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タイトル:公開特許公報(A)_FoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソーム
出願番号:2012270124
年次:2014
IPC分類:C12N 11/02,C12N 15/09,A61K 9/127,A61K 47/24,A61K 47/42,C12N 9/14


特許情報キャッシュ

三留 規誉 JP 2014113103 公開特許公報(A) 20140626 2012270124 20121211 FoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソーム 独立行政法人国立高等専門学校機構 504237050 廣田 雅紀 100107984 小澤 誠次 100102255 東海 裕作 100096482 ▲高▼津 一也 100120086 堀内 真 100131093 三留 規誉 C12N 11/02 20060101AFI20140530BHJP C12N 15/09 20060101ALI20140530BHJP A61K 9/127 20060101ALI20140530BHJP A61K 47/24 20060101ALI20140530BHJP A61K 47/42 20060101ALI20140530BHJP C12N 9/14 20060101ALN20140530BHJP JPC12N11/02C12N15/00 AA61K9/127A61K47/24A61K47/42C12N9/14 5 OL 14 特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物に発表;発明者:三留規誉、刊行物名:宇部工業高等専門学校 平成23年度 特別教育研究費成果報告会2012 予稿集、発行年月日:平成24年6月14日 集会において発表;集会名:宇部工業高等専門学校平成23年度 特別教育研究費成果報告会2012、開催日:平成24年6月14日 4B024 4B033 4B050 4C076 4B024AA01 4B024BA11 4B024CA04 4B024DA06 4B024EA04 4B024FA02 4B024GA11 4B024HA03 4B033NA26 4B033NB43 4B033NB70 4B033NC01 4B033ND12 4B050CC03 4B050DD02 4B050FF14E 4B050KK20 4B050LL01 4C076AA19 4C076AA95 4C076DD56 4C076DD63 4C076EE41 4C076FF63 本発明は、水素イオン輸送の制御が可能なFoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソームに関し、より詳しくはFoaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットのへリックス2にそれぞれシステイン残基を有し、酸化状態で水素イオン輸送活性を喪失し、還元状態で水素イオン輸送活性を獲得する、FoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソームに関する。 リポソームはリン脂質の二分子膜からなる閉鎖小胞であり、一つの分子内に親水性部分と疎水性部分とをもたせた分子から作られる複合体である。このリポソームは水に難溶な薬剤や生理活性物質等を保持できるため、薬物送達システム(Drug Delivery System:DDS)や化粧料等の分野において幅広く利用されている。しかしながら、リポソーム内の環境によっては、薬剤や生理活性物質等の安定性に影響を与え、薬剤や生理活性物質等の機能を不活性化することもあり、封入可能な薬剤や生理活性物質等が制限されていた。また、多くの薬剤や生理活性物質は電解質であり、非イオン型で膜を透過してイオン型で作用するという性質を有している。したがって、リポソーム内の水素イオン濃度を適切に制御しなければならなかったが、未だリポソーム内の水素イオン濃度を制御するための満足のいく手法が確立していないのが現状である。 一方、水素イオン輸送を行う酵素として、FoF1−ATP合成酵素が知られている。この酵素は、ミトコンドリア、葉緑体、細菌の膜に存在し、水素イオンの流れでATPを合成している酵素である。FoF1−ATP合成酵素は、FoとF1の2つの部位からなり、Fo部位はa、b、cのサブユニットから構成され、F1部位はα、β、γ、δ、εのサブユニットから構成され、Fo部位とF1部位は共通のシャフト(γε−cリング)を有している。Fo部位では水素イオンの流れによりcサブユニットのリング(以下、「cリング」ともいう。)をab2に対して回転させ、F1の中でγεがα3β3に対して回転することでβサブユニットにおいてATPが合成される。逆反応としては、F1部位でATPの加水分解によりγεを回転させてcリングが回転することで、水素イオンがcリングとFoaサブユニットの間を通して輸送される。 近年、FoF1−ATP合成酵素の構造や機能が明らかになってきており、さらなる機能解析のために、シャフトの回転を制御する方法が知られている。