タイトル: | 公開特許公報(A)_人工爪原料組成物、人工爪原料組成物の硬化方法、人工爪の製造方法および人工爪 |
出願番号: | 2012156027 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 8/81,A45D 29/18,A61Q 3/02,A61K 8/46,A61K 8/55,A61K 8/35 |
山本 五三郎 里田 俊也 JP 2014005260 公開特許公報(A) 20140116 2012156027 20120711 人工爪原料組成物、人工爪原料組成物の硬化方法、人工爪の製造方法および人工爪 里田化工株式会社 398009720 辻丸 光一郎 100115255 中山 ゆみ 100129137 吉田 玲子 100146064 伊佐治 創 100154081 李 京佳 100183058 山本 五三郎 里田 俊也 JP 2012121418 20120528 A61K 8/81 20060101AFI20131213BHJP A45D 29/18 20060101ALI20131213BHJP A61Q 3/02 20060101ALI20131213BHJP A61K 8/46 20060101ALI20131213BHJP A61K 8/55 20060101ALI20131213BHJP A61K 8/35 20060101ALI20131213BHJP JPA61K8/81A45D29/18A61Q3/02A61K8/46A61K8/55A61K8/35 7 OL 20 4C083 4C083AC212 4C083AC772 4C083AC892 4C083AD092 4C083CC28 4C083DD23 4C083EE06 4C083EE07 4C083FF01 本発明は、人工爪原料組成物、人工爪原料組成物の硬化方法、人工爪の製造方法、および人工爪に関する。 手足の爪を装飾する方法として、ラッカー塗料を用いるマニキュアが広く用いられてきた。これらのマニキュアは、ラッカー塗料を手足の爪に塗布した後、溶剤を揮発させて乾燥することにより硬化させるものである。しかし、これらのマニキュアは、前記ラッカー塗料の乾燥および硬化に長時間を必要とする。また、これらのマニキュアは、爪との接着性が弱いため、時間経過とともに剥がれやすくなるという欠点がある。 一方、近年、手足の爪に塗料を塗布するだけでなく、爪の上に合成樹脂(人工爪)を形成していろいろなデザインを施すネイルアートが、女性の間で人気が高まっている。人工爪を形成する方法の一つとして、基材とする合成樹脂と(メタ)アクリル酸エステルモノマーと重合開始剤とを混合した後、速やかに爪に塗布して、爪の上で重合させる方法がある。しかしながら、この方法は(メタ)アクリル酸エステルモノマーの刺激臭が非常に強いことや、モノマーと重合開始剤を混合した後、速やかにデザインを施さないと、混合物が重合し、硬化してしまうこと等の問題があり、必ずしも広く普及するには至っていない。 上記の施術方法の欠点を改善したネイルアート技術として、最近急速に普及してきた方法は、光(紫外線、可視光線)の照射による合成樹脂形成の方法である。紫外線(UV)硬化樹脂の技術は、産業のさまざまな分野で利用されており、またそこに使われる化合物、装置および方法もよく研究されており、日々進歩している。この光硬化の方法は、強い刺激臭がなく、デザインの施術も比較的容易に行えるため、ジェルネイルとしてプロネイリストからアマチュアの女性まで広く普及しつつある。ジェルネイルの中でも、特に、ソークオフジェルは、施術後一定期間を経て人工爪を除去するときに、やすり等で削り取らず、アセトン等の溶剤で除去可能である。このため、ソークオフジェルは、爪を傷めず人工爪除去が簡単に行える方法として、普及しつつある。 ジェルネイルを構成する主成分は、ラジカル重合が可能な化合物と光重合開始剤である。ラジカル重合が可能な化合物の中でも、(メタ)アクリレート不飽和結合を持ったウレタン系の化合物(ウレタンアクリレートオリゴマー)と、希釈剤としての不飽和結合性モノマーとを含んだ人工爪原料組成物が、重合後の艶や自爪との接着性が比較的良好なものとして広く使われている。特開2002−322034号公報特開2006−312596号公報特開2009−126833号公報特開2010−13439号公報特開2010−105967号公報特開2011−20956号公報特開2011−229725号公報 ジェルネイル(人工爪)で要求される爪との接着性はかなり高度なものである。すなわち、人工爪は、日常生活の中で、10日以上、爪(自爪)との接着性を保つ必要があり、その間に爪から剥がれたり、部分的にでも、爪から浮き上がったり(リフト)してはならない。 人工爪と自爪の接着性を10日以上良好に保つのは難しい。このため、前記接着性を維持するために、予め接着剤やプライマーを自爪の上に塗っておき、その上に人工爪原料組成物を塗布して硬化するという方法をとっている例も多い。