生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_食欲増進かつ体重増加抑制剤
出願番号:2012141283
年次:2014
IPC分類:A61K 35/74,A23L 1/30,A61P 1/14,A61P 3/04


特許情報キャッシュ

大石 勝隆 山本 幸織 伊藤 奈々子 宮崎 歴 中北 保一 金田 弘挙 JP 2014005225 公開特許公報(A) 20140116 2012141283 20120622 食欲増進かつ体重増加抑制剤 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 サッポロビール株式会社 303040183 サッポロホールディングス株式会社 000002196 長谷川 芳樹 100088155 清水 義憲 100128381 坂西 俊明 100176773 大石 勝隆 山本 幸織 伊藤 奈々子 宮崎 歴 中北 保一 金田 弘挙 A61K 35/74 20060101AFI20131213BHJP A23L 1/30 20060101ALI20131213BHJP A61P 1/14 20060101ALI20131213BHJP A61P 3/04 20060101ALI20131213BHJP JPA61K35/74 AA23L1/30 ZA61P1/14A61P3/04 4 OL 7 4B018 4C087 4B018MD86 4B018ME01 4B018MF13 4C087AA01 4C087AA02 4C087BC56 4C087MA52 4C087NA14 4C087ZA69 4C087ZA70 本発明は食欲増進かつ体重増加抑制剤に関する。 ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)SBC8803菌株(受託番号:FERM BP−10632)は、抗アレルギー作用を有すること(特許文献1)、アルコール性肝障害抑制作用を有すること(特許文献2)、腸管保護作用を有すること(特許文献3)等が知られている。国際公開第2008/023663号国際公開第2009/090961号特開2010−83881号公報 本発明は、ラクトバチラス・ブレビスSBC8803菌株の新規な用途を提供することを課題とする。 本発明者らは、SBC8803菌株の菌体又はその処理物をマウスに摂食させることにより、食欲が増進し、摂食量が増加するにもかかわらず、体重の増加が抑制されることを見出した。 すなわち、本発明は、ラクトバチラス・ブレビスに属するSBC8803菌株の菌体又はその処理物を有効成分として含有する食欲増進かつ体重増加抑制剤を提供する。 上記食欲増進かつ体重増加抑制剤によれば、食欲を増進させるにもかかわらず、体重の増加を抑制するという極めて意外な効果が奏される。したがって、例えば、体重は増加させたくないが食欲を増進させたい時(例えば、夏バテ等で食欲が無い時の食欲増進、お年寄りの食欲増進)、及び成長期の子供の偏食対策時等に有効である。 なお、ラクトバチラス・ブレビスSBC8803菌株は、2006年6月28日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566))に寄託された、受託番号がFERM BP−10632の菌株である。本明細書において、この菌株を「SBL88株」とも称する。 ラクトバチラス・ブレビスは、古くから発酵食品に利用されている乳酸菌の一種であり、生体への安全性が確立されている。したがって、本発明の食欲増進かつ体重増加抑制剤は、生体への安全性が高く、長期間継続的に摂取可能である。そのため、医薬品成分、飲食品成分、飲食品添加物等として使用することができる。 本発明によれば、生体への安全性が高く、飲食品の成分としても使用可能な新規の食欲増進かつ体重増加抑制剤が提供される。また、上記食欲増進かつ体重増加抑制剤を含有する医薬品、飲食品、飲食品添加物等が提供される。実施例におけるマウスの摂餌量推移を示すグラフである。実施例におけるマウスの体重推移を示すグラフである。 以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。 本発明の食欲増進かつ体重増加抑制剤は、ラクトバチラス・ブレビスに属するSBC8803菌株の菌体又はその処理物を有効成分として含有する。 本発明の食欲増進かつ体重増加抑制剤には、上記菌体及び上記菌体の処理物を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 上記菌体は、生菌体及び死菌体のいずれであってもよい。菌体は、生菌を培養することにより大量に生産することができる。培地は、液体培地及び固体培地のいずれでもよいが、窒素源及び炭素源を含有するものが好ましい。窒素源としては、肉エキス、ペプトン、グルテン、カゼイン、酵母エキス、アミノ酸等を、また、炭素源としては、グルコース、キシロース、フルクトース、イノシトール、マルトース、水アメ、麹汁、デンプン、バカス、フスマ、糖蜜、グリセリン等を用いることができる。