タイトル: | 公表特許公報(A)_燃料、化学物質、およびアミノ酸の改善された産生のための、低減された副産物蓄積を有する酵母微生物 |
出願番号: | 2012553020 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C12N 1/19,C12N 15/09,C12P 7/56,C12P 7/52,C12P 7/16 |
エヴァンス,ケント ケリー,ジュリー バスティアン,サビーン アーノルド,フランシス ブエルター,トーマス ホーキンス,アンドリュー ポーター−シェインマン,ステファニー メインホールド,ピーター ダンドン,キャサリン,アスルソン アリスティドウ,アリストス ウラノ,ジュン リース,ドン ピータース,マシュー デイ,メリッサ ジャンカウスカス,ジャスタス ベリー,ルース JP 2013519376 公表特許公報(A) 20130530 2012553020 20110211 燃料、化学物質、およびアミノ酸の改善された産生のための、低減された副産物蓄積を有する酵母微生物 ジーヴォ,インコーポレイテッド 510153973 カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー 506321458 稲葉 良幸 100079108 大貫 敏史 100109346 エヴァンス,ケント ケリー,ジュリー バスティアン,サビーン アーノルド,フランシス ブエルター,トーマス ホーキンス,アンドリュー ポーター−シェインマン,ステファニー メインホールド,ピーター ダンドン,キャサリン,アスルソン アリスティドウ,アリストス ウラノ,ジュン リース,ドン ピータース,マシュー デイ,メリッサ ジャンカウスカス,ジャスタス ベリー,ルース US 61/430,801 20110107 US 61/411,885 20101109 US 61/352,133 20100607 US 61/282,641 20100310 US 61/308,568 20100226 US 61/304,069 20100212 C12N 1/19 20060101AFI20130507BHJP C12N 15/09 20060101ALI20130507BHJP C12P 7/56 20060101ALI20130507BHJP C12P 7/52 20060101ALI20130507BHJP C12P 7/16 20060101ALI20130507BHJP JPC12N1/19C12N15/00 AC12P7/56C12P7/52C12P7/16 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2011024482 20110211 WO2011142865 20111117 202 20121015 4B024 4B064 4B065 4B024AA03 4B024AA20 4B024BA07 4B024BA08 4B024BA80 4B024CA01 4B024CA03 4B024CA09 4B024CA11 4B024CA20 4B024DA12 4B024EA04 4B024GA11 4B024HA01 4B024HA08 4B024HA11 4B064AC04 4B064AD06 4B064AD33 4B064CA01 4B064CA19 4B064CA21 4B064CC24 4B064DA16 4B065AA01X 4B065AA57X 4B065AA72X 4B065AA72Y 4B065AA73X 4B065AA73Y 4B065AA87X 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA01 4B065CA44 4B065CA46 4B065CA47 4B065CA60関連出願への相互参照 本出願は、2010年2月12日に出願された米国仮出願第61/304,069号、2010年2月26日に出願された米国仮出願第61/308,568号、2010年3月10日に出願された米国仮出願第61/282,641号、2010年6月7日に出願された米国仮出願第61/352,133号、2010年11月9日に出願された米国仮出願第61/411,885号、および2011年1月7日に出願された米国仮出願第61/430,801号に対する優先権を主張し、これらの各々は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。政府支援の承認 本発明は、米国農務省によって授与された契約第2009−10006−05919号の下、および米国陸軍省研究所によって授与された契約第W911NF−09−2−0022号の下で、政府支援により行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。 組み換え微生物、およびかかる生物を産生する方法が提供される。好適な基質を、組み換え微生物およびそれに由来する酵素調製物と接触させることによって、燃料、化学物質、およびアミノ酸を含む有益な代謝物を産生する方法もまた、提供される。電子的に提出されたテキストファイルの説明 本明細書と共に電子的に提出された次のテキストファイルの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる:コンピュータ可読形式の配列表のコピー(ファイル名:GEVO_045_03WO_SeqList_ST25.txt、記録日:2011年2月9日、ファイルサイズ:306キロバイト)。 ピルビン酸塩を、燃料、化学物質、およびアミノ酸を含む有益な代謝物に変換する微生物の能力は、近年、文献において幅広く記載されている。例えば、Alper et al.,2009,Nature Microbiol.Rev.7:715−723を参照されたい。組み換え工学技術は、バリン、イソロイシン、ロイシン、およびパントテン酸(ビタミンB5)等の多数の有用な産物を産生することができる生合成経路を発現する、微生物の作成を可能にしている。加えて、イソブタノール等の燃料は、異種代謝経路を発現する微生物中で組み換えにより産生されている(例えば、Donaldsonらに対する国際公開第/2007/050671号、およびLiaoらに対する国際公開第/2008/098227号を参照されたい)。操作された微生物は、燃料、化学物質、およびアミノ酸の再生可能な産物のために潜在的に有用なツールを代表するが、これらの微生物の多くは、それらの低生産性、低力価、および低収率を含む低性能特性に起因して、商業的妥当性を満たしていない。 多くの既存の微生物中で観察される最適未満の性能に対する主な理由の1つは、経路中間体の所望されない副産物への望ましくない変換である。本発明者らは、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)(CAS番号14868−24−7)、2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩、2,3−ジヒドロキシ−2−メチル−ブタノエート、イソ酪酸塩、3−メチル−1−酪酸塩、2−メチル−1−酪酸塩、およびプロピオン酸塩を含む、種々の副産物を特定しており、それらは、燃料、化学物質、およびアミノ酸を産生するために使用される生合成経路の種々の中間体に由来する。これらの副産物の蓄積は、多様な発酵反応における望ましい代謝物の合成および収率に悪影響を及ぼす。現在まで、これらの所望されない副産物の産生に関与する酵素活性は、特徴付けられていない。より具体的には、本出願は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の活性が、これらの副産物の、重要な生合成経路中間体からの形成を許容することを示す。 本発明は、これらの酵素活性の研究からもたらされ、3−KARおよび/またはALDH酵素の抑制が、所望されない副産物の形成を大幅に低減または排除し、かつ同時に有益な代謝物の収率および力価を改善することを示す。本出願は、3−KARおよび/またはALDH酵素活性の増強を使用して、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)、2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩、2,3−ジヒドロキシ−2−メチル−ブタノエート、イソ酪酸塩、3−メチル−1−酪酸塩、2−メチル−1−酪酸塩、およびプロピオン酸塩等の、種々の副産物の産生を増加させることができることを更に示す。発明の概要 本発明者らは、生物燃料候補である、イソブタノールの発酵を含む、種々の発酵プロセス中に、所望されない副産物が蓄積し得ることを発見した。これらの所望されない副産物の蓄積は、3−ケト酸であるアセト乳酸および2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩、ならびに/またはイソブチルアルデヒド、1−ブタナール、1−プロパナール、2−メチル−1−ブタナール、および3−メチル−1−ブタナール等のアルデヒドを含む、経路中間体の望ましくない変換からもたらされる。これらの中間体の、所望されない副産物への変換は、3−ケト酸−および/またはアルデヒド由来産物の最適な生産性および収率を妨げ得る。したがって、本発明者らは、3−ケト酸および/またはアルデヒドが経路中間体として作用するプロセス中に、3−ケト酸および/またはアルデヒド中間体の、種々の発酵副産物への変換を低減するための方法を開発した。 第1の態様では、本発明は、3−ケト酸および/またはアルデヒドが中間体である生合成経路を含む組み換え微生物に関し、該組み換え微生物は、(a)3−ケト酸の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する酵素が実質的になく、(b)アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素が実質的になく、(c)3−ケト酸の、3−ヒドロキシ酸への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ/あるいは(d)アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。一実施形態では、3−ケト酸は、アセト乳酸である。別の実施形態では、3−ケト酸は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩である。 一実施形態では、本発明は、中間体として3−ケト酸であるアセト乳酸を使用する生合成経路を含む組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、アセト乳酸の、対応する3−ヒドロキシ酸、DH2MBへの変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。幾つかの実施形態では、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。 一実施形態では、本発明は、中間体として3−ケト酸である2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を使用する生合成経路を含む組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、アセト乳酸の対応する3−ヒドロキシ酸、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートへの変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。幾つかの実施形態では、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。 一実施形態では、本発明は、中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路を含む組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。幾つかの実施形態では、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)である。 一実施形態では、本発明は、中間体として3−ケト酸およびアルデヒドの両方を使用する生合成経路を含む組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、(a)3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ(b)アルデヒド中間体の酸副産物への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。一実施形態では、3−ケト酸は、アセト乳酸であり、3−ヒドロキシ酸副産物は、DH2MBである。別の実施形態では、3−ケト酸は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩であり、3−ヒドロキシ酸副産物は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートである。幾つかの実施形態では、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。幾つかの他の実施形態では、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。幾つかの他の実施形態では、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)である。なおも幾つかの他の実施形態では、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)であり、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)である。なおも幾つかの他の実施形態では、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)であり、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)である。 本明細書に記載される種々の実施形態では、本発明の組み換え微生物は、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または欠失を含んでもよい。一実施形態では、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現は、少なくとも約50%低減される。別の実施形態では、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現は、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または欠失を含まない組み換え微生物と比較して、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%低減される。一実施形態では、3−ケト酸中間体は、アセト乳酸であり、3−ヒドロキシ酸副産物は、DH2MBである。別の実施形態では、3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩であり、3−ヒドロキシ酸副産物は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートである。 本明細書に記載される種々の実施形態では、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与するタンパク質は、ケトレダクターゼである。例示的な実施形態では、ケトレダクターゼは、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。別の実施形態では、タンパク質は、短鎖アルコールデヒドロゲナーゼである。なおも別の実施形態では、タンパク質は、中鎖アルコールデヒドロゲナーゼである。なおも別の実施形態では、タンパク質は、アルドースレダクターゼである。なおも別の実施形態では、タンパク質は、D−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼである。なおも別の実施形態では、タンパク質は、乳酸デヒドロゲナーゼである。なおも別の実施形態では、タンパク質は、S.セレビシエのYAL060W、YJR159W、YGL157W、YBL114W、YOR120W、YKL055C、YBR159W、YBR149W、YDL168W、YDR368W、YLR426W、YCR107W、YIL124W、YML054C、YOL151W、YMR318C、YMR226C、YBR046C、YHR104W、YIR036C、YDL174C、YDR541C、YBR145W、YGL039W、YCR105W、YDL124W、YIR035C、YFL056C、YNL274C、YLR255C、YGL185C、YGL256W、YJR096W、YMR226C、YJR155W、YPL275W、YOR388C、YLR070C、YMR083W、YER081W、YJR139C、YDL243C、YPL113C、YOL165C、YML086C、YMR303C、YDL246C、YLR070C、YHR063C、YNL331C、YFL057C、YIL155C、YOL086C、YAL061W、YDR127W、YPR127W、YCl018W、YIL074C、YIL124W、およびYEL071W遺伝子、ならびにそれらの相同体からなる群から選択される。 一実施形態では、内在性タンパク質は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。例示的な実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエYMR226C(配列番号1)タンパク質であり、本明細書で「TMA29」と交換可能に使用される。幾つかの実施形態では、内在性タンパク質は、S.セレビシエYMR226C(配列番号1)タンパク質またはその相同体もしくは変異体であってもよい。一実施形態では、相同体は、バンデルワルトムジマ(Vanderwaltomzyma)・ポリスポラ(配列番号2)、サッカロミセス・カステリイ(配列番号3)、カンジダ・グラブラタ(配列番号4)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号5)、ジゴサッカロミセス・ロウキシイ(配列番号6)、クルイベロミセス・ラクチス(配列番号7)、アシビア・ゴシピイ(配列番号8)、サッカロミセス・クルイベリ(配列番号9)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号10)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号11)、ピキア・スチピチス(配列番号12)、デバロミセス・ハンセニイ(配列番号13)、ピキア・パストリス(配列番号14)、カンジダ・デュブリニエンシス(配列番号15)、カンジダ・アルビカンス(配列番号16)、ヤロウィア・リポリチカ(配列番号17)、イッサチェンキア・オリエンタリス(配列番号18)、アスペルギルス・ニデュランス(配列番号19)、アスペルギルス・ニガー(配列番号20)、ニューロスポラ・クラッサ(配列番号21)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号22)、およびクルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号23)からなる群から選択されてもよい。 一実施形態では、組み換え微生物は、3−ケト酸レダクターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子における突然変異を含み、該遺伝子によってコードされるポリペプチドの3−ケト酸レダクターゼ活性の低減をもたらす。別の実施形態では、組み換え微生物は、3−ケト酸レダクターゼをコードする遺伝子の部分的欠失を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドの3−ケト酸レダクターゼ活性の低減をもたらす。別の実施形態では、組み換え微生物は、3−ケト酸レダクターゼをコードする遺伝子の完全な欠失を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドの3−ケト酸レダクターゼ活性の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、3−ケト酸レダクターゼをコードする遺伝子に関連する調節領域の改変を含み、該遺伝子によってコードされるポリペプチドの発現の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、転写調節因子の改変を含み、3−ケト酸レダクターゼをコードする遺伝子の転写の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、3−ケト酸レダクターゼをコードする全ての遺伝子において突然変異を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドの活性の低減をもたらす。一実施形態では、3−ケト酸レダクターゼ活性または発現は、少なくとも約50%低減される。別の実施形態では、3−ケト酸レダクターゼ活性または発現は、3−ケト酸レダクターゼ活性または発現の低減を含まない組み換え微生物と比較して、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%低減される。一実施形態では、該3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエTMA29(YMR226C)遺伝子またはその相同体によってコードされる。 本明細書に記載される種々の実施形態では、本発明の組み換え微生物は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または欠失を含んでもよい。一実施形態では、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現は、少なくとも約50%低減される。別の実施形態では、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または欠失を含まない組み換え微生物と比較して、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%低減される。 本明細書に記載される種々の実施形態では、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する内在性タンパク質は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)である。一実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、ALD6、およびHFD1からなる群から選択される遺伝子、ならびにそれらの相同体および変異体によってコードされる。例示的な実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエALD6(配列番号25)タンパク質である。幾つかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエALD6(配列番号25)タンパク質またはその相同体もしくは変異体である。一実施形態では、相同体は、サッカロミセス・カステリイ(配列番号26)、カンジダ・グラブラタ(配列番号27)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号28)、クルイベロミセス・ラクチス(配列番号29)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号30)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号31)、サッカロミセス・セレビシエYJ789(配列番号32)、サッカロミセス・セレビシエJAY291(配列番号33)、サッカロミセス・セレビシエEC1118(配列番号34)、サッカロミセス・セレビシエDBY939(配列番号35)、サッカロミセス・セレビシエAWRI1631(配列番号36)、サッカロミセス・セレビシエRM11−1a(配列番号37)、ピキア・パストリス(配列番号38)、クルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号39)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号40)、およびシゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号41)からなる群から選択される。 一実施形態では、組み換え微生物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの遺伝子における突然変異を含み、該遺伝子によってコードされるポリペプチドのアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の低減をもたらす。別の実施形態では、組み換え微生物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の部分的欠失を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の低減をもたらす。別の実施形態では、組み換え微生物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の完全な欠失を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に関連する調節領域の改変を含み、該遺伝子によってコードされるポリペプチドの発現の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、転写調節因子の改変を含み、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の転写の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする全ての遺伝子において突然変異を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドの活性の低減をもたらす。一実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性または発現は、少なくとも約50%低減される。別の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性または発現は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性または発現の低減を含まない組み換え微生物と比較して、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%低減される。一実施形態では、該アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエALD6遺伝子またはその相同体によってコードされる。 本明細書に記載される種々の実施形態では、組み換え微生物は、中間体として3−ケト酸を使用する生合成経路を含んでもよい。一実施形態では、3−ケト酸中間体は、アセト乳酸である。中間体としてアセト乳酸を使用する生合成経路は、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−1−ペンタノール、および補酵素Aの生合成のための経路から選択されてもよい。別の実施形態では、3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩である。中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を使用する生合成経路は、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの生合成のための経路から選択されてもよい。 本明細書に記載される種々の実施形態では、組み換え微生物は、中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路を含んでもよい。中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路は、イソブタノール、1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの生合成のための経路から選択されてもよい。本明細書に記載される種々の実施形態では、アルデヒド中間体は、イソブチルアルデヒド、1−ブタナール、2−メチル−1−ブタナール、3−メチル−1−ブタナール、1−プロパナール、1−ペンタナール、1−ヘキサナール、3−メチル−1−ペンタナール、4−メチル−1−ペンタナール、4−メチル−1−ヘキサナール、および5−メチル−1−ヘプタナールから選択されてもよい。 本明細書に記載される種々の実施形態では、組み換え微生物は、中間体として3−ケト酸およびアルデヒドを使用する生合成経路を含んでもよい。一実施形態では、3−ケト酸中間体は、アセト乳酸である。中間体としてアセト乳酸およびアルデヒドを使用する生合成経路は、イソブタノール、1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノールの生合成のための経路から選択されてもよい。別の実施形態では、3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩である。中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩およびアルデヒドを使用する生合成経路は、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの生合成のための経路から選択されてもよい。 一実施形態では、本発明は、イソブタノールを産生するための組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、イソブタノール産生代謝経路を含み、該微生物は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。幾つかの実施形態では、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。特定の実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエTMA29(YMR226C)遺伝子またはその相同体によってコードされる。 別の実施形態では、本発明は、イソブタノールを産生するための組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、イソブタノール産生代謝経路を含み、該微生物は、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。幾つかの実施形態では、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼである。特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエALD6遺伝子またはその相同体によってコードされる。 なおも別の実施形態では、本発明は、イソブタノールを産生するための組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、イソブタノール産生代謝経路を含み、該微生物は、(i)アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ(ii)イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。幾つかの実施形態では、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。特定の実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエTMA29(YMR226C)遺伝子またはその相同体によってコードされる。幾つかの実施形態では、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼである。特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエALD6遺伝子またはその相同体によってコードされる。 一実施形態では、イソブタノール産生代謝経路は、ピルビン酸塩のイソブタノールへの変換におけるステップを触媒する少なくとも1つの外来性遺伝子を含む。別の実施形態では、イソブタノール産生代謝経路は、ピルビン酸塩のイソブタノールへの変換におけるステップを触媒する少なくとも2つの外来性遺伝子を含む。なおも別の実施形態では、イソブタノール産生代謝経路は、ピルビン酸塩のイソブタノールへの変換におけるステップを触媒する少なくとも3つの外来性遺伝子を含む。なおも別の実施形態では、イソブタノール産生代謝経路は、ピルビン酸塩のイソブタノールへの変換におけるステップを触媒する少なくとも4つの外来性遺伝子を含む。なおも別の実施形態では、イソブタノール産生代謝経路は、ピルビン酸塩のイソブタノールへの変換におけるステップを触媒する5つの外来性遺伝子を含む。 一実施形態では、イソブタノール経路遺伝子のうちの1つ以上が、サイトゾルに局在化される酵素をコードする。一実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも1つのイソブタノール経路酵素がサイトゾルに局在化される、イソブタノール産生代謝経路を含む。別の実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも2つのイソブタノール経路酵素がサイトゾルに局在化される、イソブタノール産生代謝経路を含む。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも3つのイソブタノール経路酵素がサイトゾルに局在化される、イソブタノール産生代謝経路を含む。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも4つのイソブタノール経路酵素がサイトゾルに局在化される、イソブタノール産生代謝経路を含む。例示的な実施形態では、組み換え微生物は、5つのイソブタノール経路酵素がサイトゾルに局在化される、イソブタノール産生代謝経路を含む。 本明細書に記載される種々の実施形態では、イソブタノール経路遺伝子は、アセト乳酸シンターゼ(ALS)、ケトール酸レダクトイソメラーゼ(KARI)、ヒジドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)、2−ケト−酸デカルボキシラーゼ(KIVD)、およびアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)からなる群から選択される酵素をコードする。 別の態様では、組み換え微生物は、1つ以上のアルコールデヒドロゲナーゼの発現を低減および/または排除することによって、イソブタノールのイソブチルアルデヒドへの変換を低減するように操作されてもよい。特定の実施形態では、アルコールデヒドロゲナーゼは、ADH1、ADH2、ADH3、ADH4、ADH5、ADH6、およびADH7、ならびにそれらの相同体および変異体からなる群から選択される遺伝子によってコードされる。 別の態様では、本発明は、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する増強された能力を示す、改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)酵素に関する。一般に、これらの改善されたADH酵素を発現する細胞は、発酵反応中に増加されたレベルのイソブタノールを産生するであろう。本発明の改変されたADH酵素が、イソブタノール産生発酵反応における実用性を有する一方で、改変されたADH酵素がまた、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノール等の他のアルコールを産生する発酵反応において有用性を有することは、本開示を提供される当業者によって理解されるであろう。 ある態様では、本発明は、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する酵素の能力を増強するように改変されている、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)を対象とする。かかるADHの例としては、(a)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のチロシン50、(b)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のグルタミン77、(c)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のバリン108、(d)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のチロシン113、(e)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のイソロイシン212、および(f)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のロイシン264から選択されるアミノ酸に対応する位置において1つ以上の突然変異を有する酵素が挙げられ、ここでAdhA(配列番号185)は、L.ラクチスアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)遺伝子adhA(配列番号184)またはそのコドン最適化バージョン(配列番号206)によってコードされる。 一実施形態では、改変されたADH酵素は、L.ラクチスAdhA(配列番号185)の50位に対応するアミノ酸において突然変異を含有する。別の実施形態では、改変されたADH酵素は、L.ラクチスAdhA(配列番号185)の77位に対応するアミノ酸において突然変異を含有する。なおも別の実施形態では、改変されたADH酵素は、L.ラクチスAdhA(配列番号185)の108位に対応するアミノ酸において突然変異を含有する。なおも別の実施形態では、改変されたADH酵素は、L.ラクチスAdhA(配列番号185)の113位に対応するアミノ酸において突然変異を含有する。なおも別の実施形態では、改変されたADH酵素は、L.ラクチスAdhA(配列番号185)の212位に対応するアミノ酸において突然変異を含有する。なおも別の実施形態では、改変されたADH酵素は、L.ラクチスAdhA(配列番号185)の264位に対応するアミノ酸において突然変異を含有する。 一実施形態では、ADH酵素は、上述の位置に対応するアミノ酸において2つ以上の突然変異を含有する。別の実施形態では、ADH酵素は、上述の位置に対応するアミノ酸において3つ以上の突然変異を含有する。なおも別の実施形態では、ADH酵素は、上述の位置に対応するアミノ酸において4つ以上の突然変異を含有する。なおも別の実施形態では、ADH酵素は、上述の位置に対応するアミノ酸において5つ以上の突然変異を含有する。なおも別の実施形態では、ADH酵素は、上述の位置に対応するアミノ酸において6つの突然変異を含有する。 1つの特定の実施形態では、本発明は、50位のチロシンがフェニルアラニンまたはトリプトファン残基と置換される、ADH酵素を対象とする。別の特定の実施形態では、本発明は、77位のグルタミンがアルギニンまたはセリン残基と置換される、ADH酵素を対象とする。別の特定の実施形態では、本発明は、108位のバリンがセリンまたはアラニン残基と置換される、ADH酵素を対象とする。別の特定の実施形態では、本発明は、113位のチロシンがフェニルアラニンまたはグリシン残基と置換される、ADH酵素を対象とする。別の特定の実施形態では、本発明は、212位のイソロイシンがスレオニンまたはバリン残基と置換される、ADH酵素を対象とする。なおも別の特定の実施形態では、本発明は、264位のロイシンがバリン残基と置換される、ADH酵素を対象とする。一実施形態では、ADH酵素は、これらの特定の実施形態に記載される位置に対応するアミノ酸において2つ以上の突然変異を含有する。別の実施形態では、ADH酵素は、これらの特定の実施形態に記載される位置に対応するアミノ酸において3つ以上の突然変異を含有する。なおも別の実施形態では、ADH酵素は、これらの特定の実施形態に記載される位置に対応するアミノ酸において4つ以上の突然変異を含有する。なおも別の実施形態では、ADH酵素は、これらの特定の実施形態に記載される位置に対応するアミノ酸において5つ以上の突然変異を含有する。なおも別の実施形態では、ADH酵素は、これらの特定の実施形態に記載される位置に対応するアミノ酸において6つの突然変異を含有する。 ある例示的な実施形態では、ADH酵素は、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号203、配列番号205、配列番号208、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配列番号216、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号224選択される配列、および野生型または親酵素と比較した対応する突然変異を含むその相同体もしくは変異体を含む。 前の段落で言及されたように、上に提示されるものに対応する変化を含有する、L.ラクチスAdhA(配列番号185)以外のADH酵素が、本発明の範囲内に更に含まれる。かかるADH酵素には、表97に列挙されるADH酵素が含まれてもよいが、これらに限定されない。 幾つかの実施形態では、改変対象のADH酵素は、NADH依存性ADH酵素である。かかるNADH依存性ADH酵素の例は、譲受人共通および同時係属中の米国特許公開第2010/0143997号に記載され、それは参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態では、元々、NADPH利用ADH酵素をコードする遺伝子は、酵素のNADHに対する補因子優先度を切り替えるように改変される。 本明細書に記載されるように、改変されたADHは一般的に、野生型または親ADHと比較して、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する増強された能力を示す。好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率(kcat/KM)は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約5%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約15%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約25%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約50%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約75%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約100%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約200%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約500%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約1000%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約2000%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約3000%増強される。最も好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約3500%増強される。 さらなる態様では、本発明は、酵母および大腸菌等の、ある種の望ましい宿主生物における発現のためにコドン最適化された、改変されたADH酵素を対象とする。他の態様では、本発明は、本発明の改変されたADH酵素を含む組み換え宿主細胞を対象とする。この態様によれば、本発明はまた、イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換が所望される、任意の発酵プロセスにおいて改変されたADH酵素を使用する方法も対象とする。この態様による一実施形態では、改変されたADH酵素は、イソブタノールを産生する宿主細胞の能力を増強するのに好適である可能性がある。この態様による別の実施形態では、改変されたADH酵素は、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノールを産生する宿主細胞の能力を増強するのに好適である可能性がある。 本明細書に記載される種々の実施形態では、組み換え微生物を含む改変されたADHは、イソブタノール産生代謝経路を発現するように更に操作されてもよい。一実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも1つの外来性遺伝子を含むイソブタノール産生代謝経路を発現するように操作されてもよい。一実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも2つの外来性遺伝子を含むイソブタノール産生代謝経路を発現するように操作されてもよい。別の実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも3つの外来性遺伝子を含むイソブタノール産生代謝経路を発現するように操作されてもよい。別の実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも4つの外来性遺伝子を含むイソブタノール産生代謝経路を発現するように操作されてもよい。別の実施形態では、組み換え微生物は、5つの外来性遺伝子を含むイソブタノール産生代謝経路を発現するように操作されてもよい。故に、本発明は更に、イソブタノール産生代謝経路を含む組み換え微生物、および該組み換え微生物を使用してイソブタノールを産生する方法を提供する。 本明細書に記載される種々の実施形態では、イソブタノール経路酵素は、アセト乳酸シンターゼ(ALS)、ケトール酸レダクトイソメラーゼ(KARI)、ヒジドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)、2−ケト−酸デカルボキシラーゼ(KIVD)、およびアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)から選択される。 本明細書に記載される種々の実施形態では、イソブタノール経路酵素は、原核生物に由来してもよい。本明細書に記載される代替的な実施形態では、イソブタノール経路酵素は、真核生物に由来してもよい。ピルビン酸塩をイソブタノールに変換する例示的な代謝経路は、例えば、B.スブチリスからのalsSによってコードされるアセトヒドロキシ酸シンターゼ(ALS)酵素、例えば、大腸菌からのilvCによってコードされるケトール酸レダクトイソメラーゼ(KARI)、例えば、L.ラクチスからのilvDによってコードされるジヒドロオキシ(dihyroxy)−酸デヒドラターゼ(DHAD)、例えば、L.ラクチスからのkivDによってコードされる2−ケト−酸デカルボキシラーゼ(KIVD)、および例えば、L.ラクチスからのadhAによってコードされるアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)(例えば、本明細書に記載される改変されたADH)からなってもよく、本明細書に記載されるY50、Q77、V108、Y113、I212、およびL264位における1つ以上の突然変異を有する。 本明細書に記載される種々の実施形態では、組み換え微生物は、サッカロミセスクレード、サッカロミセス・センス・ストリクト微生物、クラブトリー陰性酵母微生物、クラブトリー陽性酵母微生物、WGD(全ゲノム重複)後酵母微生物、WGD(全ゲノム重複)前酵母微生物、および非発酵酵母微生物の微生物であってもよい。 幾つかの実施形態では、組み換え微生物は、サッカロミセスクレードの酵母組み換え微生物であってもよい。 幾つかの実施形態では、組み換え微生物は、サッカロミセス・センス・ストリクト微生物であってもよい。一実施形態では、サッカロミセス・センス・ストリクトは、S.セレビシエ、S.クドリアブゼビイ、S.ミカタエ、S.バヤヌス、S.ウバルム.S.カロカニス、およびそれらのハイブリッドからなる群から選択される。 幾つかの実施形態では、組み換え微生物は、クラブトリー陰性組み換え酵母微生物であってもよい。一実施形態では、クラブトリー陰性酵母微生物は、サッカロミセス、クルイベロミセス、ピキア、イッサトケンキア、ハンゼヌラ、またはカンジダからなる群から選択される属に分類される。さらなる実施形態では、クラブトリー陰性酵母微生物は、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・ラクチス、クルイベロミセス・マルシアヌス、ピキア・アノマラ、ピキア・スチピチス、ハンゼヌラ・アノマラ、カンジダ・ウチリス、およびクルイベロミセス・ワルチイから選択される。 幾つかの実施形態では、組み換え微生物は、クラブトリー陽性組み換え酵母微生物であってもよい。一実施形態では、クラブトリー陽性酵母微生物は、サッカロミセス、クルイベロミセス、ジゴサッカロミセス、デバリオミセス、カンジダ、ピキア、およびシゾサッカロミセスからなる群から選択される属に分類される。さらなる実施形態では、クラブトリー陽性酵母微生物は、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリイ、クルイベロミセス・サーモトレランス、カンジダ・グラブラタ、Z.・バイリ、Z.・ロウキシイ、デバリオミセス・ハンセニイ、ピキア・パストリウス、シゾサッカロミセス・ポンベ、およびサッカロミセス・ウバルムからなる群から選択される。 幾つかの実施形態では、組み換え微生物は、WGD(全ゲノム重複)後酵母組み換え微生物であってもよい。一実施形態では、WGD後酵母組み換え微生物は、サッカロミセスまたはカンジダからなる群から選択される属に分類される。さらなる実施形態では、WGD後酵母は、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリイ、およびカンジダ・グラブラタからなる群から選択される。 幾つかの実施形態では、組み換え微生物は、WGD(全ゲノム重複)前酵母組み換え微生物であってもよい。一実施形態では、WGD前酵母組み換え微生物は、サッカロミセス、クルイベロミセス、カンジダ、ピキア、イッサトケンキア、デバリオミセス、ハンゼヌラ、パキソレン、ヤロウィア、およびシゾサッカロミセスからなる群から選択される属に分類される。さらなる実施形態では、WGD前酵母は、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・サーモトレランス、クルイベロミセス・マルシアヌス、クルイベロミセス・ワルチイ、クルイベロミセス・ラクチス、カンジダ・トロピカリス、ピキア・パストリス、ピキア・アノマラ、ピキア・スチピチス、イッサチェンキア・オリエンタリス、イッサチェンキア・オシデンタリス、デバリオミセス・ハンセニイ、ハンゼヌラ・アノマラ、パキソレン・タンノフィリス(tannophilis)、ヤロウィア・リポリチカ、およびシゾサッカロミセス・ポンベからなる群から選択される。 幾つかの実施形態では、組み換え微生物は、トリコスポロン、ロドトルラ、ミキソチマ、またはカンジダからなる群から選択される属に分類されるものを含むが、これらに限定されない、非発酵酵母微生物である微生物であってもよい。特定の実施形態では、非発酵酵母は、C.ゼストビイ(xestobii)である。 別の態様では、本発明は、本明細書に記載される組み換え微生物を使用する燃料、化学物質、およびアミノ酸を含む、有益な代謝物を産生する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、回収可能な量の代謝物が産生されるまで、組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養すること、および任意に、代謝物を回収することを含む。一実施形態では、微生物は、少なくとも約5パーセント理論収率の収率で、炭素源から代謝物を産生する。別の実施形態では、微生物は、少なくとも約10パーセント、少なくとも約15パーセント、約少なくとも約20パーセント、少なくとも約25パーセント、少なくとも約30パーセント、少なくとも約35パーセント、少なくとも約40パーセント、少なくとも約45パーセント、少なくとも約50パーセント、少なくとも約55パーセント、少なくとも約60パーセント、少なくとも約65パーセント、少なくとも約70パーセント、少なくとも約75パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約85パーセント、少なくとも約90パーセント、少なくとも約95パーセント、または少なくとも約97.5パーセント理論収率の収率で、代謝物を産生する。一実施形態では、代謝物は、中間体として3−ケト酸を使用する生合成経路に由来してもよい。一実施形態では、3−ケト酸中間体は、アセト乳酸である。したがって、代謝物は、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−1−ペンタノール、および補酵素Aを含むが、これらに限定されない、中間体としてアセト乳酸を使用する生合成経路に由来してもよい。別の実施形態では、3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩である。したがって、代謝物は、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールを含むが、これらに限定されない、中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を使用する生合成経路に由来してもよい。別の実施形態では、代謝物は、イソブタノール、1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールを含むが、これらに限定されない、中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路に由来してもよい。なおも別の実施形態では、代謝物は、イソブタノール、1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノール生合成経路を含むが、これらに限定されない、中間体としてアセト乳酸およびアルデヒドを使用する生合成経路に由来してもよい。なおも別の実施形態では、代謝物は、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノール生合成経路を含むが、これらに限定されない、中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩およびアルデヒドを使用する生合成経路に由来してもよい。 一実施形態では、組み換え微生物は、好気性条件下で増殖させられる。別の実施形態では、組み換え微生物は、微好気性条件下で増殖させられる。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、嫌気性条件下で増殖させられる。 本発明の例証的な実施形態は、次のように、図面で例証される。イソブタノール経路の例示的な実施形態を例証する。3−ケト酸レダクターゼによって触媒可能な例示的な反応を例証する。例示的な3−ケト酸レダクターゼの非限定的な一覧、およびそれらの対応する酵素分類番号を例証する。図3−1の続き。アルデヒドデヒドロゲナーゼによって触媒可能な例示的な反応を例証する。イソブタノール産生組み換え微生物中の、DH2MBおよびイソ酪酸塩の産生を低減するための戦略を例証する。3−メチル−1−ブタノール産生組み換え微生物中の、DH2MBおよび3−メチル−1−酪酸塩の産生を低減するための戦略を例証する。2−メチル−1−ブタノールを産生する組み換え微生物中の、2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩および2−メチル−1−酪酸塩の産生を低減するための戦略を例証する。DH2MBおよび酢酸塩を含有する試料(上部)、ならびに酢酸塩およびDHIV(下部)を含有する試料を示すLC4クロマトグラムの積み重ねオーバーレイを例証する。溶出順序:DH2MB、続いて酢酸塩(上部);乳酸塩、酢酸塩、DHIV、イソ酪酸塩、ピルビン酸塩(下部)。LC1上で収集されたDHIVに対応する保持時間で収集され、電導度検出を用いるAS−11カラム上でLC4によって分析された、試料画分に対するクロマトグラムを例証する。LC1から単離されたピークの1H−COSYスペクトルを例証する。スペクトルは、0.95ppmのDH2MBメチルプロトン(二重項)が、3.7ppmのメチンプロトン(四重項)に結合されることを示す。LC1から単離されたピークの1H−NMRスペクトルを例証する。スペクトルは、次のDH2MBの存在を示す:1.2ppmで整数値3のメチルプロトン(a)の一重項、0.95ppmで整数値3のメチルプロトン(b)の二重項、および3.7ppmで1.84の整数値のメチンプロトン(c)の四重項。メチンプロトン(c)の整数値は、同じ領域におけるグルコース共鳴との重複に起因して1を超える。LC1から単離されたピークのLC−MS分析を例証する。図の上部分で示されるように、試料中に複数の分子イオンが特定された。134分子イオンの更なる断片化(MS2)は、単離されたLC1画分が、CO2(*)およびH2O+CO2(**)の特徴的な損失によって、ヒドロキシカルボン酸を含有することを示した。2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(2R,3S)−1a、(2S,3R)−1b、(2R,3R)−2a、(2S,3S)−2bのジアステレオマーおよび鏡像異性構造を例証する。D2O中の結晶化DH2MBの1Hスペクトルを例証する。1H NMR(TSP)1.1(d、6.5Hz、3H)、1.3(s、3H)、3.9(q、6.5Hz、3H)D2O中の結晶化DH2MBの13Cスペクトルを例証する。スペクトルは、5つの異なる炭素共鳴を示し、これらのうちの1つは、181ppmでの特徴的なカルボン酸共鳴である。GEVO3160での単一の発酵からのイソブタノールおよび副産物の発酵プロフィールを例証する。産生曝気は、植菌の93時間後に、0.8mM/時間から0.3mM/時間のOTRまで低減された。白ひし形=iBuOH、正方形=未知、DH2MBとして定量化、アスタリスク=細胞乾燥重量(cdw)、および黒三角形=総副産物。G.ステアロサーモフィラス(Pymol)の構造を有するL.ラクチスAdhAアミノ酸配列の構造的整列を例証する。活性部位突然変異が示される(Y50FおよびL264V)。補因子結合ドメインにおける突然変異もまた示される(I212TおよびN219Y)。図17−1の続き。中間体としてアセト乳酸を利用する生合成経路を例証する。1−ブタノール、イソブタノール、3−メチル−1−ブタノール、および4−メチル−1−ペンタノールの産生のための生合成経路は、中間体としてアセト乳酸およびアルデヒドの両方を使用する。中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を利用する生合成経路を例証する。2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの産生のための生合成経路は、中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩およびアルデヒドの両方を使用する。中間体としてアルデヒドを利用するさらなる生合成経路を例証する。 本明細書および添付の特許請求に使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、対応する複数形の指示対象を含む。故に、例えば、「ポリヌクレオチド(a polynucleotide)」への言及は、複数のかかるポリヌクレオチドを含み、「微生物(the microorganism)」への言及は、1つ以上の微生物への言及を含む、等である。 別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の専門家とって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様のまたは同等の方法および物質を、開示される方法および組成物の実践において使用することができるが、例示的な方法、デバイス、および物質が本明細書に記載される。 上記および本文全体にわたって論じられる任意の刊行物は、本出願の出願日前に単にそれらを開示するために提供される。本明細書のいかなる部分も、本発明者らが、先行開示に基づいて、かかる開示に先行する権利を有さないという承認として解釈されるべきではない。 「微生物」という用語には、古細菌ドメイン、細菌ドメイン、および真核生物ドメインからの原核微生物種および真核微生物種が含まれ、後者には、酵母および糸状菌、原虫、藻類、またはより高度な原生生物が含まれる。「微生物細胞」および「微生物(microbe)」という用語は、微生物(microorganism)という用語と交換可能に使用される。 「属」という用語は、Taxonomic Outline of Bacteria and Archaea(Garrity,G.M.,Lilburn,T.G.,Cole,J.R.,Harrison,S.H.,Euzeby,J.,and Tindall,B.J.(2007)The Taxonomic Outline of Bacteria and Archaea.TOBA Release 7.7,March 2007.Michigan State University Board of Trustees.[http://www.taxonomicoutline.org/])による関連種の分類群として定義される。 「種」という用語は、97%を超える16SリボソームRNA配列相同性、および70%を超えるゲノムハイブリダイゼーションを有する密接に関連した生物のコレクションとして定義され、全ての他の生物と十分に異なるため、異なる単位として認識される。 「組み換え微生物」および「組み換え宿主細胞」という用語は、本明細書で交換可能に使用され、内在性ポリヌクレオチドを発現もしくは過剰発現し、ベクター中、組み込み構築物中に含められるもの等の異種ポリヌクレオチドを発現するように遺伝的に改変された微生物、または内在性遺伝子の発現の変化を有する微生物を指す。「変化」とは、遺伝子の発現、または1つ以上のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットをコードするRNA分子もしくは同等のRNA分子のレベル、または1つ以上のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットの活性が上方調節または下方調節され、その結果、発現、レベル、または活性が、変化の不在下で観察されるものより大きい、または小さいことを意味する。例えば、「変化させる」という用語は、「阻害する」を意味し得るが、「変化させる」という単語の使用は、この定義に限定されない。 遺伝子配列に関して、「発現」という用語は、遺伝子の転写、および適切な場合、結果として生じるmRNA転写物のタンパク質への翻訳を指す。故に、文脈から明らかとなるであろうが、タンパク質の発現は、オープンリーディングフレーム配列の転写および翻訳からもたらされる。宿主細胞における所望の産物の発現レベルは、細胞中に存在する対応するmRNAの量、または選択された配列によってコードされる所望の産物の量のいずれかに基づいて決定され得る。例えば、選択された配列から転写されたmRNAは、qRT−PCRまたはノーザンハイブリダイゼーションによって定量化することができる(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)を参照されたい)。選択された配列によってコードされるタンパク質は、種々の方法によって、例えば、ELISAによって、タンパク質の生物活性をアッセイすることによって、またはウエスタンブロッティングもしくはラジオイムノアッセイ等の、かかる活性から独立したアッセイを用いることによって、タンパク質を認識しそれに結合する抗体を使用して、定量化することができる。上記のSambrook et al.,1989を参照されたい。ポリヌクレオチドは、一般的に、所望の代謝物を産生するための代謝経路に関与する標的酵素をコードする。「組み換え微生物」および「組み換え宿主細胞」という用語は、特定の組み換え微生物を指すだけでなく、かかる微生物の子孫または可能性のある子孫も指すことが理解される。突然変異または環境的な影響のいずれかに起因して、後続の生成においてある種の改変が起こり得るため、かかる子孫は、実際には親細胞と同一でない可能性があるが、本明細書で使用されるとき、この用語の範囲内に依然として含まれる。 