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タイトル:公開特許公報(A)_フラクタンを有効成分として含む大腸内水素ガス発生剤、それを含む飲食品または飼料、および医薬組成物
出願番号:2012280823
年次:2014
IPC分類:A23L 1/30,A23K 1/16,A23L 1/03,A61K 31/733,A61P 3/02,A61P 43/00,A61P 1/00,A61P 1/14


特許情報キャッシュ

西村 直道 福島 道広 大庭 潔 JP 2014124100 公開特許公報(A) 20140707 2012280823 20121225 フラクタンを有効成分として含む大腸内水素ガス発生剤、それを含む飲食品または飼料、および医薬組成物 公益財団法人とかち財団 596075417 名寄市 506010301 国立大学法人帯広畜産大学 504300088 特許業務法人 津国 110001508 津国 肇 100078662 柳橋 泰雄 100131808 伊藤 佐保子 100119079 小澤 圭子 100135873 三宅 俊男 100116528 田中 聖 100146422 西村 直道 福島 道広 大庭 潔 A23L 1/30 20060101AFI20140610BHJP A23K 1/16 20060101ALI20140610BHJP A23L 1/03 20060101ALI20140610BHJP A61K 31/733 20060101ALI20140610BHJP A61P 3/02 20060101ALI20140610BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140610BHJP A61P 1/00 20060101ALI20140610BHJP A61P 1/14 20060101ALI20140610BHJP JPA23L1/30 ZA23K1/16 303DA23L1/03A23L1/30 BA61K31/733A61P3/02A61P43/00 105A61P1/00A61P1/14 13 OL 17 特許法第30条第2項適用申請有り 平成24年7月10日 とかちABCフォーラム2012「食の機能性・安全性に関する高度な技術開発とその事業化」配布パンフレットp35〜39頁に発表 (出願人による申告)平成21〜25年度、文部科学省、イノベーションシステム整備事業 地域イノベーション戦略支援プログラム(都市エリア型)(発展)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願 2B150 4B018 4B035 4C086 2B150DC14 2B150DC15 4B018LB01 4B018LB02 4B018LB06 4B018LB07 4B018LB10 4B018MD27 4B018MD53 4B018ME14 4B018MF01 4B018MF02 4B035LC06 4B035LG20 4B035LK19 4B035LP21 4B035LP22 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA20 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA05 4C086NA14 4C086ZA66 4C086ZB21 4C086ZC21 本発明は、フラクタンを有効成分として含む大腸内水素ガス発生剤、それを含む飲食品または飼料、および医薬組成物に関する。 近年、水素(H2)ガスは生体内で生ずる有害な酸化物質を除去することが見出され、酸化反応を起因とする生活習慣病の予防に重要な働きを示すと期待されている。例えば、日本医科大学大学院太田成男らは、2007年5月7日英国科学誌Nature Medicineに投稿した(非特許文献1)。水素ガスは、酸化反応に起因とする生活習慣病予防に効果があることが知られている。