タイトル: | 公開特許公報(A)_DNAの状態を分析する分析装置及び方法 |
出願番号: | 2012190721 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | G01N 21/35 |
尾内 敏彦 JP 2013127451 公開特許公報(A) 20130627 2012190721 20120831 DNAの状態を分析する分析装置及び方法 キヤノン株式会社 000001007 加藤 一男 100086483 尾内 敏彦 JP 2011251796 20111117 G01N 21/35 20060101AFI20130531BHJP JPG01N21/35 Z 12 1 OL 9 2G059 2G059AA05 2G059BB12 2G059EE02 2G059EE12 2G059GG01 2G059GG03 2G059GG08 2G059HH01 2G059JJ14 2G059JJ17 2G059JJ22 2G059KK01 2G059LL01 2G059PP04本発明は、主にミリ波からテラヘルツ波領域(30GHz以上30THz以下)のテラヘルツ帯の高周波電磁波(以後、テラヘルツ波とも記す)を用いて、DNAなどの状態を分析、調整等する装置及び方法に関する。細胞内のクロマチン構造の観察、制御により、癌等の疾病を発見、治療する技術が研究、開発されている。DNAがヒストンに巻き付いた構造をクロマチンあるいはクロマチン構造という。クロマチンには、ヘテロクロマチンという固く巻き付いた状態と、ユークロマチンという緩んだ状態がある。遺伝子発現の際には、ユークロマチン状態のDNAの塩基配列から情報を読み取って、RNAが作られる。クロマチンの濃縮、粗大化、微細顆粒化などの異常は、細胞異常として癌の指標になるため、その状態を観察することは重要である。細胞内分子の観察方法に、蛍光色素でラベル化する方法は一般に用いられている。しかし、DNAやタンパク質はラベルの位置を制御することが難しい。また、ラベル化により、本来の生体分子の機能・性質が変化する場合がある。そこでラベルフリーで非侵襲なイメージング方法が望まれる。特許文献1には、光散乱方式のクロマチンの観測が開示されている。特許文献1では、光のみではSN比が十分でないため、超音波を利用している。すなわち、超音波を観察部位に照射し、超音波の振動成分が、組織の屈折率の変調成分として、取得する光信号に重畳する。その結果、同期検波により感度を向上させている。このような方法により、採取した生体組織の観察ではなく、in-vivo(生体のまま)観察が可能となる。ところで、生体組織を構成する分子の低周波領域いわゆるテラヘルツ帯(30GHz以上30THz以下)のスペクトルにより、分子の骨格振動に相当するエネルギーを分析することができる。よって、赤外分光で得られる分子内の或る原子同士の局所的な振動モードとは異なる情報を取得することができる。テラヘルツ帯のスペクトルは指紋スペクトルとも呼ばれ、特定分子の側鎖、官能基の状態、立体構造などに関する情報が取得でき、分子そのものを特定することが可能な物質がある。このようなテラヘルツ波を用いた分子分光については特許文献2に開示されているが、クロマチン構造を観察することはこれまでに開示がない。特開2007-216001号公報特開平10-90174号公報前記光散乱技術を用いたイメージングは組織の光学的屈折率の違いを見るものである。したがって、クロマチンの濃縮など大きな構造変化に基づく癌のイメージングを行うことができるが、クロマチンの緩みに由来する遺伝子発現のような微小変化をモニタリングすることは難しい。一方、テラヘルツ波を用いて分光する場合、組織における水分吸収(水分子による損失)や細胞膜における散乱の影響により、通常は、テラヘルツ帯の信号によりクロマチン構造のスペクトル情報を得ることは難しい。そこで、本発明の目的は、テラヘルツ波を用いてクロマチン構造の状態の分析ないし推定を行い、組織の状態の診断の支援などを可能にする技術を提供することである。本発明の分析装置は、クロマチン構造にテラヘルツ波を照射する照射手段と、クロマチン構造からのテラヘルツ波のスペクトル情報を得る検出手段と、クロマチン構造の状態に応じたテラヘルツ波のスペクトル情報を記憶している記憶手段と、検出手段で得られたスペクトル情報と記憶手段に記憶されたスペクトル情報を比較してクロマチン構造の状態を分析するデータ処理手段と、を有することを特徴とする。