生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_非水溶性のセシウムイオン吸着剤
出願番号:2012153344
年次:2014
IPC分類:G21F 9/12,B01J 20/02,G01N 21/77


特許情報キャッシュ

岩崎 秀治 山中 雅義 JP 2014016225 公開特許公報(A) 20140130 2012153344 20120709 非水溶性のセシウムイオン吸着剤 株式会社クラレ 000001085 岩崎 秀治 山中 雅義 G21F 9/12 20060101AFI20131227BHJP B01J 20/02 20060101ALI20131227BHJP G01N 21/77 20060101ALI20131227BHJP JPG21F9/12 501BB01J20/02 AG01N21/77 B 4 2 OL 10 2G054 4G066 2G054AA02 2G054BB01 2G054BB10 2G054BB11 2G054CA10 2G054CE01 2G054EA05 2G054EB02 2G054GA03 4G066AA41B 4G066AA51B 4G066BA38 4G066CA12 4G066CA45 4G066DA07 本発明は、非水溶性のセシウムイオン吸着剤に関する。詳細には、本発明は、セシウムイオンの吸着により色調が変化することを特徴とする、非水溶性のセシウムイオン吸着剤に関する。 近年、生活環境中に漏洩した放射性物質の除去が求められている。特に半減期が約30年と長期にわたって残留し、水にも容易に溶解する放射性セシウムの除去は大きな課題となっている。 放射性セシウムの除去方法として、種々のセシウムイオン吸着剤が検討されている。例えば、合成ゼオライトやモルデナイトなどの無機イオン交換体(特許文献1参照)、結晶性無機燐酸塩(特許文献2参照)、ポリアリルアミンなどの有機配位性樹脂(特許文献3参照)を使用する方法が提案されている。 また、セシウムイオンを選択的に吸着できる金属錯体として、プルシアンブルー(非特許文献1参照)およびヘキサシアノ鉄金属錯体(特許文献4および5参照)が知られている。特開平06−138298号公報特開平10−202117号公報特開2011−183376号公報特開2000−506827号公報特開2000−256763号公報ジャーナル オブ エンバイロメンタル ラジオアクティビティ(J. Environ. Radioactivity),第20巻,213-219頁(1993年). 従来のセシウムイオン吸着剤においては、通常、蛍光X線を用いてセシウムイオンの吸着の有無および吸着量を確認する必要があり、かかる操作が煩雑であるという問題がある。しかして、本発明の目的は、セシウムイオンの吸着の有無をより簡便に検知できる、非水溶性のセシウムイオン吸着剤を提供することにある。 本発明によれば、上記の目的は、[1]組成式M2+3[Co3+(CN−)6]2(式中Mは第8族または第9族の金属を表す)で示される錯体(A)(以下、単に「錯体(A)」と称する)を含有し、前記錯体へ波長380〜800nmの範囲の光を照射した際に、最大反射率または最小反射率を示す波長が、セシウムイオンの吸着によって50nm以上シフトする、非水溶性のセシウムイオン吸着剤;[2]前記錯体(A)が、組成式Co2+3[Co3+(CN−)6]2または組成式Fe2+3[Co3+(CN−)6]2で示される、上記[1]の非水溶性のセシウムイオン吸着剤;[3]上記非水溶性のセシウムイオン吸着剤にセシウムイオンを含有する水溶液を接触させる、セシウムイオンの吸着方法;および[4]上記非水溶性のセシウムイオン吸着剤に水溶液を接触させ、該セシウムイオン吸着剤の変色の有無によって前記水溶液中のセシウムイオンの有無を判定する、セシウムイオンの検知方法;を提供することで達成される。 本発明によれば、セシウムイオンの吸着を色調の変化により簡便に検知できる、非水溶性のセシウムイオン吸着剤を提供できる。実施例1で得られた錯体(A−1)のXRDスペクトルである。実施例1で得られた錯体(A−1)のセシウムイオン吸着試験前後の紫外−可視光反射スペクトルである。実施例2で得られた錯体(A−2)のXRDスペクトルである。実施例2で得られた錯体(A−2)のセシウムイオン吸着試験前後の紫外−可視光反射スペクトルである。比較例1で用いた錯体(B−1)のセシウムイオン吸着試験前後の紫外−可視光反射スペクトルである。