タイトル: | 公開特許公報(A)_粘度特性評価方法および粘度特性評価装置 |
出願番号: | 2012258492 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 11/00 |
仙波 伸得 JP 2014106076 公開特許公報(A) 20140609 2012258492 20121127 粘度特性評価方法および粘度特性評価装置 住友ベークライト株式会社 000002141 住ベリサーチ株式会社 512307000 仙波 伸得 G01N 11/00 20060101AFI20140513BHJP JPG01N11/00 B 6 1 OL 10 本発明は、粘度特性評価方法とその評価装置に関する。 従来より、樹脂材料等の粘度の測定には、圧縮型プラストメーター法による粘度測定等を一般的に用いていた(非特許文献1参照)。圧縮型プラストメーター法は2枚の平行板の間に測定対象の樹脂を挟み、所定の荷重を掛けたときの樹脂厚み変化を測定し流動性を評価している。この方法は変形速度の遅い、すなわち粘度の高い樹脂材料の粘度測定に適している。 圧縮型プラストメーター法は高粘度で変形速度の遅い樹脂を対象としているため、粘度の低い樹脂材料、例えば半導体デバイス用封止樹脂の溶融状態等では変形速度が速いため精度よく測定することはできない。このため、粘度の低い樹脂材料は、低粘度状態における実際の使用条件に近いモデルを用いて、その粘度を測定していた。例えば、半導体デバイスの樹脂封止はトランスファー成形によって行われ、溶融樹脂を金型内に導入し封止して行われている。このため、半導体デバイスの封止樹脂は、例えばトランスファー成形を模した矩形流路を用いた矩形流路粘度測定法を用いてその粘度測定、流動性評価を行っていた。しかし、測定可能なせん断速度領域には限界があった。また、半導体デバイスの樹脂封止は、トランスファー成形では溶融樹脂の流動により金ワイヤーが変形し隣接するワイヤーとの接触によりショート不良が起こりやすいことから、樹脂流動の少ない圧縮成形の技術開発が進められている。G.J.Dienes and H.F.Klemm,"Theory and Application of the Parallel Plate Plastmeter",Journal of Applied Physics,vol.17.Pp.458(1946) しかしながら、圧縮成形はトランスファー成形と異なり、矩形流路を用いないことから、矩形流路粘度測定法では圧縮成形時の半導体デバイス封止樹脂の粘度を測定することができなかった。 本発明の目的は、圧縮成形時の半導体デバイス封止樹脂の粘度を測定することができ、低粘度の樹脂材料の粘度特性評価方法および評価装置を提供するものである。 このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。(1)容器内において、円盤状の試料台と、試料と、前記試料台と略平行に設置された円盤状の平行板と、をこの順に設置する試料準備工程と、前記平行板を前記試料台と略平行のまま、一定速度で試料台方向へ変位させることにより、前記試料を圧縮する圧縮工程と、前記圧縮工程における前記平行板にかかる圧縮荷重を読み取る読取工程と、を含む粘度特性評価方法であって、前記容器内を真空化することを特徴とする粘度特性評価方法。(2)前記圧縮荷重と、前記平行板の速度とから、粘度特性を評価する(1)に記載の粘度特性評価方法。(3)前記試料台が、中心部に凹部を有する(1)または(2)に記載の粘度特性評価方法。(4)前記凹部は円形状である(3)に記載の粘度特性評価方法。(5)前期容器内を20Pa以下とすることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の粘度特性評価法。(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の粘度特性評価方法に用いる粘度特性評価装置であって、前記容器と、前記容器内に設置された前記試料台と、前記平行板を含み、前記容器内を所定の温度に保つ温度調整手段と、前記容器内を真空化する真空化手段と、前記圧縮荷重を読み取る読取手段と、前記圧縮荷重と、前記平行板の速度とから、試料の粘度を算出する算出手段とを含む粘度特性評価装置。 本発明により、圧縮成形時の半導体デバイス封止樹脂の粘度を測定することができ、低粘度の樹脂材料の粘度特性評価方法および評価装置を提供することが可能となった。本発明による粘度特性評価装置の一実施形態を示す。