タイトル: | 公表特許公報(A)_遺伝子発見および標的確認を補助するための状況特異的遺伝子スクリーニングプラットフォーム |
出願番号: | 2012550159 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C12Q 1/02,G01N 33/15,G01N 33/50,C12N 15/09,A61K 31/7105,A61P 35/00 |
チン, リンダ フェファーナン, ティモシー デピノー, ロナルド JP 2013517772 公表特許公報(A) 20130520 2012550159 20110121 遺伝子発見および標的確認を補助するための状況特異的遺伝子スクリーニングプラットフォーム デイナ ファーバー キャンサー インスティチュート,インコーポレイテッド 399052796 山本 秀策 100078282 安村 高明 100062409 森下 夏樹 100113413 チン, リンダ フェファーナン, ティモシー デピノー, ロナルド US 61/297,143 20100121 C12Q 1/02 20060101AFI20130423BHJP G01N 33/15 20060101ALI20130423BHJP G01N 33/50 20060101ALI20130423BHJP C12N 15/09 20060101ALN20130423BHJP A61K 31/7105 20060101ALN20130423BHJP A61P 35/00 20060101ALN20130423BHJP JPC12Q1/02G01N33/15 ZG01N33/50 ZC12N15/00 AA61K31/7105A61P35/00 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2011022085 20110121 WO2011091272 20110728 144 20120823 2G045 4B024 4B063 4C086 2G045AA40 2G045BB20 2G045CB01 2G045CB17 4B024AA01 4B024AA11 4B024CA02 4B024GA11 4B024HA11 4B063QA07 4B063QA18 4B063QQ02 4B063QQ99 4B063QR32 4B063QR80 4B063QS24 4B063QX01 4C086AA10 4C086EA16 4C086ZB26 関連出願 本出願は、2010年1月21日に出願されたUSSN61/297,143の利益を主張する。USSN61/297,143の内容は、その全体が参考として本明細書に援用される。 本開示内容の実施形態は、遺伝子発見および標的確認において補助するための状況特異的遺伝子スクリーニングプラットフォームを対象とする。 がんは、遺伝学的に不均一であり、がん遺伝子機能は、高度に状況依存的である。がんは、ゲノム中の遺伝子のDNA配列の異常(例えば、変異、コピー数の変化など)によって導かれる。体細胞性に変化しており、ひいてはがん化を導く遺伝子を同定することが、組換えDNA技術の出現以来のがん研究の主要な目的であった。 がんのための標的療法の開発は、特定の腫瘍が生存力のために非常に依存している特定のがん化病変があることを要求するがん遺伝子依存(addiction)および腫瘍維持というパラダイムによって形作られてきた。同時に、これらの腫瘍維持の標的の相対的な重要度は、各腫瘍における関連遺伝的変化の特定の群に応じて変わり、臨床における可変性の治療反応の可能性ある基盤を提供すると思われる。したがって、標的が、腫瘍維持において重要な協力的役割および律速的役割を果たす遺伝的状況についての知識が、このような標的療法の可能性ある臨床開発経路を明らかにするであろう。 前述の関連技術の記載を含めた本記載を通じて、ありとあらゆる米国特許を含めた本明細書に記載されるありとあらゆる公的に入手可能な文書は、その全文が参照によって本明細書に具体的に援用される。前述の関連技術の記載は、決して、係属中米国特許出願を含めたそれに記載される文書のいずれかが、本開示内容の実施形態の先行技術であるということの承認として意図されるものではない。さらに、記載される生成物、方法および/または装置と関連する何らかの不利点の本明細書における記載は、開示される実施形態を制限することを意図するものではない。実際、本開示内容の実施形態は、記載される生成物、方法および/または装置の特定の特徴を、記載される不利点を受けることなく含み得る。 本発明は、細胞の腫瘍形成と関連している機能または表現型を調節する遺伝子および/または遺伝エレメントの同定に関する。 いくつかの実施形態によれば、所与の表現型または組織型を代表する細胞に、目的の遺伝エレメントの収集物を含む核酸ライブラリーならびにがん遺伝子および/またはがん化プロセスと関連しているその他の遺伝エレメントを導入して、がん細胞遺伝子型を有する遺伝的に操作された標的細胞を作製するステップ、非ヒト哺乳動物に標的細胞を、例えば同所性に、移植して、哺乳動物において腫瘍を生じさせるステップ、ならびに腫瘍における、目的の遺伝エレメントの1つまたは複数の発現を同定するステップのうち1つまたは複数を含む、細胞の腫瘍化と関連している機能または表現型を調節する遺伝子を同定する方法が提供される。いくつかの実施形態では、所与の表現型または組織型を代表する細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、初代細胞は、不死化されている。いくつかの実施形態では、所与の表現型または組織型を代表する細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、所与の表現型または組織型を代表する細胞は、始原細胞または幹細胞である。いくつかの実施形態では、標的細胞は、TERTを発現するように遺伝的に操作されている。 本実施形態に従う方法は、所与の表現型または組織型を代表する細胞において、1種または複数の(one of more)腫瘍抑制タンパク質経路を不活化または抑制するステップをさらに含み得る。腫瘍抑制タンパク質経路は、RBおよび/またはp53であり得る。 本実施形態に従う方法は、確認ステップ(複数可)をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、確認ステップ(複数可)は、ステップ(a)において作製された標的細胞に、ステップ(c)において同定された遺伝エレメントの発現を調節(すなわち、増大または減少)できる核酸を導入して、改変された標的細胞を作製するステップと、非ヒト哺乳動物に、改変された標的細胞を同所性に移植するステップと、改変された標的細胞が、対照と比較して、哺乳動物において腫瘍形成を低減するか否かを決定するステップとを含み得る。 いくつかの実施形態によれば、核酸ライブラリーは、目的の遺伝エレメントに対するsiRNA、shRNA、マイクロRNAまたはアンチセンス核酸を含む。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、目的の遺伝エレメントの不活性バージョンまたは不活ドミナントネガティブバージョンをコードする核酸を含み得る。 いくつかの実施形態によれば、本実施形態の方法において使用されるがん遺伝子は、BRAFがん遺伝子、NRASがん遺伝子、KRASがん遺伝子、PI3Kがん遺伝子、PKCiがん遺伝子、HER2がん遺伝子、APCがん遺伝子、EGFRがん遺伝子、PTEN KDがん遺伝子、NF1 KDがん遺伝子、Myr−AKTがん遺伝子、Myr−P110aがん遺伝子、β−カテニンがん遺伝子、EGFRvIIIがん遺伝子のうち1つまたは複数から選択される。 いくつかの実施形態によれば、1種または複数の候補遺伝子または目的の遺伝エレメントは、キナーゼ遺伝子および/または遺伝エレメントから選択される。キナーゼは、野生型キナーゼまたは活性化変異体キナーゼである。 いくつかの実施形態によれば、1種または複数の候補遺伝子または目的の遺伝エレメントは、ホスファターゼ遺伝子および/または遺伝エレメントから選択される。 いくつかの実施形態によれば、1種または複数の候補遺伝子または目的の遺伝エレメントは、メチルトランスフェラーゼ遺伝子および/または遺伝エレメントから選択される。 いくつかの実施形態によれば、1種または複数の候補遺伝子または目的の遺伝エレメントは、PI3Kシグナル伝達経路に関与している遺伝子および/または遺伝エレメントから選択される。 いくつかの実施形態によれば、1種または複数の候補遺伝子または目的の遺伝エレメントは、Gタンパク質共役受容体シグナル伝達経路に関与している遺伝子および/または遺伝エレメントから選択される。 いくつかの実施形態によれば、1種または複数の候補遺伝子または目的の遺伝エレメントは、受容体チロシンキナーゼシグナル伝達経路に関与している遺伝子および/または遺伝エレメントから選択される。 いくつかの実施形態によれば、腫瘍形成と関連している機能または表現型とは、転移、細胞遊走、血管新生、細胞外マトリックス分解、足場非依存性増殖またはアノイキスである。 いくつかの実施形態によれば、操作された腫瘍形成経路と相互作用する生物活性作用物質を求めてスクリーニングするための方法が提供される。いくつかの実施形態は、所与の表現型または組織型を代表する細胞に、がん遺伝子およびがん遺伝子と関連しているがん化プロセスと結びついている1種または複数の遺伝子または目的の遺伝エレメントを導入することを含む、がん細胞遺伝子型を有する遺伝的に操作された標的細胞を作製するステップ;遺伝的に操作された標的細胞を、候補の生物活性作用物質と接触させるステップ;ならびに生物活性作用物質が腫瘍形成表現型に影響を及ぼすか否かを決定するステップのうち1つまたは複数を含む。腫瘍形成表現型は、例えば、転移、細胞遊走、血管新生、細胞外マトリックス分解、足場非依存性増殖またはアノイキスであり得る。図1は、状況特異的遺伝子スクリーニングを示す図である。図2Aは、本発明のいくつかの実施形態によるスクリーニングのための実験デザインを示す図である。図2Bは、基準のJNKシグナル伝達経路を示す図である。実施例1の実験において記録し、確認したキナーゼを丸で囲んだ。図3は、いくつかの実施形態による方法を用いた結果の概要を示す図である。個々のJNKシグナル伝達成分での2次確認スクリーニングの間、HMEL−BRAFV600Eメラノサイト中に形質導入した場合に、MAP2K4およびMAPK9/JNK2の両方によって個々に頑強ながん遺伝子の活性が観察され、16週以内に腫瘍形成がもたらされ、それぞれ30%および50%の浸透度であった。図4Aおよび4Bは、免疫組織化学によるヒト黒色腫検体における核(活性化)ホスホ−cJUNを示す図である。図4Bは、ホスホ−JNK抗体でプローブしたヒト黒色腫検体96個の、逆相タンパク質アレイ分析を示す。赤色の点線は、ヒトメラノサイトにおけるp−JNKのベースラインレベルを表す。図5Aから5Dは、ウエスタンブロットによる誘導性shRNAでのJNK発現のノックダウンを示す図である。図5Bは、2つの独立したshRNAでJNK2をノックダウンしたときのヒト黒色腫細胞系(M619)における足場非依存性の増殖の阻害を示す代表的な実験である。図5Cは、4つのヒト黒色腫細胞系における軟寒天アッセイの編集データを示す。図5Dは、全体およびホスホ−cJUNでプローブしたヒト黒色腫細胞系10個のウエスタンブロットを示す。図6Aから6Dは、2つの独立のshRNA標的化JNK2が発現された場合のHMEL異種移植片系統T1およびT2の腫瘍浸透度を詳述する表を示す図である。図6Bは、対照群(−DOX)および実験群(+DOX)からの腫瘍サイズの代表的な画像である。下のパネルは、好適な腫瘍試料中で発現されたRFP−shRNA標的化JNK2を示す蛍光画像を示す。図6Cは、腫瘍開始時のJNK2ノックダウン(+DOX)の効果を示す。データを、経時のmm3における腫瘍体積としてグラフ化する。図6Dは、実験完了時の腫瘍体積の比較である。図7AおよびBは、確立された腫瘍増殖に対するJNK2ノックダウンの効果を示す図である。腫瘍が100〜200mm3に到達したらDOXをマウスの水に加え、次いで経時的に腫瘍体積を測定した。これらのデータは、in vivoで確立された腫瘍の増殖を維持するのにJNK2が必要とされることを示唆している。図8Aから8Dは、BRAF、UV、およびJNK間の協同を示す図である。図8Aは、増大するフルエンスのUVBで処理した細胞におけるJNKおよびcJUNの発現を測定するウエスタンブロットである。図8Bは、マウスメラノサイトに野生型(WT)または変異体BRAF(V600E)を形質導入し、UVB処理し、次いで軟寒天に接種して形質転換を測定した、軟寒天におけるコロニー形成の測定を表す。これらのデータは、UVの形質転換効果は状況依存的であることを示唆している。図8Cは、1日目の新生仔に対して+/−UVB処理した誘導性のBRAFトランスジェニックマウスの腫瘍フリー生存のカプラン−マイヤープロットである。UVBで処理すると、誘導性のBRAFトランスジェニックマウスに、高悪性度の黒色腫がより高い浸透度で形成された。図8Dは、UVで処理したiBRAFマウスに形成された黒色腫における、核の(活性化された)p−cJUN染色を示す。図9Aから9Dは、JNK2のノックダウンは、確立されたヒト黒色腫異種移植片の増殖を阻害することを示す図である。A.)M619(BRAF−mut)ヒト黒色腫細胞を操作して2つの独立したドキシサイクリン誘導性JNK2 shRNAを発現させ、ヌードマウス中に注射した。腫瘍のサイズが150mm3に到達したらマウスを無作為に2群に分割し、ドキシサイクリンを飲料水中に加えるとshRNAが誘発された。腫瘍サイズを測定し、経時的にグラフ化した。対照の腫瘍が2cm3に接近したら実験を終了した。B.)試験のエンドポイントの腫瘍のグラムにおける重量。C.)ドキシサイクリン処理動物におけるJNK2ノックダウンを示すウエスタン分析。D.)腫瘍RNAのQPCR。*はドキシサイクリン処理した腫瘍を意味する。図10Aおよび10Bは、遺伝的状況および細胞の状況がトランスフォーミングキナーゼの選択を決定することを示す図である。A.)実験デザインの模式図。状況特異的スクリーニングを行って、集中的なキナーゼライブラリーによってヒトメラノサイト(hMEL−BRAFV600E)およびマウスアストロ細胞(mAst−INK4A/ARF−/−;PTEN−/−)の形質転換を比べた。B.)in vivoでhMELおよびmAST細胞系に腫瘍原性を付与するキナーゼを列挙する表。 本発明の原理の理解を促進することを目的として、ここで、図面に示される実施形態を参照し、特定の言語を使用してそれを説明する。それにもかかわらず、本発明の範囲の制限は、それによって意図されず、示されるデバイスにおけるこのような変更およびさらなる改変ならびにそれに例示されるような本発明の原理のさらなる適用は、本発明が関する技術分野における当業者にとって通常想到されるものと考えられるということは理解されなければならない。 状況特異的機能的遺伝子スクリーニングプラットフォーム いくつかの実施形態によれば、機能または表現型の状況における目立つ生物学的関連および臨床的関連を、特定の臨床的に定義できる遺伝的状況のGEOI(目的の遺伝エレメント)のライブラリーに体系的に割り当てることができる遺伝子スクリーニングプラットフォームが提供される。遺伝子スクリーニングプラットフォームによって、新規薬物標的の同定、並行して、所定の遺伝的状況において変更される経路と協調的に作用するさらなる新規経路を教示し、ひいては、新規のがん経路および/または公知のがん経路に対する単一または組み合わせた標的療法の使用の情報を提供する新規クリニカルパスの仮説の同定が可能となる。新規薬物標的は、in vitroでスクリーニングし、同定してもよく、in vivoでスクリーニングし、同定してもよい。 いくつかの実施形態では、状況特異的スクリーニングは、以下の3つの要素:標的細胞の集団;腫瘍形成または転移表現型モデルおよびGEOIライブラリーから構成される。 本明細書の実施例1は、黒色腫化においてがん化BRAFと協力し得るプロテインキナーゼの同定に焦点を当てる本実施形態に従う1種の状況特異的機能的遺伝子スクリーニングの説明を提供する。その実施例は、高度に関連する遺伝的状況(すなわち、BRAFは、ヒト黒色腫の60%超で変異している)を有する標的細胞として、がん化BRAF(BRAFV600E)で形質導入された、p53およびRBが不活性化されたヒトTERT−不死化メラノサイト(HMEL)を使用する。このHMEL−BRAFV600Eメラノサイトは、弱くしか腫瘍形成性でなく、in vivoでは容易には腫瘍を形成しない。110のヒトがんにおいて最も頻繁に変異されるキナーゼの、配列決定され確認されたORFを含有する注目されるドライバーキナーゼライブラリーを、ユニバーサルなレンチウイルスベクターに入れた。次いで、これらのキナーゼを発現するレンチウイルスを、感染がプールされた標的細胞に形質導入し、続いて、皮膚、黒色腫の同所性部位(例えば、適当な微小環境)に移植した。 ライブラリーを形質導入された細胞は、in vivoでより迅速に(相対潜伏期10〜18週)腫瘍を発生し、これはBRAF*と協力して、TERT不死化されたメラノサイトの形質転換を導くことのできるキナーゼがライブラリー中に存在することを示した。次いで、ゲノムPCR配列決定によって得られた腫瘍から候補協力キナーゼを回収した。このようにして、本発明者らは、14の再発性「ヒット」(2種以上のin vivoで得られた腫瘍について陽性に選択されると定義される)を同定し、これは、110種のドライバーキナーゼのうち14種が、in vivoでBRAF変異メラノサイトにおける真のがん化ドライバーである可能性があることを示した。