生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_皮膚に常在するアクネ菌の菌数を予測する方法
出願番号:2012246965
年次:2014
IPC分類:G01N 33/48,G01N 33/50


特許情報キャッシュ

赤座 誠文 竹岡 史帆里 高橋 千奈 間嶋 康夫 宮脇 維章 広瀬 統 JP 2014095608 公開特許公報(A) 20140522 2012246965 20121109 皮膚に常在するアクネ菌の菌数を予測する方法 日本メナード化粧品株式会社 592262543 赤座 誠文 竹岡 史帆里 高橋 千奈 間嶋 康夫 宮脇 維章 広瀬 統 G01N 33/48 20060101AFI20140425BHJP G01N 33/50 20060101ALI20140425BHJP JPG01N33/48 MG01N33/50 D 5 OL 12 2G045 2G045BB01 2G045BB20 2G045CB09 2G045DA02 2G045FB06 2G045GC22本発明は、顔面において、皮脂に含有される遊離脂肪酸組成の分析を利用して皮膚表面に常在するアクネ菌(Propionibacterium acnes)の菌数を予測する方法に関する。ヒトの顔面の皮膚表面には、アクネ菌(Propionibacterium acnes)、ブドウ球菌(Staphylococcus spp.)及びマラセチア(Malassezia spp.)などの常在菌が生息している。このうち最も優勢な皮膚常在菌はアクネ菌である(非特許文献1)。また、アクネ菌は、尋常性ざ瘡(ニキビ)に深く関与している。アクネ菌の産生するリパーゼは、皮脂を分解し、それによって産生された遊離脂肪酸が炎症を引き起こす(非特許文献2)。つまり、皮膚上のアクネ菌の菌数を知ることは、皮膚常在菌叢を把握するだけでなく、ニキビの予測や病態の把握及び治療にとって、重要と言える。皮膚に常在するアクネ菌の菌数を測定する方法としては、一般的に培養法が用いられている(特許文献1)。しかし、培養法は操作が煩雑であり、また結果が出るまでに1週間程の培養時間が必要と言う欠点がある。培養法を用いずにアクネ菌数を測定する方法としては、遺伝子解析を利用した方法がある(非特許文献3)。しかし、本手法を用いる場合、遺伝子工学実験に精通した者しか実施できず、高額な測定器(リアルタイムPCR)や試薬が必要という欠点がある。皮膚に常在するアクネ菌数は、皮表の皮脂量や遊離脂肪酸量に比例するとも言われているが(非特許文献4)、統計学的な相関関係にあるわけではなく、皮表の皮脂量や遊離脂肪酸量からアクネ菌数を予測することは現実的には不可能である。特開2010−202604J Dermatol,Vol.37,PP.786−792(2010)Eur J Dermatol,Vol.14,PP.4−12(2004)J Clin Microbiol,Vol.48,PP.3575−3581(2010)J Clin Microbiol,Vol.12,PP.672−675(1980)そこで、皮膚表面に常在するアクネ菌の菌数を測定する新しい方法の開発が望まれていた。本発明者は、上記課題の解決に向け鋭意検討を行った結果、顔面において、皮脂に含有される遊離脂肪酸組成と皮膚表面に常在するアクネ菌の菌数に相関関係があることを見出した。具体的には、アクネ菌の菌数は、遊離脂肪酸に占めるリノレン酸、ヘキサデセン酸及びペトロセリン酸の割合と相関関係を示した。このことから、皮脂中の遊離脂肪酸に占めるリノレン酸、ヘキサデセン酸又はペトロセリン酸の割合を算出することによって、皮膚に常在するアクネ菌の菌数を予測できることを見出し、本発明を完成するに至った。本願発明のリノレン酸(α−linolenic acid)は分子式C18H30O2、正式名cis,cis,cis−9,12,15−オクタデカトリエン酸である。