タイトル: | 公開特許公報(A)_自動分析装置 |
出願番号: | 2012163213 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 35/00,G01N 35/02 |
飯島 昌彦 牧野 彰久 安藤 学 JP 2014021079 公開特許公報(A) 20140203 2012163213 20120724 自動分析装置 株式会社日立ハイテクノロジーズ 501387839 井上 学 100100310 戸田 裕二 100098660 岩崎 重美 100091720 飯島 昌彦 牧野 彰久 安藤 学 G01N 35/00 20060101AFI20140107BHJP G01N 35/02 20060101ALI20140107BHJP JPG01N35/00 AG01N35/02 GG01N35/02 J 6 1 OL 19 2G058 2G058AA08 2G058CB04 2G058CD04 2G058EA02 2G058EA04 2G058ED03 2G058GA02 2G058GD01 2G058GD05 2G058GD07 2G058GE09 2G058GE10本発明は、血液や尿等の生体試料の成分分析を行う自動分析装置に係り、特に検出限界や定量限界が臨床上重要な意味をもつ検査項目の分析に使用する自動分析装置に関するものである。 血清や尿等の生体試料と試薬とを混合した反応液に光源からの光を照射し、特定波長における透過光量の変化から吸光度を算出し、ランベルト・ベールの法則に従い測定物質の濃度を定量する自動分析装置が広く用いられている(例えば特許文献1)。 自動分析装置で測定される反応としては、主に基質と酵素との反応による呈色反応と、抗原と抗体との免疫凝集反応の2種類がある。前者の反応を用いた分析は生化学分析と呼ばれ、検査項目として酵素、脂質、窒素化合物などがある。後者の反応を用いた分析は免疫分析項目と呼ばれ、検査項目の中には、微量タンパクや腫瘍マーカー、ホルモン、血中薬物などがある。後者で測定される測定物質の中には、低濃度領域における高感度な検出が要求される検査項目や、その定量値が臨床診断に対して重要な検査項目が存在する。これらの項目では、表面に抗体を感作(結合)させたラテックス粒子を増感剤として用いたラテックス免疫比濁法が用いられる。ラテックス免疫比濁法では、測定物質によりラテックス粒子同士が凝集して生成した凝集塊に光を照射し、散乱されずに透過した透過光量の変化を測定する。一定時間が経過した後の光量変化は、測定物質の濃度が高いほど大きくなるため、透過光の光量変化から測定物質の濃度を算出できる。 近年、免疫分析のさらなる高感度化が望まれている。これまでにラテックス免疫分析をさらに高感度に行うための装置として、透過光ではなく、散乱光を測定することが試みられてきた。このような光散乱光度計は、ネフェロメーターと呼ばれ、試料に含まれる抗原と試薬中に含まれる抗体とを反応させ生成した凝集塊に光を照射し、散乱した光の大きさを計測する。例えば、特許文献2には、ダイアフラムを用いて透過光と散乱光とを分離し、吸光度と散乱光とを同時に計測する装置が開示されている。 これらの自動分析装置を用いた測定結果の信頼性、妥当性を保証するうえで、測定法の妥当性確認の対象として様々な特性が規定されている。例えば、非特許文献1には、妥当性確認が必要な対象となる特性として、正確さや精度に加えて、検出限界/定量限界の検証が記載されている。検出限界とは、試料中の測定対象物質を検出することが可能な最低量であり、定量限界とは、測定対象物質をある一定の適切な精度で定量することが可能な最低量のことである。検出限界/定量限界の評価方法は、例えば非特許文献2に記載がある。 本明細書において、便宜上、検出限界/定量限界と表記する。このように表記した場合、検出限界と定量限定の少なくとも1方という意味で用いられ、検出限界のみ、定量限界のみ、検出限界と定量限界のすべてが含まれるものとする。