タイトル: | 公開特許公報(A)_膵外分泌機能不全のモデル動物 |
出願番号: | 2012238416 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A01K 67/027,G01N 33/15,G01N 33/50 |
海野 倫明 坂田 直昭 石田 晶玄 吉松 軍平 JP 2014087275 公開特許公報(A) 20140515 2012238416 20121029 膵外分泌機能不全のモデル動物 国立大学法人東北大学 504157024 廣田 雅紀 100107984 小澤 誠次 100102255 東海 裕作 100096482 ▲高▼津 一也 100120086 堀内 真 100131093 海野 倫明 坂田 直昭 石田 晶玄 吉松 軍平 A01K 67/027 20060101AFI20140418BHJP G01N 33/15 20060101ALI20140418BHJP G01N 33/50 20060101ALI20140418BHJP JPA01K67/027G01N33/15 ZG01N33/50 Z 9 OL 17 2G045 2G045AA29 2G045AA40 2G045BA14 2G045BB24 2G045CA25 2G045CB01 2G045CB17 2G045CB26 2G045DA20 2G045DA30 2G045FA16 2G045FA18 2G045FB01 2G045GC07 2G045JA06 本発明は、膵外分泌機能不全モデル動物、より詳しくは、食物が十二指腸に流入することなく、空腸に直接流入し、膵液が空腸に流入することなく、直腸に直接流入し、胆汁が十二指腸に流入することなく、空腸に直接流入するように、外科的処置が施された膵外分泌機能不全モデル動物や、その作製方法や、その利用に関する。 口から食道、胃、十二指腸、小腸(部位により空腸、回腸)、大腸(結腸、直腸)、肛門までの一連の食物の通り道が消化管であるが、これとは別に十二指腸に隣接し、消化酵素を産生して膵管を介して十二指腸に流入させる臓器が膵臓である。膵臓は食物の消化に携わる膵外分泌細胞(膵腺房細胞)と、血糖値を維持する働きをもつ膵内分泌細胞(膵ランゲルハンス島)によって構成されている。膵腺房細胞が傷害され、消化酵素の産生が低下し、食物の消化能力が著しく低下した状態が膵外分泌機能不全、膵ランゲルハンス島が障害を受け、あるいはその機能が低下した状態が膵内分泌機能不全であり、後者はいわゆる糖尿病と呼ばれる病態である。また、胆管は肝臓で産生された胆汁の通り道であり、十二指腸に流入しているがその前に膵臓の内部を走行している(図1A)。 膵臓及び胆管に発生する癌に代表される膵胆道系悪性疾患は、胃癌や大腸癌などの同じ消化器系悪性疾患に比べ予後が悪い。膵癌及び胆道癌を完全に治癒するためには、外科的治療法により癌を残すことなく取りきること(根治手術)が絶対条件である。膵頭部(膵臓の右側およそ1/3)及び下部胆管(膵臓内を走行する胆管)に発生した癌を完全に切除するために、膵臓の右側1/3と十二指腸を切除する膵頭十二指腸切除術や十二指腸や脾臓とともに膵臓を全て取りきる膵全摘術が行われるが、これらの術式は難易度が高いことに加え、患者に大きな負担がかかること、膵臓を失うことにより膵内・外分泌機能不全が併発することから術後管理が困難となり、過去には多く施行されなかった。 インスリンは血糖降下作用をもつ、膵ランゲルハンス島より分泌されるホルモンであり、これを体外より注射するインスリン補充療法は膵切除後の患者に対しても行われていたが、良好な血糖コントロールを得ることが困難であった。また、膵外分泌機能低下に対しては消化補助剤の投薬が行われていたが、効果は不十分であった。 しかしながら、近年、手術手技の向上に加え、インスリン製剤の改良、良質な膵外分泌機能治療薬の開発等に伴い、上記の膵切除術が安全に行うことが可能になってきた。現在では、これらの手術は膵胆道系悪性疾患に対する標準治療として広く行われるようになりつつある。 同時に膵切除術後の長期合併症も知られるようになってきている。中でも非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、その一部が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に、更にその一部が肝硬変に至る病態であり、膵頭十二指腸切除術や膵全摘術後の約20〜40%に認められる合併症である[非特許文献1]。膵切除による膵外分泌機能不全(消化酵素産生不全)がその原因と推測されているが、詳細は未だ解明されていない。よって膵外分泌機能が著しく低下した非ヒト動物による動物モデルを確立し、膵切除後の生理機能・病態を明らかにすることは、このような膵性合併症(膵疾患に伴う合併症)に対する良質な治療法を確立する上で非常に有意義であると考える。 