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タイトル:公表特許公報(A)_高齢かつ腎障害の非ST上昇型心筋梗塞患者の処置のためのオタミキサバン
出願番号:2012522112
年次:2013
IPC分類:A61K 31/4425,A61P 9/10,A61P 13/12


特許情報キャッシュ

イェンス・シュテッヒル アンゲル・モリウス クリストフ・ゴダン パスカル・イティエ−ムリ JP 2013500298 公表特許公報(A) 20130107 2012522112 20100722 高齢かつ腎障害の非ST上昇型心筋梗塞患者の処置のためのオタミキサバン サノフイ 504456798 結田 純次 100127926 竹林 則幸 100140132 イェンス・シュテッヒル アンゲル・モリウス クリストフ・ゴダン パスカル・イティエ−ムリ EP 09290601.5 20090729 EP 10305192.6 20100226 A61K 31/4425 20060101AFI20121204BHJP A61P 9/10 20060101ALI20121204BHJP A61P 13/12 20060101ALN20121204BHJP JPA61K31/4425A61P9/10A61P13/12 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW EP2010060615 20100722 WO2011012527 20110203 23 20120210 4C086 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC17 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA40 4C086ZA81 この発明は、単なる体重調整投与レジメンが患者の安全性を改善し、そして真の臨床的有用性(net clinical benefit)を提供する、非ST上昇型心筋梗塞を示す、高齢かつ/又は腎不全である患者の処置に関する。 (2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル、(CAS番号 193153−04−7)は、国際一般的名称 オタミキサバンを有し、式I:に表される構造を示す。 ファクターXa阻害剤の投与が改善しうる状態に罹患しているか、又はさらされている患者を処置するための薬剤の製造における(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル(オタミキサバン、式I)の使用は、特許文献1中に開示されている。 ファクターXaは、凝固カスケードの最後から2番目の酵素である。ファクターXa(fXa)は、血液凝固カスケードの内因系と外因系経路の合流点に位置する重要なセリンプロテアーゼである。FXaは、プロトロンビナーゼ複合体を介してプロトロンビンがトロンビンに変換する際に触媒の働きをする。トロンビン生成におけるこの特異的な役割は、クロット形成に対するその増強効果と連動して、これが治療的介入の魅力的な標的となっている。 プロトロンビナーゼ複合体内で作成される遊離のファクターXa及びファクターXa(ファクターXa、ファクターVa、カルシウム及びリン脂質)は双方とも、オタミキサバンによって阻害される。ファクターXa阻害は、阻害剤と酵素の間で直接複合体を形成することによって得られ、それゆえ血漿コファクターアンチトロンビンIIIに依存しない。有効なファクターXa阻害は、ファクターXaによって誘発されるプロトロンビンからトロンビンの形成を防止する所望の作用を達成するように、静脈注入継続、ボーラス静脈内注入投与又は他の非経口的ルートによって化合物を投与することによって達成される。インビボ実験によって、オタミキサバンは血栓症のげっ歯動物、イヌ及びブタのモデルにおいて極めて有効であることが示されている。加えて、最近の臨床所見によれば、オタミキサバンは、ヒトにおいて有効であり、安全であり、かつ良好な忍容性があり、それゆえ、急性冠動脈症候群の処置に注目に値する可能性を有していることが示されている(非特許文献1)。用量範囲臨床試験(dose-ranging clinical trial)における臨床所見では、オタミキサバンは、最も高用量レジメンで未分画ヘパリンと比較してプロトロンビンフラグメント1+2をより有意に減少させることが示されている(非特許文献2)が、前記臨床所見は、年齢又は腎障害を比較するデータが示されていない。更に臨床試験では、オタミキサバンが、安定型冠動脈疾患に罹患している患者(これらの患者は、通例の彼らの併用薬を服薬し、その中には軽度の腎障害に罹患している患者もいた)における用量依存性の、急速な直接ファクターXa阻害を誘発することが示された(非特許文献3)。 急性冠動脈症候群(ACS)は、心筋の酸素供給と需要の間の不均衡によって特徴付けられる。最も通例の原因は、アテローム性プラークの破壊に基づいて進行した血栓によって引き起こされる冠動脈狭窄から生じる心筋灌流の減少である。ACSの診断のうちでは、非ST上昇型心筋梗塞(NSTE−ACS)とST上昇型心筋梗塞(STE−MI)の2つの主要なサブタイプによって区別されている。NSTE−ACSは、明白な虚血の程度の差はあるが冠血管の部分的血栓閉塞に相当する。こうした状態のための処置の主要な目的は、突然に動脈が全体閉塞するのを防止することである。STE−MIは、心臓の虚血をもたらす冠血管の突然の全体の血栓閉塞によって特徴付けられる。これには、最初の6〜12時間以内、好ましくは、診断後2時間以内に緊急に処置される必要がある。目的は、閉塞した血管の開存性(血流)を回復することである。 血管の全体閉塞のハイリスクのある患者を特定する急性血栓プロセスのマーカー及び他のマーカーを再編成するリスクスコアが開発されている。このリスクの推定のほかに、壊死の心臓バイオマーカー、特に心臓トロポニンの判定が処置選択ストラティジーを選択するために行なわれる。