タイトル: | 公開特許公報(A)_経口投与用液体医薬組成物 |
出願番号: | 2012218661 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 31/137,A61K 47/22,A61K 9/08,A61K 47/42,A61K 47/10,A61P 11/10,A61P 11/14 |
林 忠紘 JP 2014070055 公開特許公報(A) 20140421 2012218661 20120928 経口投与用液体医薬組成物 小林製薬株式会社 000186588 山田 威一郎 100156845 立花 顕治 100124039 田中 順也 100124431 林 忠紘 A61K 31/137 20060101AFI20140325BHJP A61K 47/22 20060101ALI20140325BHJP A61K 9/08 20060101ALI20140325BHJP A61K 47/42 20060101ALI20140325BHJP A61K 47/10 20060101ALI20140325BHJP A61P 11/10 20060101ALI20140325BHJP A61P 11/14 20060101ALI20140325BHJP JPA61K31/137A61K47/22A61K9/08A61K47/42A61K47/10A61P11/10A61P11/14 9 OL 16 4C076 4C206 4C076AA11 4C076BB01 4C076CC15 4C076DD22Z 4C076DD23Z 4C076DD37T 4C076DD61T 4C076EE41T 4C076FF52 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA31 4C206KA01 4C206MA02 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA36 4C206MA72 4C206NA09 4C206ZA62 4C206ZA63 本発明は、ブロムヘキシン及び/又はその塩による苦味がマスキングされた経口投与用液体医薬組成物に関する。 ブロムヘキシンやその塩は、インド産の生薬であるAdhatoda vasicaの有効成分を基礎として開発された薬理活性成分であり、通常はブロムヘキシン塩酸塩の形態で用いられる。ブロムヘキシンには気道における漿液性分泌物を増加させて痰を出しやすくする作用があり、去痰効果を有していることから、呼吸器疾患の去痰を目的として、風邪、喉荒れ、咳等の症状に対して有効とされている。また、ブロムヘキシン塩酸塩を、他の鎮咳去痰薬、気管支拡張薬、消炎酵素薬、抗炎症薬等と併用して、総合感冒薬に用いられることもある。 医薬品は、有効成分の種類や、適用される患者の年齢等に応じて種々の剤型に調製されるが、鎮咳去痰薬については服用が比較的容易であるという観点から液剤が好まれる傾向にある。しかし、ブロムヘキシンには強い苦味があり、特に液状製剤として調製された場合には苦味が更に強調されてしまう。そこで、ブロムヘキシンに由来する苦味をマスキングするために様々な検討がなされてきた。その一つとして、ブロムヘキシンにショ糖を配合する方法が挙げられる。しかしながら、ブロムヘキシンに由来する強い苦味をマスキングするためには多量のショ糖を要するため、苦味のマスキングと甘味のバランスを保つことが難しく、過剰な甘みによって却って服用感が損なわれるという問題を生じていた。また、多量のショ糖を配合することによって糖分やカロリーが高くなるという問題もあった。ブロムヘキシンの苦味をマスキングする技術としては、他に、マルチトール、エリスリトール、ソーマチン等の甘味料とブロムヘキシン塩酸塩を組合せて配合する方法が知られている(例えば特許文献1〜3を参照)。しかしながら、これらの技術はいずれもブロムヘキシン塩酸塩の含有量が0.1重量%以下である場合に有効であり、より高濃度のブロムヘキシン塩酸塩を含有する医薬組成物においては十分な苦味のマスキング効果を実現することは困難であった。 適度な甘味の範囲で目的薬物の苦味をマスキングするためには、1回当たりの投与量中におけるブロムヘキシンの濃度を低減する方法が考えられる。しかしながら、有効成分の濃度を低減させ、且つ薬効を得ようとすると、必然的に液剤の投与量や投与回数が多くなり、患者の負担を増す結果となっている。また、1回投与量が多いと製品のサイズも大きくなってしまい、製品の携帯性が悪く、外出先などで服用することが難しいという新たな問題が生じていた。 