タイトル: | 公開特許公報(A)_微小粒子分取装置及び微小粒子分取方法 |
出願番号: | 2012246432 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 15/14 |
棚瀬 広宣 伊藤 孝之 矢田 徹 辻 明子 多胡 隆司 JP 2014095595 公開特許公報(A) 20140522 2012246432 20121108 微小粒子分取装置及び微小粒子分取方法 ソニー株式会社 000002185 渡邊 薫 100112874 棚瀬 広宣 伊藤 孝之 矢田 徹 辻 明子 多胡 隆司 G01N 15/14 20060101AFI20140425BHJP JPG01N15/14 K 15 2 OL 15 本技術は、微小粒子分取装置及び微小粒子分取方法に関する。より詳しくは、光学的手法などにより分析した結果に基づいて微小粒子を分別して回収する際に、液滴に電荷を付与する技術に関する。 従来、細胞、微生物及びリポソームなどの生体関連微小粒子の分析には、フローサイトメトリー(フローサイトメーター)を用いた光学的測定方法が利用されている。フローサイトメーターは、フローセルやマイクロチップなどに形成された流路内を通流する微小粒子に光を照射し、個々の微小粒子から発せられた蛍光や散乱光を検出して、分析する装置である。 フローサイトメーターには、分析結果に基づいて、特定の特性を有する微小粒子のみを分別して回収する機能を備えたものもあり、特に細胞を分取対象とした微小粒子装置は「セルソーター」と呼ばれている。このセルソーターでは、一般に、分取方式として、微小粒子を含む液滴を帯電させて分離する液滴荷電方式が採用されている(特許文献1〜3参照)。 例えば、特許文献1に記載のフローサイトメーターでは、キャリア流体から液滴が分離される位置(ブレイク・オフ・ポイント)に荷電環を配置して、分取対象の液滴に選択的に電荷を付与している。そして、荷電された液滴は、荷電環よりも下流側に配置された液滴偏向板により、進行方向が変更され、所定の容器などに回収される。 一方、特許文献2に記載の微小粒子分取装置では、サンプル液をシース液層流中に導入するための微小管を金属で構成し、この微小管に電圧を印加することにより、流路内を通流するシース液及びサンプル液に正又は負の電荷を付与している。また、特許文献3に記載の微小粒子分取装置では、マイクロチップに設けられた流路の一部に荷電用電極を設けている。更に、これら特許文献2,3に記載の微小粒子分取装置では、液滴の進行方向を変更する対電極(液滴偏向板)の高電位による影響を排除するため、オリフィスと対電極との間に接地電極が配置されている。特表2007−532874号公報特開2010−190680号公報特開2011−237201号公報 しかしながら、前述した特許文献1〜3に記載された従来の液滴荷電方法は、液滴に付与する電荷量を一定にすることが難しく、分取の際に流体ストリーム(液滴の流れ)がぶれて、ソーティングが安定しないという問題点がある。 そこで、本開示は、安定したソーティングを実現することが可能な微小粒子分取装置及び微小粒子分取方法を提供することを主目的とする。 本開示に係る微小粒子分取装置は、流体ストリームを発生するオリフィスから吐出された液滴の少なくとも一部に電荷を付与する荷電部を有し、前記荷電部は、流路中を通流するシース液及び/又はサンプル液に接触配置され、第1の電圧が印加されて、前記シース液及び/又はサンプル液に電荷を付与する第1荷電電極と、前記第1の電圧とは異なる第2の電圧が印加され、少なくとも前記オリフィスから吐出した液体が液滴化する位置において、前記液滴に電荷を付与する第2荷電電極と、を備える。 前記第2荷電電極は、前記液滴化する位置から前記液滴の進行方向下流側に30mmの位置までの間、前記液滴に電荷を付与してもよい。 また、前記第2荷電電極は、前記流体ストリームから5mm以内の位置に配置することができる。 更に、前記第2荷電電極は、例えば平板電極、平行平板電極又は円孔電極により構成することができる。 そして、前記第2荷電電極が接地電極でもよい。 また、前記第1荷電電極と前記第2荷電電極に、逆位相の電圧を印加することもできる。 更に、前記第1荷電電極及び/又は前記第2荷電電極にパルス電圧が印加してもよい。 一方、前記第1荷電電極は、シース流に接触するように配置することができる。 