この何年間の間に中等度〜高度のリスクのNSTE−ACSに罹患している患者は早期侵襲的ストラティジーから恩恵を受けていることが示されてきており、患者は血管造影、引き続いて経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention:PCI)のためにカテーテル処置室に早期に連れて行かれる(次の日までに、すなわち、2日目)。NSTE−ACS患者のための最近の米国処置ガイドラインでは、中等度〜高度のリスク患者に対し侵襲的ストラティジーが推奨されているが、一方より低リスク患者に対しては保存的ストラティジーが好ましい。しかしながら、リスク判定よりも侵襲的処置への時宜を得たアクセスが決定にはしばしばより重要である。更に、高齢で、かつ虚弱な患者では、出血のリスクの増大のためしばしば侵襲的手法による処置はされない。 (侵襲的又は保存的ストラティジーを行なった)すべてのNSTE−ACS患者では、アスピリン、クロピドグレル及び抗凝血薬療法を含む標準的な薬物療法が指示される。侵襲的ストラティジーが高リスク患者に計画されている場合には、静脈内GPIIb/IIIa阻害剤を加えることが有益であるように思われる。 現在、医学文献での主要なディスカッションは、早期(≦48〜72時間)の診断的カテーテル処置及び冠動脈形成術を受ける予定になっている中等度〜高度のリスクのNSTE−ACS患者に焦点が当てられている。中等度〜高度のリスクのNSTE−ACSに罹患している患者のケアの標準として認可が表明されている最新のガイドライン中で、アスピリン、クロピドグレル、GPIIb/IIIa阻害剤(エプチフィバチド及びアブシキシマブを含む)、未分画ヘパリン、ビバリルジン、エノキサパリン、フォンダパリヌクスが全面的に推奨されている。 しかしながら、こうした多層的な組み合わせによる薬理学的アプローチの使用は正式には検討されておらず、出血の合併症のリスクの増大、処置の複雑性の増大及びコストの増大をもたらしうる。更に現在使用されているヘパリンとGPIIb/IIIa阻害剤の併用療法は有効であるが、アスピリン及びクロピドグレルを用いるデュアル経口抗血小板療法を受けているNSTE−ACS患者において出血を引き起こす。従って、NSTE−ACSの場合の中等度〜高度のリスクのための最適の抗血栓レジメンは、依然として未だ見出されていない。 更に、非ST上昇型心筋梗塞を示す患者の処置においては、高齢であり、かつ/又は腎不全(下記のNSTE−ACSリスク患者において)を示す患者では、過量投与及び出血を回避するために用量調整が必要であるということは当然のことである。NSTE−ACSリスク患者は、しばしば使用薬物に対して適合性の減少を示し、そしてより高い出血のリスクを有している。従って、NSTE−ACSリスク患者には、使用している抗凝固療法に注意深く順応させなければならない。過量投与はそんなに容易に回避することができないので、こうして順応させることは極めてリスキーであリ、そして簡単に死亡率がより高くなり、そして心筋梗塞のより高い率に結びつく。WO 97/24118K.R. Guertin and Yong-Mi Choi; 2007; Current Medicinal Chemistry, Vol.14, No. 23; p. 2471-2481Cohen et al., Circulation, Vol. 115, No. 20, May 2007, pages 2642-2651Hinder et al., Clinical Pharmacology and Therapeutics, Vol. 80, No. 6, 2006, pages 691-702 侵襲的処置を受けることが計画されているNSTE−ACSリスク患者において標準的な療法と比較して同等の出血率を少なくとも維持しながら、言及した不都合を有しない、かつ死亡及び/又は心筋梗塞の減少を可能にする薬物処置を見出すことがこの発明の目的である。 オタミキサバンは、NSTE−ACSリスク患者の管理の改善を提供することが現在、意外にも見出された。予想外に、NSTE−ACSリスク患者では、オタミキサバンで処置するとそれらの投与レジメンの更なる調整が必要ではない。NSTE−ACSリスク患者は、単に体重調整した投薬レジメンを有している正常集団として処置することができる。更に誤った投薬レジメンのリスクが起こらないので、患者の安全性は増大する。通常の患者及びNSTE−ACSリスク患者の間で異なった処置の必要はもはやない。このことは、高齢の患者にとって特に有益である。腎障害を示している患者の用量調整が必要なく(正常集団のように体重調整した以外には)、このことは腎不全及び重篤な腎不全患者に特に有益である。更にオタミキサバンの有利な点は、初期半減期が短く、主として胃腸管排出し、そして薬物動態的と薬力学の関連が予想可能であることである。本発明の概要 この発明は、非ST上昇型心筋梗塞に使用する薬剤を製造するための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩の使用であって、前記処置は、治療的に有効な量の(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、高齢であり、又は腎不全を示し、又は低体重である、あるいは高齢であり、かつ腎不全を示す、あるいは高齢であり、かつ低体重である、あるいは高齢であり、腎不全を示し、かつ低体重である、ヒト患者に投与することを含んでなる、上記使用を提供する。本発明の詳細な説明 それゆえ、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞に使用する薬剤を製造するための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩の使用であって、前記処置は、治療的に有効な量の(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、65歳を超える高齢のヒト患者に投与することを含んでなる、上記使用を提供する。 本明細書中で使用される用語は、この明細書中で定義される意味を有する。 “高齢のヒト患者(Elderly human patient)”とは、年齢が65歳を超える患者を意味する。更なる集団では、65〜75歳の患者、又は75歳を超える患者を意味する。 “腎不全に罹患しているヒト患者(Human patient with renal insufficiency)”とは、1分当たり30ミリリットル(ml)〜1分当たり80mlクレアチニン・クリアランスを示す患者集団;更に1分当たり30ml〜1分当たり50mlのクレアチニン・クリアランスを示す腎不全に罹患している患者;更に1分当たり50ml〜1分当たり80mlのクレアチニン・クリアランスを示す腎不全に罹患している患者集団を意味する。 “重篤な腎不全に罹患しているヒト患者(Human patient with severe renal insufficiency)”とは、1分当たり30ml未満であるクレアチニン・クリアランスを示す患者を意味する。しかしながら、透析依存患者はこの定義から除外されている。 “i.v.”とは、静脈内注入を意味する。 “低体重患者(low body weight patients)”とは、50kg未満の患者を意味する。更なる集団では、30kg〜50kgの患者又は40kg〜50kgの患者を意味する。 “非ST上昇型心筋梗塞(non-ST elevation myocardial infarction)”とは、ACC/AHA、ESC及びWHFの合意に基づく心筋梗塞の定義を意味する;非ST部分上昇型急性冠動脈症候群(non-ST segment elevation acute coronary syndromes)の診断及び処置のためのガイドライン;Eur Heart J, 2007, 28(13): 1598-1660; J Am Coll Cardiol, 2007; 50:2173-2195; Eur Heart J, 2007, 28: 2525-2538も参照。 “オタミキサバン”は、下記の塩酸塩としての(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステルの国際一般名称である。 “製薬学的に許容される塩(Pharmaceutically acceptable salt)”とは、塩基化合物、(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステルの任意の非毒性無機酸塩である。適切な塩を形成する例示となる無機酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸及びスルファミン酸などの鉱酸;及び酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸(quinic acid)などのような有機酸が含まれる。好ましくは、酸付加塩は、鉱酸から誘導され、塩酸塩が好ましい。 “TIMI”とは、“心筋梗塞における血栓溶解(Thrombolysis in Myocardial Infarction)”の略語であり、出血の級別を意味する。 “治療的に有効な量(Therapeutically effective amount)”とは、言及された障害又は状態の処置において有効である化合物の量を意味する。 “処置する(Treat)”又は“処置すること(treating)”とは、症状を軽減すること、症状の原因を一時的若しくは永続的なベースで除去すること、あるいは症状の出現及び言及した障害又は状態の進行を防止するか、若しくは遅延させることを含む(これらに限定されない)、あらゆる処置を意味する。 (2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステルの合成は開示されており、当技術分野の当業者に周知である方法によって遂行される。例えば、国際出願WO 97/24118には、合成方法が開示されている。 更なる実施態様では、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞において使用する薬剤の製造のための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩の使用であって、前記処置が治療的に有効な量の(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、65歳を超えた高齢であり、かつ腎不全を示すヒト患者に投与することを含んでなる、上記使用に関する。 更なる実施態様では、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞において使用する薬剤の製造のための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩の使用であって、前記処置が治療的に有効な量の(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、腎不全を示すヒト患者に投与することを含んでなる、上記使用に関する。 更なる実施態様では、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞において使用する薬剤の製造のための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩の使用であって、前記処置が治療的に有効な量の(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、重篤な腎不全を示すヒト患者に投与することを含んでなる、上記使用に関する。 更なる実施態様では、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞において使用する薬剤の製造のための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩の使用であって、前記処置が治療的に有効な量の(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、50kgを超えない体重であるヒト患者に投与することを含んでなる、上記使用に関する。 