生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_芳香族化合物中のハロゲン量低減方法
出願番号:2012131106
年次:2013
IPC分類:C07C 41/44,C07C 43/295,C07C 51/487,C07C 63/333,C07C 63/331


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森 浩章 JP 2013253062 公開特許公報(A) 20131219 2012131106 20120608 芳香族化合物中のハロゲン量低減方法 JFEケミカル株式会社 591067794 森 哲也 100066980 小西 恵 100109380 田中 秀▲てつ▼ 100103850 廣瀬 一 100105854 宮坂 徹 100116012 森 浩章 C07C 41/44 20060101AFI20131122BHJP C07C 43/295 20060101ALI20131122BHJP C07C 51/487 20060101ALI20131122BHJP C07C 63/333 20060101ALI20131122BHJP C07C 63/331 20060101ALI20131122BHJP JPC07C41/44C07C43/295 ZC07C51/487C07C63/333C07C63/331 5 OL 7 4H006 4H006AA02 4H006AD30 4H006BB31 4H006BC51 4H006BE10 4H006BJ50 4H006BS30 4H006GP06 4H006GP12 本発明は、芳香族化合物中のハロゲンの含有量を低減する方法に関する。 芳香族化合物から製造されるポリマーは、種々の電子材料用ケミカルスとして利用されているが、当該芳香族化合物又はポリマー中にハロゲンが残留している場合は、当該電子材料の性能に悪影響を及ぼすケースが少なくない。したがって、当該芳香族化合物又はポリマー中の残留ハロゲン量がppm又はppbレベルに厳格に規制される場合がある。また、有害なハロゲンを含有する有機材料の使用は、敬遠される傾向が顕著である。 従来から有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理は知られており、有機ハロゲン化合物のハロゲン(有機ハロゲン)を無機化して無機ハロゲン(イオン性ハロゲン)とすることにより、有機ハロゲン化合物からハロゲンを除去する方法などがある。例えば、有機ハロゲン化合物を金属ナトリウムで処理する方法(特許文献1)や、パラジウム等の貴金属触媒存在下、水酸化アルカリのアルコール溶液中で処理する方法(特許文献2)などが知られている。特開2001−294539号公報特開2007−61108号公報 しかしながら、特許文献1に記載の方法は、温和な条件下で脱ハロゲン化できるメリットはあるものの、金属ナトリウムを使用することから、脱ハロゲン化処理に用いられる溶媒が非水系溶媒に限定されるという問題点を有していた。また、所定の脱ハロゲン化処理の後に、ナトリウムを水などで分解処理しなければならないという問題点もあった。さらに、特許文献2に記載の方法は、高価な貴金属触媒の使用が必須であるため、経済性に問題があった。そして、特許文献1,2に記載の方法は、高価な試剤や触媒を使用することが必須であるため、特に微量のハロゲンの除去には不向きな方法であった。 そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、芳香族化合物中のハロゲンの含有量を低コスト且つ簡便に低減する方法を提供することを課題とする。 前記課題を解決するため、本発明の態様は、次のような構成からなる。すなわち、本発明の一態様に係る芳香族化合物中のハロゲン量低減方法は、芳香族化合物中に含まれる有機ハロゲン化合物を、100℃以上300℃未満の反応温度でアルカリ水溶液と反応させ、前記有機ハロゲン化合物の有する有機ハロゲンを無機ハロゲンとして除去することにより、前記芳香族化合物中のハロゲンの含有量を低減することを特徴とする。 この芳香族化合物中のハロゲン量低減方法においては、前記反応を触媒存在下で行い、前記触媒を銅、銅(I)化合物又はこれらの混合物とすることが好ましい。 また、前記芳香族化合物を芳香族カルボン酸、フェノール類又はこれらの混合物としてもよい。 さらに、上記芳香族化合物中のハロゲン量低減方法は、前記芳香族化合物中のハロゲンの含有量を1ppm以下に低減することができる。 さらに、上記芳香族化合物中のハロゲン量低減方法においては、反応時間を2時間以上30時間以下としてもよい。 本発明に係る芳香族化合物中のハロゲン量低減方法は、芳香族化合物中のハロゲンの含有量を低コスト且つ簡便に低減することができる。 本発明に係る芳香族化合物中のハロゲン量低減方法の実施の形態を、以下に詳細に説明する。 