タイトル: | 公開特許公報(A)_耐傷つき性評価方法及び評価装置 |
出願番号: | 2012180766 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 3/46 |
小滝 雅也 森田 和宏 角谷 忠義 中川 修士 JP 2014038040 公開特許公報(A) 20140227 2012180766 20120817 耐傷つき性評価方法及び評価装置 国立大学法人京都工芸繊維大学 504255685 トヨタ自動車株式会社 000003207 沖中 仁 100141586 ▲濱▼野 孝 100144750 田中 信治 100165685 小滝 雅也 森田 和宏 角谷 忠義 中川 修士 G01N 3/46 20060101AFI20140131BHJP JPG01N3/46 6 4 OL 16 特許法第30条第2項適用申請有り (1)集会名:京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科 第14回先端ファイブロ科学シンポジウム 開催日:平成24年2月18日 (2)集会名:平成23年度 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科先端ファイブロ科学専攻 修士論文審査会 開催日:平成24年2月21日 (3)発行者名:公益財団法人自動車技術会 刊行物名:公益財団法人自動車技術会 2012年春季大会 学術講演会 前刷集 No.25−12 発行年月日:平成24年5月23日 (4)集会名:公益財団法人自動車技術会 2012年春季大会 開催日:平成24年5月23日 本発明は、表面にシボ加工が施された樹脂製の評価対象物の耐傷つき性評価方法及び評価装置に関する。 樹脂製の評価対象物の耐傷つき性(耐受傷性)を評価する評価方法として、例えば特許文献1には、JIS L0849に準拠した学振型染色物摩耗堅ろう度試験に関する技術が記載されている。この特許文献1に記載の技術は、所定形状の表面皮シボ加工品試験片についてJIS L0849記載の摩擦試験機II型(学振型)を用いて所定の条件で試験を実施し、試験前後の変色度合いを分光式色差計で測定して試験片の耐傷つき性(耐受傷性)を評価するものである。 また、表面にシボ加工が施された樹脂製の被測定物の傷を検査する表面検査装置及び表面検査方法として、例えば特許文献2には、長方形のスリットを通過した光のみを光検出手段に導いて、光検出手段により検出した明度から被測定物の外観の表面状態(白化傷やテカリ傷など)を検出する技術が記載されている。この特許文献2に記載の技術は、被測定物の表面における反射光の光検出範囲をスリットによって制限して被測定物の外観の表面状態を厳密かつ高精度に定量化するものである。特開2011−79924号公報(特に、段落「0103」参照)特開2000−283931号公報(特に、図8参照) 上述した特許文献1に記載の技術は、摩擦試験機II型(学振型)を用いて所定の荷重を付加しながら摩擦子に固定した白綿布を試験片に摩擦作用させるものであるため、荷重を増加させながら試験片に傷をつけた場合の評価対象物の耐傷つき性について評価することができなかった。また、特許文献1に記載の技術は、シボ面の変色度合いを測定するものであるため、傷がどのように形成され始めるのかを評価することはできず、また、傷がその長手方向にどのように形成されるのかを評価することはできなかった。そのため、荷重を増加させながら試験片に傷をつけた場合の客観的且つ定量的な耐傷つき性の評価を可能にし、傷がどのように形成され始めるのか、傷がその長手方向にどのように形成されるのかを考慮した精度のよい耐傷つき性の評価を行えるようにする観点から改善の余地があった。特に、シボ加工が施された樹脂製の評価対象物の耐傷つき性を評価する場合、シボ加工による凹凸が目視による客観的かつ定量的な評価の妨げになり易いため、耐傷つき性の客観的且つ定量的な評価方法の確立が望まれていた。 また、特許文献2に記載の技術は、被測定物に既に形成された傷を検査するものであるため、被測定物の耐傷つき性を評価することはできず、また、その検査方法も、スリットを傷の長手方向に直交する方向に走査させるものであるため、上述した特許文献1に記載の技術と同様に、傷がどのように形成され始めるのかを検査することはできず、傷がその長手方向にどのように形成されているのかを検査することはできなかった。 本発明の目的は、押し付け荷重を増加させながら評価対象物に傷をつけた場合の客観的且つ定量的な耐傷つき性の評価が可能になり、傷の形成具合を考慮した精度のよい耐傷つき性の評価を行うことができる耐傷つき性評価方法及び評価装置を提供することにある。 第1の発明は、表面にシボ加工が施された樹脂製の評価対象物の耐傷つき性評価方法であって、押し付け荷重を増加させながらチップを所定距離走査して前記評価対象物の表面に直線状の傷を作成する傷作成ステップと、前記傷に光を照射して反射した光の明度を、前記傷の長手方向に沿って所定の測定ピッチ毎に測定する傷明度測定ステップと、前記測定ピッチ毎に測定された明度に基づいて前記傷の明度評価値を演算する評価値演算ステップと、前記傷が実際に作成され始めた傷作成開始荷重を演算する傷作成開始荷重演算ステップと、前記明度評価値と前記傷作成開始荷重とに基づいて前記評価対象物の耐傷つき性を評価する評価ステップとを有する。 