ヘキサデセン酸(Hexadecenoic acid)は、分子式C16H30O2、正式名cis−6−ヘキサデセン酸である。ペトロセリン酸(Petroseline acid)は、分子式C18H34O2、正式名cis−6−オクタデセン酸である。リノレン酸や、ヘキサデセン酸及びペトロセリン酸の異性体であるパルミトレイン酸及びオレイン酸が、抗菌性を有するということは知られている(特許文献2、3、非特許文献5)。一方、濃度によっては、オレイン酸がアクネ菌の増殖を促進するという報告もある(非特許文献6)。しかし、皮脂中に遊離しているリノレン酸、ヘキサデセン酸又はペトロセリン酸の量が、皮膚に常在するアクネ菌の菌数と相関するという報告はない。さらには、遊離脂肪酸に占めるリノレン酸、ヘキサデセン酸又はペトロセリンの割合が、皮膚に常在するアクネ菌の菌数と相関するという報告はない。特開平8−151303特開2009−155257醗酵工学、Vol.57,PP.164−176(1979)医学と生物学、Vol.103,PP.463−468(1981)本発明は、皮脂に含有される遊離脂肪酸に占めるリノレン酸、ヘキサデセン酸又はペトロセリン酸の割合から、皮膚に常在するアクネ菌の菌数を予測するようにしたものである。次に本発明を詳細に説明するため、実施例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。皮脂に含有される遊離脂肪酸の解析健常人40名(女性20名:24〜38歳(平均30歳)、男性20名:25〜38歳(平均30歳))を被験者とした。サンプリングは、化粧品を使用していない状態で実施した。頬部の10cm2から、油取り紙を用いて皮脂を採取した。アセトン/ジエチルエーテル(1:1)混合液を用いて油取り紙から皮脂を抽出した後、減圧留去し、残渣に0.1mLのPhenyltrimethylammonium Hydroxide(0.2M)を加えて再溶解した。1μLを採取し、ガスクロマトグラフィーにて解析した。カラムは、SUPELCO SP−2560(100m×0.25mm×膜圧0.2μm)を用いた。各脂肪酸量は、モル数に換算し、解析を行った。皮膚に常在するアクネ菌の菌数測定皮脂を採取した部位の対照部の頬部5cm2から、2%ポリソルベート80加リン酸緩衝液(pH7.0)を含ませた綿棒を用いて常在菌を採取した。採取液に常在菌を分散させ、適宜段階希釈した後、カンテン平板塗抹法にてアクネ菌数を測定した。培養には、変法GAMカンテン培地(日水製薬)を用い、35℃にて7日間、嫌気培養した。皮脂に含まれる遊離脂肪酸中に占めるリノレン酸の割合(%)とアクネ菌数の関係を図1(全体)、図2(女性)及び図3(男性)に示す。(図1)(図2)(図3)遊離脂肪酸に占めるリノレン酸の割合(%)をXとした時、アクネ菌数(Y)は、全体では−0.087X+5.650(相関係数0.62)、女性では−0.075X+5.447(相関係数0.69)、男性では−0.533X+6.414(相関係数0.59)で求められた。皮脂に含まれる遊離脂肪酸に占めるヘキサデセン酸の割合(%)とアクネ菌数の関係を図4(全体)、図5(女性)及び図6(男性)に示す。(図4)(図5)(図6)遊離脂肪酸中に占めるヘキサデセン酸の割合(%)をXとした時、アクネ菌数(Y)は、全体では0.113X+1.886(相関係数0.56)、女性では0.109X+1.702(相関係数0.57)、男性では0.102X+2.509(相関係数0.54)で求められた。皮脂に含まれる遊離脂肪酸中に占めるペトロセリン酸の割合(%)とアクネ菌数の関係を図7(全体)、図8(女性)及び図9(男性)に示す。(図7)(図8)(図9)遊離脂肪酸に占めるペトロセリン酸の割合(%)をXとした時、アクネ菌数(Y)は、全体では0.345X+1.722(相関係数0.61)、女性では0.385X+1.128(相関係数0.62)、男性では0.255X+2.905(相関係数0.53)で求められた。