生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アルツハイマー病の治療および認知の向上のための方法
出願番号:2012286466
年次:2013
IPC分類:A61K 45/06,A61K 31/355,A61K 31/4015,A61P 25/00,A61P 25/28,A61P 25/16,A61P 43/00,A61K 31/365


特許情報キャッシュ

ダニエル・エル.・アルコン JP 2013100308 公開特許公報(A) 20130523 2012286466 20121228 アルツハイマー病の治療および認知の向上のための方法 ブランシェット・ロックフェラー・ニューロサイエンスィズ・インスティテュート 503310224 蔵田 昌俊 100108855 福原 淑弘 100109830 中村 誠 100088683 白根 俊郎 100095441 峰 隆司 100075672 ダニエル・エル.・アルコン US 10/937,509 20040910 A61K 45/06 20060101AFI20130502BHJP A61K 31/355 20060101ALI20130502BHJP A61K 31/4015 20060101ALI20130502BHJP A61P 25/00 20060101ALI20130502BHJP A61P 25/28 20060101ALI20130502BHJP A61P 25/16 20060101ALI20130502BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130502BHJP A61K 31/365 20060101ALI20130502BHJP JPA61K45/06A61K31/355A61K31/4015A61P25/00A61P25/28A61P25/16A61P43/00 111A61P43/00 121A61K31/365 11 2007531176 20050810 OL 28 4C084 4C086 4C084AA19 4C084AA20 4C084MA02 4C084NA14 4C084ZA01 4C084ZA15 4C084ZA16 4C084ZC19 4C084ZC20 4C084ZC75 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA09 4C086BA17 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA01 4C086ZA15 4C086ZA16 4C086ZC19 4C086ZC20 4C086ZC75発明の分野 本発明は、α−セクレターゼの調節、および認知の向上に関する。更に本発明は、アルツハイマー病などのアミロイドのプロセシングに関連した症状を治療するための化合物、およびかかる症状を治療するための組成物に関する。発明の背景 認知に影響を及ぼす様々な障害や疾患が存在する。認知は、少なくとも三つの異なる構成要素:注意、学習、および記憶を含むものとして一般に説明することができる。これら構成要素の各々、および各々のレベルが、被検体の認知能力のレベル全体に影響を及ぼす。たとえば、アルツハイマー病の患者は、認知全体の損失に苦しみ、このためこれら特徴の各々の低下に苦しむが、この疾患に関連して最も頻繁に起こるのは記憶の損失である。その他の疾患において患者は、認知の様々な特徴を顕著に伴う認知の欠陥に苦しむ。たとえば、注意欠陥多動性障害(ADHD)は、注意深い状態を維持する個人の能力が焦点となる。他の症状には、他の神経疾患、老化、および精神能力に有害効果を引き起こし得る症状の治療、たとえば癌治療、脳卒中/虚血、および精神遅滞に関連して起こる一般的な痴呆が含まれる。 認知障害は、今日の社会に種々の問題を引き起こす。したがって、科学者は、認知エンハンサーまたは認知アクチベーターを開発する努力をしている。開発された認知エンハンサーまたはアクチベーターは、一般に、神経向性薬、血管拡張薬、代謝エンハンサー、精神刺激薬、コリン作用薬、生体アミン薬、および神経ペプチドを含むように分類される。血管拡張薬および代謝エンハンサー(たとえば、ジヒドロエルゴトキシン)は、大脳血管結紮−虚血により誘発される認知障害に主に有効である;しかし、これらは、臨床使用や他のタイプの認知障害に有効ではない。開発された認知エンハンサーのうち、典型的には代謝作用薬のみが臨床用に使用され、他のものはまだ研究段階にある。神経向性薬のうち、たとえばピラセタムは、末梢内分泌系を活性化し、患者に高濃度のステロイドを産生させるため、アルツハイマー病に適しておらず、一方、コリン作用薬であるタクリンは、嘔吐、下痢、および肝毒性を含む種々の副作用を有する。 病気の個体の認知能力を改善するための手段を同定することは、幾つかの研究の目標であった。近年、アルツハイマー病に関連する認知状態、および記憶を改善する様々な方法が、種々のアプローチおよびストラテジーの対象であったが、これらは、残念なことに、病気の個体において症候的で一過的な認知を改善したにすぎず、この疾患の進行に取り組んでいない。アルツハイマー病の場合、典型的にはコリン作用性経路または他の脳の伝達物質経路を介して、認知を改善する努力がなされている。その主なアプローチは、薬物療法によるアセチルコリンエステラーゼ酵素の阻害に基くものである。アセチルコリンエステラーゼは、主要な脳の酵素であり、そのレベルを操作することは、他の神経機能に対して種々の変化を起こし、副作用を引き起こすことができる。 これらの方法は、少なくとも一過的に認知を改善することができるが、疾患の進行を緩めたり、疾患の原因に取り組んだりしていない。たとえばアルツハイマー病は、典型的には、アミロイド前駆体タンパク質の蓄積による斑の形成と関連している。アミロイドや斑の形成に対する治療を介して免疫応答を誘発する試みが、動物モデルで行われているが、ヒトへの拡張に成功していない。 更に、コリンエステラーゼ阻害剤のみ、軽度ないし中程度の症状のアルツハイマー病患者のごく一部に対して、短期間にわたって、幾つかの症候的な改善が得られたため、これは、その患者集団全体のごく一部に対して有効な治療法にすぎない。更に重大なことは、認知を改善する現在の努力が、この疾患の症状を治療するには至らず、単にその症候を和らげているにすぎないということである。現在の治療が、この疾患の進行を緩めることはない。これらの治療には、アルツハイマー病患者の症候を治療するための「ワクチン」の使用も含まれるが、これは、理論的に信憑性がありマウスの試験で有効であるが、ヒトに重い有害反応を引き起こすことが示されている。 その結果、認知の欠陥、特にアルツハイマー病の治療のためにコリン作用性経路を使用することは、不適当であることが証明された。加えて、認知の改善のための現在の治療は、特定の神経変性疾患に限られ、他の認知症状の治療に有効であることは証明されていない。 アルツハイマー病は、脳において特定のニューロンの小集団が広範囲にわたって失われることと関連し、記憶の損失がもっとも普遍的な症候である (Katzman, R. (1986) New England Journal of Medicine 314: 964)。アルツハイマー病は、神経病理学的変化について充分特徴づけられている。しかし、末梢組織における異常が報告されており、このことは、アルツハイマー病が、中枢神経系の病状がもっとも顕著なシステマティックな障害であるという可能性を裏付ける。(Connolly, G., Fibroblast models of neurological disorders: fluorescence measurement studies, Review, TiPS Col. 19, 171-77 (1998))。アルツハイマー病と、遺伝的起源や染色体1、14、および21との関連の議論については、以下の文献が参照される:St. George-Hyslop, P. H., et al., Science 235: 885 (1987); Tanzi, Rudolph et al., The Gene Defects Responsible for Familial Alzheimer’s Disease, Review, Neurobiology of Disease 3, 159-168 (1996); Hardy, J., Molecular genetics of Alzheimer’s disease, Acta Neurol Scand: Supplement 165: 13-17 (1996)。 ニューロンの損失につながる細胞変化およびこの疾患の根本的な病因は、まだ研究中であるが、APP代謝の重要性は充分確立されている。アルツハイマー病患者の脳において脳の生理または病態生理に影響を及ぼすことが一貫して同定されている二つのタンパク質は、β−アミロイドとtauである。(Selkoe, D., Alzheimer’s Disease: Genes, Proteins, and Therapy, Physiological Reviews, Vol. 81, No. 2, 2001参照)。β−アミロイドタンパク質代謝の欠陥、並びに異常なカルシウムホメオスタシスおよび/またはカルシウム活性化キナーゼの議論については、以下の文献が参照される。(Etcheberrigaray et al., Calcium responses are altered in fibroblasts from Alzheimer’s patients and presymptomatic PS1 carriers: a potential tool for early diagnosis, Alzheimer's Reports, Vol. 3, Nos. 5 & 6, pp. 305-312 (2000); Webb et al., Protein kinase C isozymes: a review of their structure, regulation and role in regulating airways smooth muscle tone and mitogenesis, British Journal of Pharmacology, 130, pp. 1433-52 (2000))。 K+およびCa2+チャンネルはいずれも、記憶の貯蔵と想起に重要な役割を果たすことが実証されている。たとえば、カリウムチャンネルは、記憶の貯蔵の間に変化することが見出されている。(Etcheberrigaray, R., et al. (1992) Proceeding of the National Academy of Science 89: 7184; Sanchez-Andres, J.V. and Alkon, D.L. (1991) Journal of Neurobiology 65: 796; Collin, C., et al. (1988) Biophysics Journal 55: 955; Alkon, D.L., et al. (1985) Behavioral and Neural Biology 44: 278; Alkon, D.L. (1984) Science 226: 1037)。この観察は、アルツハイマー病患者における記憶の損失というほぼ普遍的な症候と相まって、アルツハイマー病の病状の起こり得る部位、並びに認知に対するPKC調節の効果について、カリウムチャンネルの機能を調査することにつながった。 PKCは、レセプターではないセリン−トレオニンプロテインキナーゼの最大遺伝子ファミリーの一つとして同定された。Nishizukaと共同研究者により80年代初めにPKCが発見され(Kikkawa et al., J. Biol. Chem., 257, 13341 (1982)、PKCがホルボールエステルの主要なレセプターとして同定されて(Ashendel et al., Cancer Res., 43, 4333 (1983))以来、多数の生理的シグナリングメカニズムが、この酵素によるものであるとされた。