具体的には、葉緑体F1−ATPaseのγサブユニットの調節領域を含むアミノ酸配列を、細菌由来のF1−ATPaseのγサブユニット中に移植することを特徴とする回転の制御が可能なF1−ATPaseの作製方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。また、Fo部分とF1部分とが結合したFoF1−ATP合成酵素において、Fo部分のcサブユニットを構成するアミノ酸配列のN端側から2番目の非システイン残基がシステイン残基に置換されている改変型FoF1−ATP合成酵素分子(例えば、特許文献2参照)が知られている。 さらに、FobサブユニットとFocサブユニットのジスルフィド結合形成によりcリングの回転を制御することが知られている(例えば、非特許文献1参照)が、Fo中にFobが2つあり、これらが互いにジスルフィド結合を形成することによってFobサブユニットとFocサブユニットとのジスルフィド結合の形成効率が60%程度であり、水素イオン輸送の制御を行うには不十分であった。さらに、大腸菌由来のFoF1−ATP合成酵素において、aサブユニットの4番目のへリックスとcサブユニットの2番目のへリックスのアミノ酸をシステインに置換して、酸化処理によりジスルフィド結合が形成されることが知られている(例えば、非特許文献2参照)が、酸化剤の添加により水素イオン輸送を制御することはできなかった。このほか、FoaサブユニットとFocサブユニットを一本のポリペプチドで融合する方法も知られているが(例えば、非特許文献3、4参照)、タンパク質加水分解酵素で処理することで融合を切断するため、可逆的に水素イオン輸送を制御することはできなかった。このように、FoF1−ATP合成酵素の機能解析については徐々に明らかになってきたが、この酵素を、リポソーム内の水素イオン濃度を制御する酵素として応用した研究は十分に進められていない。特開2003−47476号公報特開2003−334070号公報Suzuki, T. et al., J. Biol. Chem. 277: 13281-13285 (2002)Jiang, W. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 6607-6612 (1998)Mitome, N. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 33: 12159-12164 (2004)Mitome, N. et al., Biochemical Journal 430: 171-177 (2010) 本発明の課題は、水素イオン輸送活性を可逆的に制御することが可能なリポソームを提供することにある。 発明者は、FoF1−ATP合成酵素の立体構造に着目し、Foaサブユニットの183番目のロイシン又は184番目のロイシンと、Focサブユニットの67番目のフェニルアラニン又は68番目のイソロイシンが近い場所にあると考えた。そこで、aサブユニットの183番目又は184番目のロイシンとcサブユニットの67番目のフェニルアラニン又は68番目のイソロイシンをシステインに置換したところ、酸化状態でATP加水分解活性が低下することを見出した。ここで発明者は、このFoF1−ATP合成酵素をリポソームの水素イオン輸送へ応用できないかと考え、上記置換して変異させたFoF1−ATP合成酵素をリポソームに再構成したところ、可逆的に水素イオン輸送活性を制御できることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、[1]Foaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットのへリックス2にそれぞれシステイン残基を有し、酸化状態で水素イオン輸送活性を喪失し、還元状態で水素イオン輸送活性を獲得するFoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソームや、[2]FoF1−ATP合成酵素がバチルス属細菌由来であることを特徴とする上記[1]記載のリポソームや、[3]バチルス属細菌が好熱菌バチルスPS3(Bacillus sp.PS3)であることを特徴とする上記[2]記載のリポソームや、[4]Foaサブユニットのへリックス4の183番目又は184番目と、Focサブユニットのへリックス2の67番目又は68番目がシステイン残基に置換されていることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか記載のリポソームや、[5]上記[1]〜[4]のいずれか記載のリポソームにおいて、酸化剤又は還元剤による処理によってリポソーム内の水素イオン濃度を調整する方法に関する。 本発明により、FoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソーム内の水素イオンを可逆的に制御することが可能となり、リポソーム内に封入する薬剤や生理活性物質の安定性が保たれ、その結果、かかるリポソームを薬物送達システムに利用すると、薬剤や生理活性物質の量及び投与回数の軽減が可能になると共に、薬剤や生理活性物質の作用を高め、さらには副作用を軽減することも可能となる。