更なる実施態様では、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞において使用する薬剤の製造のための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩の使用であって、前記処置が治療的に有効な量の(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、30kg〜50kgの体重であるヒト患者に投与することを含んでなる、上記使用に関する。 更なる実施態様では、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞において使用する薬剤の製造のための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩の使用であって、前記処置が治療的に有効な量の(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、40kg〜50kgの体重であるヒト患者に投与することを含んでなる、上記使用に関する。 更なる実施態様では、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞の処置において使用するための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩であって、前記処置が(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、65歳を超えた高齢ヒト患者に投与することを含んでなる、上記化合物又はその塩に関する。 更なる実施態様では、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞の処置において使用するための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩であって、前記処置が(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、65歳を超えた高齢であり、かつ腎不全を示すヒト患者に投与することを含んでなる、上記化合物又はその塩に関する。 更なる実施態様では、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞の処置において使用するための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩であって、前記処置が(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、腎不全を示すヒト患者に投与することを含んでなる、上記化合物又はその塩に関する。 更なる実施態様では、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞の処置において使用するための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩であって、前記処置が(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、重篤な腎不全を示すヒト患者に投与することを含んでなる、上記化合物又はその塩に関する。 更なる実施態様では、本発明は、非ST上昇型心筋梗塞の処置において使用するための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩であって、前記処置が(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、低体重であるヒト患者に投与することを含んでなる、上記化合物又はその塩に関する。 塩におけるオタミキサバン及び酸の相対量は、変化しえ、そして例えば、選択された具体的な酸及び塩を調製するのに使用される方法に左右されうる。好ましくは、この発明の塩は、オタミキサバン約1当量ごとに約1当量の酸を含んでなる。 オタミキサバンの酸付加塩は、遊離の塩基を、しかるべき酸を含んでいるか、又はしかるべき酸がそれに加えられている水溶性溶液又はアルコール水溶液又は他の適切な溶媒中に溶解し、そしてこの溶液を蒸発させることによって塩を単離することによるか、あるいは有機溶媒中で遊離塩基と酸を反応させること[この場合には塩を直接単離することができ、そして/又はこの溶液を濃縮することによって得ることができる]によって調製することができる。 成人集団では通例、適切な投与量は0.7mg/Kg体重/時間〜1.4mg/Kg体重/時間の範囲でありうる。更に適切な投与量は0.8mg/Kg体重/時間〜1.2mg/Kg体重/時間の範囲でありうる。また患者の安全性及び有効性のバランスを保つ適切な投与量は、およそ0.08mg/kg体重の静脈内ボーラスの後、約0.1mg/kg体重/時間の投与量であろう。 成人集団では通例、適切な投与量は0.07mg/Kg体重/時間〜0.14mg/Kg体重/時間でありうる。更に適切な投与量は、0.08mg/Kg体重/時間〜0.12mg/Kg体重/時間でありうる。 滅菌注入可能溶液は、本明細書中に列挙されている他の様々な成分と共に、必要量のオタミキサバンを適切な溶媒中に入れ、必要に応じて引き続いて滅菌ろ過することによって調製できる。通例、分散剤は、滅菌された活性成分を、分散媒体及び他の任意の必要な成分を含む滅菌ビヒクルに入れることによって調製することができる。滅菌した注入可能な溶液を調製するための滅菌粉末剤の場合には、好ましい製造方法には、その事前に滅菌ろ過した溶液からの活性成分と、任意の更なる所望の成分の粉末を生じさせうる真空乾燥及び凍結乾燥手法が含まれうる。 液体組成物はまた、医薬組成物を製剤化する際に日常的に利用されている他の成分を含んでいてもよい。こうした成分の一例にはレシチンがある。乳化剤としての本発明の組成物中のその使用は、約0.05〜約1%(重量)の範囲でありえ、この中の範囲及び特定量のすべての組みあわせ(combinations)及びサブコンビネーション(subcombinations)でありうる。より好ましくは、乳化剤は、約0.1〜約0.5%(重量)の量で使用されうる。使用されうる成分の他の例には、安息香酸又はパラベンなどの抗菌性保存剤;コロイド状二酸化ケイ素などの懸濁剤;抗酸化剤;経口局所麻酔薬;矯味矯臭剤;及び着色剤がある。 