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タイトル:公開特許公報(A)_二酸化炭素のメタノール、ジメチルエーテル及び派生生成物への効率的且つ選択的変換法
出願番号:2012173190
年次:2012
IPC分類:C07C 29/136,C07C 29/151,C07C 31/04,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

オラー ジョージ エイ プラカシュ スリア ジー ケイ JP 2012236847 公開特許公報(A) 20121206 2012173190 20120803 二酸化炭素のメタノール、ジメチルエーテル及び派生生成物への効率的且つ選択的変換法 ユニヴァーシティー オブ サザン カリフォルニア 301040556 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ 110000408 オラー ジョージ エイ プラカシュ スリア ジー ケイ US 60/671,651 20050415 US 60/763,678 20060130 C07C 29/136 20060101AFI20121109BHJP C07C 29/151 20060101ALI20121109BHJP C07C 31/04 20060101ALI20121109BHJP C07B 61/00 20060101ALN20121109BHJP JPC07C29/136C07C29/151C07C31/04C07B61/00 300 15 2 2008506654 20060412 OL 21 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC41 4H006BA05 4H006BA23 4H006BA26 4H006BA55 4H006BD70 4H006BE20 4H039CA60 4H039CB20本発明は、入手し得る二酸化炭素源の還元的転換によりメタノールを製造する方法に関する。炭化水素は、近代生活においては不可欠である。炭化水素は、燃料、並びに化学、石油化学、プラスチックおよびゴム工業のような各種分野における原材料として使用されている。石炭、石油およびガスのような化石燃料は、炭素と水素の種々の比率を有する炭化水素からなり、燃焼させる場合は再生不可能に使用されて、二酸化炭素および水を発生させる。その広範な用途および高い需要にもかかわらず、化石燃料は、有限な埋蔵量、不可逆的燃焼並びに大気汚染および世界的温暖化の原因のような多くの不利益を提供している。これらの不利益および増大しているエネルギー需要を考慮すれば、代替エネルギー源が必要である。頻繁に取り上げられている1つのそのような代替物は、水素、いわゆる“水素経済”である。水素は、クリーン燃料として有利であり、燃焼するとき水のみを生成する。しかしながら、遊離の水素は天然のエネルギー源ではなく、水素の炭化水素または水からの生産は、極めてエネルギー消費性のプロセスである。さらに、水素を炭化水素から生成させる場合、クリーン燃料として強調される水素の如何なる利益よりも、主として天然ガス、石油または石炭の合成ガス(“syn-ガス”)、即ち、COとH2との混合物への改質による水素生産自体の方がクリーンとは程遠いという事実の方が上回っている。水素生産は化石燃料を消費し、燃料エネルギーの1/4は熱として失われる。また、水素は、取扱い、貯蔵し、輸送しまた流通することが困難であり費用高であるので、便利なエネルギー貯蔵媒体ではない。水素ガスは、極めて揮発性であり潜在的に爆発性であるので、高圧装置、費用高で非現実的な基幹施設、拡散および漏出を最低限にするための特別な材料、並びに爆発を防止するための大規模な安全措置を必要とする。より実際的な代替物はメタノールであることが示唆された。メタノール、即ち、CH3OHは、1個の付加的な酸素原子によってメタン(CH4)とは異なる最も簡単な液体酸素化炭化水素である。メチルアルコールまたは木精とも称されるメタノールは、穏やかなアルコール臭を有する無色の水溶性液体であり、貯蔵および輸送するのが容易である。メタノールは、-97.6℃で凍結し、64.6℃で沸騰し、20℃で0.791の密度を有する。メタノールは、エネルギーを貯蔵する便利で且つ安全な手段であるのみならず、その誘導体であるジメチルエーテル(DME)と共に優良な燃料である。ジメチルエーテルは、メタノールから脱水によって容易に得られ、その高セタン価および好ましい性質故に、とりわけディーゼルエンジンにおける有効な燃料である。メタノールおよびジメチルエーテルは、ガソリンまたはディーゼルと混合して、例えば内燃エンジンまたは発電機における燃料として使用し得る。メタノールの最も効率的な使用の1つは、燃料電池、とりわけ、メタノールを二酸化炭素および水に直接酸化させると同時に電気を発生させる直接メタノール燃料電池(DMFC)においてである。多くの種々の炭化水素と添加剤の複雑な混合物であるガソリンと異なり、メタノールは、単一の化学化合物である。メタノールは、ガソリンの約半分のエネルギー密度を有し、2リットルのメタノールが1リットルのガソリンと同じエネルギーを提供することを意味する。メタノールのエネルギー含有量が低いにしても、メタノールは、100という高いオクタン価(107のリサーチ法オクタン価(RON)と92のモーター法オクタン価(MON)の平均)を有し、このことは、燃料/空気混合物を発火させる前により小さい体積に圧縮し得ることを意味する。このことは、エンジンがより高い圧縮比(ガソリンエンジンの8〜9対1に対して10〜11対1)において、ガソリン出力エンジンよりも効率的に稼動するのを可能にする。また、エンジン内における、より速くより完全な燃料燃焼を可能にするメタノールの高めの“火炎速度”によっても効率が上昇する。これらの要因は、ガソリンよりも低いエネルギー密度にもかかわらずメタノールが高効率であることを説明している。さらに、メタノールを最も極寒の条件においてさえもより発火性にするために、メタノールをガソリン、揮発性化合物(例えば、ジメチルエーテル)、他の成分またはメタノールを気化または噴霧化する装置と混合し得る。例えば、自動車燃料はメタノールをガソリンに添加することによって製造し得、その燃料は、少なくとも15体積%の最小ガソリン含有量を有して(M85燃料)、燃料が低温環境においてさえも容易に始動し得るようにし得る。勿論、そのような燃料におけるガソリンの如何なる置換えもオイル資源を節約し、添加するメタノールの量は、特定のエンジン設計に応じて決定し得る。メタノールは、ガソリンよりも約3.7倍高い蒸発潜熱を有し、液体からガス状態へと経過するとき有意に多めの量の熱を吸収し得る。このことは、エンジンからの熱の離れを助け、重い水冷装置の代りに空冷ラジエータの使用を可能にする。従って、ガソリン出力車と比較して、メタノール出力エンジンは、より小型で軽量のエンジンブロック、冷却条件の軽減、並びにより良好な加速および燃費能力を提供する。また、メタノールは、ガソリンよりも環境に優しく、炭化水素、NOx、SO2および粒状物のような大気汚染物の放出全体が低い。また、メタノールは、入手し得る最も安全な燃料の1つである。ガソリンと比較して、メタノールの物理的、化学的性質は、火災のリスクを有意に低める。メタノールは低い揮発性を有し、発火が生じるのにガソリンよりも4倍濃縮しなければならない。発火したときでさえ、メタノールは、ガソリンよりも約4倍遅く燃焼し、ガソリン火炎速度の1/8でしか熱を放出せず、低い放射熱出力故に周囲の発火性物質への拡散ははるかに低いであろう。EPAは、ガソリンからメタノールへの切換えは、燃料関連火災の発生率を90%低下させると推定している。メタノールは無色の炎で燃焼するが、この問題は、添加剤により解決し得る。また、メタノールは、ディーゼル燃料に対しても魅力的で環境に優しい代替物を提供する。メタノールは、燃焼中に汚染性粒子を一般に発生するディーゼル燃料とは対照的に、燃焼時に噴煙、煤煙または粒状物を発生しない。また、メタノールは、ディーゼルよりも低温で燃焼するので、極めて低放出量のNOxしか発生させない。