また、本発明の分析方法は、クロマチン構造にテラヘルツ波を照射する照射ステップと、クロマチン構造からのテラヘルツ波のスペクトル情報を得る検出ステップと、クロマチン構造の状態に応じたテラヘルツ波のスペクトル情報を記憶する記憶ステップと、検出ステップで得られたスペクトル情報と記憶ステップで記憶されたスペクトル情報を比較してクロマチン構造の状態を分析するデータ処理ステップと、を有することを特徴とする。本発明によれば、テラヘルツ波を用いた検出結果による分光情報と予め記憶された分光情報を比較することで、非侵襲でクロマチン構造の緩み、濃縮などの状態を取得する。よって、遺伝子発現の情報把握により細胞の活性状態検知、疾病の診断支援、組織培養の調整等を行うことができる。本発明のその他の側面については、以下で説明する実施の形態で明らかにする。本発明に係る分析装置及び方法の概念構成とクロマチン構造を説明する図。生体分子のメチル化の有無によるテラヘルツ帯スペクトルの違いの例を示す図。細胞サイズにより散乱テラヘルツ波の周波数特性が異なることを説明する図。本発明に係る分析装置及び方法の実施形態1の説明図。本発明に係る分析装置及び方法の実施形態2の説明図。本実施形態の特徴は、クロマチン構造の状態の違いによるテラヘルツ波のスペクトル情報を予め取得して記憶しておくことである。そして、組織にテラヘルツ波を照射して反射、散乱されたテラヘルツ波を検出し、その検出結果によるテラヘルツ波のスペクトル情報と記憶されたスペクトル情報を比較処理することでクロマチン構造の状態を分析ないし推定する。これにより、非侵襲で細胞内クロマチン構造等の状態の推定を行って組織の状態を分析する装置及び方法が実現できる。(実施形態1)図1はテラヘルツ波(周波数30GHz以上30THz以下)の生体組織への照射、反射について模式的に示したものである。照射手段であるテラヘルツ発生部1からのテラヘルツ波3は不図示の光学系を介して生体組織5の観察領域6に照射され、そこから反射、散乱などされたテラヘルツ波4を、検出手段であるテラヘルツ検出部2で検出する。照射領域は典型的には1mmφ程度であるが、集光系を調整すればこの径に限るものではない。生体組織は、照射領域6の拡大図のように細胞7と核8が複数集まって構成されていることは周知のことである。さらに、核8の内部にはDNA10が収納されているが、これはヒストン9に巻き付いた構造となっている。巻き付くことで長大なDNAが小さな核内に収められている。背景技術のところでの説明のように、この巻き付いた構造には、緩んだユークロマチン11の領域と、固く巻き付いたヘテロクロマチン12の領域がある。ユークロマチンの領域にはDNAの塩基配列を読み取れる部分があり、RNAに転写されて細胞内に情報が伝達される。ユークロマチンの状態では図1に示すようにヒストンの一部にアセチル基(Ac)が付き、ヘテロクロマチンの状態はメチル基(Me)が付くことで発現する。そこで、アセチル化状態、メチル化状態の割合が分かれば、各細胞ないし全体的な細胞のDNAの遺伝情報伝達の活性度合いを知ることができる。図2は、塩基の1つであるシトシンの塩酸塩とメチル化したシトシン塩酸塩のテラヘルツスペクトルの測定例である。このようにメチル化することでテラヘルツ領域での吸収スペクトルは大きく変化することが分かる。アセチル化についても同様に吸収スペクトル変化を取得することができる。ヒストンの特定部位へのメチル基やアセチル基の付着の有無によるテラヘルツスペクトルのデータを予め取得しておいてデータベース化し、評価する細胞について検出されたスペクトルと比較すればメチル化、アセチル化の度合いを知ることができる。図2に示すものは分子単体でのスペクトルデータであるが、実際にはテラヘルツ波を生体組織に照射するため細胞7の細胞膜による散乱が問題になる。1つの細胞サイズは1μm程度から数100μmまで、生体種や部位により様々である。細胞間にある脂質二重層と水を多く含む細胞の間では光学的に屈折率が異なり、テラヘルツ波の散乱要因になり得る。使用するテラヘルツ波の波長は例えば10μm以上1000μm以下であり、ちょうど細胞のサイズと同程度となるため、ミー散乱やレイリー散乱による波長分散が起こり得る。その現象について説明する図が図3である。例えば50μmのサイズの散乱体がある場合には2THz近傍から散乱の影響が大きくなり、高周波になるほど損失が大きくなる。つまり、透過率が低下する。その結果、実際の透過率は図2の分子固有の分光スペクトルと図3の50μmサイズの散乱体がある場合の特性を掛け合わせたものになる。すなわち、散乱の影響により2THz程度からベースラインとなる1(100%)から透過率が徐々に減少していき、5THz程度で約半分の透過率に低下する。このとき、散乱体のサイズが大きくなればこのような影響のある周波数は低周波側に、サイズが小さくなれば影響のある周波数が高周波側になる。