PKCに対する強い関心は、カルシウムおよびジアシルグリセロール(およびそのホルボールエステル類似体)によりインビトロで活性化されるPKCのユニークな能力に由来し、ジアシルグリセロールは、その形成が、増殖因子および分化因子の作用によるリン脂質の代謝回転に共役したエフェクターである。 PKC遺伝子ファミリーは、現在、4つのサブグラウンドに分類される11の遺伝子から構成される:1) 古典的なPKCα、β1、β2 (β1およびβ2は、同一遺伝子が択一的にスプライシングされた形態である) およびγ、2) 新規なPKCδ、ε、ηおよびθ、3) 異型のPKCζ、λ、ηおよびι、並びに4) PKCμ。PKCμは、新規なPKCアイソフォームに似ているが、推定膜貫通ドメインを有することにより異なる(Blohe et al., Cancer Metast. Rev. 13, 411 (1994); Ilug et al., Biochem j., 291, 329 (1993); Kikkawa et al., Ann. Rev. Biochem. 58, 31 (1989)により概説される)。α、β1、β2、およびγアイソフォームは、Ca2+、リン脂質、およびジアシルグリセロール−依存性であり、PKCの古典的アイソフォームを表すが、他のアイソフォームは、リン脂質およびジアシルグリセロールにより活性化されるが、Ca2+に依存しない。すべてのアイソフォームは、5つの可変(V1-V5)領域を含み、α、β、γアイソフォームは、高度に保存された4つの(C1-C4)構造ドメインを含有する。PKCα、βおよびγ以外のすべてのアイソフォームは、C2ドメインを欠損し、λ、ηアイソフォームは、ジアシルグリセロールが結合するC1において、2つのシステインリッチのジンクフィンガードメインの9つを欠損する。C1ドメインは、偽基質(pseudosubstrate)配列を含有し、これは、すべてのアイソフォームの間で高度に保存され、基質結合部位をブロックすることにより自己調節機能を果たし、酵素の不活性なコンフォメーションをつくる(House et al., Science, 238, 1726 (1987))。 このような構造的特徴のため、多様なPKCアイソフォームが、生理的刺激に応答したシグナル伝達において(Nishizuka, Cancer, 10, 1892 (1989))、並びに新生物性形質転換および分化において(Glazer, Protein Kinase C. J.F. Kuo, ed., Oxford U. Press (1994) at pages 171-198)、高度に特殊化した役割を果たすと考えられる。公知のPKCモジュレーターの議論については、以下の文献が参照される:PCT/US97/08141、U.S. Patent Nos. 5,652,232; 6,043,270; 6,080,784; 5,891,906; 5,962,498; 5,955,501; 5,891,870および5,962,504 (これらの各々は、参照によりその全体を本明細書の開示内容の一部とする)。 PKCがシグナル伝達で果たす中心的役割を考えると、PKCは、APPプロセシングの調節の興味深いターゲットであることが分かる。PKCが、APPプロセシングに影響を及ぼすことは充分確立されている。たとえばホルボールエステルは、PKC活性化を介して分泌される非アミロイド産生性可溶性APP(sAPP)の相対量を有意に増大させることが示されている。しかし、ホルボールエステルによるPKC活性化は、APP分子の直接的リン酸化という結果には至らない。正確な作用部位に関係なく、ホルボール誘発性PKC活性化は、α−セクレターゼの非アミロイド産生性経路の向上または好調という結果に至る。したがって、PKC活性化は、有害でないsAPPの産生に影響を及ぼし、有益なsAPPを産生し、同時にAβペプチドの相対量を減らすための魅力的なアプローチである。しかし、ホルボールエステルは、その腫瘍促進活性のため、最終目的の薬剤開発にとって適切な化合物ではない。(Ibarreta et al. (1999) Benzolactam (BL) enhances sAPP secretion in fibroblasts and in PC12 cells, NeuroReport 10(5&6): 1034-40; 参照によりその全体を本明細書の開示内容の一部とする)。 個々のPKCアイソフォームは、生物学的プロセスにおいて、様々な、時には反対の役割を果たすという証拠が増えてきており、これは、薬理学的活用のための2つの方向性を提供する。一つは、PKCの特異的な(好ましくはアイソザイム特異的な)インヒビターのデザインである。このアプローチは、触媒ドメインが、PKCのアイソタイプ特異性を主に担うドメインではないという事実により複雑である。もう一つのアプローチは、アイソザイム選択的な調節部位指定PKCアクチベーターを開発することである。これらは、反対の生物学的効果を用いて、他のシグナル伝達経路の効果を無効にする方法を提供することができる。あるいは、急な活性化の後にPKCのダウンレギュレーションを誘発することにより、PKCアクチベーターは、長期的な拮抗作用を引き起こすことができる。ブリオスタチンが、現在、抗癌剤として臨床試験の段階にある。ブリオスタチンは、PKCの調節ドメインに結合し、その酵素を活性化することが知られている。ブリオスタチンは、PKCのアイソザイム選択的アクチベーターの一例である。ブリオスタチン以外の化合物が、PKCを調節することが見出されている。(たとえばWO 97/43268を参照; 参照によりその全体を本明細書の開示内容の一部とする)。 認知能力の具体的特徴または認知全般の何れかを介して、認知全体を改善するための治療方法の開発が現在もなお求められている。また、特定の疾患の状態または認知障害と関連があるか否かにかかわらず、認知の向上の改善方法の開発が現在もなお求められている。本発明の方法および組成物は、これらの要求を満足し、アルツハイマー病および他の神経変性疾患の臨床治療を大きく改善し、改善された認知の向上を提供する。また、本発明の方法および組成物は、α−セクレターゼの調節を介して、認知状態の治療および/または向上を提供する。 本発明は、認知能力の向上/改善と関連した症状を治療するための化合物、組成物、および方法に関する。好ましい態様において、更に本発明は、アルツハイマー病などのアミロイドのプロセシングに関連した症状を治療するための化合物、組成物、および方法に関し、これにより、改善/向上した認知能力が、治療された被検体に提供される。とりわけ、本発明の化合物および組成物は、大環状ラクトン(すなわちブリオスタチンおよびネリスタチンのクラス)から選択される。 本発明の別の側面は、α−セクレターゼ活性を調節する、大環状ラクトン化合物、組成物、および方法に関する。特に興味深いのは、ブリオスタチンおよびネリスタチンのクラスの化合物であり、更に興味深いのはブリオスタチン-1である。 本発明の別の側面は、PKCアクチベーターとしてのブリオスタチンおよびネリスタチンのクラスの化合物に関し、アミロイドプロセシングに関連した状況を変え、α−セクレターゼ経路を増強して可溶性α−アミロイド前駆体タンパク質(αAPP)を生成し、その結果、β−アミロイドの凝集を妨害し、認知能力を改善/向上させる。かかる活性化は、たとえば、アルツハイマー病の治療において使用することができる。とりわけ興味深いのは、ブリオスタチン-1である。 別の側面において、本発明は、斑形成、たとえばアルツハイマー病と関連した斑形成を治療し、被検体の認知状態を改善/向上させるための方法であって、PKCを活性化するのに効果的な量の大環状ラクトンを被検体に投与することを含む方法に関する。好ましい態様において、PKCアクチベーターは、ブリオスタチンまたはネリスタチンのクラスの化合物である。より好ましい態様において、この化合物はブリオスタチン-1である。 本発明の別の側面は、斑形成を治療し、認知能力を改善/向上させるための組成物であって、(i)可溶性β−アミロイドを増大させ、可溶性αAPPを生成し、β−アミロイドの凝集を妨害するのに効果的な量の大環状ラクトン;および(ii)薬学的に有効なキャリアを含む組成物に関する。好ましい態様において、組成物は、アルツハイマー病と関連した認知能力を改善/向上させるために使用される。大環状ラクトンは、好ましくは、ブリオスタチンまたはネリスタチンのクラスの化合物から選択され、特にブリオスタチン-1である。 本発明の一つの態様において、PKCアイソエンザイムの活性化は、改善された認知能力という結果に至る。一つの態様において、改善された認知能力は記憶である。別の態様において、改善された認知能力は学習である。別の態様において、改善された認知能力は注意である。別の態様において、PKCアイソエンザイムは、大環状ラクトン(すなわちブリオスタチンのクラスおよびネリスタチンのクラス)により活性化される。とりわけ、ブリオスタチン-1〜18およびネリスタチンは、PKCアイソエンザイムを活性化するために使用される。好ましい態様において、ブリオスタチン-1が使用される。 別の側面において、本発明は、認知能力を改善するのに効果的な量で投与されるPKCアイソエンザイムアクチベーターの組成物を含む。好ましい態様において、PKCアイソエンザイムアクチベーターは、大環状ラクトン(すなわちブリオスタチンのクラスおよびネリスタチンのクラス)から選択される。好ましい態様において、投与されるPKCアクチベーターの量は、sAPPの産生を増大させるのに効果的な量である。より好ましい態様において、投与される組成物の量は、筋肉痛を引き起こさない。 好ましい態様において、PKCアイソエンザイムは、神経疾患、脳卒中または低酸素症に罹患しているかまたは罹患していた被検体で活性化される。より好ましい態様において、PKCアイソエンザイムは、アルツハイマー病の被検体またはモデルで活性化される。 本発明の別の態様において、PKC活性化は、アミロイド前駆体タンパク質代謝の調節という結果に至る。更に、PKC活性化によるこの調節は、αセクレターゼ経路の増大という結果に至る。αセクレターゼ経路により、認知の欠陥に関連した無毒性の非アミロイド産生性フラグメントが結果として得られる。その結果、被検体の認知状態は改善される。本発明の別の態様において、PKC活性化は、アミロイド産生性毒性フラグメントAベータ40およびAb42を減少させる。 本発明の別の態様は、PKCアイソエンザイムの活性化を介して認知能力を改善する方法である。本発明の別の態様において、PKC活性化は、「正常な」被検体で起こる。本発明の別の態様において、PKC活性化は、認知能力が低下しているかまたは認知がうまく機能しない疾患に罹患している被検体で起こる。好ましい態様において、この方法は、アルツハイマー病を治療するための方法である。 本発明の別の態様において、PKCの調節は、非腫瘍促進剤の使用によりなされ、認知能力の改善という結果に至る。好ましい態様において、PKCアクチベーターは、ブリオスタチン-1〜ブリオスタチン-18およびネリスタチンから選択される。より好ましい態様において、ブリオスタチン-1が使用される。別の態様において、ブリオスタチン-1は、非ブリオスタチンクラスの化合物と組み合わせて使用され、認知能力を改善するとともに副作用を低減する。 本発明の別の態様において、大環状ラクトン(すなわちブリオスタチンのクラスおよびネリスタチンのクラス)によるPKCの調節は、アルツハイマー病と関連のある症状を試験するためにインビトロで使用される。このインビトロでの使用は、たとえば、線維芽細胞、血液細胞の試験、または細胞モデルにおけるイオンチャンネル伝導度のモニタリングを含むことができる。 