また、前記オリフィスは交換可能なマイクロチップに形成されていてもよく、その場合、前記第1荷電電極は例えば前記マイクロチップ内に設けられたシース液流路内に配置することができる。 この微小粒子分取装置では、前記第2荷電電極よりも下流側に前記液滴の進行方向を変化させる偏向板を設けてもよい。 その場合、前記偏向板は、例えば前記流体ストリームを挟んで対向して配置することができる。 本開示に係る微小粒子分取方法は、第1荷電電極に第1の電圧を印加することにより、流路中を通流するシース液及び/又はサンプル液に電荷を付与する工程と、第2荷電電極に前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を印加することにより、少なくとも流体ストリームを発生するオリフィスから吐出した液体が液滴化する位置において前記液滴に電荷を付与する工程と、を有する。 この微小粒子分取方法では、前記第2電極を接地電極とすることができる。 また、前記第1電荷電極と前記第2電荷電極に逆位相の電圧を印加することもできる。 更に、前記第1電荷電極及び/又は前記第2電荷電極にパルス電圧を印加してもよい。 本開示によれば、流路中に加えて、液滴化する位置にも荷電用電極を設けているため、液滴に付与される電荷量が一定となり、ソーティングを安定化することができる。本開示の第1の実施形態の微小粒子分取装置の概略構成を示す図である。Aは図1に示す微小粒子分取装置10の動作を模式的に示す図であり、BはブレークオフポイントBPと第2荷電電極5との位置関係を示す図である。Aは理想の液滴配列状態を示す模式図であり、Bは第2荷電電極5を配置しなかった場合の液滴配列状態を示す模式図であり、Cは第2荷電電極5を配置した場合の液滴配列状態を示す模式図である。本開示の第1の実施形態の変形例の微小粒子分取装置の動作を模式的に示す図である。Aは本開示の第2の実施形態の微小粒子分取装置の動作を模式的に示す図であり、Bはブレークオフポイントと第2荷電電極との位置関係を示す図である。A及びBは平行平板電極の他の形態を示す斜視図である。Aは本開示の第3の実施形態の微小粒子分取装置の動作を模式的に示す図であり、Bはブレークオフポイントと第2荷電電極との位置関係を示す図である。A及びBは第2荷電電極の他の形態を示す平面図である。 以下、本開示を実施するための形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す各実施形態に限定されるものではない。また、説明は、以下の順序で行う。 1.第1の実施の形態 (ブレイク・オフ・ポイントに平板電極を配置した微小粒子分取装置の例) 2.第1の実施の形態の変形例 (各電極に極性が異なる交流パルス電圧を印加する微小粒子分取装置の例) 3.第2の実施の形態 (ブレイク・オフ・ポイントに平行平板電極を配置した微小粒子分取装置の例) 4.第3の実施の形態 (ブレイク・オフ・ポイントに円孔電極を配置した微小粒子分取装置の例)<1.第1の実施の形態> 先ず、本開示の第1の実施形態に係る微小粒子分取装置について説明する。図1は本開示の第1の実施形態の微小粒子分取装置の概略構成を示す図である。また、図2Aは図1に示す微小粒子分取装置10の動作を模式的に示す図であり、図2BはブレークオフポイントBPと第2荷電電極5との位置関係を示す図である。[装置の全体構成] 図1に示すように、本実施形態の微小粒子分取装置10は、マイクロチップ1、振動素子2、光検出部3、荷電部を構成する第1荷電電極4及び第2荷電電極5、偏向板6、回収容器7a〜7cなどを備えている。[微小粒子について] 本実施形態の微小粒子分取装置10により分析され、分取される微小粒子には、細胞、微生物及びリボゾームなどの生体関連微小粒子、又はラテックス粒子、ゲル粒子及び工業用粒子などの合成粒子などが広く含まれる。 生体関連微小粒子には、各種細胞を構成する染色体、リボゾーム、ミトコンドリア、オルガネラ(細胞小器官)などが含まれる。また、細胞には、植物細胞、動物細胞及び血球系細胞などが含まれる。更に、微生物には、大腸菌などの細菌類、タバコモザイクウイルスなどのウイルス類、イースト菌などの菌類などが含まれる。この生体関連微小粒子には、核酸や蛋白質、これらの複合体などの生体関連高分子も包含され得るものとする。 一方、工業用粒子としては、例えば有機高分子材料、無機材料又は金属材料などで形成されたものが挙げられる。