しかし、あらかじめ接着剤やプライマーを塗布して硬化することは、人工爪の形成(製造)工程を煩雑かつ長時間にするとともに、コスト高につながる。したがって、接着剤およびプライマーを用いることなく、自爪との接着性を長期間保てる人工爪原料組成物が望まれている。 一方、ジェルネイル(人工爪)を除去する際には、自爪を傷つけることなく容易に除去できることが望まれる。しかし、人工爪と自爪との接着性が強固であると、人工爪を自爪から除去することが困難であり、除去の際に自爪を傷つけやすい。 そこで、本発明は、接着剤およびプライマーを用いることなく、人工爪と自爪との接着性を長期間保つことが可能であり、かつ、人工爪を自爪から容易に除去できる人工爪原料組成物、人工爪原料組成物の硬化方法、人工爪の製造方法および人工爪の提供を目的とする。 前記目的を達成するために、本発明の人工爪原料組成物は、下記成分(A)〜(C)を含む人工爪原料組成物である。(A)1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物(B)1分子内に2個以上のチオール基を有する多官能チオール化合物(C)光重合開始剤 また、本発明の人工爪原料組成物の硬化方法は、前記本発明の人工爪原料組成物に光照射して前記人工爪原料組成物を硬化させる、人工爪原料組成物の硬化方法である。 さらに、本発明の人工爪の製造方法は、前記本発明の硬化方法により前記人工爪原料組成物を硬化させる硬化工程を含む、人工爪の製造方法である。 さらに、本発明の人工爪は、前記本発明の製造方法により製造される人工爪である。 本発明によれば、接着剤およびプライマーを用いることなく、人工爪と自爪との接着性を長期間保つことが可能であり、かつ、人工爪を自爪から容易に除去できる人工爪原料組成物、人工爪原料組成物の硬化方法、人工爪の製造方法および人工爪を提供することができる。 つぎに、本発明について、例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。 本発明者らは、鋭意研究の結果、1分子内にチオール基を2個以上持つ多官能チオール化合物を人工爪原料組成物に加えることによって、接着剤およびプライマーを用いることなく、人工爪と自爪との接着性を長期間保つことが可能であり、かつ、人工爪を自爪から容易に除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明の人工爪原料組成物は、前述のとおり、下記成分(A)〜(C)を含む人工爪原料組成物である。(A)1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物(B)1分子内に2個以上のチオール基を有する多官能チオール化合物(C)光重合開始剤 本発明の人工爪原料組成物において、前記成分(A)は、前記ラジカル重合性化合物を1種類のみ含んでいても良いが、2種類以上の前記ラジカル重合性化合物を含んでいても良い。前記成分(B)は、前記多官能チオール化合物を1種類のみ含んでいても良いが、2種類以上の前記多官能チオール化合物を含んでいても良い。また、前記成分(C)における光重合開始剤は、1種類のみでも良いが、2種類以上を併用しても良い。 本発明の人工爪原料組成物は、前記成分(B)の含有率が、前記人工爪原料組成物全体の質量に対して0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましい。 本発明の人工爪原料組成物の硬化方法は、前述のとおり、本発明の人工爪原料組成物に光照射して前記人工爪原料組成物を硬化させる、人工爪原料組成物の硬化方法である。また、本発明の人工爪の製造方法は、前述のとおり、本発明の硬化方法により前記人工爪原料組成物を硬化させる硬化工程を含む、人工爪の製造方法である。本発明の人工爪の製造方法は、前記硬化工程に先立ち、前記人工爪原料組成物を爪に塗布する塗布工程をさらに含むことが好ましい。 本発明の人工爪原料組成物を用いることによって、例えば、接着剤やプライマーを使うことなく、人工爪原料組成物のみを爪に塗布し重合させることで、人工爪が長期間爪から剥離することなく接着し続け、美しい外観を保てる。また、本発明の人工爪を除去する際には、例えば、人工爪を削ることなく、溶剤で容易に除去できることで、爪に対する負担を軽減することができる。 また、本発明の人工爪原料組成物は、例えば、硬化直後の表面に未硬化ジェルを残さないことが可能である。以下、前記未硬化ジェルについて説明する。 人工爪形成(ジェルネイルの施術)のためには、人工爪原料組成物を光照射等により硬化させる必要がある。従来の人工爪原料組成物は、前記硬化の直後に、人工爪の内部は硬化しているが、表面にはまだ硬化していない人工爪原料組成物(未硬化ジェル)が残っている場合が多かった。この状態では、人工爪の表面が、前記未硬化ジェルにより粘着性を保ったままの状態になっている。