比較例2で得られた錯体(B−2)のXRDスペクトルである。比較例2で得られた錯体(B−2)のセシウムイオン吸着試験前後の紫外−可視光反射スペクトルである。 本発明の非水溶性のセシウムイオン吸着剤(以下、単に「本発明のセシウムイオン吸着剤」と称する)は錯体(A)を含有する。なお、本明細書において「非水溶性」とは、セシウムイオン吸着剤の溶解量が、25℃において、100gの水に0.1g未満であることを意味する。本発明のセシウムイオン吸着剤は、波長380〜800nmの範囲の光を照射した際に、最大反射率または最小反射率を示す波長が、セシウムイオンの吸着によって50nm以上シフトすることで、該錯体(A)の色調が変化することが最大の特徴である。かかる特徴により、本発明のセシウムイオン吸着剤を用いると、セシウムイオンの有無を色調の変化によって容易に判定できる。また、本発明のセシウムイオン吸着剤は、水溶液中のセシウムイオンを吸着した後の回収が容易である。 該錯体(A)は、3価コバルト塩およびシアン化アルカリ金属塩からヘキサシアノコバルトアルカリ金属塩を調製したのち、第8族または第9族の金属の塩を反応させることで得られる。 上記3価コバルト塩としては、塩化コバルト(III)、硫酸コバルト(III)、硝酸コバルト(III)、蟻酸コバルト(III)、酢酸コバルト(III)、安息香酸コバルト(III)などが挙げられ、価格、入手性、得られる吸着剤の色調の変化度合い等の観点から、塩化コバルト(III)、硫酸コバルト(III)が好ましい。これら3価コバルト塩は無水物であっても、水和物であってもよく、また1種を単独で使用しても、複数種を混合して使用してもよい。 上記シアン化アルカリ金属塩としては、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化リチウムなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用しても、複数種を混合して使用してもよい。 3価コバルト塩とシアン化アルカリ金属塩の使用割合は、3価コバルト塩1モルに対してシアン化アルカリ金属塩6.0〜8.0モルの範囲が好ましく、6.1〜6.2モルの範囲がより好ましい。3価コバルト塩とシアン化アルカリ金属塩とを水中で混合することで、ヘキサシアノコバルトアルカリ金属塩を調製できる。3価コバルト塩の濃度は水100gに対して1〜20gの範囲が好ましく、2〜10gの範囲がより好ましい。3価コバルト塩、シアン化アルカリ金属塩および水の添加順序に特に制限はなく、3価コバルト塩の水溶液とシアン化アルカリ金属塩の水溶液とを混合しても、3価コバルト塩またはシアン化アルカリ金属塩の水溶液に他方を固体として添加してもよい。混合は、バッチ式で行なっても、連続式で行なってもよい。調製温度は、通常、10〜60℃の範囲が好ましく、20〜40℃の範囲がより好ましい。調製時の雰囲気に制限はないが、安全性の観点から、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス下で行うことが好ましい。混合時間は通常10〜180分の範囲である。得られた混合液を濃縮して、析出するヘキサシアノコバルトアルカリ金属塩を濾過し、必要に応じて乾燥後、単離する。混合液の濃縮は、用いた3価コバルト塩およびシアン化アルカリ金属塩の合計量1gに対して混合液が1〜10gの範囲となるまで行うことが好ましい。 第8族または第9族の金属の塩としては、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)、蟻酸鉄(II)、酢酸鉄(II)、安息香酸鉄(II)、塩化ルテニウム(II)、硫酸ルテニウム(II)、硝酸ルテニウム(II)、蟻酸ルテニウム(II)、酢酸ルテニウム(II)、安息香酸ルテニウム(II)、塩化コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、蟻酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、安息香酸コバルト(II)、塩化ロジウム(II)、硫酸ロジウム(II)、硝酸ロジウム(II)、蟻酸ロジウム(II)、酢酸ロジウム(II)、安息香酸ロジウム(II)、塩化イリジウム(II)、硫酸イリジウム(II)、硝酸イリジウム(II)、蟻酸イリジウム(II)、酢酸イリジウム(II)、安息香酸イリジウム(II)などが挙げられる。