生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_進行性核上性麻痺の治療のためのラサギリンの使用
出願番号:2012532683
年次:2013
IPC分類:A61K 31/135,A61P 43/00,A61P 1/14,A61P 25/14,A61P 25/00,A61P 25/24,A61P 27/02,A61P 11/00


特許情報キャッシュ

ロレンツル、シュテファン JP 2013507352 公表特許公報(A) 20130304 2012532683 20101008 進行性核上性麻痺の治療のためのラサギリンの使用 テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド 501079705 蔵田 昌俊 100108855 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 福原 淑弘 100109830 峰 隆司 100075672 白根 俊郎 100095441 村松 貞男 100084618 野河 信久 100103034 砂川 克 100140176 ロレンツル、シュテファン US 61/278,677 20091009 A61K 31/135 20060101AFI20130205BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130205BHJP A61P 1/14 20060101ALI20130205BHJP A61P 25/14 20060101ALI20130205BHJP A61P 25/00 20060101ALI20130205BHJP A61P 25/24 20060101ALI20130205BHJP A61P 27/02 20060101ALI20130205BHJP A61P 11/00 20060101ALI20130205BHJP JPA61K31/135A61P43/00 101A61P1/14A61P25/14A61P25/00 101A61P25/24A61P27/02A61P11/00 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW IB2010002852 20101008 WO2011042812 20110414 27 20120611 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA29 4C206KA15 4C206KA17 4C206MA72 4C206MA75 4C206MA80 4C206MA83 4C206NA14 4C206ZA02 4C206ZA12 4C206ZA22 4C206ZA33 4C206ZA59 4C206ZA66 本出願は、2009年10月9日出願の米国仮特許出願第61/278,677号の優先権を主張するものであり、その内容は参照によってここに組み込まれる。 本出願を通して、様々な出版物、公開された特許出願、および特許が参照される。その全文におけるこれら文書の開示は、ここに参照することにより本出願中に組み込まれ、それにより本発明が関係する最新技術の状態をより十分に記載する。 進行性核上性麻痺(PSP)は、初期の転倒(後方へ倒れる傾向)と、垂直の眼筋麻痺と、無動−固縮の特徴と、顕著な球機能障害と、前頭葉−皮質下痴呆とを特徴とする、疾患期間の中央値が6年から7年である急速進行性の疾患である。独立歩行の喪失、無援助での起立不可能が、疾患発症後5年未満に生じる(Goetz CG、Leurgans S、Lang AE、Litvan I.、(2003年3月25日)「Progression of gait,speech and swallowing deficits in progressive supranuclear palsy」、Neurology、60(6)、917〜22)。欧州におけるPSPの有病率は100,000人あたり5人である。病理学的に、黒質、淡蒼球、視床下核、中脳における重症のニューロン喪失と、直線状のタウフィラメントにより構成される頻繁な神経原線維変化を有する橋網様体とが存在する。PSPは、特定のタウアイソフォームの過剰な沈着に関して、4リピートタウ障害である(Burn DJ、Lees AJ.、(2002年10月)「Progressive supranuclear palsy:where are we now?」、Lancet Neurol.、1(6)、359〜69)。広範囲かつ多巣性の神経病理学的変化に加えて、ドーパミン、アセチルコリン、ガンマ−アミノ酪酸、およびノルアドレナリン系を含む複数の神経伝達物質の異常が存在する(Rajput A、Rajput AH.、(2001)、「Progressive supranuclear palsy:clinical features,pathophysiology and management」、Drugs Aging、18(12)、913〜25、総説)。 当該疾患は、1963年に、Dr.Steele、Richardson、およびOlschewskiの3人の内科医により記載され、したがって当初は「Steele−Richardson−Olschewski症候群」と命名されていた。