本発明の組成物におけるこうした所望の成分の選択及びそれらの使用のレベルは、当技術分野の当業者のレベル内であり、そして下記に提供される実施例から更によりよく理解されるであろう。 通例、水、適切な油状物、生理的食塩水、水性デキストロース(グルコース)、並びに関連の糖液及びプロピレングリコール又はポリエチレングリコールなどのグリコール類が非経口溶液のための適切な担体でありうる。非経口溶液のための溶液は、オタミキサバンを担体中に溶解し、必要ならば、緩衝物質を加えることによって調製することができる。単独又は組み合わせた、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸などの抗酸化剤が適切な安定化剤でありうる。クエン酸及びその塩及びEDTAナトリウムを使用することもできる。非経口溶液はまた、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン又はプロピルパラベン及びクロロブタノールなどの保存剤を含むことができる。 オタミキサバンの投与のための有用な医薬投与剤形は、次のように説明することができる:懸濁液 経口投与のための水性懸濁液は、各5mLが、25mgの微細に分割した活性成分、200mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム、5mgの安息香酸ナトリウム、1.0gのソルビトール溶液(U.S.P.)、及び0.025mgのバニリンを含むように調製することができる。注入用 注入による投与に適した非経口組成物は、10%(容積)プロピレングリコール及び水中で1.5%(重量)の活性成分を撹拌することによって調製することができる。この溶液は通例使用されている手法によって滅菌することができる。 次の非限定的実施例は、この発明の医薬組成物を調製し、使用する本発明者の好ましい方法を説明している。実施例1−化合物(III)の製造 TsOHは、式CH3C6H4SO3Hを有するp−トルエンスルホン酸である。TsOHは、一水和物を意味する。反応器に化合物(II)(100.0g)及び無水テトラヒドロフラン(THF)(320g)を加えた。この結果生じた懸濁液を−20±3℃に冷却し、そしてリチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)(475.6グラム,1.3M溶液(THF中))を55分にわたって加え、そして−20±3℃で20分間撹拌した。次いでTHF中のα−ブロモ−m−トルニトリル(65.1g(181gのTHF中))の溶液を40分にわたって、温度を−20±3℃に維持しながら反応器に加え、そして更に30分間撹拌した。固体としての安息香酸(126.6グラム)を反応器に加えた。次いで水(1000g)を加え、そして混合物を65±3℃のジャケット温度、そして200〜233mbarの真空で蒸留した。57℃の一定のポット温度、及び45℃の一定の頭部温度まで蒸留した後、蒸留を中止した。トルエン(432g)をこの熱い溶液に加え、そして10±2℃に冷却しながら撹拌した。次いでこの結果生じた懸濁液をろ過し、このフィルターケーキを水(250グラム)及びトルエン(432グラム)で洗浄した。化合物(III)を窒素気流のもと、45〜50℃、約350mbar真空で、一定の重量まで24時間乾燥した。単離した固体は、76.0グラム(収率62.0%)の重量であった。実施例2−化合物(V)の製造 化合物(III)を、ジクロロメタンと炭酸ナトリウム水溶液の間で分配した。この有機相((III)の遊離塩基を含む)を更なる炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下で蒸留し、そして溶媒をジメチルホルムアミド(DMF)と交換した。この溶液を(III)の含量(wt/wt)の有無を分析した。DMF中の(IV)の懸濁液((III)に対して1.0当量)に、2当量の4−メチルモルホリン及び1.1当量のO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)を加えた。この混合物を周囲温度でエステル活性化が終結するまで撹拌した(約90分)。化合物(III)(1当量)のDMF溶液を加え、この結果生じた溶液を終夜撹拌すると、HPLCはその後、反応が終結したことを示した。水を75℃で加え、そしてこの混合物を冷却すると、生成物が結晶化した。この混合物を5℃に冷却し、ろ過し、フィルターケーキを水で洗浄した。この生成物を減圧下、70℃で乾燥した。実施例3−化合物(VI)の製造 十分に撹拌した反応器中で、450mLのジクロロメタン中の45gの化合物(V)を、450gの水中の61gのマグネシウムモノペルオキシフタラート(有効酸素に基づいて66.4%,1.5当量)と、反応が終結するまで少なくとも5時間反応させた。相分離し、この有機相を等しい容量の水、5%重炭酸ナトリウム水溶液、及び水で連続して洗浄した。この結果生じた溶液を、およそ40wt%溶液になるまで濃縮し、そして180gのメチルイソブチルケトン(MIBK)で希釈した。更に残存するジクロロメタンを除去するために蒸留し、しかるべき結晶でシーディングし、そして冷却すると、結晶固体として生成物が得られた。この結晶をろ過し、30gのMIBKでリンスし、減圧下、50℃で乾燥すると、41.8gの化合物(VI)が得られた(収率89.3%)。実施例4−化合物(I)の製造 200mLのジャケット式反応フラスコに、化合物(VI)(50.0g,116mmol)及びメタノール(50mL)を加えた。この混合物を−5℃に冷却し、そして部分的に真空(約100トール(torr))を確立した後密封した。反応温度を0℃未満に維持しながら、無水HCl(52.2g,1.43mol)を加えた。この反応物を閉鎖状態のもと、0±1℃で撹拌した。16時間後に、この反応は終結した(HPLCによって2A%(VI)未満)。中間生成物溶液に、温度を5℃未満に維持しながら無水メタノール(100mL)を加えた。この溶液を、温度を0℃未満に維持しながらNH3(27.7g,1.62mol)で処理した。