膵胆道系悪性疾患などの致死的疾患の治療に必要とされる膵切除術の後に進展し、非アルコール性脂肪性肝疾患及び糖尿病並びに慢性膵炎といった深刻な合併症の病因である、膵内・外分泌機能不全の病態解明は、効果的な治療法並びに治療薬剤の開発に必須である。膵疾患研究のための動物モデルとしては、膵内分泌機能不全(糖尿病)モデルに関しては、膵ランゲルハンス島を特異的に消失させるストレプトゾトシン投与法が既に確立しており[非特許文献2]、ストレプトゾトシン投与法はNASHモデル動物の作製法としても報告されている[特許文献1]。一方、膵外分泌機能が低下している病態として慢性膵炎が上げられるが、その動物モデルとしてはアルコール投与による方法[非特許文献3]に加え、自然発症型の動物モデルも報告されている[非特許文献4]。また、膵内・外分泌機能が低下したモデルとして膵切除モデルが挙げられる。これは膵臓を60〜90%切除した動物モデルであり、主に膵再生研究に使用される。マウス[非特許文献5]、ラット[非特許文献6]、イヌ[非特許文献7]などに報告例がある。しかしながら、マウスやラットといった、齧歯動物の膵全摘モデルは皆無であり、99.5%の膵切除ラットの作製に成功したという1報のみである[非特許文献8]。 小動物の膵全摘術は十二指腸の温存が困難であることに加え、侵襲が過大であり、術後に生存可能なモデルを作製することが極めて困難である。またNASHモデル動物において、膵切除術の合併症として発症したケースを考えた場合、上記特許文献1に挙げたストレプトゾトシン投与によるNASHモデル動物では、ストレプトゾトシンの投与により、膵ランゲルハンス島のβ細胞から抗原となるタンパクが放出され、活性化された免疫系による細胞障害性T細胞の攻撃を受けて膵ランゲルハンス島のβ細胞が破壊され、結果としてインスリンの分泌ができなくなるという、薬物が誘導した自己免疫に起因する発症機序である点が、膵切除という物理的侵襲を病因とした発症進行と同一な経過をたどるとは考えにくい。そのため、ヒトにおける膵切除術合併症としての膵内・外分泌機能不全の経過を、上記文献に挙げたモデル動物を用いて観察することはできない。以上より、現在のところ、膵外分泌機能が著しく低下し、かつ、十二指腸が温存されている動物モデルは未だに例が無く、膵外分泌機能不全治療並びに治療薬の開発のためには、ヒトの臨床病態に則した実験モデル動物の開発が望まれる。 現在、様々な研究が行われているものの、ヒトに施した膵切除術後の状態に類似し、術後生存可能な実験動物モデルが存在せず、合併症である膵外分泌機能不全の詳細な治療法及び治療薬のスクリーニングが困難な状況である。特開2009−178143Kato H et al., J. Hepatobiliary. Pancreat. Sci., (2010) 17, p296-304.Sakata N et al., Transplantation. (2010) 89, p686-693.Lugea A et al., Gastroenterology. (2011) 140, p987-997.坂口雄沢ほか, 日本消化器病学会雑誌. (2009) 106, A172Wang Y et al., Horm. Metab. Res. (2012) 44, p33-40.Kwon DY et al., J. Pharmacol. Sci. (2009) 111, p361-71.Hayakawa H et al., J. Endocrinol. (1996) 149, p259-267.Taghizadeh A et al., Br. J. Exp. Pathol. (1969) 50, p605-611. 本発明の課題は、膵外分泌機能不全の治療法並びに治療薬剤の開発に必要な、ヒトと類似した病理所見及び生化学検査所見を示す、膵外分泌機能不全モデル動物、及び、該動物の利用方法を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その過程において、膵液(膵消化酵素)を本来の十二指腸−小腸に流入させるのではなく、食物の消化吸収に関与しない直腸に、直接流入させる消化管バイパスを置くことに着目して検討したところ、試行錯誤の末、膵全摘術によらない、かつ、処置後も生存可能である、膵外分泌機能不全ラットのモデル動物作製に成功した。その結果、当該ラットについて、膵外分泌機能不全による著明な消化吸収障害、及び、インスリン分泌能低下から、筋肉、脂肪組織におけるブドウ糖取り込みが抑制され、その結果、脂肪肝を誘発させることに成功した。術後1ヵ月の当該ラットを詳細に検討した病理所見では、肝組織において脂肪沈着を示す肝細胞の風船状腫大を認めた。 上記病理所見は、膵外分泌機能低下に伴う肝組織及び肝細胞に特徴的なものである。すなわち本発明者は、上記手法によってヒトの膵外分泌機能不全と同様の病理所見を示すモデル動物の作出に初めて成功した。 