タイトル: | 特許公報(B2)_ラクトバチルス・プランタラムに属する新規乳酸菌およびその利用 |
出願番号: | 2012505701 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12N 1/20,A23L 1/00,A23L 1/30,A23L 1/068,C12N 15/09,C12R 1/25 |
飯野 透 増岡 範江 石川 文保 吉村 公一 林田 英士 JP 5518178 特許公報(B2) 20140411 2012505701 20110315 ラクトバチルス・プランタラムに属する新規乳酸菌およびその利用 株式会社ヤクルト本社 000006884 特許業務法人 小野国際特許事務所 110000590 飯野 透 増岡 範江 石川 文保 吉村 公一 林田 英士 JP 2010064911 20100319 20140611 C12N 1/20 20060101AFI20140522BHJP A23L 1/00 20060101ALI20140522BHJP A23L 1/30 20060101ALI20140522BHJP A23L 1/068 20060101ALI20140522BHJP C12N 15/09 20060101ALI20140522BHJP C12R 1/25 20060101ALN20140522BHJP JPC12N1/20 AC12N1/20 AA23L1/00 JA23L1/30 ZA23L1/068C12N15/00 AC12N1/20 AC12R1:25 C12N 1/00−7/08 A23L 1/00−1/48 C12N 15/00−15/90 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) BIOSIS/MEDLINE/WPIDS/WPIX(STN) 特開2005−333898(JP,A) 特開2008−295352(JP,A) 特表2008−541774(JP,A) 関東畜産学会報,2004年,Vol.54, No.1,p.65-68 Int.J.Food Microbiol.,1998年,Vol.44,p.93-106 7 IPOD FERM BP-11349 IPOD FERM BP-11350 JP2011056065 20110315 WO2011115114 20110922 17 20121019 水落 登希子 本発明は、様々な果汁の発酵に適したラクトバチルス・プランタラムに属する新規乳酸菌およびそれを含有させた飲食物等に関するものである。 ヒトは加齢とともに大腸菌等の有害菌が優勢になり、有害菌が生成する様々な有害物質が人体に悪影響を及ぼすとされている。乳酸菌は自然界から広く分離されるが、ヒトの腸内では、乳酸を生成することにより、腸内のpHを酸性に維持し、大腸菌等の腐敗菌や病原菌が腸内で生育および増殖するのを抑制し、腸内環境改善効果を示す。また乳酸菌は、これらの腸内環境改善効果だけでなく、便性改善、感染防御、免疫力の上昇作用、抗アレルギー効果、がん予防効果等の有益な生理的効果を示す。そこで、プロバイオティクスといわれるこれらの有用細菌を腸内に供給して、健康を増進させるため、これらの菌の生菌を含有する乳酸菌飲料、発酵乳、製剤等の摂取が行われている。 このような乳酸菌飲料、発酵乳、生菌製剤等で用いられている乳酸菌は、主にヨーグルトやチーズ由来をはじめとする乳原料の発酵に適した乳酸菌であり、具体的には、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・ブルガリクス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトコッカス・ラクティス等の菌株である。 一方、近年では消費者の嗜好の多様化があり、乳原料以外の原料、例えば野菜汁や果汁等を発酵基質とするプロバイオティクスに用いる菌株の開発が望まれていた。 しかしながら、これまで乳酸菌飲料等の製造に用いられていた上記菌株では、野菜汁や果汁等を発酵基質とした場合、プロバイオティクスとしての効果を得るための高い到達生菌数を達成することができなかった。 これまで、野菜汁や果汁を発酵する能力に優れた乳酸菌としては、ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌が知られている。例えば、ラクトバチルス・プランタラムATCC 14431は濃縮人参汁(可溶性固形分36質量%(以下、単に「%」という)を6倍希釈したものを発酵基質として、107CFU/ml以上の生菌数に到達することが知られている(特許文献1)。 また、有機酸含有量を低減した果汁での発酵に適した乳酸菌として、ラクトバチルス・プランタラム299v(DSM 9843)が知られている。このラクトバチルス・プランタラム299v(DSM 9843)には強い後酸性化、顕著な官能性の欠陥、二酸化炭素ガスの発生などの欠点があるが、それを果汁中の有機酸含有量を低減することにより抑制する技術も知られている(特許文献2)。 しかしながら、これらのラクトバチルス・プランタラムに属する菌株は様々な野菜汁や果汁に対して、常に高い到達生菌数濃度が得られるものではなく、特に一般に乳酸菌の発酵基質として好適ではないといわれているグレープ等の果汁で使用できるものではなかった。