本発明による粘度特性評価装置における試料台中心部に円形状の浅い凹部を有する一実施形態を示す。実施例における粘度のせん断速度依存性をグラフで示す。 本発明の粘度特性評価方法は、容器内において、円盤状の試料台と、試料と、前記試料台と略平行に設置された円盤状の平行板と、をこの順に設置する試料準備工程と、前記平行板を前記試料台と略平行のまま、一定速度で試料台方向へ変位させることにより、前記試料を圧縮する圧縮工程と、前記圧縮工程における前記平行板にかかる圧縮荷重を読み取る読取工程と、を含む粘度特性評価方法であって、前記容器内を真空化することを特徴とする。 また、本発明の粘度特性評価装置は、前記粘度特性評価方法に用いる粘度特性評価装置であって、前記容器と、前記容器内に設置された前記試料台と、前記平行板を含み、前記容器内を所定の温度に保つ温度調整手段と、前記容器内を真空化する真空化手段と、前記圧縮荷重を読み取る読取手段と、前記圧縮荷重と、前記平行板の速度とから、試料の粘度を算出する算出手段とを含む。 以下、本発明の粘度特性評価方法を詳細に説明する。 本発明の粘度特性評価方法は、容器内において、円盤状の試料台と、試料と、前記試料台と略平行に設置された円盤状の平行板と、をこの順に設置する試料準備工程と、前記平行板を前記試料台と略平行のまま、一定速度で試料台方向へ変位させることにより、前記試料を圧縮する圧縮工程と、前記圧縮工程における前記平行板にかかる圧縮荷重を読み取る読取工程と、を含む粘度特性評価方法であって、前記容器内を真空化することを特徴とする。 本発明の粘度特性評価方法は、前記のような構成を有することで、圧縮成形の環境に近い状態にて粘度特性を評価することができる。つまり、こういうことである。一般的な圧縮成形とは加熱した金型の下型凹部に樹脂材料を投入し溶融させ、下型を上型まで上昇し加圧硬化させる成形方法である。半導体デバイス用に用いられる圧縮成形では上型に半導体デバイスを吸着させ、封止樹脂を加熱された下型内に投入し、樹脂が溶融するとともに下型を上昇させながら加圧して成形するため樹脂の流動がほとんどない方法である。本発明はあらかじめ一定温度に加熱された試料台(圧縮成形の下型に該当する。)に試料を設置し、試料が溶融するとともに平行板(圧縮成形の上型に該当する。)で圧縮することで試料の流動がほとんどない状態で粘度評価が出来る。 さらに、本発明の粘度特性評価方法では、容器内を真空にすることで、圧縮成形の環境により近い状態を再現している。圧縮成形では樹脂を投入後、ガス抜きのため金型内を真空状態にする。このような条件で粘度特性を評価することで、より正確な粘度測定を行うことができる。ここで、前記容器内の好ましい真空度は20Pa以下であり、より好ましくは10Pa以下である。 以下、本発明の好ましい例や実施形態を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下の各例や実施形態のみに限定されるものではない。例えばこれら好ましい例や実施形態の構成要素や条件同士を適宜組み合わせてもよい。また問題の無い限りその他の構成要素と組み合わせたりしてもよい。 図1に本発明の粘度特性評価装置の一実施形態として、粘度特性評価装置1を示す。本粘度特性評価装置1は容器5内に円盤状の試料台2と、試料3と、前記試料台と略平行に設置された円盤状の平行板4と、をこの順に設置し、真空化手段としての真空ポンプ6により容器5内を真空化する構造とする。 容器5には試料3を真空引きする図1に記載していない予備排気室が設置してあり、容器5と予備排気室は同じ真空度を保っている。予備排気室は容器5からの熱が伝わらないように断熱が施されている。また、容器5と予備排気室のあいだには開閉できるハッチがある。 予備排気室には試料3を容器5に搬送する搬送機構が施され、試料を真空容器5内に移動するときにハッチを開け、試料台2中心部に設置することができる。 試料台2は、熱に耐えられ、ある程度硬さがある材料であれば、特に限定されないが、例えばSUS等の金属材料を用いることができる。その表面は耐摩耗性を施すためメッキ処理がされていてもよい。また、その表面は平滑処理がされていることが好ましく、例えば、表面粗さRz=3(μm)の面に仕上げている金属材料を用いてもよい。また、加圧時の試料は円盤状に広がるため試料台は円盤状が好ましく、その大きさは試料サイズによるため特に限定されないが、試料サイズより大きい方が適しており、好ましくは直径100mm〜300mmである。