米国特許第4451433号公報特開2001−141654号公報日本臨床化学会会誌 臨床化学 第40巻(2011年)p.149‐157「定量分析法に関するバリデーション指針」日本臨床化学会クオリティマネジメント専門委員会 定量測定法に関するバリデーション指針プロジェクト 著日本分析機器工業会規格 臨床用自動分析装置の性能表示方法(JAIMAS 0011‐2011)平成23年1月19日制定p.56−59 社団法人日本分析機器工業会 発行 特許文献1や特許文献2のような自動分析装置を用いて、分析法の検出限界/定量限界を評価する場合、評価試験は試験者の手作業によるところが大きかった。 検出限界/定量限界の評価方法は、大きく4つの工程に分けられる。 第1は、検出限界/定量限界付近の濃度の測定対象物質を含む希釈系列サンプルを調製する工程。第2は、調製した希釈系列サンプルを自動分析装置で測定する工程。第3は、測定結果の平均値や標準偏差、変動係数等を用いて、濃度理論値に対する実測値のばらつきをプロットする工程。第4はプロット結果と判定基準とを比較し、検出限界/定量限界の評価結果を判定する工程である。第2の工程以外の工程は、試験者による煩雑な作業を必要としていた。 このため、検出限界/定量限界試験は、装置や試薬の導入の際には実施されるものの、定期的に実施されることは少なく、直近の状況での装置や試薬を用いた測定の妥当性確認を反映しているとは言い難い実状であった。 さらに、検出限界/定量限界の試験結果についても、オペレータの手作業により性能を算出し、管理されていたことから、自動分析装置で測定した個々の検体の結果については、直近の検出限界/定量限界性能を考慮した結果報告がなされていなかった。 本発明の目的は、検出限界/定量限界の試験を自動化することで、試験者の作業を軽減するとともに、試験結果を通常の患者検体等の結果出力に応用することで、測定結果の信頼性、妥当性の保証に寄与する自動分析装置を提供することにある。 上記目的を達成するための本発明の構成は以下のとおりである。 試料を反応容器に分注する試料分注機構と、試薬を前記反応容器に分注する試薬分注機構と、該試料と該試薬の混合液の光学測定を行う測定部と、測定項目ごとの検出限界と定量限界の少なくとも1方の評価試験を行うための実施条件設定手段と、前記評価試験の判定条件を設定する判定条件設定手段と、設定された前記実施条件に基づき、前記試料分注機構、前記試薬分注機構、前記測定部とを制御することで、希釈濃度の異なる希釈系列の測定結果を求め、設定された前記判定条件に基づき、前記希釈系列の測定結果から前記評価試験の試験結果を演算する演算部とを備える自動分析装置である。 本発明に記載の自動分析装置によれば、検出限界/定量限界の評価に伴う、オペレータの作業を軽減することができる。 さらに、直近の装置・試薬の状態を反映した検出限界/定量限界性能を通常の検体の測定結果出力に利用したり、再検の要否判定に利用したりすることで、通常の検体の測定において、信頼性の高いデータを提供することが可能となる。本発明を適用した自動分析装置における、検出限界/定量限界の評価試験条件の設定に必要な処理を示すフロー図である。本発明を適用した自動分析装置における、項目ごとの検出限界/定量限界試験の実施条件を設定する画面の一例を示す図である。本発明を適用した自動分析装置における、装置構成の一例を示すブロック図である。本発明を適用した自動分析装置における、希釈系列の測定結果から検出限界/定量限界を算出する過程の一例を示した図である。本発明を適用した自動分析装置における、検出限界/定量限界試験結果の判定条件の設定画面の一例を示す図である。本発明を適用した自動分析装置における、検出限界/定量限界試験結果の出力例を示す図である。本発明を適用した自動分析装置における、通常の検査試料の測定結果に対する各種設定画面の例を示す図である。本発明を適用した自動分析装置における、検出限界/定量限界の許容範囲チェック値設定画面の一例を示す図である。 以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。 