特開2001−252012号公報特表2008−541774号公報 従って、本発明はラクトバチルス・プランタラムに属し、様々な野菜汁や果汁を発酵基質とした場合であっても高い到達生菌数となる優れた発酵能を有する新規な乳酸菌やこれを含有する飲食物等を提供することを課題とする。 本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の100%果汁を発酵基質とした時の到達生菌数が、共に108CFU/ml以上であるラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌が、様々な野菜汁や果汁を発酵基質とした場合であっても高い到達生菌数となることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明はグレープおよびオレンジの100%果汁を発酵基質とした時の到達生菌数が、共に108CFU/ml以上であるラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する乳酸菌である。 また、本発明は上記乳酸菌を含有する飲食物である。 更に、本発明は食品素材に、上記乳酸菌を接種し、発酵させることにより得られる発酵物である。 また更に、本発明は上記発酵物を含有する飲食物である。 更にまた、本発明は食品素材に、上記乳酸菌を接種し、発酵させることを特徴とする発酵物の製造方法である。 本発明のラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌は、様々な野菜汁や果汁、特に果汁を発酵基質として、108CFU/ml以上の生菌数に到達するため、様々な発酵基質をベースとするプロバイオティクスに用いられる飲料等の飲食物を調製することができる。 また、特に本発明のラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌の中でも寄託した2株はプラスミドを持たないので、安定した品質の飲料等の飲食物を提供することができる。 本明細書において100%果汁とは、JAS法における果汁飲料品質表示基準において100%ジュースの基準を満たすものを示す。果汁の製法としては、果実を搾ったものを熱処理等行った後、冷凍保存する「ストレート果汁」、あるいは加熱により水分を蒸発させて濃縮した後、冷凍保存する「濃縮還元果汁」のいずれでも良い。「濃縮還元果汁」においては、果汁の濃縮倍率として、2〜10倍が好ましく、さらに望ましくは3〜8倍が好適である。また、JAS法における果汁飲料品質表示基準において100%ジュースの基準を満たすものであれば、糖類、香料、酸化防止剤等を添加しても良い。 また、本明細書において到達生菌数とは、前培養として121℃で15分間オートクレーブ滅菌したLactobacilli MRS Broth(Difco社製)培地で種菌を定常状態になるまで培養、具体的には30〜37℃で16〜24時間培養した後、0.4%容量の前培養液を100%果汁等の発酵基質に接種し、48時間、37℃で培養後の生菌数を示す。なお、生菌数の測定はMRS寒天平板を用いて行う。また、到達生菌数を表す単位であるCFU/mlは、培養プレートにおいて1ml播種した時のコロニー形成能を示す。 更に、本明細書においてプラスミドを持たないとは、新鮮な乳酸菌培養液1mlから定法に従ってプラスミドDNAを調製し、0.7%のアガロースゲルで電気泳動した後、ゲルをエチジウムブロマイドで染色し、UV照射下でプラスミドDNAが無いことが確認できることを示す。 本発明のラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌(以下、「本発明乳酸菌」という)は、グレープおよびオレンジの100%果汁を発酵基質とした時の到達生菌数が、共に108CFU/ml以上、好ましくは108〜1010CFU/mlのものである。 本発明乳酸菌は、常法に従って漬け物、発酵茶、ヒト糞便等からMRS寒天平板を用いて分離されたラクトバチルス・プランタラムについて上記発酵基質における到達生菌数を基にスクリーニングすることにより得られる。 上記で分離されたラクトバチルス・プランタラムの中から、スクリーニングにより下記の4株が得られた。 ・ラクトバチルス・プランタラムYIT 10015株 ・ラクトバチルス・プランタラムYIT 0069株 ・ラクトバチルス・プランタラムYIT 0148株 ・ラクトバチルス・プランタラムYIT 0132株 これら4株のうち、YIT 0069、YIT 0148、YIT 0132は、グレープ、グレープフルーツ、オレンジ、パイン(パイナップル)およびアップルの100%果汁を発酵基質とした時のそれぞれの到達生菌数(CFU/ml)を108で除して加えた増殖スコア値が25以上であった。この増殖スコア値はラクトバチルス・プランタラムが果汁の発酵に適しているかを判断する指標であり、好ましくは25以上、さらに好ましくは30〜50であり、YIT 0148およびYIT 0132は増殖スコア値が30〜41であるため、果汁の発酵に特に好適に用いる事が出来る。 なお、YIT 0132およびYIT 0148はプラスミドを持たないものである。一般に、微生物のプラスミドの中には、抗生物質耐性を持つものがあり、これが他の微生物に伝播し、抗生物質耐性を持つ病原菌の出現に繋がることがある。また、プラスミド上の機能不明な遺伝子が他の微生物に与える影響も現時点では十分に解明出来ているわけではないため、菌株の安全性を担保するという観点から、プラスミドを持たないことが望ましい。