PCRで用いたプライマーの位置を示す図である。変異FoF1−ATP合成酵素のATP加水分解活性を示す図である。Foaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットのへリックス2にシステインを導入した変異FoF1−ATP合成酵素の酸化状態及び還元状態を示す図である。左は変異FoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソームの酸化状態と還元状態の概念図であり、右はaL184CcF67Cを再構成したリポソームの水素イオン輸送活性の測定結果を示す図である。 本発明のFoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソームとしては、Foaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットのへリックス2にそれぞれシステイン残基を有し、酸化状態で水素イオン輸送活性を喪失し、還元状態で水素イオン輸送活性を獲得するものであれば特に制限されず、酸化状態ではチオール基によるジスルフィド結合によりFoF1−ATP合成酵素におけるaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットのへリックス2が結合することで、cリングの回転が抑えられて水素イオン輸送活性を喪失するが、還元状態ではFoF1−ATP合成酵素のaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットにおいてジスルフィド結合が形成されないため、リングが回転して水素イオン輸送活性を獲得する。 上記酸化状態とは、二つの近接するチオール基がジスルフィド結合を形成した状態をいい、上記還元状態とは、ジスルフィド結合が還元され、遊離チオール基となっている状態をいう。 上記FoF1−ATP合成酵素としては、Foaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットのへリックス2にそれぞれ1つ以上のシステイン残基を有し、酸化状態で水素イオン輸送活性を喪失し、還元状態で水素イオン輸送活性を獲得する酵素であり、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)、好熱菌バチルスPS3(Bacillus sp. PS3)等のバチルス属細菌や、大腸菌(Escherichia coli)や、メタノサルシナ・バーケリ(Methanosarcina barkeri)等のメタノサルシナ属細菌や、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)等のラクトバチルス属細菌や、ロドバクター・カプスラータ(Rhodobacter capsulatus)等のロドバクター属細菌や、モーレラ・サーモアセティカ(Moorella Thermoacetica)等のモーレラ属細菌や、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)等のコリネバクテリウム属細菌由来のFoF1−ATP合成酵素を挙げることができ、好ましくはバチルス属細菌由来のFoF1−ATP合成酵素を挙げることができ、中でも好熱菌バチルスPS3由来のFoF1−ATP合成酵素を挙げることができる。また、Foaサブユニットのへリックス4の183番目又は184番目と、Focサブユニットのへリックス2の67番目又は68番目をシステイン残基に置換したFoF1−ATP合成酵素、例えば好熱菌バチルスPS3由来のFoF1−ATP合成酵素を好適に挙げることができ、より具体的には、Foaサブユニットのへリックス4の184番目と、Focサブユニットのへリックス2の67番目又は68番目をシステイン残基に置換した好熱菌バチルスPS3由来のFoF1−ATP合成酵素を挙げることができる。 上記Foaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットのへリックス2にシステイン残基を有するFoF1−ATP合成酵素としては、野生型FoF1−ATP合成酵素のFoaサブユニットのへリックス4及び/又はFocサブユニットのへリックス2にシステイン残基を人為的に導入したものを用いることもできるが、Foaサブユニットのへリックス4及びFocサブユニットのへリックス2にそれぞれシステイン残基をあらかじめ有している天然変異のFoF1−ATP合成酵素を用いてもよい。上記システイン残基を導入したFoF1−ATP合成酵素の生産方法としては、野生型FoF1−ATP合成酵素をコードするヌクレオチド配列において、Foaサブユニットのへリックス4及び/又はFocサブユニットのへリックス2をコードするヌクレオチド配列部位に対して部位特異的にシステイン置換変異を導入したヌクレオチド配列を作製し、そのシステイン置換変異したヌクレオチド配列を任意の宿主―ベクター系により発現させる方法を挙げることができる。部位特異的に変異を導入する方法としては、メガプライマー法、Kunkel法、Gapped duplex法、クイックチェンジ法等の公知の手法を用いることができる。