しかし、遡及的に、20世紀の40年代初期からPSPを有する患者についての報告が存在している。早くに患者が存在したのは確実であるが、彼らはPSPと分類されていなかった。 「進行性核上性麻痺」の名称は、任意の眼球運動の進行性の喪失の疾患という主な特徴を記述するものである。自動眼球運動は「核」に制御されるので、自動眼球運動は「核上性」という言葉によって記述される。 疾患の発生は通常50歳〜70歳の間である。男女等しく罹患する。多くの患者が、最初に、絶え間ない眩暈と、バランスの問題または絶え間ない転倒、典型的に後方への転倒とを有すると報告している。任意の眼球運動が低下すると、読み、階段を上り、自動車を運転する能力が低下する。 ときには患者にとっては明らかではないが、ときには患者の縁者によって認められ得る、さらなる初期の症状は、例えば、いらいら、または衝動制御の喪失などの性格の変化である。日常の活動および趣味に対する関心を失う患者もいる。疾患の初期段階においても、気分の変化およびうつは非常に一般的である。 眼球運動を制御する脳の領域は、嚥下のための舌と筋肉とを制御する領域に接近して位置する。通常、疾患の初期(発症後数ヵ月)に患者の発語が変化する。発語が遅くなり、不明瞭で低く、言葉の間に中断が多い。疾患が進行すると、液体および食物の嚥下が困難となり、生命を脅かす肺炎へと繋がる。これらの症状は通常初期段階には存在しないので、進行したPSPにおいてこれが主な死因である。 現在まで、大多数の研究のネガティブな結果が標準の設定を不可能にしていたため、疾患に対する治療法は存在しない。ドーパミンアゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、およびカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害薬は有益であることが証明されていない(Warren NM、Burn DJ.、(2007年2月)、「Progressive supranuclear palsy」、Pract Neurol.、7(1)、16〜23、総説)。 本発明は、進行性核上性麻痺に罹患しているヒト対象を治療する方法であって、対象を治療するために有効な量のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することを含む方法を提供する。 本発明はまた、進行性核上性麻痺に悩むヒト対象における進行性核上性麻痺の症状を軽減する方法であって、対象における進行性核上性麻痺の症状を軽減するために有効な量のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することを含む方法を提供する。 本発明はさらに、進行性核上性麻痺の治療またはその症状の軽減において用いるための医薬組成物であって、治療有効量のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。 本発明はさらにまた、進行性核上性麻痺の治療またはその症状の軽減のための、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。図1は、投薬を少なくとも8ヶ月受けた患者(n=12)の転倒の時間的プロファイルを示す。1ヶ月目がベースラインである。図2Aは、ラサギリンでの6ヶ月治療管理の前の患者5の姿勢図検査測定を示す。図2Bは、ラサギリンでの6ヶ月治療管理の後の患者5の姿勢図検査測定を示す。図3は、正常ヒト、パーキンソン病患者、およびPSP患者の異なる動揺(sway)パターンを示す。 本発明は、進行性核上性麻痺に罹患しているヒト対象を治療する方法であって、対象を治療するために有効な量のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することを含む方法を提供する。 本発明は、進行性核上性麻痺に悩むヒト対象における進行性核上性麻痺の症状を軽減する方法であって、対象における進行性核上性麻痺の症状を軽減するのに有効な量のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することを含む方法を提供する。 本方法の一実施形態において、進行性核上性麻痺の症状は、姿勢の不安定、頻繁な転倒、視力障害、言語障害、運動失調、嚥下障害、肺炎、またはうつである。 本方法の別の一実施形態において、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの量または薬学的に許容されるその塩の量は1日あたり0.01mgから20mgである。 本方法のさらに別の一実施形態において、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの量または薬学的に許容されるその塩の量は1日あたり0.5mgから5mgである。 本方法のさらに別の一実施形態において、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの量または薬学的に許容されるその塩の量は1日あたり2mgである。 本方法のさらに別の一実施形態において、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの量または薬学的に許容されるその塩の量は1日あたり1mgである。 