生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_前立腺癌(Pca)を治療するための組成物
出願番号:2012251528
年次:2013
IPC分類:A61K 31/7105,A61P 35/00,A61P 37/04,A61K 39/00,A61K 48/00,A61P 13/08,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

プロブスト,ヨヘン ヘール,イングマー ランデー,トーマス JP 2013082711 公開特許公報(A) 20130509 2012251528 20121115 前立腺癌(Pca)を治療するための組成物 キュアバック ゲーエムベーハー 509014386 CUREVAC GMBH 特許業務法人原謙三国際特許事務所 110000338 プロブスト,ヨヘン ヘール,イングマー ランデー,トーマス EP PCT/EP2007/008771 20071009 A61K 31/7105 20060101AFI20130412BHJP A61P 35/00 20060101ALI20130412BHJP A61P 37/04 20060101ALI20130412BHJP A61K 39/00 20060101ALI20130412BHJP A61K 48/00 20060101ALI20130412BHJP A61P 13/08 20060101ALI20130412BHJP C12N 15/09 20060101ALN20130412BHJP JPA61K31/7105A61P35/00A61P37/04A61K39/00 ZA61K48/00A61P13/08C12N15/00 A 24 13 2010528313 20081008 OL 56 4B024 4C084 4C085 4C086 4B024AA01 4B024CA01 4B024CA11 4B024EA04 4C084AA13 4C084MA02 4C084NA14 4C084ZA811 4C084ZB091 4C084ZB261 4C085AA04 4C085BB23 4C085FF13 4C085FF14 4C085FF21 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA16 4C086MA03 4C086MA04 4C086MA05 4C086NA14 4C086ZA81 4C086ZB09 4C086ZB26発明の詳細な説明 〔技術分野〕 本発明は、哺乳動物の(適応)免疫応答を誘発することが可能な少なくとも2つの抗原(好ましくは異なる抗原)をコードする、少なくとも1つのRNA(好ましくはmRNA)を有する活性(免疫賦活)組成物に関し、上記抗原は、PSA(前立腺特異抗原)、PSMA(前立腺特異膜抗原)、PSCA(前立腺肝細胞抗原)およびSTEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)からなる群から選択される。また、本発明は、上記活性(免疫賦活)組成物を含むワクチン、(ワクチン調製を目的とする)上記活性(免疫賦活)組成物の使用、ならびに、前立腺癌(PCa)の治療、好ましくは新規の補助療法(neoadjuvant)、および/またはホルモン抵抗性前立腺癌、それに関連する疾病または疾患の治療のための、(適応)免疫応答を引き起こすワクチンの使用に関する。さらに、本発明はキットに関し、特に上記活性(免疫賦活)組成物および/または上記ワクチンを含む、複数のパーツからなるキットに関する。 〔背景技術〕 前立腺癌は、現在、世界の先進国における男性において、癌に関する診断数において2番目に多く、癌の死因としては4番目に多い。有効な治療措置の方法は弱体化させることであり、局部的な疾患にのみ利用されている。ホルモン抵抗性前立腺癌に関しては、実質的に1年以上の延命が認められる薬はない(例えばPavlenko,M.,A.K.Roosら, (2004).“Aphase I trial of DNA vaccination with a plasmid expressing prostate-specific antigen in patients with hormone-refractory prostate cancer.”Br J Cancer 91(4):688-94.参照)。現在、米国などのいくつかの欧米主要先進国においては、男性において、前立腺癌は最も多く診断される悪性腫瘍であり、男性における癌死因としては、米国(例えばJemal,A.,R.Siegelら, (2006). “Cancer statistics,2006.”CA Cancer J Clin 56(2):106-30.参照)および欧州(例えばThomas-Kaskel,A.K.,C.F.Wallerら,(2007). “Immunotherapy with dendritic cells for prostate cancer.”Int J Cancer 121(3):467-73参照)それぞれにおいて、3番目に多い。診断される腫瘍の多くは腺癌であり、ホルモン依存性の態様で初期に増殖する。 前立腺癌は、男性生殖器系における分泌腺である前立腺において癌が発現する疾病である。前立腺の細胞が突然変異して制御を失い、増殖を始めることから発症する。正常な細胞と比較して、前立腺癌細胞によって過剰に発現することが分かっている抗原として、特に代表的なものとしては、PSA、PSMA、PSCA、HER−2およびEp−CAMなどがある。これらの前立腺癌細胞は前立腺から体の別の部分へ、特に骨およびリンパ節に広がる(転移する)おそれがある。前立腺癌の症状としては、痛み、排尿困難および勃起不全などが挙げられる。一般的に、前立腺癌は、50歳以上の男性が最も多く発症する癌であり、患者数全体において最も大きな割合を占めている。しかしながら、前立腺癌は、特定が可能な場合であっても、発見されないことがほとんどである。前立腺癌は、健康診断、またはPSA(前立腺特異抗原)テストといったスクリーニング血液検査によって発見されることが多い。前立腺癌の疑いがある場合は、主に前立腺を一部採取し(生体組織検査)、顕微鏡において検査することによって、癌を確認する。さらに、前立腺癌が転移しているかどうか確かめるために、X線、および骨スキャンといったテストを行なうこともある。 前立腺癌の治療は、いまだに解決されていない課題である。従来の治療法、例えば、手術、放射線治療、ホルモン療法、不定期の化学療法、陽子線治療またはそれらを組み合わせた治療法が前立腺癌治療に適用されている。しかし、癌の転移状態、顕微鏡によって確認される状態、および初期治療に対する癌反応などと同様に、患者の年齢および根本的な健康状態が疾病の転帰を決定する上で重要である。前立腺癌は高齢男性に多く見られる疾病であるため、患者は進行が遅い前立腺癌が転移または症状を引き起こす前に、他の死因によって亡くなってしまうことが多い。このことが治療法の選択を難しくしている。治癒目的で局在化した前立腺癌(前立腺内に発生した腫瘍)を治療するか否かの判断は、患者の生存および生活の質という点において、期待できる有益な効果の代償として弊害を受け入れるかどうかである。 しかしながら、上述した手術、放射線治療、ホルモン療法および化学療法といった治療法にはすべて厳しい制約がある。例えば、前立腺の外科的な除去、すなわち前立腺摘除術は、早期前立腺癌または放射線治療による効果が得られなかった癌の一般的な治療である。この治療法は神経損傷を引き起こし、生活の質を一変させてしまうことがある。深刻な合併症として最も多いのは、排尿制御損失およびインポテンスである。しかし、たとえ前立腺癌を無事に摘出できるとしても、生体全体に癌が転移している場合には用いることができない。 放射線治療は、前立腺癌治療に一般的に使用される治療法である。この治療法は、早期癌摘出手術の代わりに用いられ得、また、末期前立腺癌において、痛みが生じる骨への転移を治療するために用いられ得る。放射線治療の単独使用では癌治療に効果がないような場合、放射線治療と、リスクが中程度である疾病を治療するために用いられるホルモン療法とを組み合わせることができる。しかし、放射線治療もまた高い危険性を伴うものであり、患者の免疫システムを破壊し、免疫防御を完全に損失させてしまうことも多い。さらに、放射線治療は、主として癌が成長する部位に局所的に用いられる。そのため、上述したように前立腺癌が生体全体に転移している場合には適用できない。放射線治療を全身に施した場合、細胞および免疫システムに深刻な損傷を引き起こしかねない。 化学療法は、ごく限られた患者にしか反応が現れなかったため、長い間、前立腺癌には効果的ではないと考えられてきた。しかし、転移性前立腺癌を患った患者(応答者)には、化学療法が効果を示すこともある。応答率は約20%であるため、化学療法は腫瘍再発時における治療、およびホルモン療法によって効果が得られなかった場合に用いられる。しかし、化学療法による効果はたいてい一時的なものであり、患者の前立腺癌を完全になくすことはできない。化学療法の薬として代表的なものは、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、アドリアマイシンおよびスラミンなど含むが、いずれの薬も患者を長期延命させることに成功していない。2004年発行ニューイングランドジャーナルオブメディシン(the New England Journal of Medicine)に記載された近年の研究によると、3週間ごとに治療薬ドセタキセルを投与した患者は、平均2.5ヶ月の延命することが実証されている。 ホルモン療法では、前立腺癌細胞がジヒドロテストステロン(DHT)を得られないように、薬剤を使用したり、手術と組み合わせて用いたりする。ジヒドロテストステロンは前立腺内において生産されるホルモンであり、ほとんどの前立腺癌が成長および転移する際に必要になる。DHTの獲得を妨げることによって、前立腺癌の成長を止められることが多く、縮小することさえある。しかし、初期段階においてホルモン療法に反応があった癌は1〜2年後には抵抗力をつけてしまうため、ホルモン療法によって癌が治ることはほとんどない。例えば、緩和的アンドロゲン欠乏療法(palliative androgen deprovation therapy)によって、癌を沈静化させることができる患者は80%に上るが、15〜20ヵ月後には、腫瘍細胞にホルモンが効かなくなり、アンドロゲン非依存性の前立腺癌が発現する。この状況では、化学療法による有効性も制限されていることから(上記参照)、治療法の選択肢は非常に少なくなる。それゆえ、ホルモン療法は通常、癌が前立腺から転移した場合に用いられる。また、放射線治療、または手術による治療を受けている患者に対して、癌が再発することを防止するために用いられることもある。 このため、前立腺癌患者、前立腺癌再発患者および末期前立腺癌患者のための、さらなる治療方法に対する必要性は高い。1つの方法として、前立腺全摘出手術、または外部照射法(遠隔照射法)および近接照射療法などの放射線療法を含む、上述した臓器局所的前立腺癌に使用される標準的な方法を、ある状況下において、新規の補助療法またはホルモン補助療法と組み合わせて用いてもよい(例えばTotterman,T.H.,A.Loskogら, (2005). “The immunotherapy of prostate and bladder cancer.”BJU Int 96(5):728-35.参照)。これらの治療法は短期間においては比較的有効であるが、一方、早期限局性疾患(initially localized disease)を患った患者では最終的に再発してしまう確率が非常に高い(30%〜40%)。転移性前立腺癌を治療するための主な治療法はアンドロゲンの除去である。アンドロゲンの除去は、通常、腫瘍を縮小し、苦痛を緩和させるが、14〜20ヶ月以内にホルモン抵抗性疾病へと進行する。アンドロゲン非依存性の末期前立腺癌のための化学療法分野においては、多くの臨床研究が報告されている。ごく最近では、2つの試験により、化学療法によってホルモン抵抗性疾病患者を延命するにあたり、わずかではあるが全面的な改善が見られたことが明らかになった。 上述した内容を要約すると、上述した手術、放射線治療、ホルモン療法、不定期の化学療法および陽子線療法などの標準的な治療法を単独で用いた場合、前立腺癌(PCa)を効果的に治療する方法としては好適でないと思われる。そのため、治療法を改善する1つの方法としては、これら標準的な治療法を補完することができる治療または補助治療を含み得る。このように、本明細書では、適応免疫システムを用いて、前立腺癌(PCa)の治療または補助治療を実現することを提案する。 本発明の技術分野において知られているように、免疫システムは様々な疾病の治療および予防において重要な役割を果たしている。現在までの研究によれば、哺乳動物によって多様な機構が提供されており、例えば腫瘍細胞を特定して死滅させることにより生体を保護している。本発明の目的のため、これらの腫瘍細胞を検出し、生体の正常な(健康な)細胞および正常な組織と区別する必要がある。 ヒトを含む脊髄動物が持つ免疫システムは、多くの種類のタンパク質、細胞、器官および組織から構成されており、これらは複雑および動的なネットワークにおいて相互に作用しあっている。この複雑な免疫応答の一環として、脊髄動物システムは、徐々に特定の病原体、または特定の腫瘍細胞をより効率的に認識するようになる。この適応過程では免疫記憶が形成され、その後それらに接触した場合に、より効果的に防御することができる。この適応免疫、すなわち後天免疫がワクチン接種法の基礎をなしている。 適応免疫システムは抗原特異的であり、抗原提示と呼ばれるプロセスの間に、自己抗原または非自己抗原を認識する必要がある。抗原特異性によって、特定の病原体、特定の病原体に感染した細胞または特定の腫瘍細胞に応じた反応が可能になる。これらの調整された反応を組み込む能力は、いわゆる「記憶細胞(メモリー細胞)」によって体内に維持されている。身体が1つの病原体に1回以上感染すると、これら特定の記憶細胞が使用され、すばやく病原体を除去する。このように適応免疫システムは、それぞれの病原体または腫瘍細胞が、1つ以上の抗原提示によって「記憶」される免疫記憶だけでなく、より強い免疫応答を可能にする。 脊髄動物における適応免疫システムを構成する主な成分は、細胞レベルにおいてはリンパ球、分子レベルにおいては抗原を多く含む。適応免疫システムにおける細胞成分であるリンパ球には、骨髄にある造血管細胞に由来するB細胞およびT細胞がある。B細胞は体液性応答に関与し、T細胞は細胞性免疫応答に関与している。B細胞およびT細胞はどちらも特定の標的を認識する受容体分子を持っている。T細胞は、抗原(例えば病原体の小断片)が処理され、主要組織適合複合体(MHC)分子と呼ばれる「自己」受容体との組み合わせにおいて発現した後に限り、「非自己」標的(病原体標的構造など)を認識する。これに対し、B細胞抗原特異的受容体は、B細胞表面における抗体分子であり、該表面における抗体が特定の外来抗原と結合したときに、病原体を認識する。この抗原/抗体複合体はB細胞によって取り込まれ、タンパク質分解処理されてペプチドとなる。その後、B細胞は、B細胞表面のMHCクラスII分子上にこれらの抗原ペプチドを提示する。このMHCと抗原との組み合わせが適合ヘルパーT細胞を引き付ける。適合ヘルパーT細胞はリンフォカインを放出し、B細胞を活性化させる。その後、活性化されたB細胞が分裂し始めると、分裂した細胞が該抗原を認識する抗体の複写を何百万も分泌する。これらの抗体は血漿およびリンパ液を循環しており、抗原を発現する病原体または腫瘍細胞に結合し、補体活性により破壊したり、食細胞による取り込みおよび破壊したりするために、病原体または腫瘍細胞をマーキングする。適応免疫システムの細胞成分である細胞障害性T細胞(CD8陽性)も、CTL応答を形成し得る。細胞障害性T細胞(CD8陽性)は、内因性病原体、およびMHCタイプI分子と結合した自己抗原から、ペプチドを認識することができる。CD8陽性T細胞は、細胞内において細胞障害性タンパク質を放出することによって、その殺傷機能を働かせる。 このように免疫システムの機構は、様々な疾病の治療のための標的を形成し得る。主として、免疫促進剤(adjuvant)を投与して先天性免疫応答を引き起こす方法、または抗原もしくは免疫原を投与して適応免疫応答を引き起こす方法のいずれかに基づく方法が好ましい。通常、抗原は病原体(例えば表面タンパク質)またはその断片の特定の成分を基にしているため、患者への核酸投与した後、所望のポリペプチド、タンパク質または抗原を発現させることも考えられる。 一例として、周知の前立腺関連抗原に基づくワクチン接種の研究が、Noguchiら(2003)および(2004)に記載されている(例えば、Noguchi,M.,K.Itohら, (2004). “Phase I trial of patient-oriented vaccination in HLA-A2-positive patientswith metastatic hormone-refractory prostate cancer.”Cancer Sci 95(1):77-84;andNoguchi,M.,K.Kobayashiら, (2003). “Induction of cellular and humoral immune responses to tumor cells and peptides in HLA-A24 positive hormone-refractory prostate cancer patients by peptide vaccination.”Prostate 57(1):80-92.Noguchiら2003 and Noguchiら 2004参照)。Noguchiら(2003)および(2004)では、フェーズIの2つの研究が記載されている。それらの研究では、転移性ホルモン抵抗性前立腺癌患者にワクチンを投与するマルチペプチド臨床試験が行なわれており、選択された標的に対する細胞免疫応答およびホルモン免疫応答が増加したことが示されている。ワクチン接種法は安全であり、毒性が低く良好な耐性を示した。しかし、前立腺特異抗原(PSA)レベルが固定されたり、減少したりすることも確認され、骨への転移が消失した患者は1人だけであった。臨床応用を困難にしているこの方法の主な制約は、前立腺癌細胞によるペプチド発現のみならず、患者のHLAハプロタイプについても事前に知っていなければならないことである。 最近では別のいくつかの方法が用いられており、細胞をベースとしたワクチン接種法がある。例えば、ワクチン接種法における異なる抗原の使用、または異なる抗原もしくはその断片を取り入れた樹状細胞の使用がある。一例によれば、組換えヒトPSAによりパルスした自己樹状細胞を用いた前立腺癌患者のワクチン接種が試験されている(例えばBarrou,B.,G.Benoitら, (2004). “Vaccination of prostatectomized prostate cancer patients in biochemical relapse,with autologous dendritic cells pulsed with recombinant human PSA.”Cancer Immunol Immunother 53(5):453-60参照)。末期の前立腺癌患者に対して、PSCAペプチド荷重樹枝細胞およびPSAペプチド荷重樹状細胞を用いたワクチン接種をしている間、患者の5〜10人が、少なくとも1つの抗原に対して免疫応答を示した(例えばThomas-Kaskel,A.K.,R.Zeiserら, (2006). “Vaccination of advancedprostate cancer patients with PSCA and PSA peptide-loaded dendritic cells induces DTH responses that correlate with superior overall survival.”Int J Cancer 119(10):2428-34.参照)。 また、別の例として、Murphyら(1996)では、ワクチン接種をペプチド単独もしくはパルスした樹状細胞と共に用いる場合と比較するために、2つのHLA−A*0201PSMAエピトープを使用して、対応するフェーズI試験において前立腺癌患者のワクチン接種を実施した。その結果、パルスした樹状細胞と共にワクチン接種した患者の場合、より多くの患者が接種したワクチンに対して反応を示した。この研究により、ペプチドまたはタンパク質をのせた樹状細胞と共にワクチン接種することにより、一時的なPSC減少またはPSC安定だけでなく、少なくとも部分的には検出可能な免疫応答が得られることが示された(例えばMurphy,G.,B.Tjoaら, (1996). “Phase I clinical trial: T-cell therapy for prostate cancer using autologous dendritic cells pulsed with HLA-A0201-specific peptides from prostate-specific membrane antigen.”Prostate 29(6):371-80参照)。 また、前立腺癌患者へのワクチン接種は、樹状細胞にのせるペプチドの組み合わせ(例えば、ペプチドカクテル荷重樹状細胞)により実施され得る(例えばFuessel,S.,A.Meyeら, (2006). “Vaccination of hormone-refractory prostate cancer patients with peptide cocktail-loaded dendritic cells: results of a phase I clinical trial.”Prostate 66(8):811-21参照)。カクテルは、PSA、PSMA、スルビビン、プロステイン、およびTrp−p8(一過性受容器電位p8)由来のペプチドを含む。また、ホルモン抵抗性前立腺癌の樹状細胞に基づくマルチエピトープ免疫療法により、臨床試験が実施された(例えばWaeckerle-Men,Y.,E.Uetz-von Allmenら, (2006). “Dendritic cell-basedmulti-epitope immunotherapy of hormone-refractory prostate carcinoma.”Cancer Immunol Immunother 55(12):1524-33参照)。Waeckerle-Men,Y.,E.Uetz-von Allmenら(2006)においては、PSCA、PAP(前立腺酸性フォスファターゼ)、PSMAおよびPSA由来のペプチドを使用して、ホルモン抵抗性前立腺癌に対するワクチン接種が試験された。 例えば、抗原性タンパク質または抗原性ペプチドを樹状細胞にのせている場合、抗原性タンパク質または抗原性ペプチドをワクチン接種に使用することは、免疫応答を引き起こすためになされる一般的な方法である。一方、免疫付与またはワクチン接種は、所望する遺伝情報を細胞に組み込むための核酸の使用に基づき得る。一般に、核酸を細胞に導入するために様々な方法が開発されている。例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリプレントランスフェクション、原形質融合、電気せん孔法(エレクトロポレーション)、マイクロインジェクションおよびリポフェクションなどである。特に、リポフェクションが好適であることが証明されている。 一例によると、前立腺癌のワクチン接種治療は、自己腫瘍由来のmRNAすべてを樹状細胞に導入することに基づき得る(例えばHeiserら(2002)(Heiser,A.,D.Coleman,et al.(2002). “Autologous dendritic cells transfected with prostate-specific antigen RNA stimulate CTL responses against metastatic prostate tumors.”J Clin Invest 109(3):409-17.参照)。この方法は、HLA分類(タイピング)を事前に行わずに、マルチHLAクラスIおよびマルチHLAクラスII患者に特異的な腫瘍関連抗原(TAAs)を標的にできるという利点を有している。さらに、この方法によれば、mRNAは腫瘍細胞株からではなく、外科的試料から採取されるため、ストローマ抗原さえ標的にできる。一例として、Heiserらが、PSAをコードするmRNAを樹状細胞(DC)に導入した、DCベース免疫療法プロトコルを開発している。このワクチン接種は良好な耐性を示し、PSAに対するT細胞応答を増加させた。しかしながら、この樹状細胞をベースにした抗前立腺癌ワクチンは、臨床反応を伴う強いT細胞応答を発生させると思われるが、その臨床反応の頻度はいまだに不十分のままである。 所望の遺伝情報を細胞に組み込むため、DNAもワクチン治療法における核酸として使用し得る。ある一例によれば、DNAウイルスをDNA媒体(DNA vehicle)として使用してもよい。このようなウイルスは、その感染能によって、非常に高いトランスフェクション率を実現できる。使用されるウイルスは、導入された細胞において機能性感染粒子が一切形成されないように遺伝子操作されたウイルスである。例えば、Ederら(2000)の研究において、PSAを発現する組換えワクシニアウイルスを使用してフェーズIの臨床試験が行われている。その著者らはPSAに対するT細胞免疫応答、および選択された患者における血清PSAの安定化を実証した(例えば、Eder,J.P.,P.W.Kantoffら, (2000). “A phase I trial of a recombinant vaccinia virus expressing prostate-specific antigen in advanced prostate cancer.”Clin Cancer Res 6(5):1632-8.参照)。組換えウイルスからの高免疫原性ペプチドによって誘発される炎症反応によって、外来タンパク質の免疫原性を高めることができるが、免疫システムが組換えウイルスの複製を減少させ、それによって臨床転帰(clinical outcome)を制限してしまうことも分かっている。しかしながら、たとえ組換えワクチンが免疫原性を示し、腫瘍反応が複数の試験において確認されたとしても、これらの結果は実証される必要がある。 さらなる方法によれば、ホルモン抵抗性前立腺癌患者へのワクチン摂取が、PSAを発現するDNAプラスミドを使用して行なわれている(例えばPavlenko,M.,A.K.Roosら, (2004). “A phase I trial of DNA vaccination with a plasmid expressing prostate-specific antigen in patients with hormone-refractory prostate cancer.”Br J Cancer91(4):688-94参照)。Garcia−Hernandezら(2007)には、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードする、プラスミドまたはウイルス様レプリコンを使用した治療的および予防的ワクチン摂取によって、腫瘍試験マウスを延命することに成功したことが示されている(例えばGarcia-Hernandez Mde,L.,A.Gray,et al.(2007). “In vivo effects of vaccination with six-transmembrane epithelial antigen of the prostate: a candidate antigen for treating prostate cancer.”Cancer Res 67(3):1344-51参照)。最近では、STEAPは、ヒト前立腺癌において顕著に過剰に発現する末期ヒト前立腺癌用指標タンパク質として識別されている。その機能はいまだに解明されていない。 DNAを、遺伝情報キャリアとして使用することができるが、その一方で、例えば潜在的組換え現象によって、導入された遺伝子またはウイルス遺伝子が制御不能な増殖を起こすというリスクを無視できない。また、このことは、この遺伝子が突然変異し得、完全にもしくは部分的に不活性化されるという結果になるか、または遺伝子が語情報を引き起こし得るという結果になるため、例えば、組換えによるホスト細胞ゲノムの無傷の遺伝子にDNAを組み込むリスクを伴う。DNAが、細胞増殖の調節に関与する遺伝子に組み込まれた場合、ある特別なリスクを伴う。この場合、ホスト細胞が変質して、癌または腫瘍を形成してしまう可能性がある。さらに、細胞に導入されたDNAを発現する場合、対応するDNA媒体は、キャリアサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターなど、強力なプロモーターを含んでいることが必要である。このようなプロモーターを処理した細胞のゲノムに組み込むことは、細胞内における遺伝子発現調節において、望ましくない変質をもたらすことがある。免疫応答を引き起こす物質(例えばワクチン)としてDNAを使用することは、さらに、外来DNAが導入されている患者において、病原性抗DNA抗体を誘導し、それによって(致死的な場合もある)免疫応答を引き起こすという、別の危険性も伴う。 上述した方法の結果を要約すると、いまだに死亡率が高く、さらなる新しい治療法、または治療法を改善することが非常に必要とされてはいるが、前立腺癌(PCa)治療にいくらかの改善がなされていることに疑いはない。 このように、全体としてみれば、DNAに基づく組成物によって導入される遺伝子が制御不能に増殖してしまう問題を避けながら、免疫システムを効果的に刺激して前立腺癌(PCa)治療を可能にする、効果的なシステムに対しては考慮する余地があり、また、そのようなシステムが必要とされている。 それゆえ、本発明の目的は組成物を提供することであって、(a)免疫システムを促進することにより前立腺癌(PCa)治療を可能にすると共に、(b)上述した問題を回避する組成物を提供することにある。 本発明の目的は本発明の特徴によって達成される。本発明の目的は特に、活性(免疫賦活)組成物であり、少なくとも1つのRNAを含み、上記少なくとも1つのRNAは、以下の抗原:・PSA(前立腺特異抗原)=KLK3(カリクレイン−3)・PSMA(前立腺特異膜抗原)・PSCA(前立腺幹細胞抗原)・STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)からなる群から選択される少なくとも2つ、3つまたは4つの抗原(好ましくは異なる抗原)をコードしている、という本発明の特徴によって達成される。 驚くべきことに、本発明の活性(免疫賦活)組成物に含まれる、上記群に含まれる少なくとも2つ、好ましくは2つ、3つもしくは4つの抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの特定の組み合わせが(適応)免疫システムを効率的に促進し、前立腺癌(PCa)治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれらに関連する疾病または疾患の治療を可能にすることがわかった。本明細書において、抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドという用語は、同意語として使用され得る。さらに、本明細書において、本発明の活性(免疫賦活)組成物は免疫応答を促進できる組成物として解釈され、好ましくは活性(免疫賦活)組成物の構成物質に含まれる、またはコードされる構成物質の1つによって(好ましくは少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードするRNA(好ましくはmRNA)に含まれる、またはコードされる構成物質の1つによって)、免疫応答(好ましくは本明細書において定義される適応免疫応答)を促進することができる組成物として解釈される。 PSA、PSMA、およびPSCAなどの抗原は、正常な細胞と比べると、前立腺癌細胞によって過剰発現することが分かっている。それゆえ、これらの抗原は、免疫療法における標的となり得る(例えばMarrari,A.,M.Iero,et al.(2007). “Vaccination therapy in prostate cancer.”Cancer Immunol Immunother 56(4):429-45.参照)。 上記活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAはPSAであってもよい。本発明において、「PSA」とは「前立腺特異抗原」を指し、本明細書において名づけられたKLK3(カリクレイン3)と同意語とみなしてよい。前立腺特異抗原(PSA)は33kDaタンパク質であり、良性および悪性、前立腺組織すべてのタイプの上皮細胞によって排他的に生産される、アンドロゲン調節カリクレイン様(androgen-regulated kallikrein-like)セリンプロテアーゼである。特に、PSAは、正常な前立腺上皮細胞によって多く発現され、前立腺癌において、最も特徴的な腫瘍関連抗原のうちの1つである。生理学的に、PSAは精液に高濃度な状態にて存在し、精液を凝固させる高分子重タンパク質を、より小さなポリペプチドに分割する役割を果たしている。この作用によって、精液の凝固が液化される。PSAはまた、血清にも存在し、単クローン免疫放射定量測定法、またはポリクローナル放射免疫測定法によって、確実に測定することができる。現在、PSAは、前立腺癌に対するスクリーニング、診断および観察に最も広く使用されている腫瘍マーカーである。特に、血清PSAを検出するためのいくつかの免疫学的測定は、臨床用途において幅広く使用されている。最近では、血清におけるPSAmRNAのための逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)検査が開発されている。しかしながら、PSAの上昇レベルは、BPH患者および前立腺炎患者において、多くの割合(25%−86%)にて検出され(Gaoら、1997,Prostate 31:264-281)、また、他の非悪性疾患、および正常な男性においても検出されることがあるという、このマーカーの特異的診断を非常に制限する要素があることから、PSAは疾病特異的マーカーとは見なされていない。本発明において、本発明の活性(免疫賦活)組成物に使用する場合、PSA(前立腺特異抗原)をコードする、上記少なくとも1つのRNA、好ましくはmRNAの配列は、アクセッション番号NM_001648にて寄託されている配列を含んでいることが好ましく、図1(配列番号1)に示される配列を含んでいることがさらに好ましく、上記少なくとも1つのRNAがPSA(前立腺特異抗原)をコードしている場合、図2または図3(配列番号2または3)のいずれかに示されるコード配列を含んでいることがさらに好ましい。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、代替的または付加的に、アクセッション番号NM_001648にて寄託されているPSA配列、あるいは図1〜図3(配列番号1、2、または3)のいずれかに示されるPSA配列の、断片、変異体またはエピトープから選択される、PSA抗原配列をコードしていてもよい。 上記活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAは、PSMAであってもよい。本発明において、「PSMA」とは「前立腺特異膜抗原」であり、FOLH1(葉酸ヒドロラーゼ1)または「PSM」と同意語とみなすことができる。PSMAは100kDaIのI型膜貫通糖タンパク質である。PSMA発現は、主として前立腺組織に制限されているが、PSMAmRNAの検出可能レベルは、脳腫瘍、唾液腺癌、小腸癌および腎臓細胞癌において観察されている(例えばIsraeliら,1993,Cancer Res 53:227-230参照)。PSMAは、ほとんどの原発性および転移性前立腺癌において多く発現するが、ほとんどの正常な上皮内新生物検体においても多く発現する(Gaoら、(1997),supra)。特に、PSMAは前立腺癌細胞および非前立腺固形腫瘍新生血管系(nonprostatic solid tumorneovasculature)において非常に多く発現し、抗癌造影剤および抗癌治療剤のための標的となる。PSMAは、小分子基質上において、グルタミン酸カルボキシペプチターゼ(GCPII)として作用し、葉酸、制癌剤メトトレキサートおよび神経ペプチド−N−アセチル−L−アスパチル−L−グルタミン酸塩を含んでいる。前立腺癌において、PSMA発現は、疾病の進行と関連があり、ホルモン抵抗性および転移性疾病において最も高い発現レベルを示すことが分かっている。PSMA細胞は、細胞質および/または膜質に局在している。PSMAは、前立腺癌(PCa)用のバイオマーカーとして考えられており、造影標的および治療標的として使用するために、盛んに研究がなされている。本発明において、本発明の活性(免疫賦活)組成物に使用される場合、PSMA(前立腺特異膜抗原)をコードする、上記少なくとも1つのRNA(好ましくはmRNA)は、アクセッション番号NM_004476にて寄託されている配列を含んでいることが好ましく、図4(配列番号4)に示される配列を含んでいることがさらに好ましく、上記少なくとも1つのRNAは、PSMA(前立腺特異抗原)をコードする場合、図5または図6(配列番号5または6)いずれかに示されるコード配列を含んでいることがさらに好ましい。さらに好ましい実施形態によると、上記活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAは、上述に代えて、または上述に加えて、アクセッション番号NM_004476にて寄託されているPSMA配列、あるいは図5または図6(配列番号5または6)のいずれかに示されるPSMA配列の、断片、変異体またはエピトープから選択されるPSMA抗原配列をコードしていてもよい。 活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、PSCAであってもよい。本発明において、「PSCA」とは、「前立腺肝細胞抗原」である。PSCAは、高度前立腺上皮内新生組織形成(PIN)、およびアンドロゲン依存性前立腺腫瘍およびアンドロゲン非依存性前立腺腫瘍などを含む、前立腺癌におけるすべての段階(ステージ)に渡って、広く過剰発現する。PSCA遺伝子は、グリコシルフォスファチジルイノシトール(GPI)アンカー細胞表面抗原のThy−I/Ly−6族のメンバーである肝細胞抗原−2に対して30%の相同性を示し、アミノ末端シグナル配列、カルボキシ末端GPIアンカー配列および多重Nグリコシレーション部位とともに、123個のアミノ酸タンパク質をコードする。PSCAmRNA発現は、アンドロゲン依存性前立腺癌異種移植片およびアンドロゲン非依存性前立腺癌異種移植片のどちらにおいても、非常に促進される。in−situのmRNA分析により、PSCA発現が、前立腺の推定幹細胞区画である、基底細胞上皮に特定されている。フローサイトメトリー分析によって、PSCAは主に細胞表面において発現し、GPI結合によってアンカーされていることが分かっている。蛍光in−situハイブリダイゼーション分析によって、PSCA遺伝子は、80%を超える前立腺癌において、対立遺伝子(allelic gain)の領域である、染色体8q24.2に特定されている。PSCAは、悪性前立腺癌、正常な前立腺および非悪性新生組織形成とを識別する、前立腺癌マーカーとして使用され得る。例えば、PSCAは、良性前立腺過形成(BPH)に関連する前立腺癌において、非常に高いレベルにて発現する。本発明において、本発明の活性(免疫賦活)組成物に使用される場合、PSCA(前立腺肝細胞抗原)をコードする少なくとも1つのRNA(好ましくはmRNA)は、アクセッション番号NM_005672にて寄託されている配列を含んでいることが好ましく、図7(配列番号7)に示される配列を含んでいることがさらに好ましい。少なくとも1つのRNAがPSCA(前立腺肝細胞抗原)をコードする場合、図8または図9(配列番号8または9)のいずれかに示されるコード配列を含んでいることがさらに好ましい。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、代替的にまたは付加的にアクセッション番号NM_005672にて寄託されているPSCA配列、あるいは図8または図9(配列番号8または9)のいずれかに示されるPSCA配列の、断片、変異体またはエピトープのいずれかから選択されるPSCA抗原配列をコードしていてもよい。 活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、STEAPであってもよい。本発明において、「STEAP」とは、前立腺6膜貫通上皮抗原であり、STEAP1と同意語として用いられ得る。STEAP、すなわちSTEAP1は、新規の細胞表面タンパク質であり、主にヒト前立腺組織において発現し、また、前立腺癌、膀胱癌、大腸癌、卵巣癌およびユーイング肉腫においても多く発現し、ほぼ万能な腫瘍抗原として機能し得ると考えられている。特に、STEAPは原発性前立腺癌において多く発現し、正常な組織においては発現が制限される。骨髄標本におけるSTEAP陽性は、カプランメイヤー解析(p=0.001)における新転移における生存率と非常に関連がある。本発明において、本発明の活性(免疫賦活)組成物に使用される場合、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードする少なくとも1つのRNA(好ましくはmRNA)は、アクセッション番号NM_012449にて寄託されている配列を含んでいることが好ましく、図10(配列番号10)に示される配列を含んでいることがさらに好ましく、少なくとも1つのRNAがSTEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードする場合、図11または図12(配列番号11または12)に示されるコード配列を含んでいることがさらに好ましい。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、代替的にまたは付加的に、アクセッション番号NM_012449にて寄託されているSTEAP配列、または図11または図12(配列番号11または12)のいずれかに示されるSTEAP配列の、断片、変異体またはエピトープのいずれかから選択されるSTEAP抗原配列をコードしていてもよい。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされ得る、上述した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドは、これらの配列の断片、または変異体を含んでいてもよい。このような断片または変異体は、主として、上述した抗原、抗原タンパク質、抗原ペプチド、配列またはそれらがコードする核酸配列のうちいずれか1つに対して、核酸レベルまたはアミノ酸レベルにおいて、野生型配列全体において少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%の配列相同性を持つ配列を含んでいてもよく、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%または97%の配列相同性を持つ配列を含んでいてもよい。 本発明において、抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの「断片」は、上述した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの配列を含んでいてもよく、該配列は、そのアミノ酸配列(すなわちこれをコードしている核酸配列)に関して、元の(天然)タンパク質のアミノ酸配列(すなわちこれをコードしている核酸配列)と比べて、N末端側、C末端側および/または配列内部が短縮されていてもよい。このような短縮は、アミノ酸レベル、または同様に核酸レベルにおいても、どちらでも起こり得る。それゆえ、上述したこのような断片に対する配列相同性とは、上述した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチド全体、あるいはこのような抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの(コーディング)核酸配列全体を指すことが好ましい。 本発明において、抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの断片は、約6〜20個、またはそれ以上の長さのアミノ酸を有する、上述した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの配列をさらに含んでいてもよい。例えば、MHCクラスI分子によって処理され、提示される、例えば8、9もしくは10個のアミノ酸(6、7、11または12個のアミノ酸であってもよい)を有し、好ましくは約8〜10個のアミノ酸を有する断片、または、MHCクラスII分子によって処理、および提示される例えば13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上の長さのアミノ酸を有し、好ましくは13個またはそれ以上の長さのアミノ酸を有する断片である。これらの断片は、アミノ酸配列のいかなる部分から選択されてもよい。これらの断片は、通常、ペプチド断片およびMHC分子により構成される複合体の形においてT細胞によって認識される。つまり、これらの断片は、概してその野生型においては認識されない。 本明細書において定義される抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの断片は、これらの抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのエピトープを含み得る。本発明において、エピトープ(「抗原決定基」ともよばれる)は、概して、ここで定義される、(野生型の)抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの外表面に位置する断片であり、好ましくは5〜15個のアミノ酸、より好ましくは5〜12個のアミノ酸、さらに好ましくは6〜9個のアミノ酸を有しており、それらの天然型において抗体またはB細胞受容体に認識される。上記抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのエピトープは、さらに、本明細書に記載の該抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの変異体のいずれかから選択され得る。本明細書において、抗原決定基は、本明細書において定義される抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの断片からなる立体構造エピトープまたは不連続エピトープであり得る。それら断片は、本明細書において定義される抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのアミノ酸配列では非連続性であるが、三次元構造、または単一ポリペプチド鎖からなる連続的なエピトープもしくは直線的なエピトープでは結びつけられる。 定義した上記抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの「変異体」は、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされていてもよい。ここで、定義した上記抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドをコードする少なくとも1つの(m)RNAの核酸は置換されていてもよい。これにより、1つ以上の変異体(例えば、1つ以上の置換、挿入および/または欠失されたアミノ酸)中に元の配列とは異なるアミノ酸配列を有する抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドを生成し得る。これらの断片および/または変異体は、全長野生型の抗原または抗原タンパクと比較して、同じ生物学的機能または比活性度(例えば、抗原または抗原タンパクの抗原特異性)を有することが好ましい。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、定義した上記抗原または抗原タンパク質をコードしていてもよい。ここで、コードされたアミノ酸配列は、該RNAの生理学的配列と比べて、アミノ酸同類置換を含む。特に、これらのコードされたアミノ酸配列および該アミノ酸配列をコードする核酸配列は、上述で定義した用語「変異体」に該当する。同じクラスから派生したアミノ酸同士がそれぞれ交換される置換は、同類置換と呼ばれる。特に、同類置換されたアミノ酸は、脂肪族側鎖、正もしくは負に帯電した側鎖、側鎖もしくはアミノ酸内の芳香族基、または水素結合が可能な側鎖(例えば水酸基を有する側鎖)を有する。これは、例えば次のことを意味する。すなわち、極性側鎖を有するアミノ酸が、同様な極性側鎖を持つ別のアミノ酸と入れ替わること、または、疎水性側鎖によって特徴づけられるアミノ酸が、同様な疎水性側鎖によって特徴づけられる別のアミノ酸によって置換されること(例えば、セリンがトレオニン(トレオニンがセリン)に置換されるか、またはロイシンがイソロイシン(イソロイシンがロイシン)に置換される)を意味する。挿入および置換は、とりわけ、三次元構造に変更をもたらさない、または結合領域に影響しない配列位置において可能である。挿入または欠失による三次元構造の修飾は、例えばCDスペクトル(円二色性スペクトル)を用いることによって、容易に決定できる(Urry,1985,Absorption,Circular Dichroism and ORD of Polypeptides,in:Modern Physical Methods in Biochemistry,Neubergerら(ed.),Elsevier,Amsterdam)。 さらに、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされ得る、上述に定義した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの変異体は以下の配列を含んでいてもよい。すなわち、少なくとも1つの(m)RNAの核酸が、抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドそれぞれのアミノ酸配列に転換をもたらさずに、遺伝子コードの縮重に応じて交換されている配列、言い換えれば、アミノ酸配列または少なくともその一部が、上述した解釈の範囲内で、1つまたはそれ以上の変異において元の配列から変化していない配列を含んでいてもよい。 2つの配列(例えば、本明細書に定義するRNA配列もしくはmRNA配列、またはアミノ酸配列などの核酸配列であり、好ましくはそれらをコードした、例えば上記定義した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのアミノ酸配列などのアミノ酸配列)における一致の割合を決定するべく、これらの配列が続けて互いに比較されるように、順番に配列することができる。それゆえ、例えば、第1の配列にギャップを挿入し、第2の配列の、対応する位置における構成要素を比べることができる。例えば、第1配列内のある位置において、第2配列内のある位置における構成要素と同一の構成要素によって占められている場合、2つの配列はこの位置において同一である。2つの配列が同一である割合は、同一である位置の数を、位置の総数によって割る関数によって求められる。2つの配列が同一である割合は数学アルゴリズムを利用して求めることができる。利用できる数学アルゴリズムの好ましい例として、Karlinら、(1993)(PNAS USA,90:5873-5877)、またはAltschulら(1997)(Nucleic Acids Res.,25:3389-3402)に記載されているアルゴリズムが挙げられるが、特に限定はされない。このようなアルゴリズムは、BLASTプログラムに組み込まれている。本発明の配列とある程度同一である配列は、このプログラムによって識別することができる。 本発明によれば、上記群のうち少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原の特定の組み合わせによって(適応)免疫システムを効率よく促進し、前立腺癌(PCa)を治療できる。それゆえ、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物は、上記定義したように、上記群の抗原のいずれかから選択される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含んでいる。