また、プラスミドは継代中や培養中に欠失する場合があり、これによって微生物の形質が不安定になることがある。しかし、YIT 0132およびYIT 0148はプラスミドを持たないため安定した製品の品質が保持できる。 これらYIT 0132およびYIT 0148については、それぞれLactobacillus plantarum YIT 0132およびLactobacillus plantarum YIT 0148と名付け、寄託番号FERM ABP−11349およびFERM ABP−11350として平成22年2月24日付で、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に国際寄託した。これらの菌株は、以下のような菌学的性質を有する。<Lactobacilli MRS Brothで37℃、24時間培養したYIT 0132およびYIT 0148の菌学的性質>(諸性質)(糖の発酵性状:API 50CHによる測定)(16S rDNA)16S rDNA塩基配列を用いた菌種同定を以下の方法で行った。すなわち、MRS培地を用い37℃、24時間、培養した菌液を遠心洗浄した菌体ペレットから抽出したDNAを鋳型として、16S rDNA配列の全長をPCR法によって増幅し、増幅産物の塩基配列をDye Terminator法により決定し、得られた塩基配列をデータベースで検索して菌種を同定した。YIT 0132、YIT 0148の16S rDNA塩基配列(配列番号1、配列番号2)は、ラクトバチルス・プランタラム(accession No.D79210)とそれぞれ99.9%または99.8%の相同性を示したが、ラクトバチルス・パラプランタラム(accession No.AJ306297)、ラクトバチルス・ペントサス(accession No.D79211)ともそれぞれ99%以上の高い相同性を示した。これら3菌種は非常に近縁であり、16S rDNA配列では識別が不可能であるため、判別には3菌種の基準株を対照として、recA遺伝子配列を標的とした菌種特異的プライマーによるPCR法(Appl Environ Microbiol.. 67, 3450-3454 (2001))を用いた。その結果、YIT 0132、YIT 0148はラクトバチルス・プランタラムと判別された。 なお、本発明乳酸菌としては、上記菌株の他に、上記菌株の変異株であって、同様の果汁発酵性等を示すものも利用することができる。 上記した本発明乳酸菌は、食品由来の菌であり、その安全性も確認されているものであることから、従来のプロバイオティクスに用いられる乳酸菌と同様に各種の用途に利用し、これを摂取することにより整腸作用等の生理効果を期待できる。 本発明乳酸菌をヒトや動物が摂取する場合の量に厳格な制限はないが、その好適な投与量は生菌数として1日当たり105CFU〜1013CFUであり、特に108CFU〜1012CFUが好ましい。また、本発明乳酸菌は継続的に摂取することが好ましいが、これに限定されることは無く、例えば、隔月、隔週、隔日のように摂取間隔を開けた場合や短い摂取期間でもよい。 本発明乳酸菌の生理効果を得るために、例えば、固体または液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬品製剤の形態としたものを利用することができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散在、カプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥製剤等が挙げられる。これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水等が挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤、賦形剤等の慣用の添加剤を適宜添加することもできる。 また、本発明乳酸菌は、上記のような製剤とするだけでなく、固形状、液状等のいずれの形態の飲食物に含有させることもできる。飲食物に含有させる場合は、そのまま、または種々の栄養成分と共に含有せしめればよい。具体的に本発明乳酸菌を飲食物に含有させる場合は、飲食物として使用可能な添加剤を適宜使用し、慣用の手段を用いて食用に適した形態、すなわち、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペースト等に成形すればよい。飲食物の種類としては、例えば、ハム、ソーセージ等の食肉加工食品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳等の食品や、水、果汁、牛乳、清涼飲料、茶飲料等の飲料が挙げられる。なお、飲食物には、動物の飼料も含まれる。 更に、本発明乳酸菌を好適に利用できる飲食物としては、本発明乳酸菌を獣乳、豆乳、果汁、野菜汁等の各種食品素材に接種し、発酵させることにより得られる発酵乳、発酵豆乳、発酵果汁、発酵野菜汁等の発酵物を含有する飲食物が挙げられ、中でも特に発酵果汁を含有する発酵果汁飲料が好ましい。このような飲食物であれば、本発明乳酸菌を生菌の状態で含有するので好ましい。 上記発酵乳、発酵豆乳、発酵果汁、発酵野菜汁等の発酵物を含有する飲食品は、常法に従って製造することができる。