本方法のさらに別の一実施形態において、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの量または薬学的に許容されるその塩の量は1日あたり0.5mgである。 本方法のさらに別の一実施形態において、投与は、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの薬学的に許容される塩の投与である。 本方法のさらに別の一実施形態において、薬学的に許容される塩は、エシレート、メシレート、硫酸塩、クエン酸塩、または酒石酸塩である。 本方法のさらに別の一実施形態において、薬学的に許容される塩はメシレートである。 本方法のさらに別の一実施形態において、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンメシレートの量は1日あたり1.56mgである。 本方法のさらに別の一実施形態において、投与は、経口、非経口、直腸、または経皮である。 本発明はまた、進行性核上性麻痺の治療またはその症状の軽減において用いるための医薬組成物であって、治療有効量のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。 本発明はさらに、進行性核上性麻痺の治療、またはその症状の軽減のための、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。 本明細書で用いられるとき、「進行性核上性麻痺に罹患しているヒト対象」は、進行性核上性麻痺と診断されているヒト対象である。 本明細書で用いられるとき、「進行性核上性麻痺に悩むヒト対象」は、進行性核上性麻痺と診断されているヒト対象である。 本明細書で用いられるとき、「姿勢図測定」は、様々な条件下、例えば、目を閉じたヒトの起立能力を評価するための測定である。 本明細書で用いられるとき、「進行性核上性麻痺評価尺度(PSPRS)」は、6つのカテゴリー:日常の活動、挙動、延髄(bulbar)、眼球運動(ocular motor)、四肢運動、および歩行/正中における28項目を備える。スコアは0から100までの範囲であり、各項目は0〜2(6項目)または0〜4(22項目)に段階付けられる。 本明細書で用いられるとき、NNIPPSは、多系統萎縮(MSA)および進行性核上性麻痺(PSP)の「パーキンソンプラス」症候群と診断されたほぼ800人を含むリルゾールの臨床試験である。NNIPPSは、リルゾールがMSAおよびPSPにおいて有用であるか否かを示す他に、進行の速度を評価するために、正確かつ初期の診断を行う判定基準を改善し、これら無能性かつ進行性の神経変性疾患の生物学の理解を進めるものである。 本明細書で用いられるとき、「SchwabおよびEnglandスコア」は、Schwab RS、England AC.J、(1958年10月)「Parkinson’s disease」、Chronic Dis.、8(4)、488〜509に記載されている。 本明細書で用いられる「Montgomery−Asbergうつ評価尺度(MADRS)」は、精神科医が気分障害を有する患者におけるうつのエピソードの重症度を測定するのに用いる10項目の診断用質問表である。これは1979年に英国人およびスウェーデン人の研究者によって、Hamiltonのうつに対する評価尺度(HAMD)に対する補助として設計された。 本明細書で用いられるとき、「前頭葉機能検査(FAB)」は、ベッドサイドまたは臨床の場において用いることができる簡潔なツールであり、それは前頭葉の遂行機能障害の(dysexecutive)表現型を有する痴呆とアルツハイマー型痴呆(DAT)との間の識別において助けとなる。FABは、前頭側頭骨型の痴呆を軽度の痴呆患者におけるDATと区別する上で妥当性を有する(MMSE>24)。合計スコアは最大18からであり、スコアが高いほど成績がよいことを示す。 本明細書で用いられるとき、マンホイットニーのU検定(マンホイットニー−ウィルコクソン(MWW)、ウィルコクソンの順位和検定、またはウィルコクソン−マンホイットニー検定とも呼ばれる)は、2つの独立した標本の観察が同じ分布に由来するか否かを評価するためのノンパラメトリック検定である。これは最もよく知られているノンパラメトリックの有意検定の一つである。これは当初、1945年にFrank Wilcoxonによって、等しい標本数に対して提唱され、任意の標本数、ならびにH.B.MannおよびWhitney(1947年)による他の方法に拡張された。MWWは、組み合わされた標本にわたってランク付けした後のデータに対して、普通のパラメトリックの2標本のt検定を行うのとほぼ同一である。 本明細書で用いられるとき、MMSEは簡易精神状態検査を意味する。 本明細書で用いられるとき、MPTP(1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン)は神経毒であり、脳の黒質におけるニューロンを死滅することによってパーキンソン病の持続的な症状を引き起こす。 本明細書で用いられるとき、LPLVは最後の患者の最後の来所(Last Patient Last Visit)を意味する。 本明細書で用いられるとき、FPFVは最初の患者の最初の来所(First Patient First Visit)を意味する。 