さらに、機能活性の相対強度は、再発によって推測できる。すなわち、シングルヒットは、あまり強くないと考えられる。本発明者らは、経路の知識に重ね合わせると、さらに、豊富であり得る経路(複数可)中のヒットに優先順位をつけることができる。例えば、JNK経路の4種のコアシグナル伝達メディエーターの全て(MAPKKおよびMAPKレベルの両方)がスコアした(図2)。これは、in vivoでの腫瘍形成の際にBRAF変異メラノサイトにおけるJNK活性化の強い優先(または必要性)を指し示す遺伝子プロファイルである。結果から、BRAFV600E黒色腫においては、JNK不活性化が治療上有効であり、JNKおよびBRAFシグナル伝達の同時阻害が合理的な組合せ戦略であるというクリニカルパスの仮説−確認および薬物スクリーニングだけでなく、臨床試験における患者選択/層別化をも導く明確なクリニカルパスの仮説の情報が直ちに提供される。 上記のスクリーニングにおいて、合計23のヒットがあり、そのうち9がシングルヒットであることは注目に値する。より深いスクリーニングが、これらの遺伝子をBRAF*黒色腫における重要な標的と同定し、ならびにこれらのがんにおいて同様に標的とするJNKを超える新規経路を同定する可能性があるので、これらのシングルヒットは破棄されない。これらのシングルヒットとして、CAMKV、HSPB8、MARK1、PRKCH、SNRKおよびTBCKが挙げられる。 標的細胞 いくつかの実施形態によれば、標的細胞は、対応するヒトまたはマウスがんの種類について定義される特徴的な遺伝的変化(すなわち、遺伝的状況)を有するように操作されている哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞またはマウス細胞)である。この遺伝的状況によって、治療薬の適応症、例えば、遺伝学的に定義された亜集団における疾患の種類につながり得るクリニカルパスアプローチが規定される。したがって、標的細胞は、特定の腫瘍の種類の分子およびゲノム知識に従って操作される。 いくつかの実施形態では、標的細胞は、1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9種など)のがん遺伝子を発現および/または過剰発現するように操作され、それによって細胞の遺伝的状況を定義する。がん遺伝子は、任意のがん遺伝子またはその変異ががんと関係している遺伝子であり得る。例えば、がん遺伝子は、DNA配列異常および/または正常遺伝子の過剰発現につながる変異に起因する任意のがん遺伝子であり得る。がん遺伝子の好ましい例として、それだけには限定されないが、APC、ABL1、AR(アンドロゲン受容体)、BRCA1、BRCA2、BRAF、BCL1、BCL2、BCL6、CBFA2、CSF1R、EGFR、ERBB2(HER−2/neu)、EGFRvIII、Flt−3、FOS、ras、NRAS、KRAS、HRAS、MDR1、MYB、MYC、LCK、MYCL1、MYCN、NRAS、p73、Rb−1、Rb−2、ROS1、RET、SRC、Smad4、TCF3、TP53(p53としても知られる)、VHL、PI3K、PKCi、HER2、PTEN(第10染色体で欠失しているホスファターゼおよびテンシンホモログ)、NF1 KD、Myr−AKT、Myr−P110a、β−カテニンからなる群より選択される遺伝子のがん化形態が挙げられる。以下の表は、がん遺伝子の好ましいカテゴリーの一覧を示す。 いくつかの実施形態では、がん遺伝子は、p53(TP53)、p73、ras、BRAF、APC(大腸腺腫症)、myc、VHL(フォンヒッペル・リンダウタンパク質)、Rb−1(網膜芽細胞腫)、Rb−2、BRCA1、BRCA2、AR(アンドロゲン受容体)、Smad4、MDR1およびFlt−3の変異がん化形態から選択される。 いくつかの実施形態では、標的細胞を、一群の(例えば、1つまたは複数の)がん関連遺伝的変化で操作する。標的細胞を、当技術分野で公知の任意の方法を使用して、1種または複数のがん遺伝子を発現および/または過剰発現するように操作してもよい。例えば、標的細胞に、がん遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列を含む任意の適したベクターを一時的にまたは安定にトランスフェクトまたは形質導入してもよい。いくつかの実施形態では、標的細胞に、がん遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列と、がん遺伝子の過剰発現を指示する適したプロモーターおよびエンハンサー配列とを含む任意の適したベクターを一時的にまたは安定にトランスフェクトまたは形質導入してもよい。明細書および添付の特許請求の範囲において、本明細書において使用される用語「過剰発現」とは、その他の点では同一の条件下で所与の細胞を通常特徴付ける発現の基礎レベルより高い発現のレベルを指す。 いくつかの実施形態によれば、標的細胞を、1種または複数の腫瘍抑制タンパク質経路を不活化または抑制するようにさらに操作してもよい。いくつかの実施形態では、腫瘍抑制タンパク質経路は、RBおよびp53経路である。したがって、例えば、RB経路を、細胞をp53DDを発現するようにさらに操作することによって、抑制または不活化してもよい。p53経路を、細胞をCDK4−R24Cを発現するようにさらに操作することによって抑制または不活化してもよい。 いくつかの実施形態では、標的細胞は、非腫瘍細胞である。非腫瘍細胞として、それだけには限定されないが、初代細胞(例えば、マウス、ヒトまたはその他の哺乳動物初代細胞)、幹細胞または始原細胞(例えば、一次組織供給源から得られた幹細胞または始原細胞)が挙げられる。場合により、標的細胞は、細胞培養物を含む。細胞培養物とは、2種以上の細胞の収集物を意味する。培養物中の細胞は、均一であり得る。あるいは、培養物中の細胞は、不均一である。標的細胞は、特定の細胞系統を代表する確立された細胞株であり得る。いくつかの実施形態では、標的細胞は、特定の細胞系統を代表する初代細胞である。いくつかの実施形態では、標的細胞は、特定の細胞系統を代表する腫瘍ナイーブの初代細胞である。したがって、標的細胞集団は、組織または臓器に由来する初代細胞の集団であり得る。いくつかの実施形態では、標的細胞は、ヒトがんが発生する組織から得られた初代細胞である。したがって、初代細胞および細胞株は、それだけには限定されないが、乳房(例えば、乳房組織の管)、卵巣、精巣、肺、膀胱、子宮頸部、頭頸部、皮膚、骨、前立腺、肝臓、肺、脳、喉頭、胆嚢、膵臓、直腸、副甲状腺、甲状腺、副腎、甲状腺、神経組織、結腸、胃、内皮、上皮、脂肪、筋肉、骨髄、心臓、リンパ系、気管支、腎臓および血液を含む組織または臓器から得てもよい。細胞は、当技術分野で公知の任意の方法を使用してex vivo培養のために組織から単離してもよい。 ほとんどの初代ヒト細胞培養物には、限られた寿命しかない。特定数の集団倍加の後、細胞は、老化のプロセスを経て、分裂を停止するが、一般に、生存力は保持する。したがって、いくつかの実施形態では、細胞株を確立または不死化することが望ましい場合がある。不死化細胞株の確立は、例えば、テロメラーゼ遺伝子(例えば、TERT)の人工発現など、当技術分野で公知の任意の方法を使用して達成してもよい。 以下の表は、いくつかの実施形態に従うがん遺伝子および変異を同定する。 対応するヒトがんの種類について定義された特徴的な遺伝的変化を有するように標的細胞を操作することによって意味することを示すために、または特定の遺伝的状況を作製するように標的細胞を操作するために以下の例を提供する。例えば、ヒトバーキットリンパ腫では、C−MYCがん遺伝子を、免疫グロブリン重鎖遺伝子のエンハンサーの下流に転座させ、その結果、C−MYCが過剰発現し、これが、細胞分裂の速度と染色体の不安定性の両方を増大させる。したがって、いくつかの実施形態では、標的細胞を、C−MYCがん遺伝子を発現および/またはC−MYCを過剰発現するように設計してもよい。細胞は、リンパ組織に由来する原発腫瘍ナイーブの細胞であり得る。 HER2過剰発現が、進行卵巣がんにおいて観察されている。したがって、いくつかの実施形態では、非腫瘍卵巣組織に由来する初代細胞を、HER2がん遺伝子を発現および/またはHER2を過剰発現するように操作してもよい。 HER2の過剰発現はまた、非浸潤性乳がんを浸潤性疾患に変換することと結びついている。したがって、いくつかの実施形態では、乳房組織に由来する腫瘍ナイーブの初代細胞を、HER2がん遺伝子を発現および/またはHER2を過剰発現するように操作してもよい。 p53過剰発現が、ヒト乳がんにおいて観察されている。したがって、いくつかの実施形態では、乳房組織(例えば、乳管)に由来する腫瘍ナイーブの初代細胞を、p53がん遺伝子を発現し、ドミナントネガティブ変異を有するp53対立遺伝子を過剰発現し、ならびに/または例えば、MDM2および/もしくはMDM4がん遺伝子を過剰発現するように操作してもよい。いくつかの実施形態では、標的細胞を、p53のノックダウンまたはARF腫瘍抑制物質のノックダウンとして操作してもよい。 Ras変異は、ヒト、マウス、ラットおよびハムスターの肺腺がんではよく見られる。したがって、いくつかの実施形態では、肺組織に由来する腫瘍ナイーブの初代細胞を、rasがん遺伝子を発現および/またはがん化変異を有するrasを過剰発現するように操作してもよい。いくつかの実施形態では、標的細胞を、Ras調節タンパク質の遺伝的変化(例えば、NF−1のノックダウン)を用いて操作してもよい。 以下の表は、その変異が本実施形態とともに使用するのに適したがんと関係している遺伝子の一覧を示す。 A、増幅;AEL、急性好酸球性白血病;AL、急性白血病;ALCL、未分化大細胞リンパ腫;ALL、急性リンパ性白血病;AML、急性骨髄性白血病;AML*、急性骨髄性白血病(主に、治療関連);APL、急性前骨髄球性白血病;B−ALL、B細胞急性リンパ性白血病;B−CLL、B細胞リンパ性白血病;B−NHL、B細胞非ホジキンリンパ腫;CLL、慢性リンパ性白血病;CML、慢性骨髄性白血病;CMML、慢性骨髄単球性白血病;CNS、中枢神経系;D、大欠落;DFSP、隆起性皮膚線維肉腫;DLBL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;DLCL、びまん性大細胞型リンパ腫;Dom、ドミナント;E、上皮;F、フレームシフト;GIST、消化管間葉性腫瘍;JMML、若年性骨髄単球性白血病;L、白血病/リンパ腫;M、間葉;MALT、粘膜関連リンパ組織リンパ腫;MDS、骨髄異形成症候群;Mis、ミスセンス;MLCLS、硬化を伴う縦隔大細胞リンパ腫;MM、多発性骨髄腫;MPD、骨髄増殖性障害;N、ナンセンス;NHL、非ホジキンリンパ腫;NK/T、ナチュラルキラーT細胞;NSCLC、非小細胞肺がん;O、その他;PMBL、原発性縦隔B細胞リンパ腫;プレB All、プレB細胞急性リンパ芽球性白血病;Rec、劣性(reccessive);S、スプライシング部位;T、転座;T−ALL、T細胞急性リンパ芽球性白血病;T−CLL、T細胞慢性リンパ性白血病;TGCT、精巣生殖細胞腫瘍;T−PLL、T細胞プロリンパ性白血病;Germ.、生殖系列。 GEOIのライブラリー(目的の遺伝エレメント): 用語「GEOI」の「目的の遺伝エレメント」とは、がんと結びついているか、もしくは関連している、またはがんの増殖および転移を導く遺伝子の生物学的経路と関連している遺伝エレメント(例えば、遺伝子)を指す。目的の遺伝エレメントのライブラリーとは、ヒトがんまたは腫瘍形成表現型または転移表現型と結びついている、複数の特定の目的の遺伝エレメントまたはその変種(例えば、体細胞または生殖系列変異)を指す。 ゲノム増幅の領域中にあるものなどのゲノム的に変更されたGEOIを含めた、種々の手段によって定義される遺伝エレメントの収集物(cDNA、shRNA);さまざまなヒトがんにおいて統計上有意な変異を有することが示されている、「ドライバーキナーゼ」などの体細胞性の変異遺伝子;代謝経路酵素もしくはGPCRなど、規定の経路または生物学的プロセスまたは分子のクラスの成分。 GEOIは、ゲノミクス主導ライブラリーとして、クラスベースのライブラリーとして、新薬の開発につながるようなゲノムライブラリーとして、または細胞プロセスライブラリーとして分類してもよく、これらは以下にさらに詳細に説明する。 GEOIのライブラリーは、核酸ライブラリーである。これは、目的の遺伝子または遺伝エレメントをコードする核酸を含む核酸ライブラリーを含む。核酸ライブラリーは、また、目的の遺伝子または遺伝エレメントに対するsiRNA、shRNA、マイクロRNAまたはアンチセンス核酸で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、目的の遺伝子または遺伝エレメントの不活性バージョンまたはドミナントネガティブバージョンをコードする核酸を含む。 新薬の開発につながるようなゲノムライブラリー 新薬の開発につながるようなゲノムライブラリーとは、ヒトがんに関与している、既知の新薬の開発につながるような酵素である遺伝子を含むライブラリーである。例えば、ヒトキナーゼは、増幅、過剰発現または変異のいずれかによって、ヒトがんでは変更されることが多く、小分子阻害剤(すなわち、グリベック)を用いて成功裏に阻害されている。新薬の開発につながるようなゲノムライブラリーの例として、それだけには限定されないが、キナーゼ、ホスファターゼ、ヒストンメチルトランスフェラーゼ、ヒストン脱メチル化酵素およびヒストンアセチルトランスフェラーゼおよびヒストン脱アセチル化酵素をコードする遺伝子のライブラリーが挙げられる。 キナーゼ 本明細書において、用語「プロテインキナーゼ」は、その自身のリン酸化状態または別のタンパク質もしくはポリペプチドのリン酸化状態を調節できるタンパク質またはポリペプチドを含む。プロテインキナーゼは、セリン/トレオニン残基、チロシン残基またはセリン/トレオニンおよびチロシン残基の両方に対する特異性(すなわち、リン酸化する特異性)を有し得る。例えば、二重特異性キナーゼ。本明細書におけるように、プロテインキナーゼは、保存が低下したまたは最小のアミノ酸の配列によって分離される、好ましくは、5〜20個、より好ましくは、5〜15個または好ましくは、11個の高度に保存されたモチーフまたはサブドメインを含む、約150〜400個のアミノ酸残基の長さ、好ましくは、約170〜300個のアミノ酸残基の長さ、またはより好ましくは、約190〜300個のアミノ酸残基の長さの触媒ドメインを含み得る。チロシンまたはセリン/トレオニンのいずれかのリン酸化に対するプロテインキナーゼの特異性は、各クラスにおいて異なる残基が保存されているサブドメイン(VIbおよびVIII)の2つの配列によって予測できる(例えば、参照によってその内容が本明細書に援用されるHanksら(1988年)Science 241:42〜52頁)に記載のとおり)。これらのサブドメインもまた本明細書にさらに詳細に記載する。 プロテインキナーゼは、細胞増殖と関連するシグナル伝達経路において役割を果たす。例えば、プロテインキナーゼは、細胞受容体、例えば、増殖因子受容体からのシグナル伝達の調節;細胞が有糸分裂に入ること;および細胞骨格機能、例えば、アクチンバンドリングの調節に関与している。したがって、本発明の分子は、1)細胞受容体、例えば、心臓細胞増殖因子受容体からのシグナルの伝達の調節;2)細胞、例えば、心臓始原細胞が有糸分裂に入ることの調節;3)細胞分化の調節;4)細胞死の調節および5)細胞骨格機能、例えば、アクチンバンドリングの調節に関与している可能性がある。 細胞周期シグナル伝達経路に関与しているプロテインキナーゼの活性の阻害または過剰刺激は、腫瘍形成および転移につながり得る。例えば、c−Src、c−Abl、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ、ホスファチジルイノシトール(phosphotidylinositol)−3−キナーゼ(PI3K)AKTなどのキナーゼおよび上皮増殖因子(EGF)受容体は、がん細胞において活性化されることが多く、腫瘍形成の一因となることがわかっている。これらの多くは、同一のシグナル伝達経路−例えば、細胞増殖を促進するためのMAPキナーゼおよびPI3キナーゼによるHER−キナーゼファミリーメンバー(HER1[EGFR]、HER3およびHER4)伝達シグナルにおいて起こる。 1つのクラスとして、体細胞性に変異されたキナーゼが、ヒトがんにおける主要な治療標的であると証明し、これは、特定のがんの種類において重要ながん化の役割を果たす可能性があるよく変異されるキナーゼを同定しようとする多大な努力の動機付けになった。1つのこのようなキノームを配列決定する努力によって、さまざまなヒトがんにおいて、ヒト黒色腫(Davies)の相当な割合におけるBRAFV600E変異を含む統計的に有意な体細胞ドライバー変異を有する120種のキナーゼが同定された。それ自体が強力な出発点でありながら、これらのゲノムデータを、有効な薬物の開発エンドポイントに効率的に翻訳するには、これらのがんキナーゼが重要な腫瘍維持の役割を果たす遺伝的状況および生物学的状況の理解、すなわち、薬物開発のクリニカルパス仮説が必要である。 目的の好ましいキナーゼ遺伝子および/または遺伝エレメントとして、以下のうち1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9つ・・・全て)が挙げられる: ホスファターゼ ホスファターゼは、脱リン酸化、すなわち、基質からのホスフェート基(複数可)の除去を触媒する酵素である。多数の生物におけるよくあるホスファターゼとして、アルカリホスファターゼがある。