「過剰発現」という用語は、基底レベルのmRNA(例えば、Aftタンパク質をコードするもの)を発現するか、または基底レベルのタンパク質を有する、同様の対応する非改変細胞と比較したときの、タンパク質(例えば、TMA29タンパク質またはその相同体)をコードするmRNAの亢進されたレベル(例えば、異常なレベル)、および/または細胞中のタンパク質(例えば、TMA29)の亢進されたレベルを指す。特定の実施形態では、TMA29、またはその相同体は、増加されたTMA29 mRNA、タンパク質、および/または活性を示すように操作された微生物中で、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、12倍、15倍、またはそれを超えて過剰発現され得る。 本明細書で使用されるとき、および当業者によって理解されるように、酵素等のタンパク質の「低減された活性および/または発現」は、細胞中のタンパク質の低減された特異的な触媒活性(例えば、低減された活性)、および/またはタンパク質の減少された濃度(例えば、低減された発現)のいずれかを意味し得る一方で、酵素等のタンパク質の「欠失された活性および/または発現」または「排除された活性および/または発現」は、細胞中の酵素のゼロのもしくはごく少量の特異的な触媒活性(例えば、欠失された活性)、および/または酵素のゼロのもしくはごく少量の濃度(例えば、欠失された発現)のいずれかを意味し得る。 「野生型微生物」という用語は、天然に生じる細胞、すなわち、遺伝子改変されていない細胞を説明する。野生型微生物は、第1の標的酵素を発現または過剰発現するように遺伝子改変することができる。この微生物は、第2の標的酵素を発現または過剰発現するように改変された微生物の生成において親微生物として作用することができる。次に、第1および第2の標的酵素を発現または過剰発現するように改変された微生物は、第3の標的酵素を発現または過剰発現するように改変することができる。 したがって、「親微生物」は、後続の遺伝子改変事象のための参照細胞として機能する。各改変事象は、核酸分子を参照細胞に導入することによって達成することができる。この導入は、標的酵素の発現または過剰発現を促進する。「促進する」という用語は、例えば、親微生物中のプロモーター配列の遺伝子改変による、標的酵素をコードする内在性ポリヌクレオチドの活性化を包含することが理解される。「促進する」という用語は、標的酵素をコードする異種ポリヌクレオチドの、親微生物への導入を包含することが更に理解される。 「操作(engineer)」という用語は、微生物中の検出可能な変更をもたらす微生物の任意の操作(manipulation)を指し、ここで操作(manipulation)には、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド異種を微生物に挿入すること、および微生物に対して自然のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを突然変異させることが含まれるが、これらに限定されない。 本明細書で使用される「突然変異」という用語は、変化した核酸またはポリペプチドをもたらす、核酸および/またはポリペプチドの任意の改変を指す。突然変異には、例えば、ポリヌクレオチド中の単一または複数の残基の点突然変異、欠失、または挿入が含まれ、これには、遺伝子のタンパク質コード領域内で生じる変化、ならびに調節配列またはプロモーター配列等であるがこれらに限定されない、タンパク質コード配列の外側の領域における変化が含まれる。遺伝子変化は、任意の型の突然変異であってもよい。例えば、突然変異は、遺伝子の一部または全ての点突然変異、フレームシフト突然変異、ナンセンス突然変異、挿入、または欠失を構成してもよい。加えて、改変された微生物の幾つかの実施形態では、微生物ゲノムの一部分が異種ポリヌクレオチドと置換されている。幾つかの実施形態では、突然変異は天然に生じる。他の実施形態では、突然変異は、人為淘汰圧力を通じて特定および/または強化される。更に他の実施形態では、微生物ゲノムにおける突然変異は、遺伝子操作の結果である。 「生合成経路」という用語は、「代謝経路」とも称され、1つの化学種を別の化学種に変換するための一組の同化または異化の生化学的反応を指す。遺伝子産物が、並行してまたは順次で、同じ基質に作用し、同じ産物を産生するか、または同じ基質と代謝最終産物との間の代謝中間体(すなわち、代謝物)に作用するか、もしくはそれを産生する場合、この遺伝子産物は同じ「代謝経路」に属する。 本明細書で使用されるとき、「イソブタノール産生代謝経路」という用語は、ピルビン酸塩からイソブタノールを産生する酵素経路を指す。 「異種」という用語は、分子、特に、酵素およびポリヌクレオチドを参照して本明細書で使用されとき、天然の微生物における分子の発現レベルより低く、等しく、または高くなり得る発現レベルから独立して、分子が由来した生物、または自然界で見出される生物以外の生物において発現される分子を示す。 一方、「天然の」または「内在性の」という用語は、分子、特に、酵素およびポリヌクレオチドを参照して本明細書で使用されるとき、天然の微生物における分子の発現レベルより低く、等しく、または高くなり得る発現レベルから独立して、分子が由来した生物、または自然界で見出される生物において発現される分子を示す。天然の酵素またはポリヌクレオチドの発現は、組み換え微生物中で改変されてもよいことが理解される。 「供給原料」という用語は、微生物または発酵プロセスに供給される原料、または原料の混合物として定義され、これから他の産物を作製することができる。例えば、バイオマスまたはバイオマスに由来する炭素化合物等の炭素源は、発酵プロセスにおいて生物燃料を産生する微生物のための供給原料である。しかしながら、供給原料は、炭素源以外の栄養分を含有し得る。 「基質」または「好適な基質」という用語は、酵素の作用によって別の化合物に変換されるか、または変換されることが意図される任意の材料または化合物を指す。この用語には、単一の化合物だけではなく、少なくとも1つの基質、またはその誘導体を含有する溶液、混合物、および他の物質等の化合物の組み合わせもまた含まれる。更に、「基質」という用語は、任意のバイオマス由来の糖等の出発物質として使用するのに好適な炭素源を提供する化合物だけでなく、本明細書に記載される組み換え微生物に関連する経路において使用される中間体および最終産物代謝物もまた包含する。 「C2化合物」という用語は、全てのピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)遺伝子における突然変異が該遺伝子のピルビン酸デカルボキシラーゼ活性の低減をもたらす、操作された酵母微生物のための炭素源として使用されるとき、エタノールおよび酢酸塩を含むが、これらに限定されない2個の炭素原子からなる有機化合物を指す。 「発酵」または「発酵プロセス」という用語は、微生物が、供給原料および栄養分等の原料を含有する培地中で培養される過程として定義され、ここで微生物は、供給原料等の原料を産物に変換する。 「容積生産性」または「生産率」という用語は、1容積の培地当たり、単位時間当たりに形成される産物の量として定義される。容積生産性は、1リットル当たり、1時間当たりのグラム(g/L/時間)として報告される。 「比生産性」または「比生産率」という用語は、培地1容積当たり、単位時間当たり、細胞のある量の当たりに形成される産物の量として定義される。比生産性は、1リットル当たり、1時間当たりOD(g/L/時間/OD)のグラムまたはミリグラムとして報告される。 「収率」という用語は、原料の1単位重量当たりに得られる産物の量として定義され、基質1g当たりの産物のg(g/g)として表され得る。収率は、理論収率の百分率として表されて得る。「理論収率」は、産物を作製するために使用される代謝経路の化学量論によって指示される、基質の所与の量当たり生成することができる産物の最大量として定義される。例えば、グルコースのイソブタノールへの1つの典型的な変換に対する理論収率は、0.41g/gである。したがって、0.39g/gのグルコースからのイソブタノールの収率は、95%の理論収率(theoretical)、または95理論収率%(theoretical yield)として表されるであろう。 「力価」という用語は、溶液の強度、または溶液中の材料の濃度として定義される。例えば、発酵ブロス中の生物燃料の力価は、発酵ブロス1リットル当たりの溶液中の生物燃料のg(g/L)として記載される。 「好気性条件」は、発酵培地中の酸素濃度が、末端電子受容体として使用するのに、好気性微生物または通性嫌気性微生物にとって十分に高い条件として定義される。 対照的に、「嫌気性条件」は、発酵培地中の酸素濃度が、末端電子受容体として使用するのに、微生物にとって低すぎる条件として定義される。嫌気性条件は、端末電子受容体として、微生物にとって酸素がもはや利用可能でなくなるまで、窒素等の不活性ガスを用いて発酵培地をスパージすることによって達成され得る。代替的には、嫌気性条件は、端末電子受容体として、微生物にとって酸素が利用不可能になるまで、微生物が発酵の利用可能な酸素を消費することによって達成され得る。嫌気性条件下でのイソブタノールの産生のための方法は、譲受人共通および同時係属中の刊行物、米国特許第2010/0143997号に記載され、この開示は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。 「好気性代謝」は、酸素が端末電子受容体として使用されることによって、炭水化物から典型的にはATPの形態で、エネルギーを生成する生化学的プロセスを指す。好気性代謝は、例えば、解糖およびTCAサイクルを介して生じ、ここで単一のグルコース分子が、酸素の存在下で完全に代謝されて二酸化炭素になる。 対照的に、「嫌気性代謝」は、酸素が、NADHに含有される電子の最終的な受容体でない生化学的プロセスを指す。嫌気性代謝は、酸素以外の化合物が、端末電子受容体として役割を果たす嫌気性呼吸、およびNADHからの電子を利用することにより、「発酵経路」を介して還元産物を生成する、基質レベルのリン酸化に分類することができる。 「発酵経路」において、NAD(P)Hは、NAD(P)H中に担持される電子を生成した同じ代謝経路によって産生される分子にその電子を供与する。例えば、ある種の酵母株の発酵経路の1つにおいて、解糖を介して生成されるNAD(P)Hは、ピルビン酸にその電子を移し、エタノールを産出する。発酵経路は、嫌気性条件下で通常活性であるが、好気性条件下、NADHが、呼吸鎖を介して完全に酸化されない条件下でも生じ得る。例えば、ある種のグルコース濃度の上で、クラブトリー陽性酵母は、好気性条件下で大量のエタノールを産生する。 「副産物(byproduct)」または「副産物(by−product)」という用語は、アミノ酸、アミノ酸前駆体、化学物質、化学物質前駆体、生物燃料、または生物燃料前駆体の産生に関連する所望されない産物を意味する。 「実質的にない」という用語は、所望の代謝経路(例えば、イソブタノール産生代謝経路)と競合する炭素経路における、酵素活性(3−KAR、ALDH、PDC、GPD等)の存在または不在を参照して使用されるとき、酵素のレベルが、野生型宿主における同じ酵素のレベルよりも相当低いことを意味し、ここで約50%未満の野生型レベルが好ましく、約30%未満がより好ましい。活性は、約20%未満、約10%未満、約5%未満、または約1%未満の野生型活性であり得る。特定の酵素活性(3−KAR、ALDH、PDC、GPD等)が「実質的にない」微生物は、組み換え手段を通じて作製されるか、自然界で特定され得る。 「非発酵酵母」という用語は、NADHからの電子を利用することにより、グルコースからのエタノールおよびCO2の産生等の発酵経路を介して還元産物を生成する、嫌気性代謝を示すことができない酵母種である。非発酵酵母は、「Durham管試験」(J.A.Barnett,R.W.Payne,and D.Yarrow.2000.Yeasts Characteristics and Identification.3rd edition.p.28−29.Cambridge University Press,Cambridge,UK)によって、またはエタノールおよびCO2等の発酵産生の産生をモニタリングすることによって特定することができる。 「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で「核酸」という用語と交換可能に使用され、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはそれらの類似体を含む2つ以上の単量体からなる有機ポリマーを指し、それらは任意の長さの1本鎖または2本鎖の、センスまたはアンチセンスデオキシリボ核酸(DNA)、および適切な場合、siRNAを含む、任意の長さの1本鎖または2本鎖の、センスまたはアンチセンスリボ核酸(RNA)を含むが、これらに限定されない。「ヌクレオチド」という用語は、プリン塩基またはピリミジン塩基に、およびリン酸基に結合した、リボースまたはデオキシリボース糖からなり、核酸の塩基構造単位である、任意の複数の化合物を指す。「ヌクレオシド」という用語は、デオキシリボースまたはリボースと組み合わされたプリン塩基またはピリミジン塩基からなり、とりわけ核酸中に見出される化合物(グアノシンまたはアデノシン)を指す。「ヌクレオチド類似体」または「ヌクレオシド類似体」という用語はそれぞれ、1個以上の個々の原子が、異なる原子でまたは異なる官能基で置換されているヌクレオチドまたはヌクレオシドを指す。したがって、ポリヌクレオチドという用語には、任意の長さの核酸、DNA、RNA、それらの類似体および断片が含まれる。3つ以上のヌクレオチドのポリヌクレオチドはまた、ヌクレオチドオリゴマーまたはオリゴヌクレオチドとも呼ばれる。 本明細書に記載されるポリヌクレオチドには、「遺伝子」が含まれ、本明細書に記載される核酸分子には、「ベクター」または「プラスミド」が含まれることが理解される。したがって、「遺伝子」という用語は、「構造遺伝子」とも呼ばれ、1つ以上のタンパク質または酵素の全てまたは一部を含む、アミノ酸の特定の配列をコードするポリヌクレオチドを指し、プロモーター配列等の調節(非転写の)DNA配列を含み得、それは、例えば、遺伝子が発現される条件を決定する。遺伝子の転写領域は、イントロン、5’−非翻訳領域(UTR)、および3’−UTRを含む非翻訳領域、ならびにコード配列を含み得る。 「オペロン」という用語は、共通のプロモーターから単一の転写単位として転写される2つ以上の遺伝子を指す。幾つかの実施形態では、オペロンを含む遺伝子は、隣接遺伝子である。オペロン全体の転写は、共通のプロモーターを改変することによって、改変する(すなわち、増加させる、減少させる、または排除する)ことができることが理解される。代替的には、オペロン中の任意の遺伝子または遺伝子の組み合わせを、コードされるポリペプチドの機能または活性を変化させるように改変することができる。改変は、コードされるポリペプチドの活性の増加をもたらすことができる。更に、改変は、コードされるポリペプチドに新たな活性を付与することができる。例示的な新たな活性には、代替の基質の使用および/または代替の環境条件下で機能する能力が含まれる。 「ベクター」は、核酸を、生物、細胞、または細胞構成成分間で伝播および/または移行させることができる任意の手段である。ベクターには、ウイルス、バクテリオファージ、プロ−ウイルス、プラスミド、ファージミド、トランスポゾン、ならびにYAC(酵母人工染色体)、BAC(細菌性人工染色体)、およびPLAC(植物人工染色体)等の人工の染色体等が含まれ、それらは「エピソーム」であり、すなわち、それらは自律的に複製するか、宿主細胞の染色体に組み込むことができる。ベクターはまた、ネイキッドRNAポリヌクレオチド、ネイキッドDNAポリヌクレオチド、同じ鎖内のDNAおよびRNAの両方からなるポリヌクレオチド、ポリリジン共役DNAもしくはRNA、ペプチド共役DNAもしくはRNA、リポソーム共役DNA等であり得、それらは本質的にエピソームではないか、またはそれはアグロバクテリウムまたは細菌等の上記のポリヌクレオチド構築物のうちの1つ以上を含む生物であり得る。 「形質転換」は、ベクターが宿主細胞中に導入されるプロセスを指す。形質転換(またはトランスダクション、またはトランスフェクション)は、化学物質形質転換(例えば、酢酸リチウム形質転換)、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、微粒子銃(または粒子ボンバードメント媒介型送達)、またはアグロバクテリウム媒介型形質転換を含む幾つかの手段のうちの任意の1つによって達成することができる。 本明細書で使用される「酵素」という用語は、1つ以上の化学的または生化学的反応を触媒または促進する任意の物質を指し、それは通常、完全にまたは部分的にポリペプチドからなる酵素を含むが、ポリヌクレオチドを含む異なる分子からなる酵素を含み得る。 本明細書で使用される「タンパク質」、「ペプチド」、または「ポリペプチド」という用語は、2つ以上のアミノ酸単量体および/またはその類似体からなる有機ポリマーを示す。本明細書で使用されるとき、「アミノ酸」または「アミノ酸単量体」という用語は、グリシンおよびDまたはL両方の光学異性体を含む任意の天然および/または合成アミノ酸を指す。「アミノ酸類似体」という用語は、1個以上の個々の原子が、異なる原子または異なる官能基のいずれかで置換されているアミノ酸を指す。したがって、ポリペプチドという用語には、完全長タンパク質、およびペプチド、ならびにそれらの類似体および断片を含む、任意の長さのアミノ酸ポリマーが含まれる。3つ以上のアミノ酸のポリペプチドはまた、タンパク質オリゴマーまたはオリゴペプチドとも呼ばれる。 「相同体」という用語は、第1のファミリーまたは種の元の酵素または遺伝子に関して使用され、機能的、構造的、またはゲノム分析によって、第1のファミリーまたは種の元の酵素または遺伝子に対応する、第2のファミリーまたは種の酵素または遺伝子であると決定される、第2のファミリーまたは種の異なる酵素または遺伝子を指す。ほとんどの場合、相同体は、機能的、構造的、またはゲノム類似性を有することになる。酵素または遺伝子の相同体を、遺伝子プローブおよびPCRを使用して、容易にクローン化することができる技術が知られている。相同体としてのクローン化配列の素性は、機能的アッセイを使用して、および/または遺伝子のゲノムマッピングによって確認することができる。 遺伝子によってコードされるアミノ酸配列が、第2の遺伝子の配列と同様のアミノ酸配列を有する場合、タンパク質は、第2のタンパク質に対して「相同性」を有するか、または「相同性」である。代替的には、2つのタンパク質が、「同様の」アミノ酸配列を有する場合、タンパク質は、第2のタンパク質に対して相同性を有する。(故に、「相同タンパク質」という用語は、2つのタンパク質が、同様のアミノ酸配列を有することを意味するように定義される)。 「類似体」または「類似した」という用語は、互いに機能においてのみ関係し、共通の系統に由来しないか、または共通の祖先配列を共有しない核酸配列もしくはタンパク質配列、またはタンパク質構造を指す。類似体は、配列において異なる可能性があるが、収束進化に起因して、同様の構造を共有する可能性がある。例えば、酵素が、基質を産物に変換する同じ反応を触媒し、配列において無関係であり、2つの酵素が構造において関連しているかどうかに関係ない場合、2つの酵素は類似体であるか、または類似している。低減された副産物蓄積を有する組み換え微生物 酵母細胞は、糖類を変換してピルビン酸塩を産生し、それは次いで、細胞代謝の幾つかの経路において利用される。近年、酵母細胞は、ピルビン酸塩駆動型生合成経路を介して、幾つかの望ましい産物を産生するように操作されている。これらの生合成経路のうちの多くにおいて、初期経路ステップは、内在性ピルビン酸塩の3−ケト酸への変換である。 本明細書で使用されるとき、「3−ケト酸」は、C1炭素上にカルボン酸部分およびC3炭素上にケトン部分を含有する、有機化合物を指す。例えば、アセト乳酸および2−ヒドロキシ−2−メチル−3−オキソブタン酸は、C3炭素においてケトン基を有する3−ケト酸である(例えば、図2を参照されたい)。 多くの生合成経路に共通の3−ケト酸の例としては、アセト乳酸があり、それは酵素アセト乳酸シンターゼ(アセトヒドロキシ酸シンターゼとしても知られる)の作用によって、ピルビン酸塩から形成される。中間体としてアセト乳酸を使用する生合成経路の中には、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−1−ペンタノール、および補酵素Aの産生のための経路が含まれる。これらの有益なアセト乳酸由来代謝物の合成のために操作された生合成経路は、表1および図18に見出される。 表1に列挙される生合成経路の各々は、共通の3−ケト酸中間体である、アセト乳酸を共有する。したがって、これらの生合成経路からの産物収率は、一部には、該生合成経路の下流酵素にとって利用可能なアセト乳酸の量に依存することになる。 多くの生合成経路に共通の3−ケト酸の別の例としては、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩があり、それは酵素アセト乳酸シンターゼ(アセトヒドロキシ酸シンターゼとしても知られる)の作用によって、ピルビン酸塩および2−ケト酪酸塩から形成される。中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を使用する生合成経路の中には、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの産生のための経路が含まれる。これらの有益な2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩由来代謝物の合成のために操作された生合成経路は、表2および図19に見出される。 表2に列挙される生合成経路の各々は、共通の3−ケト酸中間体である、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を共有する。したがって、これらの生合成経路からの産物収率は、一部には、該生合成経路の下流酵素にとって利用可能なアセト乳酸の量に依存することになる。 同様に、酵母細胞は、経路中間体としてアルデヒドを利用する生合成経路を介して、幾つかの望ましい産物を産生するように操作することができる。アルデヒド中間体を含む操作された生合成経路には、イソブタノール、1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの産生のための生合成経路が含まれる(表3ならびに図18、19、および20を参照されたい)。 表3に列挙される生合成経路の各々は、アルデヒド中間体を有する。例えば、イソブタノール産生代謝経路におけるアルデヒド中間体は、イソブチルアルデヒド(図1を参照されたい)である一方で、1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの産生のための経路は、それぞれ、中間体としてアルデヒド、1−ブタナール、2−メチル−1−ブタナール、3−メチル−1−ブタナール、1−プロパナール、1−ペンタナール、1−ヘキサナール、3−メチル−1−ペンタナール、4−メチル−1−ペンタナール、4−メチル−1−ヘキサナール、および5−メチル−1−ヘプタノールを利用する。したがって、これらのアルデヒド中間体を利用する生合成経路における産物収率は、一部には、該生合成経路の下流酵素にとって利用可能なアルデヒド中間体の量に依存することになる。 本明細書に記載されるように、本発明者らは、3−ケト酸および/またはアルデヒド中間体に由来する、所望されない副産物の蓄積に関与する酵素活性を発見した。具体的には、彼らは、3−ケト酸レダクターゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼが、3−ケト酸およびアルデヒドの、それぞれ、所望されない副産物への変換に関与することを突き止めた。これらの酵素の活性は、表1〜3に列挙されるものを含むが、これらに限定されない、3−ケト酸由来および/またはアルデヒド由来産物の最適な生産性および収率を妨げることが示される。本発明者らは、これらの新たに特徴付けられた酵素活性を抑制することが、所望されない副産物の形成を大幅に低減または排除し、および同時に有益な代謝物の収率および力価を改善することを見出した。3−ケト酸からの3−ヒドロキシ酸の低減された蓄積 本明細書に記載されるように、本発明者らは、所望されない副産物である3−ヒドロキシ酸が、3−ケト酸中間体を伴う経路を含む微生物との発酵反応中に蓄積し得ることを発見している。 本明細書で使用されるとき、「3−ヒドロキシ酸」は、C1炭素上にカルボン酸部分およびC3炭素上にアルコール部分を含有する、有機化合物である。3−ヒドロキシ酸は、3−ケト酸ケトン部分の、アルコール部分への化学的還元によって、3−ケト酸から得ることができる。例えば、アセト乳酸または2−ヒドロキシ−2−メチル−3−オキソブタン酸におけるケトン部分の還元は、3−ヒドロキシ酸2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)の形成をもたらす(例えば、図2を参照されたい)。 本発明者らは、3−ヒドロキシ酸副産物である2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(CAS番号14868−24−7)(DH2MB)が、3−ケト酸中間体、アセト乳酸を伴う生合成経路を含む微生物との発酵反応中に蓄積することを発見した。この副産物の蓄積は、生合成経路の標的代謝物の最適な生産性および収率を妨げることが見出された。本発明者らは、DH2MBの産生が、アセト乳酸の還元によって引き起こされることを見出した。DH2MBの産生に関与する活性を低減または排除するために、この反応を触媒する対応する酵素活性が特定され、低減または排除される必要があった。発明者らは、S.セレビシエにおいて、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する1つのかかる酵素が、YMR226C(TMA29としても知られる)であることを見出した。これは、アセト乳酸をDH2MBに変換する酵母中のタンパク質の最初の報告である。 本発明者らはまた、3−ヒドロキシ酸副産物である2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートが、3−ケト酸中間体である2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を伴う生合成経路を含む微生物との発酵反応中に蓄積することを発見した。この副産物の蓄積は、生合成経路の標的代謝物の最適な生産性および収率を妨げることが見出された。本発明者らは、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートの産生が、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の還元によって引き起こされることを見出した。2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートの産生に関与する活性を低減または排除するために、この反応を触媒する対応する酵素活性が特定され、低減または排除される必要があった。発明者らは、S.セレビシエにおいて、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素YMR226C(TMA29としても知られる)がまた、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートへの変換も触媒することを見出した。これは、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートに変換する酵母中のタンパク質の最初の報告である。 本発明者らは、本明細書で、3−ケト酸中間体の、対応する3−ヒドロキシ酸副産物への変換を低減するための複数の戦略を説明し、それは望ましい代謝物の収率の増加を伴うプロセスである。一実施形態では、3−ケト酸中間体は、アセト乳酸であり、対応する3−ヒドロキシ酸は、DH2MBである。本明細書に記載されるように、アセト乳酸のDH2MBへの変換を低減することは、中間体としてアセト乳酸を使用する生合成経路に由来する、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−1−ペンタノール、および補酵素A等の有益な代謝物の増加された産生を可能にする。別の実施形態では、3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩であり、対応する3−ヒドロキシ酸は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートである。本明細書に記載されるように、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートへの変換を低減することは、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノール等の有益な代謝物の増加された産生を可能にする。 したがって、本発明の一態様は、中間体として3−ケト酸を使用する生合成経路を含む組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する酵素が実質的にない。一実施形態では、3−ケト酸中間体は、アセト乳酸であり、3−ヒドロキシ酸副産物は、DH2MBである。別の実施形態では、3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩であり、3−ヒドロキシ酸副産物は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートである。 別の態様では、本発明は、中間体として3−ケト酸を使用する生合成経路を含む組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。一実施形態では、3−ケト酸中間体は、アセト乳酸であり、3−ヒドロキシ酸副産物は、DH2MBである。別の実施形態では、3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩であり、3−ヒドロキシ酸副産物は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートである。 本明細書に記載される種々の実施形態では、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与するタンパク質は、ケトレダクターゼである。例示的な実施形態では、ケトレダクターゼは、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。本明細書で使用されるとき、「3−ケト酸レダクターゼ」という用語は、3−ケト酸の3−オキソ基に向けて活性なケトレダクターゼ(すなわち、ケトンレダクターゼ)を指す。3−ケト酸レダクターゼによって触媒可能な例示的な反応の例証は、図2に示される。好適な3−ケト酸レダクターゼは、一般的に酵素分類亜群1.1.1.Xにおいて見出され、このうち最終桁Xは、基質に依存する。例示的な3−ケト酸レダクターゼおよびそれらの対応する酵素分類番号の非限定的な一覧は、図3に示される。 例示的な実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、本明細書で「TMA29」と交換可能に使用される、S.セレビシエYMR226C(配列番号1)タンパク質である。幾つかの実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエYMR226C(配列番号1)タンパク質またはその相同体もしくは変異体である。一実施形態では、相同体は、バンデルワルトムジマ(Vanderwaltomzyma)・ポリスポラ(配列番号2)、サッカロミセス・カステリイ(配列番号3)、カンジダ・グラブラタ(配列番号4)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号5)、ジゴサッカロミセス・ロウキシイ(配列番号6)、K.ラクチス(配列番号7)、アシビア・ゴシピイ(配列番号8)、サッカロミセス・クルイベリ(配列番号9)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号10)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号11)、ピキア・スチピチス(配列番号12)、デバロミセス・ハンセニイ(配列番号13)、ピキア・パストリス(配列番号14)、カンジダ・デュブリニエンシス(配列番号15)、カンジダ・アルビカンス(配列番号16)、ヤロウィア・リポリチカ(配列番号17)、イッサチェンキア・オリエンタリス(配列番号18)、アスペルギルス・ニデュランス(配列番号19)、アスペルギルス・ニガー(配列番号20)、ニューロスポラ・クラッサ(配列番号21)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号22)、およびクルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号23)からなる群から選択されてもよい。 一実施形態では、本発明の組み換え微生物は、3−ケト酸レダクターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子における突然変異を含み、該遺伝子によってコードされるポリペプチドの3−ケト酸レダクターゼ活性の低減をもたらす。別の実施形態では、組み換え微生物は、3−ケト酸レダクターゼをコードする遺伝子の部分的欠失を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドの3−ケト酸レダクターゼ活性の低減をもたらす。別の実施形態では、組み換え微生物は、3−ケト酸レダクターゼをコードする遺伝子の完全な欠失を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドの3−ケト酸レダクターゼ活性の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、3−ケト酸レダクターゼをコードする遺伝子に関連する調節領域の改変を含み、該遺伝子によってコードされるポリペプチドの発現の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、転写調節因子の改変を含み、3−ケト酸レダクターゼをコードする遺伝子の転写の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、3−ケト酸レダクターゼをコードする全ての遺伝子における突然変異を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドの活性の低減をもたらす。一実施形態では、該3−ケト酸レダクターゼ遺伝子は、S.セレビシエTMA29(YMR226C)遺伝子またはその相同体である。当該技術分野において理解されるであろうが、S.セレビシエ以外の酵母中のTMA29の天然産の相同体を、本発明の方法を使用して同様に不活性化することができる。TMA29相同体およびかかるTMA29相同体を特定する方法が本明細書に記載される。 当業者によって理解されるように、3−ケト酸レダクターゼ等のタンパク質の活性を低減または撹乱するために利用可能な複数のさらなる機構が存在し、調節型プロモーターの使用、弱い構成的プロモーターの使用、二倍体酵母中の遺伝子の2コピーのうちの1つの撹乱、二倍体酵母中の遺伝子の両コピーの撹乱、アンチセンス核酸の発現、siRNAの発現、内在性プロモーターの陰性調節因子の過剰発現、内在性または異種遺伝子の活性の変更、より低い比活性を有する異種遺伝子の使用、それらと同様のものまたはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。 本明細書に記載されるように、本発明の組み換え微生物は、非改変親微生物よりも、少ない3−ヒドロキシ酸副産物を産生するように操作される。一実施形態では、組み換え微生物は、約20パーセント未満の炭素収率で、炭素源から3−ヒドロキシ酸副産物を産生する。別の実施形態では、微生物は、約10パーセント未満、約5パーセント未満、約2パーセント未満、約1パーセント未満、約0.5パーセント未満、約0.1パーセント未満、または約0.01パーセント未満の炭素収率で、炭素源から3−ヒドロキシ酸副産物を産生する。一実施形態では、3−ヒドロキシ酸副産物は、3−ケト酸であるアセト乳酸に由来するDH2MBである。別の実施形態では、3−ヒドロキシ酸副産物は、3−ケト酸である2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に由来する2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートである。 一実施形態では、3−ケト酸に由来する3−ヒドロキシ酸副産物炭素収率は、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または欠失を含まない親微生物と比較して、組み換え微生物中で少なくとも約50%低減される。別の実施形態では、3−ケト酸に由来する3−ヒドロキシ酸副産物は、3−ケト酸の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または欠失を含まない親微生物と比較して、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約100%低減される。一実施形態では、3−ヒドロキシ酸副産物は、3−ケト酸であるアセト乳酸に由来するDH2MBである。別の実施形態では、3−ヒドロキシ酸副産物は、3−ケト酸である2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に由来する2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートである。 さらなる実施形態では、望ましい発酵産物の収率は、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または排除を含む組み換え微生物中で増加される。一実施形態では、望ましい発酵産物の収率は、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約1%増加される。別の実施形態では、望ましい発酵産物の収率は、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、または少なくとも約50%増加される。一実施形態では、3−ヒドロキシ酸副産物は、3−ケト酸であるアセト乳酸に由来するDH2MBである。したがって、一実施形態では、望ましい発酵産物は、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−1−ペンタノール、および補酵素Aを含むが、これらに限定されない、アセト乳酸が中間体として作用する任意の生合成経路に由来する。別の実施形態では、3−ヒドロキシ酸副産物は、3−ケト酸である2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に由来する2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートである。したがって、別の実施形態では、望ましい発酵産物は、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールを含むが、これらに限定されない、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩が中間体として作用する任意の生合成経路に由来する。 更なる実施形態では、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する可能性のあるさらなる酵素が、中間体として3−ケト酸を使用する生合成経路を含む組み換え微生物のゲノムから欠失される。3−ケト酸中間体を3−ヒドロキシ酸副産物に変換する可能性を有する内在性酵母遺伝子には、ケトレダクターゼ、短鎖アルコールデヒドロゲナーゼ、中鎖アルコールデヒドロゲナーゼ、アルドースレダクターゼファミリーのメンバー、D−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼファミリーのメンバー、アルコールデヒドロゲナーゼ、および乳酸デヒドロゲナーゼが含まれる。一実施形態では、3−ヒドロキシ酸副産物は、3−ケト酸であるアセト乳酸に由来するDH2MBである。別の実施形態では、3−ヒドロキシ酸副産物は、3−ケト酸である2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に由来する2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートである。 3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒するさらなる酵素を特定する方法は、次のように概説される:ケトレダクターゼ、短鎖アルコールデヒドロゲナーゼ、中鎖アルコールデヒドロゲナーゼ、アルドースレダクターゼファミリーのメンバー、D−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼファミリーのメンバー、アルコールデヒドロゲナーゼ、および乳酸デヒドロゲナーゼをコードする内在性酵母遺伝子を、3−ケト酸(例えば、アセト乳酸または2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩)が中間体である、生合成経路を含む酵母株のゲノムから欠失させる。これらの欠失株を、発酵ブロスの発酵および分析によって、対応する3−ヒドロキシ酸副産物(例えば、それぞれアセト乳酸および2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に由来する、DH2MBまたは2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート)の存在および濃度について、親株と比較する。S.セレビシエにおいて、3−ヒドロキシ酸副産物の産生を低減する欠失は、複数の欠失を担持する株の構築によって組み合わせられる。候補遺伝子には、YAL060W、YJR159W、YGL157W、YBL114W、YOR120W、YKL055C、YBR159W、YBR149W、YDL168W、YDR368W、YLR426W、YCR107W、YILL24W、YML054C、YOL151W、YMR318c、YBR046C、YHR104W、YIR036C、YDL174C、YDR541C、YBR145W、YGL039W、YCR105W、YDL124W、YIR035C、YFL056C、YNL274c、YLR255C、YGL185C、YGL256W、YJR096W、YJR155W、YPL275W、YOR388C、YLR070C、YMR083W、YER081W、YJR139C、YDL243C、YPL113C、YOL165C、YML086C、YMR303C、YDL246C、YLR070C、YHR063C、YNL331C、YFL057C、YIL155C、YOL086C、YAL061W、YDR127W、YPR127W、YCL018W、YIL074C、YIL124W、およびYEL071Wが含まれ得るが、これらに限定されない。これらの欠失株の多くは、市販されている(例えば、Open Biosystems YSC1054)。これらの欠失株をプラスミドpGV2435で形質転換し、そこからALS遺伝子(例えば、B.スブチリスalsS)を、CUP1プロモーターの制御下で発現させる。形質転換体を、振盪フラスコ中に150g/Lグルコースを含有するYPD培地中、振盪インキュベーター中で、30℃、75rpmで48時間培養する。48時間後、振盪フラスコからの試料を、HPLCによって、3−ヒドロキシ酸副産物(例えば、それぞれアセト乳酸および2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に由来する、DH2MBおよび2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート)の濃度について分析する。当該技術分野において理解されるように、S.セレビシエ以外の酵母中の3−ケト酸のレダクターゼ遺伝子(例えば、TMA29)の天然産の相同体を、同様に不活性化することができる。3−ケト酸レダクターゼ遺伝子(例えば、TMA29)相同体、およびかかる3−ケト酸レダクターゼ遺伝子相同体を特定する方法は、本明細書に記載される。 欠失ライブラリをスクリーニングする別の方法は、酵母細胞を3−ケト酸中間体(例えば、アセト乳酸または2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩)でインキュベートし、対応する3−ヒドロキシ酸副産物(例えば、それぞれアセト乳酸および2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に由来する、DH2MBまたは2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート)の産生について、ブロスを分析することである。 列挙された遺伝子の幾つかは、縦列重複または全ゲノム重複事象の結果であり、同様の基質特異性を有することが予想される。例としては、YAL061W(BDH1)およびYAL060W(BDH2)、YDR368W(YPR1)、ならびにYOR120W(GCY1)がある。重複遺伝子のうちの1つのみの欠失が表現型をもたらす可能性は低い。これらの遺伝子対は、両方の遺伝子中に欠失を担持する株において分析される必要がある。 3−ヒドロキシ酸副産物(例えば、それぞれアセト乳酸および2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に由来する、DH2MBまたは2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート)の産生に関与する、さらなる内在性活性を見出すための代替的な手法は、3−ヒドロキシ酸副産物の産生に関与する酵素をコードすることが疑われる遺伝子を過剰発現する酵母株を分析することである。かかる株は、上記に列挙された候補遺伝子の多くのために、市販されている(例えば、Open Biosystems YSC3870)。ORF過剰発現株は、欠失株と同じ方法でプロセスされる。それらは、ALS発現のためにプラスミドで形質転換され、3−ヒドロキシ酸副産物(例えば、DH2MBまたは2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート)産生レベルについてスクリーニングされる。3−ヒドロキシ酸副産物(例えば、DH2MBまたは2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート)の産生を引き起こす可能性のある遺伝子の一覧を狭めるために、それらの発現を、発酵試料中で分析することができる。3−ヒドロキシ酸副産物(例えば、DH2MBまたは2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート)を産生した発酵中に発現されない遺伝子は、可能性のある標的の一覧から除外することができる。この分析は、発酵槽試料からRNAを抽出し、これらの試料を、例えば、Roche NimbleGenによる、全ゲノム発現分析に供することによって行うことができる。 本明細書に記載されるように、低レベルの1つ以上の3−ヒドロキシ酸副産物を天然に産生する株もまた、3−ケト酸中間体を含む生合成経路に由来する、増加されたレベルの望ましい発酵産物を産生するために適用できる可能性がある。本開示を提供される当業者によって理解されるように、低レベルの1つ以上の3−ヒドロキシ酸副産物を天然に産生する株は、本質的に、低レベルまたは検出不可能なレベルの内在性酵素活性を示す可能性があり、3−ケト酸の、3−ヒドロキシ酸への低減された変換をもたらし、それはイソブタノール等の望ましい発酵産物の産生に好ましい形質である。3−ケト酸レダクターゼ活性が実質的にない、天然の宿主微生物を特定するための複数の手法が本明細書に記載される。例えば、3−ヒドロキシ酸副産物(例えば、DH2MBまたは2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート)の産生に関与する、本質的に低いまたは検出不可能な内在性酵素活性を示す宿主微生物を見出すための1つの手法は、酵母株を3−ケト酸(例えば、アセト乳酸または2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩)でインキュベートすることによって、酵母株を分析すること、および対応する3−ヒドロキシ酸副産物(例えば、それぞれアセト乳酸および2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に由来する、DH2MBまたは2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート)の産生について、ブロスを分析することである。 中間体として3−ケト酸を使用する生合成経路に由来する有益な代謝物を産生する、本明細書に記載される組み換え微生物は、ピルビン酸塩の、3−ケト酸(例えば、アセト乳酸および/または2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩)以外の産物への変換に対する酵素活性を低減または排除するように更に操作されてもよい。一実施形態では、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、ピルビン酸塩オキシダーゼ、ピルビン酸塩デヒドロゲナーゼ、および/またはグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)の酵素活性が、低減または排除される。 特定の実施形態では、有益な代謝物は、アセト乳酸シンターゼ(ALS)遺伝子を過剰発現する、組み換えPDC−マイナスGPD−マイナス酵母微生物中で産生される。別の特定の実施形態では、ALSは、B.スブチリスalsSによってコードされる。アルデヒド中間体からの酸副産物の低減された蓄積 実施例に更に記載されるように、本発明者らはまた、所望されない酸副産物(例えば、イソブタノールの場合におけるイソ酪酸塩)が、アルデヒド中間体(例えば、イソブタノールの場合におけるイソブチルアルデヒド)を伴う経路を含む微生物との発酵反応中に蓄積し得ることも発見した。 本明細書で使用されるとき、「酸副産物」は、カルボン酸部分を含有する有機化合物を指す。酸副産物は、アルデヒドの酸化によって得ることができる。例えば、イソブチルアルデヒドの酸化は、イソ酪酸の形成をもたらす(例えば、図4を参照されたい)。 本発明者らは、これらの酸副産物の蓄積が、アルデヒド中間体を利用する生合成経路の最適な生産性および収率を妨げることを見出した。本発明者らは、これらの酸副産物の産生が、対応するアルデヒドの脱水素化によって引き起こされることを見出した。酸副産物の産生に関与する活性を低減または排除するために、この反応を触媒する対応する酵素活性が特定され、低減または排除される必要があった。発明者らは、S.セレビシエにおいて、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する1つのかかる酵素が、アルデヒドデヒドロゲナーゼであることを見出した。 本発明者らは、本明細書で、酸副産物形成を低減するための複数の戦略を説明し、それはイソブタノール、1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノール等の望ましい代謝物の収率の増加を伴うプロセスである。 したがって、本発明の一態様は、中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路を含む組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素が実質的にない。 別の態様では、本発明は、中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路を含む組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。 一実施形態では、アルデヒド中間体は、イソブチルアルデヒドであり、酸副産物は、イソ酪酸塩である。別の実施形態では、アルデヒド中間体は、1−ブタナールであり、酸副産物は、酪酸塩である。なおも別の実施形態では、アルデヒド中間体は、2−メチル−1−ブタナールであり、酸副産物は、2−メチル−1−酪酸塩である。なおも別の実施形態では、アルデヒド中間体は、3−メチル−1−ブタナールであり、酸副産物は、3−メチル−1−酪酸塩である。なおも別の実施形態では、アルデヒド中間体は、1−プロパナールであり、酸副産物は、プロピオン酸塩である。なおも別の実施形態では、アルデヒド中間体は、1−ペンタナールであり、酸副産物は、ペンタノエートである。なおも別の実施形態では、アルデヒド中間体は、1−ヘキサナールであり、酸副産物は、ヘキサノエートである。なおも別の実施形態では、アルデヒド中間体は、3−メチル−1−ペンタナールであり、酸副産物は、3−メチル−1−ペンタノエートである。なおも別の実施形態では、アルデヒド中間体は、4−メチル−1−ペンタナールであり、酸副産物は、4−メチル−1−ペンタノエートである。なおも別の実施形態では、アルデヒド中間体は、4−メチル−1−ヘキサナールであり、酸副産物は、4−メチル−1−ヘキサノエートである。なおも別の実施形態では、アルデヒド中間体は、5−メチル−1−ヘプタナールであり、酸副産物は、5−メチル−1−ヘプタノエートである。 本明細書に記載される種々の実施形態では、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与するタンパク質は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)である。 本明細書で使用されるとき、「アルデヒドデヒドロゲナーゼ」という用語は、次の反応を触媒する酵素を指す。 アルデヒド+酸化補因子+H2O=酸+還元補因子+H+ アルデヒドデヒドロゲナーゼによって触媒可能な例示的な反応の例証は、図4に示される。好適なアルデヒドデヒドロゲナーゼは、一般的に酵素分類亜群EC 1.2.1.Xにおいて見出され、ここで最終桁Xは、基質または補因子に依存する。例えば、EC 1.2.1.3は、次の反応を触媒する:アルデヒド+NAD++H2O=酸+NADH+H+)。EC 1.2.1.4は、次の反応を触媒する:アルデヒド+NADP++H2O=酸+NADPH+H+)。EC1.2.1.5は、次の反応を触媒する:アルデヒド+NAD(P)++H2O=酸+NAD(P)H+H+。 本明細書に記載されるように、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与するタンパク質は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)である。一実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、ALD6、およびHFD1からなる群から選択される遺伝子、ならびにそれらの相同体および変異体によってコードされる。例示的な実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエアルデヒドデヒドロゲナーゼALD6(配列番号25)またはその相同体もしくは変異体である。一実施形態では、相同体は、サッカロミセス・カステリイ(配列番号26)、カンジダ・グラブラタ(配列番号27)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号28)、クルイベロミセス・ラクチス(配列番号29)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号30)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号31)、サッカロミセス・セレビシエYJ789(配列番号32)、サッカロミセス・セレビシエJAY291(配列番号33)、サッカロミセス・セレビシエEC1118(配列番号34)、サッカロミセス・セレビシエDBY939(配列番号35)、サッカロミセス・セレビシエAWRI1631(配列番号36)、サッカロミセス・セレビシエRM11−1a(配列番号37)、ピキア・パストリス(配列番号38)、クルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号39)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号40)、およびシゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号41)からなる群から選択されてもよい。 一実施形態では、組み換え微生物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの遺伝子における突然変異を含み、該遺伝子によってコードされるポリペプチドのアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の低減をもたらす。別の実施形態では、組み換え微生物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の部分的欠失を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の低減をもたらす。別の実施形態では、組み換え微生物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の完全な欠失を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に関連する調節領域の改変を含み、該遺伝子によってコードされるポリペプチドの発現の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、転写調節因子の改変を含み、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の転写の低減をもたらす。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする全ての遺伝子における突然変異を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドの活性の低減をもたらす。一実施形態では、該アルデヒドデヒドロゲナーゼは、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、ALD6、およびHFD1からなる群から選択される遺伝子、ならびにそれらの相同体および変異体によってコードされる。当該技術分野において理解されるであろうが、S.セレビシエ以外の酵母中のアルデヒドデヒドロゲナーゼの天然産の相同体を、本発明の方法を使用して同様に不活性化することができる。アルデヒドデヒドロゲナーゼ相同体およびかかるアルデヒドデヒドロゲナーゼ相同体を特定する方法が本明細書に記載される。 当業者によって理解されるように、アルデヒドデヒドロゲナーゼ等のタンパク質の活性を低減または撹乱するために利用可能な複数の追加的な機構が存在し、調節型プロモーターの使用、弱い構成的プロモーターの使用、二倍体酵母中の遺伝子の2コピーのうちの1つの撹乱、二倍体酵母中の遺伝子の両コピーの撹乱、アンチセンス核酸の発現、siRNAの発現、内在性プロモーターの陰性調節因子の過剰発現、内在性または異種遺伝子の活性の変更、より低い比活性を有する異種遺伝子の使用、それらと同様のものまたはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。 当業者によって理解されるであろうが、1つより多いアルデヒドデヒドロゲナーゼの活性または発現を、低減または排除することができる。1つの特定の実施形態では、ALD4およびALD6またはそれらの相同体もしくは変異体の活性または発現が、低減または排除される。別の特定の実施形態では、ALD5およびALD6またはそれらの相同体もしくは変異体の活性または発現が、低減または排除される。なおも別の特定の実施形態では、ALD4、ALD5、およびALD6またはそれらの相同体もしくは変異体の活性または発現が、低減または排除される。なおも別の特定の実施形態では、サイトゾル局在化アルデヒドデヒドロゲナーゼALD2、ALD3、およびALD6またはそれらの相同体もしくは変異体の活性または発現が、低減または排除される。なおも別の特定の実施形態では、ミトコンドリア局在性アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ALD4およびALD5またはそれらの相同体もしくは変異体の活性または発現が、低減または排除される。 本明細書に記載されるように、本発明の組み換え微生物は、非改変親微生物よりも、少ない酸副産物を産生するように操作される。一実施形態では、組み換え微生物は、親微生物と比較して、約50パーセント未満の炭素収率で、炭素源から酸副産物を産生する。別の実施形態では、微生物は、約25パーセント未満、約10パーセント未満、約5パーセント未満、約1パーセント未満、約0.5パーセント未満、約0.1パーセント未満、または約0.01パーセント未満の炭素収率で、炭素源から酸副産物を産生する。一実施形態では、酸副産物は、イソブタノール生合成経路の中間体であるイソブチルアルデヒドに由来する、イソ酪酸塩である。別の実施形態では、酸副産物は、1−ブタノール生合成経路の中間体である1−ブタナールに由来する、酪酸塩である。なおも別の実施形態では、酸副産物は、2−メチル−1−ブタノール生合成経路の中間体である2−メチル−1−ブタナールに由来する、2−メチル−1−酪酸塩である。なおも別の実施形態では、酸副産物は、3−メチル−1−ブタノール生合成経路の中間体である3−メチル−1−ブタナールに由来する、3−メチル−1−酪酸塩である。なおも別の実施形態では、酸副産物は、1−プロパノール生合成経路の中間体である1−プロパナールに由来する、プロピオン酸塩である。なおも別の実施形態では、酸副産物は、1−ペンタノール生合成経路の中間体である1−ペンタナールに由来する、ペンタノエートである。なおも別の実施形態では、酸副産物は、1−ヘキサノール生合成経路の中間体である1−ヘキサナールに由来する、ヘキサノエートである。なおも別の実施形態では、酸副産物は、3−メチル−1−ペンタノール生合成経路の中間体である3−メチル−1−ペンタナールに由来する、3−メチル−1−ペンタノエートである。なおも別の実施形態では、酸副産物は、4−メチル−1−ペンタノール生合成経路の中間体である4−メチル−1−ペンタナールに由来する、4−メチル−1−ペンタノエートである。なおも別の実施形態では、酸副産物は、4−メチル−1−ヘキサノール生合成経路の中間体である4−メチル−1−ヘキサナールに由来する、4−メチル−1−ヘキサノエートである。なおも別の実施形態では、酸副産物は、5−メチル−1−ヘプタノール生合成経路の中間体である5−メチル−1−ヘプタナール、に由来する、5−メチル−1−ヘプタノエートである。 一実施形態では、対応するアルデヒドからの酸副産物炭素収率は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上のタンパク質の活性または発現の低減または欠失を含まない親微生物と比較して、組み換え微生物中で少なくとも約50%低減される。別の実施形態では、アセト乳酸からの酸副産物炭素収率は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上のタンパク質の活性または発現の低減または欠失を含まない親微生物と比較して、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約100%低減される。一実施形態では、酸副産物は、イソブタノール生合成経路の中間体であるイソブチルアルデヒドに由来する、イソ酪酸塩である。別の実施形態では、酸副産物は、1−ブタノール生合成経路の中間体である1−ブタナールに由来する、酪酸塩である。なおも別の実施形態では、酸副産物は、2−メチル−1−ブタノール生合成経路の中間体である2−メチル−1−ブタナールに由来する、2−メチル−1−酪酸塩である。なおも別の実施形態では、酸副産物は、3−メチル−1−ブタノール生合成経路の中間体である3−メチル−1−ブタナールに由来する、3−メチル−1−酪酸塩である。なおも別の実施形態では、酸副産物は、1−プロパノール生合成経路の中間体である1−プロパナールに由来する、プロピオン酸塩である。なおも別の実施形態では、酸副産物は、1−ペンタノール生合成経路の中間体である1−ペンタナールに由来する、ペンタノエートである。なおも別の実施形態では、酸副産物は、1−ヘキサノール生合成経路の中間体である1−ヘキサナールに由来する、ヘキサノエートである。なおも別の実施形態では、酸副産物は、3−メチル−1−ペンタノール生合成経路の中間体である3−メチル−1−ペンタナールに由来する、3−メチル−1−ペンタノエートである。なおも別の実施形態では、酸副産物は、4−メチル−1−ペンタノール生合成経路の中間体である4−メチル−1−ペンタナールに由来する、4−メチル−1−ペンタノエートである。