しかしながら、本発明は、上記群の抗原のいずれかから選択される3つまたは4つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAをさらに含んでいてもよく、これらの抗原のいかなる組み合わせも可能であり、本発明の範疇に含まれる。 より好ましくは、本発明は、上記群の抗原のいずれかから選択される、少なくとも3つまたは4つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含んでおり、これら抗原のいかなる組み合わせも可能である活性(免疫賦活)組成物を提供し得る。 したがって、特に好ましい別の実施形態によると、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、以下に示す抗原の組み合わせ:・PSAおよびPSMA・PSAおよびPSCA・PSAおよびSTEAP・PSMAおよびPSCA・PSMAおよびSTEAP・PSCAおよびSTEAPまたは、・PSA、PSMAおよびPSCA・PSA、PSMAおよびSTEAP・PSMA、PSCAおよびSTEAP・PSA、PSCAおよびSTEAPまたは、・PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPのうち(少なくとも)いずれか1つを含んでいる上記群の抗原のいずれかから選択される、少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードしていてもよい。 さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも2つ、3つまたは4つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含む活性(免疫賦活)組成物を提供する。(a)ここで、少なくとも1つの抗原は、・STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)から選択され;(b)残りの抗原は、以下の抗原もしくはこれらの特定の組み合わせ:・PSA(前立腺特異抗原)、・PSMA(前立腺特異膜抗原)、もしくは、・PSCA(前立腺幹細胞抗原);または、・PSAおよびPSMA、・PSAおよびPSCA、もしくは、・PSMAおよびPSCA;または、・PSA、PSMAおよびPSCA;のうちの少なくとも1つから選択される。 さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPから選択される4つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含む、活性(免疫賦活)組成物を提供する。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、概して、任意のRNAであり、特に限定されないが、好ましくはコードRNA、環状RNAもしくは直線状RNA、1本鎖RNAもしくは2本鎖RNA(2本の1本鎖RNAが非共有結合しているため、1つのRNAとみなされることもある)、または少なくとも部分的に自己相補的な、部分的2本鎖RNAまたは部分的1本鎖RNAである。なお、部分的1本鎖RNA分子または部分的2本鎖RNA分子はいずれも、主として、一方が長く、他方が短い1本鎖RNA分子によって形成されるか、または長さがほぼ等しい2つの1本鎖RNA分子によって形成される。ここで、1つの1本鎖RNA分子が、もう1つの1本鎖RNA分子と部分的に相互補完的であるため、その領域において2本鎖RNA(すなわち、RNA配列全体に対して部分的に2本鎖、または部分的に1本鎖であるRNA)を形成している。より好ましくは、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは1本鎖RNAであり、さらに好ましくは直線状RNAであり、最も好ましくはメッセンジャーRNA(mRNA)である。ここで、メッセンジャーRNA(mRNA)とは、主として、(少なくとも)いくつかの構造要素からなるRNAである。構造要素としては、例えば、任意的な5’−UTR領域、コード領域の上流に位置するリボソーム結合部位、ポリ−A尾部(および/またはポリ−C尾部)の上流にある任意的な3’−UTR領域などである。 特に好ましい実施形態によると、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原はそれぞれ、1つの(モノシストロン性)RNA、好ましくは1つの(モノシストロン性)mRNAにコードされていてもよい。言い換えれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、少なくとも2つの(モノシストロン性)RNA、好ましくはmRNAを含み、これら2つの(モノシストロン性)RNA、好ましくはmRNAは、それぞれ上記群またはサブ群のいずれか1つより選択される、好ましくは上記組み合わせのいずれか1つから選択される、単一の(好ましくは異なる)抗原をコードしていてもよい。 別の特に好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、(少なくとも)1つのビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNA、好ましくはmRNA(すなわち、少なくとも2つの(好ましくは異なる)の抗原のコード配列を2つまたはそれ以上有している(少なくとも)1つのRNA)を含み得、上記群またはサブ群のいずれか1つ、好ましくは上記組み合わせのいずれか1つから選択される。(少なくとも)1つのビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAのうち少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原のコード配列は、後述するように、少なくとも1つのIRES(内部リボソーム侵入部位)配列によって分離されていてもよい。ここで、用語「少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする」とは、特に限定されないが、(少なくとも)1つの(ビシストロン性またはマルチシストロン性)RNA、好ましくはmRNAが、例えば、抗原(または上記定義の範囲内におけるそれらの断片もしくは変異体)の群の少なくとも2つ、3つまたは4つの(好ましくは異なる)抗原をコードしていることを意味してもよい。より好ましくは、特に限定はされないが、(少なくとも)1つの(ビシストロン性またはマルチシストロン性)RNA(好ましくはmRNA)は、例えば、上記抗原(または上記定義の範囲内におけるこれらの断片もしくは変異体)のサブ群の少なくとも2つ、3つまたは4つの(好ましくは異なる)抗原をコードしていてもよい。ここで、上記定義したいわゆるIRES(内部リボソーム侵入部位)配列は単一リボソーム結合部位として機能するが、リボソームによって独立して互いに翻訳されるいくつかのタンパク質をコードする、上記定義した1つのバイシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAを提供する機能を果たすことができる。本発明において使用可能なIRES配列は、例えば、ピコナウイルス(例えばFMDV)、ペスチウイルス(CFFV)、ポリオウイルス(PV)、脳心筋炎ウイルス(ECMV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、古典型豚コレラウイルス(CSFV)、マウス白血病ウイルス(MLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)またはコオロギ麻痺病様ウイルス(CrPV)由来の配列である。 さらに、特に好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、上記定義した少なくとも1つのモノシストロン性RNA(好ましくはmRNA)と、上記定義した少なくとも1つのビシストロン性またはマルチシストロン性RNA、好ましくはmRNAとの混合物を含んでいてもよい。少なくとも1つのモノシストロン性RNAおよび/または少なくとも1つのビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAは、異なる抗原(または上記定義におけるそれらの断片もしくは変異体)をコードしていることが好ましく、抗原は上記抗原の群またはサブ群のいずれか1つから選択されることが好ましく、上記組み合わせのいずれか1つから選択されることがさらに好ましい。しかしながら、本発明の活性(免疫賦活)組成物が、全体として、上記定義した少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原を提供する場合、少なくとも1つのモノシストロン性RNAおよび少なくとも1つのビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAは、上記抗原の群またはサブ群のいずれか1つから選択される、好ましくは上記組み合わせのいずれか1つから選択される、(部分的に)同一な抗原をコードすることが好ましい。このような実施形態は、本発明の活性(免疫賦活)組成物を必要とする患者に投与するにあたり、例えば時間差(例えば時間依存性)投与において利点を有する。このような本発明の活性(免疫賦活)組成物の構成成分、特に少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、異なるRNAは、例えば複数のパーツに構成されるキット(その異なるパーツ)に含まれているか、または別の本発明の活性(免疫賦活)組成物の構成成分として別々に投与されてもよい。 上記定義された抗原の群から選択される、より好ましくは上記組み合わせから選択される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、主として、長さが約50〜約20000ヌクレオチド、または約100〜約20000ヌクレオチド、好ましくは約250〜約20000ヌクレオチド、より好ましくは約500〜約10000ヌクレオチド、さらに好ましくは約500〜約5000ヌクレオチドである。 一実施形態によれば、上記定義された抗原の群またはサブ群、より好ましくは上記組み合わせから選択される、少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、修飾RNAであってもよ。ここで定義されるいかなる修飾も、活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAに導入し得る。ここで定義される修飾は、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAを安定化させるものであることが好ましい。 第1の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAは、それゆえ、「安定RNA」、好ましくは安定mRNAとして、言い換えれば、インビボ分解(例えばエキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼによる)に対して本質的に耐性を持つmRNAとして提供され得る。このような安定化は、例えば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのリン酸骨格を修飾することによって達成し得る。本発明において骨格修飾とは、RNAに含まれるヌクレオチドの骨格のリン酸塩の化学的な修飾である。この関係において好ましく使用され得るヌクレオチドは、例えば、リンチオン酸塩修飾されたリン酸塩骨格、好ましくはリン酸塩骨格に含まれるリン酸酸素の少なくとも1つが硫黄原子と交換されたリン酸骨格を含んでいてもよい。安定(m)RNAはさらに、例えば、非イオン性リン酸類似体(例えば荷電リン酸酸素がアルキル基またはアリール基に交換されたアルキルおよびアリールリン酸化合物、または、荷電酸素残留物がアルキル化された形にて存在するリン酸ジエステルおよびアルキルリン酸トリエステル)を含んでいてもよい。このような骨格修飾は、特に限定されないが、概して、メチルホスソン酸、ホスホロアミデート、およびリンチオン酸塩(例えばシチジン5’−O−(1−チオリン酸エステル))からなる群から選択される修飾を含んでいる。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、付加的または代替的に、糖修飾を含んでいてもよい。本発明において糖修飾は、少なくとも1つのRNAのヌクレオチドの糖の化学的な修飾であり、特に限定はされないが、概して、下記群から選択される糖修飾を含んでいる。すなわち、2’−デオキシ−2’−フルオロ−オリゴリボヌクレオチド(2’−フルオロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、2’−フルオロ−2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸)、2’−デオキシ−2’−ジアミンオリゴリボヌクレオチド(2’−アミノ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、2’−アミノ−2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸)、2’−O−アルキルオリゴリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−C−アルキルオリゴリボヌクレオチド(2’−O−メチルシチジン−5’−三リン酸、2’−メチルウリジン−5’−三リン酸)、2’−C−アルキルオリゴヌクレオチド、およびそれらの異性体(2’−アラシチジン−5’−三リン酸、2’−アラウリジン−5’−三リン酸)、またはアジド三リン酸 (2’−アジド−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、2’−アジド−2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸)からなる群より選択される糖修飾を含んでいる。 また、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、付加的または代替的に、少なくとも1つの塩基修飾を含んでいてもよく、塩基修飾は、変更されていない(すなわち天然の(=野生型))RNA配列と比較して、少なくとも1つのRNA配列によってコードされているタンパク質の発現を著しく増加させるために好適なものであることが好ましい。この場合「著しく」とは、天然のRNA配列の発現と比べて、タンパク質発現における増加率が、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、40%、50%または60%、より好ましくは少なくとも70%、80%、90%または100%、最も好ましくは少なくとも150%、200%、300%またはそれ以上であること意味する。本発明に関して、このような塩基修飾を持つヌクレオチドは、下記からなる、塩基修飾ヌクレオチドの群から選択されることが好ましい。すなわち、2−アミノ−6−クロロプリンリボシド−5’−三リン酸、2−アミノアデノシン−5’−三リン酸、2−チオシチジン−5’−三リン酸、2−チオウリジン−5’−三リン酸、4−チオウリジン−5’−三リン酸、5−アミノアリルシチジン−5’−三リン酸、5−アミノアリルウリジン−5’−三リン酸、5−ブロモシチジン−5’−三リン酸、5−ブロモウリジン−5’−三リン酸、5−ヨードシチジン−5’−三リン酸、5−ヨードウリジン−5’−三リン酸、5−メチルシチジン−5’−三リン酸、5−メチルウリジン−5’−三リン酸、6−アザシチジン−5’−三リン酸、6−アザウリジン−5’−三リン酸、6−クロロプリンリボシド−5’−三リン酸、7−デアザアデノシン−5’−三リン酸、7−デアザグアノシン−5’−三リン酸、8−アザアデノシン−5’−三リン酸、8−アジドアデノシン−5’−三リン酸、ベンズイミダゾール−リボシド−5’−三リン酸、N1−メチルアデノシン−5’−三リン酸、N1−メチルグアノシン−5’−三リン酸、N6−メチルアデノシン−5’−三リン酸、O6−メチルグアノシン−5’−三リン酸、シュードウリジン−5’−三リン酸、ピューロマイシン−5’−三リン酸またはキサントシン−5’−三リン酸からなる群から選択されることが好ましい。特に、5−メチルシチジン−5’−三リン、7−デアザグアノシン−5’−三リン酸、5−ブロモシチジン−5’−三リンおよびシュードウリジン−5’−三リン酸からなる塩基修飾ヌクレオチドの群から選択される塩基修飾のためのヌクレオチドが好ましい。 別の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、同様に、自身のリボースまたは塩基構成成分の修飾を含んでいるさらに修飾されたヌクレオチドを導入することによって、修飾(および好ましくは安定化)することができる。一般に、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、任意の野生型(自然発生)ヌクレオチド、例えばグアノシン、ウラシル、アデノシンおよび/またはシトシンを含んでいてもよく、それらの類似体を含んでいてもよい。この関係において、ヌクレオチド類似体とは、自然発生のヌクレオチドのうち、非自然発生の変異体として定義される。したがって、類似体とは、非天然に発生した官能基を有する化学的に誘導体化されたヌクレオチドであり、該ヌクレオチドは自然発生のヌクレオチドに対して付加されているか、欠失しているか、またはヌクレオチドの自然発生の官能基と置換していることが好ましい。したがって、自然に発生したヌクレオチドを構成する成分はそれぞれ修飾されていてもよい。言い換えれば、塩基成分、糖(リボース)成分および/またはRNA配列の骨格(上記参照)を形成するリン酸成分がそれぞれ修飾されていてもよい。グアノシン、ウラシル、アデノシンおよびシトシンの類似体は特に限定されず、例えばアセチル化、メチル化、ヒドロキシル化などによって化学的に変更された、任意の自然発生または非自然発生である、グアノシン、ウラシル、アデノシン、チミジンまたはシトシンを含んでいる。例えば、1−メチル−アデノシ、1−メチル−グアノシン、1−メチル−イノシン、2,2−ジメチル−グアノシン、2,6−ジアミノプリン、2’−アミノ−2’−デオキシアデノシン、2’−アミノ−2’−デオキシシチジン、2’−アミノ−2’−デオキシグアノシン、2’−アミノ−2’−デオキシウリジン、2−アミノ−6−クロロプリンリボシド、2−アミノプリン−リボシド、2’−アラアデノシン、2’−アラシチジン、2’−アラウリジン、2’−アジド−2’−デオキシアデノシン、2’−アジド−2’−デオキシシチジン、2’−アジド−2’−デオキシグアノシン、2’−アジド−2’−デオキシウリジン、2−クロロアデノシン、2’−フルオロ−2’−デオキシアデノシン、2’−フルオロ−2’−デオキシシチジン、2’−フルオロ−2’−デオキシグアノシン、2’−フルオロ−2’−デオキシウリジン、2’−フルオロチミジン、2−メチル−アデノシン、2−メチル−グアノシン、2−メチル−チオ−N6−イソペネニル−アデノシン、2’−O−メチル−2−アミノアデノシン、2’−O−メチル−2’−デオキシアデノシン、2’−O−メチル−2’−デオキシシチジン、2’−O−メチル−2’−デオキシグアノシン、2’−O−メチル−2’−デオキシウリジン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、2’−O−メチルイノシン、2’−O−メチルシュードウリジン、2−チオシチジン、2−チオ−シトシン、3−メチル−シトシン、4−アセチル−シトシン、4−チオウリジン、5−(カルボキシルヒドロキシメチル)−ウラシル、5,6−ジヒドロウリジン、5−アミノアリルシチジン、5−アミノアリル−デオキシ−ウリジン、5−ブロモウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオ−ウラシル、5−カルボキシメチルアモノメチル−ウラシル、5−クロロ−アラ−シトシン、5−フルオロ−ウリジン、5−ヨードウリジン、5−メトキシカルボニルメチル−ウリジン、5−メトキシ−ウリジン、5−メチル−2−チオ−ウリジン、6−アザシチジン、6−アザウリジン、6−クロロ−7−デアザ−グアノシン、6−クロロプリンリボシド、6−メルカプト−グアノシン、6−メチル−メルカプトプリン−リボシド、7−デアザ−2’−デオキシ−グアノシン、7−デアザアデノシン、7−メチル−グアノシン、8−アザアデノシン、8−ブロモ−アデノシン、8−ブロモ−グアノシン、8−メルカプト−グアノシン、8−オキソグアノシン、ベンズイミダゾール−リボシド、ベータ−D−マンノシル−キューオシン、ジヒドロ−ウラシル、イノシン、N1−メチルアデノシン、N6−([6−アミノヘキシル]カルバモイルメチル)−アデノシン、N6−イソペンテニル−アデノシン、N6−メチル−アデノシン、N7−メチル−キサントシン、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ピューロマイシン、キューオシン、ウラシル−5−オキシ酢酸、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ワイブトキソシン、キサントシンおよびキシロ−アデノシンである。このような類似体を調製することは、例えば米国特許第4,373,071号,第4,401,796号,第4,415,732号,第4,458,066号,第4,500,707号,第4,668,777号,第4,973,679号,第5,047,524号,第5,132,418号,第5,153,319号,第5,262,530号および第5,700,642号に記載されているように、当業者に周知である。上述した類似体の中で、本発明において特に好ましいのは、活性(免疫賦活)組成物のRNAの免疫原性を増加させる類似体、および/または導入されたRNAがさらに修飾されることを妨害しない類自体である。 ある実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、脂質修飾を含むことができる。このような脂質修飾されたRNAは、主として、本明細書において定義されるRNAを含み、上記抗原の群、好ましくは上記組み合わせの中から選択される、少なくとも2つの抗原をコードする。このような脂質修飾されたRNAは、概して、上記RNAと共有結合している少なくとも1つのリンカー、および上記リンカーにそれぞれ共有結合している少なくとも1つの脂質をさらに含んでいる。別の実施形態では、上記脂質修飾RNAは、本明細書において定義される(少なくとも1つの)RNA、および該RNAと(リンカーを用いずに)共有結合している少なくとも1つの(二官能)脂質を含んでいる。さらに別の実施形態では、脂質修飾RNAは、本明細書において定義されるRNA、該RNAと共有結合している少なくとも1つのリンカー、該リンカーとそれぞれ共有結合している少なくとも1つの脂質、および該RNAと(リンカーを用いずに)共有結合している少なくとも1つの(二官能)脂質を含んでいる。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAに含まれる脂質(複合または共有結合している)は、概して、それ自身が生物活性を有している脂質または脂溶性残留物であることが好ましい。この脂質は、例えばビタミンなどの天然物質または天然化合物を含んでいることが好ましい。ビタミンとしては、例えば、RRR−アルファ−トコフェロール(前身はD−アルファ−トコフェロール)、L−アルファ−トコフェロール、ラセミ化合物D、L−アルファ−トコフェロール、ビタミンE琥珀酸エステル(VES)などのアルファ−トコフェロール(ビタミンE)、例えばレチノイン酸、レチノールなどのビタミンAおよびその派生物、例えばビタミンDおよびビタミンDのエルゴステロール前駆体などのビタミンDおよびその派生物、ビタミンEおよびその派生物、例えばビタミンKおよび関連するキノン化合物もしくはフィトール化合物などのビタミンKおよびその派生物、または、例えば胆汁酸、例えばコール酸、デオキシコール酸、デヒドロコール酸、コルチゾン、ジゴキシゲニン、テストステロン、コレステロールもしくはチオコレステロールなどのステロイドを含む。さらに、本発明の範疇に含まれる脂質または脂溶性残留物は、特に限定はされないが、ポリアルキレングリコール(Oberhauserら,Nucl.Acids Res.,1992,20,533)、脂肪族基(例えばC1−C20−アルカン、C1−C20−アルカンまたはC1−C20−アルカノール化合物など(例えばドデカンジオール、ヘキサデカノールもしくはウンデシル残留物(Saison-Behmoarasら,EMBO J,1991,10,111;Kabanovら,FEBS Lett.,1990,259,327;Svinarchukら,Biochimie,1993,75,49)、リン脂質(例えばホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジ−ヘキサデシル−ラセミ−グリセロール、スフィンゴリピド、セレブロシド、ガングリオシドまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−ラセミ−グリセロ−3−H−ホスホン酸塩(Manoharanら,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651;Sheaら,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777)、ポリアミンもしくはポリアルキレングリコール(例えばポリエチレングリコール(PEG)(Manoharanら,Nucleosides & Nucleotides,1995,14,969)、ヘキサエチレングリコール(HEG)、パルミチンもしくはパルミチル残留物(Mishraら,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229)、オクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール残留物(Crookeetら,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923)、ろう、テルペン、脂環式炭化水素、飽和脂肪酸残留物、およびモノ不飽和脂肪酸残留物もしくはポリ不飽和脂肪酸残留物などが含まれる。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、同様に、様々な方法によって、インビボにおけるRNA分解を防ぐために、安定化されてもよい。一般的に、当該分野において、インビボにおけるmRNAまたはRNAの不安定度および(速い)分解は、RNAを基にした組成物を適用するにあたり、深刻な問題となることが知られている。このRNAの不安性は、RNA分解酵素である「RNases(リボヌクレアーゼ)」によるところが大きく、このようなリボヌクレアーゼによるコンタミネーションによって、溶液中においてRNAが完全に分解してしまうことがある。したがって、細胞の細胞質内におけるmRNAの自然分解は細かく調節されており、RNaseのコンタミネーションは通常、上記組成物を使用する前に特別な処理、特にピロ炭酸ジエチル(DEPC)を用いた処理により除去され得る。多くの自然分解機構がこれに関連する従来技術において周知であり、同様に利用することができる。例えば、末端構造は、概して、インビボにおけるmRNAにとって極めて重要である。一例として、自然発生のmRNAの5’末端には、通常いわゆる「キャップ構造(修飾グアノシンヌクレオチド)」があり、3’末端には、一般的に、最大200個のアデノシンヌクレオチド(いわゆるポリA尾部)の配列がある。 それゆえ、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、特にmRNAとして提供される場合、いわゆる「5’キャップ」構造を付加することによって、RNasesによる分解に対して、安定化することができる。この関係において、「5’キャップ構造」として特に好ましいのは、m7G(5’)ppp(5’(A,G(5’)ppp(5’)AまたはG(5’)ppp(5’)G)構造である。しかしながら、このような修飾が導入されるのは、修飾、例えば脂質修飾が、本発明の免疫促進性組成物の(m)RNAの5’末端に導入されていない場合、または修飾が(非修飾または化学的に修飾された)(m)RNAの免疫特性を妨害しない場合に限られる。 さらに好ましい実施形態によると、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、特に該RNAがmRNAであるとき、3’末端上にポリA尾部を含み、その長さは約10〜200アデノシンヌクレオチド、好ましくは約10〜100アデノシンヌクレオチド、より好ましくは約20〜100アデノシンヌクレオチド、さらに好ましくは約40〜80アデノシンヌクレオチドであってもよい。 さらに好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、特に該RNAがmRNAであるとき、3’末端上にポリC尾部を含み、その長さは主に約10〜200シトシンヌクレオチド、好ましくは約10〜100シトシンヌクレオチド、より好ましくは約20〜70シトシンヌクレオチド、さらに好ましくは約20〜60または10〜40シトシンヌクレオチドであってもよい。 別の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAは修飾されてもよく、特に該RNAがmRNAであるとき、RNAのG/C含有量、好ましくは少なくとも1つのRNAのコード領域におけるG/C含有量を修飾することによって安定化されてもよい。 本発明の特に好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのコード領域のG/C含有量は、その特定の野生型(m)RNA(すなわち非修飾(m)RNA)のコード領域のG/C含有量と比較して、とりわけ増加して修飾されている。少なくとも1つの(m)RNAの、コードされたアミノ酸配列は、特定の野生型(m)RNAのコードされたアミノ酸配列と比較して、修飾されていないことが好ましい。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAの修飾は、翻訳される任意の(m)RNA領域の配列が、(m)RNAを効率よく翻訳するために重要であるという調査に基づく。このように、様々なヌクレオチドの構成および配列が重要である。特に、G(グアノシン)/C(シトシン)の含有量が増加した配列は、A(アデノシン)/U(ウラシル)の含有量が増加した配列よりも安定している。そのため、本発明によれば、(m)RNAのコドンは、翻訳されたアミノ酸配列を保持しながら、その野生型(m)RNAと比較して変化しており、コドンのG/Cヌクレオチドは増加している。いくつかのコドンが単一および同一のアミノ酸をコードする(いわゆる遺伝子コードの縮重)という調査に基づき、最も安定性に優れたコドンを決定することができる(いわゆる代替コドンの使用)。 少なくとも1つの(m)RNAによってコードされるアミノ酸に応じて、その野生型配列と比較した、(m)RNAの修飾は種々可能である。GヌクレオチドまたはCヌクレオチドのみを含むコドンによってコードされるアミノ酸の場合、コドンの修飾は必要ない。それゆえ、Pro(CCCまたはCCG)、Arg(CGCまたはCGG)、Ala(GCCまたはGCG)およびGly(GGCまたはGGG)といったコドンは、AまたはUが存在しないため、修飾を必要としない。 逆に、Aヌクレオチドおよび/またはUヌクレオチドを含むコドンは、同じアミノ酸をコードするがAヌクレオチドおよび/またはUヌクレオチドを含まない、他のコドンとの置換によって修飾することができる。以下に例を示す: Proをコードするコドンは、CCUまたはCCAから、CCCまたはCCGに修飾され得;Argをコードするコドンは、CGU、CGA、AGAまたはAGGから、CGCまたはCGGに修飾され得;Alaをコードするコドンは、GCUまたはGCAから、GCCまたはGCGに修飾され;Glyをコードするコドンは、GGUまたはGGAから、GGCまたはGGGに修飾され得る。 別の場合、AヌクレオチドまたはUヌクレオチドをコドンから除去することはできないが、Aヌクレオチドおよび/またはUヌクレオチドの含有量が少ないコドンを使用して、AヌクレオチドおよびUヌクレオチドの含有量を減少させることができる。以下に例を示す:Pheをコードするコドンは、UUUからUUCに修飾され得;Leuをコードするコドンは、UUA、UUG、CUUまたはCUAから、CUCまたはCUGに修飾され得;Serをコードするコドンは、UCU、UCAまたはAGUから、UCC、UCGまたはAGCに修飾され得;Tyrをコードするコドンは、UAUからUACに修飾され得;Cysをコードするコドンは、UGUからUGCに修飾され得;Hisをコードするコドンは、CAUからCACに修飾され得;Glnをコードするコドンは、CAAからCAGに修飾され得;Ileをコードするコドンは、AUUまたはAUAから、AUCに修飾され得;Thrをコードするコドンは、ACUまたはACAから、ACCまたはACGに修飾され得;Asnをコードするコドンは、AAUからAACに修飾され得;Lysをコードするコドンは、AAAからAAGに修飾され得;Valをコードするコドンは、GUUまたはGUAから、GUCまたはGUGに修飾され得;Aspをコードするコドンは、GAUからGACに修飾され得;Gluをコードするコドンは、GAAからGAGに修飾され得;終止コドンUAAは、UAGまたはUGAに修飾され得る。 一方、Met(AUG)およびTrp(UGG)のコドンの場合、配列修飾はあり得ない。 列挙した置換は、単独で使用することが可能であり、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つの(m)RNAのG/C含有量を、その特定の野生型(m)RNA(すなわち元の配列)と比べて、増加させる任意の組み合わせにおいて使用することも可能である。このように、例えば、野生型配列において発生するすべてのThrのコドンは、ACC(またはACG)に修飾することができる。しかしながら、例えば、上記置換の起こり得る組み合わせにて使用することが好ましい。以下に例を示す。 元の配列(野生型(m)RNA)においてThrをコードするすべてのコドンを、ACC(またはACG)へと置換し、元はSerをコードするすべてのコドンを、UCC(またはUCGまたはAGC)へと置換する;元の配列においてIleをコードするすべてのコドンを、AUCへと置換し、元はLysをコードするすべてのコドンを、AAGへと置換し、元はTyrをコードするすべてのコドンを、UACへと置換する;元の配列においてValをコードするすべてのコドンを、GUC(またはGUG)へと置換し、元はGluをコードするすべてのコドンをGAGへと置換し、元はAlaをコードするすべてのコドンをGCC(またはGCG)へと置換し、元はArgをコードするすべてのコドンをCGC(またはCGG)へと置換する;元の配列においてValをコードするすべてのコドンを、GUC(またはGUG)へと置換し、元はGluをコードするすべてのコドンを、GAGへと置換し、元はAlaをコードするすべてのコドンを、GCC(またはGCG)へと置換し、元はGlyをコードするすべてのコドンを、GGC(またはGGG)へと置換し、元はAsnをコードするすべてのコドンを、AACへと置換する;元の配列においてValをコードするすべてのコドンを、GUC(またはGUG)へと置換し、元はPheをコードするすべてのコドンを、UUCへと置換し、元はCysをコードするすべてのコドンを、UGCへと置換し、元はLeuをコードするすべてのコドンを、CUG(またはCUC)へと置換し、元はGlnをコードするすべてのコドンを、CAGへと置換し、元はProをコードするすべてのコドンを、CCC(またはCCG)へと置換する;等が挙げられる。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのコード領域のG/C含有量は、本明細書において定義される抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチド、あるいはそれらの断片または変異体をコードする、野生型(m)RNAのコードされた領域のG/C含有量と比べて、少なくとも7%増加されることが好ましく、少なくとも15%増加されることがより好ましく、少なくとも20%増加されることがさらに好ましい。ある特定の実施形態によれば、本明細書において定義される抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチド、あるいはそれらの断片または変異体をコードする領域における置換可能なコドンを、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、より好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%または100%置換し、または野生型(m)RNA配列全体を置換して、上記配列のG/C含有量を増加させる。 ここで、野生型配列と比べて、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つの(m)RNAのG/C含有を、最大限(すなわち置換可能なコドンを100%)増加させることが好ましく、特に、タンパク質をコードする領域において増加させることが好ましい。 本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上なくとも1つの(m)RNAのさらに好ましい修飾は、翻訳効率は、細胞におけるtRNAの出現頻度の違いによっても決定される、という知見に基づいている。そのため、いわゆる「レアコドン」が本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAにおいて存在する量が増加した場合、対応する修飾された少なくとも1つの(m)RNA配列は、比較的「頻繁に」tRNAをコードするコドンが存在する場合よりも、顕著に低い割合で翻訳する。 本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の修飾された少なくとも1つの(m)RNAにおいて、アジュバントタンパク質をコードする領域は、野生型(m)RNAの対応領域と比べて修飾されている。その修飾では、細胞において比較的珍しいtRNAをコードする野生型配列の少なくとも1つのコドンが、細胞において比較的頻出するtRNAをコードするコドンと交換され、比較的珍しいtRNAと同一のアミノ酸を有するようになる。この修飾によって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つの(m)RNAの配列は、頻繁に発生するtRNAを利用できるコドンが挿入されるように修飾される。言い換えれば、本発明によれば、この修飾によって、細胞において比較的珍しいtRNAをコードする野生型配列のすべてのコドンを、いかなる場合でも、細胞において比較的頻出するtRNAをコードするコドンと交換可能であると共に、いかなる場合でも、比較的珍しいtRNAと同一のアミノ酸を有することが可能である。 この細胞において比較的頻出するtRNAおよび比較的珍しいtRNAは、当業者にとって周知である(例えばAkashi,Curr.Opin.Genet.Dev.2001,11(6):660-666参照)。最も頻出するtRNAを特定のアミノ酸のために使用するコドン、例えば(ヒト)細胞において最も頻出するtRNAを使用するGlyコドンが特に好ましい。 本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の修飾された少なくとも1つの(m)RNAにおいて増加、特に最大化された配列G/C含有量を、(m)RNAのコード領域によってコードされているタンパク質のアミノ酸配列を修飾することなく、「頻出」するコドンと結合させることが特に好ましい。この好ましい実施形態によれば、特に効率よく翻訳および安定化(修飾)された、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つの(m)RNAを提供することができる。 上述したような(増加されたG/C含有量;tRNA交換)、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの修飾された(m)RNAは、国際特許公開第WO02/098443号に説明されるコンピュータープログラムを使用して決定できる。国際特許公開第WO02/098443号が開示する内容はすべて、本発明の範囲に含まれる。このコンピュータープログラムを使用することによって、遺伝子コードまたはその縮重性質を活用して、いかなる所望する(m)RNAのヌクレオチド配列も修飾することができ、その修飾は、細胞において最も高頻度で出現するtRNAに対応するコドンを使用して、G/C含有量を最大限増加させ、好ましくは修飾された少なくとも1つの(m)RNAにコードされるアミノ酸配列は、非修飾配列と比べて修飾されていない、というものである。または、元の配列と比べて、G/C含有量のみ、またはコドン処理のみを修飾することも可能である。ビジュアルベーシック6.0(使用開発環境:Microsoft Visual Studio Enterprise 6.0 with Servicepack3)におけるソースコードもまた、国際特許公開第WO02/098443号に記載されている。 本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのリボソーム結合部位の環境におけるA/U含有量は、その特定の野生型(m)RNAのリボソーム結合部位の環境におけるA/U含有量と比べて、増加している。この修飾(リボソーム結合部位周辺におけるA/U含有増加)は、少なくとも1つの(m)RNAにリボソームをより効率良く結合させる。リボソームをリボソーム結合部位(Kozak sequence:GCCGCCACCAUGG(配列番号27)、AUGは開始コドンを形成する)に効率よく、順に結合させると、少なくとも1つの(m)RNAを効率よく翻訳することができる。 本発明のさらなる実施形態によると、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、潜在的に不安定な配列要素に対して修飾されていてもよい。特に、上記少なくとも1つの(m)RNAのコード領域および/または5’非翻訳領域および/または3’非翻訳領域は、特定の野生型(m)RNAと比べて、修飾させられていてもよく、その修飾は、不安定化配列要素をまったく有さないように、また、好ましくはその特定の野生型(m)RNAと比べて、修飾された少なくとも1つの(m)RNAのコードされたアミノ酸配列が修飾されていない。例えば、真核細胞RNAの配列において、不安定化配列要素(DSE)が発生し、シグナルタンパク質が結合して、インビボにおけるRNAの酵素分解を調整することは周知である。それゆえ、修飾された少なくとも1つの(m)RNAをさらに安定化させるために、任意で、本明細書において定義する抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドをコードする領域において、野生型(m)RNAの対応領域と比べて、このような1つまたはそれ以上の修飾を実行できるので、含有される不安定化配列要素を完全にまたは実質的になくすことができる。本発明によれば、非翻訳領域(3’−および/または5’−UTR)において存在するDSEを、このような修飾によって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAから除去することもできる。 このような不安定化配列とは、例えば多数の不安定なRNAの3’−UTR部に存在する、AU−リッチ配列(AURES)である(Caput et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1986,83:1670 to 1674)。それゆえ、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、野生型(m)RNAと比べて、該少なくとも1つの(m)RNAがこのような不安定化配列を含まないように修飾されていることが好ましい。また、これは、(m)RNAの配列モチーフにも適用できる。配列モチーフは、潜在的エンドヌクレアーゼによって認識される。例えば、トランスフェリン受容体をコードする遺伝子の3’UTR部分に含まれる、配列GAACAAGである(Binderetら,EMBO J.1994,13:1969 to 1980)。これらの配列モチーフも、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAにおいて、除去されることが好ましい。 また、本発明によれば、例えばリボソーム結合を高めるために、または本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(ビシストロン性またはマルチシストロン性)RNA上に位置する、コードされた異なる抗原の発現を可能にするために、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、修飾形態において、少なくとも1つの上記定義したIRESを含んでいることが好ましく、修飾形態において、少なくとも1つの5’および/または3’安定化配列を含んでいることが好ましい。 本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、少なくとも1つの5’安定化配列および/または3’安定化配列を有していることがさらに好ましい。5’非翻訳領域および/または3’非翻訳領域におけるこれらの安定化配列は、細胞質ゾルにおいて少なくとも1つの(m)RNAの半減期を増加させる効果がある。これらの安定化配列は、ウイルス、バクテリア、および真核生物において発生する自然発生型配列と100%の相同性を有することも可能であるが、部分的または完全に合成されていてもよい。RNAを安定化するために、本発明において使用される安定化配列の一例として、例えばヒトまたはアフリカツメガエルから得られるベータグロビン遺伝子の非翻訳配列(UTR)を挙げることができる。安定化配列の別の例としては、一般式(C/U)CCANxCCC(U/A)PyxUC(C/U)CC(配列番号28)を有するものが挙げられる。これはアルファグロビン、アルファ(I)−コラーゲン、15−リポキシゲナーゼまたはチロシンヒドロキシラーゼをコードする非常に安定したRNAの3’UTRに含まれる(Holcik et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1997,94:2410 to 2414参照)。このような安定化配列はもちろん単独で使用することが可能であるし、それぞれ組み合わせて使用することも可能である。また、当業者に周知である他の安定化配列と組み合わせて使用することもできる。それゆえ、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、グロビンUTR(非翻訳領域)安定RNA、特にベータグロビンUTR安定RNAとして存在することが好ましい。 それでもなお、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAにおいては、塩基の置換、付加または欠失されていることが好ましく、周知の部位特異的突然変異誘発法またはオリゴヌクレオチド結紮法によって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAを調製するためのDNAマトリクスを用いて行なうことが好ましい(例えば、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring HarborLaboratory Press,3rd ed.,Cold Spring Harbor,NY,2001参照)。このようなプロセスにおいては、少なくとも1つの(m)RNAを調製するために、対応するDNA分子がインビトロで転写されてもよい。このDNAマトリクスは、インビトロ転写に好適なプロモーター、例えばT7プロモーターまたはSP6プロモーターを有していることが好ましく、プロモーターは少なくとも1つのRNAが調製されるための所望のヌクレオチド配列、およびインビトロ転写のための終止シグナルの上流に位置する。対称となる少なくとも1つのRNAのマトリクスを形成するDNA分子は、バクテリアにおいて複製することができるプラスミドの一部として、発酵延命およびそれに続く分離によって調製することができる。本発明において好適なプラスミドとしては、例えばプラスミドpT7Ts(GenBankアクセッション番号U26404;Laiら,Development 1995,121:2349 to 2360)、pGEM(登録商標)シリーズ、例えばpGEM(登録商標)−1(GenBankアクセッション番号X65300;from Promega)およびpSP64(GenBankアクセッション番号X65327)である(Mezei and Storts,Purification ofPCR Products,in:Griffin and Griffin(ed.),PCR Technology:Current Innovation,CRC Press,Boca Raton,FL,2001.参照)。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAをカチオン複合体、特にポリカチオン複合体(例えば(ポリ)カチオンペプチドまたはタンパク質)と結びつける、複合させる、または結合させることによって、少なくとも1つのRNAを同様に安定化させることができる。RNAに結合するポリカチオン核酸結合タンパク質としてプロタミン、ヌクレオリン、スペルミンまたはスペルミジンを使用すると、特に効果的である。さらに、ポリ−L−リジンまたはヒストンなど、他のカチオンペプチドまたはタンパク質も同様に使用できる。このRNA安定化手順は欧州特許第1083232号明細書に開示されており、開示内容は参考として本発明に援用される。さらに好ましい、本発明の活性(免疫賦活)組成物のRNAを安定化させるために使用可能なカチオン成分として、カチオン性多糖類(例えばキトサン、ポリブレン、ポリエチレンイミン(PEI)またはポリ−L−リジン(PLL)など)が挙げられる。本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAと、カチオン複合物(例えばカチオンタンパク質)またはカチオン脂質(例えば脂質ベース錯化剤としてオリゴフェクタミン)とを結合または合成した活性組成物薬品として、治療すべき細胞または生体に導入される少なくとも1つのRNAを増加させることが好ましい。合成による、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAのための安定化効果についても、上記開示内容を参照されたい。また、上記開示内容は、RNA安定化についても同様に記載している。 別の特に好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、付加的にまたは代替的に、分泌シグナルペプチドをコードしていてもよい。このようなペプチドが示す長さは概して15〜30個のアミノ酸であり、特に限定はされないが、コードされたペプチドのN末端に位置する配列であることが好ましい。本明細書において定義されるシグナルペプチドは、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされる抗原、抗原タンパク質、または抗原ペプチドを、特定細胞内コンパートメントの中へ、好ましくは細胞表面、小胞体(ER)、またはエンドソーム−リソソームコンパートメント内へと運ぶことができる。特に限定されないが、本明細書において定義される分泌シグナルペプチド配列の例として、従来のMHC分子のシグナル配列もしくは従来にないMHC分子のシグナル配列(例えばMHCIおよびII分子のシグナル配列、例えばMHCクラスI分子HLA−A*0201のシグナル配列)、上述のサイトカインもしくは免疫グロブリンのシグナル配列、上述の免疫グロブリンもしくは抗体の不変鎖シグナル配列、Lamp1、Erp57、カルレチクリン、カルネキシンおよび膜結合タンパク質のシグナル配列、または小胞体(ER)もしくはエンドソーム−リソソームコンパートメントと結合したタンパク質のシグナル配列が挙げられる。本発明によれば、MHCクラスI分子HLA−A*0201のシグナル配列を使用することが特に好ましい。 