導入するシステイン残基は、aサブユニットおよびcサブユニットにおいて、同じサブユニット内でのジスルフィド結合を防ぐため、各サブユニットにおいて1つであることが好ましい。 上記水素イオン輸送活性としては、水素イオンがリポソームの外から内へ、又は内から外へ輸送される活性をいい、この活性はACMA(9-amino-6-chloro-2-methoxyacridine)法、パッチクランプ法により測定することができる。また、上記「酸化状態で水素イオン輸送活性を喪失する」とは、ACMA法で測定した場合に水素イオン輸送活性が完全に失われるか、あるいは還元状態におけるイオン輸送活性と比較して0.1倍以下、好ましくは0.05倍以下、さらに好ましくは0.03倍%以下、もっとも好ましくは0.01倍%以下になることをいう。一方、「還元状態で水素イオン輸送活性を獲得する」とは、ACMA法で測定した場合に酸化状態におけるイオン輸送活性と比較して10倍以上、好ましくは20倍以上、さらに好ましくは30倍以上、もっとも好ましくは100倍以上になることをいう。 上記リポソームの構成成分としては、リン脂質、コレステロール類、脂肪酸等を挙げることができ、具体的にはホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、卵黄レシチン、大豆レシチン、リゾレシチン等の天然リン脂質や、あるいは常法によりこれらに水素添加したものの他、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、エレオステアロイルホスファチジルコリン等の合成リン脂質が挙げることができ、ホスファチジルコリンおよび大豆レシチンを好適に挙げることができる。 上記リポソームは、通常知られている方法、例えばソニケーション法、バイオビーズ法、ボルテクスィング法、プレベシクル法、エタノール注入法、フレンチプレス法、エクストルージョン法等によって形成することができる。具体的には、リン脂質をグリセロール含有溶液中で撹拌して懸濁し、懸濁液を超音波処理して液体窒素で凍結し、さらにこれを自然解凍する方法が挙げられる。 上記再構成とは、脂質二重膜にタンパク質の少なくとも一部が埋め込まれることによって生体内における状態に類似した系を構築することであり、上記FoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成とは、Fo部位が脂質二重膜に組み込まれ、F1部位がリポソームの外側に配置されるように構成されていることをいう。 上記酸化剤又は還元剤による処理によってリポソーム内の水素イオン濃度を調整する方法としては、上記リポソームにおいて、酸化剤又は還元剤で処理することによりジスルフィド結合を可逆的に制御し、リポソーム内が任意の水素イオン濃度になるように調整する方法であれば特に制限されず、上記酸化剤としては、硫酸銅(CuSO4)、亜酸化銅(Cu2O)、リン銅(CuP)、塩化銅(CuCl2)等の銅化合物や、過酸化水素水、ヨウ素を挙げることができ、硫酸銅を好適に挙げることができる。一方、上記還元剤としては、ジスルフィド結合を切断して、チオール基を遊離させることができる任意の物質を用いることができ、1,4−ジチオスレイオール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、2−メルカプトエタノール、トリ−n−ブチルホスフィン、グルタチオン、チオレドキシン、グルタチオンレダクターゼ、NaBH4、チオグリコール酸、一酸化窒素(NO)を挙げることができ、DTTを好適に挙げることができる。 使用する酸化剤の濃度は、用いる酸化剤により適宜調整できるが、例えば、硫酸銅の場合は最終濃度が20μM〜500μMであることが好ましく、50μM〜300μMであることがより好ましく、100μM〜250μMであることがさらに好ましい。酸化剤の処理時間は5分〜2時間であることが好ましく、15分〜1時間であることがより好ましく、20分〜40分であることがさらに好ましい。酸化剤で処理する際の温度は室温で十分であるが、酸化剤の量に応じて、冷却下で行うこともできる。 使用する還元剤の濃度は、用いる還元剤により適宜調整できるが、例えばDTTの場合は最終濃度が5mM〜200mMであることが好ましく、10mM〜100mMであることがより好ましく、40mM〜60mMであることがさらに好ましい。還元剤の処理時間は5分〜2時間であることが好ましく、15分〜1時間であることがより好ましく、20分〜40分であることがさらに好ましい。還元剤で処理する際の温度は室温で十分であるが、還元剤の量に応じて、冷却下で行うこともできる。[ATP加水分解活性](測定の原理) Foaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットのへリックス2にそれぞれシステイン残基を有するFoF1−ATP合成酵素(以下、「変異FoF1−ATP合成酵素」ともいう。)及びかかる変異を有さない野生型FoF1−ATP合成酵素(以下、「野生型FoF1−ATP合成酵素」ともいう。)を発現するプラスミドで形質転換した5種類の大腸菌から酸化処理又は還元処理した反転膜を作製し、その反転膜を用いてATP加水分解活性の測定を行い、酸化処理した場合と還元処理した場合におけるFoF1−ATP合成酵素のATP加水分解活性の変化を調べた。