タイトル: | 公開特許公報(A)_コラーゲンゲル収縮活性、ヒト皮膚線維芽細胞増殖活性およびヒアルロン酸産生活性を有する抗菌活性ポリペプチドを含有するスキンケア剤。 |
出願番号: | 2012215415 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 8/64,A61K 38/00,A61P 17/00,A61P 17/10,A61Q 19/00,A61Q 19/08 |
森下 竜一 冨岡 英樹 天満 昭子 田村 奈緒 齋藤 佳巳 JP 2013129648 公開特許公報(A) 20130704 2012215415 20120928 コラーゲンゲル収縮活性、ヒト皮膚線維芽細胞増殖活性およびヒアルロン酸産生活性を有する抗菌活性ポリペプチドを含有するスキンケア剤。 アンジェスMG株式会社 500409323 森下 竜一 冨岡 英樹 天満 昭子 田村 奈緒 齋藤 佳巳 JP 2011255579 20111122 A61K 8/64 20060101AFI20130607BHJP A61K 38/00 20060101ALI20130607BHJP A61P 17/00 20060101ALI20130607BHJP A61P 17/10 20060101ALI20130607BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20130607BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20130607BHJP JPA61K8/64A61K37/02A61P17/00 101A61P17/10A61Q19/00A61Q19/08 10 OL 10 4C083 4C084 4C083AD412 4C083CC03 4C083EE12 4C083EE14 4C084AA02 4C084AA03 4C084BA01 4C084BA08 4C084BA18 4C084CA59 4C084DA42 4C084MA17 4C084MA22 4C084MA28 4C084MA43 4C084NA14 4C084ZA89 4C084ZB35 本発明は、優れたコラーゲンゲル収縮活性、ヒト皮膚線維芽細胞増殖活性およびヒアルロン酸産生活性を有する抗菌活性ポリペプチドを含有するスキンケア剤に関する。 皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層に主に分けられる。真皮は皮膚構造の維持に極めて重要であり、コラーゲンなどの繊維により強固かつ柔軟性のある真皮結合組織を形成している。コラーゲンなどの結合組織の線維を構成するタンパク質は、線維芽細胞により合成および分解されている。つまり結合組織の状態はコラーゲン等の線維と相互作用することで線維芽細胞によりコントロールされている。 通常、線維芽細胞培養条件下で線維芽細胞をコラーゲンゲル中に埋包して培養するとコラーゲンゲルは収縮する。すなわちコラーゲンゲルの強度が増している。このコラーゲンゲルの収縮は、細胞数や培地中の血清量によっても異なり、ゲル中の線維芽細胞数が多いほど、培地中の血清量が多いほど顕著になる。しかし、線維芽細胞の存在しない培養下や浮遊性細胞を用いた培養下ではコラーゲンゲルの収縮は全く起こらず、強度も変化しない。このコラーゲンゲルの埋包培養は一般に真皮結合組織のモデルとされている(非特許文献1)。 皮膚の老化に関しては、コラーゲンゲルの埋包培養実験において、老齢者由来の線維芽細胞埋包培養と若年者由来線維芽細胞埋包培養とを比較すると、前者の細胞においては後者の細胞よりコラーゲンゲルの収縮が低下していることが報告されており、老化によりゲルの収縮能が低下することが明らかとなっている(非特許文献2)。この状態は、コラーゲンゲルの収縮能が低下することで真皮結合組織を若いころのように収縮させて、引き締まった状態に維持することが困難になっていることを示している。実際に、老化に伴い頬や首筋、腕等の皮膚に若い頃にはあまり認められなかったタルミが生じることは周知の事実である。このタルミは皮膚の真皮結合組織が収縮力を失い、さらには強度や弾力性を失うことで生じると考えられる。従ってコラーゲンゲルの収縮能を高めることで、皮膚のしわやタルミを改善する効果を発揮すると報告されている(特許文献1および2)。 コラーゲンゲル収縮能だけでなく、線維芽細胞増殖活性およびコラーゲン産生活性を有するものがいくつか報告がなされており、ポリペプチドとしてはEGFやbFGFが知られている。またこれらと同等の活性を持つものとしてラクトフェリン(乳清)も知られており(特許文献3)、これらを有効成分としたスキンケア効果を持つ組成物が提供されている。しかし格段にスキンケア効果の優れた有効成分は見出されておらず、新しい有効成分の発見が求められている。特許第4225588号特開2008-133256特開2001-39850J.Invest.Dermatol., 1983. 81, 2SMech. AgeingDev., 1993. 67, 149 本発明の目的は、優れたコラーゲンゲル収縮活性、ヒト皮膚線維芽細胞増殖活性およびヒアルロン酸産生活性を有する抗菌活性ポリペプチドのスキンケア剤を提供することである。 抗菌活性を持つペプチドに着目して、コラーゲン収縮活性があることを見出し、さらにヒト皮膚線維芽細胞増殖活性およびヒアルロン酸産生がペプチドにより増強されることを見出して、本発明に至った。 すなわち、本発明は、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、コラーゲンゲル収縮促進剤。(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、線維芽細胞増殖促進剤。