生体分子を提供する。本発明の胎盤幹細胞は、任意の生理学的に許容し得る或いは医学的に許容し得る化合物、組成物又は研究や治療において使用するための装置と組み合わせることができる。(5.7.2.1 凍結保存した胎盤幹細胞) 本発明の胎盤幹細胞の集団は、保存、例えば、後続の使用のために凍結保存することができる。幹細胞のなどの細胞の凍結保存方法は、当分野において周知である。胎盤幹細胞の集団は、個体に容易に投与可能な形態で調製される。例えば、本発明は、医療用として適切な容器内に収容されている胎盤幹細胞を提供する。そのような容器は、例えば、無菌のプラスチック製バッグ、フラスコ、瓶又は胎盤幹細胞の集団が容易に分注されることのできるその他の容器であってもよい。例えば、該容器は、血液バッグ又は他のプラスチック、受容体への液体の静脈投与に適した、医療用途において許容可能なバッグであってもよい。容器は、好ましくは、結合された幹細胞集団の凍結保存を可能とするものである。 凍結保存した胎盤幹細胞の集団は、単一ドナー由来の、又は多数のドナー由来の胎盤幹細胞を含むことができる。胎盤幹細胞の集団は、意図された受容体に完全にHLAがマッチングすることができ、又は部分的に若しくは完全にHLAがミスマッチングすることもある。 したがって、一実施態様において、本発明は、容器内に胎盤幹細胞の集団を含む組成物を提供する。具体的な実施態様において、幹細胞集団は、凍結保存される。他の具体的な実施態様において、容器は、バッグ、フラスコ、又は瓶であってもよい。より具体的な実施態様において、前記バッグは、無菌のビニールバッグであってもよい。より具体的な実施態様において、前記バッグは、前記胎盤幹細胞集団の静脈投与に好適であるか、静脈投与を可能とし、又は促進する。バッグは、投与の間又は投与の前に、該胎盤幹細胞が1個以上の他の溶液、例えば、薬と混合されることを可能にする、互いに接続された多数の内腔(lumen)や区画を含むことができる。他の具体的な実施態様において、該組成物は、結合された幹細胞集団の凍結保存を促進する、1個以上の化合物を含む。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、生理的に許容し得る水溶液の中に含まれている。より具体的な実施態様において、前記生理的に許容し得る水溶液は、0.9%NaCl水溶液である。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞の集団は、胎盤細胞を含むが、それは、前記幹細胞集団の受容体にHLAマッチングされている。他の具体的な実施態様において、前記結合された幹細胞集団は、胎盤細胞を含むが、それは、前記幹細胞集団の受容体に少なくとも部分的にHLAがミスマッチングされている。他の具体的な実施態様において、前記胎盤幹細胞は、多数のドナー由来のものである。(5.7.2.2 医薬組成物) 胎盤幹細胞の集団又は胎盤幹細胞を含む細胞の集団は、生体内での使用のための医薬組成物に調製することができる。そのような医薬組成物は、生体内への投与のために医薬品として許容可能な運搬体、例えば、食塩水又は他の許可された生理的に許容可能な溶液中に胎盤幹細胞の集団又は胎盤幹細胞を含む細胞の集団を含む。本発明の医薬組成物は、本明細書に記述された胎盤幹細胞の集団又は胎盤幹細胞類型のいずれでも含むことができる。該医薬組成物は、胎児、母親、又は胎児と母親の両方である胎盤幹細胞を含むことができる。本発明の医薬組成物は、さらに、単一個体又は単一胎盤から得た胎盤幹細胞、又は多数の個体又は胎盤から得た胎盤幹細胞を含むことができる。 本発明の医薬組成物は、胎盤幹細胞のどのような数でも含むことができる。例えば、胎盤幹細胞の単一単位量は、多様な実施態様において、約、少なくとも、又は1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011以下又はそれ以上の胎盤幹細胞を含むことができる。 本発明の医薬組成物は、50%生存可能な細胞又はそれ以上(すなわち、集団における前記細胞の少なくとも50%は、機能的であるか或いは生きている)を含む。好ましくは、集団における細胞の少なくとも60%は、生存可能である。より好ましくは、医薬組成物中の集団における細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%、又は99%は、生存可能である。 本発明の医薬組成物は、1個以上の、例えば、生着を促進する化合物(例えば、アンチ-T-細胞レセプタ抗体、免疫抑制剤、又はそのようなものなど);アルブミン、デキストラン40、ゼラチン、ヒドロキシエチルスターチなどの安定剤、を含むことができる。 注射剤として調製するとき、一実施態様において、本発明の医薬組成物は、約1.25%HSA及び約2.5%デキストランとを含む。細胞製品の投与に適した、他の注射製剤を使用することもできる。 一実施態様において、本発明の組成物は、実質的に、又は完全に、由来において非母系である胎盤幹細胞を含む。例えば、本発明は、一実施態様において、胎盤幹細胞の集団を含む組成物を提供するが、ここで、前記胎盤幹細胞の集団は:CD200+及びHLA-G+であるか;CD73+、CD105+、及びCD200+であるか;CD200+及びOCT-4+であるか;CD73+、CD105+及びHLA-G+であるか;CD73+及びCD105+であり、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において胎盤細胞の前記集団が培養されるとき、胎盤幹細胞の前記集団を含む胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進するか;又は、OCT-4+であり、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において前記胎盤細胞の集団が培養されるとき、胎盤幹細胞の前記集団を含む胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進するか;又は、上記したものなどの組み合わせであり、ここで、前記胎盤幹細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%又は99%は、由来において非母系である。具体的な実施態様において、該組成物は、さらに、胎盤から採取されない幹細胞を含む。(5.7.2.3 胎盤幹細胞のならし倍地) 本発明の胎盤幹細胞は、ならし倍地、すなわち幹細胞によって分泌されるか排泄された1個以上の生体分子を含む培地を生成するのに使用することができる。多様な実施態様において、ならし倍地は、胎盤幹細胞が少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14以上の日数の間成長した培地を含むことができる。他の実施態様において、ならし倍地は、胎盤幹細胞がある少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%密集度、又は最大100%までの密集度まで成長した培地を含むことができる。そのようなならし倍地は、胎盤幹細胞又は他の種類の幹細胞の分離された集団の培養を維持させるために使用される。他の実施態様において、該ならし倍地は、胎盤幹細胞が成体細胞型に分化されてきた培地を含む。他の実施態様において、本発明のならし倍地は、胎盤幹細胞と非胎盤幹細胞が培養されてきた培地を含む。(5.7.2.4 胎盤幹細胞を含む細胞間マトリックス) 本発明は、さらにまた、胎盤幹細胞又は胎盤幹細胞の集団を含む細胞間マトリックス、ハイドロゲル、骨格等を含む。 本発明の胎盤幹細胞は、天然細胞間マトリックス、例えば、羊膜物質などの胎盤生体材料上に播種することができる。そのような羊膜物質は、例えば、哺乳類の胎盤から直接切除された羊膜;固定されたり、又は熱処理された羊膜、実質的に乾燥した(すなわち<20%H2O)羊膜、絨毛膜、実質的に乾燥した絨毛膜、実質的に乾燥した羊膜及び絨毛膜などであり得る。その上に胎盤幹細胞を播種することのできる好ましい胎盤生体材料は、Haririによる米国特許出願第2004/0048796号に記載されている。 本発明の胎盤幹細胞は、例えば、注射に適したハイドロゲル溶液中に懸濁されている。そのような組成物に適したハイドロゲルは、RAD16などの自己集合的ペプチドを含む。一実施態様において、細胞を含むハイドロゲル溶液は、例えばモールド内で固まって、体内移植のためにその中に分散された細胞を含む細胞間マトリックスを形成する。そのような細胞間マトリックス内の胎盤幹細胞は、さらに培養することができ、よって、細胞は、移植の前に類似分裂的に増殖される。ハイドロゲルは、例えば、ゲルを形成するために水分子をトラップする3次元的に開いた格子構造を形成する共有、イオン、又は水素結合を介して架橋された有機高分子(天然又は合成)である。ハイドロゲルを形成する物質は、イオン的に架橋されるアルギン酸とその塩などの多糖類、ペプチド、ポリホスファジン、及びポリアクリレート、又は温度若しくはpHによって架橋されるポリエチレン酸化物-ポリプロピレングリコールブロック共重合体などのブロック共重合体を含む。いくつかの実施態様において、本発明のハイドロゲル又は細胞間マトリックスは、生分解可能である。 本発明の一部の実施態様において、製剤は、その場で重合反応を起こすことができるゲルを含む(例えば、米国特許出願第2002/0022676;Ansetheらの文献、J.Control Release,78(1-3):199-209(2002);Wangらの文献、Biomaterials、24(22):3969-80(2003)を参照)。 一部の実施態様において、高分子は、少なくとも部分的に、水、緩衝食塩水、又は側基若しくはそれらの1価のイオン塩を有するアルコール水溶液などの水溶液に溶解可能である。カチオンと反応することのできる酸性側基を含む高分子の例としては、ポリ(ホスファジン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体、ポリ(ビニルアセテート)、及びスルホン化されたポリスチレンなどのスルホン化重合体が挙げられる。アクリル酸又はメタクリル酸とビニルエーテル単量体、又は重合体の反応によって形成される酸性側基を含む共重合体が、また使用可能である。酸性期の例としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ハロゲン化(好ましくは、フッ化)アルコール基、フェノールOH基、及び酸性OH基が挙げられる。 本発明の胎盤幹細胞又はそれらの共培養は、生体内で移植された3次元の骨組み又は骨格上に播種することができる。そのような骨組みは、1個以上の成長因子、細胞、薬又は組織形成を促進するか強化する、或いは本発明の実施を改善する他の成分のうちのいずれかと結合して、移植することができる。 本発明で使用可能な骨格の例としては、不織布マット、多孔性フォーム、又は自己集合的ペプチドを含む。不降布マットは、グリコール酸と乳酸の合成吸収性コポリマーを含む纎維を用いて形成することができる(例えば、PGA/PLA)(VICRYL、Ethicon社、サマービル、ニュージャージー州)。例えば、ポリ(SYMBOL 101 \f "Symbol" \s 10.5-カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)共重合体で構成されるフォームは、凍結乾燥(freeze-drying)若しくは凍結乾燥(lyophilization)などの方法(例えば、米国特許No.6,355,699を参照)により形成され、また骨格として使用することができる。 本発明の胎盤幹細胞は、さらに、生理的に許容し得るセラミック物質上に播種するか、或いはこのようなセラミック物質と接触することができ、このようなセラミック物質は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:モノ-、ジ-、トリ-、アルファ-トリ-、ベータ-トリ-、及びテトラ-カルシウムリン酸塩、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、マグネシウムカルシウムリン酸塩、BIOGLASS(登録商標)などの生物学的に活性であるガラス、及び、これらの混合物。現在市販の多孔性の生体適合性セラミック物質は、SURGIBONE(登録商標)(CanMedica社,カナダ)、ENDOBON(登録商標)(Merck Biomaterial France、フランス)、CEROS(登録商標)(Mathys、AG、Bettlach、スイス)、並びにHEALOS(商標)(DePuy社、Raynham、マサチューセッツ州)及びVITOSS(登録商標)、RHAKOSS(商標)、及びCORTOSS(登録商標) (Orthovita社、マルヴァーン、ペンシルベニア州)などの無機物を含む膠原質(コラーゲン)骨移植製品を含む。骨組みは、天然及び/又は合成物質の混合物、又は複合物であってもよい。 他の実施態様において、胎盤幹細胞は、例えば、PGA、PLA、PCL共重合体若しくは混合物、又はヒアルロン酸などの生体に吸収される物質からなるマルチフィラメント糸で構成可能なフェルト上に播種したり、又はフェルトと接触することができる。 本発明の胎盤幹細胞は、他の実施態様において、混成構造であってもよいフォーム骨組み上に播種することができる。そのようなフォーム骨格は、修復されるか、置換されるか増強されなければならない本体において特別な構造の一部分のような、有効な形態にモールディングすることができる。一部の実施態様において、骨組みは、例えば、0.1M酢酸で処理することができる。そして、細胞付着を強化するために、本発明の細胞の植菌前に、ポリリジン、PBS及び/又はコラーゲンの中での培養が伴われる。細胞の付着又は成長及び組織の分化を高めるために、細胞間マトリックスをプラズマ-コーティングすることにより、又は以下の物質のうちの1つ以上を添加することにより、細胞間マトリックスの外部表面は、変更されることがある:タンパク質(例えば、コラーゲン、弾性纎維、細網繊維)、糖タンパク質、グリコサミノグリカン(例えば、ヘパリン硫酸塩、コンドロイチン-4-硫酸塩、コンドロイチン-6-硫酸塩、デルマタン硫酸塩、ケラチン硫酸塩、など)、細胞マトリックス、及び/又はゼラチン、アルギン酸、寒天、アガロース、植物ゴム等、しかしこれらに限定されるものではない。 一部の実施態様において、骨組みは、血液を凝固させない物質を含むか、これらとともに処理することができる。このような処理と物質は、また、内皮成長、移動、及び細胞外マトリックスの堆積を促進して、維持することができる。このような物質と処理の例としては、ラミニン及び類型IVコラーゲン等の基底膜タンパク質などの天然物質、及びPURSPAN(商標)(The Polymer Technology Group社、バークリー、カリフォルニア州)などの、分断されたポリウレタン尿素シリコーン、及びEPTFEなどの合成物質を含むが、これらに限定されるものではない。