上述した修飾はいずれも、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAに適用することができ、さらに本発明との関連において使用される場合、任意の(m)RNAにも適用することができ、また、好適または必要であるならば、少なくとも1つのRNAそれぞれにおいて組み合わせた修飾が干渉し合わないのであれば、上述した修飾をどのように組み合わせて使用してもよい。当業者は、適宜選択することができるであろう。 別の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、免疫賦活剤(アジュバント)を含んでいてもよい。ここで、アジュバントは、本発明の活性(免疫賦活)組成物の管理、および投与を補助することに好適である化合物と理解されたい。さらに、このようなアジュバントは、結合することなく、先天性免疫システムの免疫応答、すなわち非特異的免疫応答を引き起こすか、または増加させてもよい。言い換えれば、投与時において、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、主として、発明の活性(免疫賦活)組成物に含まれる少なくとも1つのRNAによってコードされる少なくとも2つの抗原によって、適応免疫応答を引き起こす。さらに、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、上述のアジュバントを、本発明の活性(免疫賦活)組成物に対して付加することによって、(支持的)先天性免疫応答を引き起こしてもよい。このようなアジュバントは当業者にとって周知であり、本発明において好適である、すなわち哺乳動物において免疫システムを引き起こすことをサポートする、いかなるアジュバントから選択されてもよい。アジュバントは、特に限定はされないが、以下からなる群から選択されることが好ましい。すなわち、TDM、MDP、ムラミールジペプチド、プルロニック、カリ明礬溶液、水酸化アルミニウム、ADJUMER(登録商標)(ポリホスファゼン);リン酸アルミニウムゲル;藻グルカン;アルガムリン;水酸化アルミニウムゲル;高タンパク質吸収水酸化アルミニウムゲル;低粘性水酸化アルミニウムゲル;AFまたはSPT(スクアランのエマルジョン(5%)、Tween80(0.2%)、プルロニックL121(1.25%)、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4);AVRIDINE(登録商標)(プロパンジアミン);BAY R1005(登録商標)((N−(2−デオキシ−2−L−ロイシルアミノ−b−D−グルコピラノシル)−N−オクタデシル−ドデカノイル−アミドハイドロアセテート);CALCITRIOL(登録商標)(1−アルファ,25−ジヒドロキシ−ビタミンD3);リン酸カルシウムゲル;CAPTM(リン酸カルシウムナノ粒子);コレラホロトキシン、コレラトキシン−A1−タンパク質−A−D−断片融合タンパク質、コレラトキシンのサブユニットB;CRL 1005(ブロック共重合体P1205);サイトカイン含有リポソーム;DDA(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド);DHEA(デヒドロエピアンドロステロン);DMPC(ジミリストイルホスファチジルコリン);DMPG(ジミリストイルホスファチジルグリセロール);DOC/ミョウバン複合体(デオキシコール酸ナトリウム塩);フロイント完全アジュバント;フロイント不完全アジュバント;ガンマイヌリン;ゲルブアジュバント(下記(i)、(ii)、および(iii)の混合物:(i)N−アセチルグルコサミニル−(P1−4)−N−アセチルムラニル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、(ii)ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド(DDA)、(iii)亜鉛−L−プロリン塩複合体(ZnPro−8);GM−CSF);GMDP(N−アセチルグルコサミニル−(b1−4)−N−アセチルムラニル−L−アラニル−D−イソグルタミン);イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン);ImmTher(登録商標)(N−アセチルグルコサミニル−N−アセチルムラニル−L−Ala−D−イソグル−L−Ala−グリセロールジパルミタート);DRVs(脱水/再水和小胞から調製された免疫リポゾーム);インターフェロン−ガンマ;インターロイキン−1ベータ;インターロイキン−2;インターロイキン−7;インターロイキン−12;ISCOMS(登録商標);ISCOPREP7.0.3.(登録商標);リポソーム;LOXORIBINE(登録商標)(7−アリル−8−オキソグアノシン);LTオーラルアジュバント(大腸菌不安定エンテロトキシン−プロトキシン);組成物のミクロスフェアおよび微小粒子;MF59(登録商標);(スクアレン−水エマルジョン);MONTANIDE ISA51(登録商標)(精製フロイント不完全アジュバント);MONTANIDE ISA720(登録商標)(代謝可能油脂アジュバント);(登録商標)(3−Q−デスアシル−4’−モノホスホリル脂質A);MTP−PEおよびMTP−PEリポソーム((N−アセチル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−(ヒドロキシホスホリルオキシ))−エチルアミド、モノナトリウム塩);MURAMETIDE(登録商標)(Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH3);MURAPALMITINE(登録商標)およびD−MURAPALMITINE(登録商標)(Nac−Mur−L−Thr−D−isoGIn−sn−グリセロールジパルミトイル);NAGO(ノイラミニダーゼ−ガラクトース酸化酵素);組成物のナノスフェアまたはナノ粒子;NISVs(非イオン界面活性剤小胞);PLEURAN(登録商標)(β−グルカン);PLGA,PGAおよびPLA(乳酸およびグリコール酸のホモポリマーおよびコポリマー;ミクロスフェア/ナノスフェア);PLURONIC L121(登録商標);PMMA(ポリメチルメタクリル樹脂);PODDS(登録商標)(プロテイノイドミクロスフェア);ポリエチレンカルバメート派生物;ポリ−rA:ポリ−rU(ポリアデニル酸−ポリウリジル酸複合体);ポリソルベート80(Tween80);タンパク質シチリエート(Avanti Polar Lipids,Inc.,Alabaster,AL);STIMULON(登録商標)(QS−21);Quil−A(Quil−Aサポニン);S−28463(4−アミノ−otec−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール);SAF−1(登録商標)(シンテックスアジュバント形成);センダイプロテオリポソームおよびセンダイ含有脂質マトリックス;Span−85(ソルビタントリオレエート);Specol(Marcol52、Span85およびTween85のエマルジョン);スクアレンまたはRobane(商標登録)(2,6,10,15,19,23−ヘキサメチルテトラコサンおよび2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサン);ステアリルチロシン(オクタデシルチロシン塩酸塩);Theramid(商標登録)(N−アセチルグルコサミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−イソグル−L−Ala−ジパルミトキシプロピルアミド);トレオニル−MDP(Termurtide(登録商標)または[thr1]−MDP;N−アセチルムラニル−L−トレオニル−D−イソグルタミン);Ty粒子(Ty−VLPsまたはウイルス様粒子);Walter−Reedリポソーム(水酸化アルミニウムに吸着したリポソーム含有脂質A)、およびリポペプチド、(Pam3Cysを含む、特にアルミニウム塩、例えばAdju−phos、Alhydrogel、Rehydragel;CFA、SAF、IFA、MF59、Provax、TiterMax、Montanide、Vaxfectinを含むエマルジョン;Optivax(CRL1005),L121,Poloaxmer4010)などを含む共重合体;ステルス、BIORALを含むコチリエート、を含むリポソーム;QS21、Quil A、Iscomatrix、ISCOMを含む植物由来アジュバント;複刺激に好適な、トマチン、(PLG、PMM、イヌリンを含む)バイオポリマーを含むアジュバント;アジュバント由来微生物(以下を含む:Romurtide、DETOX、MPL、CWS、マンノース、CpG核酸配列、CpG7909、ヒトTLR 1−10リガンド、マウスTLR 1−13リガンド、ISS−1018、IC31、イミダゾキノリン、Ampligen、Ribi529、IMOxine、IRIVs、VLPs、コレラトキシン、易熱性トキシン、Pam3Cys、フラジェリン、GPIアンカー、LNFPIII/Lewis X、抗微生物ペプチド、UC−1V150、RSV融合タンパク質、cdiGMP;およびCGRP神経ペプチドを含む抑制因子として好適なアジュバント、からなる群より選択される。 好適に使用できるアジュバントは、カチオンまたはポリカチオン化合物から選択してもよく、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAと、カチオンまたはポリカチオン化合物とを、複合することによって調製することが好ましい。活性(免疫賦活)組成物のRNAを、本明細書において定義するカチオンまたはポリカチオン化合物と結合または複合させることによって、アジュバント性質を提供し、また活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAを安定化させる効果を与えることが好ましい。このようなカチオン性もしくはポリカチオン性化合物は、カチオン性もしくはポリカチオン性のペプチドもしくはタンパク質(プロタミン、ヌクレオリン、スペルミンまたはスペルミジンを含む)から選択されるか、または他のカチオン性ペプチドまたはタンパク質から選択されることが特に好ましい。他のカチオン性ペプチドまたはタンパク質は、例えばポリ−L−リジン(PLL)、ポリ−アルギニン、塩基性ポリペプチド、細胞透過性ペプチド(CPPs)(HIV結合ペプチド、Tat、HIV−1 Tat(HIV)、Tat由来ぺプチド、ペネトラチン、VP22由来または類似ペプチド、HSV VP22(単純ヘルペス)、MAP、KALAまたはタンパク質形質導入ドメイン(PTDs、PpT620、高プロリンペプチド、高アルギニンペプチド、高レジンペプチド、MPG−ペプチド、Pep−1、L−オリゴマー、カルシトニンペプチド、アンテナペディア由来ペプチド(特にショウジョウバエアンテナペディア由来))、pAnt、pIsl、FGF、ラクトフェリン、トランスポータン、ブホリン−2、Bac715−24、SynB、SynB(1)、pVEC、hCT由来ペプチド、SAP、プロタミン、スペルミン、スペルミジン、またはヒストンである。さらに好ましいカチオン性またはポリカチオン性化合物は、カチオン性多糖類(例えばキトサン、ポリブレン、カチオン性ポリマー(例えばポリエチレンイミン(PEI))、カチオン性脂質(例えばDOTMA:[1−(2,3−シオレイルオキシ)プロピル)]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、DMRIE、di−C14−アミジン、DOTIM、SAINT、DC−Chol、BGTC、CTAP、DOPC、DODAP、DOPE:ジオレイルホスファチジルエタノールアミン、DOSPA、DODAB、DOIC、DMEPC、DOGS:ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン、DIMRI:ジミリスト−オキシプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、DOTAP:ジオレイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン、DC−6−14:O,O−ジテトラデカノイル−N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミンクロリド、CLIP1:rac−[(2,3−ジオクタデシルオキシプロピル)(2−ヒドロキシエチル)]−ジメチルアンモニウムクロリド、CLIP6:rac−[2(2,3−ジヘキサデシルオキシプロピル−オキシメチルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、CLIP9:rac−[2(2,3−ジヘキサデシルオキシプロピル−オキシスクニシルオキシ)エチル]−トリメチルアンモニウム、オリゴフェクタミン)、カチオン性またはポリカチオン性ポリマー(例えば修飾ポリアミノ酸(例えばβ−アミノ酸−ポリマー、または逆ポリアミドなど)、修飾ポリエチレン(例えばPVP(ポリ(N−エチル−4−ビニルピリジニウムブロミド))など)、修飾アクリレート(例えばpDMAEMA(ポリ(ジメチルアミノエチルメチルアクリレート))など)、修飾アミドアミン(例えばpAMAM(ポリ(アミドアミン))など)、修飾ポリベータアミノエステル(PBAE)(例えばジアミン末端修飾1,4ブタンジオルジアクリレート−co−5−アミノ−1−ペンタノールポリマーなど)、デンドリマー(例えばポリプロピルアミンデンドリマーまたはpAMAMベースデンドリマーなど)、ポリイミン(例えばPEI:ポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン)など)、ポリアリルアミン、糖骨格ベースポリマー(例えばシクロデキストリンベースポリマー、デキストランベースポリマー、キトサンなど)、シラン骨格ベースポリマー(例えばPMOXA−PDMS共重合体など)、1つまたはそれ以上のカチオン性ブロック(例えば上記したカチオン性ポリマーから選択される)と、1つまたはそれ以上の親水性または疎水性ブロック(例えばポリエチレングリコール)との組み合わせからなるブロック重合体)、などである。 さらに、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAと合成することによってアジュバントとして使用できるカチオン性またはポリカチオン性タンパク質またはペプチドは、以下の一般式(I): (Arg)l;(Lys)m;(His)n;(Orn)o;(Xaa)x・・・(I) (式中、l+m+n+o+xは8〜15であり、l、m、nまたはoは互いに独立して、Arg、Lys、HisおよびOrnの総含有量がオリゴペプチドの全アミノ酸の少なくとも50%を示すように、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15から選択される任意の数であり;Xaaは、Arg、Lys、HisまたはOrnを除く、野生型(すなわち自然発生)または非天然アミノ酸から選択される任意のアミノ酸であればよく;xはXaaの総含有量がオリゴペプチドのすべてのアミノ酸の50%を超えない範囲で、0、1、2、3または4から選択される任意の数であればよい)を有するタンパク質またはペプチドから選択されることが好ましい。ここで、特に好ましいオリゴアルギニンとしては、例えばArg7、Arg8、Arg9、Arg7、H3R9、R9H3、H3R9H3、YSSR9SSY、(RKH)4、Y(RKH)2Rなどが挙げられる。 さらに、好適なアジュバントは以下の一般式(II): GlXmGn・・・(II) (式中、Gはグアノシン、ウラシルあるいはグアノシンまたはウラシルの類似体であり、Xはグアノシン、ウラシル、アデノシン、チミジン、シトシンまたは上記ヌクレオチドの類似体であり;lは1から40までの整数であり、l=1のとき、Gはグアノシンまたはその類似体であり;l>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はグアノシンまたはその類似体であり;mは整数であり、少なくとも3であり;m=3のとき、Xはウラシルまたはその類似体であり、m>3のとき、少なくとも3つの連続するウラシルまたはウラシルの類似体があり;nは1から40までの整数であり、n=1のとき、Gはグアノシンまたはその類似体であり、n>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はグアノシンまたはその類似体である)を有する核酸から選択されてもよい。 さらに、他の好適なアジュバントとして、以下の一般式(III): ClXmCn・・・(III) (式中、Cはシトシン、ウラシル、またはそれらの類似体であり;Xはグアノシン、ウラシル、アデノシン、チミジン、シトシンまたは上記ヌクレオチドの類似体であり;lは1から40までの整数であり、l=1のとき、Cはシトシンまたはその類似体であり、l>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はシトシンまたはその類似体であり;mは整数であり、少なくとも3であり;m=3のとき、Xはウラシルまたはその類似体であり、m>3のとき、少なくとも3つの連続するウラシルまたはその類似体があり;nは1から40までの整数であり、n=1のとき、Cはシトシンまたはその類似体であり、n>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はシトシンまたはその類似体である)を有する核酸から選択されるアジュバントが挙げられる。 好ましい一実施形態によると、本発明は、さらに、本発明の活性(免疫賦活)組成物を含むワクチンを提供してもよい。また、発明のワクチンは、薬学的に使用可能なキャリア、および/またはさらなる補助剤および添加剤を含んでいてもよく、アジュバントを含んでいてもよい。特に好ましい実施形態によれば、発明のワクチンに含まれる活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAにコードされる抗原は、上記群から選択される。 発明のワクチンは、主として、上述した少なくとも2つの抗原をコードし、さらに好ましくは、上記群のいずれかから選択される少なくとも2つの抗原をコードし、最も好ましくは上記示した組み合わせの中から選択される少なくとも2つの抗原をコードする、上述した活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAを、安全かつ効果的な量だけ含んでいる。本明細書において用いられる「安全かつ効果的な量」とは、上記定義したワクチンにおける活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAの量であり、前立腺癌(PCa)、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患において、活性修飾を著しく誘導するために十分な量を意味している。しかし同時に、「安全かつ効果的な量」は副作用を引き起こさない程度に十分に少ない量、すなわち利点とリスクとの適切な関係を可能にする量を意味する。これらの制限の決定は、適切な医学的判断という範疇に属する。本発明のワクチンに関して、「安全かつ効果的な量」という表現は、好ましくは過剰な、または損傷を与えるような免疫応答を起こさず、同時に、好ましくはこのような免疫応答が測定可能なレベルであるように、適応免疫システムを促進するにあたって好適なRNA(つまりコードされた2つの抗原)の量を意味している。上記定義したワクチンにおける活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAの、このような「安全かつ効果的な量」は、さらにRNAタイプ(例えばモノシストロン性、ビシストロン性またはマルチシストロン性)によって選択してもよい。なぜならば、ビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAは、同量のモノシストロン性RNAを使用した場合と比べて、コードされた抗原を極めて多く発現させ得るからである。発明のワクチンに含まれる、上記定義した活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAの「安全かつ効果的な量」は、さらに、主治医の知識および経験において、治療すべき特定の疾病および治療する患者の年齢および健康状態、疾病状態の程度、治療期間、付随する治療法の性質、使用される特定の薬学的に使用可能なキャリアの性質、および同様な因子に関連して変化する。本発明のワクチンは、薬学的組成物またはワクチンとして、ヒトを対象とする発明、または獣医による医療目的のための発明にしたがって使用することができる。 本発明のワクチンは、主として、薬学的に使用可能なキャリアを含んでいる。ここで使用される「薬学的に使用可能なキャリア」という表現には、発明のワクチンの液体状成分または非液体状成分が含まれることが好ましい。本発明のワクチンが液体状である場合、キャリアは概してピロゲンを含まない水、等張食塩水または(水性)緩衝液(例えばリン酸塩、クエン酸塩などの緩衝液)である。特に本発明のワクチン注入にあたっては、水、好ましくはバッファ、より好ましくは水性バッファを使用してもよく、ナトリウム塩(好ましくは少なくとも50mMのナトリウム塩)、カルシウム塩(好ましくは少なくとも0.01mMのカルシウム塩)、および任意でカリウム塩(好ましくは少なくとも3mMのカリウム塩)を含んでいてもよい。好ましい実施形態によれば、ナトリウム塩、カルシウム塩および必要に応じてカリウム塩は、そのハロゲン化物(例えば塩化物、ヨウ化物または臭化物)、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩または硫酸塩などの形態で作製されてもよい。以下に限定はされないが、ナトリウム塩の例としてNaCl、NaI、NaBr、Na2CO3、NaHCO3、Na2SO4などが挙げられ、任意のカリウム塩の例としてKCl、KI、KBr、K2CO3、KHCO3、K2SO4などが挙げられ、カルシウム塩の例としてCaCl2、CaI2、CaBr2、CaCO3、CaSO4、Ca(OH)2などが挙げられる。また、上記バッファは、上記カチオンの有機アニオンを含んでいてもよい。さらに好ましい実施形態によると、上記定義した注入目的に適しているバッファは、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、および必要に応じて塩化カリウム(KCl)のいずれかから選択される塩を含んでいてもよく、塩化物に加えてさらにアニオンが存在していてもよい。CaCl2はKClのような、別の塩と置換が可能である。概して、注入バッファにおける塩は塩化ナトリウム(NaCl)が少なくとも50mM、塩化カリウム(KCl)が少なくとも3mM、塩化カルシウムが少なくとも0.01mMの濃度である。注入バッファは特定の参照媒体と比べて、高張、等張または低張であってよい。すなわち、バッファは特定の参照媒体と比べて、より高い、等しい、またはより低い塩含有を有していてもよく、上記塩の上記濃度を使用することが好ましく、この場合、浸透作用またはその他の集中効果によって起こる細胞損傷を避けることができる。参照媒体は、例えば「インビボ」法において発生する液体、例えば血液、リンパ液、細胞質液またはその他の体液、あるいは「インビトロ」法において参照媒体として使用され得る液体、例えば一般的なバッファまたは液体である。このような一般的なバッファまたは液体は、当業者にとって周知である。液体成分としては、乳酸リンゲル液が特に好ましい。 しかしながら、1つまたはそれ以上の適合固形賦形剤または適合液状賦形剤、または希釈剤、または封入材料も同様に使用可能であり、患者へ投与する場合に適している。ここで使用される「適合」とは、発明のワクチンの構成物質が、上記定義した少なくとも2つの抗原をコードする活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAと混合可能であり、その混合によって、通常使用状況において、本発明のワクチンの薬剤的効果を実質的に減少させる相互作用を引き起こさない、ということを意味している。薬学的に使用可能なキャリア、賦形剤および希釈剤は、治療する患者へ投与するにあたって好適となるように、当然、十分な高純度および十分な低毒性を有していなければならない。薬学的に使用可能なキャリア、賦形剤、またはその構成物質として、使用が可能な化合物の例として、例えば、糖(例えばラクトース、グルコースおよびスクロース)、でんぷん(例えばトウモロコシでんぷんおよびジャガイモでんぷん)、セルロースおよびその派生物(例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、セルロースアセテート)、粉末状トラガント、麦芽、ゼラチン、獣脂、固形流動促進剤(例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物性油脂(例えばラッカセイ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびカカオ脂)、ポリオール(例えばポリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール)、アルギン酸が挙げられる。 薬学的に使用可能なキャリアは、原則的に本発明のワクチンを投与する方法に応じて選択される。本発明のワクチンは、例えば全身または局所的に投与できる。一般的な全身投与のための経路は、例えば、経皮経路、経口経路、非経口経路(皮下注入、静脈内注入、筋肉内注入、動脈内注入、皮内注入、腹腔内注入および/または鼻内注入経路を含む)である。一般的な局所投与のための経路は、例えば、局所性投与経路であるが、皮内注入、経皮注入、皮下注入または筋肉内注入、または病巣内注入、頭蓋内注入、胚内注入、心臓内注入および舌下注入であってもよい。皮内経路、皮下経路または筋肉内経路によってワクチンを投与することがさらに好ましい。それゆえ、組成物/ワクチンを液体状、または固体状に調剤することが好ましい。投与される発明のワクチンの好適な量は、動物モデルを使用したルーチン実験によって決定することができる。このようなモデルとしては、限定はされないが、ウサギ、ヒツジ、マウス、ネズミ、イヌおよびヒト以外の霊長類モデルが挙げられる。好ましい投薬の形態は、水の滅菌溶液、生理的食塩水またはそれらの混合物である。このような溶液のpHの値は、約7.4に調節すべきである。好適な注入キャリアは、ヒドロゲル、放出制御装置または放出遅延装置、ポリ乳酸およびコラーゲンマトリクスである。局所的に投与するために好適に薬学的に使用可能なキャリアとしては、ローション、クリーム、ジェルなどの形態において好適に使用できるものが挙げられる。本発明のワクチンが経口的に投与される場合、錠剤、カプセルなどが好適な投薬の形態である。経口投与に使用することができる投薬型を調製するための薬学的に使用可能なキャリアは、先行技術において周知である。その選択は、2次的考察、すなわち、味、コスト、保存性などによって決められ、それらは本発明の目的にとって不可欠な要素ではなく、当業者が容易に成すことができるものである。 免疫原性をより高めるために、発明のワクチンにさらに1つまたはそれ以上の補助剤を含めることができる。これにより、上記定義した活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNA、および上記定義した発明のワクチンに任意で含まれ得る補助剤の相乗作用が達成されることが好ましい。この点において、様々なタイプの補助剤によって、様々な作用を考慮することができる。例えば、樹状細胞を成熟させることができる化合物(例えばリポ多糖体、TNF−アルファまたはCD40リガンド)は、好適な補助剤の第1クラスを形成する。一般に、補助剤として、「危険信号(LPS、GP96など)」またはGM−CFSなどのサイトカインのように免疫システムに影響を及ぼす補助物質を使用することが可能である。ここで、補助物質は、対象となる方法において、本発明の免疫促進性アジュバントによってもたらされる免疫応答を強化および/または影響を与えることができる。補助剤として特に好ましいのは、サイトカイン(例えばモノカイン、リンフォカイン、インターロイキンまたはケモカイン)であり、コードされた少なくとも2つの抗原によって適応免疫応答を引き起こすことに加えて、先天性免疫応答を促進する。例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−33、INF−アルファ、IFN−ベータ、INF−ガンマ、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、LT−ベータまたはTNF−アルファ、増殖因子(例えばhGH)である。 本発明のワクチンに含まれ得る、さらなる添加物としては、乳化剤(例えばTween(商標登録))、潤滑剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、味付与剤、製薬キャリア、錠剤形成剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤などが挙げられる。 本発明のワクチンは、ヒトトール様受容体TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10に対して、(リガンドとして)その結合親和性によって免疫促進性を持つことが知られる任意の化合物、またはマウストール様受容体TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12またはTLR13に対して、(リガンドとして)その結合親和性によって免疫促進性を持つことが知られている任意の化合物をさらに含むことができる。 ここで、本発明のワクチンに付加できる化合物の別のクラスは、CpG核酸、特にCpG−RNAまたはCpG−DNAであってよい。CpG−RNAまたはCpG−DNAは、1本鎖CpG−DNA(ss CpG−DNA)、2本鎖CpG−DNA(dsDNA)、1本鎖CpG−RNA(ss CpG−RNA)または2本鎖CpG−RNA(ds CpG−RNA)であってもよい。CpG核酸はCpG−RNAという形態であることが好ましく、1本鎖CpG−RNA(ss CpG−RNA)とう形態であることがさらに好ましい。CpG核酸は、少なくとも1つまたはそれ以上の(マイトジェン)シトシン/グアニンジヌクレオチド配列(CpGモチーフ)を含んでいることが好ましい。別の好ましい第1の形態によれば、これらの配列に含まれる少なくとも1つのCpGモチーフ、すなわちCpGモチーフのC(サイトカイン)およびG(グアニン)は非メチル化されている。これらの配列に任意で含まれる、さらなるシトシンまたはグアニンはすべてメチル化されていてもよく、非メチル化されていてもよい。しかしながら、さらに好ましい別の形態によれば、CpGモチーフのC(サイトカイン)およびG(グアニン)はメチル化された形態とすることができる。 本発明のさらに好ましい目的によると、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、(本発明のワクチンを調製する目的において)前立腺癌(PCa)治療のために、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療のために使用できる。 本発明のさらに好ましい目的によると、本発明のワクチン、またはここで定義する少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAは、前立腺癌(PCa)治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療のために使用できる。 ここで、本発明は、必要性のある患者に対して薬剤として効果的な分量の本発明のワクチン、または薬剤として効果的な分量の本発明の活性(免疫賦活)組成物を投与することによる、前立腺癌(PCa)治療方法、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療方法もまた含んでいる。このような方法は、主として、第1工程(任意)として本発明の活性(免疫賦活)組成物または本発明のワクチンを調製する工程、および第2工程として(薬剤として効果的な分量の)本発明の活性(免疫賦活)組成物または本発明のワクチンを、必要性のある患者に投与する工程とを含んでいる。主として、必要性のある患者としては、哺乳動物のいずれかが選択される。本発明との関連において、哺乳動物とは、限定はされないが、以下からなる群から選択される哺乳動物であることが好ましい。すなわち、例えばヤギ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ロバ、サル、類人猿、齧歯動物(例えばマウス、ハムスター、ウサギ)および特にヒトからなる群であり、主として前立腺癌(PCa)を、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連した疾病または疾患を患っている哺乳動物である。 また、本発明は、本発明の活性(免疫賦活)組成物または本明細書において定義する少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAの(発明のワクチンを調製する目的における)使用、好ましくは哺乳動物における免疫応答を促進するための使用、好ましくは前立腺癌(PCa)治療を目的とする使用、さらに好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療を目的とする使用に関する。 同様に、本発明は、哺乳動物における適応免疫応答を促進することを目的とする、好ましくは前立腺癌(PCa)治療を目的とする、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療を目的とする、発明のワクチンそれ自体の使用またはここで定義する少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする上記少なくとも1つのRNAの使用に関する。 前立腺癌(PCa)の予防または治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の予防または治療は、本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンを1度に、または時間をずらして投与することによって(例えば複数のパーツから構成され、それぞれの構成物は少なくとも1つの(好ましくは異なる)抗原を備えているキットとして)実行されてもよい。投与にあたって、上述したように、いかなる投与経路も使用できることが好ましい。例えば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされる少なくとも2つの(特異的に選択される)抗原に基づいて、適応免疫応答を引き起こすまたは高めることによって、前立腺癌(PCa)、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患を治療することができる。本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンの投与は、異なる抗原をコードするRNAの別の組み合わせを有する、上述の本発明の別の活性(免疫賦活)組成物または本発明の別のワクチンを投与する前、同時または後であってもよく、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAにコードされる抗原それぞれが、前立腺癌(PCa)の治療に好適であることが好ましく、新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療に好適であることがさらに好ましい。ここで、本明細書において定義される治療とは、前立腺癌(PCa)に関連する疾病を、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患を修飾することも含んでいてもよい。 さらなる実施形態によると、本発明はさらに、上記定義した哺乳動物における免疫応答を修飾、好ましくは誘導または向上させることを目的とした、より好ましくは前立腺癌(PCa)、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患を治療および/または治療を補助することを目的とした、((本発明の)ワクチンを調製する目的における)本発明の活性(免疫賦活)組成物またはここで定義される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAの使用をさらに含んでいる。ここで、前立腺癌(PCa)の治療の補助は、手術、放射線治療、ホルモン治療、不定期化学治療、陽子腺治療またはそれらの組み合わせなど、任意の従来の前立腺癌治療法と、上述した本発明の活性(免疫賦活)組成物を使用する治療法との組み合わせであってもよい。また、前立腺癌(PCa)治療の補助は、上述したいかなる他の実施形態において想定されてもよい。 本発明の活性(免疫賦活)組成物またはここで定義する少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNA、または本発明のワクチンは、時間差を有する治療法において実行されてもよい。時間差を有する治療は、例えば、従来の前立腺癌(PCa)治療法、好ましくは新規の補助療法および/もしくはホルモン抵抗性前立腺癌、およびそれに関連する疾病または疾患の治療法よりも前、同時、または後に、本発明の活性(免疫賦活)組成物、または上述した少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNA、または本発明のワクチンを投与してもよい。例えば、本発明の薬剤、活性(免疫賦活)組成物、またはワクチンを前立腺癌(PCa)、好ましくは新規の補助療法、および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療、または治療に好適な治療薬の投与の前、同時、または後に投与してもよい。このような時間差を持つ治療は、例えばキット、特に下記に定義する複数のパーツからなるキットを使用して実行してもよい。 時間差を持つ治療は、付加的または代替的に、本発明の活性(免疫賦活)組成物、またはワクチン、好ましくは上記定義した少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAを、以下のように投与することを含んでいてもよい。すなわち、上述した少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNA、好ましくは本発明の活性(免疫賦活)組成物またはワクチンを構成するRNAを、好ましくは同一の活性(免疫賦活)組成物またはワクチンを部分的に構成する、該少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする別の少なくとも1つのRNAよりも前、同時、または後に投与することを含んでいてもよい。投与(すべての少なくとも1つのRNA)は、1時間以内に行なうことが好ましく、30分以内に行なうことがより好ましく、15分、10分、5分、4分、3分、2分または1分以内に行なうことがさらに好ましい。このような時間差を持つ治療は、例えばキット、好ましくは以下に定義する、複数のパーツからなるキットを使用して実行してもよい。 最後の実施形態によると、本発明はさらにキット、特に本発明の活性(免疫賦活)組成物、および/または本発明のワクチン、および本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンの投与および投与量に関する情報を記載した任意の技術指示書を含む、複数のパーツからなるキットを提供する。技術指示書は、本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンに関する投与および投与量についての情報を含んでいてもよい。このようなキット、好ましくは複数のパーツからなるキットは例えば、上述した適用または使用のいずれにも適用でき、前立腺癌(PCa)治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療を目的とする(発明の薬剤、好ましくはワクチン調製を目的とする)、少なくとも1つの本発明の活性(免疫賦活)組成物の使用に適用することが好ましい。キットは、前立腺癌(PCa)治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療を目的とする(本発明のワクチン調製を目的とする)、少なくとも1つの本発明の活性(免疫賦活)組成物の使用に適用してもよく、コードされた2つの抗原によって、本発明の活性(免疫賦活)組成物および/またはワクチンが、上記定義した哺乳動物における免疫応答を促進または向上させることを可能にしてもよい。このようなキットはさらに、(発明の薬剤、好ましくはワクチン調合を目的として)少なくとも1つの本発明の活性(免疫賦活)組成物の使用に適用することができ、上記定義した哺乳動物における免疫応答を修飾して、好ましくは引き起こして(例えば誘導または向上させ)、好ましくは前立腺癌(PCa)治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌、およびそれに関連する疾病または疾患の治療を補助することを目的とする使用に適用することができる。キットの特別な形態として、複数のパーツからなるキットは同一のまたは異なる、本発明の活性(免疫賦活)組成物、および/または1つまたはそれ以上の異なる、本発明のワクチンを、キットの異なるパーツに含んでいてもよい。複数のパーツからなるキットは、また、(例えば1つの)本発明の活性(免疫賦活)組成物、(例えば1つの)本発明のワクチン、および/または上記定義した少なくとも1つの抗原をコードする少なくとも1つのRNAを、キットの異なるパーツに含んでいてもよい。例えば、キットのパーツそれぞれが(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAを備えていてもよい。さらに、複数のパーツからなるキットにおける上記両方のタイプを組み合わせてもよい。複数のパーツからなるキットは例えば、時間差を有する治療を想定した場合、例えば生体内(インビボ)において同一の治療をしている間に、異なる処方設計を使用している場合、および/または本発明の活性(免疫賦活)組成物、本発明のワクチンおよび/または上記定義した少なくとも1つの抗原をコードする少なくとも1つのRNAの濃度を上げる場合に使用してもよい。複数のパーツからなるキットは、また、本発明の活性(免疫賦活)組成物の異なる抗原を分離した処方設計にて、または分離した投与にて(すなわち、分割して)使用することが(例えば技術的理由によって)想定または必要とされるときに使用されてもよいが、例えば、インビボにおいて異なる抗原を組み合わせて使用することも可能である。特別な形態を持つキットとして、複数のパーツからなるキットは、特に、キットのそれぞれのパーツが、上記定義した少なくとも1つの(好ましくは異なる)抗原を含んでおり、キットのすべてのパーツが、本明細書において定義する本発明の活性(免疫賦活)組成物または発明のワクチンを形成していることが好ましい。複数のパーツからなる、このような特定のキットは、特に、例えば異なる抗原が別々に、キットの異なるパーツとして処方設計されているが、その後同時に、または時間差を持って、必要とする哺乳動物に投与される場合に好適である。後者の場合、主として、このようなキットの異なるパーツのすべてを、短い制限時間内において投与し、キットの最後のパーツが投与された後、ほぼ同時に哺乳動物内においてすべての抗原が存在するように投与される。上述したいずれのキットも、上記定義した治療法において使用してよい。 〔発明の効果〕 本発明は前立腺癌(PCa)治療のための活性(免疫賦活)組成物を提供するものであって、哺乳動物における(適応)免疫応答を誘導することができる少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNA(好ましくはmRNA)を含んでおり、上記抗原はPSA(前立腺特異抗原)、PSMA(前立腺特異膜抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)およびSTEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)からなる群から選択されることを特徴とする、活性(免疫賦活)組成物を提供する。このような活性(免疫賦活)組成物は、前立腺癌(PCa)に対する効率的な治療を可能にする、または従来の治療法を使用において補助的治療を可能にする。さらに、本発明は治療法のための方法としてRNAを使用することによって、導入されたDNA配列が制御不能に増殖してしまうという問題を回避する。本発明の活性(免疫賦活)組成物において使用されるRNAは、DNA発現システム(例えば免疫応答、免疫付与またはワクチン接種において)において、さらなる顕著な利点を有している。利点として、特に、細胞に導入されたRNAがゲノムに組み込まれない点が挙げられる。これにより、遺伝子が突然変異してしまう危険性を回避する。この突然変異は完全、または部分的な不活性化、または誤った遺伝子情報を引き起こす可能性がある。さらに、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、DNAを抗原として使用して免疫応答を誘導する際に付随する他のリスク(例えばワクチンとして使用した場合)、例えば外来DNAが導入された患者において病原性抗DNA抗体を誘導して、(至死的な場合もある)免疫応答を引き起こすというリスクを回避する。その一方で、抗RNA抗体は検出されていない。 〔図面の簡単な説明〕 以下の図面は本発明をさらに詳しく説明するためのものである。これらは本発明の対象を制限することを意図したものではない。 図1は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードする、プラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30(配列番号1)を示す図である(このコンストラクトは以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン処理のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に〜30×シトシンを(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写実験によって、対応するRNAコンストラクトを調製するためのベースとして供給される)。 図2は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号2)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSA(前立腺特異抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図3は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードする、RNAコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号3)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSA(前立腺特異抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図4は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードする、プラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30(配列番号4)を示す図である(このコンストラクトは以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン処理のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNAコンストラクトを生成するためのベースとして供給される)。 図5は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするRNAコンストラクトとなるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号5)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図6は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号6)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図7は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするプラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30(配列番号7)を示す図である(上記構成は以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン処理のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNA構成を生成するためのベースとして供給される)。 図8は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号8)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図9は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号9)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図10は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするプラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30(配列番号10)を示す図である(上記構成は以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン処理のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNA構成はコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNA構成を生成するベースとして供給される)。 図11は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号11)、すなわち、GC最適配列を持たずに、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図12は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号12)、すなわち、GC最適配列を持ち、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図13は、抗原特異的抗体を検出することによって検出された抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)を示す図である(図13に示すように、RNA−Mix、すなわちPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテルを投与することにより、バッファまたはコントロール(対称)を含むサンプルと比べて、PSAに対してIgG2抗体が著しく形成され、抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)が著しく誘導された)。 図14は、エリスポットによって検出された抗原特異的細胞免疫応答を示す図である(図15に示すように、RNA−Mix、すなわちPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテル、またはPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを使用した、マウスに対するワクチン接種によって、天然マウスおよびバッファを使用してワクチン接種されたマウスと比べて、INFガンマが著しく形成されて、抗原特異的免疫応答が著しく誘導された)。 