生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_高純度尿素水の製造方法
出願番号:2012173702
年次:2014
IPC分類:C07C 273/16,C07C 275/00


特許情報キャッシュ

桑机 拓矢 JP 2014031345 公開特許公報(A) 20140220 2012173702 20120806 高純度尿素水の製造方法 日本化成株式会社 000230652 岡田 数彦 100097928 桑机 拓矢 C07C 273/16 20060101AFI20140124BHJP C07C 275/00 20060101ALI20140124BHJP JPC07C273/16C07C275/00 1 OL 7 4H006 4H006AA02 4H006AD17 4H006BB31 本発明は高純度尿素水の製造方法に関する。 ディーゼルエンジン等の内燃機関の排気ガスに含まれるNOxを還元浄化する方法として、尿素水とSCR(Selective Catalytic Reduction、選択還元触媒)方式の触媒コンバータによりNOxを大幅に低減する方法が提案されている(特許文献1)。この尿素SCR方式は、尿素水を還元剤とし、これを前記SCR触媒コンバータに入る直前に排気ガスに混合させる方式であり、尿素は排気ガス中でアンモニアに変化し、SCR触媒コンバータ内で排気ガス中のNOxがアンモニアと結びついて水と無害な窒素に分解されるので、排気ガスのクリーン化に有望な技術とされている。 ところで、尿素水をSCR触媒へ導入する配管は、尿素水を噴霧状に導入する必要があるため細管であることが要求される。そこで、導入配管の閉塞原因物質として、グアニジン、ビウレット等の不純物が除去された尿素水が提案されている(特許文献2)。そして、ここには、グアニジンの濃度に関してはイオン交換樹脂によりグアニジンを吸着分離する方法、ビウレットの濃度に関しては尿素工程液の精製条件を管理して尿素からビウレットへの生成反応を抑制する方法が教示されている。特開2004−290835号公報特開2007−145796号公報 しかしながら、尿素工程液の精製条件を管理して尿素からビウレットへの生成反応を抑制する方法により、尿素水中のビウレット濃度を例えば2000ppm以下にすることは必ずしも容易ではなく、安価に製造された尿素では尿素水中のビウレット濃度が3500ppmを超える場合もある。 本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、安価に製造された尿素を使用し且つ安価な方法でビウレット濃度を低減し得る、高純度尿素水の製造方法を提供することにある。 すなわち、本発明の要旨は、ビウレット濃度が2500ppm以上の尿素水原液を活性炭で処理することによる、ビウレット濃度が低減された高純度尿素水の製造方法であって、活性炭で尿素水原液を処理するビウレット吸着除去工程とビウレットを吸着した活性炭からビウレットを脱着させるビウレット脱着除去工程とを包含し、先ず、ビウレット吸着除去工程を行い、次いで、当該から導出される尿素水中のビウレット濃度が2400ppm以下の規制値を超えた時点でビウレット脱着除去工程を行うことを特徴とする高純度尿素水の製造方法に存する。 本発明によれば前記の課題が解決される。 以下、本発明を詳細に説明する。 尿素水原液に使用される尿素としては安価に製造された肥料用途などの種々の尿素原料が挙げられる。尿素は融点(132.7℃)以上に加熱するとビウレット(尿素縮合体)が生成する。このビウレットは化学式NH2CONHCONH2で表され、尿素2分子の縮合物からアンモニア1分子が分離して生成しできる物質であり、肥料用尿素の製造方法から完全に除くことは困難であり、さらに、尿素を粒状化すると増加する。ビウレットは、作物に有害な物質であり、肥料用尿素中のビウレットの含量は、肥料取締法で定める公定規格において「窒素全量の含有率1.0%につきビウレット性窒素0.02%」の含有が許されている。このことから、肥料用尿素のビウレット含量は2.4%が上限値となる。 一方、尿素水原液に使用される水としては、電気伝導度が50〜100μS/cmの水を使用するのが好ましい。一般には、工業用水あるいは水道水の電気伝導度は、この範囲内に収まるものである。尿素濃度は通常30〜50重量%である。 活性炭としては、特に制限はなく、木質系(木材、ノコギリ屑、ヤシ殻由来のものなど)、石炭系(亜炭、カツ炭、デイ炭、石炭由来のものなど)、石油ピッチ系、フェノール樹脂系、動物系(牛骨、血液由来のものなど)の活性炭などの中から、任意のものを適宜選択して使用することができる。この活性炭には、粉末炭、破砕炭、造粒炭、ハニカム状炭、シート状炭などがある。破砕炭としては、例えば粒度4〜8メッシュ程度のヤシ破砕炭などが好適である。この破砕炭は、ヤシ殻炭などの原料炭を破砕・整粒したのち、賦活して得られたものである。一方、造粒炭としては、例えば粒度4〜6メッシュ程度のペレット炭や、粒度3〜7mm程度の球状炭などが好適である。この造粒炭は、予め微粉砕した原料炭に、瀝青物質などの粘結剤を加えて、ペレット状(円柱状)や球状などに造粒し、炭化・賦活して得られたものである。一般に、活性炭の平均細孔直径は1.5〜2.0nm、比表面積は600m2/g以上である。 本発明において、ビウレットの吸着剤として活性炭を選択した理由は次の通りである。すなわち、以下の吸着試験結果に示す通り、従来公知の一般的な吸着剤の中でビウレットの吸着剤として作用を奏するのは活性炭のみだからである。