骨組みは、さらに、ヘパリンなどの抗血栓剤(anti-thrombotic agent)を含むことができる;骨組みは、また、胎盤幹細胞とともに播種する以前に、処理されて、表面チャージを変更することができる(例えば、プラズマによるコーティング)。(5.7.3 不死化された胎盤幹細胞株) 哺乳類の胎盤細胞は、成長促進遺伝子、すなわち、適切な条件下で、形質転換された細胞の成長を促進するタンパク質をコードする遺伝子を含む、任意の適切なベクターとともにトランスフェクションによって条件付きで不死化することができる。この結果、成長促進タンパク質の生成及び/又は活性は、外部因子によって調節可能である。好ましい実施態様において、成長促進遺伝子は、v-myc、N-myc、c-myc、p53、SV40ラージT抗原、ポリオーマラージT抗原、EIaアデノウイルス、又はヒトパピローマウイルスE7タンパク質などであるが、これらに限定されない、癌遺伝子である。 成長促進タンパク質の外部調節は、成長促進遺伝子を外的に調節可能なプローモーター、例えば、形質転換される細胞の温度又は細胞と接触する培地の組成物を修正することにより制御することのできる活性のプローモーターの制御下に置くことで、達成することができる。一実施態様において、テトラサイクリン(tet)調節された遺伝子発現システムが、採用され得る(Gossenらの文献、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:5547-5551、1992;Hoshimaruらの文献、Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:1518-1523、1996を参照)。テトラサイクリンの非存在下で、このベクター内のテトラサイクリンが調節されたトランス活性化因子(tTA)は、テトラサイクリン作動遺伝子シーケンスに融合されたヒトサイトメガロウイルスから最小プローモーター、phCMP*-1、から転写を強く活性化する。tTAは、大腸菌のトランスポゾン10由来のtet抵抗性オペロンのリプレッサー(tetR)の融合タンパク質及び単純ヘルペスウイルスのVP16の酸性ドメインである。テトラサイクリンの低くてかつ非毒性濃度(例えば、0.01〜1.0μg/mL)は、トランス活性化因子によるトランス活性化を廃止する。 一実施態様において、ベクターは、さらにまた、選択可能な標識(例えば、薬抵抗を与えるタンパク質)をコードする遺伝子を含む。バクテリアネオマイシン抵抗遺伝子(neoR)は、本発明において使用することのできる、1つのそのような標識である。neoRを運搬する細胞は、当分野の技術者に既知の手段で、例えば、100〜200μg/mLのG418を成長培地に添加することで、選択することができる。 トランスフェクションは、当業者に周知の多様な方法のうちのいずれかによって達成することができ、該方法は、レトロウイルス感染を含むが、これに限定されるものではない。一般的に、細胞培養は、生成者細胞株から回収されたならし倍地の混合物とともに、N2補充を含むベクターとDMEM/F12に対して培養することで形質転換することができる。例えば、上記の通り調製された胎盤細胞培養は、例えば、ならし倍地の1体積の中で、そして、N2補充を含むDMEM/F12の2体積の中で5日後に、生体外で、約20時間の培養によって形質転換されてもよい。選択可能な標識を運搬する、形質転換された細胞は、その後、下記のように選択することができる。 トランスフェクションの後、培養は、分芽を可能にする、例えば、24時間の間に少なくとも細胞の30%を二倍にする表面の上へ継代される。好ましくは、基材は、ポリオルニチン(10μg/mL)及び/又はラミニン(10μg/mL)でコーティングされた組織培養プラスチックから構成されるポリオルニチン/ラミニン基材、ポリリジン/ラミニン基材、又はフィブロネクチンで処理された表面である。培養基には、その後、3〜4日おきに培地の成長とともに供給し、1個以上の分芽-増強因子で補充されても、補充されていなくてもよい。培養基が50%未満の融合性であるとき、分芽増強因子は、成長培地に添加されることができる。 条件付きで不死化された胎盤幹細胞株は、80〜95%が融合性であるとき、トリプシン処理などの標準的な技術を用いて、継代培養することができる。約20回目の継代まで、一部の実施態様において、選択を維持する方が有益である(例えば、ネオマイシン抵抗遺伝子を含む細胞へのG418の添加によって)。細胞は、また液体窒素の中で長期間の保存のために冷凍されることができる。 クローン細胞株は、上記の通り調製された条件付きで不死化されたヒト胎盤幹細胞株から単離することができる。一般的に、そのようなクローン細胞株は、限界希釈により、又はクローニングリングを使用するなどの標準的な技術を利用して単離され、増殖されることができる。クローン細胞株は、一般に、上記の通りフィーディングされて、継代され得る。 クローン化することはできるが、必要とはしない条件付きで不死化されたヒトの胎盤幹細胞株は、一般に、分化を促進する条件下、成長促進タンパク質の生成及び/又は活性を抑制することによってさらに分化するように誘導することができる。例えば、もし成長促進タンパク質をコードする遺伝子が、外的に調節可能なプローモーターの統制下にある場合、条件、例えば、温度又は培地組成物は改変されて、成長促進遺伝子の転写を抑制することができる。以上で論議された、テトラサイクリンが制御された遺伝子発現システムに対して、分化は、テトラサイクリンの添加によって達成されて、成長促進遺伝子の転写を抑制することができる。一般的に、4〜5日間、1μg/mLのテトラサイクリンは、分化を開始するに当たって十分である。追加的な分化を促進するために、追加的な試薬が成長培地に含まれることができる。(5.7.4 アッセイ) 本発明の胎盤幹細胞は、アッセイにおいて使用され、培養条件、環境要因、分子(例えば、生体分子、小さな無機分子等)等の幹細胞分芽、増殖、及び/又は分化に対する影響を、そのような条件に曝露しない胎盤幹細胞と比較して測定することができる。 好ましい実施態様において、本発明の胎盤幹細胞は、分子と接触して、分芽、増殖又は分化における変化に対してアッセイされる。一実施態様において、例えば、本発明は、多数の胎盤幹細胞の分芽を調節する化合物を同定する方法を提供するが、該方法は、分芽を可能にする条件下において前記化合物と前記多数の幹細胞を付着させることを含み、ここで前記化合物と接触しない多数の幹細胞と比較して、前記化合物が、前記多数の幹細胞の分芽において検出できるほどの変化を惹起すれば、前記化合物は、胎盤幹細胞の分芽を調節する化合物として同定される。具体的な実施態様において、前記化合物は、分芽抑制剤として同定される。他の具体的な実施態様において、前記化合物は、分芽促進剤として同定される。 他の実施態様において、本発明は、多数の胎盤幹細胞の増殖を調節する化合物を同定する方法を提供するが、該方法は、増殖が可能となる条件下において前記化合物と前記多数の幹細胞を接触させることを含み、ここで前記化合物と接触しない多数の幹細胞と比較して、若し多数の幹細胞の増殖において前記化合物が検出できるほどの変化を惹起すれば、前記化合物は、胎盤幹細胞の増殖を調節する化合物として同定される。具体的な実施態様において、前記化合物は、増殖抑制剤として同定される。他の具体的な実施態様において、前記化合物は、増殖促進剤として同定される。 他の実施態様において、本発明は、胎盤幹細胞の分化を調節する化合物を同定する方法を提供するが、該方法は、分化が可能となる条件下において前記化合物と前記多数の幹細胞を接触させることを含み、ここで前記化合物と接触しない多数の幹細胞と比較して、若し幹細胞の分化において前記化合物が検出できるほどの変化を惹起すれば、前記化合物は、胎盤幹細胞の分化を調節する化合物として同定される。具体的な実施態様において、前記化合物は、分化抑制剤として同定される。他の具体的な実施態様において、前記化合物は、分化促進剤として同定される。(6. 実施例)(6.1. 実施例1:胎盤幹細胞の培養) 胎盤幹細胞は、潅流によるか又は物理的崩壊、例えば、酵素による消化によって、分娩後の哺乳類の胎盤から得られる。該細胞は、以下を含む培養培地内で培養される:60%DMEM-LG(Gibco社)、40%MCDB-201(Sigma社)、2%ウシ胎仔血清(FCS)(Hyclone Laboratories)、1×インスリン-トランスフェリン-セレニウム(ITS)、1×リノール酸-ウシ血清-アルブミン(LA-BSA)、10-9Mデキサメタゾン(Sigma社)、10-4Mアスコルビン酸2-リン酸塩(Sigma社)、上皮成長因子(EGF)10ng/ml(R&D Systems社)、血小板由来の成長因子(PDGF-BB)10ng/ml(R&D Systems社)、及び100Uペニシリン/1000Uストレプトマイシン。 該細胞が培養される培養フラスコは、下記のように調製する。T75フラスコが、5ng/mlヒトFN(Sigma社 F0895)を含む5mlPBSをフラスコに添加することにより、T75フラスコは、フィブロネクチン(FN)でコーティングされる。FN溶液と共に該フラスコは、37℃で30分間放置される。FN溶液は、その後、細胞培養の前に除去される。処理後、フラスコを乾燥する必要はない。或いは、フラスコは、FN溶液と接触した状態で、4℃で一晩中又はより長い時間放置される;培養前に、フラスコは、暖められ、FN溶液は、除去される。(潅流により単離された胎盤幹細胞) 胎盤潅流液からの胎盤幹細胞の培養は、次のようにして成立させることができる。Ficoll勾配遠心分離で得た細胞は、FNがコーティングされたT75フラスコ中に播種され、上記の通り、15mlの培養培地において50〜100×106細胞/フラスコで調製される。典型的に、5〜10フラスコが播種される。フラスコは、37℃で12〜18時間培養され、付着性細胞の付着を許可する。10mlの暖かいPBSは、それぞれのフラスコに添加されて懸濁状態の細胞を除去し、穏やかに混合される。15mLの培地は、その後に除去されて、15mLの新しい培養培地に取り替えられる。すべての培地は、培養開始後3〜4日おきに変えられる。後続の培養培地の交換は、培地の50%又は7.5mlが除去される間に達成される。 約12日目でスタートし、培養は、顕微鏡の下でチェックされて付着性細胞コロニーの成長を検査する。細胞培養が約80%融合されたとき、典型的に、培養開始後の13日目〜18日目の間に、付着性細胞がトリプシン消化によって採取される。このような初代培養から採取された細胞は、継代0(ゼロ)と指定される。(物理的崩壊及び酵素による消化によって単離された胎盤幹細胞) 胎盤幹細胞の培養は、以下のように消化された胎盤組織から樹立される。潅流された胎盤は、無菌のペーパシート上に母体側が上方に向かうように置かれる。胎盤の母体側上に約0.5cmの表面層がブレードで擦り落とされ、ブレードは、約1×2×1cmの胎盤組織ブロックを除去するために使用される。この胎盤組織は、その後、約lmm3小片に細かく切られる。このような小片は、50mlファルコンチューブ内に回収されて、コラゲナーゼIA(2mg/ml、Sigma社)で30分間消化され、続いて、トリプシン-EDTA(0.25%、GIBCOBRL社)によって10分間、37℃の水槽の中で処理される。その結果溶液は、室温で10分間、400gで遠心分離されて、消化溶液が除去される。ペレットは、約10体積で、PBSとともに再懸濁されて(例えば、5mlペレットが45mlPBSとともに再懸濁される)、さらに、チューブは、室温で、10分間400gが遠心分離される。組織/細胞ペレットは、130mL培養培地の中で再懸濁され、細胞は、フィブロネクチンがコーティングされたT-75フラスコ当たり13mlで播種される。細胞は、5%CO2を含む湿気のある環境において37℃で培養される。胎盤幹細胞は、このステップにおいて選択的に凍結保存される。(胎盤幹細胞の継代培養及び増殖) 凍結保存した細胞は、直ちに37℃の水槽内で解凍される。胎盤幹細胞は、直ちに冷凍容器から10mlの暖かい培地とともに除去され、15mlの無菌管に移動される。細胞は、400gで10分間室温で遠心分離を行う。細胞は、ゆっくりとピペットで移すことにより、10mlの暖かい培養培地内に再懸濁され、生存可能な細胞の総数は、トリパンブルー排除によって測定される。細胞は、その後、cm2当たり6000〜7000個細胞で、FNがコーティングされたフラスコ内に播種されて、上記の通りに調製される(T-75フラスコ当たり約5×105細胞)。細胞は、37℃、5%CO2及び90%湿度で培養される。細胞が75-85%の密集度に到逹したとき、すべての使用済みの培地は、フラスコから無菌状態で除去されて、廃棄される。3mlの0.25%トリプシン/EDTA(w/v)溶液が添加されて、細胞層を覆う。そして細胞は、37℃、5%CO2及び90%湿度で5分間培養される。フラスコは、1、2回軽く叩いて、細胞単離を促進する。細胞の95%より多い細胞が丸くなって分離されると、7mlの暖かい培養培地がそれぞれのT-75フラスコに添加され、溶液は、数回、細胞レイヤ上にピペッティングで分散される。 上記のように細胞を数えて、生存能力を測定した後、細胞は、1000RPMで5分間、室温で遠心分離を行う。細胞は、培養培地と共に1つのT-75フラスコから細胞ペレットをゆっくり再懸濁して、2個のFNがコーティングされたT-75フラスコ上に細胞を平らに平板培養することにより継代される。 上記の方法を用いて、付着性胎盤幹細胞の例示的な集団は、標識CD105、CD33、CD73、CD29、CD44、CD10、及びCD90を発現することで同定された。このような細胞の集団は、典型的に、CD34、CD45、CD117又はCD133を発現しない。一部はHLA-ABC及び/又はHLA-DRを発現するが、しかし、このような胎盤幹細胞のすべての培養が、HLA-ABC及び/又はHLA-DRを発現するのではない。(6.2 実施例2:胎盤構造から胎盤幹細胞の単離)(6.2.1 材料及び方法)(6.2.1.1 胎盤幹細胞を含む胎盤細胞集団の単離) 胎盤細胞の他の集団は、正常な満期妊娠の胎盤から採取された。すべてのドナーは、研究目的のための彼らの胎盤の使用に対して、自筆で書かれた同意書を提供した。胎盤幹細胞は、以下の原料から得られた:(1)胎盤潅流液(胎盤血管系の潅流から);及び、(2)羊膜、(3)絨毛膜、(4)羊膜-絨毛膜プレート、及び(5)臍帯の酵素による消化。多様な胎盤組織は、無菌のPBS(Gibco-Invitrogen社、カールズバッド、カリフォルニア州)において洗浄され、分離された無菌のペトリ皿上に置かれた。多様な組織は、無菌の外科用メスを使用して細かく切り刻まれ、50mLのファルコンコニカルチューブ内に置かれた。細かく切り刻まれた組織は、I×コラゲナーゼ(Sigma-Aldrich社、セントルイス、ミズーリ州)で20分間、37℃の水槽中で消化されて、遠心分離し、その後、0.25%トリプシン-EDTA(Gibco-Invitrogen社)で10分間、37℃の水槽中で消化した。