生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_DPP4阻害剤
出願番号:2012157752
年次:2014
IPC分類:A61K 31/675,A61P 43/00,A61P 3/10,A23L 1/30,C12N 9/99


特許情報キャッシュ

浅野 幸一 JP 2014019657 公開特許公報(A) 20140203 2012157752 20120713 DPP4阻害剤 グンゼ株式会社 000001339 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 浅野 幸一 A61K 31/675 20060101AFI20140107BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140107BHJP A61P 3/10 20060101ALI20140107BHJP A23L 1/30 20060101ALI20140107BHJP C12N 9/99 20060101ALI20140107BHJP JPA61K31/675A61P43/00 111A61P3/10A23L1/30 ZC12N9/99 6 OL 12 4B018 4C086 4B018LB10 4B018MD07 4B018MD80 4B018ME03 4B018MF01 4B018MF13 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA37 4C086DA38 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZC35 本発明は、DPP4阻害剤、並びに該阻害剤を含有する食品及び医薬に関する。 糖尿病は、現代における最も一般的な慢性疾患の一つであり、インスリンの正常な活性(食餌中の糖消費)が損なわれることにより引き起こされるものである。糖尿病には、主に、インスリン依存型糖尿病(いわゆるI型糖尿病)と、インスリン非依存型糖尿病(いわゆるII型糖尿病)とがあり、近年、II型糖尿病の患者数が、生活習慣の変化、肥満の増加等によって、急激に増加している。 糖尿病においては、体内でのインスリン産生能が極めて低下しているか、あるいは体内でインスリンが作られたとしても、インスリン感受性の低下等によりそのインスリンが有効に作用しないために、血糖値上昇が起き、それによって種々の高血糖症状が引き起こされる。現在広く行われている治療としては、インスリン投与以外に、血糖値降下剤の投与によって血糖値をコントロールする方法がある。 一方、II型糖尿病患者の増加に伴い、従来のインスリン投与以外の種々の治療法が検討されている。その中で生体から分泌されるインクレチンに注目が集まっている。 インクレチンとは、消化管ホルモンの総称であり、インスリン分泌を刺激することにより、血糖値を下げる作用があることが知られている。インクレチンの中でも、GLP−1アナログ等が医薬品として開発されている。さらには、GLP−1はペプチド分解酵素であるジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)によって分解され、失活することから、DPP4の作用を阻害する物質についても、今後の新しい糖尿病治療薬として開発がなされている。 これまでにも、DPP4阻害を目的とした、様々な化合物が提案されてきた。そのような化合物として、例えば、シタグリブチン(特許文献1)、アログリブチン(特許文献2)、アダマンチルグリシン誘導体(特許文献3)、ピロリジン誘導体(特許文献4、特許文献5)、キノリン誘導体(特許文献6)、ペプチド(特許文献7)、加水分解型タンニン(特許文献8)等が挙げられる。 しかしながら、これら従来のDPP4阻害剤として知られている化合物は、特異的な立体構造を制御した合成を要するため、複雑な合成経路を経なければならないという問題があった。また植物からの抽出物である場合には、大量安定供給が出来ない可能性があった。そのため、DPP4阻害活性を有する新たな化合物を開発することが要請されている。特表2004−536115号公報特開2007−314551号公報特表2007−501231号公報特開2007−031396号公報特表2005−500321号公報特開平10−182613号公報国際公開2011/016220号特開2008−280291号公報 本発明は、新規なDPP4阻害剤を提供することを課題とする。また、本発明は、当該DPP4阻害剤を含有する食品及び医薬を提供することを課題とするものである。 本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、グアノシン2’,3’-環状リン酸に、優れたDPP4阻害活性効果があることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、さらに改良を重ねることにより完成したものである。 