図15は、PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを5μg含む、発明のPCa−RNAカクテルを使用した、免疫付与および腫瘍治療を示す図である(図15に示すように、(a)PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテルを2回i.m(筋肉内経路)にて使用した免疫付与において、腫瘍容積が著しく減少した。腫瘍容積は、上記(a)によるPCa−RNAカクテルを4回i.m(筋肉内経路)にて投与されたとき、さらに減少している)。 図16は、PSA特異的IgG1抗体の誘導を示す図である。特に、図16では、ヒト前立腺分化抗原であるPSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAを含んでいる、4つの成分からなるmRNAワクチンを接種したマウスの腫瘍抗原PSAに特異的なIgG1抗体の存在を示す。抗体は、それぞれカチオン性ペプチドプロタミンによって調製した。コントロールのマウスは、バッファ(リンガー乳酸塩)、またはmRNAワクチンのプロタミン類似体によって調製した無関係のRNA(Pp Luc)のいずれかにより処理した。血清分析のため、グループ毎に5匹のマウスから血清を採取し、滴定した。エラーバーは、平均値から2回の繰り返しの平均偏差を示す。 図17は、PSA特異的IgG2a抗体の誘導を示す図である。特に、図17では、ヒト前立腺分化抗原であるPSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含んでいる、4つの成分からなるmRNAワクチンを接種したマウスの腫瘍抗原PSAに特異的なIgG2aの存在を示す。抗体は、それぞれカチオン性ペプチドプロタミンによって調製した。コントロールのマウスには、バッファ(リンガー乳酸塩)、またはmRNAワクチンのプロタミン類似体によって調製されたRNA(Pp Luc)どちらかを投与した。それぞれのグループにおける5匹のマウスから採取した血清をため、滴定して、分析を行った。エラーバーは平均からの、2つの複製の平均偏差を示している)。 図18は、PSCA特異的IgG1抗体の誘導の結果を示す図である。図18では特に、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む、4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用してワクチン接種されたマウスにおける、腫瘍抗原PSCAに対して特異的なIgG1抗体の存在を示している。それぞれの抗原はカチオン性ぺプチドプロタミンから調製した。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を投与した。それぞれのグループにおける5匹のマウスから採取した血清をため、滴定して、分析を行った。エラーバーは平均からの、2つの複製の平均偏差を示している。 図19は、PSMA特異的細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、それぞれのグループにおける5匹のマウスに対して、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチン、またはmRNAワクチンに対するプロタミン類似体から調製された無関連なmRNA(Pp Luc)を使用して、ワクチン接種を行った。ワクチン接種されたマウスおよびコントロールマウスの脾細胞を、最終ワクチン投与から6日後に分離し、PSMA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリー、どちらかを使用して促進した。IFN−γ分泌は、エリスポット技術を使用して、生体外において測定した。ラインは、別々に分析された、それぞれのグループにおける5匹のマウスの平均値および範囲を示している。統計分析はグラフパッドプリズム(GraphPad Prism)を用いて実行し、p値は片側マンホイットニー検定(one-sided Mann-Whitney test)を用いて算出した。 図20は、インビボにおけるPSMA特異的細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、C57BL/6マウスに対して、皮内経路にてワクチン接種サイクルを3度繰り返し、ワクチン接種を行った。コントロールマウスにはコントロールmRNA Pp Luc、またはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用してワクチン接種を行った。最終注入から6日後、30x106特異的標識脾細胞(PSMA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーが負荷され、1:1の割合にて混合された低個体群および高個体群)を静脈内注入した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは個々のマウスごとに、単一のデータポイントを示している。ラインは平均値および値の範囲を示している。それぞれのグループにおいて5匹のマウスを分析した。統計分析はグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値はマンホイットニー検定を用いて算出した)。 図21は、最後にワクチンを接種してから10週間後における、PSA特異的記憶細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、2ワクチン接種サイクルを2回繰り返し、C57BL/6マウスに対してワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用した。最終注入から10週間後、30×106特異的標識脾細胞(PSA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーを負荷され、1:1の割合にて混合された、低個体群および高個体群)を静脈内に移植した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは単一のデータポイントを示し、ラインは別々に分析したそれぞれのグループにおける6匹のマウスの平均値を示している。統計分析をグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値をマンホイットニー検定を用いて算出した)。 図22は、最後にワクチンを接種してから10週間後における、PSCA特異的記憶細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、ワクチン接種サイクルを2回繰り返して、C57BL/6マウスにワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用した。最終注入から10週間後、30×106特異的標識脾細胞(PSCA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーが負荷された、1:1の割合にて混合された、低個体群および高個体群)を静脈内に移植した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは単一のデータポイントを示し、ラインは別々に分析されたそれぞれのグループにおける6匹のマウスの平均値を示している。統計分析をグラフパッドプリズム用いて実行し、p値をマンホイットニー検定テストを用いて算出した。 図23は、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用してワクチン接種されたマウスにおける腫瘍成長の抑制を示す図である。ここでは、mRNAワクチンを使用して、ワクチン接種サイクルを2回繰り返し、C57BL/6マウスに対して静脈内ワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファを使用した。最終ワクチン接種から15日後、1×106同種TRAMP−C1腫瘍細胞を皮下経路にて用いて、マウスに対して試験を行った。腫瘍成長を監視した。グラフは腫瘍導入から52日後に測定した腫瘍容積の対数を示している。統計分析はグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値をマンホイットニー検定を用いて算出した。 〔実施例〕 以下の実施例は本発明をさらに説明するためのものである。これらは、本発明の対象を制限することを意図してはいない。 〔1.コードプラスミドの調製〕 以下の実験では、下記の抗原をそれぞれ末端にコードするmRNA配列に対応するDNA配列を調整し、インビトロ転写およびトランスフェクション実験に使用した。・PSA(前立腺特異抗原)・PSMA(前立腺特異膜抗原)・PSCA(前立腺幹細胞抗原)および、・STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)これにより、野生型抗原をコードするmRNA(図2、5、8および11(すなわち、配列番号2、5、8および11)に示されるコード配列を含んでなる配列)に対応するDNA配列を、より良いコドン使用のためにGC最適化し、図3、6、9および12(配列番号3、6、9および12)に示されるコード配列からなる配列を得た。その後、ポリ−A−タグおよびポリ−C−タグ(A70−C30)を用いて修飾したGC最適化コンストラクト(CureVac GmbH,Tubingen,ドイツ)に、コード配列を転写した。最終的なコンストラクトは、それぞれ以下のようになった:RNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30(配列番号1)、RNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30(配列番号4)、RNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30(配列番号7)および、RNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30(配列番号10)と称する。最終的なコンストラクトはそれぞれ、図1、4、7および10(配列番号1、4、7および10)に示される配列による配列を含んでおり、以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン使用のためのGC最適配列、3’−末端に〜70個のアデノシン(ポリ−A−尾部)3’−末端に30個のシトシン(ポリ−C−尾部) 〔2.インビトロ転写〕 実施例1において得られた組換えプラスミドDNAを基に、インビトロ転写によってRNA配列を調製した。その結果線形化した組換えプラスミドDNAを、続いてT7RNAポリメラーゼを用いて、インビトロ転写した。その後、DNAテンプレートをDNase I消化によって分解し、RNAをLiCl沈殿によって再生し、さらにHPLC抽出によって洗浄した(PUREMessenger(商標登録),CureVac GmbH,Tubingen,ドイツ)。 〔3.プロタミンとの複合〕 RNAを細胞および生体に導入するために、インビトロ転写によって得られたRNAを好ましくは複合させ、より好ましくはRNAをプロタミンに混合することで、プロタミンと複合させた。 〔4.免疫付与実験〕 免疫付与のため、上述したインビトロ転写実験(実施例2参照)によって得られたRNA、好ましくはプロタミンと複合しているRNAを、マウス(Mice:C57 BL/6)に導入した。異なるグループにワクチンを接種し、1つのグループ(コントロールグループ)に属するマウスにはコントロール(対称)として、バッファを注入した。グループごとに4匹のマウスに、プロタミンと複合した20μgのmRNA(遺伝子ごとに5μg)を4回経皮投与して免疫を与えた。ここで、RNAはPSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをコードしていた。 〔5.抗原特異的免疫応答の検出(B細胞免疫応答)〕 抗原特異的抗体を検出することによって、抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)を検出した。その結果、ワクチン接種したマウスから、最後にワクチンを投与してから1週間経過した後、血液サンプルを採取し、血清を調製した。MaxiSorbプレート(Nalgene Nunc International)をヒトPSAタンパク質(0.5μg/well)を用いてコートした。1×PBS含有0.05%Tween−20および1%BSAを用いてブロックした後、プレートを希釈したマウス血清(1:30、1:90、1:270、1:810)とともに培養した。その後、ビオチン結合した第2抗体(抗マウスIgG2a Pharmingen)を加えた。洗浄後、プレートをセイヨウワサビペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン(Horseradish peroxidase-streptavidi)とともに培養し、その後、ABTS基質((2,2’−アジノ−bis(3−エチル−ベンズチアゾリン−6−スルホン酸)の転換を測定した。 図13に示すように、RNA−Mix、すなわちPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNA(図1、4、7および10(配列番号1、4、7および10)それぞれに示される配列)を含むPCa−RNAカクテルの投与は、コントロールのマウスから得たサンプルと比較してPSAに対するIgG2a抗体の形成が顕著であったため、抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)の著しい誘導を示した。 〔6.エリスポット(ELISPOT)による抗原特異的細胞免疫応答の検出〕 最後にワクチンを接種してから2ヵ月経過したマウスを殺傷し、脾臓を摘出し、脾細胞を分離した。脾細胞を、IL−4の存在下において7日間培養し、樹状細胞を選択した。抗原特異的細胞免疫応答を検出するために再び刺激した後、INFガンマ分泌を測定した。標的細胞として、野生型マウスから採取した脾細胞を使用した。脾細胞はPCa−mRNA−カクテル(Mix)、またはPSA、PSMA、PSCAもしくはSTEAPをコードするmRNA(図1、4、7および10(配列番号1、4、7および10)それぞれに示される配列)を用いて電気穿孔した。 INFガンマ検出のために、コートマルチスクリーンプレート(Millipore)を、INFγ(BD Pharmingen,Heidelberg,ドイツ)に対する抗体を含む0.1Mのコートバッファ(Carbonat−Bicarbonat Buffer pH9.6、10.59g/lNa2CO3、8.4g/lNaHCO3)と共に、一晩培養した。標的細胞およびエフェクター細胞を1:20の割合にて、1つのプレートにおいて24時間一緒に培養した。プレートを1×PBSを用いて洗浄し、ビオチン結合第2抗体を用いて培養した。1×PBS/0.05%Tween−20によって洗浄した後、基質(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸塩/Nitro Blue Tetrazolium Liquid Substrate System from Sigma Aldrich,Taufkirchen,ドイツ)をプレートに加えることにより、基質の転換を視覚的に検出できた。 図14に示すように、PSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをコードするPCa−mRNAカクテル(図1、4、7および10(配列番号1、4、7および10)にそれぞれ示される配列)をマウスにワクチン接種したところ、野生型マウスおよびバッファを使用してワクチン接種したマウスと比較して、INFガンマが著しく形成され、4つの抗原すべてに対して抗原特異免疫応答(CTL)が著しく引き起こされた。 〔7.腫瘍試験〕 (a)免疫付与 mRNA(PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを5μgずつ含むPCa−RNAカクテル、例えばRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30、RNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30、RNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30およびRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30(図1、4、7および10(すなわち配列番号1、4、7および10)に示される配列)をそれぞれ構成するmRNA)を20μg、筋肉内経路にてマウスに注入した。7週間にわたって、免疫付与を1回または3回繰り返した。最後に免疫付与してから40日後、MioTramp−C1腫瘍細胞を皮下経路にてマウスに注入した。50日間、腫瘍体積を測定した。 (b)結果 図15に示すように、腫瘍体積は、(a)PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPca−RNAカクテルによって、をi.m(筋肉内経路)にて2回使用した免疫付与において、著しく減少した。腫瘍体積は、上記(a)によるPCa−RNA カクテルを筋肉内経路にて4回投与したとき、さらに著しく減少した。 〔8.mRNAワクチン調製、および抗原特異的細胞傷害性抗体および抗原特異的傷害性T細胞の誘導〕 (8.1.mRNAワクチン調製) mRNAワクチンは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNA(配列番号3、6、9および12に示される)からなり、それぞれの抗原は80%(v/v)リンガー乳酸塩溶液に、カチオン性ペプチドプロタミンを4:1の質量比(RNA:プロタミン)にて溶解して調製される。 (8.2.ワクチン接種) 上記8.1に記載したmRNAワクチンを64μg(各抗原を16μg)、C57BL/6のマウスに皮内経路にてワクチン接種した。コントロールのマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)、mRNAワクチンに対するプロタミン類似体を使用して調整した無関係のRNA(フォチナスフィラリスルシフェラーゼ(Photinus pyralis luciferase)をコードする、高GCmRNA)どちらかを使用した。ワクチン接種は第1週、第3週(および第7週)において、2回または3回の免疫付与サイクルにて行った。それぞれのサイクルにおいて、4回(週の1日目、2日目、3日目および4日目)注入した。 (8.3.腫瘍試験) ワクチン接種完了から15日後、各マウスに、1×106TRAMP−C1細胞(ヒトPSMA、PSCAおよびSTEAPに対するマウスホモログを発現している、マウス前立腺細胞株1における遺伝子組換え腺癌)を皮下経路にて移植した。腫瘍は、腫瘍細胞移植から4週間後には明確となった。キャリパーを使用して腫瘍サイズを測定し、腫瘍成長を観察した。 (8.4.抗原特異的抗体の検出) ワクチン接種から14日後、血液サンプル(200μl)を眼窩後方から採取し、血清を下記のELISAプロトコルを使用して、抗原特異的抗体サブタイプIgG1およびIgG2aの存在から分析した。96ウェルのELISAプレートを組み替えタンパク質PSCAまたはヒト精製PSA(どちらもコートバッファにおいて10μg/ml)によってコートし、(ブロックし、洗浄した後に)血清とともに37℃にて4時間培養した。マウスIgG1またはマウスIgG2aに対するビオチン標識抗体とともに培養し、HRP−ストレプトアビジンとともに培養した後、TMB基質を加えた。比色反応を、Tecan ELISAリーダーを使用して、450nmにて測定した。 (8.5.CTL(細胞傷害性T細胞)反応のエリスポット検出) CTL(細胞傷害性T細胞)反応を検出するにあたって、エリスポット法によって、特定の刺激に対するIFN−γ分泌の分析を、単一細胞レベルにて視覚化することができる。上記8.1において記載したmRNAワクチンを接種したマウス、およびコントロールマウスの脾細胞を、3番目のワクチン接種サイクルにおいて最後にワクチンを接種してから6日後に分離し、その後、α−IFN−γ捕獲抗体によってコートされた96ウェルのエリスポットプレートへと移した。その後、PSMA由来ペプチドライブラリー、またはコントロール(対象)としてHIV由来ライブラリーどちらかを使用し、細胞を37℃にて24時間刺激した。どちらのライブラリーも、1μg/ペプチド/ml濃度にて使用した。培養期間経過後、細胞をプレートから洗浄し、細胞から分泌されたIFN−γを、マウスのIFN−γに対するビオニチル化二次抗体、その後ストレプトアビジン−AKPを使用して検出した。BCIP/NBT基質を使用してスポットを視覚化し、自動エリスポットリーダー(Immunospot Analyzer,CTL Analyzers LLC)を使用してカウントした。 (8.6.インビボ細胞傷害性) インビボにおける細胞傷害性T細胞の活性を検出するために、ワクチンを接種したマウスおよびコントロールのマウスにおける、特定の標的細胞の溶解を分析した。記憶細胞傷害性Tリンパ球の誘導を検出するために、分析は最後に免疫付与してから1週間後および10週間後に行った。 実験未使用マウスから採取した脾細胞を分離し、濃度の違う2つの蛍光染料CFSEを使用して標識した。これにより、高蛍光度および低蛍光度の2つの個体群を生成した。低蛍光細胞に、37℃にて3時間に渡って、PSMA、PSAまたはPSCA由来制限ペプチドライブラリー(1μg/ml/ペプチド)を負荷した。それに応じて、高蛍光コントロール細胞に、HIVPol由来ペプチドライブラリー(1μg/ml/ペプチド)を負荷した。両方の個体群を細胞内において1:1の細胞割合にて混合し、実験未使用マウスまたはワクチンを接種した受容マウスに静脈内経路にて移植した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって蛍光細胞の存在を分析した。ワクチンを接種したマウスにおける低蛍光細胞と高蛍光細胞との割合の変化は、インビボにおける標的細胞の特異的な死滅を示した。観察された特定の標的細胞およびコントロール細胞の数の正確な割合は、すべてのコントロールマウスにおける平均値とみなした。この割合によって、ワクチンを接種したマウスにおいて想定される特定の標的を、観察されたコントロール細胞に基づいて予想することができる。特定の標的の、観察された数と、予想された数との比は、残存(死滅していない)特定標的の割合を示す。 以下の公式を適用した: 残存特定標的の割合=コントロールマウスにおける(観察された)特定標的/コントロールマウスにおける(観察された)コントロール標的 残存特定標的の割合×ワクチン接種マウスにおいて観察されたコントロール標的の数=ワクチン接種マウスにおける予想された特定標的の数 死滅%=(1−(観察された特定標的/予想された特定標的) (8.7.統計分析) グラフパッド(GraphPad Prism)Software Version 5.01を使用して、統計分析を行なった。サンプル個体群の正規分布が欠如しており、サンプルサイズが小さいため、非パラメトリックマンホイットニー検定(non-parametric Mann Whitney tests)を5%の危険率有意水準にて使用して、テストグループ間の差分を分析した。 (8.9.結果および考察) ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAからなるmRNAワクチンをマウスに接種した。それぞれの抗原は、別々に、質量比4:1(RNA:プロタミン)にて、カチオン性ペプチドプロタミンを使用して調製した。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)またはmRNAワクチンに対するプロタミン類似体によって調製した無関係のRNA(PpLuc)を使用した。 (a)mRNAワクチンを使用したワクチン接種に対する、抗原特異的抗体の誘導 抗体を検出するために必要な組換えタンパク質の可用性に制限があり、4つのうち2つの抗原に対する特定の抗体の誘導を試験した。分析したどちらのタンパク質においても、PSA抗原特異的抗体およびPSCA抗原特異的抗体が、mRNAワクチンを接種したマウスの血清において検出され、どちらのmRNAもインビボにおいて機能性および免疫原性を有することが証明された(図16〜図18参照)。 (b)mRNAワクチンを使用したワクチン接種に対する、抗原特異的細胞傷害性T細胞の誘導 さらに、mRNAワクチン投与に対する細胞傷害性T細胞の活性化を、2つの独立した機能性分析を適用して分析した。すなわち、IFN−γの分泌、およびインビボ細胞傷害性分析である。IFN−γはThl反応の主要なメディエーターであり、活性化されたCTLによって分泌される。それゆえ、ワクチン接種マウスの脾細胞における抗原特異的細胞傷害性T細胞の存在を、エリスポット技術を使用して調査した。脾細胞用抗原促進剤として、制限PSMA由来ペプチドラブラリーを使用した。このライブラリーによる刺激は、高いIFN−γ分泌を引き起こしたが、上記mRNAワクチンを用いてワクチンを接種したマウスの脾細胞においてのみであり、関連のないタンパク質ルシフェラーゼ(Pp Luc)をコードするmRNAを用いてワクチンを接種したコントロールマウスには現れなかった。HIV由来コントロールペプチドライブラリーに反応した脾細胞は1つもなかった(図19参照)。 PSMAに対する抗原特異的細胞性免疫は、インビボ細胞傷害性分析によって確認できた。制限PSMA由来ペプチドライブラリーを負荷された標的細胞を特異的に死滅することが、mRNAワクチンを接種した5匹のマウスすべてにおいて観察されたが、細胞傷害効果は12%〜90%の間であった。コントロールRNA(Pp Luc)または注射液(リンガー乳酸塩)を使用してワクチンを接種されたマウスは、注入された標的細胞を除去できなかった(図20参照)。 別の実験において、mRNAワクチンを使用したワクチン接種がインビボにおいて持続記憶効果を誘導するかどうかを調査した。この論点に取り組むために、ワクチン接種が完了してから10週間後に、抗原特異的記憶細胞傷害性T細胞の存在をインビボ細胞傷害性テストによって確認した。PSA用およびPSCA用のワクチン接種の後では、標的細胞が特異的に殺傷されることが観察された(図21および図22参照)。総合すれば、mRNAワクチンは、マウスにおいて、長期間に渡って効果が持続する(少なくとも10週間)細胞免疫を誘導する。 最後に、マウスにおいて、mRNAワクチンが抗腫瘍反応を誘導する能力を試験した。この論点に取り組むに当たって、TRAMP−C1腫瘍細胞株を使用した。TRAMP−C1は、mRNAをコードする抗原としてmRNAワクチンに含まれる、ヒト抗原PSMA、PSCAおよびSTEAPに対するマウスホモログを発現させる。マウスとヒトとの相同性は、抗原によって50%〜80%の範囲において異なる。実際には、マウスにヒトタンパク質をコードするmRNAを使用してワクチン接種したため、TRAMP−C1腫瘍細胞に対する防御は、交差反応によって媒介されることしかできない。図23に示されるように、マウスに対するmRNAワクチンを使用したワクチン接種は、移植されたTRAMP−C1腫瘍の成長に対する防御を媒介した。この観察によって、マウスにおいて、mRNAワクチンが交差反応を誘導する能力が示された。図1は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードする、プラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30(配列番号1)を示す図である(このコンストラクトは以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン使用のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に〜30×シトシンを(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写実験によって、対応するRNAコンストラクトを調製するためのベースとして供給される)。図2は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号2)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSA(前立腺特異抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図3は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードする、RNAコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号3)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSA(前立腺特異抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図4は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードする、プラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30(配列番号4)を示す図である(このコンストラクトは以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン使用のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNAコンストラクトを生成するためのベースとして供給される)。図5は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするRNAコンストラクトとなるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号5)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図6は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号6)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図7は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするプラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30(配列番号7)を示す図である(上記構成は以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン使用のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNA構成を生成するためのベースとして供給される)。図8は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号8)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図9は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号9)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図10は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするプラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30(配列番号10)を示す図である(上記構成は以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン使用のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNA構成はコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNA構成を生成するベースとして供給される)。図11は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号11)、すなわち、GC最適配列を持たずに、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図12は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号12)、すなわち、GC最適配列を持ち、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図13は、抗原特異的抗体を検出することによって検出された抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)を示す図である(図13に示すように、RNA−Mix、すなわちPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテルを投与することにより、バッファまたはコントロール(対称)を含むサンプルと比べて、PSAに対してIgG2抗体が著しく形成され、抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)が著しく誘導された)。図14は、エリスポットによって検出された抗原特異的細胞免疫応答を示す図である(図15に示すように、RNA−Mix、すなわちPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテル、またはPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを使用した、マウスに対するワクチン接種によって、天然マウスおよびバッファを使用してワクチン接種されたマウスと比べて、INFガンマが著しく形成されて、抗原特異的免疫応答が著しく誘導された)。図15は、PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを5μg含む、発明のPCa−RNAカクテルを使用した、免疫付与および腫瘍治療を示す図である(図15に示すように、(a)PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテルを2回i.m(筋肉内経路)にて使用した免疫付与において、腫瘍容積が著しく減少した。腫瘍容積は、上記(a)によるPCa−RNAカクテルを4回i.m(筋肉内経路)にて投与されたとき、さらに減少している)。図16は、PSA特異的IgG1抗体の誘導を示す図である。特に、図16では、ヒト前立腺分化抗原であるPSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAを含んでいる、4つの成分からなるmRNAワクチンを接種したマウスの腫瘍抗原PSAに特異的なIgG1抗体の存在を示す。抗体は、それぞれカチオン性ペプチドプロタミンによって調製した。コントロールのマウスは、バッファ(リンガー乳酸塩)、またはmRNAワクチンのプロタミン類似体によって調製した無関係のRNA(Pp Luc)のいずれかにより処理した。血清分析のため、グループ毎に5匹のマウスから血清を採取し、滴定した。エラーバーは、平均値から2回の繰り返しの平均偏差を示す。図17は、PSA特異的IgG2a抗体の誘導を示す図である。特に、図17では、ヒト前立腺分化抗原であるPSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含んでいる、4つの成分からなるmRNAワクチンを接種したマウスの腫瘍抗原PSAに特異的なIgG2aの存在を示す。抗体は、それぞれカチオン性ペプチドプロタミンによって調製した。コントロールのマウスには、バッファ(リンガー乳酸塩)、またはmRNAワクチンのプロタミン類似体によって調製されたRNA(Pp Luc)どちらかを投与した。それぞれのグループにおける5匹のマウスから採取した血清をため、滴定して、分析を行った。エラーバーは平均からの、2つの複製の平均偏差を示している)。図18は、PSCA特異的IgG1抗体の誘導の結果を示す図である。図18では特に、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む、4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用してワクチン接種されたマウスにおける、腫瘍抗原PSCAに対して特異的なIgG1抗体の存在を示している。それぞれの抗原はカチオン性ぺプチドプロタミンから調製した。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を投与した。それぞれのグループにおける5匹のマウスから採取した血清をため、滴定して、分析を行った。エラーバーは平均からの、2つの複製の平均偏差を示している。図19は、PSMA特異的細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、それぞれのグループにおける5匹のマウスに対して、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチン、またはmRNAワクチンに対するプロタミン類似体から調製された無関連なmRNA(Pp Luc)を使用して、ワクチン接種を行った。ワクチン接種されたマウスおよびコントロールマウスの脾細胞を、最終ワクチン投与から6日後に分離し、PSMA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリー、どちらかを使用して促進した。IFN−γ分泌は、エリスポット技術を使用して、生体外において測定した。ラインは、別々に分析された、それぞれのグループにおける5匹のマウスの平均値および範囲を示している。統計分析はグラフパッドプリズム(GraphPad Prism)を用いて実行し、p値は片側マンホイットニー検定(one-sided Mann-Whitney test)を用いて算出した。図20は、インビボにおけるPSMA特異的細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、C57BL/6マウスに対して、皮内経路にてワクチン接種サイクルを3度繰り返し、ワクチン接種を行った。コントロールマウスにはコントロールmRNA Pp Luc、またはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用してワクチン接種を行った。最終注入から6日後、30x106特異的標識脾細胞(PSMA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーが負荷され、1:1の割合にて混合された低個体群および高個体群)を静脈内注入した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは個々のマウスごとに、単一のデータポイントを示している。ラインは平均値および値の範囲を示している。それぞれのグループにおいて5匹のマウスを分析した。統計分析はグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値はマンホイットニー検定を用いて算出した)。図21は、最後にワクチンを接種してから10週間後における、PSA特異的記憶細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、2ワクチン接種サイクルを2回繰り返し、C57BL/6マウスに対してワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用した。最終注入から10週間後、30×106特異的標識脾細胞(PSA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーを負荷され、1:1の割合にて混合された、低個体群および高個体群)を静脈内に移植した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは単一のデータポイントを示し、ラインは別々に分析したそれぞれのグループにおける6匹のマウスの平均値を示している。統計分析をグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値をマンホイットニー検定を用いて算出した)。図22は、最後にワクチンを接種してから10週間後における、PSCA特異的記憶細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、ワクチン接種サイクルを2回繰り返して、C57BL/6マウスにワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用した。最終注入から10週間後、30×106特異的標識脾細胞(PSCA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーが負荷された、1:1の割合にて混合された、低個体群および高個体群)を静脈内に移植した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは単一のデータポイントを示し、ラインは別々に分析されたそれぞれのグループにおける6匹のマウスの平均値を示している。統計分析をグラフパッドプリズム用いて実行し、p値をマンホイットニー検定テストを用いて算出した。図23は、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用してワクチン接種されたマウスにおける腫瘍成長の抑制を示す図である。ここでは、mRNAワクチンを使用して、ワクチン接種サイクルを2回繰り返し、C57BL/6マウスに対して静脈内ワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファを使用した。最終ワクチン接種から15日後、1×106同種TRAMP−C1腫瘍細胞を皮下経路にて用いて、マウスに対して試験を行った。腫瘍成長を監視した。グラフは腫瘍導入から52日後に測定した腫瘍容積の対数を示している。統計分析はグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値をマンホイットニー検定を用いて算出した。 互いに異なる、少なくとも2つ、3つまたは4つの抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含んでいる活性(免疫賦活)組成物であって、(a)少なくとも1つの抗原は:・STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原);から選択され、(b)残りの抗原は、以下の抗原もしくはこれらの特定の組み合わせ:・PSA(前立腺特異抗原)、・PSMA(前立腺特異膜抗原)、もしくは、・PSCA(前立腺幹細胞抗原);または、・PSAおよびPSMA、・PSAおよびPSCA、もしくは、・PSMAおよびPSCA;または、・PSA、PSMAおよびPSCA;のうちの少なくとも1つから選択される、活性(免疫賦活)組成物。 PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPから選択される4つの異なる抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含んでいる、請求項1に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも1つのRNAは、250〜20000ヌクレオチドの長さである、請求項1または2に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも1つのRNAはmRNAである、請求項1から3のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも1つのRNAは、モノシストロン性RNA、ビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAである、請求項1から4のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも2つの抗原は、それぞれモノシストロン性RNAによってコードされている、請求項5に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも2つの抗原は、ビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAによってコードされている、請求項5に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも2つの抗原は、モノシストロン性RNA、ビシストロン性RNAおよび/またはマルチシストロン性RNAの混合物によってコードされている、請求項5に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも1つのRNAは、請求項1または2に記載の抗原の断片、変異体またはエピトープをコードするRNA配列を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物。 少なくとも1つのRNAは、図2、5、8または11(配列番号2、5、8または11)に示されるRNA配列と同一、または少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%もしくは80%同一であるRNAから選択されるRNAを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも1つのRNAは、修飾されたRNA、特に安定化されたmRNAである、請求項1から10のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも1つのRNAのコード領域のG/C含有量は、野生型RNAのコード領域のG/C含有量と比較して増加しており、好ましくは上記少なくとも1つのRNAをコードするアミノ酸配列は、野生型RNAをコードするアミノ酸配列と比較して修飾されていない、請求項11に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも1つのRNAのリボソーム結合部位の周囲におけるA/U含有量は、野生型RNAのリボソーム結合部位の周囲におけるA/U含有量と比較して増加している、請求項11または12に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記修飾されたmRNAのコード領域、ならびに/または、5’非翻訳領域および/もしくは3’非翻訳領域は、野生型RNAと比較して不安定化配列要素を含まないように修飾されており、好ましくは上記修飾されたmRNAをコードするアミノ酸配列は、野生型RNAと比較して修飾されていない、請求項11または12のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記修飾されたmRNAは、好ましくは10〜200アデノシンヌクレオチドの5’キャップ構造および/もしくはポリ(A)尾部、好ましくは10〜200シトシンヌクレオチドのポリC尾部、少なくとも1つのIRES、および/または少なくとも1つの5’安定化配列および/もしくは3’安定化配列を含む、請求項11から14のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物。 少なくとも1つのRNAは、図1、3、4、6、7、9、10または12(配列番号1、3、4、6、7、9、10または12)に示されるRNA配列と同一、または少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%または80%同一であるRNAから選択されるRNAを含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも1つのRNAは、1つまたはそれ以上のポリカチオン、好ましくはプロタミンまたはオリゴフェクタミン、最も好ましくはプロタミンと複合している、請求項1から16のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物。 少なくとも1つのアジュバントを含んでいる、請求項1から17のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物。 上記少なくとも1つのアジュバントは、カチオン性もしくはポリカチオン性のペプチド、またはタンパク質(プロタミン、ヌクレオリン、スペルミン、またはスペルミジンを含む)、ポリ−L−リジン(PLL)、ポリ−アルギニン、塩基性ポリペプチド、細胞透過性ペプチド(CPPs)(HIV結合ペプチド、Tat、HIV−1 Tat(HIV)、Tat由来ぺプチド、ペネトラチン、VP22由来または類似ペプチド、HSV VP22(単純ヘルペス)、MAP、KALAまたはタンパク質形質導入ドメイン(PTDs、PpT620、高プロリンペプチド、高アルギニンペプチド、高レジンペプチド、MPG−ペプチド、Pep−1、L−オリゴマー、カルシトニンペプチド、アンテナペディア由来ペプチド(特にショウジョウバエアンテナペディア由来))、pAnt、pIsl、FGF、ラクトフェリン、トランスポータン、ブホリン−2、Bac715−24、SynB、SynB(1)、pVEC、hCT由来ペプチド、SAP、プロタミン、スペルミン、スペルミジン、ヒストン、カチオン性多糖類(例えばキトサン、ポリブレン、カチオン性ポリマー(例えばポリエチレンイミン(PEI))、カチオン性脂質(例えばDOTMA:[1−(2,3−シオレイルオキシ(sioleyloxy))プロピル)]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、DMRIE、di−C14−アミジン、DOTIM、SAINT、DC−Chol、BGTC、CTAP、DOPC、DODAP、DOPE:ジオレイルホスファチジルエタノールアミン、DOSPA、DODAB、DOIC、DMEPC、DOGS:ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン、DIMRI:ジミリスト−オキシプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、DOTAP:ジオレイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン、DC−6−14:O,O−ジテトラデカノイル−N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミンクロリド、CLIP1:rac−[(2,3−ジオクタデシルオキシプロピル)(2−ヒドロキシエチル)]−ジメチルアンモニウムクロリド、CLIP6:rac−[2(2,3−ジヘキサデシルオキシプロピル−オキシメチルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、CLIP9:rac−[2(2,3−ジヘキサデシルオキシプロピル−オキシスクニシルオキシ)エチル]−トリメチルアンモニウム、オリゴフェクタミン)、カチオン性またはポリカチオン性ポリマー(例えば修飾ポリアミノ酸(例えばβ−アミノ酸−ポリマー、または逆ポリアミド)、修飾ポリエチレン(例えばPVP(ポリ(N−エチル−4−ビニルピリジニウムブロミド)))、修飾アクリレート(例えばpDMAEMA(ポリ(ジメチルアミノエチルメチルアクリレート)))、修飾アミドアミン(例えばpAMAM(ポリ(アミドアミン)))、修飾ポリベータアミノエステル(PBAE)(例えばジアミン末端修飾1,4ブタンジオルジアクリレート−co−5−アミノ−1−ペンタノールポリマー)、デンドリマー(例えばポリプロピルアミンデンドリマー、またはpAMAMベースデンドリマー)、ポリイミン(例えばPEI:ポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン))、ポリアリルアミン、糖骨格ベースポリマー(例えばシクロデキストリンベースポリマー、デキストランベースポリマー、キトサンなど)、シラン骨格ベースポリマー(例えばPMOXA−PDMS共重合体など)、および上記カチオン性ポリマーから選択される1つまたはそれ以上のカチオン性ブロックと、1つまたはそれ以上の親水性または疎水性ブロック(例えばポリエチレングリコール)との組み合わせからなるブロック重合体、からなる群より選択されるか; 以下の一般式(I): (Arg)l;(Lys)m;(His)n;(Orn)o;(Xaa)x・・・(I) (式中、l+m+n+o+xは8〜15であり、l、m、nまたはoは互いに独立して、Arg、Lys、HisおよびOrnの総含有量がオリゴペプチドの全アミノ酸の少なくとも50%を示すように、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15から選択される任意の数であり;Xaaは、Arg、Lys、HisまたはOrnを除く、野生型(すなわち自然発生)または非天然アミノ酸から選択される任意のアミノ酸であればよく;xはXaaの総含有量がオリゴペプチドのすべてのアミノ酸の50%を超えない範囲で、0、1、2、3または4から選択される任意の数であり得る);を有するタンパク質またはペプチドから選択されるか; 以下の一般式(II): GlXmGn・・・(II) (式中、Gはグアノシン、ウラシルあるいはグアノシンまたはウラシルの類似体であり、Xはグアノシン、ウラシル、アデノシン、チミジン、シトシンまたは上記ヌクレオチドの類似体であり;lは1から40までの整数であり、l=1のとき、Gはグアノシンまたはその類似体であり;l>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はグアノシンまたはその類似体であり;mは整数であり、少なくとも3であり;m=3のとき、Xはウラシルまたはその類似体であり、m>3のとき、少なくとも3つの連続するウラシルまたはウラシルの類似体があり;nは1から40までの整数であり、n=1のとき、Gはグアノシンまたはその類似体であり、n>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はグアノシンまたはその類似体である);を有する核酸から選択されるか;または、 以下の一般式(III): ClXmCn・・・(III) (式中、Cはシトシン、ウラシル、またはそれらの類似体であり;Xはグアノシン、ウラシル、アデノシン、チミジン、シトシンまたは上記ヌクレオチドの類似体であり;lは1から40までの整数であり、l=1のとき、Cはシトシンまたはその類似体であり、l>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はシトシンまたはその類似体であり;mは整数であり、少なくとも3であり;m=3のとき、Xはウラシルまたはその類似体であり、m>3のとき、少なくとも3つの連続するウラシルまたはその類似体があり;nは1から40までの整数であり、n=1のとき、Cはシトシンまたはその類似体であり、n>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はシトシンまたはその類似体である);を有する核酸から選択される、請求項18に記載の活性(免疫賦活)組成物。 請求項1から19のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物を含むワクチン。 請求項1から19のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物は、適応免疫応答を引き起こす、請求項20に記載のワクチン。 上記ワクチンはさらに、薬学的に使用可能なキャリアを含んでいる、請求項20または21のいずれかに記載のワクチン。 前立腺癌(PCa)、好ましくは新規の補助療法、および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患を治療するためのワクチンを調製するための、請求項1から19のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物の使用。 キット、好ましくは複数のパーツからなるキットであって、 請求項1から19のいずれか1項に記載の活性(免疫賦活)組成物、および/または請求項20から22のいずれかに記載のワクチン、および(必要に応じて)上記活性組成物および/またはワクチンの投与および投与量についての情報を有する技術指示書を備えている、キット。 【課題】哺乳動物の(適応)免疫応答を誘発することが可能な少なくとも2つの抗原(好ましくは異なる抗原)をコードする、少なくとも1つのRNA(好ましくはmRNA)を有する活性(免疫賦活)組成物の提供。【解決手段】PSA(前立腺特異抗原)、PSMA(前立腺特異膜抗原)、PSCA(前立腺肝細胞抗原)およびSTEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)からなる群から選択される抗原。上記活性(免疫賦活)組成物を含むワクチン、(ワクチン調製を目的とする)上記活性(免疫賦活)組成物の使用、ならびに、前立腺癌(PCa)の治療、好ましくは新規の補助療法(neoadjuvant)、および/またはホルモン抵抗性前立腺癌、それに関連する疾病または疾患の治療のための、(適応)免疫応答を引き起こすワクチンの使用。さらに、キットに関し、特に上記活性(免疫賦活)組成物および/または上記ワクチンを含む、複数のパーツからなるキット。【選択図】図13配列表