図1は本発明を適用した自動分析装置における、検出限界/定量限界の評価試験条件の設定に必要な処理を示すフロー図である。 オペレータは、まずステップ1で、検出限界/定量限界試験を実施する項目を選択する。装置で分析する全ての項目について検出限界/定量限界を試験する必要は必ずしもないことから、性能が特に求められる項目について設定すればよい。 次に、1で選択した項目について、ステップ2で、検出限界/定量限界試験のそれぞれを実施するか否かを設定する。ステップ3では、検出限界/定量限界試験を実施する間隔を設定する。ステップ4では、検出限界/定量限界の予測値を入力する。 ステップ5では、試験に使用する希釈系列の調製方法を選択する。希釈系列の調製に伴うオペレータの作業を軽減するうえでは、本発明を適用した装置による自動調製が望ましいのは言うまでもないが、希釈系列の測定結果から検出限界/定量限界を算出する作業だけを取り上げても煩雑な作業が多いことから、マニュアル調製した希釈系列を使用して試験を実施するフローとしても良い。 装置による自動調製を使用して希釈系列を調製する場合は、続くステップ6、7で希釈系列の種類、希釈系列の数を設定する。ステップ8では、希釈系列を調製する元となる試料の濃度を入力する。ステップ9では、希釈系列の調製に使用する希釈液の種類を設定する。 一方、マニュアル調製した希釈系列を使用して試験を実施する場合は、ステップ10で希釈系列の理論濃度を入力する。自動調製した希釈系列の場合は、希釈元試料の濃度と希釈条件が装置内に入力されているため、理論濃度の入力は不要となる。 次に、ステップ11で、希釈系列サンプルの繰り返し測定回数を入力する。最後に、ステップ12で、検出限界/定量限界の判定法を入力する。 図1に示した評価試験条件の設定ステップは、あくまでも一つの実施例であり、結果として、検出限界/定量限界の試験結果が得られれば、一部の工程を省略することも可能である。例えば、検出限界/定量限界試験を必要時に手動で実行する実施形態としてステップ2〜4を省略してもよい。 図2は、本発明を適用した自動分析装置における、項目ごとの検出限界/定量限界試験の実施条件を設定する画面の一例を示す図である。 項目選択ボックス13は、ステップ1の設定に使用する。図2では、プルダウンにより項目名を選択してから、試験の実施条件設定を行う画面例を示したが、複数の項目の試験実施条件の各種を一覧で設定できる表のような画面構成としてもよい。 検出限界/定量限界試験の実施有無の設定ボックス14は、ステップ2の設定に使用する。図2には示さないが、検出限界/定量限界試験とは別に、ブランク上限のみを試験する設定を設けてもよい。なお、本発明中の検出限界/定量限界試験の実施例に関する記述は、ブランク上限の評価試験についても同様に適用される。 検出限界/定量限界試験の実施間隔の設定ボックス15は、ステップ3の設定に使用する。試験実施の間隔の例としては、試薬ロットを変更するごとに試験する設定、一定期間(例えば月に1回)ごとに試験する設定、測定結果を累積した結果を用いて試験結果を算出する設定などが実施例として考えられる。累積した測定結果を用いる方法としては、例えば、毎日希釈系列を2回ずつ測定し、最新の5日間分の測定結果から、日々の検出限界/定量限界を算出する方法などがある。 希釈系列の調製方法・測定回数の設定ボックス16には、装置による希釈系列の自動調製に必要な条件の設定例を示した。設定可能な希釈系列の種類としては、10分の0、10分の1、10分の2・・・10分の10(希釈系列の合計数=11)といった濃度系列の段階希釈か、64分の1、32分の1・・・2分の1、1分の1(希釈系列の合計数=8)といった濃度系列の倍々希釈などが選択できるとなお良い。 図2に示すように、希釈系列の系列数、および調製に用いる希釈元試料の濃度と希釈液の種類を設定することで、装置が希釈系列を自動調製することを可能とする。この際、図1のステップ4で入力した、検出限界/定量限界の予想値よりも若干高い濃度、例えば検出限界/定量限界の予測値の1.5倍の濃度などが、希釈系列の最高濃度となるような希釈系列を調製することが望ましい。