有機高分子材料としては、ポリスチレン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、ポリメチルメタクリレートなどを使用することができる。また、無機材料としては、ガラス、シリカ及び磁性材料などを使用することができる。金属材料としては、例えば金コロイド及びアルミニウムなどを使用することができる。なお、これら微小粒子の形状は、一般には球形であるが、非球形であってもよく、また大きさや質量なども特に限定されない。[マイクロチップ1] マイクロチップ1には、分取対象とする微小粒子を含む液体(サンプル液)21が導入されるサンプルインレット、シース液22が導入されるシースインレット、シース液に浸漬される第1荷電電極4が差し込まれる荷電電極インレットなどが形成されている。そして、シースインレットに導入されたシース液22は、荷電電極インレットを経由して、サンプル流路11においてサンプル液21に合流し、オリフィス12から吐出される。 マイクロチップ1は、ガラスや各種プラスチック(PP,PC,COP、PDMSなど)により形成することができる。マイクロチップ1の材質は、光検出部3から照射される測定光に対して透過性を有し、自家蛍光が少なく、波長分散が小さいために光学誤差が少ない材質とすることが望ましい。 マイクロチップ1の成形は、ガラス製基板のウェットエッチングやドライエッチングによって、またプラスチック製基板のナノインプリントや射出成型、機械加工によって行うことができる。マイクロチップ1は、サンプル流路11などを成形した基板を、同じ材質又は異なる材質の基板で封止することで形成することができる。[振動素子2] 振動素子2は、マイクロチップ1の一部に当接配置又はマイクロチップ1の内部構成として設けられている。この振動素子2は、マイクロチップ1を所定周波数で振動させることにより、オリフィス12においてサンプル液21及びシース液22を液滴化してチップ外の空間に吐出させるものであり、例えばピエゾ素子などを用いることができる。[光検出部3] 光検出部3は、サンプル流路11の所定部位に光(測定光)を照射し、サンプル流路11を通流する微小粒子から発生する光(測定対象光)を検出する。光検出部3は、従来のフローサイトメトリーと同様に構成することができる。具体的には、レーザー光源と、微小粒子に対してレーザー光を集光・照射する集光レンズやダイクロイックミラー、バンドパスフィルターなどからなる照射系と、レーザー光の照射によって微小粒子から発生する測定対象光を検出する検出系とによって構成される。 検出系は、例えばPMT(Photo Multiplier Tube)や、CCDやCMOS素子などのエリア撮像素子によって構成される。なお、図1では、光検出部3として集光レンズのみを示している。また、図3では、照射系と検出系を同一の光学経路により構成した場合を示したが、照射系と検出系は別個の光学経路により構成してもよい。 光検出部3の検出系により検出される測定対象光は、測定光の照射によって微小粒子から発生する光であって、例えば、前方散乱光や側方散乱光、レイリー散乱やミー散乱等の散乱光や蛍光などとすることができる。これらの測定対象光は電気信号に変換され、微小粒子の光学特性はこの電気信号に基づいて検出される。[荷電部] 荷電部は、オリフィス12から吐出される液滴Dに、正又は負の電荷を付与するものであり、第1電荷電極4、第2荷電電極5及びこれらに所定の電圧を印加する電圧源8などで構成されている。第1荷電電極4は、流路中を通流するシース液及び/又はサンプル液に接触配置されて、シース液22及び/又はサンプル液21に電荷を付与するものであり、例えばマイクロチップ1の荷電電極インレットに挿入される。また、この第1電荷電極4には、電圧源8により、第1の電圧V1が印加される。 なお、図1及び図2では、第1荷電電極4をシース液22に接触するように配置しているが、本開示はこれに限定されるものではなく、サンプル液21に接触するように配置してもよく、サンプル液21及びシース液22の両方に接触するように配置してもよい。ただし、分取対象の細胞への影響を考慮すると、第1荷電電極4は、シース液22に接触するように配置することが望ましい。 一方、第2荷電電極5は、オリフィス12から吐出した液体が液滴化する位置(ブレイク・オフ・ポイント)BPの近傍に配置され、少なくともブレイク・オフ・ポイントBPにおいて、液滴Dに電荷を付与する。