前記太田成男らは、Biochemical and Biophysical Research Communicationsにおいて、H2ガスの吸引によって酸化ストレスが軽減し、肝臓の虚血再灌流障害が軽減されることも示した(非特許文献2)。 本願発明者である名寄市立大学西村直道らは、食物繊維のペクチンや難消化性デンプンを用い、大腸発酵によりH2を発生させたことを、英国のBritish Journal of Nutritionに発表した(非特許文献3)。しかしながら、例えばペクチンを用いて大腸で発生されるH2の門脈水素濃度は、高くとも5μmol/L程度であった。 「ルミナコイド」とは、食物繊維、オリゴ糖、糖アルコール、難消化性デキストリンなどを含む広い概念である。水素を発生しないルミナコイドは多くあり、どのようなルミナコイドでもH2を発生するというわけではない。例えばセルロースやリン酸架橋デンプンはH2を発生しないと考えられる。すなわち、ルミナコイドの生体内での挙動は未だ解明されておらず、ルミナコイドの性質はそれぞれ大いに異なるので、その挙動を予測することはできない。 一般的に大腸発酵により発生したH2は、ヒトの場合その約14%が大腸から吸収され、門脈を経由して肝臓に至る。吸収されたH2は、肝臓からさらに心臓、肺に至り、肺からは呼気に混じり排出される。大腸から吸収されなかったH2はオナラとともに排出される。特表2003−522822および左記の分割出願である特開2010−120945;「発明の名称:栄養性の改良されたイヌリン製品」;易発酵性イヌリン成分と難発酵性イヌリンの特別の混合物からなる新規イヌリン含有製品を開示する。Nature Medicine(2007),13,688-689 日本医科大学大学院太田成男ら、Hydrogen acts as a therapeutic antioxidant by selectively reducing cytotoxic oxygen radicals. 水素分子(H2)が抗酸化剤として疾患の予防と治療に応用できることを科学的に証明した最初の論文。水素分子は活性酸素種の中で最も反応性の高いヒドロキシラジカルを選択的に還元し、細胞を酸化ストレスから防御することを示し、さらにラットにH2ガスを吸引させることで脳の虚血再還流障害が抑制できることを示した。Biochemical and Biophysical Research Communications (2007),361,670-674日本医科大学大学院太田成男ら、Inhalation of hydrogen gas suppresses hepatic injury caused by ischemia/reperfusion through reducing oxidative stress. H2ガスの吸入によって酸化ストレスが軽減し、肝臓の虚血再灌流障害が軽減されることを示した。British Journal of Nutrition (2012),107,485-492 西村直道(名寄市立大学)ら、Pectin and high cornstarch increase caecal hydrogen production and relieve hepatic ischemia-reperfusion injury in rats.ルミナコイドとして難消化性吸収性糖質であるペクチン、難消化性デンプン(RS)を用い、大腸で発生したH2を測定した。 本発明は、大腸内でH2を発生させることを課題とする。 上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究の結果、フラクタン、好ましくはイヌリンまたはフラクトオリゴ糖を有効成分として含む大腸内水素ガス発生剤を摂取することにより、大腸発酵による水素(H2)ガス生成が亢進されることを見出した。 すなわち、本発明は以下に関する。(1) フラクタンを有効成分として含む、大腸内水素ガス発生剤。(2) フラクタンが、イヌリンまたはフラクトオリゴ糖である、(1)記載の大腸内水素ガス発生剤。(3) イヌリンが、DP分布2〜55のイヌリンである、(2)記載の大腸内水素ガス発生剤。