本明細書で用いられるとき、FPLVは最初の患者の最後の来所(First Patient Last Visit)を意味する。 本明細書で用いられるとき、ECGは心電図を意味する。 本明細書で用いられるとき、PSPの異なる段階は以下のように記載される:フェーズ1−筆跡の悪化および筆記困難;発語の問題、他者によって理解されるのが困難、不明瞭言語など;不意の転倒およびつまずきをもたらす協調の問題:徒歩リズム/パターンにおける変化;視力の問題;嗜眠、感情鈍麻、何をする気も起こらない;睡眠パターンにおける変化;認知の問題;音声の判断の低下;つつましさの低下;我慢できないことおよびいらいらの増大。フェーズ2−着席または立ち上がりの問題;椅子にそっと腰を下ろすことができず単に「どすん」と腰を落とす;徒歩困難の増大;バランスをとるのに杖を使い始め、歩行器に進行する;転倒の回数が増える;視力に問題があり、下方を容易に見ることができないため姿勢が屈む;目が完全に閉じないため、目を開け、または閉じるのに問題があり、患者によっては「ドライアイ」になる;着衣困難、以前のように手指が動かないため、ボタンまたはチャックを開閉することができない;読みやすいようにものを書くことがほとんどできない;摂食問題;咳嗽および窒息;摂食のエチケットの喪失、口に詰め込みすぎ、たくさんこぼし、服を汚さないよう胸当てをつけ始める;トイレの問題、排泄困難/トイレに間に合わない;便秘または下痢;個人衛生に介助を必要とすることがある;入浴介助の必要;手すり/風呂用椅子などを必要とすることがある、可動性のシャワーヘッドは可能であれば良い考えである;身体の片側の衰弱または無視、片側がより優勢である、すなわち左足または右足を引きずるなど(Shydragger症候群);感染症にかかりやすい、尿路、気道(肺炎)など;他人の手、ときに物をつかみ、放つことができず、または放つまでに長時間手を取る;集中困難、ときに「心ここにあらず」に見える。フェーズ3−いくつかの脅迫的行動、すなわち、指は「丸剤を丸める」、卓上で手のしわを伸ばし想像のしわを寄せるなど;いらいらの増大;我慢できないことの増大;尿および便の失禁になることがある;発語問題の増大、しばしば理解することが非常に困難;適切な発後音声を発音することができない;摂食問題の増大;さらなる咳嗽/窒息;認知問題の増大;テレビ上のストーリーについて行くことができない;視力のため多くを読むことができない;「感覚の負担」に苦しむものもある;日中および夜通しの多くの眠り;「むずむず脚」症候群の症例;四肢および頚がこわばることがある;自身を脚の上に支える能力がないことがある;転倒の増大;転倒のなかには「発作」と記述するに近いものがある;腕および脚のコントロールを完全に喪失し、結果として転倒;転倒後、1時間ほど眠る;傷害したか否かが常に分からないことがある;傷害を「感じ」ないことがある;咳嗽および窒息の増大;流涎が一般的になり、口を閉じないことが多い;感染症がより頻繁になることがある;着衣および日常生活の全ての活動によりさらに介助を必要とする;多くを話せず、友人および縁者に多くを返答することすらできないこともあるが、彼らと会うことは楽しい;腕または脚が痛むことがある;明らかな理由のない非特異的な疼痛、「加温」および摩擦の適用が助けとなることもある;タイレノールが助けとなることもある。フェーズ4−理解しにくい発語/呟き;言葉を言うことができない;何も言わずに日々を過ごすことがある;絶え間ない流涎;咳嗽および窒息が非常に重症になるために正常に摂食することが不可能になることもある;医師はチューブによる摂食を勧めることもあるが、これを設置するには外科的手順が必要である;投薬(meds)のためでさえ、口を開けることが困難になることもある;失禁/便秘の問題の増大;日常の活動への興味の喪失;ほとんどの時間眠っている;どのような長さの時間でも座っているのが不快であり、ベッドを好む;自身を脚の上に支えることができない;「スパゲッティー状の脚」;身体、特に頚の領域が硬直;眼球運動はほとんどない;何かを「見る」ことができない;視野にあるものに焦点を定めるのが遅い;しばしば妄想、幻覚;見当識障害、どこにいるか分からないことがある;疼痛があるがその領域を特定できない;引きこもるが、依然として人間は認識している;自力で動くことができない;日常生活の全ての活動にさらなる介助を必要とする。注:これらのフェーズまたはカテゴリーはしばしば重複し、全ての患者に対して同じというわけではない。フェーズ1の問題を2つまたは3つ有し、フェーズ3の問題を1つ有する者がいることもある。問題が全くない者もあることがあるが、殆どは生活をするために、および疾患の期間できるだけ快適にするためにさらなる介助を必要とする。 ラサギリン、すなわちR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンは、強力な第二世代のモノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害薬である(Finbergら、Pharmacological properties of the anti−Parkinson drug rasagiline;modification of endogenous brain amines、reserpine reversal,serotonergic and dopaminergic behaviours、Neuropharmacology(2002年)、43(7)、1110〜8)。