このままの状態では、硬化させた人工爪が他の物体に接触すると、前記人工爪と前記物体(接触物)が接着して離れなくなったり、前記人工爪に前記接触物が付着して前記人工爪の美観が損なわれたりするおそれがある。また、逆に、前記接触物が前記未硬化ジェルによって汚されたりするおそれもある。 このような事態を防ぐためには、前記人工爪の表面から前記未硬化ジェルを除去すれば良い。例えば、アルコール類やその他の溶剤を主成分とするジェルクリーナーをコットンなどに染ませて、光硬化後の人工爪表面をなぞり、前記人工爪表面から未硬化ジェルを拭き取って取り除くことができる。 しかし、未硬化ジェル除去の際、使用したジェルクリーナーの種類によっては、未硬化ジェル除去後の人工爪表面が曇って艶がなくなり、美観が損なわれるおそれがある。また、人工爪に装飾を施した場合には、人工爪表面の未硬化ジェルを拭き取る作業によって、前記装飾の一部が破損するおそれもある。さらに、人工爪形成のたびに未硬化ジェル除去の工程を必要とすることは、人工爪形成(ジェルネイル施術)方法を煩雑にする。 これに対し、本発明によれば、例えば、人工爪原料組成物の硬化直後に未硬化ジェルを残さず、未硬化ジェル除去を必要としない人工爪原料組成物、人工爪原料組成物の硬化方法、人工爪の製造方法および人工爪を提供することができる。これによれば、人工爪形成(製造)方法が簡便であるとともに、人工爪の艶および美観を、未硬化ジェル除去工程により損なうことなくそのまま保つことも可能である。 なお、本発明の人工爪原料組成物において、硬化直後に未硬化ジェルを残さないためには、後述のとおり、成分(B)(1分子内に2個以上のチオール基を有する多官能チオール化合物)の含有率が一定値以上であることが好ましい。 以下、本発明の人工爪原料組成物に含まれる各成分、人工爪形成(製造)方法、人工爪除去方法について説明する。[成分(A)] 本発明の前記成分(A)において、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する前記ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合し得る化合物であれば特に制限はない。前記ラジカル重合性化合物は、光重合可能な化合物を含むことが好ましいが、熱重合可能な化合物を含んでいても良い。例えば、前記成分(A)が光重合可能な化合物を含み、前記成分(C)の光重合開始剤により重合開始可能であっても良い。また、例えば、前記成分(A)が熱重合可能な化合物を含む場合、本発明の人工爪原料組成物が、さらに熱重合開始剤を含んでいても良い。前記成分(A)としては、例えば、公知の単官能モノマー、多官能モノマー、および、ラジカル重合性の不飽和結合を1個以上保有するオリゴマー等が挙げられる。 前記単官能モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコール-アクリル酸-安息香酸エステル、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸は、「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を意味し、(メタ)アクリレートは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、(メタ)アクリロイロキシは、「アクリロイロキシおよび/またはメタクリロイロキシ」を意味する。 前記多官能モノマーとしては、例えば、イタコン酸、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1.4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1.6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1.9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1.5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。 また、ポリエーテル骨格を有する高分子量のモノマーとして、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーがあり、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。 また、ラジカル重合性の不飽和結合を1個以上保有するオリゴマーとしては、上記のポリエーテル骨格を有するポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーがあげられる。また、その他に、(メタ)アクリロイル基を1個以上結合させたウレタン骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが光重合硬化樹脂の主たる成分として数多く市販されている。前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、EBECRYL 230、EBECRYL 270、EBECRYL 4858、EBECRYL 8201、EBECRYL 8402(いずれも、ダイセル・サイテック社の商品名)、オレスター RA1573、オレスター RA1574(いずれも、三井化学社の商品名)、UV−3200B,UV−7000B、UV−7550B、UV−7630B(いずれも、日本合成化学社の商品名)、CN964、CN981、CN996(いずれも、SARTOMER社の商品名)、AH−600、AT−600、UA−306H(いずれも、共栄社化学社の商品名)、UA−4200(新中村化学社の商品名)、アロニックス M−1200(東亞合成社の商品名)、ニューフロンティア R−1304(第一工業製薬社の商品名)等がある。またポリエステル骨格を有するポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーも数多く市販されており、例えばアロニックスM−6200、アロニックスM−7100、アロニックスM−8560(いずれも、東亞合成社の商品名)、オレスター RA1050(三井化学社の商品名)等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。 上記はいずれも(メタ)アクリロイル基を保有する単官能、多官能(メタ)アクリレート化合物である。これ以外に、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する化合物として、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、マレイン酸、フタル酸、スチレン、桂皮酸、ブタジエン等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。 本発明の人工爪原料組成物において、前記ラジカル重合性化合物(ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物)の含有量は、UVや可視光線による光硬化しやすさの観点から、40〜98質量%が好ましく、70〜96質量%がより好ましい。[成分(B)(多官能チオール化合物)] 本発明において、前記成分(B)の多官能チオール化合物としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、エチレングリコールビス(チオグリコレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ジメルカプトジエチルスルフィド、1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、テトラキス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、トリチオシアヌル酸、1,2−ベンゼンジメタン、チオール、4,4’−チオビスベンゼンチオール、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)メタン、1,1−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)エタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)ブタン、1,1−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)−5−メチルフェニル)プロパン、ビス(2−(2−メルカプトプロポキシ)−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)−3−t−ブチルフェニル)プロパン、トリス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)エタン、ビス(4−(2−メルカプトブトキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトブトキシ)フェニル)プロパン、トリス(4−(2−メルカプトブトキシ)フェニル)メタン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、のアルキルビニールエーテル付加物等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。これら多官能チオール化合物は、例えば、市販品を用いても良いし、適宜合成しても良い。