皮脂に含まれる遊離脂肪酸に占めるパルミチン酸(C16:0)の割合(%)とアクネ菌数の関係を図10(全体)に示す。(図10)遊離脂肪酸に占めるパルミチン酸の割合(%)とアクネ菌数の相関係数は全体で0.20であり、相関を認めなかった。女性又は男性毎に見ても、相関は認めなかった。皮脂に含まれる遊離脂肪酸を構成する他の主要な脂肪酸、例えばラウリン酸(C12:0)、トリデカン酸(C13:0)、ミリスチン酸(C14:0)、ペンタデシル酸(C15:0)、パルミトレイン酸(C16:1(cis9))、マルガリン酸(C17:0)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1(cis9))及びリノール酸(C18:2)についても、遊離脂肪酸に占める割合とアクネ菌数との間に相関を認めなかった。これらの結果から、遊離脂肪酸に占めるリノレン酸、ヘキサデセン酸又はペトロセリン酸の割合は、皮膚に常在するアクネ菌数と特異的に相関関係を示すことが明らかとなった。実験例 ニキビが出来ている女性、ニキビができやすい女性、ニキビができにくい女性の各3名(計9名)について、皮脂中の遊離脂肪酸に占めるリノレン酸、ヘキサデセン酸及びペトロセリン酸の割合を利用したアクネ菌数予測を行った。被験部位としては頬部を用いた。また、確認のため、実施例に示した方法で、培養法によるアクネ菌測定も同時に実施した。結果を表1に示す。(表1)上記の表1から、ニキビができている人、ニキビができやすい人、ニキビができにくい人の順に、皮膚に常在するアクネ菌数が多いことが確認された。本発明の、皮脂中の遊離脂肪酸に占めるリノレン酸、ヘキサデセン酸又はペトロセリン酸の割合を測定することによって、皮膚に常在するアクネ菌の菌数を予測する方法は、皮膚常在菌叢の解析研究や、ニキビの予測や病態の把握及び治療に利用できる。顔面において皮脂中の総遊離脂肪酸に占める特定の遊離脂肪酸の割合を算出することによって皮膚表面に常在するアクネ菌(Propionibacterium acnes)の菌数を予測する方法。請求項1における特定の遊離脂肪酸がリノレン酸、ヘキサデセン酸又はペトロセリン酸であることを特徴とする皮膚に常在するアクネ菌の菌数を予測する方法。皮脂中の総遊離脂肪酸に占めるリノレン酸の割合(%)をX、皮膚に常在するアクネ菌数をYとした時、Y=aX+bにおけるaが−0.533〜−0.075である皮膚表面に常在するアクネ菌の菌数を予測する請求項2記載の方法。皮脂中の総遊離脂肪酸に占めるヘキサデセン酸の割合(%)をX、皮膚に常在するアクネ菌数をYとした時、Y=aX+bにおけるaが0.102〜0.113である皮膚表面に常在するアクネ菌の菌数を予測する請求項2記載の方法。皮脂中の総遊離脂肪酸に占めるペトロセリン酸の割合(%)をX、皮膚に常在するアクネ菌数をYとした時、Y=aX+bにおけるaが0.255〜0.385である皮膚表面に常在するアクネ菌の菌数を予測する請求項2記載の方法。 【目的】皮脂に含有される遊離脂肪酸組成の解析を利用して皮膚表面に常在するアクネ菌(Propionibacterium acnes)の菌数を予測する方法を提供する。【構成】皮脂に含有される遊離脂肪酸組成と皮膚表面に常在するアクネ菌の菌数の関係について解析した結果、アクネ菌の菌数は、皮脂中の遊離脂肪酸に占めるリノレン酸、ヘキサデセン酸及びペトロセリン酸の割合と相関関係を示した。このことから、皮脂中の遊離脂肪酸に占めるリノレン酸、ヘキサデセン酸又はペトロセリン酸の割合を算出することによって、皮膚に常在するアクネ菌の菌数を予測できることを見出した。【選択図】なし


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