芳香族化合物は例えばポリマーの原料として使用され、芳香族化合物から製造されるポリマーは、例えば電子材料用ケミカルスとして利用されているが、当該芳香族化合物又はポリマー中にハロゲンが残留していると、当該電子材料の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。よって、芳香族化合物中に含まれるハロゲンを除去することが好ましい。 芳香族化合物中には有機ハロゲン化合物が含まれている場合があるので、芳香族化合物に脱ハロゲン化処理を施して、当該芳香族化合物中の有機ハロゲン化合物を分解し、当該芳香族化合物中のハロゲン(有機ハロゲン)の含有量を低減する。 本実施形態に係る芳香族化合物中のハロゲン量低減方法は、芳香族化合物中に含まれる有機ハロゲン化合物を、100℃以上300℃未満の反応温度でアルカリ水溶液と反応させ、前記有機ハロゲン化合物の有する有機ハロゲンを無機ハロゲンとして除去することにより、前記芳香族化合物中のハロゲンの含有量を低減するものである。 アルカリ水溶液中のアルカリ化合物との反応により有機ハロゲン化合物が脱ハロゲン化され、ハロゲンがOH基(アルカリ水溶液の溶媒である水等に由来する)に置換される。有機ハロゲン化合物から脱離したハロゲンは無機イオン化され、後工程において例えばアルカリ化合物と反応して生成した塩として除去される。その結果、芳香族化合物中のハロゲンの含有量が低減され、例えば1ppm以下に低減することができる。 本実施形態に係る芳香族化合物中のハロゲン量低減方法は、安価なアルカリ水溶液を用いて有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化を行い、高価な貴金属触媒を必要としないため、低コストである。また、アルカリ水溶液を用いて有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化を行うので、金属ナトリウムを使用する場合のような煩雑な後処理が不要であり、脱ハロゲン化処理が簡便である。 ただし、脱ハロゲン化しにくい有機ハロゲン化合物の場合は、銅系触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。銅系触媒は安価であるので、銅系触媒を使用したとしても、芳香族化合物中のハロゲン量低減方法は低コストである。 銅系触媒としては、銅、銅(I)化合物又はこれらの混合物があげられる。銅(I)化合物の種類は特に限定されるものではないが、例えば、酸化銅(I)や、塩化銅(I)などのハロゲン化銅(I)が好適である。なお、触媒として金属銅(例えば銅粉)を使用する場合は、脱ハロゲン化処理後に反応液から金属銅を濾過等により分離して、繰り返し再利用することができる。 銅系触媒の添加量は、芳香族化合物に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。 芳香族化合物の種類は特に限定されるものではないが、例えば、芳香族カルボン酸、フェノール類等の水溶性有機化合物があげられる。芳香族カルボン酸の具体例としては、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸があげられ、フェノール類の具体例としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルがあげられる。なお、芳香族化合物は、単一種の化合物でもよいし、2種以上の化合物の混合物でもよい。 また、芳香族化合物中に含まれる有機ハロゲン化合物の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン化された芳香族カルボン酸やハロゲン化されたフェノール類があげられ、具体例としては、芳香族化合物の具体例として前記した芳香族カルボン酸やフェノール類のハロゲン化物があげられる。有機ハロゲン化合物が有するハロゲン原子の数は特に限定されず、1個でもよいし複数個でもよい。また、ハロゲンの種類も特に限定されず、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等があげられる。なお、芳香族化合物中には、1種の有機ハロゲン化合物が含まれていてもよいし、2種以上の有機ハロゲン化合物が含まれていてもよい。 さらに、アルカリ水溶液の種類は、アルカリ化合物の水溶液であれば特に限定されるものではないが、アルカリ化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム等のアルカリ金属の水酸化物や、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物があげられる。 これらの中では、水に対する溶解性の高さから、アルカリ金属の水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。