上記構成によると、押し付け荷重を増加させながら評価対象物に傷をつけた場合の客観的且つ定量的な耐傷つき性の評価が可能になるとともに、傷の形成具合、すなわち、傷がどのように形成され始めるのか、傷がその長手方向にどのように形成されるのかを考慮した精度のよい耐傷つき性の評価を行うことができる。したがって、自動車やトラック等の車両の内装部品をはじめOA機器、家電製品、住設機器、家庭雑貨などに用いられるシボ加工が施された樹脂製材料として、傷つき難く且つ傷ついたとしても目立ち難い耐傷つき性のバランスが優れた樹脂製材料を選定することが可能になる。 第2の発明は、上記第1の発明の耐傷つき性評価方法において、前記傷を作成する前の前記評価対象物の表面又は前記傷が作成されていない前記評価対象物の表面に光を照射して受光した光の表面明度を、前記測定ピッチ毎に測定する表面明度測定ステップを有し、前記評価値演算ステップは、前記測定ピッチ毎に測定された表面明度に基づいて前記表面明度の平均値を演算し、さらに、前記測定ピッチ毎に測定された傷の明度と前記平均値との差を前記平均値で割った明度変化率の積算値を演算して、該積算値を前記所定距離で割った値又は該積算値を前記所定距離で割った値の逆数を前記明度評価値として演算する。 上記構成によると、傷を作成する前の評価対象物の表面状態又は傷が形成されていない評価対象物の表面状態を考慮した明度評価値を用いて、つまり、シボ加工の凹凸が傷の明度測定値に与える影響を考慮した明度評価値を用いて、評価対象物の耐傷つき性を更に精度よく評価することができる。 第3の発明は、上記第1又は第2の発明の耐傷つき性評価方法において、前記傷作成ステップは、前記評価対象物の表面に直線状の白化傷を作成し、前記傷明度測定ステップは、前記白化傷に光を暗視野照射して受光した光の明度を前記測定ピッチ毎に測定する。 上記構成によると、傷自体に応力白化現象が生じ易い傾向にあり、かつ、斜めからの入射光を拡散光として反射する傾向が強い白化傷の明度を、暗視野照射して受光した光から精度よく検出することが可能になる。これにより、白化傷について精度のよい耐傷つき性の評価を行うことができる。 第4の発明は、上記第1又は第2の発明の耐傷つき性評価方法において、前記傷作成ステップは、前記評価対象物の表面に直線状の光沢傷を作成し、前記傷明度測定ステップは、前記光沢傷に光を明視野照射して受光した光の明度を前記測定ピッチ毎に測定する。 上記構成によると、傷により評価対象物の表面の凹凸が平坦化され易い傾向にあり、かつ、入射光をそのまま反射する傾向が強い光沢傷の明度を、明視野照射して受光した光から精度よく検出することが可能になる。これにより、光沢傷について精度のよい耐傷つき性の評価を行うことができる。 第5の発明は、上記第1〜第4の発明のいずれか一つの耐傷つき性評価方法に用いる耐傷つき性評価装置であって、押し付け荷重を増加させながらチップを所定距離走査して前記評価対象物の表面に直線状の傷を作成する傷作成手段と、照射部から傷に光を照射して反射した光の明度を、前記傷の長手方向に沿って前記測定ピッチ毎に測定する明度測定手段と、前記傷作成開始荷重及び前記明度評価値を演算する演算手段と、前記傷作成開始荷重及び前記明度評価値を表示する表示手段とを有する。 上記構成によると、傷作成手段、明度測定手段及び演算手段によって評価方法に用いるデータの取得や演算を簡単に行うことができるとともに、表示手段に表示された傷作成開始荷重及び明度評価値から耐傷つき性の評価を簡単に行うことができる。 第6の発明は、上記第5の発明の耐傷つき性評価装置において、前記明度測定手段は、前記照射部から光を照射して反射した光を、前記傷の短手方向に細長いスリットを介して受光して、前記傷の明度を前記測定ピッチ毎に測定する。 上記構成によると、傷から反射した光の検出範囲を傷の短手方向に細長いスリットによって制限して、傷の長手方向に細分化された測定ピッチで傷の明度を測定することが可能となり、傷の明度を精度よく定量化しながら検出できる。本発明に係る耐傷つき性評価装置の全体構成を示すブロック図傷作成装置の詳細構造を示す斜視図明度測定装置の詳細構造を示す斜視図本発明に係る耐傷つき性評価方法の具体的な内容を説明する説明図傷明度及び表面明度の測定結果を示すグラフ明度変化率の演算結果を示すグラフ傷作成開始荷重と明度評価値との相関関係を示すグラフ〔耐傷つき性評価装置の全体構成〕 図1〜図3に基づいて耐傷つき性評価装置1の全体構成について説明する。図1に示すように、耐傷つき性評価装置1は、評価対象物Pの表面に直線状の傷Kを作成する傷作成装置2と、傷作成装置2によって作成した傷Kの明度を測定する明度測定装置3と、明度測定装置3を制御する制御装置4と、制御装置4によって演算処理された明度測定値Mや明度評価値H等のデータを表示する表示部5と、制御装置4に各種制御指令を入力する入力部6とを備える。 