なおも別の実施形態では、酸副産物は、4−メチル−1−ヘキサノール生合成経路の中間体である4−メチル−1−ヘキサナールに由来する、4−メチル−1−ヘキサノエートである。なおも別の実施形態では、酸副産物は、5−メチル−1−ヘプタノール生合成経路の中間体である5−メチル−1−ヘプタナール、に由来する、5−メチル−1−ヘプタノエートである。 さらなる実施形態では、望ましい発酵産物の収率は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上のタンパク質の活性または発現の低減または排除を含む組み換え微生物中で増加される。一実施形態では、望ましい発酵産物の収率は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約1%増加される。別の実施形態では、望ましい発酵産物の収率は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、または少なくとも約50%増加される。本明細書に記載されるように、望ましい発酵産物は、イソブタノール、1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノール生合成経路を含むが、これらに限定されない、アルデヒドが中間体として作用する任意の生合成経路に由来してもよい。 アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する追加的な酵素を特定する方法は、次のように概説される:推定アルデヒドおよびアルコールデヒドロゲナーゼをコードする内在性酵母遺伝子を、酵母株のゲノムから欠失させる。これらの欠失株を、酵素アッセイによって、親株と比較する。これらの欠失株の多くは、市販されている(例えば、Open Biosystems YSC1054)。 欠失ライブラリをスクリーニングするための別の方法は、酵母細胞を、アルデヒド(例えば、イソブチルアルデヒドまたは1−ブタナール)でインキュベートし、対応する酸副産物(例えば、それぞれイソブチルアルデヒドまたは1−ブタナールに由来する、イソ酪酸塩または酪酸塩)の産生について、ブロスを分析することである。 酸副産物(例えば、それぞれイソブチルアルデヒドまたは1−ブタナールに由来する、イソ酪酸塩または酪酸塩)の産生に関与するさらなる内在性活性を見出すための代替の手法は、酸副産物の産生に関与する酵素をコードすることが疑われる遺伝子を過剰発現する酵母株を分析することである。かかる株は、上記に列挙された候補遺伝子の多くのために、市販されている(例えば、Open Biosystems YSC3870)。ORF過剰発現株は、増加された酸副産物産生レベルについてスクリーニングされる。代替的には、ORF過剰発現株の細胞ライセートが、増加されたアルデヒド酸化活性についてアッセイされる。酸副産物の産生を引き起こす可能性のある遺伝子の一覧を狭めるために、それらの発現を、発酵試料中で分析することができる。酸副産物を産生する発酵中に発現されない遺伝子は、可能性のある標的の一覧から除外することができる。この分析は、発酵槽試料からRNAを抽出し、これらの試料を、例えば、Roche NimbleGenによる、全ゲノム発現分析に供することによって行うことができる。 本明細書に記載されるように、低レベルの1つ以上の酸副産物を天然に産生する株もまた、アルデヒド中間体を含む生合成経路に由来する、増加されたレベルの望ましい発酵産物を産生するために適用できる可能性がある。本開示を提供される当業者によって理解されるであろうが、低レベルの1つ以上の酸副産物を天然に産生する株は、本質的に、低レベルまたは検出不可能なレベルの内在性酵素活性を示す可能性があり、アルデヒドの、酸副産物への低減された変換をもたらし、それはイソブタノール等の望ましい発酵産物の産生に好ましい形質である。アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性が実質的にない、天然の宿主微生物を特定するための複数の手法が本明細書に記載される。例えば、酸副産物(例えば、イソ酪酸塩または酪酸塩)の産生に関与する、本質的に低いまたは検出不可能な内在性酵素活性を示す宿主微生物を見出すための1つの手法は、酵母細胞を、アルデヒド(例えば、イソブチルアルデヒドまたは1−ブタナール)でインキュベートし、対応する酸副産物(例えば、それぞれイソブチルアルデヒドまたは1−ブタナールに由来する、イソ酪酸塩または酪酸塩)の産生について、ブロスを分析することである。 上述のように、酸副産物であるイソ酪酸塩の産生を低減する1つの戦略は、イソブチルアルデヒドをイソ酪酸塩に変換している可能性がある、酵母中に存在する1つ以上の内在性アルデヒドデヒドロゲナーゼタンパク質の活性または発現を低減または排除することである。 イソ酪酸塩の産生を低減するための別の戦略は、更に1つの内在性酵母アルコールデヒドロゲナーゼの活性または発現の低減または排除である。S.セレビシエADH1、ADH2、ADH3、ADH4、ADH5、ADH6、ADH7、およびSFA1、ならびにその相同体もしくは変異体を含むが、これらに限定されない、1つ以上のアルコールデヒドロゲナーゼの発現を低減すること、またはそれらを欠失させることにより、一般的に、イソ酪酸塩の低減された産生およびイソブタノール収率の随伴的増加がもたらされるであろう。さらなるデヒドロゲナーゼの低減および/または欠失が本明細書に想定され、本発明の範囲内にあるとみなされる。これらのデヒドロゲナーゼには、S.セレビシエBDH1、BDH2、SOR1、SOR2、およびXYL1、ならびにその相同体もしくは変異体等のさらなるアルコールデヒドロゲナーゼ、ならびにAAD3、AAD4、AAD6、AAD10、AAD14、AAD15、AAD16、およびYPL088W、ならびにその相同体もしくは変異体等のアリールアルコールデヒドロゲナーゼが含まれる。 別の実施形態では、本発明は、カルボニル/アルデヒドレダクターゼをコードする1つ以上の追加的な遺伝子を低減および/または欠失するように操作された、組み換え微生物を提供する。これらのカルボニル/アルデヒドレダクターゼには、S.セレビシエARI1、YPR1、TMA29、YGL039W、およびUGA2、ならびにその相同体もしくは変異体が含まれる。 副産物イソ酪酸塩の産生を低減するための、本明細書に記載されるさらなる戦略は、イソブタノール経路中間体である2−ケトイソ吉草酸塩から、イソ酪酸塩を産生している可能性がある、酵母中に存在する内在性タンパク質の活性または発現を低減または排除することである。かかる酵素は、一般的にケト酸デヒドロゲナーゼ(KDH)と称される。これらの内在性タンパク質の活性または発現の排除または低減は、所望されない副産物、イソ酪酸塩の産生を低減または排除することができる。KDH酵素活性は、S.セレビシエにおいて特定されている(Dickinson,J.R.,and I.W.Dawes,1992。分岐鎖アミノ酸の異化は、S.セレビシエにおいて2−オキソ酸デヒドロゲナーゼを介して生じる。J.Gen.Microbiol.138:2029−2033)。1つ以上のケト酸デヒドロゲナーゼおよびその相同体もしくは変異体の発現を低減すること、またはそれらを欠失させることにより、一般的に、イソ酪酸塩の低減された産生およびイソブタノール収率の随伴的増加がもたらされるであろう。 S.セレビシエおよび他の酵母中の遺伝子の発現の低減またはその欠失は、対立遺伝子置換または交換、ならびに別の遺伝子またはマーカーカセットの挿入による遺伝子破壊等の、当業者に既知の方法によって達成することができる。 副産物イソ酪酸塩の産生を低減するための本明細書に記載される別の戦略は、イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換に関与するアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の活性および/または発現を増加させることである。この戦略は、イソブタノール経路中間体であるイソブチルアルデヒドに対する、内在性酵素による競合を防止する。アルコールデヒドロゲナーゼの活性および/または発現における増加は、種々の手段によって達成され得る。例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ活性は、増加されたプロモーター強度を有するプロモーターを利用することによって、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を増加させることによって、または増加された比活性を有する代替の、もしくは改変されたアルコールデヒドロゲナーゼを利用することによって、増加させることができる。 副産物イソ酪酸塩の産生を低減するための、本明細書に記載される代替的な戦略は、ミカエリス‐メンテン定数(KM)の減少を示す、イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換に関与するイソブタノール経路において、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)を利用することである。この戦略はまた、イソブタノール経路中間体であるイソブチルアルデヒドに対する、内在性酵素による競合を防止する。 副産物イソ酪酸塩の産生を低減するための、本明細書に記載される別の戦略は、増加された活性、およびミカエリス‐メンテン定数(KM)の減少を示す、イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換に関与するイソブタノール経路において、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)を利用することである。この戦略はまた、イソブタノール経路中間体、イソブチルアルデヒドに対する、内在性酵素による競合を防止する。 更に、改変されたADH酵素を利用することによって、本発明者らは、順反応(すなわち、イソブタノールへのイソブチルアルデヒド変換)が、逆反応(すなわち、イソブタノールのイソブチルアルデヒドへの変換)よりも好ましい反応である状況を確立し得る。 上述の戦略は、一般的に、イソ酪酸塩収率の減少をもたらし、それは、イソブタノール収率の増加を伴う。したがって、上記の戦略は、イソ酪酸塩収率および/または力価を減少させるため、およびイソブタノール収率の、イソ酪酸塩収率に対する比率を増加させるために有用である。 一実施形態では、イソ酪酸塩収率(グルコース1mol当たりのイソ酪酸塩mol)は、約5%未満である。別の実施形態では、イソ酪酸塩収率(グルコース1mol当たりのイソ酪酸塩mol)は、約1%未満である。なおも別の実施形態では、イソ酪酸塩収率(グルコース1mol当たりのイソ酪酸塩mol)は、約0.5%未満、約0.1%未満、約0.05%未満、または約0.01%未満である。 一実施形態では、イソブタノール対イソ酪酸塩収率比率は、少なくとも約2である。別の実施形態では、イソブタノール対イソ酪酸塩収率は、少なくとも約5である。なおも別の実施形態では、イソブタノール対イソ酪酸塩収率比率は、少なくとも約20、少なくとも約100、少なくとも約500、または少なくとも約1000である。 中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路に由来する有益な代謝物を産生する、本明細書に記載される組み換え微生物は、ピルビン酸塩の、3−ケト酸(例えば、アセト乳酸および/または2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩)以外の産物への変換に対する酵素活性を低減または排除するように更に操作されてもよい。一実施形態では、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、ピルビン酸塩オキシダーゼ、ピルビン酸塩デヒドロゲナーゼ、および/またはグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)の酵素活性が、低減または排除される。 特定の実施形態では、有益な代謝物は、アセト乳酸シンターゼ(ALS)遺伝子を過剰発現する、組み換えPDC−マイナスGPD−マイナス酵母微生物中で産生される。別の特定の実施形態では、ALSは、B.スブチリスalsSによってコードされる。3−ヒドロキシ酸副産物および酸副産物の低減された蓄積 本発明者らは、本明細書で、3−ケト酸中間体の、対応する3−ヒドロキシ酸副産物への変換を低減するための複数の戦略を説明し、それは望ましい代謝物の収率の増加を伴うプロセスである。本発明者らはまた、本明細書で、アルデヒド中間体の、対応する酸副産物への変換を低減するための複数の戦略を説明し、それは望ましい代謝物の収率の更なる増加を伴うプロセスである。 したがって、一態様では、本発明は、中間体として3−ケト酸、および中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路を含む組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、(i)3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する酵素が実質的になく、かつ(ii)アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素が実質的にない。一実施形態では、3−ケト酸中間体は、アセト乳酸である。中間体としてアセト乳酸およびアルデヒドを使用する生合成経路は、イソブタノール、1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノールの生合成のための経路から選択され得る。別の実施形態では、3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩である。中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩およびアルデヒドを使用する生合成経路は、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの生合成のための経路から選択されてもよい。 別の態様では、本発明は、中間体として3−ケト酸、および中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路を含む組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、(i)3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ(ii)アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。一実施形態では、3−ケト酸中間体は、アセト乳酸である。中間体としてアセト乳酸およびアルデヒドを使用する生合成経路は、イソブタノール、1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノールの生合成のための経路から選択され得る。別の実施形態では、3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩である。中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩およびアルデヒドを使用する生合成経路は、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの生合成のための経路から選択されてもよい。 本明細書に記載される種々の実施形態では、3−ケト酸中間体の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒することに関与するタンパク質は、ケトレダクターゼである。例示的な実施形態では、ケトレダクターゼは、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。更なる例示的な実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエYMR226C(配列番号1)タンパク質またはその相同体もしくは変異体である。一実施形態では、相同体は、バンデルワルトムジマ(Vanderwaltomzyma)・ポリスポラ(配列番号2)、サッカロミセス・カステリイ(配列番号3)、カンジダ・グラブラタ(配列番号4)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号5)、ジゴサッカロミセス・ロウキシイ(配列番号6)、K.ラクチス(配列番号7)、アシビア・ゴシピイ(配列番号8)、サッカロミセス・クルイベリ(配列番号9)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号10)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号11)、ピキア・スチピチス(配列番号12)、デバロミセス・ハンセニイ(配列番号13)、ピキア・パストリス(配列番号14)、カンジダ・デュブリニエンシス(配列番号15)、カンジダ・アルビカンス(配列番号16)、ヤロウィア・リポリチカ(配列番号17)、イッサチェンキア・オリエンタリス(配列番号18)、アスペルギルス・ニデュランス(配列番号19)、アスペルギルス・ニガー(配列番号20)、ニューロスポラ・クラッサ(配列番号21)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号22)、およびクルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号23)からなる群から選択されてもよい。 本明細書に記載される種々の実施形態では、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与するタンパク質は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)である。一実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、ALD6、およびHFD1からなる群から選択される遺伝子、ならびにそれらの相同体および変異体によってコードされる。例示的な実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエアルデヒドデヒドロゲナーゼALD6(配列番号25)またはその相同体もしくは変異体である。一実施形態では、相同体は、サッカロミセス・カステリイ(配列番号26)、カンジダ・グラブラタ(配列番号27)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号28)、クルイベロミセス・ラクチス(配列番号29)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号30)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号31)、サッカロミセス・セレビシエYJ789(配列番号32)、サッカロミセス・セレビシエJAY291(配列番号33)、サッカロミセス・セレビシエEC1118(配列番号34)、サッカロミセス・セレビシエDBY939(配列番号35)、サッカロミセス・セレビシエAWRI1631(配列番号36)、サッカロミセス・セレビシエRM11−1a(配列番号37)、ピキア・パストリス(配列番号38)、クルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号39)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号40)、およびシゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号41)からなる群から選択されてもよい。 中間体として3−ケト酸およびアルデヒドを使用する生合成経路に由来する有益な代謝物を産生する、本明細書に記載される組み換え微生物は、ピルビン酸塩の、3−ケト酸(例えば、アセト乳酸および/または2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩)以外の産物への変換に対する酵素活性を低減または排除するように更に操作されてもよい。一実施形態では、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、ピルビン酸塩オキシダーゼ、ピルビン酸塩デヒドロゲナーゼ、および/またはグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)の酵素活性が、低減または排除される。 特定の実施形態では、有益な代謝物は、アセト乳酸シンターゼ(ALS)遺伝子を過剰発現する、組み換えPDC−マイナスGPD−マイナス酵母微生物中で産生される。別の特定の実施形態では、ALSは、B.スブチリスalsSによってコードされる。3−ヒドロキシ酸副産物および/または酸副産物の蓄積を低減するための戦略の例証的な実施形態 特定の例証的実施形態では、組み換え微生物は、アセト乳酸およびイソブチルアルデヒドが代謝経路の中間体である、イソブタノール産生代謝経路を含み、該組み換え微生物は、アセト乳酸中間体のDH2MBへの変換、およびイソブチルアルデヒド中間体のイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素が実質的にない。別の特定の実施形態では、組み換え微生物は、アセト乳酸およびイソブチルアルデヒドが代謝経路の中間体である、イソブタノール産生代謝経路を含み、該組み換え微生物は、(i)アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ(ii)イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。一実施形態では、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。別の実施形態では、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)である。3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)が排除されるような経路の非限定的例は、図5に示される。 更なる特定の例証的実施形態では、組み換え微生物は、アセト乳酸および3−メチル−1−ブタナールが代謝経路の中間体である、3−メチル−1−ブタノール産生代謝経路を含み、該組み換え微生物は、アセト乳酸中間体のDH2MBへの変換、および3−メチル−1−ブタナール中間体の3−メチル−1−酪酸塩への変換を触媒する酵素が実質的にない。別の特定の実施形態では、組み換え微生物は、アセト乳酸および3−メチル−1−ブタナールが代謝経路の中間体である、3−メチル−1−ブタノール産生代謝経路を含み、該組み換え微生物は、(i)アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ(ii)3−メチル−1−ブタナールの3−メチル−1−酪酸塩への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。一実施形態では、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。別の実施形態では、3−メチル−1−ブタナールの3−メチル−1−酪酸塩への変換を触媒する酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)である。3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)が排除されるような経路の非限定的例は、図6に示される。 更なる特定の例証的実施形態では、組み換え微生物は、アセト乳酸および2−メチル−1−ブタナールが代謝経路の中間体である、2−メチル−1−ブタノール産生代謝経路を含み、該組み換え微生物は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩中間体の2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩への変換、および2−メチル−1−ブタナール中間体の2−メチル−1−酪酸塩への変換を触媒する酵素が実質的にない。別の特定の実施形態では、組み換え微生物は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩および2−メチル−1−ブタナールが代謝経路の中間体である、2−メチル−1−ブタノール産生代謝経路を含み、該組み換え微生物は、(i)2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ(ii)2−メチル−1−ブタナールの2−メチル−1−酪酸塩への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。一実施形態では、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩への変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。別の実施形態では、2−メチル−1−ブタナールの2−メチル−1−酪酸塩への変換を触媒する酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)である。3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)が排除されるような経路の非限定的例は、図7に示される。DH2MBをイソブタノール経路中間体に変換する酵素の過剰発現 イソブタノール産生酵母中の、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(CAS番号14868−24−7)の産生を低減または排除するための異なる手法は、DH2MBをイソブタノール経路中間体に変換する酵素を過剰発現させることである。これを達成するための1つの方法は、DH2MBおよびアセト乳酸の相互変換を触媒するが、DH2MBの酸化を選好する、酵素の使用を通じるものである。したがって、一実施形態では、本発明は、イソブタノールを産生するための組み換え微生物を提供し、該組み換え微生物は、DH2MBをアセト乳酸に変換することができる内在性または異種タンパク質を過剰発現する。 一実施形態では、内在性または異種タンパク質は、動態的に酸化的反応を選好する。別の実施形態では、内在性または異種タンパク質は、DH2MBに対して低KM、かつアセト乳酸に対して高KMを有する。なおも別の実施形態では、内在性または異種タンパク質は、その補因子の酸化型に対して低KM、かつその補因子の対応する還元型に対して高KMを有する。なおも別の実施形態では、内在性または異種タンパク質は、還元的方向に対してよりも、酸化的反応に対してより高いkcatを有する。この内在性または異種タンパク質は、好ましくは、酸化還元補因子を、その還元型と比較して高濃度のその酸化型で使用する能力を有するべきである。 一実施形態では、内在性または異種タンパク質は、YAL060W、YJR159W、YGL157W、YBL114W、YOR120W、YKL055C、YBR159W、YBR149W、YDL168W、YDR368W、YLR426W、YCR107W、YILL24W、YML054C、YOL151W、YMR318c、YBR046C、YHR104W、YIR036C、YDL174C、YDR541C、YBR145W、YGL039W、YCR105W、YDL124W、YIR035C、YFL056C、YNL274c、YLR255C、YGL185C、YGL256W、YJR096W、YJR155W、YPL275W、YOR388C、YLR070C、YMR083W、YER081W、YJR139C、YDL243C、YPL113C、YOL165C、YML086C、YMR303C、YDL246C、YLR070C、YHR063C、YNL331C、YFL057C、YIL155C、YOL086C、YAL061W、YDR127W、YPR127W、YCL018W、YIL074C、YIL124W、およびYEL071Wからなる群から選択される遺伝子によってコードされる。加えて、異種遺伝子は、イソブタノール産生酵母中で過剰発現させることができる。例えば、ベータ−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.45およびEC1.1.1.60)は、過剰発現に対する候補であろう。 別の実施形態では、動態的に、還元的反応を選好する内在性または異種タンパク質が、酸化的反応を選好するように操作される。別の実施形態では、タンパク質は、DH2MBに対して低KM、かつアセト乳酸に対して高KMを有するように操作される。なおも別の実施形態では、タンパク質は、その補因子の酸化型に対して低KM、かつその補因子の対応する還元型に対して高KMを有するように操作される。なおも別の実施形態では、タンパク質は、還元的方向に対してよりも、酸化的反応に対してより高いkcatを有するように操作される。この操作されたタンパク質は、好ましくは、酸化還元補因子を、その還元型と比較して高濃度のその酸化型で使用する能力を有するべきである。 代替的には、DH2MBをDHIVに異性化する酵素が、過剰発現され得る。この手法は、ピルビン酸塩からイソブタノールを産生するための新規経路を表す。故に、一実施形態では、本発明は、イソブタノールを産生するための組み換え微生物を提供すし、該組み換え微生物は、DH2MBを2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩に変換することができる内在性または異種タンパク質を過剰発現する。2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートを生合成経路中間体に変換する酵素の過剰発現 酵母中の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートの産生を低減または排除するための異なる手法は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートを生合成経路中間体に変換する酵素を過剰発現させることである。この手法は、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールを含むが、これらに限定されない、中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を使用する任意の生合成経路に有用である。これを達成するための1つの方法は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートおよび2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の相互変換を触媒するが、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートの酸化を選好する、酵素の使用を通じるものである。したがって、一実施形態では、本発明は、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールから選択される産物を産生するための組み換え微生物を提供し、該組み換え微生物は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートを2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に変換することができる内在性または異種タンパク質を過剰発現する。 一実施形態では、内在性または異種タンパク質は、動態的に酸化的反応を選好する。別の実施形態では、内在性または異種タンパク質は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートに対して低KM、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に対して高KMを有する。なおも別の実施形態では、内在性または異種タンパク質は、その補因子の酸化型に対して低KM、その補因子の対応する還元型に対して高KMを有する。なおも別の実施形態では、内在性または異種タンパク質は、還元的方向に対してよりも、酸化的反応に対してより高いkcatを有する。この内在性または異種タンパク質は、好ましくは、酸化還元補因子を、その還元型と比較して高濃度のその酸化型で使用する能力を有するべきである。 一実施形態では、内在性または異種タンパク質は、YAL060W、YJR159W、YGL157W、YBL114W、YOR120W、YKL055C、YBR159W、YBR149W、YDL168W、YDR368W、YLR426W、YCR107W、YILL24W、YML054C、YOL151W、YMR318c、YBR046C、YHR104W、YIR036C、YDL174C、YDR541C、YBR145W、YGL039W、YCR105W、YDL124W、YIR035C、YFL056C、YNL274c、YLR255C、YGL185C、YGL256W、YJR096W、YJR155W、YPL275W、YOR388C、YLR070C、YMR083W、YER081W、YJR139C、YDL243C、YPL113C、YOL165C、YML086C、YMR303C、YDL246C、YLR070C、YHR063C、YNL331C、YFL057C、YIL155C、YOL086C、YAL061W、YDR127W、YPR127W、YCL018W、YIL074C、YIL124W、およびYEL071Wからなる群から選択される遺伝子によってコードされる。加えて、異種遺伝子は、イソロイシン産生酵母中で過剰発現させることができる。例えば、ベータ−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.45およびEC1.1.1.60)は、過剰発現に対する候補であろう。 代替的には、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートを2,3−ジヒドロキシ−3−吉草酸メチルに異性化する酵素が、過剰発現され得る。この手法は、ピルビン酸塩から、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールを産生するための新規経路を表す。故に、一実施形態では、本発明は、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールから選択される産物を産生するための組み換え微生物を提供し、該組み換え微生物は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエートをβ−ジヒドロキシ−β−吉草酸メチルに変換することができる内在性または異種タンパク質を過剰発現する。DH2MBの産生低減するための、過剰発現されたケトール酸レダクトイソメラーゼ(KARI)および/または改変されたケトール酸レダクトイソメラーゼ(KARI)の使用 本明細書に記載されるように、アセト乳酸のDH2MBへの変換は、中間体アセト乳酸に対して、イソブタノール経路と競合する。本酵母イソブタノール産生株において、ケトール酸レダクトイソメラーゼ(KARI)は、アセト乳酸のDHIVへの変換を触媒する。 一実施形態では、本発明は、アセト乳酸の2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩(DHIV)への変換を触媒する、過剰発現されたケトール酸レダクトイソメラーゼ(KARI)を有する組み換え微生物を提供する。KARIの過剰発現は、DH2MB産生を低減する効果を有する。一実施形態では、KARIは、ライセートにおいて、少なくとも0.01U/mgの活性を有する。別の実施形態では、KARIは、ライセートにおいて、少なくとも0.03U/mgの活性を有する。なおも別の実施形態では、KARIは、ライセートにおいて、少なくとも0.05、0.1、0.5、1、2、5、または10U/mgの活性を有する。 好ましい実施形態では、過剰発現されたKARIは、野生型または親KARIと比較して、アセト乳酸に対して低減されたKMを示すように操作される。アセト乳酸に対してより低いKMを有する改変されたKARIの使用は、副産物DH2MBの産生を低減することが予想される。より低い基質KMを有するKARIは、スクリーニング相同体によって特定される。代替手段においては、KARIは、当該技術分野で既知の技術を使用する指向性進化によって、低減されたKMを示すように操作することができる。 これらの実施形態の各々において、KARIは、補因子として(NADPHよりもむしろ)NADHを利用する変異体酵素であってもよい。かかる酵素は、譲受人共通および同時係属中の刊行物、米国特許第2010/0143997号に記載され、それは参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。DH2MBの産生を低減するための、過剰発現されたジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)の使用 本明細書に記載されるように、本発明者らは、イソブタノール経路酵素であるヒジドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)の過剰発現が、副産物、DH2MBの産生を低減することを見出した。 したがって、一実施形態では、本発明は、2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩(DHIV)の2−ケトイソ吉草酸塩(KIV)への変換を触媒する、ヒジドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)を有する組み換え微生物を提供する。DHADの過剰発現は、DH2MB産生を低減する効果を有する。一実施形態では、DHADは、ライセートにおいて、少なくとも0.01U/mgの活性を有する。別の実施形態では、DHADは、ライセートにおいて、少なくとも0.03U/mgの活性を有する。なおも別の実施形態では、DHADは、ライセートにおいて、少なくとも0.05、0.1、0.5、1、2、5、または10U/mgの活性を有する。3−ヒドロキシ酸の産生のための組み換え微生物 本発明は、さらなる態様で、産物または代謝中間体としての3−ヒドロキシ酸の産生のための組み換え微生物を提供する。一実施形態では、これらの3−ヒドロキシ酸産生組み換え微生物は、アセト乳酸シンターゼ(ALS)、および2−アセト乳酸のDH2MBへの還元を触媒する3−ケト酸レダクターゼを発現する。別の実施形態では、これらの3−ヒドロキシ酸産生組み換え微生物は、アセト乳酸シンターゼ(ALS)、および2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩への還元を触媒する3−ケト酸レダクターゼを発現する。 これらの3−ヒドロキシ酸産生組み換え微生物は、ピルビン酸塩の、アセト乳酸以外の産物への変換に対する酵素活性を低減または排除するように更に操作されてもよい。一実施形態では、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、ピルビン酸塩オキシダーゼ、ピルビン酸塩デヒドロゲナーゼ、および/またはグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)の酵素活性が、低減または排除される。 特定の実施形態では、DH2MBは、ALS遺伝子を過剰発現し、3−ケト酸レダクターゼを発現する、組み換えPDC−マイナスGPD−マイナス酵母微生物中で産生される。一実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、天然に発現される。別の実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、異種性で発現される。なおも別の実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、過剰発現される。特定の実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエTMA29遺伝子またはその相同体によってコードされる。別の特定の実施形態では、ALSは、B.スブチリスAlsSによってコードされる。 別の特定の実施形態では、2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩は、ALS遺伝子を過剰発現し、3−ケト酸レダクターゼを発現する、組み換えPDC−マイナスGPD−マイナス酵母微生物中で産生される。一実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、天然に発現される。別の実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、異種性で発現される。なおも別の実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、過剰発現される。特定の実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエTMA29遺伝子またはその相同体によってコードされる。別の特定の実施形態では、ALSは、B.スブチリスAlsSによってコードされる。 これらのさらなる態様に従って、本発明はまた、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)を産生する方法を提供し、(a)アセト乳酸シンターゼ(ALS)、および2−アセト乳酸のDH2MBへの還元を触媒する3−ケト酸レダクターゼを発現するDH2MB産生組み換え微生物を提供することと、(b)回収可能な量のDH2MBが産生されるまで、該組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養することと、を含む。 これらの追加的な態様に従って、本発明はまた、2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩を産生する方法を提供し、(a)アセト乳酸シンターゼ(ALS)、および2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩への還元を触媒する3−ケト酸レダクターゼを発現する2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩産生組み換え微生物を提供することと、(b)回収可能な量の2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩が産生されるまで、該組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養することと、を含む。酸産物の産生のための組み換え微生物 本発明は、さらなる態様で、アルデヒドに由来する酸産物の産生のための組み換え微生物を提供する。一実施形態では、これらの酸産物産生組み換え微生物は、アルデヒドの、対応する酸産物への変換を触媒するアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現する。これらの酸産物産生組み換え微生物は、所望の酸産物の上流にある代謝物の望ましくない変換に対する、競合酵素活性を低減または排除するように更に操作され得る。 特定の実施形態では、酸産物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼを過剰発現する組み換え酵母微生物中で産生される。一実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、天然に発現される。別の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、異種性で発現される。なおも別の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、過剰発現される。特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエALD6遺伝子またはその相同体によってコードされる。 このさらなる態様に従って、本発明はまた、酸産物を産生する方法を提供し、(a)アルデヒドの、酸産物への変換を触媒するアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現する酸産物産生組み換え微生物を提供することと、および(b)回収可能な量の所望の酸産物が産生されるまで、該組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養することと、を含む。微生物の概要 本明細書に提供される組み換え微生物は、好適な炭素源からの、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、補酵素A、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘプタノール、および1−プロパノール等の有益な代謝物の産生のための経路に関与する、複数の異種および/または天然の酵素を発現することができる。操作された生合成経路において産生される有益な代謝物の非限定的な一覧は、本明細書の表1〜3に見出される。 本明細書に記載されるように、「操作された」または「改変された」微生物は、選択の宿主または親微生物への遺伝物質の導入を介して、および/または天然の遺伝子の発現の改変によって産生され、それによって微生物の細胞生理学および生化学を改変または変化させる。遺伝物質の導入および/または天然の遺伝子の発現の改変を通じて、親微生物は、新たな特性、例えば、新たな、またはより大量の、細胞内および/または細胞外代謝物を産生する能力を獲得する。本明細書に記載されるように、親微生物中への遺伝物質の導入および/または親微生物中での天然の遺伝子の発現の改変は、好適な炭素源からの、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、補酵素A、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘプタノール、および1−プロパノール等の有益な代謝物を産生する新たなまたは改変された能力をもたらす。親微生物中に導入された遺伝物質および/または親微生物中での発現のために改変された遺伝子は、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、補酵素A、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘプタノール、および1−プロパノールから選択される1つ以上の代謝物の産生のための生合成経路に関与する酵素のうちの1つ以上をコードする遺伝子、または遺伝子の一部を含有し、またこれらの遺伝子発現および/またはその発現の調節のための、追加的な要素、例えばプロモーター配列、を含んでもよい。 宿主または親微生物中への遺伝物質の導入に加えて、操作または改変された微生物はまた、微生物の細胞生理学および生化学を変化させるための、遺伝子またはポリヌクレオチドの変化、撹乱、欠失、またはノックアウトを含み得る。遺伝子またはポリヌクレオチドの変化、撹乱、欠失、またはノックアウトを通じて、微生物は、新たなまたは改善された特性(例えば、新たな代謝物、またはより大量の細胞内代謝物を産生する、所望の経路を下る代謝物の流動を改善する、および/または副産物の産生を低減する能力)を獲得する。 本明細書に提供される組み換え微生物はまた、親微生物中で利用不可能な量の代謝物を産生し得る。「代謝物」は、代謝によって産生される任意の物質、または特定の代謝プロセスに必要なもしくはそれに関与する物質を指す。代謝物は、代謝の出発物質(例えば、グルコースまたはピルビン酸塩)、中間体(例えば、2−ケトイソ吉草酸塩)、または最終産物(例えば、イソブタノール)である有機化合物であり得る。代謝物を使用して、より複合の分子を構築することができ、またはそれらを、より単純な分子に分解することができる。中間体代謝物は、他の代謝物から合成されても、場合によるとより複合の物質を作製するために使用されも、またはしばしば化学エネルギーの放出を伴って、より単純な化合物に分解されもよい。 本開示は、本開示の方法、組成物、および生物において有用な特異的遺伝子を特定するが、かかる遺伝子との絶対的な同一性は必要でないことが認識されるであろう。例えば、ポリペプチドまたは酵素をコードする配列を含む特定の遺伝子またはポリヌクレオチドにおける変更が行われ、活性についてスクリーニングされ得る。典型的には、かかる変更は、保存的突然変異およびサイレント突然変異を含む。かかる改変または突然変異されたポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、機能酵素の発現について、当該技術分野で既知の方法を使用してスクリーニングすることができる。 遺伝子コードの固有の縮重に起因して、実質的に同じまたは機能的に同等のポリペプチドをコードする他のポリヌクレオチドを使用して、かかる酵素をコードするポリヌクレオチドをクローン化し、発現させることもできる。 当業者によって理解されるように、特定の宿主におけるその発現を増強するために、コード配列を改変することが有利であり得る。遺伝子コードは、64の可能性のあるコドンと重複しているが、ほとんどの生物は、典型的にはこれらのコドンのサブセットを使用する。種において最も頻繁に利用されるコドンは、最適なコドンと呼ばれ、低頻度でしか利用されないものは、稀少コドンまたは低使用頻度コドンとして分類される。コドンは、「コドン最適化」または「種のコドンバイアスの制御」と呼ばれるプロセス時に、宿主の好ましいコドン使用頻度を反映するように置換することができる。 特定の原核宿主または真核宿主によって好まれるコドンを含有する最適化コード配列(Murray et al.,1989,Nucl Acids Res.17:477−508)は、例えば、翻訳率を増加させるために、または非最適化配列から産生される転写物と比較して、より長い半減期等の望ましい特性を有する組み換えRNA転写物を産生するために、調製することができる。翻訳終止コドンもまた、宿主選好を反映するように改変することができる。例えば、S.セレビシエおよび哺乳動物に対する典型的な終止コドンは、それぞれUAAおよびUGAである。単子葉植物に対する典型的な終止コドンはUGAである一方で、昆虫および大腸菌は、終止コドンとして、一般にUAAを使用する(Dalphin et al.,1996,Nucl Acids Res.24:216−8)。植物中の発現のためにヌクレオチド配列を最適化するための手法は、例えば、米国特許第6,015,891号、およびその中で引用される参考文献に提供される。 当業者であれば、遺伝子コードの縮重性質に起因して、それらのヌクレオチド配列において異なる多様なDNA化合物を使用して、本開示の所与の酵素をコードすることができることを認識するであろう。上述の生合成酵素をコードする天然のDNA配列は、本開示の実施形態を例証するために本明細書で参照されるにすぎず、本開示は、本開示の方法に利用される酵素のポリペプチドおよびタンパク質のアミノ酸配列をコードする、任意の配列のDNA化合物を含む。同様の様式で、ポリペプチドは、典型的には、所望の活性の損失または有意な損失なしに、そのアミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸置換、欠失、および挿入を許容することができる。本開示は、改変されたポリペプチドまたは変異体ポリペプチドが、参照ポリペプチドの酵素同化または異化活性を有する限り、本明細書に記載される特異的タンパク質とは異なるアミノ酸配列を有するかかるポリペプチドを含む。更に、本明細書に示されるDNA配列によってコードされるアミノ酸配列は、本開示の実施形態を例証するにすぎない。 加えて、代謝物を生成するのに有用な酵素の相同体が、本明細書に提供される微生物および方法によって包含される。 本明細書で使用されるとき、2つのタンパク質(またはタンパク質の領域)は、アミノ酸配列が少なくとも約30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性を有するとき、実質的に相同である。2つのアミノ酸配列の、または2つの核酸配列の、同一性パーセントを決定するために、配列は、最適な比較目的(例えば、最適な整列のために、第1および第2のアミノ酸配列または核酸配列の1つまたは両方に、ギャップを導入することができ、非相同配列は、比較目的のために無視することができる)のために整列される。一実施形態では、比較目的のために整列される参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、典型的には少なくとも40%、より典型的には少なくとも50%、更により典型的には少なくとも60%、および更により典型的には少なくとも70%、80%、90%、100%である。次いで対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列における位置が、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有されるとき、分子は、その位置で同一である(本明細書で使用されるときアミノ酸または核酸「同一性」は、アミノ酸または核酸「相同性」と同等である)。2つの配列の間の同一性パーセントは、2つの配列の最適な整列のために導入される必要がある、ギャップの数、および各ギャップの長さを考慮した、その配列によって共有される同一位置の数の関数である。 タンパク質またはペプチドを参照して「相同」が使用されるとき、同一でない残基位置がしばしば保存的アミノ酸置換によって異なることが認識される。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、同様の化学特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖(R基)を有する、別のアミノ酸残基によって置換される置換である。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に変更しない。2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換によって互いに異なる場合には、配列同一性パーセントまたは相同性の度合いは、置換の保存的性質を補正するために、上方に調整されてもよい。この調整を行うための手段は、当業者に周知である(例えば、Pearson W.R.,1994,Methods in Mol Biol 25:365−89を参照されたい)。 次の6個の群は各々、互いに対して保存的置換であるアミノ酸を含有する:1)セリン(S)、スレオニン(T)、2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、4)アルギニン(R)、リジン(K)、5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アラニン(A)、バリン(V)、および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。 配列同一性パーセントとも称される、ポリペプチドに対する配列相同性は、典型的には配列分析ソフトウェアを使用して測定される。譲受人共通および同時係属中の出願米国特許第2009/0226991号を参照されたい。分子配列を、異なる生物からの多数の配列を含有するデータベースと比較する、使用される典型的なアルゴリズムは、コンピュータプログラムBLASTである。多数の異なる生物からの配列を含有するデータベースを検索するとき、アミノ酸配列を比較することが典型的である。データベースを検索するを使用するアミノ酸配列は、譲受人共通および同時係属中の出願米国特許第2009/0226991号に記載されるアルゴリズムによって測定することができる。 様々な微生物が、アセト乳酸を要求するおよび/またはアルデヒド中間体を要求する生合成経路からの有益な代謝物の産生に好適な、組み換え代謝経路を含むように改変することができることが理解される。種々の実施形態では、微生物は、酵母微生物から選択されてもよい。イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、補酵素A、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘプタノール、および1−プロパノール等の代謝物の産生のための酵母微生物は、ある種の特徴に基づいて選択され得る。 1つの特徴には、種々の炭素源を、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、補酵素A、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘプタノール、および1−プロパノール等の有益な代謝物に変換するために、微生物が選択されるという特性が含まれてもよい。「炭素源」という用語は、一般的には、原核または真核細胞増殖のための炭素の源として使用されるために好適な物質を指す。好適な炭素源の例は、譲受人共通および同時係属中の出願米国特許第2009/0226991号に記載される。したがって、一実施形態では、本明細書に開示される組み換え微生物は、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない多様な炭素源を、産物に変換することができる。 組み換え微生物は故に、キシロースを含む五炭(ペントース)糖からの、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、補酵素A、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘプタノール、および1−プロパノールの産生のための経路を更に含む。ほとんどの酵母種は、複雑な経路を介して、キシロースを代謝し、そこでは、まずキシロースがキシロースレダクターゼ(XR)酵素を介してキシリトールに還元される。キシリトールは次いで、キシリトールデヒドロゲナーゼ(XDH)酵素を介してキシルロースに酸化される。キシルロースは次いで、キシルロキナーゼ(XK)酵素を介してリン酸化される。この経路は、それが細胞中の酸化還元不均衡を導入するため、酵母種において非効率的に作動する。キシロースからキシリトールへのステップは、補因子としてNADHを使用する一方で、キシリトールからキシルロースへのステップは、補因子としてNADPHを使用する。他のプロセスが、細胞内の酸化還元不均衡を回復させるように作動する必要がある。これはしばしば、生物が、キシロースまたは他のペントース糖上で嫌気的に成長することができないことを意味する。それ故に、キシロースおよび他のペントース糖を所望の発酵産物に効率的に発酵させることができる酵母種が、したがって、非常に望ましい。 故に、一態様では、組み換え微生物は、機能する外来性キシロースイソメラーゼを発現するように操作される。酵母中で機能する外来性キシロースイソメラーゼは、当該技術分野で既知である。例えば、Rajgarhiaら、米国特許第2006/0234364号を参照されたく、それは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。この態様による実施形態では、外来性キシロースイソメラーゼ遺伝子は、酵母細胞中で機能するプロモーターおよび終結配列に作動的に連結される。好ましい実施形態では、組み換え微生物は更に、キシロースからキシリトールへの変換を触媒する酵素(例えば、XRおよび/またはXDH)をコードする天然の遺伝子の欠失または撹乱を有する。更なる好ましい実施形態では、組み換え微生物はまた、酵母細胞中で機能的なプロモーターおよび終結配列に作動的に連結される、機能する外来性キシルロキナーゼ(XK)遺伝子も含有する。一実施形態では、キシルロキナーゼ(XK)遺伝子は、過剰発現される。 一実施形態では、微生物は、低減されたまたはゼロのピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有する。PDCは、ピルビン酸塩のアセトアルデヒドへの脱炭酸を触媒し、アセトアルデヒドは次いで、ADHによって、NADHのNAD+への酸化を介してエタノールに還元される。エタノール産物は、解糖からNADHを酸化させるための主要な経路である。この経路の欠失は、生合成経路のために利用可能なピルビン酸塩および還元等価物(NADH)を増加させる。したがって、PDC遺伝子の欠失により、更に所望の代謝物の収率を増加させることができる。 別の実施形態では、微生物は、低減されたまたはゼロのグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)活性を有する。GPDは、NADHのNAD+への酸化を介して、ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)の、グリセロール−3−リン酸(G3P)への還元を触媒する。グリセロールが次いで、グリセロール−3−ホスファターゼ(GPP)によってG3Pから産生される。グリセロール産生は、解糖からの過剰のNADHを酸化させるための二次経路である。この経路の低減または排除は、生合成経路のために利用可能なピルビン酸塩および還元等価物(NADH)を増加させるであろう。故に、GPD遺伝子の欠失により、更に所望の代謝物の収率を増加させることができる。 なおも別の実施形態では、微生物は、低減されたまたはゼロのPDC活性、および低減されたまたはゼロのGPD活性を有する。PDC−マイナス/GPD−マイナス酵母産物株は、譲受人共通および同時係属中の刊行物、米国特許第2009/0226991号および米国特許第2011/0020889号に記載され、それらの両方は参照によりそれらの全体が全目的で本明細書に組み込まれる。 一実施形態では、酵母微生物は、譲受人共通および同時係属中の出願米国特許第2009/0226991号に記載される、「サッカロミセス酵母クレード」から選択されてもよい。 「サッカロミセス・センス・ストリクト」分類群という用語は、S.セレビシエに高度に関連する酵母種のクラスターである(Rainieri et al.,2003,J.Biosci Bioengin 96:1−9)。サッカロミセス・センス・ストリクト酵母種には、S.セレビシエ、S.クドリアブゼビイ、S.ミカタエ、S.バヤヌス、S.ウバルム、S.カロカニス、およびこれらの種に由来するハイブリッドが含まれるが、これらに限定されない(Masneuf et al.,1998,Yeast 7:61−72)。 古代の全ゲノム重複(WGD)事象は、半子嚢菌類酵母の進化中に生じ、比較ゲノムツールを使用して発見された(Kellis et al.,2004,Nature 428:617−24、Dujon et al.,2004,Nature 430:35−44、Langkjaer et al.,2003,Nature 428:848−52、Wolfe et al.,1997,Nature 387:708−13)。この主要な進化事象を使用して、酵母は、WGD事象後に共通の祖先から分岐した種(本明細書で「WGD後酵母」と称される)、およびWGD事象前に酵母系統から分岐した種(本明細書で「WGD前酵母」と称される)に分割することができる。 したがって、一実施形態では、酵母微生物は、サッカロミセスおよびカンジダを含むが、これらに限定されないWGD後酵母属から選択されてもよい。好ましいWGD後酵母種には、次のものが含まれる:S.セレビシエ、S.ウバルム、S.バヤヌス、S.パラドキサス、S.カステリイ、およびC.グラブラタ。 別の実施形態では、酵母微生物は、サッカロミセス、クルイベロミセス、カンジダ、ピキア、イッサトケンキア、デバリオミセス、ハンゼヌラ、ヤロウィア、およびシゾサッカロミセスを含むが、これらに限定されない全ゲノム重複前(WGD前)酵母属から選択されてもよい。代表的なWGD前酵母種には、次のものが含まれる:S.クルイベリ、K.サーモトレランス、K.マルシアヌス、K.ワルチイ、K.ラクチス、C.トロピカリス、P.パストリス、P.アノマラ、P.スチピチス、I.オリエンタリス、I.オシデンタリス、I.スクツラタ、D.ハンセニイ、H.アノマラ、Y.リポリチカ、およびS.ポンベ。 酵母微生物は、譲受人共通および同時係属中の出願米国特許第2009/0226991号に記載される中に記載される、クラブトリー陰性またはクラブトリー陽性のいずれであってもよい。一実施形態では、酵母微生物は、次の属を含むが、これらに限定されない、クラブトリー陰性表現型を有する酵母から選択されてもよい:サッカロミセス、クルイベロミセス、ピキア、イッサトケンキア、ハンゼヌラ、およびカンジダ。クラブトリー陰性種には、次のものが含まれるが、これらに限定されない:S.クルイベリ、K.ラクチス、K.マルシアヌス、P.アノマラ、P.スチピチス、I.オリエンタリス、I.オシデンタリス、I.スクツラタ、H.アノマラ、およびC.ウチリス。別の実施形態では、酵母微生物は、サッカロミセス、クルイベロミセス、ジゴサッカロミセス、デバリオミセス、ピキア、およびシゾサッカロミセスを含むが、これらに限定されない、クラブトリー陽性表現型を有する酵母から選択されてもよい。クラブトリー陽性酵母種には、次のものが含まれるが、これらに限定されない:S.セレビシエ、S.ウバルム、S.バヤヌス、S.パラドキサス、S.カステリイ、K.サーモトレランス、C.グラブラタ、Z.バイリ、Z.ロウキシイ、D.ハンセニイ、P.パストリウス、およびS.ポンベ。 別の特徴には、微生物が非発酵であるものであるという特性が含まれてもよい。換言すると、それは炭素源を嫌気的に代謝することができないが、酵母は酸素の存在下で炭素源を代謝することができる。