具体的に、本発明乳酸菌を用いて発酵果汁飲料を製造する場合には、まず、使用する果汁に適した条件で殺菌した果汁に本発明乳酸菌を単独または他の微生物と同時に接種培養し、これを均質化処理して発酵果汁ベースを得る。次いでこの発酵果汁ベースを用いて、果汁100%含有飲料様もしくは、シロップや他の未発酵果汁等と混合し、更にフレーバー等を添加して最終製品に仕上げればよい。 上記発酵果汁飲料の原料となる果汁としては、特に限定されないが、グレープ、グレープフルーツ、オレンジ、パイン、アップルなどの果汁が好ましく、特にオレンジ、アップルの果汁が好ましい。 また、発酵野菜汁飲料も、上記発酵果汁飲料と同様に製造することができる。発酵野菜汁飲料の原料となる野菜汁としては、特に限定されないが、ニンジン、ムラサキニンジン等のニンジン、アヤムラサキ、ジェイレッド等のサツマイモ、ケール、トマトなどの野菜汁が好ましく、特にニンジン、アヤムラサキ、ジェイレッドの野菜汁が好ましい。 なお、発酵果汁飲料や発酵野菜汁飲料には、シロップ等の甘味料、乳化剤、増粘(安定)剤、各種ビタミン等の任意成分を配合することができる。シロップとしては、グルコース、ショ糖、フルクトース、果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース、麦芽糖、蜂蜜、糖蜜等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール、アスパルテーム、ソーマチン、スクラロース、アセスルファムK、ステビア等の高甘味度甘味料が挙げられる。この他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE類等のビタミン類、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン等のミネラル分、クエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸等の酸味料、クリーム、バター、サワークリーム等の乳脂肪、ヨーグルト系、ベリー系、オレンジ系、花梨系、シソ系、シトラス系、アップル系、ミント系、グレープ系、アプリコット系、ペア、カスタードクリーム、ピーチ、メロン、バナナ、トロピカル、ハーブ系、紅茶、コーヒー系等のフレーバー類、ハーブエキス、黒糖エキス等を配合することも可能である。 また、発酵果汁飲料や発酵野菜汁飲料の製造の際には、本発明乳酸菌以外の微生物を併用することも可能である。このような微生物としては例えば、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(B.bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマーリス(B.animalis)、ビフィドバクテリウム・ズイス(B.suis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(B.adolescentis)、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム(B.catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラータム(B.pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・ラクチス(B.lactis)、ビフィドバクテリウム・グロボサム(B.globosum)等のビフィドバクテリウム属細菌、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(L.acidophilus)、ラクトバチルス・ブヒネリ(L.buchneri)、ラクトバチルス・ガリナラム(L.gallinarum)、ラクトバチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・ラムノーザス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・ケフィア(L.kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L.paracasei)、ラクトバチルス・クリスパタス(L.crispatus)、ラクトバチルス・ゼアエ(L.zeae)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L.helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(L.salivalius)、ラクトバチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(L.fermentum)、ラクトバチルス・ロイテリ(L.reuteri)、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(L.delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.