本発明の好ましい態様において、化合物および組成物は、経口および/または注射形態、たとえば静脈内および脳室内注射などにより投与される。 したがって、本発明は、被検体の記憶障害または学習障害を治療する方法であって、治療に効果的な量の本発明の化合物の一つを被検体に投与することを含む方法を提供する。このように、本発明の化合物は、記憶の欠陥または学習障害が起こっている臨床症状の治療処置において使用することができる。このような方法で、記憶および学習を改善することができる。これにより、被検体の症状を改善することができる。 また、本発明は、アミロイドプロセシングと関連のある症状を治療するための方法を提供する。一つの態様において、アミロイドプロセシングと関連のある症状を治療するための方法は、PKCアクチベーターおよびPKCインヒビターを含む本発明の組成物の何れかを投与することを含む。好ましくは、投与される組成物は、前記組成物で治療された患者の大多数に対して中程度の筋肉痛のみを引き起こす。より好ましくは、投与される組成物は、前記組成物で治療された患者の大多数に対して筋肉痛を引き起こさない。 別の態様において、本発明の方法は、a) 薬学的に許容可能なキャリアを含むかまたは含まないPKCアクチベーター、およびb) 薬学的に許容可能なキャリアを含むかまたは含まないPKCインヒビターを、それを必要とする被検体に投与する工程を含む。一つの態様において、PKCアクチベーターは、認知能力を向上または改善するのに効果的な量で投与される。別の態様において、PKCアクチベーターは、α−セクレターゼ活性を増大させるのに効果的な量で投与される。別の態様において、PKCアクチベーターは、それを必要とする被検体に、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で投与される。好ましくは、認知能力は、学習、記憶および注意からなる群より選択される。更に別の態様において、PKCアクチベーターは、sAPPの産生を増大させるのに効果的な量で投与される。 一つの態様において、PKCアクチベーターは、それを必要とする被検体に、神経変性を軽減するのに効果的な量で投与される。好ましくは、それを必要とする被検体は、アルツハイマー病;多発脳梗塞性痴呆;パーキンソン病を伴っているかまたは伴っていないレヴィ小体変異のアルツハイマー病;クロイツフェルト−ヤコブ病;コルサコフ障害;および注意欠陥多動性障害からなる群より選択される神経変性疾患に罹患している。最も好ましくは、神経変性疾患はアルツハイマー病である。 本発明の方法において、PKCアクチベーターは、好ましくは、大環状ラクトン、ベンゾラクタム、ピロリジノン、およびその組み合わせからなる群より選択される。一つの態様において、PKCアクチベーターは、sAPPの産生を増大させる。別の態様において、本発明のPKCアクチベーターは、非腫瘍形成性である。好ましい態様において、PKCアクチベーターはピロリジノンである。より好ましい態様において、PKCアクチベーターはベンゾラクタムである。最も好ましい態様において、PKCアクチベーターは大環状ラクトンである。好ましくは、大環状ラクトンは、ブリオスタチン−およびネリスタチン−クラスの化合物からなる群より選択される。本発明の好ましい態様において、大環状ラクトンはネリスタチン-1である。より好ましい態様において、大環状ラクトンは、ブリオスタチン-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-12、-13、-14、-15、-16、-17、および-18からなる群より選択される。最も好ましくは、大環状ラクトンはブリオスタチン-1である。 本発明の方法において、PKCインヒビターは、末梢組織においてPKCを阻害する化合物である。本明細書で使用される「末梢組織」は、脳以外の組織を意味する。別の態様において、PKCインヒビターは、末梢組織において優先的にPKCを阻害する化合物である。別の態様において、PKCインヒビターは、それを必要とする被検体にPKCアクチベーターを投与したことに伴って起こる筋肉痛を軽減する化合物である。別の態様において、PKCインヒビターは、PKCアクチベーターにより治療された被検体で起こる筋肉痛を軽減する化合物である。別の態様において、PKCインヒビターは、PKCアクチベーターの許容用量を増大させる化合物である。具体的には、PKCインヒビターには、たとえば、ビタミンE、ビタミンE類似体、およびその塩;カルホスチンC(calphostin C);チアゾリジンジオン;ルボキシスタウリン(ruboxistaurin);およびその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「ビタミンE」は、α−トコフェロール(5,7,8-トリメチルトコール);β−トコフェロール(5,8-ジメチルトコール);δ−トコフェロール(8-メチルトコール);およびγ−トコフェロール(7,8-ジメチルトコール)、その塩および類似体を意味する。 本発明の方法において、PKCアクチベーターは、好ましくは、PKCインヒビターの投与前に投与される。より好ましくは、PKCインヒビターは、PKCアクチベーターの前に投与される。最も好ましくは、PKCアクチベーターおよびPKCインヒビターは同時に投与される。 好ましい態様において、PKCインヒビターはビタミンEである。好ましくは、ビタミンEは、15〜2,000 IU/日;より好ましくは150〜2,000 IU/日;最も好ましくは300〜2,000 IU/日の間の用量で投与される。本明細書で使用される「一国際単位(one International Unit)」または「IU」は、1ミリグラムのdl−α−酢酸トコフェロールのビタミンE活性を意味する。 本発明の組成物および方法は、中心的特徴または関連症候の何れかとして記憶障害または学習障害が起こる臨床症状および障害を治療する際に有用である。本発明の化合物を使用して治療することができる症状の例には、アルツハイマー病、多発脳梗塞性痴呆、パーキンソン病を伴っているかまたは伴っていないレヴィ小体変異のアルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病、およびコルサコフ障害が挙げられる。 また、本発明の組成物および方法は、年齢と関連して起こるか、電気痙攣療法の結果として起こるか、あるいはたとえば脳卒中、麻酔による不慮の事故、頭部外傷、低血糖症、一酸化炭素中毒、リチウム中毒、またはビタミン欠乏症などにより引き起こされる脳損傷の結果として起こる、記憶または学習の障害を治療するために使用することができる。 本発明の化合物は、非腫瘍促進性であり、既にフェーズII臨床試験に入っているという更なる利点を有する。 本発明は、認知を向上させ、認知障害を予防および/または治療するための薬学的組成物に関する。より詳細には、本発明は、認知を向上させ、認知障害を予防および/または治療するための有効成分として、大環状ラクトン(すなわちブリオスタチンのクラスおよびネリスタチンのクラス)およびそれらの誘導体を含む薬学的組成物に関する。 したがって、本発明の主要な目的は、認知を向上させ、認知障害を予防および/または治療するための薬学的組成物を提供することである。薬学的組成物は、大環状ラクトン、特にブリオスタチンおよびネリスタチンのクラス、または薬学的に許容可能なその塩もしくは誘導体、および薬学的に許容可能なキャリアもしくは賦形剤を含む。 本発明の薬学的組成物は、認知の向上、認知障害の予防および/または治療に有効であり、ここで認知障害は、本明細書に記載されるとおり、学習の習得、記憶の強化、および想起の障害を含むが、これらに限定されない。 本発明は、大環状ラクトン、ベンゾラクタム、ピロリジノンおよびこれらの組合せからなる群より選択されるPKCアクチベーター;PKCインヒビター;および薬学的に許容可能なキャリアを含む組成物を提供する。一つの態様において、PKCアクチベーターは、sAPPの産生を増大させる。別の態様において、本発明のPKCアクチベーターは、非腫瘍形成性である。好ましい態様において、PKCアクチベーターはベンゾラクタムである。より好ましい態様において、PKCアクチベーターはピロリジノンである。最も好ましい態様において、PKCアクチベーターは大環状ラクトンである。 また本発明は、ブリオスタチン−およびネリスタチン−クラスの化合物からなる群より選択される大環状ラクトン;PKCインヒビター;および薬学的に許容可能なキャリアを含む組成物を提供する。一つの態様において、大環状ラクトンは、ネリスタチン−クラスの化合物である。別の態様において、大環状ラクトンは、ブリオスタチン−クラスの化合物である。好ましい態様において、大環状ラクトンは、ブリオスタチン-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-12、-13、-14、-15、-16、-17、および-18からなる群より選択される。本発明のより好ましい態様において、大環状ラクトンはネリスタチン-1である。最も好ましい態様において、大環状ラクトンはブリオスタチン-1である。 好ましい態様において、ブリオスタチン-1は、5〜200μg/m2の間の用量で投与される。より好ましい態様において、ブリオスタチン-1は、10〜100μg/m2の間の用量で投与される。最も好ましい態様において、ブリオスタチン-1は、5〜50μg/m2の間の用量で投与される。 一つの態様において、PKCインヒビターは、末梢組織においてPKCを阻害する化合物である。本明細書で使用される「末梢組織」は、脳以外の組織を意味する。別の態様において、PKCインヒビターは、末梢組織において優先的にPKCを阻害する化合物である。別の態様において、PKCインヒビターは、それを必要とする被検体にPKCアクチベーターを投与したことに伴って起こる筋肉痛を軽減する化合物である。別の態様において、PKCインヒビターは、PKCアクチベーターにより治療された被検体で起こる筋肉痛を軽減する化合物である。別の態様において、PKCインヒビターは、PKCアクチベーターの許容用量を増大させる化合物である。好ましい態様において、PKCインヒビターはビタミンEである。より好ましい態様において、ビタミンEはα−トコフェロールである。 本発明は、哺乳類細胞においてタンパク質のリン酸化を調節するかまたはそれに影響を及ぼす効果的な量の少なくとも一の薬剤を患者に投与することにより、アルツハイマー病を含む神経変性疾患と関連したアミロイドーシスを治療するための方法に関する。 また本発明は、効果的な量の大環状ラクトン(すなわちブリオスタチンのクラスおよびネリスタチンのクラス)を患者に投与することを含む、アルツハイマー病を治療するための方法を提供する。 別の態様において、ブリオスタチンまたはネリスタチンのクラスの化合物は、上記方法で様々なホルボールエステルと併用し、被検体において腫瘍形成応答を妨害または低減することができる。図1は、sAPPα分泌に対する異なるPKCインヒビターの効果を示し、ブリオスタチン-1は、コントロールおよびベンゾラクタムより低い濃度で高い効能を示す。図2は、PKCαアイソザイムに対するブリオスタチン-1の異なる濃度の効果を示す。図3は、sAPPα分泌に対するブリオスタチン-1の異なる濃度の効果を示す。図4は、コントロールラットに対して処置されたラットが水迷路を学習するのに必要な時間を示す。図5は、水迷路でのラットのパフォーマンスに対するブリオスタチンの観察される効果を示す:(a)コントロールラットが、水迷路の異なる四分円において遊泳に費やした時間;(b)処置されたラットが、水迷路の異なる四分円において遊泳に費やした時間;および(c)処置されたラットが水迷路のターゲット四分円で費やした時間とコントロールラットとを比較した違い。図6は、コントロールおよびAD細胞の両方に対してブリオスタチン(0.1 nM)を投与した後の、ヒト線維芽細胞におけるsAPPα分泌を示す。