多様な組織は、消化後に遠心分離をし、無菌のPBS(Gibco-Invitrogen社)で一回洗浄された。再構成された細胞は、2回ろ過されるが、一回は、100μm細胞フィルタで、もう一回は、30μmの分離フィルタでろ過され、残留細胞外マトリックス又は細胞残屑を除去した。(6.2.1.2 細胞の生存能力評価及び細胞数) トリパンブルー排除法のマニュアルは、消化後に細胞数を計算し、細胞の生存能力評価するために採用された。細胞は、トリパンブルー染料(Sigma-Aldrich社)と1:1の比率で混合され、細胞は、血球計で読み取られた。(6.2.1.3 細胞表面標識の特徴付け) HLA ABC-/CD45-/CD34-/CD133+である細胞が、特徴付けのために選択された。このような表現型を有する細胞は、2つのBecton-Dickinsonフローサイトメトリー、FACS Calibur及びFACS Aria(Becton-Dickinson社、サンノゼ、カリフォルニア州、米国)によって同定されて、定量されて、特徴付けされた。多様な胎盤細胞は、100万個の細胞当たり約10μLの抗体の比で、30分間、室温で、振盪機上で染色された。以下の抗ヒト抗体が使用された:HLA-G(Serotec社、ローリー、ノースカロライナ州)、CD10(BD Immunocytometry systems、サンノゼ、カリフォルニア州)、CD44(BD Biosciences Pharmingen、サンノゼ、カリフォルニア州)、及びCD105(R&D Systems社、ミネアポリス、ミネソタ州) に対するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)が結合されたモノクローナル抗体;CD44、CD200、CD117、及びCD13(BD Biosciences Pharmingen)に対するフィコエリトリン(PE)が結合されたモノクローナル抗体;CD117(BD Biosciences Pharmingen)に対するフィコエリトリン-Cy5(PECy5)が結合されたストレプトアビジンとモノクローナル抗体;CD33及びCD10(BD Biosciences社)に対するフィコエリトリン-Cy7(PECy7)が結合されたモノクローナル抗体;CD38(BD Biosciences Pharmingen)に対するアロフィコシアニン(APC)が結合されたストレプトアビジンとモノクローナル抗体;及び、ビオチン化CD90(BD Biosciences Pharmingen)。培養後に、細胞は、一回洗浄され、結合されていない抗体を除去し、4%パラホルムアルデヒド(USB社、クリーブランド、オハイオ州)で、4℃、一晩中、固定した。翌日、細胞は、2回洗い、30μm分離フィルタを通じてろ過され、フローサイトメトリー上で駆動された。 抗マウス兔疫グロブリン抗体(BD Biosciences Pharmingen)で染色された試料は、陰性対照として使用され、光電管(PMTs)を調節するために使用された。抗ヒト抗体で一回染色された試料は、陽性対照として使用され、スペクトルの重複/補償を調節するために使用された。(6.2.1.4 細胞分類及び培養) ある培養に先立って、(潅流液、羊膜、又は絨毛膜から採取した)胎盤細胞の1つのセットは、7-アミノ-アクチノマイシンD(7AAD;BD Biosciences Pharmingen)及び対象とする表現型に対して特異的なモノクローナル抗体で染色された。細胞は、100万個細胞当たり10μLの抗体の割合で染色されて、振盪機上で室温で30分間培養された。次いで、この細胞は、BD FACS Aria上で対象とする表現型を発現する、生きている細胞に対して陽性に分類され、培養基中で平板培養された。分類された(対象とする集団)及び「あらゆる」(分類されていない)胎盤細胞集団は、比較のために平板培養された。細胞は、フィブロネクチン(Sigma-Aldrich社)がコーティングされた96ウェルプレート上で、表1に示された細胞密度(細胞/cm2)で平板培養された。細胞密度、並びに細胞が2倍で或いは3倍で平板培養されたかどうかが判定され、対象とする表現型を発現した細胞の数によって制御された。 完全な培地(60%DMEM-LG(Gibco社)及び40%MCDB-201(Sigma社);2%ウシ胎仔血清(Hyclone Labs社);1×インスリン-トランスフェリン-セレニウム(ITS);1×リノール酸-ウシ血清アルブミン(LA-BSA);10-9Mデキサメタゾン(Sigma社);10-4Mアスコルビン酸2-リン酸塩(Sigma社);上皮成長因子10ng/mL(R&D Systems社);及び、血小板由来の成長因子(PDGF-BB)10ng/mL(R&D Systems社))は、96ウェルプレートのそれぞれのウェルに添加され、プレートは、5%CO2/37℃インキュベーター内に置かれた。第7日目に、100μLの完全な培地が、それぞれのウェルに添加された。96ウェルプレートは、約2週間モニタリングされ、培養の最終評価は、第12日目に完了された。これは、胎盤幹細胞の培養において非常に初期(very early)であり、継代0細胞を表わす。(6.2.1.5 データ解析) FACSCaliburデータは、Flow Jo(Tree star社)で標準的なゲーティング技術を用いて解析された。BD FACSAriaデータは、FACSDivaソフトウェア(Becton-Dickinson社)を用いて解析された。FACS Ariaデータは、標準的なゲーティング技術だけではなく、ダブレット(doublet)を最小化する、ダブレット識別ゲーティング技術を用いて解析された。すべての結果は、マイクロソフトエクセルに収集されており、ここで、すべての値は、平均±標準偏差(数、平均標準誤差)で示されている。(6.2.2 結果)(6.2.2.1 細胞生存能力) 消化後の生存能力は、トリパンブルー排除法のマニュアルを用いて評価された(図1)。多数の(羊膜、絨毛膜又は羊膜-絨毛膜プレートからの)消化された組織から得た細胞の平均生存能力は、約70%であった。羊膜は、74.35%±10.31%(n=6、SEM=4.21)の平均生存能力を有して、絨毛膜は、78.18%±12.65%(n=4、SEM=6.32)の平均生存能力を有して、羊膜-絨毛膜プレートは、69.05%±10.80%(n=4、SEM=5.40)の平均生存能力を有して、臍帯は、63.30%±20.13%(n=4、SEM=10.06)の平均生存能力を有した。消化過程を経ていない潅流からの細胞は、最高の平均生存能力、89.98±6.39%(n=5、SEM=2.86)を保有した。(6.2.2.2 細胞定量化) 胎盤細胞及び臍帯細胞の集団は、HLA ABC-/CD45-/CD34-/CD133+細胞の数を測定するために解析された。BD FACSCaliburデータの解析から、羊膜、潅流液及び絨毛膜は、最大合計数のこのような細胞、それぞれ30.72±21.80細胞(n=4、SEM=10.90)、26.92±22.56細胞(n=3、SEM=13.02)、及び18.39±6.44細胞(n=2、SEM=4.55)を含むものと観察された(データ図示せず)。羊膜-絨毛膜プレート及び臍帯は、対象とする表現型を発現する、最も少ない合計数の細胞を、それぞれ、4.72±4.16細胞(n=3、SEM=2.40)と3.94±2.58細胞(n=3、SEM=1.49)を含んでいた(データ図示せず)。 同様に、対象とする表現型を発現する全体細胞の割合を解析した場合、羊膜と胎盤潅流液が、このような表現型を発現する細胞のもっとも高い百分率を含むものと観察された(それぞれ、0.0319%±0.0202%(n=4、SEM=0.0101)及び0.0269%±0.0226%(n=3、SEM=O.0130)(図2))。臍帯は、対象とする表現型を発現する細胞の小さな数を含んでいるものの(図2)、臍帯は、対象とする表現型を発現する細胞の第3番目で高い百分率、0.020±0.0226%(n=3、SEM=0.0131)を含んでいた(図2)。絨毛膜と羊膜-絨毛膜プレートは、対象とする表現型を発現する細胞のもっとも低い百分率、それぞれ、0.0184±0.0064%(n=2、SEM=0.0046)及び0.0177±0.0173%(n=3、SEM=0.010)を含んでいた(図2)。 BD FACSCalibur解析結果と一致するように、BD FACS Ariaデータも、また、残りのソースと比較して、羊膜、潅流液及び絨毛膜が、HLA ABC-/CD45-/CD34-/CD133+細胞の高い数を提供するものと確認された。羊膜、潅流液及び絨毛膜の間の対象とする表現型を発現する細胞の平均合計数は、それぞれ、126.47±55.61細胞(n=15、SEM=14.36)、81.65±34.64細胞(n=20、SEM=7.75)、及び51.47±32.41細胞(n=15、SEM=8.37)であった(データ図示せず)。羊膜-絨毛膜プレート及び臍帯は、対象とする表現型を発現する、最も少ない合計数の細胞を、それぞれ、44.89±37.43細胞 (n=9、SEM=12.48)と11.00±4.03細胞(n=9、SEM=1.34)を含んでいた(データ図示せず)。 BD FACS Ariaデータは、潅流液及び羊膜がもっとも高い百分率のHLA ABC-/CD45-/CD34-/CD133+細胞を、すなわち、それぞれ0.1523±0.0227%(n=15、SEM=0.0059)及び0.0929±0.0419%(n=20、SEM=0.0094)を生成したことを明らかにした。羊膜-絨毛膜プレートは、対象とする表現型を発現する細胞のもっとも高い百分率、0.0632±0.0333%(n=9、SEM=0.0111)を含んでいた(図3)。絨毛膜と臍帯は、対象とする表現型を発現する細胞のもっとも低い百分率を、それぞれ、0.0623±0.0249%(n=15、SEM=0.0064)及び0.0457±0.0055%(n=9、SEM=0.0018)を含んでいた(図3)。 HLA ABC-/CD45-/CD34-/CD133+細胞は、それぞれの細胞原料から同定されて、定量された後に、細胞は、さらに、細胞表面標識HLA-G、CD10、CD13、CD33、CD38、CD44、CD90、CD105、CD117、CD200、及びCD105の発現に対して解析され、特徴付けされた。(6.2.2.3 胎盤潅流液由来の細胞) 潅流液由来の細胞は、一貫して、HLA-G、CD33、CD117、CD10、CD44、CD200、CD90、CD38、CD105、及びCD13に対して陽性であった(図4)。潅流液由来の細胞に対するそれぞれの標識の平均発現は、以下のとおりである:細胞の37.15%±38.55%(n=4、SEM=19.28)は、HLA-Gを発現した;細胞の36.37%±21.98%(n=7、SEM=8.31)は、CD33を発現した;細胞の39.39%±39.91%(n=4、SEM=19.96)は、CD117を発現した;細胞の54.97%±33.08%(n=4、SEM=16.54)は、CD10を発現した;細胞の36.79%±11.42%(n=4、SEM=5.71)は、CD44を発現した;細胞の41.83%±19.42%(n=3、SEM=11.21)は、CD200を発現した;細胞の74.25%±26.74%(n=3、SEM=15.44)は、CD90を発現した;細胞の35.10%±23.10%(n=3、SEM=13.34)は、CD38を発現した;細胞の22.87%±6.87%(n=3、SEM=3.97)は、CD105を発現した;そして、細胞の25.49%±9.84%(n=3、SEM=5.68)は、CD13を発現した。(6.2.2.4 羊膜由来の細胞) 羊膜由来の細胞は、一貫して、HLA-G、CD33、CD117、CD10、CD44、CD200、CD90、CD38、CD105、及びCD13に対して陽性であった(図5)。羊膜由来の細胞に対するそれぞれの標識の平均発現は、以下のとおりである:細胞の57.27%±41.11%(n=3、SEM=23.73)は、HLA-Gを発現した;細胞の16.23%±15.81%(n=6、SEM=6.46)は、CD33を発現した;細胞の62.32%±37.89%(n=3、SEM=21.87)は、CD117を発現した;細胞の9.71%±13.73%(n=3、SEM=7.92)は、CD10を発現した;細胞の27.03%±22.65%(n=3、SEM=13.08)は、CD44を発現した;細胞の6.42%±0.88%(n=2、SEM=0.62)は、CD200を発現した;細胞の57.61%±22.10%(n=2、SEM=15.63)は、CD90を発現した;細胞の63.76%±4.40%(n=2、SEM=3.11)は、CD38を発現した;細胞の20.27%±5.88%(n=2、SEM=4.16)は、CD105を発現した;そして、細胞の54.37%±13.29%(n=2、SEM=9.40)は、CD13を発現した。(6.2.2.5 絨毛膜由来の細胞) 絨毛膜由来の細胞は、一貫して、HLA-G、CD117、CD10、CD44、CD200、CD90、CD38、及びCD13に対して陽性であったが、一方、CD33及びCD105に対する発現は、変化した(図6)。絨毛膜細胞に対するそれぞれの標識の平均発現は、以下のとおりである:細胞の53.25%±32.87%(n=3、SEM=18.98)は、HLA-Gを発現した;細胞の15.44%±11.17%(n=6、SEM=4.56)は、CD33を発現した;細胞の70.76%±11.87%(n=3、SEM=6.86)は、CD117を発現した;細胞の35.84%±25.96%(n=3、SEM=14.99)は、CD10を発現した;細胞の28.76%±6.09%(n=3、SEM=3.52)は、CD44を発現した;細胞の29.20%±9.47%(n=2、SEM=6.70)は、CD200を発現した;細胞の54.88%±0.17%(n=2、SEM=0.12)は、CD90を発現した;細胞の68.63%±44.37%(n=2、SEM=31.37)は、CD38を発現した;細胞の23.81%±33.67%(n=2、SEM=23.81)は、CD105を発現した;そして、細胞の53.16%±62.70%(n=2、SEM=44.34)は、CD13を発現した。(6.2.2.6 羊膜-絨毛膜プレート由来の細胞) 羊膜-絨毛膜プレート由来の細胞は、一貫して、HLA-G、CD33、CD117、CD10、CD44、CD200、CD90、CD38、CD105、及びCD13に対して陽性であった(図7)。羊膜-絨毛膜プレート由来の細胞に対するそれぞれの標識の平均発現は、以下のとおりである:細胞の78.52%±13.13%(n=2、SEM=9.29)は、HLA-Gを発現した;細胞の38.33%±15.74%(n=5、SEM=7.04)は、CD33を発現した;細胞の69.56%±26.41%(n=2、SEM=I8.67)は、CD117を発現した;細胞の42.44%±53.12%(n=2、SEM=37.56)は、CD10を発現した;細胞の32.47%±31.78%(n=2、SEM=22.47)は、CD44を発現した;細胞の5.56%(n=l)は、CD200を発現した;細胞の83.33%(n=l)は、CD90を発現した;細胞の83.52%(n=l)は、CD38を発現した;細胞の7.25%(n=l)は、CD105を発現した;そして、細胞の81.16%(n=l)は、CD13を発現した。