本発明の粘度特性評価方法は封止樹脂の粘度特性評価にとくに適しており、封止樹脂の試料サイズは一般的に10mm〜50mmであることから試料台は直径100mm〜200mmが好ましい。 円盤状の試料台2は、図1のように試料台全面が平らなものでもよいが、図2のように試料台中心部に円形状の凹部を有してもよい。前記凹部を有することで、顆粒の状態での樹脂の粘度特性を測定することが出来る。 また、前記凹部は、試料サイズによるため特に限定はされないが、平行板4により圧縮するのに十分な深さであることが適しており好ましくは2〜10mmである。また平行板4よりも直径を十分大きくすることにより圧縮による凹部壁面の影響を小さく出来るため直径は50mm〜150mmが好ましい。 次に、平行板4について、説明する。平行板4は、試料台と平行にして設置され、加圧時のせん断速度を均一にするためその平行度は±10μm以下が好ましい。また平行板4は試料台と同様に、加圧時の試料が円盤状に広がるため円盤状が好ましい。また、平行板4は熱に耐えられ、ある程度硬さがある材料であれば、特に限定されないが、例えばSUS等の金属材料を用いることができる。その表面は耐摩耗性を施すためメッキ処理がされていてもよい。また、その表面は平滑処理がされていることが好ましく、例えば、表面粗さRz=3(μm)の面に仕上げている金属材料を用いてもよい。その大きさは試料サイズによるため特に限定されないが、試料サイズより大きい方が適しており、好ましくは直径30mm〜100mmである。また、本発明の粘度特性評価方法は封止樹脂の粘度特性評価にとくに適しており、封止樹脂の試料サイズは一般的に10mm〜50mmであることから平行板は直径20mm〜80mmが好ましい。 試料台中心部に円形状の凹部を有する場合には、試料台2と略平行に設置された円盤状の平行板4は、試料台2中心部の円形状凹部の直径より小さいものとするものが好ましい。好ましくは直径30mm〜100mmである。平行板4を、前記の構成とすることで、試料と平行板4との均一な接触を確保でき十分な測定荷重精度を得ることができる。 容器5は熱及び真空に耐えられ、断熱性を有する材料であれば特に限定されないが、SUS等の金属材料を用いて真空を保持し、容器の外側を断熱材で覆った構造でもよい。そのサイズは特に限定されないが、図1のように円盤状の試料台と、試料と、前記試料台と略平行に設置された円盤状の平行板が入るサイズが望ましい。 また、容器5内には所定の温度に保つため温度調整手段としてヒーター機構13が施されてもよい。ヒーター機構13を有することで、高温条件において、一定温度下にて測定することができる。 平行板4は、連結されたシャフト7と荷重検出機8を接続したクロスヘッド9を電磁式サーボモーター等で上下動させることによって平行を保って一定速度で試料台方向へ変位させることができる。変位速度は特に限定されないが、0.5mm/min.〜30mm/min.が好ましい。その時の変位信号と、圧縮工程における前記平行板にかかる荷重信号は逐次読取手段12としてのパーソナルコンピュータ等に取り込まれる。ここで、読取手段としてパーソナルコンピュータ等を用いることで、平行板の制御や温度調整手段の制御等を行う制御手段としても用いることが出来る。 粘度特性評価方法では、上記により得られた樹脂の高さ変化および圧縮荷重のデータから、低せん断速度領域のせん断速度と粘度を換算し、当該樹脂の粘度特性を評価することができる。 本発明では、粘度特性評価装置により得られた樹脂高さおよび圧縮荷重変化の時間依存性データから(1)および(2)式に従ってせん断速度と粘度の時間変化を算出することができる。このような粘度の時間変化を算出することで、より圧縮成形における樹脂粘度の変化を詳細に測定することができる。 本発明の粘度特性評価方法は、上述のような粘度特性評価装置を用いて行うことが出来る。具体的には上述の容器内において、上述の円盤状の試料台と、試料と、該試料台と略平行に設置された上述の円盤状の平行板と、をこの順に設置する試料準備工程と、該平行板を該試料台と略平行のまま、上述のクロスヘッド等を一定速度で試料台方向へ変位させることにより、該試料を圧縮する圧縮工程と、該圧縮工程における該平行板にかかる圧縮荷重を上述の読取手段等により読み取る読取工程と、を含む粘度特性評価方法であって、該容器内を上述の真空化手段等を用いて真空化することを特徴とする粘度特性評価方法である。また、本発明の粘度特性評価方法は試料準備工程前に前述の予備排気室から搬送機構を用いて試料を搬送する搬送工程を含んでもよい。