測定の原理としては、変異ATP合成酵素を酸化処理すると、aサブユニットのシステイン残基とcサブユニットのシステイン残基の距離が6Å以内ならばチオール基同志がジスルフィド結合を形成し、ジスルフィド結合が形成されればcサブユニットの回転が制御され、ATP加水分解活性が低くなるというものである。(変異プラスミドの作製) 好熱菌バチルスPS3由来の野生型FoF1−ATP合成酵素をコードするプラスミドpTR-ASDS(Suzuki, et al., Journal of Biological Chemistry 277: 13281-13285(2002))を鋳型として、メガプライマー法を用いてaサブユニットのへリックス4とcサブユニットのへリックス2にシステイン残基を導入した。上記野生型FoF1−ATP合成酵素をコードするプラスミドpTR-ASDSにはすでにβサブユニットのN末端にHis10−tagが導入してある。なお、好熱菌バチルスPS3由来の野生型FoF1−ATP合成酵素はFoaサブユニットの4番目のへリックスとFocサブユニットにはシステイン残基は有していない。 変異導入プライマーはaサブユニットのへリックス4の183残基目のロイシンをシステイン、184残基目のロイシンをシステイン、cサブユニットのへリックス2の67残基目のフェニルアラニンをシステイン、68番目のイソロイシンをシステインに置換するように設計した。この変異導入プライマーを用いて、以下の4種類の変異FoF1−ATP合成酵素、つまり、1)aサブユニットのへリックス4の183残基目のロイシンとcサブユニットのへリックス2の67残基目のフェニルアラニンがシステインに置換されたaL183CcF67C、2)aサブユニットのへリックス4の183残基目のロイシンとcサブユニットのへリックス2の68番目のイソロイシンがシステインに置換されたaL183CcI68C、3)aサブユニットのへリックス4の184残基目のロイシンとcサブユニットのへリックス2の67残基目のフェニルアラニンがシステインに置換されたaL184CcF67C、4)aサブユニットのへリックス4の184残基目のロイシンとcサブユニットのへリックス2の68番目のイソロイシンがシステインに置換されたaL184CcI68Cを発現する4種類の変異プラスミド(以下、単に「変異プラスミド」ともいう。)を作製した。 以下に変異プラスミドの作製手順を示す。リバースプライマー(aL183C-R(配列番号1)またはaI184C-R(配列番号2):aサブユニット変異導入用プライマー)とフォワードプライマーRV-M(配列番号3)を用い、pTR-ASDSを鋳型としてKOD DNA polymerase(東洋紡社製)でPCRを行った(1stPCR)。PCRの条件としては、98℃で15秒、55℃で5秒、74℃で30秒を25サイクル行った。次に1stPCR産物をそれぞれWizard(登録商標)Genomic DNA Purification Kit(プロメガ社製)で精製し、精製した断片それぞれをフォワードプライマーとし、リバースプライマー(cサブユニット変異導入用プライマー)にはSpeI切断部位を含むcF67C-R(配列番号4)またはcI68C-R(配列番号5)を用いて、pTR-ASDSを鋳型としてEX−taq DNA polymerase(タカラバイオ社製)でPCRを行った(2ndPCR)。PCRの条件としては、98℃で30秒、55℃で30秒、72℃で90秒を30サイクル行った。得られた2ndPCR産物は目的の変異領域と制限酵素EcoRI、SpeI切断サイトを持つようになる。1stPCR、2ndPCRで用いたプライマーの位置を図1に示す。さらに2ndPCR産物をエタノール沈殿し、変異を含む領域を制限酵素EcoRI、SpeIで切り出しWizard(登録商標) Genomic DNA Purification Kit(プロメガ社製)で精製した(insertDNA)。同様に、pTR-ASDSを制限酵素EcoRI、SpeIで切り出し、vector側のDNAをWizard(登録商標) Genomic DNA Purification Kit(プロメガ社製)で精製した。このinsertDNAとvectorDNAでライゲーションを行い、4種類の変異プラスミドpTR-aL183CcF67C、pTR-aL183CcI68C、pTR-aL184CcF67C、pTR-aL184CcI68Cを得た。また、得られた変異プラスミドを、それぞれATP合成酵素を欠損した大腸菌DK−8株のコンピテントセルに導入した。それぞれの菌体から、プラスミドを精製し、制限酵素チェック、DNAシークエンスにより目的の変異が導入されていること、目的外の変異が導入されていないことを確認した。(FoF1−ATP合成酵素溶液の調製) LB培地(10g Bacto Peptone、5g Yeast extract、10gNaCl、寒天15gを1Lの蒸留水に溶かした培地)1Lに100μg/ml ampicillinを加え、pTR-ASDS及び上記作製した4種類の変異プラスミドをもつ大腸菌(DK−8)をそれぞれ37℃、24h振盪培養した。