(6.2.2.7 臍帯由来の細胞) 臍帯由来の細胞は、一貫して、HLA-G、CD33、CD90、CD38、CD105、及びCDl3に対して陽性であったが、一方、CD117、CD10、CD44、及びCD200の発現は、変化した(図8)。臍帯由来の細胞に対するそれぞれの標識の平均発現は、以下のとおりである:細胞の62.50%±53.03%(n=2、SEM=37.50)は、HLA-Gを発現した;細胞の25.67%±11.28%(n=5、SEM=5.04)は、CD33を発現した;細胞の44.45%±62.85%(n=2、SEM=44.45)は、CD117を発現した;細胞の8.33%±11.79%(n=2、SEM=8.33)は、CD10を発現した;細胞の21.43%±30.30%(n=2、SEM=21.43)は、CD44を発現した;細胞の0.0%(n=l)は、CD200を発現した;細胞の81.25%(n=l)は、CD90を発現した;細胞の64.29%(n=l)は、CD38を発現した;細胞の6.25%(n=l)は、CD105を発現した;そして、細胞の50.0%(n=l)は、CDl3を発現した。 すべての標識の発現平均の要約は、図9に示した。(6.2.2.8 BD FACS Aria分類報告) HLA ABC、CD45、CD34、及びCD133のもっとも高い百分率を発現した胎盤細胞の3つの異なる集団(潅流液、羊膜及び絨毛膜由来の細胞)は、このような標識に対する抗体及び7AADで染色された。3つの集団は、対象とする表現型を発現する生きている細胞に対して陽性に分類された。BD FACS Aria分類の結果は、表2に示されている。 陽性に分類された細胞の3つの異なる集団及びそれらの対応する非分類された細胞は、平板培養されており、培養結果は、第12日目に評価された(表3)。分類された潅流液由来の細胞は、40,600/cm2の細胞密度で平板培養されており、その結果として小さくて丸い非付着性細胞が形成された。非分類潅流液由来の細胞の3つのセットのうち2つは、それぞれ、40,600/cm2の細胞密度で平板培養されており、その結果として、大半が小さくて丸い、非付着性細胞がいくつかの付着性細胞と共にウェル周辺に位置するように形成された。非分類潅流液由来の細胞は、93,800/cm2の細胞密度で平板培養されており、その結果として、大半が小さくて丸い非付着性細胞がいくつかの付着性細胞とともにウェル周辺に位置して形成された。 分類された羊膜由来の細胞は、6,300/cm2の細胞密度で平板培養されており、その結果として、小さくて丸い、非付着性細胞が形成された。非分類羊膜由来の細胞は、6,300/cm2の細胞密度で平板培養されており、その結果として、小さくて丸い非付着性細胞が形成された。非分類羊膜由来の細胞は、62,500/cm2の細胞密度で平板培養されており、その結果として、小さくて丸い非付着性細胞が形成された。 分類された絨毛膜由来の細胞は、6,300/cm2の細胞密度で平板培養されており、その結果として、小さくて丸い非付着性細胞が形成された。非分類絨毛膜由来の細胞は、6,300/cm2の細胞密度で平板培養されており、その結果として、小さくて丸い非付着性細胞が形成された。非分類絨毛膜由来の細胞は、62,500/cm2の細胞密度で平板培養されており、その結果として、小さくて丸い非付着性細胞が形成された。 上記と関連の実験の実施と、さらに盤幹幹細胞の培養の成果によって、ストレプトアビジンが結合された抗体が、ビオチンが結合されたフィコエリトリン(PE)でラベリングルされた、CD117及びCDl33に対する抗体のラベリングは、陽性の場合と似ている充分意味のある背景を製作したことが分かった。このような背景は、初期は、胎盤幹細胞が2つの標識に対して陽性であると見なされることに帰結された。他のラベル、APC又はPerCPが使用された場合、背景は変形し、胎盤幹細胞は、正確にCD117とCD133の両方ともに対して陰性であると測定された。(6.3 実施例3:胎盤幹細胞及び臍帯幹細胞の特徴付け) この実施例は、胎盤幹細胞の例示的な細胞表面標識プロファイルを示す。 培養培地の内で酵素による消化から得られる胎盤幹細胞又は臍帯幹細胞は、2mL 2%FBS-PBSを添加することにより一回洗浄し、400gで5分間遠心分離を行った。上澄みは移されて、ペレットは、100-200μL 2%FBS-PBS中で再懸濁された。4個のチューブは、BD(商標)CompBeads(触媒番号:Cat#552843)と共に100μlの2%FBS-PBSをそれぞれのチューブに添加して、BD(商標)CompBeads陰性対照の1つの完全な液滴(約60μl)と、BD(商標)CompBeads抗マウスビーズの一滴を、それぞれのチューブに添加し、掻き混ぜて調製した。BD(商標)CompBeadsの4つのチューブには、以下の抗体が添加される: 対照チューブは、以下のように調製した。 次の抗体が試料チューブに添加された: 対照チューブと試料チューブが、暗所で、室温で30分間培養された。培養後に、チューブは、2mL 2%FBS-PBSを添加することにより洗浄され、400gで5分間遠心分離を行った。上澄みは移されて、ペレットは、100-200μL 2%FBS-PBS中で再懸濁され、フローサイトメトリー上で捕捉された。すべての他の抗体は、この過程に従って使用された。 羊膜由来のマッチングされた胎盤幹細胞と臍帯幹細胞は、蛍光ラベリングされた抗体とフローサイトメトリーを使用して分析されて、細胞表面標識の有無を確認した。分析された標識は、以下を含む:CD105(分芽関連の内皮成長に特異的な標識);CD200(調節機能に関連した標識);CD34(内皮成長細胞と造血幹細胞上で発現された);CD10(幹細胞/前駆細胞標識);サイトケラチンK(上皮標識);CD44(細胞移動、リンパ球のホーミング、血球生成過程);CD45(系統標識);CD133(造血前駆細胞に対する標識);CD117(幹細胞因子(c-Kit));CD90(正常な骨髄、臍帯血及び胎児肝細胞における原始造血幹細胞上に発現された);HLA ABC(panMHCI、抗原表示、免疫原性);β-2-マイクログロブリン(MHCIと関連の、抗原表示、免疫原性);HLA DR、DQ、DP(panMHCII、抗原表示、免疫原性);及び、CD80/86(抗原表示に対する共通刺激分子)。 テストされた胎盤幹細胞に対するフローサイトメトリーの結果は、以下の通りであった;細胞の93.83%は、CD105+であって、細胞の90.76%は、CD200+であって、及び細胞の86.93%は、CD105+及びCD200+であった。細胞の99.97%は、CD10+であって、細胞の99.15%は、CD34-であって、及び細胞の99.13%は、CD10+及びCD34-であった。細胞の98.71%は、サイトケラチン陽性であって、細胞の99.95%は、CD44+であって、及び細胞の98.71%は、サイトケラチン及びCD44に対して陽性であった。細胞の99.51%は、CD45-であって、細胞の99.78%は、CD133に対して陰性であって、及び細胞の99.39%は、CD45及びCDl33に対して陰性であった。細胞の99.31%は、CD90に対して陽性であって、99.7%は、CD117に対して陰性であって、及び99.01%は、CD90に対して陽性であって、CD117に対して陰性であった。細胞の95.7%は、CD80及びCD86に対して陰性であった。 臍帯幹細胞に対するフローサイトメトリーの結果は、以下のとおりであった:細胞の95.95%は、CD200+であって、細胞の94.71%は、CD105+であって、及び92.69%は、CD105+及びCD200であった。細胞の99.93%は、CD10+であって、細胞の99.99%は、CD34-であって、及び細胞の99.6%は、CD10+及びCD34-であった。細胞の99.45%は、サイトケラチン陽性であって、細胞の99.78%は、CD44+であって、及び細胞の99.3%は、サイトケラチン及びCD44に対して陽性であった。細胞の99.33%は、CD45-であって、99.74%は。CD133-であって、及び細胞の99.15%は、CD45-及びCD133-であった。細胞の99.84%は、CD117-であって、細胞の98.78%は、CD90+であって、及び細胞の98.64%は、CD90+及びCD117-であった。 1つの表現型(CD200+、CD105+、CD10+、CD34-)は、多数のそのような分析において一致するように示された。このような表現型は、付加的に、CD90、CD44、HLA ABC(弱)、β-2-マイクログロブリン(弱)、及びサイトケラチンKに対して陽性であり、HLA DR、DQ、DP、CD117、CD133、及びCD45に対して陰性である。(6.4 実施例4:胎盤幹細胞内のアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の測定) 幹細胞の生着能力の潜在標識である、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)活性は、StemCell Technologies社からのALDEFLUOR(登録商標)アッセイキットを用いて測定することができる。典型的に、より初生の、未分化幹細胞は、さらに分化された幹細胞よりも低いALDH活性を示す。 アッセイは、ALDEFLUOR(登録商標)、蛍光ALDH基材(Aldagen社、ダラム、ノースカロライナ州)を利用する。製造者のプロトコルは、以下のとおりである。乾燥したALDEFLUOR(登録商標)反応物は、安定的でかつ不活性の形態で提供される。ALDEFLUOR(登録商標)は、乾燥した化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解し、2N HClを添加することで活性化されて、細胞に直ちに添加される。また、対照チューブは、細胞を、ALDHの特定的な抑制剤であるALDEFLUOR(登録商標)plusDEABと結合することで樹立された。 分析された細胞は、羊膜-絨毛膜プレートからの4つの臍帯幹細胞株と3つの胎盤幹細胞株、骨髄由来の間葉系幹細胞株(BM-MSC)、脂肪由来の幹細胞株(ADSC)、ヒトの絨毛を有した栄養膜細胞株(HVT)、及び臍帯血から精製されたCD34+幹細胞を含む。 アッセイは次のように進行された。試料濃度は、ALDEFLUOR(登録商標)アッセイキットと共に提供されたアッセイバッファで、1×106細胞/mlに調節された。それぞれの細胞株に対して、実験チューブと対照チューブの中の調節された細胞懸濁液1mLがテストされ、対照とラベリングされた対照チューブに、5μlのDEABが追加に添加された。 ALDEFLUOR(登録商標)基材は、25μlのDMSOを乾燥したALDEFLUOR(登録商標)反応物に添加することにより活性化され、さらに、室温で1分間、放置された。25μlの2N塩酸(HCL)が添加されて、よく混合された。この混合物は、室温で15分間培養された。360μlのALDEFLUOR(登録商標)アッセイバッファがバイアルに添加されて、混合された。該得られた混合物は、使用する間に2〜8℃で保存された。 5μlの活性化されたALDEFLUOR(登録商標)反応物が、試料の1ミリメートル当たり、実験チューブの中に添加され、この混合物の0.5mlは、直ちに対照チューブの中へ移動された。それぞれの細胞株に対する実験チューブと対照チューブは、30分間、37℃で培養された。培養後、チューブは、400×gで遠心分離をし、上澄みは廃棄された。結果物ペレットの中の細胞は、0.5mlアッセイバッファ中に再懸濁され、フローサイトメトリーで分析された。データは、FLOWJO(商標)ソフトウェア(Tree Star社、アシュランド、オレゴン州)で解析された。SSC対FSC、及びSSC対FLlプロットが、FLOWJO(商標)ワークスペースの中で生成された。対照と実験データファイルは、それぞれの試料に対して公開され、対照試料に基づいて、適切なゲートが決定された。陽性細胞は、計数された結果の総数の中からALDEFLUOR(登録商標)陽性割合として計算された。 胎盤幹細胞株は、約3%〜約25%まで(3.53%、8.76%及び25.26%)のALDH活性を示した。臍帯幹細胞株は、約16%〜約20%まで(16.59%、17.01%、18.44%及び19.83%)のALDH活性を示した。一方で、BM-MSC及びHVTは陰性であり、ALDHに対してそれぞれ1.5%であったが、脂肪由来のMSCは、30%ALDH+に近い。臍帯血から精製された陽性の対照CD34+細胞は、予想のとおり、ALDHに対して高い陽性(75%)であった。(6.5 実施例5: 閉鎖回路潅流による胎盤幹細胞の回収) 本実施例は、潅流によって胎盤幹細胞を回収する1つの方法を示す。 分娩後の胎盤は、生まれた後24時間以内に獲得される。臍帯は、胎盤本体の約3から4インチの部位に臍帯クランプで締められ、臍帯は、クランプより上部を切り出される。臍帯は、廃棄されるか、又は、例えば臍帯幹細胞を回収するために、及び/又は生体材料の生成のために臍帯膜を処理に供するために処理することができる。過剰の羊膜と絨毛膜は胎盤から切り出され、胎盤の端部周辺に約1/4インチを残す。トリミングされた材料は、廃棄される。 胎盤膜の端部から始まって、羊膜は、鈍的切開にて絨毛膜から分離される。羊膜が絨毛膜から全体的に分離されるとき、羊膜は、はさみで臍帯の下方の周辺から切られて、胎盤本体から分離される。羊膜は、廃棄されるか、例えば、酵素による消化によって幹細胞を得るために、又は、例えば、羊膜生体材料を生成するために処理することができる。 胎児側の残された胎盤物質は、無菌のガーゼを用いて、目に見える全ての血餅及び残留血液を除去し、その後、アルコール綿棒よりヨード綿棒で拭きだされ殺菌される。臍帯は、その後、臍帯クランプの下の無菌の止血鉗子と共に、十字状で交差するようにクランプで締められる。そして、止血鉗子は回転されて、クランプの上で臍帯を引き上げ、ひだを形成する。臍帯は、その後、部分的に止血鉗子の下を切除して、クランプに支持される臍帯の断面を露出する。或いは、臍帯は、無菌の止血鉗子で締められる。続いて、臍帯は、無菌のガーゼ上に載置されて、止血鉗子で締められて張力を提供する。臍帯は、その後、止血鉗子の下でまっすぐ横切してストレートに切られ、血管近傍の臍帯の断面は、再びクランプで締められる。 先に記述されたように、露出された血管である、普通1つの静脈と2つの動脈が確認され、次のように開放される。閉鎖されたワニ口クランプは、それぞれの血管の切られた端を通じて進むことにより、血管壁にクランプが孔を空けないように注意する。クランプの端がほぼ臍帯の下の部分上にあるとき、挿入は停止される。