図7は、AD細胞におけるブリオスタチン投与後のsAPPの免疫ブロットを示す。発明の詳細な説明 記憶の損失および学習能力の障害は、一連の臨床症状の特徴である。たとえば、記憶の損失は、アルツハイマー病を含む痴呆状態に最も多くみられる徴候である。記憶の欠陥は、他の種類の痴呆、たとえば、多発脳梗塞性痴呆(MID)、脳血管性欠損症により引き起こされる老年痴呆、およびパーキンソン病を伴っているかまたは伴っていないレヴィ小体変異のアルツハイマー病、またはクロイツフェルト−ヤコブ病でも起こる。記憶の損失は、脳に損傷を受けた患者に多くみられる特徴である。脳の損傷は、たとえば、典型的な脳卒中の後、または麻酔による不慮の事故、頭部外傷、低血糖症、一酸化炭素中毒、リチウム中毒、またはビタミン(B1、チアミンおよびB12)欠乏症、または過剰なアルコール使用、またはコルサコフ障害の結果として起こり得る。更に、記憶障害は、年齢と関連することもあり;名前、場所および言葉などの情報を思い出す能力は、年齢を増すごとに低下するようである。また、一時的な記憶の損失は、大鬱病性障害に罹患している患者に、電気痙攣療法(ECT)をおこなった後に起こり得る。アルツハイマー病は、老人人口において進行性痴呆の原因となる最も重要な臨床上の実体(entitiy)であり、一方、低酸素症/脳卒中は、神経障害に関連しない重大な記憶の欠陥の原因である。 アルツハイマー病の個体は、進行性の記憶障害、言語および視覚空間技術の損失、並びに行動の欠陥により特徴づけられる(McKhann et al., 1986, Neurology, 34: 939-944)。アルツハイマー病の個体の認知障害は、大脳皮質、海馬、基底前脳、および他の脳の領域に位置するニューロン細胞の変性の結果である。検死解剖で得たアルツハイマー病の脳の組織学的分析により、変性するニューロンの神経細胞形質および軸索における神経原線維変化(NFT)、細胞外神経炎性(老人性)斑、並びに脳の患部の血管の内部および周囲におけるアミロイド斑の存在が実証された。神経原線維変化は、らせん形態で対になっているファイバー(直径約10 nm)を含有する異常なフィラメント構造であり、このため、対のらせん状フィラメント(paired helical filament)とも称される。神経炎性斑は、変性する神経末端(軸索および樹状突起の両方)に位置し、アミロイドタンパク質ファイバーのコア化合物を含有する。要約すると、アルツハイマー病は、神経病理学的特徴、たとえば、主として細胞骨格タンパク質で構成される細胞内神経原線維変化、並びに細胞外実質性および脳血管性アミロイドにより特徴づけられる。更に、アルツハイマー病患者と正常な老人と他の神経変性疾患、たとえばパーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ヴェルニッケ−コルサコフ症候群または統合失調症などに罹患している人とを識別する方法が、当該技術分野に今日存在し、たとえばU.S.特許5,580,748およびU.S.特許6,080,582に記載される。 アルツハイマー病(AD)は、変化したタンパク質異化により特徴づけられる脳障害である。変化したタンパク質リン酸化は、アルツハイマー病でみられる細胞内神経原線維変化の形成に関与している。アミロイド前駆体タンパク質(APP)の異化においてタンパク質リン酸化が果たす役割が調査されており、APPは、ADにみられるアミロイド斑の主要な構成成分の元となる。アルツハイマー病の病状の中心的特徴は、斑内のアミロイドタンパク質の沈着である。 アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシングは、後に凝集してアルツハイマー病に特徴的なアミロイド沈着物(老人性またはAD斑として公知である)を形成するフラグメントの産生を決定する。このため、APPのプロセシングは、ADにおいて初期の重要な病態生理学的なできことである。 3つの択一的なAPPプロセシング経路が同定されている。以前に命名された「正常な」プロセシングは、APPをAβ配列内でLys16残基において(Lys16とLeu17の間で;APP770の名称)切断する酵素の関与を伴い、これにより非アミロイド産生性フラグメント:大きなN−末端外側ドメインおよび小さな9 kDa膜結合フラグメントが得られる。この酵素はまだ完全に同定されていないが、α−セクレターゼとして公知である。二つの追加のセクレターゼがAPPプロセシングに関与する。一つの択一的経路は、Aβドメインの外側、Met671とAsp672の間における(β−セクレターゼによる)APPの切断、並びにエンドソーム−リソソーム系の関与を伴う。別の切断部位は、Aβ部分のカルボキシル−末端で、Aβペプチドのアミノ酸39の後で、原形質膜内において起こる。セクレターゼ(γ)の作用により、完全なAβ配列を含有する細胞外アミノ酸末端と〜6 kDaの細胞関連フラグメントとが作成される。このように、βおよびγセクレターゼによるプロセシングは、完全なAβ配列を含有することから、潜在的なアミロイド産生性フラグメントを生成する。幾つかの証拠により、すべての択一的経路が所定のシステムで起こること、並びに可溶性Aβが「正常な産物」であり得ることが示された。しかし、CSFおよび血漿中を循環するAβの量が、「スウェーデン」変異をもつ患者において上昇するという証拠も存在する。更に、この変異またはAPP717変異でトランスフェクトされた培養細胞は、大量のAβを分泌する。ごく最近、他のAPP変異およびPS1およびPS2変異のキャリアは、特別な形態の長い(42-43アミノ酸)Aβを多量に分泌することが示された。 したがって、すべての択一的経路は、正常に起こり得るが、アミロイド産生性プロセシングを優先させるアンバランスが、家族性および散発性ADで起こる。このようなアミロイド産生性経路の増大は、最終的に、AD患者の脳で原線維および斑の形成につながる。このため、非アミロイド産生性α−セクレターゼ経路を優先させることにより、APPプロセシングのバランスは、毒性の恐れがあるAβペプチドに対してsAPPの相対量を増大させるおそらく非病原性プロセスへと効果的にシフトする。 PKCアイソエンザイムは、重大かつ特異的な律速性分子ターゲットを提供し、これにより、生化学的、生物物理学的、および行動的効力のユニークな相関関係を実証することができ、認知能力を改善するために被検体に適用することができる。 本発明者らは、プロテインキナーゼ(PKC)のアクチベーターとしてブリオスタチンを研究した。PKCの変化、並びにカルシウム制御およびカリウム(K+)チャンネルの変化は、アルツハイマー病(AD)患者における線維芽細胞の変化のなかに含められる。PKC活性化は、TEA-誘導性[Ca2+]の上昇により測定されるとおり、正常なK+チャンネル機能を回復させることが示された。更に、パッチ−クランプのデータは、113psK+チャンネル活性の回復に対するPKCアクチベーターの効果を実証する。このため、K+チャンネルのPKCアクチベーター依存性回復は、ADの病態生理の調査に対するアプローチとして確立されており、AD治療の有用なモデルを提供する。(係属中のU.S.出願シリアルNo.09/652,656を参照、これは参照によりその全体を本明細書の開示内容の一部とする。) アルツハイマー病(AD)患者および動物ニューロン細胞から得た末梢組織を使用することにより、AD脳の同等のプロセスを反映する、病態生理学的に関連のある、幾つかの細胞/分子変化を同定することが可能になった(Baker et al., 1988; Scott, 1993; Huang, 1994; Scheuner et al., 1996; Etcheberrigaray & Alkon, 1997; Gasparini et al., 1997)。カリウムチャンネル機能の変化は、AD患者から得た線維芽細胞(Etcheberrigaray et al., 1993)および血液細胞(Bondy et al., 1996)で同定されている。更に、AD病態生理の主要なプレーヤーとして広く受け入れられているβ−アミロイド(Gandy & Greengard, 1994; Selkoe, 1994; Yankner, 1996)が、コントロール線維芽細胞において、AD−類似のK+チャンネル変化を誘導できることが示された(Etcheberrigaray et al., 1994)。K+チャンネルに対するβ−アミロイドの類似または同等の効果が、実験動物から得たニューロンで報告された(Good et al., 1996; レビューに関してFraser et al., 1997を参照)。(アパミン結合により測定される)アパミン感受性K+チャンネルの海馬の変化がAD脳において初期に観察されるということは、K+チャンネルが病態生理学的にADに関連しているという示唆に対して更なる裏付けを提供する(Ikeda et al., 1991)。更に、プロテインキナーゼC(PKC)は、AD患者の末梢組織および脳組織におけるパラレルな変化を阻害する。この酵素のレベルおよび/または活性は、AD患者の脳および線維芽細胞で誘導された(Code et al., 1988; Van Huynh et al., 1989; Govoni et al., 1993; Wang et al., 1994)。免疫ブロット法分析を用いた研究により、種々のPKCアイソザイムのうち、主としてαアイソフォームは、線維芽細胞で有意に減少するが(Govoni et al., 1996)、AD患者の脳ではαおよびβアイソフォームの両方が減少する(Shimohama et al., 1993; Masliah et al., 1990)ことが明らかにされた。これらの脳のPKC変化は、疾患プロセスの初期のできごとであると思われる(Masliah et al., 1991)。PKC活性化が、アミロイド前駆体タンパク質、APPの非アミロイド産生性プロセシングを優先させることに注目することは興味深い(Bauxbaum et al., 1990; Gillespie et al., 1992; Selkoe, 1994; Gandy & Greengard, 1994; Bergamashi et al., 1995; Desdoutis et al., 1996; Efhimiopoulus et al., 1996)。このため、PKCおよびK+チャンネルの両変化は、ADで同時に存在し、ADの末梢および脳で発現する。 PKCが、K+チャンネルを含むイオンチャンネルを制御すること、並びにPKCの欠陥がK+チャンネルの欠陥につながることが知られているため、PKC変化とK+チャンネル変化との間のラインが調査されている。これは、APPの調節にとって重要なだけでなく、PKCとK+チャンネルが記憶の確立と想起に果たす役割にとっても重要である(たとえば、Alkon et al., 1988; Covarrubias et al., 1994; Hu et al., 1996を参照)。ADの線維芽細胞は、K+チャンネルおよびPKCの両欠陥を実証するために使用されている(Etcheberrigaray et al., 1993; Govoni et al., 1993, 1996)。研究により、公知の機能不全のK+チャンネルを備えた線維芽細胞は、PKCアクチベーターで処理されると、チャンネル活性を回復させることが示され、これは、TEA−誘導性カルシウム上昇のあり/なしによりモニターされる。更に、テトラエチルアンモニウムクロライド(TEA)−誘導性[Ca2+]上昇に基くアッセイを使用して、TEA遮断の影響を受けやすい機能的な113pS K+チャンネルが明らかにされている(Etcheberrigaray et al., 1993, 1994; Hirashima et al., 1996)。