この混合物が室温まで暖まる前に、pHチェックがDI水中に溶解した一定量についてなされた(8〜10のpHは、アンモニアが十分充填されたことを示している)。この反応物を20℃で終夜撹拌し、この反応はこの温度で終結した。実施例5 次の結果は、早期侵襲的ストラティジーを受ける予定となっている、不安定狭心症/非ST部分上昇型心筋梗塞に罹患している患者における、オタミキサバンを未分画ヘパリン+エプチフィバチドと比較する無作為化・二重盲検・トリプルダミー試験に基づく。試験集団:次の症状を伴う非STE部分上昇型急性冠動脈症候群に罹患している患者:虚血性不快(すなわち、虚血性胸部痛又は同等の症例)[無作為化の24時間以内に≧10分安静]並びに非ST上昇型ACSの次の2つのクライテリアの1つ:ECGの少なくとも2つの隣接リード線において、最新のST部分下降≧0.1mV(≧1mm)、又は一過性(<30分)ST部分上昇≧0.1mV(≧1mm)、又は無作為化の24時間以内の心臓バイオマーカーの上昇[トロポニンT、トロポニンIの上昇と定義されるか、若しくは、正常の上限値を超えるCK−MBレベルと定義される]並びに冠動脈造影法(指示されているときは、引き続いて経皮的冠動脈形成術(PCI))を1日目(無作為化の日)〜3日目に行なうことが計画されている並びに文書で得られたインフォームド・コンセント。治験薬:オタミキサバン/プラセボ;UFH/プラセボ;エプチフィバチド/プラセボ。製剤:静脈内注入(i.v.)溶液。投与ルート:静脈内:ボーラス(Bol)引き続いて連続注入(I)。投薬計画(Dose regimen):オタミキサバン群:(Bol)0.080mg/Kg(I)0.035mg/Kg/時間、又は0.070mg/Kg/時間、又は0.105mg/Kg/時間、又は0.175mg/Kg/時間。 患者が、冠動脈バイパス手術(CABG)が必要である場合には、可能であれば薬物A(オタミキサバン/プラセボ)及び薬物B(UFH/プラセボ)を手術の少なくとも6時間前に中止して、盲検化処置は恒久的に中止すべきである。患者は、その場所での通常の標準のケアに則って処置されるべきである。対照薬:UFH+エプチフィバチドUFH:静脈内ボーラス(IV bolus)として(最高400IU)60IU/Kg、引き続いて、aPTTを1.5〜2.0倍にコントロール・維持するために12U/Kg/時間(最高1000IU/時間)の静脈内注入(IV infusion)し、ACTが200〜250秒の範囲でない場合には、PCIの時点で追加の必要なボーラス投与した。NB(注):試験を盲検にするように、薬物B(UFH/プラセボ)投薬を調整するために行なわれるaPTT(s)及びACT(s)はすべて、暗号化されたヘモクロンシグニチャーエリ−ト(Hemochron Signature Elite machine)(あるいは、非公開の第三者の健康管理専門家とともにバックアップとしてのローカルデバイス(local device))を用いて行なわれる。エプチフィバチド:180mcg/kgの単回ボーラス、引き続いて2mcg/kg/分の注入。CrCl<50mL/分を有する患者では、注入率は1mcg/kg/分に低下させる。ベイルアウト・エプチフィバチド: オタミキサバン群においては:エプチフィバチド(180mcg/kg)の単回ボーラス、引き続いてオープンラベル(open label)でのエプチフィバチドの注入。 UFH+エプチフィバチド群においては:エプチフィバチドプラセボの単回ボーラス、引き続いてオープンラベルでのエプチフィバチドの注入。双方の群においては: −薬物C(エプチフィバチド/プラセボの注入)は中止する。 −オープンラベルでのエプチフィバチドの注入率は、2mcg/kg/分である(CrCl<50mL/分を有する患者では、注入率は1mcg/kg/分に低下させる)。プライマリーエンドポイント:無作為化後7日以内に判定された全死因死亡及び新たな心筋梗塞(MI)の総計セカンダリーエンドポイント ・無作為化後30日以内に判定された全死因死亡及び新たな心筋梗塞(MI)の総計 ・無作為化後30日以内に判定された死亡の全死因安全性: ・7日目の時点での盲検化した臨床事象判定委員会(blinded Clinical Events Adjudication Committee)(CEAC)によって判定された非冠動脈バイパス移植術(Non-CABG)のTIMI基準による有意な(大+小)出血。 ・7日目の時点での盲検化した臨床事象判定委員会(CEAC)によって判定された非冠動脈バイパス移植術のTIMI基準による大出血。 ・7日目の時点での盲検化した臨床事象判定委員会によって判定されたCABG関連出血。 ・7日目の時点での盲検化した臨床事象判定委員会によって判定されたTIMI基準による大出血(NonCABG+CABG)。 ・7日目の時点で判定されたTIMIの小出血。 ・インデックスPCI(急性又は切迫性閉塞、新たな冠動脈内血栓、側枝閉鎖、遠位塞栓症、再灌流障害(noreflow)、カテーテル内血栓又はガイドワイヤーに付着する血栓、血流の低下を伴う冠動脈解離、病変到達又は通過困難、意図されたものでないステントの使用、次善の結果、冠動脈穿孔、タンポナーデ(tamponade)を含む)の間での血栓性及び非血栓性手技上の合併症の判定。 上記の事象はすべて、盲検化したの独立判定委員会によって判定されることになる。有効性エンドポイント: 事象は、盲検化した独立判定委員会によって判定されることになる。永続的ST部分上昇のない急性ACSを処置する目的は、関連する罹患及び死亡を防止することであり、死亡及び心筋梗塞は治療試験において臨床的に最も意味のあるエンドポイントであると考えられ、一方再発する虚血又は難治性狭心症は、より不明確な臨床的関連に属する(EMEA/CPCP/EWP/570/98; Feb. 2008)。 プライマリーエンドポイントは、7日目に評価されることになるダブル臨床的有効性エンドポイント(double clinical efficacy endpoint)(集中管理されている判定されたデータに基づく全死亡原因及び心筋梗塞)と定義されている。このエンドポイントの更なる推定は、30日目、90日目及び180日目(最後のフォローアップ)に行われ、EMEAガイドライン(EMEA/CPCP/EWP/570/98; Feb. 2008)によって推奨されている効果の持続性をチェックすることになる。