タンパク質ホスファターゼは、タンパク質脱リン酸化、プロテインキナーゼによって触媒されるタンパク質リン酸化の反対のプロセスを触媒する。タンパク質リン酸化は、主に、セリン、トレオニンまたはチロシンで起こる。したがって、タンパク質ホスファターゼの主なクラスとして、セリン/トレオニンホスファターゼおよびチロシンホスファターゼが挙げられる。さらに、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリスホスフェート3−ホスファターゼなどの脂質ホスファターゼがある。 目的の好ましいホスファターゼ遺伝子および/または遺伝エレメントとして、以下のうち1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9つ・・・全て)が挙げられる。 ヒストンメチルトランスフェラーゼ ヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)は、酵素、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼおよびヒストン−アルギニンN−メチルトランスフェラーゼであり、これらは補因子S−アデノシルメチオニンから、ヒストンタンパク質のリシンおよびアルギニン残基への1から3個のメチル基の移動を触媒する。これらのタンパク質は、SET(Su(var)3−9、Zeste、トライソラクスのエンハンサー)ドメインを含有することが多い。ヒストンメチル化は、エピジェネティック遺伝子調節において役立つ。メチル化されたヒストンは、DNAとより強固に結合し、転写を阻害する。 ヒストンメチル化は、ヒストンメチルトランスフェラーゼによって触媒され、特に、発達および分化の際に、クロマチン状態および全体的な遺伝子発現の調節において重要な役割を果たす。ヒストンメチル化は、がんならびに炎症、代謝障害および神経障害を含むその他の重要な疾患では、調節不全であり得る。 種々のヒトがんにおいて、ヒストンメチルトランスフェラーゼのゲノムコピー数異常、変異、mRNA発現調節不全が同定されている。ヒストンメチルトランスフェラーゼの阻害によって、細胞がより分化した状態に再プログラミングされ、したがって、このクラスの酵素は、魅力的ながん治療標的として役立つ。 目的の好ましいヒストンメチルトランスフェラーゼ遺伝子および/または遺伝エレメントとして、以下のうち1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9つ・・・全て)が挙げられる: ヒストン脱メチル化酵素 目的の好ましいヒストン脱メチル化酵素遺伝子および/または遺伝エレメントとして、以下のうち1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9つ・・・全て)が挙げられる: ヒストンアセチルトランスフェラーゼ ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)は、アセチルCoAからアセチル基を移動して、ε−N−アセチルリシンを形成することによって、ヒストンタンパク質上の保存されたリシンアミノ酸をアセチル化する酵素である。 目的の好ましいヒストンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子および/または遺伝エレメントとして、以下のうち1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9つ・・・全て)が挙げられる: ヒストン脱アセチル化酵素 ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は、ヒストン上のε−N−アセチルリシンアミノ酸からアセチル基を除去する酵素のクラスである。その作用は、ヒストンアセチルトランスフェラーゼのものと反対である。 目的の好ましいヒストン脱アセチル化酵素遺伝子および/または遺伝エレメントとして、以下のうち1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9つ・・・全て)が挙げられる: ゲノミクス主導ライブラリー ゲノミクス主導ライブラリーは、ヒトのがんにおいてゲノム的に変更されたことが分かっている遺伝子を含むライブラリーである。がんゲノムアトラス(The Cancer Genome Atlas)(TCGA)によって生成されたものなどのデータセットおよび他のゲノムプロファイリングライブラリーを用いて、i)染色体増幅の領域に存在し、またはii)ヒトのがんにおいて体細胞変異された遺伝子を代表するものが開発されている。 がんにおいて増幅される好ましいがん遺伝子および/または目的の遺伝エレメントとして、以下が挙げられる: 以下の表は、がんの遺伝子および/または体細胞変異された目的の遺伝エレメントの一覧を示す: 細胞プロセスライブラリー 細胞プロセスライブラリーは、特定の細胞プロセスに関与する遺伝子を含むライブラリーである。例えば、細胞の代謝およびクロマチンの改変に関与する遺伝子のライブラリーである。基本原理は、これらのプロセスのがんにおける関与および調節解除を示唆する最近の文献に基づく。 クラスベースライブラリー クラスベースライブラリーは、特定のクラスの分子を代表する遺伝子を含むライブラリーである。例えば、本発明者らは、受容体チロシンキナーゼ(RTK)のクラスを含むcDNAライブラリーを開発している。他の開発中のライブラリーとして、Gタンパク質共役受容体(GPCR)、PI3Kシグナル伝達に関与する遺伝子、および膜結合タンパク質が挙げられる。 受容体チロシンキナーゼ 受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、ポリペプチド増殖因子、サイトカイン、およびホルモンに対する高親和性の細胞表面受容体である。受容体チロシンキナーゼは、正常の細胞プロセスの主要な調節因子であるだけでなく、多くのタイプのがんの発生および進行において決定的な役割を有することも示されている。異なるRTKのクラスがいくつか存在し、RTKのクラスとして、それだけには限定されないが、RTKクラスI(EGF受容体ファミリー)、RTKクラスII(インスリン受容体ファミリー)、RTKクラスIII(PDGF受容体ファミリー)、RTKクラスIV(FGF受容体ファミリー)、RTKクラスV(VEGF受容体ファミリー)、RTKクラスVI(HGF受容体ファミリー)、RTKクラスVII(Trk受容体ファミリー)、RTKクラスIX(AXL受容体ファミリー)、RTKクラスX(LTK受容体ファミリー)、RTKクラスXI(TIE受容体ファミリー)、RTKクラスXII(ROR受容体ファミリー)、RTKクラスXIII(DDR受容体ファミリー)、RTKクラスXV(KLG受容体ファミリー)、RTKクラスXVI(RYK受容体ファミリー)、およびRTKクラスXVII(MuSK受容体ファミリー)が挙げられる。 ErbBタンパク質ファミリーまたは上皮増殖因子受容体(EGFR)ファミリーは、4つの構造的に関連する受容体チロシンキナーゼのファミリーである。ヒトにおける不十分なErbBシグナル伝達は、多発性硬化症およびアルツハイマー病などの神経変性疾患の発生に関連する。マウスにおいて、ErbBファミリーのあらゆるメンバーによってシグナル伝達が喪失すると、肺、皮膚、心臓、および脳を含めた器官が欠陥して胎児は死亡する。ErbBシグナル伝達の過剰は、多種多様なタイプの固形腫瘍の発生に関連する。ErbB−1およびErbB−2はヒトのがんの多くにおいて見出されており、これらのシグナル伝達の過剰は、これらの腫瘍の発生および悪性度における重大な因子であり得る。ErbBタンパク質のファミリーとして、上皮増殖因子受容体(EGFR)とも呼ばれるErbB−1;ヒトおよび齧歯動物におけるneuにおいてHER2とも呼ばれるErbB−2;HER3とも呼ばれるErbB−3、およびHER4とも呼ばれるErbB−4が挙げられる。 血小板由来増殖因子PDGF−AおよびPDGF−Bは、細胞の増殖、細胞の分化、細胞の成長、発生、およびがんを含めた多くの疾患を調節する重要な因子として認められている。PDGFファミリーは、PDGF−A、PDGF−B、PDGF−C、およびPDGF−Dからなり、これらはホモ二量体またはヘテロ二量体のいずれか(PDGF−AA、−AB、−BB、−CC、−DD)を形成する。4つのPDGFはその単量体型において不活性である。PDGFは、タンパク質チロシンキナーゼ受容体のPDGF受容体−αおよび−βに結合する。これら2つの受容体のイソ型は、PDGF二量体に結合すると二量体化し、3つの可能な受容体の組合せ、すなわち−αα、−ββ、および−αβをもたらす。受容体の細胞外領域は5つの免疫グロブリン様ドメインからなり、細胞内部分はチロシンキナーゼドメインである。受容体のリガンド結合部位は3つの最初の免疫グロブリン様ドメインに対して位置する。PDGF−CCは、PDGFR−ααおよび−αβと特異的に相互作用するが、−ββとは相互作用せず、ゆえにPDGF−ABに似ている。PDGF−DDはPDGFR−ββに高親和性で結合し、PDGFR−αβに著しく低い程度で結合し、ゆえにPDGFR−ββ特異的であるとみなされる。PDGF−AAはPDGFR−ααのみに結合し、PDGF−BBは3つ全ての受容体の組み合わせに高親和性で結合することができる唯一のPDGFである。 線維芽細胞増殖因子受容体は、その名称が示す通り、線維芽細胞増殖因子ファミリーのタンパク質のメンバーに結合する受容体である。FGFRの5つの異なるメンバーが脊椎動物において同定されており、その全てがチロシンキナーゼスーパーファミリー(FGFR1からFGFR4)に属する。 VEGF受容体は、血管内皮増殖因子(VEGF)に対する受容体である。これらの受容体として、VEGF−A、VEGFR−1(Flt−1)、VEGFR−2(KDR/Flk−1)、およびVEGFR−3が挙げられる。 MET(間葉上皮転移因子)は、c−Metまたは肝細胞増殖因子受容体(HGFR)としても知られている、タンパク質METをコードするプロトオンコジーンである。がんにおけるMETの異常な活性化は悪い予後に相関し、異常に活性なMETは腫瘍の増殖、腫瘍に栄養を供給する新たな血管の形成(血管新生)、および他の器官へのがんの拡散(転移)を誘発する。METは、腎臓、肝臓、胃、乳房、および脳のがんを含めた多くの型のヒトの悪性腫瘍において調節解除される。MET遺伝子における様々な変異が乳頭状腎細胞がんに関連する。 trk受容体は、哺乳動物の神経系におけるシナプスの強度および可塑性を調節するチロシンキナーゼのファミリーである。trk受容体の3つの最も一般的なタイプはtrkA、trkB、およびtrkCである。 アンジオポエチン受容体は、アンジオポエチンに結合する受容体である。同定されているアンジオポエチンは、Ang1、Ang2、Ang3、Ang4の4種存在する。 受容体チロシンキナーゼ(RYK)遺伝子に関連するものは、タンパク質Rykをコードする。この遺伝子がコードするタンパク質は、増殖因子受容体型タンパク質チロシンキナーゼのファミリーの非定型的なメンバーであり、他のメンバーと活性化ドメインおよびヌクレオチド結合ドメインにおける保存残基の数が異なる。 好ましいRTKライブラリーとして、以下のうち1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9つ・・・全て)が挙げられる: Gタンパク質共役受容体 ヒトゲノムは、ホルモン、増殖因子、および他の内因性のリガンドに結合する、およそ350種のGタンパク質共役受容体(GPCR)をコードしている。ヒトゲノム中に見出されるおよそ150種類のGPCRが未知の機能を有する。GPCRは、配列相同性および機能的類似性に基づいて6つのクラスにグループ分けすることができる。これらはクラスA(または1)(ロドプシン様)、クラスB(または2)(セクレチン受容体ファミリー)、クラスC(または3)(代謝調節型グルタミン酸/フェロモン)、クラスD(または4)(真菌接合フェロモン受容体)、クラスE(または5)(サイクリックAMP受容体)、およびクラスF(または6)(フリズルド/スムーズンド)である。 好ましいGPCRライブラリーとして、以下のうち1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9つ・・・全て)が挙げられる: クラスA(または1)(ロドプシン様) ロドプシン様受容体は、Gタンパク質共役受容体の最大のグループを含むタンパク質のファミリーである。ロドプシンAグループは、19のサブグループ(A1〜A19)にさらに細分割されている。 サブファミリーA1は以下を含む:ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体1(CCR1、CKR1);ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体2(CCR2、CKR2);ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体3(CCR3、CKR3);ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体4(CCR4、CKR4);ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体5(CCR5、CKR5);ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体8(CCR8、CKR8);ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体−様2(CCRL2、CKRX);ケモカイン(Cモチーフ)受容体1(XCR1、CXC1);ケモカイン(C−X3−Cモチーフ)受容体1(CX3CR1、C3X1);GPR137B(GPR137B、TM7SF1)。 サブファミリーA2は以下を含む:ケモカイン受容体;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体−様1(CCRL1 CCRL1、CCR11);ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体6(CCR6、CKR6);ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体7(CCR7、CKR7);ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体9(CCR9、CKR9);ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体10(CCR10、CKRA);CXCケモカイン受容体IPR001053;ケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体6(CXCR6、BONZO);ケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体7(CXCR7、RDC1);インターロイキン8 IPR000174(IL8R);IL8R−α(IL8RA、CXCR1);IL8R−β(IL8RB、CXCR2);アドレノメデュリン受容体(GPR182);ダフィー式血液型、ケモカイン受容体(DARC、DUFF);Gタンパク質共役受容体30(GPER、CML2、GPCRエストロゲン受容体)。 サブファミリーA3は以下を含む:アンジオテンシンII受容体;アンジオテンシンII受容体、1型(AGTR1、AG2S);アンジオテンシンII受容体、2型(AGTR2、AG22);アペリン(Apelin)受容体(AGTRL1、APJ);ブラジキニン受容体IPR000496;ブラジキニン受容体B1(BDKRB1、BRB1);ブラジキニン受容体B2(BDKRB2、BRB2);GPR15(GPR15、GPRF);GPR25(GPR25)。 サブファミリーA4は以下を含む:オピオイド受容体IPR001418;デルタオピオイド受容体(OPRD1、OPRD);カッパオピオイド受容体(OPRK1、OPRK);ミューオピオイド受容体(OPRM1、OPRM);ノシセプチン受容体(OPRL1、OPRX);ソマトスタチン受容体IPR000586;ソマトスタチン受容体1(SSTR1、SSR1);ソマトスタチン受容体2(SSTR2、SSR2);ソマトスタチン受容体3(SSTR3、SSR3);ソマトスタチン受容体4(SSTR4、SSR4);ソマトスタチン受容体5(SSTR5、SSR5);GPCRニューロペプチド受容体IPR009150;ニューロペプチドB/W受容体1(NPBWR1、GPR7);ニューロペプチドB/W受容体2(NPBWR2、GPR8);GPR1オーファン受容体(GPR1)IPR002275。 サブファミリーA5は以下を含む:ガラニン受容体IPR000405;ガラニン受容体1(GALR1、GALR);ガラニン受容体2(GALR2、GALS);ガラニン受容体3(GALR3、GALT);システイニルロイコトリエン受容体IPR004071;システイニルロイコトリエン受容体1(CYSLTR1);システイニルロイコトリエン受容体2(CYSLTR2);ロイコトリエンB4受容体IPR003981;ロイコトリエンB4受容体(LTB4R、P2Y7);ロイコトリエンB4受容体2(LTB4R2);リラキシン受容体IPR008112;リラキシン/インスリン様ファミリーペプチド受容体1(RXFP1、LGR7);リラキシン/インスリン様ファミリーペプチド受容体2(RXFP2、GPR106);リラキシン/インスリン様ファミリーペプチド受容体3(RXFP3、SALPR);リラキシン/インスリン様ファミリーペプチド受容体4(RXFP4、GPR100/GPR142);KiSS1由来ペプチド受容体(GPR54)(KISS1R)IPR008103;メラニン凝集ホルモン受容体1(MCHR1、GPRO)IPR008361;ウロテンシンII受容体(UTS2R、UR2R)IPR000670。 