タイトル: | 公開特許公報(A)_タンパク質検出用融合タンパク質およびタンパク質の検出方法 |
出願番号: | 2012254116 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12N 9/16,C07K 14/315,C12Q 1/42,C07K 19/00,G01N 33/535,G01N 33/566 |
神谷 典穂 友添 祐介 松葉 恭一 林 浩之輔 永井 賢治 JP 2014100095 公開特許公報(A) 20140605 2012254116 20121120 タンパク質検出用融合タンパク質およびタンパク質の検出方法 国立大学法人九州大学 504145342 日立アロカメディカル株式会社 390029791 特許業務法人YKI国際特許事務所 110001210 神谷 典穂 友添 祐介 松葉 恭一 林 浩之輔 永井 賢治 C12N 15/09 20060101AFI20140509BHJP C12N 9/16 20060101ALI20140509BHJP C07K 14/315 20060101ALI20140509BHJP C12Q 1/42 20060101ALI20140509BHJP C07K 19/00 20060101ALI20140509BHJP G01N 33/535 20060101ALI20140509BHJP G01N 33/566 20060101ALI20140509BHJP JPC12N15/00 AC12N9/16 BC07K14/315C12Q1/42C07K19/00G01N33/535G01N33/566 4 1 OL 21 4B024 4B050 4B063 4H045 4B024AA11 4B024BA11 4B024BA31 4B024CA07 4B024DA03 4B024EA04 4B024GA11 4B024HA01 4B024HA03 4B050CC05 4B050DD11 4B050EE10 4B050FF16E 4B050LL03 4B063QA18 4B063QQ33 4B063QQ79 4B063QR13 4B063QR48 4B063QS02 4B063QS38 4B063QX01 4H045AA10 4H045AA20 4H045AA30 4H045BA41 4H045CA11 4H045CA40 4H045DA86 4H045DA89 4H045EA50 4H045FA74 4H045GA26 本発明は、タンパク質検出用融合タンパク質およびタンパク質の検出方法に関する。 生体試料中には種々のタンパク質が存在するが、特定のタンパク質を検出、定量するための方法として、ELISA(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay)等が知られている。 ELISAは、試料中に含まれる抗原等の特定のタンパク質を、酵素標識した抗体を用い、抗原抗体反応を利用して定量的に検出する方法であり、免疫検査等において汎用されている手法の1つである。ELISAには、直接吸着法、サンドイッチ法、競合法等が知られている。 例えば、固相の表面に吸着させた目的物質(抗原)に対する1次抗体を抗原抗体反応により結合させる。未反応の1次抗体を洗い流した後、酵素標識した標識2次抗体を添加して、再び抗原抗体反応により結合させる。ここで未反応の標識2次抗体を洗い流し、発色基質を添加すると、抗原の量に比例して発色反応が起こる。生成した発色物質の吸光度を吸光度計等により測定し、濃度既知の標準品を用いて作成した標準曲線から、抗原の量を定量することができる。 しかし、このような方法では、目的物質(抗原)に特異的に結合する1次抗体に対して特異的に結合する標識2次抗体が必要となり、複数種類の目的物質(抗原)を検出する場合、複数種類の1次抗体に対して、それぞれに特異的に結合する標識2次抗体を用意する必要があり、汎用性が低い。 一方、標識2次抗体の代わりに、アルカリホスファターゼ等の酵素とプロテインGとを化学反応で結合した酵素標識プロテインGを用いる方法がある。プロテインGは、連鎖球菌の細胞壁由来タンパク質で、ほとんどの哺乳動物のIgGと結合する性質を持つ。このような酵素標識プロテインGを用いれば多くの1次抗体と結合可能であり、複数種類の目的物質(抗原)を検出する場合でも、それぞれに特異的に結合する抗体を用意しなくてもよく、汎用性が高い。 しかし、アルカリホスファターゼ等の酵素で標識した酵素標識プロテインGを用いる方法は、検出感度が低いという問題があった。