非発酵酵母は、天然産の酵母ならびに遺伝子改変酵母の両方を指す。発酵性酵母との嫌気性発酵中に、解糖からのNADHを酸化させるための主要な経路は、エタノールの産生を通じるものである。エタノールは、アセトアルデヒドの還元を介して、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)によって産生され、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)によってピルビン酸塩から生成される。一実施形態では、発酵性酵母は、天然のPDC活性の低減または排除によって、非発酵性となるように操作することができる。故に、解糖によって産生されるピルビン酸塩のほとんどは、PDCによって消費されず、イソブタノール経路のために利用可能である。この経路の欠失は、生合成経路のために利用可能なピルビン酸塩および還元等価物を増加させる。発酵性経路は、イソブタノール等の所望の代謝物の低収率および低生産性に寄与する。したがって、PDC遺伝子の欠失は、イソブタノール等の所望の代謝物の収率および生産性を増加させ得る。 幾つかの実施形態では、組み換え微生物は、トリコスポロン、ロドトルラ、ミキソチマ、またはカンジダからなる群から選択される属に分類されるものを含むが、これらに限定されない、非発酵酵母微生物である微生物であってもよい。特定の実施形態では、非発酵酵母は、C.ゼストビイ(xestobii)である。イソブタノール産生酵母微生物 本明細書に記載されるように、一実施形態では、酵母微生物は、解糖によって、グルコース等の炭素源をピルビン酸塩に変換するように操作され、ピルビン酸塩は、イソブタノール産生代謝経路を介してイソブタノールに変換される(例えば、国際公開第/2007/050671号、国際公開第/2008/098227号、およびAtsumi et al.,2008,Nature 45:86−9を参照されたい)。イソブタノールの産生のための代替的な経路は、国際公開第/2007/050671号、およびDickinson et al.,1998,J Biol Chem 273:25751−6に記載されている。 したがって、一実施形態では、ピルビン酸塩をイソブタノールに変換するためのイソブタノール産生代謝経路は、次の反応からなることができる: 1.2ピルビン酸塩→アセト乳酸+CO2 2.アセト乳酸+NAD(P)H→2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩+NAD(P)+ 3.2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩→アルファ−ケトイソ吉草酸塩 4.アルファ−ケトイソ吉草酸塩→イソブチルアルデヒド+CO2 5.イソブチルアルデヒド+NAD(P)H→イソブタノール+NAD(P)+ これらの反応は、酵素1)アセト乳酸シンターゼ(ALS)、2)ケトール酸レダクト−イソメラーゼ(KARI)、3)ジヒドロキシ−酸デヒドラターゼ(DHAD)、4)ケト−イソ吉草酸塩デカルボキシラーゼ(KIVD)、および5)アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)によって行われる(図1)。別の実施形態では、酵母微生物は、これらの酵素を過剰発現するように操作される。例えば、これらの酵素は、天然の遺伝子によってコードされ得る。代替的には、これらの酵素は、異種遺伝子によってコードされ得る。例えば、ALSは、B.スブチリスのalsS遺伝子、L.ラクチスのalsS、またはK.ニューモニエ(pneumonia)のilvK遺伝子によってコードすることができる。例えば、KARIは、大腸菌のilvC遺伝子、C.グルタミクム、M.マリパルディス、またはピロミセス菌種E2によってコードすることができる。例えば、DHADは、大腸菌のilvD遺伝子、C.グルタミクム、またはL.ラクチスによってコードすることができる。例えば、KIVDは、L.ラクチスのkivD遺伝子によってコードすることができる。ADHは、S.セレビシエのADH2、ADH6、もしくはADH7、またはL.ラクチスのadhAによってコードすることができる。 一実施形態では、経路ステップ2および5は、補因子として(NADPHよりもむしろ)NADHを利用するKARIおよびADH酵素によって行われてもよい。かかる酵素は、譲受人共通および同時係属中の刊行物、米国特許第2010/0143997号に記載され、それは参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。本発明者らは、それぞれ経路ステップ2および5を触媒するための、NADH依存性KARIおよびADH酵素の利用が、嫌気性条件下でのイソブタノールの産生を驚くほどに可能にすることを見出した。故に、一実施形態では、本発明の組み換え微生物は、アセト乳酸(+NADH)の変換を触媒して2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩を産生するために、NADH依存性KARIを使用し得る。別の実施形態では、本発明の組み換え微生物は、イソブチルアルデヒド(+NADH)の変換を触媒してイソブタノールを産生するために、NADH依存性ADHを使用し得る。なおも別の実施形態では、本発明の組み換え微生物は、アセト乳酸(+NADH)の変換を触媒して2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩を産生するためのNADH依存性KARI、およびイソブチルアルデヒド(+NADH)の変換を触媒してイソブタノールを産生するためのNADH依存性ADHの両方を使用し得る。 別の実施形態では、酵母微生物は、ピルビン酸塩をイソブタノールに変換する増加された能力を有するように操作されてもよい。一実施形態では、酵母微生物は、ピルビン酸塩をイソブチルアルデヒドに変換する増加された能力を有するように操作されてもよい。別の実施形態では、酵母微生物は、ピルビン酸塩をケト−イソ吉草酸塩に変換する増加された能力を有するように操作されてもよい。別の実施形態では、酵母微生物は、ピルビン酸塩を2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩に変換する増加された能力を有するように操作されてもよい。別の実施形態では、酵母微生物は、ピルビン酸塩をアセト乳酸に変換する増加された能力を有するように操作されてもよい。 更に、前述の酵素をコードする遺伝子のいずれも(または本明細書で言及される任意のその他のもの(またはその発現を制御または調節する調節要素のいずれか))、指向性進化または合理的突然変異誘発等の遺伝子/タンパク質工学技術によって最適化され得、それらは当業者に既知である。かかる作用は、当業者が、酵素を酵母中の発現および活性に対して最適化することを可能にする。 加えて、これらの酵素をコードする遺伝子は、他の真菌および細菌種から特定することができ、この経路の調節のために発現させることができる。S.セレビシエおよびS.ウバルムを含むサッカロミセス菌種、K.サーモトレランス、K.ラクチス、およびK.マルシアヌスを含むクルイベロミセス菌種、ピキア菌種、H.ポリモルファを含むハンゼヌラ菌種、カンジダ菌種、トリコスポロン菌種、Y.菌種スチピチスを含むヤマダザイマ菌種、トルラスポラ・プレトリエンシス、イッサチェンキア・オリエンタリス、S.ポンベを含むシゾサッカロミセス菌種、クリプトコッカス菌種、アスペルギルス菌種、ニューロスポラ菌種、またはウスチラゴ菌種を含むが、これらに限定されない多様な生物が、これらの酵素のための源としての機能を果たし得る。嫌気性真菌からの遺伝子の源には、ピロミセス菌種、オルピノミセス菌種、またはネオカリマスティクス菌種が含まれるが、これらに限定されない。有用である原核酵素の源には、大腸菌、ザイモモナス・モビリス、黄色ブドウ球菌、バチルス・菌種、クロストリジウム菌種、コリネバクテリウム菌種、シュードモナス菌種、ラクトコッカス菌種、エンテロバクター菌種、およびサルモネラ菌種が含まれるが、これらに限定されない。 一実施形態では、本発明は、イソブタノールを産生するための組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、イソブタノール産生代謝経路を含み、該微生物は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。幾つかの実施形態では、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。特定の実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエTMA29(YMR226C)遺伝子またはその相同体によってコードされる。一実施形態では、相同体は、バンデルワルトムジマ(Vanderwaltomzyma)・ポリスポラ(配列番号2)、サッカロミセス・カステリイ(配列番号3)、カンジダ・グラブラタ(配列番号4)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号5)、ジゴサッカロミセス・ロウキシイ(配列番号6)、クルイベロミセス・ラクチス(配列番号7)、アシビア・ゴシピイ(配列番号8)、サッカロミセス・クルイベリ(配列番号9)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号10)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号11)、ピキア・スチピチス(配列番号12)、デバロミセス・ハンセニイ(配列番号13)、ピキア・パストリス(配列番号14)、カンジダ・デュブリニエンシス(配列番号15)、カンジダ・アルビカンス(配列番号16)、ヤロウィア・リポリチカ(配列番号17)、イッサチェンキア・オリエンタリス(配列番号18)、アスペルギルス・ニデュランス(配列番号19)、アスペルギルス・ニガー(配列番号20)、ニューロスポラ・クラッサ(配列番号21)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号22)、およびクルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号23)からなる群から選択されてもよい。 別の実施形態では、本発明は、イソブタノールを産生するための組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、イソブタノール産生代謝経路を含み、該微生物は、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。幾つかの実施形態では、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼである。例示的な実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエアルデヒドデヒドロゲナーゼALD6(配列番号25)またはその相同体もしくは変異体である。一実施形態では、相同体は、サッカロミセス・カステリイ(配列番号26)、カンジダ・グラブラタ(配列番号27)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号28)、クルイベロミセス・ラクチス(配列番号29)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号30)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号31)、サッカロミセス・セレビシエYJ789(配列番号32)、サッカロミセス・セレビシエJAY291(配列番号33)、サッカロミセス・セレビシエEC1118(配列番号34)、サッカロミセス・セレビシエDBY939(配列番号35)、サッカロミセス・セレビシエAWRI1631(配列番号36)、サッカロミセス・セレビシエRM11−1a(配列番号37)、ピキア・パストリス(配列番号38)、クルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号39)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号40)、およびシゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号41)からなる群から選択される。 なおも別の実施形態では、本発明は、イソブタノールを産生するための組み換え微生物を対象とし、該組み換え微生物は、イソブタノール産生代謝経路を含み、該微生物は、(i)アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ(ii)イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。幾つかの実施形態では、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素は、3−ケト酸レダクターゼ(3−KAR)である。特定の実施形態では、3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエTMA29(YMR226C)遺伝子またはその相同体もしくは変異体によってコードされる。一実施形態では、相同体は、バンデルワルトムジマ(Vanderwaltomzyma)・ポリスポラ(配列番号2)、サッカロミセス・カステリイ(配列番号3)、カンジダ・グラブラタ(配列番号4)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号5)、ジゴサッカロミセス・ロウキシイ(配列番号6)、クルイベロミセス・ラクチス(配列番号7)、アシビア・ゴシピイ(配列番号8)、サッカロミセス・クルイベリ(配列番号9)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号10)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号11)、ピキア・スチピチス(配列番号12)、デバロミセス・ハンセニイ(配列番号13)、ピキア・パストリス(配列番号14)、カンジダ・デュブリニエンシス(配列番号15)、カンジダ・アルビカンス(配列番号16)、ヤロウィア・リポリチカ(配列番号17)、イッサチェンキア・オリエンタリス(配列番号18)、アスペルギルス・ニデュランス(配列番号19)、アスペルギルス・ニガー(配列番号20)、ニューロスポラ・クラッサ(配列番号21)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号22)、およびクルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号23)からなる群から選択される。幾つかの実施形態では、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼである。特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエアルデヒドデヒドロゲナーゼALD6(配列番号25)またはその相同体もしくは変異体である。一実施形態では、相同体は、サッカロミセス・カステリイ(配列番号26)、カンジダ・グラブラタ(配列番号27)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号28)、クルイベロミセス・ラクチス(配列番号29)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号30)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号31)、サッカロミセス・セレビシエYJ789(配列番号32)、サッカロミセス・セレビシエJAY291(配列番号33)、サッカロミセス・セレビシエEC1118(配列番号34)、サッカロミセス・セレビシエDBY939(配列番号35)、サッカロミセス・セレビシエAWRI1631(配列番号36)、サッカロミセス・セレビシエRM11−1a(配列番号37)、ピキア・パストリス(配列番号38)、クルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号39)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号40)、およびシゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号41)からなる群から選択される。 一実施形態では、イソブタノール産生代謝経路は、ピルビン酸塩のイソブタノールへの変換におけるステップを触媒する少なくとも1つの外来性遺伝子を含む。別の実施形態では、イソブタノール産生代謝経路は、ピルビン酸塩のイソブタノールへの変換におけるステップを触媒する少なくとも2つの外来性遺伝子を含む。なおも別の実施形態では、イソブタノール産生代謝経路は、ピルビン酸塩のイソブタノールへの変換におけるステップを触媒する少なくとも3つの外来性遺伝子を含む。なおも別の実施形態では、イソブタノール産生代謝経路は、ピルビン酸塩のイソブタノールへの変換におけるステップを触媒する少なくとも4つの外来性遺伝子を含む。なおも別の実施形態では、イソブタノール産生代謝経路は、ピルビン酸塩のイソブタノールへの変換におけるステップを触媒する5つの外来性遺伝子を含む。 一実施形態では、イソブタノール経路遺伝子のうちの1つ以上が、サイトゾルに局在化される酵素をコードする。一実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも1つのイソブタノール経路酵素がサイトゾルに局在化される、イソブタノール産生代謝経路を含む。別の実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも2つのイソブタノール経路酵素がサイトゾルに局在化される、イソブタノール産生代謝経路を含む。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも3つのイソブタノール経路酵素がサイトゾルに局在化される、イソブタノール産生代謝経路を含む。なおも別の実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも4つのイソブタノール経路酵素がサイトゾルに局在化される、イソブタノール産生代謝経路を含む。例示的な実施形態では、組み換え微生物は、5つのイソブタノール経路酵素がサイトゾルに局在化される、イソブタノール産生代謝経路を含む。1つ以上の遺伝子がサイトゾルに局在化される、イソブタノール産生代謝経路は、譲受人共通および同時係属中の米国出願第12/855,276号に記載され、それは参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。イソブタノールの産生における改変されたアルコールデヒドロゲナーゼの発現 副産物イソ酪酸塩の産生を低減するための本明細書に記載される別の戦略は、イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換に関与するアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の活性および/または発現を増加させることである。この戦略は、イソブタノール経路中間体、イソブチルアルデヒドに対する、内在性酵素による競合を防止する。ADHの活性および/または発現における増加は、種々の手段によって達成され得る。例えば、ADH活性は、増加されたプロモーター強度を有するプロモーターを利用することによって、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を増加させることによって、増加させることができる。 代替的な実施形態では、副産物イソ酪酸塩の産生は、イソブチルアルデヒドに対して増加された比活性を有するADHを利用することによって低減され得る。イソブチルアルデヒドに対して増加された比活性を有するかかるADH酵素は、自然界で特定されてもよく、または本明細書に記載される改変等の、ADH酵素に対する改変からもたらされてもよい。幾つかの実施形態では、これらの改変は、イソブチルアルデヒドに対するミカエリス‐メンテン定数(KM)の減少をもたらすであろう。かかる改変されたADH酵素の使用を通じて、イソブチルアルデヒドに対する、内在性酵素による競合は更に限定される。一実施形態では、本明細書に記載される改変されたADHを含む組み換え微生物におけるイソ酪酸塩収率(1mol当たりのイソ酪酸塩molグルコース)は、約5%未満である。別の実施形態では、本明細書に記載される改変されたADHを含む組み換え微生物におけるイソ酪酸塩収率(1mol当たりのイソ酪酸塩molグルコース)は、約1%未満である。なおも別の実施形態では、本明細書に記載される改変されたADHを含む組み換え微生物におけるイソ酪酸塩収率(1mol当たりのイソ酪酸塩molグルコース)は、約0.5%未満、約0.1%未満、約0.05%未満、または約0.01%未満である。 更に、改変されたADH酵素を利用することによって、本発明者らは、順反応(すなわち、イソブタノールへのイソブチルアルデヒド変換)が、逆反応(すなわち、イソブタノールのイソブチルアルデヒドへの変換)よりも好ましい反応である状況を確立し得る。 上述の戦略は、一般的に、イソ酪酸塩収率の減少をもたらし、それはイソブタノール収率の増加を伴う。したがって、上記の戦略は、イソ酪酸塩収率および/または力価を減少させるため、およびイソブタノール収率の、イソ酪酸塩収率に対する比率を増加させるために有用である。 したがって、一態様では、本出願は、残りの4つのイソブタノール経路酵素と共発現されるとき、改善されたイソブタノール産生を促進することができる、増強された活性を有する改変されたADHの生成を記載する。この態様による一実施形態では、本出願は、1つ以上の改変されたADHを含む組み換え微生物を対象とする。一実施形態では、組み換え微生物は更に、本明細書に記載されるように、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。別の実施形態では、組み換え微生物は更に、本明細書に記載されるように、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。 イソブタノール生合成経路に加えて、他の生合成経路が、アルデヒドのアルコールへの変換のためにADH酵素を利用する。例えば、ADH酵素は、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノールの産生のための生合成経路の一部として、種々のアルデヒドをアルコールに変換する。 本明細書で使用されるとき、「ADH」または「ADH酵素」または「アルコールデヒドロゲナーゼ」という用語は、イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換を触媒する酵素を指すために本明細書で交換可能に使用される。ADH配列は、L.ラクチス(配列番号175)、ストレプトコッカス・ニューモニエ、黄色ブドウ球菌、およびバチルス・セレウスを含むが、これらに限定されない無数の微生物から入手可能である。本発明の方法によって改変可能なADH酵素には、譲受人共通および同時係属中の米国特許公開第2010/0143997号に開示されるものが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法によって改変可能なADH酵素の代表的な一覧は、表97において見出される。改変されたADH酵素 本発明に従って、ADH酵素に対して任意の数の突然変異を行うことができ、一実施形態では、複数の突然変異を行って、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する増加された能力をもたらすことができる。かかる突然変異は、点突然変異、フレームシフト突然変異、欠失、および挿入を含み、このうち1つ以上の(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ等)点突然変異が好ましい。例示的な実施形態では、改変されたADH酵素は、(a)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のチロシン50(b)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のグルタミン77、(c)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のバリン108、(d)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のチロシン113、(e)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のイソロイシン212、および(f)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のロイシン264から選択されるアミノ酸に対応する位置における1つ以上の突然変異を含み、ここでAdhA(配列番号185)は、L.ラクチスアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)遺伝子adhA(配列番号184)またはそのコドン最適化バージョン(配列番号206)によってコードされる。 突然変異は、当業者に既知の任意の手法を使用して、本発明のADH酵素中に導入されてもよい。突然変異は、例えば、2価金属イオン補因子としてのマンガンの存在下でPCR反応を行うことによって、無作為に導入されてもよい。代替的には、オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発を使用して、コードするDNA分子に沿った任意の決定部位における、全ての可能性のあるクラスの塩基対変更を可能にする、改変されたADH酵素を作り出してもよい。一般に、この技術は、目的のADH酵素をコードする1本鎖ヌクレオチド配列に相補的(1つ以上のミスマッチを除く)なオリゴヌクレオチドをアニーリングすることを伴う。ミスマッチオリゴヌクレオチドは次いで、DNAポリメラーゼによって伸張されて、1つの鎖の配列において所望の変更を含有する2本鎖DNA分子を生成する。配列における変更は、例えば、アミノ酸の欠失、置換、または挿入をもたらし得る。2本鎖ポリヌクレオチドを次いで、適切な発現ベクター中に挿入することができ、このようにして突然変異体または改変されたポリペプチドを産生することができる。上述のオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発は、例えば、PCRを介して行うことができる。 本発明の組成物および方法において使用するための酵素には、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する能力を有する任意の酵素が含まれる。かかる酵素には、とりわけ、L.ラクチスAdhA、S.ニューモニエAdhA、黄色ブドウ球菌AdhA、およびバチルス・セレウスAdhAが含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法によって改変可能なさらなるADH酵素には、譲受人共通および同時係属中の米国特許公開第2010/0143997号に開示されるものが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法によって改変可能なADH酵素の代表的な一覧は、表16に見出すことができる。当業者によって理解されるように、改変されたADH酵素は、当該技術分野で日常的かつ周知である組み換えまたは遺伝子工学技術によって得られてもよい。改変されたADH酵素は、例えば、部位指向性または無作為突然変異誘発によって目的のADH酵素をコードする遺伝子(複数可)を突然変異させることによって、得ることができる。かかる突然変異は、点突然変異、欠失突然変異、および挿入突然変異を含んでもよい。例えば、1つ以上の点突然変異(例えば、1つ以上のアミノ酸の、1つ以上の異なるアミノ酸との置換)を使用して、本発明の改変されたADH酵素を構築してもよい。 本発明は更に、野生型ADH酵素(例えば、L.ラクチスAdhAまたは大腸菌AdhA)に対して、アミノ酸レベルで5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であり、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する増加された能力を示す相同ADH酵素を含む。また、配列番号185に提示されるアミノ酸配列を含むADH酵素に対して、アミノ酸レベルで50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であり、非改変野生型酵素と比較して、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する増加された能力を示す、ADH酵素も本明細書に含まれる。本発明はまた、上述のADH酵素をコードする核酸分子を含む。 本発明はまた、少なくとも50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、または600アミノ酸残基を含み、ADH酵素に関連する1つ以上の活性を保持する、ADH酵素の断片を含む。かかる断片は、欠失突然変異によって、当該技術分野で日常的かつ周知である組み換え技術によって、または幾つかの周知のタンパク質分解酵素のいずれかを使用する、目的のADH酵素の酵素消化によって、得られてもよい。本発明は更に、上述の改変されたADH酵素およびADH酵素断片をコードする核酸分子を含む。 少なくとも、例えば、参照アミノ酸配列と50%「同一」のアミノ酸配列を有するタンパク質またはタンパク質断片とは、タンパク質のタンパク質配列が、参照タンパク質のアミノ酸配列の各々100個のアミノ酸当たり最大50個のアミノ酸変化を含み得ることを除いて、アミノ酸配列が参照配列と同一であることが意図される。換言すると、参照アミノ酸配列に対して、少なくとも50%同一のアミノ酸配列を有するタンパク質を得るために、参照配列における最大50%のアミノ酸残基が欠失もしくは別のアミノ酸で置換され得るか、または参照配列における総アミノ酸残基の最大50%である幾つかのアミノ酸が参照配列中に挿入され得る。参照配列のこれらの変化は、参照アミノ酸配列のアミノ(N−)および/もしくはカルボキシ(C−)末端位置において、ならびに/または参照配列中の残基の間で個々におよび/もしくは参照配列内の1つ以上の隣接基のいずれかにおいて散在した、これらの末端位置の間のいずれの位置においても生じ得る。実際に、所与のアミノ酸配列が、例えば、参照タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも50%同一であるかどうかは、核酸配列同一性決定に関して上述のもの等の既知のコンピュータプログラムを使用して、またはCLUSTAL Wプログラムを使用して、従来通りに決定することができる(Thompson,J.D.,et al.,Nucleic Acids Res.22:4673 4680(1994))。 一態様では、アミノ酸置換は、上記の特定位置(すなわち、L.ラクチスAdhA(配列番号185)のY50、Q77、V108、Y113、I212、またはL264と同等のまたはそれらに対応するアミノ酸位置)のうちの1つ以上において行われる。故に、これらの位置におけるアミノ酸は、Ala、Asn、Arg、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびValを含む任意の他のアミノ酸で置換されてもよい。イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する増加された能力を示すADH酵素の特定の例は、(1)50位のチロシンがフェニルアラニンまたはトリプトファン残基と置換されており、(2)77位のグルタミンアルギニンまたはセリン残基と置換されており、(3)108位のバリンがセリンまたはアラニン残基と置換されており、(4)113位のチロシンがフェニルアラニンまたはグリシン残基と置換されており、(5)212位のイソロイシンがスレオニンまたはバリン残基と置換されており、および/または(6)264位のロイシンがバリン残基と置換される、ADHである。 本発明において使用するための、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する能力を有するポリペプチドは、当業者に周知である、天然タンパク質を単離および精製するための標準的手順によって、それらの天然の原核性または真核性の源から単離されてもよい(例えば、Houts,G.E.,et al.,J.Virol.29:517(1979)を参照されたい)。加えて、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する能力を有するポリペプチドは、当業者が精通している組み換えDNA技術によって調製されてもよい(例えば、Kotewicz,M.L.,et al.,Nucl.Acids Res.16:265(1988)、Soltis,D.A.,and Skalka,A.M.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:3372 3376(1988)を参照されたい)。 本発明の一態様では、改変されたADH酵素は、組み換え技術によって作製される。本発明に従って改変されることになるADH酵素をコードする遺伝子または他の核酸分子をクローン化するために、ADH酵素遺伝子またはオープンリーディングフレームを含有する単離されたDNAを使用して、組み換えDNAライブラリを構築してもよい。当該技術分野で周知の任意のベクターを使用して、目的のADH酵素をクローン化することができる。しかしながら、使用されるベクターは、組み換えベクターが形質転換されることになる宿主と適合しなければならない。 プラスミドライブラリを構築するための原核性ベクターには、例えば、pBR322、ColE1、pSC101、pUC−ベクター等の大腸菌において複製可能なもの等のプラスミドが含まれる(pUC18、pUC19等:In:Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1982)、およびSambrook et al.,In:Molecular Cloning A Laboratory Manual(2d ed.)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))。バチルス・プラスミドには、pC194、pUB110、pE194、pC221、pC217等が含まれる。かかるプラスミドは、Glyczan,T.In:The Molecular Biology Bacilli,Academic Press,York(1982),307 329によって開示される。好適なストレプトミセスプラスミドには、pIJ101が含まれる(Kendall et al.,J.Bacteriol.169:4177 4183(1987))。シュードモナスプラスミドは、John et al.,(Rad.Insec.Dis.8:693 704(1986))、およびIgaki,(Jpn.J.Bacteriol.33:729 742(1978))によって概説される。pCP13等の、広宿主域プラスミドまたはコスミド(Darzins and Chakrabarty,J.Bacteriol.159:9 18(1984))もまた、本発明のために使用することができる。 目的のADH核酸分子をクローン化するために好適な宿主は、原核宿主である。原核宿主の一例は、大腸菌である。しかしながら、本発明の所望のADH核酸分子は、エシェリキア属、バチルス・属、ストレプトミセス属、シュードモナス属、サルモネラ属、セラチア属、およびプロテウス属における宿主を含むが、これらに限定されない他の原核宿主中でクローン化されてもよい。 目的のADH酵素のクローニングおよび発現のための真核宿主には、酵母および真菌細胞が含まれる。特に好ましい真核宿主は、酵母である。かかる真核細胞中での所望のADH酵素の発現は、真核プロモーターを含む真核調節領域の使用を要求する可能性がある。真核細胞中でADH核酸分子をクローン化し、発現させることは、周知の真核ベクター系を使用する周知の技術によって達成し得る。 本発明に従って、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する酵素の能力を増加させる、または本明細書に記載される他の特性を酵素上に付与するために、本発明に従って、任意の目的のADH酵素において1つ以上の突然変異が行われてもよい。かかる突然変異には、点突然変異、フレームシフト突然変異、欠失、および挿入が含まれる。好ましくは、1つ以上のアミノ酸置換をもたらす1つ以上の点突然変異は、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する増強された能力を有するADH酵素を産生するために使用される。本発明の好ましい態様では、L.ラクチスAdhA(配列番号185)酵素のY50(例えば、Y50WまたはY50F)、Q77(例えば、Q77SまたはQ77R)、V108(例えば、V108SまたはV108A)、Y113(例えば、Y113FまたはY113G)、I212(例えば、I212TまたはI212V)、および/またはL264位(例えば、L264V)と同等の位置またはそれらに対応する位置における1つ以上の突然変異を行って、目的の他のADH酵素において所望の結果をもたらしてもよい。 本明細書で特定されるADH酵素の対応する位置(例えば、配列番号185のL.ラクチスAdhA)は、当業者によって他のADH酵素に対して容易に特定され得る。故に、本出願に記載される規定の領域およびアッセイを提供されると、当業者は、任意の目的のADH酵素においてイソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する増加された能力をもたらすであろう、1つまたは幾つかの改変を行うことができる。 好ましい実施形態では、改変されたADH酵素は、野生型ADH酵素と比較して、Y50、Q77、V108、Y113、I212、またはL264に対応する位置から選択される1〜6つのアミノ酸置換を有する。他の実施形態では、改変されたADH酵素は、それぞれの野生型ADH酵素と比較して、他の位置において追加的なアミノ酸置換を有する。故に、改変されたADH酵素は、それぞれの野生型ADH酵素と比較して、他の位置において少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個の異なる残基を有し得る。当業者によって理解されるように、アミノ酸置換を有し得るさらなる位置の数は、変異体を生成するために使用される野生型ADH酵素に依存するであろう。故に、場合によっては、最大50個の異なる位置がアミノ酸置換を有し得る。 種々の微生物は、本明細書に提供される組み換え微生物中での使用に好適なADH酵素をコードする遺伝物質に対する「源」として作用することができることが理解される。例えば、加えて、これらの酵素をコードする遺伝子は、他の真菌および細菌種から特定することができ、この経路の調節のために発現させることができる。L.ラクチスを含むラクトコッカス菌種、L.ブレビス、L.ブチェネリ、L.ヒルガルディイ、L.ファーメンタム、L.ロイテリ、L.バジナリス、L.アントリ、L.オリス、およびL.コレオホミニスを含むラクトバチルス・菌種、P.アシディラクティシを含むペディオコッカス菌種、B.セレウス、B.チューリンゲンシス、B.コアグランス、B.アンスラシス、B.ウェイヘンステファネンシス、B.ミコイデス、およびB.アミロリケファシエンスを含むバチルス・菌種、L.グッドフェロウィイ(goodfellowii)、L.ブッカリス、およびL.ホフスタディイ(hofstadii)を含むレプトトリキア菌種、A.プルロニューモニアを含むアクチノバチルス・菌種、S.サングイニス、S.パラサングイニス、S.ゴルドニイ、S.ニューモニエ、およびS・ミティスを含むストレプトコッカス菌種、S.モニリフォルミスを含むストレプトバチルス・菌種、黄色ブドウ球菌を含むスタフィロコッカス菌種、E.コルロデンスを含むエイケネラ菌種、W.パラメゼンテロイデスを含むワイセラ菌種、K.オラリスを含むキンゲラ菌種、およびR.デントカリオーサを含むロチア菌種、ならびにエキシグオバクテリウム菌種を含むが、これらに限定されない多様な生物が、これらの酵素に対する源としての機能を果たし得る。 複数のADH酵素に対するヌクレオチド配列が知られている。例えば、ADH酵素の配列は、L.ラクチス(配列番号185)、S.ニューモニエ、黄色ブドウ球菌、およびバチルス・セレウスを含むが、これらに限定されない広範囲の微生物から入手可能である。本発明の方法によって改変可能なADH酵素には、譲受人共通および同時係属中の米国特許公開第2010/0143997号に開示されるものが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法によって改変可能なADH酵素の代表的な一覧は、表97において見出される。 加えて、任意の方法を使用して、比活性を有するADH酵素をコードする遺伝子を特定することができる。一般的に、同様の活性を有する相同のまたは類似した遺伝子は、機能分析、構造分析、および/または遺伝子分析によって特定することができる。ほとんどの場合、同様の活性を有する相同のまたは類似した遺伝子は、機能的、構造的、または遺伝子類似性を有するであろう。当業者に既知の技術が、相同遺伝子および相同酵素を特定するために好適であり得る。一般的に、類似した遺伝子および/または類似した酵素は、機能分析によって特定することができ、機能的類似性を有するであろう。当業者に既知の技術が、類似した遺伝子および類似した酵素を特定するために好適であり得る。例えば、相同のまたは類似した遺伝子、タンパク質、または酵素を特定するために、技術には、遺伝子/酵素の公開された配列に基づくプライマーを使用するPCRによって、または遺伝子の間の保存された領域を増幅するように設計された縮重プライマーを使用する縮重PCRによって、遺伝子をクローン化することが含まれてもよいが、これらに限定されない。更に、当業者は、機能的相同性または類似性を有する、相同のまたは類似した遺伝子、タンパク質、または酵素を特定する技術を使用することができる。技術には、細胞または細胞培養物を、該活性についての体外酵素アッセイを通じて、酵素の触媒効率または比活性について試験すること、次いで該活性を有する酵素を、精製を通じて単離すること、酵素のタンパク質配列を、エドマン分解、有力な核酸配列に合わせたPCRプライマーの設計、PCRを通じた該DNA配列の増幅、および該核酸配列のクローン化等の技術を通じて決定することが含まれる。同様の活性を有する相同のまたは類似した遺伝子を特定するために、技術にはまた、候補遺伝子または酵素に関するデータの、BRENDA、KEGG、またはMetaCYC等のデータベースとの比較が含まれる。候補遺伝子または酵素は、本明細書の教示に従って、上述のデータベース内で特定されてもよい。更に、酵素活性は、表現型的に決定することができる。増強された触媒効率を有するADH酵素を作製する方法 本発明は更に、それらの触媒効率を増強するために、ADH酵素を操作する方法を提供する。 ADH酵素の触媒効率を増加させるための1つの手法は、NNKライブラリを用いた飽和突然変異誘発による。これらのライブラリは、どの単一の突然変異がイソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換する増加された能力に寄与するのかを特定するために、触媒効率の増加についてスクリーニングされてもよい。前述の残基における突然変異の組み合わせは、任意の方法によって調査されてもよい。例えば、突然変異体のコンビナトリアルライブラリは、飽和突然変異誘発研究の結果に基づいて設計されてもよい。 別の手法は、合成オリゴヌクレオチド上でコードされる無作為突然変異を酵素中に組み込むことによって、無作為オリゴヌクレオチド突然変異誘発を使用して多様性を生成することである。集団内の個々の酵素中の突然変異の数は、オリゴヌクレオチドの合成中に標的配列の長さおよび無作為化の度合いを多様にすることによって、制御され得る。このより規定された手法の利点は、全ての可能性のあるアミノ酸突然変異、および結合された突然変異もまた見出され得るということである。 上述の実験からの最良の変異体が十分な活性を示さない場合、誤りがちなPCRを介した指向性進化を使用して、更なる改善を得てもよい。ADH酵素の誤りがちなPCR突然変異誘発、続いてADH活性についてのスクリーニングが行われてもよい。増強されたADH触媒効率 一態様では、改変されたADH酵素の触媒効率は、増強される。本明細書で使用されるとき、「触媒効率」という語句は、ADH酵素がイソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換することを可能にするADH酵素の特性を指す。 一実施形態では、改変されたADHの触媒効率は、野生型または親ADHと比較して増強される。好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約5%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約15%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約25%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約50%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約75%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約100%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約200%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約500%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約1000%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約2000%増強される。より好ましくは、改変されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約3000%増強される。最も好ましくは、修飾されたADH酵素の触媒効率は、野生型または親ADHと比較して、少なくとも約3500%増強される。改変されたADH酵素の遺伝子発現 有益な代謝物の産生に関与する1つ以上の改変されたADH酵素遺伝子の発現ための方法、および本方法において有用な、組み換えDNA発現ベクターが本明細書に提供される。故に、かかる核酸を含む組み換え発現ベクターが本開示の範囲内に含まれる。発現ベクターという用語は、宿主微生物または無細胞の転写および翻訳系の中に組み込まれ得る核酸を指す。発現ベクターは、細胞質中の複製ベクター等の、微生物中または任意の細胞コンパートメント中で、染色体または他のDNAの一部としてに関わらず、微生物中に永続的にまたは一過性で維持することができる。発現ベクターはまた、典型的には微生物または細胞抽出物中のポリペプチドに翻訳される、RNAの発現を駆動するプロモーターを含む。RNAのタンパク質への効率的な翻訳のために、発現ベクターはまた、典型的には、発現対象の遺伝子のコード配列の出発コドンの上流に位置付けられる、リボソーム結合部位配列を含有する。エンハンサー、分泌シグナル配列、転写終結配列、およびベクターを含有する宿主微生物を特定および/または選択することができる1つ以上のマーカー遺伝子等の他の要素もまた、発現ベクター中に存在し得る。選択可能マーカー、すなわち、抗体抵抗性または感受性を付与する遺伝子が使用され、それは細胞が適切な選択培地中で増殖されるとき、形質転換細胞に、選択可能な表現型を付与する。 発現ベクターの種々の構成成分は、ベクターの意図される使用、およびベクターが発現を複製または駆動することが意図される宿主細胞に依存して幅広く異なり得る。大腸菌、酵母、ストレプトミセス、および他の一般に使用される細胞中での遺伝子の発現およびベクターの維持に好適な発現ベクター構成成分は、幅広く知られており、市販されている。例えば、本開示の発現ベクター中への組み込みに好適なプロモーターには、真核または原核宿主微生物中で機能するものが含まれる。プロモーターは、宿主微生物の増殖に関して発現の調節を可能にする、または化学的または物理的刺激に反応してオンもしくはオフにされる遺伝子の発現を引き起こす、調節配列を含み得る。大腸菌およびある種の他の細菌宿主細胞については、生合成酵素、抗生物質抵抗性付与酵素、およびファージタンパク質のための遺伝子に由来するプロモーターを使用することができ、例えば、ガラクトース、ラクトース(lac)、マルトース、トリプトファン(trp)、ベータ−ラクタマーゼ(bla)、バクテリオファージラムダPL、およびT5プロモーターが含まれる。加えて、tacプロモーター(米国特許第4,551,433号)等の合成プロモーターもまた使用することができる。大腸菌発現ベクターについては、pUC、p1P、p1、およびpBRからのもの等の大腸菌複製起点を含むことが有用である。 故に、組み換え発現ベクターは、少なくとも1つの発現系を含有し、次にこの発現系は、プロモーターに作動可能に連結された生合成遺伝子コード配列の少なくとも一部分、および任意に、適合性の宿主細胞中でコード配列の発現を達成するように作動する終結配列から構成される。宿主細胞は、染色体外要素としての発現系配列、または染色体中に組み込まれた発現系配列のいずれかを含有するために、本開示の組み換えDNA発現ベクターでの形質転換によって改変される。 更に、特定の微生物(すなわち、酵母微生物)に特異的な核酸分子からポリペプチドを発現させるための方法が周知である。例えば、クルイベロミセスおよびサッカロミセス内での異種ポリペプチドの発現のために使用される核酸構築物が周知である(クルイベロミセスについては、例えば、米国特許第4,859,596号および第4,943,529号を参照されたく、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、サッカロミセスについては、例えば、Gellissen et al.,Gene 190(1):87−97(1997)を参照されたい。酵母プラスミドは、自律複製配列(ARS)としても知られる選択可能マーカーおよび複製起点を有する。加えてある種のプラスミドはまた、セントロメア配列も含有し得る。これらのセントロメアプラスミドは、一般的に単一または低コピープラスミドである。セントロメア配列を有さず、2ミクロン(S.セレビシエ)または1.6ミクロン(K.ラクチス)のいずれかの複製起点を利用するプラスミドは、高コピープラスミドである。選択可能マーカーは、HIS3、TRP1、LEU2、URA3、もしくはADE2等の原栄養性、またはbar、ble、hph、もしくはkan等の抗体抵抗性のいずれかであり得る。 本開示の核酸は、テンプレートとして、cDNA、mRNA合成DNA、または代替としてゲノムDNA、ならびに標準的なPCR増幅技術および下記の実施例の節に記載される手順による適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、増幅することができる。そのようにして増幅された核酸を、適切なベクター中にクローン化し、DNA配列分析によって特徴付けることができる。更に、ヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成装置を使用する、標準的な合成技術によって調製することができる。 本明細書に記載される酵素と相同なポリペプチドをコードする単離された核酸分子は、1つ以上のアミノ酸置換、付加、または欠失をコードされたタンパク質中に導入するように、1つ以上のヌクレオチド置換、付加、または欠失を、特定のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に導入することによって作り出すことができることもまた理解される。突然変異は、部位指向性突然変異誘発およびPCR媒介型突然変異誘発等の標準的な技術によって、ポリヌクレオチド中に導入することができる。非保存的アミノ酸置換(上記を参照されたい)を行うことが望ましい可能性がある位置とは対照的に、幾つかの位置においては、保存的アミノ酸置換を行うことが好ましい。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基と置換される置換である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で規定されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ−分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。 アミノ酸変更の効果は、リン酸化、グリコシル化、鎖内結合、三次構造、および活性部位または可能性のあるアロステリック部位におけるアミノ酸の役割等の要因に依存して異なるが、一般的に、置換されたアミノ酸が、置換されているアミノ酸と同じ基からのものであることが好ましい。ある程度、次の基は、互換性のあるアミノ酸を含有する:塩基性アミノ酸リジン、アルギニン、およびヒスチジン、酸性アミノ酸アスパラギン酸およびグルタミン酸、中性極性アミノ酸セリン、スレオニン、システイン、グルタミン、アスパラギン、およびより少ない程度にメチオニン、非極性脂肪族アミノ酸グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、およびロイシン(しかしながら、サイズのため、グリシンおよびアラニンがより密接に関連し、バリン、イソロイシン、およびロイシンがより密接に関連する)、ならびに芳香族アミノ酸フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシン。加えて、異なるカテゴリーに分類されるが、アラニン、グリシン、およびセリンは、ある程度互換性があると考えられ、システインは、追加的にこの基に適合するか、または極性中性アミノ酸により分類され得る。方法の概要3−ケト酸レダクターゼ相同体の特定 任意の方法を使用して、S.セレビシエTMA29を含むが、これらに限定されない、3−ケト酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子を特定することができる。一般的に、TMA29等の3−ケト酸レダクターゼと相同または同様の遺伝子は、機能分析、構造分析、および/または遺伝子分析によって特定することができる。ほとんどの場合、相同もしくは同様の遺伝子および/または相同もしくは同様の酵素は、機能的、構造的、または遺伝子類似性を有するであろう。 S.セレビシエ遺伝子TMA29はまた、YMR226Cとしても知られている。オープンリーディングフレーム(ORF)YMR226Cは、S.セレビシエ染色体XIII上の722395…721592位において見出される。YMR226Cの染色体の場所は、多くの関連する酵母中の染色体に対して高度にシンテニックな領域である[Byrne,K.P.and K.H.Wolfe(2005)“The Yeast Gene Order Browser:combining curated homology and syntenic context reveals gene fate in polyploid species.”Genome Res.15(10):1456−61。Scannell,D.R.,K.P.Byrne,J.L.Gordon,S.Wong,and K.H.Wolfe(2006)“Multiple rounds of speciation associated with reciprocal gene loss in polyploidy yeasts.”Nature 440:341−5。Scannell,D.R.,A.C.Frank,G.C.Conant,K.P.Byrne,M.Woolfit,and K.H.Wolfe(2007)”Independent sorting−out of thousands of duplicated gene pairs in two yeast species descended from a whole−genome duplication.”Proc Natl Acad Sci U S A 104:8397−402]。 例えば、他の酵母種からのYMR226Cのシンテニックバージョンの場所は、カンジダ・グラブラタにおける染色体13、ジゴサッカロミセス・ロウキシイにおける染色体1、K.ラクチスにおける染色体2、アシビア・ゴシピイにおける染色体6、S.クルイベリにおける染色体8、K.サーモトレランス(thermotolerance)における染色体4、および推定祖先酵母種からの染色体8上で見出すことができる[Gordon,J.L.,K.P.Byrne,and K.H.Wolfe(2009)“Additions,losses,and rearrangements on the evolutionary route from a reconstructed ancestor to the modern Saccharomyces cerevisiae genome.”PLoS Genet.5:e1000485]。 このシンテニック関係を使用して、この遺伝子の種に特有のバージョンが容易に特定され、例は表4に見出すことができる。 シンテニーに加えて、S.セレビシエTMA29遺伝子に対する真菌相同体が、BLASTおよび配列アライメント等のツールを通じて、当業者によって特定され得る。これらの他の相同体は、3−ヒドロキシ酸副産物の蓄積を排除するために、同様の様態でそれぞれの酵母種から欠失されてもよい。相同タンパク質の例は、バンデルワルトムジマ(Vanderwaltomzyma)・ポリスポラ(配列番号2)、サッカロミセス・カステリイ(配列番号3)、カンジダ・グラブラタ(配列番号4)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号5)、ジゴサッカロミセス・ロウキシイ(配列番号6)、K.ラクチス(配列番号7)、アシビア・ゴシピイ(配列番号8)、サッカロミセス・クルイベリ(配列番号9)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号10)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号11)、ピキア・スチピチス(配列番号12)、デバロミセス・ハンセニイ(配列番号13)、ピキア・パストリス(配列番号14)、カンジダ・デュブリニエンシス(配列番号15)、カンジダ・アルビカンス(配列番号16)、ヤロウィア・リポリチカ(配列番号17)、イッサチェンキア・オリエンタリス(配列番号18)、アスペルギルス・ニデュランス(配列番号19)、アスペルギルス・ニガー(配列番号20)、ニューロスポラ・クラッサ(配列番号21)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号22)、およびクルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号23)に見出すことができる。 当業者に既知の技術が、追加的な相同遺伝子および相同酵素を特定するために好適であり得る。一般的に、類似した遺伝子および/または類似した酵素は、機能分析によって特定することができ、機能的類似性を有するであろう。当業者に既知の技術は、類似した遺伝子および類似した酵素を特定するために好適であり得る。例えば、相同のまたは類似した遺伝子、タンパク質、または酵素を特定するために、技術には、遺伝子/酵素の公開された配列に基づくプライマーを使用するPCRによって、またはデヒドラターゼ遺伝子の間の保存された領域を増幅するように設計された縮重プライマーを使用する縮重PCRによって、デヒドラターゼ遺伝子をクローン化することが含まれてもよいが、これらに限定されない。更に、当業者は、機能的相同性または類似性を有する、相同のまたは類似した遺伝子、タンパク質、または酵素を特定するために、技術を使用することができる。技術には、細胞または細胞培養物を、該活性についての体外酵素アッセイを通じて、酵素の触媒活性について試験すること(例えば、本明細書に、またはKiritani,K.Branched−Chain Amino Acids Methods Enzymology,1970に記載されるように)、次いで該活性を有する酵素を、精製を通じて単離すること、酵素のタンパク質配列を、エドマン分解、有力な核酸配列に合わせたPCRプライマーの設計、PCRを通じた該DNA配列の増幅、および該核酸配列のクローン化等の技術を通じて決定することが含まれる。相同もしくは同様の遺伝子および/または相同もしくは同様の酵素、類似した遺伝子および/または類似した酵素もしくはタンパク質を特定するために、技術にはまた、候補遺伝子または酵素に関するデータの、BRENDA、KEGG、またはMetaCYC等のデータベースとの比較が含まれる。補遺伝子または酵素は、本明細書の教示に従って、上述のデータベース内で特定されてもよい。アルデヒドデヒドロゲナーゼ相同体の特定 任意の方法を使用して、S.セレビシエALD6を含むが、これらに限定されない、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子を特定することができる。一般的に、ALD6等のアルデヒドデヒドロゲナーゼと相同または同様の遺伝子は、機能分析、構造分析、および/または遺伝子分析によって特定することができる。ほとんどの場合、相同もしくは同様の遺伝子および/または相同もしくは同様の酵素は、機能的、構造的、または遺伝子類似性を有するであろう。 S.セレビシエ遺伝子ALD6はまた、その系統名YPL061Wによっても知られている。オープンリーディングフレーム(ORF)YPL061Wは、S.セレビシエ染色体XVI上の432585…434087位において見出される。YPL061Wの染色体の場所は、多くの関連する酵母中の染色体に対して高度にシンテニックな領域である[Byrne,K.P.and K.H.Wolfe(2005)“The Yeast Gene Order Browser:combining curated homology and syntenic context reveals gene fate in polyploid species.”Genome Res.15:1456−61。Scannell,D.R.,K.P.Byrne,J.L.Gordon,S.Wong,and K.H.Wolfe(2006)“Multiple rounds of speciation associated with reciprocal gene loss in polyploidy yeasts.”Nature 440:341−5。Scannell,D.R.,A.C.Frank,G.C.Conant,K.P.Byrne,M.Woolfit,and K.H.Wolfe(2007)”Independent sorting−out of thousands of duplicated gene pairs in two yeast species descended from a whole−genome duplication.”Proc Natl Acad Sci U S A 104:8397−402]。 例えば、他の酵母種からのYPL061Wのシンテニックバージョンの場所は、カンジダ・グラブラタにおける染色体8、K.ラクチスにおける染色体5、K.サーモトレランスにおける染色体5、および推定祖先酵母種からの染色体8上で見出すことができる[Gordon,J.L.,K.P.Byrne,and K.H.Wolfe(2009)“Additions,losses,and rearrangements on the evolutionary route from a reconstructed ancestor to the modern Saccharomyces cerevisiae genome.”PLoS Genet.5:e1000485]。 このシンテニック関係を使用して、この遺伝子の種に特有のバージョンが容易に特定され、例は表5に見出すことができる。 シンテニーに加えて、S.セレビシエALD6遺伝子に対する真菌相同体が、BLASTおよび配列アライメント等のツールを通じて、当業者によって特定され得る。これらの他の相同体は、アルデヒド副産物の蓄積を排除するために、同様の様態でそれぞれの酵母種から欠失されてもよい。相同タンパク質の例は、サッカロミセス・カステリイ(配列番号26)、カンジダ・グラブラタ(配列番号27)、サッカロミセス・バヤヌス(配列番号28)、クルイベロミセス・ラクチス(配列番号29)、クルイベロミセス・サーモトレランス(配列番号30)、クルイベロミセス・ワルチイ(配列番号31)、サッカロミセス・セレビシエYJ789(配列番号32)、サッカロミセス・セレビシエJAY291(配列番号33)、サッカロミセス・セレビシエEC1118(配列番号34)、サッカロミセス・セレビシエDBY939(配列番号35)、サッカロミセス・セレビシエAWRI1631(配列番号36)、サッカロミセス・セレビシエRM11−1a(配列番号37)、ピキア・パストリス(配列番号38)、クルイベロミセス・マルシアヌス(配列番号39)、シゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号40)、およびシゾサッカロミセス・ポンベ(配列番号41)に見出すことができる。