サブファミリーA6は以下を含む:コレシストキニン受容体IPR009126;コレシストキニンA受容体(CCKAR、CCKR);コレシストキニンB受容体(CCKBR、GASR);ニューロペプチドFF受容体IPR005395;ニューロペプチドFF受容体1(NPFFR1、FF1R);ニューロペプチドFF受容体2(NPFFR2、FF2R);オレキシン受容体IPR000204;ヒポクレチン(オレキシン)受容体1(HCRTR1、OX1R);ヒポクレチン(オレキシン)受容体2(HCRTR2、OX2R);バソプレシン受容体IPR001817;アルギニンバソプレシン受容体1A(AVPR1A、V1AR);アルギニンバソプレシン受容体1B(AVPR1B、V1BR);アルギニンバソプレシン受容体2(AVPR2、V2R);生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(GNRHR、GRHR)IPR001658;GPR22(GPR22、GPRM);GPR103(GPR103);GPR176(GPR176、GPR)。 サブファミリーA7は以下を含む:ボンベシン受容体IPR001556;ボンベシン様受容体3(BRS3);ニューロメディンB受容体(NMBR);ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR);エンドセリン受容体IPR000499;エンドセリン受容体A型(EDNRA、ET1R);エンドセリン受容体B型(EDNRB、ETBR);GPR37(GPR37、ETBR−LP2)IPR003909;ニューロメディンU受容体IPR005390;ニューロメディンU受容体1(NMUR1);ニューロメディンU受容体2(NMU2R);ニューロテンシン受容体IPR003984;ニューロテンシン受容体1(NTSR1、NTR1);ニューロテンシン受容体2(NTSR2、NTR2);甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR、TRFR)IPR009144;成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHSR)IPR003905;GPR39(GPR39);モチリン受容体(MLNR、GPR38)。 サブファミリーA8は以下を含む:アナフィラトキシン受容体IPR002234;C3a受容体(C3AR1、C3AR);C5a受容体(C5AR1、C5AR);ケモカイン様受容体1(CMKLR1、CML1)IPR002258;ホルミルペプチド受容体IPR000826;ホルミルペプチド受容体1(FPR1、FMLR);ホルミルペプチド受容体様1(FPRL1、FML2);ホルミルペプチド受容体様2(FPRL2、FML1);MAS1がん遺伝子IPR000820;MAS1(MAS1、MAS);MAS1L(MAS1L、MRG);GPR1(GPR1);GPR32(GPR32、GPRW);GPR44(GPR44);GPR77(GPR77、C5L2)。 サブファミリーA9は以下を含む:メラトニン受容体IPR000025;メラトニン受容体1A(MTNR1A、ML1A);メラトニン受容体1B(MTNR1B、ML1B);ニューロキニン受容体IPR001681;タキキニン受容体1(TACR1、NK1R);タキキニン受容体2(TACR2、NK2R);タキキニン受容体3(TACR3、NK3R);ニューロペプチドY受容体IPR000611;ニューロペプチドY受容体Y1(NPY1R、NY1R);ニューロペプチドY受容体Y2(NPY2R、NY2R);膵臓ポリペプチド受容体1(PPYR1、NY4R);ニューロペプチドY受容体Y5(NPY5R、NY5R);プロラクチン放出ペプチド受容体(PRLHR、GPRA)IPR001402;プロキネチシン受容体1(PROKR1、GPR73);GPR19(GPR19、GPRJ);GPR50(GPR50、ML1X);GPR75(GPR75);GPR83(GPR83、GPR72)。 サブファミリーA10は以下を含む:糖タンパク質ホルモン受容体IPR002131;FSH受容体(FSHR);黄体形成ホルモン/絨毛性ゴナドトロピン受容体(LHCGR、LSHR);甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR);ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役受容体4(LGR4、GPR48);ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役受容体5(LGR5、GPR49)。 サブファミリーA11は以下を含む:GPR40関連受容体IPR013312;遊離脂肪酸受容体1(FFAR1、GPR40);遊離脂肪酸受容体2(FFAR2、GPR43);遊離脂肪酸受容体3(FFAR3、GPR41);GPR42(GPR42、FFAR1L);P2プリン受容体IPR002286;プリン作動性受容体P2Y1(P2RY1);プリン作動性受容体P2Y2(P2RY2);プリン作動性受容体P2Y4(P2RY4);プリン作動性受容体P2Y6(P2RY6);プリン作動性受容体P2Y11(P2RY11);GPR31(GPR31、GPRV);GPR81(GPR81);GPR82(GPR82);GPR109B(GPR109B、HM74);オキソグルタレート(アルファケトグルタル酸)受容体1(OXGR1、GPR80);スクシネート受容体1(SUCNR1、GPR91)。 サブファミリーA12は以下を含む:P2プリン受容体IPR002286;プリン作動性受容体P2Y12(P2RY12);プリン作動性受容体P2Y13(P2RY13、GPR86)IPR008109;プリン作動性受容体P2Y14(P2RY14、UDP−グルコース受容体、KI01)IPR005466;GPR34(GPR34);GPR87(GPR87);GPR171(GPR171、H963);血小板活性化因子受容体(PTAFR、PAFR)IPR002282。 サブファミリーA13は以下を含む:カンナビノイド受容体IPR002230;カンナビノイド受容体1(脳)(CNR1、CB1R);カンナビノイド受容体2(マクロファージ)(CNR2、CB2R);リゾホスファチジン酸受容体IPR004065;内皮分化遺伝子2(EDG2);内皮分化遺伝子4(EDG4);内皮分化遺伝子7(EDG7);スフィンゴシン1リン酸受容体IPR004061;内皮分化遺伝子1(EDG1);内皮分化遺伝子3(EDG3);内皮分化遺伝子5(EDG5);内皮分化遺伝子6(EDG6);内皮分化遺伝子8(EDG8);メラノコルチン/ACTH受容体IPR001671;メラノコルチン1受容体(MC1R、MSHR);メラノコルチン3受容体(MC3R);メラノコルチン4受容体(MC4R);メラノコルチン5受容体(MC5R);ACTH受容体(MC2R)、ACTR);GPR3(GPR3);GPR6(GPR6);GPR12(GPR12、GPRC)。 サブファミリーA14は以下を含む:エイコサノイド受容体IPR008365;プロスタグランジンD2受容体(PTGDR、PD2R);プロスタグランジンE1受容体(PTGER1、PE21);プロスタグランジンE2受容体(PTGER2、PE22);プロスタグランジンE3受容体(PTGER3、PE23);プロスタグランジンE4受容体(PTGER4、PE24);プロスタグランジンF受容体(PTGFR、PF2R);プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)受容体(PTGIR、PI2R);トロンボキサンA2受容体(TBXA2R、TA2R)。 サブファミリーA15は以下を含む:P2プリン受容体IPR002286;プリン作動性受容体P2Y5(P2RY5、P2Y5)IPR002188;プリン作動性受容体P2Y10(P2RY10、P2Y10);プロテアーゼ活性化受容体IPR003912;凝固因子II(トロンビン)受容体様1(F2RL1、PAR2);凝固因子II(トロンビン)受容体様2(F2RL2、PAR3);エプスタインバーウイルス誘導遺伝子2(リンパ球特異的Gタンパク質共役受容体)(EBI2);プロトン感知性(Proton−sensing)Gタンパク質共役受容体;GPR4(GPR4)IPR002276;GPR65(GPR65)IPR005464;GPR68(GPR68)IPR005389;GPR132(GPR132、G2A)IPR005388;GPR17(GPR17、GPRH);GPR18(GPR18、GPRI);GPR20(GPR20、GPRK);GPR23(GPR23、P2RY9、P2Y9);GPR35(GPR35);GPR55(GPR55);GPR92(GPR92);凝固因子II受容体(F2R、THRR)。 サブファミリーA16は以下を含む:オプシンIPR001760[7];ロドプシン(RHO、OPSD);オプシン1(錐体視物質)、短波感受性(short−wave−sensitive)(色覚異常、第3色覚異常)(OPN1SW、OPSB)(青色感受性オプシン);オプシン1(錐体視物質)、中波感受性(medium−wave−sensitive)(色覚異常、第2色覚異常)(OPN1MW、OPSG)(緑色感受性オプシン);オプシン1(錐体視物質)、長波感受性(long−wave−sensitive)(色覚異常、第1色覚異常)(OPN1LW、OPSR)(赤色感受性オプシン);網膜Gタンパク質共役受容体(RGR);網膜色素上皮由来ロドプシンホモログ(RRH、OPSX)(視物質様受容体オプシン)IPR001793。 サブファミリーA17は以下を含む:5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)受容体IPR002231;5−HT2A(HTR2A、5H2A);5−HT2B(HTR2B、5H2B);5−HT2C(HTR2C、5H2C);5−HT6(HTR6、5H6)IPR002232;アドレナリン作動性受容体IPR002233;アルファ1A(ADRA1A、A1AA);アルファ1B(ADRA1B、A1AB);アルファ1D(ADRA1D、A1AD);アルファ2A(ADRA2A、A2AA);アルファ2B(ADRA2B、A2AB);アルファ2C(ADRA2C、A2AC);ベータ1(ADRB1、B1AR);ベータ2(ADRB2、B2AR);ベータ3(ADRB3、B3AR);ドパミン受容体IPR000929;D1(DRD1、DADR);D2(DRD2、D2DR);D3(DRD3、D3DR);D4(DRD4、D4DR);D5(DRD5、DBDR);オクトパミン受容体IPR002002;微量アミン受容体IPR009132;TAAR2(TAAR2、GPR58);TAAR3(TAAR3、GPR57);TAAR5(TAAR5、PNR);TAAR8(TAAR8、GPR102);ヒスタミンH2受容体(HRH2、HH2R)IPR000503。 サブファミリーA18は以下を含む:ヒスタミンH1受容体(HRH1、HH1R)IPR000921;ヒスタミンH3受容体(HRH3)IPR003980;ヒスタミンH4受容体(HRH4)IPR008102;アデノシン受容体IPR001634;A1(ADORA1、AA1R);A2a(ADORA2A、AA2A);A2b(ADORA2B、AA2B);A3(ADORA3、AA3R);ムスカリン性アセチルコリン受容体IPR000995;M1(CHRM1、ACM1);M2(CHRM2、ACM2);M3(CHRM3、ACM3);M4(CHRM4、ACM4);M5(CHRM5、ACM5);GPR21(GPR21、GPRL);GPR27(GPR27);GPR45(GPR45、PSP24);GPR52(GPR52);GPR61(GPR61);GPR62(GPR62);GPR63(GPR63);GPR78(GPR78);GPR84(GPR84);GPR85(GPR85);GPR88(GPR88);GPR101(GPR101);GPR161(GPR161、RE2);GPR173(GPR173、SREB3)。 サブファミリーA19は以下を含む:5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)受容体IPR002231;5−HT1A(HTR1A、5H1A);5−HT1B(HTR1B、5H1B);5−HT1D(HTR1D、5H1D);5−HT1E(HTR1E、5H1E);5−HT1F(HTR1F、5H1F);5−HT4(HTR4)IPR001520;5−HT5A(HTR5A、5H5A);5−HT7(HTR7、5H7)IPR001069。 クラスB(または2)(セクレチン受容体ファミリー) セクレチン受容体ファミリーの7回膜貫通型受容体は、進化上関連のあるタンパク質のファミリーである。3つの異なるサブファミリー(B1〜B3)が認められている。セクレチン様GPCRとして、セクレチン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン/副甲状腺ホルモン関連ペプチド、および血管作動性腸ペプチド受容体が挙げられる。 サブファミリーB1は、セクレチンおよびグルカゴンに対する受容体など、全てcAMP媒介性シグナル伝達経路に関与する古典的なホルモン受容体を含む。サブファミリーB1は以下を含む:脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド1型受容体IPR002285;PACR;PACAPR;カルシトニン受容体IPR003287;CALCR;副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体IPR003051;CRHR1;CRHR2;グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド受容体/胃抑制ポリペプチド受容体IPR001749;GIPRグルカゴン受容体関連IPR003290;GLP1R;GLP2R;;成長ホルモン放出ホルモン受容体IPR003288;GHRHR;副甲状腺ホルモン受容体IPR002170;PTHR1;PTHR2;セクレチン受容体IPR002144;SCTR;血管作動性腸ペプチド受容体IPR001571;VIPR1;VIPR2。 サブファミリーB2は、長い細胞外N末端を有する受容体、例えば、数ある中で、白血球細胞表面抗原CD97;ラトロトキシンに対するカルシウム非依存性受容体(例えば、UniProtO94910、および脳特異的血管新生阻害物質受容体(例えば、UniProtO14514)を含む。サブファミリーB2は以下を含む:脳特異的血管新生阻害物質IPR008077;BAI1;BAI2;BAI3;CD97抗原IPR003056;CD97;EMRホルモン受容体IPR001740;CELSR1;CELSR2;CELSR3;EMR1;EMR2;EMR3;EMR4;GPR56オーファン受容体IPR003910;GPR56;GPR64;GPR97;GPR110;GPR111;GPR112;GPR113;GPR114;GPR115;GPR123;GPR125;GPR126;GPR128;GPR133;GPR144;GPR157;ラトロフィリン受容体IPR003924;ELTD1;LPHN1;LPHN2;LPHN3。 サブファミリーB3は、メトセラ(Methuselah)および他のショウジョウバエのタンパク質を含む。典型的な7回膜貫通領域の他に、特徴的な構造の特徴として、リガンド結合に関与するアミノ末端細胞外ドメイン、および特異的なGタンパク質共役に必要とされる細胞内ループ(IC3)が挙げられる。サブファミリーB3は利尿ホルモン受容体IPR002001を含む。 未分類のセクレチンファミリーのサブファミリーとして、Ig−ヘプタ(Ig−hepta)受容体IPR008078;GPR116;DREG;HCTR−5;HCTR−6;KPG_003;KPG_006;KPG_008;KPG_009;RESDA1が挙げられる。 クラスC(または3)(代謝調節型グルタミン酸/フェロモン) 代謝調節型グルタミン酸受容体、すなわちmGluRは、間接的な代謝調節型のプロセスによって活性である1タイプのグルタミン酸受容体の一種である。mGluR1からmGluR8(GRM1からGRM8)と名付けられた8つの異なるタイプのmGluRが、グループI、II、およびIIIに分割される。mGluRは、mGluR7aおよびmGluR7bなどのサブタイプにさらに分割される。グループIにおけるmGluRはmGluR1およびmGluR5を含む。グループIIにおける受容体はmGluR2およびmGluR3を含み、グループIIIはmGluR4、6、7、および8を含む。 クラスF(または6)(フリズルド/スムーズンド) スムーズンドは、ハエからヒトまでに保存されているヘッジホッグ経路のSMO遺伝子がコードするGタンパク質共役受容体タンパク質である。SMOはがん遺伝子として機能することができる。SMO変異の活性化は、ヘッジホッグ経路およびがんの非調節な活性化をもたらし得る。 フリズルドは、Wntシグナル伝達経路および他のシグナル伝達経路における受容体として働くGタンパク質共役受容体タンパク質のファミリーである。フリズルドは活性化されるとサイトゾルにおけるほつれの活性化をもたらす。以下に10個の公知のヒトフリズルド受容体を列挙する:FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、FZD10。 