装置としては、予想値の1.5倍などの所定倍を希釈系列の最高濃度を設定しておくことで、このように調製することができる。例えば予想値の10倍など予想値と乖離した濃い濃度の測定は検出限界/定量限界試験においては無駄な試験であり、このような無駄な試験を避けることで、試薬などの無駄を防ぐことができる。また一方で、希釈系列の系列数が同じ数の場合には、予測値を元に希釈系列を調製した方が、検出限界/定量限界近傍でより多くの希釈系列の測定結果を用いた試験ができることになるため、より精度の高い結果が得られる。 さらに、各希釈系列の繰り返し測定回数を設定する入力欄も備える。希釈系列の全ての試料について、設定した繰り返し測定回数分、測定を行う。 図3は本発明を適用した自動分析装置における、装置構成の一例を示すブロック図である。装置上には、試料ディスク17とその同心円状に配置された試料18を保持する試料容器19、反応ディスク20とその同心円状に配置された反応容器21、試料分注機構22、試薬ディスク23とその同心円状に配置された種々の試薬24が入った試薬容器25、試薬分注機構26、撹拌機構27、恒温槽循環液体28、透過光測定部29、散乱光測定部30、反応容器洗浄機構31を備える。分析装置の内部には、制御回路32、透過光測定回路33、散乱光測定回路34、PC35、入力部36、出力部37を備える。 自動分析装置による通常の分析は以下の順に従い実施される。まず、試料ディスク17に設置された試料18が試料容器19から反応容器21へと試料分注機構22により分注される。試料が入れられた反応容器は、反応ディスク20の回転動作により試薬分注位置に移動し、試薬分注機構26が、分析に使用する試薬24を試薬容器25から反応容器21へと分注する。続いて、撹拌機構27により反応容器内の混合液の撹拌が行われる。反応容器21は反応ディスク20下部に満たされた恒温槽循環液体28によって、一定の温度、例えば37℃に保たれており、反応の促進と反応の進行の安定化が図られている。反応容器21内の混合液は、反応ディスク20の回転動作に伴い、透過光測定部29を通過するときにその透過光量が透過光測定回路33を介して測定され、散乱光測定部30を通過するときにその散乱光量が散乱光測定回路34を介して測定される。このようにして得られた透過光量データ、散乱光量データは、PC35に送られ、PC内の演算部によって、試料中の対象成分の濃度が算出されるとともに、データ記憶部にデータを記憶し、出力部37に演算結果を表示する。反応後の反応容器21は、反応容器洗浄機構31により洗浄され、次の反応に繰り返し使用される。 図1のステップ5において、マニュアル調製した希釈系列を使用する場合は、希釈系列を試料ディスク17に設置して、前述した通常の分析の流れと同様に希釈系列の測定を実施する。 装置による希釈系列の自動調製を用いる場合は、試料ディスク17に設置した希釈元試料と、試薬ディスク23に設置した生理食塩水のような試料希釈液とを同一の反応容器21に分注後、撹拌機構27により撹拌することで試料を希釈する。希釈元試料と希釈液の混合比率を変えた希釈系列(例えば、希釈元試料:希釈液=0:10、1:9、2:8、・・・9:1、10:0など)を複数の反応容器で作成することで希釈系列を調製する。自動調製の別の実施例としては、初めに第1の反応容器で大量に調製した希釈試料を、別の第2の反応容器に一定量分注し同量の希釈液を加えることで2分の1の濃度とし、第3、第4の反応容器内で以下同様の希釈動作を繰り返すことで、倍々希釈の希釈系列試料を調製する構成としても良い。 反応容器内に調製された希釈系列は、試料分注機構により、別の反応容器へと再度分注された後、通常の分析の流れに従い測定される。 試料の希釈に用いる希釈液は試薬ディスク内にある必要はなく、試薬ディスク外の設置ポジションにあっても良い。