さらにまた、メタノールは、ディーゼル燃料と比較して、有意に高い蒸気圧を有し、その高い揮発性により、寒冷気候においてさえも、通常のディーゼルエンジンによる寒冷始動の典型的な白煙を生じることなく、容易な始動を可能にする。必要に応じて、硝酸オクチル、硝酸テトラヒドロフルフリル、過酸化物または高級アルキルエーテルのような添加剤または発火改良剤を添加してメタノールのセタン価をディーゼルに近いレベルにもたらし得る。また、メタノールは、脂肪酸のエステル化によるバイオディーゼル燃料の製造においても使用し得る。メタノールと密接に関連し、メタノールから誘導され、さらにまた、望ましい代替燃料は、ジメチルエーテルである、全てのエーテルのうちの最も簡単なものであるジメチルエーテル(DEM、CH3OCH3)は、禁制CFCガスの変わりに、スプレー缶中のエアゾール推進剤として現在主として使用されている無色で、無毒、非発がん性、非腐蝕性の環境に優しい化学品である。DMEは、-25℃の沸点を有し、周囲条件下では気体である。しかしながら、DMEは、液化石油ガス(LPG)とまったく同様に、加圧タンク内で液体として容易に取扱われ、貯蔵されている。代替燃料としてのジメチルエーテルの興味は、55〜60のその高いセタン価にあり、このセタン価は、メタノールのセタン価よりもはるかに高く、また、通常のディーゼル燃料の40〜55のセタン価よりも高い。このセタン価は、DMEをディーゼルエンジンにおいて有効に使用し得ることを示唆している。有利なことに、DMEは、メタノール同様、クリーン燃焼性であり、煤煙粒状物、黒煙またはSO2を発生せず、その排ガスの後処理なしでさえも極めて少量のNOxおよび他の放出物しか発生させない。DMEの幾つかの物理的、化学的性質を、ディーゼル燃料と比較して、下記の表1に示す。表1:DMEとディーゼル燃料の物理的性質の比較現在、DMEは、専ら、メタノールの脱水によって製造されている。また、メタノール合成工程と脱水工程を1つの工程に組合せることによる合成ガスからの直接DME合成方法も開発されてきている。もう1つのメタノール誘導体は、炭酸ジメチル(DMC)であり、これは、メタノールをホスゲンによって転換することにより或いはメタノールの酸化的カルボニル化により得ることができる。DMCは、高セタン価を有し、ディーゼル燃料に10%までの濃度で混合して燃料粘度を低下させ、排気を改善することができる。メタノールおよびその誘導体、例えば、DME、DMC、並びにバイオディーゼルは、多くの実際的および潜在的用途を有する。これらは、例えば、ICE出力車におけるガソリンおよびディーゼル燃料の代替物として、現存のエンジンおよび燃料系にほんの僅かな改変を加えることによって使用し得る。また、メタノールは、輸送分野におけるICEの最良の代替物とみなされている燃料電池車両(FCV)用の燃料電池においても使用し得る。また、DMEも、家庭加熱用さらには工業用途におけるLNGおよびLPGの潜在的な代替物である。また、メタノールは、水素への改質において有用である。水素の貯蔵および流通に関連する問題に対処する試みにおいては、ガソリンまたはメタノールのような水素に富む液体を車両内の水素源として車上改質器によって使用することが示唆されている。また、メタノールは、そのような水素生産において入手し得る全ての物質のうちの最も安全なものとみなされている。さらに、液体メタノールの高水素含有量故に、純粋低温水素と比較しても(-253℃の液体水素中の70.8gに対して室温でのメタノール1リットル中では98.8gの水素)、メタノールは、水素燃料の優れた担体である。メタノール中に破壊することの難しいC-C結合が存在しないことは、その純粋水素への転換を80〜90%の効率でもって容易にする。純粋水素系貯蔵装置とは対照的に、改質システムはコンパクトであり、均一液体水素よりも体積基準で水素を多く含有し、加圧なしで貯蔵し取扱いするのが容易である。また、メタノール水蒸気改質器は、はるかに低い温度(250〜350℃)において操作を可能にする点で、さらに、車上使用に良好に適応化させるのに有利である。さらにまた、メタノールは、燃料電池に対する汚染物であるイオウを含有せず、また、窒素酸化物は、低操作温度故にメタノール改質器からは形成されない。粒状物およびNOx放出物は事実上排除され、他の放出物は最低限である。さらにまた、メタノールは、燃料補給をディーゼル燃料同様に迅速且つ容易にし得る。即ち、車上メタノール改質器は、容易に流通させることができ、車両内で貯蔵し得る液体燃料からの水素の迅速且つ効率的な給送を可能にする。今日まで、メタノールは、輸送用途用の燃料電池において使用するのに適切であると実用規模で処理され、実証されている唯一の液体燃料である。また、車上改質以外に、メタノールは、水素燃料電池車両に燃料補給するための給油所における水素の好都合な生産も可能にする。燃料電池、即ち、燃料の自由化学エネルギーを電気エネルギーに変換する電気化学装置は、触媒電気化学酸化による電力生産の高効率の方法を提供する。例えば、水素と酸素(空気)を電気化学電池様装置内で混合して水と電力を生成させる。該方法はクリーンであり、水が唯一の副生成物である。しかしながら、水素自体を、先ず、電気分解によって或いは改質器により炭化水素源(化石燃料)からエネルギー消費過程において生成させなければならないので、水素燃料電池は、利用においては依然として必然的に限られている。高純度水素の製造方法は、高活性触媒によるメタノールの水蒸気改質により開発されており、比較的低温(240〜290℃)での操作を可能にし、さらに、操作の柔軟性並びに迅速な始動および停止を可能にしている。これらのメタノール-水素(MTH)装置は、時間当り50〜4000m3のH2の生産能力範囲において、電子工学、ガラス、セラミックおよび食品加工工業のような種々の産業において既に使用されており、優れた信頼性、長期寿命および最低のメンテナンスを備えている。比較的低温で操作することで、MTH法は、メタノールを適切な反応温度に加熱するのにあまりエネルギーを必要としないことから、600℃より上で実施しなければならない天然ガスおよび他の炭化水素の改質を上回る明白な利点を有する。メタノールの有用性は、他の改質方法、例えば、水蒸気改質、メタノールの部分酸化および新規な触媒系を組合せた酸化的水蒸気改質として知られる方法の開発をもたらしている。酸化的水蒸気改質法は、ゼロまたは痕跡量のCOを含む高純度水素を、高メタノール転換率および230℃ほどの温度で生産する。該方法は、水蒸気改質と異なり、発熱反応の利点を有し、従って、エネルギー消費を最少化する。また、水蒸気改質と特定比率のメタノール部分酸化を組合せ、発熱反応の欠点にそれ自体持続するに十分なエネルギーのみを発生させることによって対処するメタノールの自熱改質法も存在する。自熱改質は発熱性でも吸熱性でもなく、一旦反応温度に達すると何ら外部熱を必要としない。上述の可能性にもかかわらず、水素燃料電池は、高度に揮発性で可燃性の水素または改質器を使用しなければならない。米国特許第5,599,638号は、水素燃料電池の欠点に対処するための簡単な直接メタノール燃料電池(DMFC)を開示している。水素燃料電池とは対照的に、上記DNFCは、水の電気分解または天然ガスまたは炭化水素の改質のような方法による水素生成に依存していない。また、DMFCは、液体燃料としてのメタノールが、貯蔵および流通に新たな基盤施設を必要とする水素燃料と異なり、周囲温度での冷却或いは費用高の高圧基盤施設を必要とせず、現存の貯蔵および分配装置によって使用し得るので、よりコスト有効性である。さらに、メタノールは、通常のバッテリーおよびH2-PEM燃料電池のような他の系と比較して、比較的高い理論体積エネルギー密度を有する。このことは、小サイズおよびエネルギー単位量が所望される小携帯用途(携帯電話、ラップトップコンピュータ等)においては大いに重要である。DMFCは、輸送分野のような種々の領域において多くの利点を提供する。メタノール水蒸気改質器の必要性を排除することにより、DMFCは、コスト、複雑性および車両重量を有意に軽減し、燃費を改善する。また、DMFC装置は、その簡素性においても、直接水素燃料電池に匹敵し、車上水素貯蔵または水素生成用改質器の厄介な問題はない。水とCO2のみを放出するので、他の汚染物(例えば、NOx、PM、SO2等)の放出は、排除される。