(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、ヒアルロン酸産生促進剤。(4)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、抗アクネ菌剤。(5)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、シワ改善・抑制剤。(6)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、皮膚のたるみ・はり改善剤。(7)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、皮膚引き締め剤。(8)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、ニキビの予防・治療・改善剤。(9)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、皮膚外用剤。(10)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、皮膚化粧料。に関する。 本発明により、優れたヒト皮膚線維芽細胞増殖活性、ヒアルロン酸産生活性および収縮活性を有するポリペプチドが提供された。さらにこのポリペプチドを有効成分とする用途が提供された。ポリペプチドのヒト皮膚線維芽細胞増殖作用を示す図である。ポリペプチドのヒアルロン酸産生およびヒト皮膚線維芽細胞増殖作用を示す図である。 本明細書において、「ポリペプチド」と「ペプチド」の用語は同義に用いられる。 本発明のスキンケア剤の有効成分であるポリペプチドは、市販のペプチド合成機を用いた化学合成等の定法により容易に製造することができる。 なお、本発明のスキンケア剤の有効成分であるポリペプチドは、いずれも新規機能をもつ既知の抗菌活性物質である。 本発明のポリペプチドは、優れた線維芽細胞増殖活性、ヒアルロン酸産生活性およびコラーゲンゲル収縮活性を有するので、皮膚細胞に対する細胞増殖活性および収縮活性を促すスキンケア剤として用いることができる。 スキンケア剤としての使用方法は公知のポリペプチド系のスキンケア剤と同様であり、ローション、クリーム、パック、ゲル、乳剤、バルサム、軟膏、液剤、粉剤、またはその他の局所的もしくは内部的に適用可能な形態で適用される。 以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。1.抗菌活性の測定「最小発育阻止濃度(minimuminhibitory concentration : MIC)を以下の通り測定した。MICは菌の発育が阻止される最小の薬剤濃度であり、抗菌剤の効力、菌の感受性の強さなどの指標として用いられ、その濃度以上であれば生育できないという濃度である。この測定方法は日本化学療法学会またはCLINICAL AND LABORATORY STANDARD INSTITUTE(CLSI)が標準法として定める方法に従って測定されるが、ここではCLSIが2007年1月に発行した「M100-S17/M7-A7」(Performance Standards for AntimicrobialSusceptibility Testing : Seventeenth Informational Supplemen、Vol. 27 No.1)に準拠し、微量液体希釈法で測定した。すなわちマイクロタイタープレートあるいは試験管を用いて、薬剤感受性試験を行った。(方法) 菌株にはアクネ菌(Propionibacterium acnes)、大腸菌(Escherichiacoli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcusaureus)、緑膿菌(Pseudomonasaeruginosa)を用いた。 各菌株を液体培地で4〜6時間培養した後、A600における吸光度を測定した。McFarland#0.5にしたがって、ミューラー・ヒントン・ブロス(Mueller-Hintonbroth : MHB)で希釈した。各菌株を1.0×105 CFU/mL(最終濃度)程度になるように添加した。配列番号1に記載のポリペプチドを任意の濃度に調整し、さらにそこから段階希釈を行った。各濃度段階のペプチドを分注したマイクロタイタープレートあるいは試験管に各菌株を添加した。このプレートあるいは試験管を37℃で20時間培養し、各菌株の生育が阻止された最小の濃度を最小生育阻止濃度(MIC)とした。結果を表1に示す。(結果) 表1に示されるように、本発明のポリペプチドは、アクネ菌への抗菌活性を持ち、優れた抗菌活性を示した。2.コラーゲンゲル収縮アッセイ(FloatingMatrix Contraction Assay(FMC)(方法)室温にて24ウェルプレートを2%BSA/PBSでコーティングし、37℃、5% CO2インキュベーター内で静置しておく。使用前にこのプレートをPBSで洗い、乾燥を防ぐためにPBSを添加しておく。使用時にPBSを吸引除去し、2.0×106 cells/mLとなるように調整した正常ヒト新生児包皮皮膚線維芽細胞(NHDF(NB))とコラーゲン溶液との混合液500 μLを24ウェルプレートの各ウェルに播種した。37℃、5% CO2インキュベーター内で1時間培養後、培地で各濃度に調整した配列番号1に記載のポリペプチドを各ウェルに500 μLずつ添加した。無刺激には培地のみを各ウェルに500 μLずつ添加した。プレートを静かに揺らし、ゲルを浮遊させた後に37℃、5% CO2インキュベーター内に静置した。