そこで、測定する部位の細胞サイズについて予め調べておいて、部位によって、補正するための特性を把握してデータ処理を行う必要がある。本実施形態では、部位毎の細胞サイズもデータベース化しておき、測定部位を選択することでテラヘルツスペクトルを自動補正(損失のある周波数領域の損失を補う等の補正)する機構を備えている。たとえば、上記の50μmサイズの散乱体がある場合には、透過率が2THz程度から徐々に減少していき5THz程度で約半分に低下するために、その周波数に応じた減少分を実測データに掛けあわせて増大させるような形の補正を行う。5THzの透過率が散乱の影響で1/2になるのであれば、透過率を2倍にする補正といった自動補正である。補正する周波数の刻みについては、のちに説明するテラヘルツ時間領域分光装置で決まる周波数分解能(光学遅延ステージ15の移動量で決まる)程度にすることが望ましい。また、実際の測定では図4で説明するように反射パルスをデータとして取得するため、透過率から反射率に換算することが必要であるが、テラヘルツ時間領域分光装置の場合に周知の方法で計算することができる。ここで、細胞サイズに応じた補正以外にも、水分子による損失などの補正データも格納しておいて同様に補正処理することを併用してもよい。すなわち、検出手段の検出結果に対して、観察部位の細胞サイズに応じた細胞膜を構成する脂質二重層によるテラヘルツ波の散乱と水分子による損失との少なくとも一方で生じる影響を補正する補正手段をさらに備えてもよい。このような測定を行うための具体的な装置構成を図4に示した。テラヘルツ発生部(照射手段)は、フェムト秒レーザ20による励起でテラヘルツパルスを発生させる構成を有する。フェムト秒レーザ20で発生したレーザ光、例えばパルス幅30fs、波長1.55μmの超短パルス光はハーフミラー23で2つに分岐され、発生側は、ポンプ光としてレンズ27でフォーカスされて光伝導素子29に照射される。光伝導素子29は、例えば低温成長のInGaAsで作製したものであり、バイアス電源18で電圧を印加した状態でレーザパルスをここに照射すると、典型的には200fs以上300fs以下の電界パルスが発生する。ただし、材料や素子についてはこれに限るものでなく、パルス幅は一例に過ぎない。発生したテラヘルツパルスは2つの放物面鏡11、13により導波路21に結合され、導波路21の他端部に導かれる。この他端部には観察プローブ22が設けられており、これを、測定したい組織30、例えば人間の腕近傍に配置または接触させる。観察対象からの反射、散乱テラヘルツパルスは再度導波路21を伝搬して、2つの放物面鏡12、14により光伝導素子17に導光される。こうして伝搬してきたテラヘルツパルスを検出手段が検出する。その際、レーザ光からハーフミラー23で分岐されたもう一方の光が、光学遅延ステージ15及び反射ミラー16で時間遅延されると共にミラー24、25で反射され、レンズ28を通して検出器の光伝導素子17に照射されている。以上の系により、テラヘルツ時間領域分光装置を構成していることになる。検出信号は、アンプ19を介してデータ処理装置26に送られる。ここで、前述のクロマチン構造のアセチル化、メチル化によるスペクトル(クロマチンの特性スペクトル)や、細胞サイズや水による分散情報(細胞膜の脂質二重層や水によるテラヘルツ波の散乱などの情報)を格納している記憶装置31の値と参照される。こうしてデータ処理装置26からクロマチン構造の状態を判定する結果が出力される。以上の様に、本実施形態の分析装置は、テラヘルツ波を照射する照射手段と、テラヘルツ波を検出する検出手段と、クロマチン構造の状態に応じて検出されるテラヘルツ波の分光情報を少なくとも記憶する記憶手段と、データ処理手段を有する。データ処理手段は、検出手段の検出結果から得られた分光情報と記憶手段に記憶された分光情報を比較してクロマチン構造の状態を分析するデータ処理ステップを実行する。記憶手段が、メチル化とアセチル化に夫々よるクロマチンの特性スペクトルを記憶している場合、データ処理手段は、クロマチン構造の状態として、ユークロマチンとヘテロクロマチンの存在割合を調べることができる。判定結果としては、上述した様に、例えばアセチル化の度合い(アセチル基が付いたときの吸収スペクトルピークの大きさ)によって、検査する組織のクロマチンの緩み具合(すなわち遺伝子発現に対する活性の程度)を知ることができる。また、クロマチンの濃縮状態、粗大化、微細顆粒化などの度合い(同様に、これによる分散スペクトル情報をデータベース化しておく)によって癌化の度合いなどを知ることができる。