傷作成装置2は、評価対象物Pを載置固定して支持するテーブル21と、テーブル21に対して評価対象物Pの長手方向に相対移動可能なチップ22と、チップ22を評価対象物Pに押し付けるとともにテーブル21に対して相対移動させるチップ移動機構23と、チップ移動機構23を制御するチップ制御部24と、チップ移動機構23の作動指令の入力や作動条件の設定を行う入力設定部25と、チップ移動機構23の作動条件や作動状態を表示する出力表示部26とを備える。本実施形態の傷作成装置2は、上述した各構成要素が図示しない装置本体に付属するように一体化されている。 図2に示すように、チップ22は、チップ移動機構23の保持部23Aに着脱自在に保持されており、保持部23Aを操作することで、形状等の異なるチップ、例えば白化傷作成用のチップ、光沢傷作成用のチップ、うろこ傷作成用のチップ、切削傷作成用のチップ等に交換できる。チップ移動機構23は、保持部23Aを評価対象物Pの表面に向かって垂直に押す方向に荷重を付加するとともに、保持部23Aを評価対象物Pの長手方向に相対移動させて、荷重を付加しながら移動するチップ22によって評価対象物Pの表面に傷Kをつける。傷Kは、評価対象物Pの長手方向の一端側から他端側に向かって、その深さ及び幅が増大する傾斜性を有する傷となる。テーブル21には、図示しないが、評価対象物Pを所定位置に位置決めする位置決め機構と、テーブル21に載置された評価対象物Pを所定位置に固定する固定機構が備えられている。傷作成装置2を操作する作業者は、これらの位置決め機構及び固定機構を用いて、傷つけ作業開始前の準備作業として評価対象物Pをテーブル21上の所定位置に位置決め固定する。 図1に示すように、作業者による傷作成装置2の操作は、チップ制御部24に接続された入力設定部25によって行う。入力設定部25では、評価対象物Pに作用させる荷重の大きさや、評価対象物Pに対して荷重を付加しながらチップ22を走査させるチップ移動距離X等の荷重付加条件を手動操作により入力できる。入力設定部25での荷重の大きさの設定は、例えばチップ移動距離Xに比例して初期荷重から最大荷重まで荷重を増加させる形態や、例えばチップ移動距離Xが増加するほど増加率が大きくなるように初期荷重から最大荷重まで荷重を増加させる形態等の様々な形態を設定でき、また、上述した初期荷重や最大荷重の大きさも任意に設定できる。チップ制御部24は、これらの荷重付加条件で評価対象物Pに傷Kをつけるようにチップ移動機構23を制御する。 入力設定部25には、図示しない各種スイッチ類が装備されている。傷つけ作業を行う作業者は、上述した準備作業を行った後に入力設定部25の起動スイッチを操作することで、入力設定部25によって設定された荷重付加条件となるようにチップ制御部24によってチップ移動機構23が制御されて、評価対象物Pの表面に傷Kがつけられる。なお、チップ制御部24には、出力表示部26が接続されており、入力設定部25によって設定された荷重付加条件や、傷つけ作業中、傷つけ作業完了等のチップ移動機構23の運転状態が出力表示部26に適宜表示される。 明度測定装置3は、評価対象物Pを載置固定して支持する移動式テーブル31と、移動式デーブル31に支持された評価対象物Pの表面に光を照射する照射部Aと、照射部Aにより評価対象物Pの表面に照射して反射した光を検出する検出部Bとを備えた光学顕微鏡で構成されている。 図3に示すように、移動式テーブル31は、基台31Aと、評価対象物Pを載置する載置台31Bと、基台31A上に載置台31Bをスライド自在に支持するスライド部材31Cと、基台31Aに対して載置台31Bをスライド操作するアクチュエータ31Dとを備える。アクチュエータ31Dは、基台31Aに固定されており、図示しない送りネジ機構等を介して載置台31Bに接続されている。載置台31Bには、図示しないが、評価対象物Pを所定位置に位置決めする位置決め機構と、載置台31Bに載置された評価対象物Pを所定位置に固定する固定機構が備えられている。明度測定装置3を操作する作業者は、これらの位置決め機構及び固定機構を用いて、明度測定作業開始前の準備作業として評価対象物Pを載置台31Bの所定位置に位置決め固定する。 図1に示すように、照射部Aは、ハロゲンランプ等により構成された光源32と、光源32からの光を平行光に変更するレンズ33と、レンズ33からの平行光を暗視野照明又は明視野照明に切り換えて評価対象物Pに照射する切換機構34と、切換機構34を暗視野照明に切り換えた状態で円環状の暗視野照明を屈曲させて評価対象物Pの表面に斜め方向から照射光A1を照射する暗視野用レンズ35とを備える。切換機構34を暗視野照明に切り換えることで、レンズ33からの光を評価対象物Pの表面に対して斜めの照射角度(例えば45°)となる照射光A1として照射することができ、切換機構35を明視野照明に切り換えることで、レンズ33からの光を評価対象物Pの表面に対して垂直な照射角度となる照射光A2として照射することができる。