また、本発明の粘度特性評価方法は真空化工程を圧縮工程前に含んでいることが好ましいが、これに限定されず、試料準備工程前または搬送工程前に含んでいてもよい。 以下、実施例により本発明を説明する。(実施例1) 本発明による粘度特性評価装置を用いて、表1の条件で粘度特性評価を行った。試料は、半導体デバイス用封止樹脂(以下、封止樹脂と云う)で80〜90質量%のシリカフィラーが含まれるもの(住友ベークライト株式会社製 EME−G750V、直径18mm、質量1gのタブレット)を用いた。 封止樹脂を容器内温度175℃、圧縮工程における平行板の変位速度1mm/min.の条件で測定した。具体的には、図1に示すような粘度特性評価装置を用いて、以下のように行った。(1)試料を予備排気室に設置し、予備排気室および175℃の温度に調整されたSUS製容器(幅350mm×高さ150mm×奥行き350mm)内を真空化手段としての真空ポンプにより真空引きし(真空化工程)、10Paの真空度とする。(2)試料を予備排気室より搬送機構を用いて直径200mm、厚さ30mmのSUS製円盤状試料台中心部に搬送し設置する(試料準備工程)。(3)試料を予熱(予熱時間10秒)する。(4)試料台と略平行に設置された直径30mm、厚さ20mmのSUS製円盤状平行板を、電磁サーボモーターを用いてクロスヘッドを1mm/minの一定速度で試料台方向へ変位させ、試料が圧縮変形したとき(圧縮工程)の荷重変化を測定した(読取工程)。 本測定により得られた荷重、樹脂高さの変化の時間依存性データを上記式(1)および式(2)を用いてせん断速度と粘度に換算した。図3にせん断速度と粘度の関係を示す。低せん断速度領域(<1[1/s])における粘度のせん断速度依存性が示されている。 (実施例2) 試料を顆粒状の封止樹脂とし(住友ベークライト株式会社製 EME−G633C、質量1g)、試料台に深さ3mm、直径100mmの凹部を有するものに変更した以外は実施例1と同様にして粘度特性評価を行った。結果を図3に示す。実施例1と同様に、低せん断速度領域(<1[1/s])における粘度のせん断速度依存性が示されている。 本実施例に示す通り、本発明によれば、封止樹脂の低せん断速度領域における粘度のせん断速度依存性が評価でき、圧縮成形時の封止樹脂の粘度特性評価方法および評価装置を提供することが可能となった。 1 粘度特性評価装置 2 試料台 3 試料 4 平行板 5 容器 6 真空化手段(真空ポンプ) 7 シャフト 8 荷重検出器 9 クロスヘッド 12 読取手段(パーソナルコンピュータ) 13 温度調整手段(ヒーター機構)容器内において、円盤状の試料台と、試料と、前記試料台と略平行に設置された円盤状の平行板と、をこの順に設置する試料準備工程と、前記平行板を前記試料台と略平行のまま、一定速度で試料台方向へ変位させることにより、前記試料を圧縮する圧縮工程と、前記圧縮工程における前記平行板にかかる圧縮荷重を読み取る読取工程と、を含む粘度特性評価方法であって、前記容器内を真空化することを特徴とする粘度特性評価方法。前記圧縮荷重と、前記平行板の速度とから、粘度特性を評価する請求項1に記載の粘度特性評価方法。前記試料台が、中心部に凹部を有する請求項1または2に記載の粘度特性評価方法。前記凹部は円形状である請求項3に記載の粘度特性評価方法。前期容器内を20Pa以下とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘度特性評価法。請求項1〜5のいずれかに記載の粘度特性評価方法に用いる粘度特性評価装置であって、前記容器と、前記容器内に設置された前記試料台と、前記平行板を含み、前記容器内を所定の温度に保つ温度調整手段と、前記容器内を真空化する真空化手段と、前記圧縮荷重を読み取る読取手段と、前記圧縮荷重と、前記平行板の速度とから、試料の粘度を算出する算出手段とを含む粘度特性評価装置。 【課題】本発明の目的は、圧縮成形時の半導体デバイス封止樹脂の粘度を測定することができ、低粘度の樹脂材料の粘度特性評価方法および評価装置を提供するものである。【解決手段】本発明の粘度特性評価方法は、容器内において、円盤状の試料台と、試料と、前記試料台と略平行に設置された円盤状の平行板と、をこの順に設置する試料準備工程と、前記平行板を前記試料台と略平行のまま、一定速度で試料台方向へ変位させることにより、前記試料を圧縮する圧縮工程と、前記圧縮工程における前記平行板にかかる圧縮荷重を読み取る読取工程と、を含む粘度特性評価方法であって、前記容器内を真空化することを特徴とする。【選択図】図1