また、熱安定性が低いものもあり、取扱中に失活する場合があった。Engineering of Functional Chimeric Protein G-Vargula Luciferase, ANALYTICAL BIOCHEMISTRY, 249, pp.147-152 (1997)Expression and purification of a truncated recombinant streptococcal protein G, Biochem J., 267, pp.171-177 (1990)「アイソザイム間キメラ化による高活性かつ熱安定なアルカリフォスファターゼの創出」,第61回日本生物工学会大会 2Ea02 本発明は、汎用性が高く、検出感度が高く、かつ安定性の高いタンパク質検出用融合タンパク質およびそれを用いたタンパク質の検出方法を提供することにある。 本発明は、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインのうち少なくとも1つを含むタンパク質ドメインと、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼとを融合したものであるタンパク質検出用融合タンパク質である。 また、前記タンパク質検出用融合タンパク質において、前記タンパク質ドメインが、プロテインAのBドメイン、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインが結合されたものであることが好ましい。 また、前記タンパク質検出用融合タンパク質において、前記融合型アルカリホスファターゼが、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼIPPまたはIIPであることが好ましい。 また、本発明は、タンパク質の検出方法であって、前記タンパク質検出用融合タンパク質と、対象物中に存在するタンパク質とを直接または間接的に結合させ、結合している前記タンパク質検出用融合タンパク質のアルカリホスファターゼ部分を標識部分として検出するタンパク質の検出方法である。 本発明では、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインのうち少なくとも1つを含むタンパク質ドメインと、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼとを融合させることにより、汎用性が高く、検出感度が高く、かつ安定性の高いタンパク質検出用融合タンパク質およびそれを用いたタンパク質の検出方法を提供することができる。本実施形態に係るタンパク質検出用融合タンパク質の一例の構造を示す模式図である。実施例1における、一過性分泌発現させた各培養上清(各レーン200μL分)のCBB染色と抗Penta−His抗体によるイムノブロットの結果を示す図である。実施例1における、各精製フラクション(各レーン10μL分)のCBB染色と抗Penta−His抗体によるイムノブロットの結果を示す図である。実施例2における、ウエスタンブロットの結果を示す図である。実施例3における、免疫沈降を説明する図である。実施例3における、免疫沈降を説明する図である。実施例3における、ウエスタンブロットの結果を示す図である。実施例4における、ウエスタンブロットの結果を示す図である。実施例5における、免疫染色の結果を示す図である。 本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。 本実施形態に係るタンパク質検出用融合タンパク質は、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインのうち少なくとも1つを含むタンパク質ドメインと、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼとを融合したものである。 本発明者らは、検出対象であるタンパク質と直接または間接的に結合するタンパク質ドメインとして、プロテインGに着目した。プロテインGは、連鎖球菌の細胞壁由来タンパク質で、ほとんどの哺乳動物のIgGと結合する性質を持つ。このプロテインGをアルカリホスファターゼ標識し、標識2次抗体等に代わるものとして利用できないかを検討した。 