直接メタノール燃料電池車両は、事実上ゼロ放出車両(ZEV)であることが予測され、メタノール燃料電池車両の使用は、車両からの大気汚染物を長期に亘ってほぼ削減することが見込まれる。さらに、ICE車両と異なり、放出プロフィールは、経時的にほぼ変化しないままであることが予測される。34%の室温温度効率を可能にする節減されたコストとクロスオーバー特性を有する炭化水素またはヒドロフルオロカーボン材料系の新たな膜が開発されている。説明したように、メタノールは輸送燃料として多くの重要な利点を有する。水素と異なり、メタノールは、加圧または液化のためのエネルギー集約的な手順を何ら必要としない。メタノールは、室温で液体であるので、車両中で容易に取扱い、貯蔵し、分配し、搬送することができる。メタノールは、車上メタノール改質器を介して燃料電池車両用の理想的な水素担体として機能し得、DMFC車両において直接使用し得る。また、メタノールは、静置用途における魅力的な燃料源である。例えば、メタノールは電力を発生させるガスタービンの燃料として直接使用し得る。ガスタービンは燃料として天然ガスまたは軽質石油留出物を典型的に使用する。そのような燃料と比較して、メタノールは高い出力およびその低燃焼温度故の低NOx放出を達成し得る。メタノールはイオウを含有していないので、SO2放出も排除される。メタノールにおける操作は、天然ガスおよび留出物燃料と同じ柔軟性を提供し、比較的容易な改変後、元々天然ガスまたは他の化石燃料用に設計された現存のタービンにより実施し得る。また、高純度薬品級メタノールよりも低生産コストを有する燃料級メタノールをタービンにおいて使用し得るので、メタノールは魅力的な燃料である。静置用途においては燃料電池のサイズおよび重量は移動用途よりも重要ではないので、PEM燃料電池およびDMFC以外の各種燃料電池、例えば、リン酸、溶融炭酸塩および固体酸化物燃料電池(それぞれ、PAFC、MCFCおよびSOFC)も使用し得る。燃料としての使用以外に、メタノールおよびメタノール由来化学品は、化学工業において他の有意な用途を有する。今日、メタノールは、化学工業における最も重要な原料の1つである。3200万トンの年間生産メタノールの大部分は、ホルムアルデヒド、酢酸、MTBE (環境的理由で次第に廃止されつつある)のような基礎化学品、並びに各種ポリマー、塗料、接着剤、建設材料等を含む多種類の化学製品および材料の製造に使用されている。世界的には、ほぼ70%のメタノールは、ホルムアルデヒド(38%)、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE、20%)および酢酸(11%)を製造するのに使用されている。また、メタノールは、とりわけ、クロロメタン、メチルアミン、メチルメタクリレートおよびジメチルテレフタレート用の原料である、その後、これらの化学中間体を処理して、塗料、樹脂、シリコーン、接着剤、凍結防止剤およびプラスチックのような製品を製造している。メタノールから大量に製造されるホルムアルデヒドは、主として、フェノール-、尿素-およびメラミン-ホルムアルデヒド樹脂およびポリアセタール樹脂、並びにブタンジオールおよびメチレンビス(4-フェニルイソシアネート) (MDI;MDI発泡体は、冷蔵庫、ドアにおける、さらに車両ダッシュボードおよびバンパーにおける断熱材として使用される)を製造するのに使用されている。ホルムアルデヒド樹脂は、広範囲の用途における、例えば、パーチクルボード、合板および他の木材パネルの製造における接着剤として主として使用される。メタノール由来化学製品および材料の例は、図1に示している。基礎化学品の製造においては、原材料は、典型的には製造コストの60〜70%までを構成する。従って、原料のコストは、有意な経済的役割を果たす。その低コスト故に、メタノールは、現在エチレンおよびプロピレンのようなより費用高の原料を使用して、酢酸、アセトアルデヒド、エタノール、エチレングリコール、スチレンおよびエチルベンゼン、並びに各種合成炭化水素製品を製造する方法における潜在的な原料であるとみなされている。例えば、メタノールのエタノールへの直接転換は、ロジウム系触媒(メタノールのアセトアルデヒドへの還元的カルボニル化を90%に近い選択性でもって促進させることが判明している)およびルテニウム系触媒(アセトアルデヒドをエタノールへさらに還元する)を使用して達成し得る。また、原料としてエチレンを使用する通常の方法の代りにメタノールの酸化的カップリングによりエチレングリコールを製造する可能性も追求されており、さらに、メタノール脱水によって得られるジメチルエーテルからのエチレングリコールの合成における有意の前進も図られている。メタノールのエチレンおよびプロピレンのようなオレフィンへの転換は、メタノール-オレフィン(MTO)技術としても知られており、オレフィン物質の高需要、とりわけポリオレフィン生産におけるとりわけ有望な検討事項である。MTO法は、現在のところ、2工程法であり、天然ガスをsynガスからメタノールに転換し、その後、メタノールをオレフィンに転換している。メタノールを先ず脱水してジメチルエーテル(DME)とし、その後、これが反応してエチレンおよび/またはプロピレンを形成することが考慮されている。少量のブテン、より高級のオレフィン、アルカンおよび芳香族も形成される。種々の触媒、例えば、ZSM-5 (Mobil社によって開発されたゼオライト)のような合成アルミノシリケートゼオライト触媒、SAPO-34およびSAPO-17 (UOP社)のようなシリコアルミノホスフェート(SAPO)分子ふるい、並びにアルミナ上の酸化タングステンのような二官能性支持型酸-塩基触媒(WO3/Al2O3)は、メタノールをエチレンおよびプロピレンに250〜350℃の温度で転換するのに活性であることが判明している。最終生成物のタイプおよび量は、使用する触媒のタイプおよびMTO法に依存する。操作条件により、プロピレン対エチレンの質量比は、約0.77〜1.33で改変し得、著しい柔軟性を可能にする。例えば、UOP and Norsk Hydro社により開発されたMTO法に従うSAPO-34を使用する場合、メタノールは、エチレンおよびプロピレンに80%よりも高い選択性で、さらにまた、多くの製品の価値ある出発物質であるブテンに約10%で転換する。ZSM-5触媒によるLurgi社によって開発されたMTO法を使用する場合、主として、プロピレンが70%よりも高い収率で生成する。ZSM-5触媒によるExxonMobil社により開発された方法は、ガソリンおよび/または留出物範囲の炭化水素を95%よりも高い選択性で生成させる。また、著しい酸性度を有する媒体-有孔ゼオライト、例えば、ZSM-5を触媒として使用するメタノール-ガソリン(MTG)法も存在する。この方法においては、メタノールを先ず脱水して触媒上のジメチルエーテル、メタノールおよび水の平衡混合物とし、その後、この混合物を軽質オレフィン、主として、エチレンおよびプロピレンに転換する。軽質オレフィンは、さらなる転換を受けて、より高級のオレフィン、C3〜C6アルカン、並びにトルエン、キシレンおよびトリメチルベンゼンのようなC6〜C10芳香族となる。石油およびガス埋蔵量の減少により、合成炭化水素が主要な役割を果たすであろうことは、必然的である。従って、MTGおよびMTO法により入手し得るメタノール系合成炭化水素および化学品は、石油およびガス系物質の置換えに当って益々の重要性を担うであろう。上記で列挙したメタノールの使用は、例示であって、限定するものではない。また、メタノールは、単細胞タンパク質源としても使用し得る。単細胞タンパク質(SCP)とは、エネルギーを獲得しながら炭化水素基質を分解する微生物が産生するタンパク質を称する。タンパク質含有量は、微生物のタイプ、例えば、細菌、酵母、カビ等に依存する。SCPは、食品および動物飼料としての使用のような多くの用途を有する。メタノールの数多くの用途を考慮すれば、メタノールを製造する改良され且つ効率的な方法を有することが明らかに望ましい。現在のところ、メタノールは、ほぼ専ら、化石燃料、主として天然ガス(メタン)および石炭の不完全燃焼(または触媒改質)から得られた合成ガスから製造されている。また、メタノールは再生可能なバイオマスからも製造し得るが、そのようなメタノール生産もsynガスを含み、エネルギー的に好ましくはなく、規模的に限られる。