図4の構成において、判定結果を表示する表示部(不図示)が備えられてもよい。データ処理手段による分析結果を表示して癌の診断支援を行うための表示部は、文字、座標、イメージ等で表示することができる。図4に示したように腕に照射した場合には、腕の皮膚における患部の状態を観測することができる。もちろん、皮膚に適用する場合には腕に限らず顔など全身に適用できる。皮膚癌(メラノーマ、非メラノーマ)においては、クロマチン構造の状態を観察することで癌化の範囲を推定することができる。癌以外でも皮膚に関する疾患、例えばアトピー性皮膚炎、火傷、炎症など細胞の状態を見ることで診断支援を行うことができる。その際はフィラグリン、ケラチンなどのタンパク質、これを構成するアミノ酸が重要な役割を担っており、そのような生体分子のテラヘルツ波による観測を行うことができる。また、これらのタンパク質を発現するための遺伝子が正常に働いていることが必要であり、そのための検査を行うことができる。また、表皮の有棘細胞、表皮と真皮の境界の基底層にある幹細胞や真皮にある線維芽細胞の働きも重要であり、そのためのDNA観測が重要となる。図4に示したプローブを食道、気管、大腸などから挿入する内視鏡として用いれば、内部の器官の細胞を観察することも可能である。もちろん、採取した病理切片を観察することも可能である。(実施形態2)実施形態1ではパルスすなわちブロードバンドのテラヘルツ波を用いるものであった。しかし、予めターゲットとなる標的分子の吸収スペクトルを設定した場合には、その周波数と基準となる周波数の2つの連続光を用いることができる。例えば、図2のようなスペクトルの場合には、2.1THzと2.3THzの連続光を照射したときにそれぞれの周波数での信号強度の差分を比較すれば、メチル化の有無による違いを検出できることが分かる。そこで、本実施形態では、このような2つの光源、例えば量子カスケードレーザや共鳴トンネルダイオードなどからテラヘルツ波を発生させて組織に照射する。そして、組織からの反射、散乱光をテラヘルツ検出器、例えばマイクロボロメータ、ショットキーダイオードなどで検出し、その強度を取得する。その構成例を図5に示す。光源1,2(36、32)はそれぞれ異なる周波数f1、f2で発振する共鳴トンネルダイオード発振器であり、これら発振テラヘルツ波を生体組織34の同一箇所35に照射している。照射箇所35からの反射、散乱光は検出器33、例えばショットキーバリアダイオードで検出される。2つの光源1,2の照射を交互に行うことで検出器33では2つの周波数f1、f2における強度を検出し、その差分を得ることができる。これにより、f1が主要な吸収周波数である物質の状態1と、f2が主要な吸収周波数である物質の状態2の存在割合を知ることができる。例えば、ユークロマチンの割合を検出して活性の度合いを判別することができる。本実施形態では、テラヘルツ波の発生装置と検出装置を半導体チップで構成することが可能で、装置全体を非常に小型にでき、低消費電力で動作させることができる。(実施形態3)これまでの実施形態は、信号処理によりDNAのクロマチン構造の状態を観測するものであったが、実施形態3は、その状態を観測しながら、照射するテラヘルツ波の強度を変化させて、細胞の状態を調整・制御するものである。例えば、クロマチンの緩み具合を調整する場合には、テラヘルツ波の強度を上昇させながらアセチル基に起因する吸収スペクトルの大きさをモニターする。変化が起こるところを閾値として、そこから更にパワーを向上させてユークロマチンの割合を調整(増大)する。これによって細胞培養の際の活性度合い、細胞分化を調整(促進)することができる。もちろん、この逆の調整を行うこともできる。すなわち、上記分析装置ないし方法で分析した結果をもとに、クロマチン構造に照射する所定の周波数のテラヘルツ波の照射パワーを調整して真核細胞内クロマチン構造の状態を調整することができる。また、ユークロマチンとヘテロクロマチンの存在割合が目標の割合になるようにこの調整方法でテラヘルツ波の照射パワーを調整して、細胞制御を行うこともできる。細胞分化を制御する再生組織作製方法を利用する再生医療には、iPS細胞やES細胞が好適に用いられる。このような細胞は、採取、分離、純化後、必要な細胞数に増やすための培養が行われる。その際、本発明による装置ないし方法でクロマチン構造の状態を観察したり調整したりすることは、再生の効率向上に貢献することができる。さらに、この培養細胞を、目的とする組織細胞、例えば皮膚、神経、内臓、角膜、心筋などに分化誘導する際に、本発明による装置ないし方法によって、クロマチン構造の状態を観察し、制御を行うことで、組織再生の歩留まりを向上させることが可能となる。