生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ビタミンEの分析方法
出願番号:2012553695
年次:2015
IPC分類:G01N 30/88,G01N 30/26


特許情報キャッシュ

橋本 博之 中上 拓也 渡辺 聡子 JP 5711272 特許公報(B2) 20150313 2012553695 20120116 ビタミンEの分析方法 築野食品工業株式会社 591066362 岩谷 龍 100077012 橋本 博之 中上 拓也 渡辺 聡子 JP 2011006545 20110117 20150430 G01N 30/88 20060101AFI20150409BHJP G01N 30/26 20060101ALI20150409BHJP JPG01N30/88 CG01N30/26 AG01N30/26 E G01N 30/00−30/96 JSTPlus(JDreamIII) CAplus/REGISTRY(STN) N.Rodrigo, A.Alegria, R.Barbera, and R.Farre,High-performance liquid chromatographic determination of tocopherols in infant formulas,Journal of Chromatography A,2002年 2月15日,Vol.947, No.1,P.97-102 Lillian Barros, Daniela M.Correia, Isabel C.F.R.Ferreira, Paula Baptista, and Celestino Santos-Buelg,Optimization of the determination of tocopherols in Agaricus sp. edible mushrooms by a normal phase,Food Chemistry,2008年10月15日,Vol.110, No.4,P.1046-1050 Barrie Tan, and Linda Brzuskiewicz,Separation of Tocopherol and Tocotrienol Isomers Using Normal- and Reverse-Phase Liquid Chromatograp,Analytical Biochemistry,1989年 8月 1日,Vol.180, No.2,P.368-373 A.K.Hewavitharana, M.C.Lanari, and C.Becu,Simultaneous determination of Vitamin E homologs in chicken meat by liquid chromatography with fluor,Journal of Chromatography A,2004年 2月 6日,Vol.1025, No.2,P.313-317 厚生労働省,食品衛生検査指針 理化学編 2005,2005年,P.128-133 インタクト株式会社,Imtakt Technical Information No.TI559E Tocopherols and tocotrienols [online],2012年 2月13日,<URL: http://www.imtaktusa.com/site_media/files/technical_information/TI559E.pdf > 2 JP2012050678 20120116 WO2012099037 20120726 8 20141204 黒田 浩一 本発明は、ビタミンEの分析方法に関し、詳細には、トコフェロールおよびトコトリエノールを含有する油脂中のビタミンE同族体の分析方法に関する。 ビタミンEはα−、β−、γ−、δ−トコフェロールおよびα−、β−、γ−、δ−トコトリエノールの8種類の同族体で構成されている。トコトリエノールは側鎖に3つの二重結合を持つ点でトコフェロールと構造が異なる。この構造の違いに基づいて、トコトリエノールはトコフェロールにはないさまざまな生理機能を持つことが明らかとなっている。例えば、トコトリエノールはトコフェロールの40〜60倍の抗酸化作用を有することが知られており、他にもコレステロール低下作用、抗ガン作用、血圧低下作用、神経細胞保護作用など多くの機能を有することが報告されている。トコフェロールの生理機能としては、抗酸化作用を中心とした過酸化脂質の生成抑制作用や血管保護・抗血栓作用などが知られている。 植物油脂には、ビタミンEとしてトコフェロールを主成分として含有する油脂と、トコフェロールおよびトコトリエノールの両方を主成分として含有する油脂が存在する。