中でも、本発明のセシウムイオン吸着剤におけるセシウムイオンの吸着性および吸着による変色の大きさの観点から、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)、蟻酸鉄(II)、酢酸鉄(II)、安息香酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、蟻酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、安息香酸コバルト(II)などの鉄またはコバルトの塩が好ましく、ヘキサシアノコバルトアルカリ金属塩との反応性の観点から、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、硝酸コバルト(II)がより好ましい。これらの金属塩は、無水物でも水和物でもよく、また1種を単独で使用しても、複数種を混合して使用してもよい。 ヘキサシアノコバルトアルカリ金属塩を、第8族または第9族の金属の塩と水中で混合することで錯体(A)が得られる。用いるヘキサシアノコバルトアルカリ金属塩と、第8族または第9族の金属の塩との割合は、ヘキサシアノコバルトアルカリ金属塩1モルに対して0.5〜1モルの範囲が好ましく、0.6〜0.8モルの範囲がより好ましい。これらを混合する際の、ヘキサシアノコバルトアルカリ金属塩の濃度は、水100gに対して1〜20gの範囲が好ましく、3〜10gの範囲がより好ましい。ヘキサシアノコバルトアルカリ金属塩、第8族または第9族の金属の塩および水の添加順序に特に制限はなく、ヘキサシアノコバルトアルカリ金属塩の水溶液と第8族または第9族の金属の塩の水溶液とを混合しても、ヘキサシアノコバルトアルカリ金属塩または第8族もしくは第9族の金属の塩の水溶液に他方を固体として添加してもよい。混合は、バッチ式で行なっても、連続式で行なってもよい。混合する温度は、通常、10〜90℃の範囲が好ましく、20〜60℃の範囲がより好ましい。混合時の雰囲気に特に制限はないが、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス下で行うことが好ましい。混合時間は、通常、10〜180分の範囲である。錯体(A)は生成に伴い水中に析出するので、ろ過後、必要に応じて乾燥して単離できる。 本発明のセシウムイオン吸着剤は、必要に応じて錯体(A)以外の他の成分を含んでもよい。かかる他の成分としては、従来セシウムイオン吸着剤として知られている各種吸着剤(合成ゼオライト、モルデナイトなどの無機イオン交換体;結晶性無機燐酸塩;ポリアリルアミンなどの有機配位性樹脂;プルシアンブルー、ヘキサシアノ鉄金属錯体などの金属錯体;など)、バインダー類(アルミナ、グラファイトなどの無機バインダー;ポリビニルアルコール、セルロース、ポリアクリル酸などの樹脂バインダー;など)などが挙げられる。本発明のセシウムイオン吸着剤は、タブレット状、フィルム状、ハニカム状などの成形体としてもよい。成形方法としては、加圧成形、熱プレス成形、金型成形などが挙げられる。 本発明のセシウムイオンの吸着方法では、本発明のセシウムイオン吸着剤に、セシウムイオンを含有する水溶液を接触させることで、該水溶液中のセシウムイオンを吸着する。 本発明のセシウムイオンの検知方法では、本発明のセシウムイオン吸着剤に水溶液を接触させ、該セシウムイオン吸着剤の変色の有無によって、前記水溶液中のセシウムイオンの有無を判定する。 本発明のセシウムイオンの吸着方法および検知方法において、セシウムイオン吸着剤は、前記水溶液(すなわち、セシウムイオンを吸着する対象とする水溶液、またはセシウムイオンの有無を検知する対象とする水溶液)に分散させて使用しても、上記の成形体として充填塔等に充填して前記水溶液に連続的に供給して使用してもよい。 本発明のセシウムイオンの吸着方法および検知方法において、セシウムイオン吸着剤に接触させる前記水溶液は、たんぱく質などのセシウムイオン以外の物質を含有していてもよい。かかる水溶液に不溶物が混入している場合は、本発明のセシウムイオン吸着剤に接触させる前に、コットンフィルター、多孔性ゼオライトなどのフィルターによってろ過して、該不溶物を除去してもよい。 以下、本発明を実施例、比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。なお、本実施例においては錯体(A)を評価することで、錯体(A)を含有する本発明のセシウムイオン吸着剤の性能とした。 