切換機構34は、作業者による手動操作で暗視野照明又は明視野照明に切り換える手動切換式に構成してもよいし、評価対象物Pの傷Kの種類等によって制御装置4からの出力により自動的に暗視野照明又は明視野照明に切り換える自動切換式に構成してもよい。 検出部Bは、評価対象物Pの表面に対向配置された対物レンズ36と、対物レンズ36の光軸B1上に下側から順に配置されたyフィルタ37、スリット部材38及び受光素子39を備える。yフィルタ37は、緑の波長域に通過帯をもつフィルタであり、このyフィルタ37によって赤や青の波長域ではなく主に緑の波長域の光を通過させる。yフィルタ37を通過した光は、スリット部材38に形成されたスリット38Aを通過する。スリット38Aを通過した光は、受光素子39によって受光される。スリット38Aは、評価対象物Pの表面に形成された傷Kの長手方向に直交する短手方向に細長い矩形状のスリットで構成されている(図3参照)。スリット部材38は、図示しないが、サイズの異なる複数のスリット38Aを手動操作又は自動操作で切り換え可能な切り換え式に構成されている。 制御装置4は、受光素子39の出力信号に基づいて明度を測定する測定部41と、測定部41により測定された明度を演算処理する演算部42と、測定部41により測定された明度及び演算部42により演算処理された演算データをディスプレイ等の表示部5に出力する出力部43と、照明部Aの光源32に電源を供給するとともに、移動式テーブル31のアクチュエータ31Dを制御する制御部44とを備える。 作業者による明度測定装置3の操作は、制御装置4に接続された入力部6で行う。入力部6は、キーボードやスイッチ類等によって構成されている。入力部6では、傷作成装置2の入力設定部25で設定した荷重付加条件や明度測定装置3による明度測定条件を手動操作により入力できる。入力部6では、明度測定条件として、評価対象物Pに対して照射部A及び検出部Bを走査させる走査距離と、走査距離中で実際に明度を測定する明度測定ピッチaとを設定する。本実施形態では、明度測定条件の走査距離と荷重付加条件のチップ移動距離Xとを対応させてあり、入力部6で荷重付加条件のチップ移動距離Xを入力すれば、入力したチップ移動距離Xが走査距離として自動的に設定されるように構成されている。以下の説明では、走査距離もチップ移動距離と同様の符号Xを付して説明する。制御部44は、ドライバ45を介してアクチュエータ31Dに出力して、載置台31Bに載置された評価対象物Pが照射部A及び検出部Bに対して上述した明度測定条件で相対移動するように制御する。 制御部44は、測定部41に接続されており、上述した明度測定条件と測定部41による明度の測定タイミングとが同期するように制御されている。つまり、制御部44は、評価対象物Pの移動開始タイミングに合わせて測定部41が受光素子39の出力信号から明度の測定を開始するように測定部41を制御し、明度測定条件として設定された測定ピッチa毎に測定部41が受光素子39の出力信号から明度を測定するように測定部41を制御し、評価対象物Pの移動終了タイミングに合わせて測定部41が受光素子39の出力信号からの明度の測定を終了するように測定部41を制御する。測定部41で測定された明度のデータは、測定部41でA/D変換器によりデジタル化されてから、演算部42に出力されるとともに、出力部43に出力されて表示部5に表示される。演算部42は、評価対象物Pの明度のデータを測定部41から取得し、後述する各種演算処理を実行する。演算部42による演算処理結果は、出力部43に出力されて表示部5に表示される。〔耐傷つき性評価方法の具体的な内容〕 図4に基づいて本発明に係る耐傷つき性評価方法の具体的な内容を耐傷つき性評価装置1の操作手順を交えながら説明する。耐傷つき性評価装置1の操作は、主に傷作成装置2の操作と明度測定装置3の操作とに分けられる。先ず、傷作成装置2の操作の準備作業として、評価対象物Pとして所定形状に加工された帯板状の樹脂材料を用意し、上述した位置決め機構及び固定機構を用いて評価対象物Pをテーブル21上の所定位置に位置決め固定する。この準備作業に前後して、入力設定部25を操作して、荷重付加条件、すなわち、評価対象物Pに作用させる荷重の大きさと、チップ22を走査させるチップ移動距離Xを設定する。そして、図4の「傷作成ステップ」に示すように、入力設定部25の起動スイッチを操作することで、入力設定部25で設定した荷重付加条件で評価対象物Pに表面に傷がつけられる。なお、図4では、荷重付加条件のうちの荷重の大きさの設定例として、チップ移動距離Xに比例して初期荷重(0)から最大荷重(F)まで荷重を増加させる形態に設定した場合を示している。 「傷作成ステップ」が完了すると、先ず、明度測定装置3の操作の準備作業として、傷Kが作成された評価対象物Pを傷作成装置2から取り外し、上述した位置決め機構及び固定機構を用いて評価対象物Pを載置台31Bの所定位置に位置決め固定する。この準備作業に前後して、入力部6を操作して、明度測定条件、すなわち、荷重付加条件のチップ移動距離X(走査距離X)と、明度測定条件の測定ピッチaを設定する。