このため、コントロール個体の線維芽細胞で観察されたTEA−誘導性[Ca2+]上昇およびK+チャンネル活性は、AD患者の繊維芽細胞ではほとんどみられない(Etcheberrigaray et al., 1993; Hirashima et al., 1996)。これらの研究は、PKCアクチベーターの使用が、TEAチャレンジに対するAD線維芽細胞系統の応答性を回復できることを実証する。更に、これら研究の免疫ブロットの証拠により、この回復は、αアイソフォームの優先的な関与と関連していることが実証される。 本発明者らは、プロテインキナーゼCの活性化が、アルツハイマー病(AD)のアミロイド前駆体タンパク質(APP)のα−セクレターゼによるプロセシングを優先させ、非アミロイド産生性可溶性APP(sAPP)を生成することを観察した。その結果、アミロイド産生性A1-40およびA1-42(3)の相対的な分泌が減少する。このことは、繊維芽細胞および他のAPP発現細胞、および初老期AD変異が、増大した量のトータルAβおよび/または増大した比のA1-42(3)/A1-40を分泌するため、特に関連性がある。興味深いことに、PKCの欠陥は、ADの脳(αおよびβアイソフォーム)およびAD患者の繊維芽細胞(α−アイソフォーム)でみられた。 研究により、α、βおよびγアイソフォームに対する選択性が改善された他のPKCアクチベーター(すなわちベンゾラクタム)は、sAPP分泌を基底レベル以上に高めることが示された。ベンゾラクタムで処置されたAD細胞におけるsAPP分泌は、コントロールのベンゾラクムで処置された繊維芽細胞と比較して僅かに高く、これは、10μM BLによる処置後にsAPP分泌の有意な増大を示したにすぎなかった。スタウロスポリン(staurosporine)(PKCインヒビター)は、コントロールの線維芽細胞およびADの線維芽細胞の両方においてベンゾラクタムの効果を除去することが更に報告されたが、関連化合物は、PC12細胞において〜3倍のsAPPの分泌を引き起こす。本発明者らは、ブリオスタチンが、非腫瘍促進性であり、既にステージIIの臨床試験中であるため、それをPKCアクチベーターとして使用して非アミロイド産生性APPプロセシングを優先させることは、特に治療上の価値が高いことを見出した。 記憶は、情報処理に関連して、脳構造においてシナプス改変(modification)を持続した結果であると考えられる。シナプスは、最終ターゲットにおける重大な部位と考えられ、これを介して、記憶関連のできごとは、機能的発現を実現し、遺伝子の発現およびタンパク質の翻訳の変化を伴うか、キナーゼ活性の変化を伴うか、またはシグナリングカスケードの改変を伴う。Ca2+/カルモジュリンIIキナーゼ、プロテインキナーゼC、カレキシチン(calexcitin)、22-kDaの学習関連のCa2+結合タンパク質、およびタイプIIリアノジン受容体など、数少ないタンパク質が、連想記憶に関与している。大環状ラクトンの投与によるPKCの調節は、シナプス改変をもたらすメカニズムを提供する。 記憶および学習の欠陥の領域は、記憶および学習プロセスの様々な特徴を実証することができる動物モデルにおいて豊富である。(たとえば、Hollister, L.E., 1990, Pharmacopsychiat., 23, (Suppl II) 33-36を参照)。記憶の損失および学習障害の有用な動物モデルは、別個のできごとを記憶する動物の能力の測定を伴う。これらの試験は、モリス水迷路および受動回避の手法を含む。モリス水迷路では、動物は、4つの四分円に分割された水槽で遊泳することが許容され、その一つだけが、水の下に安全なプラットホームを有する。プラットホームを取り外して、どのくらいの時間、誤った四分円に対して正しい四分円を探しているか、動物を試験する。受動回避の手法では、動物は、低刺激性電気ショックを与えられる特徴的な環境を記憶し、2回目にそれを回避する。受動回避の手法の変法は、げっ歯類が明るい開放環境よりも暗い閉鎖環境を好むことを利用する。更なる議論は、以下の文献に見出すことができる:Crawley, J. N., 1981, Pharmacol. Biochem. Behav., 15, 695-699; Costall, B. et al, 1987, Neuropharmacol., 26, 195-200; Costall, B. et al., 1989, Pharmacol. Biochem. Behav., 32, 777-785; Barnes, J.M. et al., 1989, Br. J. Pharmacol., 98 (Suppl) 693P; Barnes, J.M. et al., 1990, Pharmacol. Biochem. Behav., 35, 955-962。 「正常な」の用語の使用は、認知機能の低下または障害と診断されたことがないし、認知機能の低下または障害を現在示していない個体を含むことを意味する。様々な認知能力は、当該技術分野で確立された公知の手段により試験し評価することができ、これには、基本的な運動−空間技術から、より複雑な記憶の想起試験までが含まれるが、これらに限定されない。非霊長類の認知能力のために使用される試験の非限定的な例には、モリス水迷路、放射状迷路、T迷路、まばたき検査(Eye Blink Conditioning)、遅延性想起(Delayed Recall)、および手掛り想起(Cued Recall)が含まれ、霊長類の被検体に対する試験は、まばたき、遅延性想起、手掛り想起、顔の識別、ミニメンタル(Minimental)およびADAS-Cogが含まれる。これら試験の多くは、典型的には、ADに罹患する患者に対する精神状態の評価において使用される。同様に、類似の目的のために動物モデルを評価することが、文献に記載されている。 PKCを刺激するよう機能する大環状ラクトン(すなわちブリオスタチンのクラスおよびネリスタチンのクラス)は、とりわけ興味深い。ブリオスタチンのクラスの化合物のうち、ブリオスタチン-1は、PKCを活性化することが示され、腫瘍促進活性を欠くことが証明された。PKCアクチベーターとしてのブリオスタチン-1は、ブリオスタチン-1の用量反応曲線が二相であるため、特に有用である。加えて、ブリオスタチン-1は、PKCα、PKCδ、およびPKCεを含むPKCアイソザイムの特異的な調節を実証する。ブリオスタチン-1は、動物およびヒトにおいて毒性および安全性研究が行われ、抗癌剤として盛んに研究されている。ブリオスタチン-1を研究で使用したことにより、ヒトでの主な有害反応は筋肉痛であり、最大用量は40 mg/m2に限定されることが決定された。本発明は、0.1 nMの濃度のブリオスタチン-1を使用して、sAPPの分泌を劇的に増大させた。ブリオスタチン-1は、賦形剤のみと、および10,000倍高い濃度で用いた別のPKCアクチベーター、ベンゾラクタム(BL)と比較した。また、0.01 nMで使用したブリオスタチンも、sAPP分泌を増大させるのに効果的であることが証明された(図1参照)。PKC活性化の指標である、細胞膜へのPKCのトランスロケーションは、活性化が30分で最大になり、その後、部分的に低下し、6時間まで基底トランスロケーションレベルより高いままであることを実証する(図2、3、&7参照)。PKCインヒビターのスタウロスポリン(staurosporin)の使用により、sAPP分泌に対するブリオスタチンの効果は完全に妨害される。このデータは、PKC活性化が、sAPP分泌に対するブリオスタチンの効果を仲介する(mediate)ことを更に実証する(図1−3参照)。 大環状ラクトン、とりわけブリオスタチン-1は、U.S.Patent 4,560,774に記載される(これは、参照によりその全体を本明細書の開示内容の一部とする)。大環状ラクトンおよびその誘導体は、当該技術分野では他に、たとえば、U.S. Patent 6,187,568、U.S. Patent 6,043,270、U.S. Patent 5,393,897、U.S. Patent 5,072,004、U.S. Patent 5,196,447、U.S. Patent 4,833,257、およびU.S. Patent 4,611,066に記載される(これらの各々は、参照によりその全体を本明細書の開示内容の一部とする)。上記特許は、大環状ラクトンの種々の化合物および種々の使用、たとえば抗炎症剤または抗腫瘍剤としての使用を記載する。ブリオスタチンのクラスの化合物に関する他の議論は、以下の文献に見出すことができる:Szallasi et al. (1994) Differential Regulation of Protein Kinase C Isozymes by Bryostatin 1 and Phorbol 12-Myristate 13-Acetate in NIH 3T3 Fibroblasts, Journal of Biological Chemistry 269(3): 2118-24; Zhang et al. (1996) Preclinical Pharmacology of the Natural Product Anticancer Agent Bryostatin 1, an Activator of Protein Kinase C, Cancer Research 56: 802-808; Hennings et al. (1987) Bryostatin 1, an activator of protein kinase C, inhibits tumor promotion by phorbol esters in SENCAR mouse skin, Carcinogenesis 8(9): 1343-46; Varterasian et al. (2000) Phase II Trial of Bryostatin 1 in Patients with Relapse Low-Grade Non-Hodgkin’s Lymphoma and Chronic Lymphocytic Leukemia, Clinical Cancer Research 6: 825-28; and Mutter et al. (2000) Review Article: Chemistry and Clinical Biology of the Bryostatins, Bioorganic & Medicinal Chemistry 8: 1841-1860(これらの各々は、参照によりその全体を本明細書の開示内容の一部とする)。 筋肉痛は、PKCアクチベーターの許容用量を制限する主な副作用である。たとえば、ブリオスタチン-1を用いたフェーズIIの臨床試験において、筋肉痛は、全治療患者の10〜87%で報告された(Clamp et al. (2002) Anti-Cancer Drugs 13: 673-683)。3週間にわたって1週間に1回の20μg/m2の用量は、充分許容され、筋肉痛や他の副作用と結びつかない(Weitman et al. (1999) Clinical Cancer Research 5: 2344-2348)。別の臨床研究において、8週間にわたって1週間に1回投与される25μg/m2のブリオスタチン-1は、最大の許容用量であった(Jayson et al. (1995) British J. of Cancer 72(2): 461-468)。別の研究では、50μg/m2(6週間にわたって2週間ごとに1回投与される1時間の静脈注入)が、最大の許容用量であると報告された(Prendville et al. (1993) British J. of Cancer 68(2): 418-424)。報告された筋肉痛は、ブリオスタチン-1の繰返しの治療により累積的であり、最初の注入から数日後に発症した(同上)。患者の生活の質に対する筋肉痛の有害効果は、ブリオスタチン-1の治療中止の有力な理由であった(同上)。ブリオスタチン誘発性筋肉痛の病因は不確かである(同上)。 