本明細書において使用するとき、用語“バイオマス”とは、任意のタイプの植物または動物物質、即ち、木材および木材廃棄物、農作物およびその廃棄副産物、都市ゴミ、動物廃棄物、水生植物および藻類を含む、生物形態によって生産された材料を包含する。バイオマスのメタノールへの転換方法は石炭からのメタノールの製造方法と同様であり、バイオマスのsynガスへのガス化、その後の化石燃料において使用したのと同じ方法によるメタノール合成を必要とする。また、バイオマスの使用は、低エネルギー密度並びに嵩高なバイオマスの集荷および輸送の高コストのような他の不利益も提供する。“バイオ原油”(biocrude)、即ち、バイオマスの急速熱分解により得られた黒色液体の使用を含む最近の改良法は幾分有望ではあるものの、バイオ原油の商業的応用のためにはさらなる開発を必要とする。現存のメタノール製造方法はsynガスを必要とする。synガスは、水素、一酸化炭素および二酸化炭素の混合物であり、メタノールは、下記の反応式に従って不均質触媒上で生成させている:最初の2つの反応は、それぞれ、21.7 kcal.mol-1および9.8 kcal.mol-1に等しい反応熱を伴う発熱性であり、体積低下をもたらす。メタノールへの転換は、圧力を上げ、ルシャトリエ(Le Chatelier)の原理に従って温度を下げることによって助長される。3番目の反応式は吸熱性逆水性ガスシフト反応(RWGSR)を説明する。第3の反応において生成させた一酸化炭素は水素とさらに反応してメタノールを生成し得る。第2の反応は単純に第1と第3の反応の和である。これら反応の各々は、可逆的であり、従って、反応条件、例えば、温度、圧力およびsynガスの組成による熱力学平衡によって制限される。メタノール製造用の合成ガスは、任意の炭素質物質、例えば、石炭、コークス、天然ガス、石油、重質油、およびアスファルトの改質または部分酸化によって得ることができる。synガスの組成は、一般に、下記に示す等式に相応する化学量論数Sによって特徴付けられる。 S = (H2モル数−CO2モル数)/(COモル数+CO2モル数)理想的には、Sは、2に等しいかまたは2よりも僅かに高い。2よりも高い値は過剰の水素を示し、一方、2よりも低い値は、相対的な水素不足を示す。プロパン、ブタンまたはナフサのような高めのH/C比を有する原料の改質は、メタノールへの転換に理想的な2近くのS値をもたらす。しかしながら、石炭またはメタンを使用する場合は、さらなる処理が最適のS値を得るのに必要である。石炭からの合成ガスは、望ましくない副生成物の形成を回避する処理を必要とする。メタンの水蒸気改質では、2.8〜3.0の化学量論数を有するsynガスが得られ、CO2を添加するか或いはアンモニア合成のような何か他のプロセスにおける過剰の水素を使用することによってS値を2近くに下げることを必要とする。しかしながら、天然ガスは、高水素含有量を、さらには、最低のエネルギー消費、資本投下および操作コストを提供することから、メタノール製造用の依然として好ましい原料である。また、天然ガスは、イオウ、ハロゲン化化合物、および上記方法で使用する触媒を汚損し得る金属のような少量の不純物も含有する。現存の各方法は、極めて活性で選択性の銅系触媒を必ず使用しており、反応器設計および触媒配置においてのみ異なる。synガスのほんの1部のみしか触媒上を通過後にメタノールに転換されないので、残りのsynガスを、メタノールおよび水の分離後に再利用している。また、synガスを液体中にバブリングさせるより最近開発されたメタノール製造の液相法も存在する。現存の各方法は99%よりも高いメタノール選択性および70%よりも高いエネルギー効率を有するものの、反応器を出る粗メタノールは、水並びに他の不純物、例えば、溶解ガス(例えば、メタン、COおよびCO2)、ジメチルエーテル、ギ酸メチル、アセトン、より高級のアルコール(エタノール、プロパノール、ブタノール)および長鎖炭化水素を依然として含有している。商業的には、メタノールは、3通りの純度等級、即ち、燃料級、溶媒として一般に使用される“A”級、および“AA”即ち化学等級で入手し得る。化学等級は、99.85%を超えるメタノール含有量の最高純度を有し、メタノール生産工業において一般的に順守されている基準である。synガス生成および精製工程は現存の各方法においては重要であり、最終結果は原料の性質および純度に大きく依存している。所望の純度レベルを達成するために、現存の各方法によって製造したメタノールは、通常、十分な蒸留によって精製する。synガスによる現存のメタノール製造方法のもう1つの主要な欠点は、最初の高吸熱性水蒸気改質工程のエネルギー必要性である。また、上記方法は、メタンを酸化反応において一酸化炭素に転換し、引続き、この一酸化炭素(および幾分かのCO2)をメタノールに還元しなければならないので非効率である。明らかに、最初にsynガスを生成させることなくメタノールを製造することが望ましく有利である。豊富な、実際には無限の二酸化炭素のような資源を炭素源としてメタノールを生産することはさらに有利であろう。例えば、米国特許第5,928,806号(その内容全体を参考として本明細書に合体させる)は、二酸化炭素系の再生可能な燃料電池概念に基づくメタノール、並びに関連酸素化物および炭化水素の製造を開示している。炭化水素は、燃焼させるとき二酸化炭素と水を生成する。このプロセスを逆転させることができ、有効且つ経済的な方法を見出して二酸化炭素と水からメタノールを製造し、その後、エネルギー貯蔵、燃料および合成炭化水素の製造のために使用し得るならば、明らかに多大な意義がある。植物光合成においては、二酸化炭素が大気から捕捉され、水と太陽エネルギーによって新たな植物生命体に転換されている。しかしながら、植物生命体の化石燃料への転化は極めて長期のプロセスである。従って、二酸化炭素の化学的再利用方法を開発して、短期の商業的に実施可能な時間スケールで炭化水素を製造することが極めて望ましい。二酸化炭素は、光化学的にまたは電気化学的に容易にギ酸に還元され、ホルムアルデヒドとメタノールが僅かに少量形成されることが知られている。また、CO2の圧力下でのメタノールへの直接電気化学還元においては、ギ酸メチルが得られる。不均質触媒を使用しての二酸化炭素の接触水素化においては、メタノールが、水さらにはギ酸およびホルムアルデヒドと一緒に得られる。必要な水素の生産は高度にエネルギー消費性であるので、二酸化炭素からの等モル量の水および他の副生成物を伴うメタノールの製造は実際的ではない。二酸化炭素のメタノールへの選択的に高収率で高選択経済的に有効な転換方法は現在のところ知られていない。二酸化炭素の複雑な金属水素化物、例えば、水素化アルミニウムリチウムによるメタノールへの高選択性実験室還元法は極めてコスト高であり、従って、メタノールの大量生産には適していない。CO2をメタノールに、次いで、接触または電気化学水素化により炭化水素に化学的に転換する試みは行われている。金属およびその酸化物、とりわけ銅および亜鉛をベースとする触媒が、この目的において開発されている。これらの触媒は、予想に反して、synガスによる通常のメタノール製造において現在使用されている触媒と同様である。今では、メタノールは、ほぼ専ら上記触媒表面上でsynガス中に含まれるCO2の水素化によって最も確実に形成されることが理解されている。メタノールに転換するには、synガス中に存在するCOが先ず水性ガスシフト反応を受けてCO2とH2を形成し、その後、CO2が水素と反応してメタノールを生成する。そのようなメタノール転換方法の大規模使用における1つの制約要因は、原料、即ち、CO2およびH2の入手性である。CO2は種々の産業排出物から比較的容易に大量に入手し得るが、水素は、主として、非再生性の化石燃料系のsynガスから生産されており、従って、限られた入手性を有する。さらに、化石燃料からの水素の生成は、高エネルギー条件を必要とする。メタンの熱分解により水素および固体炭素を生成させる“Carnol”法のような他の化石燃料からの水素生成方法が研究されている。その後、生成させた水素をCO2と反応させてメタノールを生成させている。