すなわち本発明は、〔1〕胃幽門部と空腸、又は、胃幽門部に連続した十二指腸の一部と空腸とが吻合され、食物が十二指腸に流入することなく、空腸に直接流入し;十二指腸と直腸、又は、十二指腸に連続した空腸の一部と直腸とが吻合され、膵液が空腸に流入することなく、直腸に直接流入し;及び、総胆管と空腸とが細径チューブを介して吻合され、胆汁が十二指腸に流入することなく、空腸に直接流入する;非ヒト動物からなることを特徴とする膵外分泌機能不全モデル動物や、〔2〕胃幽門部に連続した十二指腸の一部と空腸とが吻合され、十二指腸に連続した空腸の一部と直腸とが吻合され、及び、総胆管と空腸とが細径チューブを介して吻合されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の膵外分泌機能不全モデル動物や、〔3〕非ヒト動物がラットであることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の膵外分泌機能不全モデル動物や、〔4〕(a)胃幽門部と膵液が流入する十二指腸部との間の十二指腸を切断する工程;(b)十二指腸と空腸の境界であるトライツ靭帯から肛門側の近位空腸を切断する工程;(c)上記工程(a)により生じた胃幽門部に連続した十二指腸の断端と、上記工程(b)により生じた空腸の断端とを吻合する工程;(d)上記工程(a)により生じた十二指腸の口側断端を閉鎖し、上記工程(b)により生じた十二指腸に連続した空腸の断端を直腸切開部に吻合する工程; (e)上記工程(c)により形成された空腸の口側に細径チューブの一端を挿入し、切断された肝臓側の総胆管に前記細径チューブの他端を吻合する工程;を備えた外科的処置を非ヒト動物に施すこと特徴とする膵外分泌機能不全モデル動物を作製する方法に関する。 また本発明は、〔5〕(a)前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の膵外分泌機能不全モデル動物へ被検物質を投与する工程;(b)慢性膵炎に対する改善効果を評価する工程;を備えたこと特徴とする慢性膵炎の治療用及び/又は予防用薬剤のスクリーニング方法や、〔6〕(a)前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の膵外分泌機能不全モデル動物へ被検物質を投与する工程;(b)糖尿病に対する改善効果を評価する工程;を備えたこと特徴とする糖尿病の治療用及び/又は予防用薬剤のスクリーニング方法や、〔7〕(a)前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の膵外分泌機能不全モデル動物へ被検薬物を投与する工程;(b)慢性膵炎に対する改善効果を評価する工程;を備えたこと特徴とする薬物の慢性膵炎の改善に対する薬効評価方法や、〔8〕(a)前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の膵外分泌機能不全モデル動物へ被検薬物を投与する工程;(b)糖尿病に対する改善効果を評価する工程;を備えたこと特徴とする薬物の糖尿病の改善に対する薬効評価方法や、〔9〕(a)前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の膵外分泌機能不全モデル動物に、膵再生療法を目的とした細胞又は臓器を移植する工程;(b)膵外分泌機能不全に対する改善効果を評価する工程;を備えたこと特徴とする外分泌機能不全に対する膵再生療法の評価方法に関する。 本発明により、膵外分泌機能が著しく低下された病態、すなわち、進行した慢性膵炎及び膵全摘術後などの病態を評価し、疾患のメカニズムを追求することが可能となるだけでなく、これらの疾患を改善するための治療法の開発、すなわち細胞移植療法の開発、再生医療研究、治療薬剤の開発などに転用することが可能である。膵外分泌機能不全ラットの作製法を模式的に示した図である。A.ラットの腹腔内の正常解剖。B.十二指腸切離と空腸切離。C.小腸直腸吻合、十二指腸空腸吻合、総胆管空腸吻合。手術後1か月の開腹所見の図である。A.小腸直腸吻合。B.十二指腸空腸吻合及び総胆管空腸吻合。手術から1か月後の血清リパーゼ濃度(A)、便リパーゼ濃度(B)、血清トリプシン濃度(C)、便トリプシン濃度(D)を示した図である。血清リパーゼ、便リパーゼ、血清トリプシン、便トリプシンいずれも正常に比べ著明な低下を示した。手術後1か月の肝組織所見を示した図である。A.膵外分泌機能廃絶ラットの肝組織には脂肪沈着を示す肝細胞の風船状腫大(実線矢印)が認められた。B.対照群ラットではこのような所見は認められなかった。染色条件はヘマトキシリン?エオジン染色で倍率は200倍である。 