また、本発明者らは、検出感度および安定性に寄与する酵素標識としてのアルカリホスファターゼのうち、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼ(PLAP)は熱安定性が高く、ヒト小腸型アルカリホスファターゼ(IAP)は比活性が高いこと、そのヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼ両者の配列をキメラ化することで、高活性かつ安定性の高いキメラタンパク質が創出されることに着目した。なお、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼはアミノ酸配列にして88%の相同性を持つ。 そこで、鋭意検討したところ、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインのうち少なくとも1つを含むタンパク質ドメインと、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼとを融合させることにより、汎用性が高く、検出感度が高く、かつ安定性の高いタンパク質検出用融合タンパク質が得られることを見出した。 タンパク質ドメインとしては、プロテインGのIgG結合ドメインであるC2ドメインおよびC3ドメインのうち少なくとも1つを含むものであればよく、特に制限はないが、抗体から脱離しにくい等の点から、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインが連結されているものを含むことが好ましい。また、プロテインGの抗体等に対する反応性が向上する等の点から、プロテインAのBドメインを含むことが好ましい。特に、プロテインAのBドメイン、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインが結合されたものであることが好ましい。 ヒト胎盤型アルカリホスファターゼ(PLAP)とヒト小腸型アルカリホスファターゼ(IAP)それぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼとしては、比活性が高く、熱安定性が高い等の点から、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼIPPまたはIIP(非特許文献3参照)が好ましく、生産性や、比活性が高く、熱安定性が高い等の点から、IPPが好ましい。 融合型アルカリホスファターゼのC末端側にプロテインGのC2ドメインを融合させたものでもよいし、N末端側に融合させたものでもよいが、生産性等の点から、融合型アルカリホスファターゼのC末端側にプロテインGのC2ドメインを融合させたものであることが好ましい。 本実施形態に係るタンパク質検出用融合タンパク質は、6個程度の連続するヒスチジン(His)残基からなるタグペプチドの一種であるHisタグ等のタグを有していてもよい。 図1に、本実施形態に係るタンパク質検出用融合タンパク質の一例の構造を模式的に示す。本実施形態に係るタンパク質検出用融合タンパク質は、例えば、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼ(キメラAP)のC末端側に、プロテインAのBドメイン、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインが結合され、プロテインGドメインのC末端側にHisタグが付加されたものである。 本実施形態に係るタンパク質検出用融合タンパク質は、遺伝子工学的手法により、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインのうち少なくとも1つを含むタンパク質ドメインと、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼとを融合した融合タンパク質として発現させて得ることができる。また、その際、プロテインGドメインのC末端側にHisタグ等のタグを付与してもよい。 融合タンパク質の精製は、N末端またはC末端に付加した精製用ペプチドタグ(例えば、(His)6−tag(ヘキサヒスチジンタグ))を利用し、ゲル濾過クロマトグラフィ、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィ等により行うことができる。 融合タンパク質のアミノ酸配列の確認は当該タンパク質をコードするプラスミドベクターの遺伝子配列をDNAシーケンサにて確認することができる。融合タンパク質の精製の確認は、SDS−PAGE等で行うことができる。 本実施形態に係るタンパク質検出用融合タンパク質によれば、ほぼ全ての動物種の1次抗体を検出可能である。