生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_水素の分析方法
出願番号:2012223915
年次:2014
IPC分類:G01N 30/88,G01N 30/64,G01N 30/26


特許情報キャッシュ

三木 雄輔 中川 克広 JP 2014077648 公開特許公報(A) 20140501 2012223915 20121009 水素の分析方法 大陽日酸株式会社 000231235 木戸 一彦 100086210 木戸 良彦 100128358 三木 雄輔 中川 克広 G01N 30/88 20060101AFI20140404BHJP G01N 30/64 20060101ALI20140404BHJP G01N 30/26 20060101ALI20140404BHJP JPG01N30/88 BG01N30/64 ZG01N30/26 AG01N30/88 G 2 1 OL 7 本発明は、水素の分析方法に関し、詳しくは、ヘリウム単独のガスあるいはヘリウムを含む混合ガス中に微量に含まれている水素の濃度を分析する方法に関する。 各種ガス中に含まれている水素ガスの濃度を測定するための分析器として、酸化スズなどの金属酸化物を検出素子とした半導体センサを検出器として用いた可燃性ガス測定用のガスクロマトグラフが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特開2000−96854号公報 特許文献1に記載された分析器では、窒素、酸素、アルゴンなどに不純物として含まれる水素を0.1ppm以下の感度で測定することが可能であるが、測定するガスの中にヘリウムが含まれていると、前記半導体センサにおけるヘリウム特有の負側のピークが水素のピークに干渉するため、微量な水素の分析が困難であった。また、水素とヘリウムとを完全に分離できるようにカラムを長くしたり、カラムの温度を下げたりすることも行われているが、従来の一般的なガスクロマトグラフに比べて分析に長時間を要するという問題があった。 そこで本発明は、ヘリウムを含むガス中に微量に存在する水素を高感度で測定することができる水素の分析方法を提供することを目的としている。 上記目的を達成するため、本発明の水素の分析方法は、ヘリウムを含む測定対象ガス中に不純物として存在する水素の濃度を、金属酸化物を検出素子とした半導体センサを検出器として用いた可燃性ガス測定用のガスクロマトグラフで測定する方法において、前記ガスクロマトグラフのキャリアガスとして、ヘリウムと酸素とを混合したヘリウム/酸素混合ガスを用いることを特徴としている。 特に、本発明の水素の分析方法は、前記ヘリウム/酸素混合ガスにおける酸素の混合量が15〜35体積%の範囲であることを特徴としている。 本発明の水素の分析方法によれば、キャリアガス中の酸素が検出素子のセンサ部に吸着することにより、還元性を有する水素の検出が可能になるとともに、キャリアガス中のヘリウムにセンサ部が常に接触した状態になっているため、ヘリウムがセンサ部に接触している状態がベースとなり、ヘリウムのピークの発生を抑えることができる。 したがって、分析によって発生するピークが、測定対象ガス中に含まれている水素のピークと、この水素のピークに影響を及ぼさない他の成分のピーク、例えばキャリアガス中の酸素のピークとになる。これにより、ヘリウムのピークに干渉されない水素のピークを高感度で得ることができる。また、分離カラムを長くしたり、温度を低くしたりしなくてもよいことから、従来の一般的なガスクロマトグラフと同程度の時間で分析を行うことができる。実施例1で使用したガス分析装置の説明図である。実施例1の実験1で得られたピークを示す図である。実施例1の実験2で得られたピークを示す図である。実施例1の実験3で得られたピークを示す図である。実施例1の実験4で得られたピークを示す図である。実施例1の実験5で得られたピークを示す図である。実施例1の実験6で得られたピークを示す図である。実施例1の実験6で得られたピークの要部を示す図である。実施例1で作成した検量線を示す図である。 本発明の水素の分析方法における分析対象ガスは、ヘリウム単独のガスあるいはヘリウムを含む混合ガスであって、例えば、ヘリウムのバルクガス中に微量に含まれる不純物水素の分析に好適である。