この方法は、メタン水蒸気改質または部分酸化により生成させたCO2放出物と比較して、比較的低いエネルギー(1モルの水素を生成させるのに約9cal)しか必要とせず、また、より容易に取扱いし、貯蔵し、使用し得る副生成物を生成するために、メタン水蒸気改質よりも有利である。しかしながら、メタンの熱分解は、メタンを800℃よりも高い温度に加熱する必要があり、比較的低収率の水素しか得られない。いずれにせよ、この方法は商業的応用のためには実質的な開発を必要とする。メタノールを循環二酸化炭素から大規模に生産し得るならば、そのような方法は、大気中および化石燃料燃焼発電プラントおよびセメントプラントの産業排気中の二酸化炭素の豊富な供給を考慮すると有利であろう。同時に、そのような方法は、世界的気候変化(即ち、温暖化)を起している温室効果も緩和するであろう。本発明は、今回、これらの利益を得るためのそのような方法を提供する。(発明の開示)本発明は、入手し得る二酸化炭素源の還元的転換によりメタノールを製造する種々の実施態様の環境的に有益な方法に関する。第1の実施態様は、ホルムアルデヒド並びに少量のメタノールおよびメタンの同時形成を伴ってギ酸を含む反応混合物を生成させるに十分な条件下で二酸化炭素を還元する工程、および、その後の、該反応混合物を分離することなく、ホルムアルデヒドをギ酸およびメタノールに転換するのに十分な条件下で実施する処理工程を含む。第2の実施態様は、上記第1の実施態様の方法の反応混合物を、該反応混合物を分離することなく、上記ホルムアルデヒドを水素源としての上記ギ酸の一部と反応させてメタノールとすることにより、さらに、上記ギ酸の一部をメタノールと反応させてギ酸メチルを形成させることにより増量させる工程、および、その後の、上記ギ酸メチルを、メタノールを形成させるに十分な条件下で接触水素化する工程を含む。第3の実施態様は、二酸化炭素から、二酸化炭素と炭素との高温反応により一酸化炭素を生成させ、該一酸化炭素を上記第1の実施態様の方法により生成させたメタノールと、ギ酸メチルを形成させるに十分な条件下で反応させる工程、および、その後の、上記ギ酸メチルを、メタノールを形成させるに十分な条件下で接触水素化する工程を含む。いずれの実施態様においても、二酸化炭素は、化石燃料燃焼発電プラントまたは工業プラントからの排気流または天然ガスに随伴する供給源から好都合に得ることができる。そのような供給源から得られた二酸化炭素は、触媒的、光化学的または電気化学的還元により還元し得る。もう1つの好都合な二酸化炭素源は大気であり、二酸化炭素は、大気二酸化炭素を適切な吸着剤上に吸収させ、次いで、該吸着剤を処理して吸着二酸化炭素を吸着剤から放出ことによって得ることができる。吸着剤は、十分に加熱することにより或いは十分な減圧に供することにより処理して吸着二酸化炭素を放出させてもよい。二酸化炭素を先ず炭素により一酸化炭素に還元する場合、引続き、一酸化炭素を上記第1の実施態様の方法において生成させたメタノールと反応させてギ酸メチルを得、その後、これを接触水素化してメタノールを生成させる。ギ酸メチルの水素化に必要な水素は、好ましくは、上記反応混合物からのギ酸の少なくとも一部を分解させることによって取得する。また、二酸化炭素の還元に必要な水素は、二酸化炭素をメタンまたは天然ガスと反応させて調製し得る。また、メタンと二酸化炭素の反応は、ギ酸メチルの水素化用の水素も提供し得る。他の生成物を形成するには、上記メタノールを、ジメチルエーテルを生成する十分な条件下で脱水させ得る。ジメチルエーテルを酸-塩基触媒またはゼオライト系触媒の存在下に加熱して、エチレンまたはプロピレンを生成させ得る。後者のいずれかは、より高級オレフィン、合成炭化水素または芳香族、並びにこれらの化学品用の原料としてまたは輸送燃料として使用するための生成物に転換し得る。エタノールまたはプロパノールは、それぞれ、エチレンまたはプロピレンの水和によって調製し得る。あるいは、ジメチルエーテルは、家庭または工業的使用における加熱目的用の天然ガスおよびLPGの代替物として使用し得る。合成燃料の領域においては、十分量のジメチルエーテルを通常のディーゼル燃料と混合することによって改良されたディーゼル燃料を調製し得る。また、炭酸ジメチルは、メタノールとホスゲンの反応により或いはメタノールの酸化的カルボニル化により調製し得、改良されたディーゼル燃料は、十分量の炭酸ジメチルを通常のディーゼル燃料と混合することによって調製し得る。輸送燃料は、メタノールをガソリンに添加することによって調製し得、該燃料は、少なくとも15体積%の最低ガソリン含有量を有する。他の用途に関しては、上記メタノールまたはジメチルエーテルは、LNGまたはLPGの使用および輸送に固有の不利益または危険性を最低にまたは排除するための好都合なエネルギー貯蔵および輸送用物質として機能し得る。また、メタノールをヒトまたは動物栄養用の単細胞タンパク質の製造において使用することも可能である。本発明の特徴および利点は、下記の例示としての実施態様の詳細な説明および添付図面の再検討から明らかとなろう。メタノール由来化学生成物および物質の既知の例を示す。発明者 George OlahによるMETHANOL ECONOMYTM法と称する本発明の方法を図式的に例示する。(発明を実施するための最良の形態)本発明は、化石燃料燃焼発電プラントの燃焼排ガス、産業排気ガス、CO2を伴う天然ガスからの或いは大気自体からの二酸化炭素のメタノールまたはジメチルエーテルへの効率的且つ経済的な転換に関し、その後のこれらメタノールまたはジメチルエーテルのエネルギー貯蔵および輸送燃料、合成炭化水素およびその生成物への転換、合成タンパク質および他の製品への応用を伴う。二酸化炭素のメタノールへの転換は、隔離(sequestration)に対してのより良好な代替法であり、二酸化炭素を、メタノールを経由して有用で本質的な製品に転換し、二酸化炭素を燃料、合成炭化水素およびその生成物用の再生可能な一般的炭素源とする。本発明は、あらゆる二酸化炭素源をメタノールに転換する環境的に調和し効率的な方法を開示する。適切な二酸化炭素源は、炭化水素(化石燃料)燃焼発電プラント、セメントプラント、天然ガス田等からの産業排気流、および大気であり得る。また、二酸化炭素をメタノールおよび/またはジメチルエーテルおよびそれらの生成物へ転換するこの方法の使用は、大気中の二酸化炭素、即ち、主要温室ガスの有意の削減ももたらし、それによって世界的温暖化を緩和する。上記の供給源からの二酸化炭素は、光化学または電気化学還元のいずれかにより、良好な転換率でギ酸および若干量のホルムアルデヒドを生成する。そのように生成させたギ酸とホルムアルデヒドは、その後の処理工程において実質的にギ酸メチルに転換することができ、これを水素化すると専らメタノールがさらに得られる。ホルムアルデヒドの転換を固体支持型塩基触媒または有機金属触媒の存在下で実施して、メタノールとギ酸、およびその後のギ酸メチルを得ることができる。また、ホルムアルデヒドの二量化によりギ酸メチルが得られ、これを接触水素化するとメタノールが単一生成物として得られる。二酸化炭素は、好ましくは、大気中への放出前の上述の高濃度発生源から取得する。しかしながら、二酸化炭素は、大気二酸化炭素を適切な吸着剤により分離し、その後、脱着処理して吸着二酸化炭素を吸着剤から放出させることによっても得ることができる。これは、加熱して吸着二酸化炭素を放出させることにより、吸着二酸化炭素を減圧下に処理することにより或いは双方の適切な組合せにより達成し得る。本発明のもう1つの実施態様においては、先ず、二酸化炭素を炭素により熱的に還元して一酸化炭素とし、その後、これをメタノールと反応させてギ酸メチルを得る。その後、ギ酸メチルの還元により、メタノールがその初期量の2倍で得られる。メタノールへのさらなる経路は、二酸化炭素の還元的転換(乾式改質)においてメタンまたは天然ガスを使用して一酸化炭素と水素の混合物を調製することに基づき、これらは反応してメタノールを生成し得る。二酸化炭素のメタンによる改質は水素を発生させるので、この水素は、上述の実施態様におけるギ酸メチルのメタノールへの水素化においても使用し得る。上記の新たな方法に従って生成させたメタノールは、任意の目的において、例えば、エネルギー貯蔵および輸送のため;内燃エンジンおよび燃料電池の燃料として;関連燃料(ジメチルエーテル、脱水による)、炭酸ジメチル(酸化的カルボニル化による)を製造するため;エチレン、プロピレン、より高級のオレフィン、合成炭化水素、および全てのそれらの派生製品(限定するものではないが単細胞タンパク質のような)を製造するために使用し得る。