本実施形態に係るタンパク質検出用融合タンパク質の検出感度は、従来の標識プロテインGより高く、安定性も高い。また、従来の標識2次抗体と検出感度は同等以上であり、汎用性が高い。本実施形態に係るタンパク質検出用融合タンパク質を用いれば多くの1次抗体と結合可能であり、複数種類の目的物質(抗原)を検出する場合でも、それぞれに特異的に結合する抗体を用意しなくてもよく、汎用性が高い。 また、本実施形態に係るタンパク質検出用融合タンパク質は、変性IgGを検出しない傾向にある。そのため、例えば、IgGが多く含まれるサンプルであっても、内在性IgGが検出されない(後述する実施例4参照)。また、免疫沈降のキャプチャー抗体が検出されない(後述する実施例3参照)という利点がある。<タンパク質の検出方法> 本実施形態に係るタンパク質の検出方法は、前記タンパク質検出用融合タンパク質と、対象物中に存在するタンパク質とを直接または間接的に結合させ、結合しているタンパク質検出用融合タンパク質のアルカリホスファターゼ部分を標識部分として検出する方法である。 本実施形態に係るタンパク質検出用融合タンパク質およびタンパク質の検出方法は、例えば、ウエスタンブロット、ELISA、免疫組織化学(免疫染色)等の基礎研究分野や、病理検査分野等に利用することができる。 以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例中、室温とは20〜25℃である。<実施例1> 融合型アルカリホスファターゼ(ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合タンパク質IPP)と、プロテインAのBドメイン、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメイン(PG1(pA−pG−pG))と、Hisタグとを接続した融合タンパク質遺伝子配列を、pcDNA3.1V−5 HisAベクター(invitrogen)に導入して作製した発現ベクター(pPG1−IPP#1(配列番号:1))、および、その融合タンパク質遺伝子配列のGC含量を54%程度に下げると共に回文配列の除去を行った配列を、pcDNA3.1V−5 HisAベクターに導入して作製した発現ベクター2種(以下、pPG1−IPP#2(配列番号:2)およびpIPP−PG1#2(配列番号:3))の、ヒト胎児腎由来細胞株HEK293Tにおける一過性発現、および発現タンパク質の金属固定化アフィニティカラム(IMACカラム、TALON)による精製を行った。以下、これら3種の発現ベクターによる生産物をそれぞれPG1−IPP#1(配列番号:4)、PG1−IPP#2(配列番号:5)およびIPP−PG1#2(配列番号:6)と略記する。[材料と試験方法]1.発現プラスミド 使用したプラスミド a.pIRESneo3(コントロールベクター) b.pPG1−IPP#1(pG−pG−pA−IPP) c.pPG1−IPP#2(pG−pG−pA−IPP) d.pIPP−PG1#2(IPP−pA−pG−pG)2.培養細胞 ヒト胎児腎細胞由来でSV40largeT抗原を発現するHEK293T細胞は、理研細胞バンクより入手した(#RCB2202)。3.一過性分泌発現試験(1)細胞培養 HEK293T細胞の培養に使用する増殖培地には、10%FBSと2mM L−glutamineを含むDMEM培地を用いた。HEK293T細胞は、10cm−dish中、CO2インキュベータ(37℃、5%CO2)で静置培養し、70〜80%コンフルエントの細胞集団を3日に1度、1/8に希釈して継代した。トランスフェクション用の細胞は、10cm−dishに培養した80%コンフルエントのHEK293T細胞を、トランスフェクションを行う24時間前に1/2に希釈継代し作製した。(2)トランスフェクション HEK293T細胞へのトランスフェクションは、Lipofectamine LTX Plus試薬(invitrogen、#15338−100)を使用した。また、トランスフェクションに使用するプラスミドは、以下(3)で示すものである。 トランスフェクションに先立ち、10cm−dish×4枚のHEK293T細胞(80%コンフルエント)を準備し、培養液を除き、10cm−dish 1枚あたり5mLのOpti−MEM I Reduced−Serum Medium(invitrogen、#31985−070)で洗浄し、10cm−dish 1枚あたり9mLのOpti−MEM培地を添加した。 