液剤の服用の利便性を高める手段としては、吐出装置を備えた容器を利用する方法がある(例えば、特許文献4)。このような容器は、携帯性にも優れ、外出先での服用も容易であることから、前述の液剤の問題を解決するために有用である。しかし、このような装置を利用して服用する場合には、吐出量が制限されることから、薬液を濃縮する必要があり、ブロムヘキシンを含有する液剤の場合にはより優れた苦みのマスキング技術が必要となる。 以上のような背景から、ブロムヘキシンを比較的高濃度で含有しながらも苦味が効果的にマスキングされ、服用性に優れた液体医薬組成物が求められていた。特開昭63−313725号公報特開平10−36292号公報特開平10−306038号公報特開2007−277125号公報 本発明は、ブロムヘキシン及び/又はその塩による苦味がマスキングされた経口投与用液体医薬組成物を提供することを主な課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ブロムヘキシン及び/又はその塩とアセスルファムカリウムとを組合せて配合した経口投与用の液体医薬組成物は、苦味が効果的にマスキングされることを見出した。また、本発明者らは、前記組成に更にアスパルテームやモノテルペンを配合することによってより一層優れた苦味のマスキング効果が得られることを見出した。更に、このような液体医薬組成物は、口腔内に直接射出して服用する場合に適した処方であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果完成されたものである。 即ち、本発明は下記態様の経口投与用液体医薬組成物及び医薬製品を提供する。項1.(A)ブロムヘキシン及び/又はその塩と、(B)アセスルファムカリウムを含む経口投与用液体医薬組成物であって、前記(A)成分の含有量が0.05重量%以上であり、且つ前記(B)成分の配合割合が(A)成分1重量部に対して0.1重量部以上である、前記経口投与用液体医薬組成物。項2.前記(A)成分の含有量が0.05〜2重量%である、項1に記載される経口投与用液体医薬組成物。項3.更に、(C)アスパルテームを含有する、項1又は2に記載される経口投与用液体医薬組成物。項4.更に、(D)モノテルペンを含有する、項1〜3のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物。項5.前記モノテルペンがメントールである、項1〜4のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物。項6.前記(C)成分の配合割合が(A)成分1重量部に対して0.1〜1重量部である、項1〜5のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物。項7.前記(D)成分の含有量が0.0025〜0.025重量%である、項1〜6のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物。項8.鎮咳去痰用である、項1〜7のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物。項9.項1〜8のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物が、吐出装置を備えた容器に収容されてなる医薬製品。 本発明によれば、ブロムヘキシン及び/又はその塩を0.05重量%以上という高濃度で含有しながらも効果的に苦味がマスキングされて、服用しやすい経口投与用液体医薬組成物が提供される。しかも、本発明の医薬組成物は、アセスルファムカリウムによりブロムヘキシンの苦味がマスキングされているのみならず、過剰な甘味を感じさせることがなく、苦味と甘味のバランスが保たれた良好な服用感を呈する。また、従来液状の医薬製品は、容器から計量カップなどに移してから服用するのが一般的であるが、本発明の医薬組成物は吐出装置を備えた容器に入れて持ち歩くことができ、服用時に計量する必要もないことから携帯性、服用の利便性にも優れ、衛生的に保管することが可能である。本発明の医薬組成物は、苦味が効果的にマスキングされていることから、このような吐出装置を備えた容器から、液滴として口腔内に噴出しても苦味を感じにくく、良好な服用感を呈する。1.経口投与用液体医薬組成物 本発明の経口投与用液体医薬組成物は、(A)ブロムヘキシン及び/又はその塩と、(B)アセスルファムカリウムを含み、前記(A)成分の含有量が0.05重量%以上であり、且つ前記(B)成分の配合割合が(A)成分1重量部に対して0.1重量部以上であることを特徴とする。