即ち、本発明は、下記に掲げる発明を提供するものである。項1. 一般式(1)で表される環状リン酸化合物及び/又はその塩を含むDPP4阻害剤。(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって水素原子又はアミノ基の保護基を示し、R4及びR6は、同一又は異なって水素原子又は置換していてもよいアルキル基を示し、R5及びR7は、同一又は異なって水素原子又は水酸基の保護基を示す。)項2.一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7が、共に水素原子である、項1に記載のDPP4阻害剤。項3.一般式(1)で表される環状リン酸化合物が、式(2)で表される化合物である、項1に記載のDPP4阻害剤。項4.項1〜3のいずれかに記載のDPP4阻害剤を含有する食品。項5.項1〜3のいずれかに記載のDPP4阻害剤を含有する医薬。項6.血糖値上昇抑制のために用いられる、項5に記載の医薬。 以下に、本発明を詳細に説明する。 本発明のDPP4阻害剤は、下記一般式(1)で表される環状リン酸化合物及び/又はその塩を含む。(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって水素原子又はアミノ基の保護基を示し、R4及びR6は、同一又は異なって水素原子又は置換していてもよいアルキル基を示し、R5及びR7は、同一又は異なって水素原子又は水酸基の保護基を示す。) R1、R2及びR3におけるアミノ基の保護基としては、例えば、カルバメート基、アミド基、イミド基、スルホンアミド基等が挙げられる。 カルバメート基としては、具体的には、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等が挙げられる。 アミド基としては、具体的には、トリフルオロアセチル基等が挙げられる。 イミド基としては、具体的には、フタロイル基等が挙げられる。 スルホンアミド基としては、具体的には、p−トルエンスルホニル基(トシル基)、2−ニトロベンゼンスルホニル基等が挙げられる。 R1、R2及びR3としては、それぞれ水素原子であることが好ましい。 R4及びR6におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。また、前記アルキル基に置換してもよい基としては、シクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられる。 R4及びR6としては、それぞれ水素原子であることが好ましい。 R5及びR7における水酸基の保護基としては、例えば、エーテル基、アセタール基、アシル基、シリルエーテル基等が挙げられる。 エーテル基としては、具体的には、メチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、t−ブチル基等が挙げられる。 アセタール基としては、具体的には、メトキシメチル基、2−テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基等が挙げられる。 アシル基としては、具体的には、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。 シリルエーテル基としては、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。 R5及びR7としては、それぞれ水素原子が好ましい。 中でも、一般式(1)で表される環状リン酸化合物及びその塩としては、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7が、全て水素原子である化合物が好ましい。特に、下記式(2)で表される化合物が好ましい。 本発明のDPP4阻害剤の有効成分である式(2)で表される環状リン酸化合物は、例えば、麹菌を用いて、米を製麹することにより得ることができる。 米としては、麹の調製に用いることのできる原料であればいずれでもよく、例えば、精白米、玄米等を用いることができる。また、破砕米のような形状のものでもよく、原産地や品種は特に限定されない。これらの原料は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。 麹菌としては、食品衛生上又は薬学的に許容されるものであれば、特に制限することなく使用できる。当該麹菌としては、具体的には、アスペルギルス属(Aspergillus)に属する糸状菌、より具体的には、アスペルギルス・ソーエ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・カワチイ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、これらの変種、及びこれらの変異株等が挙げられる。