また、アルカリ化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。 アルカリ化合物の使用量は、芳香族化合物に対して1質量%以上50質量%以下が好ましい。アルカリ化合物の使用量を上記の範囲とする理由は、脱ハロゲン化を促進させるためである。 さらに、アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度は1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。 さらに、アルカリ水溶液の溶媒として、水とともに他種の有機溶剤を併用してもよい。例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、エチレングリコール等)、非プロトン性極性溶媒(テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、又はこれらのうち2種以上の混合物があげられる。ただし、有機ハロゲン化合物の分解の効率、経済性、環境負荷などを考慮すると、アルカリ水溶液の溶媒として水を単独で用いることが最も好ましい。 さらに、反応温度は、100℃以上300℃未満が好ましく、150℃以上250℃以下がより好ましい。反応温度を上記の範囲とする理由は、100℃未満では脱ハロゲン化が極めて進行しにくく、一方、300℃以上になると芳香族化合物の分解・重質化が顕著になるからである。 また、反応時間は、2時間以上30時間以下が好ましく、5時間以上20時間以下がより好ましい。反応時間を上記の範囲とする理由は、短時間では脱ハロゲン化が完全に進行せず、一方、長時間になると芳香族化合物の分解・重質化が顕著になるからである。 以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。(実施例1) 4,4’−ビフェニルジカルボン酸5gを、濃度10質量%の水酸化ナトリウム水溶液21.4gに溶解した。得られた溶液を容量100mlのSUS製オートクレーブに仕込んで、180℃に昇温し、撹拌しながら同温度で10時間反応させた。なお、使用した4,4’−ビフェニルジカルボン酸は、微量の有機臭素化合物(4,4’−ジブロモビフェニル)を含んでおり、有機臭素の含有量は50ppmである。 この反応により、4,4’−ビフェニルジカルボン酸中の有機臭素化合物は水酸化ナトリウムで分解され、有機臭素化合物が有する臭素が、水酸化ナトリウム水溶液の溶媒である水に由来するOH基に置換される。そして、有機臭素化合物から脱離した臭素は無機イオン化され、水酸化ナトリウムと反応して塩(臭化ナトリウム)となる。 次に、オートクレーブから反応液を取り出し、硫酸酸性にすることにより4,4’−ビフェニルジカルボン酸を析出させた。析出した4,4’−ビフェニルジカルボン酸を反応液から分離し、常法にしたがって脱塩処理して無機臭素(塩)を取り除いた後に、灰化処理を行った。そして、得られた灰中の臭素量をイオンクロマトグラフィーにて分析し、析出した4,4’−ビフェニルジカルボン酸中の有機臭素の含有量に換算したところ、800ppbであった。(実施例2) 3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸5gを、濃度10質量%の水酸化ナトリウム水溶液29.1gに溶解した。得られた溶液を容量100mlのSUS製オートクレーブに仕込んで、220℃に昇温し、撹拌しながら同温度で15時間反応させた。なお、使用した3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸は、微量の有機臭素化合物(4−ブロモフタル酸)を含んでおり、有機臭素の含有量は70ppmである。 この反応により3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸中の有機臭素化合物は水酸化ナトリウムで分解され、有機臭素化合物が有する臭素が、水酸化ナトリウム水溶液の溶媒である水に由来するOH基に置換される。そして、有機臭素化合物から脱離した臭素は無機イオン化され、水酸化ナトリウムと反応して塩(臭化ナトリウム)となる。 次に、オートクレーブから反応液を取り出し、硫酸酸性にすることにより3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を析出させた。析出した3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を反応液から分離し、常法にしたがって脱塩処理して無機臭素(塩)を取り除いた後に、灰化処理を行った。そして、得られた灰中の臭素量をイオンクロマトグラフィーにて分析し、析出した3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸中の有機臭素の含有量に換算したところ、650ppbであった。