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特許公報(B2)_前立腺癌(Pca)を治療するための組成物

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_前立腺癌(Pca)を治療するための組成物
出願番号:2012251528
年次:2014
IPC分類:A61K 31/7105,A61K 39/00,A61K 48/00,A61P 35/00,A61P 13/08


特許情報キャッシュ

プロブスト,ヨヘン ヘール,イングマー ランデー,トーマス JP 5635058 特許公報(B2) 20141024 2012251528 20121115 前立腺癌(Pca)を治療するための組成物 キュアバック ゲーエムベーハー 509014386 CUREVAC GMBH 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 110000338 プロブスト,ヨヘン ヘール,イングマー ランデー,トーマス EP PCT/EP2007/008771 20071009 20141203 A61K 31/7105 20060101AFI20141113BHJP A61K 39/00 20060101ALI20141113BHJP A61K 48/00 20060101ALI20141113BHJP A61P 35/00 20060101ALI20141113BHJP A61P 13/08 20060101ALI20141113BHJP JPA61K31/7105A61K39/00 ZA61K48/00A61P35/00A61P13/08 A61K48/00 31/00〜31/80 39/00〜39/44 MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus(JDreamIII) 国際公開第2006/008154(WO,A1) 国際公開第2005/113601(WO,A1) 特表2003−517306(JP,A) 特表2006−512047(JP,A) 特表2003−504080(JP,A) 国際公開第02/098443(WO,A1) 国際公開第2004/004743(WO,A1) 国際公開第2006/024518(WO,A1) 21 2010528313 20081008 2013082711 20130509 54 20121115 平井 裕彰発明の詳細な説明 〔技術分野〕 本発明は、哺乳動物の(適応)免疫応答を誘発することが可能な少なくとも2つの抗原(好ましくは異なる抗原)をコードする、少なくとも1つのRNA(好ましくはmRNA)を有する活性(免疫賦活)組成物に関し、上記抗原は、PSA(前立腺特異抗原)、PSMA(前立腺特異膜抗原)、PSCA(前立腺肝細胞抗原)およびSTEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)からなる群から選択される。また、本発明は、上記活性(免疫賦活)組成物を含むワクチン、(ワクチン調製を目的とする)上記活性(免疫賦活)組成物の使用、ならびに、前立腺癌(PCa)の治療、好ましくは新規の補助療法(neoadjuvant)、および/またはホルモン抵抗性前立腺癌、それに関連する疾病または疾患の治療のための、(適応)免疫応答を引き起こすワクチンの使用に関する。さらに、本発明はキットに関し、特に上記活性(免疫賦活)組成物および/または上記ワクチンを含む、複数のパーツからなるキットに関する。 〔背景技術〕 前立腺癌は、現在、世界の先進国における男性において、癌に関する診断数において2番目に多く、癌の死因としては4番目に多い。有効な治療措置の方法は弱体化させることであり、局部的な疾患にのみ利用されている。ホルモン抵抗性前立腺癌に関しては、実質的に1年以上の延命が認められる薬はない(例えばPavlenko,M.,A.K.Roosら, (2004).“Aphase I trial of DNA vaccination with a plasmid expressing prostate-specific antigen in patients with hormone-refractory prostate cancer.”Br J Cancer 91(4):688-94.参照)。現在、米国などのいくつかの欧米主要先進国においては、男性において、前立腺癌は最も多く診断される悪性腫瘍であり、男性における癌死因としては、米国(例えばJemal,A.,R.Siegelら, (2006). “Cancer statistics,2006.”CA Cancer J Clin 56(2):106-30.参照)および欧州(例えばThomas-Kaskel,A.K.,C.F.Wallerら,(2007). “Immunotherapy with dendritic cells for prostate cancer.”Int J Cancer 121(3):467-73参照)それぞれにおいて、3番目に多い。診断される腫瘍の多くは腺癌であり、ホルモン依存性の態様で初期に増殖する。 前立腺癌は、男性生殖器系における分泌腺である前立腺において癌が発現する疾病である。前立腺の細胞が突然変異して制御を失い、増殖を始めることから発症する。正常な細胞と比較して、前立腺癌細胞によって過剰に発現することが分かっている抗原として、特に代表的なものとしては、PSA、PSMA、PSCA、HER−2およびEp−CAMなどがある。これらの前立腺癌細胞は前立腺から体の別の部分へ、特に骨およびリンパ節に広がる(転移する)おそれがある。前立腺癌の症状としては、痛み、排尿困難および勃起不全などが挙げられる。一般的に、前立腺癌は、50歳以上の男性が最も多く発症する癌であり、患者数全体において最も大きな割合を占めている。しかしながら、前立腺癌は、特定が可能な場合であっても、発見されないことがほとんどである。前立腺癌は、健康診断、またはPSA(前立腺特異抗原)テストといったスクリーニング血液検査によって発見されることが多い。前立腺癌の疑いがある場合は、主に前立腺を一部採取し(生体組織検査)、顕微鏡において検査することによって、癌を確認する。さらに、前立腺癌が転移しているかどうか確かめるために、X線、および骨スキャンといったテストを行なうこともある。 前立腺癌の治療は、いまだに解決されていない課題である。従来の治療法、例えば、手術、放射線治療、ホルモン療法、不定期の化学療法、陽子線治療またはそれらを組み合わせた治療法が前立腺癌治療に適用されている。しかし、癌の転移状態、顕微鏡によって確認される状態、および初期治療に対する癌反応などと同様に、患者の年齢および根本的な健康状態が疾病の転帰を決定する上で重要である。前立腺癌は高齢男性に多く見られる疾病であるため、患者は進行が遅い前立腺癌が転移または症状を引き起こす前に、他の死因によって亡くなってしまうことが多い。このことが治療法の選択を難しくしている。治癒目的で局在化した前立腺癌(前立腺内に発生した腫瘍)を治療するか否かの判断は、患者の生存および生活の質という点において、期待できる有益な効果の代償として弊害を受け入れるかどうかである。 しかしながら、上述した手術、放射線治療、ホルモン療法および化学療法といった治療法にはすべて厳しい制約がある。例えば、前立腺の外科的な除去、すなわち前立腺摘除術は、早期前立腺癌または放射線治療による効果が得られなかった癌の一般的な治療である。この治療法は神経損傷を引き起こし、生活の質を一変させてしまうことがある。深刻な合併症として最も多いのは、排尿制御損失およびインポテンスである。しかし、たとえ前立腺癌を無事に摘出できるとしても、生体全体に癌が転移している場合には用いることができない。 放射線治療は、前立腺癌治療に一般的に使用される治療法である。この治療法は、早期癌摘出手術の代わりに用いられ得、また、末期前立腺癌において、痛みが生じる骨への転移を治療するために用いられ得る。放射線治療の単独使用では癌治療に効果がないような場合、放射線治療と、リスクが中程度である疾病を治療するために用いられるホルモン療法とを組み合わせることができる。しかし、放射線治療もまた高い危険性を伴うものであり、患者の免疫システムを破壊し、免疫防御を完全に損失させてしまうことも多い。さらに、放射線治療は、主として癌が成長する部位に局所的に用いられる。そのため、上述したように前立腺癌が生体全体に転移している場合には適用できない。放射線治療を全身に施した場合、細胞および免疫システムに深刻な損傷を引き起こしかねない。 化学療法は、ごく限られた患者にしか反応が現れなかったため、長い間、前立腺癌には効果的ではないと考えられてきた。しかし、転移性前立腺癌を患った患者(応答者)には、化学療法が効果を示すこともある。応答率は約20%であるため、化学療法は腫瘍再発時における治療、およびホルモン療法によって効果が得られなかった場合に用いられる。しかし、化学療法による効果はたいてい一時的なものであり、患者の前立腺癌を完全になくすことはできない。化学療法の薬として代表的なものは、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、アドリアマイシンおよびスラミンなど含むが、いずれの薬も患者を長期延命させることに成功していない。2004年発行ニューイングランドジャーナルオブメディシン(the New England Journal of Medicine)に記載された近年の研究によると、3週間ごとに治療薬ドセタキセルを投与した患者は、平均2.5ヶ月の延命することが実証されている。 ホルモン療法では、前立腺癌細胞がジヒドロテストステロン(DHT)を得られないように、薬剤を使用したり、手術と組み合わせて用いたりする。ジヒドロテストステロンは前立腺内において生産されるホルモンであり、ほとんどの前立腺癌が成長および転移する際に必要になる。DHTの獲得を妨げることによって、前立腺癌の成長を止められることが多く、縮小することさえある。しかし、初期段階においてホルモン療法に反応があった癌は1〜2年後には抵抗力をつけてしまうため、ホルモン療法によって癌が治ることはほとんどない。例えば、緩和的アンドロゲン欠乏療法(palliative androgen deprovation therapy)によって、癌を沈静化させることができる患者は80%に上るが、15〜20ヵ月後には、腫瘍細胞にホルモンが効かなくなり、アンドロゲン非依存性の前立腺癌が発現する。この状況では、化学療法による有効性も制限されていることから(上記参照)、治療法の選択肢は非常に少なくなる。それゆえ、ホルモン療法は通常、癌が前立腺から転移した場合に用いられる。また、放射線治療、または手術による治療を受けている患者に対して、癌が再発することを防止するために用いられることもある。 このため、前立腺癌患者、前立腺癌再発患者および末期前立腺癌患者のための、さらなる治療方法に対する必要性は高い。1つの方法として、前立腺全摘出手術、または外部照射法(遠隔照射法)および近接照射療法などの放射線療法を含む、上述した臓器局所的前立腺癌に使用される標準的な方法を、ある状況下において、新規の補助療法またはホルモン補助療法と組み合わせて用いてもよい(例えばTotterman,T.H.,A.Loskogら, (2005). “The immunotherapy of prostate and bladder cancer.”BJU Int 96(5):728-35.参照)。これらの治療法は短期間においては比較的有効であるが、一方、早期限局性疾患(initially localized disease)を患った患者では最終的に再発してしまう確率が非常に高い(30%〜40%)。転移性前立腺癌を治療するための主な治療法はアンドロゲンの除去である。アンドロゲンの除去は、通常、腫瘍を縮小し、苦痛を緩和させるが、14〜20ヶ月以内にホルモン抵抗性疾病へと進行する。アンドロゲン非依存性の末期前立腺癌のための化学療法分野においては、多くの臨床研究が報告されている。ごく最近では、2つの試験により、化学療法によってホルモン抵抗性疾病患者を延命するにあたり、わずかではあるが全面的な改善が見られたことが明らかになった。 上述した内容を要約すると、上述した手術、放射線治療、ホルモン療法、不定期の化学療法および陽子線療法などの標準的な治療法を単独で用いた場合、前立腺癌(PCa)を効果的に治療する方法としては好適でないと思われる。そのため、治療法を改善する1つの方法としては、これら標準的な治療法を補完することができる治療または補助治療を含み得る。このように、本明細書では、適応免疫システムを用いて、前立腺癌(PCa)の治療または補助治療を実現することを提案する。 本発明の技術分野において知られているように、免疫システムは様々な疾病の治療および予防において重要な役割を果たしている。現在までの研究によれば、哺乳動物によって多様な機構が提供されており、例えば腫瘍細胞を特定して死滅させることにより生体を保護している。本発明の目的のため、これらの腫瘍細胞を検出し、生体の正常な(健康な)細胞および正常な組織と区別する必要がある。 ヒトを含む脊髄動物が持つ免疫システムは、多くの種類のタンパク質、細胞、器官および組織から構成されており、これらは複雑および動的なネットワークにおいて相互に作用しあっている。この複雑な免疫応答の一環として、脊髄動物システムは、徐々に特定の病原体、または特定の腫瘍細胞をより効率的に認識するようになる。この適応過程では免疫記憶が形成され、その後それらに接触した場合に、より効果的に防御することができる。この適応免疫、すなわち後天免疫がワクチン接種法の基礎をなしている。 適応免疫システムは抗原特異的であり、抗原提示と呼ばれるプロセスの間に、自己抗原または非自己抗原を認識する必要がある。抗原特異性によって、特定の病原体、特定の病原体に感染した細胞または特定の腫瘍細胞に応じた反応が可能になる。これらの調整された反応を組み込む能力は、いわゆる「記憶細胞(メモリー細胞)」によって体内に維持されている。身体が1つの病原体に1回以上感染すると、これら特定の記憶細胞が使用され、すばやく病原体を除去する。このように適応免疫システムは、それぞれの病原体または腫瘍細胞が、1つ以上の抗原提示によって「記憶」される免疫記憶だけでなく、より強い免疫応答を可能にする。 脊髄動物における適応免疫システムを構成する主な成分は、細胞レベルにおいてはリンパ球、分子レベルにおいては抗原を多く含む。適応免疫システムにおける細胞成分であるリンパ球には、骨髄にある造血管細胞に由来するB細胞およびT細胞がある。B細胞は体液性応答に関与し、T細胞は細胞性免疫応答に関与している。B細胞およびT細胞はどちらも特定の標的を認識する受容体分子を持っている。T細胞は、抗原(例えば病原体の小断片)が処理され、主要組織適合複合体(MHC)分子と呼ばれる「自己」受容体との組み合わせにおいて発現した後に限り、「非自己」標的(病原体標的構造など)を認識する。これに対し、B細胞抗原特異的受容体は、B細胞表面における抗体分子であり、該表面における抗体が特定の外来抗原と結合したときに、病原体を認識する。この抗原/抗体複合体はB細胞によって取り込まれ、タンパク質分解処理されてペプチドとなる。その後、B細胞は、B細胞表面のMHCクラスII分子上にこれらの抗原ペプチドを提示する。このMHCと抗原との組み合わせが適合ヘルパーT細胞を引き付ける。適合ヘルパーT細胞はリンフォカインを放出し、B細胞を活性化させる。その後、活性化されたB細胞が分裂し始めると、分裂した細胞が該抗原を認識する抗体の複写を何百万も分泌する。これらの抗体は血漿およびリンパ液を循環しており、抗原を発現する病原体または腫瘍細胞に結合し、補体活性により破壊したり、食細胞による取り込みおよび破壊したりするために、病原体または腫瘍細胞をマーキングする。適応免疫システムの細胞成分である細胞障害性T細胞(CD8陽性)も、CTL応答を形成し得る。細胞障害性T細胞(CD8陽性)は、内因性病原体、およびMHCタイプI分子と結合した自己抗原から、ペプチドを認識することができる。CD8陽性T細胞は、細胞内において細胞障害性タンパク質を放出することによって、その殺傷機能を働かせる。 このように免疫システムの機構は、様々な疾病の治療のための標的を形成し得る。主として、免疫促進剤(adjuvant)を投与して先天性免疫応答を引き起こす方法、または抗原もしくは免疫原を投与して適応免疫応答を引き起こす方法のいずれかに基づく方法が好ましい。通常、抗原は病原体(例えば表面タンパク質)またはその断片の特定の成分を基にしているため、患者への核酸投与した後、所望のポリペプチド、タンパク質または抗原を発現させることも考えられる。 一例として、周知の前立腺関連抗原に基づくワクチン接種の研究が、Noguchiら(2003)および(2004)に記載されている(例えば、Noguchi,M.,K.Itohら, (2004). “Phase I trial of patient-oriented vaccination in HLA-A2-positive patientswith metastatic hormone-refractory prostate cancer.”Cancer Sci 95(1):77-84;andNoguchi,M.,K.Kobayashiら, (2003). “Induction of cellular and humoral immune responses to tumor cells and peptides in HLA-A24 positive hormone-refractory prostate cancer patients by peptide vaccination.”Prostate 57(1):80-92.Noguchiら2003 and Noguchiら 2004参照)。Noguchiら(2003)および(2004)では、フェーズIの2つの研究が記載されている。それらの研究では、転移性ホルモン抵抗性前立腺癌患者にワクチンを投与するマルチペプチド臨床試験が行なわれており、選択された標的に対する細胞免疫応答およびホルモン免疫応答が増加したことが示されている。ワクチン接種法は安全であり、毒性が低く良好な耐性を示した。しかし、前立腺特異抗原(PSA)レベルが固定されたり、減少したりすることも確認され、骨への転移が消失した患者は1人だけであった。臨床応用を困難にしているこの方法の主な制約は、前立腺癌細胞によるペプチド発現のみならず、患者のHLAハプロタイプについても事前に知っていなければならないことである。 最近では別のいくつかの方法が用いられており、細胞をベースとしたワクチン接種法がある。例えば、ワクチン接種法における異なる抗原の使用、または異なる抗原もしくはその断片を取り入れた樹状細胞の使用がある。一例によれば、組換えヒトPSAによりパルスした自己樹状細胞を用いた前立腺癌患者のワクチン接種が試験されている(例えばBarrou,B.,G.Benoitら, (2004). “Vaccination of prostatectomized prostate cancer patients in biochemical relapse,with autologous dendritic cells pulsed with recombinant human PSA.”Cancer Immunol Immunother 53(5):453-60参照)。末期の前立腺癌患者に対して、PSCAペプチド荷重樹枝細胞およびPSAペプチド荷重樹状細胞を用いたワクチン接種をしている間、患者の5〜10人が、少なくとも1つの抗原に対して免疫応答を示した(例えばThomas-Kaskel,A.K.,R.Zeiserら, (2006). “Vaccination of advancedprostate cancer patients with PSCA and PSA peptide-loaded dendritic cells induces DTH responses that correlate with superior overall survival.”Int J Cancer 119(10):2428-34.参照)。 また、別の例として、Murphyら(1996)では、ワクチン接種をペプチド単独もしくはパルスした樹状細胞と共に用いる場合と比較するために、2つのHLA−A*0201PSMAエピトープを使用して、対応するフェーズI試験において前立腺癌患者のワクチン接種を実施した。その結果、パルスした樹状細胞と共にワクチン接種した患者の場合、より多くの患者が接種したワクチンに対して反応を示した。この研究により、ペプチドまたはタンパク質をのせた樹状細胞と共にワクチン接種することにより、一時的なPSC減少またはPSC安定だけでなく、少なくとも部分的には検出可能な免疫応答が得られることが示された(例えばMurphy,G.,B.Tjoaら, (1996). “Phase I clinical trial: T-cell therapy for prostate cancer using autologous dendritic cells pulsed with HLA-A0201-specific peptides from prostate-specific membrane antigen.”Prostate 29(6):371-80参照)。 また、前立腺癌患者へのワクチン接種は、樹状細胞にのせるペプチドの組み合わせ(例えば、ペプチドカクテル荷重樹状細胞)により実施され得る(例えばFuessel,S.,A.Meyeら, (2006). “Vaccination of hormone-refractory prostate cancer patients with peptide cocktail-loaded dendritic cells: results of a phase I clinical trial.”Prostate 66(8):811-21参照)。カクテルは、PSA、PSMA、スルビビン、プロステイン、およびTrp−p8(一過性受容器電位p8)由来のペプチドを含む。また、ホルモン抵抗性前立腺癌の樹状細胞に基づくマルチエピトープ免疫療法により、臨床試験が実施された(例えばWaeckerle-Men,Y.,E.Uetz-von Allmenら, (2006). “Dendritic cell-basedmulti-epitope immunotherapy of hormone-refractory prostate carcinoma.”Cancer Immunol Immunother 55(12):1524-33参照)。Waeckerle-Men,Y.,E.Uetz-von Allmenら(2006)においては、PSCA、PAP(前立腺酸性フォスファターゼ)、PSMAおよびPSA由来のペプチドを使用して、ホルモン抵抗性前立腺癌に対するワクチン接種が試験された。 例えば、抗原性タンパク質または抗原性ペプチドを樹状細胞にのせている場合、抗原性タンパク質または抗原性ペプチドをワクチン接種に使用することは、免疫応答を引き起こすためになされる一般的な方法である。一方、免疫付与またはワクチン接種は、所望する遺伝情報を細胞に組み込むための核酸の使用に基づき得る。一般に、核酸を細胞に導入するために様々な方法が開発されている。例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリプレントランスフェクション、原形質融合、電気せん孔法(エレクトロポレーション)、マイクロインジェクションおよびリポフェクションなどである。特に、リポフェクションが好適であることが証明されている。 一例によると、前立腺癌のワクチン接種治療は、自己腫瘍由来のmRNAすべてを樹状細胞に導入することに基づき得る(例えばHeiserら(2002)(Heiser,A.,D.Coleman,et al.(2002). “Autologous dendritic cells transfected with prostate-specific antigen RNA stimulate CTL responses against metastatic prostate tumors.”J Clin Invest 109(3):409-17.参照)。この方法は、HLA分類(タイピング)を事前に行わずに、マルチHLAクラスIおよびマルチHLAクラスII患者に特異的な腫瘍関連抗原(TAAs)を標的にできるという利点を有している。さらに、この方法によれば、mRNAは腫瘍細胞株からではなく、外科的試料から採取されるため、ストローマ抗原さえ標的にできる。一例として、Heiserらが、PSAをコードするmRNAを樹状細胞(DC)に導入した、DCベース免疫療法プロトコルを開発している。このワクチン接種は良好な耐性を示し、PSAに対するT細胞応答を増加させた。しかしながら、この樹状細胞をベースにした抗前立腺癌ワクチンは、臨床反応を伴う強いT細胞応答を発生させると思われるが、その臨床反応の頻度はいまだに不十分のままである。 所望の遺伝情報を細胞に組み込むため、DNAもワクチン治療法における核酸として使用し得る。ある一例によれば、DNAウイルスをDNA媒体(DNA vehicle)として使用してもよい。このようなウイルスは、その感染能によって、非常に高いトランスフェクション率を実現できる。使用されるウイルスは、導入された細胞において機能性感染粒子が一切形成されないように遺伝子操作されたウイルスである。例えば、Ederら(2000)の研究において、PSAを発現する組換えワクシニアウイルスを使用してフェーズIの臨床試験が行われている。その著者らはPSAに対するT細胞免疫応答、および選択された患者における血清PSAの安定化を実証した(例えば、Eder,J.P.,P.W.Kantoffら, (2000). “A phase I trial of a recombinant vaccinia virus expressing prostate-specific antigen in advanced prostate cancer.”Clin Cancer Res 6(5):1632-8.参照)。組換えウイルスからの高免疫原性ペプチドによって誘発される炎症反応によって、外来タンパク質の免疫原性を高めることができるが、免疫システムが組換えウイルスの複製を減少させ、それによって臨床転帰(clinical outcome)を制限してしまうことも分かっている。しかしながら、たとえ組換えワクチンが免疫原性を示し、腫瘍反応が複数の試験において確認されたとしても、これらの結果は実証される必要がある。 さらなる方法によれば、ホルモン抵抗性前立腺癌患者へのワクチン摂取が、PSAを発現するDNAプラスミドを使用して行なわれている(例えばPavlenko,M.,A.K.Roosら, (2004). “A phase I trial of DNA vaccination with a plasmid expressing prostate-specific antigen in patients with hormone-refractory prostate cancer.”Br J Cancer91(4):688-94参照)。Garcia−Hernandezら(2007)には、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードする、プラスミドまたはウイルス様レプリコンを使用した治療的および予防的ワクチン摂取によって、腫瘍試験マウスを延命することに成功したことが示されている(例えばGarcia-Hernandez Mde,L.,A.Gray,et al.(2007). “In vivo effects of vaccination with six-transmembrane epithelial antigen of the prostate: a candidate antigen for treating prostate cancer.”Cancer Res 67(3):1344-51参照)。最近では、STEAPは、ヒト前立腺癌において顕著に過剰に発現する末期ヒト前立腺癌用指標タンパク質として識別されている。その機能はいまだに解明されていない。 DNAを、遺伝情報キャリアとして使用することができるが、その一方で、例えば潜在的組換え現象によって、導入された遺伝子またはウイルス遺伝子が制御不能な増殖を起こすというリスクを無視できない。また、このことは、この遺伝子が突然変異し得、完全にもしくは部分的に不活性化されるという結果になるか、または遺伝子が語情報を引き起こし得るという結果になるため、例えば、組換えによるホスト細胞ゲノムの無傷の遺伝子にDNAを組み込むリスクを伴う。DNAが、細胞増殖の調節に関与する遺伝子に組み込まれた場合、ある特別なリスクを伴う。この場合、ホスト細胞が変質して、癌または腫瘍を形成してしまう可能性がある。さらに、細胞に導入されたDNAを発現する場合、対応するDNA媒体は、キャリアサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターなど、強力なプロモーターを含んでいることが必要である。このようなプロモーターを処理した細胞のゲノムに組み込むことは、細胞内における遺伝子発現調節において、望ましくない変質をもたらすことがある。免疫応答を引き起こす物質(例えばワクチン)としてDNAを使用することは、さらに、外来DNAが導入されている患者において、病原性抗DNA抗体を誘導し、それによって(致死的な場合もある)免疫応答を引き起こすという、別の危険性も伴う。 上述した方法の結果を要約すると、いまだに死亡率が高く、さらなる新しい治療法、または治療法を改善することが非常に必要とされてはいるが、前立腺癌(PCa)治療にいくらかの改善がなされていることに疑いはない。 このように、全体としてみれば、DNAに基づく組成物によって導入される遺伝子が制御不能に増殖してしまう問題を避けながら、免疫システムを効果的に刺激して前立腺癌(PCa)治療を可能にする、効果的なシステムに対しては考慮する余地があり、また、そのようなシステムが必要とされている。 それゆえ、本発明の目的は組成物を提供することであって、(a)免疫システムを促進することにより前立腺癌(PCa)治療を可能にすると共に、(b)上述した問題を回避する組成物を提供することにある。 本発明の目的は本発明の特徴によって達成される。本発明の目的は特に、活性(免疫賦活)組成物であり、少なくとも1つのRNAを含み、上記少なくとも1つのRNAは、以下の抗原:・PSA(前立腺特異抗原)=KLK3(カリクレイン−3)・PSMA(前立腺特異膜抗原)・PSCA(前立腺幹細胞抗原)・STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)からなる群から選択される少なくとも2つ、3つまたは4つの抗原(好ましくは異なる抗原)をコードしている、という本発明の特徴によって達成される。 驚くべきことに、本発明の活性(免疫賦活)組成物に含まれる、上記群に含まれる少なくとも2つ、好ましくは2つ、3つもしくは4つの抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの特定の組み合わせが(適応)免疫システムを効率的に促進し、前立腺癌(PCa)治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれらに関連する疾病または疾患の治療を可能にすることがわかった。本明細書において、抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドという用語は、同意語として使用され得る。さらに、本明細書において、本発明の活性(免疫賦活)組成物は免疫応答を促進できる組成物として解釈され、好ましくは活性(免疫賦活)組成物の構成物質に含まれる、またはコードされる構成物質の1つによって(好ましくは少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードするRNA(好ましくはmRNA)に含まれる、またはコードされる構成物質の1つによって)、免疫応答(好ましくは本明細書において定義される適応免疫応答)を促進することができる組成物として解釈される。 PSA、PSMA、およびPSCAなどの抗原は、正常な細胞と比べると、前立腺癌細胞によって過剰発現することが分かっている。それゆえ、これらの抗原は、免疫療法における標的となり得る(例えばMarrari,A.,M.Iero,et al.(2007). “Vaccination therapy in prostate cancer.”Cancer Immunol Immunother 56(4):429-45.参照)。 上記活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAはPSAであってもよい。本発明において、「PSA」とは「前立腺特異抗原」を指し、本明細書において名づけられたKLK3(カリクレイン3)と同意語とみなしてよい。前立腺特異抗原(PSA)は33kDaタンパク質であり、良性および悪性、前立腺組織すべてのタイプの上皮細胞によって排他的に生産される、アンドロゲン調節カリクレイン様(androgen-regulated kallikrein-like)セリンプロテアーゼである。特に、PSAは、正常な前立腺上皮細胞によって多く発現され、前立腺癌において、最も特徴的な腫瘍関連抗原のうちの1つである。生理学的に、PSAは精液に高濃度な状態にて存在し、精液を凝固させる高分子重タンパク質を、より小さなポリペプチドに分割する役割を果たしている。この作用によって、精液の凝固が液化される。PSAはまた、血清にも存在し、単クローン免疫放射定量測定法、またはポリクローナル放射免疫測定法によって、確実に測定することができる。現在、PSAは、前立腺癌に対するスクリーニング、診断および観察に最も広く使用されている腫瘍マーカーである。特に、血清PSAを検出するためのいくつかの免疫学的測定は、臨床用途において幅広く使用されている。最近では、血清におけるPSAmRNAのための逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)検査が開発されている。しかしながら、PSAの上昇レベルは、BPH患者および前立腺炎患者において、多くの割合(25%−86%)にて検出され(Gaoら、1997,Prostate 31:264-281)、また、他の非悪性疾患、および正常な男性においても検出されることがあるという、このマーカーの特異的診断を非常に制限する要素があることから、PSAは疾病特異的マーカーとは見なされていない。本発明において、本発明の活性(免疫賦活)組成物に使用する場合、PSA(前立腺特異抗原)をコードする、上記少なくとも1つのRNA、好ましくはmRNAの配列は、アクセッション番号NM_001648にて寄託されている配列を含んでいることが好ましく、図1(配列番号1)に示される配列を含んでいることがさらに好ましく、上記少なくとも1つのRNAがPSA(前立腺特異抗原)をコードしている場合、図2または図3(配列番号2または3)のいずれかに示されるコード配列を含んでいることがさらに好ましい。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、代替的または付加的に、アクセッション番号NM_001648にて寄託されているPSA配列、あるいは図1〜図3(配列番号1、2、または3)のいずれかに示されるPSA配列の、断片、変異体またはエピトープから選択される、PSA抗原配列をコードしていてもよい。 上記活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAは、PSMAであってもよい。本発明において、「PSMA」とは「前立腺特異膜抗原」であり、FOLH1(葉酸ヒドロラーゼ1)または「PSM」と同意語とみなすことができる。PSMAは100kDaIのI型膜貫通糖タンパク質である。PSMA発現は、主として前立腺組織に制限されているが、PSMAmRNAの検出可能レベルは、脳腫瘍、唾液腺癌、小腸癌および腎臓細胞癌において観察されている(例えばIsraeliら,1993,Cancer Res 53:227-230参照)。PSMAは、ほとんどの原発性および転移性前立腺癌において多く発現するが、ほとんどの正常な上皮内新生物検体においても多く発現する(Gaoら、(1997),supra)。特に、PSMAは前立腺癌細胞および非前立腺固形腫瘍新生血管系(nonprostatic solid tumorneovasculature)において非常に多く発現し、抗癌造影剤および抗癌治療剤のための標的となる。PSMAは、小分子基質上において、グルタミン酸カルボキシペプチターゼ(GCPII)として作用し、葉酸、制癌剤メトトレキサートおよび神経ペプチド−N−アセチル−L−アスパチル−L−グルタミン酸塩を含んでいる。前立腺癌において、PSMA発現は、疾病の進行と関連があり、ホルモン抵抗性および転移性疾病において最も高い発現レベルを示すことが分かっている。PSMA細胞は、細胞質および/または膜質に局在している。PSMAは、前立腺癌(PCa)用のバイオマーカーとして考えられており、造影標的および治療標的として使用するために、盛んに研究がなされている。本発明において、本発明の活性(免疫賦活)組成物に使用される場合、PSMA(前立腺特異膜抗原)をコードする、上記少なくとも1つのRNA(好ましくはmRNA)は、アクセッション番号NM_004476にて寄託されている配列を含んでいることが好ましく、図4(配列番号4)に示される配列を含んでいることがさらに好ましく、上記少なくとも1つのRNAは、PSMA(前立腺特異抗原)をコードする場合、図5または図6(配列番号5または6)いずれかに示されるコード配列を含んでいることがさらに好ましい。さらに好ましい実施形態によると、上記活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAは、上述に代えて、または上述に加えて、アクセッション番号NM_004476にて寄託されているPSMA配列、あるいは図5または図6(配列番号5または6)のいずれかに示されるPSMA配列の、断片、変異体またはエピトープから選択されるPSMA抗原配列をコードしていてもよい。 活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、PSCAであってもよい。本発明において、「PSCA」とは、「前立腺肝細胞抗原」である。PSCAは、高度前立腺上皮内新生組織形成(PIN)、およびアンドロゲン依存性前立腺腫瘍およびアンドロゲン非依存性前立腺腫瘍などを含む、前立腺癌におけるすべての段階(ステージ)に渡って、広く過剰発現する。PSCA遺伝子は、グリコシルフォスファチジルイノシトール(GPI)アンカー細胞表面抗原のThy−I/Ly−6族のメンバーである肝細胞抗原−2に対して30%の相同性を示し、アミノ末端シグナル配列、カルボキシ末端GPIアンカー配列および多重Nグリコシレーション部位とともに、123個のアミノ酸タンパク質をコードする。PSCAmRNA発現は、アンドロゲン依存性前立腺癌異種移植片およびアンドロゲン非依存性前立腺癌異種移植片のどちらにおいても、非常に促進される。in−situのmRNA分析により、PSCA発現が、前立腺の推定幹細胞区画である、基底細胞上皮に特定されている。フローサイトメトリー分析によって、PSCAは主に細胞表面において発現し、GPI結合によってアンカーされていることが分かっている。蛍光in−situハイブリダイゼーション分析によって、PSCA遺伝子は、80%を超える前立腺癌において、対立遺伝子(allelic gain)の領域である、染色体8q24.2に特定されている。PSCAは、悪性前立腺癌、正常な前立腺および非悪性新生組織形成とを識別する、前立腺癌マーカーとして使用され得る。例えば、PSCAは、良性前立腺過形成(BPH)に関連する前立腺癌において、非常に高いレベルにて発現する。本発明において、本発明の活性(免疫賦活)組成物に使用される場合、PSCA(前立腺肝細胞抗原)をコードする少なくとも1つのRNA(好ましくはmRNA)は、アクセッション番号NM_005672にて寄託されている配列を含んでいることが好ましく、図7(配列番号7)に示される配列を含んでいることがさらに好ましい。少なくとも1つのRNAがPSCA(前立腺肝細胞抗原)をコードする場合、図8または図9(配列番号8または9)のいずれかに示されるコード配列を含んでいることがさらに好ましい。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、代替的にまたは付加的にアクセッション番号NM_005672にて寄託されているPSCA配列、あるいは図8または図9(配列番号8または9)のいずれかに示されるPSCA配列の、断片、変異体またはエピトープのいずれかから選択されるPSCA抗原配列をコードしていてもよい。 活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、STEAPであってもよい。本発明において、「STEAP」とは、前立腺6膜貫通上皮抗原であり、STEAP1と同意語として用いられ得る。STEAP、すなわちSTEAP1は、新規の細胞表面タンパク質であり、主にヒト前立腺組織において発現し、また、前立腺癌、膀胱癌、大腸癌、卵巣癌およびユーイング肉腫においても多く発現し、ほぼ万能な腫瘍抗原として機能し得ると考えられている。特に、STEAPは原発性前立腺癌において多く発現し、正常な組織においては発現が制限される。骨髄標本におけるSTEAP陽性は、カプランメイヤー解析(p=0.001)における新転移における生存率と非常に関連がある。本発明において、本発明の活性(免疫賦活)組成物に使用される場合、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードする少なくとも1つのRNA(好ましくはmRNA)は、アクセッション番号NM_012449にて寄託されている配列を含んでいることが好ましく、図10(配列番号10)に示される配列を含んでいることがさらに好ましく、少なくとも1つのRNAがSTEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードする場合、図11または図12(配列番号11または12)に示されるコード配列を含んでいることがさらに好ましい。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、代替的にまたは付加的に、アクセッション番号NM_012449にて寄託されているSTEAP配列、または図11または図12(配列番号11または12)のいずれかに示されるSTEAP配列の、断片、変異体またはエピトープのいずれかから選択されるSTEAP抗原配列をコードしていてもよい。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされ得る、上述した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドは、これらの配列の断片、または変異体を含んでいてもよい。このような断片または変異体は、主として、上述した抗原、抗原タンパク質、抗原ペプチド、配列またはそれらがコードする核酸配列のうちいずれか1つに対して、核酸レベルまたはアミノ酸レベルにおいて、野生型配列全体において少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%の配列相同性を持つ配列を含んでいてもよく、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%または97%の配列相同性を持つ配列を含んでいてもよい。 本発明において、抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの「断片」は、上述した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの配列を含んでいてもよく、該配列は、そのアミノ酸配列(すなわちこれをコードしている核酸配列)に関して、元の(天然)タンパク質のアミノ酸配列(すなわちこれをコードしている核酸配列)と比べて、N末端側、C末端側および/または配列内部が短縮されていてもよい。このような短縮は、アミノ酸レベル、または同様に核酸レベルにおいても、どちらでも起こり得る。それゆえ、上述したこのような断片に対する配列相同性とは、上述した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチド全体、あるいはこのような抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの(コーディング)核酸配列全体を指すことが好ましい。 本発明において、抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの断片は、約6〜20個、またはそれ以上の長さのアミノ酸を有する、上述した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの配列をさらに含んでいてもよい。例えば、MHCクラスI分子によって処理され、提示される、例えば8、9もしくは10個のアミノ酸(6、7、11または12個のアミノ酸であってもよい)を有し、好ましくは約8〜10個のアミノ酸を有する断片、または、MHCクラスII分子によって処理、および提示される例えば13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上の長さのアミノ酸を有し、好ましくは13個またはそれ以上の長さのアミノ酸を有する断片である。これらの断片は、アミノ酸配列のいかなる部分から選択されてもよい。これらの断片は、通常、ペプチド断片およびMHC分子により構成される複合体の形においてT細胞によって認識される。つまり、これらの断片は、概してその野生型においては認識されない。 本明細書において定義される抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの断片は、これらの抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのエピトープを含み得る。本発明において、エピトープ(「抗原決定基」ともよばれる)は、概して、ここで定義される、(野生型の)抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの外表面に位置する断片であり、好ましくは5〜15個のアミノ酸、より好ましくは5〜12個のアミノ酸、さらに好ましくは6〜9個のアミノ酸を有しており、それらの天然型において抗体またはB細胞受容体に認識される。上記抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのエピトープは、さらに、本明細書に記載の該抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの変異体のいずれかから選択され得る。本明細書において、抗原決定基は、本明細書において定義される抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの断片からなる立体構造エピトープまたは不連続エピトープであり得る。それら断片は、本明細書において定義される抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのアミノ酸配列では非連続性であるが、三次元構造、または単一ポリペプチド鎖からなる連続的なエピトープもしくは直線的なエピトープでは結びつけられる。 定義した上記抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの「変異体」は、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされていてもよい。ここで、定義した上記抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドをコードする少なくとも1つの(m)RNAの核酸は置換されていてもよい。