続いて以下の表2に示す用量および時間でOpti−MEM培地と発現プラスミドDNAとトランスフェクション試薬(Plus試薬およびLTX試薬)を混合し、室温で放置してトランスフェクション混合液を作製した。 各トランスフェクション混合液は、8mLのOpti−MEM培地を加えた10cm−dish上のHEK293T細胞に滴下し、72時間培養を継続して一過性発現を行った。(3)調製したエンドトキシンフリープラスミド 調製したエンドトキシンフリープラスミドを表1に示す。(4)トランスフェクション混合液の調製 トランスフェクション混合液の調製方法を表2に示す。(5)培養上清の回収 トランスフェクション72時間後の培養上清を回収し、1,500rpm、4℃で10分間遠心分離を行い、Syringe−Filter0.22μm(TPP、#99722)でろ過し、ろ液を4℃で保存した。各培養上清のろ液10mLのうち、1mLはサンプルとし、1mLを培養上清の発現確認のために、残り8mLをHisタグによる簡易カラム精製のためにそれぞれ使用した。4.培養上清の発現確認と精製(1)培養上清の発現確認 フィルタろ過済みの培養上清各1mL分をAmicon Ultra−0.5 Centrifugal Filter Unit with Ultracel−10membrane(10,000MWCO、Millipore、#UFC501096)で50μLに濃縮(20倍濃縮)した。濃縮した各培養上清10μL分(原液200μL分に相当)をSDS−PAGEにより分離し、CBB染色および抗Penta−His抗体(Penta−His Antibody、Qiagen、#34660)を使用したイムノブロッティングにより、分泌発現の有無を確認した。(2)Hisタグによる簡易カラム精製 Hisタグによるカラム精製には、TALON Metal Affinity Resin(Clontech、#635504)を使用した。フィルタろ過済みの培養上清各8mL分をAmicon Ultra−4 Centrifugal Filter Unit with Ultracel−10membrane(10,000MWCO、Millipore、#UFC801024)を使用して500μLに濃縮(16倍濃縮)し、5mLの結合/洗浄バッファ(50mM Na−phosphate(pH7.4)、300mM NaCl、10mM imidazole)を加えて希釈し、カラムへのアプライサンプルとした。 各アプライサンプルは、結合/洗浄バッファで平衡化したTALONカラム(bed vol.200μL)にアプライし、その後それぞれのカラムを2mLの結合/洗浄バッファで2回洗浄した。溶出は段階溶出で400μLずつ3回施行した。1回目と2回目は、400μLの溶出バッファ#150(50mM Na−phosphate(pH7.4)、300mM NaCl、150mM imidazole)で溶出した(以下溶出#1、溶出#2)。3回目は、400μLの溶出バッファ#500(50mM Na−phosphate(pH7.4)、300mM NaCl、500mM imidazole)で溶出した(以下溶出#3)。 各精製画分(アプライサンプル、素通り画分、および溶出#1、溶出#2、溶出#3)それぞれ10μL分を、それぞれSDS−PAGEにより分離し、CBB染色およびPenta−His抗体を使用したイムノブロッティングにより確認した。(3)SDS−PAGEとイムノブロティング SDS−PAGEには、e−PAGEL 10%(ATTO、#E−R10L)を使用した。分子量マーカは、Prestained Protein Marker,Broad Range(NEB、#P7708S)を使用した。また、SDS−PAGEゲルからの転写には、Hybond−ECL(GE、#RPN3032D)を使用した。 抗His抗体は、マウスモノクローナル抗体(Penta−His Antibody、Qiagen、#34660)を最終濃度0.4μg/mLで使用した。また、二次抗体は、IRDye800CW 標識ヤギ抗マウス抗体(#610−731−124、Rockland)を最終濃度2μg/mLで使用した。[結果](1)培養上清の発現確認 一過性分泌発現させた各培養上清(各レーン200μL分)のCBB染色と抗Penta−His抗体によるイムノブロットの結果を図2に示す。SDS−PAGEのCBB染色および抗Penta−His抗体によるイムノブロットのいずれにおいても、pPG1−IPP#1による一過性発現では微弱にしか検出できなかった標的タンパク質を、pIPP−PG1#2およびpPG1−IPP#2による一過性発現では、85kDa付近および170kDa付近に、顕著なバンドとして確認できた。 