(4) イヌリンが、平均DP8〜28のイヌリンである、(2)または(3)記載の大腸内水素ガス発生剤。(5) イヌリンが、チコリ由来である、(1)〜(4)のいずれか記載の大腸内水素ガス発生剤。(6) 飲食品添加剤または飼料添加剤である、(1)〜(5)のいずれか記載の大腸内水素ガス発生剤。(7) (1)〜(6)のいずれか記載の大腸内水素ガス発生剤を、0.1〜100W/W%含む、飲食品または飼料。(8) 脂肪と共にまたは別個に摂取される、(7)記載の飲食品または飼料。(9) 脂肪が、飲食品または飼料に対し1〜80W/W%である、(8)記載の飲食品または飼料。(10) 脂肪が、飲食品または試料に対しエネルギー比で50%以上である、(8)または(9)記載の飲食品または飼料。(11) さらに、甘味料、防腐剤、着色料、酸化防止剤および香料からなる群から選択される一つまたは複数の成分を含む、(7)〜(10)のいずれか記載の、飲食品または飼料。(12) (1)〜(5)のいずれか記載の大腸内水素ガス発生剤を含む、医薬組成物。(13) さらに、薬学的に許容しうる賦形剤、医薬活性物質、治療活性物質および薬剤からなる群から選択される一つまたは複数の成分を含む、(12)記載の医薬組成物。 従来知られていたペクチンや難消化デンプンによる大腸内でのH2発生よりも、フラクタン、好ましくはイヌリンまたはフラクトオリゴ糖は、より多くの大腸H2を発生させることができる。イヌリンの重合度(DP)分布の違いにより、大腸で発生するH2量が異なる。フラクタン、好ましくはイヌリンまたはフラクトオリゴ糖を用いて大腸で発生したH2は、門脈におけるその濃度を高くし、効率的に生体内での酸化ストレスの軽減することができる。また、高脂肪食下では特にH2発生量が多く、門脈でのH2濃度も高い。本発明によれば、非常に多量に、そして安定的かつ持続的に大腸内でH2を発生させることができ、しかも発生したH2は効率的に門脈を介して肝臓に到達する。フラクタン、好ましくはイヌリンまたはフラクトオリゴ糖を含む大腸内H2発生剤は、酸化ストレスの軽減に効果がある。図1は、種々のルミナコイドの全H2排出量の比較を示す図である。図2は、種々のルミナコイドの門脈H2濃度の比較を示す図である。図3は、実施例2で用いたイヌリンのDP分布を示す図である。図4は、DP分布の異なるイヌリン摂取時の門脈H2濃度を示す図である。図5は、脂肪下でのイヌリンとFOSの全H2排出量の比較を示す図である。図6は、脂肪下でのイヌリンとFOSの門脈H2濃度の比較を示す図である。図7は、イヌリン摂取時のH2生成を示す図である。図8は、高脂肪誘導肝障害に及ぼすイヌリンの影響を示す図である。図9は、高脂肪食負荷ラットおけるイヌリンおよびペクチンの大腸内H2生成に及ぼす影響を示す図である。 本発明で用いられるフラクタンは、フラクトース分子の重合体を意味する。フラクタンには、3つのタイプがある。1つ目は、イヌリン−β(2→1)グリコシド結合の直鎖状フラクタン、2つ目は、レバン−β(2→6)グリコシド結合の直鎖状フラクタン、3つ目は、グラミナン−β(2→1)およびβ(2→6)グリコシド結合の分岐状フラクタンである。本明細書では、イヌリンをイヌリン型フラクタン(IF)ともいう。本発明で用いられるフラクタンは、好ましくはイヌリンまたはフラクトオリゴ糖である。 本明細書における「イヌリン」は、フラクタンの1つである。イヌリンは、グルコースにフラクトースの数(n)が2〜60程度結合したもので、フラクトオリゴ糖を含む。本発明で用いられるイヌリンは、重合度(DP)分布2〜55、より好ましくはDP分布2〜54、さらに好ましくは2〜40のイヌリンである。また、本発明で用いられるイヌリンは、平均重合度(DP)8〜28、より好ましくは平均DP10〜24、さらに好ましくは平均DP10〜16である。イヌリンは、例えばチコリまたは菊芋等を原料として得ることができ、またはスクロースを原料として酵素合成により生成することもできる。チコリ等の植物から抽出されるイヌリンには、分子量が小さいものから大きいものまで分布している。