本発明の膵外分泌機能不全モデル動物(以下「モデル動物」という場合がある)としては、胃幽門部(胃と十二指腸との境界)と空腸、又は、胃幽門部に連続した十二指腸の一部と空腸とが吻合され、食物が十二指腸に流入することなく、空腸に直接流入し;十二指腸と直腸、又は、十二指腸に連続した空腸の一部と直腸とが吻合され、膵液が空腸に流入することなく、直腸に直接流入し;及び、総胆管と空腸とが細径チューブを介して吻合され、胆汁が十二指腸に流入することなく、空腸に直接流入する;非ヒト動物であれば特に制限されず、ここで吻合とは、外科手術によって管腔臓器の二つの部分をつなぎ合わせることを意味する。また、上記膵外分泌機能不全には、膵外分泌機能低下が含まれる。 また、本発明のモデル動物を作製する方法としては、(a)胃幽門部と膵液が流入する十二指腸部との間の十二指腸を切断する工程;(b)十二指腸と空腸の境界であるトライツ靭帯から肛門側の近位空腸を切断する工程;(c)上記工程(a)により生じた胃幽門部に連続した十二指腸の断端と、上記工程(b)により生じた空腸の断端とを吻合する工程;(d)上記工程(a)により生じた十二指腸の口側断端を閉鎖し、上記工程(b)により生じた十二指腸に連続した空腸の断端を直腸切開部に吻合する工程;(e)上記工程(c)により形成された空腸の口側に細径チューブの一端を挿入し、切断された肝臓側の総胆管に前記細径チューブの他端を吻合する工程;を備えた外科的処置を施す方法であれば特に制限されず、この方法により、胃幽門部に連続した十二指腸の一部と空腸とが吻合され、十二指腸に連続した空腸の一部と直腸とが吻合され、及び、総胆管と空腸とが細径チューブを介して吻合されている本発明のモデル動物を作製することができる。 上記非ヒト動物としては、通常、実験動物として一般的に使用される動物であれば特に制限されないが、非ヒト脊椎動物が好ましく、非ヒト哺乳動物がより好ましく、具体的には、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなどを例示することができ、中でもラット、マウス、ウサギ等の齧歯類を好適に例示することができるが、個体の大きさや入手、飼育が容易である点などから、このモデルに最も適した齧歯動物として、ラットを挙げることができる。また、モデル動物の作製に使用する非ヒト動物は、手術に耐えうる体力のある週齢を使用することが好ましく、ラットの場合、出生後14週齢前後が好ましい。 本発明のモデル動物の作製に使用する動物の遺伝的背景は特に制限されず、任意の遺伝的背景を有する動物を利用することができ、使用する非ヒト動物として、移植組織を拒絶する能力に欠ける免疫不全動物を用いることも可能である。通常は、野生型の動物を好適に使用することができる。 本発明のモデル動物の作製において、術死や術後の感染の予防目的で実臨床における手術に準じた手法で行うことが好ましい。すなわち、麻酔法としては全身麻酔を好適に例示することができ、より好ましくは、全身麻酔は麻酔装置による吸入麻酔で行う。麻酔薬としては、ジエチルエーテル、ハロタン、エンフルラン、イソフルラン、メトキシフルラン、セボフルラン及びデスフルラン等を例示することができる。 モデル動物の体毛は、動物用バリカン又は除毛剤、あるいは、動物用バリカンと除毛剤の併用などで取り除き、腹腔内への体毛の混入を防ぐ。除毛剤の剤型は特に制限されず、市販されているヒト用を利用することができる。一例を示せば、エピラット(登録商標)除毛クリーム(クラシエ)を挙げることができる。 術野(手術部位の皮膚)はヒトの手術で用いられるような一般的な消毒液で消毒を行う。具体的な消毒液としては、ポピドンヨード(登録商標:イソジン)、ポロクサマーヨード、消毒用エタノール、クロルヘキシジン(登録商標:ヒビテン)等を挙げることができる。 消化管吻合に使用する手術糸(手術用縫合糸)は滅菌済みの吸収糸を使用することが好ましく、吸収糸の種類としては特に制限されず、具体的な素材として、編み糸系のバイクリル(ポリグラクチン910)、デキソン(ポリグリコール酸)、モノクリル等が例示され、モノフィラメント系では、PDS(ポリジオキサノン)、マクソン等を挙げることができる。手術糸の直径は、作製するモデル動物の大きさによって規定することができ、ラットの場合では、USPサイズの5−0糸を好適に挙げることができる。 手術に用いられる器具類は、ヒトの手術で用いられる方法により滅菌することが好ましい。滅菌法は特に制限されず、熱と水に耐えうる器具に対しては、高圧蒸気滅菌法を好適に挙げることができ、その他、エチレンオキサイドガス、過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌、ホルムアルデヒド滅菌などを例示することができる。総胆管空腸吻合に使用する細径チューブについても、体内に留置するため滅菌したものを使用し、滅菌法としては、エチレンガスによるガス滅菌を好適に挙げることができる。 総胆管空腸吻合に使用する細径チューブは、滅菌可能なチューブで、動物の体内に入れることで破壊されず、また、動物に対する毒性のないもので、可撓性を有する細径のものであれば特に制限されない。