試料分注機構22や試薬分注機構26の内部は、分注動作のための圧力伝達や、分注ノズル内部の洗浄の目的で、機構の流路が精製水で満たされていることから、試料の希釈液として、この精製水を用いる構成としても良い。 同様に、希釈元試料についても、必ずしも試験の直前に試料ディスクに設置する必要はなく、試料の濃縮や変性を防いだ状態で、あらかじめ装置に設置しておいても良い。例えば、装置の校正に用いる標準液や精度管理試料を設置するための、試料ディスク17の専用ポジションや保冷された別の専用の試料ディスク上に、希釈系列の希釈元試料を保持しておき、設定されたタイミングで希釈系列を自動調製する構成も考えられる。 なお、透過光測定部29と散乱光測定部30との両方を備えた自動分析装置で説明したが、光学測定を行う測定部は少なくとも1方あれば良く、必ずしも両方を備えている必要はない。但し、一般的に散乱光測定の方が低濃度に対し高感度に測定できるため、検出限界/定量限界試験においては、散乱光測定部30があることが望ましい。 図4は、本発明を適用した自動分析装置における、希釈系列の測定結果から検出限界/定量限界を算出する過程の一例を示した図である。図4の上段は、3SD法による検出限界の算出例、図4の下段は、CV10%定量限界の算出例である。一連の算出は、PC35の演算部で行われる。 図4上段において、横軸に各希釈系列の理論濃度、縦軸には各サンプルの繰り返し測定における吸光度カウントの平均値とばらつき(3SD値)を上下のエラーバーで示した。濃度0.00mg/dL(ブランク試料)のばらつきの上限をグラフ中に点線で示した。3SD法では、このブランク測定のばらつき上限と、各希釈系列測定のばらつきの下限とを比較し、ブランク測定のばらつき上限が希釈系列測定のばらつき下限よりも小さくなる濃度を検出限界と判定する(図4の例では0.013mg/dL)。検出限界の判定法としては、この他に2SDを用いる方法や、米国臨床検査標準協議会(NCCLS、現在のCLSI)が推奨する、標準正規分布における5%の危険率と合成標準偏差を用いる方法などがある。 図4下段において、横軸に各希釈系列の理論濃度、縦軸には各サンプルの繰り返し測定における吸光度カウントの誤差CVを示した。グラフ中の曲線は、誤差CVを指数関数により曲線回帰した近似曲線の式である。近似曲線と許容限界誤差(この場合CV10%)とが交わる濃度、0.021mg/dLをCV10%定量限界と判定する。誤差CVの曲線回帰方法としては、指数関数の他に、累乗近似、2次関数、3次関数による多項式近似などを用いても良い。 図5は、本発明を適用した自動分析装置における、検出限界/定量限界試験結果の判定条件の設定画面の一例を示す図である。画面左側に検出限界の判定法の設定例、画面右側に定量限界の判定法の設定例を示す。検出限界/定量限界の判定法はどちらも、複数の判定法から1つを選択する構成としても良いし、複数の判定法を同時に設定可能とし、検出限界試験結果を表示する画面において、判定法ごとの試験結果を併記する構成としても良い。また、判定法設定ボックスの最下段に示したように、判定に用いるSD範囲や、許容限界CV値を入力する構成としても良い。定量限界の算出に用いる曲線回帰式を指数関数近似、累乗関数近似、多項式近似から選択するか、回帰曲線からの乖離が小さい回帰方法を自動で選択する構成としても良い。 図6は、本発明を適用した自動分析装置における、検出限界/定量限界試験結果の出力例を示す図である。図6には、検出限界/定量限界試験を実施する全ての項目のブランク上限、検出限界、定量限界試験結果を一覧表示する例を示した。図6の画面上で、項目を選択することで、図4のような希釈系列の測定結果の詳細を確認できるように構成することが望ましい。検出限界/定量限界の試験結果のみならず、これらのグラフを出力部37に表示することで、オペレータは、希釈系列を検出限界の近傍を中心に集めて再度測定したり、実施条件や判定条件の変更の必要性を判断することができるためである。 また、試験結果の表示方法の別の実施例としては、過去の検出限界/定量限界試験結果を、装置PC35のデータ記憶部に記憶するのが望ましく、図示は省略するが、横軸に試験実施日、縦軸に試験結果をプロットして、検出限界/定量限界性能の経時変化を確認することが可能な画面構成とすることも考えられる。