市販品としては、例えば、SC有機化学社製のペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、昭和電工社製のペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(商品名カレンズMTPE1)、昭和電工社製のトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、昭和電工社製の1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(商品名カレンズMTNR1)等があげられる。 本発明の人工爪原料組成物において、前記多官能チオール化合物の含有量は、人工爪の自爪に対する十分な接着性の観点からは、少なすぎないことが好ましい。また、前記多官能チオール化合物の含有量は、光を遮蔽した室温での保管条件のもとでも人工爪原料組成物が固化する等、保管上の問題を発生させない観点から、多すぎないことが好ましい。具体的には、前記多官能チオール化合物の含有量は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。また、人工爪に未硬化ジェルを残存させないためには、本発明の人工爪組成物において、前記多官能チオール化合物の含有量は、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。[成分(C)] 本発明において、前記成分(C)の光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス−(η6−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート、メチルベンゾイルホルメート、ミヒラーズケトン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ジメチルベンジルケタール等、数多く挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。本発明における前記光重合開始剤は、一般に広く利用されている光重合開始剤でも良い。例えば、可視光線を利用する光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF社製、商品名ルシリンTPO)、UVを利用する光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製、商品名ダロキュア1173)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、商品名イルガキュア184)が広く利用されている。 本発明の人工爪原料組成物において、前記光重合開始剤の含有量は、UVや可視光線での光硬化しやすさの観点から、少なすぎないことが好ましい。また、逆に、わずかの光で人工爪原料組成物が望ましくない固化を引き起こしたりしないためには、前記光重合開始剤の含有量が多すぎないことが好ましい。具体的には、本発明の人工爪原料組成物において、前記光重合開始剤の含有率は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。[添加物] 本発明の人工爪原料組成物は、前記成分(A)〜(C)以外の成分を適宜含んでいても良いし、含んでいなくても良い。例えば、本発明の人工爪原料組成物には、着色、装飾するために、二酸化チタン、べんがら等の金属酸化物系顔料、群青、紺青等の金属錯塩系顔料、カーボンブラック、その他の無機顔料や染料のレーキ顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料、その他の有機顔料、さらには被覆マイカ等のパール顔料、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム細片、その他のラメ素材、各種貝殻粉末、ブロンズ粉、その他の粉末等を配合することができる。また、上記着色顔料に加えて炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン等の体質顔料も填料として、配合することができる。 また、本発明の人工爪原料組成物には、例えば、油脂、高級アルコール、高級脂肪酸、シリコーン油、その他の油性成分、界面活性剤類、香料類、水、エタノールや酢酸エチル等の溶剤類、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、防カビ剤等も添加剤として配合することができる。[人工爪形成(製造)方法] 本発明の人工爪の形成(製造)方法は、前述のとおり、本発明の人工爪原料組成物に光照射して前記人工爪原料組成物を硬化させる硬化工程を含む。これ以外は、本発明の人工爪の形成(製造)方法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして行うことができる。 