素材としては、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができるが、挿入の容易性や可塑性が低い利点から、ポリエチレンチューブを好適に挙げることができる。 モデル動物は、手術後、手術による消耗と術後の摂食低下に伴う周術期の死亡を予防するために電解質・ブドウ糖液(輸液)の投与が好ましい。投与経路については特に制限されず、皮下、腹腔内、経静脈的経路を例示することができる。輸液の種類については、上記成分の含まれるものであれば特に制限されず、術後回復液の4号液(登録商標:ソリタ)等を好適に挙げることができる。 本発明のモデル動物を作製する方法について、以下により詳しく説明する。手術体位は仰臥位(腹を上、背中を下とする手術体位)とし腹壁を正中切開にて開腹する。膵液を消化吸収に関与しない直腸へ直接流入させるため、膵臓外分泌による膵管を通じた膵液の流入経路である十二指腸を、胃の幽門部から肛門側の位置で切り離し[十二指腸切離]、切り離された空腸に連続する側の十二指腸の切断端(十二指腸の口側断端)を閉鎖(閉塞)する。切離する位置に関しては、ラットを使用する場合、胃の幽門部から1mm肛門側を好適な位置として例示することができる。また、上記十二指腸切離を、胃の幽門部から肛門側の位置での切離に代えて、胃の幽門部位での切離とすることもできる。上記閉鎖及び端側吻合の手術手技としては、全層連続縫合を挙げることができる。次に、十二指腸−空腸の境界(トライツ靭帯)から肛門側の位置で空腸を切離し[空腸切離]、前記閉鎖された十二指腸の閉鎖端とは異なる端部につながる空腸の切断端を、腸間膜対側に切開を行った直腸に端側吻合する[小腸直腸吻合]。切離する位置に関しては、ラットを使用する場合、トライツ靭帯の1cm肛門側を好適な位置として例示でき、直腸での切開の大きさは約2mmとすることができる。上記空腸切離を、十二指腸−空腸の境界から肛門側の位置での切離に代えて、十二指腸−空腸の境界や十二指腸−空腸の境界から口側の位置での切離とすることもできる。上記端側吻合の手術手技としては、全層連続縫合を挙げることができる。 上記十二指腸切離による、胃幽門部又は胃幽門部とつながる十二指腸の切断端と、同じく上記空腸切離による、大腸−直腸に付着する空腸の切断端とを吻合する[十二指腸空腸吻合]。かかる十二指腸空腸吻合により、経口摂取され胃を通過した食物は、膵液が分泌される十二指腸を経ずして、空腸から下流の消化管を経由することになる。吻合の手術手技としては、全層連続吻合を挙げることができる。 上記小腸直腸吻合により、膵液が空腸に流入することなく、直腸に直接流入することになるが、膵液と共に胆汁が直腸へ直接流入することがないように、すなわち、膵液は直腸へ流入させたまま胆汁のみを空腸へ迂回させるために、まず上記十二指腸空腸吻合部より肛門側空腸の腸間膜対側より可撓性の細径プラスチックチューブを腸管内腔に刺入し、続いて刺入と同じ側の小腸壁を貫通させ腸管外に誘導する。小腸内腔を通した可撓性の細径チューブの先端を、切離した肝臓側の総胆管へ挿入し、吸収糸にて結紮する。総胆管内及び小腸壁貫通部の可撓性の細径チューブを固定する[総胆管空腸吻合]。ラットを使用する場合、可撓性チューブを刺入する位置として、十二指腸空腸吻合部より約3cm肛門側を例示することができ、可撓性の細径チューブを腸管外に貫通させる位置としては、刺入部より約1cm口側を挙げることができる。小腸壁貫通部のポリエチレンチューブの固定法としては、巾着縫合を挙げることができる。 上記手法によって作製される非ヒト動物は、膵外分泌機能不全の症状を呈し、膵外分泌機能不全モデル動物として有用である。本発明のモデル動物は、血清リパーゼ及び血清トリプシン濃度低下、脂肪肝及び血糖値上昇(耐糖能低下)を同時に呈すことを特徴とするものである。即ち、本発明のモデル動物は、著明な膵外分泌機能低下の症状と同時に、慢性膵炎及び糖尿病性疾患の病態を観察することができるという特徴を有する。 また、本発明のモデル動物は、以下の検査所見を呈する。(1)便が泥状である。(2)血清リパーゼ及び血清トリプシン濃度が健常対照群に比して低下している。(3)便リパーゼ及び便トリプシン濃度が健常対照群に比して低下している。(4)血糖値が健常対照群に比して上昇している。(5)肝細胞内に脂肪沈着及び風船様膨化が観察される。 本発明のモデル動物は、物理的な構造上、自然に治癒されないという特徴を有することから、慢性膵炎や糖尿病の治療用及び/又は予防用薬剤のスクリーニング、慢性膵炎や糖尿病に対する薬物の薬効判定、再生医療における評価等に好適に利用することができる。 本発明の慢性膵炎や糖尿病の治療用及び/又は予防用薬剤のスクリーニング方法としては、本発明のモデル動物に被検物質を投与する工程と、慢性膵炎や糖尿病に対する改善効果を評価する工程とを備えた方法であれば特に制限されず、上記被検物質としては、特に制限はない。