なお、これらの麹菌は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 上記麹菌による製麹は、米に麹菌を植菌し、よく混合した後に、好気的条件下で培養を行うことにより実施される。 製麹条件としては、培地の水分率を35〜60%、好ましくは45〜55%、温度を20〜37℃、好ましくは25〜35℃、培養日数を1〜5日、好ましくは2〜4日で培養する。 このようにして得られた培養発酵物から、抽出溶媒を用いて水溶性画分を抽出し、麹エキスを得た後、当該麹エキスを、C18カラム、逆相+イオン交換カラム等を用いた高速液体クロマトグラフィーにかけ、単離精製することにより、上記式(2)で表される環状リン酸化合物を得ることができる。 具体的には、当該麹エキスは、当該培養発酵物をそのまま、或いは必要に応じて細切や破砕等の処理を施したものを、抽出溶媒で抽出することにより取得できる。当該抽出溶媒としては、冷水、温水、熱水等の水;有機溶剤;又は水と有機溶剤の混合液が例示される。当該抽出溶媒として使用される有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール等を挙げることができる。当該抽出溶媒として好ましくは、水、及び水とエタノールの混合液である。続いて、得られた麹エキスを、C18カラム(例えば、Wakosil−II5C18 HGカラムなど)、逆相+イオン交換カラム(例えば、TCI Dual ODS-CX10カラムなど)、C18カラム(例えば、Wakosil-II5C18 HGカラムなど)の順に用いた高速液体クロマトグラフィーで単離精製することにより、上記式(2)で表される環状リン酸化合物を得ることができる。 上記一般式(1)において、R1、R2及びR3がアミノ基の保護基を示す化合物は、対応するR1、R2及びR3が水素原子を示す化合物から容易に製造される。例えば、R1、R2及びR3が水素原子を示す化合物に、公知のN保護基形成反応を適用すればよい。 上記一般式(1)において、R4及びR6が置換していてもよいアルキル基を示す化合物は、対応するR4及びR6が水素原子を示す化合物から容易に製造される。例えば、R4及びR6が水素原子を示す化合物に、公知のアルキル化反応を適用すればよい。 上記一般式(1)において、R5及びR7が水酸基の保護基を示す化合物は、対応するR5及びR7が水素原子を示す化合物から容易に製造される。例えば、R5及びR7が水素原子を示す化合物に、公知のOH保護基形成反応を適用すればよい。 上記一般式(1)で表される環状リン酸化合物のうち、酸性基を有する化合物は、薬学的に許容し得る塩基性化合物と塩を形成し得る。このような塩基性化合物としては、例えば、金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩又は重炭酸塩、アルカリ金属アルコラート等が挙げられる。 金属水酸化物としては、具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。 アルカリ金属炭酸塩又は重炭酸塩としては、具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。 アルカリ金属アルコラートとしては、具体的には、ナトリウムメチラート、カリウムエチラート等が挙げられる。 上記一般式(1)で表される環状リン酸化合物のうち、塩基性基を有する化合物は、薬学的に許容し得る酸と塩を形成し得る。このような酸としては、例えば、無機酸、有機酸等が挙げられる。 無機酸としては、具体的には、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸等が挙げられる。 有機酸としては、具体的には、酢酸、p−トルエンスルホン酸、エタンスルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、安息香酸等が挙げられる。 本発明においては、上記塩も、遊離形態の一般式(1)で表される環状リン酸化合物と同様に、有効成分として用いることができる。なお、上記一般式(1)で表される環状リン酸化合物には、立体異性体、光学異性体等の各種異性体が包含されるが、これらも同様に有効成分として用いることができる。 上記各種反応により得られた化合物は、通常の分離手段により反応系内より分離され、さらに、精製することができる。当該分離及び精製手段としては、例えば、蒸留法、再結晶法、溶媒抽出法、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、親和クロマトグラフィー、プレパラティブクロマトグラフィー等が挙げられる。 このようにして得られた一般式(1)で表される環状リン酸化合物は、DPP4阻害剤として有効であり、薬学的に許容される基材や担体と共に製剤化し、血糖値上昇抑制用等の医薬製剤に調製して、使用することができる。