P13Kシグナル伝達経路 ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3キナーゼまたはPI3K)は、ホスファチジルイノシトール(PtdIn)のイノシトール環の3位のヒドロキシル基をリン酸化することができる、関連する細胞内シグナル伝達物質酵素のファミリーである。これらはホスファチジルイノシトール3キナーゼとしても知られている。この経路は、がん遺伝子PI3KCAおよび腫瘍抑制物質PTEN(遺伝子)とともに、カロリー制限におけるインスリンおよびIGF1に対するがん腫瘍の非感受性に関係する。 PI3Kシグナル伝達経路ライブラリーとして、好ましくは、以下のうち1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9つ・・・全て)が挙げられる: 腫瘍形成または転移の表現型モデル 本実施形態によるGEOIライブラリーを含む標的細胞を、好適なin vitroまたはin vivoのモデルにおいて腫瘍形成または転移の表現型を求めてスクリーニングする。本発明の標的細胞を、選択されるがん遺伝子を発現および/または過剰発現するように操作し、それによって細胞の遺伝的状況を規定する。次いで、標的細胞を用いて、腫瘍形成および/または転移を誘発するように標的細胞の選択された遺伝的状況と協同的に相互作用するがん遺伝子のエレメントを求めてスクリーニングする。例えば、選択された遺伝的状況を有する標的細胞のアレイを調製してもよく、それによってアレイ内に位置する各々の個々の標的細胞または標的細胞の集団を、GEOIライブラリーのメンバーを発現するように操作する。このようなGEOI標的化細胞を、次いで、腫瘍形成または転移の表現型に対してモニタリングする。腫瘍形成および転移の表現型を測定するためのin vitroおよびin vivoのモデルは、当技術分野において周知である。例えば、腫瘍形成は、異種移植片モデルなどのin vivoのマウスモデル(例えば、SCID、SCID/ベージュ、またはNOD/SCIDマウス)を用いて測定することができる。 in vitroのモデルは3次元のマトリクスの使用を含む。GEOI標的細胞を、in vivo状態と同様の形態を示す3次元支持体中で増殖させる。このような3次元のゲルの一例は、その内容全体が全文において参照によって本明細書に援用される米国特許第5,580,781号に開示されている。 いくつかの実施形態では、腫瘍形成および/または自発的な転移を、腫瘍細胞の同所性の注射の後に決定することができる。ここでは、GEOI標的細胞を、起源の器官または組織中に直接移植する。同所性に移植した腫瘍の利点は、例えば、悪性黒色腫、前立腺腫瘍、または骨肉腫などに対して、実証されている。例えば、その内容全体が全文において参照によって本明細書に援用される、Kerbelら、Cancer & Metast. Rev.、10巻、201〜215頁、1991年;Stephensonら、Natl. Cancer Inst.、84巻、951〜957頁、1992年;Berlinら、Cancer Res.、53巻、4890〜4895頁、1993年を参照されたい。腫瘍細胞の同所性の注射の方法およびモデルは当技術分野において周知であり、その内容全体が全文において参照によって本明細書に援用される、米国特許第5,837,462号などにおいて以前に記載されている。さらに、同所性の腫瘍モデルは抗腫瘍薬のルーチンのスクリーニングに利用できる。個々のがんに特異的な同所性の注射の方法およびモデルは当技術分野において周知である。例えば、Freytagら、「Efficacy and toxicity of replication−competent adenovirus−mediated double suicide gene therapy in combination with radiation therapy in an orthotopic mouse prostate cancer model」、Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys.、54巻、873〜886頁、2002年を参照されたい。 標的細胞(例えば、特定のがんに関与することが知られているがん遺伝子を発現するように操作する一次組織細胞)の好適な同所性の移植の例として、それだけには限定されないが、a)グリオーマ−頭蓋内;b)乳がん−乳房脂肪体内;c)肺がん−肺内(肺の胸膜腔または気管内);d)前立腺−前立腺内注射;e)ミエローマ−骨髄内に直接;f)脳−頭蓋内が挙げられる。 いくつかの実施形態によると、腫瘍形成に関連する機能または表現型は、転移、細胞遊走、血管新生、細胞外マトリックス分解、足場非依存的増殖(例えば、軟寒天における増殖)、またはアノイキスの1つまたは複数である。 転移の表現型は、転移巣の測定によるなど、当技術分野において公知のあらゆる方法を用いて評価することができる。 候補GEOIの確認 腫瘍形成および転移を測定するためのあらゆるin vitroおよび/またはin vivoモデルにおいてポジティブな結果を示す候補GEOIの重要性は、RNAi技術を用いた発現のノックダウンによって確認し、かつ/またはさらに評価することができる。例えば、候補GEOIは、RNAi技術およびその後の腫瘍形成および/または転移のマウスモデル(例えば、SCID、SCID/ベージュ、もしくはNOD/SCIDマウス)における同所性の注射を用いた発現のノックダウンによって、確認し、かつ/またはさらに評価することができる。RNAi技術を用いた候補GEOIの発現のノックダウンは、腫瘍形成および転移のin vitroモデルにおいて行うことができる。RNAi技術が腫瘍形成または転移の表現型の発生を阻害し、遅らせ、または妨げる場合に、候補GEOIが確認される。このような確認のスクリーニング/アッセイは、1)候補GEOIが適切な薬物標的であるか否かの決定、2)潜在的な新規な治療上の標的として働く特異的なGEOIの同定(インタクトな、または破壊された候補GEOI発現を有する細胞を発現プロファイリングすることによって)、3)候補GEOIのプロテオミクスシグネチャ(proteomics signature)の決定を可能にする。シグネチャの発現プロファイルおよびプロテオミクスプロファイルの有用性により、薬物の有効性および候補GEOIに対する特異性の評価における強力な方策が得られる。 スクリーニング方法 いくつかの実施形態によると、本発明のGEOIライブラリーを含む標的細胞を、操作された経路と相互作用する化合物(例えば、薬物、生物活性物質、小分子など)を求めてスクリーニングするための方法において用いることができる。 いくつかの実施形態では、a.所与の表現型または組織型を代表する細胞に、がん遺伝子およびがん遺伝子と関連しているがん化プロセスと結びついている1種もしくは複数の遺伝子または目的の遺伝エレメントを導入することを含む、がん細胞遺伝子型を有する遺伝的に操作された標的細胞を作製するステップと、b.遺伝的に操作された標的細胞を、候補生物活性作用物質と接触させるステップと、c.生物活性作用物質が、腫瘍形成表現型に影響を及ぼすか否かを決定するステップとを含む、操作された腫瘍形成経路と相互作用する生物活性作用物質を求めてスクリーニングするための方法を提供する。腫瘍形成の表現型は、転移、細胞遊走、血管新生、細胞外マトリックス分解、足場非依存的増殖、またはアノイキスの1つまたは複数であってよい。 定義 別段の規定がなければ、本明細書で用いられる技術用語および科学用語は全て、本発明が属する技術分野における通常の技術者の一人が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載するのと同様または等価の方法および材料を、本発明の実践または試験において用いることができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。刊行物、特許出願、特許、および本明細書で言及する他の参考は全て、その全文が参照によって援用される。抵触の場合には、定義を含めた本明細書によって規制される。さらに、材料、方法、および実施例は説明にすぎず、限定を意図するものではない。本発明の他の特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態および特許請求の範囲から明らかであろう。 本明細書に記載する実施形態の理解を促す目的で、好ましい実施形態に対して言及し、好ましい実施形態を記載するのに特定の言語を用いる。本明細書において用いられる専門用語は特定の実施形態を記載する目的にすぎず、本発明の範囲を制限しようとするものではない。本開示を通して用いられる単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明らかに他のものを指示しなければ複数の指示内容を含む。このように、例えば、「1つの組成物(a composition)」に対する言及は、単一の組成物同様、複数のこのような組成物を含み、「1つの治療物質(a therapeutic agent)」に対する言及は、1つまたは複数の治療物質および/または薬剤、ならびに当業者には公知のこれらの同等物に対する言及である、などである。このように、例えば、「1つの宿主細胞(a host cell)」に対する言及は複数のこのような宿主細胞を含んでおり、「1つの抗体(an antibody)」に対する言及は、1つまたは複数の抗体、および当技術分野業者には公知のこれらの同等物に対する指示内容である、などである。さらに、「1つの(a)」または「1つの(an)」の単語の使用は、特許請求の範囲および/または明細書において「含む(comprising)」の語と組み合わせて用いる場合「1つ(one)」を意味し得るが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、および「1つ以上」の意味とも一致する。 本開示を通して「約」の語は、値が、値を決定するのに用いられる装置または方法に対する誤差の標準偏差を含むことを示すのに用いられる。 特許請求の範囲における「または」の語の使用は、代替物に言及するにすぎないことを明らかに指摘しなければ、または代替物が相互に排他的でなければ、「および/または」を意味するのに用いられるが、本開示は代替物および「および/または」のみに言及する定義を支持するものである。 本明細書および特許請求の範囲(複数可)において用いられる、「含む(comprising)」(ならびに含むのあらゆる形、例えば、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」)、「有する(having)」(ならびに有するのあらゆる形、例えば、「有する(have)」および「有する(has)」)、「含む(including)」(ならびに含むのあらゆる形、例えば、「含む(includes)」および「含む(include)」)、または「含む(containing)」(ならびに含むのあらゆる形、例えば、「含む(contains)」および「含む(contain)」)は包括的であり、または制限がなく、さらなる列挙されていないエレメントまたは方法のステップを除外するものではない。 「腫瘍」または「がん」の語は、発がん性の(cancer−causing)細胞に典型的な特徴、例えば、非制御の増殖、不死性、転移の可能性、速い成長および増殖速度、ならびにある種の特徴的な形態学的特徴を有する細胞の存在を意味する。がん細胞は腫瘍の形態におけることが多いが、このような細胞は動物内に単独で存在することがあり、または白血病細胞など、非腫瘍形成性のがん細胞であることもある。本明細書で用いられる「がん」の語は、前がん性および悪性のがんを含む。がんとして、それだけには限定されないが、膵臓がん、例えば、膵臓腺がん、黒色腫、乳がん、肺がん、気管支がん、直腸結腸がん、前立腺がん、膵臓がん、胃がん、卵巣がん、膀胱がん、脳または中枢神経系のがん、末梢神経系のがん、食道がん、子宮頸がん、子宮がんまたは子宮内膜がん、口腔または咽頭のがん、肝臓がん、腎臓がん、精巣がん、胆道がん、小腸または虫垂のがん、唾液腺がん、甲状腺がん、副腎がん、骨肉腫、軟骨肉腫、血液学的な組織のがんなどが挙げられる。 本明細書で用いられる「プロモーター/調節配列」の語は、プロモーター/調節配列に作動可能に連結した遺伝子生成物の発現に必要とされる核酸配列を意味する。いくつかの場合において、この配列はコアプロモーター配列であってよく、他の場合において、この配列はエンハンサー配列および遺伝子生成物の発現に必要とされる他の調節エレメントも含むことができる。プロモーター/調節配列は、例えば、空間的に、または一時的に制限するやり方で遺伝子生成物を発現するものであってよい。 「構成的」プロモーターは、遺伝子生成物をコードし、または特定するポリヌクレオチドに作動可能に連結した場合に、ほとんどまたは全ての細胞の生理学的条件下で、生存するヒト細胞における遺伝子生成物の生成をもたらすヌクレオチド配列である。 「誘導性」プロモーターは、遺伝子生成物をコードし、または特定するポリヌクレオチドに作動可能に連結した場合に、実質的に、プロモーターに対応するインデューサーが細胞中に存在する場合のみに、生存するヒト細胞における遺伝子生成物の生成をもたらすヌクレオチド配列である。 「組織特異的」プロモーターは、遺伝子生成物をコードし、または特定するポリヌクレオチドに作動可能に連結した場合に、遺伝子生成物をもたらすヌクレオチド配列である。本発明は、アンチセンスの核酸分子、すなわち、本発明のセンス核酸に相補的である分子(例えば、本発明のマーカーに対応する二重鎖cDNA分子のコード鎖に相補的である分子、または本発明のマーカーに対応するmRNA配列に相補的である分子)を包含する。したがって、本発明のアンチセンス核酸分子は、本発明のセンス核酸に水素結合(すなわちアニール)することができる。アンチセンス核酸は、タンパク質コード領域(またはオープンリーディングフレーム)の全部または部分など、コード鎖全体、またはその部分のみに対して相補的であってよい。アンチセンス核酸分子は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の非コード領域の全部または部分に対してアンチセンスであってもよい。非コード領域(「5’および3’非翻訳領域」)は、コード領域に隣接し、アミノ酸に翻訳されない5’および3’配列である。 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、長さ約5、10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50、またはそれを超えるヌクレオチドであってよい。本発明のアンチセンス核酸は、当技術分野において公知の手順を用いて、化学合成および酵素的ライゲーション反応を用いて構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増大し、もしくはアンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成される二本鎖の物理的安定性を増大するようにデザインされた様々に改変されたヌクレオチドを用いて化学合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換したヌクレオチドを用いることができる。アンチセンス核酸を生成するのに用いることができる改変されたヌクレオチドの例として、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルケオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルケオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル(pseudouracil)、ケオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンが挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸は、その中に核酸がアンチセンス配向においてサブクローニングされている発現ベクターを用いて生物学的に生成することができる(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、以下のサブセクションにおいてさらに記載する、目的の標的の核酸のアンチセンス配向となる)。 本発明のアンチセンス核酸分子を、細胞のmRNA、および/または本発明の選択されたマーカーに対応するポリペプチドをコードするゲノムDNAとハイブリダイズし、または結合するように、被験体に投与し、またはインサイチューで生成させ、それによって、例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって、マーカーの発現を阻害するのが典型的である。ハイブリダイゼーションは安定な二本鎖を形成するように相補的である従来のヌクレオチドによるものであってもよく、または、例えば、DNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合は、二重らせんの主溝における特異的な相互作用によってもよい。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例として、組織部位における直接注射、または好適に関連している体液(例えば、脳脊髄液)中へのアンチセンス核酸の注入が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子を、選択された細胞を標的とするように改変し、次いで全身投与してもよい。