1mg錠のラサギリンメシレートは、特発性のパーキンソン病の治療のために、Teva Pharmaceuticals Industries,Ltd.(Petach Tikva、イスラエル)およびH.Lundbeck A/S(Copenhagen、デンマーク)からAZILECT(登録商標)として市販されている。最近の研究は、ラサギリンは、MAO−B阻害薬活性に加えて、インビトロおよびインビボの実験により示される強力な神経保護作用を有することを実証している。ラサギリンによる神経保護は、閉鎖性頭部外傷(Huangら、Neuroprotective effect of rasagiline,a selective monoamine oxidase−B inhibitor,against closed head injury in the mouse、Eur.J.Pharmacol.(1999年)、366(2〜3)、127〜35)、包括的局所的虚血(Speiserら、Studies with rasagiline,a MAO−B inhibitor,in experimental focal ischemia in the rat、J,Neural Transm.(1999年)、106(7〜8)、695〜606)、およびMPTP誘発性神経毒性(Sageら、2001年、2003年)の動物モデルにおいて、ならびに筋萎縮性側索硬化症のトランスジェニックモデルにおいて(Waibelら、Rasagiline alone and in combination with riluzole prolongs survival in an ALS mouse model、J.Neurol.(2004年)、251(9)、1080〜4)、およびPDの6−OHDAモデルにおいて(Blandiniら、Neuroprotective effect of rasagiline in a rodent model of Parkinson’s disease、Exp.Neurol.(2004年)187(2)、455〜9)実現された。細胞培養実験は、ラサギリンは、ミトコンドリアのプレアポトーシス性の膨張と、カスパーゼ3活性化と、核PARP−1の活性化と、GADPHの転位置と、ヌクレオソームのDNAフラグメント化とを防ぐことによって(Youdim and Weinstock、Molecular basis of neuroprotective activities of rasagiline and the anti−Alzheimer drug TV3326[(N−propargyl−(3R)aminoindan−5−YL−ethyl methyl carbamate]、Cell Mol.Neurobiol.(2001年)、21(6)、555〜73;Youdimら、Amyloid processing and signal transduction properties of antiparkinso−antialzheimer neuroprotective drugs rasagiline and TV3326、Ann.N.Y.Acad.Sci.(2003年)、993、378〜86;Bar−amら、Regulation of protein kinase C by the anti−Parkinson drug,MAO−B inhibitor,rasagiline and its derivatives,in vivo,J.Neurochem.(2004年)、89(5)、1119〜25;およびWeinrebら、Neuroprotectoin via pro−survival protein kinase C isoforms associated with Bcl−2 family members、Faseb J.(2004年)18(12)、1471〜3)、ミトコンドリアによって開始されるアポトーシス細胞死を強力に抑制することを示している(Youdimら、Rasagiline[N−propargyl−lR−(+)−aminoindan],a selective and potent inhibitor of mitochondrial monoamine oxidase B、Br.J.Pharmacol.、(2001年)、132(2)、500〜6;Akaoら、Mitochondrial permeability transition mediates apoptosis induced by N−mehyl(R)salsolinol,an endogenous neurotoxin,and is inhibited by Bcl−2 and rasagiline,N−propargyl−1(R)−aminoindan、J.Neurochem.(2002年)、82(4)、913〜23)。さらに、ラサギリンは、プロアポトーシス性のBadとBaxとの下方制御と並行して、抗アポトーシス性のBcl−2とBcl−xLとの発現の増大を誘発する(Youdimら、The essentiality of Bcl−2,PKC and proteasome−ubiquitin complex activations in the neuroprotective−antiapoptotic action of the anti−Parkinson drug,rasagiline、Biochem.Pharmacol.