これにより、1つ以上の変異体(例えば、1つ以上の置換、挿入および/または欠失されたアミノ酸)中に元の配列とは異なるアミノ酸配列を有する抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドを生成し得る。これらの断片および/または変異体は、全長野生型の抗原または抗原タンパクと比較して、同じ生物学的機能または比活性度(例えば、抗原または抗原タンパクの抗原特異性)を有することが好ましい。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、定義した上記抗原または抗原タンパク質をコードしていてもよい。ここで、コードされたアミノ酸配列は、該RNAの生理学的配列と比べて、アミノ酸同類置換を含む。特に、これらのコードされたアミノ酸配列および該アミノ酸配列をコードする核酸配列は、上述で定義した用語「変異体」に該当する。同じクラスから派生したアミノ酸同士がそれぞれ交換される置換は、同類置換と呼ばれる。特に、同類置換されたアミノ酸は、脂肪族側鎖、正もしくは負に帯電した側鎖、側鎖もしくはアミノ酸内の芳香族基、または水素結合が可能な側鎖(例えば水酸基を有する側鎖)を有する。これは、例えば次のことを意味する。すなわち、極性側鎖を有するアミノ酸が、同様な極性側鎖を持つ別のアミノ酸と入れ替わること、または、疎水性側鎖によって特徴づけられるアミノ酸が、同様な疎水性側鎖によって特徴づけられる別のアミノ酸によって置換されること(例えば、セリンがトレオニン(トレオニンがセリン)に置換されるか、またはロイシンがイソロイシン(イソロイシンがロイシン)に置換される)を意味する。挿入および置換は、とりわけ、三次元構造に変更をもたらさない、または結合領域に影響しない配列位置において可能である。挿入または欠失による三次元構造の修飾は、例えばCDスペクトル(円二色性スペクトル)を用いることによって、容易に決定できる(Urry,1985,Absorption,Circular Dichroism and ORD of Polypeptides,in:Modern Physical Methods in Biochemistry,Neubergerら(ed.),Elsevier,Amsterdam)。 さらに、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされ得る、上述に定義した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの変異体は以下の配列を含んでいてもよい。すなわち、少なくとも1つの(m)RNAの核酸が、抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドそれぞれのアミノ酸配列に転換をもたらさずに、遺伝子コードの縮重に応じて交換されている配列、言い換えれば、アミノ酸配列または少なくともその一部が、上述した解釈の範囲内で、1つまたはそれ以上の変異において元の配列から変化していない配列を含んでいてもよい。 2つの配列(例えば、本明細書に定義するRNA配列もしくはmRNA配列、またはアミノ酸配列などの核酸配列であり、好ましくはそれらをコードした、例えば上記定義した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのアミノ酸配列などのアミノ酸配列)における一致の割合を決定するべく、これらの配列が続けて互いに比較されるように、順番に配列することができる。それゆえ、例えば、第1の配列にギャップを挿入し、第2の配列の、対応する位置における構成要素を比べることができる。例えば、第1配列内のある位置において、第2配列内のある位置における構成要素と同一の構成要素によって占められている場合、2つの配列はこの位置において同一である。2つの配列が同一である割合は、同一である位置の数を、位置の総数によって割る関数によって求められる。2つの配列が同一である割合は数学アルゴリズムを利用して求めることができる。利用できる数学アルゴリズムの好ましい例として、Karlinら、(1993)(PNAS USA,90:5873-5877)、またはAltschulら(1997)(Nucleic Acids Res.,25:3389-3402)に記載されているアルゴリズムが挙げられるが、特に限定はされない。このようなアルゴリズムは、BLASTプログラムに組み込まれている。本発明の配列とある程度同一である配列は、このプログラムによって識別することができる。 本発明によれば、上記群のうち少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原の特定の組み合わせによって(適応)免疫システムを効率よく促進し、前立腺癌(PCa)を治療できる。それゆえ、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物は、上記定義したように、上記群の抗原のいずれかから選択される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含んでいる。しかしながら、本発明は、上記群の抗原のいずれかから選択される3つまたは4つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAをさらに含んでいてもよく、これらの抗原のいかなる組み合わせも可能であり、本発明の範疇に含まれる。 より好ましくは、本発明は、上記群の抗原のいずれかから選択される、少なくとも3つまたは4つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含んでおり、これら抗原のいかなる組み合わせも可能である活性(免疫賦活)組成物を提供し得る。 したがって、特に好ましい別の実施形態によると、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、以下に示す抗原の組み合わせ:・PSAおよびPSMA・PSAおよびPSCA・PSAおよびSTEAP・PSMAおよびPSCA・PSMAおよびSTEAP・PSCAおよびSTEAPまたは、・PSA、PSMAおよびPSCA・PSA、PSMAおよびSTEAP・PSMA、PSCAおよびSTEAP・PSA、PSCAおよびSTEAPまたは、・PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPのうち(少なくとも)いずれか1つを含んでいる上記群の抗原のいずれかから選択される、少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードしていてもよい。 さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも2つ、3つまたは4つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含む活性(免疫賦活)組成物を提供する。(a)ここで、少なくとも1つの抗原は、・STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)から選択され;(b)残りの抗原は、以下の抗原もしくはこれらの特定の組み合わせ:・PSA(前立腺特異抗原)、・PSMA(前立腺特異膜抗原)、もしくは、・PSCA(前立腺幹細胞抗原);または、・PSAおよびPSMA、・PSAおよびPSCA、もしくは、・PSMAおよびPSCA;または、・PSA、PSMAおよびPSCA;のうちの少なくとも1つから選択される。 さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPから選択される4つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含む、活性(免疫賦活)組成物を提供する。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、概して、任意のRNAであり、特に限定されないが、好ましくはコードRNA、環状RNAもしくは直線状RNA、1本鎖RNAもしくは2本鎖RNA(2本の1本鎖RNAが非共有結合しているため、1つのRNAとみなされることもある)、または少なくとも部分的に自己相補的な、部分的2本鎖RNAまたは部分的1本鎖RNAである。なお、部分的1本鎖RNA分子または部分的2本鎖RNA分子はいずれも、主として、一方が長く、他方が短い1本鎖RNA分子によって形成されるか、または長さがほぼ等しい2つの1本鎖RNA分子によって形成される。ここで、1つの1本鎖RNA分子が、もう1つの1本鎖RNA分子と部分的に相互補完的であるため、その領域において2本鎖RNA(すなわち、RNA配列全体に対して部分的に2本鎖、または部分的に1本鎖であるRNA)を形成している。より好ましくは、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは1本鎖RNAであり、さらに好ましくは直線状RNAであり、最も好ましくはメッセンジャーRNA(mRNA)である。ここで、メッセンジャーRNA(mRNA)とは、主として、(少なくとも)いくつかの構造要素からなるRNAである。構造要素としては、例えば、任意的な5’−UTR領域、コード領域の上流に位置するリボソーム結合部位、ポリ−A尾部(および/またはポリ−C尾部)の上流にある任意的な3’−UTR領域などである。 特に好ましい実施形態によると、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原はそれぞれ、1つの(モノシストロン性)RNA、好ましくは1つの(モノシストロン性)mRNAにコードされていてもよい。言い換えれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、少なくとも2つの(モノシストロン性)RNA、好ましくはmRNAを含み、これら2つの(モノシストロン性)RNA、好ましくはmRNAは、それぞれ上記群またはサブ群のいずれか1つより選択される、好ましくは上記組み合わせのいずれか1つから選択される、単一の(好ましくは異なる)抗原をコードしていてもよい。 別の特に好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、(少なくとも)1つのビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNA、好ましくはmRNA(すなわち、少なくとも2つの(好ましくは異なる)の抗原のコード配列を2つまたはそれ以上有している(少なくとも)1つのRNA)を含み得、上記群またはサブ群のいずれか1つ、好ましくは上記組み合わせのいずれか1つから選択される。(少なくとも)1つのビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAのうち少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原のコード配列は、後述するように、少なくとも1つのIRES(内部リボソーム侵入部位)配列によって分離されていてもよい。ここで、用語「少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする」とは、特に限定されないが、(少なくとも)1つの(ビシストロン性またはマルチシストロン性)RNA、好ましくはmRNAが、例えば、抗原(または上記定義の範囲内におけるそれらの断片もしくは変異体)の群の少なくとも2つ、3つまたは4つの(好ましくは異なる)抗原をコードしていることを意味してもよい。より好ましくは、特に限定はされないが、(少なくとも)1つの(ビシストロン性またはマルチシストロン性)RNA(好ましくはmRNA)は、例えば、上記抗原(または上記定義の範囲内におけるこれらの断片もしくは変異体)のサブ群の少なくとも2つ、3つまたは4つの(好ましくは異なる)抗原をコードしていてもよい。ここで、上記定義したいわゆるIRES(内部リボソーム侵入部位)配列は単一リボソーム結合部位として機能するが、リボソームによって独立して互いに翻訳されるいくつかのタンパク質をコードする、上記定義した1つのバイシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAを提供する機能を果たすことができる。本発明において使用可能なIRES配列は、例えば、ピコナウイルス(例えばFMDV)、ペスチウイルス(CFFV)、ポリオウイルス(PV)、脳心筋炎ウイルス(ECMV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、古典型豚コレラウイルス(CSFV)、マウス白血病ウイルス(MLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)またはコオロギ麻痺病様ウイルス(CrPV)由来の配列である。 さらに、特に好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、上記定義した少なくとも1つのモノシストロン性RNA(好ましくはmRNA)と、上記定義した少なくとも1つのビシストロン性またはマルチシストロン性RNA、好ましくはmRNAとの混合物を含んでいてもよい。少なくとも1つのモノシストロン性RNAおよび/または少なくとも1つのビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAは、異なる抗原(または上記定義におけるそれらの断片もしくは変異体)をコードしていることが好ましく、抗原は上記抗原の群またはサブ群のいずれか1つから選択されることが好ましく、上記組み合わせのいずれか1つから選択されることがさらに好ましい。しかしながら、本発明の活性(免疫賦活)組成物が、全体として、上記定義した少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原を提供する場合、少なくとも1つのモノシストロン性RNAおよび少なくとも1つのビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAは、上記抗原の群またはサブ群のいずれか1つから選択される、好ましくは上記組み合わせのいずれか1つから選択される、(部分的に)同一な抗原をコードすることが好ましい。このような実施形態は、本発明の活性(免疫賦活)組成物を必要とする患者に投与するにあたり、例えば時間差(例えば時間依存性)投与において利点を有する。このような本発明の活性(免疫賦活)組成物の構成成分、特に少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、異なるRNAは、例えば複数のパーツに構成されるキット(その異なるパーツ)に含まれているか、または別の本発明の活性(免疫賦活)組成物の構成成分として別々に投与されてもよい。 上記定義された抗原の群から選択される、より好ましくは上記組み合わせから選択される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、主として、長さが約50〜約20000ヌクレオチド、または約100〜約20000ヌクレオチド、好ましくは約250〜約20000ヌクレオチド、より好ましくは約500〜約10000ヌクレオチド、さらに好ましくは約500〜約5000ヌクレオチドである。 一実施形態によれば、上記定義された抗原の群またはサブ群、より好ましくは上記組み合わせから選択される、少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、修飾RNAであってもよ。ここで定義されるいかなる修飾も、活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAに導入し得る。ここで定義される修飾は、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAを安定化させるものであることが好ましい。 第1の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAは、それゆえ、「安定RNA」、好ましくは安定mRNAとして、言い換えれば、インビボ分解(例えばエキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼによる)に対して本質的に耐性を持つmRNAとして提供され得る。このような安定化は、例えば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのリン酸骨格を修飾することによって達成し得る。本発明において骨格修飾とは、RNAに含まれるヌクレオチドの骨格のリン酸塩の化学的な修飾である。この関係において好ましく使用され得るヌクレオチドは、例えば、リンチオン酸塩修飾されたリン酸塩骨格、好ましくはリン酸塩骨格に含まれるリン酸酸素の少なくとも1つが硫黄原子と交換されたリン酸骨格を含んでいてもよい。安定(m)RNAはさらに、例えば、非イオン性リン酸類似体(例えば荷電リン酸酸素がアルキル基またはアリール基に交換されたアルキルおよびアリールリン酸化合物、または、荷電酸素残留物がアルキル化された形にて存在するリン酸ジエステルおよびアルキルリン酸トリエステル)を含んでいてもよい。このような骨格修飾は、特に限定されないが、概して、メチルホスソン酸、ホスホロアミデート、およびリンチオン酸塩(例えばシチジン5’−O−(1−チオリン酸エステル))からなる群から選択される修飾を含んでいる。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、付加的または代替的に、糖修飾を含んでいてもよい。本発明において糖修飾は、少なくとも1つのRNAのヌクレオチドの糖の化学的な修飾であり、特に限定はされないが、概して、下記群から選択される糖修飾を含んでいる。すなわち、2’−デオキシ−2’−フルオロ−オリゴリボヌクレオチド(2’−フルオロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、2’−フルオロ−2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸)、2’−デオキシ−2’−ジアミンオリゴリボヌクレオチド(2’−アミノ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、2’−アミノ−2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸)、2’−O−アルキルオリゴリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−C−アルキルオリゴリボヌクレオチド(2’−O−メチルシチジン−5’−三リン酸、2’−メチルウリジン−5’−三リン酸)、2’−C−アルキルオリゴヌクレオチド、およびそれらの異性体(2’−アラシチジン−5’−三リン酸、2’−アラウリジン−5’−三リン酸)、またはアジド三リン酸 (2’−アジド−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、2’−アジド−2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸)からなる群より選択される糖修飾を含んでいる。 また、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、付加的または代替的に、少なくとも1つの塩基修飾を含んでいてもよく、塩基修飾は、変更されていない(すなわち天然の(=野生型))RNA配列と比較して、少なくとも1つのRNA配列によってコードされているタンパク質の発現を著しく増加させるために好適なものであることが好ましい。この場合「著しく」とは、天然のRNA配列の発現と比べて、タンパク質発現における増加率が、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、40%、50%または60%、より好ましくは少なくとも70%、80%、90%または100%、最も好ましくは少なくとも150%、200%、300%またはそれ以上であること意味する。本発明に関して、このような塩基修飾を持つヌクレオチドは、下記からなる、塩基修飾ヌクレオチドの群から選択されることが好ましい。すなわち、2−アミノ−6−クロロプリンリボシド−5’−三リン酸、2−アミノアデノシン−5’−三リン酸、2−チオシチジン−5’−三リン酸、2−チオウリジン−5’−三リン酸、4−チオウリジン−5’−三リン酸、5−アミノアリルシチジン−5’−三リン酸、5−アミノアリルウリジン−5’−三リン酸、5−ブロモシチジン−5’−三リン酸、5−ブロモウリジン−5’−三リン酸、5−ヨードシチジン−5’−三リン酸、5−ヨードウリジン−5’−三リン酸、5−メチルシチジン−5’−三リン酸、5−メチルウリジン−5’−三リン酸、6−アザシチジン−5’−三リン酸、6−アザウリジン−5’−三リン酸、6−クロロプリンリボシド−5’−三リン酸、7−デアザアデノシン−5’−三リン酸、7−デアザグアノシン−5’−三リン酸、8−アザアデノシン−5’−三リン酸、8−アジドアデノシン−5’−三リン酸、ベンズイミダゾール−リボシド−5’−三リン酸、N1−メチルアデノシン−5’−三リン酸、N1−メチルグアノシン−5’−三リン酸、N6−メチルアデノシン−5’−三リン酸、O6−メチルグアノシン−5’−三リン酸、シュードウリジン−5’−三リン酸、ピューロマイシン−5’−三リン酸またはキサントシン−5’−三リン酸からなる群から選択されることが好ましい。特に、5−メチルシチジン−5’−三リン、7−デアザグアノシン−5’−三リン酸、5−ブロモシチジン−5’−三リンおよびシュードウリジン−5’−三リン酸からなる塩基修飾ヌクレオチドの群から選択される塩基修飾のためのヌクレオチドが好ましい。 別の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、同様に、自身のリボースまたは塩基構成成分の修飾を含んでいるさらに修飾されたヌクレオチドを導入することによって、修飾(および好ましくは安定化)することができる。一般に、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、任意の野生型(自然発生)ヌクレオチド、例えばグアノシン、ウラシル、アデノシンおよび/またはシトシンを含んでいてもよく、それらの類似体を含んでいてもよい。この関係において、ヌクレオチド類似体とは、自然発生のヌクレオチドのうち、非自然発生の変異体として定義される。したがって、類似体とは、非天然に発生した官能基を有する化学的に誘導体化されたヌクレオチドであり、該ヌクレオチドは自然発生のヌクレオチドに対して付加されているか、欠失しているか、またはヌクレオチドの自然発生の官能基と置換していることが好ましい。したがって、自然に発生したヌクレオチドを構成する成分はそれぞれ修飾されていてもよい。言い換えれば、塩基成分、糖(リボース)成分および/またはRNA配列の骨格(上記参照)を形成するリン酸成分がそれぞれ修飾されていてもよい。グアノシン、ウラシル、アデノシンおよびシトシンの類似体は特に限定されず、例えばアセチル化、メチル化、ヒドロキシル化などによって化学的に変更された、任意の自然発生または非自然発生である、グアノシン、ウラシル、アデノシン、チミジンまたはシトシンを含んでいる。例えば、1−メチル−アデノシ、1−メチル−グアノシン、1−メチル−イノシン、2,2−ジメチル−グアノシン、2,6−ジアミノプリン、2’−アミノ−2’−デオキシアデノシン、2’−アミノ−2’−デオキシシチジン、2’−アミノ−2’−デオキシグアノシン、2’−アミノ−2’−デオキシウリジン、2−アミノ−6−クロロプリンリボシド、2−アミノプリン−リボシド、2’−アラアデノシン、2’−アラシチジン、2’−アラウリジン、2’−アジド−2’−デオキシアデノシン、2’−アジド−2’−デオキシシチジン、2’−アジド−2’−デオキシグアノシン、2’−アジド−2’−デオキシウリジン、2−クロロアデノシン、2’−フルオロ−2’−デオキシアデノシン、2’−フルオロ−2’−デオキシシチジン、2’−フルオロ−2’−デオキシグアノシン、2’−フルオロ−2’−デオキシウリジン、2’−フルオロチミジン、2−メチル−アデノシン、2−メチル−グアノシン、2−メチル−チオ−N6−イソペネニル−アデノシン、2’−O−メチル−2−アミノアデノシン、2’−O−メチル−2’−デオキシアデノシン、2’−O−メチル−2’−デオキシシチジン、2’−O−メチル−2’−デオキシグアノシン、2’−O−メチル−2’−デオキシウリジン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、2’−O−メチルイノシン、2’−O−メチルシュードウリジン、2−チオシチジン、2−チオ−シトシン、3−メチル−シトシン、4−アセチル−シトシン、4−チオウリジン、5−(カルボキシルヒドロキシメチル)−ウラシル、5,6−ジヒドロウリジン、5−アミノアリルシチジン、5−アミノアリル−デオキシ−ウリジン、5−ブロモウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオ−ウラシル、5−カルボキシメチルアモノメチル−ウラシル、5−クロロ−アラ−シトシン、5−フルオロ−ウリジン、5−ヨードウリジン、5−メトキシカルボニルメチル−ウリジン、5−メトキシ−ウリジン、5−メチル−2−チオ−ウリジン、6−アザシチジン、6−アザウリジン、6−クロロ−7−デアザ−グアノシン、6−クロロプリンリボシド、6−メルカプト−グアノシン、6−メチル−メルカプトプリン−リボシド、7−デアザ−2’−デオキシ−グアノシン、7−デアザアデノシン、7−メチル−グアノシン、8−アザアデノシン、8−ブロモ−アデノシン、8−ブロモ−グアノシン、8−メルカプト−グアノシン、8−オキソグアノシン、ベンズイミダゾール−リボシド、ベータ−D−マンノシル−キューオシン、ジヒドロ−ウラシル、イノシン、N1−メチルアデノシン、N6−([6−アミノヘキシル]カルバモイルメチル)−アデノシン、N6−イソペンテニル−アデノシン、N6−メチル−アデノシン、N7−メチル−キサントシン、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ピューロマイシン、キューオシン、ウラシル−5−オキシ酢酸、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ワイブトキソシン、キサントシンおよびキシロ−アデノシンである。このような類似体を調製することは、例えば米国特許第4,373,071号,第4,401,796号,第4,415,732号,第4,458,066号,第4,500,707号,第4,668,777号,第4,973,679号,第5,047,524号,第5,132,418号,第5,153,319号,第5,262,530号および第5,700,642号に記載されているように、当業者に周知である。上述した類似体の中で、本発明において特に好ましいのは、活性(免疫賦活)組成物のRNAの免疫原性を増加させる類似体、および/または導入されたRNAがさらに修飾されることを妨害しない類自体である。 ある実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、脂質修飾を含むことができる。このような脂質修飾されたRNAは、主として、本明細書において定義されるRNAを含み、上記抗原の群、好ましくは上記組み合わせの中から選択される、少なくとも2つの抗原をコードする。このような脂質修飾されたRNAは、概して、上記RNAと共有結合している少なくとも1つのリンカー、および上記リンカーにそれぞれ共有結合している少なくとも1つの脂質をさらに含んでいる。別の実施形態では、上記脂質修飾RNAは、本明細書において定義される(少なくとも1つの)RNA、および該RNAと(リンカーを用いずに)共有結合している少なくとも1つの(二官能)脂質を含んでいる。さらに別の実施形態では、脂質修飾RNAは、本明細書において定義されるRNA、該RNAと共有結合している少なくとも1つのリンカー、該リンカーとそれぞれ共有結合している少なくとも1つの脂質、および該RNAと(リンカーを用いずに)共有結合している少なくとも1つの(二官能)脂質を含んでいる。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAに含まれる脂質(複合または共有結合している)は、概して、それ自身が生物活性を有している脂質または脂溶性残留物であることが好ましい。この脂質は、例えばビタミンなどの天然物質または天然化合物を含んでいることが好ましい。ビタミンとしては、例えば、RRR−アルファ−トコフェロール(前身はD−アルファ−トコフェロール)、L−アルファ−トコフェロール、ラセミ化合物D、L−アルファ−トコフェロール、ビタミンE琥珀酸エステル(VES)などのアルファ−トコフェロール(ビタミンE)、例えばレチノイン酸、レチノールなどのビタミンAおよびその派生物、例えばビタミンDおよびビタミンDのエルゴステロール前駆体などのビタミンDおよびその派生物、ビタミンEおよびその派生物、例えばビタミンKおよび関連するキノン化合物もしくはフィトール化合物などのビタミンKおよびその派生物、または、例えば胆汁酸、例えばコール酸、デオキシコール酸、デヒドロコール酸、コルチゾン、ジゴキシゲニン、テストステロン、コレステロールもしくはチオコレステロールなどのステロイドを含む。さらに、本発明の範疇に含まれる脂質または脂溶性残留物は、特に限定はされないが、ポリアルキレングリコール(Oberhauserら,Nucl.Acids Res.,1992,20,533)、脂肪族基(例えばC1−C20−アルカン、C1−C20−アルカンまたはC1−C20−アルカノール化合物など(例えばドデカンジオール、ヘキサデカノールもしくはウンデシル残留物(Saison-Behmoarasら,EMBO J,1991,10,111;Kabanovら,FEBS Lett.,1990,259,327;Svinarchukら,Biochimie,1993,75,49)、リン脂質(例えばホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジ−ヘキサデシル−ラセミ−グリセロール、スフィンゴリピド、セレブロシド、ガングリオシドまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−ラセミ−グリセロ−3−H−ホスホン酸塩(Manoharanら,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651;Sheaら,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777)、ポリアミンもしくはポリアルキレングリコール(例えばポリエチレングリコール(PEG)(Manoharanら,Nucleosides & Nucleotides,1995,14,969)、ヘキサエチレングリコール(HEG)、パルミチンもしくはパルミチル残留物(Mishraら,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229)、オクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール残留物(Crookeetら,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923)、ろう、テルペン、脂環式炭化水素、飽和脂肪酸残留物、およびモノ不飽和脂肪酸残留物もしくはポリ不飽和脂肪酸残留物などが含まれる。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、同様に、様々な方法によって、インビボにおけるRNA分解を防ぐために、安定化されてもよい。一般的に、当該分野において、インビボにおけるmRNAまたはRNAの不安定度および(速い)分解は、RNAを基にした組成物を適用するにあたり、深刻な問題となることが知られている。このRNAの不安性は、RNA分解酵素である「RNases(リボヌクレアーゼ)」によるところが大きく、このようなリボヌクレアーゼによるコンタミネーションによって、溶液中においてRNAが完全に分解してしまうことがある。したがって、細胞の細胞質内におけるmRNAの自然分解は細かく調節されており、RNaseのコンタミネーションは通常、上記組成物を使用する前に特別な処理、特にピロ炭酸ジエチル(DEPC)を用いた処理により除去され得る。多くの自然分解機構がこれに関連する従来技術において周知であり、同様に利用することができる。例えば、末端構造は、概して、インビボにおけるmRNAにとって極めて重要である。一例として、自然発生のmRNAの5’末端には、通常いわゆる「キャップ構造(修飾グアノシンヌクレオチド)」があり、3’末端には、一般的に、最大200個のアデノシンヌクレオチド(いわゆるポリA尾部)の配列がある。 それゆえ、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、特にmRNAとして提供される場合、いわゆる「5’キャップ」構造を付加することによって、RNasesによる分解に対して、安定化することができる。この関係において、「5’キャップ構造」として特に好ましいのは、m7G(5’)ppp(5’(A,G(5’)ppp(5’)AまたはG(5’)ppp(5’)G)構造である。しかしながら、このような修飾が導入されるのは、修飾、例えば脂質修飾が、本発明の免疫促進性組成物の(m)RNAの5’末端に導入されていない場合、または修飾が(非修飾または化学的に修飾された)(m)RNAの免疫特性を妨害しない場合に限られる。 さらに好ましい実施形態によると、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、特に該RNAがmRNAであるとき、3’末端上にポリA尾部を含み、その長さは約10〜200アデノシンヌクレオチド、好ましくは約10〜100アデノシンヌクレオチド、より好ましくは約20〜100アデノシンヌクレオチド、さらに好ましくは約40〜80アデノシンヌクレオチドであってもよい。 さらに好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、特に該RNAがmRNAであるとき、3’末端上にポリC尾部を含み、その長さは主に約10〜200シトシンヌクレオチド、好ましくは約10〜100シトシンヌクレオチド、より好ましくは約20〜70シトシンヌクレオチド、さらに好ましくは約20〜60または10〜40シトシンヌクレオチドであってもよい。 別の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAは修飾されてもよく、特に該RNAがmRNAであるとき、RNAのG/C含有量、好ましくは少なくとも1つのRNAのコード領域におけるG/C含有量を修飾することによって安定化されてもよい。 本発明の特に好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのコード領域のG/C含有量は、その特定の野生型(m)RNA(すなわち非修飾(m)RNA)のコード領域のG/C含有量と比較して、とりわけ増加して修飾されている。少なくとも1つの(m)RNAの、コードされたアミノ酸配列は、特定の野生型(m)RNAのコードされたアミノ酸配列と比較して、修飾されていないことが好ましい。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAの修飾は、翻訳される任意の(m)RNA領域の配列が、(m)RNAを効率よく翻訳するために重要であるという調査に基づく。このように、様々なヌクレオチドの構成および配列が重要である。特に、G(グアノシン)/C(シトシン)の含有量が増加した配列は、A(アデノシン)/U(ウラシル)の含有量が増加した配列よりも安定している。そのため、本発明によれば、(m)RNAのコドンは、翻訳されたアミノ酸配列を保持しながら、その野生型(m)RNAと比較して変化しており、コドンのG/Cヌクレオチドは増加している。いくつかのコドンが単一および同一のアミノ酸をコードする(いわゆる遺伝子コードの縮重)という調査に基づき、最も安定性に優れたコドンを決定することができる(いわゆる代替コドンの使用)。 少なくとも1つの(m)RNAによってコードされるアミノ酸に応じて、その野生型配列と比較した、(m)RNAの修飾は種々可能である。GヌクレオチドまたはCヌクレオチドのみを含むコドンによってコードされるアミノ酸の場合、コドンの修飾は必要ない。それゆえ、Pro(CCCまたはCCG)、Arg(CGCまたはCGG)、Ala(GCCまたはGCG)およびGly(GGCまたはGGG)といったコドンは、AまたはUが存在しないため、修飾を必要としない。 逆に、Aヌクレオチドおよび/またはUヌクレオチドを含むコドンは、同じアミノ酸をコードするがAヌクレオチドおよび/またはUヌクレオチドを含まない、他のコドンとの置換によって修飾することができる。以下に例を示す: Proをコードするコドンは、CCUまたはCCAから、CCCまたはCCGに修飾され得;Argをコードするコドンは、CGU、CGA、AGAまたはAGGから、CGCまたはCGGに修飾され得;Alaをコードするコドンは、GCUまたはGCAから、GCCまたはGCGに修飾され;Glyをコードするコドンは、GGUまたはGGAから、GGCまたはGGGに修飾され得る。 別の場合、AヌクレオチドまたはUヌクレオチドをコドンから除去することはできないが、Aヌクレオチドおよび/またはUヌクレオチドの含有量が少ないコドンを使用して、AヌクレオチドおよびUヌクレオチドの含有量を減少させることができる。以下に例を示す:Pheをコードするコドンは、UUUからUUCに修飾され得;Leuをコードするコドンは、UUA、UUG、CUUまたはCUAから、CUCまたはCUGに修飾され得;Serをコードするコドンは、UCU、UCAまたはAGUから、UCC、UCGまたはAGCに修飾され得;Tyrをコードするコドンは、UAUからUACに修飾され得;Cysをコードするコドンは、UGUからUGCに修飾され得;Hisをコードするコドンは、CAUからCACに修飾され得;Glnをコードするコドンは、CAAからCAGに修飾され得;Ileをコードするコドンは、AUUまたはAUAから、AUCに修飾され得;Thrをコードするコドンは、ACUまたはACAから、ACCまたはACGに修飾され得;Asnをコードするコドンは、AAUからAACに修飾され得;Lysをコードするコドンは、AAAからAAGに修飾され得;Valをコードするコドンは、GUUまたはGUAから、GUCまたはGUGに修飾され得;Aspをコードするコドンは、GAUからGACに修飾され得;Gluをコードするコドンは、GAAからGAGに修飾され得;終止コドンUAAは、UAGまたはUGAに修飾され得る。 一方、Met(AUG)およびTrp(UGG)のコドンの場合、配列修飾はあり得ない。 列挙した置換は、単独で使用することが可能であり、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つの(m)RNAのG/C含有量を、その特定の野生型(m)RNA(すなわち元の配列)と比べて、増加させる任意の組み合わせにおいて使用することも可能である。このように、例えば、野生型配列において発生するすべてのThrのコドンは、ACC(またはACG)に修飾することができる。しかしながら、例えば、上記置換の起こり得る組み合わせにて使用することが好ましい。以下に例を示す。 元の配列(野生型(m)RNA)においてThrをコードするすべてのコドンを、ACC(またはACG)へと置換し、元はSerをコードするすべてのコドンを、UCC(またはUCGまたはAGC)へと置換する;元の配列においてIleをコードするすべてのコドンを、AUCへと置換し、元はLysをコードするすべてのコドンを、AAGへと置換し、元はTyrをコードするすべてのコドンを、UACへと置換する;元の配列においてValをコードするすべてのコドンを、GUC(またはGUG)へと置換し、元はGluをコードするすべてのコドンをGAGへと置換し、元はAlaをコードするすべてのコドンをGCC(またはGCG)へと置換し、元はArgをコードするすべてのコドンをCGC(またはCGG)へと置換する;元の配列においてValをコードするすべてのコドンを、GUC(またはGUG)へと置換し、元はGluをコードするすべてのコドンを、GAGへと置換し、元はAlaをコードするすべてのコドンを、GCC(またはGCG)へと置換し、元はGlyをコードするすべてのコドンを、GGC(またはGGG)へと置換し、元はAsnをコードするすべてのコドンを、AACへと置換する;元の配列においてValをコードするすべてのコドンを、GUC(またはGUG)へと置換し、元はPheをコードするすべてのコドンを、UUCへと置換し、元はCysをコードするすべてのコドンを、UGCへと置換し、元はLeuをコードするすべてのコドンを、CUG(またはCUC)へと置換し、元はGlnをコードするすべてのコドンを、CAGへと置換し、元はProをコードするすべてのコドンを、CCC(またはCCG)へと置換する;等が挙げられる。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのコード領域のG/C含有量は、本明細書において定義される抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチド、あるいはそれらの断片または変異体をコードする、野生型(m)RNAのコードされた領域のG/C含有量と比べて、少なくとも7%増加されることが好ましく、少なくとも15%増加されることがより好ましく、少なくとも20%増加されることがさらに好ましい。ある特定の実施形態によれば、本明細書において定義される抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチド、あるいはそれらの断片または変異体をコードする領域における置換可能なコドンを、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、より好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%または100%置換し、または野生型(m)RNA配列全体を置換して、上記配列のG/C含有量を増加させる。 ここで、野生型配列と比べて、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つの(m)RNAのG/C含有を、最大限(すなわち置換可能なコドンを100%)増加させることが好ましく、特に、タンパク質をコードする領域において増加させることが好ましい。 本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上なくとも1つの(m)RNAのさらに好ましい修飾は、翻訳効率は、細胞におけるtRNAの出現頻度の違いによっても決定される、という知見に基づいている。そのため、いわゆる「レアコドン」が本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAにおいて存在する量が増加した場合、対応する修飾された少なくとも1つの(m)RNA配列は、比較的「頻繁に」tRNAをコードするコドンが存在する場合よりも、顕著に低い割合で翻訳する。 本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の修飾された少なくとも1つの(m)RNAにおいて、アジュバントタンパク質をコードする領域は、野生型(m)RNAの対応領域と比べて修飾されている。その修飾では、細胞において比較的珍しいtRNAをコードする野生型配列の少なくとも1つのコドンが、細胞において比較的頻出するtRNAをコードするコドンと交換され、比較的珍しいtRNAと同一のアミノ酸を有するようになる。この修飾によって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つの(m)RNAの配列は、頻繁に発生するtRNAを利用できるコドンが挿入されるように修飾される。言い換えれば、本発明によれば、この修飾によって、細胞において比較的珍しいtRNAをコードする野生型配列のすべてのコドンを、いかなる場合でも、細胞において比較的頻出するtRNAをコードするコドンと交換可能であると共に、いかなる場合でも、比較的珍しいtRNAと同一のアミノ酸を有することが可能である。 この細胞において比較的頻出するtRNAおよび比較的珍しいtRNAは、当業者にとって周知である(例えばAkashi,Curr.Opin.Genet.Dev.2001,11(6):660-666参照)。最も頻出するtRNAを特定のアミノ酸のために使用するコドン、例えば(ヒト)細胞において最も頻出するtRNAを使用するGlyコドンが特に好ましい。 本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の修飾された少なくとも1つの(m)RNAにおいて増加、特に最大化された配列G/C含有量を、(m)RNAのコード領域によってコードされているタンパク質のアミノ酸配列を修飾することなく、「頻出」するコドンと結合させることが特に好ましい。この好ましい実施形態によれば、特に効率よく翻訳および安定化(修飾)された、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つの(m)RNAを提供することができる。 上述したような(増加されたG/C含有量;tRNA交換)、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの修飾された(m)RNAは、国際特許公開第WO02/098443号に説明されるコンピュータープログラムを使用して決定できる。国際特許公開第WO02/098443号が開示する内容はすべて、本発明の範囲に含まれる。このコンピュータープログラムを使用することによって、遺伝子コードまたはその縮重性質を活用して、いかなる所望する(m)RNAのヌクレオチド配列も修飾することができ、その修飾は、細胞において最も高頻度で出現するtRNAに対応するコドンを使用して、G/C含有量を最大限増加させ、好ましくは修飾された少なくとも1つの(m)RNAにコードされるアミノ酸配列は、非修飾配列と比べて修飾されていない、というものである。または、元の配列と比べて、G/C含有量のみ、またはコドン処理のみを修飾することも可能である。ビジュアルベーシック6.0(使用開発環境:Microsoft Visual Studio Enterprise 6.0 with Servicepack3)におけるソースコードもまた、国際特許公開第WO02/098443号に記載されている。 本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのリボソーム結合部位の環境におけるA/U含有量は、その特定の野生型(m)RNAのリボソーム結合部位の環境におけるA/U含有量と比べて、増加している。この修飾(リボソーム結合部位周辺におけるA/U含有増加)は、少なくとも1つの(m)RNAにリボソームをより効率良く結合させる。リボソームをリボソーム結合部位(Kozak sequence:GCCGCCACCAUGG(配列番号27)、AUGは開始コドンを形成する)に効率よく、順に結合させると、少なくとも1つの(m)RNAを効率よく翻訳することができる。 本発明のさらなる実施形態によると、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、潜在的に不安定な配列要素に対して修飾されていてもよい。特に、上記少なくとも1つの(m)RNAのコード領域および/または5’非翻訳領域および/または3’非翻訳領域は、特定の野生型(m)RNAと比べて、修飾させられていてもよく、その修飾は、不安定化配列要素をまったく有さないように、また、好ましくはその特定の野生型(m)RNAと比べて、修飾された少なくとも1つの(m)RNAのコードされたアミノ酸配列が修飾されていない。例えば、真核細胞RNAの配列において、不安定化配列要素(DSE)が発生し、シグナルタンパク質が結合して、インビボにおけるRNAの酵素分解を調整することは周知である。それゆえ、修飾された少なくとも1つの(m)RNAをさらに安定化させるために、任意で、本明細書において定義する抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドをコードする領域において、野生型(m)RNAの対応領域と比べて、このような1つまたはそれ以上の修飾を実行できるので、含有される不安定化配列要素を完全にまたは実質的になくすことができる。本発明によれば、非翻訳領域(3’−および/または5’−UTR)において存在するDSEを、このような修飾によって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAから除去することもできる。 このような不安定化配列とは、例えば多数の不安定なRNAの3’−UTR部に存在する、AU−リッチ配列(AURES)である(Caput et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1986,83:1670 to 1674)。それゆえ、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、野生型(m)RNAと比べて、該少なくとも1つの(m)RNAがこのような不安定化配列を含まないように修飾されていることが好ましい。また、これは、(m)RNAの配列モチーフにも適用できる。配列モチーフは、潜在的エンドヌクレアーゼによって認識される。例えば、トランスフェリン受容体をコードする遺伝子の3’UTR部分に含まれる、配列GAACAAGである(Binderetら,EMBO J.1994,13:1969 to 1980)。これらの配列モチーフも、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAにおいて、除去されることが好ましい。 また、本発明によれば、例えばリボソーム結合を高めるために、または本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(ビシストロン性またはマルチシストロン性)RNA上に位置する、コードされた異なる抗原の発現を可能にするために、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、修飾形態において、少なくとも1つの上記定義したIRESを含んでいることが好ましく、修飾形態において、少なくとも1つの5’および/または3’安定化配列を含んでいることが好ましい。 本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、少なくとも1つの5’安定化配列および/または3’安定化配列を有していることがさらに好ましい。5’非翻訳領域および/または3’非翻訳領域におけるこれらの安定化配列は、細胞質ゾルにおいて少なくとも1つの(m)RNAの半減期を増加させる効果がある。これらの安定化配列は、ウイルス、バクテリア、および真核生物において発生する自然発生型配列と100%の相同性を有することも可能であるが、部分的または完全に合成されていてもよい。RNAを安定化するために、本発明において使用される安定化配列の一例として、例えばヒトまたはアフリカツメガエルから得られるベータグロビン遺伝子の非翻訳配列(UTR)を挙げることができる。安定化配列の別の例としては、一般式(C/U)CCANxCCC(U/A)PyxUC(C/U)CC(配列番号28)を有するものが挙げられる。これはアルファグロビン、アルファ(I)−コラーゲン、15−リポキシゲナーゼまたはチロシンヒドロキシラーゼをコードする非常に安定したRNAの3’UTRに含まれる(Holcik et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1997,94:2410 to 2414参照)。このような安定化配列はもちろん単独で使用することが可能であるし、それぞれ組み合わせて使用することも可能である。また、当業者に周知である他の安定化配列と組み合わせて使用することもできる。それゆえ、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、グロビンUTR(非翻訳領域)安定RNA、特にベータグロビンUTR安定RNAとして存在することが好ましい。 それでもなお、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAにおいては、塩基の置換、付加または欠失されていることが好ましく、周知の部位特異的突然変異誘発法またはオリゴヌクレオチド結紮法によって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAを調製するためのDNAマトリクスを用いて行なうことが好ましい(例えば、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring HarborLaboratory Press,3rd ed.,Cold Spring Harbor,NY,2001参照)。