クランプは、その後に、わずかに開かれて、ゆっくりと血管から抜け出して、血管を拡張させる。 潅流装置や蠕動ポンプに接続されたプラスチックチューブは、それぞれの胎盤動脈の中に挿入される。250mL回収バッグに接続されたプラスチックチューブは、胎盤静脈の中に挿入される。チューブは、所定の位置にテープで貼り付けられる。 小さい体積の無菌の等級0.9%注射液は、漏れをチェックするために使用される。もし漏れがなければ、ポンプ速度は増加する。そして、約750mLの等級0.9%のNaCl注射液は、胎盤血管の中にポンプされる。潅流は、臍帯の外端から胎盤本体を穏やかにマッサージすることにより、促進することができる。回収バッグが満たされると、バッグは、バッグにチューブを接続する接続器から除去され、新しいバッグがチューブに接続される。 回収が終了すると、回収バッグは、重さが測れて、遠心分離のためにバランスをとる。遠心分離の後、それぞれのバッグは、細胞のペレットを邪魔することなく、プラズマ抽出機内に位置される。その後、バッグの中の上澄みは除去されて、廃棄される。次いで、バッグは、穏やかにマッサージされ、残った上澄み中に細胞を再懸濁する。無菌の1mLシリンジを使用して、細胞の約300-500μLが、回収バッグから標本抽出位置接続器を介して抽出され、1.5mL遠心分離チューブに移動される。残された潅流液の重さと体積が測定され、1/3体積のヘタスターチは、潅流液に添加されて、全体的に混合する。mL当たりの細胞の数が測定される。赤い血液細胞は、プラズマ抽出機を用いて潅流液から除去される。 胎盤細胞は、その後に直ぐに培養されて、胎盤幹細胞を単離するか、或いは後続の使用のために凍結保存される。(6.6 実施例6:胎盤幹細胞の分化)(6.6.1 ニューロンへの分化誘導) 胎盤幹細胞のニューロン分化は、以下のようにして達成することができる: 1.胎盤幹細胞は、DMEM/20%FBSと1mM β-メルカプトエタノールを含む誘導前の培地の中で、24時間、育てられる。 2.誘導前の培地は除去され、細胞は、PBSで洗浄される。 3.DMEMと1-10mM β-メルカプトエタノールを含むニューロン神経誘導培地が、細胞に添加される。或いは、DMEM/2% DMSO/200μMブチル化ヒドロキシアニソールを含む誘導培地を使用することができる。 4.ある実施態様において、形態及び分子の変化は、無血清培地とβ-メルカプトエタノールに露出されてから60分以内に発生することができる。 RT/PCRは、例えば、神経成長因子レセプタ及びニューロフィラメント重鎖遺伝子の発現を評価するために使用することができる。(6.6.2 脂肪細胞への分化誘導) 羊膜の酵素による消化由来の胎盤幹細胞のいくつかの培養は、50〜70%密集度で、(1)2%FCSと共にDMEM/MCDB-201、0.5%ハイドロコルチゾン、0.5mMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)、60μMインドメタシン;又は、(2)2%FCSと0.5%リノール酸と共に、DMEM/MCDB-201を含む培地内で誘導される。細胞は、形態学的変化に対して検査され;3-7日間後に、油滴が現われた。分化は、脂質生成に関連した特定の遺伝子、すなわちPPAR-γ2、aP-2、リポタンパク質リパーゼ、及びオステオポンチンの発現を調査する、定量的なリアルタイムPCRによって評価された。胎盤幹細胞の2つの培養は、それぞれ、脂肪細胞に特異的な遺伝子の発現において、6.5倍及び24.3倍の増加を示した。4つの他の培養は、脂質生成誘導後、PPAR-γ2の発現において穏やかな増加(1.5〜2.0倍)を示した。 他の実験において、潅流液から得た胎盤幹細胞は、2%FCSと共にDMEM/MCDB-201(ニワトリ線維芽細胞基礎培地)の中で培養された。細胞は、トリプシン化されて、遠心分離された。細胞は、脂肪誘導培地(AIM)1又は2の中に再懸濁された。AIM1は、間葉系幹細胞脂質生成補充物(StemCell Technologies社)で補充されたヒト間葉系幹細胞のためのMesenCult基礎培地(StemCell Technologies社)を含んでいる。AIM2は、LA-BSA(1%)と2%FCSで補充されたDMEM/MCDB-201を含んでいる。約1.25×105胎盤幹細胞は、5mLのAIMl又はAIM2の中でT-25フラスコにおいて育てられた。細胞は、インキュベーターの中で7-21日間培養された。細胞は、赤色オイル染色によって確認されるように、細胞質内に油滴の液胞を形成し、これは、脂肪細胞への幹細胞の分化を示唆する。 胎盤幹細胞の脂肪形成分化は、以下のようにして達成することができる: 1.胎盤幹細胞は、MSCGM(Cambrex社)又は15%臍帯血清で補充されたDMEMの中で育てられる。 2.3つの誘導/維持サイクルが使用される。それぞれのサイクルは、脂肪組織生成誘導培地(Cambrex社)で胎盤幹細胞を供給することと、細胞を、3日間(37℃、5%CO2で)培養することを含み、脂肪組織生成維持培地(Cambrex社)中での1〜3日間の培養がその後に伴われる。使用可能な他の誘導培地は、1μMデキサメタゾン、0.2mMインドメタシン、0.01mg/mlインスリン、0.5mM IBMX、DMEM-高グルコース、FBS、及び抗生物質を含む。 3.誘導/維持の完全な3サイクル後に、細胞は、脂肪組織生成維持培地中位でさらに7日間培養され、培地は、2〜3日おきに交換される。 4.脂質生成の特徴は、多数の細胞質内脂質小胞の発達であり、これは親油性ステインオイルレッドOを使用して容易に観察されることができる。タンパク質遺伝子と結合するリパーゼ及び/又は脂肪酸の発現はRT/PCRによって脂肪細胞に分化され始める胎盤幹細胞の中で確認される。(6.6.3 骨細胞への分化誘導) 骨形成培地は、185mLカムブレキス(Cambrex社)分化基礎培地-骨形成及びSingleQuots(デキサメタゾン、1-グルタミン、アスコルビン酸塩、ペン/ストレフ、MCGS、及びベータグリセロリン酸塩のうちのそれぞれ1つ)から調製された。潅流液からの胎盤幹細胞は、組織培養表面積のcm2当たり約3×103細胞で組織培養面積cm2当たり0.2〜0.3mLのMSCGMの中で平板培養された。典型的に、すべての細胞は、37℃、5%CO2の中のMSCGMにおいて、4〜24時間、培養表面に付着した。骨形成分化は、培地を骨形成分化培地に取り替えることによって誘導された。細胞形態は、付着性胎盤幹細胞の典型的な紡錘状の外観から、無機化によって達成される立方形外観に変化し始めた。一部の細胞は、分化の間、組織培養表面から離層される。 骨形成分化は、以下のようにして達成することができる: 1.胎盤幹細胞の付着性培養は、MSCGM(Cambrex社)又は15%臍帯血清で補充されたDMEMの中で培養される。 2.培養は、組織培養フラスコ内で24時間培養される。 3.骨形成分化は、MSCGMを、0.1μMデキサメタゾン、0.05mMアスコルビン酸-2-リン酸塩、10mMベータグリセロリン酸塩を含む骨形成誘導培地(Cambrex社)で取り替えることで誘導される。 4.細胞は、2〜3週間、骨形成誘導培地で、3〜4日おきに供給される。 5.アルカリ性ホスファターゼ及びオステオポンチン遺伝子の発現に対するRT/PCR及びカルシウムに特異的な染料を用いて、分化はアッセイされる。(6.6.4 膵臓細胞への分化誘導) 膵臓の分化は、以下のようにして達成される:1.胎盤幹細胞は、形質転換成長因子β-1、2ng/mlと 塩基性線維芽細胞成長因子10ng/mlで補充されたDMEM/20%CBSの中で培養される。ノックアウト血清代替は、CBSの代わりに使用することができる。 2.ネスチン-陽性ニューロン細胞培養からのならし倍地は、50/50濃度で培地に添加される。 3.細胞は、14-28日間培養されて、3〜4日おきに再度供給する。 4.分化は、RT/PCRによってインスリンタンパク質又はインスリン遺伝子発現に対してアッセイすることによって特徴付けされる。(6.6.5 心臓細胞への分化誘導) 筋肉組織で発生する(心原性)分化は、以下のようにして達成される: 1.胎盤幹細胞は、レチノイン酸1μM;塩基性線維芽細胞成長因子10ng/ml;及び形質転換成長因子ベータ-1、2ng/ml;そして、上皮成長因子100ng/mlで補充されたDMEM/20%CBSの中で培養される。ノックアウト血清代替(Invitrogen社、カールズバッド、カリフォルニア州)は、CBSの代わりに使用することができる。 2.或いは、胎盤幹細胞は、50ng/mlカルディオトロピン-1で補充されたDMEM/20%CBSの中で、24時間培養される。 3.或いは、胎盤幹細胞は、タンパク質の無い培地中において5〜7日間培養され、その後、ヒト心筋抽出物で刺激される。心筋抽出物は、1%臍帯血清で補充される1%HEPES緩衝液内において1gmのヒトの心筋を均質化することにより生成される。懸濁液は、60分間培養されて、その後、遠心分離して、上澄みが回収される。 4.細胞は、10-14日間培養され、3〜4日おきに供給する。 5.分化は、RT/PCRによる心臓アクチン遺伝子の発現を示すことによって確認される。(6.6.6 軟骨細胞への分化誘導)(6.6.6.1 一般的な方法) 胎盤幹細胞の軟骨形成分化は、一般に、以下のようにして達成される: 1.胎盤幹細胞は、15%臍帯血清で補充されたDMEM又はMSCGM(Cambrex社)の中で維持される。 2.胎盤幹細胞は、無菌のポリプロピレンチューブ内に等分される。細胞は、(5分間、150×gで)遠心分離を行い、不完全軟骨形成培地(Cambrex社)の中で2回洗浄される。 3.最後の洗浄後に、細胞は、0.01μ/mlのTGF-β-3を、約5×10(5)細胞/mlの濃度で含む完全軟骨形成培地(Cambrex社)中で再懸濁される。 4.0.5mlの細胞は、15mlのポリプロピレン培養チューブ内に等分される。細胞は、5分間、150×gでペレット化される。ペレットは、培地中にそのまま残される。 5.緩くキャッピングされたチューブは、24時間、5%CO2、37℃で培養される。 6.細胞ペレットは、新しく調製された完全軟骨形成培地で、2〜3日おきに供給される。 7.ペレットは、培地において毎日低速で撹拌されることで、維持されて、再懸濁される。 8.軟骨形成細胞ペレットは、培養状態で14〜28日間後に採取される。 9.軟骨形成は、例えば、アルシアンブルー細胞化学的染色によって確認されるように、コラーゲン2及び/又はコラーゲン9遺伝子の発現及び/又は軟骨マトリックス酸粘液多糖質の生成をRT/PCRで確認することで、かつ/又は細胞形態を評価する、好酸性グラウンド基材の生成有無の観察によって特徴付けされる。(6.6.6.2 軟骨形成細胞への胎盤及び臍帯幹細胞の分化) 本実施例は、軟骨形成細胞への胎盤幹細胞の分化とそのような細胞から軟骨様組織の増殖を示す。 軟骨は、神経分布のない無血管性、無血性組織である。軟骨は、低い軟骨細胞密度(<5%)を有するが、このような細胞は、それらのまわりに細胞外マトリックスを維持するのに驚くほど効果的である。軟骨の3つの主要形態は、身体において以下のように存在する:(1)関節において関節を滑らかにすることを促進する関節軟骨;(2)例えば、半月板と椎間板において衝撃吸収をする線維軟骨;及び、(3)例えば、鼻や耳などにおける解剖学上の構造を提供する弾性軟骨。3つのすべての類型の軟骨は、生体化学的構造において類似している。 関節痛は、障害の主な原因であり、整形外科分野において関節痛を無くすにはまだ到っていない(関節退行を起こす原因となるおそれのある)初期変形性関節症、及び外傷は、苦痛の2つの一般的な原因である。米国人口の約9%は、骨盤や膝に変形性関節症を有し、200万例を超える膝手術が毎年行われる。不幸にも、現在の治療は、軟骨を治療するよりむしろ症候に対処する方向で進められている。線維芽細胞様細胞が領域に侵入し、正常組織のように弾力性も弾性もない纎維組織で領域を満たすとき、自然治癒が起き、それ故により損傷をもたらす。治療の選択肢としては、伝統的に、組織移植、軟骨下骨のドリルリング、又は全関節換置換を含むことができる。より最近の治療は、しかしCARTICEL(登録商標)、自己組織軟骨細胞注入;一時的な痛みの軽減のためのヒアルロン酸注入である、ORTHOVISC(登録商標)及びSYNVISC(登録商標);並びに、CHONDROGEN(商標)の半月板治療のための成熟した間葉系幹細胞の注入を含む。一般的に、傾向は、細胞療法及び/又は軟骨細胞や幹細胞を含む、組織処理に供した製品の方により傾いているように見える。(材料と方法) AC61665、P3(継代3)及びAC63919、P5に指定された2つの胎盤幹細胞株と、UC67249、P2及びUC67477、P3に指定された2つの臍帯幹細胞株は、以下に略述された研究に使用された。ヒトの間葉系幹細胞(MSC)は、陽性対照として使用され、骨肉腫細胞株、MC3T3及びヒドの皮膚線維芽細胞(HDF)は、陰性対照として使用された。 胎盤と臍帯幹細胞は、酵素による消化によって満妊のヒトの胎盤から単離し、精製した。ヒトのMSC細胞とHDF細胞は、カムブレキス(Cambrex社)から購入、MC3T3細胞は、アメリカンタイプカルチャーコレクション社から購入した。使われたすべての細胞株は、ポリプロピレン遠心分離チューブの中、800RPMで5分間ペレット内に遠心分離し、2つの軟骨形成培養培地(Cambrex社)と非培養基礎MSC培地(Cambrex社)の中で育てられた。ペレットは、採取され、グリコサミノグリカン(GAGs)に対してアルシアンブルーで、及び/又はシリアスレッドでコラーゲンに対して染色することにより7、14、21及び28日目に組織分析を行った。コラーゲン類型は、さらに、免疫染色で分析された。軟骨に特異的な遺伝子に対するRNA分析は、7日目及び14日目に達成された。(結果)(実験1): 軟骨形成研究は、次の3つの主な目標を果たすために計画された:(1)胎盤と臍帯幹細胞が分化して、軟骨組織を形成することができるかどうかを示すこと;(2)胎盤と臍帯幹細胞が、機能的に軟骨細胞へと分化することができるかどうかを示すこと;及び、(3)対照細胞株を評価することにより幹細胞から得られた結果を確認すること。 目標1について、予備研究で、1つの胎盤幹細胞株は、骨形成タンパク質(BMP)の有無に関係なく、最終濃度500ng/mLで軟骨形成の誘導培地中に培養された。ペレットは、4週の間、毎週の軟骨形成誘導のエビデンスで分析された。結果としては、ペレットが期間に対して大きさが増加するということが示された。しかし、ある可視的な分化が、BMP+及びBMP-試料の間で示されなかった。ペレットは、また、軟骨組織の表示子であるGAG'sに対してアルシアンブルーで染色し、組織学的に分析された。BMP+細胞は、一般に、蒼白色の液胞を伴い物質代謝的に活性であるものと示された。一方、BMP-細胞は、濃く染みのついた核に対してより小さくて、細胞質に対してより少ない(低い物質代謝的な活性を反映する)。