そして、図4の「傷明度測定ステップ」に示すように、入力部6を操作することで、入力部6で設定した走査距離X及び測定ピッチaで評価対象物Pの表面に作成された傷Kの明度L1,L2,L3・・・Ln(以下、傷明度という)が測定される。なお、本実施形態でいう「明度」とは、CIE−L*a*b*表色系で表される明度であり、実際に明度を測定する前に、白色基準版(Y:95.76)を用いて校正を行う。 傷作成ステップ及び傷明度測定ステップとは別に、傷作成ステップにおいて傷Kを作成する前の評価対象物Pの表面の明度(以下、表面明度という)を測定する。明度測定装置3の操作手順は、傷明度測定ステップで説明した操作手順と同様であり、評価対象物Pとして傷Kの作成されていないものを載置台31Bの所定位置に位置決め固定する。そして、図4の「表面明度測定ステップ」に示すように、入力部6を操作することで、入力部6で設定した走査距離X及び測定ピッチaで評価対象物Pの表面明度S1,S2,S3・・・・Snが測定される。 この場合、傷作成ステップにおいて傷Kを付ける位置と同じ位置の評価対象物Pの表面明度を測定するように構成してもよく、傷作成ステップにおいて傷Kを付ける位置と異なる位置の評価対象物Pの表面明度を測定するように構成してもよい。傷作成ステップにおいて傷Kを付ける位置と同じ位置の評価対象物Pの表面明度を測定するように構成すると、評価対象物Pの位置決め等の手間が省けかつ耐傷つき性の評価を精度よく行えるという利点がある。また、傷作成ステップにおいて傷Kを作成する前ではなく、傷作成ステップが完了した後に、傷Kが作成されていない評価対象物Pの部分の表面の表面明度を測定するように構成してもよい。この場合には、表面明度測定ステップにおいて、傷明度測定ステップで評価対象物Pを位置決め固定する位置とは異なる位置に評価対象物Pを位置決め固定すればよい。 次に、演算部42は、傷明度測定ステップで測定された傷明度Ln及び表面明度測定ステップで測定された表面明度Snを用いて以下に示す「評価値演算ステップ」を実行する。 先ず、演算部42は、表面明度測定ステップで測定された表面明度Snの平均値L0を下記「式1」により演算する。 次に、演算部42は、演算した表面明度の平均値L0と、傷明度測定ステップで測定された傷明度Lnとから、明度変化率M1,M2・・・・Mnを下記「式2」により演算する。「明度変化率Mn」は、傷明度測定ステップで測定された各傷明度L1・・・・Lnが、平均値L0に対してどの程度変化したかを示すものである。 次に、演算部42は、演算した明度変化率Mnと走査距離Xとから、明度評価値Hを下記「式3」により演算する。これにより、耐傷つき性評価の一方のパラメータである明度評価値Hが自動的に演算される。「明度評価値H」は、傷K全体の目立ち難さを評価するための指標として本発明者が試行錯誤の上設定したものであり、明度変化率Mnの積算値を走査距離Xで割った値の逆数を演算したものである。なお、明度評価値Hとして、明度変化率Mnの積算値を走査距離Xで割った値の逆数を演算したものではなく、明度変化率Mnの積算値を走査距離Xで割った値としてもよい。逆数を演算した場合には、演算した明度変化率が大きいほど傷K全体が目立ち難い(小さいほど目立ち易い)と評価でき、逆に、逆数を演算しない場合には、演算した明度変化率が大きいほど傷K全体が目立ち易い(小さいほど目立ち難い)と評価できる。 耐傷つき性評価の他方のパラメータである傷つき開始荷重の演算は、次のように行われる。図4の「傷作成開始荷重演算ステップ」に示すように、先ず、傷Kの作成を開始した開始点X0から目視にて実際に傷Kの作成が開始したと判断できる傷作成開始箇所までの距離Xaを、測定具等を用いて測定する。そして、この測定距離Xaから、下記の「式4」を用いて、傷作成開始箇所で評価対象物Pに付加された荷重の大きさ、すなわち、傷作成開始荷重Faを演算する。この場合、手計算で傷作成開始荷重Faを演算して演算結果を入力部6から演算部42に手動で入力するように構成してもよく、入力部6から測定距離Xaを手動で入力して演算部42にて傷作成開始荷重Faを自動的に演算するように構成してもよい。なお、「式4」のFは、荷重付加条件の最大荷重である。 この場合、演算部42が、傷明度測定ステップで測定された傷明度L1・・・Lnを用いて自動的に傷作成開始荷重Faを演算するように構成してもよい。具体的には、例えば、傷Kの作成が開始されたと判断できる傷明度の閾値を演算部42において予め設定しておき、演算部42が、傷明度L1・・・Lnが閾値を超えた箇所を傷作成開始箇所として自動的に特定し、開始点X0から傷作成開始箇所までの距離Xaを測定ピッチaから自動的に逆算し、上述した「式4」を用いて傷作成開始荷重Faを自動的に演算するように構成してもよい。また、演算部42が、評価値演算ステップで測定された明度変化率Mnを用いて自動的に傷作成開始荷重Faを演算するように構成してもよい。