前者としては、大豆油、菜種油等が知られており、後者としては、パーム油、米油、アナトー油(ベニノキの種子から抽出される油脂)、ヤシ油、麦ヌカ油などが知られている。トコトリエノールを含有する油脂は、上記のようなトコトリエノールの生理機能の知見増加に伴い、その有用性が注目されている。 食品中のビタミンEの分析方法として、非特許文献1には、カラムに順相シリカカラム、移動相にヘキサン:THF:IPA=97.5:2:0.5(v/v)を用いて、流速1〜2mL/分で分析する方法が開示されている。非特許文献2には、カラムに順相シリカカラム、移動相にヘキサン:THF:酢酸=1000:6:5(v/v)を用いて、流速1.2mL/分で分析する方法が開示されている。非特許文献3には、カラムに順相シリカカラム、移動相にヘキサン:ジオキサン=96:4(v/v)を用いて、流速2mL/分で分析する方法が開示されている。しかしこれらの方法を用いて、米油中のビタミンEを分析しても、トコトリエノールのピークが他の成分のピークと重なり、トコトリエノールを正確に定量することができないという問題があった。 インタクト株式会社は、自社製のカラムを用いて8種類のビタミンE同族体の標品を分離可能な分析条件を開示している(非特許文献4参照)。しかしながら、本願出願人が非特許文献4に開示の方法で米油中のビタミンEを分析したところ、やはりトコトリエノールを正確に定量することができなかった。社団法人日本油化学会編纂「2003年版基準油脂分析試験法」2.4.10−2003(1〜4)厚生労働省監修「食品衛生検査指針理化学編2005」p128−p133四国地域イノベーション創出協議会「農水産物・加工食品中の健康機能性成分類の分析マニュアル集」平成22年3月、p17−p21、http://s-innovation.jp/support/food-manual.pdfImtakt Technical Information No.TI559E, Tocopherols and tocotrienols トコフェロール類とトコトリエノール類、http://www.imtaktusa.com/site_media/files/technical_information/TI559E.pdf 本発明は、トコフェロールおよびトコトリエノールを含有する油脂中のビタミンE同族体を、同族体ごとに正確に定量可能な分析方法を提供することを目的とする。 本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。[1]トコフェロールおよびトコトリエノールを含有する油脂中のビタミンE同族体を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により定量するビタミンEの分析方法であって、分離カラムとして順相カラムを用い、移動相としてヘキサン:酢酸エチル:酢酸=98.5〜99.8:0.1〜0.5:0.1〜1(v/v)を用いることを特徴とするビタミンEの分析方法。[2]α−トコトリエノールの理論段数が25000以上を示す分離カラムを用いることを特徴とする前記[1]に記載のビタミンEの分析方法。 本発明によれば、トコフェロールおよびトコトリエノールを含有する油脂中のビタミンE同族体を、同族体ごとに正確に定量することができる。実施例1の蛍光クロマトグラムを示す図である。実施例2の蛍光クロマトグラムを示す図である。比較例1の蛍光クロマトグラムを示す図である。 本発明は、トコフェロールおよびトコトリエノールを含有する油脂中のビタミンE同族体を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により定量するビタミンEの分析方法を提供する。ビタミンE同族体とは、α−、β−、γ−、δ−トコフェロールおよびα−、β−、γ−、δ−トコトリエノールの8種類である。 本発明の分析方法は、分離カラムとして順相カラムを用いることを特徴としている。順相カラムの種類は特に限定されないが、ポリマーカラム、シリカカラム、グラファイトカーボンカラム、ポリマーベースとシリカベースのあるアミノカラム、アミドカラム、ポリアミンカラムなどが挙げられる。中でも、シリカカラム、シリカベースのアミノカラムが好ましい。カラムの形状は特に限定されない。カラム充填剤の粒径は特に限定されないが、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。 本発明の分析方法に用いる順相カラムは、α−トコトリエノールの理論段数が25000以上を示すことが好ましい。理論段数とは、カラム中における物質のバンドの広がりの度合いを示す値であり、以下の式で定義される。 理論段数=16×(tR/W)2 tR:各ピークの保持時間(分) W:各ピークのピーク幅(分) α−トコトリエノールの理論段数が25000以上を示すカラムとは、最適条件で分析を行った際に、α−トコトリエノールの理論段数が25000以上を示すことを意味し、本発明の分析方法に含まれる分析条件のすべての範囲でα−トコトリエノールの理論段数が25000以上を示すことを要求するものではない。