これにより、例えば、試薬のロットを変更した時点で検出限界/定量限界性能が急激に変わったり、装置のメンテナンスを怠ったことにより、検出限界/定量限界性能が徐々に悪化したりといった状況を、オペレータが認識するのが容易になる。 図7は、本発明を適用した自動分析装置における、通常の検査試料の測定結果に対する各種設定画面の例を示す図である。画面左列には、通常の検査における患者検体の測定結果値の範囲区分を、中央の列には、範囲ごとに測定結果に付与する情報を、右列には範囲ごとの再検条件の例を示した。 通常の検査における患者検体などの測定結果を算出した時に、装置が記憶しているブランク上限、検出限界、定量限界の試験結果と、通常の検査の測定結果とを比較し、測定結果が該当する濃度範囲に応じて、あらかじめ設定しておいた付与情報を測定結果に付与してデータ出力する。 例えば、図7の設定例の装置において、患者検体の測定結果が、ブランク上限以上〜検出限界未満の濃度領域に該当する場合は、測定結果値に合わせて「判定保留」の付与情報を出力し、オペレータに注意喚起するとともに、当該検体に対して、検体量を増量しての再検を実施する。また、検出限界以上〜定量限界未満の濃度領域に該当する場合は、測定結果値に合わせて「検出するが定量不可」の付与情報を出力し、オペレータに注意喚起するとともに、当該検体に対し、検体量を増量して再検を実施する。 付与情報については、オペレータによる付与の有無の選択や付与情報の編集を可能とすることが望ましい。再検条件については、装置が自動で再検を行っても良いし、再検条件の推奨のみを行い、再検の実行有無はオペレータの判断に従う構成としても良い。 このように、試験結果を基準とした範囲ごとに、通常検査の検査結果報告時に付与する付与情報を設定し、演算部が、通常の測定結果と共に、測定結果が含まれる範囲の付与情報を出力することで、検出限界/定量限界に関わる測定結果の信頼性について、注意喚起することができる。また、装置が自動で再検を行う場合に、試験結果を基準とした範囲ごとに、通常検査の再検条件を設定し、設定された再検条件に基づき、同一試料を再検査することで、オペレータの作業を低減することができる。 測定結果範囲については、ブランク上限未満、ブランク上限以上かつ検出限界未満、検出限界以上かつ定量限界未満、定量限界以上の4区分としたが、一例であって、基準となる範囲は、少なくとも検出限界/定量限界の試験結果の値以上と値未満とで区別されていればよい。また、検出限界と定量限界との両方の試験結果を得る場合には、基準となる範囲は、検出限界未満と、検出限界以上かつ定量限界未満と、定量限界未満とで区別されることが望ましい。 図8は、本発明を適用した自動分析装置における、検出限界/定量限界の許容範囲チェック値設定画面の一例を示す図である。図8においては、検出限界/定量限界の指標の種別と試験実施日に続いて、実際の試験結果と、最右列に指標ごとの許容範囲チェック値の例を示した。 検出限界/定量限界の試験結果が許容範囲チェック値を超過した場合に、アラームを出力する機能を備える。検出限界/定量限界の許容範囲チェック値としては、例えば、臨床的な判断の基準値や、試薬の添付文書に記載された測定範囲下限の性能値などを入力することが考えられる。 複数の項目に検出限界/定量限界の許容範囲チェック値を設定しておくことで、単項目でのみチェック値を超過した場合は、当該試薬に異常がないかの確認を推奨し、複数の項目でチェック値を超過した場合は、装置の状態チェックやメンテナンスを推奨する構成としても良い。 以上により、本発明を説明した。本明細書では、検出限界と定量限界の両方の評価試験を行うことを例にして、説明したが、必ずしも両方の評価試験を行うことが前提ではなく、一方の評価試験を行う場合も本発明は適用できる。この場合には、図2、図4〜8については、一方に関する情報が表示されていれば良い。