本明細書において、本発明の経口投与用液体医薬組成物を「本発明の医薬組成物」又は「液体医薬組成物」と略記することがある。(A)成分:ブロムヘキシン及び/又はその塩 ブロムヘキシンは、鎮咳去痰作用を有する公知の化合物である。本発明においてはブロムヘキシンの塩を(A)成分として同様に使用することができる。ここで、塩としては、硫酸塩、塩酸塩、炭酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等有機酸塩が挙げられ、好ましくは無機酸塩、更に好ましくは塩酸塩が挙げられる。本発明においては、商業的に入手可能なブロムヘキシン及び/又はその塩を使用することができる。 本発明においては、(A)成分として前記ブロムヘキシン及びその塩から1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 本発明の医薬組成物中の(A)成分の含有量は0.05重量%以上であり、好ましくは、0.05〜2重量%、より好ましくは0.05〜1重量%、更に好ましくは0.05〜0.5重量%、より一層好ましくは0.05〜0.2重量%が挙げられる。このような濃度で(A)成分を含有する液体医薬組成物は、通常では服用の際に強い苦味が感じられるが、本発明においては、後述する(B)成分を組合せて配合することにより苦味が効果的にマスキングされ服用感が損なわれることがない。(B)成分:アセスルファムカリウム アセスルファムカリウムは、高甘味度甘味料として公知の化合物である。本発明においては、商業的に入手可能なアセスルファムカリウムを使用することができる。 アセスルファムカリウムの配合割合は、前記(A)成分1重量部に対して0.1重量部以上であり、好ましくは、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部が挙げられる。(A)成分に対してアセスルファムカリウムを前記割合で配合することにより、更に優れた苦味のマスキング効果が発揮される。また、このような範囲でアセスルファムカリウムを配合することにより、液体医薬組成物の苦味と甘味のバランスを良好に保つことができ、本発明の医薬組成物の服用感をより一層向上させることができる。 また、本発明の医薬組成物中のアセスルファムカリウムの含有量は、0.005〜0.1重量%、好ましくは0.005〜0.075重量%、更に好ましくは0.01〜0.075重量%が挙げられる。(C)成分:アスパルテーム 本発明の医薬組成物は、更にアスパルテームを含有してもよい。アスパルテームを配合することにより、より一層優れた苦味のマスキング効果を得ることができる。アスパルテームは、高甘味度甘味料として公知の化合物である。本発明においては、商業的に入手可能なアスパルテームを使用することができる。 アスパルテームの配合割合は、前記(A)成分1重量部に対して0.05〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部が挙げられる。また、本発明の医薬組成物中のアスパルテームの含有量は、0.005〜0.2重量%、好ましくは0.005〜0.1重量%、更に好ましくは0.005〜0.075重量%が挙げられる。アスパルテームの含有量を前記範囲とすることにより、効果的な苦味のマスキングが実現される。(D)成分:モノテルペン 本発明の医薬組成物は、更にモノテルペンを含有してもよい。モノテルペンを配合することにより、より一層優れた苦味のマスキング効果を得ることができる。 テルペンとは、イソプレノイド又はテルペノイドとも称され、通常、イソプレン単位(炭素数5)が複数個結合した化合物である。モノテルペンは、2個のイソプレン単位を含む構造を有している。 モノテルペンとして、具体的には、リモネン、メントン、ピネン、メントール、ゲラニオール、リナロール、チモール、ボルネオール、ペリルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、カンフル、シネオール等が例示され、好ましくはメントールが挙げられる。 本発明においては、モノテルペンに光学異性体が存在する場合は、d体、l体、dl体のいずれを用いてもよい。をまた、前記モノテルペンを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 本発明の医薬組成物中のモノテルペンの含有量は、0.0025〜0.025重量%、好ましくは0.0025〜0.02重量%、更に好ましくは0.005〜0.02重量%が挙げられる。