本発明の分析方法に用いる順相カラムのα−トコトリエノールの理論段数は、最適条件において25000以上を示すことが好ましく、30000以上であることがより好ましい。最適条件としては、例えば後述する実施例1の条件が挙げられるが、これに限定されるものではない。 本発明の分析方法で使用できるカラムとしては、例えば、Unison UK−Silica、Unison UK−Amino(以上、インタクト株式会社)、YMC−Pack SIL、YMC−Pack SIL06、YMC−Pack NH2、YMC−Pack PolyamineII(以上、YMC株式会社)、Shim−Pack HRC SiL、Shim−Pack HRC NH2(以上、島津製作所株式会社)、シリカ 5SiL 4E(昭和電工株式会社)、Luna Silica、Luna NH2(以上、Phenomenex株式会社)、Inertsil SIL−100A、Inertsil NH2(以上、GLサイエンス株式会社)、TSKgel NH2−100 3μm(東ソー株式会社)、Ascentis Silica(シグマアルドリッチ株式会社)、Microsorb Si、Microsorb Amino(以上、アジレントテクノロジー株式会社)、Develosil 30、Develosil 60、Develosil 100、Develosil NH2(以上、野村化学株式会社)、Hypercarb(ケムコ株式会社)などの市販カラムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、Unison UK−Silica(インタクト社)、Unison UK−Amino(インタクト社)が好ましい。 移動相は、順相カラムでの使用に適した溶媒であれば特に限定されず、具体的には、ヘキサン、THF、酢酸エチル、ジオキサン、アセトン、クロロホルム、エーテル類、アルコール類、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、ジクロロメタン、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。本発明の分析方法においては、ヘキサン:酢酸エチル:酢酸=98.5〜99.8:0.1〜0.5:0.1〜1(v/v)を用いることが好ましい。より好ましくは、ヘキサン:酢酸エチル:酢酸=99.1〜99.6:0.2〜0.3:0.4〜0.6(v/v)である。移動相に用いる有機溶媒は、HPLCグレード以上であることが好ましく、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。添加する酸化防止剤としては、例えばピロガロール(ピロガロール酸)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2−&3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、t−ブチルハイドロキノン(TBHQ)、エトキシキンなどが挙げられる。 カラム温度は、通常約10〜50℃の範囲で用いられ、約20〜40℃の範囲が好ましく、約25〜35℃の範囲がより好ましい。流速はカラムの性能上問題ない範囲であれば特に限定されない。検出器はビタミンEを検出できるものであれば特に限定されない。具体的には、蛍光(FL)検出器、紫外可視光(UV-Vis)検出器、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器、蒸発光散乱(ELSD)検出器、MS検出器、電気化学(EC)検出器、示差屈折率(RI)検出器、電気電導度(CD)検出器、コロナCAD検出器などが挙げられる。中でも、ビタミンEに対する特異性の点で、蛍光検出器を用いることが好ましい。 本発明の分析方法における分析対象であるトコフェロールおよびトコトリエノールを含有する油脂は、トコフェロールおよびトコトリエノールを含有し得る油脂であればよい。つまり、分析対象油脂は、トコフェロールおよびトコトリエノールを含有することが既に確認されている油脂に限定されるものではなく、トコトリエノールを含油することが未確認であるが含有する可能性のある油脂も分析対象油脂として好適である。また、本来トコトリエノールを含有しない油脂にトコトリエノールを添加した油脂も、本発明の分析方法における分析対象として好適である。トコフェロールおよびトコトリエノールを含有することが確認されている油脂としては、パーム油、米油、アナトー油、麦ぬか油、ヤシ油などが挙げられ、本発明の分析方法は、これらの油脂の分析に特に有効に適用できる。 