一方、酵素合成に生成されるイヌリンは、比較的分子量の小さいものから中程度のものが主である。菊芋中のイヌリンは、分子量が高いものが多いが、直鎖状ではなく分岐状のものが多い。日本では、チコリの葉の部分がサラダ等に利用されており、これは極少ない地域で栽培されているに留まっている。チコリから抽出されるイヌリンはチコリの根部に含有されるもので、北海道で栽培されている甜菜根と形状が非常に似ている。日本でチコリからイヌリンを多量生産する場合は、北海道の広い台地が適している。現在は、ヨーロッパ等の外国から多く輸入されている。 本明細書における「フラクトオリゴ糖」は、グルコースに2〜4個のフルクトースが結合した難消化性オリゴ糖である。 本発明の大腸内水素ガス発生剤は、飲食品添加剤または飼料添加剤として飲食品または飼料に使用することもできるし、活性物質として医薬組成物に使用することもできる。飲食品添加剤または飼料添加剤、または活性物質である大腸内水素ガス発生剤は、粉末、顆粒、錠剤、ペーストまたは液体のいずれの形態で存在してもよい。本発明の大腸内水素ガス発生剤を、飲食品または飼料、または医薬組成物に含ませる場合は、0.1〜100W/W%、好ましくは5〜100W/W%の割合であればよい。 イヌリンを使用すると、品質物理特性として、乳製品のボディおよび舌触りの改良、泡の安定性、パン、パスター等の質感の改良、伸展性および保湿性、乳化物の安定性、熱抵抗性、離水防止、肉製品の脂肪の代用、質感安定性、食物繊維の付与等の多くの付帯効果が得られる。 本発明が適用される飲食品としては、ハム、ソーセージ、フランクフルト等の肉製品、チーズ、バター、アイスクリーム、ヨーグルト等の乳製品、パン、ピザ、麺類、クッキー、油脂を含むドレッシング、マヨネーズ等の加工食品、サプリメント、スムージー、ドリンクヨーグルト等の飲料、乳幼児用の食品または介護用食品があげられるが、これらに限定されるものではない。本発明が適用される飼料としては、家畜用または愛玩動物用飼料、大型動物用または小動物用飼料があげられるが、これらに限定されるものではない。本発明が適用される医薬組成物は、粉末剤、顆粒剤、錠剤、ペーストまたは液剤のいずれの形態でもよく、経口投与または直腸投与される。またその際、さらに甘味料、防腐剤、着色料、酸化防止剤および香料からなる群から選択される一つまたは複数の成分を加えてもよい。 本発明の大腸内水素ガス発生剤は、脂肪と共にまたは別個に、同時にまたは逐次的に、飲食品または飼料、または医薬組成物に含まれてまたは含まれずに摂取するとよい。大腸内水素ガス発生剤と共にまたは別個に摂取される脂肪は、好ましくは高脂肪成分、例えばラード、生クリーム、バターであり、飲食品または飼料、または医薬組成物に対し1〜80W/W%、好ましくは2〜50W/W%、最も好ましくは3〜33W/W%であり、エネルギー比で50%以上の脂肪であることが好ましい。 以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。種々のルミナコイド(HAS、FOS、ID、Inulin、HDPI、Pectin)のH2発生効果の比較方法: SD系雄ラット(8週齢)を下記の7群(8匹/群)に分け、予備飼育を10日間行なった後、試験飼育を28日間行なった。 第1群: 標準脂肪コントロール飼料(C) 第2群: C+10%HASを含む飼料(HAS) 第3群: C+5.37%FOSを含む飼料(FOS) 第4群: C+5.7%IDを含む飼料(ID) 第5群: Inulin : C+5.2%イヌリンを含む飼料(Inulin) 第6群: HDPI:C+5.2%HDPIを含む飼料(HDPI) 第7群: C+5%ペクチンを含む飼料(Pectin) 略称については、以下に記載する通りである。 HAS: 高アミロースデンプン(high amylose cornstarch) FOS: フラクトオリゴ糖 (fructooligosaccharide) ID: 難消化性デキストリン(indigestible dextrin) Inulin: イヌリン(DP分布2〜55、平均DP15) HDPI: 高重合度のイヌリン(high degree of polymerization inulin、 平均DP24) Pectin: ペクチン(太陽化学株式会社製;Z4A-618) 用いた試験飼料の組成は、下記表1の通りである。 