また、無機質として、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、塩化マグネシウム、食塩、鉄、マンガン、モリブデン等を添加することができ、更にビタミン等を添加することができる。好適な培地としては、MRS培地、LBS培地、Rogosa培地、WYP培地、GYP培地等が挙げられる。 上記菌株の培養は、ラクトバチラス・ブレビスに属する菌株の培養に常用されている培養方法に従って行なうことができる。例えば、培養温度は通常20〜50℃、好ましくは25〜40℃、より好ましくは30℃である。培養時間は通常6〜62時間であり、好ましくは12〜48時間であり、より好ましくは15〜30時間である。培地のpHは通常3〜8、好ましくは4〜7であり、より好ましくは6〜7である。培養はインキュベーター中で行ってもよく、また、培養の際は通気振とうしてもよい。 菌体の処理物としては、上記菌体(生菌体又は死菌体)に、加熱、加圧、乾燥、粉砕、破砕、破壊又は自己溶解等の処理を行って得られる処理物が挙げられる。これらの処理は2種以上を組み合わせてもよい。菌体の処理物としては、例えば、菌体を100℃以上で数分以上加熱して得られる処理物(例えば、菌体に、105〜125℃の温度で10分以上、オートクレーブ処理を施して得られる処理物)、菌体に対して凍結乾燥、噴霧乾燥等を行って得られる処理物、菌体を有機溶媒(アセトン、エタノール等)に接触させて得られる処理物、菌体を酸若しくはアルカリ溶液に接触させて得られる処理物、菌体を酵素的に破砕して得られる処理物、又は菌体を超音波、フレンチプレス等で物理的に破壊して得られる処理物が挙げられる。このような菌体処理物は、未処理菌体(特に生菌体)と比較して、取り扱いが容易な点で好適である。 本発明の食欲増進かつ体重増加抑制剤は、固体(例えば、凍結乾燥させて得られる粉末)、液体(水溶性又は脂溶性の溶液又は懸濁液)、ペースト等のいずれの形状であってもよく、また、散剤、丸剤、顆粒剤、錠剤、シロップ剤、トローチ剤、カプセル剤等のいずれの剤形であってもよい。 上述の各種製剤は、有効成分である上記菌体又はその処理物のみからなるものであってもよく、例えば、当該菌体又はその処理物を上記剤形に成形することによって調製することができる。上述の各種製剤はまた、上記有効成分と、薬学的に許容される添加剤(賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤等)とを混和し、成形することによって調製することもできる。この場合の上記有効成分の含有量は、製剤全量を基準として、例えば、0.5〜50質量%である。 例えば、賦形剤としては、ラクトース、スクロース、デンプン、デキストリン等が挙げられる。結合剤としては、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。崩壊剤としては、結晶セルロース、寒天、ゼラチン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、デキストリン等が挙げられる。乳化剤又は界面活性剤としては、Tween60、Tween80、Span80、モノステアリン酸グリセリン等が挙げられる。基剤としては、セトステアリルアルコール、ラノリン、ポリエチレングリコール、米糠油、魚油(DHA、EPA等)、オリーブ油等が挙げられる。溶解補助剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、Tween80等が挙げられる。懸濁化剤としては、Tween60、Tween80、Span80、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。 本発明の食欲増進かつ体重増加抑制剤は、ヒトに投与しても、非ヒト哺乳動物に投与してもよい。投与量及び投与方法は、投与される個体の状態、年齢等に応じて適宜決定することができる。好適な投与方法としては、例えば、経口投与が挙げられる。投与量及び投与方法の一例として、食欲増進かつ体重増加抑制剤を有効成分量が0.5mg〜500mgとなる量を1日1回経口で投与する方法を挙げることができる。 本発明の食欲増進かつ体重増加抑制剤は、医薬品成分、飲食品成分、飲食品添加物、飼料成分、飼料添加物等として使用することができる。 例えば、本発明の食欲増進かつ体重増加抑制剤は、水、清涼飲料水、果汁飲料、乳飲料、アルコール飲料、パン類、麺類、米類、豆腐、乳製品、醗酵食品、発酵乳、醤油、味噌、菓子類等の飲食品への添加物として使用することができる。これらの飲食品は、当分野で通常使用される他の添加物を更に含有してもよく、そのような添加物としては、例えば、苦味料、香料、リンゴファイバー、大豆ファイバー、肉エキス、黒酢エキス、ゼラチン、コーンスターチ、蜂蜜、動植物油脂;グルコース、フルクトース等の単糖類;スクロース等の二糖類;デキストロース、デンプン等の多糖類;エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール類;ビタミンC等のビタミン類、が挙げられる。