分析用試料溶液の調製方法は、特に限定されないが、油脂の溶解性が高く、かつ移動相に近い極性を持つ有機溶媒にて分析対象油脂を溶解することが好ましい。好適な有機溶媒としては、ヘキサン、THF、酢酸エチル、ジオキサン、アセトン、クロロホルム、エーテル類、アルコール類、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、ジクロロメタン、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。分析用試料溶液調製用の有機溶媒は、HPLCグレード以上であることが好ましく、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。添加する酸化防止剤としては、例えばピロガロール(ピロガロール酸)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2−&3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、t−ブチルハイドロキノン(TBHQ)、エトキシキンなどが挙げられる。 以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。〔実施例1〕 10mL褐色メスフラスコに米サラダ油(築野食品工業製)1gを正確に測りとり、ヘキサンを加えて10mLとした(0.1g/mLヘキサン溶液)。試料注入量5μL(米サラダ油500μg相当)としてHPLC法により分析を行った。HPLCの分析装置には、ProminenceHPLCシステム(LC−20AB、島津製作所)を用いた。検出器には、蛍光検出器RF−10AxL(励起波長/蛍光波長=298/325nm、島津製作所)を、カラムには、インタクト社製「Unison UK−Silica」(4.6×250mm、粒子径3μm)を用いた。移動相は、ヘキサン:酢酸エチル:酢酸=99.25:0.25:0.5(v/v)とした。カラム温度30℃、流速1mL/分とした。 標品としてはビタミンE同族体8種類の標準品をそれぞれ10〜100μg/mLのヘキサン溶液として調製し、褐色瓶に保存して使用した。試料中の各ビタミンE同族体のピークの保持時間、ピーク面積、ピーク幅を測定し、絶対検量法により定量を行い、各ピークの理論段数を次式により求めた。 理論段数=16×(tR/W)2 tR:各ビタミンE同族体のピークの保持時間(分) W:各ビタミンE同族体のピークのピーク幅(分)〔実施例2〕 実施例1において、移動相をヘキサン:酢酸エチル:酢酸=99:0.5:0.5(v/v)に変更し、カラム温度を40℃に変更した以外は実施例1と同様に行った。〔比較例1〕 実施例1において、移動相を非特許文献4に開示された組成(ヘキサン:酢酸エチル:酢酸=96.9:3:0.1(v/v))とし、カラム温度を40℃に変更した以外は実施例1と同様に行った。〔結果〕(1)蛍光検出器によるクロマトグラム 実施例1のクロマトグラムを図1に、実施例2のクロマトグラムを図2に、比較例1のクロマトグラムを図3にそれぞれ示した。実施例1および実施例2では、α−、β−、γ−トコフェロール(T)、α−、β−、γ−トコトリエノール(T3)のピークが分離し、定量可能であった。また各同族体の分離は実施例1がより好ましかった。一方、比較例1では、α−トコトリエノールとγ−トコフェロールには不純物のピークが重なっており、また、β−トコフェロールとβ−トコトリエノールは不純物に埋没してピークが確認できず、各ビタミンE同族体の定量ができなかった。 実施例1、2および比較例1におけるα−トコトリエノールおよびγ−トコトリエノールの理論段数を表1に示した。用いた分離カラム(インタクト社製「Unison UK−Silica」(4.6×250mm、粒子径3μm))は、実施例1の条件において、α−トコトリエノールの理論段数が25000以上であることが示された。 実施例1におけるビタミンE同族体8種の定量値を表2に示した。 なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。 トコフェロールおよびトコトリエノールを含有する油脂中のビタミンE同族体を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により定量するビタミンEの分析方法であって、 分離カラムとして順相カラムを用い、移動相としてヘキサン:酢酸エチル:酢酸=98.5〜99.8:0.1〜0.5:0.1〜1(v/v)を用いることを特徴とするビタミンEの分析方法。 α−トコトリエノールの理論段数が25000以上を示す分離カラムを用いることを特徴とする請求項1に記載のビタミンEの分析方法。


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