例えば、全身投与に対して、例えば、細胞表面の受容体または抗原に結合するペプチドまたは抗体にアンチセンス核酸分子を連結することによって、アンチセンス分子を、選択された細胞表面上に発現される受容体または抗原にアンチセンス分子が特異的に結合するように改変してもよい。アンチセンス核酸分子を、本明細書に記載するベクターを用いて細胞に送達することもできる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、その中にアンチセンス核酸分子が、強力なpolIIまたはpolIIIプロモーターの制御下で配置されるベクター構築物が好ましい。 本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子であってよい。α−アノマー核酸分子は、相補的なRNAと特異的な二重鎖ハイブリッドを形成し、その場合通常のαユニットとは対照的に鎖は互いに並行に伸びている(Gaultierら、1987年、Nucleic Acids Res.、15巻、6625〜6641頁)。アンチセンス核酸分子は、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら、1987年、Nucleic Acids Res.、15巻、6131〜6148頁)またはキメラのRNA−DNA類似体(Inoueら、1987年、FEBS Lett.、215巻、327〜330頁)も含むことができる。 本明細書で用いられる「RNA干渉物質」は、本発明のバイオマーカーなど、RNA干渉(RNAi)によって、標的遺伝子の発現に干渉し、または阻害するあらゆる物質と定義される。このようなRNA干渉物質として、それだけには限定されないが、標的の遺伝子に相同であるRNA分子を含む核酸分子、例えば、本発明のバイオマーカー、またはこれらのフラグメント、低分子干渉RNA(siRNA)、およびRNA干渉(RNAi)によって標的遺伝子の発現に干渉し、または阻害する小分子が挙げられる。 「RNA干渉(RNAi)」は、標的遺伝子と同一または極めて類似する配列のRNAの発現または導入が、その標的遺伝子から転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)の配列特異的分解または特異的な転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)をもたらし(Coburn, G.およびCullen, B.(2002年)J. of Virology、76巻(18)、9225頁を参照されたい)、それによって標的遺伝子の発現を阻害する進化上保存されているプロセスである。一実施形態では、RNAは二重鎖RNA(dsRNA)である。このプロセスは、植物、無脊椎動物、および哺乳動物の細胞において記載されている。天然において、RNAiはdsRNA特異的エンドヌクレアーゼダイサーによって開始され、ダイサーは長いdsRNAの、siRNAと呼ばれる二重鎖フラグメント中への連続移動的な切断を促進する。siRNAは標的のmRNAを認識し、切断するタンパク質複合体中に組み入れられる。RNAiは、合成のsiRNAまたはRNA干渉物質など、標的遺伝子の発現を阻害またはサイレンシングする核酸分子を導入することによって開始することもできる。本明細書で用いられる「標的遺伝子発現の阻害」または「バイオマーカー遺伝子発現の阻害」は、標的遺伝子(例えば、本発明のバイオマーカー遺伝子)の発現もしくはタンパク質活性もしくはレベルにおける、または標的遺伝子によってコードされるタンパク質(例えば、本発明のバイオマーカータンパク質)におけるあらゆる低減を含む。低減は、RNA干渉物質によって標的にされない標的遺伝子によってコードされるタンパク質の標的遺伝子の発現もしくは活性もしくはレベルに比べて、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%、またはそれを超えてよい。 本明細書において「小型干渉RNA」とも呼ぶ「低分子干渉RNA」(siRNA)は、例えば、RNAiによって、標的遺伝子の発現を阻害するように機能する物質と定義される。siRNAは化学合成することができ、in vitroの転写によって生成することができ、または宿主細胞内で生成することができる。一実施形態では、siRNAは、長さ約15から約40ヌクレオチド、好ましくは約15から約28ヌクレオチド、より好ましくは長さ約19から約25ヌクレオチド、より好ましくは長さ約19、20、21、または22ヌクレオチドの二重鎖RNA(dsRNA)であり、各鎖上に長さ約0、1、2、3、4、または5ヌクレオチドを有する3’および/または5’オーバーハングを含むことができる。オーバーハングの長さは2本の鎖間で独立であり、すなわち1本の鎖状のオーバーハングの長さは第2の鎖状のオーバーハングの長さに依存しない。siRNAが、標的のメッセンジャーRNA(mRNA)の分解または特異的な転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)によってRNA干渉を促進することができるのが好ましい。 別の一実施形態では、siRNAは小型ヘアピン(ステムループとも呼ばれる)RNA(shRNA)である。一実施形態では、これらのshRNAは低分子の(例えば、19〜25ヌクレオチド)アンチセンス鎖から構成され、その後に5〜9ヌクレオチドのループ、および類似のセンス鎖が続く。あるいは、センス鎖の後にヌクレオチドループ構造があってよく、アンチセンス鎖が続いてよい。これらのshRNAはプラスミド、レトロウイルス、およびレンチウイルス中に含まれていてよく、例えば、pol III U6プロモーター、または別のプロモーターから発現されてよい(例えば、本明細書に参照によって援用されるStewartら、(2003年)RNA April、9巻(4)、493〜501頁を参照されたい)。 RNA干渉物質、例えば、siRNA分子を、がんを有し、またはがんを有する危険のある被験体に投与して、がんにおいて過剰発現されるバイオマーカー遺伝子(例えば、表2に列挙するバイオマーカー)など、本発明のバイオマーカー遺伝子の発現を阻害し、それによって、被験体におけるがんを処置し、予防し、または阻害してもよい。 方法と材料 変異ががんにおいて関係付けられているGEOI、がん遺伝子(複数可)、または遺伝子(複数可)の発現 変異ががんにおいて関係付けられているGEOI、がん遺伝子(複数可)、または遺伝子(複数可)、および本明細書に記載する本発明の他の遺伝子または配列を含む核酸は、本明細書にさらに記載する通り、調節エレメント、例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、および終止シグナルに連結していてよい。当業者であれば、本明細書に記載する核酸を、これらの遺伝子を発現する核酸を有する発現ベクターによって発現させることができ、これらの発現ベクターを数々の方法において改変することができることを容易に理解されよう。 「ベクター」の語は、それが連結している別の核酸を運搬することができる核酸を意味する。本発明に従って用いることができるベクターの一タイプはエピソーム、すなわち、染色体外複製の可能な核酸である。他のベクターとして、これらが連結している核酸の自己複製および発現ができるものが挙げられる。これらが作動可能に連結した遺伝子の発現を指示することができるベクターを、本明細書において「発現ベクター」と呼ぶ。 本明細書で用いられる「作動可能に連結した」の語は、機能的な関係におけるポリヌクレオチドエレメントの連結を意味する。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、コード配列の転写に影響を及ぼすのであれば、コード配列に作動可能に連結している。より正確に述べると、2つのDNA分子(例えば、プロモーター領域を含むポリヌクレオチド、および所望のポリペプチドまたはポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチド)は2つのポリヌクレオチド間の連結の性質が(1)フレームシフト変異の導入をもたらさず、または(2)コードポリヌクレオチドの転写を指示するプロモーターを含むポリヌクレオチドの能力を妨害しないのであれば「作動可能に連結した」と言われる。一般に、組換えDNA技術において有用である発現ベクターは、環状の二重鎖DNA分子を意味する「プラスミド」の形態におけることが多く、このDNA分子はベクターの形態において染色体に結合していない。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドはベクターの最も一般的に用いられる形態であるので、交換可能に用いられる。しかし、本発明は、同等の機能を果たし、当技術分野においてこの点に関して引き続き知られるようになるこのような他の形態の発現ベクターを含むことを意図するものである。 好適なベクターを、感染、形質導入、トランスフェクション、トランスベクション、電気穿孔、および形質転換などの周知の技術を用いて標的の宿主細胞中に導入してもよく、細胞中に組成物を導入するのに添付の試薬を用いるのが典型的である。一般的に、プラスミドベクターを、リン酸カルシウム沈殿などの沈殿物において、または荷電した脂質との複合体において導入する。ベクターがウイルスである場合、好適なパッケージング細胞系を用いてin vitroでパッケージングし、次いで細胞中に導入してもよい。一実施形態では、ベクターは、例えば、ファージ、プラスミド、ウイルス、またはレトロウイルスであってよい。例示のウイルスおよびレトロウイルスのベクターとして、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ベクター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、マウス白血病ウイルス(MLV)などが挙げられる。レトロウイルスベクターは、複製可能でも、または複製欠損でもよい。複製欠損の場合、ウイルスの繁殖は、標的の宿主細胞を補足する上でのみ生じるのが一般的である。好ましい一実施形態では、ベクターは組換えレトロウイルスベクターである。遺伝子送達ビヒクルは、任意選択によって、ウイルスの複製開始点またはパッケージングシグナルなどのウイルス配列を含むことができる。これらのウイルス配列は、アストロウイルス(astrovirus)、コロナウイルス(coronavirus)、オルソミクソウイルス(orthomyxovirus)、パポバウイルス(papovavirus)、パラミクソウイルス(paramyxovirus)、パルボウイルス(parvovirus)、ピコルナウイルス(picornavirus)、ポックスウイルス(poxvirus)、レトロウイルス(retrovirus)、トガウイルス(togavirus)、またはアデノウイルス(adenovirus)などのウイルスから選択することができる。組換えレトロウイルスおよびその様々な使用は、例えば、その内容全体が全文において参照によって本明細書に援用される、Mannら、(Cell、33巻、153頁、1983年)、CaneおよびMulligan(Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA、81巻、6349頁、1984年)、Millerら、(Human Gene Therapy、1巻、5〜14頁、1990年)、米国特許第4,405,712号、同第4,861,719号、および同第4,980,289号、ならびにPCT出願WO89/02,468、WO89/05,349、ならびにWO90/02,806を含めた多くの参考文献に記載されている。多くのレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルは、例えば、その内容全体が全文において参照によって本明細書に援用される、EP0,415,731;WO90/07936;WO94/03622;WO93/25698;WO93/25234;米国特許第5,219,740;WO9311230;WO9310218; VileおよびHart(Cancer Res.、53巻、3860〜3864頁、1993年);Vile およびHart、(Cancer Res.、53巻、962〜967頁、1993年);Ramら、(Cancer Res.、53巻、83〜88頁、1993年);Takamiyaら、(J. Neurosci. Res. 、33巻、493〜503頁、1992年);Babaら、(J. Neurosurg.、79巻、729〜735頁、1993年);米国特許第4,777,127号;GB2,200,651;EP0,345,242;およびWO91/02805に記載されているものを含めて本発明において利用することができる。 本発明のポリヌクレオチドを送達するのに用いることができる他のウイルスベクター系は、モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney murine leukemia virus)(例えば、その内容全体が全文において参照によって本明細書に援用される、MorgensternおよびLand、Nucleic Acids Res.、18巻、3587〜3596頁、1990年);ヘルペスウイルス(herpes virus)(例えば、単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus)(その内容全体が全文において参照によって本明細書に援用される、1997年5月20日発行の、Wooらによる米国特許第5,631,236号、およびNurovexによるWO00/08191);ワクシニアウイルス(vaccinia virus)(その内容全体が全文において参照によって本明細書に援用される、Ridgeway(1988年)Ridgeway、「Mammalian expression vectors」、Rodriguez R L、Denhardt D T編集、Vectors: A survey of molecular cloning vectors and their uses、ならびにStoneham: Butterworth、Baichwal、およびSugden(1986年)「Vectors for gene transfer derived from animal DNA viruses: Transient and stable expression of transferred genes」、Kucherlapati R編集、Gene transfer.、New York、Plenum Press; Couparら(1988年)Gene、68巻、1〜10頁)、ならびにいくつかのRNAウイルスに由来している。 改変は、構成的に調節されているベクターに対する個々のヌクレオチドの置換、またはベクター配列における1つもしくは複数のヌクレオチドの挿入もしくは欠失を含むことができる。配列の合間(例えば、代替のプロモーター)の発現を変更(すなわち、増大または低減)し、より大きなクローニングの柔軟性(例えば、代替の複数のクローニング部位)をもたらし、より大きな実験効率(例えば、代替のレポーター遺伝子)をもたらし、かつ/またはベクターの安定性を増大する構成的に調節されているベクターに対する改変または作動可能な連結が、本明細書において企図される。一実施形態では、本発明の発現ベクターは、標準的なライゲーションによって潜在的なエンハンサーを挿入するための制限酵素部位を含む、マルチクローニング配列を有するGateway(登録商標)クローニングカセットを置き換えるように改変されてよい。 本明細書における「プロモーター」は、遺伝子の特異的な転写を開始するのに必要とされる、細胞の合成的な機構によって認識されるDNA配列を意味する。別の一実施形態では、本発明の発現ベクターは、エンハンサープロモーターの組合せの試験をできるようにするように、内在性の遺伝子プロモーター、誘導プロモーター、細胞型特異的プロモーター、最小プロモーター、または当業者には公知である他の代替のエンハンサープロモーター配列を含めた、強力なCMVプロモーター配列を排除するように改変されてよい。キナーゼなどの多くのタンパク質は、所与の細胞中で過剰発現されることによって単純に活性化することができる。一実施形態では、野生型または調節可能なタンパク質の発現の増大をもたらすために、強力なCMVプロモーター配列を、さらに強力なプロモーターで置き換えてもよく、または改善されたエンハンサーなどとカップリングしてもよい。別の一実施形態では、野生型または調節可能なタンパク質の発現の増大は、標準的なプロモーターを有する遺伝子の複数のコピーの同時発現によって達成することができる。 一実施形態では、発現ベクターは転写開始、終結のための部位、および転写領域において、翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含む。構築物によって発現される成熟した転写物のコード部分が、翻訳されるポリペプチドの終端に適切に位置する開始コドンおよび終止コドン(UAA、UGA、またはUAG)の翻訳開始部位を含むことが好ましい。 一実施形態では、本発明のベクターを、β−ガラクトシダーゼおよびアルカリホスファターゼなどの蛍光タンパク質または酵素をコードする遺伝子を含めたレポーター遺伝子を含むように改変してもよい。ある実施形態では、蛍光レポーターを、調節コントロールのタイミングのより正確な評価を可能にする、より短い、またはより長いタンパク質半減期を有する交代性の蛍光レポーターで置き換えることができる。