プライマリー有効性要素(primary efficacy components)の定義: 死亡の形態の分類が時として困難性を伴うので、すべての死亡原因(例えば、原因とは無関係にすべての死亡を考慮するため)は、臨床試験における死亡の分析に対して好ましく、かつより保存的なアプローチである。有効性エンドポイントの組み合わせの要素として、死亡原因はすべて、新薬の臨床的有用性についての極めて有効な情報を提供する。心筋梗塞 心筋梗塞は、検証臨床試験の有効なエンドポイントの組み合わせの困難な要素であると考えられる。心筋梗塞の定義は、ACC/AHA、ESC及びWHFの合意を基準にしている(J Am Coll Cardiol, 2007; 50:2173-2195; Eur Heart J, 2007, 28: 2525-2538.): 心筋梗塞のエンドポイントのクライテリアを満足させるためには、心筋梗塞は、インデックス事象(index event)と異なっていなければならない。4つの状況が述べられている: −それらのインデックス提示(index presentation)に関する虚血の最後の発生例の後少なくとも12時間は上昇しないバイオマーカーが文書化された患者、あるいはインデックス事象の後正常に戻るバイオマーカーが文書化された患者、 −インデックス事象に起源するバイオマーカーが、その患者で新たなMIの可能性の開始時点で依然として上昇する患者、 −バイオマーカーがその患者で上昇しないが、それらのインデックス提示に関連する虚血の最後の発生事例以来、12時間未満経過している、患者。 −PCIの後48時間以内: −CABGの後72時間以内。 注:MIを診断する最善の試験は、トロポニン(I又はT)である。トロポニンアッセイが利用できない場合、最善の代替の選択肢はCKMB(質量アッセイによって測定される)である。全CKの測定は、MIの診断には推奨されない。 比較対照薬の選択及び処置の存続期間の理論的根拠 比較対照薬群: 早期の侵襲的ストラティジーによって管理されている中等度〜高リスクUA/NSTEMI患者は、ガイドライン(Eur Heart J, 2007, 28(13): 1598-1660)では、抗凝固剤で処置することが推奨されており、そして経口(アスピリン±クロピドグレル)及び非経口(GPIIb/IIIa阻害剤)抗血小板剤の双方が推奨されている。抗凝固剤の選択: UFHは、欧州及び北米ガイドライン双方によって推奨されているIAグレードを有している唯一の抗凝固剤であるが、エノキサパリンのグレーディングに関しては異なっている。(欧州ガイドラインではIIBであり、北米ガイドラインではIaである)。UFHの用量は、ガイドラインによって推奨されている用量である(Eur Heart J, 2005, 26: 804-847)。 GPIIb/IIIA阻害剤の選択は、最近のプラクティスでは、投与時期及びGPIIb/IIIa阻害剤の使用を基準としている。ガイドラインでは、中等度〜高リスクパターンの場合、エプチフィバチド又はチロフィバンと共に、直ちにGPIIb/IIIa阻害剤処置を開始することが推奨されている(Eur Heart J, 2007, 28(13): 1598-1660)。 エプチフィバチドは、チロフィバン(アグラスタット(Aggrastat(登録商標)))に比較してより一般的に使用されており、開始時にその承認されたレジメンに従ってこの試験で使用される。エプチフィバチドは、承認ラベル(投薬レジメン及び処置の存続期間)に則って与えられる。処置の存続期間: 処置の存続期間は、フェーズ2(SEPIA ACS)中のそれと同じである: ・血管造影法/PCIは、試験薬物(オタミキサバン/UFH)の開始の少なくとも2時間後に行なわれ、最大3日目まで(1日目=無作為化の日)行なわれる。 ・UFH及びオタミキサバンは、抗凝固剤が指示されない限り(再発虚血、動脈線維化又は左心室血栓)、ACC/ESCガイドライン(Eur Heart J, 2005, 26: 804-847)に則ってPCIの終了の時点で中止される。 ・オタミキサバン/UFH(薬物A/B)での処置の最大存続期間は、96時間であり、それらは4日目後には与えられない。 ・エプチフィバチド(薬物C)は、PCIの後18〜24時間まで又は退院のどちらか早いほうまで継続し(ラベルに則って、処置は最大96時間)、4日目後には与えられない。 次の表1は、高齢患者の有効性の結果を示す。 この結果は、例えば、5/74(6.8%)の場合では、74人の患者が65歳未満の群に属しており、そして5人の患者が試験のエンドポイントを示したことを表している。括弧内は、この年齢群に含まれる全患者数と比較し、エンドポイントを有する患者数である。 次の表2は、7日を通じて出血を示した高齢患者の安全性の結果を示す。 この結果は、例えば、3/393(0.8%)の場合では、393人の患者が65歳未満の群に属しており、そして3人の患者が出血を示したことを表している。括弧内は、この年齢群に含まれる全患者数と比較した出血を有する患者数である。 次の表3は、腎不全に罹患している患者の有効性の結果を示す。 この結果は、例えば、5/54(9.3%)の場合では、54人の患者が30〜50ml/分のクレアチニン・クリアランスの群に属しており、そして5人の患者が試験のエンドポイントを示したことを表している。括弧内は、この年齢群に含まれる全患者数と比較してエンドポイントを有する患者数である。 次の表4は、7日を通じて出血を示した腎不全に罹患している患者の安全性の結果を示す。 この結果は、例えば、4/188(2.1%)の場合では、188人の患者が50〜80ml/分のクレアチニン・クリアランスの群に属し、そして4人の患者が出血を示したことを表している。括弧内は、この年齢群に含まれる全患者数と比較して出血を有する患者数である。 臨床データは、プライマリー有効性エンドポイント、プライマリー安全性エンドポイント及び血栓性合併症率に基づいて示している: オタミキサバン投与群、0.035mg/Kg/時間及び0.070mg/Kg/時間(投与群1及び2)では、ベイルアウト及び血栓性合併症率に基づく不十分な抗凝固が提供されている。 