また、図2の検出/定量限界試験の実施条件設定画面、図5の検出/定量限界試験の判定条件設定画面、図7の測定結果の付与情報・再検設定画面の夫々は別図面で説明したが、出力部37に同一画面として表示されてもよいし、別画面で表示されてもよい。夫々、実施条件や判定条件を設定できれば実現形態はどのようなものであってもよい。また、図7において、付与情報と再検条件とを1つの図面で説明したが、別々に設定できるようにしてもよい。1 項目選択ステップ2 試験実施有無の設定ステップ3 試験実施間隔の設定ステップ4 予測値の入力ステップ5 希釈系列の調製方法の選択ステップ6 希釈系列の種類の設定ステップ7 希釈系列の系列数の入力ステップ8 希釈元試料の濃度の入力ステップ9 希釈液の設定ステップ10 理論濃度の入力ステップ11 繰り返し測定回数の入力ステップ12 検出限界/定量限界の判定法の入力ステップ13 項目名の選択ボックス14 検出限界/定量限界試験の実施有無の設定ボックス15 検出限界/定量限界試験の実施間隔の設定ボックス16 希釈系列の調製方法・測定回数の設定ボックス17 試料ディスク18 試料19 試料容器20 反応ディスク21 反応容器22 試料分注機構23 試薬ディスク24 試薬25 試薬容器26 試薬分注機構27 撹拌機構28 恒温槽循環液体29 透過光測定部30 散乱光測定部31 反応容器洗浄機構32 制御回路33 透過光測定回路34 散乱光測定回路35 PC36 入力部37 出力部 試料を反応容器に分注する試料分注機構と、 試薬を前記反応容器に分注する試薬分注機構と、 該試料と該試薬の混合液の光学測定を行う測定部と、 測定項目ごとの検出限界と定量限界の少なくとも1方の評価試験を行うための実施条件設定手段と、 前記評価試験の判定条件を設定する判定条件設定手段と、 設定された前記実施条件に基づき、前記試料分注機構、前記試薬分注機構、前記測定部とを制御することで、希釈濃度の異なる希釈系列の測定結果を求め、 設定された前記判定条件に基づき、前記希釈系列の測定結果から前記評価試験の試験結果を算出する演算部とを備えることを特徴とする自動分析装置。 請求項1記載の自動分析装置において、 さらに、前記試験結果を基準とした範囲ごとに、通常検査の検査結果報告時に付与する付与情報を設定する付与情報設定手段とを備え、 前記演算部は、通常検査の測定結果と共に、該測定結果が含まれる前記範囲の前記付与情報を出力することを特徴とする自動分析装置。 請求項2記載の自動分析装置において、 前記範囲は、前記試験結果の値以上と値未満とで区別されることを特徴とする自動分析装置。 請求項2記載の自動分析装置において、 前記評価試験は、測定項目ごとに検出限界と定量限界の両方に対して行われ、前記演算部は、検出限界と定量限界の両方の試験結果を算出し、 前記範囲は、検出限界未満と、検出限界以上かつ定量限界未満と、定量限界未満とで区別されることを特徴とする自動分析装置。 請求項1記載の自動分析装置において、 さらに、前記試験結果を基準とした範囲ごとに、通常検査の再検条件を設定する再検設定手段とを備え、 設定された前記再検条件に基づき、同一試料が再検査されることを特徴とする自動分析装置。 請求項1記載の自動分析装置において、 さらに、前記試験結果の許容範囲を設定する許容範囲設定手段と、 算出された前記試験結果が該許容範囲を超過し場合にアラームを出力する機能とを備えることを特徴とする自動分析装置。 【課題】検出限界/定量限界性能の試験の実施、試験結果の管理に要する手間を削減することが可能な自動分析装置を提供すること。【解決手段】測定項目ごとの検出限界と定量限界の少なくとも1方の評価試験を行うための実施条件設定手段と、前記評価試験の判定条件とを設定する判定条件設定手段と、設定された前記実施条件に基づき、前記試料分注機構、前記試薬分注機構、前記測定部とを制御することで、希釈濃度の異なる希釈系列の測定結果を求め、設定された前記判定条件に基づき、前記希釈系列の測定結果から前記評価試験の試験結果を算出する演算部とを備えた。【選択図】 図1