国立癌研究所(National Cancer Institute)は、筋肉痛をランク付けするための共通の毒性基準を確立した。具体的には、この基準は、5つのカテゴリーまたはグレードに分類される。グレード0は筋肉痛なし。グレード1の筋肉痛は、鎮痛剤を必要としない軽度の短期間の痛みにより特徴づけられる。グレード1の筋肉痛において、患者は完全に歩行可能である(ambulatory)。グレード2の筋肉痛は、中程度の痛みにより特徴づけられ、その痛みまたは必要な鎮痛剤は、幾つかの機能を妨害するが日常生活の活動を妨害しない。グレード3の筋肉痛は、重度の痛みと関連し、その痛みまたは必要な鎮痛剤は、日常生活の活動を大きく妨害する。グレード4の筋肉痛は、身体的障害である。 本発明の組成物は、末梢組織においてPKC活性化を減弱することにより、患者に投与されるPKCアクチベーターの許容用量を増大させ、および/またはPKC活性化と関連する副作用を和らげる。具体的に、PKCインヒビターは、末梢組織でPKCを阻害するか、または末梢組織でPKCを優先的に阻害する。たとえば、ビタミンEは、糖尿病ラットの大動脈および高いグルコースレベルに晒されたラット平滑筋培養細胞において、ジアシルグリセロール−プロテインキナーゼC活性化を標準化することが示された。(Kunisaki et al. (1994) Diabetes 43(11): 1372-1377)。中程度に進行したアルツハイマー病に罹患している患者をビタミンE(2000 IU/日)で処置した二重盲検試験において、ビタミンEの処置により、死亡率および罹患率は低下したが、認知能力は向上しなかった。(Burke et al. (1999) Post Graduate Medicine 106(5): 85-96)。 ブリオスタチンのクラスを含む大環状ラクトンは、本来Bigula neritina Lに由来する公知の化合物を表す。大環状ラクトン、とりわけブリオスタチンのクラスについて複数の用途が知られているが、大環状ラクトンと認知の向上との関係は、これまで知られていなかった。 本発明で使用することができる化合物の例には、大環状ラクトン(すなわちブリオスタチンのクラスおよびネリスタチンのクラスの化合物)が含まれる。これら化合物の具体的な態様は、例および詳細な説明に記載されるが、参照文献に開示される化合物およびその誘導体も、本発明の組成物および方法のために使用できることを理解すべきである。 当業者に認識されるとおり、大環状ラクトン化合物およびその誘導体、とりわけブリオスタチンのクラスは、コンビナトリアル合成技術に従うため、化合物のライブラリーを作成して、薬理学的パラメーター(組成物の効能および安全性を含むがこれらに限定されない)を最適化することができる。加えて、これらライブラリーをアッセイして、α−セクレターゼおよび/またはPKCを好ましく調節するメンバーを決定することができる。 天然産物および発酵ブロスのコンビナトリアルライブラリー・ハイスループットスクリーニングにより、幾つかの新規薬剤が発見されるという結果に至った。現在、化学物質の多様性の作成およびスクリーニングは、リード化合物の発見のための主要な技術として広く利用されており、これは、確実に、薬剤発見の分野において主要な基本的進歩である。加えて、リード化合物が同定された後にも、コンビナトリアル技術は、所望の生物学的活性の最適化のための有益なツールを提供する。認識されるとおり、対象の反応は、薬学的、または他の生物学的または医薬関連の活性、または物質関連の品質をスクリーニングするための、化合物のコンビナトリアルライブラリーの作成にすぐに役にたつ。本発明の目的のためのコンビナトリアルライブラリーは、化学的に関連のある化合物の混合物であり、これは、所望の特定について一緒にスクリーニングされてもよく;このライブラリーは、溶液中に存在していてもよいし、固体支持体に共有結合されていてもよい。一回の反応で多くの関連化合物を調製することにより、実施する必要のあるスクリーニングプロセスの回数を大幅に減少させ、簡素化する。適切な生物学的特性に関するスクリーニングは、慣用的な方法により行うことができる。このため、本発明は、α−セクレターゼおよび/またはPKCに結合し効果的に調節する一または複数の本発明の化合物の能力を決定する方法を提供する。 後述のコンビナトリアルライブラリーを作成する技術において様々な技術が利用可能であるが、本発明は、前述の例および説明に限定されないことが理解されるでしょう。たとえば、Blondelle et al. (1995) Trends Anal. Chem. 14: 83; the Affymax U.S. Patents 5,359,115および5,362,899: the Ellman U.S. Patent 5,288,514: the Still et al. PCT publication WO 94/08051; Chen et al. (1994) JACS1 1 6: 266 1: Kerr et al. (1993) JACS I 1 5: 252; PCT publications W092/10092, WO93/09668およびWO91/07087; 並びにthe Lerner et al. PCT publication WO93/20242を参照。従って、約16〜1,000,000以上のディバーソマー(diversomer)のオーダーで種々のライブラリーを合成し、特定の活性または特性についてスクリーニングすることができる。 本発明の化合物は、種々のルートにより、種々の投与形態、たとえば経口、直腸、非経口(たとえば、皮下、筋内および静脈内)、硬膜外、髄腔内、関節内、局所的および舌下投与で投与することができる。成人の用量の範囲は、幾つかの因子、たとえば年齢、体重、並びに患者および投与ルートの条件に依存する。 経口投与については、希釈剤、分散剤および/または界面活性剤を含有する微粉剤または顆粒剤を、ドラフト(draught)中に、水またはシロップ中に、カプセルまたは小袋(sachet)中に乾燥状態で、懸濁剤を含有していてもよい非水性懸濁液中に、あるいは水またはシロップの懸濁液中に、存在させることができる。所望の場合または必要な場合、香味剤、保存剤、懸濁剤、増粘剤または乳化剤を含有させることができる。 混合により含有させてもよい他の化合物は、たとえば、医学的に不活性な成分、たとえば固体および液体の希釈剤、たとえば錠剤またはカプセルのためのラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、スターチ、またはリン酸カルシウム、軟質カプセル剤のためのオリーブ油またはオレイン酸エチル、および懸濁剤または乳剤のための水または植物油;潤滑剤、たとえばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、および/またはポリエチレングリコール;ゲル化剤、たとえばコロイドクレー;増粘剤、たとえばトラガカントゴムまたはアルギン酸ナトリウム;結合剤、たとえばスターチ、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、たとえばスターチ、アルギン酸、アルギネートまたはナトリウムスターチグリコレート;発泡性混合物;染料;甘味剤、湿潤剤、たとえばレシチン、ポリソルベートまたはラウリルスルフェート;並びに他の治療に許容される副成分、たとえば湿潤剤、保存剤、バッファーおよび抗酸化剤であり、これらは、かかる製剤のための公知の添加剤である。 経口投与のための液体分散剤は、シロップ剤、乳剤または懸濁剤とすることができる。シロップ剤は、キャリアを含有していてもよく、たとえばサッカロース、またはグリセロールおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールと一緒のサッカロースである。とりわけ、糖尿病患者のシロップ剤は、キャリアとして、グルコースに代謝されないか、またはごく微量しかグルコースに代謝されない産物のみを含有することができ、たとえばソルビトールである。懸濁剤および乳剤は、キャリアを含有していてもよく、たとえば天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールである。 筋内注射のための懸濁剤または液剤は、活性な化合物とともに、薬学的に許容されるキャリアを含有していてもよく、たとえば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、たとえばプロピレングリコール、所望の場合には、適量の塩酸リドカインである。静脈内注射または点滴のための液剤は、キャリアを含有していてもよく、たとえば滅菌水であり、一般には注射用蒸留水である。しかし、好ましくは、無菌の等張食塩水の形態をとってもよい。あるいは、本発明の化合物は、リポソーム内にカプセル化してもよい。本発明の化合物は、他の公知の活性薬剤デリバリーシステムを利用することもできる。 本発明の化合物は、他の添加剤を含有しない純粋な形態で投与されてもよく、この場合、カプセル、小袋(sachet)または錠剤が、好ましい投与形態である。 個別のユニットで提供される錠剤および他の形態のプレゼンテーションは、好ましくは、本発明の化合物の一つを、一日用量または適切なそのフラクションで含有する。たとえば、ユニットは、本発明の化合物の一つを5 mg〜500 mg、通常10 mg〜250 mg含有することができる。 本発明の組成物の薬理学的活性は、当該技術分野で公知の標準的な薬理学的モデルを用いて実証できることが認識されるでしょう。更に、本発明の組成物は、部位特異的デリバリーのための適切なポリマーマトリクスまたはメンブレンに組込むか、またはカプセル化することできること、あるいは部位特異的デリバリーを行うことができる特異的なターゲッティング薬剤を用いて機能的にすることができることが認識されるでしょう。これらの技術、並びに他の薬剤デリバリー技術は、当該技術分野で周知である。 本明細書において、本、論文、または特許文献のすべては、本開示と矛盾しない範囲でで、参照により本明細書の開示内容の一部とする。以下、本発明は、実施例により説明されるが、これは、本発明の範囲を説明することを意図し、限定することを意図したものではない。 例1:細胞培養 培養された皮膚線維芽細胞を、Coriell Cell Repositoriesから入手し、その培養のために確立された一般的ガイドラインに僅かな改変を加えて用いて増殖させた(Cristofalo & Carptentier, 1988; Hirashima et al., 1996)。細胞を増殖させた培地は、10%子ウシ血清(Biofluids, Inc.)を添加したダルベッコの改変イーグル培地(GIBCO)であった。コントロール細胞系統(AC)に由来する線維芽細胞、ケースAG07141およびAG06241、および家族性AD(FAD)ケース(AG06848)を使用した。 例2:PKCアクチベーター 異なるアイソザイムの様々な組織分布、明らかに特有の役割、および病理への特異的な関与により、特定のアイソザイムを優先的にターゲッティングすることができる薬理学的ツールを使用することが重要になる(Kozikowski et al., 1997; Hofmann, 1997)。医化学の分野における近年の研究により、幾つかのPKCアクチベーター、たとえば様々なベンゾラクタムおよびピロリジノンが開発された。しかし、現在研究されているブリオスタチンPKCアクチベーターは、同等に特異的な(isospecific)活性を提供するという利点をもつだけでなく、従来使用されていたPKCアクチベーターの副作用、たとえば腫瘍促進を受けない。ブリオスタチンは、PKCの調節ドメインに対して競合し、この部位内の非常に特異的な水素結合相互作用に関与する。この化合物の有機化学および分子モデリングに関する更なる情報は、文献の全体にわたって見出すことができる。 