レポーターは、例えば、潜在的な治療上の化学標的/リード(lead)を同定するための化学的ライブラリーのスクリーニングにおいて、細胞/生化学活性に基づいて応答の観察(直接的または間接的)を可能にするタンパク質基質をコードするカセットによってやはり置換することができる。 組換えベクターを、本発明の哺乳動物のヌクレオチド配列がベクター配列において調節エレメント(例えば、プロモーター配列、ポリアデニレーションシグナルなど)の制御下におかれるように、操作することができる。このような調節エレメントは、宿主細胞において、ヌクレオチド転写物、および/または本発明の哺乳動物のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列の発現および/またはプロセシングを指示するように機能することができる。 ベクター中に導入されるDNAのクローニングされた配列に相補的な多量のmRNAを生成する強力なプロモーターを含む多数のベクターが構築されている。例えば、限定的なものではないが、E. coliにおける真核生物のヌクレオチド配列の発現を、lac、trp、ラムダ、およびrecAプロモーターを用いて遂行することができる。例えば、参照によって本明細書に援用される、「Expression in Escherichia coli」、セクションII、11〜195頁、185巻、Methods in Enzymology(上掲)を参照されたく、また、上述のHawley, D. K.およびMcClure, W. R.、「Compilation and Analysis of Escherichia coli promoter DNA sequences」、Nucl. Acids Res.、11巻、4891〜4906頁(1983年)も参照されたい。本発明の哺乳動物のヌクレオチド配列の発現、およびこれらがコードするポリペプチドは、組換え細菌の発現系において、容易に遂行することができる。 適切な発現系として、一過性に、または安定して発現されるDNA、ならびにサルウイルス40(SV−40)、レトロウイルス、およびバキュロウイルスに由来するウイルスの発現ベクターを伴うものが挙げられる。これらのベクターは、プロモーター、および他のエレメント、例えば、エンハンサー、スプライスアクセプター、および/またはドナー配列、およびポリアデニル化シグナルを通常供給する。可能なベクターとして、それだけには限定されないが、コスミド、プラスミド、または改変されたウイルスが挙げられるが、ベクター系は用いる宿主細胞と適合性でなければならない。ウイルスのベクターとして、それだけには限定されないが、ワクシニアウイルス、またはラムダ誘導体が挙げられる。プラスミドとして、それだけには限定されないが、pBR322、pUC、またはBluescript7(Stratagene)プラスミド誘導体が挙げられる。組換え分子は、形質転換、トランスフェクション、感染、電気穿孔などによって標的の宿主細胞内に導入することができる。一般的に、宿主におけるタンパク質の発現は、宿主細胞において機能する調節領域の制御下で、そのタンパク質をコードするDNAを含むベクターを用いて遂行される。 標的の宿主細胞中に導入されている本発明の真核生物のヌクレオチド配列は、染色体外配列として存在することができ、または相同的組換え、ウイルス組込み、または他の手段によって宿主細胞のゲノム中に組み込むことができる。ノーザンブロットおよびウエスタンブロットなどの標準的な技術を用いて、導入された配列が実際に標的の宿主細胞において発現されることを決定することができる。 本発明の核酸を、標的細胞によって目的の遺伝子の取り込みおよび発現をもたらすあらゆる方法によって、宿主(標的)細胞中に導入することができる。これらの方法として、ベクター、リポソーム、ネイキッドDNA、アジュバント補助された(adjuvant−assisted)DNA、カテーテルなどが挙げられる。ベクターとして、標的化部分(例えば、細胞の表面受容体に対するリガンド)、および核酸結合部分(例えば、ポリリジン)、ウイルスベクター(例えば、DNAまたはRNAウイルスベクター)、標的部分(例えば、標的細胞に特異的な抗体)を含む融合タンパク質であるPCT/US95/02140(WO95/22618)に記載されているものなどの融合タンパク質、および核酸結合部分(例えば、プロタミン)、プラスミド、ファージなどを有する、WO93/04701において記載されているものなどの化学的コンジュゲートが挙げられる。ベクターは染色体、非染色体、または合成であってもよい。 好ましいベクターとして、ウイルスベクター、融合タンパク質、および化学的コンジュゲートが挙げられる。レトロウイルスベクターとして、モロニーマウス白血病ウイルスおよびHIVベースのウイルスが挙げられる。好ましい一つのHIVベースのウイルスベクターは、gagおよびpol遺伝子がHIVゲノム由来であり、env遺伝子が別のウイルス由来である少なくとも2つのベクターを含む。DNAウイルスベクターが好ましい。これらのベクターとして、オルソポックスまたはアビポックスベクターなどのポックスベクター、単純ヘルペスIウイルス(HSV)ベクターなどのヘルペスウイルスベクター[Geller, A. I.ら、J. Neurochem、64巻、487頁(1995年);Lim, F.ら、「DNA Cloning: Mammalian Systems」、D. Glover編集、(Oxford Univ. Press、Oxford、英国)(1995年);Geller, A. I.ら、Proc Natl. Acad. Sci.: U.S.A.、90巻、7603頁(1993年);Geller, A. I.ら、Proc Natl. Acad. Sci USA、87巻、1149頁(1990年)]、アデノウイルスベクター[LeGal LaSalleら、Science、259巻、988頁(1993年);Davidsonら、Nat. Genet、3巻、219頁(1993年);Yangら、J. Virol.、69巻、2004頁(1995年)]、およびアデノ随伴ウイルスベクター[Kaplitt, M. G.ら、Nat. Genet.、8巻、148頁(1994年)]が挙げられる。 ポックスウイルスベクターは、遺伝子を細胞の細胞質中に導入する。アビポックスウイルスベクターは、MSH5遺伝子の短期間の発現のみをもたらす。アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、および単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターは、MSH5遺伝子を神経細胞中に導入するのに好ましい。アデノウイルスベクターはアデノ随伴ウイルス(約4カ月)よりも短期間の発現(約2カ月)をもたらし、アデノ随伴ウイルスはHSVベクターよりも短い。選択される特定のベクターは標的細胞および処理される条件に依存する。導入は、感染、トランスフェクション、形質導入、または形質転換など、標準の技術によるものであってよい。遺伝子輸送の様式の例として、ネイキッドDNA、CaPO4沈殿、DEAEデキストラン、電気穿孔、プロトプラスト融合、リポフェクション、細胞マイクロインジェクション、ウイルスベクターなどが挙げられる。 このような導入される配列を有する標的の宿主細胞を分析して、配列の導入が標的の宿主細胞に対して有する効果を決定してもよい。特に、細胞を、自然変異の蓄積の速度における(例えば、薬物耐性に対する自然変異の速度によって)、変異の復帰の速度における、相同組換えの頻度における、多岐にわたる配列間の組換えの頻度における、または短い繰返し配列のゲノムの安定性における変更に対してアッセイしてもよい。特に、本発明の導入された配列を有する哺乳動物細胞を、Schallingら(参照によって本明細書に援用される、Schallingら、Nature. Genetics、4巻、135頁、1993年)の方法によって、ジヌクレオチドおよびトリヌクレオチドの繰返しの安定性に対して、またはUV光線、ヌクレオチドアナログなどのDNA損傷を誘発する物質に対する感受性に対して試験してもよい。 特定の実施形態では、本発明のヌクレオチド配列を用いて、相同組換えによって内在性遺伝子を不活化し、それによってGEOI欠損細胞、組織、または動物を作り出してもよい。例えば、限定的なものではないが、本発明の組換えヒトヌクレオチド配列を、挿入された場合に内在性GEOIの転写を不活化する挿入変異(例えば、neo遺伝子)を含むように操作してもよい。このような構築物を、本発明のヌクレオチド配列に作動可能に連結した適切なプロモーターの制御下で、形質転換、トランスフェクション、形質導入、注射などの技術によって細胞中に導入することができる。 特定の一実施形態では、細胞における内在性GEOIは、変異体GEOIとの相同組換えによって不活化され、それによって細胞からトランスジェニック動物の発生を可能にすることがあり、トランスジェニック動物はコードされたミスマッチの修復遺伝子ポリペプチドを発現する能力がない。別の一実施形態では、転写されると「アンチセンス」核酸配列を生成する構築物を提供することができ、この核酸配列は翻訳時に必要とされるミスマッチの修復遺伝子ポリペプチドを生成しない。 実施例1:状況特異的遺伝子スクリーニングはBRAFV600E黒色腫における治療ターゲットとしてのJNK阻害を同定する 本実施例は、遺伝的に規定されたがん増感性のモデル系において、高確率ドライバー遺伝エレメントのライブラリーに相対的重量の生物学的エビデンスを系統的に割り当てるようにデザインされ、開発された状況特異的なin vivoのフォワード遺伝子スクリーニングを記載するものである。このスクリーニングは、in vivoにおける黒色腫発生における、好ましくは、強力な協同的イベントとしてJNK経路の活性化を同定するBRAFV600Eの状況において開発された。BRAFV600EのJNK活性との協同は、紫外線照射(UV)が、BRAFV600Eメラノサイトの形質転換を引き起こす内因性JNKシグナル伝達を強力に活性化し得ることを実証する、疫学的および生化学的データと一致する。JNK活性のRNAi媒介性ノックダウンは、高度な内因性ホスホロ−cJUN活性を有するヒト黒色腫細胞において腫瘍の退行をもたらした。このように、BRAFV600Eの状況特異的遺伝子スクリーニングは、JNK経路の成分を、BRAFV600E黒色腫における主要な腫瘍維持ターゲットとして同定しており、特定の黒色腫患者におけるJNK経路を標的化する薬剤の開発を導くクリニカルパス仮説を提示するものである。 「がん−キナーゼ」ライブラリーは、多様なヒトのがんにおいて体細胞性ドライバー変異を維持すると報告されている120個のキナーゼのうち110個に対するレンチウイルスのベクターにおける配列確認されたORFを含んで構築された。このライブラリーを、RBおよびp53経路を活性化するためのそれぞれBRAFV600EおよびTERTならびにp53DDおよびCDK4−R24Cと一緒に操作したヒトHMEL−BRAFV600Eメラノサイトモデル系中にプールし、導入した。HMEL−BRAFV600Eメラノサイトのプロファイルは、ヒト黒色腫における最も一般的な臨床的に規定できる遺伝子プロファイルを代表しており、皮膚における同所性の移植後の効率的な黒色腫形成を導くのに不十分である(浸透度10%および潜伏期26週間)。これとは対照的に、がんキナーゼのプールと形質導入したHMEL−BRAFV600Eメラノサイトの40%は、平均潜伏期13週で腫瘍を発生した(10〜18週の範囲)。 腫瘍の浸透度および加速度の増大は、腫瘍形成を導く上でBRAFV600Eと協同するがんキナーゼに対する選択を反映することがあることから、本発明者らはがんキナーゼと協同的なカタログ候補に対してゲノムPCR配列決定およびウエスタンブロットを行った(方法を参照されたい)。 23の腫瘍の分析により、単独または組み合わせで少なくとも2つの腫瘍においてポジティブに選択される14のキナーゼが回収され、110のドライバーキナーゼのうち14が、BRAFV600Eメラノサイトモデル系における候補がん遺伝子ドライバーであることを示していた。意外なことに、これら14のキナーゼのうち、ヒットしたのは、両方のMAP2K(MAP2K4およびMAP2K7)ならびに2つのMAPK(MAPK8/JNK1およびMAPK9/JNK2)を含む、JNK経路の4つのコアシグナル伝達メディエーターであり、in vivoでHMEL−BRAFV600Eメラノサイトの形質転換の間の、JNK経路活性化に対する強力な遺伝子選択圧を反映するパターンである。個々のJNKシグナル伝達成分での2次確認スクリーニングの間、本発明者らは、16週以内にそれぞれ30%および50%の浸透度で腫瘍形成をもたらす、HMEL−BRAFV600Eメラノサイト中に形質導入した場合、個々にMAP2K4およびMAPK9/JNK2の両方による頑強ながん遺伝子活性を観察した(図3)。直行性の確認系として遺伝子操作したマウスを用いて、MAP2K4およびMAPK9はBRAFV600E発現性Ink4a/Arf−/−メラノサイトを形質転換することができることがさらに示され、一方、強化したBRAFV600E発現単独ではメラニン形成を導くのに不十分であった。1次スクリーニングにおいてヒットした第2のキナーゼを含む腫瘍におけるこれらの回収と一致して(データは示さず)、MAP2K7およびMAPK8は2次HMELスクリーニングにおいて個々に腫瘍を生成せず、これら2つのキナーゼはBRAFV600Eメラノサイトを形質転換する上で他の遺伝エレメントとの協同を必要とすることを示唆していた。 JNKシグナル伝達は、アポトーシス促進性かつ腫瘍抑制性と一般的に見られており(ref)、それゆえJNK経路の成分はヒトのがんにおける治療上の発展を目標にしていなかった。しかし、1次スクリーニングにおけるこの経路の複数の成分に対する強力な遺伝子選択は、マウスおよびヒトのシステムにおける2次確認によって強化され、JNK経路の活性化はBRAFV600Eメラノサイトにおける強力な腫瘍原性イベントであり、JNK経路の阻害はBRAFV600E黒色腫における合理的な治療戦略であることを明白に確立している。後者に対処するために、本発明者らは、JNK経路の活性化がヒト黒色腫において観察されるか否かを試験した。JNK経路活性のレポーターとしてホスホ−cJUNを用いて、組織マイクロアレイ上でヒト黒色腫検体の25〜30%において高レベルのJNK活性が観察される[60個の核が60の独立した患者検体に対応する]。さらに、逆相タンパク質アレイ(RPPA、方法を参照されたい)による新たに凍結させたBRAFV600E変異ヒト黒色腫の39のコホートにおけるJNK発現の定量的測定は、これらの黒色腫の31個(79%)が、1次メラノサイトよりも高いレベルのリン酸化JNKを発現したことを示していた(図4、p=0.04)。 これらの腫瘍データと一致して、本発明者らは、JNK活性は40の確立されたヒト黒色腫細胞系のパネルにおいて可変性であり、頑強なJNK活性を有する細胞におけるJNK2のRNAi媒介性のノックダウンは腫瘍原性の損傷をもたらすことを見出した(図3)。ここで、ドキシサイクリン誘導ベクター系における2つの独立したshRNA標的化JNK2を用いて、本発明者らは、高レベルのホスホ−cJUNを有する10系統のヒト黒色腫細胞のうち5系統における足場非依存性の増殖の劇的な阻害を観察した(図5)。免疫不全の宿主中に移植すると、shRNAの発現は、ドキシサイクリン投与時、in vivoで腫瘍原性を完全に阻害した(図6)。 次に、黒色腫におけるJNK活性の腫瘍維持の要件に取り組むために、本発明者は、異種移植腫瘍が免疫低下動物において完全に確立された後、ドキシサイクリン投与によってJNK2に対するshRNAの発現を誘発した。図7に示す通り、JNK2が消失すると、確立された腫瘍が退行する。 ヒト黒色腫におけるJNK活性化に対する分子ベースを次に調査した。同定された核のJNKメディエーターに対する16の体細胞性ドライバー変異の中で、1つを除く全ての単一のMAP2K4変異が黒色腫以外の腫瘍型において発見された。このようなプロファイルと一致して、76対の黒色腫および適合する正常のDNAにおける4つ全てのJNKシグナル伝達成分の標的化した再配列決定により、この経路には、非サイレントの体細胞性変異がないことが明らかになった(データは示さず)。さらに、キナーゼ活性(方法を参照されたい)およびin vivoの腫瘍原性に対して評価する場合、MAP2K4に対して規定した5つの体細胞性ドライバー変異3つがキナーゼ活性の増大(cJUNリン酸化のレベルによって報告される通り)およびin vivoの腫瘍原性を示したが、黒色腫において同定された体細胞変異は示さなかった。下記の表1−1を参照されたい。これと一緒に、これらのデータは、変異上の活性化はヒト黒色腫におけるJNK活性化の主要な機序ではないことを示唆している。 JNKシグナル伝達は、黒色腫に対するよく認識された環境発がん物質であるUVBによって誘発されることが知られている。興味深いことに、BRAFV600E変異は、断続的なUV曝露に関連するサブタイプである表在拡大型黒色腫の間で最も蔓延している。黒色腫におけるJNK活性化の関連のある様式はこのように、特にBRAFV600E変異で始まるメラノサイトにおいて、UV曝露であり得る。Ink4a/Arf−/−マウスからのBRAFV600E発現性原発性メラノサイトを用いて、本発明者らは、頑強なホスホ−cJUN発現によって反映される通り、UVB曝露が実際にJNKを活性化することを確証した。これらのUV処理したBRAFV600Eメラノサイトを軟寒天において接種する場合、UVBに1回曝露するとin vitroにおける強力な足場非依存性の増殖をもたらし、腫瘍原性の強力な代理であることを本発明者らは見出した。