7日目に、BMP+細胞は、濃い青色に染色されたが、一方、BMP-は、わずかに染色されたのみであった。誘導の28日目に、BMP+及びBMP-細胞は、ほぼ同様にアルシアンブルーで染色された。結局、細胞密度は、時間によって増加し、マトリックスは、ペレットを上回った。一方、MC3T3陰性細胞株は、アルシアンブルーで染色されたとき、GAGの何の存在も示しなかった。(実験2): 実験1の結果に基づいて、2つの胎盤幹細胞と2つの臍帯幹細胞株の軟骨形成分化能力を分析するためのより具体的な研究が計画された。アルシアンブルー組織学的検査に加え、細胞は、またサイナスレッドで染色され、これは、類型IIコラーゲンに対して特異的である。誘導培地の有無に関係なく、多数のペレットが、それぞれの細胞株に対して作成された。 ペレット化された、培養された細胞株は、まず、軟骨の巨視的な生成に対して徹底的な観察により評価された。結局、幹細胞株は、早ければ1日でペレットを作成するものと観察された。このようなペレットは、時間の経過と共に成長し、白くて輝く軟骨のような硬い細胞間マトリックスを形成し、機械的に強固となった。肉眼での検査により、胎盤幹細胞又は臍帯幹細胞からのペレットは、MSC対照よりもずっと大きくなった。非誘導培地中の対照ペレットは、11日目に単離し始め、28日目には、軟骨形成誘導培地中で培養された細胞が増殖したペレットよりもずっと小さくなった。肉眼による観察では、胎盤幹細胞又は臍帯幹細胞によって形成されたペレットの間に相違はなかった。しかし、デキサメタゾンのない培地内で初期化されたUC67249幹細胞株は、より大きいペレットを形成した。陰性対照MC3T3細胞は、ペレットを形成しなかった;しかし、HDFは、ペレットを形成した。 すべてのテストグループの内から代表的なペレットは、その後、GAG'sとコラーゲンに対して組織学的分析を受けた。一般に、誘導条件下で幹細胞によって形成されたペレットは、非誘導条件下で形成されたペレットよりもずっと大きくなり、より無傷のままであった。誘導条件下で形成されたペレットは、早ければ7日で、GAG'sの形成と、時間の経過とともに増加するコラーゲン含量を見せ、一方、非誘導条件下で形成されたペレットは、弱めのアルシアンブルー染色によって立証されるように、コラーゲン形成がほとんどないか或いは全くないことを示した。一般に、胎盤幹細胞と臍帯幹細胞は、肉眼検査によってhMSCよりもっと硬くてより大きいペレットを形成するものと示され、時間の経過とともにより多いコラーゲンを生成しているものと示された。また、この研究を通して、偏光下の纎維の色における変化によって立証されているように、コラーゲンは、厚くなり、コラーゲン類型は、変わるものと示された(色は、コラーゲン類型を表示することのできる纎維の厚さに関連する)。誘導された幹細胞と比較して、非誘導胎盤幹細胞は、たとえあるとしても、はるかに少ない類型IIコラーゲンを生成した。 28日の期間に、軟骨組織の特性であるマトリックスの生成が増強されたことにより、細胞密度は減少した。 このような研究は、胎盤と臍帯幹細胞が、軟骨形成の経路に沿って分化することができ、軟骨組織を形成するように容易に誘導されることを確認する。初期の観察は、そのような幹細胞は、軟骨組織の形成に対し、MSCにとって好ましいことを示す。(6.7 実施例7:胎盤幹細胞の懸滴法培養) 培養状態の胎盤付着性幹細胞は、約5分間、37℃でトリプシン化され、軽く叩いて培養皿から緩くなる。10%FBSは、培養に添加されて、トリプシン化処理を中断する。細胞は、約5mLの培地内で約mL当たり1×104細胞で希釈される。複数チャンネルのマイクロピペットからの滴り(一滴であるか又は滴りである)は、100mLペトリ皿の蓋の内側に位置される。蓋は、注意しながらひっくり返して、皿底の上部に位置され、これは、約25mlの無菌PBSを含んで、皿の雰囲気内で水気含量を維持する。細胞は、6〜7日間育てられる。(6.8 実施例8:胎盤幹細胞を得るための胎盤組織消化) 本実施例は、酵素消化による胎盤幹細胞の規模が大きくなった単離を示す。 約10グラムの胎盤組織(羊膜と絨毛膜)が得られて、浸軟され、約30mlの全体積の中で、約30分間、37℃で、同じ体積のコラゲナーゼA(1mg/ml)(Sigma社)とトリプシン-EDTA(0.25%)(Gibco-BRL)を用いて消化される。消化によって解放された細胞は、培養培地で3回洗浄され、4つのT-225フラスコ内に分配されて、実施例1に記載されているように培養される。胎盤幹細胞の収率は、10g出発物質当たり約4×108と5×108細胞の間である。継代3で特徴付けされた細胞は、主に、CD10+、CD90+、CD105+、CD200+、CD34+、及びCD45-である。(6.9 実施例9:凍結保存した幹細胞製品の生成と幹細胞バンク) この実施例は、胎盤幹細胞の単離と冷凍された幹細胞に基づく製品の生成を示す。 要約:胎盤組織は、切除して消化され、初代培養と増殖培養がその後に伴われ、多くの細胞量を生成する増殖された細胞製品を形成する。細胞は、二段重ねの細胞バンク内に保存され、冷凍細胞製品として区分される。単一ドナー胎盤由来のすべての細胞量は、1つのロットと定義され、専用のルーム及びクラス100層流フード(Class100 laminar flow hood)の中で無菌技術を用いて、1つの胎盤ロットを同時に処理した。細胞製品は、CD105+、CD200+、CD10+及びCD34-であると定義され、正常な核型を有し、母親細胞の含量がないか、実質的に含まない。(6.9.1 幹細胞を得ること) 組織分解と消化:胎盤は、放出後に24時間以内に得られる。胎盤組織は、羊膜、羊膜と絨毛膜の組み合わせ、又は絨毛膜から得られる。組織は、約1mmの大きさの小片に細かく切り刻まれる。細かく切り刻まれた組織は、37℃で1時間、lmg/mlコラゲナーゼIAの中で消化され、その後、37℃で30分間、トリプシン-EDTAで処理される。PBSにおいて5%FBSの中で3回洗浄された後、組織は、培養培地に再懸濁される。 初代培養:初代培養の目的は、消化された胎盤組織から細胞を樹立することにある。消化された組織は、培養培地中に懸濁されて、コーニングT-フラスコ内に注入されて、5%CO2を含んでかつ37℃に維持される加湿チャンバ内で培養される。培地の半分は、培養の5日目の後に再び補給される。細胞の高密度のコロニーは、培養の2週間までに形成される。コロニーは、トリプシン-EDTAで採取され、その後、PBSの中で2%FBSで不活化される。細胞は、遠心分離して、増殖培養を播種するための培養培地中に再懸濁される。このような細胞は、0回倍加された継代0細胞として定義される。 増殖培養:初代培養から採取された、増殖培養から採取された、又は細胞バンクから解凍された細胞は、増殖培養を行うために使用される。セルファクトリ(NUNC(商標))は、10分間、5%CO2を含む空気の中において50ml/分/トレイで、無菌のフィルタを通じて処理され、37℃に維持されかつ5%CO2を含む加湿インキュベーター内で暖かくなる。細胞シードは、トリパンブルーと共に血球計で計算されて、細胞数、生存能力、継代回数、及び倍加の累積数が記録される。細胞は、培養培地中において約2.3×lO4細胞/mlで懸濁され、110ml/トレイは、セルファクトリにおいて播種される。培養後3〜4日目に、そしてまた5〜6日目に、培養培地は除去されて、新たな培地と交換されて、空気中の5%CO2と共にまた他の処置が伴われる。細胞が、約105細胞/cm2に逹するとき、細胞は、トリプシン-EDTAで採取され、PBSの中で2%FBSと共に不活化される。細胞は、その後、遠心分離して、培養培地中に再懸濁される。 凍結保存:冷凍されるべき細胞は、培養からトリプシン-EDTAで採取され、PBSの中で2%FBSで不活化されて、血球計で再び補給される。遠心分離の後、細胞は、細胞バンクのアセンブリーのために使用されるml当たり約100万細胞の濃度で、そしてそれぞれの冷凍された細胞量のためにml当たり約1千万細胞の濃度で、FBS中に10%DMSOで再懸濁される。細胞溶液は、冷凍容器に移動されて、イソプロピルアルコール槽内に、約800℃の冷凍機内に置かれる。翌日、細胞は、液体窒素に移動される。(6.9.2 幹細胞バンクの設計) 単一ドナーの胎盤由来のすべての細胞量を「ロット」と定義する。細胞は、増殖培養の間に8継代と30倍加に対して、正常な成長、核型、及び細胞表面標識表現型を維持した。このような限界が与えられた状態で、用量は、5継代及び約20倍加からの細胞を含む。同量の細胞の供給を生成するため、単一ロットは、培養状態で増殖され、2段重ねの細胞バンクと冷凍量内に貯蔵される。特に、0(ゼロ)倍加を経った継代0細胞と定義される、初代培養から採取された細胞は、増殖培養を開始するために使用される。最初継代の後、約4つの倍加が起き、細胞は、マスタセルバンク(MCB)中で冷凍される。MCBからのバイアルは、追加的な増殖培養を播種するために使用される。MCBから解凍された細胞の2つの追加的な継代の後、約12回の累積する倍加の間、細胞は、ワーキングセルバンク(WCB)において冷凍される。WCBからのバイアルは、他の2つの継代に対して増殖培養を播種するために使用され、その結果として、それぞれの量で冷凍された、約20個の倍加で継代5細胞が形成される。(6.9.3 培養用細胞の解凍) 細胞の冷凍された容器は、封止されたビニールバッグの中に仕込まれ、37℃の水浴中に入れられる。容器は、内容物が小さな氷小片を除いてすべて溶解するまで穏やかに回転される。容器は、封止されたビニールバッグから除去されて、約10倍の体積の培養培地を、穏やかに混合しながら、ゆっくり細胞に添加される。試料は、血球計で計算され、増殖培養に播種される。(6.9.4 注入用細胞の解凍) 細胞の冷凍容器は、乾燥窒素容器において投与サイトに移動される。投与の前に、容器は、封止されたビニールバッグ中に仕込まれ、37℃で水浴に供する。容器は、内容物が小さな氷小片を除いて溶解するまでに穏やかに回転されている。容器は、封止されたビニールバッグから除去されて、同じ体積の2.5%HSA/5%デキストランが添加される。細胞は、これ以上の洗浄することなく、注入される。(6.9.5 実験及び特性) 母体血液試料は、すべてのドナー胎盤を同伴する。試料は、B型肝炎コア抗体と表面抗原、C型肝炎ウイルス抗体と核酸、そしてHIV I及びII抗体と核酸に対してスクリーニングされる。胎盤処理と初代培養は、テスト結果を受領する前に始まるが、すべてのウイルスに対して陰性とテストされた母体血液試料と関連の胎盤に対してのみ続けられる。もし、ドナーがどのような病原体に対して1つでも陽性である場合、ロットは、拒絶される。また、表3に示されたテストは、MCB、WCB及びWCBのバイアル由来の細胞量の物質の試料に対して達成される。ロットは、すべての条件が満足されるときにだけ、放出される。* 40mlの冷凍された細胞/用量と最大5EU/mlとなるように造られている製品に対して、細胞製品は、体重において40kg以上の受容体に対して上限5EU/kg/用量以下である。(6.9.6 表面標識表現型分析) 細胞は、PBS内の1%パラホルムアルデヒド(PFA)の中で20分間放置されて、染色されるまでに(最長1週間)冷蔵庫内に貯蔵される。細胞は、PBS(染色緩衝物)中の2%FBS、0.05%アジド化ナトリウムで洗浄され、その後、染色緩衝物内に再懸濁される。細胞は、次の抗体結合体で染色される:CD105-FITC、CD200-PE、CD34-PECy7、CD10-APC。細胞は、また、アイソタイプ対照で染色される。30分間の培養後、細胞は、洗浄されて、染色緩衝物で再懸濁され、フローサイトメトリーにて分析される。アイソタイプ対照に比較して、増加された蛍光性を有する細胞は、標識に対して陽性と判定される。(6.10 実施例10:胎盤幹細胞に特異的な遺伝子の同定) 羊膜-絨毛膜(AC)と臍帯由来(UC)の胎盤幹細胞からの遺伝子発現パターンは、最終的に分化されるものと思われる多能性骨髄由来の間葉系幹細胞(BM)および皮膚線維芽細胞(DF)の遺伝子発現パターンに比較される。細胞は、1回のみの継代、中程度の回数の継代及び複数回の継代(老衰期時まで含んで)で成長させられた。結果は、集団倍加の数は、遺伝子発現において主な影響を持つことが示された。遺伝子の一セットは、ACとUCにおいて上方調節されて、またBMとDFでは下方調節されるか或いは調節されず、継代の回数に関係なく、発現するものと確認された。胎盤幹細胞又は臍帯幹細胞に特異的な遺伝子のこのようなセットは、母系-胎仔免疫耐性に関連するCD200である兔疫グロブリン様表面タンパク質と上皮細胞に関する細胞―細胞付着タンパク質と細胞骨格の数をコードする。胎盤幹細胞と臍帯幹細胞は、以下、本実施例において集合的にAU/UC幹細胞に言及され、分析された。(6.10.1 方法と材料)(6.10.1.1 細胞と細胞培養) BM(Cat#PT-2501)とDF(Cat#CC-2511)は、Cambrex社から購入された。AC及びUCは、継代0組織の培養フラスコに由来したものである。フラスコの中のAC及びUCは、2063919に設計されたドナー胎盤から消化によって得られた。T-75培養フラスコは、6000細胞/cm2で播種され、細胞は、融合されるとき、継代された。集団倍加は、トリパンブルー細胞数から推定された。培養は、3,11-14、及び24-38集団倍加の後に遺伝子発現に対して分析された。(6.10.1.2 RNA、マイクロアレイ、及び分析) 細胞溶解(単離)前にトリプシン化された1つの培養を除いて、細胞は、それらの組織培養フラスコから直接溶解(単離)される。全体RNAは、QIAGEN社のRneasy キットで単離した。RNA強度と濃度は、Agilent2100 Bioanalyzerで測定された。それぞれの培養から全体RNAの10グラムは、Affymetrix GENECHIP(登録商標)platform上で交配された。全体RNAはラベリングされたcRNAに転換され、製造者方法に従ってオリゴヘキサン塩ヒトゲノムUl33A 2.0配列にハイブリダイズされた。映像ファイルはAffymetrix MAS5.0ソフトウェアの処理に供し、Agilent GeneSpring7.3ソフトウェアに標準化され、分析された。(6.10.2 結果)(6.10.2. BM-MSC、AC/UC幹細胞及びDFの選択、マイクロアレイ分析における培養時間-点数) AC/UC幹細胞に唯一の遺伝子発現パターンを樹立するために、2つの幹細胞株であるAC(6)とUC(6)がBM-MSCとDFと平行に培養された。細胞起源に起因する遺伝子発現プロファイルを確認することを極大化するために、そして、外因性影響を最小化するために、すべての細胞は、同じ培地内において生育されて、播種され、同じ基準で第2次培養された。いずれが最初になるか関係なく、細胞は、3つの集団倍加、11-14の倍加、又は35の倍加或いは老衰期の後に採取された。AC/UC幹細胞の中で発現が培養時間によって変わらなく、BMとDFに関して上方調節される遺伝子は、AC/UC幹細胞に特異的な遺伝子に対する候補である。 