タイトル: | 公開特許公報(A)_テトラヒドロピラン−4−オン化合物の製法 |
出願番号: | 2012203814 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07D 309/30 |
恩塚 克孝 岩田 智親 柏木 公一 松浦 綱男 JP 2013032362 公開特許公報(A) 20130214 2012203814 20120918 テトラヒドロピラン−4−オン化合物の製法 宇部興産株式会社 000000206 恩塚 克孝 岩田 智親 柏木 公一 松浦 綱男 C07D 309/30 20060101AFI20130118BHJP JPC07D309/30 C 5 2006181969 20060630 OL 7 4C062 4C062BB47 本発明は、テトラヒドロピラン-4-オン化合物を製造する方法に関する。テトラヒドロピラン-4-オン化合物は、医薬・農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。 従来、テトラヒドロピラン-4-オール化合物からテトラヒドロピラン-4-オン化合物を製造する方法としては、例えば、テトラヒドロピラン-4-オールとクロロクロム酸ピリジニウムとを塩化メチレン中で反応させる方法やテトラヒドロピラン-4-オールとフッ素分子を反応させる方法が知られている(例えば、非特許文献1及び2参照)。しかしながら、これらの製法においては、取り扱いが難しく、毒性が高い酸化剤を使用しなければならず、テトラヒドロピラン-4-オン化合物の工業的な製法としては満足するものではなかった。J.Org.Chem.,50,2607(1985)Tetrahedron,53,15833(1997) 本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、温和な条件下、簡便な方法によって、テトラヒドロピラン-4-オール化合物から、テトラヒドロピラン-4-オン化合物を高収率で製造できる、工業的に好適なテトラヒドロピラン-4-オン化合物の製法を提供することにある。 本発明の課題は、一般式(1)(式中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す。)で示されるテトラヒドロピラン-4-オール化合物と次亜塩素酸金属化合物とを、有機カルボン酸中で反応させることを特徴とする、一般式(2)(式中、Rは、前記と同義である。)で示されるテトラヒドロピラン-4-オン化合物の製法によって解決される。 本発明により、温和な条件下、簡便な方法によって、テトラヒドロピラン-4-オール化合物から、テトラヒドロピラン-4-オン化合物を高収率で製造できる、工業的に好適なテトラヒドロピラン-4-オン化合物の製法を提供することができる。 本発明の反応において使用するテトラヒドロピラン-4-オール化合物は、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、Rは、水素原子又はアルキル基であり、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。 本発明の反応において使用する次亜塩素酸金属化合物としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられるが、好ましくは次亜塩素酸ナトリウムが使用される。なお、これらの次亜塩素酸金属化合物は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。 前記次亜塩素酸金属化合物の使用量は、テトラヒドロピラン-4-オール化合物1モルに対して、好ましくは0.9〜2.5モル、更に好ましくは1.0〜2.0モルである。 本発明の反応において使用する有機カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸等が挙げられるが、好ましくは酢酸が使用される。なお、これらの有機カルボン酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。 前記有機カルボン酸の使用量は、テトラヒドロピラン-4-オール化合物1モルに対して、好ましくは1.0〜25モル、更に好ましくは2.0〜15モルである。 本発明の反応は有機カルボン酸以外の溶媒の存在下又は非存在下において行われる。使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;N,N'-ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、シクロプロピルメチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル等のエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類が挙げられるが、好ましくはエーテル類、酢酸エステル類、更に好ましくはテトラヒドロフラン、酢酸エチルが使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。 前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、テトラヒドロピラン-4-オール化合物1gに対して、好ましくは0〜100ml、更に好ましくは0〜50ml、特に好ましくは0〜30mlである。 本発明の反応は、例えば、テトラヒドロピラン-4-オール化合物、次亜塩素酸金属化合物及び有機カルボン酸を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは0〜40℃、更に好ましくは0〜30℃であり、反応圧力は特に制限されない。 なお、最終生成物であるテトラヒドロピラン-4-オン化合物は、例えば、反応終了後、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。 次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。