これとは対照的に、野生型BRAFを発現するInk4a/Arf−/−メラノサイトにおける同様のUVB曝露は細胞死およびコロニー形成の低減をもたらし、状況依存的のJNK活性化の発がん性の明白な証拠であった(図8B)。最後に、UVBとBRAFV600Eとの間のこの協同はin vivoでも明白であった。Ink4a/Arf−/−メラノサイトにおけるBRAFV600Eの発現は、ドキシサイクリン誘導性BRAFV600Eトランスジェニックモデル(遺伝子型Tyr−rtTA/Tet−BRAFV600EInk4a/Arf−/−、以後「iBRAF*」と呼ぶ、新生児期(生後1〜3日)の1回の非発赤性の照射量のUVBに暴露すると、浸透度の増大した黒色腫の著しく早期の発症をもたらした(図8C))における黒色腫発生を導くのに十分ではなかった。これらのUV誘発性BRAFV600E黒色腫は、IHC上のホスホロ−cJun染色によって測定して高レベルの活性化JNK活性を有していた(図8D)。 結論として、BRAFV600Eメラノサイト標的細胞における状況特異的遺伝子スクリーニングは、遺伝子レベル上、JNK経路の強力ながん遺伝子活性を明白に証明するものであった。確立された黒色腫におけるJNKシグナル伝達の遺伝子阻害は、in vitroおよびin vivoで腫瘍原性を損なうものであった。機構的に、疫学的および分子上のデータ、ならびに機能上のデータは、JNK活性化が、黒色腫発生においてUV曝露によって優勢に媒介される論文を支持している。BRAFV600Eのバックグラウンドにおけるその形質転換活性とは対照的に、BRAF野生型メラノサイトにおけるUVによるJNK活性化がアポトーシスを誘発するという実証は、標的療法の臨床開発における遺伝的状況の重要性を強化するものである。 材料と方法 細胞系およびプラスミド:ヒト細胞系は全て、10%熱不活化したFBSを補ったRPMI1640培地(Invitrogen)中、加湿雰囲気中37℃および5%CO2で増殖させた。hTERT/CDK4(R24C)/p53DD/BRAF(V600E)メラノサイト(HMEL)は先に記載されている。マウスメラノサイトを、標準のプロトコールに従ってInk4A/Arf−/−マウスから単離し、10%熱不活化FBS、2nM TPA(Sigma)、および2nMコレラ毒素(Sigma)を補ったRPMI1640培地中で増殖させた。マウスメラノサイトを、加湿雰囲気中37℃および10%CO2で増殖させた。初代マウスInk4A/Arf−/−、PTEN−/−アストロサイトを標準のプロトコールに従って5日齢の仔から単離し、10%熱不活化したFBSを補ったDMEM培地中に維持した。 集中的なヒトがんキナーゼcDNAライブラリー:110のヒトキナーゼを代表するORFを、Center for Cancer Systems Biology(Dana Farber Cancer Institute)、the Harvard Institute of Proteomics(Harvard Medical School)、またはOpen Biosystemsから入手した。ORFを、ユニバーサルなpDONOR223エントリーベクター中にクローニングし、次いで、Gateway Recombination Cloning(Invitrogen)によってpLenti6/V5/DEST中に移した。全てのクローンの配列および発現は確認されていた。 ヒトがんキナーゼcDNAライブラリーとして、以下の遺伝子が挙げられた: in vivo機能的遺伝子スクリーニング: レンチウイルスを、293T細胞に、個々のベクターバックボーンおよび引き続きウイルス上清液を収集するための標準のウイルスパッケージング系を同時トランスフェクトすることによって調製した。次いで、ウイルス上清を無作為にプールして、高力価のレンチウイルスストックのプールを8個生成した。HMEL細胞に、ポリブレン(Company)8ug/mlの存在下、GFP対照レンチウイルスまたは各々の代表的なレンチウイルスのプールのいずれかを形質導入した。感染した細胞を拡大し、Matrigel(BD Bioscience)と1:1混合し、次いで両側腹上、1部位あたり1×106細胞でメスヌード動物(Taconic)中に皮下的に埋め込んだ。1次INK4A/ARF−/−、PTEM−/−マウスアストロサイトに、ポリブレン(Company)8ug/mlの存在下、GFP対照レンチウイルスまたは各々の代表的なレンチウイルスのプールのいずれかを形質導入した。感染させた細胞を拡大し、SCIDメスマウス(Charles River)の脳実質中に埋め込んだ。簡潔に述べると、SCIDマウスを麻酔し、Z軸を装備した定位脳固定装置(Stoelting)中に配置した。歯科用ドリルを用いて頭蓋の十字縫合の0.5mm前側および3.0mm外側に小さな孔をあけた。ハンクス緩衝塩溶液中2万個の細胞を、先の平らな30ゲージ針つき10ulHamiltonシリンジを用いて、脳の表面下2mmの右尾状核中に注射した。9mmAutoclip Applierを用いて頭皮を閉じた。皮下(subQ)腫瘍または神経学的欠損の発生に対して動物を毎日追跡した。動物を屠殺し、腫瘍を収集し、ゲノムDNAを調製し、各腫瘍中で発現したキナーゼを、プラスミド特異的CMVおよびV5プライマーを用いたPCR配列決定を用いて同定した。各キナーゼの発現を、ウエスタンブロット分析によってさらに確認した。次いで、各腫瘍中で発現されたキナーゼを、各キナーゼを個々に発現する安定なHMELまたはマウスアストロサイト系統を生成する2次確認スクリーニングに確保した。細胞を再び拡大し、次いでメスヌード動物またはSCID動物に埋め込んだ。マウスは全て収容し、Dana−Farber Cancer Instituteの動物実験のための施設のケアおよび使用の委員会によって認可されたプロトコールに従って処置した。 足場非依存性増殖: 6ウエルプレート上3個ずつ軟寒天アッセイを行った。各ウエルに対して、1×104細胞を、RPMIプラス10%FBS中0.4%SeaKemLEアガロース(Fisher)を含む細胞増殖培地中、完全に混合し、その後、RPMIおよび10%FBS中0.65%アガロースと調製した底のアガロース上に塗抹した。各ウエルを固形化させ、引き続き1ml RPMIおよび10%FBS中に覆い、これを4日毎に交換した。必要に応じて、アガロースおよび増殖培地に、最終濃度2ug/mlのドキシサイクリンを加えた。コロニーを0.05%(w/v)ヨードニトロテトラゾリウムクロリド(Sigma)で染色し、平面スキャナーを用いて1インチあたり1200ドット(d.p.i)でスキャンし、計数した。 免疫組織化学染色: 黒色腫組織マイクロアレイ(Biomax)を、確立されたプロトコールを用いてp−cJUN(Cell Signaling)で染色した。 異種移植片試験: in vivo試験に対して、誘導性のJNK2 shRNAを安定して発現する黒色腫異種移植片細胞を、両側腹上1部位あたり1×106細胞で、メスヌード動物(Taconic)中に皮下的に埋め込んだ。腫瘍の増殖を分析するために、マウスに通常のH2O、または2mg/mlドキシサイクリンおよび2%ショ糖を含むH2Oを与えた。JNK発現が腫瘍の維持に必要とされるか否かを決定するために、細胞を埋め込み、腫瘍をおよそ200mm3に到達させ、その後動物を、H2O、または2mg/mlドキシサイクリンおよび2%ショ糖を含むH2Oで処置するための別々のコホートに無作為化した。ドキシサイクリン投与後に腫瘍体積を測定した。ノギスで2方向を測定し、腫瘍体積=(長さ×幅2)/2と公式化することによって腫瘍体積を決定した。増殖曲線およびエンドポイント散布図を、各群に対する腫瘍体積としてプロットした。腫瘍増殖阻害のパーセント値を、(1−(T/N))×100として決定した(Tは処置群の腫瘍体積における変化の平均であり、Nはアッセイエンドポイント時の対照群の腫瘍体積における変化の平均である)。Prism5(Graphpad)を用いて両側のt検定計算を行った。 UV照射: UVBで処理する前に、培地を除去し、確保した。培養物を温PBSで1回洗浄し、次いで4つのUVB電球(RPR−3000、Southern New England Ultraviolet)のパネル下に覆いをせずに配置した(UVB範囲におけるピークエミッタンス、311nm)。UV照射量を、SEL240/UVB検出器(International Light Technologies)を装着したPhotolight IL1400A放射計でモニタリングした。照射後、確保した培地を戻し、培養物を示された期間インキュベートした。偽処理した培養物を、UVBに曝露しなかった以外、厳密に同じ方法で扱った。 トランスジェニックマウスの維持およびUV処理: BRAFV600Eトランスジェニックマウス(遺伝子型Tyr−rtTA/Tet−BRAFV600EInk4a/Arf−/−を有する)は以前に記載されている(Jeong)。以前に記載されている通り(SharplessおよびChin)、UV処理に対して新生仔マウス(1日齢から3日齢の仔)を、FS20T12UVランプ(UVB範囲におけるピークエミッタンス、310nm)を用いることによって、単一線量の全身UV照射(9kj/M2)で処置した。 ウエスタンイムノブロット分析: トリプシン処理によって細胞を回収し、PBS中1回洗浄し、コンプリートプロテアーゼインヒビターカクテル(Complete Protease Inhibitor Cocktail)(Roche)および1Xホスファターゼ阻害物質(Calbiochem)を補ったRIPA(10mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、1%NonidetP−40、0.25%デオキシコール酸Na)中に再懸濁した。遠心分離によって抽出物を透明にした後、Bradford Assay Reagent(Bio−Rad、Hercules、CA)を用いてタンパク質濃度を決定した。同量のタンパク質を含む試料を、5%β−メルカプトエタノールを含む4xNuPAGE LDS試料バッファー(Invitrogen)と混合し、煮沸し、SDS−PAGEによって分離した。タンパク質をPVDFメンブランに写し、cJUN、p−cJUN、JNK、p−JNK、HSP90(Cell Signaling Technology)、Actin(Santa Cruz Biotechnology)に対する抗体でプローブした。 JNKキナーゼアッセイ: WTおよび変異体のJNKキナーゼを、抗V5抗体(Invitrogen)を用いてHMEL細胞から免疫沈降した。非放射性のJNKキナーゼアッセイキット(Cell Signaling)を用いて、製造元の指示に従ってキナーゼ活性を測定した。MAPK4/7活性の測定には、免疫沈降したキナーゼを、不活性のJNK2(Upstate Biotechnology)と共に最初にインキュベートした。 本発明の様々な実施形態の活性に実質的に影響を及ぼさない改変も、本明細書に提供する本発明の定義の範囲内で提供されることが理解される。したがって、上記の実施例は説明を意図するものであって、本発明を限定しようとするものではない。本発明を詳細に、その特定の実施形態を参照して記載してきたが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱せずに本発明に対して様々な変更および改変を行うことができることは明らかであろう。したがって、例えば、当業者であれば、ルーチンの実験だけを用いて、本明細書に記載する特定の物質および手順に対する多くの同等物を認識し、または確かめることができるであろう。このような同等物は本発明の範囲内であるとみなされ、以下の特許請求の範囲によって網羅されるものである。 細胞の腫瘍形成と関連している機能または表現型を調節する遺伝子を同定する方法であって、以下のステップ: a.所与の表現型または組織型を代表する細胞を含む細胞培養物に、 i.目的の遺伝エレメントの収集物を含む核酸ライブラリー、ならびに ii.がん遺伝子および/またはがん化プロセスと関連しているその他の遺伝エレメントを導入して、がん細胞遺伝子型を有する遺伝的に操作された標的細胞を作製するステップと、 b.非ヒト哺乳動物に該標的細胞を移植して、該哺乳動物において腫瘍を生じさせるステップと、 c.該目的の遺伝エレメントの1つまたは複数の発現を該腫瘍において同定するステップとを含む、方法。 前記所与の表現型または組織型を代表する細胞が、初代細胞である、請求項1に記載の方法。 前記移植が同所性である、請求項1に記載の方法。 前記初代細胞が不死化されている、請求項2に記載の方法。 前記所与の表現型または組織型を代表する細胞が、哺乳動物細胞である、請求項1に記載の方法。 前記所与の表現型または組織型を代表する細胞が、始原細胞または幹細胞である、請求項1に記載の方法。 前記所与の表現型または組織型を代表する細胞において、1つまたは複数の腫瘍抑制タンパク質経路を不活化または抑制するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。 前記腫瘍抑制タンパク質経路が、RBおよび/またはp53である、請求項7に記載の方法。 前記核酸ライブラリーが、前記目的の遺伝エレメントに対するsiRNA、shRNA、マイクロRNAまたはアンチセンス核酸を含む、請求項1に記載の方法。 前記核酸ライブラリーが、前記目的の遺伝エレメントの不活性バージョンまたはドミナントネガティブバージョンをコードする核酸を含む、請求項1に記載の方法。 前記標的細胞が、TERTを発現するように遺伝的に操作されている、請求項1に記載の方法。 前記がん遺伝子が、BRAFがん遺伝子、NRASがん遺伝子、KRASがん遺伝子、PI3Kがん遺伝子、PKCiがん遺伝子、HER2がん遺伝子、APCがん遺伝子、EGFRがん遺伝子、PTEN KDがん遺伝子、NF1 KDがん遺伝子、Myr−AKTがん遺伝子、Myr−P110aがん遺伝子、β−カテニンがん遺伝子、EGFRvIIIがん遺伝子からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。 目的の候補遺伝子または遺伝エレメントが、キナーゼ遺伝子および/または遺伝エレメントを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。 前記キナーゼが、野生型キナーゼまたは活性化変異体キナーゼである、請求項13に記載の方法。 目的の候補遺伝子または遺伝エレメントが、ホスファターゼ遺伝子および/または遺伝エレメントを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。 目的の候補遺伝子または遺伝エレメントが、メチルトランスフェラーゼ遺伝子および/または遺伝エレメントを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。 目的の候補遺伝子または遺伝エレメントが、PI3Kシグナル伝達経路に関与している遺伝子および/または遺伝エレメントを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。 目的の候補遺伝子または遺伝エレメントが、Gタンパク質共役受容体シグナル伝達経路に関与している遺伝子および/または遺伝エレメントを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。 目的の候補遺伝子または遺伝エレメントが、受容体チロシンキナーゼシグナル伝達経路に関与している遺伝子および/または遺伝エレメントを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。 腫瘍形成と関連している前記機能または表現型が、転移、細胞遊走、血管新生、細胞外マトリックス分解、足場非依存性増殖またはアノイキスである、請求項1に記載の方法。 d.ステップ(a)において作製された前記標的細胞に、ステップ(c)において同定された前記遺伝エレメントの発現を調節できる核酸を導入して、改変された標的細胞を作製するステップと、 e.非ヒト哺乳動物に、該改変された標的細胞を同所性に移植するステップと、 f.該改変された標的細胞が、対照と比較して、該哺乳動物において腫瘍形成を低減するか否かを決定するステップとを含む確認ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。 操作された腫瘍形成経路と相互作用する生物活性作用物質をスクリーニングするための方法であって、 a.所与の表現型または組織型を代表する細胞を含む細胞培養物に、がん遺伝子および該がん遺伝子と関連しているがん化プロセスと結びついている1つまたは複数の目的の遺伝子または遺伝エレメントを導入することを含む、がん細胞遺伝子型を有する遺伝的に操作された標的細胞を作製するステップと、 b.該遺伝的に操作された標的細胞を、候補生物活性作用物質と接触させるステップと、 c.該生物活性作用物質が、腫瘍形成表現型に影響を及ぼすか否かを決定するステップとを含む、方法。 前記腫瘍形成表現型が、転移、細胞遊走、血管新生、細胞外マトリックス分解、足場非依存性増殖またはアノイキスである、請求項22に記載の方法。 本発明は、遺伝学的に規定されたがんに感作されたモデル系において、生物学的証拠の相対的重さを高確率ドライバー遺伝エレメントのライブラリーに体系的に割り当てるように設計された、状況特異的フォワード遺伝子スクリーニングに関し、ここで、操作された変異の群は、所与の腫瘍種の特定の臨床上関連する遺伝子サブクラスを反映する。スクリーニングは、in vivoで形成されても、ex vivoで形成されてもよい。スクリーニングによって、ドライバー遺伝エレメントを標的とするためのクリニカルパス仮説の形成、および同時に、がんにおけるドライバー遺伝エレメント(複数可)の役割の迅速な機能確認が可能となる。