なお、上記飼料中HAS添加量を10%としたのは、実際には大腸に流れ込むのはその半分程度であることを考慮したことによる。 各群のラットの全H2排出量(μmol/5min)、門脈H2濃度(μmol/L)を測定した。それぞれの測定方法は、下記の通りである。全H2排出量<(呼気+放屁)H2排出量>: 一定容量の密閉容器にラットを置き、5分後に容器から一定量のガスを採取し、ガスクロマトグラフィー(バイオガスアナライザー、BAS−1000、有限会社ミトレーベン)を用いて、H2量を測定した。密閉容器中のスペース容量を考慮し、5分間あたりに呼気および放屁として排出されるH2量を求めた。門脈H2濃度: 一定容量のヘパリン処理したセプタム付バイアル瓶に、採取した門脈血をただちにセプタムを通じて注入した。十分混合した後、ヘッドスペース部分のガスを一定量採取し、ガスクロマトグラフィー(バイオガスアナライザー、BAS−1000、有限会社ミトレーベン)でH2量を測定した。ヘッドスペース容量と採取血液量を考慮し、門脈H2濃度を算出した。結果: 結果を図1および2に示す。結果の統計処理は、ノンパラメトリック法であるSteel-Dwass testにより行った。 FOS、Inulin、HDPIの全H2排出量が高く、また門脈H2濃度も高かった。グルコースを構成糖とするより、フルクトースを構成糖とするオリゴ糖や多糖の投与により、H2生成が高くなることがわかった。 ただし、これは標準脂肪食による結果である。なお、ハイアミローススターチも水素生成亢進があるが、スターチの場合、生で摂取するとヒトでは浸透圧性の下痢を起こす可能性があり、加熱調理をするとスターチの構造が変化するという不都合が生じる。DP分布の異なるイヌリンを与えた場合の大腸におけるH2発生効果の比較方法: SD系雄ラット(8週齢)を下記の4群(6匹/群)に分け、予備飼育を3〜4日間行なった後、試験飼育を7日間行なった。 第1群: コントロール飼料(NF−C) 第2群: DP分布2〜40、平均DP10のイヌリン(オラフティGR、オラフ ティ社)を含む飼料(IF−L) 第3群: DP分布2〜55、平均DP15のイヌリンを含む飼料(IF−LH ) 第4群: DP分布2〜54、平均DP23のイヌリン(オラフティHR、オラフ ティ社)を含む飼料(IF−H) 用いたイヌリンのDP分布を、図3に表す。 用いた試験飼料の組成は、下記表2の通りである。 試験最終日に全H2排出量を測定後、門脈血及び盲腸を採取し、門脈血中のH2濃度を測定した。全H2排出量および門脈血中H2濃度の測定方法は、実施例1の通りである。結果: イヌリンを含む飼料を与えた第2群、第3群および第4群の全てにおいて、コントロールである第1群と比べ、摂取量は有意に低下したが、体重増加量および飼料効率は4群で有意差はなかった。イヌリンを含む飼料を与えた第2群、第3群および第4群の全てにおいて、コントロールである第1群と比べ、全H2排出量および門脈H2濃度も増加した。第2群の全H2排出量は、第4群の2.1倍に達した。結果を、図4に示す。低いDP分布のイヌリンは、H2生成を促進すると考えられる。高脂肪(22W/W%)下でのイヌリンとFOS(フラクトオリゴ糖)の比較方法: SD系雄ラット(8週齢)を下記の4群(8匹/群)に分け、予備飼育を10日間行った後、試験飼育を28日間行った。 第1群: 標準脂肪コントロール飼料(NFC) 第2群: 高脂肪コントロール飼料(HFC) 第3群: HFC+5%イヌリン飼料(HFI) 第4群: HFC+5%FOS飼料(HFF) 用いた試験試料の組成は、下記表3の通りである。 用いたイヌリンのDP分布は2〜54、平均DPは15であった。 全H2排出量および門脈血中H2濃度の測定方法は、実施例1の通りである。結果: 結果を、図5および6に示す。尚、結果については統計処理を行った。