すなわち、まず、爪(自爪)に付着する水分、油分(油脂)を、エタノール等の溶剤を含んだ綿布で除去する。つぎに、本発明の人工爪原料組成物を、マニキュア用ブラシで自爪上に塗布する。人工爪と自爪との密着性を高めるために、本発明の人工爪原料組成物を塗布する前に自爪をサンディングしてもよい。 さらに、本発明の人工爪原料組成物を塗布後、光照射して硬化させる。前記光は、特に限定されないが、例えば、可視光でも良いし、紫外線(UV)でも良い。前記光照射用の光源も特に限定されないが、例えば、市販のジェルネイル専用UVランプ、または可視光線照射LEDランプでも良い。前記光源により、前記塗布後の人工爪原料組成物に一定時間光を照射し、前記人工爪原料組成物の塗布層を硬化させることによって、本発明の人工爪を形成させる。また、上記塗布と硬化を繰り返して、着色顔料の発色度を高めたり、人工爪の厚さを調整することもできる。[人工爪除去方法] 本発明の人工爪を除去する方法は、特に限定されないが、例えば、下記のとおりである。すなわち、本発明の人工爪の形成(光硬化)から所望の日数(例えば、14日)後に、前記人工爪表面をファイル(爪用やすり)でこすって傷付ける。その後、アセトンに浸したコットンを前記人工爪上に乗せ、アルミホイル等で包んで揮発を防ぎ、適宜な時間(例えば、10分間)、そのまま放置する。これにより、硬化した前記人工爪は膨潤し、自爪から部分的に剥がれる。さらに、自爪上に残った人工爪をスティック状器具等を用いて自爪から剥がす。 以上、説明したように、本発明の人工爪原料組成物によれば、接着剤およびプライマーを用いることなく、自爪との接着性を長期間(例えば、14日間)保てる。また、本発明によれば、接着剤およびプライマーを用いることなく、本発明の人工爪原料組成物のみを爪に塗工した後、紫外線または可視光線等を照射することで、簡便に硬化させ、人工爪を形成させることもできる。さらに、形成させた本発明の人工爪は、例えば、溶剤で容易に除去できることにより、自爪を傷つけずに除去することも可能である。 本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例によりなんら限定されるものではない。 以下の実施例および比較例で使用した化学品は、以下のとおりである。(A)ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物A1:ウレタンアクリレートオリゴマー(分子量5000)A2:ウレタンアクリレートオリゴマー(分子量3500)A3:ウレタンアクリレートオリゴマー(分子量1100)A4:ウレタンアクリレートオリゴマー(分子量2100)A5:2−ヒドロキシエチルメタクリレートA6:イソボルニルアクリレートA7:ウレタンアクリレートオリゴマー(分子量3000)(B)多官能チオール化合物B1:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)B2:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)B3:トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)B4:1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5− トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(B’)単官能チオール化合物B5:2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート(C)光重合開始剤C1:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドC2:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンC3:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン実施例1<人工爪原料組成物の調製> (A1)50質量部のウレタンアクリレートオリゴマー(分子量5000)、(A3)12質量部のウレタンアクリレートオリゴマー(分子量1100)、(A5)14質量部の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、(A6)14質量部のイソボルニルアクリレート、(B1)4質量部のペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、(C1)3質量部の2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(C2)3質量部の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを容量500mlのフラスコに仕込み、フラスコ全体をアルミホイルで包んで光がフラスコ内に入るのを遮断した後、30℃で8時間、撹拌混合し、均一で透明な液体である人工爪原料組成物を得た。