この第2荷電電極5は、例えば平板電極で構成することができる。また、第2荷電電極5には、電圧源8により、第1の電圧V1とは異なる第2の電圧V2が印加される。 ここで、第2荷電電極5は、少なくともブレイク・オフ・ポイントBPにおいて、液滴Dに電荷を付与できる位置に配置されていればよく、更にブレイク・オフ・ポイントBPよりも上流側及び/又は下流側に延びていてもよい。ただし、ブレイク・オフ・ポイントBPよりも上流側で電荷を付与した場合、電荷の劣化や拡散により、その効果が十分に得られないことがある。 一方、ブレイク・オフ・ポイントBPよりも下流側で電荷を付与すると、液滴Dが再結合しにくくなる。そこで、第2荷電電極5は、ブレイク・オフ・ポイントBPから液滴Dの進行方向下流側に30mmの位置まで延びていることが望ましい。これにより、ソーティング精度を向上させることができる。 また、第2荷電電極5は、オリフィス12から吐出した流体ストリーム23から5mm以内の位置に配置されていることが望ましい。これにより、液滴Dに効率的に電荷を付与することができる。[偏向板6] 偏向板6は、液滴Dに付与された電荷との間に作用する電気的な力によって、流体ストリーム23中の各液滴Dの進行方向を変化させるものであり、第2荷電電極5よりも下流側に、流体ストリーム23を挟んで対向配置されている。この偏向板6には、例えば通常使用される電極を使用することができる。[回収容器7a〜7c] 回収容器は、偏向板6の間を通過した液滴を回収するものであり、実験用として汎用のプラスチック製チューブやガラスチューブなどを使用することができる。これらの回収容器7a〜7cは、装置内に交換可能に配置されるものであることが好ましい。また、回収容器7a〜7cのうち非目的の微小粒子を受け入れるものには、回収した液滴の排液路を連結してもよい。 なお、微小粒子分取装置10に配置される回収容器の数は特に限定されるものではない。例えば、回収容器を3個よりも多く配置する場合には、各液滴が、偏向板6との間の電気的な作用力の有無及びその大小によっていずれか1つの回収容器に誘導され、回収されるようにすればよい。[動作] 次に、本実施形態の微小粒子分取装置10の動作について説明する。本実施形態の微小粒子分取装置10により微小粒子を分取する際は、サンプルインレットにサンプル液21が、シースインレットにシース液22が、それぞれ導入される。そして、例えば荷電電極インレットにおいて、第1荷電電極4によって、シース液22に電荷が付与される。その後、光照射部において、光検出部3により微小粒子の光学特性の検出と同時に、微小粒子の送流速度(流速)及び微小粒子の間隔などの検出が行われる。検出された微小粒子の光学特性、流速及び間隔等は、電気的信号に変換され装置の全体制御部(図示せず)に出力される。 サンプル流路11の光照射部を通過したサンプル液21及びシース液22は、オリフィス12からマイクロチップ1の外の空間に排出される。その際、振動素子2を振動させて、オリフィス12において形成される液滴D中に微小粒子がひとつずつ含まれるようにマイクロチップ1を振動させる。 その後、第2荷電電極5により、少なくともブレイク・オフ・ポイントBPにおいて、オリフィス12から吐出した液滴Dに電荷を付与する。このとき、第2荷電電極5には、第1荷電電極4に印加される第1の電圧とは異なる第2の電圧が印加される。例えば、図2に示すように、電圧源8に不均衡交流パルス信号を入力して第1荷電電極4に第1の電圧V1を印加すると共に、第2荷電電極5を接地する。 このように、液滴Dに付与される電荷量が最終的に確定するブレイク・オフ・ポイントBPに、第2荷電電極5を配置することにより、下記数式1で求められる液滴Dと接地GND間の静電容量Cを大きくすることができる。これにより、液滴Dに付与される電荷量Qを大きくすることができる。 更に、第2荷電電極5をブレイク・オフ・ポイントBPに配置することにより、充電における基準電位が明確に定義されるので、周囲電界の揺らぎ(外来ノイズ)の影響が軽減され、液滴Dに付与される電荷量Qが安定する。その結果、分取の際の流体ストリームのブレが改善し、回収容器7a〜7cに正確に振り分けることが可能となる。 