3日間培養後、コラーゲンゲルを撮影し、画像解析ソフトを用いて画像からコラーゲンゲルの面積を測定した。刺激開始時のゲル面積を191.0mm2(ウェル底の直径:15.6 mm2)とした。収縮率(%)は以下の計算式により算出した。(計算式)収縮率(%)=((無刺激時のゲル面積−ポリペプチド刺激時のゲル面積)/無刺激時のゲル面積)×100結果を表2に示す。(結果) 表2に示されるように、本発明のポリペプチドは、優れた収縮活性を示した。3.線維芽細胞増殖活性の測定(方法)0.5×104cells/well/100 μLとなるように調整した正常ヒト新生児包皮皮膚線維芽細胞(NHDF(NB))を、1% 血清含有培地で37℃、5% CO2インキュベーター内で約3時間培養後、同じ培地で各濃度に調整した配列番号1に記載のポリペプチドを各ウェルに100 μLずつ添加した。無刺激群には培地のみを各ウェルに100 μLずつ添加した。さらに約48時間培養後、Cell Counting Kit(WST-1)(商品名、同仁化学)により蛍光測定装置マルチラベルカウンター Wallac 1420 ARVOsx(商品名、PerkinElmer)を用いて細胞増殖を測定した。波長450 nm,620 nmの吸光度により測定値のO.D.450 −O.D.620を求め、この値から細胞を含まない空ウェルのO.D.450 − O.D.620の平均値を引いたものをNet O.D.450 とした。細胞増殖活性は無刺激のNet O.D.450に対するペプチド添加時の割合で評価した。結果を表3および図1に示す。(結果) 表3および図2に示されるように、本発明のポリペプチドは、優れた線維芽細胞増殖活性を示した。さらにポリペプチドの濃度依存的にその増殖活性は強まっていた。4.ヒアルロン酸産生量の測定と同時に行った線維芽細胞増殖活性の測定(方法)2×104 cells/well/500 μLとなるように調整した正常ヒト新生児包皮皮膚線維芽細胞(NHDF(NB))を1% FBS含有で増殖添加剤の含まれていないMedium106培地で37℃、5%CO2インキュベータ内で一晩培養した。同じ培地で各濃度に調整した配列番号1に記載のポリペプチドを500μLずつウェルに添加し、さらに37℃、5% CO2インキュベータ内で培養した。5日間培養後、培養上清を1.5mLチューブに回収し、15000rpm、4℃、5分間遠心後、上清を新しいチューブに回収した。この培養上清中のヒアルロン酸量をQnE Hyaluronic Acid (HA) ELISA Assay(商品名、Biotech Trading Partners, LLC)を用いて測定した。また同時に線維芽細胞増殖率をCellCounting Kit(WST-1)(商品名、同仁化学)を用いて測定した。培養上清を回収したウェルに、培地とWST-1を10:1で混合した液を500μLずつ加え、約2時間37℃、5% CO2インキュベータ内で静置した後、波長450 nm、620 nmの吸光度を測定した。各測定値のO.D.450- O.D.620を求め、測定ウェルのO.D.450 - O.D.620の値から細胞を含まない空ウェルのO.D.450 - O.D.620の平均値を引いたものをNet O.D.450 とした。細胞増殖率は配列番号1に記載のポリペプチド無添加のNet O.D.450に対する配列番号1に記載のポリペプチド添加時の割合(%)で評価した。結果を表4および図2に示す。(結果) 表4および図2に示されるように、本発明のポリペプチドは、優れたヒアルロン酸産生を示した。さらにポリペプチドの濃度依存的にそのヒアルロン酸産生量は増加していた。配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、コラーゲンゲル収縮促進剤。配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、線維芽細胞増殖促進剤。配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、ヒアルロン酸産生促進剤。配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、抗アクネ菌剤。配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、シワ改善・抑制剤。配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、皮膚のたるみ・はり改善剤。配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、皮膚引き締め剤。配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、ニキビの予防・治療・改善剤。配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、皮膚外用剤。配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、またはそのアミノ酸配列に対し95%以上の相同性を有するポリペプチドを有効成分とする、皮膚化粧料。 【課題】 抗菌活性を持ち、優れたコラーゲンゲル収縮活性、ヒト皮膚線維芽細胞増殖活性およびヒアルロン酸産生活性を有するポリペプチドが提供された。さらにこのポリペプチドを有効成分とするスキンケア剤が提供すること。【解決手段】 配列番号1で表されるアミノ酸配列から成るポリペプチド。【効果】 優れたコラーゲンゲル収縮活性、ヒト皮膚線維芽細胞増殖活性およびヒアルロン酸産生活性を有する抗菌活性ポリペプチドが提供された。さらにこのポリペプチドを有効成分とするスキンケア剤が提供された。【選択図】なし配列表