pIPP−PG1#2とpPG1−IPP#2について比較すると、SDS−PAGEのCBB染色においても、抗Penta−His抗体によるイムノブロットにおいても、pIPP−PG1#2の方が圧倒的に強い発現となった。 ここでは標準アルブミン溶液を用いた定量は行わなかったが、バンドの濃度からの概算として、pIPP−PG1#2とpPG1−IPP#2はそれぞれ10μg/mL程度の発現レベルとなったことが推定される。(2)Hisタグによる簡易カラム精製 各精製フラクション(各レーン10μL分)のCBB染色と抗Penta−His抗体によるイムノブロットの結果を図3に示す。SDS−PAGEのCBB染色および抗Penta−His抗体によるイムノブロットの結果、結合/洗浄バッファに平衡化後のアプライサンプルからは、上記(1)のろ過培養上清と同様に、85kDaおよび170kDa付近に二つの顕著なバンドが検出される一方、TALONカラムによるHisタグ精製では、目的物の大部分はアプライサンプルと同様な85kDa付近および170kDa付近の2つのバンドとして溶出#1の画分に、また一部はフロースルーと溶出#2の画分に検出された。溶出#3画分での検出は、わずかであった。 結論として、培養上清の発現産物は、結合/洗浄バッファ(50mM Na−phosphate(pH7.4)、300mM NaCl、10mM imidazole)の平衡化条件で結合し、溶出バッファ150(50mM Na−phosphate(pH7.4)、300mM NaCl、150mM imidazole)の溶出条件で溶出されることが判明した。このことから、培養上清からの目的産物のHisタグによる簡易カラム精製は可能と結論される。 pIPP−PG1#2とpPG1−IPP#2は、pPG1−IPP#1によるHEK293T細胞の一過性発現と比較し、格段の発現の向上が得られた。また、この結果で、pPG1−IPP#2とpIPP−PG1#2との間でも大きな発現効率の違いが認められているが、この両発現ベクターでは、挿入標的遺伝子配列以外の相違はないので、発現効率には、挿入配列に含まれる要因が関与していると考えられる。<実施例2および比較例1>[検出感度の比較]1.サンプルの調製 トランスフェリンタンパク質(Calbiochem、616419)を滅菌水で溶解(10mg/mL)した。これに等量の2×SDS sample buffer(125mM Tris−HCl,20% glycerol,4% SDS,0.01% Bromophenol Blue,10% 2−mercaptoethanol,pH6.8)を加えて熱変性した(100℃、5分間)。希釈倍率3.16倍、希釈液1×SDS sample bufferを用いて、3.16ng/15μL、1ng/15μL、316pg/15μL、100pg/15μL、31.6pg/15μL、10pg/15μL、3.16pg/15μLの希釈系列サンプルを作製した。2.ウエスタンブロット ポリアクリルアミドゲルに希釈系列サンプルを15μLずつアプライし(3.16ng〜3.16pg/レーン)、以下の条件でSDS−PAGE(200V定電圧、30〜35分間)により分離した。 電気泳動槽:ミニプロティアンTetraセル(Bio−Rad) ポリアクリルアミドゲル:ミニプロティアンTGXゲル10%(Bio−Rad、456−1035) 泳動バッファ:25mM Tris,192mM glycine,0.1%SDS,pH8.3 分子量マーカ:Precision Plus Protein All Blue Standards(Bio−Rad、161−0373) ブロッティング(200mA定電流、40分間)は、以下の条件で行った。 メンブレン(Hybond Pメンブレン、GEヘルスケア、RPN2020F(100%メタノールに1分間浸漬した後、蒸留水で5分間洗浄し、転写バッファに浸して平衡化)) 転写バッファ(25mM Tris,192mM glycine,20% Methanol,pH8.3) ブロッティング後のメンブレンをTBS(25mM Tris−HCl,pH7.5,137mM NaCl,2.7mM KCl)に浸し、室温で3分間振盪し、メンブレンをTBST(25mM Tris−HCl pH7.5,137mM NaCl,2.7mM KCl,0.1% Tween20)で溶解した5%スキムミルクに浸し、室温で60分間振盪し、メンブレンをTBSTに浸し、室温で5分間、4回振盪し、TBSTで希釈した1次抗体にメンブレンを浸した(1次抗体:Rabbit anti−human Transferrin antibody(DAKO、A0061)、濃度:4.3μg/mL)。