また、ブレイク・オフ・ポイントBPよりも下流側の各液滴Dは、所定の間隔(液滴間の距離LD)をあけて落下するが、付与された電荷により液滴D間に反力や引力が発生することがある。例えば、図3Aに示す理想的な配列状態のように、各液滴Dの進行方向にブレがなく、これらが一直線上に存在している場合は、電荷による影響は受けない。一方、図3Bに示すように、各液滴Dの進行方向にブレが生じると、進行方向に対して、垂直な方向にも力が発生し、各液滴Dの軌跡のずれ幅が大きくなる。 これに対して、本実施形態の微小粒子分取装置10のように、ブレイク・オフ・ポイントBPに第2荷電電極5を配置すると、液滴Dから発せられる電界の強度を低くし、各液滴D間で作用する反力や引力を低減することができる。その結果、図3Cに示すように、液滴Dの軌跡のずれ幅を小さくすることができる。 なお、前述した第1の実施形態では、マイクロチップ1を用いた場合を例に説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、マイクロチップ1の代わりにフローセルを用いても同様の効果が得られる。また、光検出部3は電気的又は磁気的な検出手段に置換することもでき、その場合、微小粒子の電気的特性又は磁気的特性に基づいて、同様の方法で液滴Dに電荷を付与し、分取すればよい。 更に、特許文献2,3に記載の微小粒子分取装置では、オリフィスと偏向板の間に接地電極を配置しているが、この電極は、高電位による影響を排除するためのものであり、液滴Dとの距離が長いため、液滴Dとの間の静電容量Cを大きくすることはできない。このため、液滴Dに付与される電荷量Qの安定や、各液滴D間の電界低減などの効果は得られない。<2.第1の実施の形態の変形例> 次に、本開示の第1の実施形態の変形例に係る微小粒子分取装置について説明する。図4は本開示の第1の実施形態の変形例の微小粒子分取装置の動作を模式的に示す図である。なお、図4においては、図2に示す第1の実施形態の微小粒子分取装置の構成要素と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。 図4に示すように、本変形例の微小粒子分取装置には、2つの電圧源8a,8bが設けられており、第1荷電電極4と第2荷電電極5に、逆位相の電圧を印加する。具体的には、電圧源8aに非反転極性の交流パルス信号を入力して第1荷電電極4に第1の電圧V1を印加すると共に、電圧源8bに反転極性の交流パルス信号を入力して第2荷電電極5に第2の電圧V2を印加する。 このように、ブレイク・オフ・ポイントBPの近傍に第2荷電電極5を設け、この第2荷電電極5に第1荷電電極4とは逆位相の電圧を印加することにより、ブレイク・オフ・ポイントBPの液滴Dと第2荷電電極5間の容量が、等価的に図2に示す構成の2倍になる。これにより、前述した第1の実施形態の半分の電圧で、同じ電荷量を付与することができる。その結果、液滴にDに与える電圧を低減することができるため、懸念される細胞へのダメージ(リスク)を軽減することができる。 また、本変形例の微小粒子分取装置において、第1荷電電極4により液滴Dに直接与えられる電圧V1にノイズ電圧νnが重畳された電圧V1’と、第2荷電電極5により与えられる電圧V2にνnが重畳された電圧V2’は、それぞれ下記数式2,3で表される。 そして、第2荷電電極5と、ブレイク・オフ・ポイントBPにおける各液滴D間の電位差Vgは、下記数式4で表される。即ち、本変形例の微小粒子分取装置では、ノイズ成分であるνnはキャンセルされるため、外来ノイズの影響も低減することができる。 なお、本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。<3.第2の実施の形態> 次に、本開示の第2の実施形態に係る微小粒子分取装置について説明する。図5Aは本実施形態の微小粒子分取装置の動作を模式的に示す図であり、図5Bはブレークオフポイントと第2荷電電極との位置関係を示す図である。なお、図5A,Bにおいては、図1及び図2に示す第1の実施形態の微小粒子分取装置の構成要素と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。 図5に示すように、本実施形態の微小粒子分取装置では、第2荷電電極15が平行平板電極で構成されている。この場合、平行平板電極(第2荷電電極15)は、流体ストリーム23を挟んで対向し、少なくともブレイク・オフ・ポイントBPにおいて、液滴Dに電荷を付与できる位置に配置される。