本発明の食欲増進かつ体重増加抑制剤はまた、特定保健用食品、特別用途食品、栄養補助食品、健康食品、機能性食品、病者用食品等の成分として使用することもできる。本発明の食欲増進かつ体重増加抑制剤を含有する飲食品は、上記菌株で牛乳、脱脂乳、豆乳、野菜、果汁、穀物、及びそれらの加工品等を発酵させて得られる発酵物であってもよい。 以下、実施例等に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。〔実施例1〕(試験方法)<菌体処理物の調製> SBL88株を培地(組成:マルトース2質量%、酵母エキス1.4質量%、酢酸ナトリウム0.5質量%、硫酸マンガン0.005質量%、pH6.5〜7.0)に植菌し、30℃で1日間静置培養した。得られた培養液(約8×108cfu/ml)を8,000rpmで10分間遠心分離し、菌体を回収した。回収した菌体を蒸留水に再懸濁し、8,000rpmで10分遠心分離し、菌体を回収した。この操作を2度繰り返した。回収した菌体を蒸留水に懸濁し、105℃で10分間加熱処理した後、凍結乾燥して加熱処理菌体粉末(菌体処理物)を得た。<マウス飼料の調製> 粉末飼料CE−2(日本クレア株式会社製)にSBL88株の菌体処理物を0.5質量%添加した後、ペレット化して菌体処理物を含むマウス飼料(SBL88含有CE−2飼料)を調製した。対照として、粉末飼料CE−2をペレット化して菌体処理物を含まないマウス飼料(CE−2飼料)を調製した。<マウスの飼育> C3H/HeN系統のマウス(3週齢の雄性、日本エスエルシー株式会社)を2週間馴化飼育した。馴化後、マウスを2群(各群5匹)に分け、対照群には食餌としてCE−2飼料を、被検群(SBL88群)には食餌としてSBL88含有CE−2飼料を与え、4週間自由摂食させた。<摂餌量及び体重の測定> 自由摂食期間中1週間毎に摂餌量及びマウスの体重を測定した。摂餌量(g/day)は、1週間の餌の減少量を測定し、1日あたりの減少量に換算して求めた。各群の摂餌量及び体重は、各群5匹のマウスの平均値として求めた。有意差の有無は、Studentのt検定を用いて判定した。(結果) 図1は、マウスの摂餌量推移を示すグラフである。試験開始2週間後(飼育期間2週)には、対照群と比べてSBL88群の摂餌量は危険率5%で有意に増加した。この傾向は試験開始3週間後(飼育期間3週)及び4週間後(飼育期間4週)にかけてより顕著となり、いずれも対照群と比べてSBL88群の摂餌量は危険率5%で有意に増加した。 図2は、マウスの体重推移を示すグラフである。試験開始直後(飼育期間0週)の対照群及びSBL88群の体重は同程度(対照群:21.33±0.45g、SBL88群:21.11±0.36g)であった。SBL88群の摂餌量が対照群と比べて増加した試験開始2週間後(飼育期間2週)から4週間後(飼育期間4週)にかけては、驚くべきことに、SBL88群の体重は、対照群の体重と差がなく(統計的に有意差なし)、むしろ対照群と比べて体重増加が抑制される傾向にあった。 SBL88群における食欲が増進する一方で体重増加が抑制される機構については明らかではないが、その理由として、例えば、SBL88株の菌体処理物を摂取することにより新陳代謝が活性化すること、食欲の増進によって体力が向上し活動量(消費)も活性化すること、等が考えられる。 本発明の食欲増進かつ体重増加抑制剤によれば、食欲を増進させるにもかかわらず、体重の増加を抑制するという極めて意外な効果が奏される。したがって、例えば、体重は増加させたくないが食欲を増進させたい時(例えば、夏バテ等で食欲が無い時の食欲増進、お年寄りの食欲増進)、及び成長期の子供の偏食対策時等に摂取又は服用するための飲食品、医薬品等に利用することができる。 ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)に属するSBC8803(受託番号:FERM BP−10632)菌株の菌体又はその処理物を有効成分として含有する食欲増進かつ体重増加抑制剤。 請求項1に記載の食欲増進かつ体重増加抑制剤を含有する医薬品。 請求項1に記載の食欲増進かつ体重増加抑制剤を含有する飲食品。 請求項1に記載の食欲増進かつ体重増加抑制剤を含有する飲食品添加物。 【課題】ラクトバチラス・ブレビスSBC8803菌株の新規な用途を提供すること。【解決手段】ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)に属するSBC8803(受託番号:FERM BP−10632)菌株の菌体又はその処理物を有効成分として含有する食欲増進かつ体重増加抑制剤。【選択図】なし


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