得られた人工爪原料組成物は、遮光性のプラスチック容器に格納し、48時間室温で静置し脱泡してから、光照射による人工爪原料組成物の硬化試験に供した。<光照射による人工爪原料組成物の硬化> 前記のとおり調製した人工爪組成物を光硬化させて人工爪を形成し、接着性および除去性を評価した。UVによる人工爪原料組成物の硬化には、光源として、市販のジェルネイル専用UVランプ(36W、ビューティーネイラー製)を用い、UVを2分間照射した。可視光線による人工爪原料組成物の硬化には、光源として、市販のジェルネイル専用LEDランプ1(4.7W、ジャパンネイル製)を用い、可視光を1分間照射した。実施例2〜13、比較例1〜4 実施例1の各成分に代えて表1に示した各成分を用いる以外は、実施例1と同様の方法で人工爪原料組成物を製造し、同様に光照射による人工爪原料組成物の硬化試験に供した。なお、表1の数値は、質量部を表す。前記質量部は、各実施例または比較例における全成分の合計質量を100質量部として計算した数値である。[評価判定]接着性 人工爪の形成(光硬化)から14日後、人工爪の損傷の程度と人工爪の自爪から剥がれた度合いを目視して評価判定した。○:損傷もほとんどなく、自爪に密着したままである。△:損傷している部分や自爪からわずかに剥がれている部分がある。×:損傷が激しく、自爪から剥がれている部分が多い。除去性 光硬化してから14日後に、ファイル(爪用やすり)で傷付けた人工爪上にアセトンを含んだコットンを置き、アルミホイルで包んでアセトンの揮発を防ぐ。10分後にアルミホイルをほどいて、コットンを取り除き、膨潤した人工爪を除去するときの難易度を評価判定した。○:人工爪を自爪から除去できる。△:人工爪の一部が自爪から除去できない。×:アセトンでは人工爪を自爪から除去できない。−:人工爪の損傷が激しく、除去する必要がない。 上記評価判定の結果を、下記表2に示す。[評価結果] 表2に示すとおり、実施例1〜13の多官能チオール化合物を含有した人工爪原料組成物は、光硬化して14日経過しても、自爪に密着したままであり、アセトンでの除去も容易に行なえることが確認された。これに対し、多官能チオール化合物を含有しない比較例1、2の人工爪原料組成物は、14日後には一部自爪から剥がれたり、損傷したりして、性能が不十分であった。また、チオール基が1個の化合物を含有する比較例3の人工爪原料組成物も、自爪に対する密着性がなく、14日後には自爪から剥がれていた。一方、比較例4人工爪原料組成物は、自爪に対する密着性が良好であったが、アセトンや溶剤類では除去できないため、除去するには、硬化した人工爪原料組成物を自爪から削り取らなければならず、自爪の損傷をもたらし易かった。実施例14<人工爪原料組成物の調製> (A4)78質量部のウレタンアクリレートオリゴマー(分子量2100)、(A5)7質量部の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、(A6)7質量部のイソボルニルアクリレート、(B1)4質量部のペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、(C1)2質量部の2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(C2)2質量部の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを容量500mlのフラスコに仕込み、フラスコ全体をアルミホイルで包んで光がフラスコ内に入るのを遮断した後、30℃で8時間、撹拌混合し、均一で透明な液体である人工爪原料組成物を得た。得られた人工爪原料組成物は、遮光性のプラスチック容器に格納し、48時間室温で静置し脱泡してから、光照射による人工爪原料組成物の硬化試験に供した。<光照射による人工爪原料組成物の硬化> 前記のとおり調製した人工爪組成物を光硬化させて人工爪を形成し、接着性および除去性を評価した。UVによる人工爪原料組成物の硬化には、光源として、市販のジェルネイル専用UVランプ(36W、ビューティーネイラー製)を用い、UVを2分間照射した。可視光線による人工爪原料組成物の硬化には、光源として、市販のジェルネイル専用LEDランプ(40W、ビューティーネイラー製)を用い、可視光を30秒間照射した。実施例14〜28、比較例5〜7 実施例14の各成分に代えて表3に示した各成分を用いる以外は、実施例14と同様の方法で人工爪原料組成物を製造し、同様に光照射による人工爪原料組成物の硬化試験に供した。なお、表3の数値は、質量部を表す。前記質量部は、各実施例または比較例における全成分の合計質量を100質量部として計算した数値である。