このようなプロセスにおいては、少なくとも1つの(m)RNAを調製するために、対応するDNA分子がインビトロで転写されてもよい。このDNAマトリクスは、インビトロ転写に好適なプロモーター、例えばT7プロモーターまたはSP6プロモーターを有していることが好ましく、プロモーターは少なくとも1つのRNAが調製されるための所望のヌクレオチド配列、およびインビトロ転写のための終止シグナルの上流に位置する。対称となる少なくとも1つのRNAのマトリクスを形成するDNA分子は、バクテリアにおいて複製することができるプラスミドの一部として、発酵延命およびそれに続く分離によって調製することができる。本発明において好適なプラスミドとしては、例えばプラスミドpT7Ts(GenBankアクセッション番号U26404;Laiら,Development 1995,121:2349 to 2360)、pGEM(登録商標)シリーズ、例えばpGEM(登録商標)−1(GenBankアクセッション番号X65300;from Promega)およびpSP64(GenBankアクセッション番号X65327)である(Mezei and Storts,Purification ofPCR Products,in:Griffin and Griffin(ed.),PCR Technology:Current Innovation,CRC Press,Boca Raton,FL,2001.参照)。 本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAをカチオン複合体、特にポリカチオン複合体(例えば(ポリ)カチオンペプチドまたはタンパク質)と結びつける、複合させる、または結合させることによって、少なくとも1つのRNAを同様に安定化させることができる。RNAに結合するポリカチオン核酸結合タンパク質としてプロタミン、ヌクレオリン、スペルミンまたはスペルミジンを使用すると、特に効果的である。さらに、ポリ−L−リジンまたはヒストンなど、他のカチオンペプチドまたはタンパク質も同様に使用できる。このRNA安定化手順は欧州特許第1083232号明細書に開示されており、開示内容は参考として本発明に援用される。さらに好ましい、本発明の活性(免疫賦活)組成物のRNAを安定化させるために使用可能なカチオン成分として、カチオン性多糖類(例えばキトサン、ポリブレン、ポリエチレンイミン(PEI)またはポリ−L−リジン(PLL)など)が挙げられる。本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAと、カチオン複合物(例えばカチオンタンパク質)またはカチオン脂質(例えば脂質ベース錯化剤としてオリゴフェクタミン)とを結合または合成した活性組成物薬品として、治療すべき細胞または生体に導入される少なくとも1つのRNAを増加させることが好ましい。合成による、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAのための安定化効果についても、上記開示内容を参照されたい。また、上記開示内容は、RNA安定化についても同様に記載している。 別の特に好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、付加的にまたは代替的に、分泌シグナルペプチドをコードしていてもよい。このようなペプチドが示す長さは概して15〜30個のアミノ酸であり、特に限定はされないが、コードされたペプチドのN末端に位置する配列であることが好ましい。本明細書において定義されるシグナルペプチドは、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされる抗原、抗原タンパク質、または抗原ペプチドを、特定細胞内コンパートメントの中へ、好ましくは細胞表面、小胞体(ER)、またはエンドソーム−リソソームコンパートメント内へと運ぶことができる。特に限定されないが、本明細書において定義される分泌シグナルペプチド配列の例として、従来のMHC分子のシグナル配列もしくは従来にないMHC分子のシグナル配列(例えばMHCIおよびII分子のシグナル配列、例えばMHCクラスI分子HLA−A*0201のシグナル配列)、上述のサイトカインもしくは免疫グロブリンのシグナル配列、上述の免疫グロブリンもしくは抗体の不変鎖シグナル配列、Lamp1、Erp57、カルレチクリン、カルネキシンおよび膜結合タンパク質のシグナル配列、または小胞体(ER)もしくはエンドソーム−リソソームコンパートメントと結合したタンパク質のシグナル配列が挙げられる。本発明によれば、MHCクラスI分子HLA−A*0201のシグナル配列を使用することが特に好ましい。 上述した修飾はいずれも、本発明の活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAに適用することができ、さらに本発明との関連において使用される場合、任意の(m)RNAにも適用することができ、また、好適または必要であるならば、少なくとも1つのRNAそれぞれにおいて組み合わせた修飾が干渉し合わないのであれば、上述した修飾をどのように組み合わせて使用してもよい。当業者は、適宜選択することができるであろう。 別の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、免疫賦活剤(アジュバント)を含んでいてもよい。ここで、アジュバントは、本発明の活性(免疫賦活)組成物の管理、および投与を補助することに好適である化合物と理解されたい。さらに、このようなアジュバントは、結合することなく、先天性免疫システムの免疫応答、すなわち非特異的免疫応答を引き起こすか、または増加させてもよい。言い換えれば、投与時において、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、主として、発明の活性(免疫賦活)組成物に含まれる少なくとも1つのRNAによってコードされる少なくとも2つの抗原によって、適応免疫応答を引き起こす。さらに、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、上述のアジュバントを、本発明の活性(免疫賦活)組成物に対して付加することによって、(支持的)先天性免疫応答を引き起こしてもよい。このようなアジュバントは当業者にとって周知であり、本発明において好適である、すなわち哺乳動物において免疫システムを引き起こすことをサポートする、いかなるアジュバントから選択されてもよい。アジュバントは、特に限定はされないが、以下からなる群から選択されることが好ましい。すなわち、TDM、MDP、ムラミールジペプチド、プルロニック、カリ明礬溶液、水酸化アルミニウム、ADJUMER(登録商標)(ポリホスファゼン);リン酸アルミニウムゲル;藻グルカン;アルガムリン;水酸化アルミニウムゲル;高タンパク質吸収水酸化アルミニウムゲル;低粘性水酸化アルミニウムゲル;AFまたはSPT(スクアランのエマルジョン(5%)、Tween80(0.2%)、プルロニックL121(1.25%)、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4);AVRIDINE(登録商標)(プロパンジアミン);BAY R1005(登録商標)((N−(2−デオキシ−2−L−ロイシルアミノ−b−D−グルコピラノシル)−N−オクタデシル−ドデカノイル−アミドハイドロアセテート);CALCITRIOL(登録商標)(1−アルファ,25−ジヒドロキシ−ビタミンD3);リン酸カルシウムゲル;CAPTM(リン酸カルシウムナノ粒子);コレラホロトキシン、コレラトキシン−A1−タンパク質−A−D−断片融合タンパク質、コレラトキシンのサブユニットB;CRL 1005(ブロック共重合体P1205);サイトカイン含有リポソーム;DDA(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド);DHEA(デヒドロエピアンドロステロン);DMPC(ジミリストイルホスファチジルコリン);DMPG(ジミリストイルホスファチジルグリセロール);DOC/ミョウバン複合体(デオキシコール酸ナトリウム塩);フロイント完全アジュバント;フロイント不完全アジュバント;ガンマイヌリン;ゲルブアジュバント(下記(i)、(ii)、および(iii)の混合物:(i)N−アセチルグルコサミニル−(P1−4)−N−アセチルムラニル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、(ii)ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド(DDA)、(iii)亜鉛−L−プロリン塩複合体(ZnPro−8);GM−CSF);GMDP(N−アセチルグルコサミニル−(b1−4)−N−アセチルムラニル−L−アラニル−D−イソグルタミン);イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン);ImmTher(登録商標)(N−アセチルグルコサミニル−N−アセチルムラニル−L−Ala−D−イソグル−L−Ala−グリセロールジパルミタート);DRVs(脱水/再水和小胞から調製された免疫リポゾーム);インターフェロン−ガンマ;インターロイキン−1ベータ;インターロイキン−2;インターロイキン−7;インターロイキン−12;ISCOMS(登録商標);ISCOPREP7.0.3.(登録商標);リポソーム;LOXORIBINE(登録商標)(7−アリル−8−オキソグアノシン);LTオーラルアジュバント(大腸菌不安定エンテロトキシン−プロトキシン);組成物のミクロスフェアおよび微小粒子;MF59(登録商標);(スクアレン−水エマルジョン);MONTANIDE ISA51(登録商標)(精製フロイント不完全アジュバント);MONTANIDE ISA720(登録商標)(代謝可能油脂アジュバント);(登録商標)(3−Q−デスアシル−4’−モノホスホリル脂質A);MTP−PEおよびMTP−PEリポソーム((N−アセチル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−(ヒドロキシホスホリルオキシ))−エチルアミド、モノナトリウム塩);MURAMETIDE(登録商標)(Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH3);MURAPALMITINE(登録商標)およびD−MURAPALMITINE(登録商標)(Nac−Mur−L−Thr−D−isoGIn−sn−グリセロールジパルミトイル);NAGO(ノイラミニダーゼ−ガラクトース酸化酵素);組成物のナノスフェアまたはナノ粒子;NISVs(非イオン界面活性剤小胞);PLEURAN(登録商標)(β−グルカン);PLGA,PGAおよびPLA(乳酸およびグリコール酸のホモポリマーおよびコポリマー;ミクロスフェア/ナノスフェア);PLURONIC L121(登録商標);PMMA(ポリメチルメタクリル樹脂);PODDS(登録商標)(プロテイノイドミクロスフェア);ポリエチレンカルバメート派生物;ポリ−rA:ポリ−rU(ポリアデニル酸−ポリウリジル酸複合体);ポリソルベート80(Tween80);タンパク質シチリエート(Avanti Polar Lipids,Inc.,Alabaster,AL);STIMULON(登録商標)(QS−21);Quil−A(Quil−Aサポニン);S−28463(4−アミノ−otec−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール);SAF−1(登録商標)(シンテックスアジュバント形成);センダイプロテオリポソームおよびセンダイ含有脂質マトリックス;Span−85(ソルビタントリオレエート);Specol(Marcol52、Span85およびTween85のエマルジョン);スクアレンまたはRobane(商標登録)(2,6,10,15,19,23−ヘキサメチルテトラコサンおよび2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサン);ステアリルチロシン(オクタデシルチロシン塩酸塩);Theramid(商標登録)(N−アセチルグルコサミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−イソグル−L−Ala−ジパルミトキシプロピルアミド);トレオニル−MDP(Termurtide(登録商標)または[thr1]−MDP;N−アセチルムラニル−L−トレオニル−D−イソグルタミン);Ty粒子(Ty−VLPsまたはウイルス様粒子);Walter−Reedリポソーム(水酸化アルミニウムに吸着したリポソーム含有脂質A)、およびリポペプチド、(Pam3Cysを含む、特にアルミニウム塩、例えばAdju−phos、Alhydrogel、Rehydragel;CFA、SAF、IFA、MF59、Provax、TiterMax、Montanide、Vaxfectinを含むエマルジョン;Optivax(CRL1005),L121,Poloaxmer4010)などを含む共重合体;ステルス、BIORALを含むコチリエート、を含むリポソーム;QS21、Quil A、Iscomatrix、ISCOMを含む植物由来アジュバント;複刺激に好適な、トマチン、(PLG、PMM、イヌリンを含む)バイオポリマーを含むアジュバント;アジュバント由来微生物(以下を含む:Romurtide、DETOX、MPL、CWS、マンノース、CpG核酸配列、CpG7909、ヒトTLR 1−10リガンド、マウスTLR 1−13リガンド、ISS−1018、IC31、イミダゾキノリン、Ampligen、Ribi529、IMOxine、IRIVs、VLPs、コレラトキシン、易熱性トキシン、Pam3Cys、フラジェリン、GPIアンカー、LNFPIII/Lewis X、抗微生物ペプチド、UC−1V150、RSV融合タンパク質、cdiGMP;およびCGRP神経ペプチドを含む抑制因子として好適なアジュバント、からなる群より選択される。 好適に使用できるアジュバントは、カチオンまたはポリカチオン化合物から選択してもよく、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAと、カチオンまたはポリカチオン化合物とを、複合することによって調製することが好ましい。活性(免疫賦活)組成物のRNAを、本明細書において定義するカチオンまたはポリカチオン化合物と結合または複合させることによって、アジュバント性質を提供し、また活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAを安定化させる効果を与えることが好ましい。このようなカチオン性もしくはポリカチオン性化合物は、カチオン性もしくはポリカチオン性のペプチドもしくはタンパク質(プロタミン、ヌクレオリン、スペルミンまたはスペルミジンを含む)から選択されるか、または他のカチオン性ペプチドまたはタンパク質から選択されることが特に好ましい。他のカチオン性ペプチドまたはタンパク質は、例えばポリ−L−リジン(PLL)、ポリ−アルギニン、塩基性ポリペプチド、細胞透過性ペプチド(CPPs)(HIV結合ペプチド、Tat、HIV−1 Tat(HIV)、Tat由来ぺプチド、ペネトラチン、VP22由来または類似ペプチド、HSV VP22(単純ヘルペス)、MAP、KALAまたはタンパク質形質導入ドメイン(PTDs、PpT620、高プロリンペプチド、高アルギニンペプチド、高レジンペプチド、MPG−ペプチド、Pep−1、L−オリゴマー、カルシトニンペプチド、アンテナペディア由来ペプチド(特にショウジョウバエアンテナペディア由来))、pAnt、pIsl、FGF、ラクトフェリン、トランスポータン、ブホリン−2、Bac715−24、SynB、SynB(1)、pVEC、hCT由来ペプチド、SAP、プロタミン、スペルミン、スペルミジン、またはヒストンである。さらに好ましいカチオン性またはポリカチオン性化合物は、カチオン性多糖類(例えばキトサン、ポリブレン、カチオン性ポリマー(例えばポリエチレンイミン(PEI))、カチオン性脂質(例えばDOTMA:[1−(2,3−シオレイルオキシ)プロピル)]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、DMRIE、di−C14−アミジン、DOTIM、SAINT、DC−Chol、BGTC、CTAP、DOPC、DODAP、DOPE:ジオレイルホスファチジルエタノールアミン、DOSPA、DODAB、DOIC、DMEPC、DOGS:ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン、DIMRI:ジミリスト−オキシプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、DOTAP:ジオレイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン、DC−6−14:O,O−ジテトラデカノイル−N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミンクロリド、CLIP1:rac−[(2,3−ジオクタデシルオキシプロピル)(2−ヒドロキシエチル)]−ジメチルアンモニウムクロリド、CLIP6:rac−[2(2,3−ジヘキサデシルオキシプロピル−オキシメチルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、CLIP9:rac−[2(2,3−ジヘキサデシルオキシプロピル−オキシスクニシルオキシ)エチル]−トリメチルアンモニウム、オリゴフェクタミン)、カチオン性またはポリカチオン性ポリマー(例えば修飾ポリアミノ酸(例えばβ−アミノ酸−ポリマー、または逆ポリアミドなど)、修飾ポリエチレン(例えばPVP(ポリ(N−エチル−4−ビニルピリジニウムブロミド))など)、修飾アクリレート(例えばpDMAEMA(ポリ(ジメチルアミノエチルメチルアクリレート))など)、修飾アミドアミン(例えばpAMAM(ポリ(アミドアミン))など)、修飾ポリベータアミノエステル(PBAE)(例えばジアミン末端修飾1,4ブタンジオルジアクリレート−co−5−アミノ−1−ペンタノールポリマーなど)、デンドリマー(例えばポリプロピルアミンデンドリマーまたはpAMAMベースデンドリマーなど)、ポリイミン(例えばPEI:ポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン)など)、ポリアリルアミン、糖骨格ベースポリマー(例えばシクロデキストリンベースポリマー、デキストランベースポリマー、キトサンなど)、シラン骨格ベースポリマー(例えばPMOXA−PDMS共重合体など)、1つまたはそれ以上のカチオン性ブロック(例えば上記したカチオン性ポリマーから選択される)と、1つまたはそれ以上の親水性または疎水性ブロック(例えばポリエチレングリコール)との組み合わせからなるブロック重合体)、などである。 さらに、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAと合成することによってアジュバントとして使用できるカチオン性またはポリカチオン性タンパク質またはペプチドは、以下の一般式(I): (Arg)l;(Lys)m;(His)n;(Orn)o;(Xaa)x・・・(I) (式中、l+m+n+o+xは8〜15であり、l、m、nまたはoは互いに独立して、Arg、Lys、HisおよびOrnの総含有量がオリゴペプチドの全アミノ酸の少なくとも50%を示すように、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15から選択される任意の数であり;Xaaは、Arg、Lys、HisまたはOrnを除く、野生型(すなわち自然発生)または非天然アミノ酸から選択される任意のアミノ酸であればよく;xはXaaの総含有量がオリゴペプチドのすべてのアミノ酸の50%を超えない範囲で、0、1、2、3または4から選択される任意の数であればよい)を有するタンパク質またはペプチドから選択されることが好ましい。ここで、特に好ましいオリゴアルギニンとしては、例えばArg7、Arg8、Arg9、Arg7、H3R9、R9H3、H3R9H3、YSSR9SSY、(RKH)4、Y(RKH)2Rなどが挙げられる。 さらに、好適なアジュバントは以下の一般式(II): GlXmGn・・・(II) (式中、Gはグアノシン、ウラシルあるいはグアノシンまたはウラシルの類似体であり、Xはグアノシン、ウラシル、アデノシン、チミジン、シトシンまたは上記ヌクレオチドの類似体であり;lは1から40までの整数であり、l=1のとき、Gはグアノシンまたはその類似体であり;l>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はグアノシンまたはその類似体であり;mは整数であり、少なくとも3であり;m=3のとき、Xはウラシルまたはその類似体であり、m>3のとき、少なくとも3つの連続するウラシルまたはウラシルの類似体があり;nは1から40までの整数であり、n=1のとき、Gはグアノシンまたはその類似体であり、n>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はグアノシンまたはその類似体である)を有する核酸から選択されてもよい。 さらに、他の好適なアジュバントとして、以下の一般式(III): ClXmCn・・・(III) (式中、Cはシトシン、ウラシル、またはそれらの類似体であり;Xはグアノシン、ウラシル、アデノシン、チミジン、シトシンまたは上記ヌクレオチドの類似体であり;lは1から40までの整数であり、l=1のとき、Cはシトシンまたはその類似体であり、l>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はシトシンまたはその類似体であり;mは整数であり、少なくとも3であり;m=3のとき、Xはウラシルまたはその類似体であり、m>3のとき、少なくとも3つの連続するウラシルまたはその類似体があり;nは1から40までの整数であり、n=1のとき、Cはシトシンまたはその類似体であり、n>1のとき、ヌクレオチドの少なくとも50%はシトシンまたはその類似体である)を有する核酸から選択されるアジュバントが挙げられる。 好ましい一実施形態によると、本発明は、さらに、本発明の活性(免疫賦活)組成物を含むワクチンを提供してもよい。また、発明のワクチンは、薬学的に使用可能なキャリア、および/またはさらなる補助剤および添加剤を含んでいてもよく、アジュバントを含んでいてもよい。特に好ましい実施形態によれば、発明のワクチンに含まれる活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAにコードされる抗原は、上記群から選択される。 発明のワクチンは、主として、上述した少なくとも2つの抗原をコードし、さらに好ましくは、上記群のいずれかから選択される少なくとも2つの抗原をコードし、最も好ましくは上記示した組み合わせの中から選択される少なくとも2つの抗原をコードする、上述した活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAを、安全かつ効果的な量だけ含んでいる。本明細書において用いられる「安全かつ効果的な量」とは、上記定義したワクチンにおける活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAの量であり、前立腺癌(PCa)、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患において、活性修飾を著しく誘導するために十分な量を意味している。しかし同時に、「安全かつ効果的な量」は副作用を引き起こさない程度に十分に少ない量、すなわち利点とリスクとの適切な関係を可能にする量を意味する。これらの制限の決定は、適切な医学的判断という範疇に属する。本発明のワクチンに関して、「安全かつ効果的な量」という表現は、好ましくは過剰な、または損傷を与えるような免疫応答を起こさず、同時に、好ましくはこのような免疫応答が測定可能なレベルであるように、適応免疫システムを促進するにあたって好適なRNA(つまりコードされた2つの抗原)の量を意味している。上記定義したワクチンにおける活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAの、このような「安全かつ効果的な量」は、さらにRNAタイプ(例えばモノシストロン性、ビシストロン性またはマルチシストロン性)によって選択してもよい。なぜならば、ビシストロン性RNAまたはマルチシストロン性RNAは、同量のモノシストロン性RNAを使用した場合と比べて、コードされた抗原を極めて多く発現させ得るからである。発明のワクチンに含まれる、上記定義した活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAの「安全かつ効果的な量」は、さらに、主治医の知識および経験において、治療すべき特定の疾病および治療する患者の年齢および健康状態、疾病状態の程度、治療期間、付随する治療法の性質、使用される特定の薬学的に使用可能なキャリアの性質、および同様な因子に関連して変化する。本発明のワクチンは、薬学的組成物またはワクチンとして、ヒトを対象とする発明、または獣医による医療目的のための発明にしたがって使用することができる。 本発明のワクチンは、主として、薬学的に使用可能なキャリアを含んでいる。ここで使用される「薬学的に使用可能なキャリア」という表現には、発明のワクチンの液体状成分または非液体状成分が含まれることが好ましい。本発明のワクチンが液体状である場合、キャリアは概してピロゲンを含まない水、等張食塩水または(水性)緩衝液(例えばリン酸塩、クエン酸塩などの緩衝液)である。特に本発明のワクチン注入にあたっては、水、好ましくはバッファ、より好ましくは水性バッファを使用してもよく、ナトリウム塩(好ましくは少なくとも50mMのナトリウム塩)、カルシウム塩(好ましくは少なくとも0.01mMのカルシウム塩)、および任意でカリウム塩(好ましくは少なくとも3mMのカリウム塩)を含んでいてもよい。好ましい実施形態によれば、ナトリウム塩、カルシウム塩および必要に応じてカリウム塩は、そのハロゲン化物(例えば塩化物、ヨウ化物または臭化物)、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩または硫酸塩などの形態で作製されてもよい。以下に限定はされないが、ナトリウム塩の例としてNaCl、NaI、NaBr、Na2CO3、NaHCO3、Na2SO4などが挙げられ、任意のカリウム塩の例としてKCl、KI、KBr、K2CO3、KHCO3、K2SO4などが挙げられ、カルシウム塩の例としてCaCl2、CaI2、CaBr2、CaCO3、CaSO4、Ca(OH)2などが挙げられる。また、上記バッファは、上記カチオンの有機アニオンを含んでいてもよい。さらに好ましい実施形態によると、上記定義した注入目的に適しているバッファは、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、および必要に応じて塩化カリウム(KCl)のいずれかから選択される塩を含んでいてもよく、塩化物に加えてさらにアニオンが存在していてもよい。CaCl2はKClのような、別の塩と置換が可能である。概して、注入バッファにおける塩は塩化ナトリウム(NaCl)が少なくとも50mM、塩化カリウム(KCl)が少なくとも3mM、塩化カルシウムが少なくとも0.01mMの濃度である。注入バッファは特定の参照媒体と比べて、高張、等張または低張であってよい。すなわち、バッファは特定の参照媒体と比べて、より高い、等しい、またはより低い塩含有を有していてもよく、上記塩の上記濃度を使用することが好ましく、この場合、浸透作用またはその他の集中効果によって起こる細胞損傷を避けることができる。参照媒体は、例えば「インビボ」法において発生する液体、例えば血液、リンパ液、細胞質液またはその他の体液、あるいは「インビトロ」法において参照媒体として使用され得る液体、例えば一般的なバッファまたは液体である。このような一般的なバッファまたは液体は、当業者にとって周知である。液体成分としては、乳酸リンゲル液が特に好ましい。 しかしながら、1つまたはそれ以上の適合固形賦形剤または適合液状賦形剤、または希釈剤、または封入材料も同様に使用可能であり、患者へ投与する場合に適している。ここで使用される「適合」とは、発明のワクチンの構成物質が、上記定義した少なくとも2つの抗原をコードする活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAと混合可能であり、その混合によって、通常使用状況において、本発明のワクチンの薬剤的効果を実質的に減少させる相互作用を引き起こさない、ということを意味している。薬学的に使用可能なキャリア、賦形剤および希釈剤は、治療する患者へ投与するにあたって好適となるように、当然、十分な高純度および十分な低毒性を有していなければならない。薬学的に使用可能なキャリア、賦形剤、またはその構成物質として、使用が可能な化合物の例として、例えば、糖(例えばラクトース、グルコースおよびスクロース)、でんぷん(例えばトウモロコシでんぷんおよびジャガイモでんぷん)、セルロースおよびその派生物(例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、セルロースアセテート)、粉末状トラガント、麦芽、ゼラチン、獣脂、固形流動促進剤(例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物性油脂(例えばラッカセイ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびカカオ脂)、ポリオール(例えばポリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール)、アルギン酸が挙げられる。 薬学的に使用可能なキャリアは、原則的に本発明のワクチンを投与する方法に応じて選択される。本発明のワクチンは、例えば全身または局所的に投与できる。一般的な全身投与のための経路は、例えば、経皮経路、経口経路、非経口経路(皮下注入、静脈内注入、筋肉内注入、動脈内注入、皮内注入、腹腔内注入および/または鼻内注入経路を含む)である。一般的な局所投与のための経路は、例えば、局所性投与経路であるが、皮内注入、経皮注入、皮下注入または筋肉内注入、または病巣内注入、頭蓋内注入、胚内注入、心臓内注入および舌下注入であってもよい。皮内経路、皮下経路または筋肉内経路によってワクチンを投与することがさらに好ましい。それゆえ、組成物/ワクチンを液体状、または固体状に調剤することが好ましい。投与される発明のワクチンの好適な量は、動物モデルを使用したルーチン実験によって決定することができる。このようなモデルとしては、限定はされないが、ウサギ、ヒツジ、マウス、ネズミ、イヌおよびヒト以外の霊長類モデルが挙げられる。好ましい投薬の形態は、水の滅菌溶液、生理的食塩水またはそれらの混合物である。このような溶液のpHの値は、約7.4に調節すべきである。好適な注入キャリアは、ヒドロゲル、放出制御装置または放出遅延装置、ポリ乳酸およびコラーゲンマトリクスである。局所的に投与するために好適に薬学的に使用可能なキャリアとしては、ローション、クリーム、ジェルなどの形態において好適に使用できるものが挙げられる。本発明のワクチンが経口的に投与される場合、錠剤、カプセルなどが好適な投薬の形態である。経口投与に使用することができる投薬型を調製するための薬学的に使用可能なキャリアは、先行技術において周知である。その選択は、2次的考察、すなわち、味、コスト、保存性などによって決められ、それらは本発明の目的にとって不可欠な要素ではなく、当業者が容易に成すことができるものである。 免疫原性をより高めるために、発明のワクチンにさらに1つまたはそれ以上の補助剤を含めることができる。これにより、上記定義した活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNA、および上記定義した発明のワクチンに任意で含まれ得る補助剤の相乗作用が達成されることが好ましい。この点において、様々なタイプの補助剤によって、様々な作用を考慮することができる。例えば、樹状細胞を成熟させることができる化合物(例えばリポ多糖体、TNF−アルファまたはCD40リガンド)は、好適な補助剤の第1クラスを形成する。一般に、補助剤として、「危険信号(LPS、GP96など)」またはGM−CFSなどのサイトカインのように免疫システムに影響を及ぼす補助物質を使用することが可能である。ここで、補助物質は、対象となる方法において、本発明の免疫促進性アジュバントによってもたらされる免疫応答を強化および/または影響を与えることができる。補助剤として特に好ましいのは、サイトカイン(例えばモノカイン、リンフォカイン、インターロイキンまたはケモカイン)であり、コードされた少なくとも2つの抗原によって適応免疫応答を引き起こすことに加えて、先天性免疫応答を促進する。例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−33、INF−アルファ、IFN−ベータ、INF−ガンマ、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、LT−ベータまたはTNF−アルファ、増殖因子(例えばhGH)である。 本発明のワクチンに含まれ得る、さらなる添加物としては、乳化剤(例えばTween(商標登録))、潤滑剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、味付与剤、製薬キャリア、錠剤形成剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤などが挙げられる。 本発明のワクチンは、ヒトトール様受容体TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10に対して、(リガンドとして)その結合親和性によって免疫促進性を持つことが知られる任意の化合物、またはマウストール様受容体TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12またはTLR13に対して、(リガンドとして)その結合親和性によって免疫促進性を持つことが知られている任意の化合物をさらに含むことができる。 ここで、本発明のワクチンに付加できる化合物の別のクラスは、CpG核酸、特にCpG−RNAまたはCpG−DNAであってよい。CpG−RNAまたはCpG−DNAは、1本鎖CpG−DNA(ss CpG−DNA)、2本鎖CpG−DNA(dsDNA)、1本鎖CpG−RNA(ss CpG−RNA)または2本鎖CpG−RNA(ds CpG−RNA)であってもよい。CpG核酸はCpG−RNAという形態であることが好ましく、1本鎖CpG−RNA(ss CpG−RNA)とう形態であることがさらに好ましい。CpG核酸は、少なくとも1つまたはそれ以上の(マイトジェン)シトシン/グアニンジヌクレオチド配列(CpGモチーフ)を含んでいることが好ましい。別の好ましい第1の形態によれば、これらの配列に含まれる少なくとも1つのCpGモチーフ、すなわちCpGモチーフのC(サイトカイン)およびG(グアニン)は非メチル化されている。これらの配列に任意で含まれる、さらなるシトシンまたはグアニンはすべてメチル化されていてもよく、非メチル化されていてもよい。しかしながら、さらに好ましい別の形態によれば、CpGモチーフのC(サイトカイン)およびG(グアニン)はメチル化された形態とすることができる。 本発明のさらに好ましい目的によると、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、(本発明のワクチンを調製する目的において)前立腺癌(PCa)治療のために、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療のために使用できる。 本発明のさらに好ましい目的によると、本発明のワクチン、またはここで定義する少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAは、前立腺癌(PCa)治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療のために使用できる。 ここで、本発明は、必要性のある患者に対して薬剤として効果的な分量の本発明のワクチン、または薬剤として効果的な分量の本発明の活性(免疫賦活)組成物を投与することによる、前立腺癌(PCa)治療方法、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療方法もまた含んでいる。このような方法は、主として、第1工程(任意)として本発明の活性(免疫賦活)組成物または本発明のワクチンを調製する工程、および第2工程として(薬剤として効果的な分量の)本発明の活性(免疫賦活)組成物または本発明のワクチンを、必要性のある患者に投与する工程とを含んでいる。主として、必要性のある患者としては、哺乳動物のいずれかが選択される。本発明との関連において、哺乳動物とは、限定はされないが、以下からなる群から選択される哺乳動物であることが好ましい。すなわち、例えばヤギ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ロバ、サル、類人猿、齧歯動物(例えばマウス、ハムスター、ウサギ)および特にヒトからなる群であり、主として前立腺癌(PCa)を、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連した疾病または疾患を患っている哺乳動物である。 また、本発明は、本発明の活性(免疫賦活)組成物または本明細書において定義する少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAの(発明のワクチンを調製する目的における)使用、好ましくは哺乳動物における免疫応答を促進するための使用、好ましくは前立腺癌(PCa)治療を目的とする使用、さらに好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療を目的とする使用に関する。 同様に、本発明は、哺乳動物における適応免疫応答を促進することを目的とする、好ましくは前立腺癌(PCa)治療を目的とする、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療を目的とする、発明のワクチンそれ自体の使用またはここで定義する少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする上記少なくとも1つのRNAの使用に関する。 前立腺癌(PCa)の予防または治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の予防または治療は、本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンを1度に、または時間をずらして投与することによって(例えば複数のパーツから構成され、それぞれの構成物は少なくとも1つの(好ましくは異なる)抗原を備えているキットとして)実行されてもよい。投与にあたって、上述したように、いかなる投与経路も使用できることが好ましい。例えば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされる少なくとも2つの(特異的に選択される)抗原に基づいて、適応免疫応答を引き起こすまたは高めることによって、前立腺癌(PCa)、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患を治療することができる。本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンの投与は、異なる抗原をコードするRNAの別の組み合わせを有する、上述の本発明の別の活性(免疫賦活)組成物または本発明の別のワクチンを投与する前、同時または後であってもよく、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAにコードされる抗原それぞれが、前立腺癌(PCa)の治療に好適であることが好ましく、新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療に好適であることがさらに好ましい。ここで、本明細書において定義される治療とは、前立腺癌(PCa)に関連する疾病を、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患を修飾することも含んでいてもよい。 さらなる実施形態によると、本発明はさらに、上記定義した哺乳動物における免疫応答を修飾、好ましくは誘導または向上させることを目的とした、より好ましくは前立腺癌(PCa)、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患を治療および/または治療を補助することを目的とした、((本発明の)ワクチンを調製する目的における)本発明の活性(免疫賦活)組成物またはここで定義される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAの使用をさらに含んでいる。ここで、前立腺癌(PCa)の治療の補助は、手術、放射線治療、ホルモン治療、不定期化学治療、陽子腺治療またはそれらの組み合わせなど、任意の従来の前立腺癌治療法と、上述した本発明の活性(免疫賦活)組成物を使用する治療法との組み合わせであってもよい。また、前立腺癌(PCa)治療の補助は、上述したいかなる他の実施形態において想定されてもよい。 本発明の活性(免疫賦活)組成物またはここで定義する少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNA、または本発明のワクチンは、時間差を有する治療法において実行されてもよい。時間差を有する治療は、例えば、従来の前立腺癌(PCa)治療法、好ましくは新規の補助療法および/もしくはホルモン抵抗性前立腺癌、およびそれに関連する疾病または疾患の治療法よりも前、同時、または後に、本発明の活性(免疫賦活)組成物、または上述した少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNA、または本発明のワクチンを投与してもよい。例えば、本発明の薬剤、活性(免疫賦活)組成物、またはワクチンを前立腺癌(PCa)、好ましくは新規の補助療法、および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療、または治療に好適な治療薬の投与の前、同時、または後に投与してもよい。このような時間差を持つ治療は、例えばキット、特に下記に定義する複数のパーツからなるキットを使用して実行してもよい。 時間差を持つ治療は、付加的または代替的に、本発明の活性(免疫賦活)組成物、またはワクチン、好ましくは上記定義した少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAを、以下のように投与することを含んでいてもよい。すなわち、上述した少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNA、好ましくは本発明の活性(免疫賦活)組成物またはワクチンを構成するRNAを、好ましくは同一の活性(免疫賦活)組成物またはワクチンを部分的に構成する、該少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする別の少なくとも1つのRNAよりも前、同時、または後に投与することを含んでいてもよい。投与(すべての少なくとも1つのRNA)は、1時間以内に行なうことが好ましく、30分以内に行なうことがより好ましく、15分、10分、5分、4分、3分、2分または1分以内に行なうことがさらに好ましい。このような時間差を持つ治療は、例えばキット、好ましくは以下に定義する、複数のパーツからなるキットを使用して実行してもよい。 最後の実施形態によると、本発明はさらにキット、特に本発明の活性(免疫賦活)組成物、および/または本発明のワクチン、および本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンの投与および投与量に関する情報を記載した任意の技術指示書を含む、複数のパーツからなるキットを提供する。技術指示書は、本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンに関する投与および投与量についての情報を含んでいてもよい。このようなキット、好ましくは複数のパーツからなるキットは例えば、上述した適用または使用のいずれにも適用でき、前立腺癌(PCa)治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療を目的とする(発明の薬剤、好ましくはワクチン調製を目的とする)、少なくとも1つの本発明の活性(免疫賦活)組成物の使用に適用することが好ましい。キットは、前立腺癌(PCa)治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌およびそれに関連する疾病または疾患の治療を目的とする(本発明のワクチン調製を目的とする)、少なくとも1つの本発明の活性(免疫賦活)組成物の使用に適用してもよく、コードされた2つの抗原によって、本発明の活性(免疫賦活)組成物および/またはワクチンが、上記定義した哺乳動物における免疫応答を促進または向上させることを可能にしてもよい。このようなキットはさらに、(発明の薬剤、好ましくはワクチン調合を目的として)少なくとも1つの本発明の活性(免疫賦活)組成物の使用に適用することができ、上記定義した哺乳動物における免疫応答を修飾して、好ましくは引き起こして(例えば誘導または向上させ)、好ましくは前立腺癌(PCa)治療、好ましくは新規の補助療法および/またはホルモン抵抗性前立腺癌、およびそれに関連する疾病または疾患の治療を補助することを目的とする使用に適用することができる。キットの特別な形態として、複数のパーツからなるキットは同一のまたは異なる、本発明の活性(免疫賦活)組成物、および/または1つまたはそれ以上の異なる、本発明のワクチンを、キットの異なるパーツに含んでいてもよい。複数のパーツからなるキットは、また、(例えば1つの)本発明の活性(免疫賦活)組成物、(例えば1つの)本発明のワクチン、および/または上記定義した少なくとも1つの抗原をコードする少なくとも1つのRNAを、キットの異なるパーツに含んでいてもよい。例えば、キットのパーツそれぞれが(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAを備えていてもよい。さらに、複数のパーツからなるキットにおける上記両方のタイプを組み合わせてもよい。複数のパーツからなるキットは例えば、時間差を有する治療を想定した場合、例えば生体内(インビボ)において同一の治療をしている間に、異なる処方設計を使用している場合、および/または本発明の活性(免疫賦活)組成物、本発明のワクチンおよび/または上記定義した少なくとも1つの抗原をコードする少なくとも1つのRNAの濃度を上げる場合に使用してもよい。複数のパーツからなるキットは、また、本発明の活性(免疫賦活)組成物の異なる抗原を分離した処方設計にて、または分離した投与にて(すなわち、分割して)使用することが(例えば技術的理由によって)想定または必要とされるときに使用されてもよいが、例えば、インビボにおいて異なる抗原を組み合わせて使用することも可能である。特別な形態を持つキットとして、複数のパーツからなるキットは、特に、キットのそれぞれのパーツが、上記定義した少なくとも1つの(好ましくは異なる)抗原を含んでおり、キットのすべてのパーツが、本明細書において定義する本発明の活性(免疫賦活)組成物または発明のワクチンを形成していることが好ましい。複数のパーツからなる、このような特定のキットは、特に、例えば異なる抗原が別々に、キットの異なるパーツとして処方設計されているが、その後同時に、または時間差を持って、必要とする哺乳動物に投与される場合に好適である。後者の場合、主として、このようなキットの異なるパーツのすべてを、短い制限時間内において投与し、キットの最後のパーツが投与された後、ほぼ同時に哺乳動物内においてすべての抗原が存在するように投与される。上述したいずれのキットも、上記定義した治療法において使用してよい。 〔発明の効果〕 本発明は前立腺癌(PCa)治療のための活性(免疫賦活)組成物を提供するものであって、哺乳動物における(適応)免疫応答を誘導することができる少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNA(好ましくはmRNA)を含んでおり、上記抗原はPSA(前立腺特異抗原)、PSMA(前立腺特異膜抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)およびSTEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)からなる群から選択されることを特徴とする、活性(免疫賦活)組成物を提供する。このような活性(免疫賦活)組成物は、前立腺癌(PCa)に対する効率的な治療を可能にする、または従来の治療法を使用において補助的治療を可能にする。さらに、本発明は治療法のための方法としてRNAを使用することによって、導入されたDNA配列が制御不能に増殖してしまうという問題を回避する。本発明の活性(免疫賦活)組成物において使用されるRNAは、DNA発現システム(例えば免疫応答、免疫付与またはワクチン接種において)において、さらなる顕著な利点を有している。利点として、特に、細胞に導入されたRNAがゲノムに組み込まれない点が挙げられる。これにより、遺伝子が突然変異してしまう危険性を回避する。この突然変異は完全、または部分的な不活性化、または誤った遺伝子情報を引き起こす可能性がある。さらに、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、DNAを抗原として使用して免疫応答を誘導する際に付随する他のリスク(例えばワクチンとして使用した場合)、例えば外来DNAが導入された患者において病原性抗DNA抗体を誘導して、(至死的な場合もある)免疫応答を引き起こすというリスクを回避する。その一方で、抗RNA抗体は検出されていない。 〔図面の簡単な説明〕 以下の図面は本発明をさらに詳しく説明するためのものである。これらは本発明の対象を制限することを意図したものではない。 図1は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードする、プラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30(配列番号1)を示す図である(このコンストラクトは以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン処理のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に〜30×シトシンを(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写実験によって、対応するRNAコンストラクトを調製するためのベースとして供給される)。 図2は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号2)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSA(前立腺特異抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図3は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードする、RNAコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号3)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSA(前立腺特異抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図4は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードする、プラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30(配列番号4)を示す図である(このコンストラクトは以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン処理のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNAコンストラクトを生成するためのベースとして供給される)。 