また、第2荷電電極15には、2つの平板電極が同電位となるように電圧源(図示せず)から電圧が印加される。なお、本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述した第1の実施形態と同様である。 本実施形態の微小粒子分取装置のように、第2荷電電極15に平行平板電極を用いた場合でも、液滴Dに付与する電荷量を安定化させることができるため、安定したソーティングを実現することができる。なお、本実施形態の微小粒子分取装置で用いられる平行平板電極は、図5A,Bに示す形態に限定されるものではなく、例えば図6A,Bに示すようなコ字状の電極を使用することもできる。<4.第3の実施の形態> 次に、本開示の第3の実施形態に係る微小粒子分取装置について説明する。図7Aは本実施形態の微小粒子分取装置の動作を模式的に示す図であり、図7Bはブレークオフポイントと第2荷電電極との位置関係を示す図である。なお、図7A,Bにおいては、図1及び図2に示す第1の実施形態の微小粒子分取装置の構成要素と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、図8A及び図8Bは第2荷電電極の他の形態を示す平面図である。 図7に示すように、本実施形態の微小粒子分取装置では、第2荷電電極25が円孔電極で構成されている。なお、図7には円筒状の電極を示しているが、本開示はこれに限定されるものではなく、例えば図8Aに示す平板に円孔が形成された構造の電極や、図8Bに示すような一部に切り欠きが形成された略リング状の電極を使用することもできる。 この場合、円孔電極(第2荷電電極25)は、その内孔内を流体ストリーム23が通過し、少なくともブレイク・オフ・ポイントBPにおいて、液滴Dに電荷を付与できる位置に配置される。なお、本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述した第1の実施形態と同様である。 本実施形態の微小粒子分取装置においてもブレイク・オフ・ポイントBPにおいて液滴Dに電荷を付与する第2荷電電極25を設けているため、液滴Dに付与される電荷量が一定となり、ソーティングを安定化することができる。 また、本開示は、以下のような構成をとることもできる。(1) 流体ストリームを発生するオリフィスから吐出された液滴の少なくとも一部に電荷を付与する荷電部を有し、 前記荷電部は、 流路中を通流するシース液及び/又はサンプル液に接触配置され、第1の電圧が印加されて、前記シース液及び/又はサンプル液に電荷を付与する第1荷電電極と、 前記第1の電圧とは異なる第2の電圧が印加され、少なくとも前記オリフィスから吐出した液体が液滴化する位置において、前記液滴に電荷を付与する第2荷電電極と、を備える微小粒子分取装置。(2) 前記第2荷電電極は、前記液滴化する位置から前記液滴の進行方向下流側に30mmの位置までの間、前記液滴に電荷を付与する(1)に記載の微小粒子分取装置。(3) 前記第2荷電電極は、前記流体ストリームから5mm以内の位置に配置されている(1)又は(2)に記載の微小粒子分取装置。(4) 前記第2荷電電極は、平板電極、平行平板電極又は円孔電極である(1)〜(3)のいずれかに記載の微小粒子分取装置。(5) 前記第2荷電電極が接地電極である(1)〜(4)のいずれかに記載の微小粒子分取装置。(6) 前記第1荷電電極と前記第2荷電電極には逆位相の電圧が印加される(1)〜(4)のいずれかに記載の微小粒子分取装置。(7) 前記第1荷電電極及び/又は前記第2荷電電極にパルス電圧が印加される(1)〜(6)のいずれかに記載の微小粒子分取装置。(8) 前記第1荷電電極がシース流に接触するように配置されている(1)〜(7)のいずれかに記載の微小粒子分取装置。(9) 前記オリフィスは交換可能なマイクロチップに形成されており、前記第1荷電電極は前記マイクロチップ内に設けられたシース液流路内に配置されている(1)〜(8)のいずれかに記載の微小粒子分取装置。(10) 前記第2荷電電極よりも下流側に前記液滴の進行方向を変化させる偏向板が設けられている(1)〜(9)のいずれかに記載の微小粒子分取装置。(11) 前記偏向板は、前記流体ストリームを挟んで対向して配置されている(10)に記載の微小粒子分取装置。