遠心分離(7500rpm、10分、4℃)で菌体を回収した後、PA3バッファー(10mM Tris−HCl pH7.5、10%Glycerol、5mM Mg(NO3)2)と、酸化剤としてCuSO4(最終濃度200μM)とを加えて全量を8mlとし、懸濁後、25℃、30分間置いた。1M EDTA pH7.5を最終濃度10mMとなるように加え、遠心分離(7500rpm、10分、4℃)で菌体を回収した。回収した菌体を40mlのPA3バッファーで懸濁した後、遠心分離(7500rpm、10分、4℃)で菌体を回収した。回収した菌体を40mlのPA3バッファーで懸濁した後、超音波破砕器で5〜10分超音波破砕した。破砕液を遠心分離(10000rpm、15分、4℃)して潰れ残りの菌体などを除いた後、上清を超遠心分離(40000rpm、1h、4℃)して膜画分を回収して反転膜を得た。この反転膜には、発現したFoF1−ATP合成酵素が酸化状態で膜上に存在している。回収した膜画分は1mlのPA3バッファーで懸濁した。懸濁液に対し、タンパク質濃度が5mg/mlとなるように蒸留水で調整して酸化状態のFoF1−ATP合成酵素溶液を得た。一方、懸濁液にし、DTTを最終濃度が50mMになるように加え、タンパク質濃度が5mg/mlになるようにPA3バッファーで調製して還元状態のFoF1−ATP合成酵素溶液を得た。タンパク質の定量は、濃度既知のBSAを標準品としてLowry法で行った。(ATP加水分解活性の測定) ATP加水分解活性の測定は、ATP再生系によるNADHの吸収の減少を紫外・可視分光光度計で測定することによって求めた。 45℃でプレインキュベートした1.5ml Assay Mixture(50mM Tris−HCl pH7.5、100mM KCl、2.5mM ホスホエノールピルビン酸(PEP)、5.0mM MgCl2、2.0mM ATP、1.75mM NADH、2.5mM KCN、0.1mg/ml カルボニルシアニド−p−トリフルオロメトキシフェニルヒドラゾン(以下、「FCCP」ともいう。))にピルビン酸キナーゼ(最終濃度10μg/ml)、乳酸脱水素酵素(最終濃度10μg/ml)をキュベットに加えた。測定開始30秒後に20μlの還元状態のFoF1−ATP合成酵素溶液又は酸化状態のFoF1−ATP合成酵素溶液を加えた。ATP加水分解活性の測定は、紫外・可視分光光度計はUltrospec 6300 pro(GEヘルスケア・ジャパン社製)を使用し、波長340nm、温度45℃、時間300秒で測定を行った。ATP加水分解活性は測定開始後240秒から300秒の傾きの値から比活性を計算することによって求めた。各試料6回測定し、比活性平均値を出した。(ATP加水分解活性の測定結果) 図2に酸化状態と還元状態におけるFoF1−ATP合成酵素のATP加水分解活性を示す。薄い灰色(右側)が酸化状態(ox)の測定データで、濃い灰色(左側)が還元状態(red)の測定データである。グラフの上部に示した数値は酸化によるATP加水分解活性の低下率を表している。横軸は野生型FoF1−ATP合成酵素(PTR19ASDS)、及び4種類の変異FoF1−ATP合成酵素(aL183CcF67C、aL183CcI68C、aL184CcF67C、aL184CcI68C)を示し、縦軸は比活性(μmol/分/mg)を示す。野生型FoF1−ATP合成酵素の酸化状態と還元状態の比活性を見比べてみると、比活性は同程度だった。このことから、野生型FoF1−ATP合成酵素ではATPの加水分解が酸化によって阻害されないことが示された。また、4種類の変異FoF1−ATP合成酵素の中ではaL183CcF67Cが一番高く、0.23μmol/分/mgであった。他の3種類は0.13〜0.14μmol/分/mgであった。酸化処理によるATP加水分解活性の阻害率は、aL183CcF67Cでは20.4%、aL183CcI68Cでは15.6%、aL184CcF67Cでは21.3%、aL184CcI68Cでは16.7%であった。この結果から、酸化処理によるジスルフィド結合の形成によってATP加水分解活性を制御することができるということ、及びaサブユニットのへリックス4の183番目又は184番目のロイシンと、cサブユニットのへリックス2の67番目のフェニルアラニン又は68番目のイソロイシンはいずれも近い距離に存在していることが明らかとなった。図3にFoaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットのへリックス2にシステインを導入した変異FoF1−ATP合成酵素の酸化状態及び還元状態を示す。[FoF1−ATP合成酵素を再構成したリポソームの水素イオン輸送活性] 野生型FoF1−ATP合成酵素およびaL183CcF67C、aL183CcI68C、aL184CcF67C、aL184CcI68Cの4種類の変異FoF1−ATP合成酵素を発現した大腸菌を超音波処理して得られた膜画分から、界面活性剤であるドデシルマルトシド(n‐dodecyl‐β‐D‐maltoside:DDM)でFoF1−ATP合成酵素を可溶化し、Ni−NTAカラムで精製した。一方、リポソームは大豆のリン脂質を超音波処理することにより調製した。凍結融解法でそれぞれのFoF1−ATP合成酵素をリポソームの脂質二重膜に再構成し、この再構成したリポソームを酸化、還元処理した際のATP加水分解による水素イオン輸送活性を調べた。