モノテルペンの含有量を前記範囲とすることにより、(A)成分に由来する苦味のマスキング効果をより一層高めることができる。また、前記範囲内であれば、テルペノイドによって口腔内に過剰な刺激や収斂感を与えるおそれがなく良好な服用感を付与することができる。好ましい態様 本発明の医薬組成物は、上記(A)〜(D)成分に加え、液状の経口投与用医薬組成物において通常使用される、薬学的に許容される担体、添加剤等と共に経口用の液剤として調製される。 担体としては、経口投与用の液体医薬組成物において通常使用されるものを用いることができ、特に限定されないが、例えば水(イオン交換水、蒸留水、精製水等)、生理食塩水等が挙げられる。本発明において、これらの担体の含有量は、上記(A)〜(D)成分及びその他の任意成分以外の残部に相当するように調整される。 添加剤としては、矯味剤、防腐剤、保存剤、着香剤、芳香剤、清涼化剤、界面活性剤、可溶化剤、乳化剤、溶剤、緩衝剤、懸濁剤、粘稠剤、着色剤、安定化剤、溶解補助剤、pH調整剤、甘味剤等が挙げられる。 矯味剤としては、例えば酸味剤(例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸およびそれらの可食性塩等)、果汁等が挙げられる。防腐剤或いは保存剤としては、例えば安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、パラベン類(例えばパラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル等)等が挙げられる。着香剤、芳香剤、清涼化剤としては、例えばオレンジ油、メントール、各種フレーバー(例えばストロベリーフレーバー、チェリーフレーバー、オレンジフレーバー、アップルフレーバー、レモンフレーバー、グレープフレーバー、コーヒーフレーバー、ブラックティーフレーバー、ビターフレーバー、ハーブミントフレーバー、チョコレートフレーバー、薬味酒フレーバー等)等が挙げられる。界面活性剤、可溶化剤、乳化剤或いは溶剤としては、例えばショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリソルベート80、グリセリン、D−ソルビトール液、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール類(例、マクロゴール400)、注射用蒸留水等が挙げられる。緩衝剤としては例えばリン酸、乳酸、酢酸、炭酸およびそれらの可食性塩、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。懸濁剤或いは粘稠剤としては、例えばアラビアゴム、結晶セルロース、ビーガム、キサンタンガム、ゼラチン、メトロースおよびその可食性塩、カルメロースおよびその可食性塩等が挙げられる。着色剤には例えばカラメル、β−カロチン、各種食用色素(食用黄色1号、食用赤色2号等)等が挙げられる。本発明に配合される安定化剤には例えばエデト酸の可食性塩、塩化ナトリウム、ピロ亜硫酸の可食性塩等が挙げられる。溶解補助剤には例えばシクロデキストリンやアルギニン等が挙げられる。 pH調整剤としては、フタル酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸、炭酸やそれらのカリウム塩、ナトリウム塩又はアンモニウム塩、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。本発明の医薬組成物のpHは、口腔内及び人体に安全性上問題ない範囲であれば特に限定されるものではないが、例えば本発明の医薬組成物1gを25℃100mLの水に溶解させた場合のpHが3.0〜6.0が挙げられる。本発明の医薬組成物は、必要に応じて前記pH調整剤を使用して当該範囲に調整され得る。 また、本発明の医薬組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で上記(B)及び(C)成分以外の甘味剤を含有していてもよい。甘味剤としては、例えば、ステビアエキス、カンゾウエキス、サッカリンナトリウム等が挙げられる。これらの甘味剤の配合量は、例えば、0.0001〜1重量%、好ましくは0.0001〜0.5重量%、更に好ましくは0.005〜0.1重量%が挙げられる。 本発明の医薬組成物中の添加剤の含有量は、含有される各成分の量や担体、添加剤の種類等に応じて適宜設定され得るが、添加剤の総量として1〜50重量%が挙げられる。 