Steel-Dwass test(高脂肪食群間)、Student's t-test(NFC対HFC)を用いて統計処理を行った。低重合度のフラクトオリゴ糖を投与したラットのほうが、H2発生量が多い傾向であった。また、この実施例における脂肪は、それまでに行なった実施例での脂肪含量と異なり、エネルギー比で50%であり、このような条件では、フラクトースを構成糖とするオリゴ糖や多糖はH2生成を亢進することがわかった。高脂肪食誘導酸化ストレスに及ぼすイヌリン摂取の影響方法: SD系雄ラット(8週齢)を下記の4群(6匹/群)に分け、予備飼育を3〜4日間行なった後、試験飼育を7日間行なった。 第1群: 標準脂肪コントロール飼料(NFC) 第2群: NHC+イヌリン飼料(NF−IF) 第3群: 高脂肪コントロール飼料(HFC) 第4群: HFC+イヌリン飼料(HF−IF) 用いたイヌリンのDP分布は2〜55、平均DPは15であった。 用いた試験試料の組成は、下記表4の通りである。 試験最終日に、全H2排出量、門脈H2濃度、肝脂質、肝還元型グルタチオン(GSH)および酸化型グルタチオン(GSSG)濃度、および血漿ALT活性について分析を行った。結果については、二元分散分析、多重比較検定(Tukey-Kramer)による統計解析を行った。また、全H2排出量および門脈血中H2濃度の測定方法は、実施例1の通りである。 肝脂質:ホルヒ法により肝臓中の脂質を抽出した後、重量法で測定した。 肝GSHおよびGSSG濃度:GSHとGSSGはAndersonの方法によって測定した。肝組織 1gを5%スルホサリチル酸9mlでホモジナイズし、遠心分離した後、得られた上清を5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)−グルタチオンレダクターゼリサイクリングアッセイ(5,5'-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)-glutathione reductase recycling assay)によって総グルタチオン量とGSSG量を測定した。GSH量、は総グルタチオン量からGSSG量を差し引いて求めた(Anderson ME (1985) Determination of glutathione and glutathione disulfide in biological samples. Methods Enzymol 113, 548-555.)。 血漿ALT活性:門脈血から遠心分離によって血漿を得た。この血漿をトランスアミナーゼCIIテストワコー(和光純薬工業株式会社)によって測定した。結果: 4群の体重増加量および摂取量に有意差はなかった。全H2排出量は、他の3群と比べ、第4群(HF−IF)で有意に増加し、門脈H2濃度はイヌリン摂取により有意に増加した。肝脂質は、高脂肪飼料を与えた群が標準脂肪飼料を与えた群と比べ、高い傾向であった。血漿ALT活性は、イヌリン摂取により低く、高脂肪摂取により高くなる傾向を示した。肝GSHおよびGSSG濃度、GSH/GSSGは、群間で有意差はなかった。結果を、図7および8に示す。 以上より、イヌリン摂取によりH2生成量が増大し、肝障害を抑制する効果が示唆された。高脂肪食時の大腸内H2生成促進におけるイヌリンとペクチンの違い方法: SD系雄ラット(7週齢)を下記の3群(8匹/群)に分け、標準脂肪コントロール試料を与えて予備飼育を4〜5日間行った後、試験試料を与えて試験飼育を14日間行った。 第1群: 高脂肪コントロール飼料(HFC) 第2群: HFC+イヌリン飼料(HFI) 第3群: HFC+ペクチン飼料(HFP) 用いた試験試料の組成は、下記表5の通りである。 用いたイヌリンのDP分布は2〜54、平均DPは15であった。 標準脂肪および高脂肪食下におけるイヌリンとペクチンが大腸H2生成に与える影響を比較した。全H2排出量および門脈血中H2濃度の測定方法は、実施例1の通りである。なお、ペクチンは3種類の多糖類の混合物で、主成分のペクチン酸にアラビノース単位が分岐鎖状になったアラバンとガラクトースの重合体であるガラクタンが混在している。