以下、詳細に説明する。(Ni−NTAカラムの調製) Ni−NTA superflowカラム(20ml、キアゲン社製)に、カラム体積の3倍量のミリQ水を加え、重力によりドレインした。次に、カラム体積の10倍量の20mM HEPES−NaOH pH7.5、200mM Na2SO4、0.05%DDM溶液を加えた。(膜画分の調製) LB培地(10g Bacto Peptone、5g Yeast extract、10gNaCl、寒天15gを1Lの蒸留水に溶かした培地)1Lに100μg/ml ampicillinを加え、pTR-ASDS及び上記作製した4種類の変異プラスミドをもつ大腸菌(DK−8)をそれぞれ37℃、24h振盪培養した。遠心分離(7500rpm、10分、4℃)で菌体を回収した。回収した菌体を40mlのPA3バッファーで懸濁した後、超音波破砕器で5〜10分超音波破砕した。破砕液を遠心分離(10000rpm、15分、4℃)して潰れ残りの菌体などを除いた後、上清を超遠心分離(40000rpm、1h、4℃)して膜画分を回収して反転膜を得た。この反転膜には、発現したFoF1−ATP合成酵素が膜上に存在している。回収した膜画分は1mlのPA3バッファーで懸濁後、−80℃で保存した。反転膜を使用する前に、濃度既知のBSAを標準品としてLowry法でタンパク質定量を行った。(膜画分からのFoF1−ATP合成酵素の可溶化及びNi−NTAアフィニティクロマトグラフィーによる精製) 上記調製した膜画分を10mg/mlとなるようにpurificationバッファー(20mM HEPES−NaOH pH7.5 200mM Na2SO4)で希釈した。ダウンス型ホモジナイザー(IWAKI社製)を用いて懸濁後、懸濁液40mlを50mlのチューブに移し、×50 protease inhibitor(Complete EDTA−free Protease Inhibitor(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)1粒を1mlのミリQ水に溶解)を1ml加えた。次に、ボルテックスで弱く撹拌しながら、5mlのマイクロピペットを用いて、20%DDMを4.55ml一気に加えた。20分氷上に置いた後、超遠心チューブに移し、超遠心をp45ATローター(日立工機社製)を用いて、38K、40分、4℃の条件で行った。 上清をコーニングチューブに移し、その上清約40mlとNi−NTAレジン(キアゲン社製)20mlを容量100mlの蓋付き試薬瓶に移して混和した後、試薬瓶内のレジンと可溶化の上清を1h、4℃の条件で、BIO−shaker BR40−LF(タイテック社製)で往復振とう撹拌した。 次に、上記調製したNi−NTA superflowレジンをカラムに移し、素通りで壁、ピペット、ふたを洗浄した。クローズドカラムをセットアップし、カラム体積の10倍量の洗浄バッファー1(25mMイミダゾール、20mM HEPES−NaOH pH7.5、200mM Na2SO4、0.05%DDM)で洗浄し、さらにカラム体積の10倍量の洗浄バッファー2(40mM イミダゾール、20mM HEPES−NaOH pH7.5、200mM Na2SO4、 0.05%DDM)で洗浄後、カラム体積の10倍量の溶出バッファー(200mM イミダゾール、20mM HEPES−NaOH pH7.5、200mM Na2SO4、 0.05%DDM)で溶出した。 SDS−PAGEでFoF1−ATP合成酵素のフラクションを確認し、FoF1−ATP合成酵素のフラクションをあわせて、Amicon ultra centrifugal filters Ultracel(登録商標)-100K UFC910024(ミリポア社製)で10mg/mlとなるように濃縮し、精製したFoF1−ATP合成酵素を得た。 (リポソームの調整) 大豆由来のPhosphatidilcholine TypeII−S(シグマ・アルドリッチ社製)44mgを0.5mM DTTを含むPA3バッファー 1mlにスターラーで攪拌してよく懸濁した。次に、縣濁液をチップ型超音波破砕機UR200P(トミー精工社製)で5〜10秒×2回超音波処理した後、液体窒素でいったん凍結させた。さらにこれを室温に放置して自然解凍し、リポソーム溶液を得た。1mlずつ分注して液体窒素で凍結後、−80℃で保存した。(リポソームへの再構成) 精製したFoF1−ATP合成酵素(10mg/ml、20μl)、200μM(最終濃度)CuSO4にリポソーム溶液200μlを加えた。室温で15分置いた後、液体窒素でいったん凍結させ、これを室温で放置して自然解凍した。次に、等量の蒸留水を加え、超音波処理を5秒かけた。超遠心(70000rpm、30分、4℃)でリポソームを沈殿させ、200μlのPA3バッファーで縣濁した。得られた懸濁液を、以後の水素イオン輸送活性の測定において、酸化処理した変異FoF1−ATP合成酵素を再構成したリポソームとして用いた。また、200μlのPA3バッファーの代わりに50mM DTTを含む200μlのPA3バッファーで縣濁した懸濁液を、還元処理した変異FoF1−ATP合成酵素を再構成したリポソームとして用いた。(水素イオン輸送活性の測定) 水素イオン輸送活性の測定には、ACMA法を用いた。