(2003年)、66(85)、1635〜41;Yogev−Falachら、The importance of propargylamine moiety in the anti−Parkinson drug rasagiline and its derivatives in MAPK−dependent amyloid precursor protein processing、Faseb J.(2003年)、17(15)、2325〜7;Bar−Amら、上述)。PDにおける遅延開始デザイン試験からの最近の証拠は、臨床の場においてもラサギリンの潜在的な疾患修飾性の有効性を示唆している(Parkinson Study,G.、A controlled,randomized,delayed−start study of rasagiline in early Parkinson disease、Arch.Neurol.(2004年)、61(4)、561〜6)。 [例] 例1 PSP患者を治療するためのラサギリンの臨床的使用 ラサギリン1mg/日(ラサギリンメシレート1.56mgの形態における)の用量のラサギリン錠(Azilect(登録商標)、Teva Pharmaceutical Industries Ltd.)を、12ヶ月にわたってPSP患者16人に、および9ヶ月にわたって1人の患者に投与した。平均年齢は67±8歳であった(値は全て平均値±標準偏差である)。PSP評価尺度(PSPRS)の平均値は54±14ポイントであった。疾患の持続期間は4ヶ月から144ヶ月の間であった。男性8人と女性9人とを治療した。 以下の臨床因子を分析した。1.患者および縁者は転倒の頻度を記録するためのプロトコールを受け取った。2.患者12人を、姿勢図検査測定を用いて分析した。3.うつは臨床判定基準(DSM−IV)を用いて評価した。4.眼球運動は視能矯正学的に評価した(場合によっては電気眼振図を行った)。5.構音障害はBogenhausener構音障害スケール(BoDys)を用いて調査した(範囲は4=正常から0=構音不能まで)。6.構音障害を臨床的に記録し、経皮栄養管(PEG)の導入を記録した。7.肺炎の発生率を記録した。8.衝動制御障害と幻覚とを記録した。9.可能性のある副作用を記録した。10.ラサギリン以外の他の薬物での治療を記録した。 結果患者/副作用/治療合併症 患者17人中10人に、12ヵ月の観察時間全体にわたってラサギリンを投与した。患者1人には9ヶ月のみ投与した。患者2人が観察時間の間に死亡した。患者9は薬物治療が終了して1ヵ月後に肺炎で死亡した(薬物治療は1ヶ月だけであった)。患者4は8ヵ月の治療が終了して4ヶ月後に突然死亡した。患者12は薬物治療2ヵ月後に重度に転倒し、頭蓋内出血を被った。患者12の入院中は、ラサギリンを含めた殆んど全ての薬物治療を停止した。担当の内科医はこれらの事象はラサギリンと無関係であると評価した。 患者3人が副作用を示し、このためラサギリンの使用を終了した。患者3は治療開始14日後に膀胱の障害を発症し、患者10は開始16日後に頭痛を発症し、患者16は治療27日後に頭痛を発症した。これら3人の患者におけるラサギリン治療は終了され、副作用は完全に可逆性であった。 転倒 治療前、患者の転倒は平均23±9回/週であった。表2は、全患者の転倒が記載された頻度である。頻度の低下は主に、治療の最初の7ヶ月以内に起こった。 うつ 評価の開始時に、合計16人の患者が抑うつ気分の徴候を有した。これらのうち3人は、試験開始時に抗うつ薬(フルオキセチン、シプラミル、シプラレックス)を投与されていた。この薬物は、薬物相互作用の可能性があるため、ラサギリンを開始した時点で終了した。しかし、これら患者に抑うつ気分を報告したものはいなかった。ラサギリンを投与した患者に抗うつ薬で治療しなければならなかったものはおらず、ラサギリンでの治療の間に新たなうつの発症はなかった。 嚥下障害 試験開始時、患者2人はすでにPEGを有していた。しかし、観察フェーズの間、他の患者にPEGを避けられない者はなく、これは嚥下障害の進行がゆっくりであったことを示すことが可能である。 構音障害 観察時間の間、10人の患者にBoDysスケールで平均2.5±0.5から2.7±0.5への構音障害のわずかな改善があった。 眼球運動 眼球運動に対してラサギリンの作用は観察されなかった。 肺炎 観察時間の間に、患者2人が肺炎を発症した。患者9は治療9ヵ月後に肺炎を発症し、3週間以内に死亡した(肺炎の発症時、ラサギリンでの治療はすでに停止していた)。患者4は治療2週間以内に肺炎を発症し、次いで回復した。患者は7ヵ月後に突然死亡した。 衝動制御障害/幻覚 ラサギリン治療の開始時に、治療患者群において、患者1人が衝動制御障害に罹患していたが、ラサギリンでの治療によって影響を受けなかった。治療開始時に幻覚はなく、観察時間の間に幻覚を発症した患者もいなかった。 さらなる薬物 患者が受けていたさらなる薬物を表3に示す。 分析 ラサギリンを投与した患者の群において、最初の7ヶ月以内に姿勢不安定の改善が明らかであった。これは、この期間の経過中の毎週の転倒の平均回数低下によって見ることができる。これらの患者は頻繁な転倒による影響を著しく受けていたので、これは重要な所見である。 