また、本発明の医薬組成物は、上記有効成分の効果を損なわない範囲で、鎮咳薬、気管支拡張薬、去痰薬、消炎薬、解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、殺菌剤等の薬理活性成分を更に含んでいてもよい。 鎮咳薬としては、例えば、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、メサドン、モルヒネ、オキシメテバノール、塩酸アロクラミド、塩酸クロペラスチン、クエン酸ペントキシベリン、クエン酸チペピジン、ジブナートナトリウム、臭化水素酸デキストロメトルファン、デキストロメトルファンフェノールフタリン酸、ヒベンズ酸チペピジン、フェンジゾ酸クロペラスチン、ノスカピン、マオウ、ナンテンジツ、クロフェジアノール、レボプロポキシフェン、ホミノベン、オキセラジン、ペントキシベリン、ベンプロベリン、ジメモルファン、ジブナート、エプラジノン、カルベタペンタンおよびイソアミニル等が挙げられる。 気管支拡張薬としては、例えば、α−アドレナリン受容体刺激剤(例えば、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、フェニレフリン、ノルエピネフリン、メトキサミン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、クロニジンなど)、β−アドレナリン受容体刺激剤(例えば、塩酸トリメトキノール、塩酸メトキシフェナミン、dl−塩酸メチルエフェドリン、チラミン、エフェドリン、メチルエフェドリンサッカリネート、アンフェタミン、メタンフェタミン、メトキシフェナミン、オルシプレナリン、クロルプレナリン、イソプロテレノール、ドパミン、ドブタミン、イソプレナリン、サルブタモール、テルブタリン、ヘキソプレナリン、ツロブテロール、フェノテロール、プロカテロール、ピルブテロール、クレンブテロール、マブテロール、ホルモテロール、サルメテロールなど)、キサンチン誘導体(例えば、アミノフィリン、ジプロフィリン、テオフィリン、プロキシフィリン、キサンチン、テオブロミン、ペントキシフィリンなど)またはその塩、抗コリン剤(例えば、ダツラエキス、ベラドンナアルカロイド、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスなど)および副交感神経遮断剤(例えば、ヨウ化イソプロパミド、イプラトロピウム、フルトロピウム、オキシトロピウムなど)等が挙げられる。 去痰薬としては、例えば、塩化アンモニウム、アンモニア・ウイキョウ精、塩化リゾチーム、塩酸エチルシステイン、塩酸メチルシステイン、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、クレゾールスルホン酸カリウム、塩酸アンブロキソール、L−カルボシステイン、フドステイン等が挙げられる。 消炎薬としては、例えば、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、アズレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。 解熱鎮痛薬としては、例えば、アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリン、エテンザミド等が挙げられる。 抗ヒスタミン薬としては、例えば、塩酸イソチペンジル、塩酸イプロヘプチン、塩酸ジフェテロール、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸プロメタジン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸フェネタジン、テオクル酸ジフェニルピラリン、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩、マレイン酸カルビノキサミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジフェテロール等が挙げられる。 殺菌剤としては、例えば、塩化セチルピリジウム、塩化デカリニウム、塩酸クロルヘキシジン等が挙げられる。 本発明の医薬組成物中の薬理活性成分の含有量は、含有される各成分の量や担体、薬理活性成分の有効量等に応じて適宜設定され得るが、薬理活性成分の総量として0.0001〜10重量%が挙げられる。 本発明の医薬組成物は、0.05重量%以上という高濃度で(A)成分であるブロムヘキシン及び/又はその塩を含有することから、ブロムヘキシンによる優れた鎮咳去痰作用を発揮することができる。