例えば、天然化合物、有機化合物、無機化合物、タンパク質、ペプチドなどの単一化合物、並びに、化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物を挙げることができる。 また、本発明の慢性膵炎や糖尿病の改善に対する薬効評価方法としては、本発明のモデル動物に被検薬物を投与する工程と、慢性膵炎や糖尿病に対する改善効果を評価する工程とを備えた方法であれば特に制限されず、上記被検薬物としては、新規に開発された膵外分泌機能を改善する消化酵素製剤や、血糖値を低下させる糖尿病の治療薬を挙げることができる。 被検物質や被検薬物の投与方法は特に制限されないが、例えば、経口的に、又は注射等により行うことができるが、好ましい投与法としては、口腔からの経口摂取を挙げることができる。また、被検物質がタンパク質である場合には、例えば、該タンパク質をコードする遺伝子を有するウイルスベクターを構築し、その感染力を利用して、本発明のモデル動物へ該遺伝子を導入することも可能である。 慢性膵炎に対する改善効果の評価は、モデル動物由来試料における血清リパーゼ濃度、血清トリプシン濃度、便リパーゼ濃度、便トリプシン濃度等の生化学的検査値や、PFD試験(膵外分泌機能検査)の検査値を、対照動物より採取した試料の検査値との比較を指標に判定することができる。また、糖尿病に対する改善効果を評価する方法としては、モデル動物由来試料における血糖値、HbA1c値等の生化学的検査値を、対照動物より採取した試料の検査値との比較を指標に判定する方法を挙げることができる。上記検査値を指標とした改善とは、モデル動物由来試料の検査値が、対照動物より採取した被検試料の検査値に近づいていくことをいう。 上記慢性膵炎や糖尿病に対する改善効果は、膵外分泌機能不全に対する改善効果ということができるから、膵外分泌機能不全に対する改善効果の評価、すなわち、上記慢性膵炎や糖尿病に対する改善効果の評価は、モデル動物の呈する病理所見を検討することにより、脂肪肝が改善しているか否かを指標に判定することができる。脂肪肝の病理所見は、例えば、肝組織において脂肪沈着を示す肝細胞の風船状腫大を例示することができる。ここでの改善とは、脂肪肝の症状が正常な状態へ回復している、あるいは、症状が緩和していることをいう。当業者であれば、本明細書に記載された病理所見を指標に、モデル動物について適宜脂肪肝の症状が改善しているか否かを判定することが可能である。 本発明の外分泌機能不全に対する膵再生療法の評価方法としては、本発明のモデル動物に、膵再生療法を目的とした細胞又は臓器を移植する工程と、膵外分泌機能不全に対する改善効果を評価する工程とを備えた方法であれば特に制限されず、上記細胞や臓器としては、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、間葉系幹細胞等の多能性幹細胞や、かかる多能性幹細胞から膵臓に分化した人工臓器などを挙げることができる。また、膵外分泌機能不全に対する改善効果を評価する方法としては、前記慢性膵炎や糖尿病に対する改善効果を評価する方法や膵外分泌機能不全に対する改善効果を評価する方法を挙げることができる。 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。1.膵外分泌機能不全ラットの作製1−1 作製用動物 14週齢、体重350gのWistarラット(日本クレア株式会社、東京、日本)に以下の方法で手術し、モデル動物を作製した。1−2 麻酔・消毒・開腹 実験動物麻酔装置(株式会社シナノ製作所、東京、日本)によるイソフルレン1.5〜2%の持続吸入にてラットに全身麻酔をかけた。術野を動物用バリカンと除毛クリームにより除毛し、5%ヒビテン(登録商標)液(大日本住友製薬、大阪、日本)で消毒した。手術体位は仰臥位(腹を上、背中を下とする手術体位)とし腹壁を正中切開にて開腹した。1−3 手術工程 手術操作はまず、幽門(胃と十二指腸との境界)から約1mm肛門側の十二指腸を腸管軸に垂直に切離した(図1B)。次いでトライツ靱帯(十二指腸と空腸の境界)から約1cm肛門側の近位空腸を切離した(図1B)。この操作により十二指腸と、口側もしくは肛門側からの消化管との連続を絶った状態になった。十二指腸の口側切断端は5−0吸収糸による全層連続縫合(消化管は粘膜、筋層、漿膜という層構造で形成されるが、この手法は消化管壁の全ての層を一括に糸を掛け、その一本の糸を使って連続で腸管壁を閉鎖する手法である)で閉鎖した。 トライツ靱帯の約1cm肛門側で切離した肛門側の空腸の切断端、つまり小腸・大腸・直腸と連続する消化管の空腸切断端を結腸の腹側で挙上して、幽門から約1mmで切離した十二指腸の胃側の切断端(胃幽門部に連続した十二指腸の断端)と、5−0吸収糸による全層連続吻合(糸を消化管の全ての層に一括で掛け、消化管同士をつなぎ合わせる手法)を行った(図1C)。この操作により、経口摂取され口・食道・胃を通過した食物は、胆汁・膵液の分泌される十二指腸を経ずして空腸に流入し、その後回腸・結腸・直腸・肛門と通過することになった。 