デルブルッキィ(L.delbrueckii subsp. delbrueckii)、ラクトバチルス・ジョンソニー(L.johnsonii)、ラクトバチルス・ペントサス(Lactobacilluspentosus)、ラクトバチルス・パラプランタラム(Lactobacillus paraplantarum)等のラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、等のストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)等のラクトコッカス属細菌、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(E.faecium)等のエンテロコッカス属細菌、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属細菌、サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyses cerevisiae)、トルラスポラ・デルブルッキィ(Torulaspora delbrueckii)、キャンジダ・ケフィア(Candida kefyr)等のサッカロマイセス属、トルラスポラ属、キャンジダ属等に属する酵母が挙げられる。 以下、実施例を挙げて本発明の内容をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制約されるものではない。 実 施 例 1 各種乳酸菌による果汁の発酵試験:(1)菌株 果汁の発酵能が高い菌株を見出すため、主に果樹を分離源とする表3に記載の乳酸菌43株を対象とした。(2)種菌と培養 Lactobacilli MRS Broth(Difco社製)を121℃15分オートクレーブ滅菌した後接種した。スポロラクトバチラス属は嫌気培養の為、気相をN2置換後ブチルゴム栓で密栓した。その他の菌種は好気培養の為、アルミキャップで蓋をして30℃で16時間、定常状態になるまで培養した。(3)果汁での増殖性 市販の濃縮還元100%ジュース、グレープ(ドール社製)とオレンジ(ヤクルト本社製)をそれぞれ無菌的に試験管に分注し、0.4%容量の菌液を接種し37℃で48時間培養した。(4)生菌数の測定 培養液を滅菌した希釈液(0.1%酵母エキス溶液)にて適宜希釈後、スパイラルシステムにてMRS寒天平板培地に塗布し生菌数を測定した。供試株43株について果汁中の増殖性を調べた結果を表3に示した。(5)果汁増殖性の検討 グレープジュースではほとんどの菌種が増殖しない中、ラクトバチルス・プランタラムのみがよく増殖し、2株とも1×108CFU/mlまで生菌数が上昇した。オレンジジュースでは数株を除いて生育し、多くが1×107CFU/ml以上の生菌数だった。グレープジュース、オレンジジュース共に嫌気培養のスポロラクトバチルス属はすべての菌株で生育しなかった。以上より、グレープジュース、オレンジジュースを発酵基質とした時に1×108CFU/mlまで到達生菌数を示す乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタラムだけであることが明らかとなった。 実 施 例 2 ラクトバチルス・プランタラムによる果汁の発酵試験:(1)菌株 ラクトバチルス・プランタラム12株を対象とした。菌株の由来はYIT 0220株はATCC 14431、Y 50097株は市販のはっ酵乳、YIT 0102株は基準株(ATCC 14917)、Y 99005株は乳製品から分離した299v株である。その他の株は漬物、発酵茶、ヒト糞便から分離されたものである。(2)種菌と培養 Lactobacilli MRS Broth(Difco社製)を小試に分注し121℃15分オートクレーブ滅菌した後接種し、アルミキャップで蓋をして37℃で16時間、定常状態になるまで培養した。(3)果汁での増殖性 市販の濃縮還元100%ジュース、グレープ(ドール社製)、グレープフルーツ(ヤクルト本社製)、オレンジ(ヤクルト本社製)、パイン(ヤクルト本社製)、アップル(ヤクルト本社製)をそれぞれ無菌的に試験管に分注し、0.4%容量の菌液を接種し37℃で48時間培養した。(4)生菌数の測定 培養液を滅菌した希釈液(0.1%酵母エキス溶液)にて適宜希釈後、スパイラルシステムにてMRS寒天平板培地に塗布し生菌数を測定した。その結果を表4に示した。また、グレープ、グレープフルーツ、オレンジ、パイン、アップルの100%ジュースを発酵基質とした時のそれぞれの到達生菌数(CFU/ml)を108で除して加えたものを、果汁における増殖スコア値として算出した。その結果も表4に示した。(5)果汁増殖性の検討 グレープとパインの100%ジュースを発酵基質とした場合、共に108CFU/ml以上の到達生菌数を示した菌株は、YIT 10015株、YIT 0069株、YIT 0148株およびYIT 0132株の4株であった。その結果、ラクトバチルス・プランタラムの基準株であるYIT 0102(増殖スコア14)や野菜汁や果汁での発酵能が知られている、YIT 0220(増殖スコア10)及びY99005(増殖スコア18)よりも、顕著に高い増殖スコアを示す菌株は、YIT 0069株(増殖スコア27)、YIT 0148株(増殖スコア30)およびYIT 0132株(増殖スコア41)の3株であった。 実 施 例 3 ラクトバチルス・プランタラム株のプラスミドの有無の確認:(1)菌株と培養 MRS培地を使用し、37℃で、約20時間培養した。