即ち、本発明の医薬組成物は、好ましくは総合感冒薬、鎮咳去痰、鼻炎用内服薬、解熱鎮痛薬等の用途に用いられ、特に鎮咳去痰用として有用である。 本発明の医薬組成物の1日当たりの服用量は、(A)成分による効果が得られる限り特に限定されず、当該医薬組成物中に含有される有効成分の量、患者の年齢、症状の程度等に応じて適宜決定され得る。1日の投与回数および投与時の便宜性の観点から、1日当たりの服用量は、例えば5〜100mL、好ましくは5〜60mL、更に好ましくは5〜15mLが挙げられる。本発明の医薬組成物は、有効成分である(A)成分を高濃度で含有することを特徴とするため、比較的少量の服用にて必要な有効成分量を摂取することができる。 本発明の医薬組成物の1日当たりの服用回数は前述の1日当たりの服用量によって適宜変更され得るが、例えば1日1〜10回、好ましくは3〜6回が挙げられる。本発明の医薬組成物は、有効成分を高濃度で含有することから、頻回投与による患者の負担を軽減することができる。2.医薬製品 本発明は、吐出装置を備えた容器に前記液体医薬組成物が収容されてなる医薬製品を提供する。このような医薬製品において、吐出装置から液体医薬組成物が口腔内の舌上又はその周辺に直接的又は非直接的に射出されることにより投与が行われる。ここで、舌上又はその周辺には、例えば、歯列、歯肉、頬、および口腔底などが含まれ、当該個所に射出して服薬することにより、液体医薬組成物の液滴の気管や肺への流入が防止され、安全に経口投与を行うことができる。本発明の医薬製品において好ましくは、液体医薬組成物は舌上に射出されて投与される。 本発明の医薬製品において、吐出装置は、当該吐出装置の噴出口を閉塞させるように弾性力で付勢され、液体医薬組成物の吐出時に弾性力に抗して移動することにより当該噴出口を開状態とする、弁部材を備えるものであってもよい。 即ち、本発明の医薬製品において、容器は液体医薬組成物を収容する収容部及び吐出装置を含み、収容部に収容された液体医薬組成物を吐出装置へ送ることが可能なように構成されている。また、前記吐出装置には、外からの圧力や容器内の加圧等に応じて開閉可能に構成されている弁部材が備えられている。従って、容器の所定箇所に圧力を加えることによって、弁部材が開いて収容部内部の液体医薬組成物が吐出可能となる。また、容器の所定箇所に圧力が加えられていない場合には弁部材が閉じられ、液体医薬組成物の漏出が回避されるように構成されている。 また、前記吐出装置はポンプを備えるものであっていてもよい。更に、当該ポンプは、容器内に垂設したシリンダと、下端部に筒状ピストンを有し上方付勢させて前記シリンダ内から起立させたステムを含んでいてもよく、前記ステムの押し下げにより前記ステム側の上方弁と前記シリンダ側の下方弁との間の内部空間に貯留されている液体の圧力が高まって、液体医薬組成物が当該上方弁を通過してステム上方に設けた吐出部の噴出口から吐出され、前記ステムの上昇により前記容器内の液体を前記下方弁を通過して前記シリンダ内に吸い上げるように構成されていてもよい。 本発明の医薬製品において吐出装置としては、いわゆるトリガータイプの吐出装置、いわゆるプッシュポンプタイプの吐出装置等を挙げることができる。また、より具体的には、例えば、特開2002−326054号公報、特開2001−171764号公報、特開2004−359242号公報、特開2004−359241号公報、特開2004−359238号公報、特開2004−352343号公報、特開2004−352333号公報などに記載されている吐出装置を使用することができる。 本発明における吐出装置の他の態様としては、例えば、特開2004−834号公報に記載されている押下ヘッドを有する吐出装置が挙げられる。本発明において、このような押下ヘッドを含む吐出装置を使用することにより、容器に収容される液体医薬組成物を外気と接触させないことによって変質の防止することができる。また、このような構造の吐出装置によれば、液だれを防止することができるため衛生的に継続使用が可能である。また、液体医薬組成物の切れをよくすることもできるため、吐出される液体医薬組成物の量の変動を抑制することができる。 本発明の医薬製品において、1度の射出による吐出装置からの吐出量は特に限定されないが、例えば0.03〜3mL、好ましくは0.1〜2mL、更に好ましくは0.3〜1mLである。ここで「1度の射出吐出装置からの射出量」は、例えば、プッシュポンプタイプの吐出装置であれば1プッシュで吐出口から吐出される液体医薬組成物の量を指す。