食物の通過経路から隔絶された十二指腸の肛門側切断端(十二指腸に連続した空腸の断端)と、腸間膜対側に約2mmの切開を行った直腸との端側吻合を、5−0吸収糸を用いた全層連続縫合にて行った(図1C)。この操作により、本来であれば十二指腸に分泌され、小腸にて消化吸収に関わる胆汁・膵液が、食物の消化吸収に関与しない直腸に流入することになった。 続いて胆汁を小腸内に流入させるため、総胆管と空腸の吻合を次のように行った。十二指腸空腸吻合部より約3cm肛門側の小腸の腸間膜対側よりポリエチレンチューブ(PE50, 日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、東京、日本)を腸管内腔に刺入し、続いて刺入部より約1cm口側の腸間膜対側の小腸壁を貫通させ腸管外に誘導した。肝十二指腸間膜にて総胆管を同定し、これを切離し、小腸内腔を通したポリエチレンチューブの先端を肝臓側へ約1cm挿入した。ポリエチレンチューブを挿入した部位より約5mm肝臓側の総胆管を5−0吸収糸にて結紮し、総胆管内のポリエチレンチューブを固定した。固定に使用した吸収糸をそのまま用いて、ポリエチレンチューブの小腸壁貫通部に巾着縫合(貫通部周囲を巾着のように囲むように糸を掛ける)を行い、総胆管の固定に用いて糸を結紮することで、総胆管空腸吻合を施行した(図1C)。ポリエチレンチューブの刺入部の小腸壁欠損部は結節縫合にて閉鎖した。この操作により、肝臓より分泌された胆汁は十二指腸を経由することなく小腸に流入することになり、食物の消化吸収に関わることになった。また膵臓より十二指腸に分泌された膵液は小腸を通らず、経口摂取された食物とも接触することなく直腸に流入する経路となった。 直腸には食物の消化吸収機能はなく、直腸内容物は糞便として肛門より排泄されるため、経口摂取された食物は膵液による消化吸収を受けることなく排泄され、膵外分泌機能が廃絶した状態と同様の生理機能を示すモデルとなる。比較対照群として単開腹のみをおいた同一週齢のラットを使用した。2.膵外分泌機能の評価2−1 サンプル回収 術後1か月にラットに全身麻酔をかけ、尾静脈より血液サンプルを200μL回収した。その後、正中切開にて開腹し、膵臓と肝臓を摘出し、犠死せしめた。その際、十二指腸直腸吻合、胃空腸吻合、総胆管空腸吻合が保たれていることが確認された。血液は2μLのヘパリンを添加の上6000rpm、20分間遠心し、血清を回収し、リパーゼ及びトリプシン測定用に使用した。膵臓及び肝臓は10%ホルマリン液に入れ、24時間4℃で固定した。固定後、パラフィン包埋し、切片スライドを作製する。組織標本はヘマトキシリン−エオジン染色し、組織所見を評価した。2−2 評価項目 作製した動物モデルの膵外分泌機能の評価は、術後1か月に消化不良に伴う体重減少及び下痢の有無、膵外分泌機能を反映するマーカーである血清リパーゼ・トリプシン濃度、膵外分泌機能低下に伴う肝組織所見にて行った。2−3 術後1か月の腹腔内所見 術後1か月でラットを全身麻酔下で開腹し、腹腔内所見を評価した。小腸直腸吻合(図2A)、十二指腸空腸吻合及び総胆管空腸吻合(図2B)はいずれも破綻することなく保たれていた。手術操作による軽度の腸管癒着はあるものの腸閉鎖所見(腸内容が排出されない状態)は見られず、感染の存在を疑わせるような膿瘍(膿み)形成も認められなかった。2−4 体重変化 術前の体重が350gに対し、295gと低下していた。同一週齢ラットの体重が396−440gであり、著明な体重減少である。2−5 便の性状 膵外分泌機能低下ラットの便は泥状であった。一方、対照群のラットの便は通常の硬便であった。2−6 血清リパーゼ、トリプシン濃度 リパーゼは膵液に含まれる脂肪の消化酵素、トリプシンは同じく膵液のみに含まれるタンパク消化酵素で、いずれも膵外分泌機能の良い指標である。血清リパーゼ及びトリプシンの濃度はそれぞれリパーゼキットS(DSファーマバイオメディカル株式会社、大阪、日本)、トリプシン(E)[S](株式会社TFB、東京、日本)で測定した。結果は、膵外分泌機能低下ラットでは血清リパーゼ濃度が11.5 IU/L(国際単位)、血清トリプシン濃度が9.3 ng/mL、対照群ラットでは血清リパーゼ濃度が19.1−30.3 IU/L、血清トリプシン濃度が14.5 ng/mLと膵外分泌機能不全ラットにおいて低下の傾向を示した(図3A,B)。また、小腸の腸液内容(膵外分泌機能不全ラットでは膵液の流入がない場所である)は、膵外分泌機能低下ラットではリパーゼ濃度が76.4 IU/L、トリプシン濃度が92.6 ng/mLであったのに対し、対照群ラットではリパーゼ濃度が1749.3−1827.2 IU/L、トリプシン濃度が406.6−1080.6 ng/mLであった(図3C,D)。本手法で作製したラットモデルは膵外分泌機能が著明に低下していた。