使用する分析装置は、金属酸化物を検出素子とした半導体センサを検出器として用いた可燃性ガス測定用のガスクロマトグラフであって、装置構成は、一般の可燃性ガス測定用のガスクロマトグラフと同様に構成できるが、一般の可燃性ガス測定用のガスクロマトグラフでは、半導体センサに酸素を吸着させる必要があることから、キャリアガスとして簡便な空気を使用するのに対し、本発明では、ヘリウムと酸素とを混合したヘリウム/酸素混合ガスをキャリアガスとして用いる。 ヘリウム/酸素混合ガスにおけるヘリウムと酸素との混合割合は、分析対象ガスの組成や不純物水素の想定濃度によって適宜設定することが可能であるが、ヘリウム/酸素混合ガスにおける酸素の混合量(濃度)を、15〜35体積%の範囲に設定することにより、水素分析における感度や精度の向上を図ることができる。このとき、ヘリウム/酸素混合ガスにおける酸素の混合量が15体積%を下回ると、検出素子のセンサ部に十分な量の酸素が吸着せず、水素を検出できなくなってしまうおそれがある。また、酸素の混合量が35体積%を上回ると、酸素のピークが大きくなって水素のピークに干渉するおそれがある。 すなわち、可燃性ガス測定用のガスクロマトグラフに用いられる半導体センサは、該半導体センサのセンサ部に吸着した酸素量が、測定対象の還元性ガス(本発明では水素)によって変化することでセンサ部の導電率が変化することを測定原理としているため、センサ部に十分に均一な状態で酸素を吸着させる必要がある。一方、可燃性ガス測定用のガスクロマトグラフでは、キャリアガスとの誘電率の差によってクロマトグラム中にピークが溶出するため、このピークを除去するには、分析対象ガス中のヘリウム濃度に、キャリアガス中のヘリウム濃度を近付けることが望ましい。分析対象ガスがヘリウムのバルクガスの場合は、分析対象ガスのほぼ全てがヘリウムであるから、キャリアガス中のヘリウム濃度をできるだけ高くすることが望ましく、センサ部に吸着させるのに必要な酸素量を考慮してヘリウム/酸素混合ガスにおけるヘリウムと酸素との混合割合を適切に設定すべきである。 このように、ヘリウム中の微量水素を分析する際に、適度な混合割合のヘリウム/酸素混合ガスをキャリアガスとして用いることにより、キャリアガス中のヘリウムがセンサ部に常に接触した状態になるため、ヘリウムがセンサ部に接触している状態がベースとなり、水素のピークの前に出現するヘリウムのピークの発生を抑えることができる。また、ヘリウム/酸素混合ガス中の酸素濃度を適度に設定することにより、水素の分析に必要な量の酸素をセンサ部に十分に吸着させておくことができる。 図1に示す構成の分析装置を使用して実験を行った。この分析装置は、キャリアガス導入経路11,流量調節器12,流量計13,計量管14及び試料ガス導入部15を含む六方切替弁16,分離カラム17及び分析器18を備えるもので、分析器18の検出器には、酸化スズを検出素子とした半導体センサを使用している。また、キャリアガス導入経路11には、ヘリウムのバルクガス中の不純物水素を分析する場合にキャリアガスとして用いるヘリウムと酸素との混合割合の最適範囲を決定するため、圧力調節弁21a、22a及び流量調節器21b,22bを介して酸素ボンベ21とヘリウムボンベ22とを接続できるようにしている。なお、この分析装置を使用した試料ガス(分析対象ガス)の分析手順は、従来から行われている一般的な手順で行うことができるので、詳細な説明は省略する。また、各実験は、キャリアガス及び分析対象ガスが異なる以外、全て同じ条件で行った。 まず、この分析装置の性能を確認するため、キャリアガス導入経路11に空気ボンベ(図示せず)を接続し、キャリアガスとして空気を使用した状態で、分析対象ガスとして、水素濃度が0ppm,0.5ppm,1ppmにそれぞれ調整した窒素(実験1)、酸素(実験2)及びアルゴン(実験3)の分析を行った。窒素中の水素を分析した結果を図2に、酸素中の水素を分析した結果を図3に、アルゴン中の水素を分析した結果を図4に、水素濃度0ppmが線A,同じく0.5ppmが線B,同じく1ppmが線Cとしてそれぞれ示す。これらの結果から、窒素、酸素及びアルゴンのピーク(NP,OP,AP)は、水素のピーク(HP)より後に出現し、水素のピーク高さを容易に特定することができるので、窒素、酸素、アルゴン中の水素の検出下限及び感度は、それぞれ0.01ppm以下であることがわかる。 また、同様に、空気をキャリアガスとして使用した状態で、水素濃度を0ppm,0.1ppm,0.5ppm,1ppmに調整したヘリウムを分析した(実験4)。その結果を、水素濃度0ppmが線A,同じく0.1ppmが線B,同じく0.5ppmが線C,同じく1ppmが線Dとして図5に示す。