微生物中のADHまたはKDHの特定 任意の方法を使用して、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)またはケト酸デヒドロゲナーゼ(KDH)活性を有する酵素をコードする遺伝子を特定することができる。アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)は、イソブタノールの、イソブチルアルデヒドへの可逆変換を触媒することができる。ケト酸デヒドロゲナーゼ(KDH)は、2−ケトイソ吉草酸塩の、イソブチリル−CoAの変換を触媒することができ、それはトランスアセチラーゼおよびカルボン酸キナーゼ酵素の作用によって更にイソ酪酸塩に変換することができる。一般的に、既知のアルコールデヒドロゲナーゼおよびケト酸デヒドロゲナーゼと相同または同様である遺伝子は、機能分析、構造分析、および/または遺伝子分析によって特定することができる。ほとんどの場合、相同もしくは同様のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子および/または相同もしくは同様のアルコールデヒドロゲナーゼ酵素は、機能的、構造的、または遺伝子類似性を有するであろう。同様に、相同もしくは同様のケト酸デヒドロゲナーゼ遺伝子および/または相同もしくは同様のケト酸デヒドロゲナーゼ酵素は、機能的、構造的、または遺伝子類似性を有するであろう。酵母微生物中のPDCおよびGPDの特定 任意の方法を使用して、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性またはグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)活性を有する酵素をコードする遺伝子を特定することができる。PDCおよびGPDの特定に好適な方法は、譲受人共通および同時係属中の刊行物、米国特許第2009/0226991号および米国特許第2011/0020889号に記載され、それらの両方は参照によりそれらの全体が全目的で本明細書に組み込まれる。遺伝子挿入および欠失 任意の方法を使用して、核酸分子を、酵母中に導入することができ、多くのかかる方法が周知である。例えば、形質転換およびエレクトロポレーションは、核酸を酵母細胞中に導入するための一般的な方法である。例えば、Gietz et al.,1992,Nuc Acids Res.27:69−74、Ito et al.,1983,J.Bacteriol.153:163−8、およびBecker et al.,1991,Methods in Enzymology 194:182−7を参照されたい。 一実施形態では、目的の遺伝子、酵母微生物のDNA断片または標的遺伝子中への組み込みは、相同組み換えの原則によって生じる。この実施形態によると、少なくとも1つの酵母マーカー遺伝子および/または組み込み対象の遺伝子(内部モジュール)を含むモジュールを含有する組み込みカセットの両側上には、標的化組み込み部位(組み換え誘導配列)の末端のそれらと相同なDNA断片が隣接する。適切な方法によってカセットで酵母を形質転換した後、組み換え誘導配列の間の相同組み換えは、組み込みカセットの組み換え誘導配列に対応するゲノムの2つの部位の間における染色体領域を置き換える、内部モジュールをもたらし得る。(Orr−Weaver et al.,1981,PNAS USA 78:6354−58)。 一実施形態では、目的の遺伝子の、酵母微生物中への組み込みのための組み込みカセットには、異種遺伝子の、酵母染色体中への組み込みのための組み換え誘導配列が隣接する選択可能マーカーと一緒に、適切なプロモーターおよびターミネーターの制御下での異種遺伝子が含まれる。一実施形態では、異種遺伝子には、天然の遺伝子のコピー数を増加させることが所望される適切な天然の遺伝子が含まれる。選択可能マーカー遺伝子は、HIS3、TRP1、LEU2、URA3、bar、ble、hph、およびkanを含むが、これらに限定されない、酵母中で使用される任意のマーカー遺伝子であり得る。組み換え誘導配列は、所望の適用に好適な所望の組み込み部位に依存して、随意に選択することができる。 別の実施形態では、遺伝子の、酵母微生物の染色体中への組み込みは、無作為組み込みを介して生じ得る(Kooistra et al.,2004,Yeast 21:781−792)。 さらに、一実施形態では、ある種の導入されたマーカー遺伝子は、当業者に周知の技術を使用してゲノムから除去される。例えば、URA3 マーカー損失は、FOA(5−フルオロ−オロチン酸)含有培地中にURA3含有細胞をプレートし、FOA抵抗性コロニーについて選択することによって得ることができる(Boeke et al.,1984,Mol.Gen.Genet 197:345−47)。 本開示の酵母細胞内に含有される外来性核酸分子は、任意の形態で細胞内で維持することができる。例えば、外来性核酸分子は、細胞のゲノム中に組み込むか、または娘細胞に安定に伝えられ得る(「受け継がれる」)エピソーム状態で維持することができる。かかる染色体外遺伝子要素(プラスミド、ミトコンドリアゲノム等)は、追加的に、娘細胞中のかかる遺伝子要素の存在を確実にする選択マーカーを含有することができる。更に、酵母細胞は、安定にまたは一過性で形質転換することができる。加えて、本明細書に記載される酵母細胞は、上述の特定の外来性核酸分子の単一のコピー、または複数のコピーを含有することができる。酵素活性の低減 本発明の範囲内の酵母微生物は、低減された3−ケト酸レダクターゼ、PDC、ALDH、またはグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)活性等の、低減された酵素活性を有し得る。「低減された」という用語は、本明細書で特定の酵素活性に関して使用されるとき、同じ種の同等の酵母細胞において測定されるものより、より低いレベルの酵素活性を指す。低減されたという用語はまた、同じ種の同等の酵母細胞と比較した、酵素活性の排除を指す。故に、3−ケト酸レダクターゼ、PDC、ALDH、またはグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)活性を欠く酵母細胞は、全てではないにしても、もほとんどの同等の酵母株が、少なくとも幾らかの3−ケト酸レダクターゼ、PDC、ALDH、またはグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)活性を有するため、低減された3−ケト酸レダクターゼ、PDC、ALDH、またはグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)活性を有すると考えられる。かかる低減された酵素活性は、より低い酵素濃度、酵素のより低い比活性度、またはそれらの組み合わせの結果であり得る。多くの異なる方法を使用して、低減された酵素活性を有する酵母を作製することができる。例えば、酵母細胞は、一般的な突然変異誘発またはノックアウト技術を使用して、撹乱された酵素をコードする遺伝子座を有するように操作することができる。例えば、Methods in Yeast Genetics(1997 edition),Adams,Gottschling,Kaiser,and Stems,Cold Spring Harbor Press(1998)を参照されたい。加えて、低減された活性を有する酵素をもたらす、ある種の点突然変異を導入することができる。また、自然界で見出されるとき、3−ケト酸レダクターゼ、PDC、ALDH、またはグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)活性から選択される1つ以上の活性が実質的にない酵母株も本発明の範囲内に含まれる。 代替的には、アンチセンス技術を使用して、酵素活性を低減することができる。例えば、酵母は、酵素が生成されるのを防止するアンチセンス分子をコードするcDNAを含有するように操作することができる。本明細書で使用される「アンチセンス分子」という用語は、内在性ポリペプチドのコード鎖に対応する配列を含有する、任意の核酸分子を包含する。アンチセンス分子はまた、隣接配列(例えば、調節配列)を有することができる。故に、アンチセンス分子は、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。リボザイムは、分子がRNAを開裂することを条件として、制限なしに、ヘアピン、ハンマーヘッド、またはアクスヘッド(axhead)構造を含む任意の一般構造を有することができる。 低減された酵素活性を有する酵母は、多くの方法を使用して特定することができる。例えば、低減された3−ケト酸レダクターゼ、PDC、ALDH、またはグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)活性を有する酵母は、一般的な方法を使用して簡便に特定することができ、それには例えば、液体クロマトグラフィーを介してグリセロール形成を測定することが含まれ得る。異種遺伝子の過剰発現 天然または異種核酸分子からポリペプチドを過剰発現させるための方法が周知である。かかる方法には、制限なしに、調節要素が、所望のポリペプチドをコードする核酸配列の発現を促進するように、核酸配列を構築することが含まれる。典型的には、調節要素は、DNA配列の発現を転写のレベルで調節するDNA配列である。故に、調節要素には、制限なしに、プロモーター、エンハンサー等が含まれる。例えば、外来性遺伝子は、誘導可能なプロモーターまたは構成的プロモーターの制御下にあり得る。更に、酵母中の外来性核酸分子からポリペプチド発現させるための方法が周知である。例えば、クルイベロミセスおよびサッカロミセス内での外来性ポリペプチドの発現のために使用される核酸構築物が周知である(クルイベロミセスについては、例えば、米国特許第4,859,596号および第4,943,529号を参照されたく、サッカロミセスについては、例えば、Gellissen et al.,Gene 190(1):87−97(1997)を参照されたい)。酵母プラスミドは、選択可能マーカーおよび複製起点を有する。加えてある種のプラスミドはまた、セントロメア配列も含有し得る。これらのセントロメアプラスミドは、一般的に単一または低コピープラスミドである。セントロメア配列を有さず、2ミクロン(S.セレビシエ)または1.6ミクロン(K.ラクチス)のいずれかの複製起点を利用するプラスミドは、高コピープラスミドである。選択可能マーカーは、HIS3、TRP1、LEU2、URA3、もしくはADE2等の原栄養性、またはbar、ble、hph、もしくはkan等の抗体抵抗性のいずれかであり得る。 別の実施形態では、異種制御要素を使用して、内在性遺伝子の発現を活性化または抑制することができる。加えて、発現が抑制または排除されるべきであるとき、関連する酵素、タンパク質、またはRNAに対する遺伝子は、既知の欠失技術によって排除することができる。 本明細書に記載されるように、本開示の範囲内の任意の酵母が、発現されている、過剰発現されている、または抑制されている特定の酵素に特異的な選択技術によって、特定することができる。所望の表現型を有する株を特定する方法は、当業者に周知である。かかる方法には、制限なしに、PCR、RT−PCR、ならびにノーザンおよびサザン分析等の核酸ハイブリダイゼーション技術、特定の基質上でもしくは特定の基質、化学化合物、選択剤等の存在下で変化させられた増殖能力が含まれる。場合によっては、免疫組織化学および生化学技術を使用して、コードされたポリペプチドの発現を検出することによって、細胞が特定の核酸を含有するかどうかを決定することができる。例えば、コードされた酵素に対する特異性を有する抗体を使用して、特定の酵母細胞がそのコードされた酵素を含有するか否かを決定することができる。更に、生化学的技術を使用して、酵素ポリペプチドの発現の結果として産生される産物を検出することによって、細胞が酵素ポリペプチドをコードする特定の核酸分子を含有するかどうかを決定することができる。例えば、アセト乳酸シンターゼをコードするベクターで細胞を形質転換し、ベクターを有さない細胞と比較して増加されたアセト乳酸濃度を検出することは、ベクターが存在し、かつ遺伝子産物が活性であることを示す。特異的酵素活性または特定の産物の存在を検出するための方法は、当業者に周知である。例えば、アセト乳酸の存在は、Hugenholtz and Starrenburg,1992,Appl.Micro.Biot.38:17−22に記載されるように決定することができる。酵素活性の増加 本発明の酵母微生物は、酵素の増加された活性を有するように更に操作されてもよい(例えば、イソブタノール産生代謝経路に関与する酵素の増加された活性)。「増加された」という用語は、特定の酵素活性に関して本明細書で使用されるとき、同じ種の同等の酵母細胞において測定されるものよりも、より高い酵素活性レベルを指す。例えば、特異的酵素の過剰発現は、その酵素に対する細胞中の増加された活性レベルをもたらし得る。解糖またはイソブタノール経路に関与する酵素に対する増加された活性は、増加されたイソブタノールの生産性および収率をもたらすであろう。 酵素活性を増加させる方法は、当業者に既知である。かかる技術には、増加されたコピー数および/もしくは強力なプロモーターの使用によって酵素の発現を増加させること、酵素の負の調節を軽減するための突然変異の導入、特定の活性を増加させるかつ/もしくは基質に対するKmを減少させるための特定の突然変異の導入、または指向性進化によるものが含まれてもよい。例えば、Methods in Molecular Biology(vol.231),ed.Arnold and Georgiou,Humana Press(2003)を参照されたい。高収率発酵のために組み換え微生物を使用する方法 生体触媒が有益な代謝物を最も経済的に産生するために、該代謝物を高収率で産生することが望ましい。余分の産物(すなわち、副産物)は、特に余分な産物がほとんどまたは全く価値を有さない場合、所望の代謝物の収率の低減、ならびに資本費用および稼働費用の増加をもたらすため、好ましくは、産生される唯一の産物が所望の代謝物である。これらの余分な産物はまた、これらの産物を所望の代謝物から分離するために、追加的な資本費用および稼働費用も要する。 一態様では、本発明は、生合成経路を含む組み換え微生物に由来する有益な代謝物を産生する方法を提供する。 一実施形態では、本方法は、回収可能な量の有益な代謝物が産生されるまで、中間体として3−ケト酸を使用する生合成経路を含む組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養すること、および任意に、代謝物を回収することを含む。一実施形態では、3−ケト酸中間体は、アセト乳酸である。例示的な実施形態では、該組み換え微生物は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。有益な代謝物は、、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−1−ペンタノール、および補酵素Aの産生のための生合成経路を含むが、これらに限定されない、中間体としてアセト乳酸を使用する任意の生合成経路に由来してもよい。特定の実施形態では、有益な代謝物は、イソブタノールである。別の実施形態では、3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩である。例示的な実施形態では、該組み換え微生物は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。有益な代謝物は、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの産生のための生合成経路を含むが、これらに限定されない、中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を使用する任意の生合成経路に由来してもよい。 別の実施形態では、本方法は、回収可能な量の有益な代謝物が産生されるまで、中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路を含む組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養すること、および任意に、代謝物を回収することを含む。例示的な実施形態では、該組み換え微生物は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。有益な代謝物は、イソブタノール、1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの産生のための生合成経路を含むが、これらに限定されない、中間体としてアルデヒドを使用する任意の生合成経路に由来してもよい。特定の実施形態では、有益な代謝物は、イソブタノールである。 別の実施形態では、本方法は、回収可能な量の有益な代謝物が産生されるまで、中間体としてアセト乳酸およびアルデヒドを使用する生合成経路を含む組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養すること、および任意に、代謝物を回収することを含む。例示的な実施形態では、該組み換え微生物は、(i)アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除する、かつ(ii)アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。有益な代謝物は、イソブタノール、1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノールの産生のための生合成経路を含むが、これらに限定されない、中間体としてアセト乳酸およびアルデヒドを使用する任意の生合成経路に由来してもよい。特定の実施形態では、有益な代謝物は、イソブタノールである。 別の実施形態では、本方法は、回収可能な量の有益な代謝物が産生されるまで、中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩およびアルデヒドを使用する生合成経路を含む組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養すること、および任意に、代謝物を回収することを含む。例示的な実施形態では、該組み換え微生物は、(i)2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシ酪酸塩への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除する、かつ(ii)アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される。有益な代謝物は、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの産生のための生合成経路を含むが、これらに限定されない、中間体として2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩およびアルデヒドを使用する任意の生合成経路に由来してもよい。 別の実施形態では、本発明は、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)を必要とする生合成経路に由来する有益な代謝物を産生する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、回収可能な量の有益な代謝物が産生されるまで、本明細書に記載される改変されたADHを含む組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養すること、および任意に、代謝物を回収することを含む。有益な代謝物は、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノールの産生のための生合成経路を含むが、これらに限定されない、ADHを必要とする任意の生合成経路に由来してもよい。特定の実施形態では、有益な代謝物は、イソブタノールである。 炭素源から有益な代謝物を産生するための方法において、酵母微生物は、炭素源を含有する適切な培養培地中で培養される。ある実施形態では、本方法は更に、培養培地から有益な代謝物を単離することを含む。例えば、イソブタノールは、蒸留、浸透気化、または液液抽出等の、当業者に既知の任意の方法によって培養培地から単離されてもよい。 一実施形態では、組み換え微生物は、少なくとも5パーセント理論収率の収率で、炭素源から有益な代謝物を産生し得る。別の実施形態では、微生物は、少なくとも約10パーセント、少なくとも約15パーセント、約少なくとも約20パーセント、少なくとも約25パーセント、少なくとも約30パーセント、少なくとも約35パーセント、少なくとも約40パーセント、少なくとも約45パーセント、少なくとも約50パーセント、少なくとも約55パーセント、少なくとも約60パーセント、少なくとも約65パーセント、少なくとも約70パーセント、少なくとも約75パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約85パーセント、少なくとも約90パーセント、少なくとも約95パーセント、または少なくとも約97.5理論収率%の収率で、炭素源から有益な代謝物を産生する可能性がある。特定の実施形態では、有益な代謝物は、イソブタノールである。 本発明は更に、次の実施例によって例証されるが、それは限定するものとして解釈されるべきではない。本出願全体にわたって引用される全ての参考文献、特許、および公開された特許出願の内容、ならびに図および配列表は、参照により全目的で本明細書に組み込まれる。実施例1〜26についての一般的方法 配列:本明細書に開示されるアミノ酸およびヌクレオチド配列を表6に示す。 培地:使用した培地は、標準的な酵母培地であった(例えば、Sambrook,J.,Russel,D.W.Molecular Cloning,A Laboratory Manual.3rd ed.2001,Cold Spring Harbor,New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press and Guthrie,C.and Fink,G.R.eds.Methods in Enzymology Part B:Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology 350:3−623(2002)を参照されたい)。YP培地は、1%(w/v)酵母抽出物、2%(w/v)ペプトンを含有する。YPDは、別途明記されない限り、2%グルコースを含有するYPである。YPEは、25mL//Lエタノールを含有するYPである。SC培地は、6.7g/L Difco(商標)酵母窒素原礎培地、14g/L Sigma(商標)合成ドロップアウト培地用添加物(ヒスチジン、トリプトファン、ウラシル、およびロイシンを除くアミノ酸および栄養分を含む)、0.076g/Lヒスチジン、0.076g/Lトリプトファン、0.380g/Lロイシン、および0.076g/Lウラシルである。SCDは、別途注記のない限り、2%(w/v)グルコースを含有するSCである。SCおよびSCD培地のドロップアウトバージョンは、ヒスチジン(−H)、トリプトファン(−W)、ロイシン(−L)、またはウラシル(−U)のうちの1つ以上を省略することによって作製する。上述の培地の固体バージョンは、2%(w/v)寒天を含有する。 クローン化技術:別途注記のない限り、クローン化およびプラスミド構築のための標準的な分子生物学的方法を一般的に使用した(Sambrook,J.,Russel,D.W.Molecular Cloning,A Laboratory Manual.3 ed.2001,Cold Spring Harbor,New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press)。クローン化技術には、制限酵素での消化、DNA断片を生成するためのPCR(KOD Hot Start Polymerase、カタログ番号71086、Merck,Darmstadt,Germany)、DNAライゲーションキットを使用した2つのDNA断片のライゲーション(Mighty Mixカタログ番号TAK 6023、Clontech Laboratories,Madison,WI)、およびコンピテント大腸菌細胞中への細菌形質転換(Xtreme Efficiency DH5a Competent Cells、カタログ番号ABP−CE−CC02096P、Allele Biotechnology,San Diego,CA)が含まれた。プラスミドDNAは、Qiagen QIAprep Spin Miniprep Kit(カタログ番号27106,Qiagen,Valencia,CA)を使用して、大腸菌細胞から精製した。DNAは、製造業者のプロトコルに従って、Zymoclean Gel DNA Recovery Kit(Zymo Research,Orange,CA、カタログ番号D4002)を使用して、アガロースゲルから精製した。 コロニーPCR:酵母コロニーPCRは、製造業者のプロトコルに従って、FailSafe(商標)PCR系(EPICENTRE(登録商標)Biotechnologies,Madison,WI、カタログ番号FS99250)を使用した。15μLのマスターミックスE緩衝液、10.5μL水、10μM濃度での2μLの各プライマー、キットからの0.5μLポリメラーゼ酵素ミックスを含有するPCRカクテルを、各試料(各々30μL)につき0.2mL PCR管に添加した。各候補につき、少量の細胞を、滅菌ピペットチップを使用して反応管に添加した。陽性PCR産物の存在を、アガロースゲル電気泳動を使用して査定した。 SOE PCR:PCR反応物を、次のPCR条件を使用して、サーモサイクラー中でインキュベートした:94℃×2分間を1サイクル、94℃×30秒間、53℃×30秒間、72℃×2分間を35サイクル、および72℃×10分間を1サイクル。マスターミックスを、各反応物が次のものを含有するように作製した:3μL MgSO4(25mM)、5μL 10X KOD緩衝液、5μL 50%DMSO、5μL dNTPミックス(各々2mM)、1μL KOD、28μL dH2O、1.5μL順方向プライマー(10μM)、1.5μL逆方向プライマー(10μM)、0.5μLテンプレート(プラスミドまたはゲノムDNA)。 ゲノムDNA単離:Zymo Research ZR真菌/細菌DNAキット(Zymo Research Orange,CA、カタログ番号D6005)を、製造業者のプロトコルに従って、次の改変を用いて、ゲノムDNA単離のために使用した。ペレットの再懸濁に続いて、200μLを、2つの別個のZR BashingBead(商標)溶解管(収率を最大化するために)に移した。ビーズ式破砕による溶解に続いて、ZR BashingBead(商標)溶解管の各々からの400μLの上清を、2別個のZymo−Spin(商標)IVスピンフィルターに移し、7,000rpmで1分間遠心分離した。スピンに続いて、1.2mLの真菌/細菌DNA結合緩衝液を、各濾液に添加した。800μLアリコート中、両方のフィルターからの濾液を、収集管中の単一のZymo−Spin(商標)IICカラムに移し、10,000×gで1分間遠心分離した。溶出ステップについては、100μLのEB(溶出緩衝液、Qiagen)中で溶出する代わりに、50μLのEBを添加し、1分間インキュベートし、次いでカラムを1分間遠心分離した。この溶出ステップを反復して、100μLの最終溶出容量を得た。 S.セレビシエ形質転換。S.セレビシエ株を、1%エタノールを含有するYPD中で増殖させた。形質転換コンピテント細胞を、100mM酢酸リチウム中でのS.セレビシエ細胞の再懸濁によって調製した。一旦、細胞を調製すると、DNA(滅菌水を用いた15μLの最終容量)、72μL 50%PEG、10μL 1M酢酸リチウム、および3μLの変性サケ精子DNA(10mg/mL)の混合物を、各形質転換のために調製した。1.5mL管中、15μLの細胞懸濁液を、DNA混合物(100μL)に添加し、形質転換懸濁液を、5回の短いパルスにわたってボルテックスした。形質転換を、30℃で30分間インキュベートし、続いて42℃で22分間のインキュベートを行った。細胞を遠心分離(18,000×g、10秒間、25℃)によって収集した。細胞を、350μL YPD中に再懸濁させ、30℃および250rpmで振盪しながら一晩の回収後、細胞を、0.2g/L G418選択プレートを含有するYPDプレート上に広げた。形質転換体を次いで、G418選択プレート上に単一のコロニーで精製した。 K.マルシアヌス形質転換:K.マルシアヌス株を、3mLの適切な培養培地中、250rpmおよび30℃で一晩増殖させた。翌日、培養物を50mLの同じ培地中に希釈し、1〜4のOD600まで増殖させた。細胞を、滅菌50mL円錐管中、遠心分離(1600×g、室温で5分間)によって収集した。細胞を、10mLのエレクトロポレーション緩衝液(10mMトリス−C1、270mMスクロース、1mM MgCl2、pH7.5)中に再懸濁させ、1600×gで、室温で5分間収集した。細胞を、10mL IB中に再懸濁させた(YPE、25mM DTT、20mM HEPES、pH8.0;100μLの2.5M DTTおよび200μLの1M HEPES、pH8.0を、10mLのYPD中に希釈することによって新たに調製)。細胞を、250rpm、30℃で30分間(管を直立させて)インキュベートした。細胞を、1600×gで、室温で5分間収集し、10mLの冷却したエレクトロポレーション緩衝液中に再懸濁させた。細胞を、1600×gで、4℃で5分間ペレット化した。細胞を、1mLの冷却したエレクトロポレーション緩衝液中に再懸濁させ、微量遠心管に移した。細胞を、10,000×g超で20秒間、4℃での遠心分離によって収集した。細胞を、適切な量の冷却したエレクトロポレーション緩衝液中に再懸濁させて、30〜38OD600/mLの最終バイオマス濃度を得た。400μLの細胞を、冷却したエレクトロポレーションキュベット(0.4cmギャップ)に添加し、50μLのSOE PCR産物(または水の対照)を添加し、上下にピペット操作することによって混合し、キュベットを、氷上で30分間インキュベートした。試料を、1.8kV、1000Ohm、25μFで電気穿孔処理した。試料を次いで、1mLの適切な培養培地と共に50mL管に移し、試料を、250rpmで、30℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、細胞を、適切な寒天プレート上にプレートした。 K.ラクチス形質転換:K.ラクチス株を、3mL YPD中、250rpmおよび30℃で一晩増殖させた。翌日、培養物を50mL YPD中に希釈し、それらが約0.8のOD600に到達するまで増殖させた。50mL YPD培養物からの細胞を、遠心分離(2700rcf、2分間、25℃)によって収集した。細胞を、50mL滅菌水で洗浄し、2700rcfで2分間、室温での遠心分離によって収集した。細胞を、25mL滅菌水で再び洗浄し、2700rcfで2分間、室温での遠心分離によって収集した。細胞を、1mL 100mM酢酸リチウム中に再懸濁させ、1.5mLエッペンドルフ管に移した。細胞を、18,000rcfで10秒間、室温での遠心分離によって収集した。細胞を、細胞ペレットの容量のおよそ4倍である、100mM酢酸リチウムの容量中に再懸濁させた。10〜15μLのDNA、72μL 50%PEG(3350)、10μL 1M酢酸リチウム、3μL変性サケ精子DNA、および滅菌水の容量を組み合わせて、各形質転換について100μLの最終容量にした。1.5mL管中、15μLの細胞懸濁液を、DNA混合物に添加し、形質転換懸濁液を5回の短いパルスでボルテックスした。形質転換を、30℃で30分間インキュベートし、続いて42℃で22分間のインキュベートを行った。細胞を、18,000rcfで10秒間、室温での遠心分離によって収集した。細胞を、400μLの適切な培地中に再懸濁させ、適切な培地を含有する寒天プレート上に広げて、形質転換細胞について選択した。分析化学: ガスクロマトグラフィー(GC1法)。エタノールおよびイソブタノールを含む、揮発性の有機化合物の分析を、Agilent 7673オートサンプラ、ZB−FFAPカラム(J&W、30m長、0.32mm ID、0.25μM膜厚)または同等物を装着し、水素炎イオン化検出器(FID)に接続したAgilent 5890/6890/7890ガスクロマトグラフ上で行った。温度プログラムは、次の通りであった:注入器については200℃、検出器については300℃、100℃の炉で1分間、70℃/分勾配で230℃まで、次いで2.5分間保有。分析は、Sigma−Aldrichから得た、純正基準(99%超、および内部基準として1−ペンタノールを用いた5点較正曲線を使用して行った。 高性能液体クロマトグラフィー(LC1法):2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩(DHIV)、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)、イソ酪酸塩およびグルコースを含む有機酸代謝物の分析を、Bio−Rad Micro−guard Cation H Cartridgeおよび2つのPhenomenex Rezex RFQ−Fast Fruit H+(8%)、100×7.8mm直列カラム、または同等物を装着した、Agilent 1200または同等の高性能液体クロマトグラフィー系上で行った。有機酸代謝物を、Agilent 1100または同等のUV検出器(210nm)、および屈折率検出器を使用して検出した。カラム温度は60℃であった。この方法は、移動相としてMilli−Q水中の0.0180 N H2SO4を用いる均一濃度法であった。流量を、1.1mL/分に設定した。注入容量は、20μLであり、実行時間は、16分であった。有機酸代謝物の定量化は、純正基準(99%超または利用可能な最も高い純度)を用いた5点較正曲線を使用して行ったが、例外として、DHIV(2,3−ジヒドロキシ−3−メチル−ブタノエート、CAS 1756−18−9)は、Cioffi et al.(Cioffi,E.et al.Anal Biochem 1980,104,pp.485)に従って合成し、またDH2MBは、DHIVおよびDH2MBが同じ反応因子を示すという仮定に基づいて定量化した。この方法において、DHIVおよびDH2MBは共溶出し、したがってそれらの濃度は、2つの濃度の合計として報告する。 高性能液体クロマトグラフィー(LC4法):2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩(DHIV、CAS 1756−18−9)、2,3−ジヒドロキシ−2−メチル酪酸塩酸(DH2MB)、乳酸塩、酢酸塩、アセト乳酸、イソ酪酸塩、およびピルビン酸塩)を含む、オキソ酸の分析を、IonPac AS11−HC分析カラム(Dionex:9μM、4.6×250mm)を、IonPac AG11−HCガードカラム(Dionex:13μM、4.6×50mm)およびIonPac ATC−3アニオントラップカラム(Dionex:9×24mm)と連結して装着した、Agilent−1100高性能液体クロマトグラフィー系上で行った。アセト乳酸を、UV検出器を使用して225nmで検出した一方で、全ての他の分析物を、電導度検出器(AutoSuppressionリサイクルモードでASRS 4mm、200mAサプレッサー電流を用いたED50抑制電導度)を使用して検出した。カラム温度は35℃であった。注入サイズは10μLであった。この方法は、次の溶出プロフィールを使用した:0.25mM NaOHで3分間、続いて0.25〜5mM NaOHで22分間の直線勾配、および5mM〜38.25mMで0.1分間、続いて38.25mM NaOHで4.9分間にわたる第2の直線勾配、および38.25mM〜0.25mMで0.1分間にわたる最終直線勾配の後、0.25mM NaOHで7分間にわたる再平衡化。流量は2mL/分に設定した。分析は、純正基準(99%超、または利用可能な最も高い純度)を用いた4点較正曲線を使用して行ったが、次のものは例外であった:DHIVは、Cioffiら(Cioffi,E.et al.Anal Biochem 1980,104,pp.485)に従って合成した。DH2MBは、実施例8に記載するように合成し、DHIVおよびDH2MBが同じ反応因子を示すという仮定に基づいて定量化した。ラセミ体アセト乳酸を、エチル−2−アセトキシ−2−メチルアセト酢酸塩(EAMMA)のNaOHとの加水分解によって作製した(Krampitz,L.O.Methods in Enzymology 1957,3,277−283.)。この方法において、DHIVおよびDH2MBは分離される(図8)。酵素アッセイ タンパク質濃度の決定:(酵母ライセートのまたは精製したタンパク質の)タンパク質濃度を、BioRad Bradfordタンパク質アッセイ試薬キット(カタログ番号500−0006、BioRad Laboratories,Hercules,CA)を使用して、また検量線についてはBSAを使用して、決定した。このアッセイについての検量線を、500μg/mL BSAの標準タンパク質原液の希釈系列を使用して作製した。細胞ライセートの適切な希釈液を水中で作製して、BioRadタンパク質検量線の直線範囲内に入る各ライセートのOD595測定値を得た。10μLのライセート希釈液を、500μLの希釈したBioRadタンパク質アッセイ染料に添加し、試料をボルテックスすることによって混合し、室温で6分間インキュベートした。試料をキュベットに移し、分光光度計において595nmで読み取った。基準の線形回帰を使用して、各試料のタンパク質濃度を算出した。 アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)アッセイ.細胞を、氷上で解凍し、溶解緩衝液(100mMトリス−HCl、pH7.5)中に再懸濁させた。1000μLのガラスビーズ(直径0.5mm)を、1.5mLエッペンドルフ管に添加し、875μLの細胞懸濁液を添加した。酵母細胞を、Retsch MM301ミキサーミル(Retsch Inc.Newtown,PA)を使用して、各ビーズ式破砕ステップの間に氷上で1分間インキュベーションしながら、各々最高速度で6×1分間混合し、溶解させた。管を、23,500×gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を、使用のために除去した。これらのライセートを、アッセイするまで氷上で保有した。酵母ライセートタンパク質濃度を、記載されるように決定した。 試料の希釈液を、活性の読取りが得られるように作製した。一般的に、低いADH活性を有することが予想される株からの試料を、溶解緩衝液(100mMトリス−HCl、pH7.5)中、1:5に希釈し、ADH遺伝子が高コピー数プラスミドから発現される株等の、高いADH活性が予想される株からの試料を、1:40〜1:100に希釈した。反応を、10μLの適切に希釈した細胞抽出物を使用して、90μLの反応緩衝液(100mMトリス−HCl、pH7.5、150μM NADH、11mMイソブチルアルデヒド)と共に、96ウェルプレート中、SpectraMax(登録商標)340PCマルチプレートリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)において、3系列で行った。反応を、吸光度読取りを10秒毎に行いながら、340nmで5分間追跡した。反応を、30℃で行った。反応を、完全緩衝液中で、および基質を含まない緩衝液中でも行った。 イソブチルアルデヒド酸化アッセイ(ALD6アッセイ):細胞ペレットを氷上で解凍し、溶解緩衝液(10mMリン酸ナトリウムpH7.0、1mMジチオスレイトール、5%w/vグリセロール)中に再懸濁させた。1mLのガラスビーズ(直径0.5mm)を、各試料につき、1.5mLエッペンドルフ管に添加し、850μLの細胞懸濁液を添加した。酵母細胞を、Retsch MM301ミキサーミル(Retsch Inc.Newtown,PA)を使用して、間に氷上で1分間インキュベーションしながら、各々最高速度で6×1分間混合し、溶解させた。管を、21,500×gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を、新たな管に移した。抽出物を、アッセイするまで氷上で保有した。酵母ライセートタンパク質濃度を、記載されるように決定した。 細胞ライセート中で、イソブチルアルデヒドの、イソ酪酸塩への酸化を触媒する酵素の酵素活性を測定するために使用した方法は、Meaden et al.1997、Yeast 13:1319−1327およびPostma et al.1988,Appl.Environ.Microbiol.55:468−477から改変した。手短に述べると、各試料につき、10μLの無希釈の細胞ライセートを、6ウェルのUVマイクロタイタープレートに添加した。3つのウェルは、pH7.5の50mM HEPES−NaOH、0.4mM NADP+、3.75mM MgCl2、および0.1mM、1mM、または10mMイソブチルアルデヒドを含有する、90μLアッセイ緩衝液を入れた。残りの3ウェルは、90μLの基質を含まない緩衝液(アッセイ緩衝液と同じであるが、イソブチルアルデヒドを含まない)を入れた。緩衝液を、上下にピペット操作することによって、ウェル中のライセートと混合した。反応を次いで、SpectraMax(登録商標)340PCプレートリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)において吸光度読取りを10秒毎に取りながら、340nmで5分間モニターした。反応を、30℃で行った。各試料についてのVmaxを、基質を含まない対照のバックグラウンド読取り値を差し引くことによって決定した。ライセートを含まない対照もまた、各基質濃度につき、3系列で行った。 ALSアッセイ:実施例1〜18に記載されるALSアッセイのために、細胞を、氷上で解凍し、溶解緩衝液(50mMリン酸カリウム緩衝液pH6.0、および1mM MgSO4)中に再懸濁させた。1000μLのガラスビーズ(直径0.5mm)を、1.5mLエッペンドルフ管に添加し、875μLの細胞懸濁液を添加した。酵母細胞を、Retsch MM301ミキサーミル(Retsch Inc.Newtown,PA)を使用して、各ビーズ式破砕ステップの間に氷上で1分間インキュベーションしながら、各々最高速度で6×1分間混合し、溶解させた。管を、23,500×gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を、使用のために除去した。これらのライセートを、アッセイするまで氷上で保有した。ライセートのタンパク質含量を、記載されるように測定した。全てのALSアッセイを、基質を含めておよび含まずに両通りで、各ライセートにつき、3系列で行った。各ライセートをアッセイするために、15μLのライセートを、135μLの緩衝液(50mMリン酸カリウム緩衝液pH6.0、1mM MgSO4、1mMチアミンピロリン酸塩、110mMピルビン酸塩)と混合し、30℃で15分間インキュベートした。緩衝液を室温で調製した。基質を含まない対照(ピルビン酸塩を含まない緩衝液)およびライセートを含まない対照(ライセートの代わりに溶解緩衝液)もまた含めた。インキュベーション後、21.5μLの35%H2SO4を、各反応物に添加し、37℃で1時間インキュベートした。 実施例19〜25に記載されるALSアッセイのために、細胞を、氷上で解凍し、溶解緩衝液(100mM NaPO4 pH7.0、5mM MgCl2、および1mM DTT)中に再懸濁させた。1mLのガラスビーズ(直径0.5mm)を、1.5mLエッペンドルフ管に添加し、800μLの細胞懸濁液を、ガラスビーズを含有する管に添加した。酵母細胞を、Retsch MM301ミキサーミル(Retsch Inc.Newtown,PA)および冷却ブロックを使用して、混合の間に1分間氷冷しながら、各々30サイクル/秒で6回、1分間にわたって混合し、溶解させた。管を、21,500×gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を除去した。抽出物を、アッセイするまで氷上で保有した。酵母ライセートタンパク質濃度を、BioRad Bradfordタンパク質アッセイ試薬キット(カタログ番号500−0006、BioRad Laboratories,Hercules,CA)を使用して、また検量線についてはBSAを記載されるように使用して、決定した。全てのALSアッセイを各ライセートにつき、3系列で行った。全ての緩衝液、ライセート、および反応管を氷上で事前冷却した。各ライセートをアッセイするために、15μLのライセート(必要に応じて溶解緩衝液で希釈)を、135μLのアッセイ緩衝液(50mM KPi、pH7.0、1mM MgSO4、1mMチアミンピロリン酸塩、110mMピルビン酸塩)と混合し、30℃で15分間インキュベートした。基質を含まない対照(緩衝液ピルビン酸塩を含まない)およびライセートを含まない対照(溶解緩衝液ライセートの代わりに)もまた含めた。インキュベーション後、各反応物を、21.5μLの35%H2SO4と混合し、37℃で1時間インキュベートし、5,000×gで5分間遠心分離して、いかなる不溶性沈殿剤も除去した。 全てのアッセイ試料を、アッセイ基質(ピルビン酸塩)および産物(アセトイン)について、高性能液体クロマトグラフィー、2つのRestek RFQ 150×4.6mm直列カラムを装着したHP−1200高性能液体クロマトグラフィー系を介して分析した。有機酸代謝物を、HP−1100 UV検出器(210nm)および屈折率を使用して検出した。カラム温度は60℃であった。この方法は、移動相として、0.0180 N H2SO4(Milli−Q水中)を用いる均一濃度法であった。流量は1.1mL/分に設定した。注入容量は20μLであり、実行時間は8分間であった。分析は、純正基準(99%超、Sigma−Aldrichから得た)および5点較正曲線を使用して行った。 TMA29酵素アッセイ:細胞ペレットを氷上で解凍し、溶解緩衝液(10mMリン酸ナトリウムpH7.0、1mMジチオスレイトール、5%w/vグリセロール)中に再懸濁させた。1mLのガラスビーズ(直径0.5mm)を、各試料につき、1.5mLエッペンドルフ管に添加し、850μLの細胞懸濁液を添加した。酵母細胞を、Retsch MM301ミキサーミル(Retsch Inc.Newtown,PA)を使用して、間に氷上で1分間インキュベーションしながら、各々最高速度で6×1分間混合し、溶解させた。管を、21,500×gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を、新たな管に移した。抽出物を、アッセイするまで氷上で保有した。酵母ライセートタンパク質濃度を、BioRad Bradfordタンパク質アッセイ試薬キット(カタログ番号500−0006、BioRad Laboratories,Hercules,CA)を使用して、また検量線についてはBSAを記載されるように使用して、決定した。(S)−2−アセト乳酸((S)−AL)の酵素合成を、嫌気性フラスコ中で行った。反応は、20mMリン酸カリウムpH7.0、1mM MgCl2、0.05mMチアミンピロリン酸塩(TPP)、および200mMピルビン酸ナトリウムを含有する55mLの総容量で行った。合成を、65単位の精製したB.スブチリスAlsSの添加によって開始し、反応物を、静的インキュベーター中で、30℃で7.5時間インキュベートした。 ラセミ体2−アセト乳酸((R/S)−2−AL)の化学合成を、50μLのエチル−2−アセトキシ−2−メチルアμセト酢酸塩(EAMMA)を990μLの水と混合することによって行った。260μLの2N NaOHを次いで、各添加の後に15秒間のボルテックスを行いながら、10μL増分で添加した。溶液を次いで、オービタルシェーカー上で20分間混合した。 ラセミ体AHB((R/S)−AHB)の化学合成を、50μLのエチル−2−アセトキシ−2−エチル−3−オキソブタノエートを990μLの水と混合することによって行った。2N NaOHを次いで、各添加の後に15秒間のボルテックスを行いながら、10μL増分で添加した。NaOHを、溶液のpHが12になるまで添加した(約180μLの2N NaOH)。溶液を次いで、オービタルシェーカー上で20分間混合した。(S)−AL、(R/S)−AL、または(R/S)−AHB還元活性の決定のために、10μLの無希釈の細胞ライセートを、6ウェルのUVマイクロタイタープレートに添加した。3つのウェルは、pH7.0の100mM KPO4、150μM NADPH、および基質として5mM(S)−AL、または10mM(R/S)−AL、または10mM(R/S)−AHBを含有する90μLアッセイ緩衝液を入れた。残りの3つのウェルは、90μLのアッセイ緩衝液を入れたが、基質を含まなかった。緩衝液を、上下にピペット操作することによって、ウェル中のライセートと混合した。反応を次いで、SpectraMax(登録商標)340PCプレートリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)において吸光度読取りを10秒毎に取りながら、340nmでモニターした。反応を、30℃で行った。各試料についての(S)−AL、(R/S)−AL、または(R/S)−AHB還元活性を、基質を含まない対照のバックグラウンド読取り値を差し引くことによって決定した。ライセートを含まない対照もまた、3系列で行った。 DHAD酵素アッセイ:細胞ペレットを氷上で解凍し、溶解緩衝液(50mMトリスpH8.0、5mM MgSO4、およびG Biosciences Yeast/Fungal ProteaseArrest(商標)(St.Louis,MO,USA、カタログ番号788−333))中に再懸濁させた。1mLのガラスビーズ(直径0.5mm)を、各試料につき、1.5mLエッペンドルフ管に添加し、850μLの細胞懸濁液を添加した。酵母細胞を、Retsch MM301ミキサーミル(Retsch Inc.Newtown,PA)を使用して、間に氷上で1分間インキュベーションしながら、各々最高速度で6×1分間混合し、溶解させた。管を、21,500×gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を、新たな管に移した。抽出物を、アッセイするまで氷上で保有した。酵母ライセートタンパク質濃度を、記載されるように決定した。各試料からのタンパク質を、DHADアッセイ緩衝液(50mMトリスpH8、5mM MgSO4)中に、0.5μg/μLの最終濃度になるまで希釈した。各ライセートの3つの試料を、ライセートを含まない対照と共にアッセイした。10μLの各試料(またはDHADアッセイ緩衝液)を、0.2mL PCR管に添加した。マルチチャネルピペットを使用して、90μLの基質を各管(基質混合物は、4mL DHADアッセイ緩衝液を0.5mL 100mM DHIVに添加することによって調製した)に添加した。試料をサーモサイクラー(エッペンドルフマスターサイクラー)中に35℃で30分間置き、続いて95℃で5分間のインキュベーションを行った。試料をサーモサイクラー上で4℃まで冷却し、次いで3000×gで5分間遠心分離した。最後に、75μLの上清を、新たなPCR管に移し、HPLCによって次のように分析し、100μL DNPH試薬(12mM 2,4−ジニトロフェニルヒドラジン、10mMクエン酸pH3.0、80%アセトニトリル、20%MilliQ H2O)を、100μLの各試料に添加した。試料を、サーモサイクラー(エッペンドルフ、マスターサイクラー)中、70℃で30分間インキュベートした。ケト−イソ吉草酸塩およびイソブチルアルデヒドの分析を、Eclipse XDB C−18逆相カラム(Agilent)およびC−18逆相カラムガード(Phenomenex)を装着したHP−1200高性能液体クロマトグラフィー系上で行った。ケトイソ吉草酸塩およびイソブチルアルデヒドを、HP−1100 UV検出器(210nm)を使用して検出した。カラム温度は50℃であった。この方法は、2.5%希釈リン酸(4%)を用いる移動相として、70%アセトニトリル対水を用いる均一濃度法であった。流量は3mL/分に設定した。注入サイズは10μLであり、実行時間は2分間であった。実施例1:S.セレビシエにおいてADH活性を増加させることによって、増加されたイソブタノール/イソ酪酸塩比 この実施例の目的は、増加されたアルコールデヒドロゲナーゼ活性が、増加されたイソブタノール収率、減少されたイソ酪酸塩収率、およびイソブタノール収率のイソ酪酸塩収率に対する比率の増加をもたらすことを実証することである。 この実施例に開示される株およびプラスミドを、それぞれ表7および8に示す。 染色体DNAから単一のアルコールデヒドロゲナーゼ(D.メラノガスターADH、Dm_ADH)を発現する、S.セレビシエ株GEVO2843を、記載されるように、KARIおよびDHAD(それぞれEc_ilvC_Q110VおよびLl_ilvD_coSc)のみを担持する2μプラスミドpGV2011、またはKARI、DHAD、およびADH(それぞれEc_ilvC_Q110V、Ll_ilvD_coSc、およびLl_adhA)を担持するpGV2485で形質転換した。 発酵培養物を出発させるために、形質転換された株の一晩の小培養物を、1%エタノールおよび0.2g/L G418を含有するYPD培地中で出発させ、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。各株の3つの生物学的複製を試験した。翌朝、これらの培養物のOD600を決定し、適切な量を使用して、50mLバッフル付フラスコ中の50mLの同じ培地に、およそ0.1のOD600になるまで植菌した。これらの前培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。培養物がおよそ5〜6のOD600に到達したとき、それらを50mLファルコン管中で、2700rpmで5分間、25℃で遠心分離した。1つの50mL培養物(1クローン)からの細胞を、8%グルコース、0.2g/L G418、1%(v/v)エタノール(3g/Lエルゴステロールおよび132g/L Tween−80を含有)を含有するYPD中に再懸濁させ、200mM MESを用いてpH6.5で緩衝した。培養物を次いで、250mLバッフルなしフラスコ中に移し、30℃および75rpmでインキュベートした。 72時間時点で、各発酵フラスコからの試料を、OD600、ADH活性を決定するため、およびGC1およびLC1によって分析するために採取した。GC1およびLC1分析用の試料を調製するために、適切な容量の細胞培養物を、微量遠心機中で、最大速度で10分間スピンし、上清をGC1およびLC1分析のために除去した。細胞ペレットを、ADHアッセイのために、14mLの培養培地を3000×gで5分間、4℃で遠心分離することによって調製した。上清を除去し、細胞を3mL冷滅菌水中で洗浄した。管を次いで、上記の通り2分間遠心分離し、上清を除去し、管を再計量して、総細胞重量を決定した。ファルコン管を−80℃で保管した。ADHアッセイを記載されるように行った。 表9は、発酵の経過中の各株についてのOD600を示す。72時間のこの発酵中、株のOD600は同様であった:それらは約7のOD600で出発し、約9のOD600で終了した。2つのプラスミドで形質転換したGEVO2843からのライセートの体外ADH酵素活性を、72時間時点について測定した。表9は、体外で測定したライセートにおけるADH活性を示す。ADHを含まないプラスミド(pGV2011)を担持する株は、約0.04U/mgの活性を示した。Ll_adhA遺伝子を含むプラスミド(pGV2485)を担持する株は、およそ7倍高いADH活性を有した。 発酵の72時間後のイソブタノールおよびイソ酪酸塩力価を表10に示す。0.04U/mgの低いADH活性を有する株中のイソブタノール力価は、0.29U/mgの高いADH活性を有する株と比較して有意に低かった。0.04U/mgの低いADH活性を有する株中のイソ酪酸塩力価は、0.29U/mgの高いADH活性を有する株と比較して有意に高かった。表6はまた、発酵の72時間後のイソ酪酸塩およびイソブタノールについての収率を示す。0.04U/mgの低いADH活性を有する株中のイソブタノール収率は、0.29U/mgの高いADH活性を有する株と比較して有意に低かった。0.04U/mgの低いADH活性を有する株中のイソ酪酸塩収率は、0.29U/mgの高いADH活性を有する株と比較して有意に高かった。実施例2:S.セレビシエにおける変異体ADH Ll_AdhARE1の使用によって更に増加されたイソブタノール/イソ酪酸塩比 この実施例の目的は、増加されたkcatおよび減少されたKMを有するアルコールデヒドロゲナーゼの発現が、イソブタノール収率の更なる増加、イソ酪酸塩収率の減少、およびイソブタノール収率のイソ酪酸塩収率に対する比率の増加をもたらすことを実証することである。 染色体DNAから単一のアルコールデヒドロゲナーゼ(D.メラノガスターADH、Dm_ADH)を発現する、S.セレビシエ株GEVO2843を、KARI、DHAD、KIVD、およびヒス−タグ、コドン最適化野生型ADH(それぞれEc_ilvCQ110V、Ll_ilvD_coSc、およびLl_adhA_coSchis6)を担持する2μプラスミドpGV2543、またはKARI、DHAD、KIVD、およびヒス−タグ、コドン最適化突然変異体ADH(それぞれEc_ilvCQ110V、Ll_ilvD_coSc、およびLl_adhARE1_coSchis6)を担持するpGV2545で形質転換した。これらの株を培養し、記載されるように、ADH酵素活性、ならびにGC1およびLC1による細胞外代謝物の産生について評価した。 Ll_adhA_coSchis6、Ll_adhARE1_coSchis6(それぞれLl_adhAhis6およびLl_adhARE1−his6)の遺伝子産物の動力学的パラメータを表13に示す。 表14は、発酵の経過中の各株についてのOD600を示す。72時間のこの発酵中、株のOD600は同様であった:それらは約6のOD600で出発し、約9のOD600で終了した。2つのプラスミドで形質転換したGEVO2843からのライセートの体外ADH酵素活性を、72時間時点について測定した。表14は、上述のように体外で測定したライセートにおけるADH活性を示す。Ll_adhA_coSchis6を含むプラスミド(pGV2543)を担持する株は、約0.38U/mgの活性を示した。Ll_adhARE1_coSchis6遺伝子、を含むプラスミド(pGV2545)を担持する株は、およそ7倍高いADH活性を有した。 発酵の72時間後のイソブタノールおよびイソ酪酸塩力価および収率を表15に示す。pGV2543を担持する株中のイソブタノール力価および収率は、pGV2545を担持する株と比較してより低かった。pGV2543を担持する株中のイソ酪酸塩力価および収率は、pGV2545を担持する株と比較して有意に高かった。実施例3:RE1の発現によってS.セレビシエにおいて更に増加されたイソブタノール/イソ酪酸塩比 この実施例の目的は、増加されたkcatおよび減少されたKMを有するアルコールデヒドロゲナーゼの発現が、発酵槽中で行った発酵において、イソブタノール収率の増加およびイソ酪酸塩収率の減少をもたらすことを実証することである。 S.セレビシエ株GEVO3519およびGEVO3523の性能を比較するために、発酵を行った。イソブタノールおよびイソ酪酸塩力価および収率を発酵中に測定した。GEVO3519は、次の酵素をコードする遺伝子を含有する2μプラスミドpGV2524を担持する:KARI、DHAD、KIVD、およびヒス−タグ、コドン最適化野生型ラクトコッカ・スラクチスADH。GEVO3523は、次の酵素をコードする遺伝子を含有する2μプラスミドpGV2524を担持する:KARI、DHAD、KIVD、ならびに減少されたKMおよび増加されたkcatを有する、ヒス−タグ、コドン最適化ラクトコッカ・スラクチスADHの改善された変異体。これらの株を、LC1およびGC1により、イソブタノール、イソブチルアルデヒド、グルコース消費について、ならびにDasGip発酵槽中での発酵中のOD600について評価した。 S.セレビシエ株GEVO3128を、記載されるように、2μプラスミドpGV2524またはpGV2546のいずれかで形質転換して、それぞれ株GEVO3519およびGEVO3523を生成した。GEVO3519およびGEVO3523の種菌培養物を、80mLのYPD培地0.2g/L G418抗生物質、1%v/vエタノール、および0.019g/Lトリプトファンを含有する500mLバッフル付フラスコに植菌することによって出発させた。培養物をおよそ34時間インキュベートした。オービタルシェーカーを、両実施例において250rpmおよび30℃に設定した。同様の細胞質量を、GEVO3519およびGEVO3523株のために達成した。インキュベーション後に達成された細胞密度は、8.0 OD600であった。バッチの発酵を、80g/Lグルコース、0.2g/L G418、1%v/vエタノール、および0.019g/Lトリプトファンを含有するYPD培地中で、2LトップドライブモーターDasGip槽を使用して、1槽当たり0.9Lの作業容量で行った。適切な溶解酸素およびpHプローブと共に、槽を121℃で60分間滅菌した。極性化を可能にするために、溶解酸素プローブは、滅菌後に較正したが、pHプローブは、滅菌前に較正した。pHを、6N KOHおよび2N H2SO4を使用してpH6.0に制御した。培養物の増殖期中に、酸素移動速度(OTR)は、10mM/時間であり、培養物の産生期中に、培養物OTRは、0.2mM/時間であった。 表18は、培養物の産生期について算出した、イソブタノール力価および収率(理論収率%として)を示す。イソブタノール力価および収率の両方は、減少されたKMおよび増加されたkcatを有するアルコールデヒドロゲナーゼを担持する株GEVO3523中で増加される。表18はまた、到達した最大力価として報告するイソ酪酸塩力価、および%単位の炭素収率としての収率を示す。イソ酪酸塩力価および収率の両方は、減少されたKMおよび増加されたkcatを有するアルコールデヒドロゲナーゼを担持する株GEVO3523中で減少された。実施例4:S.セレビシエにおけるALD6遺伝子の欠失を伴う発酵において減少されたイソ酪酸塩および酢酸塩産生 次の実施例は、ALD6遺伝子の欠失が、発酵においてイソ酪酸塩および酢酸塩産生の減少をもたらすことを例証する。 ALD6欠失株の構築:PCRを使用して、S.セレビシエからのALD6の欠失のためのALD6の欠失対立遺伝子を含有するDNA断片を生成した。1つのPCR反応は、プライマーoGV2834およびoGV2835を使用して、ALD6の上流隣接領域、およびvpGV1954からのPSc_CCW12プロモーター領域の5’末端を有するDNA断片の3’末端における重複の領域を含む、DNA断片(A)を増幅した。別のPCR反応は、プライマーoGV2836およびoGV2837を使用して、ALD6の下流隣接領域、およびpGV2074からのhphハイグロマイシン抵抗性ORFの3’末端を有するDNA断片の5’末端における重複の領域を含む、DNA断片(D)を増幅した。別のPCR反応は、プライマーoGV2631およびoGV2632を使用して、ALD6の上流隣接領域の3’末端を有するDNA断片(断片A)の5’末端における重複の領域、およびpGV2074からのhphハイグロマイシン抵抗性ORFの5’末端を有するDNA断片の3’末端における領域を有する、pGV1954からのPSc_CCW12プロモーター領域を含む、DNA断片(B)を増幅した。別のPCR反応は、プライマーoGV2633およびoGV2634を使用して、pGV1954からのPSc_CCW12プロモーター領域の3’末端を有するDNA断片(断片B)の5’末端における重複の領域、およびALD6の下流隣接領域の5’末端を有するDNA断片(断片D)の3’末端における重複の領域を有する、pGV2074からのhphハイグロマイシン抵抗性ORFを含む、DNA断片(C)を増幅した。DNA断片AおよびBを、プライマーoGV2834およびoGV2632を使用するPCRによって組み合わせて、DNA断片ABを生成し、DNA断片CおよびDを、プライマーoGV2633およびoGV2837を使用するPCRによって組み合わせて、DNA断片CDを生成した。DNA断片ABおよびCDを、プライマーoGV2834およびoGV2837を使用するPCRによって組み合わせて、ALD6の欠失対立遺伝子を含有する最終DNA断片ABCDを生成した。 ALD6の欠失によって減少されたイソ酪酸塩および酢酸塩産生を実証するための株を、ALD6の欠失対立遺伝子を含有するABCD DNA断片での、GEVO3198の形質転換によって構築した。形質転換体を、0.1g/Lハイグロマイシンに対する抵抗性について選択し、形質転換体コロニーを、コロニーPCRによって、ABCD DNA断片の正しい組み込みについて、プライマー対oGV2840/oGV2680、oGV968/oGV2841、およびoGV2838/oGV2839を使用してスクリーニングした。株GEVO3711、GEVO3712、およびGEVO3713を、このコロニーPCRによって、ABCD DNA断片の正しい組み込みによって欠失されたALD6を有するとして特定した。 ALD6の欠失によって減少されたイソ酪酸塩および酢酸塩産生を実証するためのイソブタノール産生経路を含有する株を、遺伝子発現KARI、DHAD、KIVD、およびADH(それぞれEc_ilvC_coScP2D1−A1、Ll_ilvD_coSc、Ll_kivD2_coEc、およびLl_adhA)を担持する2μ複製起点プラスミド、pGV2247での、GEVO3711、GEVO3712、およびGEVO3713の形質転換によって構築した。