この様に、iPS細胞またはES細胞を導入したテラヘルツ波照射対象物を上記細胞制御方法により処理して照射対象物における細胞分化を制御することができる。1‥テラヘルツ発生部(照射手段)、2‥テラヘルツ検出部(検出手段)、3、4‥テラヘルツ波、5‥組織、11‥ユークロマチン、12‥ヘテロクロマチン、26‥データ処理装置(データ処理手段)、31‥記憶装置(記憶手段)クロマチン構造にテラヘルツ波を照射する照射手段と、前記クロマチン構造からのテラヘルツ波のスペクトル情報を得る検出手段と、クロマチン構造の状態に応じたテラヘルツ波のスペクトル情報を記憶している記憶手段と、前記検出手段で得られたスペクトル情報と前記記憶手段に記憶されたスペクトル情報を比較して前記クロマチン構造の状態を分析するデータ処理手段と、を有することを特徴とする分析装置。前記クロマチン構造は細胞内に存在し、検出手段で得られたスペクトル情報に対して、前記細胞の大きさに基づいて細胞膜を構成する脂質二重層によるテラヘルツ波の散乱と水分子による損失との少なくとも一方で生じる影響を補正する補正手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。前記データ処理手段において、前記クロマチン構造の状態として、ユークロマチンとヘテロクロマチンの存在割合を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。前記記憶手段は、メチル化されたクロマチンとアセチル化されたクロマチンのスペクトル情報を記憶し、前記データ処理手段は、該メチル化されたクロマチンとアセチル化されたクロマチンのスペクトル情報に基づいてユークロマチンとヘテロクロマチンの存在割合を求めることを特徴とする請求項3に記載の分析装置。前記記憶手段は、クロマチンの濃縮状態、または粗大化、または微細顆粒化による分散スペクトル情報を記憶し、前記データ処理手段は、前記記憶手段に記憶された分散スペクトル情報を用いてクロマチンの濃縮状態、または粗大化、または微細顆粒化を調べることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。前記データ処理手段による分析結果を表示して癌の診断支援を行うための表示部をさらに有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の分析装置。前記照射手段は、ブロードバンドのテラヘルツ波、またはクロマチンの特性スペクトルに係る周波数の連続光を含むテラヘルツ波を照射することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の分析装置。前記テラヘルツ波の周波数は、30GHz以上30THz以下であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の分析装置。請求項1〜8の何れか1項に記載の分析装置で分析を行い、その結果をもとに、前記クロマチン構造に照射する所定の周波数のテラヘルツ波の照射パワーを調整してクロマチン構造の状態を調整することを特徴とする真核細胞内クロマチン構造の調整方法。ユークロマチンとヘテロクロマチンの存在割合が目標の割合になるように請求項9に記載の調整方法でテラヘルツ波の照射パワーを調整することを特徴とする細胞制御方法。iPS細胞またはES細胞を導入したテラヘルツ波照射対象物を請求項10に記載の細胞制御方法により処理して前記照射対象物における細胞分化を制御することを特徴とする再生組織作製方法。クロマチン構造にテラヘルツ波を照射する照射ステップと、前記クロマチン構造からのテラヘルツ波のスペクトル情報を得る検出ステップと、クロマチン構造の状態に応じたテラヘルツ波のスペクトル情報を記憶する記憶ステップと、前記検出ステップで得られたスペクトル情報と前記記憶ステップで記憶されたスペクトル情報を比較して前記クロマチン構造の状態を分析するデータ処理ステップと、を有することを特徴とする分析方法。 【課題】非侵襲でクロマチン構造の状態の推定を行って組織の状態を分析する装置及び方法を提供する。【解決手段】分析装置は、クロマチン構造にテラヘルツ波を照射する照射手段1と、クロマチン構造からのテラヘルツ波のスペクトル情報を得る検出手段2と、記憶手段31と、データ処理手段26を有する。記憶手段31は、クロマチン構造の状態に応じたテラヘルツ波のスペクトル情報を記憶している。データ処理手段26は、検出手段2で得られたスペクトル情報と記憶手段31に記憶されたスペクトル情報を比較してクロマチン構造の状態を分析する。【選択図】図1