具体的には、例えば、傷Kの作成が開始されたと判断できる明度変化率Mnの閾値を演算部42において予め設定しておき、演算部42が、明度変化率Mnが閾値を超えた箇所を傷作成開始箇所として自動的に特定し、開始点X0から傷作成開始箇所までの距離Xaを測定ピッチaから自動的に逆算し、上述した「式4」を用いて傷作成開始荷重Faを自動的に演算するように構成してもよい。 図4の「評価ステップ」に示すように、評価値演算ステップで演算された明度評価値H及び傷作成開始荷重演算ステップで演算された傷作成開始荷重Faは、出力部43に出力されて、表やグラフ等として表示部5に表示される。そして、作業者は、表示部5に表示された表やグラフ等から評価対象物Pの耐傷つき性を評価することになる。 上述した耐傷つき性評価方法を用いて、下記の条件で複数の評価対象物P1〜P4の耐傷つき性の評価を行った。複数の評価対象物P1〜P4は、タルクを含有していない黒色の樹脂材料の表面に異なるシボ加工を施したものであり、樹脂材料の材質は同じポリプロピレン製のものを用いている。なお、本実施例は、複数の評価対象物P1〜P4の表面に白化傷を作成した場合の評価例を示すものであり、傷作成装置2のチップ22として「白化傷作成用のチップ」を取り付け、明度測定装置3の切換機構34を「暗視野照明」に切り換え、明度測定装置3のスリット38Aの大きさを「15mm×0.5mm」に設定した状態で、下記[1]及び[2]の条件で耐傷つき性の評価を行ったものである。なお、白化傷(擦り傷や切削傷等)の場合、傷自体に応力白化現象が生じ易い傾向にあり、斜めからの入射光を拡散光として反射する傾向が強いため、切換機構34を「暗視野照明」に切り換えることで白化傷の明度を検出部Bにて精度よく検出できる。[1]「荷重付加条件」;チップ移動距離X=70mm,荷重の大きさ:チップ移動距離Xに比例して初期荷重(0)から最大荷重(F=180N(ニュートン))まで荷重を増加させる形態[2]「明度測定条件」;走査距離X=70mm,測定ピッチa=0.1mm 図5(a)〜(d)は、上述した条件で、各評価対象物P1〜P4について傷明度Ln及び表面明度Snを測定した測定結果を示すものであり、制御装置4から出力部43を介して表示部5に表示された表示例を示すものである。これらの図に示すように、評価対象物P1〜P4の傷明度Lnの測定値は、走査距離Xに対して様々な態様で変化することが分かり、同様に、評価対象物P1〜P4の表面明度Snの測定値も、走査距離Xに対して様々な態様で変化することが分かる。つまり、評価対象物P1〜P4のシボ形状の相違によって傷明度Ln及び表面明度Snの測定値が様々な態様で変化することが分かる。 図6(a)〜(d)は、図5に示した傷明度Ln及び表面明度Snの測定値から各評価対象物P1〜P4について明度変化率Mnを演算した演算結果を示したものであり、制御装置4から出力部43を介して表示部5に表示された表示例を示すものである。これらの図に示すように、評価対象物P1〜P4の明度変化率Mnの演算値には、傷明度Lnの測定値の特徴と、表面明度Snの測定値の特徴とが共に反映されていることが分かる。 以下に示す「表1」は、図6に示した明度変化率Mnから各評価対象物P1〜P4について明度評価値Hを演算した演算結果と、各評価対象物P1〜P4の傷作成開始荷重Faを目視にて測定した距離Xaから演算した演算結果を示したものである。図7は、これらの「表1」に示した演算結果を、一方のパラメータである明度評価値Hを縦軸とし、他方のパラメータである傷作成開始荷重Faを横軸として、グラフ化したものであり、制御装置4から出力部43を介して表示部5に表示された表示例を示すものである。 表1に示すように、明度評価値Hと傷作成開始荷重Faとでは、評価対象物P1〜P4毎に異なる傾向があることが分かる。具体的には、例えば、明度評価値Hは評価対象物P2よりも評価対象物P3の方が大きいのに対し、傷作成開始荷重Faは評価対象物P3よりも評価対象物P2の方が大きいなど、評価対象物P1〜P4毎の明度評価値Hの傾向と評価対象物P1〜P4毎の傷作成開始荷重Faの傾向とが互いに異なることが分かる。 これらの傾向は、図7に示すグラフからも明らかであり、各評価対象物P1〜P4の明度評価値H及び傷作成開始荷重Faの演算データをプロットした丸印がグラフ中に分散していることが分かる。なお、図7のP1〜P4以外の丸印は、他の評価対象物について同様の条件で評価を行った場合の明度評価値H及び傷作成開始荷重Faの演算データをプロットしたものである。 図7に示すように、明度評価値Hは、明度変化率Mnの積算値を走査距離Xで割った値の逆数を演算したものであるため、明度評価値Hが大であるほど評価対象物Pの傷全体が目立ち難いといえる。また、傷作成開始荷重Faは、傷作成開始箇所までの距離Xaから算出した荷重であるため、傷作成開始荷重Faが大であるほど評価対象物Pに傷がつき難いといえる。したがって、明度評価値H及び傷作成開始荷重Faが共に大となる図7のグラフの右上に至るほど評価対象物Pが傷つき難く且つ傷ついたとしても目立ち難い耐傷つき性のバランスが優れたものであると評価でき、逆に、明度評価値H及び傷作成開始荷重Faが共に小となる図7のグラフの左下に至るほど評価対象物Pが傷つき易く且つ傷ついたら目立ち易い耐傷つき性のバランスが劣ったものであると評価できる。