また、実施例15と実施例13、実施例20と実施例7、実施例27と実施例2、比較例7と比較例3は、それぞれ同じ人工爪原料組成物(組成および調製方法が同一)である。比較例8〜9 さらに市販のジェルネイル製品について上記実施例、比較例と同様の方法で光硬化して評価試験を行なった。[評価判定]未硬化ジェル残存度 スライドグラスに人工爪原料組成物を塗布し、所定の時間光照射した後、硬化した人工爪原料組成物(ジェル)の表面を指で抑えて粘着度の度合いを測り、未硬化ジェル残存度を評価判定した。○:未硬化ジェルがほとんどない。△:未硬化ジェルが少し残っている。×:未硬化ジェルが多く残っている。接着性 人工爪の形成(光硬化)から14日後、人工爪の損傷の程度と人工爪の自爪から剥がれた度合いを目視して評価判定した。○:損傷もほとんどなく、自爪に密着したままである。△:損傷している部分や自爪からわずかに剥がれている部分がある。×:損傷が激しく、自爪から剥がれている部分が多い。除去性 光硬化してから14日後に、ファイル(爪用やすり)で傷付けた人工爪上にアセトンを含んだコットンを置き、アルミホイルで包んでアセトンの揮発を防ぐ。10分後にアルミホイルをほどいて、コットンを取り除き、膨潤した人工爪を除去するときの難易度を評価判定した。○:人工爪を自爪から除去できる。△:人工爪の一部が自爪から除去できない。×:アセトンでは人工爪を自爪から除去できない。−:人工爪の損傷が激しく、除去する必要がない。 上記評価判定の結果を、下記表4に示す。[評価結果] 表4に示すとおり、実施例14〜28の多官能チオール化合物を含有した人工爪原料組成物は、光硬化後人工爪表面に未硬化ジェルを残すことがなかった。また、実施例14〜28の人工爪原料組成物は、光硬化して14日経過しても、自爪に密着したままであり、アセトンでの除去も容易に行なえることが確認された。これに対し、チオール化合物を含有しない比較例5〜6の人工爪原料組成物またはチオール基が1個の化合物を含有する比較例7の人工爪原料組成物は、光硬化後人工爪表面に未硬化ジェルが残り、未硬化ジェルを拭き取る作業が必要であった。また、比較例8〜9の市販の人工爪原料組成物はいずれも、光硬化後人工爪表面に未硬化ジェルが残り、人工爪として完成させるためにはジェルクリーナーによる未硬化ジェルの拭き取り作業を必要とした。 以上説明したとおり、本発明によれば、接着剤およびプライマーを用いることなく、人工爪と自爪との接着性を長期間保つことが可能であり、かつ、人工爪を自爪から容易に除去できる。本発明によれば、接着剤およびプライマーを用いる必要がないため、人工爪の形成が簡便で低コストである。また、本発明によれば、人工爪が長期間自爪から剥離することなく接着し続けるため、美しい外観を保つことができる。さらに、本発明では、硬化した人工爪を除去する際に、例えば、人工爪を削ることなく、アセトン等の溶剤で容易に除去できるため、爪(自爪)に対する負担を軽減することができる。また、本発明によれば、例えば、人工爪原料組成物の硬化直後に未硬化ジェルを残さず、未硬化ジェル除去を必要としない人工爪原料組成物、人工爪原料組成物の硬化方法、人工爪の製造方法および人工爪を提供することができる。これによれば、人工爪形成(製造)方法が簡便であるとともに、人工爪の艶および美観を、未硬化ジェル除去工程により損なうことなくそのまま保つことも可能である。下記成分(A)〜(C)を含む人工爪原料組成物。(A)1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物(B)1分子内に2個以上のチオール基を有する多官能チオール化合物(C)光重合開始剤前記成分(B)の含有率が、前記人工爪原料組成物全体の質量に対して0.1〜30質量%である請求項1記載の人工爪原料組成物。前記成分(B)の含有率が、前記人工爪原料組成物全体の質量に対して0.5〜30質量%である請求項1記載の人工爪原料組成物。請求項1から3のいずれか一項に記載の人工爪原料組成物に光照射して前記人工爪原料組成物を硬化させる、人工爪原料組成物の硬化方法。請求項4記載の硬化方法により前記人工爪原料組成物を硬化させる硬化工程を含む、人工爪の製造方法。前記硬化工程に先立ち、前記人工爪原料組成物を爪に塗布する塗布工程をさらに含む、請求項5記載の製造方法。請求項5または6の製造方法により製造される人工爪。 【課題】 接着剤およびプライマーを用いることなく、人工爪と自爪との接着性を長期間保つことが可能であり、かつ、人工爪を自爪から容易に除去できる人工爪原料組成物、人工爪原料組成物の硬化方法、人工爪の製造方法および人工爪を提供する。【解決手段】下記成分(A)〜(C)を含む人工爪原料組成物。(A)1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物(B)1分子内に2個以上のチオール基を有する多官能チオール化合物(C)光重合開始剤【選択図】 なし