例3:処置 細胞は、6 cmペトリディッシュで5〜7日間、集密になるまで増殖させた。実験の日に、培地を、血清を含まないDMEMと交換し、2時間静置した。2時間の血清欠乏の終了時に、適切な濃度でBryo、BLおよびDMSOを培地に直接適用することにより、処置を行った。DMSOは、すべてのケースで1%未満であった。ほとんどのケースで、sAPP分泌のため処置から3時間後に培地を集め処理した。他の時点も使用して、分泌の時間的経過を確立した。 例4:免疫ブロットアッセイ 免疫ブロット法の実験を、確立された手法を用いて行った(Dunbar, 1994)。細胞は、6 cmペトリディッシュで、集密(〜90%)になるまで増殖させた。0.1 nMブリオスタチン-1による5、30、60、120分の処置に応答したアイソザイムのレベルを、Racchi et al., (1994)により確立された手法を僅かに改変して用いて定量化した。線維芽細胞を、氷冷PBSで2回洗浄し、PBSで解体し、低速遠心分離により集めた。沈殿を、以下のホモジナイゼーションバッファーに再懸濁した:20 mM Tris-HC1, pH 7.5、2 mM EDTA、2 mM EGTA、5 mM DTT、0.32 M スクロース、およびプロテアーゼインヒビター混合物 (Sigma)。ホモジネートを、音波処理により得、〜12,00gで20分間遠心分離し、上清をサイトゾルフラクションとして使用した。沈殿を、1.0% Triton X-100を含有する同じバッファー中でホモジナイズし、氷中で45分間インキュベートし、〜12,000gで20分間遠心分離した。このバッチから得た上清をメンブレンフラクションとして使用した。タンパク質測定の後、20μgのタンパク質を2×電気泳動サンプルバッファー(Novex)で希釈し、5分間ボイルし、10%アクリルアミドゲルに流し、PVDFメンブレンに電気泳動で移した。メンブレンを、室温で1時間インキュベートすることにより、5%ミルクブロッカーで飽和させた。PKCアイソフォームに対する一次抗体(Transduction Laboratories)を、ブロッキング溶液で希釈し(1:1000)、メンブレンとともに4℃で一晩インキュベートした。メンブレンを、二次抗体、アルカリホスファターゼ抗マウスIgG(Vector Laboratories)とインキュベートした後、化学発光基質(Vector Laboratories)を用いて、製造者の指示により発色させた。バンドの強度を、BioRad GS-800キャリブレートスキャニングデンシトメーター(calibrated scanning densitometer)およびマルチアナリストソフトウェア(Multianalyst software)(BioRad)を用いて、デンシトメトリーにより定量化した。 例5:sAPPの測定 分泌されたAPPの濃度を、慣用的な免疫ブロット法技術を用いて、プロトコールにマイナーな改変を加えて測定した。各ディッシュ/処置の沈殿タンパク質抽出物を、新たに調製した10%アクリルアミドTris HClミニゲルにロードし、SDS-PAGEで分離した。ロードしたサンプルの体積を、ディッシュあたりのトータル細胞タンパク質について訂正した。その後、タンパク質を、PVDFメンブレンに電気泳動で移した。メンブレンは、非特異的な結合をブロックするために、5%脱脂粉乳で飽和させた。ブロックされたメンブレンを、コンディショニングされた培地(SENETEK)において、sAPP−αを認識する市販の抗体6E10(1:500)と4℃で一晩インキュベートした。メンブレンを、洗浄した後、抗マウスIgG二次抗体を結合したホースラディシュ・ペルオキシダーゼ(Jackson’s Laboratories)と室温でインキュベートした。その後、シグナルを、強化した化学発光を用いて検出し、次いでHyperfilm ECL(Amersham)に露出した。バンドの強度を、BioRad GS-800キャリブレートスキャニングデンシトメーター(calibrated scanning densitometer)およびマルチアナリストソフトウェア(Multianalyst software)(BioRad)を用いて、デンシトメトリーにより定量化した。 図7に示されるとおり、ブリオスタチン-1は、強力な応答を誘導し、これはPKCの活性化を実証する。PKCの活性化は、わずか0.1 nMの用量のブリオスタチン-1のデリバリーから30分後に、容易に検出可能であることに注目すべきである。 APP代謝に関するデータおよび副生成物の効果を考察することも興味深い。研究により、PKCの活性化は、非アミロイド産生性分泌フラグメント(可溶性APP、おそらくセクレターゼの生成物)vs.アミロイド産生性分泌フラグメント(Aβ1-40および/またはAβ1-42)の比を増大させることが実証された(Buxbaum et al., 1990; Gillespie et al., 1992; Selkoe, 1994)。この理論にこだわることを望まないが、低いPKCのAD細胞が、sAPPの分泌に欠陥を有し、および/またはアミロイド産生性フラグメントの高い比を有することを推測することができる。実際、幾つかのAD細胞系統が、PKCの欠陥およびsAPP分泌の欠陥の両方を示すという証拠がある(Bergamaschi et al., 1995; Govoni et al., 1996)。加えて、β−アミロイドが、線維芽細胞においてAD様K+チャンネル欠陥を誘導すること(Etcheberrigaray et al., 1994)、並びに培養ニューロンにおいてK+の流れをブロックすること(Good et al., 1996)が示されている。したがって、我々は、アイソザイム特異的なPKCの欠陥が、他の起こり得る悪影響のなかでもK+チャンネルの機能を変化させる異常なAPPプロセシングにつながる機械的リンクを提案する。近年の予備データにより、β−アミロイドが、おそらく悪循環的なやり方で、PKCの減少を順次引き起こすことが示唆される(Favit et al., 1997)。 要約すると、そのデータにより、特定のアイソザイムをターゲティングするPKC機能をアップレギュレートするストラテジーは、sAPPの産生を増大させることが示唆される。これらの研究およびかかる線維芽細胞モデルを発展させて、潜在的な病理プロセスを変化させる化合物(たとえばブリオスタチン)の効果をモニターするためのツールとして使用することができる。更に、当業者であれば、Ca2+イメージングおよび電気生理学によりこれらサンプルを更に試験する方法を認識しているでしょう。その後、かかる化合物を、この障害のための薬剤の合理的デザインのベースとして使用することができる。 例6:モリス水迷路 認知に対するPKCアクチベーターの効果は、モリス水迷路パラダイムにより実証した。本実施例において、ラットは、ブリオスタチン-1を心室内に注入し、(標準プロトコールの後)4日間訓練した。5日目に保持(retention)を評価した。学習は、試行から試行までのエスケープ時間(escape latency)の低下として測定し、これは処置した動物において有意に低かった。記憶の獲得は、関連の四分円で費やした時間として測定した(5日目)。記憶または保持は、偽の注入の動物と比較して、処置した動物で有意に向上した(図4〜図5(a)−5(c)参照)。ブリオスタチン-1で処置したラットは、処理から2日以内に、コントロールラットと比較して認知の改善を示した(図4参照)。ブリオスタチンは、腫瘍を治療するために使用される濃度より300〜300,000倍低い濃度で、認知を改善するために使用することができる。上述の実施例は、ブリオスタチン-1の投与により、無病の被検体において、他の無病の被検体と比較して認知能力を改善できることを更に示す。 これまでに行われた安全性、毒性、および癌のフェーズII臨床研究のおかげで、PKCアクチベーター、とりわけブリオスタチン-1の使用は、安全であるとみなされ、ADの治療/認知の向上に関するフェーズII研究を促進することができると結論づけられる。更に、ブリオスタチン-1の親油性は、血液脳関門の輸送の増大を提供する。本発明は、静脈内、経口、心室内、および他の公知の投与方法を許容する。 sAPP分泌実験のテスト、PKC活性化実験、および動物行動実験により、sAPP分泌の増大は、PKC活性化の増大に続いて起こること、並びに動物行動研究において認知の改善という結果が得られることが示された。 a) PKCアクチベーター; b) PKCインヒビター;および c) 薬学的に許容可能なキャリアを含む組成物。 前記PKCアクチベーターが大環状ラクトンである、請求項1に記載の組成物。 前記PKCアクチベーターがベンゾラクタムである、請求項1に記載の組成物。 前記PKCアクチベーターがピロリジノンである、請求項1に記載の組成物。 前記ブリオスタチン(bryostatin)が、ブリオスタチン-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-12、-13、-14、-15、-16、-17、および-18からなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。 前記ブリオスタチンがブリオスタチン-1である、請求項5に記載の組成物。 前記大環状ラクトンがネリスタチン(neristatin)である、請求項2に記載の組成物。 前記ネリスタチンがネリスタチン-1である、請求項7に記載の組成物。 前記PKCがビタミンEである、請求項1に記載の組成物。 前記ビタミンEがα-トコフェロールである、請求項9に記載の組成物。 前記α-トコフェロールが、15〜2,000 IU/日の間の割合で存在する、請求項10に記載の組成物。 請求項1に記載の組成物を、神経変性を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、神経変性を軽減するための方法。 請求項2に記載の組成物を、神経変性を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、神経変性を軽減するための方法。 請求項3に記載の組成物を、神経変性を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、神経変性を軽減するための方法。 請求項4に記載の組成物を、神経変性を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、神経変性を軽減するための方法。 請求項5に記載の組成物を、神経変性を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、神経変性を軽減するための方法。 請求項6に記載の組成物を、神経変性を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、神経変性を軽減するための方法。 請求項7に記載の組成物を、神経変性を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、神経変性を軽減するための方法。 請求項8に記載の組成物を、神経変性を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、神経変性を軽減するための方法。 請求項9に記載の組成物を、神経変性を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、神経変性を軽減するための方法。 請求項10に記載の組成物を、神経変性を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、神経変性を軽減するための方法。 請求項11に記載の組成物を、神経変性を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、神経変性を軽減するための方法。 