4℃で終夜静置した後、メンブレンをTBSTに浸し、室温で5分間、4回振盪し、TBSTで希釈した下記プロテインGまたは2次抗体それぞれにメンブレンを浸した。[実施例2] AP標識プロテインG(実施例1で調製したIPP−PG1#2) 0.4μg/mL[以下、比較例1] AP標識プロテインG(Abcam、ab7461) 0.4μg/mL AP標識プロテインG(Rockland、PG00−05) 0.4μg/mL AP標識2次抗体(Rockland、611−1502) 0.1μg/mL AP標識2次抗体(KPL、4751−1506) 0.1μg/mL HRP標識プロテインG(Rockland、PG00−03) 0.1μg/mL HRP標識プロテインG(invitrogen、P−21041) 2.0μg/mL HRP標識2次抗体(GEヘルスケア、NA934−1ML) 0.006μg/mL HRP標識2次抗体(PIERCE、31462) 0.02μg/mL 室温で60分間振盪し、メンブレンをTBSTに浸し、室温で5分間、4回振盪し、メンブレンをハイブリバッグに入れ、発光基質を加えてシーラーでシールした。発光基質は、APについては、CDP−Star、ready−to−use(Roche、2041677)を用い、HRPについては、ECL Prime Western Blotting Detection Reagent(GEヘルスケア、RPN2232)を用いた。メンブレンを画像撮影システム(ChemiDoc XRS plusシステム、Bio−Rad)で撮影した。結果を図4に示す。 実施例1で調製したIPP−PG1#2は、検出感度が従来の標識プロテインGより高く、標識2次抗体と同程度であった。<実施例3および比較例2>[免疫沈降] 図5および図6に示すように、dimerを形成するDJ−1タンパク質にタグを付加したFLAG−DJ−1とHA−DJ−1を293T細胞に共発現させ、細胞抽出液に抗FLAG抗体(α−FLAG M2 agarose)を加え、FLAG−DJ−1を免疫沈降した。上清を除去した免疫沈降サンプルにSDS sample buffer(終濃度:1×)を加えて熱変性(100℃、5分間)し、同じ量をアプライしたメンブレンを2枚作製してウエスタンブロットを行った。共沈したHA−DJ−1をHA抗体で検出し、一方を実施例1で調製したIPP−PG1#2、他方を蛍光標識2次抗体で検出して比較した。 上記(実施例2の2.ウエスタンブロット)と同様にして分離、ブロッティングした後、メンブレンをTBSTで溶解した2.5%スキムミルクに浸し、室温で30分間振盪し、メンブレンをTBSTに浸し、室温で5分間、3回振盪し、TBSTで希釈した1次抗体にメンブレンを浸した(1次抗体:α−HA rabbit polyclonal antibody(MBL561−5、Lot.053)、希釈倍率:1,000倍)。室温で60分間振盪し、メンブレンをTBSTに浸し、室温で5分間、3回振盪し、TBSTで希釈した以下のプロテインGまたは2次抗体にメンブレンを浸した。[実施例3] AP標識プロテインG(実施例1で調製したIPP−PG1#2) 0.4g/mL[比較例2] Alexa680標識2次抗体(invitrogen、A−21109) 0.3μg/mL メンブレンをTBSTに浸し、室温で5分間、3回振盪し、蒸留水に浸した。AP標識プロテインGの方は、メンブレンをハイブリバッグに入れ、発色基質を加えてシーラーでシールし(BCIP/NBT溶液、和光純薬工業、022−18231)、室温で10分間静置し、メンブレンを蒸留水に浸し、メンブレンをスキャナで撮影した。Alexa680標識2次抗体の方は、メンブレンをOdyssey(LI−COR)で撮影し、蛍光検出した。結果を図7に示す。 DJ−1は189a.a.で、ウエスタンブロットする際に軽鎖とほぼ同じ位置に出る。Alexa680標識2次抗体で検出した方には、IPしたサンプル全てで、免疫沈降に用いた抗体の軽鎖を検出してしまい、共沈してきたHA−DJ−1のバンドと重なっているが、AP標識プロテインG(実施例1で調製したIPP−PG1#2)の方では、免疫沈降で使用した抗体の軽鎖は検出されず、目的とするバンドのみの結果となった。また、単なるrabbit IgGも熱変性してから泳動した。