形質転換体を、0.2g/L G418および0.1g/Lハイグロマイシンに対する抵抗性について選択し、0.1g/Lハイグロマイシンおよび0.2g/L G418を含有する培地上に再度画線することによって精製して、株GEVO3714、GEVO3715、およびGEVO3716を生成した。イソブタノール産生経路を含有するALD6対照株、GEVO3466を、プラスミドpGV2247での、GEVO3198の形質転換によって生成した。形質転換体を、0.2g/L G418に対する抵抗性について選択し、0.2g/L G418を含有する培地上に再度画線することによって精製した。 ald2Δ、ald3Δ、ald4Δ、ald5Δ、およびhfd1Δ欠失株の構築:PCRを使用して、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、およびHFD1の欠失に対する、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、およびHFD1の個々の欠失対立遺伝子を含有する別個のDNA断片を、別個の株中のS.セレビシエから個々に生成した。さらに、PCRを使用して、ALD2およびALD3(ald2Δ ald3Δ)の一緒の欠失に対する、S.セレビシエゲノムにおける隣接遺伝子であるALD2およびALD3の両方を含む欠失対立遺伝子を含有するDNA断片を、個々の株中のS.セレビシエから生成した。上流隣接領域、pGV1954からのPSc_CCW12プロモーター領域、pGV2074からのhphハイグロマイシン抵抗性ORF、および各々個々の遺伝子に対する下流隣接領域を含有する、4構成成分断片を、表20に列挙されるプライマー対を使用したこと以外は、ALD6の欠失に対するABCD断片の生成と同様にPCRによって生成した。ALD2およびALD3の一緒の欠失に対する4構成成分断片は、ALD2からの上流隣接領域およびALD3からの下流隣接領域を含有し、それを表20に列挙されるプライマー対を使用するPCRによって、同様に構築した。pGV1954からのPSc_CCW12プロモーター領域は、常にプライマー対oGV2631/oGV2632で増幅し、pGV2074からのhphハイグロマイシン抵抗性ORFは、常にプライマー対oGV2633/oGV2634で増幅した。 ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、およびHFD1の個々の欠失を伴う株、ならびにALD2およびALD3の一緒の欠失を伴う株を、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、もしくはHFD1の個々の欠失対立遺伝子を含有する個々の4構成成分DNA断片での、またはALD2およびALD3の一緒の欠失対立遺伝子を含有する4構成成分DNA断片での、GEVO3198またはGEVO3466の形質転換によって構築した。形質転換体を、0.1g/Lハイグロマイシンに対する抵抗性について選択し、形質転換体コロニーを、コロニーPCRによって、4構成成分DNA断片の正しい組み込みについて、表21に列挙されるプライマー対を使用してスクリーニングした。株GEVO3567を、このコロニーPCRによって、正しく欠失されたALD2を有するとして特定し、株GEVO3568を、このコロニーPCRによって、正しく欠失されたALD3を有するとして特定し、株GEVO3569を、このコロニーPCRによって、正しく欠失されたALD2およびALD3を一緒に有するとして特定し、株GEVO3579を、このコロニーPCRによって、正しく欠失されたALD4を有するとして特定し、株GEVO3705、GEVO3706、およびGEVO3707を、このコロニーPCRによって、正しく欠失されたALD5を有するとして特定し、株GEVO3720、GEVO3721、およびGEVO3722を、このコロニーPCRによって、正しく欠失されたHFD1を有するとして特定した。 イソブタノール産生経路を含有し、ALD2、ALD3、およびALD5の個々の欠失を伴う、またはALD2およびALD3の一緒の欠失を伴う株を、プラスミドpGV2247での、株GEVO3567、GEVO3568、GEVO3569、GEVO3705、GEVO3706、およびGEVO3707の形質転換によって構築した。形質転換体を、0.2g/L G418および0.1g/Lハイグロマイシンに対する抵抗性について選択し、0.1g/Lハイグロマイシンおよび0.2g/L G418を含有する培地上に再度画線することによって精製して、株GEVO3586、GEVO3587、GEVO3588、GEVO3590、GEVO3591、GEVO3592、GEVO3593、GEVO3594、GEVO3595、GEVO3708、GEVO3709、およびGEVO3710を生成した。株GEVO3579、GEVO3720、GEVO3721、およびGEVO3722は、GEVO3466から生成し、したがって、プラスミドpGV2247を含有した。 振盪フラスコ発酵:GEVO3466の性能を、ald2Δ、ald3Δ、ald2Δ ald3Δ、ald4Δ、ald5Δ、hfd1Δ、およびald6Δ欠失突然変異を含有する株と比較するために、発酵を行った。酵母株を、細胞パッチから、または0.2g/L G418を含有するYPD寒天プレートから精製した単一のコロニーから、14mL丸底スナップキャップ管中、0.2g/L G418および1%v/vエタノール培地を含有する3mLのYPD中に植菌した。培養物を、一晩から最大24時間、250rpmで、傾斜させて振盪しながら30℃でインキュベートした。各株について別個に、これらの一晩の培養物を使用して、スリーブを閉鎖した250mLバッフル付フラスコ中の、0.2g/L G418および1%v/vエタノール培地を含有する50mLのYPDに、0.1のOD600になるまで植菌した。これらのフラスコ培養物を、一晩から最大24時間、250rpmで振盪しながら30℃でインキュベートした。これらのフラスコ培養物からの細胞を、3000×gで5分間の遠心分離によって、各株について別個に採取し、各細胞ペレットを、80g/Lグルコース、エタノール中に溶解させた3g/Lエルゴステロールおよび132g/L Tween 80の1%v/v保存液、200mM MES緩衝液、pH6.5、および0.2g/L G418培地を含有する5mLのYPD中に別個に再懸濁させた。各細胞懸濁液を使用して、通気したねじ蓋を有する250mLのバッフルなしフラスコ中、80g/Lグルコース、エタノール中に溶解させた3g/Lエルゴステロールおよび132g/L Tween 80の1%v/v保存液、200mM MES緩衝液、pH6.5、および0.2g/L G418培地を含有する50mLのYPDに、およそ5のOD600になるまで植菌した。これらの発酵物を、250rpmで振盪しながら30℃でインキュベートした。一定期間ごとに、各振盪フラスコ発酵からの試料を除去して、OD600を測定し、かつイソブタノールおよび他の代謝物についてのガスクロマトグラフィー(GC1)分析のため、ならびに有機酸およびグルコースについての高性能液体クロマトグラフィー(LC1)分析のために調製した。2mLの試料を微量遠心管中に除去し、微量遠心機中、最大rpmで10分間遠心分離した。1mLの上清は、記載されるようにGC1およびLC1によって細胞外代謝物の分析を行った。 ALD6の欠失は、振盪フラスコ発酵におけるイソ酪酸塩および酢酸塩産生を減少させた:GEVO3466、ならびにald6Δ株GEVO3714、GEVO3715、およびGEVO3716についての52時間の振盪フラスコ発酵の結果を、表24に要約する。ald6Δ株GEVO3714、GEVO3715、およびGEVO3716は、ALD6株GEVO3466よりも71%少ないイソ酪酸塩を産生した。ald6Δ株GEVO3714、GEVO3715、およびGEVO3716はまた、ALD6株GEVO3466よりも86%少ない酢酸塩を産生した。ald6Δ株GEVO3714、GEVO3715、およびGEVO3716におけるイソブタノール収率は、ALD6株GEVO3466から、特記すべきほどには異ならなかった。ald6Δ株GEVO3714、GEVO3715、およびGEVO3716におけるイソブタノール力価は、ALD6株GEVO3466よりも23%高かった。 GEVO3466およびthe ald2Δ、ald3Δ、ald2Δ、ald3Δ、ald4Δ、ald5Δ、およびHFD1Δ株についての72時間の振盪フラスコ発酵の結果を、表25および表26に要約する。ALD3、ALD2およびALD3の一緒の、またはALD4における欠失を伴う株は、野生型ALDH株GEVO3466と比較して、イソ酪酸塩産生の減少を有さなかった。ALD2、ALD5、またはHFD1における欠失を伴う株は、野生型ALDH株GEVO3466と比較して、イソ酪酸塩産生の特記すべき減少を有さなかった。ALD2、およびALD3の両方の一緒の欠失を伴う株は、野生型ALDH株GEVO3466よりも19%少ない酢酸塩を産生したが、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、またはHFD1の個々の欠失を伴う株は、野生型ALD株GEVO3466と比較して酢酸塩産生の特記すべき減少を有さなかった。 ベンチトップ発酵槽中での発酵:ベンチトップ発酵槽中での発酵を、GEVO3466(ALD6)の性能を、GEVO3714およびGEVO3715(ald6Δ)と比較するために行った。グルコース消費、イソブタノール産生、イソ酪酸塩産生、およびOD600を発酵中に測定した。これらの発酵について、画線プレートから精製した株を、1%v/vエタノール、100μMCuSO4.5H2O、および0.2g/L G418を含有する80mLのYPD培地を含有する500mLバッフル付フラスコに移し、250rpmでのオービタルシェーカー中、30℃で32時間インキュベートした。フラスコ培養物を、個々の2Lトップドライブモーター発酵槽に、1槽当たり、80g/Lグルコース、1%v/vエタノール、100μMCuSO4.5H20、および0.2g/L G418を含有する、0.9LのYPD培地の作業容量で移して、0.5の出発OD600を得た。発酵槽を、酸素移動速度(OTR)に基づく2相好気性条件下で、6N KOHおよび2N H2SO4で制御して、30℃およびpH6.0で作動させた。最初に、発酵槽を、10mM/時間の増殖期OTRで、700rpmの固定撹拌および5sL/時間の空気のオーバーレイによって作動させた。培養物を、およそ9〜10のOD600になるまで24時間増殖させ、次いで即座に、撹拌を700rpmから450rpmに24時間〜86.5時間の期間にわたって低減することによって、OTR=2.0mM/時間の産生曝気に切り替えた。一定期間ごとに、各発酵槽からの試料を除去して、OD600を測定し、イソブタノールおよび他の代謝物についてのガスクロマトグラフィー(GC1)分析のため、ならびに有機酸およびグルコースについての高性能液体クロマトグラフィー(LC1)分析のために調製した。2mLの試料を微量遠心管中に除去し、微量遠心機中、最大rpmで10分間遠心分離した。1mLの上清を、記載されるようにGC1およびLC1分析に供した。 ALD6の欠失は、ベンチトップ発酵槽発酵において、イソ酪酸塩および酢酸塩産生を減少させ、イソブタノール収率を増加させた:86.5時間のベンチトップ発酵槽発酵の結果を、表27に要約する。ald6Δ株GEVO3714およびGEVO3715は、ALD6株GEVO3466よりも38%少ないイソ酪酸塩を産生した。ald6Δ株GEVO3714およびGEVO3715はまた、ALD6株GEVO3466よりも61%少ない酢酸塩を産生した。ald6Δ株GEVO3714およびGEVO3715におけるイソブタノール収率は、ALD6株GEVO3466よりも25%高かった。ald6Δ株GEVO3714およびGEVO3715におけるイソブタノール力価は、ALD6株GEVO3466よりも35%高かった。実施例5:S.セレビシエにおけるALD6活性の決定 次の実施例は、イソブチルアルデヒド酸化活性が、ald6Δ株中で有意に減少されることを例証する。 ALD6(YPL061W)遺伝子が欠失された酵母株GEVO3940およびその親GEVO3527を、各株について3系列で、14mL培養物管中、3mLのYPD培地に植菌することによって、各々3系列で培養した。培養物を、GEVO3527についてはYPD寒天プレート上の、およびGEVO3940については0.2g/L G418プレートを含有するYPD寒天プレート上のパッチから出発させた。培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。翌日、一晩の培養物のOD600を測定し、0.1のOD600になるまで50mL培養物に植菌するための各培養物の容量を算出した。算出した各培養物の容量を使用して、250mLバッフル付フラスコ中の50mLのYPDに植菌し、培養物を、30℃および250rpmでインキュベートした。細胞を、7時間の増殖後に、1.6〜2.1のODの対数期中期の間に採取した。培養物を事前計量した50mLファルコン管に移し、細胞を、3000×gで5分間の遠心分離によって収集した。培地の除去後、細胞を、10mL MilliQ H2Oで洗浄した。水の除去後、細胞を、3000×gで5分間、再び遠心分離し、残った水を、1mLピペットチップを用いて注意深く除去した。細胞ペレットを計量し、次いで−80℃で保管した。その後、それらを溶解させ、記載されるようにイソブチルアルデヒド酸化活性についてアッセイした。 表29に示されるように、10mMイソブチルアルデヒドの酸化に対する、GEVO3527ライセートにおけるS.セレビシエALD6の比活性は、13.9mU/mgであった。ALD6欠失を伴う同じ株は、22倍低い0.6mU/mgの比活性を有した。1.0mMイソブチルアルデヒドの酸化に対する、GEVO3527ライセートにおけるS.セレビシエALD6の比活性は、17.6mU/mgであった。ALD6欠失を伴う同じ株は、8倍低い2.1mU/mgの比活性を有した。0.1mMイソブチルアルデヒドの酸化に対する、GEVO3527ライセートにおけるS.セレビシエALD6の比活性は、6.7mU/mgであった。ALD6欠失を伴う同じ株は、5倍低い1.3mU/mgの比活性を有した。これらのデータは、内在性ALD6酵素が、S.セレビシエにおけるイソブタノール経路のイソ酪酸塩副産物に関与することを実証する。実施例6:S.セレビシエにおけるALD6遺伝子の欠失および改善されたアルコールデヒドロゲナーゼの過剰発現を伴う、更に減少されたイソ酪酸塩産生 次の実施例は、ALD6欠失および改善された動力学的特性を有するADHの過剰発現の組み合わせが、イソ酪酸塩産生の更なる減少、およびイソブタノール産生の更なる増加をもたらすことを例証する。 イソ酪酸塩は、酵母中のイソブチルアルデヒド代謝の副産物であり、炭素収率の有意な割合を含む可能性がある。次の酵母株を構築した:GEVO3466は、株GEVO3198を、次の酵素をコードする遺伝子を担持する2μプラスミド、pGV2247で形質転換することによって構築した:KARI、DHAD、KIVD、および野生型ADH(それぞれEc_ilvC_coScP2D1−A1、Ll_ilvD_coSc、Ll_kivD2_coEc、およびLl_adhA)。GEVO3198は、その染色体DNAからアルコールデヒドロゲナーゼ(L.ラクチスADH、Ll_adhA)の単一のコピーを発現する。株の生物学的複製物がGEVO3714およびGEVO3715と称される第2の株は、2つの独立した株、GEVO3711およびGEVO3712を、次の酵素をコードする遺伝子を担持する2μプラスミドpGV2247で形質転換することによって構築した:KARI、DHAD、KIVD、および野生型ADH(それぞれEc_ilvC_coScP2D1−A1,、Ll_ilvD_coSc、Ll_kivD2_coEc、およびLl_adhA)。GEVO3711および3712は、単一のアルコールデヒドロゲナーゼ(L.ラクチスADH、LI_adhA)を発現し、ALD6遺伝子が染色体DNAから欠失されている。株の生物学的複製物がGEVO3855およびGEVO3856と称される第3の株は、株GEVO3711を、次の酵素をコードする遺伝子を担持する2μプラスミドpGV2602で形質転換することによって構築した:KARI、DHAD、KIVD、および突然変異体ADH(それぞれEc_ilvC_coScP2D1−A1−his6,、Ll_ilvD_coSc、Ll_kivD2_coEc、およびLl_adhARE1)。 2つの異なる組の発酵を行った。発酵A組を、GEVO3466(LI_adhA)の性能をGEVO3714−GEVO3715(LI−adhA、ald6Δ)と比較するために行った。発酵B組を、GEVO3714(LI_adhA、ald6Δ)の性能をそれぞれGEVO3855−GEVO3856(LI_adhARE1、ald6Δ)と比較するために行った。グルコース消費、イソブタノール産生、イソ酪酸塩産生、およびOD600を発酵中に測定した。これらの発酵について、YPD寒天プレート上で増殖させた単一の単離細胞コロニーを、1%v/vエタノール、100μMCuSO4.5H2O、および0.2g/L G418を含有する80mLのYPD培地を含有する500mLバッフル付フラスコに移し、250rpmでのオービタルシェーカー中、30℃で32時間インキュベートした。フラスコ培養物を、個々の2Lトップドライブモーター発酵槽に、1槽当たり、80g/Lグルコース、1%v/vエタノール、100μMCuSO4.5H2O、および0.2g/L G418を含有する、0.9LのYPD培地の作業容量で移して、0.5の出発OD600を得た。発酵槽を、酸素移動速度(OTR)に基づく2相好気性条件下で、6N KOHにより制御して、30℃およびpH6.0で作動させた。両実験において、最初に、発酵槽を、700rpmの固定撹拌および5sL/時間の空気のオーバーレイによって、10mM/時間の増殖期OTRで作動させた。培養物を、およそ9〜10のOD600になるまで24時間増殖させ、次いで即座に、48.5時間の産生曝気条件に切り替えた。第1の実験では、2.5〜3.0mM/時間のOTRを、撹拌を700rpmから425rpmに低減することによって持続させた一方で、第2の実験では、2.0〜2.5mM/時間のOTRを、撹拌を700rpmから400rpmに低減することによって持続させた。一定期間ごとに、各発酵槽からの試料を除去して、OD600を測定し、ガスクロマトグラフィー(GC1)分析および液体クロマトグラフィー(LC1)分析のために調製した。GC1およびLC1のために、2mL試料をエッペンドルフ管中に除去し、微量遠心機中で10分間、最大で遠心分離した。1mLの上清を、GC1(イソブタノール、他の代謝物)によって分析し、1mLを、有機酸およびグルコースについて、高性能液体クロマトグラフィー(LC1)によって分析した。 2つの別個の発酵A組およびB組からの72.5時間のデータを、表32および33に要約する。発酵A組は、GEVO3466(WT ADH)を、GEVO3714および3715(WT ADH、ald6Δ)と比較した一方で、発酵B組は、GEVO3714(WT ADH、ald6Δ)を、GEVO3855および3856(Ll_adhARE1、ald6Δ)と比較した。 発酵A組(表32)を指すデータは、ALD6遺伝子欠失を伴うLl_adhAを担持する株中のイソブタノール力価および理論収率が、ALD6遺伝子欠失を伴わないLI_adhAを担持する株と比較して、それぞれ1.4倍および1.3倍高かったことを示す。ALD6遺伝子欠失を伴わないLI_adhAを担持する株(GEVO3466)は、0.040g/gのイソ酪酸塩収率(産生されたイソ酪酸塩グラム/消費されたグルコースグラム)を有した一方で、ALD6遺伝子欠失を伴うLI_adhAを担持する株(GEVO3714、GEVO3715)は、0.017g/gのより低いイソ酪酸塩収率を有した。ALD6遺伝子欠失を伴わないL.ラクチスadhAを担持する株は、2.3g/L酢酸塩を産生した一方で、ALD6遺伝子欠失を伴うL.ラクチスadhAを担持する株は、0.6g/L酢酸塩を産生した。 発酵B組(表33)を指すデータは、ALD6遺伝子欠失を伴うL.ラクチスadhARE1を担持する株中のイソブタノール力価および理論収率が、ALD6遺伝子欠失を伴うL.ラクチスadhAを担持する株と比較して、それぞれ1.2倍および1.1倍高かったことを示す。LD6遺伝子欠失を伴うL.ラクチスadhARE1を担持する株(GEVO3855、GEVO3856)は、0.014g/gのより高いイソ酪酸塩収率、および0.0g/Lの同様の酢酸塩力価を有したALD6遺伝子欠失を伴うL.ラクチスadhAを担持する株(GEVO3714)と比較して、最も低いイソ酪酸塩収率(産生されたイソ酪酸塩グラム/消費されたグルコースグラム)である0.005g/gを有し、0.0g/L酢酸塩を産生した(表33)。実施例7:イソブタノール発酵の副産物としてのDH2MBの特定 イソブタノール産生酵母株の発酵中に、LC1法において、2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩(DHIV)と共溶出しており、これに基づいて定量化された未知のピークが、利用されている炭素の実質的な部分に対する吸収源として作用していることが見出された。 最初は、このピークは専ら2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩(DHIV)であると考えられたが、その後の研究により、これらのレベルのDHIVでは、KARI産物阻害が生じていたであろうため、かかる濃度はあり得ないことが示された。追加的な実験により、この回収されたピークが、酵素アッセイにおいてDHADと反応性でないことが示され、故に、有意な量のDHIVが存在する可能性は排除された。 高性能液体クロマトグラフィーLC1:有機酸代謝物の分析を、2つのRezex RFQ−Fast Fruit H+(8%)150×4.6mm直列カラム(Phenomenex)を装着したAgilent−1200高性能液体クロマトグラフィー系上で行った。有機酸代謝物を、Agilent−1100 UV検出器(210nm)および屈折率(RI)検出器使用して検出した。カラム温度は60℃であった。この方法は、移動相として、0.0128 N H2SO4(Milli−Q水中、25%0.0512N H2SO4)を用いる均一濃度法であった。流量は1.1mL/分に設定した。注入容量は20μLであり、実行時間は16分間であった。 高性能液体クロマトグラフィーLC3:最大10mMアルデヒド、ケトン、およびケト酸中間体(組み合わせ)を含有する試料について、DNPH試薬を、1:1比で各試料に添加した。100μL DNPH試薬(12mM 2,4−ジニトロフェニルヒドラジン20mMクエン酸pH3.0 80%アセトニトリル20%MilliQ H2O)を、100μLの各試料に添加した。試料を、サーモサイクラー(エッペンドルフ、マスターサイクラー)中、70℃で30分間インキュベートした。アセトイン、ジアセチル、ケトイソ吉草酸塩、およびイソブチルアルデヒドの分析を、Eclipse XDB C−18 150×4mm、5μm粒径逆相カラム(Agilent)およびC−18逆相ガードカラム(Phenomenex)を装着したHP−1200高性能液体クロマトグラフィー系上で行った。全ての分析物を、Agilent−1100 UV検出器(360nm)使用して検出した。カラム温度は50℃であった。この方法は、移動相として、60%アセトニトリル2.5%リン酸(0.4%)、37.5%水を用いる均一濃度法であった。流量は2mL/分に設定した。注入サイズは10μLであり、実行時間は10分間であった。 高性能液体クロマトグラフィーLC4:オキソ酸の分析を、IonPac AS11−HC Analytical、IonPac AG11−HCガードカラム(IonPac ATC column,Dionex については3〜4mm)または同等物、およびIonPac ATC−1アニオントラップカラムまたは同等物を装着した、Agilent−1100高性能液体クロマトグラフィー系上で行った。オキソ酸を、電導度検出器(ED50抑制電導度、サプレッサー型:AutoSuppressionリサイクルモードでASRS 4mm、サプレッサー電流:300mA)を使用して検出した。カラム温度は35℃であった。この方法は、次の溶出プロフィールを使用した:0.25mMで3分間保有、25分時点で5mMまでの直線勾配、25.1分時点で38.5mMまでの直線勾配、38.5mMで4.9分間保有、30.1分時点で0.25mMまでの直線勾配、平衡化するまで7分間保有。流量は2mL/分に設定した。注入サイズは5μLであり、実行時間は37.1分間であった。 GC−MS:Varian 3800CP GC系を装着した単一の四重極320MS、DB−5msカラム、250℃の1079注入ポート、100分割量(split ration)で一定流量1.0mL/分、炉プロフィール:初期温度40℃、5分間保持、20℃/分のランプで最大235℃、および2分間保持、0.5μLの試料を送達するcombiPALオートサンプラ、35〜100の収集された質量。BSTFA誘導化:(1)試料を、GCバイアル中、窒素下で乾燥するまで蒸発させる、(2)0.5mLのアセトニトリルおよび0.5mLのBSTFA試薬を添加する、(3)50℃で30分間インキュベートする、(4)GC−MS上に注入する。 LC−MS:LC1ピーク画分のLC−MS分析について、試料を、複数の波長検出器、およびLC/MSDトラップ質量分析計(イオントラップ)を装着した、Agilent 1100シリーズ高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)系上に注入した。分離物を、質量分析によってモニタリングして、試料中の構成成分に対する同定を得た。質量分析計を、試料注入のために大気圧化学イオン化(APCI)モードで作動させた。陽および陰APCIモードを使用して分析を行った。「未知」の検出は、陰イオン化モードのみで観察された。MSnを使用して分析を行って、試料分析物上での断片化データを得た。5μm粒子による4.6×150mm Agilent Zorbax SB C−18カラムを使用して分離を達成した。90%HPLC水および10%メタノールの溶出液を使用した均一濃度法を使用して、試料を分析した。10μLの注入を使用して、試料溶液の分析を行った。試料はまた、クロマトグラフカラムに通すことによって分析した。 DHIVおよびその異性体、DH2MBは、LC1上で、同じ保持時間で溶出する。これらの化合物に関連したピークを、発酵試料中の他の化合物から分離した。ピークを、HPLCから収集し、更なる分析に使用した。 DHIV(およびDH2MB)についてのLC1で見られた、RI検出シグナル対UV検出シグナルのシグナル比は、一般的な有機酸(例えば、乳酸塩、酢酸塩等)の特徴を示し、共役酸(例えば、ピルビン酸塩)は、非常に異なるRI/UVシグナル比を有する。回収した「ピークDHIV」は、次の非共役酸の特性を有した: 比率(RI/UV):回収したDHIV/DH2MBピーク(130)、DHIV Std(150)、ピルビン酸塩(14)。 「ミステリーピーク」におけるカルボニル部分の欠如を、LC1およびDNPHから回収したピーク画分の間の反応の完全欠如によって確認した。付加ピークは、LC3クロマトグラフ系において明白でなかった。 LC1から回収したピーク画分を次いで、アルカリ条件で作動し、DHIVおよびアセト乳酸を分離することができる、LC4法によって分析した。その結果を、標準的な混合物と重ね合わせながら一緒に、図9に示す。これは明確に、DH2MB(後に特定された)と、DHIVとの間の分離を示す。一部のピルビン酸塩もまた、DH2MBピークの収集と共にもたらされた。 NMR分析:LC1法から回収した試料ピークを、中和し、凍結乾燥させ、NMR分析に供した。1H−COSY NMR(図10)およびプロトンNMRスペクトル(図11)による2−D結合分析は、良好な結果をもたらした。 DHIVで溶出する「ミステリーピーク」の2−D分析(図10):1個のメチル基は、低磁場にシフトし、いかなる隣接プロトンによっても分割されず、ここで0.95ppmでのメチル基は、ヒドロキシルに隣接した1個のプロトンによって二重項に分割される。そのプロトンは、次に、隣接メチル基によって四重項に分割される。3.1ppmと3.7ppmとの間の複合パターンは、「DHIV」のピーク収集中にわたって担持されるグルコースの異なるアノマーを示す。 NMRピークの割り当てを下記のスペクトルにおいて示し(図11)、これは「ミステリーピーク」の素性が、2,3−ジヒドロキシ−2−酪酸塩(DH2MB)であることを明確に示す。 1H NMRおよびCOSYスペクトラムは、ヒドロキシイソ吉草酸の構造的異性体である、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸の存在を支持する。これらのスペクトラムにおける他のシグナルは、アノマータンパク質の存在を支持し、したがって、糖構成成分である。更に、3.1〜3.8ppmの間のシグナルの複合群形成が、オリゴ糖によりしばしば観察される。13C NMRスペクトルは、非常に弱く、ベースラインを下回る45ppmのシグナルに基づく付属プロトン試験(APT)実験であると思われる。 LC−MSもまた、LC1ピーク画分上で行った。LC−MSは、化合物が134の質量を有したことを十分に実証した(DHIVおよびDH2MBの両方)(図12)。 この分析は、未知の副産物を、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(CAS番号14868−24−7)として決定的に特定した。この化合物は、4つの異なる立体異性体型において存在する。2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸は、一組のシスおよびトランスジアステレオマーとして存在し、これらの各々は、一組の鏡像異性体として存在する。この4つの化合物を図13に示す。 本明細書に記載されるように、DH2MBは、(2S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−オキソ酪酸塩(アセト乳酸)に由来する。この反応の産物は、この変換を触媒する内在性酵素の立体選択性に依存して、(2S,3R)−2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸、(2S,3S)−2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸、または2つのジアステレオマーの混合物のいずれかであろう。実施例8:DH2MBの産生および精製 この実施例の目的は、DH2MBを産生および精製する方法を例証することである。 ALS活性を含む、操作されたS.セレビシエCEN.PK2株(GEVO3160、S.セレビシエCEN.PK2:MATa ura3 leu2 his3 trp1 gpd1Δ::PCCW12:Hph gpd2Δ::TKl_URA3_short:PFBA1:Kl_URA3:TKl_URA3 pdc1Δ::PCUP1:Bs_alsS_coSc:TCYC1:PPGK1:Ll_kivD:PENO2_Sp_HIS5 pdc5Δ::LEU2:bla:PTEF1:ILV3ΔN:PTDH3:ilvC_coSc_Q110V pdc6Δ::PTEF1:Ll_ilvD_PTDH3:Ec_ilvC_coSc_P2D1−A1:PENO2:Ll_adhA:PFBA1:Sc_TRP1{C2添加物非依存性、グルコース耐性、およびより速い増殖のために進化した}発現プラスミドpGV2247(Ec_ilvC_P2D1−A1、Ll_ilvD、Ll_kivD2、およびLl_adhAの発現のための2−ミクロン、G418抵抗性プラスミド)を使用して、30℃、pH6.0での1L培養培地培地(10g/L酵母抽出物、20g/Lペプトン、80g/Lグルコース、1%v/vエタノール、100μMCuSO4.5H20、0.2g/L G418)で満たした2LトップドライブモーターDasGip槽、およびおよそ10mmol/時間のOTRを使用するバッチ発酵において、およそ10g/L DH2MBを産生した。 無細胞発酵ブロスを、濃縮H2SO4を使用してpH2に酸性化した。酸性化したブロスを、B■chi Rotovapor R−215を使用して、減圧下で(0〜100mbar)350mLまで濃縮した。蒸発中に、ブロスを含有するフラスコを水浴中で20〜30℃まで加熱した。70mL容量のMeOHを濃縮ブロスに添加し、混合物を、エチル酢酸塩(EtOAc)での連続的抽出のために製造業者の仕様書に従って設定した、500mL液−液エクストラクターに移した(Sigma−Aldrichカタログ 番号Z562432)。連続的抽出を、EtOAc抽出物を新たなEtOAcと毎日置き換えながら、3日間行った。 抽出に続いて、EtOAc中のDH2MB抽出物の最初の2つのバッチを組み合わせ、無水MgSO4で乾燥させ、続いて濾過を行った。乾燥した抽出物を、真空下で500mLまで濃縮し、3gの活性炭で、室温で撹拌することによって30分間処理した(Flukaカタログ番号05105)。漂白された溶液を濾過し、真空下でおよそ50mLまで濃縮した(0〜100mbar、B■chi Rotovapor R−215を使用)。溶液を、4℃で2日間インキュベートした。得られた結晶を濾過し、氷冷ジエチルエーテルおよびアセトンで洗浄した。結晶を、凍結乾燥を使用して減圧下で1日間(0.05mbar)乾燥させた。 単離されたDH2MBを、1H(図14)および13C(図15)NMRによって分析した。1H NMR(TSP)1.1(d、6.5Hz、3H)、1.3(s、3H)、3.9(q、6.5Hz、3H)。13Cスペクトルは、試料中に存在する5つの異なる炭素原子を示した。181ppmの共鳴は、試料中に存在するカルボン酸炭素を示した。結論として、NMRスペクトラムに基づいて、単離されたDH2MBの99%純度を推定することができた。実施例9:発酵における、DH2MB産生のイソブタノール収率に及ぼす影響 この実施例の目的は、DH2MBが、ALSおよびTMA29活性を含む酵母株中で実質的なレベルまで蓄積することを実証することである。 この実施例に開示される株およびプラスミドを、それぞれ表34および35に示す。 S.セレビシエ株GEVO3160を、記載されるようにpGV2247で形質転換した。形質転換した株を特徴付けるために、発酵を行った。0.2g/L G418を含有するYPD寒天プレート上で増殖させた単一の単離細胞コロニーを、80g/Lグルコース、1%v/vエタノール、100μMCuSO4.5H20、および0.2g/L G418を含有する5mLのYPD培地に移し、30℃、250rpmで、24時間インキュベートした。次に、この培養物を、80mLの同じ培地を含有する500mLバッフル付フラスコに移し、30℃で24時間、250rpmでのオービタルシェーカー中でインキュベートした。フラスコ培養物を、2Lトップドライブモーター発酵槽に、0.9Lの同じ培地の作業容量で移して、0.5の出発OD600を得た。発酵槽を、酸素移動速度(OTR)に基づく2相好気性条件下で、6N KOHにより制御して、30℃およびpH6.0で作動させた。両実験において、最初に、発酵槽を、700rpmの固定撹拌および5sL/時間の空気のオーバーレイによって、10mM/時間の増殖期OTRで作動させた。培養物を、およそ8のOD600になるまで約20時間増殖させ、次いで即座に産生曝気に切り替えた。1mM/時間のOTRを、撹拌を700rpmから350rpmに低減させることによって持続させた。植菌の93時間後、各株からの1つの複製槽を、撹拌を350rpmから180rpmに減少させることによって、0.3mM/時間のOTRまで更に低減した。一定期間ごとに、各発酵槽からの試料を除去して、OD600を測定し、ガスクロマトグラフィー(GC1)分析および液体クロマトグラフィー(LC1)分析のために調製した。GC1およびLC1のために、2mL試料をエッペンドルフ管中に除去し、微量遠心機中で10分間、最大で遠心分離した。1mLの上清を、GC1(イソブタノール、他の代謝物)によって分析し、1mLを、有機酸およびグルコースについて、高性能液体クロマトグラフィー(LC1)によって分析した。 図16は、pGV2247で形質転換したS.セレビシエGEVO3160の産物および副産物プロフィールを示す。これらのプロフィールは、イソブタノール産生Pdc−マイナス、Gpd−マイナス酵母株に対して代表的である。Pdc−マイナス/Gpd−マイナス酵母産生株は、譲受人共通および同時係属中の刊行物、米国特許第2009/0226991号および米国特許第2011/0020889号に記載され、それらの両方は参照によりそれらの全体が全目的で本明細書に組み込まれる。図16は、イソブタノール(13.9g/L)、および「DHIV」として定量化し、DH2MB(8.4g/L)として既に特定した未知の化合物が、微好気性産生OTR中に産生される一次産物であることを示す。DHIVの反応因子を使用する定量化が、DH2MBの正確な定量化をもたらすと想定すると、消費されたおよそ12〜13%の炭素がDH2MBの産生に転用される。DH2MBに変換されるアセト乳酸が、代わりにイソブタノールに変換されるとすれば、図16に示される発酵時間全体にわたるイソブタノール収率は、有意に高くなるであろう。実施例10:ALS発現は、DH2MB産生に必要である。 この実施例の目的は、外来性で発現したALS活性が、S.セレビシエにおけるDH2MB蓄積のために必要であることを実証することである。 この実験は、ALSがDH2MBの産生のために必要であるかどうかを決定するために行った。この実験に使用した株は、GEVO1187(S.セレビシエCEN.PK2、MATa ura3−52 leu2−3_112 his3Δ1 trp1−289 ADE2)およびGEVO2280(S.セレビシエCEN.PK2、MATa ura3 leu2 his3 trp1 ADE2 pdc1Δ::PCUP1−1:Bs_alsS2:TRP1)であった。発酵前に、両方の株を、記載されるように、2ミクロンプラスミドpGV2082(PTDH3:Ec_ilvC_coScQ110V、PTEF1:Ll_ilvD_coSc、PPGK1:Ll_kivD_coEc、およびPENO2:Dm_ADH、2μ ori、bla、G418R)で形質転換した。 ALS活性を測定するために、GEVO1187およびGEVO2280からの酵母細胞抽出物を調製した。細胞を、約1のOD600まで増殖させ、1mM CuSO4で2時間誘導し、次いで採取した。細胞をアッセイ用に調製するために、50mLの細胞を、2700×gでの遠心分離によって収集した。培地の除去後、細胞を、滅菌dH2O中に再懸濁させ、2700×gで遠心分離し、残った培地を、1mLピペットチップを用いて注意深く除去した。細胞ペレットを計量し(空の管を事前計量した)、次いで使用するまで−80℃で凍結させた。細胞ライセートを、後述するように、次のSOPを使用して作製した。細胞を、氷上で解凍し、溶解緩衝液(250mM KPO4 pH7.5、10mM MgCl2、および1mM DTT)中に再懸濁させて、結果として20質量%細胞懸濁液を得た。1000μLの容量のガラスビーズ(直径0.5mm)を、1.5mLエッペンドルフ管に添加し、875μLの細胞懸濁液を添加した。酵母細胞を、Retsch MM301ミキサーミル(Retsch Inc.Newtown,PA)使用して、間に1分間氷冷ステップを行いながら、各々6×1分間、最高速度で混合することによって溶解させた。管を、23,500×gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を除去した。抽出物を、アッセイするまで氷上で保持した。ライセートタンパク質濃度を、BioRad Bradfordタンパク質アッセイ試薬キット(カタログ番号500−0006、BioRad Laboratories,Hercules,CA)を使用して、また検量線についてはBSAを記載されるように使用して、決定した。手短に述べると、全てのALSアッセイを、基質を含めておよび含まずに両通りで、各ライセートにつき、3系列で行った。各ライセートをアッセイするために、溶解緩衝液で1:2に希釈した100μLのライセートを、900μLの緩衝液(50mMリン酸カリウム緩衝液pH6.0、1mM MgSO4、1mMチアミンピロリン酸塩、110mMピルビン酸塩)と混合し、30℃で15分間インキュベートした。緩衝液を室温で調製した。基質を含まない対照(ピルビン酸塩を含まない緩衝液)およびライセートを含まない対照(ライセートの代わりに溶解緩衝液)もまた含めた。インキュベーション後、各反応からの175μLを、25μL 35%H2SO4と混合し、37℃で30分間インキュベートした。試料を、LC1による分析のために解析に供した。この方法を使用して、野生型株GEVO1187が検出可能なALSを有さない一方で、ALS発現株GEVO2280が0.65単位/mgライセートのALS活性を有することを決定した。 2つの株(異種ALS組み込み発現構築物を含むまたは含まない)の性能を、次の振盪フラスコ発酵条件を使用して比較した。株を、0.2mg/mL G418を含有するYPDプレート上に貼り付けた。一晩の増殖後、細胞を、滅菌楊枝を用いてプレートから除去し、0.2g/L G418を有する4mLのYPD中に再懸濁させた。OD600を、各培養物につき決定した。細胞を、50g/Lデキストロースおよび0.2mg/mL G418を有する50mL YPに添加して、その結果、0.1の最終OD600を得た。ALS発現を駆動するCUP1プロモーターを誘導するために、1mM硫酸銅を、24時間時点で添加した。未使用の培地を、GCおよびLCのためのブランク培地として作用するように、ならびに発酵のためのt=0試料として作用するように、4℃で保管した。t=24、48、および72時間で、試料をGC1による分析のために調製し、72時間で、試料をLC1によって追加的に分析した。24時間および48時間時点で、各培養物の上清の1:10希釈を、YSIによって分析した。必要な場合、0.2g/L G418を含有する50%グルコースを、100g/Lグルコースの最終濃度に添加した。発酵を、30℃で、250rpmで振盪しながら行った。 72時間の振盪フラスコ発酵時点で到達したDH2MB力価を、ALSを含まないWT株(BUD1187)、およびPDC1においてPCUP1:Bs_alsS2を発現する株(BUD2280)の両方について、LC1法を使用して決定した。各株を、4構成成分プラスミドpGV2082で形質転換した。発酵を記載されるように行った。外来性ALS発現を含まずには、株は、DH2MBを産生しなかった一方で、ALS発現を含む株は、最大1.4g/L DH2MBに加えてDHIVを産生した。実施例11:ALS発現のみが、DH2MB産生に必要である この実施例の目的は、ALS活性のみが、S.セレビシエにおけるDH2MB蓄積に関与することを実証することである。 この実験を、ALSが単独で、またはKARI、DHAD、KIVD、ADH発現プラスミドと組み合わせて、DH2MBの産生に関与するのかを決定するために行った。この実験に使用した株は、GEVO2618(MATa ura3 leu2 his3 trp1 pdc1Δ::[PCUP1:Bs_alsS1_coSc:TRP1)であった。この実験で試験したプラスミドは、残りの4つの経路遺伝子を含有するpGV2227(−PTEF1:Ll_ilvD_coSc:PTDH3:Ec_ilvC_coScQ110V:PSc_TPI1:G418:PPGK1:Ll_kivD2_coEc:PDC1−3’領域:PENO2:Ll_adhA 2μ bla、pUC−ori)、およびpGV2020、空ベクター対照(PSc_TEF1、PSc_TPI1、G418R、APr、2μ)であった。 pGV2020で形質転換したGEVO2618およびpGV2227で形質転換したGEVO2618の振盪フラスコ培養物を、200mM MES pH6.5、および約0.1のOD600での0.4g/L G418を含有するYPD(15%グルコース)中で出発させ、振盪インキュベーター中で、30℃および75rpmでインキュベートした。試料を24時間および48時間時点で採取し、試料を、HPLC(LC1)およびGC(GC1)によって、代謝物レベルについて分析した。48時間後、全てのグルコースは、両株によって培地から消費された。空ベクターを含有する株(GEVO2618+pGV2020)は、収率3.8%を表す、4.6g/LのDHIV+DH2MBを産生した。追加の4つの経路遺伝子を発現するベクター(GEVO2618+pGV2227)を含有する株は、収率3.1%を表す、5.6g/L DHIV+DH2MBの同様の力価を産生した。実施例12:増加されたKARI活性の、DH2MB産生に及ぼす効果 この実施例の目的は、増加されたKARI活性が、ALS活性を含む酵母中の、DH2MB産生の減少をもたらすことを実証することである。 この実施例に開示される株およびプラスミドを、それぞれ表36および37に示す。 野生型または操作されKARIの発現が、DH2MBのより高い蓄積をもたらすかどうかを決定するために、S.セレビシエ株GEVO2843を、記載されるように、2μプラスミドpGV2377、pGV2466、pGV2398、およびpGV2400で形質転換した。 2μプラスミド(pGV2377、2466、2398、2400)で形質転換したGEVO2843の前培養物を、1%エタノールおよび0.2g/L G418を含有するYPD中で出発させ、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。これらの前培養物を使用して、バッフル付フラスコ中の50mLの同じ培地に植菌し、約5のOD600に到達するまで、30℃および250rpmでインキュベートした。それらを、50mLファルコン管中で、2700rcfで5分間、25℃でペレット化した。次に、各50mL培養物からの細胞を、8%グルコース、1%(v/v)エタノール、エルゴステロール、Tween−80、0.2g/L G418、および200mM MES、pH6.5を含有する、50mL YPD中に再懸濁させた。培養物を250mLバッフルなしフラスコに添加し、インキュベーター中に30℃および75rpmで配置した。72時間後、試料を採取して、OD600を決定し、細胞外代謝物について、GC1およびLC1分析を介して発酵ブロスを分析した。 表38は、pGV2377で形質転換した株(プラスミドからいかなるKARI遺伝子も過剰発現しない)が、組み合わせDH2MB+DHIVに対して、15%の最も高い炭素収率を産生した一方で、pGV2466(Ec_ilvC_coSchis6を含有する)、pGV2398(Ec_ilvC_coScQ110V−his6を含有する)、およびpGV2400(Ec_ilvC_coScP2D1−A1−his6を含有する)を有する株は、8〜10%の同様のDH2MB+DHIV総合炭素収率を有したことを示す。同様に、pGV2377で形質転換した株は、6%の最も低い炭素収率でイソブタノールを産生した。プラスミド上にKARI遺伝子を含む残った株は、より高い炭素収率でイソブタノールを産生した。減少されたDH2MB産生が、増加されたイソブタノール産生と相関するという観察は、DH2MBが、アセト乳酸から、KARIを伴わない反応を介して産生されるという知見と一致する。 株がプラスミドからKARIを発現しないか、低レベルのKARIを発現するか、または高レベルのKARIを発現するかのいずれかである、第2の実験を行った。この実験において、細胞ライセートのKARI活性を測定した。 S.セレビシエ株GEVO2843を、記載されるように、表37に記載されるプラスミドの組み合わせで形質転換した。KARIなし株はpGV2377+pGV2196を含有し、プラスミドが担持するKARIを有さず、低KARI株はpGV2377+pGV2406を含有し、低コピープラスミドからKARIを発現し、高いKARI株はpGV2398+pGV2196を含有し、高コピープラスミドからKARIを発現した。発酵および試料採取を記載されるように行った。GC1法およびLC1法を、記載されるように行った。KARIアッセイのための細胞を、記載されるように溶解させたが、溶解緩衝液は、250mM KPO4 pH7.5、10mM MgCl2、および1mM DTTであったことが異なっていた。ライセートのタンパク質濃度を、記載されるように決定した。 体外KARI活性を測定するために、アセト乳酸基質を、50μLのエチル−2アセトキシ−2−メチル−アセト酢酸塩を990μLの水と混合することによって作製した。次に、10μLの2N NaOHを、添加の間に15秒間ボルテックス混合を行いながら、260μLのNaOHが添加されるまで順次添加した。アセト乳酸を室温で20分間撹拌し、氷上で保有した。NADPHを、0.01N NaOH中で50mMの濃度になるまで調製した。濃度を、希釈した試料のODを分光光度計において340nmで読み取ることによって、また正確な濃度を算出するために6.22M−1cm−1のモル吸光係数を使用することによって決定した。3つの緩衝液を調製し、氷上で保有した。反応緩衝液は、250mM KPO4 pH7.5、10mM MgCl2、1mM DTT、10mMアセト乳酸、および0.2mM NADPHを含有した。基質を含まない緩衝液は、アセト乳酸を含まなかった。NADPHを含まない緩衝液は、NADPHを欠損していた。反応を、10μLの細胞抽出物を使用して、90μLの反応緩衝液と共に、96ウェルプレート中、340PCマルチプレートリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)において、3系列で行った。反応を、動力学的曲線を5分間測定することによって、OD読取りを10秒毎に30℃で行いながら、340nmで追跡した。各抽出物についてのVmaxを、基質を含まない対照のバックグラウンド読取りを完全緩衝液中の読取りから差し引いた後に決定した。 表39は、KARI活性について、ならびにイソブタノールおよび組み合わせDH2MB+DHIVについての%単位の炭素収率についてのデータを示す。KARI活性が増加するにつれて、イソブタノール炭素収率は増加し、DH2MB+DHIVの総合炭素収率は減少した。実施例13:増加されたDHAD活性の効果 この実施例の目的は、増加されたDHAD活性が、ALS活性を含む酵母中の、DH2MB産生の減少をもたらすことを実証することである。 この実施例に開示される株およびプラスミドを、それぞれ表40および41に示す。 GEVO2843を、異なる対のプラスミドで形質転換した。株Aは、pGV2227に加えてpGV2196を含有する。株Bは、pGV2284に加えてpGV2196含有する。株Cは、pGV2284に加えてpGV2336を含有する。3つの2プラスミド組み合わせのうちの1つを含む、BUD2843の単一の形質転換体を、ハイグロマイシンを含有するYPDプレート上で、単一のコロニーで精製し、貼り付けられた細胞を使用して、1%エタノール(v/v)、0.2g/L G418、および0.1g/Lハイグロマイシンを含有する、3mL YPDに植菌した。培養物を、30℃、250rpmで一晩インキュベートした後、それらを使用して、1%エタノール(v/v)、0.2g/L G418、および0.1g/Lハイグロマイシンを含有する3mL YPDに植菌した。これらの培養物を、30℃、250rpmで一晩インキュベートした。翌日、培養物を使用して、8%グルコース、200mM MES pH6.5、エルゴステロール、およびTween80を含有する、50mL YPDに、およそ0.1のOD600になるまで植菌した。これらの培養物を、30℃、250rpmで一晩インキュベートした。翌日、培養物を、50mLの同じ培地中に、約0.1のOD600になるまで希釈した。培養物を、30℃、250rpmでインキュベートし、0、24、47、70、および92時間のインキュベーション後に、1.5mL試料を除去した。試料を、記載されるようにGCおよびLC分析のために調製した。92時間後、全ての試料の残りを、遠心分離し、ペレットを計量し、−80℃で保管した。DHADアッセイを、記載されるように凍結ペレットから調製したライセートを用いて行った。LC1およびGC1分析を、記載されるように行った。 表42は、DHAD活性、イソブタノール収率およびDHIV+DH2MB総合収率を示す。pGV2284+pGV2196で形質転換した株(DHADはプラスミドから発現されない)は、DH2MB+DHIV総合について19%の最も高い炭素収率、および9%でイソブタノールの最も低い炭素収率を産生した。pGV2227+pGV2196で形質転換した株(プラスミドからの最も高いDHAD発現)は、DH2MB+DHIV総合について9%の最も低い炭素収率、および18%でイソブタノールについて最も高い炭素収率を有した。pGV2284+pGV2336で形質転換した株(プラスミドからの低コピーDHAD発現)は、DH2MB+DHIV総合について16%の、およびイソブタノールについて12%の中程度の炭素収率を有した。 第2の実験において、GEVO2843を、異なる対のプラスミドで形質転換し(表43)、上記のように振盪フラスコ発酵において査定した。株Dは、pGV2196に加えてpGV2589を含有する。株Eは、pGV2529に加えてpGV2589を含有する。株Fは、pGV2196に加えてpGV2485を含有する。pGV2196+pGV2589で形質転換した株(プラスミド由来DHADなし)は、1.25g/Lイソブタノールおよび5.67g/L DH2MB+DHIVを産生した。高コピープラスミド(pGV2196+pGV2485)から発現されたDHADを有する株は、2.74g/Lイソブタノールおよび3.71g/L DH2MB+DHIVを産生し、DHAD発現の増加がDH2MB+DHIV蓄積の減少をもたらしたことを示す。低コピープラスミド(pGV2529+pGV2485)から発現されたDHADを有する株は、中程度レベルのDHAD活性と一致して、中程度レベルの両代謝物を産生した。実施例14:標的化欠失によるS.セレビシエにおけるTMA29の欠失 次の実施例は、アセト乳酸シンターゼが過剰発現されるとき、S.セレビシエゲノムからのTMA29遺伝子の欠失が、DH2MBの産生を排除することを例証する。 DH2MBの産生を触媒し得る複数のレダクターゼ酵素候補を、TMA29遺伝子産物を含むS.セレビシエゲノムにおいて特定した。これらのレダクターゼをコードする遺伝子を、URA3マーカーの組み込みを使用して、g/L量のDH2MBを産生することが知られる株である、S.セレビシエ株GEVO2618において欠失させた。TMA29を含む、候補遺伝子のうちのいずれかを欠失させることが、DH2MBの産生を低減または排除するかどうかを決定するために、これらの株を用いて発酵を行った。 株、プラスミド、およびプライマー配列を、それぞれ表45、46、および47に列挙する。 株構築:S.セレビシエ株GEVO3638、GEVO3639、およびGEVO3640を、GEVO2618を二連組み込みSOE PCR産物で形質転換して、TMA29をURA3マーカーと置き換えることによって構築した。レダクターゼ遺伝子に対する5’および3’標的配列を増幅するためのプライマーを、URA3断片と相同な20bp配列を用いて設計した。これは、SOE PCRを使用して、URA3マーカーを含有する断片および目的のレダクターゼ遺伝子に隣接した相同領域を作り出すことができるように行った。PCRを、エッペンドルフマスターサイクラー(登録商標)(カタログ番号71086、Novagen,Madison WI)上で行った。SOE PCR断片を生成するために使用したプライマー組について、次のPCRプログラムに従った:94oCで2分間、次いで(94℃ 30秒間、53℃ 30秒間、72℃ 1.5分間)を30サイクル、次いで72℃で10分間。次のプライマー対およびテンプレートを、SOE反応の第1のステップに使用した。 5’URA3断片を生成するために、oGV2232およびoGV2862を使用して、テンプレートとしてpGV2129を使用して5’URA3断片を増幅した。1364bpの断片を、ゲル電気泳動によって精製した。3’URA3 断片を生成するために、oGV2231およびoGV893を使用して、テンプレートとしてpGV1299を使用して3’URA3断片を増幅した。1115bpの断片を、ゲル電気泳動によって精製した。 5’TMA29断片を生成するために、oGV2867およびoGV2891を使用して、テンプレートとしてS.セレビシエS288cゲノムDNAを使用して5’TMA29断片を増幅した。S.セレビシエS288c株を、ATCC(ATCC番号204508)から購入した。412bpの断片を、ゲル電気泳動によって精製した。3’TMA29断片を生成するために、oGV2869およびoGV2870を使用して、テンプレートとしてS.セレビシエS288cゲノムDNAを使用して3’TMA29断片を増幅した。305bpの断片を、ゲル電気泳動によって精製した。 次のプライマー対およびテンプレートを使用して、SOE PCR産物を生成した。5’TMA29 SOE PCR産物を生成するために、oGV2232およびoGV2867を使用した。5’URA3断片および5’TMA29断片を、テンプレートとして使用した。3’TMA29 SOE PCR産物を生成するために、oGV2231およびoGV2870を使用した。3’URA3断片および3’TMA29断片を、テンプレートとして使用した。 S.セレビシエ株GEVO2618の、二連組み込みSOE PCR産物での形質転換を、記載されるように行った。形質転換に続いて、細胞を、遠心分離によって収集し(18,000×g、10秒間、25℃)、400μL SCD−HLWU培地中に再懸濁させた。組み込み形質転換体を、形質転換された細胞をSCD−Ura寒天培地上にプレートすることによって選択した。一旦、形質転換体を単一のコロニーで精製すると、それらをSCD−Uraプレート上で維持した。 コロニーPCRを使用して、正しい組み込みを検証した。正しい5’末端についてスクリーニングするために、URA3:TMA29 5’ジャンクションプライマーoGV2915およびoGV2902を使用して、991bpでの予想バンドを得た。正しい3’末端についてスクリーニングするために、URA3:TMA29 3’ジャンクションプライマーoGV2904およびoGV2916を使用して、933bpでの予想バンドを得た。CDSが欠失される場合、288bpの欠如を予想して、TMA29遺伝子の欠失をスクリーニングするために、プライマーoGV2913およびoGV2914を使用した。 発酵:tma29Δ株GEVO3638、GEVO3639、およびGEVO3640、ならびに親TMA29株GEVO2618を用いて発酵を行った。培養物を、30℃および250rpmで振盪しながら、YPD中で出発させた。4回の倍加後、OD600を、各培養物につき決定した。細胞を、0.05の最終OD600が得られるように、15%グルコースを含む50mL YPDに添加した。t=24時間で、2mLの培地を除去し、OD600を決定するために、25μLを1:40希釈で使用した。残りの培養物を、微量遠心機中で、最大速度で10分間遠心分離し、1mLの上清を除去し、LC1およびLC4分析に供した。t=48時間で、2mLの培地を除去し、OD600を決定するために、25μLを1:40希釈で使用した。1mLの上清を、LC1分析に供した。加えて、14mLを、2700×gでの遠心分離によって収集した。培地の除去後、細胞を、滅菌dH2O中に再懸濁させ、2700×gで遠心分離し、残りの培地を、1mLピペットチップを用いて注意深く除去した。細胞ペレットを計量し(空の管を事前計量した)、記載されるALSアッセイのために解凍するまで−80℃で凍結させた。 DH2MBの産生は、異種ALS発現、例えば、Bs_alsS1_coSc遺伝子に依存する。細胞ライセートのALS活性を記載されるように測定して、TMA29欠失が、ALS発現および/または活性に対する影響を有さなかったことを実証した。TMA29欠失を担持する株からの抽出物のALS活性は、親株からの抽出物の活性以上であり、それよりも若干高い。24時間(ALS活性については48時間)時点での結果を表48に要約し、それはTMA29欠失を伴う株中のDH2MB産生の欠如を明確に実証する。LC4分析により、GEVO3527がDHIVを産生しなかったことが確認された。実施例15:欠失ライブラリによるS.セレビシエにおけるTMA29の欠失 次の実施例は、アセト乳酸シンターゼが過剰発現されるとき、S.セレビシエゲノムからのTMA29遺伝子の欠失が、DH2MBの産生を排除することを例証する。 株、ORF欠失、およびプラスミドを、表49、50、および51に列挙する。 1株当たり1つの遺伝子/ORF欠失を有する、S.セレビシエ株の商業用ライブラリを使用して、DH2MBの産生を触媒する可能性がある欠失についてスクリーニングした。TMA29(すなわち、YMR226C)ORFの欠失を含有する候補株を選択した。外来性ALS発現がDH2MBの産生に必要であるため、CUP1プロモーターによって駆動されるBs_alsS1_coSc遺伝子を含有するCENプラスミド(pGV2435)を、記載されるように株中に形質転換した。形質転換体を30℃、250rpmで一晩回収した後、0.2g/Lハイグロマイシンを含有するYPDプレート上にプレートした。形質転換体を次いで、0.2g/Lハイグロマイシンを含有するYPDプレート上に貼り付け、30℃でインキュベートした。 TMA29(YMR226C)を欠失させることが、DH2MBの産生を低減または排除するをかどうかを決定するために、これらの株を用いて発酵を行った。各株の3つの独立した形質転換体を使用して、飽和するまで一晩増殖させた発酵前培養物を、0.2g/Lハイグロマイシンを含有するYPD中で、30℃および250rpmで植菌した。翌日、前培養物のOD600を測定し、50mL培養物を0.1のOD600になるまで植菌するために必要とされる一晩の培養物の容量を、各培養物につき算出した。250mLバッフルなしフラスコ中、150g/Lグルコース、200mM MES、pH6.5、および0.2g/Lハイグロマイシンを含有する50mLのYPDに、算出した量の一晩の培養物を植菌した。細胞を、オービタルシェーカー中、30℃および75rpmでインキュベートした。24時間時点で、全ての培養物に、追加的な75g/Lのグルコースを、8.8mLの50%グルコース溶液の各フラスコへの添加によって供給し、次いで30℃および75rpmでのインキュベーションに戻った。72時間時点で、1.5mLを、各フラスコ(750μLを2つのエッペンドルフ管に分割)から試料採取した。OD600を、各培養物(H2O中、1:40希釈)につき測定した。細胞を、14000×g以上で10分間の遠心分離によって、試料から除去した。試料からの上清を収集し、LC1によって分析するまで4℃で保管し、細胞ペレットを、記載されるALSアッセイのために解凍するまで−80℃で保管した。 2つの株の間の増殖には幾らかの変形が存在し、72時間時点で、OD600値はGEVO3527について13.7、およびTMA29欠失株について15.7であった(表52)。株は、72時間までに約223g/Lの同じ量のグルコースを消費した(表52)。GEVO3527は、72時間までに2.8g/LのDH2MBを産生した。YMR226C欠失株(tma29Δ)は、検出可能なレベルのDH2MBを産生しなかった。GEVO3527に対して比DH2MB力価は、0.2g/L/ODであり、YMR226C欠失株(tma29Δ)は、検出可能なレベルのDH2MBを産生しなかった。LC4分析により、GEVO3527がDHIVを産生しなかったことが確認された。実施例16:S.セレビシエにおけるTMA29遺伝子の欠失により改善されたイソブタノール率、収率、および力価 次の実施例は、S.セレビシエゲノムからのTMA29遺伝子の欠失が、所望の産物、イソブタノールの生産性、収率、および力価の増加をもたらすことを例証する。加えて、それは、DH2MB生産性、収率、および力価の減少をもたらす。 DH2MBは、酵母中のアセト乳酸代謝の副産物である。イソブタノール発酵において、DH2MBは、炭素収率の10%以上を構成する可能性がある。野生型TMA29を有する株は、Bs_alsS1_coSc(配列番号23)によってコードされる、発現されたアセト乳酸シンターゼ(ALS)の存在下でDH2MBを産生する。TMA29が欠失された株は、発現されたBs_alsS1_coScの存在下でDH2MBを産生しない。染色体からALS(Bs_alsS1_coSc)を発現する全てのPDCおよびGPD遺伝子が欠失された酵母株を、TMA29について欠失させ、高コピー4構成成分イソブタノール経路プラスミド、DHAD(Ll_ilvD_coSc)、KARI(Ec_ilvC_coScP2D1−A1−his6)、KIVD(Ll_kivD2_coEc)、およびADH(Ll_adhA_coScRE1−his6)に対する遺伝子を有するpGV2550で形質転換した。この株のイソブタノール力価、収率、および生産性を、TMA29遺伝子が欠失されていない親株のそれらと、振盪フラスコ発酵において、および発酵槽においの両方で比較した。株およびプラスミドを、それぞれ表53および54に列挙する。 酵母株構築:GEVO3663を、GEVO3351を実施例14に記載される二連組み込みSOE PCR産物で形質転換して、記載されるようにTMA29をURA3マーカーと置き換えることによって構築したが、形質転換後に、細胞を、350μL SCD−Ura培地中に再懸濁させた後、SCD−Uraプレートに広げたことが異なっていた。 S.セレビシエ株GEVO3690、GEVO3691、およびGEVO3692を、GEVO3351をプラスミドpGV2550で形質転換することによって構築した。S.セレビシエ株GEVO3694、GEVO3695、およびGEVO3697を、GEVO3663をプラスミドpGV2250で形質転換することによって構築した。手短に述べると、コンピテント細胞を、細胞を新たなプレートから100μL 100mM酢酸リチウム中に除去することによって調製した。細胞懸濁液を室温で30分間インキュベートした。プラスミドDNAを、記載されるように形質転換した。