(12) 第1荷電電極に第1の電圧を印加することにより、流路中を通流するシース液及び/又はサンプル液に電荷を付与する工程と、 第2荷電電極に前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を印加することにより、少なくとも流体ストリームを発生するオリフィスから吐出した液体が液滴化する位置において前記液滴に電荷を付与する工程と、を有する微小粒子分取方法。(13) 前記第2電荷電極を接地電極とする(12)に記載の微小粒子分取方法。(14) 前記第1電荷電極と前記第2電荷電極に逆位相の電圧を印加する(12)に記載の微小粒子分取方法。(15) 前記第1電荷電極及び/又は前記第2電荷電極にパルス電圧を印加する(12)〜(14)のいずれかに記載の微小粒子分取方法。 1 マイクロチップ 2 振動素子 3 光検出部 4、5、15、25 荷電電極 6 偏向板 7a〜7c 回収容器 8、8a、8b 電圧源 10 微小粒子分取装置 11 サンプル流路 12 オリフィス 21 サンプル液 22 シース液 23 流体ストリーム BP ブレイク・オフ・ポイント D 液滴 LD 液滴間の距離 流体ストリームを発生するオリフィスから吐出された液滴の少なくとも一部に電荷を付与する荷電部を有し、 前記荷電部は、 流路中を通流するシース液及び/又はサンプル液に接触配置され、第1の電圧が印加されて、前記シース液及び/又はサンプル液に電荷を付与する第1荷電電極と、 前記第1の電圧とは異なる第2の電圧が印加され、少なくとも前記オリフィスから吐出した液体が液滴化する位置において、前記液滴に電荷を付与する第2荷電電極と、を備える微小粒子分取装置。 前記第2荷電電極は、前記液滴化する位置から前記液滴の進行方向下流側に30mmの位置までの間、前記液滴に電荷を付与する請求項1に記載の微小粒子分取装置。 前記第2荷電電極は、前記流体ストリームから5mm以内の位置に配置されている請求項1に記載の微小粒子分取装置。 前記第2荷電電極は、平板電極、平行平板電極又は円孔電極である請求項1に記載の微小粒子分取装置。 前記第2荷電電極が接地電極である請求項1に記載の微小粒子分取装置。 前記第1荷電電極と前記第2荷電電極には逆位相の電圧が印加される請求項1に記載の微小粒子分取装置。 前記第1荷電電極及び/又は前記第2荷電電極にパルス電圧が印加される請求項1に記載の微小粒子分取装置。 前記第1荷電電極がシース流に接触するように配置されている請求項1に記載の微小粒子分取装置。 前記オリフィスは交換可能なマイクロチップに形成されており、前記第1荷電電極は前記マイクロチップ内に設けられたシース液流路内に配置されている請求項8に記載の微小粒子分取装置。 前記第2荷電電極よりも下流側に前記液滴の進行方向を変化させる偏向板が設けられている請求項1に記載の微小粒子分取装置。 前記偏向板は、前記流体ストリームを挟んで対向して配置されている請求項10に記載の微小粒子分取装置。 第1荷電電極に第1の電圧を印加することにより、流路中を通流するシース液及び/又はサンプル液に電荷を付与する工程と、 第2荷電電極に前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を印加することにより、少なくとも流体ストリームを発生するオリフィスから吐出した液体が液滴化する位置において前記液滴に電荷を付与する工程と、を有する微小粒子分取方法。 前記第2電荷電極を接地電極とする請求項12に記載の微小粒子分取方法。 前記第1電荷電極と前記第2電荷電極に逆位相の電圧を印加する請求項12に記載の微小粒子分取方法。 前記第1電荷電極及び/又は前記第2電荷電極にパルス電圧を印加する請求項12に記載の微小粒子分取方法。 【課題】安定したソーティングを実現することが可能な微小粒子分取装置及び微小粒子分取方法を提供する。【解決手段】流体ストリームを発生するオリフィスから吐出された液滴の少なくとも一部に電荷を付与する荷電部に、流路中を通流するシース液及び/又はサンプル液に接触配置され、該シース液及び/又はサンプル液に電荷を付与する第1荷電電極と、少なくとも前記オリフィスから吐出した液体が液滴化する位置において、液滴に電荷を付与する第2荷電電極とを設ける。そして、第1荷電電極に第1の電圧を印加すると共に、第2荷電電極に第1の電圧とは異なる第2の電圧を印加する。【選択図】図2