図10は、本研究において4個の細胞株に対する成長プロファイルを示す:円は、RNA単離のために採取された培養を示す。合計12個の試料が回収された。BM、AC(6)及びUC(6)は、3回の集団倍加後に採取された;このような試料は、時間の「短い」期間の間に培養状態にあるものと見なされた。短い期間、DF試料は回収されなかった。中間長さの培養、11〜14の倍加が、すべての細胞類型に対して回収された。約35の集団倍加で、又は老衰期の直前に、いずれが最初になっても、長期間培養は、すべての細胞株から回収された。老衰期は、BMに対しては15の倍加前に、かつDFに対しては25倍加で発生した。購入されたBM及びDF細胞は、遺伝子分析の前に多数増殖され、早い段階であるとは考えられなかった。しかし、作業的に、3つの倍加(BM-3)の間に生育したBMは、短期間培養と見なされる。同様に、BM-11は、作業的に中間長さ培養と見なされるが、老衰期が14倍加で生じたため、BM-11は、生物学的にほぼ長期間培養である。(6.10.2.2 階層的クラスタリングは、BM、AC/UC幹細胞とDFの間に関連性を表わす) マイクロアレイ分析は、遺伝子発現のパターンを同定し、階層的クラスタリング(hierarchical clustering)(HC)は、第1の次元で遺伝子と、第2の次元で他の条件(他のRNA試料)である2つの次元の関係において類似点を見つけることを試みる。本実験で使用されたジーンチップは、22,000より多い(「すべての遺伝子リスト」と見なされる)プローブセットを含んだが、このようなセットの多数は、どのような条件下でも発現しない遺伝子に信号を送る。すべての遺伝子リストを縮小するために、すべての試料において低いレベル(250未満の未処理数値)で発現したり発現しない遺伝子は除去されて、8,215個の遺伝子のリストを得た。(6.10.2.3 株グラフの調査を使用した遺伝子発現の分析) 8215個の遺伝子の遺伝子発現パターンは、GeneSpringにおいて株グラフの調査を使用して現われた(図11)。x軸は12個の実験条件を示し、y軸は標準化されたプロブセットの発現数値をログスケールで表した。y軸は10,000倍に及んで、非常に低いレベルで発現したり発現しない遺伝子は、0.01値に決定される。基本的に、平準化された数値は、1と決定される。それぞれの株は、単一遺伝子(実際、遺伝子セット、いくつかの遺伝子は、多数のプロブセットを有する)を示し、単一色としてすべての12個の条件を捜し出す。熱地図(heatmap)に対して記載されるように、色は相対的な発現レベルを表現するが、、カラーリングパターンは、1つの条件を選択することで測定される。AC-03は、図11における選択された条件である。標準化された数値に関連して上方調節された遺伝子は、ソフトウェアにより赤い色で現われて、下方調節されたものは、青色で現われる。AC-03からUC-11の間で明白な上向きであって、下向きで向けるスパイクは多くの遺伝子がこのような条件にかけてお互いに違うように発現されるということを表す。AC-03とUC-03間で色パターンにおける顕著な類似性は、これらの2つの試料で多くの同じ遺伝子が上向き又は下方調節されることを示す。平行した線部分は、遺伝子の発現レベルが、多数の条件にわたって変わらないということを表す。これは、UC-36、UC-38、及びUC-38-Tを比較することにより、もっとも注目すべきことである。UC-36とUC-38-Tとの間には明白なスパイクはないものの、多数の赤い株が、標準化数値1よりも低いという微妙な傾向がある。これは、AC-03とUC-03で上方調節されたこのような遺伝子が、後続の培養において下方調節されることを示す。UC-38とUC-38-Tとの間で発現パターンが類似するという事実は、RNA単離の直前にトリプシン化する細胞が、ただ遺伝子発現にほとんど影響を与えないということを示す。 数値的に強いHC方法に加えて、肉眼での検査により、2つのBM試料は、他の条件よりも互いに対してさらに類似している。同じことが、2つのDF培養に対しても言える。そして、BMとDF試料で存在する多数の差分的に発現した遺伝子にもかかわらず、一般的な様相は、2つのBMと2つのDFはAC/UC幹細胞よりも互いに対して類似することを提示する。これは、先に説明されたHC結果によって確認される。 上記過程が選択された条件通りにAC-11を使用して適用される場合、AC-11及びUC-11が、多くの同じ、差分的に発現された遺伝子を共有することは明らかである。しかし、これらの2つの条件の間に共通の遺伝子の合計数は、AC-03とUC-03によって分けられた、差分的に発現された遺伝子の数よりも少なく示される。図12は、AC-03で、ベースラインに関して、6倍以上差分的に過剰に発現された遺伝子を示す。AC-03で上方調節された多数の遺伝子は、また、UC-03で上方調節され、BMとDFでより分岐する。(6.10.2.4 AC/UC幹細胞に特異的な遺伝子を同定するために使用されるフィルタリング方法) すべてのAC/UC試料を通して一定して残り、かつBM及びDFで下方調節される遺伝子は、AC/UC幹細胞に特異的なものと考えられる。2つのフィルタリング方法は、結合されて、58個のAC/UC幹細胞に特異的な遺伝子を創造した(表4)。 第一に、58個の遺伝子は、すべてのBMとDF試料と係わる8個のAC/UC幹細胞条件のうちで、少なくとも7個の中で3倍以上に過量発現されたそれらの遺伝子を選択することにより同定された(図13)。8個のAC/UC幹細胞条件のうちから8個をフィルタリングして、類似のリストを得た。第2のフィルタリング方法は、Affymetrix MAS5.0ソフトウェアによって提供された「非存在」及び「存在する」細胞を使った。すべてのBMとDF条件に非存在の遺伝子とAC-03、AC-11、UC-03、及びUC-11に存在する遺伝子を同定することにより、リストが作成された。後続のAC/UC幹細胞条件において遺伝子呼びは、明記されなかった。 2つのリストは、有意に重なり、結合された。結合されたリストは、次を除去することでより整えられた:(1)大部分、又はすべてのAC/UC幹細胞条件において非常に低レベルで発現されるいくつかの遺伝子、及び(2)Y染色体上に移される遺伝子。本研究で使用されたAC及びUC細胞は、FISH分析によって男性のものと確認され、BM及びDFは、女性ドナーから得られた。46個のAC/UC幹細胞に特異的な遺伝子の結果リストは、表5に示されている。 46個の遺伝子の該リストは、多数の本体論グループを示すタンパク質の回収物をコードする。もっとも高く示されたグループである、細胞付着は、8個の遺伝子を含む。いずれの遺伝子も、DNA複製又は細胞分裂と関連のタンパク質をコードしない。上皮と特異的関連のある16個の遺伝子も、また明記される。(6.10.3 討論) 胎盤幹細胞に特異的であり、骨髄由来の間葉細胞と区別可能な発現パターンが確認された。作用的に、このパターンは、すべてのBMとDF試料に関連のすべての胎盤幹細胞試料で過量発現される、46個の遺伝子を含む。 実験計画は、培養状態で短い、培地そして長時間の期間に培養された細胞を比較した。AC及びUC細胞に対して、それぞれの培養期間は、差分的に発現された遺伝子の特徴的なセットを有する。短い期間又は初期時期(AC-03及びUC-03)の間の200個の上方調節された遺伝子が8回の集団倍加後に平均に戻る。理論に係わらず、このような初期状態の遺伝子の発現パターンは、自然胎盤環境の中にいる限り、AC及びUCの発現プロファイルに似ているようである。このような細胞が活動的に分裂しない胎盤では、それらは栄養素を代謝し、それらの間で信号を伝達し、それらの位置を細胞外の環境をリモデリングすることで確保している。 中間長さ培養による遺伝子の発現は、迅速な細胞分裂によって定義され、この時点で差分的に発現する遺伝子は、初期時期の間、差分的に発現したものとは非常に異なる。BM-03及びDF-14とともに、AC-11及びUC-11において、上方調節された多くの遺伝子は、染色体複製及び細胞分裂に関連がある。遺伝子発現に基づいて、BM-03は、生物学的に中間期間培養であるものと示される。この中間状態で細胞類型に特異的な遺伝子発現は、細胞分芽によって無色になる。付加的に、短い期間AC又はUC培養で過量発現されたほぼすべての遺伝子は、中間、そしてその後の段階状態で下方調節される。143個の遺伝子は、この高く分芽される時期の間、5倍以上上方調節され、発現された遺伝子の約1.7%を構成した。 長期間培養は、最終時期又は老衰期を示す。この時期において、細胞は、それらの分裂することのできる能力を無くした。そして、特に、AC及びUCに対して、差分的に発現される絶対数は、顕著に減る。これは、それらの培養環境に完壁に適応される細胞の結果、そして、その結果縮小された生合成量であることができる。驚くべきことに、後期のBMとDF培養は、これと同様の行動を示さない;多数の遺伝子は、標準化された数値1と、AC及びUCに係わったBM-11とDF-24の中で差分的に発現される。AC及びUCは、BMとDFと区別することができ、長期間培養で、もっとも明らかに区別される。 本明細書に記載される胎盤幹細胞に特異的な遺伝子のリストは、多様である。COL4A1及びCOL4A2は、同等に調節され、KRT18とKRT8は、また、共同発現されるようである。 8個の遺伝子は、細胞と細胞との間の接触に係わるタンパク質をコードし、この中の3個(DSC3、DSG2、及びPKP2)は、ケラチン18とケラチン8などの細胞中間フィラメント細胞骨格タンパク質に付着した細胞内接合付着斑で局部化される。細胞間の固い接合は、上皮と内皮成長細胞の特徴であり、線維芽細胞と典型的に関連されてはいない。表3は、全体46個のうち、特徴的な上皮細胞を有する16個の遺伝子について記載している。胎盤幹細胞は、一般的に線維芽細胞のような小さな紡錘模様の細胞で描写される。このような形態は、典型的に、特により低い細胞密度でBMとDFとは異なる。また、注目すべき点は、CD200の発現パターンであり、これは、すべてのBMとDF試料にはないが、AC/UC幹細胞にはある。さらに、CD200は、胎児発達の間、胎盤で免疫耐性と関連されているものと示される(例えば、Clarkらの文献、Am.J.Reprod.Immunol.50(3):l87-195(2003)を参照)。 46個の遺伝子のうちこれら遺伝子の部分集合は、AC/UC幹細胞を骨髄由来の間葉系幹細胞又は線維芽細胞と区別する、分子生物標識の集合を構成する。(4.図面の簡単な説明)(A)潅流、(B)羊膜、(C)絨毛膜、(D)羊膜-絨毛膜プレート又は(E)臍帯からの胎盤幹細胞の生存能力を示す。X軸上の数字は、幹細胞が採取される胎盤を示している。FACSCaliburによって決定されるものとして、(A)潅流、(B)羊膜、(C)絨毛膜、(D)羊膜-絨毛膜プレート又は(E)臍帯からのHLA ABC-/CD45-/CD34-/CD133+細胞の百分率である。X軸上の数字は、幹細胞が採取される胎盤を示している。FACSAriaによって決定されるものとして、潅流(A)、羊膜(B)、絨毛膜(C)、羊膜-絨毛膜プレート(D)又は臍帯(E)からのHLA ABC-/CD45-/CD34-/CD133+細胞の百分率である。X軸上の数字は、幹細胞が採取される胎盤を示している。胎盤潅流液から採取される幹細胞内のHLA-G、CD10、CD13、CD33、CD38、CD44、CD90、CD105、CD117、CD200の発現である。羊膜から採取される幹細胞内のHLA-G、CD10、CD13、CD33、CD38、CD44、CD90、CD105、CD117、CD200の発現である。絨毛膜から採取される幹細胞内のHLA-G、CD10、CD13、CD33、CD38、CD44、CD90、CD105、CD117、CD200の発現である。羊膜-絨毛膜プレートから採取される幹細胞内のHLA-G、CD10、CD13、CD33、CD38、CD44、CD90、CD105、CD117、CD200の発現である。臍帯から採取される幹細胞内のHLA-G、CD10、CD13、CD33、CD38、CD44、CD90、CD105、CD117、CD200の発現である。(A)潅流、(B)羊膜、(C)絨毛膜、(D)羊膜-絨毛膜プレート又は(E)臍帯から採取された幹細胞内のHLA-G、CD10、CD13、CD33、CD38、CD44、CD90、CD105、CD117、CD200の発現の平均発現である。本研究において使用された、羊膜/絨毛膜(AC)、臍帯(UC)、骨髄由来の幹細胞(BM-MSC)、及びヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)細胞株に対する培養時間経過を示す。すべての培養は、同一の播種及び過程密度を用いて成長及び増殖された。円は、培養がRNA単離に使用されたことを表示する。最後の培養は、老化の直前に採取された。2つのUC培養は、38倍加UC-38)で採取され、遺伝子発現に対するトリプシン処理の効果を比べた。すべての他の培養は、RNA単離の前に、それらの培養フラスコの内で、直接溶解単離された。羊膜/絨毛膜(AC)、臍帯(UC)、骨髄由来の幹細胞(BM-MSC)、及びヒト皮膚線維芽細胞(DF)細胞内における8215個の遺伝子の相対的な発現レベルを表する線グラフである。X軸上におけるそれぞれの細胞株と関連の数字は、遺伝子発現レベルを評価する前に、細胞株が培養された日数を表示する。このチャートは、GeneSpringソフトウェアによって分析されたRNA発現より作成された。AC-03は、選択された条件として使用された。羊膜/絨毛膜(AC)、臍帯(UC)、骨髄由来の幹細胞(BM-MSC)、及びヒト皮膚線維芽細胞(DF)細胞に対する、AC-03内における6倍以上の過発現された遺伝子を見せるすべての遺伝子リストのサブセットである。X軸上におけるそれぞれの細胞株に関連の数字は、遺伝子発現レベルを評価する前に、細胞株が培養された日数を意味する。このチャートは、GeneSpringソフトウェアによって分析されたRNA発現より作成さた。AC-03は、選択された条件として使用された。羊膜/絨毛膜(AC)、臍帯(UC)、骨髄由来の幹細胞(BM-MSC)、及びヒト皮膚線維芽細胞(DF)細胞に対する層変化フィルタリングによって発見された、臍帯幹細胞特徴の遺伝子又は胎盤幹細胞特徴の遺伝子を示す。X軸上におけるそれぞれの細胞株に関連の数字は、遺伝子発現レベルを評価する前に、細胞株が培養された日数を意味する。このチャートは、GeneSpringソフトウェアによって分析されたRNA発現より作成さた。AC-03は、選択された条件として使用された。 