各実施例および比較例にてセシウムイオン吸着試験に用いた各錯体は以下の方法で分析した。(1)有機元素分析 全自動元素分析装置(パーキンエルマージャパン社製、2400II)を用いて、錯体中の炭素と窒素の含有率(質量%)を測定した。(2)ICP発光分析 ICP発光分析装置(ジャーレルアッシュ社製、IRIS AP)を用いて、錯体中の金属元素(鉄、コバルト、セシウム)の含有率(質量%)を測定した。(3)XRDスペクトル 全自動水平型多目的X線解析装置(リガク製、SmartLab)を用いて、錯体のXRDスペクトルを測定した。(4)錯体の水溶性試験 錯体を、80℃、13Paで乾燥し、うち2gを、100gのイオン交換水に投入し、25℃で30分間攪拌した。その後、ろ過によって固形分を回収し、80℃、13Paで乾燥した。なお、水溶性試験前後の錯体の乾燥は、1時間ごとに質量を測定し、質量変化がなくなった時点で乾燥したと判断した。回収した錯体が1.9g以上であれば非水溶性であると判断した。この結果、試験した錯体はすべて非水溶性であった。(5)波長380〜800nmの範囲における最大反射率波長、最小反射率波長 錯体の紫外線−可視光反射スペクトルを紫外可視分光光度計(島津製作所製、UV−2500PC)によって測定し、得られたスペクトルから波長380〜800nmの範囲における最大反射率および最小反射率を示す波長を決定した。 実施例1(1)錯体(A−1)の製造 ヘキサシアノコバルト酸カリウム六水和物(シグマ アルドリッチ社製)6.64g(0.02モル)をイオン交換水100mlに溶解し、無水塩化コバルト(II)(和光純薬工業社製)3.9g(0.03モル)を添加し、室温下、2時間攪拌した。析出した固体をろ取し、50℃、133Paにて、8時間乾燥し、5.50g(収率90.9%)でピンク色の固体を得た。得られた固体について、有機元素分析およびICP発光分析により求めた各元素の含有率(質量%)を表1に実測値として示す。この結果が、表1中に理論値として示す組成式Co2+3[Co3+(CN−)6]2における各元素の含有率(質量%)とほぼ一致することから、得られた固体は組成式Co2+3[Co3+(CN−)6]2で示される錯体(A)(以下、錯体(A−1)と称する)であると帰属した。錯体(A−1)のXRDスペクトルを図1に示す。(2)セシウムイオン吸着試験 炭酸セシウム1gをイオン交換水100mlに溶解させて調製したセシウムイオン水溶液に、錯体(A−1)を1g添加し、25℃で10分間攪拌したところ、錯体(A−1)の色はピンク色から黄褐色に変色した。これをろ過したのち、50℃、133Paにて、8時間乾燥して、1.02gの黄褐色の固体として錯体(A−1)を回収した。 回収した錯体(A−1)のICP発光分析の結果を表2に示す。また、セシウムイオン吸着試験前後の錯体(A−1)の紫外−可視光反射スペクトルを図2に、これから求めた錯体(A−1)の波長380〜800nmの範囲における最大反射率波長、最小反射率波長を表3に示す。 実施例2(1)錯体(A−2)の製造 ヘキサシアノコバルト酸カリウム六水和物(シグマ アルドリッチ社製)6.64g(0.02モル)をイオン交換水100mlに溶解し、無水塩化鉄(II)(和光純薬工業社製)3.80g(0.03モル)を添加し、室温下、2時間攪拌した。析出した塩をろ取し、50℃、133Paで乾燥し、5.10g(収率85.6%)で薄黄色の固体を得た。得られた固体について、有機元素分析およびICP発光分析により求めた各元素の含有率(質量%)を表1に実測値として示す。この結果が、表1中に理論値として示す組成式Fe2+3[Co3+(CN−)6]2における各元素の含有率(質量%)とほぼ一致することから、得られた固体は組成式Fe2+3[Co3+(CN−)6]2で示される錯体(A)(以下、錯体(A−2)と称する)であると帰属した。錯体(A−2)のXRDスペクトルを図3に示す。(2)セシウムイオン吸着試験 錯体(A−1)の代わりに、錯体(A−2)を用いた以外は実施例1(2)と同様にしてセシウムイオン吸着試験を行い、1.02gの青色の固体として錯体(A−2)を回収した。 回収した錯体(A−2)のICP発光分析の結果を表2に示す。また、セシウムイオン吸着試験前後の錯体(A−2)の紫外−可視光反射スペクトルを図4に、これから求めた錯体(A−2)の波長380〜800nmの範囲における最大反射率波長、最小反射率波長を表3に示す。