(2)プラスミドDNAの調製 新鮮な培養液1mlから3000×gの遠心で菌体を集め、200μlのLysis solution(50μg/ml N−アセチルムラミダーゼSG、3mg/ml 卵白リゾチーム、100μg/ml RNaseA、50mM Tris−HCl(pH8.0)、10mM EDTA)に懸濁した。37℃で30分保温し、菌体をプロトプラスト化した。プラスミドDNAはプロトプラスト化した菌体を3000×gで集め、市販のアルカリ法を用いたプラスミド調製キット(バイオラッドミニプレップ)で調製した。(3)プラスミドの検出 プラスミドDNAを0.7%のアガロースゲルで電気泳動した後、ゲルをエチジウムブロマイドで染色し、UV照射下で写真撮影することによりプラスミドの有無を評価した。その結果を表5に示した。(4)プラスミドの有無 実施例2で良好な果汁発酵能を示した株を含む7株について調査した。7株のうち5株においてプラスミドが見出された。このうち、実施例2でグレープジュースおよびグレープフルーツジュースで108CFU/ml以上の到達生菌数を示した菌株である、YIT 0132およびYIT 0148では、共にプラスミドが認められなかった。 実 施 例 4 乳酸菌飲料(1): ブリックス(Bx)10に調整した表6に示した果汁または野菜汁を表6に記載の条件で殺菌し、冷却後、MRS brothで培養した、ラクトバチルス・プランタラムYIT 0132を0.4%接種し、37℃で48時間培養した。得られた発酵果汁または発酵野菜汁について製造時の生菌数をMRS寒天平板で測定した(表6)。また、これらの乳酸菌飲料について風味を自由評価したところ、全て飲用に適していたが、オレンジ、アップル、ニンジン、アヤムラサキ、ジェイレッドが特に風味上好ましかった。 実 施 例 5 乳酸菌飲料(2): 脱脂粉乳10%と酵母エキス0.03%を温水溶解し、135℃、3秒の条件で殺菌、冷却後、MRS brothで培養したラクトバチルス・プランタラム YIT 0132を0.4%接種し、37℃で48時間培養した。この乳酸菌飲料のMRS 寒天平板培地による製造時の生菌数は、5.2×108CFU/mlであった。味は穏やかな酸味で飲みやすいものであった。 実 施 例 6 乳酸菌飲料(3): ブリックス(Bx)10に調整した表7に示した果汁または野菜汁を表7に記載の条件で殺菌し、MRS brothで前培養したラクトバチルス・プランタラム YIT 0148を0.4%接種し、37℃で48時間培養した。得られた発酵果汁または発酵野菜汁について製造時の生菌数をMRS寒天平板で測定した(表7)。また、これらの乳酸菌飲料について風味を自由評価したところ、全て飲用に適していたが、オレンジ、アップル、ニンジン、アヤムラサキ、ジェイレッドが特に風味上好ましかった。 実 施 例 7 乳酸菌飲料(4): 脱脂粉乳10%と酵母エキス0.03%を温水溶解し、135℃、3秒の条件で殺菌、冷却後、MRS brothで培養したラクトバチルス・プランタラム YIT 0148を0.4%接種し、37℃で48時間培養した。この乳酸菌飲料のMRS 寒天平板培地による製造時の生菌数は、3.2×108CFU/mlであった。味は穏やかな酸味で飲みやすいものであった。 本発明乳酸菌は、様々な野菜汁や果汁を発酵基質とした場合であっても高い到達生菌数となる。そのため、プロバイオティクスに好適に用いることができる。 以下の(a)および(b)の性質を有するラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する乳酸菌。(a)Lactobacilli MRS Broth培地で定常状態になるまで37℃で16時間培養した菌液を、グレープおよびオレンジの100%果汁に対してそれぞれ0.4%容量接種したものを37℃で48時間培養した時の到達生菌数が、共に108CFU/ml以上である(b)Lactobacilli MRS Broth培地で定常状態になるまで37℃で16時間培養した菌液を、グレープ、グレープフルーツ、オレンジ、パインおよびアップルの100%果汁に対してそれぞれ0.4%容量接種したものを37℃で48時間培養した時のそれぞれの到達生菌数(CFU/ml)を108で除して加えた増殖スコア値が25以上である プラスミドを持たないものである請求項1に記載のラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌。 ラクトバチルス・プランタラム YIT 0132(FERM BP−11349)またはラクトバチルス・プランタラム YIT 0148(FERM BP−11350)である請求項1または2に記載のラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌。 請求項1ないし3の何れかに記載のラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌を含有する飲食物。 食品素材に、請求項1ないし3の何れかに記載のラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌を接種し、発酵させることにより得られる発酵物。 請求項5に記載の発酵物を含有する飲食物。 食品素材に、請求項1ないし3の何れかに記載のラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌を接種し、発酵させることを特徴とする発酵物の製造方法。配列表