Alexa680標識2次抗体の方では重鎖が検出されているが、AP標識プロテインG(実施例1で調製したIPP−PG1#2)の方では検出されなかった。 このように、実施例1で調製したIPP−PG1#2を用いると、免疫沈降のキャプチャー抗体が検出されなかった。<実施例4および比較例3>[内在性IgGの検出の有無の確認] 以下の方法により、内在性IgGの検出の有無を比較した。結果を図8に示す。1.サンプルの調製 ラット脳組織抽出液(2mg/mL)に等量の2×SDS Sample bufferを加えて熱変性した。2.ウエスタンブロット ポリアクリルアミドゲルにサンプルを2μL(2μg)、10μL(10μg)アプライし、実施例2の「2.ウエスタンブロット」と同様の条件でウエスタンブロットを行った。[実施例4] AP標識プロテインG(実施例1で調製したIPP−PG1#2)[以下、比較例3] AP標識プロテインG(Rockland、PG00−05) AP標識2次抗体(KPL、4751−1506) 実施例1で調製したIPP−PG1#2では、内在性IgGが検出されなかった。<実施例5>[免疫染色] マウス組織(腎臓、脾臓、肝臓、心臓)をアレイにしたブロックを作製し、下記AP標識プロテインGまたはAP標識2次抗体を用いて表3に示す手順により、発色基質としてNBT/BCIPにより免疫染色を行った。マウス心臓についての免疫染色の結果を図9に示す。(1)1次抗体:なし、AP標識プロテインG:実施例1で調製したIPP−PG1#2 2ug/mL(2)1次抗体:Actin(Anti−Actin antibody produced in rabbit、A2066、Sigma)(1/200)、AP標識プロテインG:実施例1で調製したIPP−PG1#2 2ug/mL(3)1次抗体:Actin(1/200)、標識2次抗体:KPL、4751−1506 2ug/mL このように、実施例1で調製したIPP−PG1#2を用いると、AP標識2次抗体と同様のシグナルが得られ、非特異的結合によるバックグラウンドの上昇はほとんど見られなかった。 以上の通り、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインのうち少なくとも1つを含むタンパク質ドメインと、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼとを融合させることにより、汎用性が高く、検出感度が高く、かつ安定性の高いタンパク質検出用融合タンパク質が得られた。また、そのタンパク質検出用融合タンパク質を用いて、汎用性が高く、検出感度が高いタンパク質の検出方法を提供することができた。 プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインのうち少なくとも1つを含むタンパク質ドメインと、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼとを融合したものであることを特徴とするタンパク質検出用融合タンパク質。 請求項1に記載のタンパク質検出用融合タンパク質であって、 前記タンパク質ドメインが、プロテインAのBドメイン、プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインが結合されたものであることを特徴とするタンパク質検出用融合タンパク質。 請求項1に記載のタンパク質検出用融合タンパク質であって、 前記融合型アルカリホスファターゼが、 ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼIPPまたはIIPであることを特徴とするタンパク質検出用融合タンパク質。 タンパク質の検出方法であって、 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質検出用融合タンパク質と、対象物中に存在するタンパク質とを直接または間接的に結合させ、結合している前記タンパク質検出用融合タンパク質のアルカリホスファターゼ部分を標識部分として検出することを特徴とするタンパク質の検出方法。 【課題】汎用性が高く、検出感度が高く、かつ安定性の高いタンパク質検出用融合タンパク質を提供する。【解決手段】プロテインGのC2ドメインおよびプロテインGのC3ドメインのうち少なくとも1つを含むタンパク質ドメインと、ヒト胎盤型アルカリホスファターゼとヒト小腸型アルカリホスファターゼそれぞれの部分配列を融合した融合型アルカリホスファターゼとを融合したものであるタンパク質検出用融合タンパク質である。【選択図】図1配列表