形質転換後、細胞を、1%エタノールを含有する400μL YPD中に再懸濁させ、30℃で6時間、250rpmで振盪しながらインキュベートした。細胞を次いで、0.2g/L G418を含有するYPDプレート上に広げた。形質転換体を、0.2g/L G418プレートを含有するYPDプレート上で、単一のコロニーで精製した。一旦、形質転換体を単一のコロニーで精製すると、それらを0.2g/L G418を含有するYPDプレート上で維持した。 発酵:振盪フラスコ発酵を行って、GEVO3690〜GEVO3692(TMA29)の性能をGEVO3694〜GEVO3695およびGEVO3697(tma29Δ)と比較した。培養物(3mL)を、1%エタノールおよび0.2g/L G418を含有するYPD中で出発させ、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。これらの培養物のOD600を、約20時間後に測定した。適切な量の各培養物を使用して、250mLバッフル付フラスコ中の、1%エタノールおよび0.2g/L G418を含有する50mLのYPDに、およそ0.1のOD600になるまで植菌した。これらの前培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。培養物がおよそ5のOD600に到達したとき、それらを50mLファルコン管中で、2700rpmで5分間、25℃で遠心分離した。各50mL培養物からの細胞を、記載されるように50mLの発酵培地中に再懸濁させた。培養物を次いで、小さい通気孔を有する250mLバッフルなしのねじ蓋フラスコ中に移し、30℃および75rpmでインキュベートした。24および48時間時点で、各フラスコからの試料を除去して、OD600を測定し、GC1分析のために調製した。GC1のために、2mL試料をエッペンドルフ管中に除去し、微量遠心機中で10分間、最大で遠心分離した。1mLの上清をGC1によって分析した。72時間時点で、同じ手順を使用して、OD600およびGC分析のための細胞を収集し、加えて試料を、高性能液体クロマトグラフィー(LC1)によって、DH2MBおよびDHIV、ならびにグルコースを含む、有機酸について分析した。 72時間時点での結果を表55に要約する。イソブタノール力価、収率、および率は、TMA29遺伝子の欠失により増加する一方で、DH2MB産生は、減少する。 加えて、GEVO3690〜GEVO3691(TMA29)対GEVO3694〜GEVO3696(tma29Δ)の性能もまた、発酵槽中で行った発酵において比較した。プレートした培養物を、20g/Lグルコース、1%v/vエタノール、100μMCuSO4.5H2O、および0.2g/L G418を含む、80mLのYP培地を含有する500mLバッフル付フラスコに移し、250rpmでのオービタルシェーカー中、30℃で34.5時間インキュベートした。フラスコ培養物を、個々の2Lトップドライブモーター発酵槽に、20g/Lグルコース、1%v/vエタノール、100μMCuSO4.5H2O、および0.2g/L G418を含有する、80mLのYPD培地の1.2Lの作業容量で移して、0.2の出発OD600を得た。発酵槽を、2つの相好気性発酵において、6N KOHで制御して、30℃およびpH6で作動させた。最初に、発酵槽を、10mM/時間の増殖期酸素移動速度(OTR)で、850rpmの固定撹拌および5sL/時間の空気のオーバーレイによって作動させた。培養物を、およそ6〜7のOD600になるまで31時間増殖させ、次いで即座に、撹拌を850rpmから300rpmに、111時間の発酵の残り期間にわたって低減することによって、0.5mM/時間の産生曝気OTRに切り替えた。一定期間ごとに、各発酵槽からの試料を除去して、OD600を測定し、ガスクロマトグラフィー(GC1)分析のために調製した。GCのために、2mL試料をエッペンドルフ管中に除去し、微量遠心機中で10分間、最大で遠心分離した。1mLの上清を、GC1によって分析した(イソブタノール、他の代謝物)。72時間時点で、同じ手順を使用して、OD600およびGC分析のための細胞を収集し、加えて試料を、高性能液体クロマトグラフィー(LC1)によって、有機酸およびグルコースについて分析した。 111時間時点での結果を表56に要約する。イソブタノール力価、収率、および率は、TMA29遺伝子の欠失により増加する。DH2MB産生は、検出不可能なレベルまで減少した。実施例17:S.セレビシエにおけるTMA29活性の決定 次の実施例は、(S)−2−アセト乳酸還元活性が、tma29Δ株中で有意に減少されることを例証する。 TMA29(YMR226C)遺伝子が欠失された酵母株GEVO3939およびその親GEVO3527を、各株について3系列で、14mL培養物管中、3mLのYPDに植菌することによって、各々3系列で培養した。培養物を、GEVO3527についてはYPD寒天プレート上の、ならびにGEVO3939およびGEVO3940については0.2g/L G418を含有するYPDプレート上のパッチから出発させた。培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。翌日、一晩の培養物のOD600を測定し、0.1のOD600になるまで50mL培養物に植菌するための各培養物の容量を算出した。算出した各培養物の容量を使用して、250mLバッフル付フラスコ中の50mLのYPDに植菌し、培養物を、30℃および250rpmでインキュベートした。 細胞を、7時間の増殖後に、1.6〜2.1のODの対数期中期の間に採取した。培養物を事前計量した50mLファルコン管に移し、細胞を、3000×gで5分間の遠心分離によって収集した。培地の除去後、細胞を、10mL MilliQ H2Oで洗浄した。水の除去後、細胞を、3000×gで5分間、再び遠心分離し、残った水を、1mLピペットチップを使用して注意深く除去した。細胞ペレットを計量し、次いで、更に使用するまで−80℃で保管した。 細胞ペレットを氷上で解凍し、溶解緩衝液(10mMリン酸ナトリウムpH7.0、1mMジチオスレイトール、5%w/vグリセロール)中に再懸濁させて、結果として20質量%細胞懸濁液を得た。1mLのガラスビーズ(直径0.5mm)を、各試料につき、1.5mLエッペンドルフ管に添加し、850μLの細胞懸濁液を添加した。酵母細胞を、Retsch MM301ミキサーミル(Retsch Inc.Newtown,PA)を使用して、間に氷上で1分間インキュベーションしながら、各々最高速度で6×1分間混合し、溶解させた。管を、21,500×gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を、新たな管に移した。抽出物を、記載されるようにTMA29アッセイを使用してアッセイするまで、それらを氷上で保有した。 野生型MATαS.セレビシエ株である、GEVO3527ライセートにおけるS.セレビシエTMA29の、(S)−2−アセト乳酸の還元についての比活性は、6.9 ± 0.2mU/mgであった。tma29Δ株GEVO3939は、0.7 ± 0.3mU/mgの比活性を有した。野生型GEVO3527株は、欠失株よりも約10倍高い比TMA29活性を有した。実施例18.クルイベロミセス・ラクチスにおけるTMA29活性の決定 次の実施例は、(S)−2−アセト乳酸還元活性が、tma29Δ株中で有意に減少されることを例証する。 K.ラクチス株GEVO4458を、次のようにGEVO1742から構築した。SOE PCRを使用して、TMA29遺伝子座を欠失させるために、DNA構築物を作製した。5’標的配列を、PCRによって、GEVO1287ゲノムDNAをテンプレートとして使用して、プライマーoGV3103およびoGV3065を用いて増幅した。376bpの断片を、ゲル電気泳動によって精製した。3’標的配列を、PCRによって、GEVO1287ゲノムDNAをテンプレートとして使用して、プライマーoGV3106およびoGV3067を用いて増幅した。405bpの断片をゲル精製した。Hphマーカーを、PCRによって、テンプレートとしてpGV2701(PTEF1−Hph、CEN/ARS、pUC−ori、bla)を使用して、プライマーoGV3066およびoGV3068を用いて増幅した。1,165bpの断片をゲル精製した。次に、5’標的配列およびhphマーカーを、テンプレートとして説明したPCR産物を使用して結合した。反応物を、プライマーoGV3068およびoGV3103を使用して増幅した。1,984bpの断片をゲル精製した。次に、5’標的配列とHphマーカーPCR断片に、プライマーoGV3103およびoGV3106を用いたPCRを使用して、3’標的配列を結合した。2,331bpを、ゲル精製し、形質転換のために使用した。酵母DNAを、Zymo Research ZR 真菌/細菌DNAキット(Zymo Research Orange,CA、カタログ番号D6005)を使用して単離した。GEVO1287を、バッフル付125mLフラスコ中の12.5mLのYPD中で、飽和するまで増殖させた。培養物全体を15mLファルコン管中に収集し、細胞を2700rcfで5分間収集した。ゲノムDNAを、製造業者の指示に従って単離した。DNA濃度を測定し、全てのゲノムDNA調製物を、25ng/μLの最終濃度になるまで希釈した。 GEVO1742を、次のように形質転換した。250mLバッフル付フラスコ中の50mL YPD培地に、新たなプレートからのGEVO1742細胞を植菌した。培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。翌朝、培養物を、YPD培地中で1:50に希釈し、6時間増殖させた。細胞を、2700rcfで2分間、30℃での遠心分離によって収集した。細胞を50mL滅菌MilliQ水で完全に再懸濁させることによって、細胞を洗浄した。細胞を、2700rcfで2分間、30℃での遠心分離によって収集した。細胞を、25mL滅菌MilliQ水で再懸濁させることによって洗浄した。細胞を、2700rcfで2分間、30℃での遠心分離によって収集した。細胞を、1mL 100mM酢酸リチウム中に再懸濁させ、エッペンドルフ管に移し、14,000rcfで10秒間遠心分離することによって収集した。上清を除去し、細胞を、100mM LiOAc中、ペレット容量の4倍で再懸濁させた。DNA(15μLのPCR産物)、72μL 50%PEG、10μL 1M酢酸リチウム、および3μLの変性サケ精子DNA(10mg/mL)の混合物を、各形質転換のために調製した。1.5mL管中、15μLの細胞懸濁液を、DNA混合物(170μL)に添加し、形質転換懸濁液を、5回の短いパルスにわたってボルテックスした。形質転換体を、30℃で30分間インキュベートし、続いて42℃で22分間のインキュベートを行った。細胞を遠心分離(18,000×g、10秒間、25℃)によって収集した。細胞を、400μL YPD培地中に再懸濁させ、30℃および250rpmで一晩回収させた。翌朝、細胞を、0.1g/Lハイグロマイシンを補充したYPEプレート1%(w/v)酵母抽出物、2%(w/v)ペプトン、25mL/Lエタノール)上に広げた。形質転換体を、0.1g/Lハイグロマイシンを補充したYPDプレート上で、単一のコロニーで精製した。 単一のコロニー単離株を、0.1g/Lハイグロマイシンプレートを補充したYPE上に貼り付け、パッチを、正しい組み込みについて、コロニーPCRによってスクリーニングした。正しいPCR産物の存在を、アガロースゲル電気泳動を使用して確認した。内部TMA29コード領域についてスクリーニングするために、プライマーoGV3103およびoGV3106を使用した。5’組み込みジャンクションをスクリーニングするために、プライマーoGV3069およびoGV821を使用した。3’組み込みジャンクションをスクリーニングするために、プライマーoGV2320およびoGV3070を使用した。 酵母細胞を、14mL培養物管中、3mLのYPD培地(1%(w/v)酵母抽出物、2%(w/v)ペプトン、2%(w/v)グルコース)に植菌することによって、各株について3系列で培養した。培養物を、YPDプレート1%(w/v)酵母抽出物、2%(w/v)ペプトン、2%(w/v)グルコース、2%寒天)上のパッチから出発させた。培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。翌日、一晩の培養物のOD600を測定し、0.1のOD600になるまで50mL培養物に植菌するための各培養物の容量を算出した。算出した各培養物の容量を使用して、250mLバッフル付フラスコ中の50mLのYPDに植菌し、培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。細胞を、1.8〜2.2のODの対数期中期の間に採取した。培養物を事前計量した50mLファルコン管に移し、細胞を、3000×gで5分間の遠心分離によって収集した。培地の除去後、細胞を、10mL MilliQ H2Oで洗浄した。水の除去後、細胞を、3000×gで5分間、再び遠心分離し、残りの水を、1mLピペットチップで注意深く除去した。細胞ペレットを計量し、次いで−80℃で保管した。 細胞ペレットを氷上で解凍し、溶解緩衝液(10mMリン酸ナトリウムpH7.0、1mMジチオスレイトール、5%w/vグリセロール)中に再懸濁させて、結果として20質量%細胞懸濁液を得た。1mLのガラスビーズ(直径0.5mm)を、各試料につき、1.5mLエッペンドルフ管に添加し、850μLの細胞懸濁液を添加した。酵母細胞を、Retsch MM301ミキサーミル(Retsch Inc.Newtown,PA)を使用して、間に氷上で1分間インキュベーションしながら、各々最高速度で6×1分間混合し、溶解させた。管を、21,500×gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を、新たな管に移した。抽出物を、記載されるようにTMA29アッセイを使用してアッセイするまで、それらを氷上で保有した。(S)−2−アセト乳酸の還元についての、TMA29遺伝子を有するGevo1742の比活性は、0.0043±0.0005μmol/分/mgライセートであった。TMA29遺伝子が欠失されたGevo4459の比活性は、0.0019±0.0003μmol/分/mgライセートであった。実施例19:ALD6欠失、TMA29欠失、ならびにS.セレビシエにおいて増加されたkcatおよび減少されたKMを有するアルコールデヒドロゲナーゼを含む株中の、増加されたイソブタノール収率 次の実施例は、ALD6欠失、TMA29欠失、および改善された動力学的特性を有するADHをコードする遺伝子の過剰発現の組み合わせが、増加されたイソブタノール産生および理論収率をもたらすことを例証する。 S.セレビシエCEN.PK2株、GEVO3991は、染色体DNAから、改善されたアルコールデヒドロゲナーゼ(L.ラクチスADH*、LI_ADH*)およびデカルボキシラーゼ(L.ラクチスKIVD、LI_kivD2)を発現する、S.セレビシエCEN.PK2株、GEVO3956を、次の酵素をコードする遺伝子を発現する2μプラスミド、pGV2603(PTDH3:Ec_ilvC_coScP2D1−A1−his6、PTEF1:Ll_ilvD_coSc、PENO2:Ll_adhARE1、2μ−ori、pUC−ori、bla、G418R)で形質転換することによって構築した:KARI、DHAD、および改善されたADH(それぞれEc_ilvC_coScP2D1−A1−his6、Ll_ilvD_coSc、およびLl_adhARE1)。 4つの複製発酵槽中で、GEVO3991(LI_adhARE1、ALD6Δ、TMA29Δ)の性能を決定するために、発酵を行った。グルコース消費、イソブタノール産生、イソ酪酸塩産生、酢酸塩産生、およびOD600を発酵中に測定した。これらの発酵について、YPD寒天プレート上で増殖させた単一の単離細胞コロニーを、80g/Lグルコース、5g/Lエタノール、0.5g/L MgSO4、および0.2g/L G418を含有する80mLのYPDを含有する500mLバッフル付フラスコに移し、250rpmでのオービタルシェーカー中、30℃で30時間インキュベートした。フラスコ培養物を、4つの個々の2Lトップドライブモーター発酵槽に、1槽当たり、80g/Lグルコース、5g/Lエタノール、0.5g/L MgSO4、および0.2g/L G418を含有する、0.9LのYPDの作業容量で移して、0.3の出発OD600を得た。発酵槽を、酸素移動速度(OTR)に基づく2相好気性条件下で、6N KOHにより制御して、30℃およびpH6.0で作動させた。最初に、発酵槽を、700rpmの固定撹拌および5sL/時間の空気のオーバーレイによって、10mM/時間の増殖期OTRで作動させた。培養物を、およそ10〜11 OD600になるまで22.5時間増殖させ、次いで即座に、40.7時間の産生曝気条件に切り替えた。産生期中の細胞密度は、13〜14 OD600に近づいた。産生相を、300rpmの固定撹拌によって、0.5mM/時間のOTRで作動させた。一定期間ごとに、各発酵槽からの試料を除去して、OD600を測定し、ガスクロマトグラフィー(GC)分析および液体クロマトグラフィー(LC)分析のために調製した。GCおよびLCのために、2mL試料をエッペンドルフ管中に除去し、微量遠心機中で10分間、最大で遠心分離した。1mLの上清を、GC1(イソブタノール、他の代謝物)によって分析し、1mLを、有機酸およびグルコースについて、高性能液体クロマトグラフィー(LC1)によって、記載されるように分析した。 GEVO3991は、22.5時間の増殖期中に13.8の細胞密度を達成した。実験の持続期間全体(63.2時間)中に産生されたイソブタノールは、18.6±0.9g/Lであり、それとともに0.84±0.10g/Lイソ酪酸塩および0.15±0.02g/L酢酸塩が産生された。実験(22.5〜63.5時間)の産生期中に達成したイソブタノール理論収率は、80.3±1.1%であった一方で、イソ酪酸塩収率は、わずか0.013±0.001g/gグルコースであった。DH2MBの産生は、検出されなかった。 加えて、GEVO3991の3つの独立した形質転換体もまた、振盪フラスコ中で特徴付けた。株を、1%エタノールを含有する3mLのYPD中、30℃で、250rpmで一晩増殖させた。これらの培養物を、バッフル付250mLフラスコ中の50mLの同じ培地中、0.1のOD600まで希釈し、一晩増殖させた。OD600を、測定し、250OD600におよそ等しい細胞の容量を、2700rcで2分間の遠心分離によって、各培養物につき収集し、細胞を、50mLの発酵培地(80g/Lグルコース、0.03g/Lエルゴステロール、1.32g/L Tween80、1%v/vエタノール、200mM MES、pH6.5を含有するYPD)中に再懸濁させ、バッフルなしの通気したねじ蓋250mLフラスコに移した。OD600を確認し、培養物を30℃で、75rpmで配置して、微好気性発酵を開始させた。液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)分析、およびOD600のための試料を、概ね24時間間隔で採取した。試料(2mL)を、18,000×gで10分間遠心分離し、1.5mLの清澄化した上清を、GC1およびLC1による分析のために使用した。 発酵を、約4のOD600で開始させた。細胞は、72時間の微好気性発酵までに、約8のOD600まで増殖した。72時間後、イソブタノール力価は12.3g/Lであり、およびイソブタノール収率は67.2%の理論収率であった。イソ酪酸塩力価および収率は低かった:0.6g/Lイソ酪酸塩は、0.013g/gグルコースの収率で産生された。DH2MBの産生は、検出されなかった。実施例20:K.マルシアヌスにおけるTMA29欠失の効果 この実施例の目的は、ALS活性を含むクルイベロミセス・マルシアヌス株中のTMA29の欠失が、低減されたDH2MB産生をもたらすことを実証することである。 この実施例に開示される株、プラスミド、およびオリゴヌクレオチド配列を、それぞれ表61、62、および63に列挙する。 株構築:K.マルシアヌスTMA29タンパク質(配列番号23)をコードするK.マルシアヌスTMA29遺伝子相同体を、次のように、親K.マルシアヌス株GEVO2348から欠失させて、株GEVO6403およびGEVO6404をもたらした。 ゲノムDNAを、記載されるようにGEVO1947から単離した。構築物を作製して、大腸菌hph(ハイグロマイシン抵抗性)カセットを、記載されるように、GEVO2348のTMA29遺伝子座に、SOE PCRによって組み込んだ。PCRステップ番号1は、5’TMA29標的配列、3’TMA29標的配列、およびhphマーカーをもたらす3つの反応からなっていた。5’標的配列を、調製したGEVO1947ゲノムDNAから、プライマーoGV3498およびoGV3137を用いて増幅した。385bpの断片を、ゲル電気泳動によって精製した。3’標的配列を、調製したGEVO1947ゲノムDNAから、プライマーoGV3140およびoGV3499を用いて増幅した。473bpの断片をゲル精製した。PTEF1:hph:T CYC1(partial)カセットを、pGV2701から、プライマーoGV3138およびoGV3139を用いて増幅した。1,651bpの断片をゲル精製した。最終SOE PCRステップでは、ステップ番号1(5’標的配列/hphマーカー/3’標的配列)からの3つの産物を結合した。反応物を、プライマーoGV3498およびoGV3499を使用して増幅した。2,414bpの断片を、記載されるようにゲル精製し、記載されるようにGEVO2348の形質転換のために使用した。形質転換のための細胞を増殖させるために使用した培地は、YPEであった。形質転換に続いて、150μLの形質転換培養物を、0.1g/Lハイグロマイシンを含有するYPEプレート上に広げた。プレートを30℃でインキュベートし、形質転換されたコロニーを、単一のコロニーで単離し、次いでコロニーPCRのために、0.1g/Lハイグロマイシンを含有するYPEプレート上に貼り付けた。 酵母コロニーPCRを、記載されるように、適切な3’組み込みジャンクション、5’組み込みジャンクション、ならびにTMA29コード領域の欠如についてスクリーニングするために使用した。妥当な3’組み込みジャンクションを、プライマーoGV3501および2320を使用して確認した。妥当な5’組み込みジャンクションを、プライマーoGV3500およびoGV0821を使用して確認した。最後に、TMA29内部コード領域の欠失についてスクリーニングするために、プライマーoGV3500およびoGV3141を使用した。 発酵:振盪フラスコ発酵を、Bs_alsSを発現する株中のTMA29の欠失が、DH2MBの減少された産生をもたらすかどうかを決定するために、記載されるように、GEVO2348(TMA29)、GEVO6403(tma29Δ)、およびGEVO6404(tma29Δ)の各々につき、3系列で行った。単一のコロニーで単離したtma29Δ株の形質転換体を、0.1g/Lハイグロマイシンを含有するYPEプレートに貼り付けた一方で、親株を、YPEプレートに貼り付けた。パッチからの細胞を使用して、YPE の3mL培養物を植菌した。培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。一晩のインキュベーション後、これらの培養物のOD600を、水中で1:40に希釈することによって決定した。適切な量の培養物を、250mLバッフル付フラスコ中の50mLのYPEに添加して、0.1のOD600を得、30℃および250rpmでインキュベートした。24時間のインキュベーション後、これらの培養物のOD600を、水中で1:40に希釈することによって決定した。適切な量の培養物を、8%グルコースおよび200mM MES、pH6.5を含有する50mLのYPDに添加して、5のOD600を得た。発酵培養物を、バッフルなし250mLフラスコ中で、30℃および75rpmでインキュベートした。培地の1つの15mLアリコートをまた、LC4分析のためのブランクとして使用するために収集し、試料を供するまで4℃で保った。72時間後、1.5mLの培養物を除去し、および試料を、OD600およびLC4分析のために、上記のように調製した。加えて、72時間時点で、酵素アッセイのための試料を、適切な試料の80個のODを、3000×gで5分間、4℃で遠心分離しした2つの15mLファルコン管に移すことによって採取した。ペレットを3mL冷滅菌水中に再懸濁させ、卓上遠心分離機中のスイング型バケットローター中で、5000×gで2分間、4℃で遠心分離した。水を真空吸引器によって除去した。円錐管を−80℃で保管した。 ライセートの体外ALS酵素活性を、記載されるように測定した。表64は、72時間後の株からのライセートの平均体外ALS酵素活性を示す。ALS活性は、GEVO2348(3.14単位/mgライセートの平均)において、ならびにtma29Δ株GEVO6403およびGEVO6404(それぞれ1.63および1.58単位/mgライセートの平均)の両方において、測定可能である。 表64はまた、これらの株についてのLC4による、DH2MBおよびDHIV力価を示す。GEVO2348(TMA29)株は、0.89g/Lの平均DH2MB力価を産生した一方で、DHIVは、検出されなかった。DH2MB力価は、tma29Δ株GEVO6403およびGEVO6404において有意に減少され、それぞれ0.16および0.15g/Lと測定された。ALS活性は、tma29Δ株中で減少されるが、これは、欠失株中のDH2MB力価における80%超の減少を説明していない。例えば、GEVO2348の1つの技術的複製物は、2.5単位/mgライセートのALS活性示し、0.83g/L DH2MBを産生した一方で、tma29Δ株GEVO6404の技術的複製物のうちの1つは、1.9単位/mgライセートの同様の活性を有し、わずか0.16g/L DH2MBを産生した。実施例21:クルイベロミセス・ラクチスにおけるTMA29欠失の効果 この実施例の目的は、ALS活性を含むクルイベロミセス・ラクチス株中のTMA29の欠失が、低減されたDH2MB産生をもたらすことを実証することである。 この実施例に開示される株、プラスミド、およびオリゴヌクレオチドプライマーを、それぞれ表65、66、および67に列挙する。 株構築:K.ラクチスTMA29タンパク質(配列番号7)をコードするK.ラクチスTMA29遺伝子相同体を、次のように、親K.ラクチス株GEVO1742から欠失させて、実施例18に記載される株GEVO4458をもたらした。 K.ラクチス株GEVO1742(親、TMA29)およびGEVO4458(tma29Δ)を、プラスミドpGV1429(空の対照ベクター)、pGV1645(発現Bs_alsS)で、または記載されるAhdI直線化プラスミドpGV1726(Bs_alsSの無作為組み込みをもたらす)で形質転換し、400μLの1.25倍SC−HWLU中に再懸濁させ、SCD−Wプレート上に広げて、形質転換細胞について選択した。GEVO1742およびtma29Δ株GEVO4458の両方における、AhdI直線化pGV1726の無作為組み込みを、コロニーPCRによって、記載される内部Bs_alsSコード領域に特異的なプライマーoGV1321およびoGV1324を用いて確認した。株GEVO6316、GEVO6317、GEVO6324、およびGEVO6325は、遺伝子組み込みに対して陽性であった。 発酵:振盪フラスコ発酵を、Bs_alsSを発現する株中のTMA29の欠失が、DH2MBの減少された産生をもたらすかどうかを決定するために、記載されるように、種々のGEVO株(表65)上で行った。単一のコロニーで単離した形質転換体を、SCD−Wプレートに貼り付け、形質転換されていない親を、YPD上に貼り付けた。パッチからの細胞を使用して、3mL培養物を、YPD(親株および組み込まれた株)または3mL SCD−Wのいずれかの中に植菌した。培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。一晩のインキュベーション後、これらの培養物のOD600を、水中で1:40に希釈することによって決定した。適切な量の培養物を、250mLバッフル付フラスコ中の、5%グルコースを含有する50mLのYPD、または5%グルコースを含有するSCD−Wに添加して、0.1のOD600を得、30℃および250rpmでインキュベートした。24時間のインキュベーション後、これらの培養物のOD600を、水中で1:40に希釈することによって決定した。適切な量の培養物を、8%グルコース、200mM MES pH6.5を含有する50mLのYPD、または8%グルコースを含有するSCD−Wに添加して、5のOD600を得た。250個のODが発酵を開始するのに利用可能でない場合は、50mL培養物全体を使用した。発酵培養物を、バッフルなし250mLフラスコ中、30℃および75rpmでインキュベートした。15mL円錐管をまた、記載されるように、LC1およびLC4分析のためのブランク培地のために収集し、試料を供するまで4℃で保った。72時間時点で、1.5mLの培養物を収集した。OD600値を決定し、試料を、LC1およびLC4分析のために、14,000rpmで10分間遠心分離し、分析対象の1mLの上清を除去することによって調製した。加えて、酵素アッセイのための試料を72時間時点で採取した。適切な試料の60個のODを、15mLファルコン管中に移し、3000×gで5分間、4℃で遠心分離した。ペレットを3mL冷滅菌水中に再懸濁させ、3つの1.5mLエッペンドルフ管に移して(各々1mL)、3×20個のOD複製物を作製した。管を、卓上遠心分離機中のスイング型バケットローター中で、5000×gで2分間、4℃で遠心分離した。水を真空吸引器によって除去した。エッペンドルフ管を−80℃で保管した。 ライセートの体外ALS酵素活性を、記載されるように測定した。表68は、72時間後の株からのライセートの平均体外ALS酵素活性を示す。ALS活性は、無作為に組み込まれた(GEVO6316、GEVO6317、GEVO6324、6325)、またはプラスミドから発現された(GEVO6313〜6315、GEVO6321〜6323)Bs_alsSを有する株中でのみ測定可能であった。組み込まれたBs_alsSを有する株中のALS活性は、プラスミドからBs_alsSを発現する株中のそれよりも低い。しかしながら、組み込みBs_alsS(GEVO6316、GEVO6317)を有するTMA29株中の0.25単位/mgライセートの活性は依然として、DHIV+DH2MBの総合力価1.06g/Lを産生するために十分である。 表68は、LC1分析に基づく、発酵の72時間後の、種々の株についてのDHIV+DH2MB総合力価を示す。株GEVO1742(親、TMA29)株は、Bs_alsSが、無作為に組み込まれたか(1.06g/L)、またはプラスミドpGV1645(0.45g/L)から発現されたときのみ、測定可能なDHIV+DH2MB総合力価を産生した。これらのDHIV+DH2MB力価は、無作為組み込み(GEVO6324、GEVO6325)またはプラスミド(GEVO6321〜6323)を介して、Bs_alsSを発現させたとき、tma29Δ株GEVO4458において消失させられた。LC4分析は、DHIV+DH2MB総合力価の大部分が、実際にはDH2MBであることを示した。実施例22:I.オリエンタリスにおけるTMA29欠失の効果 次の実施例は、I.オリエンタリスTMA29遺伝子の欠失が、減少されたTMA29活性をもたらし、またALS活性を含む株中のDH2MB産生の減少をもたらすことを例証する。 株構築:TMA29遺伝子(GEVO4450、GEVO12425)に対する野生型である、TMA29遺伝子(GEVO6155)の1コピーの欠失に対する異型接合である、またはTMA29遺伝子(GEVO6158、GEVO12473、GEVO12474)が完全に欠失されている、PTA−6658に由来するイッサチェンキア・オリエンタリス株を、標準的な酵母遺伝学的および分子生物学的方法を使用して構築した。これらの株はまた、バチルス・スブチリスalsS遺伝子のコピーを担持する。 TMA29酵素アッセイ:TMA29体外アッセイのために、I.オリエンタリス株GEVO4450(TMA29/TMA29)、GEVO6155(tma29Δ/TMA29)、およびGEVO6158(完全 tma29Δ/tma29Δ)を、新たなYPDプレートからの細胞を用いて、125mLバッフル付フラスコ中の25mL YPDに植菌することによって増殖させた。培養物を、30℃および250rpmで一晩増殖させた。これらの培養物を使用して、250mLバッフル付フラスコ中の50mLのYPDに、0.05のOD600になるまで植菌した。培養物を、それらがおよそ5〜8のOD600(対数期後期)に到達するまで、30℃および250rpmで増殖させた。細胞を、細胞の80個のODを50mLファルコン管中に収集し、2,700×gで3分間遠心分離することによって採取した。上清の除去後、細胞を氷上に配置し、5mL冷水で洗浄した。細胞を、2,700×gで3分間遠心分離し、水を除去した。細胞ペレットを、使用するまで−80℃で保管した。さらに、同じ株を、新たなプレートから3mLのYPDに植菌し、30℃および250rpmで8時間増殖させることによって、増殖させた。これらの培養物を使用して、250mLバッフル付フラスコ中の50mLのYPDに、0.01のOD600になるまで植菌し、培養物を、それらがおよそ4〜8のOD600に到達するまで、30℃および250rpmで増殖させた。この培養物を使用して、8%グルコース、200mM MES pH6.5を含有する50mLのYPDに、4〜5の最終OD600になるまで、適切な量の培養物を50mLファルコン管中、2,700×gで3分間遠心分離し、次いで細胞ペレットを50mLの所定の培地中に再懸濁することによって植菌した。細胞を、250mLバッフルなしフラスコ中、30℃および75rpmで48時間インキュベートした。(発酵期)。80個のOD細胞ペレットを、記載されるように採取した。細胞を再懸濁させ、溶解させ、記載されるようにTMA29活性についてアッセイした。 表70は、総タンパク質U/mg単位の、I.オリエンタリス株GEVO4450、6155、および6158のライセートの比TMA29活性を示す。比TMA29活性は、GEVO4450(TMA29/TMA29)と比較して、GEVO6155(tma29/TMA29)およびGEVO6158(完全tma29欠失)において低減された。 発酵:発酵のために、I.オリエンタリス株GEVO12425(TMA29/TMA29)、GEVO12473(tma29/tma29)、およびGEVO12474(tma29/tma29)を、新たなYPDプレートからの細胞を用いて、125mLバッフル付フラスコ中の12mL YPDに植菌することによって増殖させた。培養物を、30℃および250rpmで一晩増殖させた。12mLの一晩の培養物のOD600を決定し、適切な量を使用して、250mLバッフル付フラスコ中の、5%グルコースを含有する50mLのYPDに、0.1のOD600になるまで植菌した。フラスコを、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。50mL培養物のOD600を決定した。適切な量の培養物を、50mLファルコン管中、2700rcfで5分間、25℃で遠心分離し、上清を除去した。各50mL培養物からの細胞を、8%グルコース、200mM MES、pH6.5を含有する50mLYPD中に再懸濁させた。培養物を次いで、250mLバッフルなしねじ蓋フラスコに移し、30℃および75rpmでインキュベートした。72時間時点で、各フラスコからの試料を除去し、OD600を測定し、LC4分析のために、1mL試料をエッペンドルフ管に移し、18,000×gで10秒間、25℃で遠心分離することによって、試料を調製した。遠心分離後、0.75mLの上清を、マイクロタイタープレートに移し、LC4によって分析した。また、72時間時点で酵素アッセイのための細胞を、記載されるように、80個のODを15mLファルコン管に移すことによって収集した。ALSアッセイのための細胞を再懸濁させ、溶解させ、記載されるようにアッセイした。 表71は、72時間時点での、GEVO12425、12473、および12474に対する、DH2MB産生およびALS活性を示す。DH2MB力価を、LC4によって決定した。ALS活性は、全ての株において同様であった。実施例23:S.ポンベにおけるTMA29欠失の効果 次の実施例は、(S)−2−アセト乳酸還元活性が、S.ポンベtma29Δ株中で、S.ポンベTMA29株と比較して有意に減少されることを例証する。 無傷のTMA29遺伝子(配列番号161)を有する酵母株GEVO6444、およびTMA29遺伝子の欠失を有するGEVO6445を、125mLバッフル付フラスコ中の12mL YPD中で、250rpmおよび30℃で一晩増殖させた。翌日、OD600値を決定し、技術的な3系列培養物を、5%グルコースを含む50mL YPD中、およそ0.3のOD600で出発させた。一日全体にわたって、培養物を250rpmおよび30℃で増殖させた。一日の終わりに、培養物を、5%グルコースを含むYPD中に、およそ0.15のOD600になるまで希釈し、250rpmおよび30℃で一晩インキュベートした。4〜6のOD600に到達すると、細胞を採取した。酵素アッセイのためのペレットを採取するために、適切な試料の80個のODを、2つの15mLファルコン管中に移し(複製試料用)、3000×gで5分間、4℃で遠心分離した。ペレットを3mL冷滅菌水中に再懸濁させ、卓上遠心分離機中のスイング型バケットローター中で、5000×gで2分間、4℃で遠心分離した。水を真空吸引器によって除去した。ペレットを−80℃で保管した。ライセートを調製し、TMA29酵素アッセイを記載されるように行った。(S)−2−アセト乳酸の還元に対する、S.ポンベGEVO6444ライセートの比活性は、0.018±0.002U/mg総タンパク質であった。tma29Δ株GEVO6445のライセートは、0.001±0.002U/mg総タンパク質の比活性を有した。実施例24:K.マルシアヌスにおけるALD6欠失の効果 この実施例の目的は、クルイベロミセス・マルシアヌス株中のALD6の欠失が、低減されたイソブチルアルデヒド酸化活性およびイソ酪酸塩産生をもたらすことを実証することである。 この実施例に開示される株、プラスミド、およびオリゴヌクレオチドプライマーを、それぞれ表73、74、および75に列挙する。 株構築:K.マルシアヌスALD6タンパク質(配列番号39)をコードするK.マルシアヌスALD6遺伝子相同体を、次のように、親K.マルシアヌス株GEVO1947およびGEVO2087から欠失させて、それぞれ、GEVO6264/GEVO6265、およびGEVO6270/GEVO6271をもたらした。 ゲノムDNAを、記載されるようにGEVO1947から単離した。構築物を作製して、大腸菌hph(ハイグロマイシン抵抗性)カセットを、記載されるように、GEVO1947およびGEVO2087のALD6遺伝子座に、SOE PCRによって組み込んだ。PCRステップ番号1は、次の3つの反応からなっていた:5’ALD6標的配列、3’ALD6標的配列、およびhphマーカー。5’標的配列を、調製したGEVO1947ゲノムDNAから、プライマーoGV3490およびoGV3492を用いて増幅した。635bpの断片を、ゲル電気泳動によって精製した。3’標的配列を、調製したGEVO1947ゲノムDNAから、プライマーoGV3493およびoGV3495を用いて増幅した。645bpの断片をゲル精製した。PTEF1:hph:TCYC1(partial)カセットを、pGV2701から、プライマーoGV3491およびoGV3494を用いて増幅した。1,665bpの断片をゲル精製した。最終SOE PCRステップでは、ステップ番号1(5’ALD6標的配列/hph/マーカー/3’ALD6標的配列)からの3つの産物を結合した。反応物を、プライマーoGV3490およびoGV3495を使用して増幅した。2,826bpの断片をゲル精製し、記載されるようにGEVO1947およびGEVO2087の形質転換のために使用した。形質転換のための細胞を増殖させるために使用した培地は、YPDであった。形質転換に続いて、150μLの各形質転換培養物を、0.2g/Lハイグロマイシンを補充したYPDプレート上に広げた。プレートを30℃でインキュベートした。形質転換されたコロニーを初期コロニーPCRスクリーニングのために貼り付け、次いで単一のコロニーで単離し、0.2g/Lハイグロマイシンを補充したYPDプレート上に再度貼り付けた。 酵母コロニーPCRを、記載されるように、適切な3’組み込みジャンクション、5’組み込みジャンクション、ならびにALD6コード領域の欠如についてスクリーニングするために使用した。妥当な3’組み込みジャンクションを、プライマーoGV3497およびoGV2320を使用して確認した。妥当な5’組み込みジャンクションを、プライマーoGV3496およびoGV0821を使用して確認した。最後に、ALD6内部コード領域の欠失を、プライマーoGV3495およびoGV0706を使用して確認した。 発酵:2g/Lイソブチルアルデヒドを用いた振盪フラスコ発酵を、記載されるように、ald6Δ株GEVO6264/GEVO6265、およびGEVO6270/GEVO6271、ならびにそれらの対応するALD6親株GEVO1947およびGEVO2087の技術的3系列を使用して行った。 確認したald6Δ株の、単一のコロニーで単離した形質転換体を、0.2g/Lハイグロマイシンプレートを補充したYPDプレートに貼り付け、親を、YPDプレートに貼り付けた。パッチからの細胞を使用して、YPDの技術的3系列3mL培養物に植菌した。培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。一晩のインキュベーション後、これらの培養物のOD600を、水中で1:40に希釈することによって決定した。適切な量の培養物を、250mLバッフル付フラスコ中、5%グルコースを含む50mLのYPDに添加して、0.1のOD600を得、培養物を30℃および250rpmでインキュベートした。24時間のインキュベーション後、これらの培養物のOD600を、水中で1:40に希釈することによって決定した。適切な量の培養物を、8%グルコース、200mM MES pH6.5、および2g/Lイソブチルアルデヒドを含有する50mLのYPDに添加して、5のOD600を得た。発酵培養物を、バッフルなし250mLフラスコ中で、30℃および75rpmでインキュベートした。未使用の培地を、LC分析のためのブランク培地として収集し、試料を供するまで4℃で保った。48時間時点で、フラスコの各々からの試料を次のように採取した。1.5mLの培養物を、1.5mLエッペンドルフ管中に除去した。OD600値を決定し、試料をLC1分析のために調製した。各管を14,000rpmで10分間遠心分離し、上清を、LC1によって分析した。加えて、48時間後に、酵素アッセイのための試料を採取した。適切な試料の80個のODを、2つの15mLファルコン管中に移し(複製試料用)、3000×gで5分間、4℃で遠心分離した。ペレットを3mL冷滅菌水中に再懸濁させ、スイング型バケットローター中で、5000×gで2分間、4℃で遠心分離した。水を真空吸引器によって除去した。円錐管を−80℃で保管した。 表76は、48時間の発酵後のイソ酪酸塩力価を示す。ALD6親株GEVO1947は、それぞれ0.19g/Lおよび0.013g/L/ODの、平均総計および比イソ酪酸塩力価を産生した。これらの総計および比イソ酪酸塩力価は、ald6Δ株GEVO6264において(それぞれ0.06g/Lおよび0.004g/L/OD)、またald6Δ株GEVO6265においても(それぞれ0.05g/Lおよび0.003g/L/OD)有意に減少された。ALD6親株GEVO2087は、それぞれ0.15g/Lおよび0.008g/L/ODの、平均総計および比イソ酪酸塩力価を産生した。総計および比イソ酪酸塩力価は、ald6Δ株GEVO6270において(0.05g/Lおよび0.003g/L/OD)、またald6Δ株GEVO6271においても(それぞれ0.08g/Lおよび0.005g/L/OD)有意に減少された。 この実施例に開示される株、プラスミド、およびオリゴヌクレオチドプライマーを、それぞれ表77、78、および79に列挙する。 株構築:K.ラクチスALD6タンパク質(配列番号29)をコードするK.ラクチスALD6遺伝子相同体を、次のように、親K.ラクチス株GEVO1287およびGEVO1830から欠失させて、それぞれ、株GEVO6242、およびGEVO6244/GEVO6245をもたらした。 ゲノムDNAを、記載されるようにGEVO1287から単離した。構築物を作製して、大腸菌hph(ハイグロマイシン抵抗性)カセットを、記載されるように、GEVO1287およびGEVO1830のALD6遺伝子座に、SOE PCRによって組み込んだ。PCRステップ番号1は、次の3つの反応からなっていた:5’ALD6標的配列、3’ALD6標的配列、およびhphマーカー。5’標的配列を、調製したGEVO1287ゲノムDNAから、プライマーoGV3502およびoGV3504を用いて増幅した。639bpの断片を、ゲル電気泳動によって精製した。3’標的配列を、調製したGEVO1287ゲノムDNAから、プライマーoGV3505およびoGV3507を用いて増幅した。628bpの断片をゲル精製した。PTEF1:hph:TCYC1(partial)カセットを、pGV2701から、プライマーoGV3503およびoGV3506を用いて増幅した。1,663bpの断片をゲル精製した。最終SOE PCRステップでは、ステップ番号1(5’標的配列/hphマーカー/3’標的配列)からの3つの産物を結合した。反応物を、プライマーoGV3502およびoGV3507を使用して増幅した。2,810bpの断片をゲル精製し、記載されるようにGEVO1287およびGEVO1830の形質転換のために使用した。コロニーを、ハイグロマイシン抵抗性について、0.1g/Lハイグロマイシンを補充したYPDプレート上で選択した。酵母コロニーPCRを、記載されるように、適切な3’組み込みジャンクション、5’組み込みジャンクション、ならびにALD6コード領域の欠如についてスクリーニングするために使用した。妥当な3’組み込みジャンクションを、プライマーoGV3509およびoGV2320を使用して確認した。妥当な5’組み込みジャンクションを、プライマーoGV3508およびoGV0821を使用して確認した。最後に、ALD6内部コード領域の欠失を、プライマーoGV3508およびoGV3510を使用して確認した。 発酵:培地中の2g/Lイソブチルアルデヒドを用いた第1の振盪フラスコ発酵を、ald6Δ株GEVO6242、およびALD6野生型親株GEVO1287の技術的3系列を使用して行った。確認したald6Δ欠失株の、単一のコロニーで単離した形質転換体を、0.1g/Lハイグロマイシンプレートを補充したYPDプレートに貼り付け、親株を、YPD上に貼り付けた。パッチからの細胞を使用して、YPDの技術的3系列3mL培養物に植菌した。培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。一晩のインキュベーション後、これらの培養物のOD600を、水中で1:40に希釈することによって決定した。適切な量の培養物を、250mLバッフル付フラスコ中、5%グルコースを含む50mLのYPDに添加して、0.1のOD600を得、培養物を30℃および250rpmでインキュベートした。24時間のインキュベーション後、これらの培養物のOD600を、水中で1:40に希釈することによって決定した。適切な量の培養物を、8%グルコース、200mM MES pH6.5、および2g/Lイソブチルアルデヒドを含有する50mLのYPDに添加して、5のOD600を得た。発酵培養物を、バッフルなし250mLフラスコ中で、30℃および75rpmでインキュベートした。未使用の培地を、LC1分析のためのブランク培地として収集し、試料を供するまで4℃で保った。24時間時点で、フラスコの各々からの試料を次のように採取した。1.5mLの培養物を、1.5mLエッペンドルフ管中に除去した。OD600値を決定し、試料を、記載されるようにLC1分析のために調製した。各管を14,000rpmで10分間遠心分離し、上清を、記載されるようにLC1による分析のために収集した。 2g/Lイソブチルアルデヒドを用いた第2の振盪フラスコ発酵を、記載されるように、ald6Δ欠失株GEVO6244/GEVO6245、およびそれらの対応するALD6親株GEVO1830を使用して行った。この発酵を、記載されるように、24および48時間時点で試料採取した。表80は、これらの発酵の両方についてのイソ酪酸塩力価を示す。イソ酪酸塩力価は、ald6Δ株中で、ALD6親株と比較して有意に減少される。実施例26:2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩に向けたTMA29活性 次の実施例は、S.セレビシエTMA29タンパク質が、(S)−2−アセト乳酸((S)−AL)および2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)に向けて活性であることを例証する。 TMA29(YMR226C)遺伝子が欠失された酵母株GEVO3939およびその親GEVO3527を、各株について3系列で、14mL培養物管中、3mLのYPDに植菌することによって、各々3系列で培養した。培養物を、GEVO3527についてはYPD寒天プレート上の、およびGEVO3939については0.2g/L G418を含有するYPDプレート上のパッチから出発させた。培養物を、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。翌日、一晩の培養物のOD600を測定し、0.1のOD600になるまで50mL培養物に植菌するための各培養物の容量を算出した。算出した各培養物の容量を使用して、250mLバッフル付フラスコ中の50mLのYPDに植菌し、培養物を、30℃および250rpmでインキュベートした。 細胞を、8時間の増殖後に、2.2〜2.7のODの対数期中期の間に採取した。培養物を事前計量した50mLファルコン管に移し、細胞を、3000×gで5分間の遠心分離によって収集した。培地の除去後、細胞を、10mL MilliQ H2Oで洗浄した。水の除去後、細胞を、3000×gで5分間、再び遠心分離し、残った水を、1mLピペットチップを使用して注意深く除去した。細胞ペレットを計量し、次いで、更に使用するまで−80℃で保管した。 細胞ペレットを氷上で解凍し、溶解緩衝液(10mMリン酸ナトリウムpH7.0、1mMジチオスレイトール、5%w/vグリセロール)中に再懸濁させて、結果として20質量%細胞懸濁液を得た。1mLのガラスビーズ(直径0.5mm)を、各試料につき、1.5mLエッペンドルフ管に添加し、850μLの細胞懸濁液を添加した。酵母細胞を、Retsch MM301ミキサーミル(Retsch Inc.Newtown,PA)を使用して、間に氷上で1分間インキュベーションしながら、各々最高速度で6×1分間混合し、溶解させた。管を、21,500×gで10分間、4℃で遠心分離し、上清を、新たな管に移した。抽出物を、(R/S)−AHBおよび(R/S)−ALに向けたTMA29活性を決定するために、記載されるようにTMA29アッセイを使用してアッセイするまで、それらを氷上で保有した。 野生型MATαS.セレビシエ株である、GEVO3527ライセートにおけるS.セレビシエTMA29の、(R/S)−AHBの還元についての比活性は、10.5±0.6mU/mgであった。tma29Δ株GEVO3939は、4.8±0.1mU/mgの比活性を有した。野生型GEVO3527株は、欠失株よりも約2倍高い比TMA29活性を有した。 野生型MATαS.セレビシエ株である、GEVO3527ライセートにおけるS.セレビシエTMA29の、(R/S)−ALの還元についての比活性は、12.3±0.2mU/mgであった。tma29Δ株GEVO3939は、2.9±0.3mU/mgの比活性を有した。野生型GEVO3527株は、欠失株よりも約4倍高い比TMA29活性を有した。実施例27〜30のための一般的方法 実施例27〜30に記載される株、プラスミド、遺伝子/アミノ酸配列、およびプライマー配列を、それぞれ表82、83、84、および85に列挙する。培地および緩衝液: SC−URA:6.7g/L Difco(商標)酵母窒素原礎培地、14g/L Sigma(商標)合成ドロップアウト培地用添加物(ヒスチジン、トリプトファン、ウラシル、およびロイシンを除くアミノ酸および栄養分を含む)、10g/Lカザミノ酸、20g/Lグルコース、0.018g/Lアデニンヘミ硫酸塩、および0.076g/Lトリプトファン。 SD−URA:MP Biomedicals(Irvine,CA)にて市販されている。組成:カザミノ酸を含み、ウラシルCSM−URAを含まない、1.7g/L酵母窒素原礎培地(YNB)、5g/L硫酸アンモニウム、20g/Lグルコース。 YPD(酵母ペプトンデキストロース)培地:10g/L酵母抽出物、20g/Lペプトン、20g/Lグルコース。 トリス−DTT:pH8.0の、濾過滅菌した、1mLの1MトリスHCl当たり、0.39g 1,4−ジチオスレイトール。 緩衝液A:pH7.4に調整し、濾過滅菌した、20mMトリス、20mMイミダゾール、100mM NaCl、10mM MgCl2。 緩衝液B:pH7.4に調整し、濾過滅菌した、20mMトリス、300mMイミダゾール、100mM NaCl、10mM MgCl2。 緩衝液E:pH7.5に調整し、濾過滅菌した、1Lの脱イオン水当たり、1.2gトリス塩基、92.4gグルコース、および0.2g MgCl2。 pET1947の構築:L.ラクチスadhA(Ll_adhA)遺伝子を、pGV1947から、プライマーHis_Not1_1947_fwdおよびSal1_revを使用してクローン化し、pET22b(+)中にライゲートして、プラスミドpET1947を得た。 pGV2476の構築:プラスミドpGV2274は、順方向プライマーadhAcoSc_Sallin_for、および逆方向プライマーadhAcoSC_Notlin_his_revを使用して、PCRのためのテンプレートとしての機能を果たした。PCR産物を精製し、NotIおよびSalIで制限消化し、pGV1662中にライゲートし、それをNotIおよびSalIで切断し、精製した。 S.セレビシエの形質転換:計画した形質転換の前夜に、YPD培養物に、単一のS.セレビシエCEN.PK2コロニーを植菌し、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。翌朝、20mL YPD培養物を、バッフルを有さない250mLエルレンマイヤーフラスコ中で、0.1のOD600である一晩の培養物を用いて出発させた。この培養物を、それが1.3〜1.5のOD600に到達するまで、30℃および250rpmでインキュベートした。培養物が所望のOD600に到達したとき、200μLのトリス−DTTを添加し、培養物を30℃および250rpmで更に15分間インキュベートさせた。細胞を次いで、4℃および2,500×gで3分間ペレット化した。上清を除去した後、ペレットを、10mLの氷冷緩衝液E中に再懸濁させ、上述のように再び遠沈させた。次いで、細胞ペレットを、1mLの氷冷緩衝液E中に再懸濁させ、前のように更に1回遠沈させた。ピペットでの上清の除去後、200μLの氷冷緩衝液Eを添加し、ペレットを、穏やかに再懸濁させた。6μLの挿入/主鎖混合物を半分に分割し、50μLの細胞懸濁液に添加した。DNA/細胞混合物を0.2cmエレクトロポレーションキュベット(BIORAD)中に移し、パルスコントローラを用いずに0.54kVおよび25μFで電気穿孔処理した。即座に、1mLの事前加温したYPDを添加し、形質転換した細胞を、15mL丸底培養物管(Falcon)中、30℃および250rpmで再生させた。1時間後、細胞を4℃および2,500×gで3分間遠沈させ、ペレットを1mL事前加温したSD−URA培地中に再懸濁させた。異なる量の形質転換された細胞を、SD−URAプレート上にプレートし、30℃で1.5日間、またはコロニーが滅菌楊枝で取り上げるのに十分なほど大きくなるまで、インキュベートした。 酵母細胞のプラスミド少量調製:Zymoprep(商標)II−酵母プラスミドミニプレップキット(Zymo Research,Orange,CA)を使用して、若干変更した、液培養物についての製造業者のプロトコルに従って、S.セレビシエ細胞からプラスミドDNAを調製した。200μLの酵母細胞のアリコートを、600×gで2分間遠沈させた。上清をデカントした後、200μLの溶液1を添加して、ペレットを再懸濁させた。試料に、3μLのZymolyase(商標)を添加し、細胞/酵素懸濁液を、指ではじくことによって穏やかに混合した。試料を37℃で1時間インキュベートした後、溶液2および3を添加し、各添加後によく混合した。試料を次いで、最大速度および4℃で10分間遠沈させた。次のZymoカラム上での浄化を、製造業者の指示に従って行った。プラスミドDNAを、10μLのPCRグレード水で溶出した。この容量の半分を使用して、大腸菌DH5αを形質転換した。 大腸菌における異種ADH発現:アンピシリン(最終濃度0.1mg/mL)を含む50mLのLuria−Bertani(LB)培地(1リットル当たり10gトリプトン、10g NaCl、5g酵母抽出物)を含有するフラスコ(500mLエルレンマイヤー)に、0.1の初期OD600になるまで、単一のコロニーを担持するプラスミドpET1947の、0.5mLの一晩のLBamp培養物を使用して植菌した。50mL LB発現培養物を、250rpmおよび37℃で3〜4時間増殖させた。タンパク質発現を、0.5mMの最終濃度になるまでIPTGを添加しながら、約1のOD600で誘導した。タンパク質発現を225rpmおよび25℃で24時間継続させた。細胞を、5300×gおよび4℃で10分間採取し、次いで細胞ペレットを、更に使用するまで−20℃で凍結させた。 S.セレビシエCEN.PK2における異種発現:100mLのSC−URAで満たしたフラスコ(1000mLエルレンマイヤー)に、1mLの一晩の培養物(30℃および250rpmで増殖させた、単一のCEN.PK2コロニーを植菌した5mL SC−URA)を植菌した。発現培養物を、30℃および250rpmで24時間増殖させた。細胞を、5300×gで5分間ペレット化した。上清を破棄し、ペレットを再びスピンした。残渣の上清を次いで、ピペットで取り除いた。ペレットを、更に使用するまで−20℃で凍結した。 高処理アッセイのための96ウェルプレート中でのCEN.PK2における異種発現:300μLのSC−URAで満たした、1ウェル当たり1mL容積の浅底96ウェルプレートに、Ll_adhAhis6またはその変異体をコードするプラスミドを担持する、単一CEN.PK2コロニーを植菌した。1ウェル当たり600μLのSC−URAで満たした、1ウェル当たり2mL容積の深底96ウェルプレートに、50μLのこれらの一晩の培養物を植菌した。プレートを、30℃および250rpmで24時間増殖させ、次いで、5300×gおよび4℃で5分間採取し、−20℃で保管した。 大腸菌からのADH含有抽出物の調製:発現されたADHを含有する大腸菌細胞ペレットを解凍し、緩衝液A中に再懸濁させた(0.25g湿重量/mL緩衝液)。再懸濁させた細胞を、超音波処理によって、50%デューティサイクルで1分間溶解させ、11000×gおよび4℃で10分間ペレット化した。抽出物を4℃で保管した。 S.セレビシエCEN.PK2からのADH含有抽出物の調製:発現されたADHを含有するS.セレビシエCEN.PK2細胞ペレットを解凍し、計量して、ペレットの湿重量を得た。細胞を次いで、緩衝液A中に再懸濁させ、結果として20質量%細胞懸濁液を得た。直径0.5mmのガラスビーズを、1.5mLエッペンドルフ管の1000μLマークの(直径0.5mm)に添加した後、875μLの細胞懸濁液を添加した。酵母細胞を、ビーズ式破砕によって、Retsch MM301ミキサーミル(Retsch Inc.Newtown,PA)使用して、間に1分間の氷冷ステップを行いながら、各々6×1分間、最高速度で混合して溶解させた。管を、23,500xgおよび4℃で10分間遠心分離機にかけ、上清を除去した。抽出物を4℃で保管した。 ADHの精製:ADHを、IMAC(固定化金属親和性クロマトグラフィー)によって、Nickel(GE Healthcare)を事前充填した、1mL Histrap高性能(histrap HP)カラム上で、Akta精製器FPLC系(GE Healthcare)を使用して精製した。カラムを、緩衝液Aの4カラム容量(cv)で平衡化した。粗抽出物をカラム上に注入した後、カラムを、緩衝液Aの2cvで洗浄し、続いて100%溶出緩衝液Bの15cvで直線勾配をかけ、96ウェルプレート中に収集した。タンパク質を含有する画分をプールし、4℃で保管した。 ADHキュベットアッセイ:ADH活性を、340nmでの吸光度測定することによってNADH濃度の減少をモニタリングすることによって、動態的にアッセイした。100mMトリス/HCl、pH7.0、1mM DTT、11mMイソブチルアルデヒド、および200μM NADHを含有する反応緩衝液を調製した。反応を、900μLの反応緩衝液に対する適切な希釈液中、100μLの粗抽出物または精製したタンパク質の添加によって開始させた。 ADHマイクロタイタープレート活性アッセイ:マイクロタイタープレート中での活性測定は、縮小規模のキュベットアッセイである。総容量は100μLであった。適切に希釈した10μLの粗ライセートまたは精製した酵素を、アッセイプレート中に配置した。反応緩衝液を、上述のように調製し(イソブチルアルデヒド基質のみ)、その90μLをプレート中の酵素溶液に添加した。NADHの消費を、インフィニットM200プレートリーダー(TECAN Trading AG,Switzerland)において340nmで記録した。 ADH高処理活性アッセイ:96ウェルプレート中の凍結した酵母細胞ペレットを室温で20分間解凍し、次いで100μLのY−Per(Pierce、カタログ番号78990)を添加した。プレートを手短にボルテックスして、細胞ペレットを再懸濁させた。室温および130rpmで60分間のインキュベーション期間後、300μLの100mMトリス−HCl(pH7.0)をプレートに添加して、粗抽出物を希釈した。5,300×gおよび4℃で10分間の遠心分離ステップに続いて、40μLの結果として得られた粗抽出物を、アッセイプレート(平底、Rainin)中に、液搬送ロボットを使用して移した。アッセイプレートを4,000rpmおよび室温で手短に遠沈させた。1プレート当たり12mLアッセイ緩衝液を調製し(100mMトリス−HCl、pH7.0、1mM、0.5mM、0.25mM、または0.125mMイソブチルアルデヒド、1mM DTT、200μM NADH)、その100μLを各ウェルに添加して、反応を開始させた。NADHの枯渇を、インフィニットM200プレートリーダー(TECAN Trading AG,Switzerland)において340nmで2分間にわたって記録した。 活性アッセイから得たデータに基づく比活性の決定:粗抽出物および精製したタンパク質等の、異種性で発現されるL.ラクチスAdhAを含有する試料のタンパク質濃度を、Quick Start(商標)Bradfordキット(Bio−Rad,Hercules,CA)を使用して、製造業者の指示に従って測定した。1単位酵素の活性(1U)は、アッセイ方法の指定条件下で、1分間当たり1マイクロモルの基質の変換を触媒する酵素の量として定義される。 熱安定性測定:親Ll_adhAおよびその変異体のT50値(15分間のインキュベーション時間後に、酵素活性の50%が保持される温度)を測定して、熱安定性データを得た。30μLアリコートの精製した酵素を、PCR管中に移した。各管に、20℃温度範囲に及ぶ勾配でプログラムされたマスターサイクラー(登録商標)ep PCR機(Eppendorf,Hamburg,Germany)のスロットまたはブロックに対応する、特定のインキュベーション温度を割り当てた。管をそれらのスロット内で15分間インキュベートした。次いで、反応を氷上で反応停止処理した。残渣の活性を、上述のようにADHマイクロタイタープレート活性アッセイを用いて決定した。 精製のためのHis−Tagの使用:後述の実施例の各々において、his−tagを含むADH酵素に言及する。当該技術分野において理解されるように、かかるhis−tagは、タンパク質精製を促進する。本開示を提供される当業者によって理解されるように、該his−tagを欠くADH酵素は、イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換のために同等にまたはよりよく適している。精製有効化his−tagsを欠く、本明細書に記載される改変されたADH酵素の例は、配列番号 206〜224に見出される。実施例27:無作為突然変異誘発を介した指向性進化 次の実施例は、ADHの動力学的特性を改善するための方法を例証し、また、かかる改善されたADH酵素の動力学的特性も説明する。 Ll_adhA_coSchis6遺伝子を担持する、プラスミドpGV1662の誘導体であるプラスミドpGV2476は、順方向プライマーpGV1994ep_for、および逆方向プライマーpGV1994_revを使用して、誤りがちなPCRのためのテンプレートとしての機能を果たした。これらのプライマーは、主鎖pGV1662に特異的であり、およびADH挿入の50bp上流および下流に結合して、酵母中の相同組み換えに対する重複を作り出す。3つの誤りがちなPCR反応物の組成を、表86に要約する。温度プロフィールは次の通りであった:95℃ 3分間の初期変性、95℃ 30秒間の変性、55℃ 30秒間のアニーリング、72℃ 2分間の伸長、25サイクル、72℃で5分間の最終伸長。 PCR産物を、1%分析用TAEアガロースゲル上で確認し、37℃で1時間DpnI消化させて、微量のテンプレートDNAを除去し、次いで1%分取TAEアガロースゲルを使用して浄化した。