なお、耐傷つき性の具体的な評価方法として、例えば図7のYで示したような評価基準線をグラフ上に設定し、評価の対象となる評価対象物Pの演算データが評価基準線Yに対してどの位置に位置するかで耐傷つき性の具体的な評価を行ってもよく、図示しないが、例えば図7のグラフを複数の領域に区分して、どの領域に評価の対象となる評価対象物Pの演算データが位置するかで耐傷つき性の具体的な評価を行ってもよい。また、図7に示したグラフ等を用いて明度評価値Hと傷作成開始荷重Faとの相関関係から耐傷つき性を評価するのではなく、明度評価値Hと傷作成開始荷重Faとをそれぞれ別々に評価し、それらの評価結果から総合的に耐傷つき性を評価するように構成してもよい。具体的には、例えば、明度評価値Hの評価閾値と傷作成開始荷重Faの荷重閾値を設定し、評価対象物Pの明度評価値Hが評価閾値を上回ったか否か、評価対象物Pの傷作成開始荷重Faが荷重閾値を上回ったか否かを評価し、これらの評価結果から耐傷つき性を総合的に評価するように構成してもよい。 なお、本実施例では、評価対象物P1〜P4として、タルクを含有していない黒色の樹脂材料の表面に異なるシボ加工を施したものを用いた評価例を示したが、本発明者の実験結果によると、タルクを含有した樹脂材料や、黒色以外の赤色や青色の樹脂材料においても同様に、耐傷つき性の評価が行えることが確認できた。したがって、タルクを含有している評価対象物同士の耐傷つき性の評価、タルクを含有している評価対象物と含有していない評価対象物との間の耐傷つき性の評価、黒色以外の同じ色の評価対象物同士での耐傷つき性の評価、色違いの評価対象物の間の耐傷つき性の評価などにおいても、本発明の耐傷つき性評価方法を同様に適用できる。また、本実施例では、評価対象物P1〜P4として、ポリプロピレン製のものを用いた評価例を示したが、本発明者の実験結果によると、ポリプロピレン製以外の樹脂材料においても同様に耐傷つき性の評価が行えることが確認できた。したがって、ポリプロピレン製以外の樹脂材料同士の耐傷つき性の評価、異なる材質の評価対象物の間の耐傷つき性の評価などにおいても、本発明の耐傷つき性評価方法を同様に適用できる。要するに、表面にシボ加工が施された樹脂製の評価対象物であれば、どのような評価対象物であっても、本発明の耐傷つき性評価方法で評価することが可能である。 また、本実施例では、傷作成装置2のチップ22として「白化傷作成用のチップ」を取り付け、明度測定装置3の切換機構34を「暗視野照明」に切り換えた状態で耐傷つき性の評価を行った例を示したが、傷作成装置2で作成する傷Kの種類と暗視野照明及び明視野照明との組み合わせとして異なる組み合わせを採用してもよい。具体的には、例えば、チップ22として「光沢傷作成用のチップ」を取り付け、切換機構34を「明視野照明」に切り換えた状態で耐傷つき性の評価を行ってもよい。光沢傷の場合、傷により評価対象物Pの表面の凹凸が平坦化され易い傾向にあり、入射光をそのまま反射する傾向が強いため、切換機構34を「明視野照明」に切り換えることで光沢傷の明度を検出部Bにて精度よく検出できるという利点がある。また、本実施例で示したスリット38Aの大きさや、上記[1]及び[2]の荷重付加条件及び明度測定条件は、一例として示したものであり、異なる大きさのスリット38Aや、異なる荷重付加条件及び明度測定条件を採用してもよい。〔別実施形態〕(1)上記実施形態では、耐傷つき性評価装置1を用いて本発明に係る耐傷つき性評価方法を行った例を示したが、耐傷つき性評価装置1の全部又は一部を作業者が手作業で行うように構成してもよい。具体的には、例えば傷作成装置2を用いずに荷重付加器具等を用いて作業者が手作業で評価対象物Pの表面に傷をつけるように構成してもよく、例えば明度測定装置3の移動式テーブル31や制御装置4の制御部44などを用いずに作業者が手作業で評価対象物Pを移動させるように構成してもよい。また、例えば制御装置4の演算部42などを用いずに作業者が手作業で各種演算を行うように構成してもよく、例えば表示部5を用いずに所定の記録用紙などに各種演算結果等を記載して評価するように構成してもよい。(2)上記(1)とは逆に、上記実施形態で作業者が手作業で行っていたものの全部又は一部を自動的に行うように構成してもよい。具体的には、例えば、傷作成装置2、明度測定装置3、制御装置4、表示部5及び入力部6が図示しない装置本体に付属するように耐傷つき性評価装置1を一体化し、傷が作成されていない評価対象物Pを耐傷つき性評価装置1にセットして入力部6を操作するだけで傷作成ステップから演算結果の表示までの一連のステップが自動的に行われるように構成してもよい。(3)上記実施形態では、評価ステップにおいて、耐傷つき性評価のパラメータである明度評価値H及び傷作成開始荷重Faを表やグラフ等として表示部5に表示し、作業者が表示部5に表示された表やグラフ等から評価対象物Pの耐傷つき性を評価するように構成した例を示したが、制御装置4が自動的に評価対象物Pの耐傷つき性を評価し、評価結果を表示部5に表示するように構成してもよい。