また、他の態様の吐出装置(例えばトリガータイプの吐出装置等)を使用する場合であっても、前記プッシュポンプタイプにおいて1プッシュで吐出される液体医薬組成物の量に基づいて所望の吐出量の液体医薬組成物が吐出されるように吐出口等を設計すればよい。 また、射出時の液滴の粒子は、気管および肺への流入防止の観点から一定以上の粒子径を有する方が好ましく、例えば100〜5500μm、好ましくは100〜3600μm、更に好ましくは100〜1600μmが挙げられる。液滴の粒子径は吐出装置のノズルの選択または噴射口付近の流路の構成などによって適宜調整することができる。 本発明に用いられる容器は、通常、液体医薬組成物の容器として使用されるものであれば特に限定されず、例えば、褐色の遮光ガラス容器等を使用することができる。 このような吐出装置を備えた容器としては、例えば特開2007−277125号公報に開示される容器が好適な例として挙げられる。 このような容器に本発明の医薬組成物を収容する場合の当該医薬組成物の粘度は、吐出装置から定量的に射出することが可能な限り特に限定されないが、例えば、0.8〜500cP、好ましくは0.9〜100cP、より好ましくは1.00〜50.0cP、更に好ましくは1.00〜25cP、特に好ましくは1.00〜2.5cPが挙げられる。ここで、本発明の医薬組成物の粘度は、B型粘度計(例えば、ブルック フィールド社製 デジタル粘度計DV−II+)を用い、25℃の条件下でULアダプターにて測定される値である。 本発明の医薬製品は、上記構成を採用することによって、簡便且つ正確に計量された薬量を投与することができる。また、従来苦味の強い液体医薬組成物を口腔内に液滴として噴霧するとより一層苦味が強調されるため服用が極めて困難であった。しかし、本発明の医薬組成物は、ブロムヘキシンの苦味が効果的にマスキングされ、苦味と甘味のバランスの良い服用性に優れたものであり、前述のような容器に収容されて口腔内に液滴状で射出して投与された場合であっても不快な苦味を感じることがないように調製されている。また、本発明の医薬組成物においては、有効成分であるブロムヘキシンが高濃度で含有されていることから、1回あたりの服用量が少量でよく、容器のサイズも小さく設計することができる。従って、本発明の医薬製品は携帯性や服用の利便性にも優れたものである。 以下に実施例等を示し、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されない。 下表2〜8に示される成分を精製水に混和し、均一に溶解させて各処方の液体医薬組成物を調製した。液体医薬組成物のpHは、塩酸又は水酸化ナトリウムを使用してpH4.5に設定した。成人男女10名のパネラーにより各組成の液体医薬組成物の苦味及び甘味について官能評価を実施した。評価は、各液体医薬組成物10mlを20秒間口に含み、下記評価基準に従って行った。結果を表2〜8に示す。(評価基準)(甘味)0:甘くない1:わずかに甘い2:やや甘い3:甘い4:非常に甘い(苦味)0:苦くない1:わずかに苦い2:やや苦い3:苦い4:非常に苦い 上記評価基準に基づいて得られた甘味及び苦味評価の総合得点を各処方の甘味評価点・苦味評価点とした。甘味評価点が30点未満であれば、経口投与用の液体医薬組成物として甘すぎないことを示す。また、苦味評価点が30点未満であれば、苦味のマスキング効果が得られていることを示す。(甘味評価)× 甘味評価点30点以上○ 甘味評価点30点未満(苦味評価)× 苦味評価点30点以上○ 苦味評価点20点以上30点未満◎ 苦味評価点10点以上20点未満★ 苦味評価点10点未満 なお、甘味料によるマスキング効果を正確に評価するため、下表1に示される甘味度に基づいて各処方中の甘味度が等しくなるように甘味料の配合量を調整した。 また、ブロムヘキシン塩酸塩及びl−メントールとして下記製品を使用した。ブロムヘキシン塩酸塩:日本薬局方ブロムヘキシン塩酸塩(渡辺ケミカル株式会社)l-メントール:日本薬局方L−メントール(長岡実業株式会社) 表2に示される参考例1及び2と比較例1〜3の結果を比較すると、ブロムヘキシン塩酸塩を0.05重量%以上含有する液体医薬組成物は、苦味評価点がいずれも30点以上であり、苦味が非常に強く服用の際に問題となることが明らかとなった。なお、従来の経口投与用の液体医薬組成物に配合されるブロムヘキシン塩酸塩の量は0.01〜0.02重量%が一般的である。 表3に示されるように、ブロムヘキシン塩酸塩を0.05重量%含む苦味の強い液体医薬組成物にステビア、グリチルリチン、ソーマチン、スクラロース、又はアスパルテームを配合したところ、これらの甘味料の場合、苦味のマスキング効果が得られないことが示された(比較例4〜13)。