さらに、姿勢図測定(図2における通り)は、患者を治療前と、ラサギリン治療6ヵ月後とで比較した場合において改善を示している。 さらに、通常疾患の初期に生じる、一般的な症状であるうつの発症はなかった。ラサギリン治療前に抗うつ薬で治療していた患者は、ラサギリン治療の経過中、抗うつ薬治療を必要としなかった。ラサギリンでの治療は幻覚を誘発しなかった。 興味深いことに、ラサギリンでの治療の間、肺炎の頻度は非常に低かった。軸方向の硬直のためこれらの患者における呼吸器のパラメーターは著しく低下するので、これは説明できないが重要な所見である。 薬物に関連する可能性のある副作用が3人の患者に見られている。治療を中断した後、これらの副作用は完全に可逆的であった。患者2人が頭痛を発症し、1人が膀胱の障害を発症した。 ラサギリンの治療効果のこの記録は、この薬物がPSPの治療に適することを示すものである。 例2 進行性核上性麻痺を有する対象におけるラサギリンの有効性と、認容性と、安全性とを評価するための無作為化単施設二重盲検プラセボ−対照並行群第IIb相試験 以下のガイドラインに従って臨床試験を行う: 結論 ラサギリンは、進行性核上性麻痺を有する患者に対する転倒の回数を低減するのに効果的であった。 ラサギリンは、進行性核上性麻痺を有する患者に対するうつを低減または排除するのに有効であった。 ラサギリンは、進行性核上性麻痺を有する患者に対する嚥下障害の進行を改善し、または遅らせるために有効であった。 ラサギリン1mg/日は、報告された悪化を33%低減することによって測定される、進行性核上性麻痺を有する患者を治療するために有効である。 ラサギリン1mg/日は、進行性核上性麻痺を有する患者における歩行障害を低減するために、および姿勢の不安定を増強するために、安全かつ有効である。 進行性核上性麻痺に罹患しているヒト対象を治療する方法であって、対象を治療するために有効な量のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することを含む方法。 進行性核上性麻痺に悩むヒト対象における進行性核上性麻痺の症状を軽減する方法であって、対象における進行性核上性麻痺の症状を軽減するために有効な量のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することを含む方法。 進行性核上性麻痺の症状が、姿勢の不安定、頻繁な転倒、視力障害、言語障害、運動失調、嚥下障害、肺炎、またはうつである請求項2に記載の方法。 R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩の量が1日あたり0.01mgから20mgである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。 R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩の量が1日あたり0.5mgから5mgである請求項4に記載の方法。 R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩の量が1日あたり2mgである請求項4に記載の方法。 R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩の量が1日あたり1mgである請求項4に記載の方法。 R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩の量が1日あたり0.5mgである請求項4に記載の方法。 投与が、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの薬学的に許容される塩の投与である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 薬学的に許容される塩が、エシレート、メシレート、硫酸塩、クエン酸塩、または酒石酸塩である請求項9に記載の方法。 薬学的に許容される塩がメシレートである請求項10に記載の方法。 R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンメシレートの量が1日あたり1.56mgである請求項11に記載の方法。 投与が、経口、非経口、直腸、または経皮である請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。 進行性核上性麻痺の治療またはその症状の軽減において用いるための医薬組成物であって、治療有効量のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体とを含む組成物。 進行性核上性麻痺の治療またはその症状の軽減のための、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩の使用。 進行性核上性麻痺の治療方法。そのような方法は、ある量のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンまたは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することを含む。【選択図】なし


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