具体的には、例えば、単一又は複数の明度評価値Hの評価閾値と、単一又は複数の傷作成開始荷重Faの荷重閾値を設定し、これらの評価閾値及び荷重閾値に基づいて制御装置4で自動的に明度評価値H及び傷作成開始荷重Faを評価し、その評価結果を段階的(例えば、優・良・普・劣など)に表示部5に表示するように構成してもよい。(4)上記実施形態では、チップ移動距離Xを走査距離として設定し、傷Kの全長に亘って傷明度Ln及び表面明度Snを測定した例を示したが、走査距離をチップ移動距離Xよりも短く設定して、傷Kの一部の傷明度Ln及び表面明度Snを測定するように構成してもよく、走査距離をチップ移動距離Xよりも長く設定して、傷明度Lnと表面明度Snとを連続的に測定するように構成してもよい。この場合であっても、傷Kの一部や傷Kを含む部分から評価対象物Pの耐傷つき性を評価することが可能となる。 本発明の耐傷つき性評価方法及び評価装置は、自動車やトラック等の車両の内装部品をはじめOA機器、家電製品、住設機器、家庭雑貨などに用いられるシボ加工が施された樹脂製の材料の耐傷つき性の評価に利用可能である。 1 耐傷つき性評価装置 2 傷作成装置(傷作成手段) 3 明度測定装置(明度測定手段) 5 表示部(表示手段) 22 チップ 38A スリット 41 測定部(明度測定手段) 42 演算部(演算手段) A 照射部 Fa 傷作成開始荷重 H 明度評価値 K 傷 Ln 傷明度 Mn 明度変化率 P 評価対象物 Sn 表面明度 X 走査距離(所定距離) a 所定ピッチ 表面にシボ加工が施された樹脂製の評価対象物の耐傷つき性評価方法であって、 押し付け荷重を増加させながらチップを所定距離走査して前記評価対象物の表面に直線状の傷を作成する傷作成ステップと、 前記傷に光を照射して反射した光の明度を、前記傷の長手方向に沿って所定の測定ピッチ毎に測定する傷明度測定ステップと、 前記測定ピッチ毎に測定された明度に基づいて前記傷の明度評価値を演算する評価値演算ステップと、 前記傷が実際に作成され始めた傷作成開始荷重を演算する傷作成開始荷重演算ステップと、 前記明度評価値と前記傷作成開始荷重とに基づいて前記評価対象物の耐傷つき性を評価する評価ステップとを有する耐傷つき性評価方法。 前記傷を作成する前の前記評価対象物の表面又は前記傷が作成されていない前記評価対象物の表面に光を照射して受光した光の表面明度を、前記測定ピッチ毎に測定する表面明度測定ステップを有し、 前記評価値演算ステップは、前記測定ピッチ毎に測定された表面明度に基づいて前記表面明度の平均値を演算し、さらに、前記測定ピッチ毎に測定された傷の明度と前記平均値との差を前記平均値で割った明度変化率の積算値を演算して、該積算値を前記所定距離で割った値又は該積算値を前記所定距離で割った値の逆数を前記明度評価値として演算する請求項1記載の耐傷つき性評価方法。 前記傷作成ステップは、前記評価対象物の表面に直線状の白化傷を作成し、 前記傷明度測定ステップは、前記白化傷に光を暗視野照射して受光した光の明度を前記測定ピッチ毎に測定する請求項1又は2記載の耐傷つき性評価方法。 前記傷作成ステップは、前記評価対象物の表面に直線状の光沢傷を作成し、 前記傷明度測定ステップは、前記光沢傷に光を明視野照射して受光した光の明度を前記測定ピッチ毎に測定する請求項1又は2記載の耐傷つき性評価方法。 請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐傷つき性評価方法に用いる耐傷つき性評価装置であって、 押し付け荷重を増加させながらチップを所定距離走査して前記評価対象物の表面に直線状の傷を作成する傷作成手段と、 照射部から傷に光を照射して反射した光の明度を、前記傷の長手方向に沿って前記測定ピッチ毎に測定する明度測定手段と、 前記傷作成開始荷重及び前記明度評価値を演算する演算手段と、 前記傷作成開始荷重及び前記明度評価値を表示する表示手段とを有する耐傷つき性評価装置。 前記明度測定手段は、前記照射部から光を照射して反射した光を、前記傷の短手方向に細長いスリットを介して受光して、前記傷の明度を前記測定ピッチ毎に測定する請求項5記載の耐傷つき性評価装置。 【課題】押し付け荷重を増加させながら評価対象物に傷をつけた場合の客観的且つ定量的な耐傷つき性の評価が可能になり、傷の形成具合を考慮した精度のよい耐傷つき性の評価を行うことができる耐傷つき性評価方法及び評価装置を提供する。【解決手段】表面にシボ加工が施された樹脂製の評価対象物Pの耐傷つき性評価方法において、押し付け荷重を増加させながらチップ22を所定距離X走査して直線状の傷Kを作成する傷作成ステップと、傷Kに光を照射して反射した光の明度Lnを測定する傷明度測定ステップと、傷Kの明度評価値を演算する評価値演算ステップと、傷作成開始荷重を演算する傷作成開始荷重演算ステップと、明度評価値と傷作成開始荷重とに基づいて評価対象物Pの耐傷つき性を評価する評価ステップとを有する。【選択図】図4