また、マスキング作用の増強を期待して甘味料の濃度をあげた場合、苦味のマスキング効果が得られないばかりか、甘味が強くなりすぎて、却って服用性を低下させる結果となった(比較例9、11及び13)。更に、本発明の(C)成分であるアスパルテームや(D)成分であるl−メントール単独では苦味のマスキング効果は得られないことが示された(比較例12、13及び15)。また、本発明の(B)成分であるアセスルファムカリウムを配合する場合、ブロムヘキシン塩酸塩1重量部に対して0.06重量部では苦味のマスキング効果が得られないことが示された(比較例14)。 表4より、ブロムヘキシン塩酸塩を0.05重量%含有する場合であっても、アセスルファムカリウムをブロムヘキシン塩酸塩1重量部に対して0.1重量部以上配合した場合には苦味が効果的にマスキングされることが示された。また、アセスルファムカリウムの場合は配合量を多くしても甘味が強くなりすぎて服用性が低下することもなかった。 更に、ブロムヘキシン塩酸塩1重量部に対してアセスルファムカリウムを0.1〜5重量部含む場合にはより一層優れた苦味のマスキング効果が発現された。特に、ブロムヘキシン塩酸塩1重量部に対してアセスルファムカリウムを0.1〜1重量部含む場合には、更に顕著な苦味のマスキング効果が得られた。 表5〜7より、ブロムヘキシン塩酸塩とアセスルファムカリウムに加えて(C)成分アスパルテーム及び/又は(D)成分l−メントールを配合することによって、苦味のマスキング効果をさらに増強することができた(実施例10〜29)。特に、(A)〜(D)成分の全てを含む場合には、より一層顕著な苦味のマスキング効果が発揮され、甘味とのバランスも良好であった(実施例23〜29)。 また、ブロムヘキシン塩酸塩1重量部に対してアスパルテームを0.1〜1重量部含む場合に優れた苦味のマスキング効果が得られた(実施例10〜15)。更に、液体医薬組成物中にl−メントールを0.005〜0.02重量%含む場合にはより一層苦味のマスキング効果が高められた(実施例16〜19)。処方例 下表8に示される処方の経口投与用の液体医薬組成物(1日あたりの用量9ml)を調製した。具体的には、各成分を精製水と混和し、均一に溶解させた後、塩酸又は水酸化ナトリウムを使用してpH4.5に調整することで液体医薬組成物を調製した。下記処方の組成物について苦味及び甘味の官能評価を行ったところ、苦味が効果的にマスキングされ、甘味のバランスも良好な液体医薬組成物であった。更に、このような液体医薬組成物を吐出装置を備えた容器に収容した医薬製品は、服用の利便性や携帯性に優れるものであった。 (A)ブロムヘキシン及び/又はその塩と、(B)アセスルファムカリウムを含む経口投与用液体医薬組成物であって、前記(A)成分の含有量が0.05重量%以上であり、且つ前記(B)成分の配合割合が(A)成分1重量部に対して0.1重量部以上である、前記経口投与用液体医薬組成物。 前記(A)成分の含有量が0.05〜2重量%である、請求項1に記載される経口投与用液体医薬組成物。 更に、(C)アスパルテームを含有する、請求項1又は2に記載される経口投与用液体医薬組成物。 更に、(D)モノテルペンを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物。 前記モノテルペンがメントールである、請求項1〜4のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物。 前記(C)成分の配合割合が(A)成分1重量部に対して0.1〜1重量部である、請求項1〜5のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物。 前記(D)成分の含有量が0.0025〜0.025重量%である、請求1〜6のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物。 鎮咳去痰用である、請求項1〜7のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物。 請求項1〜8のいずれかに記載される経口投与用液体医薬組成物が、吐出装置を備えた容器に収容されてなる医薬製品。 【課題】本発明は、ブロムヘキシン及び/又はその塩による苦味がマスキングされた経口投与用液体医薬組成物を提供することを主な課題とする。【解決手段】上記課題は、(A)ブロムヘキシン及び/又はその塩を0.05重量%以上含有する医薬組成物において、前記(A)成分1重量部に対して0.1重量部以上の(B)アセスルファムカリウムを配合する事により解決される。【選択図】なし