ACMAは、吸収極大412nmを持ち、強い蛍光を発し471nmに蛍光極大を有するΔpH指示薬である。ACMAは、膜に可逆的に結合し膜内が酸性化すると消光するという性質を持つ。この性質を利用し、FoF1−ATP合成酵素がATPの加水分解により水素イオンをリポソーム内に輸送する活性、つまり水素イオン輸送活性を測定できる。なお、以下に用いたFCCPはイオノフォアであり、膜内外野ΔpHを解消する。実際に行った実験の手順を以下に示す。 キュベットにPA4バッファー(10mM HEPES/KOH、pH7.5、100mM KCl、5mM MgCl2)2.4mlを加え、ACMA(0.3mg/ml)24μlをここに加えて懸濁した。この懸濁液にFoF1−ATP合成酵素(野生型、aL184CcF67C、L184CcI68C)を再構成したリポソーム10mg/mlを100μl加えた。蛍光分光器(日本分光社製)にキュベットをセットし、励起波長410nm、蛍光波長480nm、42℃で測定開始した。次に、200mM ATPを12μl加えて反応開始した(最終濃度 1mM)。その後FCCP(100μg/ml)を12μl加え反応停止した。(水素イオン輸送活性の測定結果) 野生型のFoF1−ATP合成酵素を再構成したリポソームでは、酸化処理、還元処理いずれもATPの添加に伴い膜内への水素イオン流入によりACMAの蛍光の消光がみられ、蛍光強度は6%減少した。還元処理した変異FoF1−ATP合成酵素を再構成したリポソームでは、aL184CcF67Cを再構成したリポソームでは5.7%、aL184CcI68Cを再構成したリポソームでは4.7%の蛍光の消光が確認された。次に、CuSO4により酸化処理したaL184CcF67C又はaL184CcI68Cを再構成したリポソームではいずれも水素イオン輸送活性が確認されなかった。aL184CcF67Cを再構成したリポソームによる測定結果を図4右に示し、変異FoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソームの酸化状態と還元状態の概念図を図4左に示す。aL184CcF67CとaL184CcI68Cが還元状態で水素イオン輸送活性を有し、酸化状態で水素イオン輸送活性を失ったことで、近接しているaサブユニットのへリックス4とcサブユニットのへリックス2の2つのシステインが酸化処理によりジスルフィド結合を形成しcリングが回転できなくなり、水素イオン輸送活性を失うことが確認できた。こうして、変異FoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソームでは、酸化状態で水素イオン輸送活性を喪失し、還元状態で水素イオン輸送活性を獲得すること、及び変異FoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソームを用いると、酸化還元処理によってリポソーム内の水素イオン濃度を可逆的に制御できることが明らかとなった。さらに、変異FoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソームを用いることで、ACMAのような塩基性物質のリポソーム内への取り込み制御が可能であることが明らかとなった。Foaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットのへリックス2にそれぞれシステイン残基を有し、酸化状態で水素イオン輸送活性を喪失し、還元状態で水素イオン輸送活性を獲得するFoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソーム。FoF1−ATP合成酵素がバチルス属細菌由来であることを特徴とする請求項1記載のリポソーム。バチルス属細菌が好熱菌バチルスPS3(Bacillus sp.PS3)であることを特徴とする請求項2記載のリポソーム。Foaサブユニットのへリックス4の183番目又は184番目と、Focサブユニットのへリックス2の67番目又は68番目がシステイン残基に置換されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のリポソーム。請求項1〜4のいずれか記載のリポソームにおいて、酸化剤又は還元剤による処理によってリポソーム内の水素イオン濃度を調整する方法。 【課題】水素イオン輸送活性を可逆的に制御することが可能なリポソームを提供すること。【解決手段】Foaサブユニットのへリックス4とFocサブユニットのへリックス2にそれぞれシステイン残基を有し、酸化状態で水素イオン輸送活性を喪失し、還元状態で水素イオン輸送活性を獲得するFoF1−ATP合成酵素を脂質二重膜に再構成したリポソームを作製する。かかるリポソームは、リポソーム内の水素イオンを制御することが可能となり、リポソーム内に封入する薬剤や生理活性物質の安定性が保たれ、その結果、かかるリポソームを薬物送達システムに利用すると、薬剤や生理活性物質の量及び投与回数の軽減が可能になると共に薬剤や生理活性物質の作用を高め、さらには副作用を軽減することも可能となる。【選択図】なし配列表


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