本発明は、多様な二酸化炭素源をメタノールへ転換する効率的な新規な方法に関する。高濃度二酸化炭素源は、5〜50%の量で天然ガスにしばしば随伴する二酸化炭素源、化石燃料(石炭、天然ガス、石油等)燃焼発電プラントの燃焼排ガスからの二酸化炭素源、セメントプラントの排気および他の産業源である。二酸化炭素から、主として少量のホルムアルデヒドと共にギ酸が光化学または電気化学還元のいずれかにより容易に得られるが、メタノール生成は低い。本発明は、生成物混合物をその後の処理工程において分離することなく、混合物をメタノールに転換してプロセス全体を選択的且つ高収率性の双方にし得ることを教示する。もう1つの実施態様においては、メタノール溶液中の二酸化炭素の加圧下での電気化学還元により高収率のギ酸メチルが得られ、その後、これを水素化により転換して専らメタノールとし得ることが判明した。さらなる実施態様においては、炭素と二酸化炭素の高温反応によって一酸化炭素を生成させ、これがメタノールと反応すると、さらなるメタノールへの転換のためのギ酸メチルが得られる。この実施態様においては、二酸化炭素の初期の還元は水素の代りに炭素(石炭)によって影響を受け、それによって、メタノールを生成させるのに必要な水素の全体量を低減させる。本発明は、燃焼排ガスまたは化石燃料燃焼発電プラント、天然ガス田、種々の産業排気ガスまたは大気自体のいずれかからの二酸化炭素のメタノールへの効率的で経済的な転換を開示する。二酸化炭素の接触、光化学または電気化学還元は、若干量のホルムアルデヒドおよびメタノールを伴って、ギ酸を優先的に生成するので、本発明は、その後の該還元生成物混合物の良好な全体的収率および選択性でのメタノールへの効率的な転換工程に基づいている。隔離ではなく、二酸化炭素放出物の還元化学反応の環境的且つ経済的利益は本発明の有意義な一部である。同時に、二酸化炭素は、安全なエネルギー貯蔵および輸送、輸送燃料、燃料電池用の燃料、燃料添加剤、または他の化合物、ポリマー、プラスチックもしくは関連物質を製造するための原料において使用し得る再生可能なメタノール源を(ジメチルエーテルと共に)提供する。二酸化炭素系メタノールの使用は、その使用が世界の化石燃料に対する依存性を緩和し、実際上それを置換えるので、極めて望ましい。しかも、二酸化炭素放出物の削減並びに大気からの過剰の二酸化炭素の除去は、世界的温暖化を軽減し、大気状態を産業革命前レベルに再生させ、ひいては惑星気候を次世代のために残す一助となろう。本発明は、二酸化炭素をメタノールに経済的に転換するに当っての上記の多大な困難性を克服する。説明したように、CO2の電気化学または光化学還元は、主として、ギ酸およびホルムアルデヒドを生成させる。本発明によれば、ギ酸とホルムアルデヒドは、その後の工程において、メタノールに転換することができ、ギ酸は必要な水素を提供する。適切な触媒条件を使用して、ギ酸は、ホルムアルデヒドのメタノールおよび二酸化炭素への化学還元において使用し得(水素源として)、二酸化炭素は上記還元工程に再循環させ得る。 HCHO + HCO2H → CH3OH + CO2同時に、ギ酸を熱的にまたは触媒により開裂して、メタノールを生成させるための接触水素化において使用する水素を発生させる。 HCOOH → H2+ CO2周知のように、ギ酸は、メタノールと反応してギ酸メチルを生成する。その後、ギ酸メチルは、効率的に接触水素化させて専らメタノールを生成させることができ、所望生成物のみを生成させるに当って使用水素の完全な利用を可能にする。上記の個々の反応における特定の条件は、熟練化学者にとっては一般的に知られていることであり、最適条件は、開示したメタノール生成の全体的プロセスの特定の順序において容易に確立し得る。また、ギ酸メチルは、メタノール溶液中の二酸化炭素の加圧下での電気化学還元によっても直接生成させ得る。また、ギ酸は、貴金属触媒上でのギ酸メチルのメタノールへの還元における水素源としても使用し得る。別法として、接触水素化において使用する水素は、任意の適切な方法およびエネルギー源、例えば、原子力、日光、風力、地熱等を使用する水の電気分解のような任意の適切な源からも取得し得る。また、水の水素への光分解的、熱的、酵素的および他の開裂手段も可能である。本発明のもう1つの実施態様は、ギ酸メチルをCOとメタノールから調製し得る既知の方法を使用する。しかしながら、合成ガスを一酸化炭素源として使用する代りに、ギ酸メチルは、二酸化炭素を炭素と昇温下に反応させることによって効率的に調製し得る(ブドワード反応)(Boudouard反応)。 CO2+ C → 2 COそのようにして生成させたCOは、メタノールと反応させたとき、ギ酸メチルを生じ、このギ酸メチルは、上記の水素化により、他の副生成物を生じさせず、使用したメタノールの2倍量をもたらす。この実施態様においては、二酸化炭素の一酸化炭素への初期還元は、炭素によって実施し、それによって、さもないと二酸化炭素の水素化において水を生じるのに1部使用される水素を発生させる必要エネルギー量を低減させる。さらにまた、二酸化炭素は、天然ガスが入手可能である場合、メタンの乾式接触改質において使用して、メタノールを生成させるのに使用する一酸化炭素と水素を生成させることもできる。 CH4+ CO2 → CO + 2H2Bagno, BukalaおよびOlah (J. Org. Chem. 1990, 55, 4284) によって初期に示されているように、メタノール(ジメチルエーテル)とCOは、超酸性触媒条件下で使用して酢酸を生成させることもできる。そのようにして、二酸化炭素とメタンを反応させて酢酸を、さらに酢酸を介して広範囲の工業的に価値ある生成物を製造することが可能である。熟練化学者であれば、この場合も、個々の反応を実施する一般的条件には精通しており、従って、所望の順序における最適条件を見出すべきである。化石燃料燃焼発電プラントおよび種々の産業からのCO2放出物は現場で捕捉し得る。そのような産業排気からのCO2分離法はよく開発されている。新規に開発したこれらの資源のメタノールおよび派生製品への化学リサイクルの主たる利点は、二酸化炭素が大気中に放出されず、燃料および多様な本質的製品用の再生可能な炭素源として役に立つことである。存在する大気CO2の捕捉および使用は、再生可能で無限の炭素源としてのCO2の化学リサイクルを可能にする。CO2吸着設備は、その後のメタノール合成を可能にするように水素生産場の近くに設置し得る。大気中のCO2含有量は低い(僅かに0.037%)ものの、CO2が循環しているので、大気は豊富で無限の供給を提供する。大気二酸化炭素を有効に使用するには、CO2吸着施設を必要とする。このことは、低濃度の大気CO2の吸着でさえも可能にする適切な固体担体(例えば、活性炭、ポリマー、シリカまたはアルミナ)上のポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロール等のような有効なCO2吸収剤を使用することによって対処し得る。また、CO2は、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)および水酸化カリウム(KOH)のような塩基性吸収剤を使用しても捕捉することができ、これら吸収剤は、CO2と反応して、それぞれ、炭酸カルシウム(CaCO3)および炭酸カリウム(K2CO3)を形成する。CO2吸収は熱を放出する発熱反応であり、CO2を適切な塩基と接触させることによって容易に達成し得る。捕捉後、CO2を、吸収剤から加熱処理、真空(または減圧)処理または電気化学処理による脱着によって回収する。炭酸カルシウムは、例えば、熱焼成して二酸化炭素を放出させ得る。脱着が吸熱性のエネルギー要求工程である場合は、吸収および脱着を最低の可能なエネルギー入力に最適化する適切な処理を選定し得る。即ち、CO2は、CO2の脱着を生じせしめる適度の加熱によるおよび/または減圧下での好都合なサイクルでの吸収-脱着カラムの操作によって再利用し得る。