比較例1 錯体(A−1)の代わりにプルシアンブルー(シグマ アルドリッチ社製:組成式 Fe3+4[Fe2+(CN−)6]3)(以下、錯体(B−1)と称する)を用いた以外は実施例1(2)と同様にしてセシウムイオン吸着試験を行い、0.97gの錯体(B−1)を回収した。 用いた錯体(B−1)について、有機元素分析およびICP発光分析により求めた各元素の含有率(質量%)を表1に実測値として示す。参考として錯体(B−1)の組成式Fe3+4[Fe2+(CN−)6]3の各元素の含有率(質量%)を表1中に理論値として示した。 また、回収した錯体(B−1)のICP発光分析の結果を表2に示す。また、セシウムイオン吸着試験前後の錯体(B−1)の紫外−可視光反射スペクトルを図5に、これから求めた錯体(B−1)の波長380〜800nmの範囲における最大反射率波長、最小反射率波長を表3に示す。 セシウムイオン吸着試験前後において、錯体(B−1)の色の変化は認められなかった。このことは、セシウムイオン吸着試験前後の最大反射率波長、最小反射率波長が殆どシフトしていないことからも裏付けられる。比較例2(1)錯体(B−2)の製造 ヘキサシアノコバルト酸カリウム六水和物(シグマ アルドリッチ社製)6.64g(0.02モル)の代わりに、ヘキサシアノ鉄酸カリウム六水和物(シグマ アルドリッチ社製)8.74g(0.02モル)を用いた以外は実施例(1)と同様の操作を行い、固体を得た。得られた固体について、有機元素分析およびICP発光分析により求めた各元素の含有率(質量%)を表1中に実測値として示す。この結果が、表1中に理論値として示す組成式Co2+3[Fe3+(CN−)6]2における各元素の含有率(質量%)とほぼ一致することから、得られた固体は組成式Co2+3[Fe3+(CN−)6]2で示される錯体(以下、錯体(B−2)と称する)であると帰属した。錯体(B−2)のXRDスペクトルを図6に示す。(2)セシウムイオン吸着試験 錯体(A−1)の代わりに、錯体(B−2)を用いた以外は、実施例1(2)と同様にしてセシウムイオン吸着試験を行い、0.99gの錯体(B−2)を回収した。 回収した錯体(B−2)のICP発光分析の結果を表2に示す。また、セシウムイオン吸着試験前後の錯体(B−2)の紫外−可視光反射スペクトルを図7に、これから求めた錯体(B−2)の波長380〜800nmの範囲における最大反射率波長、最小反射率波長を表3に示す。 セシウムイオン吸着試験前後において、錯体(B−2)の色の変化は認められなかった。このことは、セシウムイオン吸着試験前後の最大反射率波長、最小反射率波長が殆どシフトしていないことから裏付けられる。 表2から、各実施例および比較例にてセシウムイオン吸着試験を行った各錯体は、いずれもセシウムイオンを吸着していることが判る。 組成式M2+3[Co3+(CN−)6]2(式中、Mは第8族または第9族の金属を表す)で示される錯体(A)を含有し、前記錯体(A)へ波長380〜800nmの範囲の光を照射した際に、最大反射率または最小反射率を示す波長が、セシウムイオンの吸着によって50nm以上シフトする、非水溶性のセシウムイオン吸着剤。 前記錯体(A)が、組成式Co2+3[Co3+(CN−)6]2または組成式Fe2+3[Co3+(CN−)6]2で示される、請求項1に記載の非水溶性のセシウムイオン吸着剤。 請求項1または2に記載の非水溶性のセシウムイオン吸着剤に、セシウムイオンを含有する水溶液を接触させることを特徴とする、セシウムイオンの吸着方法。 請求項1または2に記載の非水溶性のセシウムイオン吸着剤に水溶液を接触させ、該セシウムイオン吸着剤の変色の有無によって前記水溶液中のセシウムイオンの有無を判定する、セシウムイオンの検知方法。 【課題】セシウムイオンの吸着の有無をより簡便に検知できる、非水溶性のセシウムイオン吸着剤を提供すること。【解決手段】組成式M2+3[Co3+(CN−)6]2(式中Mは第8族または第9族の金属を表す)で示される錯体(A)(以下、単に「錯体(A)」と称する)を含有し、前記錯体へ波長380〜800nmの範囲の光を照射した際に、最大反射率または最小反射率を示す波長が、セシウムイオンの吸着によって50nm以上シフトする、非水溶性のセシウムイオン吸着剤、並びに該セシウムイオン吸着剤にセシウムイオンを含有する水溶液を接触させる、セシウムイオンの吸着方法および検知方法を提供すること。【選択図】 図2


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