当該医薬製剤には、必要に応じて、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤化剤、緩衝剤、保存剤、香料等の薬学的に許容される添加剤を任意に配合してもよい。当該医薬組品の形態としては、特に制限されるものではないが、例えば、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤等を挙げることができる。所望の剤形に成形するに際しては、当業界で知られた各種担体を用いることができる。担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、保湿剤、吸着剤、滑沢剤等が挙げられる。 賦形剤としては、具体的には、ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、尿素、デンプン、カカオ油脂、植物油、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、結晶性セルロース、ケイ酸等が挙げられる。 結合剤としては、具体的には、水、エタノール、プロパノール、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、リン酸カリウム等が挙げられる。 崩壊剤としては、具体的には、デンプン、乳糖、アルギン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。 吸収促進剤としては、具体的には、四級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。 保湿剤としては、具体的には、デンプン、グリセリン等が挙げられる。 吸着剤としては、具体的には、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等が挙げられる。 滑沢剤としては、具体的には、タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸粉末、ポリエチレングリコール等が挙げられる。 本発明のDPP4阻害剤は、上記一般式(1)で表される環状リン酸化合物及び/又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する。 本発明のDPP4阻害剤中の、一般式(1)で表される環状リン酸化合物及び/又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量は、特に限定されないが、通常、0.00005〜100重量%程度、好ましくは、0.01〜5重量%程度である。 本発明のDPP4阻害剤は、一般式(1)で表される環状リン酸化合物及び/又はその塩そのものからなっていてもよい(すなわち、100%)。 本発明のDPP4阻害剤を含有する医薬における、一般式(1)で表される環状リン酸化合物及び/又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の配合割合については、該医薬品の形態や前記投与量等に応じて適宜設定すればよいが、通常、製剤組成物中に0.0001〜100重量%、好ましくは、0.001〜50重量%である。 本発明のDPP4阻害剤を含有する医薬の投与量については、有効成分の種類、投与対象者の年齢や体重、症状、投与回数等によって異なり一律に規定することはできないが、例えば、成人1日当たりの投与量として、一般式(1)で表される環状リン酸化合物0.1mg〜100mgを挙げることができる。 本発明のDPP4阻害剤を含有する医薬の投与回数については、有効成分の種類、投与対象者の年齢や体重、症状、該医薬品の1回当たりの投与量等に応じて適宜設定できる。 本発明のDPP4阻害剤は、食品成分により製造され、日常的に摂取されても安全であるということを鑑みれば、食品添加剤や食品などにも適用することができる。ここで、食品には、飲料品も含まれる。 本発明のDPP4阻害剤は、GLP−1の分解を抑制することにより、GLP−1によるインスリン分泌を促し、血糖値を下げることができる。それ故、本発明のDPP4阻害剤は、糖尿病の予防又は治療に有用である。 また、本発明のDPP4阻害剤は、血圧低減効果も発現する。 さらに、本発明のDPP4阻害剤は、非アルコール性脂肪肝を改善することもできる。被験物質の終濃度とDPP4阻害率との関係を示したグラフである。 以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 精白米を90分間水に浸漬し、45分間水切りした後、オートクレーブで125℃、30分間加圧蒸気滅菌した。次いで、この製麹原料に、Aspergillus sojae NBRC 33082を植菌し、培地の水分率45〜60%、温度25〜30℃で5日間、培養を行い、米紅麹を得た。 上記で得られた米紅麹100gに、15倍容量の水を加え、50℃まで昇温し、時々撹拌しながら2時間抽出した。得られた抽出液を、10000Gで20分間遠心分離し、得られた液を減圧濃縮後、凍結乾燥した。 