メタノール、メタノール由来燃料または合成炭化水素を燃焼させる(酸化的に使用する)場合、これらはCO2と水を放出し、従って、基本的メタノール循環、即ち、CO2自然循環の人工形を提供する。石油、ガスおよび石炭のような非再生性化石燃料源とは対照的に、産業および自然源からの二酸化炭素を再利用してメタノールを生成させることは、化石燃料埋蔵量の消失の問題に対処するのみならず、大気中の二酸化炭素含有量を増大させつつある人間活動によって有意に生じた温室効果による世界的温暖化の緩和も助長する。本明細書において開示する二酸化炭素の有効な水素化の再利用は、メタノールを改良された効率的な環境的に有益な方法で生産する新規な方法を提供すると同時に、CO2に起因する気候変化(世界的温暖化)を緩和する。メタノールおよび派生ジメチルエーテルのエネルギー貯蔵および輸送物質としての使用は、そのような目的で水素を使用する多くの困難性を排除する。また、メタノールおよび派生ジメチルエーテルは、好都合な輸送燃料、並びに合成炭化水素およびその関連製品を製造するための原材料である。メタノールの安全性および汎用性は、開示した二酸化炭素再利用法をさらに望ましくしている。当該技術において知られているように、メタノールは、メタノールの脱水により生成させるジメチルエーテル、および酸化的カルボニル化によるメタノールの反応によって生成させる炭酸ジメチルのような種々の派生化合物を生成するように容易に処理することができる。メタノールおよびメタノール派生化合物、例えば、酸素化添加剤としてのDMEおよびDMCは、ガソリンと混合して、内燃エンジン内で僅かな改変のみで使用し得る。例えば、メタノールは、ガソリンに85体積%まで添加してM85燃料を製造し得る。また、メタノールは、燃料電池内の電気を、先ずメタノールをH2およびCOに接触改質するか或いは直接メタノール燃料電池(DMFC)内でメタノールを空気と直接反応させるかのいずれかによって発生させるのに使用し得る。DMFCは、燃料電池技術を大いに簡素化し、DMFCを携帯モバイル電子機器および発電機のような広範囲の用途に対して容易に利用可能にしている。好都合に貯蔵可能なエネルギー源および燃料である以外に、メタノール並びにメタノール派生DMEおよびDMCは、ホルムアルデヒド、酢酸のような種々の化学品並びにポリマー、塗料、接着剤、建設材料、合成化学品、製薬および単細胞タンパク質のような多くの他の製品用の有用な出発物質でもある。また、メタノールおよび/またはジメチルエーテルは、1回の接触工程において、エチレンおよび/またはプロピレン、即ち、合成炭化水素およびその生成物の製造用基礎構成物へ好都合に転換し得る(例えば、メタノールからオレフィンへの、即ち、MTOプロセスにおいて)。このことは、現在石油および天然ガスに由来している炭化水素燃料および製品が、大気または産業CO2源の簡単な化学的再利用から有利に得ることのできるメタノールから取得し得ることを意味する。メタノールの他の活用法は、派生エチレンの水和によるエタノールへの即時転換である。多くのさらなる用途も知られており、二酸化炭素由来メタノールにも当てはめ得る。強調すべきは、メタノールを生成させるのに必要なエネルギー源に何ら特定の選り好みはないことである。代替源および原子エネルギーを含む全ての源を使用し得る。しかしながら、一旦発生させたエネルギーは、貯蔵し、輸送しなければならず、そのためには、メタノールが良好に適している。また、本発明に従う大気または産業排気源に由来し得る二酸化炭素のメタノールへの改良された効率的な選択的転換は、本発明者がMETHANOL ECONOMYTM法と称している方法における必要原材料も提供する。このことは、内燃エンジン内または燃料電池内の燃料として並びに合成炭化水素およびその多様な製品用の出発物質として使用し得る液体生成物中でのエネルギーの好都合な貯蔵および輸送を可能にする。METHANOL ECONOMYTM法は、まだ入手可能な天然ガス資源のメタノールまたはジメチルエーテルへの効率的な直接転換(本出願と同日付けで出願されたSelective Oxidative Conversion Of Methane To Methanol, Dimethyl Ether And Derived Productsと題するG. Olah等の米国特許出願 [Attorney Docket No. 81722-4400]に開示されているような;該米国特許出願の内容は、全て本明細書に参考として合体させる)並びに今回開示している二酸化炭素の還元的化学転換に基づく。METHANOL ECONOMYTM法の概念は、有意義な利点と可能性を提供する。METHANOL ECONOMYTM法においては、メタノールを、(1) 好都合で安全な貯蔵および取扱いを可能にする好都合なエネルギー貯蔵媒体;(2) メタノール燃料電池におけるような容易に輸送し分配する燃料;および(3) 現在油およびガス源から得られており、ポリマーおよび動物飼料またはヒト摂取用に使用し得る単細胞タンパク質でさえ含む合成炭化水素およびその製品用の原料として使用する。開示する二酸化炭素の化学的再利用によって得られる環境的利益は、世界的温暖化の緩和をもたらし、源泉を次世代のものとするのを確実にする。メタノールは容易にジメチルエーテルに脱水されるので、開示する二酸化炭素のメタノールへの転換は、上述したような燃料および化学用途用のジメチルエーテルを生成させるようにも適応化し得る。開示する産業または天然二酸化炭素源からの或いは大気自体からさえの新規な効率的メタノール生産法は、METHANOL ECONOMYTM法により、消失しつつある化石燃料に置換わる必要原材料を提供する。二酸化炭素のメタノールへの転換は有意のエネルギーを必要とするが、このエネルギーは、化石燃料(例えば、石炭)燃焼電力プラントのオフピーク電力、原子エネルギーまたは任意の代替エネルギー源(日光、風力、地熱、水力等)のような任意のエネルギー源によって供与し得る。しかしながら、説明したように、発生させたエネルギーを都合よく貯蔵し輸送しなければならない。CO2のメタノールへの転換は、エネルギーの貯蔵および輸送を、揮発性の水素ガスよりも好都合に、経済的に且つ安全に、好都合な液体製品(例えば、メタノール)中で可能にする。メタノールおよび/またはジメチルエーテルは、内燃エンジン内または直接酸化メタノール燃料電池(DMFC)内の有効な燃料、並びにオレフィン、合成炭化水素および多様な製品用の原材料である。本発明は、天然または産業源からの、大気自体からさえのメタノールおよび/またはジメチルエーテルの製造において、二酸化炭素の利用範囲を大きく拡大する。(実施例)以下の実施例は、本発明方法の有用性を具体的に説明するが、限定するものではない。これらの実施例は、本発明方法に応用した既知の適切なまたは修正した化学反応の使用に基づく。実施例1二酸化炭素は、水性媒体中、室温にてSn、Pb、In、Zn、Au、Cu、Pdおよび関連電極上、40〜90%の電流効率でギ酸およびホルムアルデヒドに電気化学的に還元し得るが、メタノールおよびメタンの形成は有意に低いことが知られている。上記ギ酸およびホルムアルデヒドの混合物は、190℃の石英管反応器内のWO3/Al2O3上に通すことができる。その後、メタノールとギ酸メチルを約40%の全体的収率で得るが、ギ酸の利用率は約70%である。水中のホルムアルデヒドとギ酸の反応をガラスライニング反応器内で250℃で行ったとき、メタノールを約60%の収率で得る。実施例2二酸化炭素を、Boudouard反応において、炭素と昇温下に反応させて一酸化炭素を得ることができる。その後、一酸化炭素をメタノールと反応させてギ酸メチルを得、次いで、これを水素化により転換してメタノールを生成させることができる。実施例3実施例1および2の方法により得られたギ酸メチルを、ガス相中の分子状水素により、亜クロム酸銅または貴金属触媒上で大気圧下に100〜230℃の温度範囲にて接触還元させる。メタノールへの選択性は >90%であり、ギ酸メチル転換率は約85〜90%である。同様な還元的転換は電気化学的にも達成し得る。実施例4ギ酸メチルを、ギ酸により、ガス相中のPt/C、Rh/C、Ru/C、亜クロム酸銅等の触媒上で大気圧下に100〜200℃の温度範囲にて接触還元させる。メタノールへの選択性は 70〜90%以上であり、ギ酸メチル転換率は、1回で50%である。