2−7 耐糖能評価 膵外分泌機能とは直接関係しないが、膵機能の評価項目として膵内分泌機能の指標である血糖値も術後1か月に測定した。血液サンプルは尾静脈より採取し、アセンシアブリーズ2(バイエル薬品株式会社、東京、日本)で測定した。膵外分泌機能不全ラットの血糖値は153mg/dL、対照群ラットでは115−119mg/dLと膵外分泌機能不全ラットに上昇の傾向が認められた。2−8 組織学的検討 膵外分泌機能低下に伴う肝組織所見とは、肝細胞内の脂肪沈着及び肝細胞の風船状腫大を示す。膵外分泌機能不全ラットの肝像の組織所見であるが、肝細胞の風船状腫大が認められた(図4A)。一方、対照群ラットではこのような所見は認められなかった(図4B)。膵臓に関しては、膵組織は両群ともによく保たれており、線維化や膵ランゲルハンス島の脱落などは認められなかった。 本発明は、糖尿病や脂肪肝といった種々の病態が進行していく、膵外分泌機能不全モデル動物の提供が期待される他、膵切除術後の膵外分泌機能低下における全く新規の治療法・治療薬剤、バイオマーカー、更には膵移植法の開発にも貢献することが期待される。1 総胆管2 総胆管切離3 十二指腸切離4 空腸切離5 十二指腸空腸吻合6 総胆管空腸吻合7 小腸直腸吻合胃幽門部と空腸、又は、胃幽門部に連続した十二指腸の一部と空腸とが吻合され、食物が十二指腸に流入することなく、空腸に直接流入し;十二指腸と直腸、又は、十二指腸に連続した空腸の一部と直腸とが吻合され、膵液が空腸に流入することなく、直腸に直接流入し;及び、総胆管と空腸とが細径チューブを介して吻合され、胆汁が十二指腸に流入することなく、空腸に直接流入する;非ヒト動物からなることを特徴とする膵外分泌機能不全モデル動物。胃幽門部に連続した十二指腸の一部と空腸とが吻合され、十二指腸に連続した空腸の一部と直腸とが吻合され、及び、総胆管と空腸とが細径チューブを介して吻合されていることを特徴とする請求項1記載の膵外分泌機能不全モデル動物。非ヒト動物がラットであることを特徴とする請求項1又は2記載の膵外分泌機能不全モデル動物。以下の工程(a)〜(e)を備えた外科的処置を非ヒト動物に施すこと特徴とする膵外分泌機能不全モデル動物を作製する方法。(a)胃幽門部と膵液が流入する十二指腸部との間の十二指腸を切断する工程;(b)十二指腸と空腸の境界であるトライツ靭帯から肛門側の近位空腸を切断する工程;(c)上記工程(a)により生じた胃幽門部に連続した十二指腸の断端と、上記工程(b)により生じた空腸の断端とを吻合する工程;(d)上記工程(a)により生じた十二指腸の口側断端を閉鎖し、上記工程(b)により生じた十二指腸に連続した空腸の断端を直腸切開部に吻合する工程; (e)上記工程(c)により形成された空腸の口側に細径チューブの一端を挿入し、切断された肝臓側の総胆管に前記細径チューブの他端を吻合する工程;以下の工程(a)及び(b)を備えたこと特徴とする慢性膵炎の治療用及び/又は予防用薬剤のスクリーニング方法。(a)請求項1〜3のいずれかに記載の膵外分泌機能不全モデル動物へ被検物質を投与する工程;(b)慢性膵炎に対する改善効果を評価する工程;以下の工程(a)及び(b)を備えたこと特徴とする糖尿病の治療用及び/又は予防用薬剤のスクリーニング方法。(a)請求項1〜3のいずれかに記載の膵外分泌機能不全モデル動物へ被検物質を投与する工程;(b)糖尿病に対する改善効果を評価する工程;以下の工程(a)及び(b)を備えたこと特徴とする薬物の慢性膵炎の改善に対する薬効評価方法。(a)請求項1〜3のいずれかに記載の膵外分泌機能不全モデル動物へ被検薬物を投与する工程;(b)慢性膵炎に対する改善効果を評価する工程;以下の工程(a)及び(b)を備えたこと特徴とする薬物の糖尿病の改善に対する薬効評価方法。(a)請求項1〜3のいずれかに記載の膵外分泌機能不全モデル動物へ被検薬物を投与する工程;(b)糖尿病に対する改善効果を評価する工程;以下の工程(a)及び(b)を備えたこと特徴とする外分泌機能不全に対する膵再生療法の評価方法。(a)請求項1〜3のいずれかに記載の膵外分泌機能不全モデル動物に、膵再生療法を目的とした細胞又は臓器を移植する工程;(b)膵外分泌機能不全に対する改善効果を評価する工程; 【課題】膵切除後の耐糖能低下及びインスリン抵抗性から、慢性膵炎、糖尿病となるモデル動物の作製技術を提供すること。【解決手段】(a)胃幽門部と膵液が流入する十二指腸部を切断する工程;(b)十二指腸と空腸の境界であるトライツ靭帯から肛門部側の近位空腸を切断する工程;(c)上記(a)の工程による肛門側切切断端を閉鎖し、上記(b)の工程による空腸の肛門側切切断端と上記(a)の工程による十二指腸の胃側切切断端を吻合する工程[十二指腸空腸吻合];(d)上記(b)の工程による空腸の十二指腸側切切断端を直腸切開部に接続吻合する工程[小腸直腸吻合];(e)胆嚢と十二指腸を結ぶ導管である総胆管に挿管を施し(c)の小腸部に接続吻合する[総胆管空腸吻合]工程;を備える。【選択図】なし