実施例1(テトラヒドロピラン-4-オンの合成) 攪拌装置、滴下漏斗及び温度計を備えた内容積300mlのガラス製容器に、テトラヒドロピラン-4-オール10.24g(100.3mmol)及び酢酸69.1gを加えた後、液温を21℃以下に保ちながら、13.1質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液68.4g(120.4mmol)をゆるやかに加えた後、攪拌しながら同温度で4.5時間反応させた。反応終了後、反応液に飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液1ml及び飽和食塩水50mlを加えた後、t-ブチルメチルエーテル100mlで6回抽出した。得られた抽出液に、水50ml、48質量%水酸化ナトリウム水溶液、20%炭酸ナトリウム水溶液の順で加えた後に、有機層を分離して硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、濾液を減圧下で濃縮した後、得られた濃縮物を減圧下で蒸留(82〜84℃、7.3kPa)し、テトラヒドロピラン-4-オン3.65gを得た(単離収率;36.3%)。実施例2(テトラヒドロピラン-4-オンの合成) 攪拌装置、滴下漏斗及び温度計を備えた内容積2Lのガラス製容器に、テトラヒドロピラン-4-オール110.3g(1.08mol)及び酢酸743.8gを加えた後、液温を30℃以下に保ちながら、13.1質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液734.5g(1.29mol)をゆるやかに加えた後、攪拌しながら同温度で2時間反応させた。反応終了後、16.7質量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液12gを加え、反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、テトラヒドロピラン-4-オンが93.5g生成していた(反応収率;86.5%)。実施例3(2-メチルテトラヒドロピラン-4-オンの合成) 攪拌装置、滴下漏斗及び温度計を備えた内容積100mlのガラス製容器に、2-メチルテトラヒドロピラン-4-オール5.0g(43.0mmol)及び酢酸34.8mlを加えた後、有効塩素量5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液40ml(56.4mmol)を室温にてゆるやかに加えた後、攪拌しながら同温度で1時間反応させた後、一晩放置した。更に、有効塩素量5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液20ml(28.2mmol)を加えて3時間反応させた。反応終了後、反応液に10質量%炭酸ナトリウム水溶液300ml及び飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液3mlを加えた後、塩化メチレン30mlで3回抽出した。得られた抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、減圧下で濃縮した。得られた濃縮物を減圧下で蒸留(65℃、2.7kPa)し、2-メチルテトラヒドロピラン-4-オン2.94gを得た(単離収率;60.0%)。 本発明は、テトラヒドロピラン-4-オール化合物から、テトラヒドロピラン-4-オン化合物を製造する方法に関する。テトラヒドロピラン-4-オン化合物は、医薬・農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。 一般式(1)(式中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す。)で示されるテトラヒドロピラン-4-オール化合物と次亜塩素酸金属化合物とを、有機カルボン酸中で反応させることを特徴とする、一般式(2)(式中、Rは、前記と同義である。)で示されるテトラヒドロピラン-4-オン化合物の製法。 次亜塩素酸金属化合物が、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム及び次亜塩素酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の次亜塩素酸金属化合物である請求項1記載のテトラヒドロピラン-4-オン化合物の製法。 【課題】テトラヒドロピラン-4-オール化合物から、テトラヒドロピラン-4-オン化合物を高収率で製造できる、テトラヒドロピラン-4-オン化合物の製造法の提供。【解決手段】式(1)(式中、Rは、水素原子等を示す。)で示されるテトラヒドロピラン-4-オール化合物と次亜塩素酸金属化合物を蟻酸等中で、反応させることによる、式(2)(式中、Rは、前記と同義である。)で示されるテトラヒドロピラン-4-オン化合物の製造法。【選択図】なし20121002A16333全文3 一般式(1)(式中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す。)で示されるテトラヒドロピラン−4−オール化合物、次亜塩素酸ナトリウム及び次亜塩素酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の次亜塩素酸金属化合物のみからなる混合物を、有機カルボン酸中で反応させることを特徴とする、一般式(2)(式中、Rは、前記と同義である。)で示されるテトラヒドロピラン−4−オン化合物の製法。 次亜塩素酸金属化合物の使用量が、テトラヒドロピラン−4−オール化合物1モルに対して0.9〜2.5モルである請求項1記載のテトラヒドロピラン-4-オン化合物の製法。 有機カルボン酸の使用量が、テトラヒドロピラン−4−オール化合物1モルに対して1.0〜25モルである請求項1〜2のいずれか1項に記載のテトラヒドロピラン−4−オン化合物の製法。 反応温度が0〜40℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載のテトラヒドロピラン−4−オン化合物の製法。 アルキル基がメチル基である請求項1〜4のいずれか1項に記載のテトラヒドロピラン−4−オン化合物の製法。