この図5に示す結果から、ヘリウムのピーク(HeP)は水素のピーク(HP)の直前に負側に出現し、水素のピークに一部が干渉するため、ヘリウム中の水素の検出下限は0.1ppm程度、感度は0.5ppmであること がわかる。 次に、キャリアガス導入経路11に酸素ボンベ21とヘリウムボンベ22とを接続し、流量調節器21b,22bで各流量を調整することにより、ヘリウムと酸素との混合割合を任意に設定できるようにした。そして、ヘリウムと酸素との体積比での混合割合を、He:O2が60:40,65:35,70:30,75:25,80:20,85:15,90:10にそれぞれ調整したキャリアガスを使用し、1ppmの水素を含むヘリウムの分析を行った。その結果を、60:40が線A,65:35が線B,70:30が線C,75:25が線D,80:20が線E,85:15が線Fとして図6に示す(実験5)。 この結果から、水素のピーク(HP)の後に酸素の負側のピーク(OP)が現れたが、水素のピークの前にヘリウムのピークは現れなかった。また、He:O2を60:40としたキャリアガスを用いた場合は、キャリアガス中の酸素量が多いため、水素のピーク(HP)が出現する位置に酸素の負側の大きなピークが現れてしまい、水素のピークを特定することができなかった。一方、He:O2を90:10としたキャリアガスを用いた場合は、半導体センサへの酸素の吸着が不十分となり、水素を検出することができなかった(図6に線の記載無し)。 この実験5の結果から、ヘリウム中に微量に含まれている不純物水素を分析する際には、キャリアガスにおけるヘリウムと酸素との混合割合は、体積比で、He:O2が65:35から85:15の範囲、すなわち、キャリアガスとして使用するヘリウム/酸素混合ガスにおける酸素の混合量は、15〜35体積%の範囲が適していることがわかる。 そこで、ヘリウムと酸素との混合割合を、体積比で、He:O2が80:20に調整したヘリウム/酸素混合ガスをキャリアガスに使用し、水素濃度を0ppm,0.05ppm,0.1ppm,0.5ppm,1ppmに調整したヘリウムを分析した(実験6)。その結果を、0ppmが線A,0.05ppmが線B,0.1ppmが線C,0.5ppmが線D,1ppmが線Eとして図7に、水素のピークの要部を拡大して図8にそれぞれ示す。また、この実験6の結果から得た検量線を図9に示す。 この結果から、水素のピーク(HP)の直前にヘリウムのピーク(HeP)はほとんど現れず、分析に必要な水素のピークの高さを十分に得ることができ、水素のピークの後に現れる酸素のピーク(OP)は、水素のピークに干渉することなく、水素のピークを確実に特定することができる。さらに、図8からは、0ppm(線A)と0.05ppm(線B)との差異を十分に認識することができるので、ヘリウム中の水素の分析感度が、キャリアガスとして空気を使用した場合の0.5ppmから0.05ppmに向上していることがわかる。また、分析手順は、空気をキャリアガスとして使用し、窒素や酸素などのヘリウム以外のガスに含まれる水素を分析するのと同じ手順で行うことができ、分析に要する時間も同程度であるから、ヘリウム中の水素の分析を効率よくかつ短時間で確実に行うことができる。 11…キャリアガス導入経路、12…流量調節器、13…流量計、14…計量管、15…試料ガス導入部、16…六方切替弁、17…分離カラム、18…分析器、21…酸素ボンベ、22…ヘリウムボンベ、21a、22a…圧力調節弁、21b,22b…流量調節器 ヘリウムを含む測定対象ガス中に不純物として存在する水素の濃度を、金属酸化物を検出素子とした半導体センサを検出器として用いた可燃性ガス測定用のガスクロマトグラフで測定する方法において、前記ガスクロマトグラフのキャリアガスとして、ヘリウムと酸素とを混合したヘリウム/酸素混合ガスを用いる水素の分析方法。 前記ヘリウム/酸素混合ガスにおける酸素の混合量は、15〜35体積%の範囲である請求項1記載の水素の分析方法。 【課題】ヘリウムを含むガス中に微量に存在する水素を高感度で測定することができる水素の分析方法を提供する。【解決手段】ヘリウムを含む測定対象ガス中に不純物として存在する水素の濃度を、金属酸化物を検出素子とした半導体センサを検出器として用いた可燃性ガス測定用のガスクロマトグラフで測定する方法において、前記ガスクロマトグラフのキャリアガスとして、ヘリウムと酸素とを混合したヘリウム/酸素混合ガスを用いる。ヘリウム/酸素混合ガスにおける酸素の混合量は、15〜35体積%の範囲であることが好ましい。【選択図】図1


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