ガラクツロン酸がグリコシド結合で200以上重合したものをペクチン酸といい、ペクチン酸の一部がメチルエステル化したものがペクチンである。結果: 結果を、図9に示す。全排出H2量は、高脂肪下ではイヌリンがペクチンに比べて多く、また門脈H2濃度は、イヌリンがペクチンに比べて高かった。イヌリンを使用したアイスクリーム 生乳1500g、生クリーム150g、スキムミルク50g、小豆餡200g、グラニュー糖270g、卵黄80g、イヌリン粉末(水分15%、オラフテイー社)8gの原材料を用いた。生乳を30℃に加熱後、グラニュー糖およびイヌリン粉末を添加し、75℃に加熱溶解後、生クリームを加え、75℃で15秒間殺菌し、15℃以下に急冷し、エージングを4℃で行い、撹拌・凍結したあと、硬化させて、アイスクリームを製造した。このアイスクリームは、大腸内発酵H2ガス亢進効果のある製品であると考えられる。イヌリンを使用したフランクフルト 豚の肩ロース肉800g、豚背油130g、イヌリン70g、粗塩小さじ3、牛乳大匙1、コーンスターチ大匙2、固形スープの素2個、玉ねぎ1/2個、卵白1個、ホワイトペパー、ナツメグ、オールスパイス、シナモン、各少々をフードプロセッサーに入れて良く混ぜ合わせてペースト状にした。ソーセージ用の押し出し器を用意し、押し出し器の口金にソーセージ用ケーシングを温かいお湯に戻し、押し出し器の根元まで巻き込み、空気の入らないように端を結んだ。押し出し器に上記ペーストを空気の入らないように入れる。ペーストが詰まったらもう一端を結び、適当な長さになるように4〜5回同じ方向にひねっておいた。全部出来上がったらスモーカーに吊るして60℃で30〜40分燻製し、後で鍋に入れて75℃で30分ボイルした。冷水で冷まして、冷蔵庫に保管した。高脂肪食事の際のイヌリン入り紙製スティックの内容物の摂取 イヌリン粉末(平均DP14.7〜15.2、水分5.1〜6.5%、3g)を紙製スティックに充填した製品を作成し、高脂肪食の食事の際、被験者に3スティック摂取させた。 フラクタンを有効成分として含む、大腸内水素ガス発生剤。 フラクタンが、イヌリンまたはフラクトオリゴ糖である、請求項1記載の大腸内水素ガス発生剤。 イヌリンが、DP分布2〜55のイヌリンである、請求項2記載の大腸内水素ガス発生剤。 イヌリンが、平均DP8〜28のイヌリンである、請求項2または3記載の大腸内水素ガス発生剤。 イヌリンが、チコリ由来である、請求項1〜4のいずれか一項記載の大腸内水素ガス発生剤。 飲食品添加剤または飼料添加剤である、請求項1〜5のいずれか一項記載の大腸内水素ガス発生剤。 請求項1〜6のいずれか一項記載の大腸内水素ガス発生剤を、0.1〜100W/W%含む、飲食品または飼料。 脂肪と共にまたは別個に摂取される、請求項7記載の飲食品または飼料。 脂肪が、飲食品または飼料に対し1〜80W/W%である、請求項8記載の飲食品または飼料。 脂肪が、飲食品または試料に対しエネルギー比で50%以上である、請求項8または9記載の飲食品または飼料。 さらに、甘味料、防腐剤、着色料、酸化防止剤および香料からなる群から選択される一つまたは複数の成分を含む、請求項7〜10のいずれか一項記載の、飲食品または飼料。 請求項1〜5のいずれか一項記載の大腸内水素ガス発生剤を含む、医薬組成物。 さらに、薬学的に許容しうる賦形剤、医薬活性物質、治療活性物質および薬剤からなる群から選択される一つまたは複数の成分を含む、請求項12記載の医薬組成物。 【課題】大腸内でH2を発生させ、有害な酸化物質を除去し、生活習慣病の予防に重要な働きを示すと期待される成分を含む食品等を提供する。【解決手段】フラクタン(イヌリンまたはフラクトオリゴ糖)を有効成分として含む大腸内水素ガス発生剤、それを含む飲食品または飼料、および医薬組成物とする。従来知られていたペクチンや難消化デンプンよりも、より多くの大腸H2を発生させることができる。【選択図】なし


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