<吸着試験> 先ず、次の方法で尿素水原液を調製した。すなわち、60℃に加温した純水に撹拌条件下(マグネットスターラー使用)で工業尿素を添加し32.5重量%の尿素水を得、これに試薬のビウレット(関東化学社製 試薬特級)を添加し、ビウレット濃度を0.55重量%にした。 次いで、表1に示す各種の吸着剤を使用し、同表に示す処理方法に従って尿素水原液の吸着剤処理を行い、被処理水中のビウレットを測定した。また、併せてトリウレットについての測定も行った。ビウレット及びトリウレットの濃度は、液体クロマトグラフィー法により行った(検出限界10ppm)。結果を表1に示す。 本発明においては、ビウレット濃度が2500ppm以上の尿素水原液を活性炭で処理する。ビウレット濃度が上記の濃度以上の尿素水は、SCR触媒へ導入する配管の閉塞が懸念されるからである。本発明が適用される尿素水原液のビウレット濃度は、2500ppm以上であるが、好ましくは3500ppm以上である。 本発明は、活性炭で尿素水原液を処理するビウレット吸着除去工程とビウレットを吸着した活性炭からビウレットを脱着させるビウレット脱着除去工程とを包含する。これらの工程は、2つの設備を使用して交互に行っても1つの設備を使用して逐次に行ってもよい。 ビウレット吸着除去工程における吸着剤処理の方式は、前記の表1に示す各種の方式を採用することが出来る。通常は、カラム式または撹拌混合式が使用される。工業的規模の実施では例えばステンレス製のカラムや混合容器が使用される。 ビウレット脱着除去工程は、ビウレット吸着除去工程から導出される尿素水中のビウレット濃度が2400ppm以下の規制値を超えた時点で行う。好ましい規制値は2000ppm以下である。上記のビウレット濃度の規制値に至ったか否かの検出は、ビウレット吸着除去工程から導出される尿素水中のビウレット濃度を例えば液体クロマトグラフィー法で定期的に測定することによって容易に行うことが出来る。 ビウレット脱着除去の方法は、特に制限されず、熱水で溶解する方法、加熱分解する方法、溶剤で溶解する方法などを適宜採用することが出来る。溶剤としては、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液、例えば、NaOH、KOH、Ca(OH)2の水溶液が挙げられ、その濃度は通常10〜50重量%である。 次に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、ビウレット吸着除去工程とビウレット脱着除去工程の切替えのタイミングの実施に問題がないことは明らかであるので、以下に記載の「実施例」では、ビウレット吸着除去工程とビウレット脱着除去工程とを切り離して行った。<尿素水原液の調製> 前記の吸着試験におけるのと同様にして、ビウレット含量0.35重量%の32.5重量%尿素水原液を調製した。<ビウレット吸着除去工程> 表2に記載の活性炭を使用し、バッチ式によるビウレット吸着除去工程を実施した。すなわち、200mlガラスビーカーに尿素水原液100mlと活性炭1.0g〜3.0g入れ、マグネットスターラーで1hr撹拌混合する。そして、0.2μmフィルターで活性炭を取り除いた後、液体クロマトグラフィー法でビウレット量を測定する。結果を表3に示す。<ビウレット脱着除去工程> 日本エンバイロケミカルズ(株)製の「WH2c8/32」を使用した前記のビウレット吸着除去工程に引き続き、次に記載のビウレット脱着除去工程を行った。 0.2μmフィルターで取り除かれた活性炭を200mlガラスビーカーに移し、25重量%のNaOH水溶液100mlを入れ、マグネットスターラーで1hr撹拌混合することにより、活性炭からビウレットを溶解除去した。 そして、ビウレット脱着率を確認するため、0.2μmフィルターで活性炭を取り除き、取り除かれた活性炭を200mlガラスビーカーに移し、洗浄用尿素水(ビウレットを添加せずに調製した32.5重量%尿素水)100mlを入れ、マグネットスターラーで1hr撹拌混合した。そして、洗浄用尿素水中のビウレット量を液体クロマトグラフィー法で測定した。その結果、液体クロマトグラフィー法の検出限界(10ppm)以下であり、ビウレット脱着率は実質的に100%であることが確認された。 ビウレット濃度が2500ppm以上の尿素水原液を活性炭で処理することによる、ビウレット濃度が低減された高純度尿素水の製造方法であって、活性炭で尿素水原液を処理するビウレット吸着除去工程とビウレットを吸着した活性炭からビウレットを脱着させるビウレット脱着除去工程とを包含し、先ず、ビウレット吸着除去工程を行い、次いで、当該から導出される尿素水中のビウレット濃度が2400ppm以下の規制値を超えた時点でビウレット脱着除去工程を行うことを特徴とする高純度尿素水の製造方法。 【課題】安価に製造された尿素を使用し且つ安価な方法でビウレット濃度を低減し得る、高純度尿素水の製造方法を提供する。【解決手段】ビウレット濃度が2500ppm以上の尿素水原液を活性炭で処理することによる、ビウレット濃度が低減された高純度尿素水の製造方法であって、活性炭で尿素水原液を処理するビウレット吸着除去工程とビウレットを吸着した活性炭からビウレットを脱着させるビウレット脱着除去工程とを包含し、先ず、ビウレット吸着除去工程を行い、次いで、当該から導出される尿素水中のビウレット濃度が2400ppm以下の規制値を超えた時点でビウレット脱着除去工程を行う。【選択図】なし


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