0.105〜0.175mg/Kg/時間(投与群3〜5)のオタミキサバン投与群は、UFH+エプチフィバチドと比較して31〜41%低い傾向のあるプライマリーエンドポイント率を有していた。この利点は、主として死亡又は心筋梗塞(MI)において(42%〜48%低い)であり、緊急の血行再建又はベイルアウトの必要性に対する実証できる有効性はなかった。 オタミキサバン投与群5は、過剰なTIMIの有意な出血を引き起こす。 UFH+エプチフィバチドと比較して、投与群3の場合の出血のリスクは、TIMIの大出血、TIMIの最小出血の数字的により高い比率に関連していたが、TIMIの小出血(TIMIの大出血のない患者の場合)のより低い比率に関連していた。 有効性と安全性のバランスを保つと、最適のオタミキサバン投与量は、投与群2(0.070mg/kg/時間)と投与群3(0.105mg/kg/時間)の間でありうる。 サブグループ解析が行なわれ、ベースライン特性(クレアチニン・クリアランス、体重)及び急性冠動脈症候群の管理(侵襲的:PCI若しくはCABG、又は内科的)に従って人口統計学上のサブグループ(年齢、性別)内での臨床結果に矛盾がないことが示された。 サブグループ(年齢、ベースラインクレアチニン・クリアランス、体重)中の出血の解析では、高齢患者、腎不全に罹患している、又は低体重の患者における出血率のいかなる増加も示されなかった。 投与群3と比較して、投与群2ではより多くの血栓性合併症があったということ、そして血栓性合併症は重篤な問題(死亡とMIのプライマリー有効性エンドポイントに対して可能性のある衝撃を有する−フェーズ3において)であるという事実を考慮すると、好ましい投与量は、約0.1mg/Kg/時間(投与3により近い)であるように思われる。 この投与量がまた、患者サブグループ(高齢患者、腎不全に罹患している患者及び低体重患者)において適切であるということを検証するために、薬物動態解析がこうしたサブグループで行なわれた: −一般的に、年齢、クレアチニン・クリアランスレベル又は体重のオタミキサバンの濃度に対する影響は、投与4を除いて観察されなかった。投与4では、より高濃度が腎不全に罹患している患者、及び高齢患者で観察されたが、これは他の投与群では観察されなかった。これはおそらく偶然の結果であろう。 こうしたサブグループの薬物動態解析の結論は、約0.1mg/kg/時間に選択された投与量の場合には、投与量の調整は、高齢患者、腎不全に罹患している患者又は低体重患者においてはなんら必要ないということである。 非ST上昇型心筋梗塞の処置における使用のための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩であって、前記処置は、(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、65歳を超える高齢のヒト患者に投与することを含んでなる、上記化合物又はその塩。 患者が65〜75歳である、請求項1に記載の使用。 患者が75歳を超える、請求項1に記載の使用。 製薬学的に許容される塩が塩酸塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。 (2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩が、0.070mg/kg体重/時間と0.105mg/kg体重/時間の間の量で投与される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。 量が約0.1mg/Kg体重/時間である、請求項5に記載の使用。 患者が1分当たり30ミリリットル〜1分当たり50ミリリットルのクレアチニン・クリアランスを示す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。 患者が1分当たり50ミリリットル〜1分当たり80ミリリットルのクレアチニン・クリアランスを示す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。 患者が1分当たり30ミリリットル未満のクレアチニン・クリアランスを示す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。 患者が50kg未満、好ましくは30kg〜50kgの体重である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。 非ST上昇型心筋梗塞の処置における使用のための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩であって、前記処置は、(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、腎不全を示すヒト患者に投与することを含んでなる、上記化合物又はその塩。 腎不全を示す患者が1分当たり30ミリリットル〜1分当たり50ミリリットルのクレアチニン・クリアランスを示す、請求項11項に記載の使用。 腎不全を示す患者が1分当たり50ミリリットル〜1分当たり80ミリリットルのクレアチニン・クリアランスを示す、請求項11項に記載の使用。 腎不全を示す患者が1分当たり30ミリリットル未満のクレアチニン・クリアランスを示す、請求項11項に記載の使用。 本発明は、非ST上昇型心筋梗塞に使用する薬剤を製造するための(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩の使用であって、前記処置は、治療的に有効な量の(2R,3R)−2−(3−カルバミミドイル−ベンジル)−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)ベンゾイルアミノ]−酪酸メチルエステル又はその製薬学的に許容される塩を、高齢であり、かつ/又は腎不全を示し、かつ/又は低体重である、ヒトの患者に投与することを含んでなる、上記使用に関する。


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