図5は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするRNAコンストラクトとなるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号5)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図6は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号6)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図7は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするプラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30(配列番号7)を示す図である(上記構成は以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン処理のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNA構成を生成するためのベースとして供給される)。 図8は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号8)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図9は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号9)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図10は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするプラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30(配列番号10)を示す図である(上記構成は以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン処理のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNA構成はコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNA構成を生成するベースとして供給される)。 図11は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号11)、すなわち、GC最適配列を持たずに、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図12は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号12)、すなわち、GC最適配列を持ち、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。 図13は、抗原特異的抗体を検出することによって検出された抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)を示す図である(図13に示すように、RNA−Mix、すなわちPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテルを投与することにより、バッファまたはコントロール(対称)を含むサンプルと比べて、PSAに対してIgG2抗体が著しく形成され、抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)が著しく誘導された)。 図14は、エリスポットによって検出された抗原特異的細胞免疫応答を示す図である(図15に示すように、RNA−Mix、すなわちPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテル、またはPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを使用した、マウスに対するワクチン接種によって、天然マウスおよびバッファを使用してワクチン接種されたマウスと比べて、INFガンマが著しく形成されて、抗原特異的免疫応答が著しく誘導された)。 図15は、PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを5μg含む、発明のPCa−RNAカクテルを使用した、免疫付与および腫瘍治療を示す図である(図15に示すように、(a)PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテルを2回i.m(筋肉内経路)にて使用した免疫付与において、腫瘍容積が著しく減少した。腫瘍容積は、上記(a)によるPCa−RNAカクテルを4回i.m(筋肉内経路)にて投与されたとき、さらに減少している)。 図16は、PSA特異的IgG1抗体の誘導を示す図である。特に、図16では、ヒト前立腺分化抗原であるPSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAを含んでいる、4つの成分からなるmRNAワクチンを接種したマウスの腫瘍抗原PSAに特異的なIgG1抗体の存在を示す。抗体は、それぞれカチオン性ペプチドプロタミンによって調製した。コントロールのマウスは、バッファ(リンガー乳酸塩)、またはmRNAワクチンのプロタミン類似体によって調製した無関係のRNA(Pp Luc)のいずれかにより処理した。血清分析のため、グループ毎に5匹のマウスから血清を採取し、滴定した。エラーバーは、平均値から2回の繰り返しの平均偏差を示す。 図17は、PSA特異的IgG2a抗体の誘導を示す図である。特に、図17では、ヒト前立腺分化抗原であるPSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含んでいる、4つの成分からなるmRNAワクチンを接種したマウスの腫瘍抗原PSAに特異的なIgG2aの存在を示す。抗体は、それぞれカチオン性ペプチドプロタミンによって調製した。コントロールのマウスには、バッファ(リンガー乳酸塩)、またはmRNAワクチンのプロタミン類似体によって調製されたRNA(Pp Luc)どちらかを投与した。それぞれのグループにおける5匹のマウスから採取した血清をため、滴定して、分析を行った。エラーバーは平均からの、2つの複製の平均偏差を示している)。 図18は、PSCA特異的IgG1抗体の誘導の結果を示す図である。図18では特に、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む、4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用してワクチン接種されたマウスにおける、腫瘍抗原PSCAに対して特異的なIgG1抗体の存在を示している。それぞれの抗原はカチオン性ぺプチドプロタミンから調製した。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を投与した。それぞれのグループにおける5匹のマウスから採取した血清をため、滴定して、分析を行った。エラーバーは平均からの、2つの複製の平均偏差を示している。 図19は、PSMA特異的細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、それぞれのグループにおける5匹のマウスに対して、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチン、またはmRNAワクチンに対するプロタミン類似体から調製された無関連なmRNA(Pp Luc)を使用して、ワクチン接種を行った。ワクチン接種されたマウスおよびコントロールマウスの脾細胞を、最終ワクチン投与から6日後に分離し、PSMA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリー、どちらかを使用して促進した。IFN−γ分泌は、エリスポット技術を使用して、生体外において測定した。ラインは、別々に分析された、それぞれのグループにおける5匹のマウスの平均値および範囲を示している。統計分析はグラフパッドプリズム(GraphPad Prism)を用いて実行し、p値は片側マンホイットニー検定(one-sided Mann-Whitney test)を用いて算出した。 図20は、インビボにおけるPSMA特異的細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、C57BL/6マウスに対して、皮内経路にてワクチン接種サイクルを3度繰り返し、ワクチン接種を行った。コントロールマウスにはコントロールmRNA Pp Luc、またはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用してワクチン接種を行った。最終注入から6日後、30x106特異的標識脾細胞(PSMA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーが負荷され、1:1の割合にて混合された低個体群および高個体群)を静脈内注入した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは個々のマウスごとに、単一のデータポイントを示している。ラインは平均値および値の範囲を示している。それぞれのグループにおいて5匹のマウスを分析した。統計分析はグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値はマンホイットニー検定を用いて算出した)。 図21は、最後にワクチンを接種してから10週間後における、PSA特異的記憶細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、2ワクチン接種サイクルを2回繰り返し、C57BL/6マウスに対してワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用した。最終注入から10週間後、30×106特異的標識脾細胞(PSA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーを負荷され、1:1の割合にて混合された、低個体群および高個体群)を静脈内に移植した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは単一のデータポイントを示し、ラインは別々に分析したそれぞれのグループにおける6匹のマウスの平均値を示している。統計分析をグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値をマンホイットニー検定を用いて算出した)。 図22は、最後にワクチンを接種してから10週間後における、PSCA特異的記憶細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、ワクチン接種サイクルを2回繰り返して、C57BL/6マウスにワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用した。最終注入から10週間後、30×106特異的標識脾細胞(PSCA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーが負荷された、1:1の割合にて混合された、低個体群および高個体群)を静脈内に移植した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは単一のデータポイントを示し、ラインは別々に分析されたそれぞれのグループにおける6匹のマウスの平均値を示している。統計分析をグラフパッドプリズム用いて実行し、p値をマンホイットニー検定テストを用いて算出した。 図23は、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用してワクチン接種されたマウスにおける腫瘍成長の抑制を示す図である。ここでは、mRNAワクチンを使用して、ワクチン接種サイクルを2回繰り返し、C57BL/6マウスに対して静脈内ワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファを使用した。最終ワクチン接種から15日後、1×106同種TRAMP−C1腫瘍細胞を皮下経路にて用いて、マウスに対して試験を行った。腫瘍成長を監視した。グラフは腫瘍導入から52日後に測定した腫瘍容積の対数を示している。統計分析はグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値をマンホイットニー検定を用いて算出した。 〔実施例〕 以下の実施例は本発明をさらに説明するためのものである。これらは、本発明の対象を制限することを意図してはいない。 〔1.コードプラスミドの調製〕 以下の実験では、下記の抗原をそれぞれ末端にコードするmRNA配列に対応するDNA配列を調整し、インビトロ転写およびトランスフェクション実験に使用した。・PSA(前立腺特異抗原)・PSMA(前立腺特異膜抗原)・PSCA(前立腺幹細胞抗原)および、・STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)これにより、野生型抗原をコードするmRNA(図2、5、8および11(すなわち、配列番号2、5、8および11)に示されるコード配列を含んでなる配列)に対応するDNA配列を、より良いコドン使用のためにGC最適化し、図3、6、9および12(配列番号3、6、9および12)に示されるコード配列からなる配列を得た。その後、ポリ−A−タグおよびポリ−C−タグ(A70−C30)を用いて修飾したGC最適化コンストラクト(CureVac GmbH,Tubingen,ドイツ)に、コード配列を転写した。最終的なコンストラクトは、それぞれ以下のようになった:RNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30(配列番号1)、RNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30(配列番号4)、RNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30(配列番号7)および、RNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30(配列番号10)と称する。最終的なコンストラクトはそれぞれ、図1、4、7および10(配列番号1、4、7および10)に示される配列による配列を含んでおり、以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン使用のためのGC最適配列、3’−末端に〜70個のアデノシン(ポリ−A−尾部)3’−末端に30個のシトシン(ポリ−C−尾部) 〔2.インビトロ転写〕 実施例1において得られた組換えプラスミドDNAを基に、インビトロ転写によってRNA配列を調製した。その結果線形化した組換えプラスミドDNAを、続いてT7RNAポリメラーゼを用いて、インビトロ転写した。その後、DNAテンプレートをDNase I消化によって分解し、RNAをLiCl沈殿によって再生し、さらにHPLC抽出によって洗浄した(PUREMessenger(商標登録),CureVac GmbH,Tubingen,ドイツ)。 〔3.プロタミンとの複合〕 RNAを細胞および生体に導入するために、インビトロ転写によって得られたRNAを好ましくは複合させ、より好ましくはRNAをプロタミンに混合することで、プロタミンと複合させた。 〔4.免疫付与実験〕 免疫付与のため、上述したインビトロ転写実験(実施例2参照)によって得られたRNA、好ましくはプロタミンと複合しているRNAを、マウス(Mice:C57 BL/6)に導入した。異なるグループにワクチンを接種し、1つのグループ(コントロールグループ)に属するマウスにはコントロール(対称)として、バッファを注入した。グループごとに4匹のマウスに、プロタミンと複合した20μgのmRNA(遺伝子ごとに5μg)を4回経皮投与して免疫を与えた。ここで、RNAはPSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをコードしていた。 〔5.抗原特異的免疫応答の検出(B細胞免疫応答)〕 抗原特異的抗体を検出することによって、抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)を検出した。その結果、ワクチン接種したマウスから、最後にワクチンを投与してから1週間経過した後、血液サンプルを採取し、血清を調製した。MaxiSorbプレート(Nalgene Nunc International)をヒトPSAタンパク質(0.5μg/well)を用いてコートした。1×PBS含有0.05%Tween−20および1%BSAを用いてブロックした後、プレートを希釈したマウス血清(1:30、1:90、1:270、1:810)とともに培養した。その後、ビオチン結合した第2抗体(抗マウスIgG2a Pharmingen)を加えた。洗浄後、プレートをセイヨウワサビペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン(Horseradish peroxidase-streptavidi)とともに培養し、その後、ABTS基質((2,2’−アジノ−bis(3−エチル−ベンズチアゾリン−6−スルホン酸)の転換を測定した。 図13に示すように、RNA−Mix、すなわちPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNA(図1、4、7および10(配列番号1、4、7および10)それぞれに示される配列)を含むPCa−RNAカクテルの投与は、コントロールのマウスから得たサンプルと比較してPSAに対するIgG2a抗体の形成が顕著であったため、抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)の著しい誘導を示した。 〔6.エリスポット(ELISPOT)による抗原特異的細胞免疫応答の検出〕 最後にワクチンを接種してから2ヵ月経過したマウスを殺傷し、脾臓を摘出し、脾細胞を分離した。脾細胞を、IL−4の存在下において7日間培養し、樹状細胞を選択した。抗原特異的細胞免疫応答を検出するために再び刺激した後、INFガンマ分泌を測定した。標的細胞として、野生型マウスから採取した脾細胞を使用した。脾細胞はPCa−mRNA−カクテル(Mix)、またはPSA、PSMA、PSCAもしくはSTEAPをコードするmRNA(図1、4、7および10(配列番号1、4、7および10)それぞれに示される配列)を用いて電気穿孔した。 INFガンマ検出のために、コートマルチスクリーンプレート(Millipore)を、INFγ(BD Pharmingen,Heidelberg,ドイツ)に対する抗体を含む0.1Mのコートバッファ(Carbonat−Bicarbonat Buffer pH9.6、10.59g/lNa2CO3、8.4g/lNaHCO3)と共に、一晩培養した。標的細胞およびエフェクター細胞を1:20の割合にて、1つのプレートにおいて24時間一緒に培養した。プレートを1×PBSを用いて洗浄し、ビオチン結合第2抗体を用いて培養した。1×PBS/0.05%Tween−20によって洗浄した後、基質(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸塩/Nitro Blue Tetrazolium Liquid Substrate System from Sigma Aldrich,Taufkirchen,ドイツ)をプレートに加えることにより、基質の転換を視覚的に検出できた。 図14に示すように、PSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをコードするPCa−mRNAカクテル(図1、4、7および10(配列番号1、4、7および10)にそれぞれ示される配列)をマウスにワクチン接種したところ、野生型マウスおよびバッファを使用してワクチン接種したマウスと比較して、INFガンマが著しく形成され、4つの抗原すべてに対して抗原特異免疫応答(CTL)が著しく引き起こされた。 〔7.腫瘍試験〕 (a)免疫付与 mRNA(PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを5μgずつ含むPCa−RNAカクテル、例えばRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30、RNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30、RNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30およびRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30(図1、4、7および10(すなわち配列番号1、4、7および10)に示される配列)をそれぞれ構成するmRNA)を20μg、筋肉内経路にてマウスに注入した。7週間にわたって、免疫付与を1回または3回繰り返した。最後に免疫付与してから40日後、MioTramp−C1腫瘍細胞を皮下経路にてマウスに注入した。50日間、腫瘍体積を測定した。 (b)結果 図15に示すように、腫瘍体積は、(a)PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPca−RNAカクテルによって、をi.m(筋肉内経路)にて2回使用した免疫付与において、著しく減少した。腫瘍体積は、上記(a)によるPCa−RNA カクテルを筋肉内経路にて4回投与したとき、さらに著しく減少した。 〔8.mRNAワクチン調製、および抗原特異的細胞傷害性抗体および抗原特異的傷害性T細胞の誘導〕 (8.1.mRNAワクチン調製) mRNAワクチンは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNA(配列番号3、6、9および12に示される)からなり、それぞれの抗原は80%(v/v)リンガー乳酸塩溶液に、カチオン性ペプチドプロタミンを4:1の質量比(RNA:プロタミン)にて溶解して調製される。 (8.2.ワクチン接種) 上記8.1に記載したmRNAワクチンを64μg(各抗原を16μg)、C57BL/6のマウスに皮内経路にてワクチン接種した。コントロールのマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)、mRNAワクチンに対するプロタミン類似体を使用して調整した無関係のRNA(フォチナスフィラリスルシフェラーゼ(Photinus pyralis luciferase)をコードする、高GCmRNA)どちらかを使用した。ワクチン接種は第1週、第3週(および第7週)において、2回または3回の免疫付与サイクルにて行った。それぞれのサイクルにおいて、4回(週の1日目、2日目、3日目および4日目)注入した。 (8.3.腫瘍試験) ワクチン接種完了から15日後、各マウスに、1×106TRAMP−C1細胞(ヒトPSMA、PSCAおよびSTEAPに対するマウスホモログを発現している、マウス前立腺細胞株1における遺伝子組換え腺癌)を皮下経路にて移植した。腫瘍は、腫瘍細胞移植から4週間後には明確となった。キャリパーを使用して腫瘍サイズを測定し、腫瘍成長を観察した。 (8.4.抗原特異的抗体の検出) ワクチン接種から14日後、血液サンプル(200μl)を眼窩後方から採取し、血清を下記のELISAプロトコルを使用して、抗原特異的抗体サブタイプIgG1およびIgG2aの存在から分析した。96ウェルのELISAプレートを組み替えタンパク質PSCAまたはヒト精製PSA(どちらもコートバッファにおいて10μg/ml)によってコートし、(ブロックし、洗浄した後に)血清とともに37℃にて4時間培養した。マウスIgG1またはマウスIgG2aに対するビオチン標識抗体とともに培養し、HRP−ストレプトアビジンとともに培養した後、TMB基質を加えた。比色反応を、Tecan ELISAリーダーを使用して、450nmにて測定した。 (8.5.CTL(細胞傷害性T細胞)反応のエリスポット検出) CTL(細胞傷害性T細胞)反応を検出するにあたって、エリスポット法によって、特定の刺激に対するIFN−γ分泌の分析を、単一細胞レベルにて視覚化することができる。上記8.1において記載したmRNAワクチンを接種したマウス、およびコントロールマウスの脾細胞を、3番目のワクチン接種サイクルにおいて最後にワクチンを接種してから6日後に分離し、その後、α−IFN−γ捕獲抗体によってコートされた96ウェルのエリスポットプレートへと移した。その後、PSMA由来ペプチドライブラリー、またはコントロール(対象)としてHIV由来ライブラリーどちらかを使用し、細胞を37℃にて24時間刺激した。どちらのライブラリーも、1μg/ペプチド/ml濃度にて使用した。培養期間経過後、細胞をプレートから洗浄し、細胞から分泌されたIFN−γを、マウスのIFN−γに対するビオニチル化二次抗体、その後ストレプトアビジン−AKPを使用して検出した。BCIP/NBT基質を使用してスポットを視覚化し、自動エリスポットリーダー(Immunospot Analyzer,CTL Analyzers LLC)を使用してカウントした。 (8.6.インビボ細胞傷害性) インビボにおける細胞傷害性T細胞の活性を検出するために、ワクチンを接種したマウスおよびコントロールのマウスにおける、特定の標的細胞の溶解を分析した。記憶細胞傷害性Tリンパ球の誘導を検出するために、分析は最後に免疫付与してから1週間後および10週間後に行った。 実験未使用マウスから採取した脾細胞を分離し、濃度の違う2つの蛍光染料CFSEを使用して標識した。これにより、高蛍光度および低蛍光度の2つの個体群を生成した。低蛍光細胞に、37℃にて3時間に渡って、PSMA、PSAまたはPSCA由来制限ペプチドライブラリー(1μg/ml/ペプチド)を負荷した。それに応じて、高蛍光コントロール細胞に、HIVPol由来ペプチドライブラリー(1μg/ml/ペプチド)を負荷した。両方の個体群を細胞内において1:1の細胞割合にて混合し、実験未使用マウスまたはワクチンを接種した受容マウスに静脈内経路にて移植した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって蛍光細胞の存在を分析した。ワクチンを接種したマウスにおける低蛍光細胞と高蛍光細胞との割合の変化は、インビボにおける標的細胞の特異的な死滅を示した。観察された特定の標的細胞およびコントロール細胞の数の正確な割合は、すべてのコントロールマウスにおける平均値とみなした。この割合によって、ワクチンを接種したマウスにおいて想定される特定の標的を、観察されたコントロール細胞に基づいて予想することができる。特定の標的の、観察された数と、予想された数との比は、残存(死滅していない)特定標的の割合を示す。 以下の公式を適用した: 残存特定標的の割合=コントロールマウスにおける(観察された)特定標的/コントロールマウスにおける(観察された)コントロール標的 残存特定標的の割合×ワクチン接種マウスにおいて観察されたコントロール標的の数=ワクチン接種マウスにおける予想された特定標的の数 死滅%=(1−(観察された特定標的/予想された特定標的) (8.7.統計分析) グラフパッド(GraphPad Prism)Software Version 5.01を使用して、統計分析を行なった。サンプル個体群の正規分布が欠如しており、サンプルサイズが小さいため、非パラメトリックマンホイットニー検定(non-parametric Mann Whitney tests)を5%の危険率有意水準にて使用して、テストグループ間の差分を分析した。 (8.9.結果および考察) ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAからなるmRNAワクチンをマウスに接種した。それぞれの抗原は、別々に、質量比4:1(RNA:プロタミン)にて、カチオン性ペプチドプロタミンを使用して調製した。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)またはmRNAワクチンに対するプロタミン類似体によって調製した無関係のRNA(PpLuc)を使用した。 (a)mRNAワクチンを使用したワクチン接種に対する、抗原特異的抗体の誘導 抗体を検出するために必要な組換えタンパク質の可用性に制限があり、4つのうち2つの抗原に対する特定の抗体の誘導を試験した。分析したどちらのタンパク質においても、PSA抗原特異的抗体およびPSCA抗原特異的抗体が、mRNAワクチンを接種したマウスの血清において検出され、どちらのmRNAもインビボにおいて機能性および免疫原性を有することが証明された(図16〜図18参照)。 (b)mRNAワクチンを使用したワクチン接種に対する、抗原特異的細胞傷害性T細胞の誘導 さらに、mRNAワクチン投与に対する細胞傷害性T細胞の活性化を、2つの独立した機能性分析を適用して分析した。すなわち、IFN−γの分泌、およびインビボ細胞傷害性分析である。IFN−γはThl反応の主要なメディエーターであり、活性化されたCTLによって分泌される。それゆえ、ワクチン接種マウスの脾細胞における抗原特異的細胞傷害性T細胞の存在を、エリスポット技術を使用して調査した。脾細胞用抗原促進剤として、制限PSMA由来ペプチドラブラリーを使用した。このライブラリーによる刺激は、高いIFN−γ分泌を引き起こしたが、上記mRNAワクチンを用いてワクチンを接種したマウスの脾細胞においてのみであり、関連のないタンパク質ルシフェラーゼ(Pp Luc)をコードするmRNAを用いてワクチンを接種したコントロールマウスには現れなかった。HIV由来コントロールペプチドライブラリーに反応した脾細胞は1つもなかった(図19参照)。 PSMAに対する抗原特異的細胞性免疫は、インビボ細胞傷害性分析によって確認できた。制限PSMA由来ペプチドライブラリーを負荷された標的細胞を特異的に死滅することが、mRNAワクチンを接種した5匹のマウスすべてにおいて観察されたが、細胞傷害効果は12%〜90%の間であった。コントロールRNA(Pp Luc)または注射液(リンガー乳酸塩)を使用してワクチンを接種されたマウスは、注入された標的細胞を除去できなかった(図20参照)。 別の実験において、mRNAワクチンを使用したワクチン接種がインビボにおいて持続記憶効果を誘導するかどうかを調査した。この論点に取り組むために、ワクチン接種が完了してから10週間後に、抗原特異的記憶細胞傷害性T細胞の存在をインビボ細胞傷害性テストによって確認した。PSA用およびPSCA用のワクチン接種の後では、標的細胞が特異的に殺傷されることが観察された(図21および図22参照)。総合すれば、mRNAワクチンは、マウスにおいて、長期間に渡って効果が持続する(少なくとも10週間)細胞免疫を誘導する。 最後に、マウスにおいて、mRNAワクチンが抗腫瘍反応を誘導する能力を試験した。この論点に取り組むに当たって、TRAMP−C1腫瘍細胞株を使用した。TRAMP−C1は、mRNAをコードする抗原としてmRNAワクチンに含まれる、ヒト抗原PSMA、PSCAおよびSTEAPに対するマウスホモログを発現させる。マウスとヒトとの相同性は、抗原によって50%〜80%の範囲において異なる。実際には、マウスにヒトタンパク質をコードするmRNAを使用してワクチン接種したため、TRAMP−C1腫瘍細胞に対する防御は、交差反応によって媒介されることしかできない。図23に示されるように、マウスに対するmRNAワクチンを使用したワクチン接種は、移植されたTRAMP−C1腫瘍の成長に対する防御を媒介した。この観察によって、マウスにおいて、mRNAワクチンが交差反応を誘導する能力が示された。図1は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードする、プラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30(配列番号1)を示す図である(このコンストラクトは以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン使用のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に〜30×シトシンを(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写実験によって、対応するRNAコンストラクトを調製するためのベースとして供給される)。図2は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号2)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSA(前立腺特異抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図3は、PSA(前立腺特異抗原)(=KLK3)をコードする、RNAコンストラクトであるRNActive CAP−KLK3(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号3)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSA(前立腺特異抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図4は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードする、プラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30(配列番号4)を示す図である(このコンストラクトは以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン使用のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNAコンストラクトを生成するためのベースとして供給される)。図5は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするRNAコンストラクトとなるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号5)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図6は、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−FOLH1(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号6)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSMA(前立腺特異膜抗原)(=FOLH1)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図7は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするプラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30(配列番号7)を示す図である(上記構成は以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン使用のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNAコンストラクトはコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNA構成を生成するためのベースとして供給される)。図8は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号8)、すなわち、GC最適配列を持たずに、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図9は、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−PSCA(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号9)、すなわち、GC最適配列を持ち、PSCA(前立腺幹細胞抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図10は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするプラスミドコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30(配列番号10)を示す図である(上記構成は以下の配列要素を含む:安定化およびより良いコドン使用のためのGC最適配列;3’−末端に〜70×アデノシン(ポリ−A−尾部);3’−末端に30×シトシン(ポリ−C−尾部);このDNA構成はコードmRNAに対応しており、インビトロ転写によって、対応するRNA構成を生成するベースとして供給される)。図11は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30に対応する野生型コード配列(配列番号11)、すなわち、GC最適配列を持たずに、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図12は、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするRNAコンストラクトであるRNActive CAP−STEAP(GC)−muag−A70−C30のGC最適コード配列(配列番号12)、すなわち、GC最適配列を持ち、STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)をコードするコード配列(CDS)を示す図である。図13は、抗原特異的抗体を検出することによって検出された抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)を示す図である(図13に示すように、RNA−Mix、すなわちPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテルを投与することにより、バッファまたはコントロール(対称)を含むサンプルと比べて、PSAに対してIgG2抗体が著しく形成され、抗原特異的免疫応答(B細胞免疫応答)が著しく誘導された)。図14は、エリスポットによって検出された抗原特異的細胞免疫応答を示す図である(図15に示すように、RNA−Mix、すなわちPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテル、またはPSA、PSMA、PSCAまたはSTEAPをそれぞれコードするmRNAを使用した、マウスに対するワクチン接種によって、天然マウスおよびバッファを使用してワクチン接種されたマウスと比べて、INFガンマが著しく形成されて、抗原特異的免疫応答が著しく誘導された)。図15は、PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを5μg含む、発明のPCa−RNAカクテルを使用した、免疫付与および腫瘍治療を示す図である(図15に示すように、(a)PSA、PSMA、PSCAおよびSTEAPをそれぞれコードするmRNAを含むPCa−RNAカクテルを2回i.m(筋肉内経路)にて使用した免疫付与において、腫瘍容積が著しく減少した。腫瘍容積は、上記(a)によるPCa−RNAカクテルを4回i.m(筋肉内経路)にて投与されたとき、さらに減少している)。図16は、PSA特異的IgG1抗体の誘導を示す図である。特に、図16では、ヒト前立腺分化抗原であるPSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAを含んでいる、4つの成分からなるmRNAワクチンを接種したマウスの腫瘍抗原PSAに特異的なIgG1抗体の存在を示す。抗体は、それぞれカチオン性ペプチドプロタミンによって調製した。コントロールのマウスは、バッファ(リンガー乳酸塩)、またはmRNAワクチンのプロタミン類似体によって調製した無関係のRNA(Pp Luc)のいずれかにより処理した。血清分析のため、グループ毎に5匹のマウスから血清を採取し、滴定した。エラーバーは、平均値から2回の繰り返しの平均偏差を示す。図17は、PSA特異的IgG2a抗体の誘導を示す図である。特に、図17では、ヒト前立腺分化抗原であるPSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含んでいる、4つの成分からなるmRNAワクチンを接種したマウスの腫瘍抗原PSAに特異的なIgG2aの存在を示す。抗体は、それぞれカチオン性ペプチドプロタミンによって調製した。コントロールのマウスには、バッファ(リンガー乳酸塩)、またはmRNAワクチンのプロタミン類似体によって調製されたRNA(Pp Luc)どちらかを投与した。それぞれのグループにおける5匹のマウスから採取した血清をため、滴定して、分析を行った。エラーバーは平均からの、2つの複製の平均偏差を示している)。図18は、PSCA特異的IgG1抗体の誘導の結果を示す図である。図18では特に、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む、4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用してワクチン接種されたマウスにおける、腫瘍抗原PSCAに対して特異的なIgG1抗体の存在を示している。それぞれの抗原はカチオン性ぺプチドプロタミンから調製した。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を投与した。それぞれのグループにおける5匹のマウスから採取した血清をため、滴定して、分析を行った。エラーバーは平均からの、2つの複製の平均偏差を示している。図19は、PSMA特異的細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、それぞれのグループにおける5匹のマウスに対して、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチン、またはmRNAワクチンに対するプロタミン類似体から調製された無関連なmRNA(Pp Luc)を使用して、ワクチン接種を行った。ワクチン接種されたマウスおよびコントロールマウスの脾細胞を、最終ワクチン投与から6日後に分離し、PSMA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリー、どちらかを使用して促進した。IFN−γ分泌は、エリスポット技術を使用して、生体外において測定した。ラインは、別々に分析された、それぞれのグループにおける5匹のマウスの平均値および範囲を示している。統計分析はグラフパッドプリズム(GraphPad Prism)を用いて実行し、p値は片側マンホイットニー検定(one-sided Mann-Whitney test)を用いて算出した。図20は、インビボにおけるPSMA特異的細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、C57BL/6マウスに対して、皮内経路にてワクチン接種サイクルを3度繰り返し、ワクチン接種を行った。コントロールマウスにはコントロールmRNA Pp Luc、またはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用してワクチン接種を行った。最終注入から6日後、30x106特異的標識脾細胞(PSMA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーが負荷され、1:1の割合にて混合された低個体群および高個体群)を静脈内注入した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは個々のマウスごとに、単一のデータポイントを示している。ラインは平均値および値の範囲を示している。それぞれのグループにおいて5匹のマウスを分析した。統計分析はグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値はマンホイットニー検定を用いて算出した)。図21は、最後にワクチンを接種してから10週間後における、PSA特異的記憶細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、2ワクチン接種サイクルを2回繰り返し、C57BL/6マウスに対してワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用した。最終注入から10週間後、30×106特異的標識脾細胞(PSA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーを負荷され、1:1の割合にて混合された、低個体群および高個体群)を静脈内に移植した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは単一のデータポイントを示し、ラインは別々に分析したそれぞれのグループにおける6匹のマウスの平均値を示している。統計分析をグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値をマンホイットニー検定を用いて算出した)。図22は、最後にワクチンを接種してから10週間後における、PSCA特異的記憶細胞傷害性T細胞の誘導を示す図である。ここでは、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用して、ワクチン接種サイクルを2回繰り返して、C57BL/6マウスにワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファ(リンガー乳酸塩)を使用した。最終注入から10週間後、30×106特異的標識脾細胞(PSCA由来ライブラリーまたはコントロールペプチドライブラリーが負荷された、1:1の割合にて混合された、低個体群および高個体群)を静脈内に移植した。16時間後、受容マウスの脾細胞を分離し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフは単一のデータポイントを示し、ラインは別々に分析されたそれぞれのグループにおける6匹のマウスの平均値を示している。統計分析をグラフパッドプリズム用いて実行し、p値をマンホイットニー検定テストを用いて算出した。図23は、ヒト前立腺分化抗原PSMA、STEAP、PSAおよびPSCAをコードするGC最適mRNAをそれぞれ含む4つの構成物質を含むmRNAワクチンを使用してワクチン接種されたマウスにおける腫瘍成長の抑制を示す図である。ここでは、mRNAワクチンを使用して、ワクチン接種サイクルを2回繰り返し、C57BL/6マウスに対して静脈内ワクチン接種を行った。コントロールマウスにはバッファを使用した。最終ワクチン接種から15日後、1×106同種TRAMP−C1腫瘍細胞を皮下経路にて用いて、マウスに対して試験を行った。腫瘍成長を監視した。グラフは腫瘍導入から52日後に測定した腫瘍容積の対数を示している。統計分析はグラフパッドプリズムを用いて実行し、p値をマンホイットニー検定を用いて算出した。 前立腺癌(PCa)、およびそれに関連する疾病または疾患を治療するためのワクチンを調製するための、4つの異なる抗原をコードする、少なくとも4つのRNAの使用であって、 上記少なくとも4つの異なる抗原は、・STEAP(前立腺6膜貫通上皮抗原)、・PSA(前立腺特異抗原)、・PSMA(前立腺特異膜抗原)、および・PSCA(前立腺幹細胞抗原)であり、 上記ワクチンの上記少なくとも4つのRNAは、上記少なくとも4つのRNAのうちの少なくとも1つのRNAが、上記少なくとも4つのRNAのうちの別の少なくとも1つのRNAと同時に、または続けて投与されるように投与される、使用。 上記少なくとも4つのRNAのうちの少なくとも1つはmRNAである、請求項1に記載の使用。 上記4つのRNAのうちの少なくとも1つは、請求項1に記載の抗原の断片、変異体またはエピトープをコードするRNA配列を含む、請求項1または2のいずれかに記載の使用。 上記4つのRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号2、5、8または11に示されるRNA配列と同一、または少なくとも80%同一であるRNAから選択されるRNAを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の使用。 上記4つのRNAのうちの少なくとも1つは、修飾されたRNAである、請求項1から4のいずれか1項に記載の使用。 上記4つのRNAのうちの少なくとも1つは、安定化されたmRNAである、請求項5に記載の使用。 上記4つのRNAのうちの少なくとも1つのコード領域のG/C含有量は、野生型RNAのコード領域のG/C含有量と比較して増加している、請求項5または6に記載の使用。 上記4つのRNAのうちの少なくとも1つによってコードされたアミノ酸配列は、上記野生型RNAによってコードされたアミノ酸配列と比較して修飾されていない、請求項7に記載の使用。 上記4つのRNAのうちの上記少なくとも1つのリボソーム結合部位の周囲におけるA/U含有量は、野生型RNAのリボソーム結合部位の周囲におけるA/U含有量と比較して増加している、請求項5から8のいずれか1項に記載の使用。 修飾されたmRNAのコード領域、ならびに/または、5’非翻訳領域および/もしくは3’非翻訳領域は、野生型RNAと比較して不安定化配列要素を含まないように修飾されている、請求項5から9のいずれか1項に記載の使用。 上記修飾されたmRNAによってコードされたアミノ酸配列は、野生型RNAによってコードされたアミノ酸配列と比較して修飾されていない、請求項10に記載の使用。 修飾されたmRNAは、5’キャップ構造および/もしくはポリ(A)尾部、ポリC尾部、少なくとも1つのIRES、および/または少なくとも1つの5’安定化配列および/もしくは3’安定化配列を含む、請求項5から11のいずれか1項に記載の使用。 上記修飾されたmRNAは、5’キャップ構造および/または10〜200アデノシンヌクレオチドのポリ(A)尾部、および/または10〜200シトシンヌクレオチドのポリC尾部を含む、請求項12に記載の使用。 上記4つのRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1、3、4、6、7、9、10または12に示されるRNA配列と同一、または少なくとも80%同一であるRNAから選択されるRNAを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の使用。 PSAをコードしている上記RNAは、配列番号1または3と同一または少なくとも80%同一であり、PSMAをコードしている上記RNAは、配列番号4または6と同一または少なくとも80%同一であり、PSCAをコードしている上記RNAは、配列番号7または9と同一または少なくとも80%同一であり、STEAPをコードしている上記RNAは、配列番号10または12と同一または少なくとも80%同一である、請求項1から14のいずれか1項に記載の使用。 上記4つのRNAのうちの少なくとも1つは、1つまたはそれ以上のポリカチオンと複合している、請求項1から15のいずれか1項に記載の使用。 上記1つまたはそれ以上のポリカチオンは、プロタミンまたはオリゴフェクタミンである、請求項16に記載の使用。 上記ワクチンは、少なくとも1つのアジュバントをさらに含んでいる、請求項1から17のいずれか1項に記載の使用。 上記ワクチンは、上記少なくとも4つのRNAを含んでいる活性(免疫賦活)組成物または上記少なくとも4つのRNAを含んでいるキットを含んでいる、請求項1から18のいずれか1項に記載の使用。 上記ワクチンはさらに、薬学的に使用可能なキャリアを含んでいる、請求項1から19のいずれか1項に記載の使用。 新規の補助療法、および/またはホルモン抵抗性前立腺癌を治療するためのワクチンを調製するための、請求項1から20のいずれか1項に記載の使用。配列表


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