実施例5メタンを、“乾式”改質条件下で二酸化炭素と反応させて一酸化炭素と水素の1:2混合物を得る。その後、この混合物を使用してメタノールを生成させる。また、生成させた一酸化炭素をメタノール自体と反応させてギ酸メチルを得、これを、実施例3および4に従い、水素化により転換して、穏やかな反応条件(中程度の温度および圧力)下でメタノール量を倍増することができる。これらの実施例は、本発明方法の一般的有用性を例証しているが、当業者であれば、本明細書において提示した内容および教示を利用して広範囲の化学品および生成物を生成させることは可能であり、このことは、化石燃料への依存性を軽減することに加え、二酸化炭素放出および大気中の二酸化炭素の存在を有意に低減することにより、環境を向上させるであろう。自然又は工業的供給源の入手可能な供給源からの二酸化炭素を還元的変換を利用して前記二酸化炭素を再利用し且つメタノールを製造することにより、大気中の二酸化炭素を減少させる環境的に有益な方法であって、入手可能な二酸化炭素の供給源を1以上の、(A)二酸化炭素をギ酸並びにホルムアルデヒド、少量のメタノールおよびメタンを含む反応混合物を生成させるのに十分な条件下で還元し、前記反応混合物を分離することなく、ホルムアルデヒドをギ酸及びメタノールに転換するのに十分な条件下で処理すること、(B)前記反応混合物を分離することなく、ホルムアルデヒドを同時生成された水素源としてのギ酸の一部と反応させてメタノールを生成し、ギ酸の一部をメタノールと反応させてギ酸メチルを生成することにより(A)の反応混合物を増量し、続いて前記ギ酸メチルをメタノールを生成するのに十分な条件下で触媒的に水素化すること、または(C)炭素との高温反応により二酸化炭素から一酸化炭素を生成し、ギ酸メチルを生成するのに十分な条件下で前記(A)において生成したメタノールと前記一酸化炭素とを反応させ、メタノールを生成するのに十分な条件下で前記ギ酸メチルを接触水素化すること、含む方法。大気中に存在する或いは大気中に放出される自然又は工業的供給源からの二酸化炭素を分離して化学的に再利用することにより再生可能な燃料を製造し且つ大気中の二酸化炭素の量を減少させる環境的に有益な方法であって、前記供給源から二酸化炭素を分離して、メタノールを生成するのに十分な条件下で分離した二酸化炭素を水素化転換することによりメタノールを生成し、生成したメタノールをエネルギーを生成させるのに十分は燃料としてエネルギー貯蔵および輸送物質として使用し、二酸化炭素を含む燃焼の排気流を生成し、追加的な燃料を生成するための化学的に再利用可能な二酸化炭素源として利用するために、前記排気流の二酸化炭素を回収する、ことを含む方法。再生可能な燃料を製造することによって大気中の二酸化炭素の量を減少させる環境的に有益な方法であって、自然又は工業的供給源の二酸化炭素を入手し、原料又は燃料としてのメタノールを生成するのに十分な条件下で二酸化炭素を水素化し変換することにより、エネルギーを生成するのに十分なエネルギー貯蔵及び輸送物質又は燃料を製造する方法。前記メタノールは、(A)二酸化炭素をギ酸並びにホルムアルデヒド、少量のメタノールおよびメタンを含む反応混合物を生成するのに十分な条件下で還元し、前記反応混合物を分離することなく、ホルムアルデヒドをギ酸及びメタノールに転換するのに十分な条件下で処理すること、又は(B)炭素との高温反応により二酸化炭素から一酸化炭素を生成し、ギ酸メチルを生成するのに十分な条件下でメタノールと前記一酸化炭素とを反応させ、追加的なメタノールを生成するのに十分な条件下で前記ギ酸メチルを触媒的に接触水素化すること、又は(C)二酸化炭素をギ酸並びにホルムアルデヒド、少量のメタノールおよびメタンを含む反応混合物を生成するのに十分な条件下で還元し、前記反応混合物を分離することなく、ホルムアルデヒドを同時生成された水素源としてのギ酸の一部と反応させてメタノールを生成し、ギ酸の一部をメタノールと反応させてギ酸メチルを生成することによって反応混合物を増量し、続いて前記ギ酸メチルをメタノールを生成するのに十分な条件下で触媒的に水素化すること、により製造されることを特徴とする請求項3記載の方法。製造されたメタノール燃料を発電所に輸送し、前記発電所において前記メタノール燃料を燃焼させて二酸化炭素を含む排気流を生成し、前記排気流の二酸化炭素を追加的な燃料を生成するための化学的に再利用可能な二酸化炭素源として利用すること、をさらに含む請求項3又は4記載の方法。工業的供給源は、化石燃料の燃焼又は酸化から集められた排気流、大気、又は天然ガス付随供給源であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の方法。前記二酸化炭素は、前記供給源から捕集されて入手され、(A)前記二酸化炭素をギ酸並びにホルムアルデヒド、少量のメタノールおよびメタンを含む反応混合物を生じさせるに十分な条件下で転換されて、前記反応混合物を分離することなく、ホルムアルデヒドをギ酸及びメタノールに変換するに十分な条件下で処理すること、又は(B)前記二酸化炭素をギ酸並びにホルムアルデヒド、少量のメタノールおよびメタンを含む反応混合物を生じさせるに十分な条件下で還元し、前記反応混合物を分離することなく、ホルムアルデヒドを同時生成された水素源としてのギ酸の一部と反応させてメタノールを生成し、ギ酸の一部をメタノールと反応させてギ酸メチルを生成することによって反応混合物を増量し、続いて前記ギ酸メチルをメタノールを生成するに十分な条件下で触媒的に水素化すること、を特徴とする請求項6記載の方法。前記反応混合物を分離することなく、ホルムアルデヒドを同時生成された水素源としてのギ酸と反応させてメタノールを生成し、ギ酸とメタノールとを反応させてギ酸メチルを生成し、メタノールの量を初期量から2倍に生成する条件下でギ酸メチルを水素化すること、を含むことを特徴とする請求項7記載の方法。ギ酸メチルの水素化に必要な水素は、前記反応混合物のギ酸の開裂から少なくとも一部が得られ、又はメタン或いは天然ガスの改質、又は利用可能なエネルギー源を使用した水の電気分解により得られることを特徴とする請求項8記載の方法。二酸化炭素を含む排気流を生成して捕集できるような方法で燃料を燃焼させ、追加的な燃料を製造するための化学的に再利用可能な二酸化炭素供給源として使用するために前記排気流の二酸化炭素を回収すること、をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。入手可能な二酸化炭素供給源は大気であり、前記二酸化炭素は大気中の二酸化炭素を適切な吸着剤に吸着させ、前記吸着剤を過熱するか、又は吸着された二酸化炭素が遊離するように前記吸着剤を十分に減圧下に晒して前記吸着剤を処理して吸着した二酸化炭素を遊離させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の方法。メタノールを、ジメチルエーテルを生成させるに十分な条件下で脱水することさらに含む、請求項1乃至3のいずれか一項記載の方法。ジメチルエーテルを酸性-塩基性またはゼオライト系触媒の存在下に加熱してエチレンまたはプロピレンを形成させることをさらに含む、請求項12記載の方法。エチレンまたはプロピレンを、化学品用の原料としてまたは輸送燃料としての使用のためのより高級のオレフィン、合成炭化水素または芳香族のいずれかおよびそれらの生成物に変換することをさらに含む、請求項13記載の方法。エチレンまたはプロピレンを水和してエタノールまたはプロパノールを形成させることをさらに含む、請求項14記載の方法。 【課題】化石燃料燃焼発電プラントの燃焼排ガス、産業排気ガスまたは大気自体のような種々の二酸化炭素源からのメタノールの環境的に有益な製造方法を提供する。【解決手段】化石燃料燃焼発電プラントの燃焼排ガス、産業排気ガスまたは大気自体のような種々の二酸化炭素源供給源からの二酸化炭素は、光化学または電気化学還元のいずれかにより、良好な転換率でギ酸および若干量のホルムアルデヒドを生成する。そのように生成させたギ酸とホルムアルデヒドは、その後の処理工程において実質的にギ酸メチルに転換することができ、これを水素化すると専らメタノールがさらに得られる。【選択図】図2


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