得られた凍結乾燥物を蒸留水に溶解し、以下の条件Aで分画を行った。 <条件A> カラム:Wakosil-II 5C18HG 10×250mm(和光純薬工業社製) 溶出液:水:メタノール(1%酢酸)=85:15→60:40グラジエント 流速:2.5ml/min 8分から10分まで溶出した画分を分取後、減圧濃縮し乾燥した。得られた画分を蒸留水に溶解し、以下の条件Bにて分画を行った。 <条件B> カラム:TCI Dual ODS-CX10 10×250mm(東京化成工業社製) 溶出液:水:メタノール(1%酢酸)=85:15→60:40グラジエント 流速:2.5ml/min 5分から6分まで溶出した画分を分取後、減圧濃縮し乾燥した。得られた画分を蒸留水に溶解し、再度、上記条件Aで分画を行い、8.5分から9分までの画分を分取後、減圧濃縮し、乾燥した。 得られた成分について、以下の条件にて高分解能ESI/MS測定を行い、組成演算を行った結果、分子量は345と推定され、推定組成式としてC10H12N5O7Pが誤差0.1mDaで算出された。 測定機器:LCMS-IT-TOF(株式会社島津製作所) HPLC:LC-20A(株式会社島津製作所) カラム:Scherzo SM-C18(3μm) 2×150mm (Lot No.IF08MHE) 移動相:水 流量:0.1mL/min 注入量:5μL HPLC検出:UV 210nm カラム温度:40℃ また、得られた成分を、以下の条件にて各種NMR測定した。 測定装置:UNITY INOVA 600型(バリアン社製) 観測周波数:599.5MHz(1H核) 150.7MHz(13C核) 溶媒:重水 基準:1H核(HDO 4.800ppm)、13C核(TSP 0.0ppm (差し替え基準)) 温度:室温(25℃で制御) 測定:1H NMR、13C NMR、HSQC、HMBC質量分析の結果と合わせて構造解析した結果、得られた成分は、一般式(2)で表されるグアノシン2’,3’-環状リン酸であった。 試験例<DPP4阻害活性測定試験> DPP4 Drug Discovery Kit (ENZO社製)を用い、キットの試験方法に従い、以下の方法で実施した。 96ウエルマイクロプレートに、反応緩衝液(50mM Tris, pH7.5)に溶解した各種濃度の被験物質35μlを加え、次にDPP4溶液(17.34μU/μl)15μlを加え、37℃で15分間静置した。その後、基質であるH-Gly-Pro-pNA溶液(10mM in DMSO)50μlを加え混和し、37℃にて反応を開始させた。反応開始10分後、DPP4活性によって遊離したp-NAをマイクロプレートリーダーMTP-450型(コロナ電気株式会社製)で405nmの吸光度を測定した。 なお、被験物質の代わりに、反応緩衝液を用いて同様の測定を実施し、その結果をコントロールとした。 また、被験物質及びDPP4溶液の代わりに、反応緩衝液を用いて同様の測定を実施し、その結果をブランクとした。 測定結果を次式にあてはめ、DPP4活性の阻害率を算出した。 阻害率(%)=(C−S)/(C−B)×100 C:コントロールの405nm吸光度 S:被験物質を添加した時の405nm吸光度 B:ブランクの405nm吸光度 さらに、これら阻害率に基づいて、横軸に被験物質の終濃度、縦軸にDPP4阻害率をプロットしたグラフを作成し、DPP4活性を50%阻害する時の被験物質の濃度(IC50)を算出した。結果を図1及び表1に示した。 本発明のDPP4阻害剤は、医薬の分野において使用され、これによって、血糖値上昇抑制用の医薬が提供される。本発明のDPP4阻害剤が、食品成分により製造され、日常的に摂取されても安全であるということを鑑みれば、食品添加剤や食品などにも応用することができる。一般式(1)で表される環状リン酸化合物及び/又はその塩を含むDPP4阻害剤。(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって水素原子又はアミノ基の保護基を示し、R4及びR6は、同一又は異なって水素原子又は置換していてもよいアルキル基を示し、R5及びR7は、同一又は異なって水素原子又は水酸基の保護基を示す。)一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7が、共に水素原子である、請求項1に記載のDPP4阻害剤。一般式(1)で表される環状リン酸化合物が、式(2)で表される化合物である、請求項1に記載のDPP4阻害剤。請求項1〜3のいずれかに記載のDPP4阻害剤を含有する食品。請求項1〜3のいずれかに記載のDPP4阻害剤を含有する医薬。血糖値上昇抑制のために用いられる、請求項5に記載の医薬。 【課題】新規なDPP4阻害剤を提供すること。【解決手段】グアノシン2’,3’-環状リン酸を、DPP4阻害剤の有効成分として使用する。【選択図】なし


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