細胞集団を作成する方法であって、基材に付着した胎盤細胞を同定することと:CD200及びHLA-Gを発現するか;CD73、CD105及びCD200を発現するか;CD200及びOCT-4を発現するか;CD73、CD105及びHLA-Gを発現するか;CD73及びCD105を発現し、かつ胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において胎盤細胞の集団が培養されるとき、該集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進するか;又は、OCT-4を発現し、かつ(c)胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において胎盤細胞の集団が培養されるとき、該集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進し;かつ該細胞を他の細胞から単離して、細胞集団を形成すること、を含む、前記方法。 前記基材が、フィブロネクチンを含む、請求項1記載の方法。 前記同定が、抗体を使用して達成される、請求項1記載の方法。 前記同定が、フローサイトメトリーを使用して達成される、請求項1記載の方法。 前記単離が、磁性ビーズを使用して達成される、請求項1記載の方法。 前記単離が、蛍光活性化細胞分類を使用して達成される、請求項1記載の方法。 前記細胞集団が、前記単離後に拡大する、請求項1記載の方法。 成長促進タンパク質をコードするDNA配列で幹細胞を形質転換させること;及び該幹細胞を、該成長促進タンパク質の生成を促進する条件に曝露させること、を含む、幹細胞株の生成方法。 記成長促進タンパク質が、v-myc、N-myc、c-myc、p53、SV40ラージT抗原、ポリオーマ・ラージT抗原、EIaアデノウイルス、又はヒト・パピローマウイルス・E7タンパク質である、請求項8記載の方法。 前記DNA配列が、調節可能である、請求項8記載の方法。 前記DNA配列が、テトラサイクリンによって調節可能である、請求項8記載の方法。 前記成長促進タンパク質が、調節可能な活性を有する、請求項8記載の方法。 前記成長促進タンパク質が、温度感受性突然変異体である、請求項8記載の方法。 1個以上の遺伝子を発現する付着性胎盤幹細胞を同定することと、該胎盤細胞を単離することを含む、幹細胞集団の作成方法であって、該遺伝子が、培養基内で、該胎盤幹細胞と同回数の継代を経た骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して検出可能なより高い水準で、ACTG2、ADARBl、AMIGO2、ATRS-1、B4GALT6、BCHE、C1Iorf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、ICAMl、IER3、IGFBP7、ILIA、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAKl、PCDH7、PDLIM3、PJP2、RTNl、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、及びZC3H12Aである、前記方法。 前記付着性胎盤細胞が、培養基内で、前記胎盤幹細胞と同回数の継代を経た骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して検出可能なより高い水準で、5個以上の前記遺伝子を発現する、請求項14記載の方法。 前記付着性胎盤細胞が、培養基内で、前記胎盤幹細胞と同回数の継代を経た骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して検出可能なより高い水準で、10個以上の前記遺伝子を発現する、請求項14記載の方法。 前記付着性胎盤細胞が、培養基内で、前記胎盤幹細胞と同回数の継代を経た骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して検出可能なより高い水準で、20個以上の前記遺伝子を発現する、請求項14記載の方法。 前記付着性胎盤細胞が、培養基内で、前記胎盤幹細胞と同回数の継代を経た骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して検出可能なより高い水準で、前記遺伝子の個々を発現する、請求項14記載の方法。 胎盤幹細胞バンクを作成する方法であって、ヒトの分娩後胎盤から採取した初代培養胎盤幹細胞を、第1の複数の集団倍加をするために、増殖すること;該胎盤幹細胞を凍結保存して、マスタ・セル・バンクを形成すること;該マスタ・セル・バンクからの多数の胎盤幹細胞を、第2の複数の集団倍加をするために増殖すること;該胎盤幹細胞を凍結保存して、ワーキング・セル・バンクを形成すること;該ワーキング・セル・バンクからの多数の胎盤幹細胞を、第3の複数の集団倍加をするために増殖すること;及び該胎盤幹細胞を個々の用量で凍結保存すること、を含み、該個々の用量を集約して胎盤幹細胞バンクを作成する、前記方法。 前記集団倍加の総数が、約20である、請求項19記載の方法。 前記第1の複数の集団倍加が、約4の集団倍加であり;前記第2の複数の集団倍加が、約8の集団倍加であり;かつ、前記第3の複数の集団倍加が、約8の集団倍加である、請求項19記載の方法。 前記初代培養胎盤幹細胞が、胎盤潅流液から採取した胎盤幹細胞を含む、請求項19記載の方法。 前記初代培養胎盤幹細胞が、消化された胎盤組織から採取した胎盤幹細胞を含む、請求項19記載の方法。 前記初代培養胎盤幹細胞が、胎盤潅流液及び消化した胎盤組織から採取した胎盤幹細胞を含む、請求項19記載の方法。 前記胎盤幹細胞初代培養内における前記胎盤幹細胞の全てが、同一の胎盤から採取される、請求項19記載の方法。 さらに、前記ワーキング・セル・バンクからの前記複数の前記胎盤幹細胞からCD200+又はHLA-G+胎盤幹細胞を選択して、個々の用量を形成するステップを含む、請求項19記載の方法。 前記個々の用量が、約104〜約105の胎盤幹細胞を含む、請求項19記載の方法。 前記個々の用量が、約105〜約106の胎盤幹細胞を含む、請求項19記載の方法。 前記個々の用量が、約106〜約107の胎盤幹細胞を含む、請求項19記載の方法。 前記個々の用量が、約107〜約108の胎盤幹細胞を含む、請求項19記載の方法。 ならし培地を含む組成物であって、該培地が、胎盤幹細胞によってならされ、該胎盤幹細胞が:CD200+及びHLA-G+であるか;CD73+、CD105+、及びCD200+であるか;CD200+及びOCT-4+であるか;CD73+、CD105+及びHLA-G+であるか;CD73+及びCD105+であり、かつ胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において該幹細胞を含む胎盤細胞の集団が培養されるとき、該集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進するか;又は、OCT-4+であり、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において該幹細胞を含む胎盤細胞の集団が培養されるとき、該集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進する、前記組成物。 前記胎盤幹細胞が、前記培地において少なくとも1日間成長させられた、請求項31記載の組成物。 前記胎盤幹細胞が、前記培地において少なくとも3日間成長させられた、請求項31記載の組成物。 胎盤幹細胞の集団を含む組成物であって、該胎盤幹細胞は:CD200+及びHLA-G+であるか;CD73+、CD105+、及びCD200+であるか;CD200+及びOCT-4+であるか;CD73+、CD105+及びHLA-G+であるか;CD73+及びCD105+であり、かつ胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において胎盤細胞の集団が培養されるとき、該胎盤幹細胞の集団を含む該胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進するか;又は、OCT-4+であり、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において胎盤細胞の集団が培養されるとき、該胎盤幹細胞の集団を含む該胎盤細胞の集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進するか;又は、前述したものの組み合わせであり;かつ、胎盤から採取されない幹細胞であって、ここで、該胎盤幹細胞の少なくとも70%が、由来において非母系である、前記組成物。 胎盤から採取されない前記幹細胞が、胚性幹細胞である、請求項34記載の組成物。 胎盤から採取されない前記幹細胞が、間葉系幹細胞である、請求項34記載の組成物。 胎盤から採取されない前記幹細胞が、骨髓由来の幹細胞である、請求項34記載の組成物。 胎盤から採取されない前記幹細胞が、造血前駆細胞である、請求項34記載の組成物。 胎盤から採取されない前記幹細胞が、体性幹細胞である、請求項34記載の組成物。 前記体性幹細胞が、神経幹細胞、肝幹細胞、膵臓幹細胞、内皮幹細胞、心臓幹細胞、又は筋幹細胞である、請求項39記載の組成物。 胎盤幹細胞の集団を単離する方法であって、前記方法は:前記組織の中から複数の胎盤幹細胞を増殖させるのに十分な時間の間に、胎盤の一部分を培養すること、及び該組織から該胎盤幹細胞を単離すること、を含む、前記方法。 前記組織が、羊膜、絨毛膜、羊膜と絨毛膜の組み合わせ、又はそれらのいずれかの一部分、若しくは、前述の組織のいずれかの組み合わせである、請求項41記載の方法。 単離された付着性胎盤幹細胞であって、該幹細胞は:CD200+及びHLA-G+であるか;CD73+、CD105+、及びCD200+であるか;CD200+及びOCT-4+であるか;CD73+、CD105+及びHLA-G+であるか;CD73+及びCD105+であり、かつ胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において該幹細胞を含む胎盤細胞の集団が培養されるとき、該集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進するか;又は、OCT-4+であり、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において該幹細胞を含む胎盤細胞の集団が培養されるとき、該集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進するか;又は、それらの組み合わせであり;かつ、該胎盤幹細胞が、由来において非母系である、前記胎盤幹細胞。 単離された付着性胎盤幹細胞の集団であって、該幹細胞は:CD200+及びHLA-G+であるか;CD73+、CD105+、及びCD200+であるか;CD200+及びOCT-4+であるか;CD73+、CD105+及びHLA-G+であるか;CD73+及びCD105+であり、かつ胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において該幹細胞を含む胎盤細胞の集団が培養されるとき、該集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進するか;又は、OCT-4+であり、胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において該幹細胞を含む胎盤細胞の集団が培養されるとき、該集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進するか;かつ、該胎盤幹細胞の少なくとも70%が、由来において非母系である、前記集団。 前記胎盤幹細胞の少なくとも90%が、由来において非母系である、請求項44記載の集団。 前記胎盤幹細胞の少なくとも99%が、由来において非母系である、請求項44記載の集団。 請求項43記載の単離された胎盤幹細胞を含む、組成物。 請求項44記載の単離された胎盤幹細胞集団を含む、組成物。 静脈内投与に適した形態である、請求項47記載の組成物。 静脈内投与に適した形態である、請求項48記載の組成物。 前記組成物が、該組成物の静脈内投与に適した容器内にある、請求項47記載の組成物。 前記組成物が、該組成物の静脈内投与に適した容器内にある、請求項48記載の組成物。 胎盤幹細胞の回収方法であって:臍帯血が除去され、潅流されて、残留血液を除去した哺乳類の胎盤を潅流させること;該胎盤を潅流溶液と共に、胎盤血管系を通じて潅流させること;該潅流溶液をただ該血管系のみを通じて回収すること、ここで、潅流後の該潅流溶液が、胎盤幹細胞を含む細胞の集団を含み、該胎盤幹細胞の少なくとも95%が、由来において胎児系であり;かつ、多数の該胎盤幹細胞を該細胞の集団から単離すること、を含む、前記胎盤幹細胞の回収方法。 前記潅流溶液が、臍帯静脈を通過して、臍帯動脈から回収される、請求項53記載の方法。 前記潅流溶液が、臍帯動脈を通過して、臍帯静脈から回収される、請求項53記載の方法。 請求項53記載の方法で回収された付着性胎盤幹細胞の単離された集団であって、該胎盤幹細胞の該単離された集団の少なくとも95%が、由来において胎児系である、前記集団。 前記胎盤幹細胞の99%以上が、由来において胎児系である、請求項51記載の単離された集団。 前記胎盤幹細胞が、該胎盤細胞の集団の少なくとも50%である、請求項51記載の単離された集団。 前記胎盤幹細胞が、該胎盤細胞の集団の少なくとも95%である、請求項51記載の単離された集団。 【課題】単離された胎盤幹細胞、胎盤幹細胞の集団、該幹細胞を含む組成物、及び該幹細胞を得る方法を提供する。【解決手段】単離された幹細胞、そのような幹細胞を含む細胞集団を提供し、ここで、該幹細胞は、胎盤組織(例えば、羊膜、絨毛膜、胎盤葉等)から単離することのできる状態にある。該胎盤幹細胞は、幹細胞の1つ以上の特徴を示し(例えば、幹細胞に関する標識を示し、分化されていない状態の培養状態で、少なくとも10〜20回で複製し、3つの胚葉を表する成体細胞に分化する等)、そして、組織培養基材(例えば、組織培養皿やマルチウェルプレートの表面のような組織培養プラスチック)に付着することができる。【選択図】図120130208A16333全文3 細胞集団を作成する方法であって、基材に付着した胎盤細胞を同定することと:CD200及びHLA-Gを発現するか;CD73、CD105及びCD200を発現するか;CD200及びOCT-4を発現するか;CD73、CD105及びHLA-Gを発現するか;CD73及びCD105を発現し、かつ胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において胎盤細胞の集団が培養されるとき、該集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進するか;又は、OCT-4を発現し、かつ(c)胚様体様組織体の形成が可能となる条件下において胎盤細胞の集団が培養されるとき、該集団において1個以上の胚様体様組織体の形成を促進し;かつ該細胞を他の細胞から単離して、細胞集団を形成すること、を含む、前記方法。