PCR産物を含有するアガロース片を、Freeze ‘n’Squeeze管(BIORAD,Hercules,CA、カタログ番号732−6166)を使用して浄化し、続いて製造業者のプロトコルに従って、ペレット着色手順(Novagen、カタログ番号69049−3)を行った。その一方で、アガロースゲルおよびペレット着色上の消化混合物を使い果たす前に、プラスミドpGV1662を、NotIおよびSalIで制限消化した。各々500ngのプラスミドおよび挿入物を、一緒に混合し、ペレット着色で沈殿させ、6μLのPCRグレード水中に再懸濁させ、それを使用して、一般的方法に記載されるようにエレクトロコンピテントなセレビシエ細胞を形質転換した。 100、200、および300μM MnCl2ライブラリの各々からの総計88個のクローンを、親プラスミドpGV2476を含有する4個のクローン、およびADHなし対照としてpGV1102を含有する3個のクローンと共に、96ウェルプレート中に摘み取った。1つのウェルは空のまま残し、無菌対照としての機能を果たすようにした。これらのライブラリを、一般的方法(高処理アッセイのための96ウェルプレート中でのCEN.PK2における異種発現、ADH高処理活性アッセイ)下に記載されるようにスクリーニングした後、300μMライブラリを選択し、追加的な4,000個のクローンを同じ方法でスクリーニングした。総計24個の変異体は、野生型と比較して1.5倍超の改善を有し、それを3系列での再スクリーニングのために選択した。その上位10個の変異体を増殖させ、一般的方法(S.セレビシエCEN.PK2における異種発現)下に記載されるように100mL培養物中で発現させ、粗酵母抽出物中でのそれらの特異的な活性を、一般的方法(ADHマイクロタイタープレートアッセイ)下に記載されるように決定した。2つの変異体、Ll_AdhA28E7−his6およびLl_AdhA30C11−his6は、活性(それぞれ0.3および0.25U/mg総ライセートタンパク質)において、野生型酵素Ll_AdhAhis6(0.1U/mg総ライセートタンパク質)と比較して、2倍超の改善を示し、それをより詳細に特徴付けた。 これらの2つの変異体からのプラスミドDNAを、一般的方法(酵母細胞のプラスミド少量調製)下に記載されるように抽出し、DNA配列決定(Laragen,Los Angeles,CA)に供し、それによって、表87に列挙されるように1変異体当たり2つの突然変異が明らかとなった。これらの突然変異(Y50FおよびL264V)のうちの2つは、基質結合ドメイン(cyan)と補因子結合ドメイン(green)との間のギャップである、活性部位に近接して局在化される。突然変異I212TおよびN219Yは、(図17に示されるように)補因子結合ドメインの表面上に位置する。補因子結合部位突然変異の場所を強調するために、図17は、構造整列についての2つの図を伴う。 2つの酵素変異体、Ll_AdhA28E7−his6およびLl_AdhA30C11−his6を、それぞれプラスミドpGV2475およびpGV30C11から、より大規模に(各々100mL培養物)発現させ、精製し、一般的方法(S.セレビシエCEN.PK2における異種発現、S.セレビシエCEN.PK2からのADH含有抽出物の調製、ADHの精製)下に記載されるように、より詳細に特徴付けた。野生型Ll_AdhAhis6酵素をプラスミドpGV2476から発現させ、同じ方法で精製した。酵素を、一般的方法(ADHキュベットアッセイ)下に記載されるように、動力学的特性について特徴付けた。表88は、イソブチルアルデヒドおよびNADHを用いて測定した動力学的パラメータを示す。減少されたKM値が、両変異体について観察された一方で、kcatは、Ll_AdhA28E7についてのみ改善された。 野生型酵素および2つの変異体の熱安定性を、一般的方法(熱安定性測定)下に記載されるように決定した。見出された突然変異は、変異体の安定性にプラスの影響を与えたことに加えて、それらの触媒効率に有益な効果を及ぼした。表89は、親および変異体について測定したT50を要約する。実施例28:組み換えを介した指向性進化 次の実施例は、ADHの動力学的特性を改善するための方法を例証し、また、かかる改善されたADH酵素の動力学的特性も例証する。 第2の遺伝子ライブラリ(世代2)を構築して、第1の誤りがちなライブラリおよびこれらの部位の各々における野生型残基において見出される、有益な突然変異を組み換えた(表90)。 4つのPCR断片を、プライマーRecombADHY50_revおよびpGV1994ep_for(断片1)、RecombADHY50_forおよびRecombADHI212_Y219_rev(断片2)、RecombADHI212_Y219_forおよびRecombADHL264_rev(断片3)、ならびにRecombADHL264_revおよびpGV1994ep_rev(断片4)を使用して生成した。断片を、分析用1%TAEゲル上で分析し、DpnI消化させ、1%分取TAEアガロースゲル上で分離し、Freeze’n’Squeeze(BIORAD)処理し、最後にペレット着色した(Novagen)。クリーンな断片は、アセンブリPCRのためのテンプレートとしての機能を果たした。アセンブリPCRの成功後、PCR産物を実施例27に記載されるように処理し、実施例27に記載されるpGV1662主鎖と混合し、この混合物を使用してセレビシエを、実施例27〜30のための一般的方法に記載されるように形質転換した。組み換えライブラリの80個の単一クローンを摘み取り、高処理スクリーニングにおいて、誤りがちなライブラリにおいて見出される野生型および2つの変異体と比較した。 総計80個の単一クローンを、元の親および2つの改善された変異体と共に96ウェルプレート中に摘み取った。組み換えプレートを、一般的方法(高処理アッセイのための96ウェルプレート中でのCEN.PK2における異種発現、ADH高処理活性アッセイ)下に記載されるようにスクリーニングした後、親Ll_AdhA28E7−his6またはLl_AdhA30C11−his6のいずれかと比較して全てが少なくとも2倍高い活性を示す、12個の変異体を増殖させ、一般的方法(S.セレビシエCEN.PK2における異種発現)下に記載されるように、100mL培養物中で発現させ、粗酵母抽出物中でのそれらの活性を、一般的方法(ADHマイクロタイタープレートアッセイ)下に記載されるように決定した。2つの変異体は、粗抽出物中で非常に類似した比活性を有した。Ll_AdhARE1の活性は、Ll_AdhA28E7−his6よりも40%良好であり、かつLl_AdhA30C11−his6よりも64%良好であったため、それを更なる改変のために選択した。 この変異体からのプラスミドDNAを、一般的方法(酵母細胞のプラスミド少量調製)下に記載されるように抽出し、DNA配列決定(Laragen,Los Angeles,CA)に供し、それによって、突然変異Y50F、I212T、およびL264V(Ll_AdhARE1において見出される)が、観察された改善に寄与する一方で、219位における突然変異が変異体の活性に有害であり、組み換えライブラリの改善された変異体のいずれにおいても見出されないことが明らかとなった。 変異体Ll_AdhARE1−his6を、プラスミドpGV2477から、より大規模に(各々100mL培養物)発現させ、精製し、一般的方法(S.セレビシエCEN.PK2における異種発現、S.セレビシエCEN.PK2からのADH含有抽出物の調製、ADHの精製)下に記載されるように、より詳細に特徴付けた。野生型Ll_AdhAhis6酵素をプラスミドpGV2476から発現させ、同じ方法で精製した。酵素を、一般的方法(ADHキュベットアッセイ)下に記載されるように、動力学的特性について特徴付けた。表91は、イソブチルアルデヒドおよびNADHを用いて測定した動力学的パラメータを示す。Ll_AdhAhis6、Ll_AdhA28E7−his6、Ll_AdhA30C11−his6と比較して、減少されたKMおよび増加されたkcatが、Ll_AdhARE1−his6について観察された。 変異体Ll_adhARE1−his6は、野生型のT50よりも5度高く、かつ組み換えラウンドの最も安定な親、Ll_AdhA28E7−his6よりも概ね1度低い、61.6±0.1℃のT50値を示した。実施例29:無作為突然変異誘発、部位飽和突然変異誘発、および組み換えを介したL.ラクチスAdhAの指向性進化 次の実施例は、ADHの動力学的特性を改善するための方法を例証し、また、かかる改善されたADH酵素の動力学的特性も説明する。 Ll_adhARE1−his6遺伝子は、誤りがちなPCRおよびスクリーニングの第2ラウンドのためのテンプレートとしての機能を果たした(世代3)。スクリーニングアッセイは、0.125mMイソブチルアルデヒドを利用した。上記の実施例1に従って、誤りがちなPCRを使用して、200μM MnCl2を用いて生成したライブラリの約3,000クローンを発現させ、高処理様式でスクリーニングした。複数のヒットを、3系列での再スクリーニングのために選択し、2つの変異体、Ll_AdhA7A4−his6およびLl_AdhA4A3−his6を、改善された活性を有するとして特定した。これらの変異体の突然変異を表92に示す。 Ll_AdhA7A4−his6およびLl_AdhA4A3−his6、ならびに親のライセートにおける比活性(U/mg)を、生物学的3系列で、pH7.0で測定した(表93)。 Ll_AdhA7A4−his6(59.4℃)およびLl_AdhA4A3−his6(57.6℃)T50値は双方とも、Ll_AdhAhis6よりも高く、かつLl_AdhARE1−his6よりも低かった。 2ラウンドの誤りがちなPCRおよび1ラウンドの組み換え後、部位飽和突然変異誘発を、6つの部位の各々において行って、6つのライブラリ(ライブラリ50、77、108、113、212、および264)を生成した。元の親、Ll_AdhAhis6を、各NNK断片のためのテンプレートとして使用した。各ライブラリに対する2つの断片を、表4に列挙されるプライマー(ライブラリ50の断片1に対するpGV1994ep_forおよびNNKADHF50_rev、ライブラリ50の断片2に対するNNKADHF50_forおよびpGV1994ep_rev;ライブラリ77の断片1に対するpGV1994ep_forおよびNNKADHR77_rev、ライブラリ77の断片2に対するNNKADHR77_forおよびpGV1994ep_rev;ライブラリ108の断片1に対するpGV1994ep_forおよびNNKADHA108_rev、ライブラリ108の断片2に対するNNKADHA108_forおよびpGV1994ep_rev;ライブラリ113の断片1に対するpGV1994ep_forおよびNNKADHF113_rev、ライブラリ113の断片2に対するNNKADHF113_forおよびpGV1994ep_rev;ライブラリ212の断片1に対するpGV1994ep_forおよびNNKADHT212_rev、ライブラリ212の断片2に対するNNKADHT212_forおよびpGV1994ep_rev;ライブラリ264の断片1に対するpGV1994ep_forおよびNNKADHV264_rev、ライブラリ264の断片2に対するNNKADHV264_forおよびpGV1994ep_rev)を使用して増幅し、次いで、アセンブリPCRのためのテンプレートとして使用した。アセンブリPCR産物を前述のように処理して、酵母中のNNKライブラリを生成した。90個のクローンを、各NNKライブラリにつき摘み取り、別個にスクリーニングした。再スクリーニング後、6つのライブラリからの9個のクローンを、酵母から小規模調整し、プラスミドを使用して、大腸菌を形質転換し、結果として得られたプラスミドを配列決定した。それらのライセート活性および配列決定の結果を、表94に要約する。 部位飽和突然変異誘発ライブラリにおいて見出される多様な突然変異を、コンビナトリアル様式で、SOE PCRを使用して組み換え、ライブラリを、非コドン最適化された親、pGV1947hisを使用して構築した。表85に記載されるプライマーは、6つの標的化部位における野生型配列も許容した。6つの断片を、Recomb2F50Minilib_revおよびpGV1994ep_for(断片1)、Recomb2F50Minilib_for、およびRecomb2Q77Gen5_rev4と、Recomb2R77Gen5_rev6と、Recomb2S77Gen5_rev8とのミックス(断片2)、Recomb2Q77Gen5_for3と、Recomb2R77Gen5_for5と、Recomb2S77Gen5_for7とのミックス、およびRecomb2Y113 Gen5_rev10と、Recomb2F113 Gen5_rev12と、Recomb2G113 Gen5_rev14とのミックス(断片3)、Recomb2Y113 Gen5_for9と、Recomb2F113 Gen5_for11と、Recomb2G113 Gen5_for13とのミックス、およびRecomb2T212 Mini_rev16(断片4)、Recomb2T212 Mini_for15およびRecomb2V264 Mini_rev18(断片5)、ならびにRecomb2V264 Mini_for17およびpGV1994ep_rev(断片6)を使用して生成した。断片PCRを、分析用1%TAEゲル上で分析し、次いで、産物を37℃で1時間DpnI消化させ、1%分取TAEアガロースゲル上で分離し、Freeze’n’Squeeze(BIORAD)処理し、最後にペレット着色した(Novagen)。クリーンな断片は、アセンブリPCRのためのテンプレートとしての機能を果たした。アセンブリPCRの成功後、相同組み換え(上述のように)を使用して、ライブラリを作り出した。1000個を超える個々のクローンを、0.125mMのイソブチルアルデヒド濃度を使用してスクリーニングした。再スクリーニングプレートを、上位60個の変異体からなるようにまとめ、0.125mMイソブチルアルデヒドを用いてアッセイした。 10個の変異体を、ライセートにおけるそれらの比活性を決定するために、100mL SC−URA培地中での発現について選択した。それらのうちの4個を配列決定し(突然変異については表95を参照されたい)、精製し、より詳細に特徴付けた(表96)。新たな変異体は、ライセートにおいて、Ll_AdhARE1と同様の比活性を示した。とりわけ、変異体4A3は、高い比活性を有する酵素として際立っていた。実施例30:相同ADH酵素の操作 次の実施例は、どのように追加のADH酵素が特定され、追加のADH酵素の動力学的特性を改善するために操作されるかを例証する。 L.ラクチスAdhAと相同な酵素を、一般に入手可能なデータベースであるBlastP検索を通じて、L.ラクチスAdhA(配列番号185)のアミノ酸配列を使用して、次の検索パラメータを用いて特定した:予想閾値=10、ワードサイズ=3、行列=Blosum62、ギャップ開始=11、ギャップ伸張=1。約60%を超える配列同一性を有する相同体を表す上位100個のヒットを選択したが、それを表97に列挙する。配列を、Vector NTI Advance 10.3.1の構成要素である、多重配列アライメントツールAlignXを使用して、次のパラメータを用いて整列させた:ギャップ開始ペナルティ(pentalty)=10、ギャップ伸張ペナルティ=0.05、ギャップ分離ペナルティ範囲=8。多重配列アライメントは、(a)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のチロシン50(b)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のグルタミン77、(c)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のバリン108、(d)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のチロシン113、(e)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のイソロイシン212、および(f)L.ラクチスAdhA(配列番号185)のロイシン264に対応する残基の中の間で非常に高レベルの保存を示した。、ここでAdhA(配列番号185)は、L.ラクチスアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)遺伝子adhA(配列番号184)またはそのコドン最適化バージョン(配列番号206)によってコードされる。 前述の詳細な説明は、理解を明確にするために提供されているにすぎず、当業者にとって修正が明白であるので、そこから不必要な限定が何らなされるべきではない。 本発明は、それらの特定の実施形態に関連して説明されているが、それは更なる修正が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原則に従って、本発明の属する技術分野内での既知の実践または慣行の範囲内であるような、またこれより先に述べた、および次の添付の特許請求の範囲における本質的特徴に適用され得るような本開示からのかかる逸脱を含む、本発明のいかなる変形、使用、または適合をも包含することが意図されることが理解されよう。 本明細書で引用される各々あらゆる特許、特許出願、および刊行物の、特許請求の範囲、図および/または図面を含む開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。 中間体として3−ケト酸を使用する生合成経路を含み、前記3−ケト酸の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される、組み換え微生物。 前記3−ケト酸中間体は、アセト乳酸であり、前記3−ヒドロキシ酸副産物は、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)である、請求項1に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MBの炭素収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約50%低減される、請求項2に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MBの炭素収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約75%低減される、請求項2に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MBの炭素収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約95%低減される、請求項2に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、アセト乳酸由来産物を産生する、請求項2に記載の組み換え微生物。 前記アセト乳酸由来産物は、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−1−ペンタノール、および補酵素Aから選択される、請求項6に記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩であり、前記3−ヒドロキシ酸副産物は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)である、請求項1に記載の組み換え微生物。 2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩からの前記2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)の炭素収率は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約50%低減される、請求項8に記載の組み換え微生物。 2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩からの前記2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)の炭素収率は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約75%低減される、請求項8に記載の組み換え微生物。 2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩からの前記2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)の炭素収率は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約95%低減される、請求項8に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩由来産物を産生する、請求項8に記載の組み換え微生物。 前記2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩由来産物は、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールから選択される、請求項12に記載の組み換え微生物。 3−ケト酸の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する前記酵素は、3−ケト酸レダクターゼである、前述の請求項のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエYMR226(配列番号1)またはその相同体もしくは変異体である、請求項14に記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、および配列番号23、またはその相同体もしくは変異体から選択される、請求項14に記載の組み換え微生物。 中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路を含み、前記アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される、組み換え微生物。 前記アルデヒド中間体からの前記酸副産物炭素の収率は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも35%低減される、請求項17に記載の組み換え微生物。 前記アルデヒド中間体からの前記酸副産物炭素の収率は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも75%低減される、請求項17に記載の組み換え微生物。 前記アルデヒド中間体からの前記酸副産物炭素の収率は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも95%低減される、請求項17に記載の組み換え微生物。 中間体としてアルデヒドを使用する前記生合成経路は、イソブタノール、1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールの生合成のための経路から選択される、請求項17に記載の組み換え微生物。 アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する前記酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼである、請求項17〜21のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエALD6(配列番号25)またはその相同体もしくは変異体である、請求項22に記載の組み換え微生物。 前記アルデヒドデヒドロゲナーゼは、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41、またはその相同体もしくは変異体から選択される、請求項22に記載の組み換え微生物。 中間体として3−ケト酸およびアルデヒドを使用する生合成経路を含み、(i)前記3−ケト酸の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ(ii)前記アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される、組み換え微生物。 前記3−ケト酸中間体は、アセト乳酸であり、前記3−ヒドロキシ酸副産物は、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)である、請求項25に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MB炭素の収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約50%低減される、請求項26に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MB炭素の収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約75%低減される、請求項26に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MB炭素の収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約95%低減される、請求項26に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、アセト乳酸由来産物を産生する、請求項26に記載の組み換え微生物。 前記アセト乳酸由来産物は、イソブタノール、1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノールから選択される、請求項30に記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩であり、前記3−ヒドロキシ酸副産物は、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)である、請求項25に記載の組み換え微生物。 2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩からの前記2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)炭素の収率は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約50%低減される、請求項32に記載の組み換え微生物。 2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩からの前記2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)炭素の収率は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約75%低減される、請求項32に記載の組み換え微生物。 2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩からの前記2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)炭素の収率は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約95%低減される、請求項32に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩由来産物を産生する、請求項32に記載の組み換え微生物。 前記2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩由来産物は、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールから選択される、請求項36に記載の組み換え微生物。 3−ケト酸の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する前記酵素は、3−ケト酸レダクターゼである、請求項25〜37のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエYMR226(配列番号1)またはその相同体もしくは変異体である、請求項38に記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、および配列番号23、またはその相同体もしくは変異体から選択される、請求項38に記載の組み換え微生物。 前記アルデヒド中間体からの前記酸副産物炭素の収率は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも35%低減される、請求項25〜40のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記アルデヒド中間体からの前記酸副産物炭素の収率は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも75%低減される、請求項25〜40のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記アルデヒド中間体からの前記酸副産物炭素の収率は、アルデヒドの酸副産物への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも95%低減される、請求項25〜40のいずれかに記載の組み換え微生物。 アルデヒドの酸副産物への変換を触媒する前記酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼである、請求項25〜43のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエALD6(配列番号25)またはその相同体もしくは変異体である、請求項44に記載の組み換え微生物。 前記アルデヒドデヒドロゲナーゼは、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41、またはその相同体もしくは変異体から選択される、請求項44に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を低減または排除するように操作される、前述の請求項のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)活性を低減または排除するように操作される、前述の請求項のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、酵母微生物である、前述の請求項のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、サッカロミセスクレードの酵母微生物である、請求項49に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、サッカロミセス・センス・ストリクト微生物である、請求項49に記載の組み換え微生物。 前記サッカロミセス・センス・ストリクト微生物は、S.セレビシエ、S.クドリアブゼビイ、S.ミカタエ、S.バヤヌス、S.ウバルム、S.カロカニス、およびそれらのハイブリッドからなる群から選択される、請求項51に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、クラブトリー陰性酵母微生物である、請求項49に記載の組み換え微生物。 前記クラブトリー陰性酵母微生物は、サッカロミセス、クルイベロミセス、ピキア、ハンゼヌラ、イッサチェンキア、およびカンジダからなる群から選択される属に分類される、請求項53に記載の組み換え微生物。 前記クラブトリー陰性酵母微生物は、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・ラクチス、クルイベロミセス・マルシアヌス、ピキア・アノマラ、ピキア・スチピチス、ピキア・クドリアブゼビイ、イッサチェンキア・オリエンタリス、ハンゼヌラ・アノマラ、カンジダ・ウチリス、およびクルイベロミセス・ワルチイからなる群から選択される、請求項54に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、クラブトリー陽性酵母微生物である、請求項49に記載の組み換え微生物。 前記クラブトリー陽性酵母微生物は、サッカロミセス、クルイベロミセス、ジゴサッカロミセス、デバリオミセス、ピキア、カンジダ、およびシゾサッカロミセスからなる群から選択される属に分類される、請求項56に記載の組み換え微生物。 前記クラブトリー陽性酵母微生物は、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリイ、クルイベロミセス・サーモトレランス、カンジダ・グラブラタ、ジゴサッカロミセス・バイリ、ジゴサッカロミセス・ロウキシイ、デバリオミセス・ハンセニイ、ピキア・パストリウス、シゾサッカロミセス・ポンベ、およびサッカロミセス・ウバルムからなる群から選択される、請求項57に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、WGD(全ゲノム重複)後酵母微生物である、請求項49に記載の組み換え微生物。 前記WGD後酵母微生物は、サッカロミセスまたはカンジダからなる群から選択される属に分類される、請求項59に記載の組み換え微生物。 前記WGD後酵母微生物は、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリイ、およびカンジダ・グラブラタからなる群から選択される、請求項60に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、WGD(全ゲノム重複)前酵母微生物である、請求項49に記載の組み換え微生物。 前記WGD前酵母微生物は、サッカロミセス、クルイベロミセス、カンジダ、ピキア、デバリオミセス、ハンゼヌラ、イッサトケンキア、パキソレン、ヤロウィア、およびシゾサッカロミセスからなる群から選択される属に分類される、請求項62に記載の組み換え微生物。 前記WGD前酵母微生物は、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・サーモトレランス、クルイベロミセス・マルシアヌス、クルイベロミセス・ワルチイ、クルイベロミセス・ラクチス、カンジダ・トロピカリス、ピキア・パストリス、ピキア・アノマラ、ピキア・スチピチス、ピキア・クドリアブゼビイ、イッサチェンキア・オリエンタリス、デバリオミセス・ハンセニイ、ハンゼヌラ・アノマラ、パキソレン・タンノフィリス(tannophilis)、ヤロウィア・リポリチカ、およびシゾサッカロミセス・ポンベからなる群から選択される、請求項63に記載の組み換え微生物。 3−ケト酸中間体に由来する有益な代謝物を産生する方法であって、 (a)請求項1〜16および25〜64のいずれかに記載の組み換え微生物を提供することと、 (b)回収可能な量の前記有益な代謝物が産生されるまで、前記組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養することと、 (c)前記有益な代謝物を回収することと、を含む、方法。 前記3−ケト酸中間体は、アセト乳酸であり、前記有益な代謝物は、イソブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、アセトイン、ジアセチル、バリン、ロイシン、パントテン酸、イソブチレン、3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−1−ペンタノール、および補酵素Aから選択される、請求項65に記載の方法。 前記3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩であり、前記有益な代謝物は、2−メチル−1−ブタノール、イソロイシン、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールから選択される、請求項65に記載の方法。 アルデヒド中間体に由来する有益な代謝物を産生する方法であって、 (a)請求項17〜64のいずれかに記載の組み換え微生物を提供することと、 (b)回収可能な量の前記有益な代謝物が産生されるまで、前記組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養することと、 (c)前記有益な代謝物を回収することと、を含む、方法。 前記アルデヒド中間体は、イソブチルアルデヒド、1−ブタナール、2−メチル−1−ブタナール、3−メチル−1−ブタナール、1−プロパナール、1−ペンタナール、1−ヘキサナール、3−メチル−1−ペンタナール、4−メチル−1−ペンタナール、4−メチル−1−ヘキサナール、および5−メチル−1−ヘプタナールから選択される、請求項68に記載の方法。 前記有益な代謝物は、イソブタノール、1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールから選択される、請求項69に記載の方法。 3−ケト酸およびアルデヒド中間体に由来する有益な代謝物を産生する方法であって、 (a)請求項25〜64のいずれかに記載の組み換え微生物を提供することと、 (b)回収可能な量の前記有益な代謝物が産生されるまで、前記組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養することと、 (c)前記有益な代謝物を回収することと、を含む、方法。 前記3−ケト酸中間体は、アセト乳酸であり、前記有益な代謝物は、イソブタノール、1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノールから選択される、請求項71に記載の方法。 前記3−ケト酸中間体は、2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩であり、前記有益な代謝物は、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール、および5−メチル−1−ヘプタノールから選択される、請求項71に記載の方法。 イソブタノール産生代謝経路を含み、アセト乳酸の2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される、組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MB炭素収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約50%低減される、請求項74に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MB炭素の収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約75%低減される、請求項74に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MB炭素の収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約95%低減される、請求項74に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する前記酵素は、3−ケト酸レダクターゼである、請求項74〜77のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエYMR226(配列番号1)またはその相同体もしくは変異体である、請求項78に記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、および配列番号23、またはその相同体もしくは変異体から選択される、請求項78に記載の組み換え微生物。 イソブタノール産生代謝経路を含み、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作される、組み換え微生物。 イソブチルアルデヒドからの前記イソ酪酸塩炭素の収率は、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも35%低減される、請求項81に記載の組み換え微生物。 イソブチルアルデヒドからの前記イソ酪酸塩炭素の収率は、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも75%低減される、請求項81に記載の組み換え微生物。 イソブチルアルデヒドからの前記イソ酪酸塩炭素の収率は、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも95%低減される、請求項81に記載の組み換え微生物。 イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する前記酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼである、請求項81〜84のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエALD6(配列番号25)またはその相同体もしくは変異体である、請求項85に記載の組み換え微生物。 前記アルデヒドデヒドロゲナーゼは、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41、またはその相同体もしくは変異体から選択される、請求項86に記載の組み換え微生物。 イソブタノール産生代謝経路を含み、(i)アセト乳酸の2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ(ii)イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作されることと、である、組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MB炭素の収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約50%低減される、請求項88に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MB炭素の収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約75%低減される、請求項88に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸からの前記DH2MB炭素の収率は、アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも約95%低減される、請求項88に記載の組み換え微生物。 アセト乳酸のDH2MBへの変換を触媒する前記酵素は、3−ケト酸レダクターゼである、請求項88〜91のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエYMR226(配列番号1)またはその相同体もしくは変異体である、請求項92に記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、および配列番号23、またはその相同体もしくは変異体から選択される、請求項92に記載の組み換え微生物。 イソブチルアルデヒドからの前記イソ酪酸塩炭素の収率は、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも35%低減される、請求項88に記載の組み換え微生物。 イソブチルアルデヒドからの前記イソ酪酸塩炭素の収率は、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも75%低減される、請求項88に記載の組み換え微生物。 イソブチルアルデヒドからの前記イソ酪酸塩炭素の収率は、イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒することに関与する1つ以上の酵素の発現または活性の低減または排除を含まない親微生物と比較して、少なくとも95%低減される、請求項88に記載の組み換え微生物。 イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する前記酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼである、請求項88〜97のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエALD6(配列番号25)またはその相同体もしくは変異体である、請求項98に記載の組み換え微生物。 前記アルデヒドデヒドロゲナーゼは、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41、またはその相同体もしくは変異体から選択される、請求項98に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を低減または排除するように操作される、請求項88〜100のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)活性を低減または排除するように操作される、請求項88〜101のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、酵母微生物である、請求項88〜102のいずれかに記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、サッカロミセスクレードの酵母微生物である、請求項103に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、サッカロミセス・センス・ストリクト微生物である、請求項103に記載の組み換え微生物。 前記サッカロミセス・センス・ストリクト微生物は、S.セレビシエ、S.クドリアブゼビイ、S.ミカタエ、S.バヤヌス、S.ウバルム、S.カロカニス、およびそれらのハイブリッドからなる群から選択される、請求項105に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、クラブトリー陰性酵母微生物である、請求項103に記載の組み換え微生物。 前記クラブトリー陰性酵母微生物は、サッカロミセス、クルイベロミセス、ピキア、ハンゼヌラ、イッサチェンキア、およびカンジダからなる群から選択される属に分類される、請求項107に記載の組み換え微生物。 前記クラブトリー陰性酵母微生物は、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・ラクチス、クルイベロミセス・マルシアヌス、ピキア・アノマラ、ピキア・スチピチス、ピキア・クドリアブゼビイ、イッサチェンキア・オリエンタリス、ハンゼヌラ・アノマラ、カンジダ・ウチリス、およびクルイベロミセス・ワルチイからなる群から選択される、請求項108に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、クラブトリー陽性酵母微生物である、請求項103に記載の組み換え微生物。 前記クラブトリー陽性酵母微生物は、サッカロミセス、クルイベロミセス、ジゴサッカロミセス、デバリオミセス、ピキア、カンジダ、およびシゾサッカロミセスからなる群から選択される属に分類される、請求項110に記載の組み換え微生物。 前記クラブトリー陽性酵母微生物は、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリイ、クルイベロミセス・サーモトレランス、カンジダ・グラブラタ、ジゴサッカロミセス・バイリ、ジゴサッカロミセス・ロウキシイ、デバリオミセス・ハンセニイ、ピキア・パストリウス、シゾサッカロミセス・ポンベ、およびサッカロミセス・ウバルムからなる群から選択される、請求項111に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、WGD(全ゲノム重複)後酵母微生物である、請求項103に記載の組み換え微生物。 前記WGD後酵母微生物は、サッカロミセスまたはカンジダからなる群から選択される属に分類される、請求項113に記載の組み換え微生物。 前記WGD後酵母微生物は、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリイ、およびカンジダ・グラブラタからなる群から選択される、請求項114に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、WGD(全ゲノム重複)前酵母微生物である、請求項103に記載の組み換え微生物。 前記WGD前酵母微生物は、サッカロミセス、クルイベロミセス、カンジダ、ピキア、デバリオミセス、ハンゼヌラ、イッサトケンキア、パキソレン、ヤロウィア、およびシゾサッカロミセスからなる群から選択される属に分類される、請求項116に記載の組み換え微生物。 前記WGD前酵母微生物は、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・サーモトレランス、クルイベロミセス・マルシアヌス、クルイベロミセス・ワルチイ、クルイベロミセス・ラクチス、カンジダ・トロピカリス、ピキア・パストリス、ピキア・アノマラ、ピキア・スチピチス、ピキア・クドリアブゼビイ、イッサチェンキア・オリエンタリス、デバリオミセス・ハンセニイ、ハンゼヌラ・アノマラ、パキソレン・タンノフィリス(tannophilis)、ヤロウィア・リポリチカ、およびシゾサッカロミセス・ポンベからなる群から選択される、請求項117に記載の組み換え微生物。 イソブタノールを産生する方法であって、 (a)請求項74〜118のいずれかに記載の組み換え微生物を提供することと、 (b)回収可能な量のイソブタノールが産生されるまで、前記組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養することと、 (c)前記イソブタノールを回収することと、を含む、方法。 中間体として3−ケト酸を使用する生合成経路を含み、(a)前記3−ケト酸の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ/あるいは (b)3−ケト酸の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する酵素が実質的にない、組み換え微生物。 中間体としてアルデヒドを使用する生合成経路を含み、(a)前記アルデヒド中間体の酸副産物への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ/あるいは (b)アルデヒド中間体の酸副産物への変換を触媒する酵素が実質的にない、組み換え微生物。 中間体として3−ケト酸およびアルデヒドを使用する生合成経路を含み、(a)前記3−ケト酸の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ/あるいは (b)3−ケト酸の3−ヒドロキシ酸副産物への変換を触媒する酵素が実質的になく、かつ(c)前記アルデヒド中間体の酸副産物への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ/あるいは (d)アルデヒド中間体の酸副産物への変換を触媒する酵素が実質的にない、組み換え微生物。 イソブタノール産生代謝経路を含み、(a)アセト乳酸の2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ/あるいは (b)アセト乳酸の2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)への変換を触媒する酵素が実質的にない、組み換え微生物。 イソブタノール産生代謝経路を含み、(a)イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ/あるいは (b)イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素が実質的にない、組み換え微生物。 イソブタノール産生代謝経路を含み、(a)アセト乳酸の2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ/あるいは (b)アセト乳酸の2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)への変換を触媒する酵素が実質的になく、かつ(c)イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する1つ以上の酵素の発現または活性を低減または排除するように操作され、かつ/あるいは (d)イソブチルアルデヒドのイソ酪酸塩への変換を触媒する酵素が実質的にない、組み換え微生物。 (a)ピルビン酸塩をアセト乳酸に変換する、アセト乳酸シンターゼ活性を有するサイトゾル局在化ポリペプチドをコードする遺伝子と、 (b)過剰発現されたケトール酸レダクトイソメラーゼであって、野生型または親KARIと比較して、アセト乳酸に対する低減されたKMおよび/またはアセト乳酸に対する増加されたkcatを示すように操作されている、ケトール酸レダクトイソメラーゼと、を含む、組み換え微生物。 (a)ピルビン酸塩をアセト乳酸に変換する、少なくとも0.5U/mgライセートのアセト乳酸シンターゼ活性を有するサイトゾル局在化ポリペプチドをコードする遺伝子と、 (b)過剰発現されたケトール酸レダクトイソメラーゼ(KARI)であって、少なくとも0.03U/mgライセートのKARI活性を有する、KARIと、を含む、組み換え微生物。 (a)ピルビン酸塩をアセト乳酸に変換する、少なくとも0.5U/mgライセートのアセト乳酸シンターゼ活性を有するサイトゾル局在化ポリペプチドをコードする遺伝子と、 (b)過剰発現されたヒジドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)であって、少なくとも0.03U/mgライセートのDHAD活性を有する、DHADと、を含む、組み換え微生物。 (a)ピルビン酸塩をアセト乳酸に変換する、アセト乳酸シンターゼ活性を有するサイトゾル局在化ポリペプチドをコードする遺伝子と、 (b)アセト乳酸の2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)への変換を触媒することに関与する1つ以上の内在性タンパク質の活性または発現の低減または欠失と、 (c)過剰発現されたケトール酸レダクトイソメラーゼと、を含む、組み換え微生物。 イソブタノール産生代謝経路を含み、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)をアセト乳酸に変換することができる内在性または異種タンパク質を過剰発現する、組み換え微生物。 イソブタノール産生代謝経路を含み、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)を2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩(DHIV)に変換することができる内在性または異種タンパク質を過剰発現する、組み換え微生物。 アセト乳酸を、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)に変換することができる1つ以上の酵素を過剰発現する、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)の産生のための組み換え微生物。 アセト乳酸を2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)に変換することができる前記酵素は、3−ケト酸レダクターゼである、請求項132に記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエYMR226(配列番号1)またはその相同体もしくは変異体である、請求項133に記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、および配列番号23、またはその相同体もしくは変異体から選択される、請求項133に記載の組み換え微生物。 2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸(DH2MB)の産生ための方法であって、 (a)請求項132〜135のいずれかに記載の組み換え微生物を提供することと、 (b)回収可能な量のDH2MBが産生されるまで、前記組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養することと、 (c)前記DH2MBを回収することと、を含む、方法。 2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)に変換することができる1つ以上の酵素を過剰発現する、2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)の産生のための組み換え微生物。 2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩を2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)に変換することができる前記酵素は、3−ケト酸レダクターゼである、請求項137に記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、S.セレビシエYMR226(配列番号1)またはその相同体もしくは変異体である、請求項138に記載の組み換え微生物。 前記3−ケト酸レダクターゼは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、および配列番号23、またはその相同体もしくは変異体から選択される、請求項138に記載の組み換え微生物。 2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)の産生ための方法であって、 (a)請求項137〜140のいずれかに記載の組み換え微生物を提供することと、 (b)回収可能な量の2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)が産生されるまで、前記組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養することと、 (c)前記2−エチル−2,3−ジヒドロキシブタノエート(dihydroyxbutanoate)を回収することと、を含む、方法。 アルデヒドを酸副産物に変換することができる1つ以上の酵素を過剰発現する、酸産物の産生のための組み換え微生物。 アルデヒドの酸産物への変換を触媒する前記酵素は、アルデヒドデヒドロゲナーゼである、請求項142に記載の組み換え微生物。 前記アルデヒドデヒドロゲナーゼは、S.セレビシエALD6(配列番号25)またはその相同体もしくは変異体である、請求項143に記載の組み換え微生物。 前記アルデヒドデヒドロゲナーゼは、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41、またはその相同体もしくは変異体から選択される、請求項143に記載の組み換え微生物。 酸産物の産生のための方法であって、 (a)請求項142〜145のいずれかに記載の組み換え微生物を提供することと、 (b)回収可能な量の前記酸産物が産生されるまで、前記組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養することと、 (c)前記酸産物を回収することと、を含む、方法。 前記酸副産物は、イソ酪酸塩、酪酸塩、2−メチル−1−酪酸塩、3−メチル−1−酪酸塩、プロピオン酸塩、ペンタノエート、ヘキサノエート、3−メチル−1−ペンタノエート、4−メチル−1−ペンタノエート、4−メチル−1−ヘキサノエート、および5−メチル−1−ヘプタノエートから選択される、請求項146に記載の方法。 (a)野生型L.ラクチスAdhA(配列番号2)のチロシン50、(b)野生型L.ラクチスAdhAのグルタミン77、(c)野生型L.ラクチスAdhAのバリン108、(d)野生型L.ラクチスAdhAのチロシン113、(e)野生型L.ラクチスAdhAのイソロイシン212、および(f)野生型L.ラクチスAdhAのロイシン264、からなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置において1つ以上の改変を含む、改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 前記チロシン50残基は、フェニルアラニンまたはトリプトファン残基と置換される、請求項148に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 前記グルタミン77残基は、アルギニンまたはセリン残基と置換される、請求項148に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 前記バリン108残基は、セリンまたはアラニン残基と置換される、請求項148に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 前記チロシン113残基は、フェニルアラニンまたはグリシン残基と置換される、請求項148に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 前記イソロイシン212残基は、スレオニン、アラニン、またはバリン残基と置換される、請求項148に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 前記ロイシン264残基は、バリン残基と置換される、請求項148に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換に対する、前記改変されたADHの前記触媒効率は、前記野生型ADHと比較して、少なくとも約50%増強される、請求項148に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換に対する、前記改変されたADHの前記触媒効率は、前記野生型ADHと比較して、少なくとも約100%増強される、請求項148に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換に対する、前記改変されたADHの前記触媒効率は、前記野生型ADHと比較して、少なくとも約200%増強される、請求項148に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 前記ADHは、ラクトコッカス、ラクトバチルス、ペディオコッカス、バチルス、レプトトリキア、アクチノバチルス、ストレプトコッカス、ストレプトバチルス、スタフィロコッカス、エイケネラ、ワイセラ、キンゲラ、ロチア、およびエキシグオバクテリウムから選択される属に由来する、請求項148に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 前記ADHは、宿主細胞中での発現のためにコドン最適化される、請求項158に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 前記宿主細胞は、酵母である、請求項159に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 前記宿主細胞は、大腸菌である、請求項159に記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)。 請求項148〜161のいずれかに記載の改変されたアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)をコードする核酸構築物により形質転換された、組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、アセト乳酸シンターゼ(ALS)、ケトール酸レダクトイソメラーゼ(KARI)、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)、および2−ケト−酸デカルボキシラーゼ(KIVD)から選択される1つ以上のイソブタノール代謝経路酵素を含む、イソブタノール産生代謝経路を含む、請求項15に記載の組み換え微生物。 前記組み換え微生物は、酵母微生物である、請求項163に記載の組み換え微生物。 イソブタノールを産生する方法であって、 (a)請求項148〜164のいずれか1項に記載の組み換え微生物を提供することと、 (b)回収可能な量の前記イソブタノールが産生されるまで、前記組み換え微生物を、炭素源を提供する供給原料を含有する培養培地中で培養することと、を含む、方法。 本発明は、生合成経路を含む組み換え微生物、および前記組み換え微生物を使用して、種々の有益な代謝物を産生する方法に関する。本発明の種々の態様では、本組み換え微生物は、3ケト−酸(例えば、アセト乳酸および2−アセト−2−ヒドロキシ酪酸塩)および/またはアルデヒド由来副産物の低減または排除をもたらす1つ以上の改変を更に含んでもよい。本明細書に記載される種々の実施形態では、本組み換え微生物は、サッカロミセスクレード、クラブトリー陰性酵母微生物、クラブトリー陽性酵母微生物、WGD(全ゲノム重複)後酵母微生物、WGD(全ゲノム重複)前酵母微生物、および非発酵酵母微生物の微生物であってもよい。【選択図】図5 配列表