(実施例3) 4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル5gを、濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液64.5gに溶解した。得られた溶液を容量100mlのSUS製オートクレーブに仕込んで、220℃に昇温し、撹拌しながら同温度で20時間反応させた。なお、使用した4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルは、微量の有機臭素化合物(4,4’−ブロモジフェニルエーテル)を含んでおり、有機臭素の含有量は135ppmである。 この反応により、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル中の有機臭素化合物は水酸化ナトリウムで分解され、有機臭素化合物が有する臭素が、水酸化ナトリウム水溶液の溶媒である水に由来するOH基に置換される。そして、有機臭素化合物から脱離した臭素は無機イオン化され、水酸化ナトリウムと反応して塩(臭化ナトリウム)となる。 次に、オートクレーブから反応液を取り出し、硫酸酸性にすることにより4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルを遊離させた。遊離した4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルを反応液から分離し、常法にしたがって脱塩処理して無機臭素(塩)を取り除いた後に、灰化処理を行った。そして、得られた灰中の臭素量をイオンクロマトグラフィーにて分析し、遊離した4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル中の有機臭素の含有量に換算したところ、835ppbであった。(実施例4) 反応温度を220℃とした点を除いては実施例1と同様にして処理を行い、析出した4,4’−ビフェニルジカルボン酸中の有機臭素の含有量を算出したところ、430ppbであった。(実施例5) 触媒として銅粉0.5g及び酸化銅(I)50mgを使用した点と、反応温度を150℃とした点とを除いては、実施例1と同様にして処理を行い、析出した4,4’−ビフェニルジカルボン酸中の有機臭素の含有量を算出したところ、645ppbであった。(実施例6) 触媒として銅粉0.5g及び酸化銅(I)50mgを使用した点と、反応温度を150℃とした点とを除いては、実施例2と同様にして処理を行い、析出した3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸中の有機臭素の含有量を算出したところ、710ppbであった。(比較例1) 濃度10質量%の水酸化ナトリウム水溶液に代えてイオン交換水を使用した点を除いては実施例1と同様にして処理を行い、析出した4,4’−ビフェニルジカルボン酸中の有機臭素の含有量を算出したところ、46ppmであった。(比較例2) 反応温度を80℃とした点を除いては実施例1と同様にして処理を行い、析出した4,4’−ビフェニルジカルボン酸中の有機臭素の含有量を算出したところ、48ppmであった。 芳香族化合物中に含まれる有機ハロゲン化合物を、100℃以上300℃未満の反応温度でアルカリ水溶液と反応させ、前記有機ハロゲン化合物の有する有機ハロゲンを無機ハロゲンとして除去することにより、前記芳香族化合物中のハロゲンの含有量を低減することを特徴とする芳香族化合物中のハロゲン量低減方法。 前記反応を触媒存在下で行い、前記触媒を銅、銅(I)化合物又はこれらの混合物とすることを特徴とする請求項1に記載の芳香族化合物中のハロゲン量低減方法。 前記芳香族化合物が芳香族カルボン酸、フェノール類又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の芳香族化合物中のハロゲン量低減方法。 前記芳香族化合物中のハロゲンの含有量を1ppm以下に低減することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族化合物中のハロゲン量低減方法。 反応時間を2時間以上30時間以下とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の芳香族化合物中のハロゲン量低減方法。 【課題】芳香族化合物中のハロゲンの含有量を低コスト且つ簡便に低減する方法を提供する。【解決手段】芳香族化合物中に含まれる有機ハロゲン化合物を、100℃以上300℃未満の反応温度でアルカリ水溶液と反応させ、有機ハロゲン化合物の有する有機ハロゲンを無機ハロゲンとして除去することにより、芳香族化合物中のハロゲンの含有量を低減する。この反応は触媒存在下で行うことが好ましく、触媒は銅、銅(I)化合物又はこれらの混合物が好ましい。【選択図】なし


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