前記被検体が、アルツハイマー病;多発脳梗塞性痴呆;パーキンソン病を伴っているかまたは伴っていないレヴィ小体変異のアルツハイマー病;クロイツフェルト−ヤコブ病;コルサコフ障害;および注意欠陥多動性障害からなる群より選択される神経変性疾患に罹患している、請求項22に記載の方法。 前記神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項23に記載の方法。 請求項1に記載の組成物を、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力の損失を軽減するための方法。 請求項2に記載の組成物を、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力の損失を軽減するための方法。 請求項3に記載の組成物を、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力の損失を軽減するための方法。 請求項4に記載の組成物を、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力の損失を軽減するための方法。 請求項5に記載の組成物を、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力の損失を軽減するための方法。 請求項6に記載の組成物を、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力の損失を軽減するための方法。 請求項7に記載の組成物を、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力の損失を軽減するための方法。 請求項8に記載の組成物を、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力の損失を軽減するための方法。 請求項9に記載の組成物を、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力の損失を軽減するための方法。 請求項10に記載の組成物を、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力の損失を軽減するための方法。 請求項11に記載の組成物を、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力の損失を軽減するための方法。 前記被検体が、アルツハイマー病;多発脳梗塞性痴呆;パーキンソン病を伴っているかまたは伴っていないレヴィ小体変異のアルツハイマー病;クロイツフェルト−ヤコブ病;コルサコフ障害;および注意欠陥多動性障害からなる群より選択される神経変性疾患に罹患している、請求項25に記載の方法。 前記神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項25に記載の方法。 前記認知能力が、学習、記憶および注意からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。 請求項1に記載の組成物を、認知能力を向上させるのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力を向上させるための方法。 請求項2に記載の組成物を、認知能力を向上させるのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力を向上させるための方法。 請求項3に記載の組成物を、認知能力を向上させるのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力を向上させるための方法。 請求項4に記載の組成物を、認知能力を向上させるのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力を向上させるための方法。 請求項5に記載の組成物を、認知能力を向上させるのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力を向上させるための方法。 請求項6に記載の組成物を、認知能力を向上させるのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力を向上させるための方法。 請求項7に記載の組成物を、認知能力を向上させるのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力を向上させるための方法。 請求項8に記載の組成物を、認知能力を向上させるのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力を向上させるための方法。 請求項9に記載の組成物を、認知能力を向上させるのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力を向上させるための方法。 請求項10に記載の組成物を、認知能力を向上させるのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力を向上させるための方法。 請求項11に記載の組成物を、認知能力を向上させるのに効果的な量で、それを必要とする被検体に投与することを含む、認知能力を向上させるための方法。 前記被検体が、アルツハイマー病;多発脳梗塞性痴呆;パーキンソン病を伴っているかまたは伴っていないレヴィ小体変異のアルツハイマー病;クロイツフェルト−ヤコブ病;コルサコフ障害;および注意欠陥多動性障害からなる群より選択される神経変性疾患に罹患している、請求項39に記載の方法。 前記神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項39に記載の方法。 前記認知能力が、学習、記憶および注意からなる群より選択される、請求項39に記載の方法。 a) 薬学的に許容可能なキャリアを含むかまたは含まないPKCアクチベーター;および b) 薬学的に許容可能なキャリアを含むかまたは含まないPKCインヒビターを、それを必要とする被検体に投与する工程を含む、認知能力の損失を軽減するための方法であって、前記PKCアクチベーターが、認知能力の損失を軽減するのに効果的な量で投与される方法。 前記PKCアクチベーターおよびPKCインヒビターが同時に投与される、請求項53に記載の方法。 前記PKCアクチベーターが、前記PKCインヒビターの投与前に投与される、請求項53に記載の方法。 前記PKCインヒビターが、前記PKCアクチベーターの投与前に投与される、請求項53に記載の方法。 a) 薬学的に許容可能なキャリアを含むかまたは含まないPKCアクチベーター;および b) 薬学的に許容可能なキャリアを含むかまたは含まないPKCインヒビターを、それを必要とする被検体に投与する工程を含む、認知能力を向上させるための方法であって、前記PKCアクチベーターが、認知能力を向上させるのに効果的な量で投与される方法。 前記PKCアクチベーターおよびPKCインヒビターが同時に投与される、請求項57に記載の方法。 前記PKCアクチベーターが、前記PKCインヒビターの投与前に投与される、請求項57に記載の方法。 前記PKCインヒビターが、前記PKCアクチベーターの投与前に投与される、請求項57に記載の方法。 a) 薬学的に許容可能なキャリアを含むかまたは含まないPKCアクチベーター;および b) 薬学的に許容可能なキャリアを含むかまたは含まないPKCインヒビターを、それを必要とする被検体に投与する工程を含む、神経変性を軽減するための方法であって、前記PKCアクチベーターが、神経変性を軽減するのに効果的な量で投与される方法。 前記PKCアクチベーターおよびPKCインヒビターが同時に投与される、請求項61に記載の方法。 前記PKCアクチベーターが、前記PKCインヒビターの投与前に投与される、請求項61に記載の方法。 前記PKCインヒビターが、前記PKCアクチベーターの投与前に投与される、請求項61に記載の方法。 前記PKCアクチベーターが大環状ラクトンである、請求項61に記載の方法。 前記PKCアクチベーターがベンゾラクタムである、請求項61に記載の方法。 前記PKCアクチベーターがピロリジノンである、請求項61に記載の方法。 前記大環状ラクトンが、ブリオスタチン(bryostatin)-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-12、-13、-14、-15、-16、-17、および-18からなる群より選択される、請求項61に記載の組成物。 前記ブリオスタチンがブリオスタチン-1である、請求項68に記載の組成物。 前記大環状ラクトンがネリスタチン(neristatin)である、請求項61に記載の組成物。 前記ネリスタチンがネリスタチン-1である、請求項70に記載の組成物。 前記ビタミンEが、15〜2000 IU/日の間の量である、請求項61に記載の組成物。 アルツハイマー病;多発脳梗塞性痴呆;パーキンソン病を伴っているかまたは伴っていないレヴィ小体変異のアルツハイマー病;クロイツフェルト−ヤコブ病;コルサコフ障害;および注意欠陥多動性障害を治療するための医薬の製造のための、請求項1〜11に記載の組成物の何れか一の使用。 認知能力を向上させるための医薬の製造のための、請求項1〜11に記載の組成物の何れか一の使用。 認知能力の損失を軽減するための医薬の製造のための、請求項1〜11に記載の組成物の何れか一の使用。 神経変性を軽減するための医薬の製造のための、請求項1〜11に記載の組成物の何れか一の使用。 【課題】アルツハイマー病の治療および認知の向上のための方法の提供。【解決手段】PKCアクチベーターおよびPKCインヒビターの組合せを含む組成物。認知能力の低下する疾患、特にアルツハイマー病に罹患した個体において、α−セクレターゼ活性を調節し;認知能力を改善または向上させ;および/または神経変性を軽減する方法。脳でプロテインキナーゼC(PKC)を活性化すること、および末梢組織においてPKCを阻害することを含む、非アミロイド産生性可溶性APP(sAPP)の生成を増大させるための方法。大環状ラクトン(すなわちブリオスタチンのクラスおよびネリスタチンのクラス)は、組成物で使用される好ましいPKCアクチベーターであり、ビタミンEは、好ましいPKCインヒビターである。【選択図】なし20130128A16333全文3 a) PKCアクチベーター; b) PKCインヒビター;および c) 薬学的に許容可能なキャリアを含む組成物。 前記PKCアクチベーターが大環状ラクトンである、請求項1に記載の組成物。 前記PKCアクチベーターがベンゾラクタムである、請求項1に記載の組成物。 前記PKCアクチベーターがピロリジノンである、請求項1に記載の組成物。 前記ブリオスタチン(bryostatin)が、ブリオスタチン-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-12、-13、-14、-15、-16、-17、および-18からなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。 前記ブリオスタチンがブリオスタチン-1である、請求項5に記載の組成物。 前記大環状ラクトンがネリスタチン(neristatin)である、請求項2に記載の組成物。 前記ネリスタチンがネリスタチン-1である、請求項7に記載の組成物。 前記PKCがビタミンEである、請求項1に記載の組成物。 前記ビタミンEがα-トコフェロールである、請求項9に記載の組成物。 前記α-トコフェロールが、15〜2,000 IU/日の間の割合で存在する、請求項10に記載の組成物。


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